説明

パーフルオロエラストマー組成物

【課題】ガラス転移温度が低く、耐寒性および耐熱性に優れたパーフルオロエラストマーを有するパーフルオロエラストマー組成物を提供する。
【解決手段】テトラフルオロエチレン単位(a)、パーフルオロビニルエーテル単位(b)ならびにニトリル基、カルボキシル基および/またはアルコキシカルボニル基を架橋部位として有する架橋部位単位(c)を有し、パーフルオロビニルエーテル単位(b)の含有量が、パーフルオロエラストマー中、8〜23モル%であるパーフルオロエラストマーを含有するパーフルオロエラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、本明細書において全体にわたって参照として組み込まれた2008年10月22日出願の米国仮特許出願第61/107,636号の35U.S.C.§119(e)に基づく利益を請求する。
【0002】
本発明は、耐熱性および耐寒性を有する含フッ素エラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
含フッ素エラストマー、特にテトラフルオロエチレン(TFE)単位を中心とするパーフルオロエラストマーは、優れた耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性を示すことから、過酷な環境下でのシール材などとして広く使用されている。
【0004】
しかし、技術の進歩に伴い要求される特性はさらに厳しくなり、航空宇宙分野や半導体製造装置分野、化学プラント分野では真空シール性、耐プラズマ性、耐熱性などが要求されている。
【0005】
かかる要求に対して、TFE/パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)/シアノ基含有モノマー単位のパーフルオロエラストマー共重合体が用いられているが、この共重合体はガラス転移温度Tgが高く、低温で脆弱であり耐寒性に問題があった。
【0006】
また、かかる要求に対して、PMVEのような側鎖の短いビニルエーテル以外にも側鎖の長いビニルエーテルも用いられている。
【0007】
例えば、特許文献1、特許文献2には、CF=CFO(CFCFXO)Rf(式中、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは1〜5の整数、Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基)からなるモノマー単位およびTFE単位を有するフルオロエラストマーが開示されているが、架橋性を付与するために、ヨウ素含有モノマー単位を有するものであり、架橋構造の耐熱性が低く、成型品の耐熱性が悪いという問題がある。
【0008】
特許文献3には、CF=CFORf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、または酸素原子を1〜3個含む炭素数3〜12のパーフルオロアルキル(ポリ)ビニルエーテル)からなるモノマー単位およびTFE単位を有する含フッ素ポリマーが開示されているが、架橋性を付与するために、ヨウ素含有モノマー単位を有するものであるため、架橋構造の耐熱性が低く、成型品の耐熱性が悪いという点において改善の余地がある。
【0009】
特許文献4には、TFE単位、CF=CFO(CF(OCFOCF(式中、nは1〜5である)で表わされるパーフルオロ(ビニルエーテル)および臭素含有不飽和単量体化合物からなる含フッ素共重合体エラストマーが開示されている。該含フッ素共重合体エラストマーは、臭素原子を架橋性基とするものであり、架橋構造の耐熱性が低く、成型品の耐熱性が悪い点において問題がある。
【0010】
特許文献5および特許文献6には、TFE単位、CF=CFOCFOR(式中、RはC〜C直鎖状もしくは分岐状あるいはC〜C環状ペルフルオロアルキル基、または1〜3の酸素原子を含むC〜C直鎖状もしくは分岐状ペルフルオロオキシアルキル基)を有するフルオロエラストマーが開示されている。特許文献5および特許文献6では、架橋部位として高分子鎖中および/または末端部位にヨウ素および/または臭素原子を有することが好ましい旨が記載されている。しかしながら、ヨウ素および/または臭素原子を架橋部位として有する場合、架橋構造の耐熱性が低く、成型品の耐熱性が悪い点において問題がある。
【0011】
また、特許文献7には、TFE単位とCF=CFORf(式中、Rfは、パーハロアルキル基、パーハロアルコキシアルキル基)からなるモノマー単位を有するフルオロポリマーが開示されており、CF=CFORfの具体例として、CF=CFOCF、CF=CFOCFOCFCFCF、CF=CFOCFOCFCF、CF=CFOCFOCF、CF=CFO(CFOCFおよびCF=CFOCFCFOCFが開示されている。また、フルオロポリマーの架橋部位としては、アミドキシムやアミドラゾンであり、これらの架橋部位は、ポリマー変性工程が複雑であるという点で問題がある。
【0012】
特許文献8には、パーフルオロオレフィンとしてTFE、パーフルオロアルコキシビニルエーテルおよび過酸化物架橋反応に関与しうるハロゲン基を含有している架橋部位成分を有するパーフルオロエラストマーが開示されている。該パーフルオロエラストマーは、架橋部位がハロゲン原子の付与によるものであって、このような架橋部位は、架橋構造の耐熱性が低く、成型品の耐熱性が悪い点において問題がある。
【0013】
また、架橋部位としてニトリル基を含有するモノマー単位を有するエラストマー組成物については、例えば、特許文献9のように、CH=CFCFO−(CFO)−(CFCFO)−(CFCFO)−(CF(CF)CFO)−CFCN(式中、x、y、zおよびwはそれぞれ独立に0〜20の数を表わす。ただし、x、y、zおよびwの和は20を越えない)で示される含フッ素ニトリル化合物を単量体として含む共重合体が開示されている。該含フッ素ニトリル化合物は、パーフルオロモノマーではなく、フルオロモノマーであるため、重合性が悪い、充分な耐熱性が得られないなどの点で問題がある。
【0014】
特許文献10には、架橋性部位として、ニトリル基を有するモノマー単位が記載されているが、パーフルオロビニルエーテルが、CF=CF−CF(Z)−O−Rfのようなアリルエーテル型のパーフルオロビニルエーテルであり、このようなパーフルオロアリルエーテルをモノマー単位として用いた場合、重合性が悪い点で問題がある。
【0015】
特許文献11には、ペルフルオロオレフィン、ペルフルオロ(アルコキシビニル)エーテルおよびペルオキシド硬化反応に関与しうる硬化部位成分から誘導される共重合体単位を含有するフルオロエラストマーについて開示されており、ペルフルオロオレフィンの具体例としてTFE、ペルフルオロ(アルコキシビニル)エーテルの具体例として、CF=CFOCFOCFCFCF、CF=CFOCFCF、CF=CFO(CFOCFおよびCF=CFOCFCFOCFが開示されている。硬化部位成分としては、ヨウ素含有または臭素含有不飽和モノオレフィンおよび、CF=CFO(CFCN、CF=CFO[CFCFCFO]CFCF(CFCNおよびCF=CF[OCFCFCFO(CFCNが開示されている。このフルオロエラストマーの硬化反応はペルオキシド硬化反応であり、架橋構造の耐熱性が低く、成型品の耐熱性が低いという問題がある。
【0016】
特許文献12には、パーフルオロオレフィンとしてTFEが、パーフルオロビニルエーテルとしてCF=CFORf(Rfは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1〜20のフルオロポリオキシアルキル基)、架橋性基として、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ニトリル基を含有する含フッ素エラストマーについて開示されているが、実際に使用している含フッ素エラストマーは、パーフルオロメチルビニルエーテル単位を有するものであり、耐寒性において改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開昭61−223007号公報
【特許文献2】特開昭62−89713号公報
【特許文献3】国際公開第00/22002号パンフレット
【特許文献4】特開平09−291122号公報
【特許文献5】特開2001−354719号公報
【特許文献6】特開2003−137930号公報
【特許文献7】国際公開第2006/068685号パンフレット
【特許文献8】特表2002−507640号公報
【特許文献9】特開平10−237130号公報
【特許文献10】国際公開第2006/068735号パンフレット
【特許文献11】特表2003−526705号公報
【特許文献12】国際公開第2003/051987号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、ガラス転移温度が低く、耐寒性および耐熱性に優れたパーフルオロエラストマーを有するパーフルオロエラストマー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、
(a)テトラフルオロエチレン単位、
(b)式(I):
【0020】
【化1】

(式中、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキレン基であり、nは1〜20の整数であって、nが2以上の場合、n個の(RfO)単位におけるRfは同じかまたは異なっていてもよく、Rf’は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基である)
で示されるパーフルオロビニルエーテル単位、ならびに
(c)ニトリル基、カルボキシル基および/またはアルコキシカルボニル基を架橋部位として有する架橋部位単位
を有し、パーフルオロビニルエーテル単位(b)の含有量が、8〜23モル%であるパーフルオロエラストマーを含有するパーフルオロエラストマー組成物に関する。
【0021】
パーフルオロビニルエーテル単位(b)が式(bI):
【0022】
【化2】

(式中、Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Xがフッ素原子の場合、hは0〜5の整数、トリフルオロメチル基の場合、hは0〜2の整数であり、nは1〜20の整数であって、nが2以上の場合、n個の(CF(CFX)O)単位における(CF(CFX))は同じかまたは異なっていてもよく、Rf’は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基である)
で示される単位であることが好ましい。
【0023】
パーフルオロエラストマー全体に占める架橋部位の濃度が1.0×10−6〜1.0×10−3モル/gであることが好ましい。
【0024】
パーフルオロエラストマーのガラス転移温度が−70℃〜−10℃であることが好ましい。
【0025】
パーフルオロエラストマーの121℃におけるムーニー粘度が50以上であることが好ましい。
【0026】
パーフルオロエラストマーを熱質量/示差熱分析装置(TG/DTA)にて測定したときの20%質量減少時の温度が430℃以上であることが好ましい。
【0027】
パーフルオロエラストマーを熱質量/示差熱分析装置(TG/DTA)にて測定したときの50%質量減少時の温度が450℃以上であることが好ましい。
【0028】
前記、パーフルオロエラストマーがカルボキシル基を有し、かつ次の関係式(1)を満たすことが好ましい。
(SCO/SCF)≧0.01 (1)
CO:対象とするエラストマーをFT−IRで測定したときの1700〜1830cm−1に吸収のピークを持つ会合および非会合のカルボキシル基のカルボニル基に基づく吸収の合計面積吸光度
CF:対象とするエラストマーをFT−IRで測定したときの2213〜2686cm−1に吸収のピークを持つC−F結合の倍音に基づく吸収の面積吸光度。ただし、ニトリル基が存在する場合は、2213〜2686cm−1に吸収のピークを持つ全ての吸収の面積吸光度の合計から2248〜2282cm−1に吸収のピークを持つニトリル基に基づく吸収の面積吸光度を引いた値
【0029】
前記パーフルオロエラストマー組成物としては、架橋剤を含むパーフルオロエラストマー組成物であることが好ましい。
【0030】
架橋剤が、式(II):
【0031】
【化3】

(式中、Rは、同じかまたは異なり、いずれも−NH、−NHR(Rは、フッ素原子または1価の有機基であり、−NHRを2個以上有する場合、Rは同じでも異なっていてもよい)、−OHまたは−SHのいずれか1種である)で示される架橋性反応基を少なくとも2個含む化合物であることが好ましい。
【0032】
架橋剤が、式(III):
【0033】
【化4】

(式中、Rは前記式(II)と同じ、Rは、−SO−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または
【0034】
【化5】

で示される基である)で示される化合物であることが好ましい。
【0035】
架橋剤が、式(IV):
【0036】
【化6】

(式中、2個以上の−NHRにおけるRは同じかまたは異なっていてもよく、いずれもフッ素原子または1価の有機基である)で示される架橋性反応基を少なくとも2個含む化合物であることが好ましい。
【0037】
架橋剤が、式(V):
【0038】
【化7】

(式中、Rは前記式(IV)と同じ、Rは、−SO−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または
【0039】
【化8】

で示される基である)で示される化合物であることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のパーフルオロエラストマー組成物は、
(a)テトラフルオロエチレン(以下、TFEともいう)単位、
(b)式(I):
【0041】
【化9】

(式中、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキレン基であり、nは1〜20の整数であって、nが2以上の場合、n個の(RfO)単位におけるRfは同じかまたは異なっていてもよく、Rf’は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基である)
で示されるパーフルオロビニルエーテル単位、ならびに
(c)ニトリル基、カルボキシル基および/またはアルコキシカルボニル基を架橋部位として有する架橋部位単位
を有するパーフルオロエラストマーを含有する。
【0042】
パーフルオロエラストマーにおけるTFE単位(a)の含有量は、耐熱性が良好であるという観点から、77モル%以上が好ましく、79モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。また、TFE単位(a)の含有量は、樹脂に近い性質とならず、ゴム弾性体としての性質が失われない点、耐寒性が失われない点から、92モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、87モル%以下がさらに好ましい。
【0043】
パーフルオロエラストマーにおけるパーフルオロビニルエーテル単位(b)は、式(I):
【0044】
【化10】

(式中、Rfは、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキレン基、nは1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の整数である。また、nが2以上の場合、n個の(RfO)単位におけるRfは同じかまたは異なっていてもよい。さらに、Rf’は炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基である)で示されるパーフルオロビニルエーテル単位(b)である。
【0045】
式(I)で示されるパーフルオロビニルエーテル単位(b)は、式(bI):
【0046】
【化11】

(式中、Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Xがフッ素原子の場合、hは0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数である。また、Xがトリフルオロメチル基の場合、hは0〜2の整数であり、より好ましくは0〜1の整数である。nは1〜20の整数であって、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは1〜5の整数である。nが2以上の場合、n個の(CF(CFX)O)単位における(CF(CFX))は同じかまたは異なっていてもよく、Rf’は、前記式(I)と同じである)で示されるパーフルオロビニルエーテル単位(b)であることが好ましい。
【0047】
パーフルオロビニルエーテル単位(b)の具体例としては、式:
【0048】
【化12】

【0049】
【化13】

【0050】
【化14】

【0051】
【化15】

などがあげられるが、これらのなかでも、合成が容易な点で、
【0052】
【化16】

が好ましい。
【0053】
パーフルオロビニルエーテル単位(b)の含有量は、樹脂に近い性質とならず、ゴム弾性体としての性質が失われない点、耐寒性が失われない点から、8モル%以上であり、10モル%以上が好ましく、13モル%以上がより好ましい。また、パーフルオロビニルエーテル単位(b)の含有量は、高温における圧縮永久歪みに優れる点から、23モル%以下であり、22モル%以下が好ましく、21モル%以下がより好ましい。
【0054】
パーフルオロエラストマーにおける架橋部位単位(c)としては、ニトリル基、カルボキシル基および/またはアルコキシカルボニル基を架橋部位として有する。
【0055】
架橋部位であるニトリル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基が、架橋点として機能する。また、架橋反応性に優れる点から、架橋部位単位(c)における架橋点がニトリル基であることが好ましい。
【0056】
パーフルオロエラストマー全体に占める架橋部位の濃度は、架橋部位の数を確保し、架橋成形品の耐熱性を上げ、圧縮永久歪みを向上させる点から、1.0×10−6モル/g以上が好ましく、1.0×10−5モル/g以上がより好ましく、2.0×10−5モル/g以上がさらに好ましい。また、パーフルオロエラストマー全体に占める架橋部位のモル数は、架橋密度の上昇による伸びの低下を抑える点から、1.0×10−3モル/g以下が好ましく、5.0×10−4モル/g以下がより好ましく、1.0×10−4モル/g以下がさらに好ましい。
【0057】
本発明で用いるパーフルオロエラストマーにニトリル基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1つの架橋部位を導入する方法としては、パーフルオロエラストマー製造時に、架橋部位を有する単量体を添加して共重合することにより導入する方法(共重合法)、重合生成物を後処理(たとえば酸処理など)することにより、重合生成物に存在しているカルボン酸の金属塩やアンモニウム塩などの基をカルボキシル基に変換する方法(後変換法)をあげることができる。
【0058】
共重合法に用いられる架橋部位単位(c)を与えるモノマーとしては、たとえば、式(1):
【0059】
CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X (1)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Xはニトリル基、カルボキシル基、またはアルコキシカルボニル基)
で表されるような化合物などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
【0060】
架橋部位単位(c)を与えるモノマーの具体例としては、式(2)〜(12):
CF=CF(CF−X (2)
(式中、nは1〜8の整数である)
CF=CFCF−X (3)
(式中、Rは−(OCF−、−(OCF(CF))−、nは1〜5の整数である)
CF=CF(OCFCF(CF))O(CF−X (4)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数である)
CF=CF(OCFCF(CF))−X (5)
(式中、mは1〜5の整数)
CF=CFOCF(CF(CF)OCFCF(−X)CF (6)
(式中、nは1〜4の整数)
CF=CFO(CFOCF(CF)−X (7)
(式中、nは2〜5の整数)
CF=CF(OCFCF(CF))OCFCF(CF)−X (8)
(式中、nは1〜2の整数)
CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X (9)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数である)
CF=CFO(CFCF(CF)O)CFCF(CF)−X (10)
(式中、mは0以上の整数である)
CF=CFOCF(CF)CFO(CF−X (11)
(式中、nは1以上の整数)
CF=CFOCFOCFCF(CF)OCF−X (12)
(式(2)〜(12)中、Xは、ニトリル基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)またはアルコキシカルボニル基(−COOR基、Rは炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基)である)で表される化合物などがあげられる。これらの中で、得られるパーフルオロエラストマーが耐熱性に優れている点、また、パーフルオロエラストマーを重合反応により合成する際に連鎖移動による分子量低下を抑えるという点から、水素原子を含まないパーフルオロ化合物が好ましい。また、テトラフルオロエチレンとの重合反応性に優れる点からCF=CFO−構造を持つ化合物が好ましい。
【0061】
本発明におけるパーフルオロエラストマーは、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などのラジカル重合法により製造することができるが、取扱いが容易である点から乳化重合法が好適である。
【0062】
使用するラジカル重合開始剤は、従来からフッ素ゴムの重合に使用されているものであればよく、たとえば、有機および無機の過酸化物ならびにアゾ化合物がある。典型的な開始剤として過硫酸塩類、過酸化カーボネート類、過酸化エステル類などがあり、好ましい開始剤としては過硫酸アンモニウム(APS)があげられる。APSは単独で使用してもよく、またサルファイト類のような還元剤と組み合わせて使用することもできる。
【0063】
乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖、またはフルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が望ましい。乳化剤の使用量は、添加された水の0.05〜20質量%が好ましく、とくに0.2〜15質量%が好ましい。
【0064】
重合圧力は、広い範囲で変化させることができる。一般には、0.05〜7MPaの範囲である。重合圧力は、高い程重合速度が大きくなるため、生産性の向上の観点から、0.1MPa以上であることが好ましい。
【0065】
架橋部位を後変換法で導入する場合における酸処理法としては、ラジカル重合で得られたパーフルオロエラストマーをたとえば塩酸、硫酸、硝酸などにより洗浄するか、これらの酸で重合反応後の混合物の系のpHを3以下にする方法が適当である。
【0066】
また、ヨウ素や臭素を含有する架橋性パーフルオロエラストマーを発煙硝酸により酸化することでカルボキシル基を導入することもできる。
【0067】
パーフルオロエラストマーのガラス転移温度は、高温における圧縮永久歪みに優れる点から、−70℃以上が好ましく、−60℃以上がより好ましく、−50℃以上がさらに好ましい。また、パーフルオロエラストマーのガラス転移温度は、耐寒性が良好であるという点から、−10℃以下が好ましく、−11℃以下がより好ましく、−13℃以下がさらに好ましい。
【0068】
パーフルオロエラストマーの121℃におけるムーニー粘度ML(1+20)は、耐熱性が良好な点で50以上が好ましく、60以上がより好ましく、70以上がさらに好ましい。また、加工性が良好な点で、180以下が好ましく、150以下がより好ましく、110以下がさらに好ましい。
【0069】
また、パーフルオロエラストマーの140℃におけるムーニー粘度ML(1+20)は、耐熱性が良好な点で30以上が好ましく、40以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。また、加工性が良好な点で、180以下が好ましく、150以下がより好ましく、110以下がさらに好ましい。
【0070】
パーフルオロエラストマーを熱質量/示差熱分析装置(TG/DTA)にて測定したときの20%質量減少時の温度は、耐熱性が良好であるという点から高ければ高い方が好ましく、この観点から430℃以上が好ましく、440℃以上がより好ましく、445℃以上がさらに好ましい。
【0071】
パーフルオロエラストマーをTG/DTAにて測定したときの50%質量減少時の温度は、耐熱性が良好であるという点から高ければ高い方が好ましく、この観点から450℃以上が好ましく、460℃以上がより好ましく、465℃以上がさらに好ましい。
【0072】
本発明のパーフルオロエラストマー組成物に用いるパーフルオロエラストマーは、カルボキシル基を有し、かつ次の関係式(1)を満たすことが、カルボキシル基が架橋部位として作用し、耐熱性を上げ、圧縮永久歪みを向上させる点で好ましい。さらには次の関係式(2)を満たすことがより好ましい。
(SCO/SCF)≧0.01 (1)
0.015≦(SCO/SCF)≦0.15 (2)
CO:対象とするエラストマーをFT−IRで測定したときの1700〜1830cm−1に吸収のピークを持つ会合および非会合のカルボキシル基のカルボニル基に基づく吸収の合計面積吸光度
CF:対象とするエラストマーをFT−IRで測定したときの2213〜2686cm−1に吸収のピークを持つC−F結合の倍音に基づく吸収の面積吸光度。ただし、ニトリル基が存在する場合は、2213〜2686cm−1に吸収のピークを持つ全ての吸収の面積吸光度の合計から2248〜2282cm−1に吸収のピークを持つニトリル基に基づく吸収の面積吸光度を引いた値
【0073】
本発明のパーフルオロエラストマー組成物は、前述したパーフルオロエラストマーが有する架橋点として作用可能な架橋部位と架橋反応可能な架橋剤、または架橋点として作用可能な架橋部位同士を反応により結合させ架橋構造を生じさせる触媒を含有することが好ましい。
【0074】
本発明で用いる好ましい架橋剤は、架橋後の分子形態が、芳香族環により安定化されることで耐熱性が向上する点から、式(II):
【0075】
【化17】

(式中、Rは、同じかまたは異なり、いずれも−NH、−NHR(Rは、フッ素原子または1価の有機基であり、−NHRを2個以上有する場合、Rは同じでも異なっていてもよい)、−OHまたは−SHのいずれか1種である)で示される架橋性反応基を少なくとも2個含む化合物である。
【0076】
さらに、架橋剤は、式(III):
【0077】
【化18】

(式中、Rは前記式(II)と同じ、Rは、−SO−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または
【0078】
【化19】

で示される基である)で示される化合物が好ましい。
【0079】
この中でも、耐熱性の観点から、Rは−NH、−NHRが好ましく、さらには−NHRがより好ましい。
【0080】
そして、−NHRにおいては、Rは、置換されていてもよいフェニル基、または置換されていてもよいベンジル基のほか、炭素数1〜9のアルキル基またはフッ素原子を含有する炭素数1〜10のアルキル基などの置換されていてもよい脂肪族炭化水素基が好ましく、耐熱性に優れている点から、置換されていてもよいフェニル基がより好ましい。
【0081】
また、Rとしては、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基が好ましい。
【0082】
架橋剤の具体例としては、限定的ではないが、たとえば2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−メチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−エチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−プロピルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−パーフルオロフェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−ベンジルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどがあげられる。
【0083】
これらの中でも、耐熱性が優れている点から、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−メチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−エチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−プロピルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンが好ましく、耐熱性が特に優れる点から、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
【0084】
架橋剤の配合量は、組成物を充分架橋させるという点から、エラストマー100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、架橋剤の配合量は、エラストマー100質量部に対して、10.0質量部以下が好ましく、2.0質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下がさらに好ましい。
【0085】
本発明においては、前記架橋剤とともに、他の架橋剤を併用することができる。
【0086】
本発明で好ましく用いることができる架橋触媒としては、架橋点として作用可能な架橋部位が、ニトリル基である場合、3つのニトリル基同士の反応により、トリアジン環を生じさせる触媒が好ましい。
【0087】
トリアジン環を生じさせる触媒としては、有機、無機のスズ化合物;特開平09−111081号公報に記載の有機、無機のアンモニウム塩;アンモニア;アンモニアを吸着させた担体;特表2007−502890号公報に記載の熱により分解してアンモニアを発生する化合物が好ましく、熱により分解してアンモニアを発生する化合物としては、尿素、チオ尿素などが挙げられる。
【0088】
架橋触媒のうち有機スズ化合物としては、テトラフェニルスズ、トリフェニルスズなどがあげられ、その配合量は、パーフルオロエラストマー100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。有機スズ化合物が、0.05質量部より少ないと、パーフルオロエラストマーが充分架橋されない傾向があり、10質量部を超えると、架橋成形品の物性を悪化させる傾向がある。
【0089】
本発明のパーフルオロエラストマー組成物において、必要に応じて架橋性エラストマー組成物に配合される通常の添加剤、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤などを配合することができる。また、架橋促進剤を1種またはそれ以上配合してもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲において、別種のエラストマーを混合して使用してもよい。
【0090】
好ましい充填剤としては、耐熱性、耐プラズマ性(低パーティクル性、低質量減少率)が良好な点から、有機顔料;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどのイミド構造を有するイミド系フィラー;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)などのケトン系のエンジニアプラスチックフィラーなどの有機物フィラーがあげられ、特に有機顔料が好ましい。
【0091】
有機顔料としては、縮合アゾ系顔料、イソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料などがあげられ、それらの中でも、耐熱性、耐薬品性に優れ、架橋成形品特性に与える影響が少ない点から、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料が好ましく、キナクリドン系顔料がより好ましい。
【0092】
さらに、本発明のパーフルオロエラストマー組成物は、上記の有機顔料に加えて、または単独で、一般的な充填剤を含有してもよい。
【0093】
一般的な充填剤としては、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾエート、ポリテトラフルオロエチレン粉末などのエンジニアリングプラスチック系の有機物フィラー;酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化チタンなどの金属酸化物フィラー;炭化ケイ素、炭化アルミニウムなどの金属炭化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物フィラー;フッ化アルミニウム、フッ化カーボン、硫酸バリウム、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルクなどの無機物フィラーがあげられる。
【0094】
これらの中でも、各種プラズマの遮蔽効果に優れる点から、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ケイ素、ポリイミド、フッ化カーボンが好ましい。
【0095】
また、前記無機物フィラー、有機物フィラーを単独で、または2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0096】
本発明のパーフルオロエラストマー組成物は、上記の各成分を、通常のゴム用加工機械、たとえば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混合することにより調製することができる。この他、密閉式混合機を用いる方法やエマルジョン混合から共凝析する方法によっても調製することができる。
【0097】
本発明のパーフルオロエラストマー組成物を架橋して得られる架橋成形品の硬度は、たとえばシール材として使用する場合におけるシール性が良好であるという点から、ShoreAで50以上が好ましく、55以上がより好ましく、60以上がさらに好ましい。また、シール性が良好であるという点から、95以下が好ましく、90以下がより好ましく、85以下がさらに好ましい。
【0098】
本発明のパーフルオロエラストマー組成物を架橋成形して得られる架橋成形品は、耐薬品性、機械的強度、耐熱性、耐プラズマ性に優れるため、航空宇宙分野や半導体製造装置分野、化学プラント分野のシール材などとして好適である。シール材としてはO−リング、角−リング、ガスケット、パッキン、オイルシール、ベアリングシール、リップシールなどがあげられる。
【0099】
なお、本発明でいう半導体製造装置は、特に半導体を製造するための装置に限られるものではなく、広く、液晶パネルやプラズマパネルを製造するための装置など、真空シール性、耐プラズマ性、耐熱性などが要求される製品の製造分野において用いられる製造装置全般を含むものであり、たとえば次のようなものをあげることができる。
【0100】
(1)エッチング装置
ドライエッチング装置
プラズマエッチング装置
反応性イオンエッチング装置
反応性イオンビームエッチング装置
スパッタエッチング装置
イオンビームエッチング装置
ウェットエッチング装置
アッシング装置
【0101】
(2)洗浄装置
乾式エッチング洗浄装置
UV/O洗浄装置
イオンビーム洗浄装置
レーザービーム洗浄装置
プラズマ洗浄装置
ガスエッチング洗浄装置
抽出洗浄装置
ソックスレー抽出洗浄装置
高温高圧抽出洗浄装置
マイクロウェーブ抽出洗浄装置
超臨界抽出洗浄装置
【0102】
(3)露光装置
ステッパー
コータ・デベロッパー
【0103】
(4)研磨装置
CMP装置
【0104】
(5)成膜装置
CVD装置
スパッタリング装置
【0105】
(6)拡散・イオン注入装置
酸化拡散装置
イオン注入装置
【実施例】
【0106】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0107】
本明細書で採用している測定法について、以下にまとめた。
【0108】
(1)エラストマーの構成単位の同定
溶融NMR(19F)分析とFT−IR分析による。標準として、TFE/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)/CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN(=69.25/30.3/0.45モル%)のパーフルオロエラストマー分析結果を用いている。
【0109】
(1−1)溶融NMR(19F)分析:
装置:BRUKER社製 AVANCE 300
条件:270℃で溶融させて測定する。
【0110】
(1−2)FT−IR分析
装置:パーキンエルマー社製 FT−IRスペクトロメータ1760X型
条件:対象とするパーフルオロエラストマーを薄いフィルムにし透過法で測定する。
【0111】
(2)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量測定法(DSC)により、示差走査熱量測定装置 METTLER TOLEDO製 DSC822を用いて測定する。Nガス50ml/min流通下、−80℃から100℃の範囲において、20℃/minの条件で昇温し、測定する。続いて、100℃から−80℃まで−100℃/minの条件で冷却し、−80℃で30分間放置し、その後、再度、−80℃から100℃の範囲において、20℃/minの条件で昇温し、測定する。
【0112】
(3)ムーニー粘度
ALPHA TECHNOLOGIES製 ムーニー粘度計MV2000E型を用いて、121℃(製造例3,5,7においては140℃)において、JIS K6300に従い測定する。
【0113】
(4)20%および50%質量減少温度
熱質量計(セイコーインスツルメンツ製 TG−DTA6200)を用い、空気200ml/min、昇温速度10℃/min、温度範囲20〜600℃の条件で質量変化を測定し、20%質量減少時および50%質量減少時の温度を測定する。
【0114】
(5)架橋部位濃度(モル/g)
溶融NMR(19F)およびFT−IR分析の結果から算出される組成により決定する。
【0115】
(6)常態物性
JIS K6251に準じて、6号ダンベルを用いて、厚み2mmの架橋成形品シートの常態での100%モジュラス(M100)、破断時引張強度(T)、破断時伸び(Eb)を測定する。
【0116】
(7)硬さ
JIS K6253に準じて、架橋成形品の硬さ(Shore A)を測定する(ピーク値)。
【0117】
(8)比重
JIS K6268に準じて、架橋成形品の比重を測定する。
【0118】
(9)圧縮永久歪み
JIS B2401に準じて作製したP−24規格(JIS B 2401)のO−リングについて、310℃、504時間の25%圧縮での圧縮永久歪みを測定する。
【0119】
製造例1(パーフルオロエラストマーaの合成)
≪重合工程≫
撹拌翼として、フルゾーン翼を取り付けた、着火源を持たない内容積3リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水を1200gおよび乳化剤としてCOCF(CF)CFOCF(CF)COONHを120g、NaClを3.918g、NaSOを2.112g仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し、脱気したのち、内温を15℃にした。別途、注入用シリンダーにCF=CFO(CFCF(CF)O)CFCFCF(以後、N=2VEという)を360g、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN(以後、CNVEという)を6.48g仕込み、シリンダー内を窒素ガスで充分に置換した後に、窒素圧によりオートクレーブ内に圧入した。ついでテトラフルオロエチレン(以後、TFEという)を圧入して0.049MPa・Gまで昇圧し、攪拌翼の回転数を600rpmとし、さらに内圧が0.20MPa・GになるようにTFEを仕込んだ。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)0.080gを純水3gに溶解させた溶液を窒素圧で圧入して反応を開始した。
【0120】
重合の進行により内圧が0.19MPa・Gに降下した時点で、内圧が0.20MPa・GになるようにTFEを仕込んだ。以後、反応の進行にともない内圧が0.19MPa・Gまで低下した時点で、同様に内圧が0.20MPa・Gまで仕込み、0.19〜0.20MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返した。
【0121】
重合開始から3時間後に、再度、APS0.080gを純水3gに溶解させた溶液を窒素圧で圧入して追加した。また、重合開始から4時間後に硫酸銅・五水和物(CuSO・5HO)0.001452gを純水3gに溶解させた溶液を窒素圧で圧入した。
【0122】
重合開始4.6時間後、TFEの合計が155gになった時点で、未反応モノマーを放出して固形分濃度24.1質量%の水性分散体1766gを得た。
【0123】
≪後処理工程≫
この得られた水性分散体のうちの880gを3.5質量%塩酸水溶液8800g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後、5分間撹拌した後、凝析物をろ別し、得られたポリマーをさらにCHCClF(HCFC−141b)1000g中にあけ、5分間撹拌し、再びろ別した。この後、HCFC−141b洗浄、ろ別の操作を5回繰り返し、ポリマーを取り出した。同様の操作で、重合で得られた1766gの水性分散体を処理した後、得られた全てのポリマーを70℃で48時間、真空乾燥させて、426gの乾燥したポリマー(パーフルオロエラストマーa)を得た。
【0124】
溶融NMR(19F)分析およびIR分析の結果から、このポリマー(TFE/N=2VE/CNVE)の構成単位の組成を求めた。結果を表1に示す。
【0125】
このポリマーのムーニー粘度(ML(1+20)121℃)は、70であった。また、このポリマーのガラス転移温度(Tg)、20%質量減少温度、50%質量減少温度、FT−IRによるSCO/SCF、架橋部位濃度(モル/g)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0126】
製造例2(パーフルオロエラストマーbの合成)
CNVEを12.98gとし、過硫酸アンモニウム(APS)溶液(APS0.080g/純水3g)を重合開始時に圧入するのみとし、重合開始3.4時間後に硫酸銅・五水和物(CuSO・5HO)を0.001452g圧入した以外は、製造例1と同じ重合条件で重合を行った。
【0127】
重合時間は5.9時間であり、固形分濃度23.0質量%の水性分散体1807gを得た。
【0128】
得られた水性分散体に製造例1と同様の後処理工程を行い、413gの乾燥したポリマー(パーフルオロエラストマーb)を得た。
【0129】
溶融NMR(19F)分析およびIR分析の結果から、このポリマー(TFE/N=2VE/CNVE)の構成単位の組成を求めた。結果を表1に示す。
【0130】
このポリマーのムーニー粘度(ML(1+20)121℃)は、77であった。また、このポリマーのガラス転移温度(Tg)、20%質量減少温度、50%質量減少温度、FT−IRによるSCO/SCF、架橋部位濃度(モル/g)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0131】
製造例3(パーフルオロエラストマーcの合成)
重合圧力を0.29〜0.30MPa・Gとし、硫酸銅・五水和物(CuSO・5HO)の圧入を重合開始2.4時間後とした以外は、製造例2と同じ重合条件で重合を行った。
【0132】
重合時間は3.7時間であり、固形分濃度19.4質量%の水性分散体1784gを得た。
【0133】
得られた水性分散体に製造例1と同様の後処理工程を行い、343gの乾燥したポリマー(パーフルオロエラストマーc)を得た。
【0134】
溶融NMR(19F)分析およびIR分析の結果から、このポリマー(TFE/N=2VE/CNVE)の構成単位の組成を求めた。結果を表1に示す。
【0135】
このポリマーは121℃では充分溶融しなかったので、ムーニー粘度(ML(1+20)121℃)は測定できなかったが、ムーニー粘度(ML(1+20)140℃)は92であった。このポリマーのガラス転移温度(Tg)、20%質量減少温度、50%質量減少温度、FT−IRによるSCO/SCF、架橋部位濃度(モル/g)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0136】
製造例4(パーフルオロエラストマーdの合成)
APS溶液(APS0.080g/純水3g)を重合開始時、重合開始3時間後、重合開始6時間後に圧入し、重合開始1.3時間後に硫酸銅・五水和物(CuSO・5HO)を0.001452g圧入した以外は、製造例2と同じ重合条件で重合を行った。
【0137】
重合開始9.8時間後にTFEの合計量が145gになった時点で、未反応モノマーを放出して固形分濃度21.0質量%の水性分散体1691gを得た。
【0138】
得られた水性分散体に製造例1と同様の後処理工程を行い、353gの乾燥したポリマー(パーフルオロエラストマーd)を得た。
【0139】
溶融NMR(19F)分析およびIR分析の結果から、このポリマー(TFE/N=2VE/CNVE)の構成単位の組成を求めた。結果を表1に示す。
【0140】
このポリマーのムーニー粘度(ML(1+20)121℃)は、86であった。また、このポリマーのガラス転移温度(Tg)、20%質量減少温度、50%質量減少温度、FT−IRによるSCO/SCF、架橋部位濃度(モル/g)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0141】
製造例5(パーフルオロエラストマーeの合成)
CNVEを19.44gとし、重合開始時にAPS溶液(APS0.080g/純水3g)を圧入、重合開始5.2時間後にAPS溶液(APS0.024g/純水3g)を圧入し、硫酸銅・五水和物(CuSO・5HO)を重合開始2.1時間後に0.001452g、重合開始5.7時間後に0.0007262g圧入した以外は、製造例2と同じ重合条件で重合を行った。
【0142】
重合時間は7.3時間であり、固形分濃度21.8質量%の水性分散体1788gを得た。
【0143】
得られた水性分散体に製造例1と同様の後処理工程を行い、386gの乾燥したポリマー(パーフルオロエラストマーe)を得た。
【0144】
溶融NMR(19F)分析およびIR分析の結果から、このポリマー(TFE/N=2VE/CNVE)の構成単位の組成を求めた。結果を表1に示す。
【0145】
このポリマーは121℃では充分溶融しなかったので、ムーニー粘度(ML(1+20)121℃)は測定できなかったが、ムーニー粘度(ML(1+20)140℃)は75であった。このポリマーのガラス転移温度(Tg)、20%質量減少温度、50%質量減少温度、FT−IRによるSCO/SCF、架橋部位濃度(モル/g)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0146】
製造例6(パーフルオロエラストマーfの合成)
APS溶液(APS0.080g/純水3g)を重合開始時から2時間毎に(計6回)圧入し、硫酸銅・五水和物(CuSO・5HO)を重合開始時、重合開始3.0時間後、重合開始4.7時間後および重合開始8.6時間後にいずれも0.00029gずつ、重合開始6.4時間後および重合開始10.1時間後にいずれも0.00058gずつ圧入した以外は、製造例2と同じ重合条件で重合を行った。
【0147】
重合時間は11.1時間であり、固形分濃度22.9質量%の水性分散体1786gを得た。
【0148】
得られた水性分散体に製造例1と同様の後処理工程を行い、379gの乾燥したポリマー(パーフルオロエラストマーf)を得た。
【0149】
溶融NMR(19F)分析およびIR分析の結果から、このポリマー(TFE/N=2VE/CNVE)の構成単位の組成を求めた。結果を表1に示す。
【0150】
このポリマーのムーニー粘度(ML(1+20)121℃)は、91であった。また、このポリマーのガラス転移温度(Tg)、20%質量減少温度、50%質量減少温度、FT−IRによるSCO/SCF、架橋部位濃度(モル/g)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0151】
製造例7(パーフルオロエラストマーgの合成)
重合圧力を0.24〜0.25MPa・Gとし、APS溶液(APS0.080g/純水3g)を重合開始時、重合開始1.9時間後、重合開始4.2時間後、重合開始4.9時間後および重合開始8.0時間後にいずれも0.0083gずつ(計5回)圧入し、硫酸銅・五水和物(CuSO・5HO)を重合開始時、重合開始3.7時間後、重合開始6.2時間後および重合開始8.2時間後にいずれも0.00029gずつ圧入した以外は、製造例2と同じ重合条件で重合を行った。
【0152】
重合時間は10.0時間であり、固形分濃度21.4質量%の水性分散体1797gを得た。
【0153】
得られた水性分散体に製造例1と同様の後処理工程を行い、358gの乾燥したポリマー(パーフルオロエラストマーg)を得た。
【0154】
溶融NMR(19F)分析およびIR分析の結果から、このポリマー(TFE/N=2VE/CNVE)の構成単位の組成を求めた。結果を表1に示す。
【0155】
このポリマーは121℃では充分溶融しなかったので、ムーニー粘度(ML(1+20)121℃)は測定できなかったが、ムーニー粘度(ML(1+20)140℃)は80であった。このポリマーのガラス転移温度(Tg)、20%質量減少温度、50%質量減少温度、FT−IRによるSCO/SCF、架橋部位濃度(モル/g)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0156】
比較製造例(パーフルオロエラストマー(TFE/PMVE/CNVE)の合成)
撹拌翼として、マックスブレンド翼を取り付けた着火源をもたない内容積6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水2.338リットルおよび乳化剤としてCOCF(CF)CFOCF(CF)COONHを23.4g、(NHCOを0.21g仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、600rpmで撹拌しながら、52℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)の混合ガス(TFE/PMVE=35/65モル比)を、内圧が0.78MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、CNVE0.85gを窒素で圧入した後、APS12.3gを純水30gに溶解し、窒素で圧入して反応を開始した。
【0157】
重合の進行に伴い、槽内圧力が低下するので、圧力が0.73MPa・Gになった時点で、TFEおよびPMVEを70/30モル%の比率で圧入し、0.83MPa・Gまで昇圧した。以後、反応の進行にともない同様にTFE、PMVEを圧入し、0.73〜0.83MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返し、TFEを400gとPMVEを284g圧入した。重合中にCNVE14.45gを17分割して追加添加した。重合終了後、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度22.3質量%の水性分散体2991.2gを得た。重合時間は6.2時間であった。
【0158】
この水性分散体1000gを純水1000gで希釈し、3.5質量%塩酸水溶液5000g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後、5分間撹拌した後、凝析物をろ別し、得られたポリマーをさらに純水5000gの水中に開け、5分間撹拌し、再びろ別した。この後、水洗とろ別の操作を繰り返し、水洗後の洗浄水のpHが6以上になった時点で、ポリマーを取り出した。同様の操作で、重合で得られた2991gの水性分散体を処理した後、得られた全てのポリマーを70℃で48時間、真空乾燥させて、615gの乾燥したポリマーを得た。
【0159】
溶融NMR(19F)分析およびIR分析の結果から、このポリマー(TFE/PMVE/CNVE)の構成単位の組成を求めた。結果を表1に示す。
【0160】
このポリマーのガラス転移温度(Tg)、20%質量減少温度、50%質量減少温度、FT−IRによるSCO/SCF、架橋部位濃度(モル/g)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0161】
【表1】

【0162】
実施例1
製造例1で得られたパーフルオロエラストマーaと、架橋剤である
【0163】
【化20】

(略号:AFTA−Ph。ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンスのポリマー・ケミストリー編、Vol.20、2381〜2393頁(1982)に記載の方法で合成した)と、カーボンブラック(Cancarb製 Thermax N990)を混合比100/0.51/20(質量比)で、オープンロールにて、混練して、架橋可能なパーフルオロエラストマー組成物を調製した。
【0164】
このパーフルオロエラストマー組成物を180℃で2時間プレスして架橋し、さらにオーブンで290℃にて18時間加熱し、架橋成形品として、厚み2mmのシート、およびP−24規格(JIS B 2401)のO−リングを作製した。この架橋成形品の評価(常態物性、圧縮永久歪み)を行った。評価結果を表2に示す。
【0165】
実施例2〜7および比較例1
製造例2〜7および比較製造例でそれぞれ得られたパーフルオロエラストマーと、AFTA−Phとカーボンブラック(Cancarb製 Thermax N990)とを表2に示す配合量にしたがって配合した以外は、実施例1と同様にして架橋成形品を作製し、その物性を測定した。評価結果を表2に示す。
【0166】
【表2】

【0167】
製造例8(パーフルオロエラストマーhの合成)
N=2VEに代えてCF=CFO(CFCFO)CFCFを269.4g加え、APS溶液(APS0.0083g/純水3g)を重合開始時から1時間毎に計8回圧入し、硫酸銅・五水和物(CuSO・5HO)を重合開始時から1時間毎に0.00029gずつ(計8回)圧入した以外は、製造例2と同じ重合条件で重合を行った。
【0168】
重合時間は7.6時間であり、固形分濃度15.6質量%の水性分散体1973gを得た。
【0169】
得られた水性分散体に製造例1と同様の後処理工程を行い、308gの乾燥したポリマー(パーフルオロエラストマーh)を得た。
溶融NMR(19F)分析の結果から、このポリマーは、TFE/CF=CFO(CFCFO)CFCF/CNVE(=78.4/20.4/1.2モル%)であった。
【0170】
このポリマーのガラス転移温度(Tg)は−30.9℃、FT−IRによるSCO/SCFは0.0385、架橋部位濃度は6.88×10−5モル/gであった。
【0171】
実施例8
製造例8で得られたパーフルオロエラストマーh100重量部とAFTA−Ph1.0重量部を配合し、実施例1と同様にして架橋成形品を作製した。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明によれば、特定のパーフルオロビニルエーテル単位(b)を特定量有するパーフルオロエラストマーを用いることにより、ガラス転移温度や硬度が低く、混練り性や加工性を改善することができ、耐寒性および耐熱性に優れたパーフルオロエラストマー組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)テトラフルオロエチレン単位、
(b)式(I):
【化1】

(式中、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキレン基であり、nは1〜20の整数であって、nが2以上の場合、n個の(RfO)単位におけるRfは同じかまたは異なっていてもよく、Rf’は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基である)
で示されるパーフルオロビニルエーテル単位、ならびに
(c)ニトリル基、カルボキシル基および/またはアルコキシカルボニル基を架橋部位として有する架橋部位単位
を有し、パーフルオロビニルエーテル単位(b)の含有量が8〜23モル%であるパーフルオロエラストマーを含有するパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項2】
パーフルオロビニルエーテル単位(b)が式(bI):
【化2】

(式中、Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Xがフッ素原子の場合、hは0〜5の整数、トリフルオロメチル基の場合、hは0〜2の整数であり、nは1〜20の整数であって、nが2以上の場合、n個の(CF(CFX)O)単位における(CF(CFX))は同じかまたは異なっていてもよく、Rf’は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基である)
で示される単位である請求項1記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項3】
パーフルオロエラストマー全体に占める架橋部位の濃度が1.0×10−6〜1.0×10−3モル/gである請求項1または2記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項4】
パーフルオロエラストマーのガラス転移温度が−70℃〜−10℃である請求項1〜3のいずれかに記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項5】
パーフルオロエラストマーの121℃におけるムーニー粘度が50以上である請求項1〜4のいずれかに記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項6】
パーフルオロエラストマーを熱質量/示差熱分析装置にて測定したときの20%質量減少時の温度が430℃以上である請求項1〜5のいずれかに記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項7】
パーフルオロエラストマーを熱質量/示差熱分析装置にて測定したときの50%質量減少時の温度が450℃以上である請求項1〜6のいずれかに記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項8】
パーフルオロエラストマーがカルボキシル基を有し、かつ次の関係式(1)を満たす請求項1〜7のいずれかに記載のパーフルオロエラストマー組成物。
(SCO/SCF)≧0.01 (1)
CO:対象とするエラストマーをFT−IRで測定したときの1700〜1830cm−1に吸収のピークを持つ会合および非会合のカルボキシル基のカルボニル基に基づく吸収の合計面積吸光度
CF:対象とするエラストマーをFT−IRで測定したときの2213〜2686cm−1に吸収のピークを持つC−F結合の倍音に基づく吸収の面積吸光度。ただし、ニトリル基が存在する場合は、2213〜2686cm−1に吸収のピークを持つ全ての吸収の面積吸光度の合計から2248〜2282cm−1に吸収のピークを持つニトリル基に基づく吸収の面積吸光度を引いた値
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のパーフルオロエラストマー組成物と、架橋剤を含むパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項10】
架橋剤が式(II):
【化3】

(式中、Rは、同じかまたは異なり、いずれも−NH、−NHR(Rは、フッ素原子または1価の有機基であり、−NHRを2個以上有する場合、Rは同じでも異なっていてもよい)、−OHまたは−SHのいずれか1種である)で示される架橋性反応基を少なくとも2個含む化合物である請求項9記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項11】
架橋剤が式(III):
【化4】

(式中、Rは前記式(II)と同じ、Rは、−SO−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または
【化5】

で示される基である)
で示される化合物である請求項10記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項12】
架橋剤が式(IV):
【化6】

(式中、2個以上の−NHRにおけるRは同じかまたは異なっていてもよく、いずれもフッ素原子または1価の有機基である)で示される架橋性反応基を少なくとも2個含む化合物である請求項9記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項13】
架橋剤が式(V):
【化7】

(式中、Rは前記式(IV)と同じ、Rは、−SO−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または
【化8】

で示される基である)で示される化合物である請求項12記載のパーフルオロエラストマー組成物。

【公表番号】特表2012−505948(P2012−505948A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531756(P2011−531756)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/JP2009/067588
【国際公開番号】WO2010/047234
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】