説明

パーツフィーダ

【課題】搬送路上を搬送されるワークに帯びた静電気を適切に中和除去することができ、ワークが他のワークや搬送路に付着したまま搬送され続けることによって所期のワーク搬送速度よりも遅い速度でワークを搬送せざるを得ない事態を回避し、搬送処理能力の低下を防止・抑制可能なパーツフィーダを提供する。
【解決手段】搬送面62上で搬送されるワークWに対して下方からエアを噴射してワークWを搬送面62から浮上させるエア噴射部4と、エア噴射部4のエア噴射によって搬送路62から浮上したワークW及びその周辺に向けて正のイオン化空気と負のイオン化空気を交互に噴射する共通のイオナイザとを備えたパーツフィーダにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク等の搬送対象物を搬送路に沿って搬送可能なパーツフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品等の搬送対象物であるワークを振動によって搬送路に沿って所定の供給先へ搬送可能なパーツフィーダが知られている。このようなパーツフィーダによって、振動しながら搬送路上を搬送されるワークは静電気を帯び易く、静電気によって他のワークにくっついたり、搬送路に対してくっつこうとする力が大きくなる場合がある。そして、このような静電気を帯びた状態のワークを搬送し続けることになれば、所期の搬送速度でワークを搬送することができなかったり、ワークを一列に整列させることが困難な状態に陥り、パーツフィーダの搬送処理能力が低下してしまう。
【0003】
そこで、本出願人は、搬送路を搬送されるワークに対して上方からイオン化空気を吹き付けるイオナイザを備えたパーツフィーダを案出している(例えば特許文献1参照)。このようなパーツフィーダであれば、ワークの静電気をイオナイザから吹き付けるイオン化空気によって中和除去することができ、静電気に起因するワーク同士の付着状態やワークと搬送路との付着状態を解除して搬送路上における各ワークの搬送をスムーズに行うことが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−309541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、振動しながら搬送されるワークが静電気を帯びる(帯電)メカニズムとしては、他の物体(他のワーク、搬送路)との接触がきっかけで起こる接触帯電のみならず、搬送路に接触している面が振動によって搬送路から僅かながらも浮き上がることがきっかけで起こる剥離帯電も挙げることができる。したがって、ワークと搬送路との関係においては、ワークのうち搬送路に対して接触した状態と僅かながらも浮き上がって接触していない状態とを繰り返して帯電する面、つまり搬送路に接触する面に対してイオン化空気を吹き付けて静電気を中和除去することが肝要である。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1記載のパーツフィーダは、搬送路を搬送されるワークの上方からイオン化空気を吹き付けるように構成されているため、イオン化空気吹付処理時点でワークのうち搬送路に接触している面にイオン化空気を吹き付けることは困難であり、イオナイザによってワークの静電気を中和除去する効果を十分に得ることができない場合がある。そして、振動しながら搬送される過程でワークに帯びた静電気を中和除去しきれず、搬送路に付着しようとする力が増大するワークを搬送し続けることになれば、静電気によってワークのスムーズな移動が抑制された状態、つまり静電気に起因するブレーキ力がワークに作用した状態となり、やはり、所期の搬送速度でワークを搬送することができず、搬送処理能力の低下を招来するおそれがあると考えられる。さらに、静電気を中和除去しきれないワークが他のワークに対して静電気により付着した状態で搬送路上を搬送されることになれば、相互に付着したワークは、搬送路上の適宜箇所に設けられたワーク整列手段の選別処理によってワーク整列手段よりも搬送方向上流側(例えば貯留部)に戻され、再度搬送路上を移動してワーク整列手段に到達し、再び搬送方向上流側(例えば貯留部)に戻されるという悪循環を繰り返し、ワークを一列に整列させることが困難な状態になり、搬送処理能力の更なる低下を招く事態が予想される。なお、特許文献1には、ワークの存在に関係なく搬送路を有するボウルやリニアフィーダ、リターンフィーダ全体にイオン化空気を吹き付ける第2イオナイザを設ける技術的思想が開示されているが、この場合、第2イオナイザから吹き付けるイオン化空気によってボウルやリニアフィーダ、リターンフィーダの静電気を中和除去することができるものの、ワークに対してイオン化空気を吹き付けるイオナイザとは別に専用の第2イオナイザを必須とするため、部品点数が増加するとともに、第2イオナイザによるイオン化空気を吹き付ける領域も広範に亘り、好ましいとは言い難い。
【0007】
また、ワーク自体が一部又は全体的に粘着性を有するものであれば、その粘着性が原因となって他のワークや搬送路に付着してしまうことも場合もあり、パーツフィーダの搬送処理能力が低下する。このような場合に、搬送路上のワークに対して上方からイオン化空気を吹き付けるだけでは、その風圧がワーク同士の付着具合やワークと搬送路との付着具合をより一層高める要素として作用する可能性も考えられる。
【0008】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、搬送路上を搬送されるワークに帯びた静電気を適切に中和除去することができ、ワークが他のワークや搬送路に付着したまま搬送され続けることによって所期のワーク搬送速度よりも遅い速度でワークを搬送せざるを得ない事態を回避し、搬送処理能力の低下を防止・抑制可能なパーツフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、搬送対象物であるワークを振動により搬送路に沿って搬送するパーツフィーダに関するものである。ここで、本発明における「搬送路」は、直線状や螺旋状など特にその形状が限定されるものではない。またワークとしては、例えば電子部品などの微小部品を挙げることができるが、電子部品以外のワークであってもよい。
【0010】
そして、本発明に係るパーツフィーダは、搬送路上のワークに対して下方からエアを噴射してワークを搬送路から浮上させるエア噴射部と、浮上させたワークとその周辺に向けてイオン化空気を噴射するイオナイザとを備え、イオナイザによって正のイオン化空気と負のイオン化空気を交互に噴射するように構成していることを特徴としている。
【0011】
このようなパーツフィーダであれば、エア噴射部から噴射するエアによってワークを強制的に浮上させて、ワークと搬送路とを相互に接触させない状態を確保し、浮上したワーク及びその浮上したワークの周辺にイオナイザによってイオン化空気を噴射することで、浮上する直前まで搬送路に接触していた面を含むワーク全体にイオン化空気を確実に吹き付けることができるとともに、浮上したワークが直前まで接触していた搬送路の所定領域にもイオン化空気を吹き付けることが可能である。このように浮上したワークに向かってイオン化空気を噴射するイオナイザを、浮上したワークの周辺にある搬送路にイオン化空気を噴射するイオナイザとして共用することができる本発明のパーツフィーダは、ワークに対してイオン化空気を噴射するイオナイザと、搬送路全体に亘る広範囲にイオン化空気を噴射するイオナイザとを個別に設ける態様と比較して、部品点数の削減及び低コスト化を図ることができる点、及びイオナイザの噴射領域を限定することでイオナイザ自体のコンパクト化及びイオン化空気の使用量低減を図ることができる点で有利である。
【0012】
また、振動によってワークを搬送する搬送路上には、正及び負の何れにも帯電したワークや、正と負の何れか一方に偏って帯電しているワークが混在しており、このような各ワークの帯電状態をセンシング処理などによって識別して、個々のワークに応じたイオン化空気を吹き付けて静電気を中和除去する態様も考えられ得るが、高精度のセンシング処理が要求されたり、センシング機器を別途要するなどの点で不利である。これに対して、本発明のパーツフィーダであれば、イオナイザによって正のイオン化空気と負のイオン化空気を交互に噴射するように構成しているため、ワークの帯電状態をセンシング処理などによって個別に識別する必要がなく、どのような帯電状態にあるワークであっても正のイオン化空気又は負のイオン化空気の何れか一方、或いは両方のイオン化空気によって確実に中和除去することできる。また、ワークのうち浮上する直前まで搬送路に接触していた面、及び搬送路のうち浮上したワークが直前まで接触していた面が、相互に異なる極性に帯電している現象に着目すれば、本発明のパーツフィーダのように、イオナイザによって正イオン化空気と負イオン化空気を交互に噴射する構成を採用することによって、例えば図10に模式的に示すように、ワークWのうち浮上する直前まで搬送路Hに接触していた面Wa(以下、ワーク側帯電面と称する)が正の極性を帯び、搬送路Hのうち浮上したワークが直前まで接触していた面Ha(以下、搬送路側帯電面と称する)が負の極性を帯びている場合には、図11に示すように、正のイオン化空気によって搬送路側帯電面Haの静電気を確実に中和除去することができるとともに、負のイオン化空気によってワーク側帯電面Waの静電気を中和除去することができる。また、図示しないが、ワーク側帯電面が負の極性を帯び、搬送路側帯電面が正の極性を帯びている場合には、正のイオン化空気によってワーク側帯電面の静電気を確実に中和除去することができるとともに、負のイオン化空気によって搬送路側帯電面の静電気を中和除去することができる。その結果、イオナイザによるイオン化空気噴射処理後にワークが再度搬送路上に移動(落下)した状態では、ワーク側帯電面及び搬送路側帯電面の静電気が中和除去されているため、静電気が原因となって生じるワーク搬送速度の低下を解消・抑制することができ、搬送路上においてワークを所期の搬送速度でスムーズに搬送することができる。
【0013】
加えて、本発明のパーツフィーダにおいて、エア噴射部によって噴射するエアを搬送路から浮上させる気流であり、このような気流中に置かれたワークに対してイオナイザによって噴射したイオン化空気の気流は、ワーク周りの風圧分布を変化させる要因となり得る。したがって、搬送路上において静電気又は粘着性などによって複数のワーク同士が付着している場合であっても、これらワークをエア噴射部のエア噴射処理及びイオナイザのイオン化空気噴射処理を同時または時間差で行えば、ワーク周りの圧力分布が変化することによって各ワークの相互に異なる不規則な挙動を惹起することができ、ワーク同士の付着状態を解除することが期待できる。また、付着状態にあるワーク同士の相互に不規則な挙動を惹起させることは、一旦浮上させたワークを搬送路上に移動(落下させる)ことによっても期待できる。
【0014】
特に、本発明のパーツフィーダにおいて、搬送路の上方に、ワークが通過不能な孔を有する天井壁を設ければ、ワークを搬送路からより確実に浮上させたり、ワーク側帯電面及び搬送路側帯電面にイオン化空気をより確実に吹き付けるために、エア噴射部によるエアやイオナイザによるイオン化空気の噴射力を強力に設定した場合であっても、搬送路から離れる方向へ飛ばされようとするワークが天井壁に当たることによって、天井壁よりさらに遠くへ飛ばされる事態を防止できるとともに、ワーク同士が付着している場合には、これらワークを付着状態のまま天井壁に当てることで相互に分離させることもできる。なお、噴射されたエアやイオン化空気は天井壁に形成した孔を通じて天井壁を越えていくため、搬送路と天井壁との間にエアやイオン化空気が滞留し、その滞留したイオン化空気がワークの搬送方向上流側や搬送方向下流側に流れてワークの適切な搬送状態を妨げてしまうという不具合の発生を防止・抑制することがでできる。
【0015】
また、搬送路の下方からエア噴射部によってエアを常時噴射する場合には、搬送路上においてワークを浮上させるエアの流れが常に存在するため、ワークが所定の浮上地点(エア噴射地点)に到達するよりも前の時点で不意にエアの流れに乗り上げてしまうことがある。特に、搬送路の上方に天井壁を設けている場合には、ワークが天井壁に吹き付けられたまま滞留してしまうおそれがある。このような不具合を解消するためには、エア噴射部によりエア噴射を間欠的に行うようにすることが好ましい。なお、エア噴射部によりエア噴射を間欠的に行うことは、搬送路の上方に天井壁を設けていないパーツフィーダにおいても有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワークを搬送路から強制的に浮上させた状態でワーク及びワークの周辺に正のイオン化空気及び負のイオン化空気を交互に吹き付けることによって、搬送路上を搬送されるワークに帯びた静電気を適切に中和除去することができ、ワークを所期の搬送速度で搬送することができ、パーツフィーダの搬送処理能力低下を防止・抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るパーツフィーダを一部破断して模式的に示す側面図。
【図2】同実施形態に係るパーツフィーダの全体を模式的に示す平面図。
【図3】同実施形態におけるワークの外観模式図。
【図4】同ワークが複数付着した状態を示す図。
【図5】同実施形態に係るパーツフィーダの要部を模式的に示す拡大図。
【図6】同実施形態に係るパーツフィーダの要部を図5とは異なる方向から示す図。
【図7】同実施形態に係るパーツフィーダの要部(ユニット体)を模式的に示す側断面図。
【図8】同実施形態に係るパーツフィーダの作用説明図。
【図9】同実施形態に係るパーツフィーダの作用説明図。
【図10】本発明に係るパーツフィーダのエア噴射部及びイオナイザによるワーク及び搬送路の静電気中和除去作用を説明する模式図。
【図11】本発明に係るパーツフィーダのエア噴射部及びイオナイザによるワーク及び搬送路の静電気中和除去作用を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係るパーツフィーダXは、図1及び図2等に示すように、例えば電子部品等のワークWを搬送路2上において振動により移動させながら所定の搬送先(供給先)に搬送する装置である。本実施形態のパーツフィーダXは、収容したワークWを整列させながら搬送するボウルBと、ボウルBを支持する支持部Sと、ボウルBに振動を発生させる電磁駆動部Mとを備えている。
【0020】
支持部Sは、ボウルBの底部に取り付けた可動ブロックS1と、防振ゴムGを介して床面に固定した固定ブロックS2と、可動ブロックS1及び固定ブロックS2を連結する板バネ等からなる連結部S3とを備え、可動ブロックS1を介してボウルBを振動可能に支持するものである。
【0021】
電磁駆動部Mは、可動ブロックS1と固定ブロックS2との間に設けられ、両ブロック(可動ブロックS1、固定ブロックS2)間に電磁吸引力を作用させてボウルBに対して高振動数の捩り振動を発生させるものである。ボウルBに対して振動を発生させることによって、ボウルB内に収容されたワークWがボウルBの搬送路2に沿って移動させることができる。
【0022】
ボウルBは、図2に示すように、平面視略円形の鉢状をなし、底面に形成され多数のワークWを貯留可能な貯留部1と、貯留部1の周縁部における所定部分を始端として周壁3に沿って登り傾斜の螺旋状に形成した搬送路2(トラックとも称される)とを備えたものである。
【0023】
貯留部1は、例えば中心側を径方向外側よりも高くなるように設定し、ボウルBの振動や貯留部1内に収容されているワークWの自重及びボウルBの振動によってワークWを径方向外側へ移動させるものである。
【0024】
搬送路2は、始端が貯留部1に連続しており、上面である搬送面21を例えば径方向外側に向けて下方に傾斜させた平坦な面に設定したものである。そして、振動によってワークWが受ける搬送力のうち径方向外側へ向かう力と搬送面21の傾斜によって、ワークWはボウルBの周壁3に接しながら上流側の貯留部1から下流側(搬送路2終端側)に向けて搬送される。本実施形態では、このような搬送路2の所定箇所にワーク整列手段(図示省略)を設け、ワーク整列手段によって所定姿勢であるワークWのみを搬送方向下流側に搬送し、所定姿勢ではないワークWを貯留部1へ戻す(落下させる)ように構成している。本実施形態のパーツフィーダXは、搬送路2の終端を図示しないリニアフィーダに設けた直線状の搬送路(直線トラックとも称される)の始端に連続するように接続して、整列させたワークWをリニアフィーダに搬送(供給)できるように構成している。
【0025】
このような搬送路2上を振動によって搬送されるワークWは、搬送路2との接触や振動を受けて搬送路2から僅かに浮上することによって静電気を帯び、搬送路2にくっつき易くなる。また、静電気によって搬送中のワークW同士がくっついてしまうこともある。さらに、搬送対象物であるワークWが、粘着性を有するものであれば、搬送路2や他のワークWに接触することで容易にくっついてしまう。例えば、本実施形態では、ワークWとして、図3に示すように、例えば全体形状がほぼ直方体状をなすサイドビューLEDと呼ばれる微小な電子部品を適用した例を示している。このようなワークWの実装面W1には電極W2が配置されるとともに、実装面W1に対する側面に発光面W3が形成され、この発光面W3に粘着性を有する樹脂が塗布または封止されているため、発光面W3が搬送路2や他のワークWに接触すれば容易にくっついてしまう。ここで、図4には、相互に付着した複数のワークWを示している。なお、図3では、説明の便宜上、電極W2及び発光面W3をそれぞれ異なるパターンを付して示している。
【0026】
ワークWが搬送路2に付着し易い状態になったり、他のワークWに付着すれば、所期の搬送速度でワークWを搬送することができず、搬送処理能力の低下を招来するおそれがある。また、相互に付着したワークWを、ボウルBの振動だけで分離し得るようにボウルBの振幅を大きく設定することは不可能ではないが、他のワークWに付着せずに単体で搬送されているワークWに悪影響を与えかねない。そして、振動だけでは分離することが困難な相互に付着したワークWは、ワーク整列手段の選別処理により貯留部1に戻され、再度搬送路2上を移動してワーク整列手段に到達し、再び貯留部1に戻されるという悪循環を繰り返すようになり、パーツフィーダXの搬送能力の低下を招来する。
【0027】
そこで、本実施形態に係るパーツフィーダXには、図2、図5乃至図7に示すように、搬送路2上のワークWに対して下方からエアを噴射してワークWを搬送路2から浮上させるエア噴射部4と、エア噴射部4のエア噴射によって搬送路2から浮上したワークW及び浮上したワークWの周辺に向けてイオン化空気を噴射する共通のイオナイザ5とを設けることとしている。
【0028】
本実施形態では、エア噴射部4のエア噴射孔41を形成した中和除去用搬送路6を有するユニット体UをボウルBの一部に脱着可能に取り付け、中和除去用搬送路6をボウルB自体に設けた搬送路2と連続させている。なお、ボウルBの所定部分にはユニット体Uを装着するための装着用凹部B1を形成している(図5、図6参照、なお図1ではユニット体U及びイオナイザ5を省略している)。
【0029】
ユニット体Uは、ボウルBの装着用凹部B1に装着した状態において搬送路2に連続する中和除去用搬送路6と、中和除去用搬送路6と高さ方向に所定寸法の空隙を介して対面し得る天井壁7とを備えている。以下の説明において「径方向」とは図7に示す矢印R方向であり、幅方向と同一方向であると捉えることができる。
【0030】
中和除去用搬送路6の上面には、搬送路2の上面である搬送面21に連続し得る中和除去用搬送面61を形成している。この中和除去用搬送路6には、中和除去用搬送面61の径方向内側に湾曲領域62を介して連続して上方へ突出する上方突出壁部63と、中和除去用搬送面61の径方向外側に連続してボウルBの周壁3に連続する起立壁部64とを設けている。なお、本実施形態では、図5乃至図7に示すように、ボウルBに設けた搬送路2の搬送面21に段差無く連続する中和除去用搬送面61をフラットな面にするとともに、この中和除去用搬送面61の径方向内側と前記上方突出壁部63との接続部分に湾曲領域62を設け、これら湾曲領域62及び上方突出壁部63によって、ワークWが中和除去用搬送面61を越えて貯留部1に落下する事態を防止している。中和除去用搬送面61は、ボウルBの搬送路2の上面である搬送面21と同一角度の傾斜面に設定されている。なお、中和除去用搬送面61の径方向内側から湾曲するように立ち上がる湾曲領域62は、搬送面21に対して急角度で変化するような領域ではないため、この湾曲領域62がワークWの搬送処理の妨げになることはない。
【0031】
そして、中和除去用搬送路6には、中和除去用搬送面61を越えて上方に開口するエア噴射孔41を形成している(図5及び図7参照、図6ではエア噴射孔41を省略している)。エア噴射孔41は、図7に示すように、中和除去用搬送路6の中実部分をほぼ水平方向に穿設した送気孔42に連通している。本実施形態では、中和除去用搬送路6に複数のエア噴射孔41を形成し、各エア噴射孔41を送気孔42に連通させている。複数のエア噴射孔41は、中和除去用搬送面61の径方向R(幅方向)に所定ピッチ離間させた箇所に形成したり、ワークWの搬送方向に所定ピッチ離間させた箇所に形成することができる。また、本実施形態では、高さ方向に延びるエア噴射孔41を鉛直方向に対して所定角度傾斜させている。具体的には、エア噴射孔41を、鉛直方向に対して径方向外側且つワークWの搬送方向下流側に僅かに傾斜させている。
【0032】
天井壁7は、中和除去用搬送路6の起立壁部64の上面にブロック状のスペーサ8を介して載置される載置壁部71と、載置壁部71から径方向内側に向けて延出している天井壁本体72とを一体的に備えたものである。天井壁本体72は、搬送路2の幅方向の傾斜角度とほぼ同一角度で径方向内側に向けて僅かに上昇する傾斜壁部73と、傾斜壁部73の径方向内側端部から下方に向けて垂下し、下端面が上方突出壁部63の上面に隙間無く接触する垂下壁部74とを一体に有する。そして、天井壁7のうち天井壁本体72から垂下壁部74に亘る所定領域に切欠口75を形成し、この切欠口75全体を被覆するようにパンチングメタル76を設けている。本実施形態では、載置壁部71の下面、天井壁本体72の下面及び垂下壁部74の径方向外側側面に至るよう折り曲げ形成したパンチングメタル76を適用している(図7参照)。パンチングメタル76の載置壁部71側はスペーサ8及び載置壁部71に挟持されている。本実施形態では、パンチングメタル76の孔76aをワークWが通過不能な大きさに設定している。なお、図7では、パンチングメタル76の厚み及び孔76aを誇張して示している。
【0033】
ユニット体Uを構成する中和除去用搬送路6及び天井壁7はボルトN1によって相互に着脱自在に固定している。具体的には、天井壁7のうち載置壁部71に形成したボルト挿通孔に上方から挿入したボルトNをスペーサ8に形成したボルト挿通孔を通過させて中和除去用搬送路6に形成したネジ孔に螺合することで中和除去用搬送路6及び天井壁7を相互に固定した状態で組み付けている。
【0034】
このような構成を有するユニット体Uは、中和除去用搬送路6の下面を装着用凹部B1の上面に載置した状態で着脱手段9を介してボウルBに装着することができる。本実施形態では、図5に示すように、中和除去用搬送路6のうち起立壁部64の径方向外向き面に当接する当接壁91と、当接壁91の下端部から径方向内側に延出した延出壁92とを用いて着脱手段9を構成している。
【0035】
当接壁91には、中和除去用搬送路6に形成した送気孔42にエアを供給する送気管43を設けている(図2及び図5参照)。そして、当接壁91の上部に形成した径方向Rに貫通するボルト挿通孔に挿入したボルトN2を中和除去用搬送路6(具体的には起立壁部64)に形成したネジ孔に螺合するとともに、延出壁92に形成したボルト挿通孔に挿入したボルトN3をボウルBの周壁3に形成したネジ孔に螺合することによって、ユニット体UをボウルBに固定することができる。
【0036】
そして、着脱手段9を介してユニット体UをボウルBに装着した状態では、ユニット体Uによって、搬送路2の長さ方向途中部分に少なくとも上方から搬送路2(中和除去用搬送路6)を被覆する領域(本実施形態ではトンネル状の領域)を形成することができる。この装着状態では、中和除去用搬送路6の中和除去用搬送面61が搬送路2の搬送面21に連続し、中和除去用搬送路6の起立壁部64の径方向内向き面がボウルBの周壁3の径方向内向き面に連続し、中和除去用搬送路6上を搬送されるワークWに対してエア噴射孔41からエアを噴射することができる。なお、本実施形態では、エア噴射孔41とは別に、中和除去用搬送路6の起立壁部64のうちワークWの搬送方向上流側端部に小孔64aを形成し、この小孔64aから径方向内側に向けて気体を噴射するように構成している(図6参照)。これにより、搬送路2から中和除去用搬送路6に到達した時点で、例えば中和除去用搬送路6の起立壁部64の径方向内向き面に凭れ掛かるような姿勢にあるワークWを中和除去用搬送面61側に移動させて(押し倒して)、エア噴射孔41を確実に吹き付けることができる。
【0037】
また、イオナイザ5は、ノズル51と、ノズル51に対してイオン化空気を供給するイオン化空気供給部と、イオン化空気供給部からノズル51までのイオン化空気の流路を開平する電磁弁とを備え、電磁弁の開閉を一定周期で繰り返すことによってノズル51から間欠的にイオン化空気を噴射するものである。なお、図1、図5乃至図7等ではイオナイザ5のうちノズル51のみを模式的に示し、他の部材は省略している。本実施形態では、正に帯電したイオン化空気(正イオン化空気)と、負に帯電したイオン化空気(負イオン化空気)とを交互に噴射可能なイオナイザ5を適用している。正イオン化空気の噴射時間や負イオン化空気の噴射時間は、ワークWの種類など種々の条件に基づいて設定・調整することができ、本実施形態では、同一時間サイクルで正イオン化空気と負イオン化空気とを交互に噴出するように設定している。
【0038】
本実施形態では、ノズル51の先端部がユニット体Uの天井壁7に近い位置となるようにイオナイザ5を配置している。そして、ノズル51の先端部から噴射したイオン化空気が天井壁7(パンチングメタル76の孔76a)を通じて中和除去用搬送面61に到達するようにイオン化空気の噴出量及び出力圧を設定している。
【0039】
ここで、エア噴射部4によるエア噴射対象領域とイオナイザ5によるイオン化空気噴射対象領域は少なくとも平面視においてほぼ重なる領域(噴射対象領域)であり、本実施形態では、搬送路2のうち噴射対象領域に相当する搬送路2を中和除去用搬送路6によって構成している。そして、本実施形態のパーツフィーダXは、中和除去用搬送路6に到達したワークWをエア噴射部4のエア噴射によって浮上させるとともに、浮上させたワークWに対してイオナイザ5によりイオン化空気を吹き付けることによって、ワークWに帯電している静電気を中和除去するように構成している。
【0040】
次に、本実施形態に係るパーツフィーダXの動作及び作用について、特にエア噴射部4及びイオナイザ5に着目しながら説明する。
【0041】
本実施形態のパーツフィーダXでは、電磁駆動部Mを駆動させるとボウルBに振動が発生し、この振動によって貯留部1にあるワークWが搬送路2の始端に到達し、そのまま搬送路2の始端を通過して搬送路2に沿って移動する。
【0042】
そして、本実施形態に係るパーツフィーダXは、搬送路2の途中(図示例ではリニアフィーダの搬送路の始端に近い部分、つまり搬送路2の終端近傍部分)に、エア噴射部4を備えたユニット体Uを配置するとともに、ユニット体Uの上方からユニット体Uの中和除去用搬送面61に向けてイオン化空気を噴射するイオナイザ5を設け、中和除去用搬送路6上を搬送されるワークWに対して、エア噴射部4によりエアを噴射するとともに、イオナイザ5によりイオン化空気を噴射する。
【0043】
具体的に本実施形態のパーツフィーダXは、エア噴射部4によって、中和除去用搬送面61に開口するエア噴射孔41からエアを上方に向けて吹き付けるとともに、イオナイザ5によってイオン化空気を中和除去用搬送面61に向けて上方から吹き付ける。ここで、本実施形態のエア噴射部4は、間欠的にエアを噴射するものであり、エア噴射時間(ON)とエア噴射停止時間(OFF)とを所定サイクルで繰り返している。つまり、本実施形態では、エア噴射部4としてパルスエアを噴出するものを用いている。エア噴射時間(ON)とエア噴射停止時間(OFF)とは相互に同一であってもよいが、本実施計形態のエア噴射部4はエア噴射時間(ON)をエア噴射停止時間(OFF)よりも長く設定している。また、本実施形態のイオナイザ5は、上述したように正イオン化空気と負イオン化空気とを交互に(パルス状に)噴射するものである。
【0044】
したがって、ボウルBの振動によって搬送路2の始端から搬送路2に沿って搬送され、中和除去用搬送路6のうちエア噴射孔41に到達した図8に示すワークWは、図9に示すように、エア噴射孔41から上方に向かって吹き付ける所定圧力のエアによって浮上し、イオナイザ5のノズル51から中和除去用搬送面61に向かって吹き付けるイオン化空気中に晒される。その結果、ワークWの外表面全体に正イオン化空気及び負イオン化空気を吹き付けることができ、特に浮上する直前まで中和除去用搬送面61に接触していた面にも正イオン化空気及び負イオン化空気を吹き付けることができる。ここで、ワークWの重量やエアの圧力次第ではエア噴射孔41からのエアによってワークWが中和除去用搬送面61から所定距離以上離れた位置まで浮上しようとするが、本実施形態では中和除去用搬送面61に対向する位置に天井壁7を配置しているため、ワークWが中和除去用搬送面61と天井壁7との離間距離以上に高く浮上してしまう事態を回避することができる。また、天井壁7に形成した孔(パンチングメタル76の孔76a)を通じてエアやイオン化空気は天井壁7の外部(ユニット体U外)へ抜けるため、中和除去用搬送面61と天井壁7との間にエア及びイオン化空気が滞留して循環したり、中和除去用搬送面61の下流側(リニアフィーダ側)或いは上流側(貯留部1側)へ不用意に流れる事態も回避することができるとともに、天井壁7の各孔76aの大きさをワークWが通過不能なサイズに設定しているため、ワークWが不意に天井壁7の外部(ユニット体U外)へ吹き飛ばされることもない(図9参照)。
【0045】
そして、本実施形態のパーツフィーダXは、イオナイザ5によって正イオン化空気及び負イオン化空気を交互に噴出するように構成しているため、浮上しているワークWに対して、特に浮上する直前まで中和除去用搬送面61に接触していた面を含む外表面全体に正イオン化空気及び負イオン化空気を当てることができ、ワークWの帯電状態に左右されることなく、ワークWの静電気を効果的に中和除去することができる。
【0046】
さらに、ワークWの上方から噴射したイオン化空気が、浮上したワークWが直前まで接触していた面である中和除去用搬送面61に当たることによって、中和除去用搬送面61が何れかの極性に帯電している場合であってもその静電気を正イオン化空気及び負イオン化空気によって中和除去することができる。特に、本実施形態では、イオナイザ5によるイオン化空気の噴射領域が、浮上したワークW及びその周辺のみに限定することができるため、例えばボウルB全体にイオン化空気を吹き付ける態様と比較して、イオナイザ5自体のコンパクト化及びイオン化空気の使用量低減を図ることができる。さらに、中和除去用搬送面61と浮上したワークWに対して共通のイオナイザ5によってイオン化空気を噴射しているため、中和除去用搬送面61専用のイオナイザとワークW専用のイオナイザを用いる態様と比べて、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。
【0047】
また、ワークW同士が相互に付着した状態で中和除去用搬送面61に到達した場合であっても、エア噴射部4及びイオナイザ5によってワークW同士の付着状態を解消することができる。つまり、相互に付着したワークWが中和除去用搬送面61のうちエア噴射孔41に到達すると、エア噴射孔41から上方に向かって吹き付ける所定圧力のエアによって浮上し、イオナイザ5のノズル51から中和除去用搬送面61に向かって吹き付けるイオン化空気中に晒される。この際、エアの気流とイオン化空気の気流とが相互に異なる方向の気流であるため、このようなエアやイオン化空気によって各ワークWに作用する圧力バランスが変化することにより、各ワークWが中和除去用搬送面61から浮上した状態又は中和除去用搬送面61から浮上しようとする状態で異なる挙動を起こすことによって、付着状態にあるワークW同士を分離することが期待できる。さらに、このようなエア及びイオン化空気の気流の相違を要因としてワークW同士を分離することができない場合であっても、本実施形態のパーツフィーダXであれば、付着状態にあるワークWをエアによって上方へ移動させて天井壁7に当てることにより、その衝撃で付着状態のワークWを相互に分離させることができたり、パルス状に脈流を生じさせたエアをワークWに吹き付けることによって、付着状態のワークWを相互に分離させることが可能である。そして、分離した状態で浮上している各ワークWの全面に正イオン化空気及び負イオン化空気を当てることがによって、各ワークWの静電気を効果的に中和除去することができる。
【0048】
そして、本実施形態のパーツフィーダXは、静電気を中和除去したワークWを個別に中和除去用搬送路6上で下流側に向けてスムーズ且つ適切に搬送することができ、中和除去用搬送路6を通過し、中和除去用搬送路6よりも下流側に配置したワーク整列手段(図示省略)によって一列に整列した状態で搬送路2の終端に到達したワークWをリニアフィーダの搬送路(直線トラック)に搬送して次工程に提供することができる。
【0049】
このように本実施形態に係るパーツフィーダXは、他のワークWに付着することなく中和除去用搬送面61に到達したワークWを中和除去用搬送面61から浮上させた状態でワークW全体にイオン化空気を吹き付けることによってワークWの静電気を中和除去することができるのみならず、中和除去用搬送面61に到達した時点で相互に付着しているワークWに対しても、中和除去用搬送面61から浮上させて分離させた状態で外表面全体に正イオン化空気及び負イオン化空気を吹き付けて静電気を中和除去することができる。加えて、本実施形態のパーツフィーダXは、搬送路21に連続する中和除去用搬送面61にも正イオン化空気及び正イオン化空気を吹き付けることによって搬送路2のうち噴射処理領域を構成する中和除去用搬送路6(中和除去用搬送面61)の静電気も中和除去することができる。しがたって、本実施形態のパーツフィーダXでは、一旦浮上した後に再び中和除去用搬送面61に落下したワークWが静電気の影響で、中和除去用搬送路6及び中和除去用搬送路6よりも下流側の搬送路2や他のワークWに付着する事態を防止・抑制することができ、各ワークWをスムーズ且つ適切に搬送方向下流側(リニアフィーダ側)に向かって所期の搬送速度で効率良く搬送することができる。また、本実施形態のパーツフィーダXであれば、相互に付着したワークWがワーク整列手段の選別処理により貯留部1に戻され、再度搬送路2上を移動してワーク整列手段に到達し、再び貯留部1に戻されるという悪循環を絶つことができ、このこともまた搬送効率低下の防止・抑制に貢献している。
【0050】
また、本実施形態のパーツフィーダXは、中和除去用搬送面61を上方から天井壁7で覆うとともに中和除去用搬送面61の径方向内側にも径方向Rに対面する壁を天井壁7の一部や中和除去用搬送路6の一部を用いて構成しているため、エア噴射部4によるエア噴射によって吹き飛ばされるワークWが貯留部1など中和除去用搬送路6から外れる場所へ吹き飛ばされて落下してしまうなど、ワークWがボウルBの広い領域に分散され、搬送方向におけるワークW同士の離間距離が大きくなって搬送効率が低下する事態を防止することができる。
【0051】
また、本実施形態では、エア噴射部4のエア噴射孔41を、ワークWの搬送方向下流側に傾斜させているため、噴射するエアの気流を傾斜分だけ下流側に向けることができる。したがって、上流側から搬送されてきたワークWを、搬送方向下流側に向けて上方へ吹き飛ばし、吹き飛ばされる直前の位置よりも下流側の位置に落下させ易くすることができ、このような構成もまたワークWの搬送能力低下の防止・抑制に寄与する。
【0052】
さらに、本実施形態に係るパーツフィーダXでは、ユニット体UをボウルBに着脱自在に設け、さらにユニット体Uを構成する中和除去用搬送路6及び天井壁7も相互に分離できるように構成している。したがって、ワークWの形態等に応じてエア噴射孔41の開口径や配置箇所、噴射力を異ならせたユニット体Uごと、或いはエア噴射孔41を形成した中和除去用搬送路6のみを変更して使用することができる。
【0053】
さらに、天井壁7を構成するパンチングメタル76の孔76aを通じてユニット体Uに搬送されてきたワークWを目視することができ、ユニット体U内にあるワークWの状態を監視することができる。
【0054】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、螺旋状の搬送路の途中部分においてエア噴射部やイオナイザによってワークの静電気を中和除去可能な構成を例示したが、直線状の搬送路の途中部分においてエア噴射部やイオナイザによってワークの静電気を中和除去できるように構成したパーツフィーダであってもよい。
【0055】
また、搬送路に対向する天井壁として、パンチングメタルに代えて、ワークが通過不能な孔を有する合成樹脂板または網体を備えたものを適用することもできる。また天井壁は、少なくとも搬送路に対向する領域があればよく、例えば上述した垂下壁など、搬送面に対して側壁となり得る領域はなくても構わない。なお、天井壁はできるだけ搬送路(上述した実施形態では中和除去用搬送路)に接近していることが好ましい。これは、一旦飛ばされたワークが搬送路(中和除去用搬送路)に落下した際に過度の衝撃を受けないようにするためである。
【0056】
さらに、エア噴射部によるワークの最大浮上高さが所定レベルよりも低い場合には天井壁を省略することもできる。
【0057】
また、上述した実施形態では、エア噴射部のエア噴射孔を、ユニット化された中和除去用搬送路に形成した態様を例示したが、エア噴射孔をボウルやリニアフィーダなどの搬送路に直接形成してもよい。この場合であれば、上述の実施形態とは異なり、中和除去用搬送路と中和除去用搬送路以外の搬送路とを物理的に区別することはできず、物理的に連続する搬送路の所定部分にエア噴射孔を形成した態様になる。
【0058】
エア噴射部やイオナイザを搬送路の複数箇所に設け、静電気の中和除去の確実性を向上したり、静電気を一旦中和除去したワークが再び静電気を帯びた場合でも改めて中和除去できる構成を採用してもよい。
【0059】
また、搬送対象物であるワークは、上述したサイドビューLEDに限られず、例えば実装面に対向する面に発光面が形成されたトップビューLED等の各種LEDや、LED以外の電子部品、あるいは食品など電子部品以外のものを搬送対象物としてもよい。
【0060】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
2…搬送路
4…エア噴射部
5…イオナイザ
7…天井壁
76a…孔
W…ワーク
X…パーツフィーダ





【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物であるワークを振動により搬送路に沿って搬送するパーツフィーダであって、
前記搬送路上の前記ワークに対して下方からエアを噴射して前記ワークを前記搬送路から浮上させるエア噴射部と、
前記エア噴射部のエア噴射によって前記搬送路から浮上した前記ワーク及び浮上した前記ワークの周辺に向けてイオン化空気を噴射するイオナイザとを備え、
前記イオナイザは、正のイオン化空気と負のイオン化空気を交互に噴射するものであることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
前記搬送路の上方に、前記ワークが通過不能な孔を有する天井壁を設けている請求項1に記載のパーツフィーダ。
【請求項3】
前記エア噴射部が、間欠的にエアを噴射するものである請求項1又は2に記載のパーツフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−75755(P2013−75755A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217685(P2011−217685)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】