説明

ヒスタミンH2受容体拮抗作用を有する2−フェニルインドール化合物

【課題】消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍などの上部消化管炎症性疾患の予防及び/又は治療剤の提供。
【解決手段】下記一般式(1)


〔式(1)中、Aは、C6-10アリール基を示し、Xは、水酸基で置換してもよいC3-6アルキレン基を示し、Yは、C1-6アルキレン基、C2-6アルケニレン基又はC2-6アルキニレン基を示す〕で表される2−フェニルインドール誘導体若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、ヒスタミンH2受容体拮抗剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒスタミンH2受容体拮抗作用を有し、ヒスタミンH2受容体が関与する疾患の予防及び/又は治療に有用な2−フェニルインドール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンは、多様な生体反応を制御する生体アミンメディエーターであり、その受容体としてGタンパク質共役型受容体(GPCR:G protein−coupled receptor)スーパーファミリーに属するH1、H2、H3及びH4の4つのサブタイプが存在する。ヒスタミンは、標的細胞に発現しているヒスタミンH1、H2、H3及びH4受容体にそれぞれ結合し、細胞内に情報を伝達することによって多様な生理機能を発現させる。
【0003】
H1受容体は、Gq/ホスホリパーゼCと共役し、イノシトールリン酸の蓄積、細胞質へのCa2+の動員を引き起こす受容体であり、種々の平滑筋、副腎髄質、血管内皮、脳などに分布している。また、H1受容体は、炎症やアレルギー反応に関与することが知られており、例えば、ヒスタミンは、末梢組織及び血管内皮の細胞に発現するH1受容体に結合し、この受容体を介して即時型免疫反応が起こり、血管透過性亢進及び気道収縮、さらには浮腫及び急性炎症などを引き起こす。ここで、H1受容体拮抗薬は、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン剤)として用いられる。H1受容体拮抗薬には、鎮静作用のあるジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、メピラミン、トリプロリジンなど、あるいは非鎮静性のメキタジン、テルフェナジンなどが知られている。
【0004】
H3受容体は、主として中枢神経系に発現が認められ、神経機能に対する関連が報告されている。H3受容体は、Giを介してアデニル酸シクラーゼを抑制し、ヒスタミン遊離の抑制、ヒスタミン合成、分解の抑制を仲介する。
【0005】
H4受容体は、末梢白血球、胸腺、小腸、脾臓、結腸、骨髄、肝臓、精巣、腎臓、肺、肥満細胞等での発現が報告されているが、とりわけ、サイトカインにおけるH4受容体阻害による作用は炎症性細胞の浸潤・遊走を介したものであることが知られており、炎症性細胞の遊走・浸潤を伴う呼吸器、消化器、皮膚等における炎症の治療薬として有効性を示すものと期待されている。
【0006】
H2受容体は、Gs/アデニル酸シクラーゼと共役し、サイクリックAMPの蓄積を引き起こす受容体であり、消化器官、特に胃の胃粘膜壁細胞に存在することが知られており、上部消化管における炎症疾患への寄与が知られている。
【0007】
上部消化管における炎症、とりわけ潰瘍は、酸やペプシン等の攻撃因子と、粘液や重炭酸塩、血流等の防御因子との均衡が崩れることに起因して発症するが、この不均衡を来す原因がピロリ菌や消炎鎮痛剤等であることがわかってきた。しかしながら、胃酸が上部消化管潰瘍の増悪因子であることに変わりはなく、薬物療法としては、主にピロリ菌除菌療法と並行して、攻撃因子抑制を目的としてプロトンポンプ阻害剤やH2ブロッカー等の酸分泌抑制剤が使用されている。
【0008】
プロトンポンプ阻害剤は、胃酸分泌阻害強度が最も高い薬剤であるが、その代謝には薬物代謝酵素CYP2C19が関与するため、胃酸分泌抑制効果に個人差が生じることがわかっている。加えて、健常人の4割を占めるといわれるプロトンポンプ阻害剤抵抗性の胃食道逆流症状患者では、プロトンポンプ阻害剤を服用中であっても、夜間の酸分泌が起こっていることがわかっている(非特許文献1)。
【0009】
このような状況下、CYP2C19の影響を受けない、夜間の胃酸分泌抑制に効果のある薬剤が求められている。H2受容体拮抗薬は、酸関連疾患の初期治療及び維持療法における効果が期待されており、作用強度が高い新規なH2受容体拮抗薬が依然として強く望まれている。
【0010】
一方、2−フェニルインドール骨格には、原虫感染症の治療作用(非特許文献2)が知られているが、ヒスタミンH2受容体拮抗作用に関する記載や示唆はなく、2−フェニルインドール骨格を持つヒスタミンH2受容体拮抗薬は全く知られていない。
【0011】
【非特許文献1】胃酸分泌研究会誌,34,99−103,2002
【非特許文献2】J.Med.Chem.,49,4196−4207,2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ヒスタミンH2受容体拮抗作用を有し、ヒスタミンH2受容体が関与する疾患の治療に有用な新規化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記実情に鑑み、本発明者らは、ヒスタミンH2受容体拮抗作用を有する化合物を探索した結果、下記一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物が、ヨード125(125I)標識Aminopotentidineを用いた結合阻害試験において、強力なヒスタミンH2受容体結合阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、下記に関する。
[1]下記一般式(1):
【0015】
【化1】

【0016】
〔式中、
1、R2、R3、R4は、同一であるか又は異なっていてもよく、独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、及びC1-6アシル基からなる群から選択され;
5は、水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、及びC1-6アシル基からなる群から選択され;
Aは、C6-10アリール基を示し;
Xは、水酸基で置換されてもよいC1-6アルキレン基を示し;
Yは、C1-6アルキレン基、C2-6アルケニレン基、及びC2-6アルキニレン基からなる群から選択される〕
で表される2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、ヒスタミンH2受容体拮抗剤。
【0017】
[2]前記2−フェニルインドール化合物が、
1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(シンナミルアミノ)−3−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール;
1−(2−(4−クロロフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール;及び
3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール
からなる群から選択される、前記[1]に記載のヒスタミンH2受容体拮抗剤。
【0018】
[3]一般式(1)中のXが水酸基で置換される場合、該Xに存在する不斉炭素の絶対配置がR配置である、前記[1]又は[2]に記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、ヒスタミンH2受容体拮抗剤。なお、前記Xが水酸基で置換される場合、水酸基の数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個、さらにより好ましくは1〜2個、最も好ましくは1個である。
【0019】
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、上部消化管疾患の予防及び/又は治療剤。
【0020】
[5]前記上部消化管疾患が、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍若しくは出血性胃炎等に起因する上部消化管出血、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、胃炎、又はびらん、出血、発赤若しくは浮腫に起因する胃粘膜病変である、前記[4]に記載の予防及び/又は治療剤。
【0021】
[6]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び医薬として許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む、上部消化管疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物。
【0022】
[7]前記上部消化管疾患が、胃粘膜又は十二指腸粘膜の炎症性疾患である、前記[6]に記載の医薬組成物。
【0023】
[8]ヒスタミンH2受容体拮抗作用を有する製剤を製造するための、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。
【0024】
[9]上部消化管疾患の予防及び/又は治療用製剤を製造するための、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。
【0025】
[10]治療が必要とされる患者に、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、ヒスタミンH2受容体の拮抗方法。
【0026】
[11]治療が必要とされる患者に、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、炎症性疾患の予防及び/又は治療方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、後記試験例に示すように、強力なヒスタミンH2受容体拮抗作用を有し、上部消化管疾患の予防及び/又は治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の用語の定義は以下の通りである。
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、より好ましくは、塩素原子である。
【0029】
本明細書中で使用するとき、「C1-6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基又は2−エチルブチル基が挙げられる。好ましくは、C1-4アルキル基である。
【0030】
本明細書中で使用するとき、「C1-4アルキル基」とは、炭素数1〜4個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、より好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基である。
【0031】
本明細書中で使用するとき、「ハロC1-6アルキル基」とは、同一であるか又は異なっていてもよい1〜5個のハロゲン原子がC1-6アルキル基に結合した基を意味し、例えば、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、4−フルオロブチル基、4−クロロブチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基等が挙げられる。好ましくは、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、より好ましくは、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基である。
【0032】
本明細書中で使用するとき、「C3-6シクロアルキル基」は、炭素数3〜6個の単環状飽和炭化水素基を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
【0033】
本明細書中で使用するとき、「C1-6アルコキシ基」とは、前記C1-6アルキル基が酸素原子に結合した基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、2−メチルブトキシ基、ネオペントキシ基、1−エチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、4−メチルペントキシ基、3−メチルペントキシ基、2−メチルペントキシ基、1−メチルペントキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基、1,1−ジメチルブトキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、2,3−ジメチルブトキシ基、1−エチルブトキシ基、2−エチルブトキシ基等が挙げられる。好ましくは、C1-4アルコキシ基である。
【0034】
本明細書中で使用するとき、「C1-4アルコキシ基」とは、前記C1-4アルキル基が酸素原子に結合した基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基である。
【0035】
本明細書中で使用するとき、「C1-6アシル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖又は分岐鎖状の飽和アシル基を意味し、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等が挙げられる。好ましくは、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基である。
【0036】
本明細書中で使用するとき、「C6-10アリール基」とは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を意味し、例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基が挙げられる。好ましくは、フェニル基である。
【0037】
本明細書中で使用するとき、「C1-6アルキレン基」とは、炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基を意味し、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。好ましくは、エチレン基である。また、「水酸基で置換されてもよいC1-6アルキレン基」とは、C1-6アルキレン基の水素原子が水酸基に置き換わった基を意味し、例えば、ヒドロキシメチレン基、1−ヒドロキシエチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、1−ヒドロキシトリメチレン基、2−ヒドロキシトリメチレン基、3−ヒドロキシトリメチレン基、1−ヒドロキシテトラメチレン基、2−ヒドロキシテトラメチレン基、3−ヒドロキシテトラメチレン基、4−ヒドロキシテトラメチレン基、1−ヒドロキシペンタメチレン基、2−ヒドロキシペンタメチレン基、3−ヒドロキシペンタメチレン基、4−ヒドロキシペンタメチレン基、5−ヒドロキシペンタメチレン基、1−ヒドロキシヘキサメチレン基、2−ヒドロキシヘキサメチレン基、3−ヒドロキシヘキサメチレン基、4−ヒドロキシヘキサメチレン基、5−ヒドロキシヘキサメチレン基、6−ヒドロキシヘキサメチレン基、1,2−ジヒドロキシエチレン基、1,2−ジヒドロキシトリメチレン基、1,3−ジヒドロキシトリメチレン基、2,3−ジヒドロキシトリメチレン基、1,2−ジヒドロキシテトラメチレン基、1,3−ジヒドロキシテトラメチレン基、1,4−ジヒドロキシテトラメチレン基、2,3−ジヒドロキシテトラメチレン基、2,4−ジヒドロキシテトラメチレン基、3,4−ジヒドロキシテトラメチレン基、1,2−ジヒドロキシペンタメチレン基、1,3−ジヒドロキシペンタメチレン基、1,4−ジヒドロキシペンタメチレン基、1,5−ジヒドロキシペンタメチレン基、2,3−ジヒドロキシペンタメチレン基、2,4−ジヒドロキシペンタメチレン基、2,5−ジヒドロキシペンタメチレン基、3,4−ジヒドロキシペンタメチレン基、3,5−ジヒドロキシペンタメチレン基、4,5−ジヒドロキシペンタメチレン基、1,2−ジヒドロキシヘキサメチレン基、1,3−ジヒドロキシヘキサメチレン基、1,4−ジヒドロキシヘキサメチレン基、1,5−ジヒドロキシヘキサメチレン基、1,6−ジヒドロキシヘキサメチレン基、2,3−ジヒドロキシヘキサメチレン基、2,4−ジヒドロキシヘキサメチレン基、2,5−ジヒドロキシヘキサメチレン基、2,6−ジヒドロキシヘキサメチレン基、3,4−ジヒドロキシヘキサメチレン基、3,5−ジヒドロキシヘキサメチレン基、3,6−ジヒドロキシヘキサメチレン基、4,5−ジヒドロキシヘキサメチレン基、4,6−ジヒドロキシヘキサメチレン基、5,6−ジヒドロキシヘキサメチレン基等が挙げられる。好ましくは、1−ヒドロキシトリメチレン基、2−ヒドロキシトリメチレン基、3−ヒドロキシトリメチレン基、さらに好ましくは、2−ヒドロキシトリメチレン基である。
【0038】
本明細書中で使用するとき、「C2-6アルケニレン基」とは、前記「C1-6アルキレン基」のうち炭素数1を除く場合において、炭素−炭素間の単結合の一つが二重結合に置き換わった基を意味し、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、3−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、3−ペンテニレン基、4−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、3−ヘキセニレン基、4−ヘキセニレン基、5−ヘキセニレン基等が挙げられる。好ましくは、C2-4アルケニレン基である。
【0039】
本明細書中で使用するとき、「C2-4アルケニレン基」とは、炭素数2〜4のアルケニレン基を意味し、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、3−ブテニレン基等が挙げられる。好ましくは、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基である。
【0040】
本明細書中で使用するとき、「C2-6アルキニレン基」とは、前記「C2-6アルキレン基」上の炭素−炭素間の単結合の一つが三重結合に置き換わった基を意味し、例えば、エチニレン基、1−プロピニレン基、2−プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、3−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、2−ペンチニレン基、3−ペンチニレン基、4−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ヘキシニレン基、3−ヘキシニレン基、4−ヘキシニレン基、5−ヘキシニレン基等が挙げられる。好ましくは、1−プロピニレン基、2−プロピニレン基である。
その他、本明細書中に具体的に定義されていない基については、通常の定義に従う。
【0041】
本発明において、好ましい様態を以下に述べる。
本発明の一般式(1)において、R1、R2は、各々、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アシル基、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、さらにより好ましくは、水素原子である。
【0042】
本発明の一般式(1)において、R3、R4は、各々、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アシル基、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基である。ハロゲン原子は、好ましくは、塩素原子である。C1-6アルコキシ基は、好ましくは、C1-4アルコキシ基、より好ましくは、メトキシ基である。ハロゲン原子及びC1-6アルコキシ基の置換位置はパラ位がより好ましい。
【0043】
本発明の一般式(1)において、R5としては、好ましくは、水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アシル基、より好ましくは、水素原子である。
【0044】
本発明の一般式(1)のAにおける「C6-10アリール基」としては、フェニル基がより好ましい。
【0045】
本発明の一般式(1)のXにおける「水酸基で置換してもよいC3-6アルキレン基」としては、2−ヒドロキシトリメチレン基が好ましい。また、水酸基の置換により不斉炭素が存在することになるが、その絶対配置は(R)が好ましい。
【0046】
本発明の一般式(1)のYにおける「C1-6アルキレン基」は、好ましくは、C1-4アルキレン基、より好ましくは、エチレン基である。
【0047】
本発明の一般式(1)のYにおける「C2-6アルケニレン基」は、好ましくは、C2-4アルケニレン基、より好ましくは、2−プロペニレン基である。また、二重結合の存在により幾何異性体が存在することになるが、その立体は(E)配置が好ましい。
【0048】
本発明の一般式(1)の特に好ましい様態として、下記表1に示す構造を挙げることができる。
【0049】
【表1】

【0050】
本発明の一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物は、以下に記載の方法又は公知の方法に従って製造することができる。すなわち、化合物(1)は、公知文献(WO2006/047888パンフレット)に記載の方法により得ることができる化合物(2)を出発原料とし、化合物(5)もしくは化合物(6)を経由することで製造することができる。
【0051】
【化2】

【0052】
(式中、R1からR5、X、Y、Aは前記と同じものを示し、ZはXよりも炭素数が2個少ないアルキレン基を示し、B及びCはハロゲン、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等の脱離基を示す。)
【0053】
(工程1)
工程1は、化合物(2)から、化合物(5)又は化合物(6)を製造する工程である。化合物(2)を塩基の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量の化合物(3)、もしくは化合物(4)と、溶媒中あるいは無溶媒中で反応させることによって化合物(5)又は化合物(6)が得られる。溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、水等を単独で又は組み合わせて使用することができる。以上に挙げた溶媒の中で、特にテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド等の金属アルコラート、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム等が挙げられる。以上に挙げた塩基の中で、特に水素化ナトリウムが好ましい。反応条件は、−80〜180℃、好ましくは−30〜130℃にて、1分〜5日間、好ましくは15分〜3日間である。
【0054】
(工程2)
工程2は、化合物(5)もしくは化合物(6)から、化合物(1)を製造する工程である。化合物(5)もしくは化合物(6)を塩基の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量の化合物(7)と、溶媒中あるいは無溶媒中で反応させることによって化合物(1)が得られる。溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、水等を単独で又は組み合わせて使用することができる。以上に挙げた溶媒の中で、特にエタノールが好ましい。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド等の金属アルコラート、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム等が挙げられる。以上に挙げた塩基の中で、特にジイソプロピルエチルアミンが好ましい。反応条件は、−80〜180℃、好ましくは−30〜130℃にて、1分〜5日間、特に好ましくは15分〜3日間である。
【0055】
上記製造法に加え、化合物(1)を得るために、必要に応じて保護及び脱保護を行うことができ、一般に用いられる方法(Protective Groups in Organic Synthesis Fourth Edition,John Wiley & Sons,Inc.)を参考にしてもよい。また必要に応じて官能基変換を行うこともでき、一般に用いられる方法(Comprehensive Organic Transformations Second Edition,John Wiley & Sons,Inc.)を参考にしてもよい。
【0056】
本発明の一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物は、上記方法によって得られるが、さらに必要に応じて再結晶法、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段を用いて精製することができる。また必要に応じて、常法に従い所望の溶媒和物にすることもできる。
【0057】
また、一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物は、限定されないが、常法により、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との酸付加塩、あるいは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩とすることができ、これらの酸付加塩も本発明に包含される。
【0058】
また、一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物は、水和物に代表される任意の溶媒和物を形成することができ、これらの溶媒和物も本発明に包含される。
【0059】
さらに、一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物に光学異性体や幾何異性体が存在する場合は、これらすべての異性体が本発明に包含される。
【0060】
本発明の医薬組成物は、一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有するものであって、単独で用いてよいが、通常は薬学的に許容される担体、添加物等を配合して使用される。医薬組成物の投与形態は、特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択できる。かかる剤形としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤等を挙げることができる。
【0061】
これらの製剤は、その剤形に応じて製剤学上使用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等の医薬品添加物と適宜混合、希釈又は溶解し、常法に従い製造することができる。
【0062】
例えば、散剤の場合は、必須成分のほかに、必要に応じて適当な賦形剤、滑沢剤等を加えよく混和して調製すればよい。錠剤の場合は、必要に応じて適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等を加え、常法に従い打錠して調製すればよい。また錠剤は必要に応じてコーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠等にすることができる。
【0063】
また、注射剤の場合は、液剤(無菌水又は非水溶液)、乳剤及び懸濁剤の形態とすることができる。これらに用いられる非水担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルとしては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、オレイン酸エチル等の注射可能な有機酸エステルが挙げられる。また、該組成物には防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤等の補助剤を適宜配合することができる。
【0064】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、被験者に該化合物の有効量で投与されることが好ましい。ここで、「有効量」とは、本明細書中で使用するとき、本発明の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を被験者に投与した場合に、ヒスタミンH2受容体を拮抗するのに十分な該化合物等の量、又は上記疾患若しくは該疾患の1以上の症状を予防、遅延、軽減、抑制、除去若しくは治癒させるのに十分な該化合物等の量を意味する。なお、該化合物の投与量は、被験者の年齢、体重、症状等、及び投与形態、投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して1日1〜1000mgを1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
【0065】
本発明によれば、本発明の一般式(1)で表される2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、後記試験例に示すように、ヒスタミンH2受容体に拮抗作用を有し、前記疾患の予防及び/又は治療剤として有用である。本発明が対象とする疾患は、限定されないが、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍若しくは出血性胃炎等に起因する上部消化管出血、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、胃炎、又はびらん、出血、発赤若しくは浮腫に起因する胃粘膜病変等を含む。
【実施例】
【0066】
次に、実施例、試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0067】
実施例1 (2R)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール及びそのシュウ酸塩(化合物1の2R体及びそのシュウ酸塩)の製造:
a)(2S)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンの製造:
【0068】
【化3】

【0069】
2−(4−メトキシフェニル)インドール(44.6mg、0.2mmol)をTHF(2mL)に溶解し、氷冷下で水素化ナトリウム(含量50%のもの、19.2mg、0.4mmol)を加えた。そこに(2R)−トリフルオロメタンスルホン酸グリシジル(82.4mg、0.4mmol)を塩化メチレン(0.8mL)に溶解したものを加え、同温度で3時間攪拌した。水素化ナトリウム(含量50%のもの、9.6mg、0.2mmol)、(2R)−トリフルオロメタンスルホン酸グリシジル(20.6mg、0.1mmol)を追加し、室温に戻して終夜反応を行った。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。表題化合物60.2mg(粗生成物、理論量55.9mg)を黄色油状物として得た。精製を行うことなく、次の反応に用いた。
【0070】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.41(1H,dd,J=2.7,4.8Hz),2.74(1H,dd,J=4.4,4.4Hz),3.19−3.24(1H,m),3.88(3H,s),4.23(1H,dd,J=4.8,15.7Hz),4.35(1H,dd,J=3.7,15.7Hz),6.52(1H,s),6.99(2H,d,J=8.6Hz),7.15(1H,t,J=7.7Hz),7.22−7.26(1H,m),7.43−7.48(3H,m),7.61(1H,d,J=7.9Hz).
【0071】
b)(2R)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オールの製造:
【0072】
【化4】

【0073】
(2S)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパン(粗生成物、理論量55.9mg、0.2mmol)をエタノール(2mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(51.7mg、0.4mmol)、フェネチルアミン(48.5mg、0.4mmol)を加えた。室温から80℃に昇温し、8時間攪拌した。反応液を室温に戻し、水を加え、クロロホルムで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)を用いて精製し、表題化合物31.2mg(2工程収率39%)を黄色油状物として得た。
【0074】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.28(1H,dd,J=8.1,12.2Hz),2.42(1H,dd,J=3.4,12.2Hz),2.60−2.75(4H,m),3.86(3H,s),3.88−3.98(1H,m),4.16(1H,dd,J=6.1,14.6Hz),4.29(1H,dd,J=6.7,14.8Hz),6.48(1H,s),6.99(2H,d,J=8.5Hz),7.07−7.14(3H,m),7.17−7.22(2H,m),7.24−7.29(2H,m),7.41−7.46(3H,m),7.60(1H,d,J=7.8Hz).
【0075】
c)(2R)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール・シュウ酸塩の製造:
【0076】
【化5】

【0077】
(2R)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール(31.2mg、0.078mmol)をメタノール(1mL)に溶解し、シュウ酸(9.8mg、0.078mmol)のメタノール溶液(1mL)を加え、10分間攪拌した後、減圧濃縮した。メタノール/エーテルより再結晶を行い、表題化合物22.5mg(収率59%)を白色固体として得た。
【0078】
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.66−2.90(4H,m),2.98−3.07(2H,m),3.82(3H,s),4.12−4.24(3H,m),6.48(1H,s),7.04−7.10(3H,m),7.15−7.27(4H,m),7.29−7.35(2H,m),7.54−7.60(4H,m).
【0079】
実施例2 (2S)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール及びそのシュウ酸塩(化合物1の2S体及びそのシュウ酸塩)の製造:
a)(2R)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンの製造:
【0080】
【化6】

【0081】
2−(4−メトキシフェニル)インドールと(2S)−トリフルオロメタンスルホン酸グリシジルを用いて、実施例1−a)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0082】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.40(1H,dd,J=2.7,4.9Hz),2.73(1H,dd,J=4.4,4.4Hz),3.18−3.23(1H,m),3.87(3H,s),4.23(1H,dd,J=4.6,15.6Hz),4.35(1H,dd,J=3.7,15.6Hz),6.51(1H,s),6.99(2H,d,J=8.8Hz),7.15(1H,t,J=7.8Hz),7.21−7.26(1H,m),7.43−7.48(3H,m),7.62(1H,d,J=8.0Hz).
【0083】
b)(2S)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オールの製造:
【0084】
【化7】

【0085】
(2R)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンとフェネチルアミンを用いて、実施例1−b)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0086】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.27(1H,dd,J=8.0,12.3Hz),2.41(1H,dd,J=3.6,12.3Hz),2.59−2.74(4H,m),3.85(3H,s),3.86−3.94(1H,m),4.14(1H,dd,J=6.2,14.8Hz),4.28(1H,dd,J=6.8,14.6Hz),6.47(1H,s),6.98(2H,d,J=8.8Hz),7.07−7.14(3H,m),7.17−7.22(2H,m),7.23−7.28(2H,m),7.40−7.45(3H,m),7.60(1H,d,J=7.6Hz).
【0087】
c)(2S)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール・シュウ酸塩の製造:
【0088】
【化8】

【0089】
(2S)−1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オールを用いて、実施例1−c)と同様に反応及び処理し、表題化合物を白色固体として得た。
【0090】
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.66−2.90(4H,m),2.98−3.09(2H,m),3.82(3H,s),4.10−4.25(3H,m),6.48(1H,s),7.04−7.10(3H,m),7.15−7.27(4H,m),7.29−7.35(2H,m),7.54−7.59(4H,m).
【0091】
実施例3 1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール・シュウ酸塩(化合物1のラセミ体のシュウ酸塩)の製造:
【0092】
【化9】

【0093】
(2R)−トリフルオロメタンスルホン酸グリシジルの替わりにトリフルオロメタンスルホン酸グリシジルを用いて、実施例1−a,b,c)と同様に反応処理し、表題化合物を油状物として得た。
【0094】
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.66−2.90(4H,m),2.98−3.07(2H,m),3.82(3H,s),4.12−4.24(3H,m),6.48(1H,s),7.04−7.10(3H,m),7.15−7.27(4H,m),7.29−7.35(2H,m),7.54−7.60(4H,m).
【0095】
実施例4 1−(シンナミルアミノ)−3−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール及びそのシュウ酸塩(化合物2のラセミ体及びそのシュウ酸塩)の製造:
a)1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンの製造:
【0096】
【化10】

【0097】
2−(4−メトキシフェニル)インドールと(±)−エピクロロヒドリンを用いて、実施例1−a)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0098】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.40(1H,dd,J=2.6,4.8Hz),2.74(1H,dd,J=4.4,4.4Hz),3.18−3.23(1H,m),3.87(3H,s),4.24(1H,dd,J=4.8,15.5Hz),4.35(1H,dd,J=3.9,15.6Hz),6.51(1H,s),7.00(2H,d,J=8.3Hz),7.15(1H,t,J=7.4Hz),7.22−7.27(1H,m),7.43−7.48(3H,m),7.62(1H,d,J=7.8Hz).
【0099】
b)1−(シンナミルアミノ)−3−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オールの製造:
【0100】
【化11】

【0101】
1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンとシンナミルアミンを用いて、実施例1−b)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0102】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.30(1H,dd,J=7.8,12.2Hz),2.40−2.72(3H,m),3.20(2H,br.s),3.78(3H,s),3.96−4.04(1H,m),4.17(1H,dd,J=6.1,14.6Hz),4.30(1H,dd,J=6.7,14.8Hz),6.05−6.12(1H,m),6.37(1H,d,J=15.9Hz),6.47(1H,s),6.94(2H,d,J=8.6Hz),7.12(1H,t,J=7.4Hz),7.17−7.28(2H,m),7.29−7.36(4H,m),7.41(2H,d,J=8.8Hz),7.45(1H,d,J=8.0Hz),7.60(1H,d,J=7.8Hz).
【0103】
c)1−(シンナミルアミノ)−3−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール・シュウ酸塩の製造:
【0104】
【化12】

【0105】
1−(シンナミルアミノ)−3−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オールを用いて、実施例1−c)と同様に反応及び処理し、表題化合物を白色固体として得た。
【0106】
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.60−2.76(2H,m),3.63(2H,d,6.8),3.78(3H,s),4.10−4.28(3H,m),6.10−6.21(1H,m),6.45(1H,s),6.70(1H,d,J=16.4Hz),6.99(2H,d,J=8.6Hz),7.07(1H,t,J=7.4Hz),7.16(1H,dd,J=7.7,7.7Hz),7.30−7.45(5H,m),7.50−7.58(4H,m).
【0107】
実施例5 1−(2−(4−クロロフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール及びそのシュウ酸塩(化合物3のラセミ体及びそのシュウ酸塩)の製造:
a)1−(2−(4−クロロフェニル)−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンの製造:
【0108】
【化13】

【0109】
2−(4−クロロフェニル)−1H−インドールと(±)−エピクロロヒドリンを用いて、実施例1−a)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0110】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.40(1H,dd,J=2.6,4.8Hz),2.74(1H,dd,J=4.4,4.4Hz),3.18−3.24(1H,m),4.20(1H,dd,J=4.8,15.6Hz),4.39(1H,dd,J=3.4,15.6Hz),6.56(1H,s),7.10−7.65(8H,m).
【0111】
b)1−(2−(4−クロロフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オールの製造:
【0112】
【化14】

【0113】
1−(2−(4−クロロフェニル)−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンとフェネチルアミンを用いて、実施例1−b)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0114】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.28(1H,dd,J=8.3,12.2Hz),2.45(1H,dd,J=3.4,12.2Hz),2.60−2.76(4H,m),3.88−3.96(1H,m),4.13(1H,dd,J=5.6,14.7Hz),4.25(1H,dd,J=7.1,14.6Hz),6.52(1H,s),7.08−7.15(3H,m),7.17−7.29(4H,m),7.40−7.48(5H,m),7.61(1H,d,J=7.8Hz).
【0115】
c)1−(2−(4−クロロフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール・シュウ酸塩の製造:
【0116】
【化15】

【0117】
1−(2−(4−クロロフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オールを用いて、実施例1−c)と同様に反応及び処理し、表題化合物を白色固体として得た。
【0118】
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.74−2.92(4H,m),2.99−3.08(2H,m),4.10−4.17(1H,m),4.18−4.24(2H,m),6.59(1H,s),7.10(1H,t,J=7.7Hz),7.18−7.27(4H,m),7.29−7.35(2H,m),7.57(2H,d,J=8.5Hz),7.59(2H,d,J=8.5Hz),7.66−7.70(2H,m).
【0119】
実施例6 3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール及びそのシュウ酸塩(化合物4のラセミ体及びそのシュウ酸塩)の製造:
a)1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンの製造:
【0120】
【化16】

【0121】
2−フェニル−1H−インドールと(±)−エピクロロヒドリンを用いて、実施例1−a)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0122】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.39(1H,dd,J=2.4,4.9Hz),2.72(1H,dd,J=4.4,4.4Hz),3.18−3.22(1H,m),4.26(1H,dd,J=4.6,15.6Hz),4.37(1H,dd,J=3.9,15.6Hz),6.57(1H,s),7.16(1H,t,J=7.5Hz),7.23−7.29(1H,m),7.41−7.50(4H,m),7.51−7.55(2H,m),7.64(1H,d,J=7.8Hz).
【0123】
b)3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オールの製造:
【0124】
【化17】

【0125】
1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンとフェネチルアミンを用いて、実施例1−b)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0126】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.25(1H,dd,J=7.8,12.5Hz),2.39(1H,dd,J=3.6,12.2Hz),2.58−2.72(4H,m),3.86−3.93(1H,m),4.18(1H,dd,J=6.4,14.6Hz),4.31(1H,dd,J=6.7,14.8Hz),6.53(1H,s),7.06−7.10(2H,m),7.13(1H,t,J=7.6Hz),7.16−7.29(4H,m),7.37−7.53(6H,m),7.62(1H,d,J=7.8Hz).
【0127】
c)3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール・シュウ酸塩の製造:
【0128】
【化18】

【0129】
3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オールを用いて、実施例1−c)と同様に反応及び処理し、表題化合物を白色固体として得た。
【0130】
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.48−2.88(6H,m),3.98−4.04(1H,m),4.16−4.28(2H,m),6.53(1H,s),7.08(1H,t,J=7.5Hz),7.15−7.23(4H,m),7.27−7.32(2H,m),7.42−7.53(3H,m),7.55−7.59(2H,m),7.62−7.66(2H,m).
【0131】
実施例7 (2R)−3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール及びそのシュウ酸塩(化合物4の2R体及びそのシュウ酸塩)の製造:
a)(2S)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンの製造:
【0132】
【化19】

【0133】
2−フェニル−1H−インドールと(2R)−トリフルオロメタンスルホン酸グリシジルを用いて、実施例1−a)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0134】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.39(1H,dd,J=2.7,4.9Hz),2.73(1H,dd,J=4.4,4.4Hz),3.18−3.24(1H,m),4.27(1H,dd,J=4.6,15.6Hz),4.38(1H,dd,J=3.9,15.6Hz),6.57(1H,s),7.17(1H,t,J=7.5Hz),7.23−7.29(1H,m),7.40−7.55(6H,m),7.64(1H,d,J=7.8Hz).
【0135】
b)(2R)−3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オールの製造:
【0136】
【化20】

【0137】
(2S)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)−2,3−エポキシプロパンとフェネチルアミンを用いて、実施例1−b)と同様に反応及び処理し、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0138】
1H−NMR(CDCl3)δ:2.26(1H,dd,J=7.8,12.2Hz),2.40(1H,dd,J=3.4,12.2Hz),2.59−2.73(4H,m),4.19(1H,dd,J=6.3,14.6Hz),4.32(1H,dd,J=6.6,14.8Hz),6.54(1H,s),7.07−7.29(7H,m),7.38−7.53(6H,m),7.62(1H,d,J=7.6Hz).
【0139】
c)(2R)−3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール・シュウ酸塩の製造:
【0140】
【化21】

【0141】
(2R)−3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オールを用いて、実施例1−c)と同様に反応及び処理し、表題化合物を白色固体として得た。
【0142】
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.66−2.89(4H,m),2.98−3.07(2H,m),4.13−4.19(1H,m),4.22−4.26(2H,m),6.55(1H,s),7.10(1H,t,J=7.6Hz),7.17−7.27(4H,m),7.29−7.34(2H,m),7.43−7.54(3H,m),7.57−7.62(2H,m),7.63−7.68(2H,m).
【0143】
試験例1 ヨード125(125I)標識Aminopotentidineを用いたH2受容体結合アッセイ
結合アッセイに用いた細胞膜画分は以下の方法で調製した。ヒトH2受容体高発現CHO細胞(Human recombinant histamine H2 receptor CHO−K1 recombinant cell line(ES391−C))はEuroscreen社から購入した。細胞はHam’s F12培地(10% FCS,100IU/ml Penicillin,100μg/ml Streptomycin,及び400μg/ml G418含有)を用いて90%コンフルエントになるまで直径15cmの培養ディッシュにて培養した。培地を除去した後、氷冷したPhosphate−buffered saline(137mM NaCl,2.7mM KCl,8.1mM Na2HPO4,1.5mM KH2PO4(pH7.4))(以下PBSと省略)で一度洗浄し1ディッシュあたり15mlのPBS中にセルスクレーパーを用いて回収した。1500gで3分間遠心してペレットとし、バッファーA(15mM Tris−HCl(pH7.5),2mM MgCl2,0.3mM EDTA,1mM EGTA)5mlに懸濁しテフロンホモジェナイザーを用いてガラス容器中で粉砕した。さらにバッファーAを10ml加え、引き続き40,000gで25分間(4℃)遠心を2回繰り返し、膜画分を調製した。調製した膜画分はバッファーB(75mM Tris−HCl(pH7.5),12.5mM MgCl2,0.3mM EDTA,1mM EGTA,250mM Sucrose)にて懸濁し液体窒素中で瞬間凍結した。蛋白濃度をBCA法(Micro BCA kit,Pierce社)にて測定した。
【0144】
ヨード125(125I)標識Aminopotentidine(NEX−431)はPerkinElmer社より購入した。125I標識Aminopotentidineを用いた結合アッセイはRuatらの報告に従って実施した(Ruat,M.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1658−1662,1990)。1アッセイあたり50μgの膜画分を用い、96wellポリスチレンプレート中で被験化合物及びリガンド(0.1nM 125I標識Aminopotentidine)とともに25℃で2時間インキュベートした。セルハーベスタを用いてグラスファイバー製のフィルターマット(GF/B;あらかじめ0.3%ポリエチレンイミン/結合バッファー(50mM Na2HPO4/KH2PO4バッファー(pH7.4))に1時間以上浸漬しておく)に捕集したのち、結合バッファーで洗浄及び乾燥を行い、固体シンチレータを載せて加熱及び溶融して測定サンプルとし、96well対応のシンチレーションカウンタ(MicroBeta TriLux,PerkinElmer社)にて放射活性を測定した。
【0145】
表2に被験化合物10μMを加えた時の測定結果を阻害率で示す。
【0146】
【表2】

【0147】
表2に示す通り、本発明の2−フェニルインドール化合物は、10μMにおいて、100%の強力なヒスタミンH2受容体拮抗作用が確認された。したがって、本発明の2−フェニルインドール化合物は上部消化管の炎症及び潰瘍の治療剤として有効であることが示唆された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

〔式中、
1、R2、R3、R4は、同一であるか又は異なっていてもよく、独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、及びC1-6アシル基からなる群から選択され;
5は、水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、及びC1-6アシル基からなる群から選択され;
Aは、C6-10アリール基を示し;
Xは、水酸基で置換されてもよいC1-6アルキレン基を示し;
Yは、C1-6アルキレン基、C2-6アルケニレン基、及びC2-6アルキニレン基からなる群から選択される〕
で表される2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、ヒスタミンH2受容体拮抗剤。
【請求項2】
前記化合物が、
1−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(シンナミルアミノ)−3−(2−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール;
1−(2−(4−クロロフェニル)−1H−インドール−1−イル)−3−(フェネチルアミノ)プロパン−2−オール;及び
3−(フェネチルアミノ)−1−(2−フェニル−1H−インドール−1−イル)プロパン−2−オール
からなる群から選択される、請求項1に記載のヒスタミンH2受容体拮抗剤。
【請求項3】
前記Xが水酸基で置換される場合、該Xに存在する不斉炭素の絶対配置がR配置である、請求項1又は2に記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、ヒスタミンH2受容体拮抗剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、上部消化管疾患の予防及び/又は治療剤。
【請求項5】
前記上部消化管疾患が、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍若しくは出血性胃炎等に起因する上部消化管出血、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、胃炎、又はびらん、出血、発赤若しくは浮腫に起因する胃粘膜病変である、請求項4に記載の予防及び/又は治療剤。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の2−フェニルインドール化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び医薬として許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む、上部消化管疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物。
【請求項7】
前記上部消化管疾患が、胃粘膜又は十二指腸粘膜の炎症性疾患である、請求項6に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2010−83760(P2010−83760A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250925(P2008−250925)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「化合物等を活用した生物システム制御基盤技術開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】