説明

ヒトの皮膚の視覚的魅力を改善するために、反射変性剤を塗布するためのシステムおよび方法

【課題】ヒトの皮膚の視覚的魅力を改善するために、反射変性剤を塗布するための好適なシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】コンピュータ制御システムは、ヒトの皮膚のエリアであるフレキセルの属性を決定し、一般に皮膚をより若々しく且つより一層魅力的に見せるために、変性剤(RMA)を画素レベルで塗布する。当該システムは、フレキセルをスキャンし、魅力的でない属性を識別し、一般にインクジェットプリンタでRMAを塗布する。識別される属性は反射率に関するものであり、不規則に見える濃淡の斑、老斑、傷、および痣等の特徴を指す場合がある。識別される属性はまた、皮膚の表面トポロジに関するものであってよく、より正確には、瘤およびシワ等のムラを改善することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、出願人らにより2005年8月12日に出願された米国仮出願第60/708,118号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ヒトの皮膚に、その視覚的魅力を改善するために、染料または顔料等の1つ以上の反射変性剤を選択的且つ正確に塗布するための、自動コンピュータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
(従来の化粧品技術およびそれらの不利点)
皮膚の外観を変性させるための先行技術の手法は、自然な日焼け、人工的な日焼け、および化粧品の意図的な塗布を含む。これらの先行技術の手法のそれぞれには制限がある。
【0004】
一般に、皮膚への化粧品物質の塗布は主として手動であり、例えばブラシ、塗布管、ペンシル、パッド、および指の使用による。これらの塗布方法により、先行技術の化粧品は、本発明のコンピュータ技術と比較した場合、不正確で、労働集約的で、高価で、時に有害なものとなる。
【0005】
先行技術の化粧品の扱い方のほとんどは、不透明な物質の塗布に基づくものである。外観のより効果的な変性を提供するために、透明な染料等の反射変性剤(Reflectance Modifying Agent;RMA)の正確な塗布に対する必要性がある。
【0006】
手動による化粧品塗布は、コンピュータ制御技術と比較すると不正確であり、この不正確さがそれらを効果の弱いものにし得る。例えば、メイクアップ用ファンデーションベースを塗り過ぎると、魅力的でない、厚塗りしたような外観となり得る。
【0007】
手動手法を用いるためには一般に長時間かかり、そこで人々は、幹線道路での朝の通勤において見られ得るように、停車中を利用してメイクアップの塗布を終えようと躍起になっている。
【0008】
手動で塗布されるメイクアップは安くなく、美容師等の専門家の助力が必要な場合には、さらに高価なものとなる。
【0009】
多くの場合、手動手法で皮膚に塗布される材料は、それ自体が潜在的に有害なものである。例えば、メイクアップ用ファンデーションベースは、皮膚を乾燥させる原因となる場合があり、皮膚呼吸を妨げる場合がある。日焼けに使用される日光または人工光は、癌を引き起こし得る。
【0010】
したがって、皮膚の外観の、より効果的で、より自動化された、より速く、安価で、且つ危険度の低い変性を提供するために、反射変性剤(RMA)を正確に塗布する必要性がある。
【0011】
本明細書において、「反射変性剤」または「RMA」という用語は、別の材料の反射率を変化させるために有用な任意の化合物のことをいい、以下でさらに詳細に説明される。RMAのいくつかの例は、インク、染料、顔料、漂白剤、化学変化剤、ならびに、ヒトの皮膚の反射率およびその他の特徴を変化させ得る他の物質である。「染料」および「透明な染料」という用語は、本明細書において、任意のRMAを簡潔に表すために使用されるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明によって、これらの必要性およびその他の必要性に取り組む。以下の説明では、限定としてではなく例示として本発明を記載する。
【0013】
本発明の一態様は、皮膚のエリアの視覚的属性を決定し、続いて少なくとも1つの反射変性剤を当該皮膚のエリアに塗布するための、コンピュータ制御システムおよび方法を提供することである。一実施形態において、反射変性剤は視覚的属性と一致するように塗布される。別の実施形態において、反射変性剤は視覚的属性に反して塗布される。
【0014】
本発明の別の態様は、皮膚のエリアを電子的にスキャンし、スキャンされたデータをコンピュータ環境で解析することによって、当該エリアの視覚的属性を決定することである。
【0015】
一実施形態において、スキャンは皮膚についての反射データを提供するものである。当該データは、特徴識別を行い、補正戦略の可能性を評価して、皮膚の視覚的外観を改善するために使用される。補正戦略の一例は、皮膚の実際の反射特性を補償するために、皮膚の反射特性を意図的に変化させることである。1つ以上のRMAの塗布は、皮膚の視覚的外観を変更する。
【0016】
一実施形態において、スキャンは、反射データおよび表面形状データの両方を提供する。当該データは、特徴識別を行い、補正戦略の可能性を評価して、皮膚の視覚的外観を改善するために使用される。補正戦略の一例は、既存の反射特性および既存の形態的特性の両方を補償するために、皮膚の反射特性を意図的に変化させることである。
【0017】
本発明の別の態様は、皮膚のエリアのマップを作成し、後に、インクジェット技術、例えばインクジェットプリントヘッド等のRMA塗布器の、皮膚に対する位置を決定し、当該塗布器に命令を供給するために当該マップを使用することである。マップは、反射率または形状における変更を検出するために、初回の画像と第二回の画像とを比較するためにも使用され得る。
【0018】
本特許明細書において、「インクジェット技術」という語句は、概して「ドロップ制御」技術をいい、それにより、当業者には公知であるように、塗布されている物質の各個別の液滴が塗布器により制御され得る。本発明に特に有用な技術は、ドロップ制御技術のサブセットである「ドロップオンデマンド」技術を用いることである。本明細書において、「インクジェットプリンタ」という語句は、インクジェット技術のあらゆる形を簡潔に表すために使用されるものである。
【0019】
本発明の別の態様は、皮膚の局所的な反射特性に応じて、透明な染料の混合物をヒトの皮膚に正確に塗布することである。
【0020】
本発明の別の態様は、皮膚の局所的な反射特性および他の表面形状データに応じて、透明な染料の混合物をヒトの皮膚に正確に塗布することである。
【0021】
本発明のシステムおよび方法によって、これらのおよびそれらの態様、特徴、および利点が実現される。本発明によると、コンピュータ制御システムは、ヒトの皮膚のエリアの属性を決定し、一般に皮膚をより若々しく且つより魅力的に見せるために、反射変性剤(RMA)を画素レベルで塗布する。当該システムは、皮膚をスキャンし、改善され得る、またはカムフラージュされ得る属性を識別し、一般にインクジェットプリンタでRMAを塗布する。識別される属性は、反射率に関するものであってよく、不規則に見える濃淡の斑、老斑、傷、および痣等の特徴を指し得る。識別される属性はまた、深度等の皮膚の表面トポロジに関し得、より正確には、瘤およびシワ等の表面の不規則性を改善するものである。例えば、頬をよりピンク色に見せ、頬骨をより高くするために、特徴マッピングが使用され得る。RMAは、魅力の理想モデルに照らし、赤色のエリアに赤色を加える、または逆に、赤色のエリアに緑色または青色を加える等の、識別されたパターンに従って塗布され得る。
【0022】
本発明の一態様は、皮膚の特徴の詳細な解析の基礎を提供するために、様々な波長(色)でデータを収集し解析することである。いくつかの皮膚の特徴は、様々な波長で当該特徴が呈する特性から識別され得る。
【0023】
一種の改善の例として、図22に示されるように、年配者の日焼けによる損傷等から生じたランダムな雀斑を、より均一に、つまり若い皮膚の自然な雀斑の特性に、見せることができる。ランダムな雀斑440のスキャンされたデータがスペクトル帯域に入ると、粗く不規則なパターンを示す。経験的観測に基づいて、若い皮膚の自然な雀斑442を表すパターンは、自然な雀斑442をより鮮明に見せる、はるかに規則的で左右対称のパターンを有する。この自然なパターン442は、ランダムな雀斑440を表すパターンとの比較するための目標パターン448として使用され得る。ランダムな雀斑440は、目標パターン448の全体的な構成に従うが、より高い光周波数446へ延在する。より高い光周波数446にあるランダムな雀斑440上のより低い周波数のすべてのエリアを黒くするために染料等のRMAを塗布することによって、自然な雀斑422のパターンにより密接に近似した、ランダムな雀斑440への改善444が実現され得る。したがって、ランダムな雀斑440に関するスキャンされたデータとは対照的なRMAの塗布により、皮膚の反射特性は、皮膚が、より鮮明でより若々しい雀斑を有するように見え、それによってより魅力的に見えるように変更され得る。
【0024】
画素レベルでのRMAの塗布は、先行技術の方法よりもはるかに卓越した精度を可能にするため、使用される塗布材料は少なくなる。
【0025】
本発明の一実施形態において、スキャナおよびインクジェットプリンタを備える塗布デバイスは、皮膚のエリア上に単一パスを作る。当該デバイスは皮膚をスキャンし、魅力的でない特性を識別し、皮膚をより魅力的にする改善を計算し、それらの改善を実現するため、皮膚にRMAを迅速に塗布する。例えば、所定の平均化技術によって、濃淡の斑を識別し、RMAを塗布して淡斑を黒くすることにより、皮膚により滑らかな外観を与えることができる。
【0026】
この概念のさらなる実施形態において、1つ以上の望ましい改善を改善する度に、塗布デバイスは皮膚上に複数パスを作る。
【0027】
別の実施形態において、塗布デバイスは、皮膚の特徴についての第一のマップを作り、魅力的でない特徴を識別する。次いで、皮膚の望ましい外観を表すための第二のマップを計算し、望ましい外観に近似するよう皮膚の外観を変更するために、実際のマップと望ましいマップとの差異を使用して、皮膚にRMAを塗布するための特定の計画を生成する。その後、RMAを塗布して望ましい外観を実現する。ここでも、複数パスによって本方法の有効性を改善することができる。
【0028】
一例において、第一のマップは、当該マップ内にある個々の画素の反射特性から生成され、特定の計画は、顔面上の対応する画素にインクジェット装置によって塗布される複数の透明な染料それぞれの正確な量の計算を含む。別の例において、計算された染料の量は、一画素あたり必要な染料の総量のうちごく少量であるため、同じエリア上に複数パスが構成され得、各パスは必要に応じてさらに染料を追加する。
【0029】
この実施形態において、顔、脚、または腕等、ヒトの皮膚の領域の詳細なスキャンが行われる。スキャンは、公知の構成で配置された複数の光源を意図的に光らせ、光源がオン/オフされる際に皮膚の小さなエリアをスキャンすることによって取得される。異なる光源からの読み出し結果を比較することにより、皮膚の反射率および表面形状の両方を決定することができる。
【0030】
スキャンからのデータは、皮膚の反射特性を含む。これらの特性は、反射率および皮膚の表面形態の両方を含む皮膚の詳細なマップを製作するために使用され得る。該詳細なマップを使用して、複数パス内の皮膚の領域に複数の透明な染料またはその他のRMAを選択的に塗布するための補正計画を展開することができる。各パスにおいて、ごく少量の望ましい補正が行われ、そのため、塗布における誤差は複数パス全体で平均化される。
【0031】
マッピング実施形態のさらなる改良において、塗布デバイスは、頬および頬骨等の大きな特徴を識別するために皮膚の高度なマップを作り、理想的な特徴のライブラリに従って、それらに特有の改善を行う。例えば、頬をより赤くすることにより、頬がより健康に見え、頬骨の下のエリアを黒くすることにより、頬骨がより高く見える。複数パスはまた、本方法の有効性を改善することもできる。この特徴認識はまた、人工知能または芸術的な制御戦略のいずれかと組み合わせて使用され得る。
【0032】
様々な実施形態において、皮膚を改善するための、皮膚のスキャン、計算、およびRMAの塗布は、極めて高速且つ正確である。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒトの皮膚の領域の視覚的魅力を改善するための装置であって、
筐体と、
少なくとも1つの光源であって、該光源は、オンおよびオフされ得る、光源と、
少なくとも1つの受像素子と、
少なくとも1つの反射変性剤塗布素子であって、該反射変性剤塗布素子は特定のフレキセルに対し該フレキセルの反射特性に応じて、反射変性剤を選択的に塗布する、反射変性剤塗布素子と
を備える、装置。
(項目2)
上記筐体はブースである、項目1に記載の装置。
(項目3)
上記ブースは日焼けブースである、項目2に記載の装置。
(項目4)
上記筐体はハンドヘルドデバイスであって、該ハンドヘルドデバイスは、皮膚の領域上において手動で移動させ得る、項目1に記載の装置。
(項目5)
上記筐体はハンドヘルドデバイスであって、該ハンドヘルドデバイスは、皮膚マークの外観を改善するために、該マーク上に手動で配置され得る、項目1に記載の装置。
(項目6)
上記筐体は、唇または目の周囲等、皮膚の特別な領域に近接して置かれるように設計される、項目1に記載の装置。
(項目7)
上記反射変性剤塗布素子は、ドロップ制御デバイスをさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目8)
上記ドロップ制御デバイスは、少なくとも1つのインクジェットプリントヘッドをさらに備える、項目7に記載の装置。
(項目9)
上記光源は複数の発光ダイオードであって、このような第一の発光ダイオードは第一の波長の発光を有し、第二の発光ダイオードは第二の波長の発光を有する、項目1に記載の装置。
(項目10)
上記光源は、
上記筐体に対して第一の角度に配向された第一の光源と、
該筐体に対して第一の角度に配向された第二の光源と
をさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目11)
ヒトの皮膚の領域の視覚的魅力を改善するための方法であって、該方法は、
少なくとも1つの反射変性剤を提供するステップと、
該皮膚の領域を複数のフレキセルに割り当てるステップと、
該複数のフレキセルのそれぞれの反射特性を測定するステップと、
該複数のフレキセルのそれぞれの該反射特性から、特定のフレキセルに塗布するために望ましい量の該反射変性剤を備える補正計画を決定するステップと、
該補正計画を実行するステップと
を含む、方法。
(項目12)
少なくとも1つの反射変性剤を提供するステップは、複数の透明な染料を提供するステップをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記複数のフレキセルの上記反射特性を測定するステップは、
オンまたはオフになるように制御され得る複数の光源を提供するステップと、
複数の照明条件を作成するステップであって、各照明条件は該光源のそれぞれについてオン状態またはオフ状態を選択することを含む、ステップと、
該複数の照明条件を繰り返しながら、画像データを得るために上記皮膚の領域をスキャンするステップと、
該画像データから、該複数のフレキセルの反射率を決定するステップと
をさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
スキャンされるフレキセルの位置を決定するステップをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記画像データから、基準面に対する上記フレキセルの傾斜を決定するステップをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記フレキセルの上記傾斜および該フレキセルに近接するその他のフレキセルの傾斜から、局所的な皮膚形態を決定するステップをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
上記複数のフレキセルのそれぞれの上記反射特性から、特定のフレキセルに塗布するために望ましい量の上記反射変性剤を備える補正計画を決定するステップは、
実際の皮膚の領域のマップを構築するステップであって、該マップは上記複数のフレキセルのそれぞれの上記位置および上記反射率を含む、ステップと、
中間周波数成分の一部を該実際の皮膚の領域の該マップから除去することと、
該実際の皮膚の領域の該マップを解析して皮膚の特徴を決定し、かつ該皮膚の特徴に対する補正および改善を決定することと、
補正および改善のための任意の手動入力を受け入れることと
によって、理想的なマップを構築するステップと
をさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目18)
上記補正計画を実行するステップは、
スキャナおよびプリンタユニットを上記皮膚の領域上に向けるステップと、
該スキャナを使用して位置を決定するステップと、
該位置から望ましい補正を決定するステップと、
該補正の少なくとも一部を該皮膚に適用するステップと
をさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目19)
上記反射変性剤は少なくとも三つの異なる色の透明な染料を含み、フレキセルに対する所望の補正は、特定量の該三色の透明な染料のそれぞれを塗布することによって得られる、項目11に記載の方法。
(項目20)
上記補正計画を実行するステップは、皮膚の領域上におけるスキャンおよびプリントの複数のパスを作るステップをさらに含む、項目11に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、RMAを皮膚に塗布するために本発明の実施形態が用いられ得る動作環境を示すブロック図である。
【図2】図2は、ネットワークを介した通信によってRMAを皮膚に塗布するために本発明の実施形態が用いられ得る動作環境を示すブロック図である。
【図3】図3は、ネットワークを介した通信および携帯型塗布デバイスによってRMAを皮膚に塗布するために本発明の実施形態が使用され得る動作環境を示すブロック図である。
【図4】図4は、マゼンタ、イエロー、およびシアンのRMAの使用を示すブロック図である。
【図5】図5は、インクを皮膚に塗布するための内蔵型携帯型塗布デバイスによって本発明の実施形態が用いられ得る動作環境を示すブロック図である。
【図6】図6は、塗布システムを用いるためのプロセスを示すフローチャートである。
【図7】図7は、塗布システムを組み立てるためのプロセスを示すフローチャートである。
【図8】図8は、皮膚にプリントするための実施形態における塗布アルゴリズム内のプログラミング用のプロセスを示すフローチャートである。
【図9】図9は、プリント可能な改善画像を作成するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図10】図10は、コンピュータモデルにおいて3Dオブジェクトをどのように2D表面にマッピングするかを示す図である。
【図11】図11は、魅力の原理を定義するプロセスを示すフローチャートである。
【図12】図12は、表面テクスチャの変動を持つエリアへの上からの照明を示すブロック図である。
【図13】図13は、3Dヒト顔面上の特性または特徴を示す図である。
【図14】図14は、ヒト顔面の2Dマップ上の特徴を示す斜視図である。
【図15】図15は、ヒト顔面の2Dマップ上の特性または特徴を示す斜視図である。
【図16】図16A〜Eは、反射率、照度、および図14にあるヒト顔面の2DマップのラインA−A’に沿ったプリント可能な改善画像のグラフである。
【図17】図17は、プリント可能な改善画像に従ってRMAをプリントすることによって改善された3Dヒト顔面の図である。
【図18】図18は、3Dヒト脚の特性を、2Dマップ上のスペクトルベースごとの対応する反射率およびプリント可能な改善画像と共に示す図である。
【図19】図19は、プリント可能な改善画像に従ってRMAをプリントすることによって改善された3Dヒト脚の図である。
【図20】図20A〜Bは、3Dヒト胸部の特性を、2Dマップ上のスペクトルベースごとの対応する反射率と共に示す図である。
【図21】図21は、スキャンおよび塗布の複数パスを実行するステップを示す図である。
【図22】図22A〜Cは、加齢による雀斑の外観を改善するために塗布されたRMAの効果を示す図である。
【図23】図23は、視覚的利益対解像度の汎用グラフである。
【図24】図24は、本発明により用いられる全体的なステップを示すフローチャートである。
【図25】図25は、RGB帯域内の魅力的でない特徴のパターンの汎用グラフである。
【図26】図26は、センサ上のスペーサカップを示すブロック図である。
【図27】図27は、ネットワーク上での通信およびブースを備える塗布デバイスによってRMAを皮膚に塗布するために本発明の実施形態が用いられ得る動作環境を示すブロック図である。
【図28】図28は、強弱の中間周波数の汎用グラフである。
【図29】図29は、ネットワークを介した通信および吸取紙塗布デバイスによってRMAを皮膚に塗布するために本発明の実施形態が用いられ得る動作環境を示すブロック図である。
【図30】図30は、ネットワークを介した通信および曲面を持つ携帯型塗布デバイスによってRMAを皮膚に塗布するために本発明の実施形態が用いられ得る動作環境を示すブロック図である。
【図31】図31は、皮膚の画素レベルマッピングを調整するためのフローチャートである。
【図32】図32は、RMAの画素レベル塗布を調整するためのフローチャートである。
【図33】図33は、改善技術を用いるためのプロセスを示すフローチャートである。
【図34】図34は、スキャンしたエリアの目標深度を決定するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図35】図35は、スキャンしたエリアの目標照射を決定するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図36】図36は、ブースを備える塗布デバイスを示すブロック図である。
【図37】図37は、単純な皮膚平滑化例を表す概略図である。
【図38】図38は、複数パス平滑化例を表す概略図である。
【図39】図39は、顔面マップの例を表す概略図である。
【図40】図40A〜Bは、反射率および皮膚の配向データを取得するための、LEDおよびセンサのサンプルレイアウトである。
【図41】図41は、特徴認識を表す概略図である。
【図42】図42は、特徴認識を表す例の概略図である。
【図43】図43は、RMAを塗布するための芸術的戦略を表す概略図である。
【図44】図44は、吸取紙塗布デバイス用の回転プリンタの例である。
【図45】図45は、奥行き感を示すテキスト画像の例である。
【図46】図46は、補正プロセスを示すフローチャートである。
【図47】図47Aは、皮膚マーク用ハンドヘルドデバイスの一実施形態の側面図である。図47Bは、図47Aのデバイスの正面図である。図47Cは、図47BのセクションAA’に沿った水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の以下の実施形態は、添付の図面を参照し、単なる例として記載されるものである。
【0035】
(実施形態の詳細な説明−ヒトの皮膚の視覚的魅力を改善させるために、反射変性剤を塗布する)
以下の説明の詳細は、本発明を明瞭に説明するために提示するものである。しかしながら、本発明の概念はこれらの特定の詳細に限定されるものでないことが、当業者には明らかであろう。一般に公知の要素は、本発明の限定としてではなく例示として、明瞭化のためにブロック図内にも示されている。さらに、プロセスの順序、それらの番号が付されたシーケンス、およびそれらのラベルは、本発明を限定するものとしてではなく、説明を明瞭にするために提示されるものである。
【0036】
本実施形態は、ヒトの皮膚の領域の視覚的魅力を改善するための方法を説明している。図24に示すように、当該方法は、以下の全体的なステップを含む。
・ステップ900−皮膚の領域を複数のフレキセルに割り当てるステップ
・ステップ910−複数のフレキセルのそれぞれの、少なくとも1つの光学的属性を測定するステップ・ステップ920−フレキセルの光学的属性から、少なくとも1つの視覚的魅力に影響を及ぼす測定された皮膚特性を決定するステップ
・ステップ930−皮膚特性の望ましい状態を決定するステップ
・ステップ940−測定された皮膚特性を、皮膚特性の望ましい状態に近似するよう変性させるために、特定のフレキセルに少なくとも1つの反射変性剤を塗布するステップ
(皮膚の領域を複数のフレキセルに割り当てる)
本特許明細書において、「フレキセル」という用語は、皮膚の小さな画素状領域として定義される。本特許出願において、「皮膚」という用語は、人体の表面上にある皮膚だけでなく、より広く、美容的に改善され得るあらゆるヒトの特徴、例えば爪および毛髪をいうためにも使用される。フレキセルは、雀斑またはその他の皮膚の特徴のごく小さい部分に対応し得るか、または、特殊な特徴を有さない皮膚のエリアに対応し得る。したがって、フレキセルは、独立した座標系よりもむしろ皮膚をいう。
【0037】
フレキセルという用語は、測定されているものが平面ではなく3D表面であることを示唆するために使用される。皮膚の領域は、複数のフレキセルから成る。例えば、300ドット/インチ(11.8ドット/ミリメートル、または「dpmm」)の解像度が用いられる場合、フレキセルは、1平方インチあたり約90,000のフレキセル(1平方ミリメートルあたり140のフレキセル)があるように、約l/300インチ(0.085mm)の幅および高さを有し得る。人体の表面は、数百万ものフレキセルを有し得る。
【0038】
皮膚をフレキセルに割り当てることにより、本発明は、細部を解像する高等なヒトの視覚能力を改善するための、スキャンおよびRMAの塗布を達成することができる。
【0039】
図23は、相対的な視覚的利益(visual benefit)450対ドットパーインチ(DPI)表記の452解像度の汎用グラフである。参考までに、一般的なコンピュータ画面は、72ドット/インチ(dpi)(2.83dpmm)の解像度を有する。10インチ(254mm)の距離で見た場合におけるヒトの視覚的検出の限界は、100%調節(白黒のラインを交互にする)の理想的な条件および良好な照明条件下において、約20画素/ミリメートル、つまり500dpiである。インクジェットプリンタは、約720dpi(28.2dpmm)の一般的な解像度を有し、1440dpi(56.7dpmm)の解像度で単色ドットを形成する能力を持つ。(原色以外の色を形成するために数ドットが必要である)。改善された解像度は概して検出不可能なものであるため、約300dpi(11.8dpmm)の解像度454は、通常の状況下における望ましい解像度の上限であると考えられる。例えば、雑誌は一般に300dpi(11.8dpmm)の写真解像度を必要とするが、150dpi(5.9dpmm)でプリントされる。対照的に、標準的な化粧の解像度は、手で慎重に塗布した場合、約5〜20dpi(0.2〜0.8dpmm)である。50〜300dpi(2〜11.8dpmm)の範囲のターゲット解像度は、実際の皮膚特性および望ましい皮膚特性に応じて調整を行う上での利点のみならず、既存の化粧品技術よりもはるかに良好な解像度、および自動塗布のさらなる利点を提供する。ブラシ、チューブ、および指でメイクアップを行なうための先行技術は、かなり粗い解像度を有する。例えば、極細ブラシは、約20dpi(0.8dpmm)の近似的な解像度を有する。
【0040】
(複数のフレキセルのそれぞれの、少なくとも1つの光学的属性を測定する)
(スキャン)
図1に示すように、一実施形態において、スキャナ220を備える塗布デバイスは、スキャナ220が、複数のフレキセルのそれぞれの1つの光学的属性(反射率等)に関するデータを電子的に記録できるように、皮膚のエリア302全体を動かされる。例えば、皮膚のエリア302は顔であり得る。
【0041】
スキャンでは、有用なデータを得るために、様々な周波数において画像を取得することができる。例えば、改善する皮膚の特定の特性を決定することを支援するために、特定の色(例えば赤色)において、反射率に関するデータを得ることができる。スキャンは、複数の光源からの反射角度に基づいて、表面トポロジ等、皮膚のその他の特性を決定するためのデータも提供し得る。
【0042】
一実施形態において、二次元アレイがスキャンに使用される。その他の実施形態においては、ラインアレイが使用され得る。
【0043】
(警告音)
一実施形態において、十分なスキャンがいつ達成されたかを示すために、音、光、または振動等、1つ以上の警告手段が使用され得る。警告手段は、RMAを塗布している間の進捗、完了度、およびエラー状態を表すインジケータとして使用される、ホワイトノイズへの音量およびトーン変調を含むサウンドインジケータを備え得る。
【0044】
音量およびトーンを変調させたホワイトノイズ状(white−noise−like)信号の例としては、電気剃刀による髭剃りを含み、この場合、髭が刈り取られると、髭剃りの完了、完了する必要があるエリア、および最適な適用方向を示し案内するために音が変わる。
【0045】
別の例として、木材を鋸で切る際に、大工が切断速度を案内し問題を示すために音を使用する場合が挙げられる。ホワイトノイズ状指示信号の例は、その他にも多く見られる。
【0046】
音声、トーン等を含む、その他の可聴インジケータが可能である。ホワイトノイズインジケータは本来同時に偏在する(ubiquitous)ため、場合によっては最も直観的である。振動等の触覚フィードバックも、音の一部として含まれ得る。
【0047】
(センサ)
一実施形態において、スキャナ220は、筐体内に既知の構成で配置されたセンサと4つのLED光源とを備える。LED光源は一般に、各光源について少なくとも1つの光学的特性の感知を可能にする方法で、それぞれオン/オフされる。一例において、1秒あたり120、つまり各光から30のキャプチャが行われ、皮膚に関する大量のデータを迅速に提供する。次いで、当該データが使用され、様々な波長における反射率特性と皮膚の表面形状との両方を決定し得る。一実施形態において、キャプチャ画像は、有効性のために平均化され得る。
【0048】
一実施形態において、センサは、センサの相対位置を決定するために有用なシェーディングパターンをLED上に備える。
【0049】
一実施形態において、ベイヤーアレイ(Bayer array)を持つモノクロセンサが用いられ得る。LEDとセンサのその他の配置を使用してもよい。
【0050】
(スキャンされたデータを解析する)
スキャンされたデータは、
・皮膚からの反射率
・センサに対する皮膚の位置および皮膚の特徴
に関する情報を含む。
【0051】
一実施形態において、塗布アルゴリズム230は、格納データを空間周波数帯域に入れ、皮膚のエリア302のランドスケープおよびRMA264の塗布が必要な寸法を決定するために、パターン認識を使用してそれらを解析する。これらの寸法を決定するために使用されるプロセスについて、以下で詳細に説明する。
【0052】
塗布アルゴリズム230は、その解析を使用してソフトウェアにおいて皮膚のエリア302の塗布マップ232を作成し、当該マップは将来起こり得る使用のためにストレージ250に格納される。
【0053】
(光学的属性)
反射率は、皮膚の反射を測定したものであり、その照度とは無関係である。照度は、どの程度の量の光が皮膚に到達するかを測定したものである。光読み出し(light reading)は、表面トポロジ読み出しとは無関係である。
【0054】
一実施形態において、スキャンされたデータから、特定の光学的属性(各フレキセルの反射率の量等)が直接決定され得る。別の実施形態において、スキャンされたデータは、解析用の少なくとも1つの空間周波数帯域に変換される。さらに別の実施形態において、スキャンされたデータは、赤色、緑色、および青色(RGB)帯域等、複数の空間周波数帯域に変換され得る。
【0055】
図16A〜Eは、アルベド348および照度352の属性を決定するためにデータを単一の空間周波数帯域に入れた後の、図14に示す2Dの顔232のパターンを表す。
【0056】
(アルベド)
アルベドは、オブジェクトの表面からの、入射光の反射率のパーセンテージである。電子スキャンの場合、アルベドは皮膚のスキャンされたエリアのRBG値である。本特許出願書類において、「実際のアルベド(actual albedo)」という用語は補正前に観測されたアルベドを意味し、「目標アルベド(aim albedo)」という用語は、皮膚のエリアの外観を改善するための、当該皮膚のエリアの所望の反射率をいう。一例において、目標アルベドは、全体的な平滑化、特異的な特徴改善、および芸術的戦略を含む1つ以上の補正戦略から決定される。
【0057】
図16中の最上部の帯域は、図14の2D表面マップ232中のラインA−A’に沿った実際の「アルベド」を表す。実際のアルベドグラフにおける上昇は、淡斑408を同定する。同グラフにおける深い下降は、傷等の不均一性412を同定する。また、不規則なセクションは、雀斑410を識別するものである。
【0058】
(照度)
照度は、オブジェクトの表面の単位面積に達する入射光であり、表面に対する入射光の角度の関数である。
【0059】
図14に示す2D表面マップ232の実際の照度またはシェーディング352も、空間周波数帯域によってグラフ化し、図16に示される。
【0060】
(反射率および照度のデータならびに計算)
一例において、皮膚の領域をスキャンすることで得られたフレキセルデータは、以下のように表され得る。
[(x,y,z,α,β,γ),
(X,y,Z,α,β,γ),
{(refl),(refl),(refl),(refl),(refl)}]
項{(refl),(refl),(refl),(refl),(refl)}は、周囲照明条件下のものと、4つの光源(LED等)のそれぞれについてのフレキセルiを表す反射データを表し、考察を容易にするため、4つの光源は適宜、北(N)−南(S)−東(E)−西(W)と表される。3つの光源等、その他の数の光源を使用することもできるが、4つの光源であると計算が簡易化される。上記(refl)は、反射率測定のための1つ以上のデータポイントを表す。波長の反射率測定は、当該波長の定数、照度、およびアルベドの積である。
反射率=k*照度*アルベド
例えば、
反射率(赤色)=k(赤色)*照度(赤色)*アルベド(赤色)
定数は、レンズの速度、カメラまたはセンサの感度、カラーフィルタの伝送特性、アナログ増幅器のゲイン、ソフトウェアによって適用されるデジタルゲイン、およびその他の要因を含むいくつかの要因によって決まる。通常、カメラの補正定数または較正がこれらの効果を補正する際に、定数kが測定され補正される。当該定数の値は、一般に較正中に決定され得、このときLEDからの照射は一定であると仮定され、当該仮定に基づいてアルベドが計算される。
【0061】
反射率は絶対値でなく、カメラで写したものを測定したものである。センサは一般に、増幅器、デジタル変換器、またはレンズ筐体を持たないカメラである。一実施形態において、センサは、レンズおよび関連する電子機器を持つソリッドステートMOSセンサである。
【0062】
フレキセルデータは、処理されて、各光源の反射率および照度を決定し得、当該情報は、反射率および表面形状を決定するために使用され得る。
【0063】
一例において、反射率はすべての測定結果の平均値(averageまたはmean)である。照度は、LED等の光源の、既知の輝度から決定され得る。照度は、既知の光に、法線に対する入射光の角度の余弦を乗じたものである。
【0064】
反射率データを得ることに関する1つの問題は、いくつかの角度においてグレア(glare)が存在する場合があり、正確な読み出しが得られないことである。一例において、グレアまたは光沢度は、LEDの交差分極を提供するための偏光材料を使用することによって解消され得る。その他の例において、センサは、グレアを解消するために、60度等の比較的大きい角度に意図的に位置付けられ得る。
【0065】
(位置を決定する)
(センサまたは座標系に対するフレキセル位置)
項(x,y,z,α,β,γ)は、センサからフレキセルiまでの距離を表し得、基準座標系に対するフレキセルの絶対位置および配向であり得る。一例において、フレキセルからスキャナまでの距離の決定は、2ステップで行われることができる。第一のステップは、皮膚からのセンサの一定高さ等、ほぼ機械ベースの測定であり得る。第二のステップは、微調整を提供するための、光学的な一次導関数測定であり得る。一例において、微調整は表面からの角度を測定することによって計算される。別の例において、微調整は、2つの光源を使用して、センサによる検出のために2つの基準点または格子を送出することによって行われ得る。
【0066】
(機械的な概算)
一実施形態において、センサは、ヘルメットまたは固定ブースに、センサ位置が当該ヘルメットまたはブースと相対的に決定され得る方式で付着され得る。
【0067】
図26に示される別の実施形態において、センサ278はカップ280を装備し得、それによりセンサ278は皮膚からの平均高さを維持する。
【0068】
別の実施形態において、センサは、その位置を推定するために、既知の位置から開始してその動きを追跡し得る。センサは、プローブの絶えず変化する面に対する表面特徴の形状を決定するために、プローブ自体に対する角度を測定し得る。
【0069】
空間的基準を提供するために、ジンバルが使用され得る。追跡は、空間における手またはハンドヘルドスキャナの位置を追うために使用され得る。ジンバル配置は、ステレオマッピング、または、農薬の空中散布用等の衛星に対するGPSマッピングに類似する方式で、定期的なフィードバックを提供し得る。
【0070】
(光学的微調整)
より微細な位置合わせのために、光学的手段が使用され得る。例えば、皮膚のz成分の一次導関数は、プローブからの多重光およびシェーディングによって、シェーディングから得られ得る。一次導関数は、表面の角度を測定したものを提供し得る。
【0071】
一例において、3つの光源が異なるパターンを送出する。色およびシェーディングは、LEDからシェーディングレリーフマップが得られるように表面レリーフを決定するためのデータを提供する。
【0072】
(フレキセル配向)
2本の直交軸に対するフレキセルの傾斜を決定することにより、フレキセルの配向を決定し得る。フレキセルおよびその隣接物の配向は、皮膚の実際の局所的な表面テクスチャを示す。本発明の一態様は、局所的な反射特性および局所的な表面テクスチャの両方を測定し補償するための能力である。
【0073】
この例では、北、南、東、および西と表される4つの光源がある。センサは、各光源がオンになり、その他の光源がオフである際に、データを得る。センサは、4つの光源のうちいずれもオンになっていない際に、周囲照明のデータを得ることもできる。
【0074】
フレキセルの傾斜は、北測定結果と南測定結果とを比較することによって決定され得る。これらの測定結果の間における差異は、東−西軸に沿ったフレキセルの傾斜に関連する。東測定結果と西測定結果との間の差異は、北−南軸に沿ったフレキセルの傾斜に関連する。
【0075】
概して、データを線形空間に変換することによってガンマ補正を行うことが必要である。ガンマ補正は、2つの一般的なガンマカメラによって出力されたデータの平方根を取ることによって近似される。
【0076】
(光源)
図40A〜Bは、本発明の一実施形態で使用され得る光源の構成を示す。この実施形態においては、一組の4つの光源−LED、LED、LED、およびLED−が使用される。これらの光源は、菱形構成で置かれ、この場合センサはLEDレイアウトの中心に位置付けられる。この構成は、表面形状を計算するための数学的解析を簡易化する。
【0077】
(平均照度)
一実施形態において、平均照度の概念を用いることが有用である。平均照度は、特定の表面に達する光の平均角度および拡散である。これは、一般にどのようにして表面の不規則性がシェーディングされるかを定義する。例えば、全身の平均照度は頭上からのものであり、頭の一般的な配向は垂直であるため、頬の瘤では一般に底部にシェーディングが付けられる。海辺にいる子供の場合、平均(averageまたはmean)照度を与えるために太陽の角度と身体の角度の両方を統合すると、平均的な光は終日にわたって「頭」上からであるため、一般に瘤の底部は日焼けしにくい。時折、光は平均値から反転される。例としては、下から顔に光を当てることが挙げられる。しかしながら、これは多くの場合奇妙さを与え、時に不吉に見えるが、規則を証明する例外である。平均照度の欠陥を補正することにより、平均して最良の補正が実行される。
【0078】
平均照度は、重力に対する平均光方向と重力に対する皮膚の特定のフレキセルの平均配向との相互作用である。皮膚の角度を得るための1つの方法は、鏡を含み得る構成において、複数の拡散性のまたは直交する光源を使用することである。光はストロボが光るように繰り返しフラッシュされるため、小エリアについて何百もの画像を撮ることができ、そのデータを平均化することができる。「上」に対する皮膚の角度から、平均照度および「上」に対する皮膚の角度に基づいて、どの程度の量の光が皮膚に達するかを計算することができる。
【0079】
すべての光源を同時にオンにすることによって、または、個々の光源により作られた画像を追加することによって、平均照度に対する妥当な近似を行うことができる。一例において、光およびプローブが皮膚に対して垂直であることから、平均照度は拡散的である。
【0080】
この技術の改良が、皮膚に対する光沢効果を補償するであろう。例えば、4つの光源を持ついくつかの画像を使用して、当該光源からの画像の平均を取ることができる。例えば、平均は中央値であってよい。中央値の1つの利点は、正反射が少数の光源によって捕捉された場合、中央値によってフィルタリングされ得ることである。中央値は、少数の光源画像から観測されたフィルタのシェーディングであってもよい。人体は複雑な表面を表す、すなわち照射すれば鼻が光り得ることから、これは重要である。
【0081】
拡散性の光を作成するための一手法は、多くの光源から多くの角度で光を導入することである。拡散性の光を作成するための別の手法は、それをスキャナ筐体から反射させることである。別の選択肢は、光を偏光させることである。
【0082】
(フレキセルデータ表現の例)
フレキセルを表すデータ表現の例を以下に示す。
[(x,y,z,α,β,γ)],
(x,y,z,α,β,γ),
{(refl),(refl),(refl),(refl),(refl)}]
この例において、(x,y,z,α,β,γ)および(x,y,z,α,β,γ)は、スキャナセンサおよびフレキセルの、座標系に対する位置および角度配向を表す。
【0083】
(圧縮)
いくつかの実施形態において、データ処理の効率は、JPEG等の様々な圧縮方法によって改善され得る。
【0084】
(皮膚上におけるフレキセル位置)
(特徴マッピングによるもの)
皮膚のエリア302におけるプローブの位置を追跡するため、および、特定の特徴に適切な改善を決定するために、コンピュータゲーム等の分野の当業者には既知である、特徴認識のためのコンピュータマッピングが使用され得る。
【0085】
例えば、そのようなコンピュータマッピングは、頬骨、鼻、および耳等の特徴の識別を可能にするため、プローブは、場合によっては皮膚のエリア上の複数パス内にある、特定のフレキセルに対してその位置を配向することができる。
【0086】
さらに、頬骨等の特徴の識別は、適切な改善の決定を可能にする。例えば、顔面に色を追加するために、赤色の反射変性剤を頬骨の中心に塗布してよい。頬骨をより高く突出しているように見せるために、濃い反射変性剤を頬骨の下に塗布してよい。
【0087】
(骨格モデル)
一実施形態において、骨格関節が基準点となるように、骨格モデルの周囲にマップが構築される。この例において、関節が位置付けられ、棒線画が構成され、当該棒線画の周囲に3Dメッシュが構築される。マップは、コンピュータ環境のメモリ内にあるヒトの骨格構造を表す所定のモデルと相対的である。
【0088】
(マネキンモデル)
一実施形態において、マップは、人体の所定のモデルに対して相対的である。
【0089】
(動的モデル)
一実施形態において、マップは、骨格モデルまたはマネキンモデル等、所定のモデルを覆う皮膚の動きに対して相対的である。
【0090】
(化学マーカーによるもの)
その他の実施形態において、化学マーカーは、マップの作成を支援するためにスキャン中に皮膚のエリアに塗布され、皮膚のエリア302を持つマップのその後の追跡を可能にすることができる。例えば、紫外光の下では可視であるが従来の照明下では不可視であるドット等の紫外線マーカーが使用され得る。
【0091】
(単一パスまたは複数パス)
様々な実施形態において、スキャンおよび補正は単一または複数パスにおいて達成され得る。例えば、第一のパスは被験者を知るために実行され得、第二以降のパスはさらなるデータを入手するために実行され得る。複数パスは、異なる角度で皮膚を観測することによって体毛の効果を補償するための機会を提供する。
【0092】
(単一パス)
本発明の一実施形態において、スキャナおよびインクジェットプリンタを備える塗布デバイスは、皮膚のエリア上に単一パスを作る。当該デバイスは皮膚をスキャンし、魅力的でない特性を識別し、皮膚をより魅力的にする改善を計算し、それらの改善を実現するため、皮膚にRMAを迅速に塗布する。
【0093】
(複数パス)
さらなる実施形態において、望ましい改善のためのスキャンおよびRMA塗布を改善する度に、塗布デバイスは皮膚上に複数パスを作る。
【0094】
(追跡プロセスの例)
追跡プロセスの一例において、まず大まかな位置が決定され、続いてより正確な位置が確立される。第一のアプローチにおいて、位置の大まかな推定は、移動した距離および方向を算定するための、プローブに近接するジンバルの使用によって、開始点から維持され得る。別のアプローチにおいて、大まかな位置は、機械的プローブまたは計測器から決定され得る。別のアプローチにおいて、大まかな位置は、シェーディングデータの一次導関数を使用することにより、数学的に推定され得る。
【0095】
大まかな位置が分かると、シェーディングデータからのフレキセル配向の解析から、より正確な位置を決定することができる。これは、まず近似位置を知り、次いでより正確な位置を提供する地形を探索することによる、パイロットの位置決定に類似している。
【0096】
(長期にわたる追跡)
マップの生成による1つの利点は、初回の画像と第二回の画像とを比較することにより、反射率または表面形状における変化が決定され得ることである。これらの変化は、ある人物の健康における変化を表す場合もあるし、RMAの「タッチアップ」が必要なエリアを表す場合もある。
【0097】
(フレキセルの光学的属性から、視覚的魅力に影響を及ぼす少なくとも1つの測定された皮膚特性を決定する)
パターン認識は、スキャンされた皮膚のエリア302の特徴を識別するために使用され得る。
【0098】
(特徴識別)
(反射率とトポロジ)
特徴識別は、スキャンされたデータ内で決定されたパターンに基づくものであり得、皮膚のエリアの反射パターンおよび表面トポロジの両方と関係があり得る。このデータの数学的パターン解析により、改善技術から利益を得ることができる特定の魅力的でない特徴を識別することが可能になる。以下で説明するように、そのような特徴は一般に、より若い皮膚のより規則的で左右対称の遺伝的パターンと比較して、不規則または非対称の、加齢によるパターンまたは損傷によるパターンによって特徴付けることができる。
【0099】
(目の奥行き知覚)
短い距離では、ヒトの目は立体知覚によって奥行きを知覚する。しかしながら、数フィートである一般的なヒトの相互作用の範囲において、目はヒトの皮膚の反射率に基づいて当該皮膚の奥行きを知覚する。皮膚の隣接するエリア間におけるシェーディングの差異は、皮膚の表面からの高度または深度を表す表面テクスチャとして知覚される。その知覚の例として、図45は、Photoshop(登録商標)で作成されたテキスト文字「RICK」を示している。平面文字の原画像から、当該ソフトウェアによって疑似陰影を作成したものである。ヒトの目は、光源が左上に位置し、テキストが隆起した形状であるためにシェーディングが作成されていると想定することによって、反射率における差異を解釈する。
【0100】
この反射率の差異からの奥行きの知覚は、ヒトの美しさの知覚においても重要である。目は、皮膚のシェーディングの差異を表面テクスチャであると解釈する。そのテクスチャの知覚は、皮膚の反射率を変更することによって変化させることができる。例えば文字の例において、隆起した文字の知覚は、文字の周囲のシェーディングを削減することによって劇的に変化し得る。
【0101】
目は、皮膚の色を知覚し、当該色情報を奥行きの知覚に転換する。本発明の一態様は、この奥行きの知覚を変化させるために、皮膚の一部の反射率を選択的に変更することである。この変更は、皮膚上の瘤等の比較的小さいエリアにおいて行われ得、該変更は、目または頬の周囲のエリアを意図的に黒くすること等、従来の化粧品等によって、より大きいエリアで行われてもよい。
【0102】
(魅力的でない特徴の例)
スキャンされたデータから識別され得る、皮膚における魅力的でない特徴のいくつかの例は、以下の通りである。
・ニキビ
・老斑/日焼けによる損傷
・痣
・瘤
・セルライト
・淡斑
・圧痕
・傷
・損傷した雀斑
・シワ
識別され得るその他の魅力的でない特徴は、時間と共に薄くなったボディペイントおよび刺青等、皮膚に追加された、または、たるみもしくはシワ等、皮膚自体のパターンを変更することによって変形された、人工的なパターンと関係がある。これらの特徴は識別され、その後、それらの外観をリフレッシュするまたは改善するためのRMAの塗布によってリフレッシュされることができる。
【0103】
(魅力的でない特徴を識別するための技術)
(単一スペクトル帯域内の加齢による雀斑のパターン)
例えば、自然な雀斑は、直径約2mmで鋭角的であり、図22Bに示されるパターン442を有する。例えば日焼けによる損傷によって引き起こされる、加齢による雀斑は、図22Aに示すパターン446を有する。
【0104】
上記のように、例えば日焼けによる損傷からの、年配者の加齢によるランダムな雀斑440は、図22に示すように、単一スペクトル帯域内のその特徴的パターンによって識別され得る。ランダムな雀斑440のスキャンされたデータは、スペクトル帯域に入れると、粗く不規則なパターンを示す。
【0105】
(複数のスペクトル帯域内のパターン)
スキャンされた画像をRGB帯域等の複数のスペクトル帯域に分けることにより、魅力的でない特徴のパターンをより一層明瞭に識別することができる。例えば、図25は、若い皮膚のエリアに関する、RGB帯域内の魅力的でない特徴のパターンの汎用グラフであり、経験的に観測された以下の一般的パターンを示す。
・傷460
・日焼けによる損傷でできた雀斑468
・静脈瘤476
・新しい青痣484
・古い黄色い痣492
これらの魅力的でない特徴のそれぞれを表すRGBパターンのセットは、極めて明確なものであるため、特徴認識によって検出可能である。例えば、傷460は、その他の特徴と異なり、3つの帯域462、464、および466の中で最も高い周波数範囲におけるパターンを示す。雀斑468は、静脈瘤482、青痣490、および黄色い痣498の青色帯域パターンよりも、青色帯域474内の低周波により深く落下する。青痣484は、黄色い痣の赤色パターン494および緑色パターン496よりも、赤色パターン486および緑色パターン488内でより大きく落下する。黄色い痣の青色パターン498は、青痣の青色パターン490よりも深く落下する。
【0106】
(マッピングによる高度な特徴識別)
特徴識別に基づくマッピングは、反射率および表面トポロジに基づいて、マッピングに対する改善のための大幅に増大された性能を追加することができる。
・皮膚表面全体上にレジスタを維持する。
・平均照度を使用して3Dから淡/濃へ転換し、美的増強にプラスまたはマイナスとなるようなプリントについての淡/濃属性を含む。
【0107】
例えば、特徴識別は、頬骨、鼻、顎、唇、および目等の大きい特徴を識別するために使用され得る。これは、以下のような外観を作成するための、理想的な特徴のライブラリに基づいた改善を可能にする。
・よりピンク色の頬
白色の上に赤色というのは魅力的でないが、例えばピンク色の頬のように、大きな白色のエリア上に赤色のランダムパターンであれば、魅力的となり得ることに留意されたい。・赤みの少ない鼻
・より高くなった頬骨
・より赤い唇
・瞼へのアイシャドウ効果
・アイライナー
・よりシャープな顎のライン
・より濃い眉
・曲線的な眉
・より深い笑窪
・より盛り上がった胸
(特殊な状態を補償する手段)
(体毛を補償する)
一実施形態において、体毛の存在は、当該毛を様々な方向に配向するよう試みながら複数パス内の画像を撮ることによって補償され得る。配向は、スキャナと関連付けられた櫛型デバイスによって達成され得る。その他の実施形態において、皮膚に対して毛を立たせるために、静電荷が使用され得る。
【0108】
(皮膚特性の望ましい状態を決定する)
(魅力の原理)
本発明は、魅力の一般的原理500を用いるものであり、当該原理の例を図11に示す。これらの原理は、多くの人々が魅力的であると感じ、したがって人間の挙動における傾向を表す、属性の観測に基づくものである。
・観測502−若く見える皮膚は、老けて見える皮膚よりも魅力的である。
魅力の1つの属性は、性的魅力である。
・観測504−若く見える皮膚は、均一性を有する。若く見える皮膚は遺伝暗号に近いため、若く見える皮膚は老けて見える皮膚の属性よりも均一で反復可能な属性を有する。この点は、ヒトの特徴における対称性は、非対称性よりもヒトの目により魅力的となる傾向がある、という一般的原理と一致している。例えば、日焼けが魅力的なのは、皮膚を黒くするからでなく、空間周波数を安定させ、皮膚をより均一にするからである。
・観測506−若く見える皮膚は、多様な均一パターンを有する。皮膚の外観における何らかの多様性、例えば、若く見える皮膚における遺伝的に見える雀斑は、魅力的になり得る。若く見える皮膚における多様性は、老けて見える皮膚における多様性よりも空間周波数のパターンが規則的である。例えば、遺伝的な雀斑は、加齢、日焼けによる損傷等によって引き起こされるよりランダムなマークよりも、空間周波数のパターンが規則的である。
・観測508−若く見える皮膚は、老けて見える皮膚のものよりも短い波長の光周波数を持つ特徴を有する。
・観測510−老けて見える皮膚は、ランダム変動を有する。
・観測512−老けて見える皮膚は、より長い波長を持つ特徴を有する。
老けて見える皮膚は、老斑、シワ、および傷等のランダム効果を表す、より長い波長を持つ特徴を有する傾向がある。
・観測514−上方からの光は、魅力を改善するために最も有用である。上方からの光として定義される平均的な照明は、目がそれに慣れていることから、ヒトの皮膚における魅力を改善するために最も有用である。
・観測516−図12に示すように、上方から光を当てると、表面テクスチャの変動400を持つエリアは、上により淡い部分404を、下により濃い部分406を有する。主要な光源402が上方からのものである場合、瘤、傷、またはシワ等の表面テクスチャの変動400を持つエリアは、上により淡い部分404を、下により濃い部分406を有する。このように、表面テクスチャの変動400を持つエリアは、このパターンによって識別され得る。
【0109】
(改善の一般的技術)
本発明は、魅力の原理に基づいて、美または魅力に関するヒトの知覚におけるいくつかの要因に対処するものである。
【0110】
(平滑性)
一実施形態において、皮膚の反射率は、通常平均的な光によって照射された際に皮膚のシェーディングを補償するように変性される。これは、皮膚の粗さの知覚を和らげるまたは解消する。当該効果は、日焼けにおいて実現されるものと同様である。
【0111】
(特徴の均一性)
一実施形態において、特徴をより均一に見せるために、皮膚のエリアの一部に染料が意図的に追加される。例えば、雀斑は、不規則に見える年配の雀斑ではなく均一な若々しい雀斑の外観を有するよう、より鋭角的でより均一に見えるようにできる。
【0112】
(対称性)
左右対称でない特徴を強調しないために、全体的に黒くする戦略が使用され得る。
【0113】
(周囲環境による有効性)
強調のためのもう1つの一般的原理は、皮膚のいくつかの特性、特に色に関するものが、周囲の要素による効果を考えて設計されている場合に、より魅力的と見なされるということである。例えば、日中よりも夜、または、青色のドレスよりも赤色のドレスに調和するためには、異なる色およびシェーディングがより望ましい場合がある。
【0114】
(環境特有のメイクアップ)
望ましい効果を作成する場合に周辺環境を配慮することは、例えば、以下のものについての異なる改善につながる。
・夜対昼
・衣類および宝飾品類の色およびスタイル
・海辺、森林、または職場のような環境
・ユーザの目の色
(皮膚特性の望ましい状態を決定する手段)
補正のためのアプローチは、純粋数学的技術および人工知能技術を含む。対照的に、芸術的なアプローチはより直観的であり、定量的ではない。
・数学的
・人工知能
・芸術的
(数学的手段)
数学的技術は、中間周波数の一部を除去するため、および、非対称の低周波の一部を除去するためのフィルタリングを含む。純粋数学的技術のもう1つの例は、皮膚をより均一に見せるため、画像と逆にプリントすることである。この処置は、空間周波数によって変動することができ、一般に、中間周波数において均一性を有することが好ましい。低周波補正は、皮膚のより大きいエリアの補正では、よりAIまたは芸術ベースであってよい。
【0115】
一実施形態において、望ましい波長範囲でローパスフィルタが実行され得る。一例において、中間周波数の一部を除去するために、1/2〜1インチの波長がフィルタリングされる。図28に示すように、より弱い中間周波数390は、明るい点と暗い点との間において、より強い中間周波数392ほど顕著でない揺動を示す。一実施形態において、画像を平滑化するために、弱い中間周波数成分は除去される。
【0116】
(ローパスフィルタの微分を実行する)
フレキセルの色値がその隣接物の平均色値で置換されている場合等、一実施形態において、ローパスフィルタが実行され得る。
【0117】
(人工知能手段)
人工知能技術は、特定の皮膚の特徴を検出し、補正戦略を選択するための、エキスパートシステムを含む。一実施形態において、皮膚の特徴は、特徴の位置を識別するためのレジストリまたはマップと相関している。レジストリは、薄くなった、または変形したボディペインティングおよび刺青を改善することを可能にする。
【0118】
(特徴ライブラリ)
AI技術の別の態様は、特徴識別のための、および、実際の特徴を理想的な特徴と比較するための、特徴ライブラリの使用である。
【0119】
(芸術的手段)
(コンピュータ制御)
一実施形態において、人間の観測者は、美的改善を達成するために、コンピュータ画面、キーボード、およびマウス等、スキャンされたエリアの知覚された深度においてさらなる変調を行うための手段を任意で使用することができる。メイクアップアーティストまたは顧客は、塗布前に改善を試みるための制御を介して、コンピュータ画面と相互作用することができる。
【0120】
瘤の頂面から鼻の左までを黒くするように等の一般的な命令を提供するための、または、静脈瘤を軽くするための「化粧品マークアップ言語(cosmetic markup
language)」を使用してもよい。化粧品マークアップ言語は、補正プロセスを簡易化する。
【0121】
(従来の化粧品によるタッチアップ)
一実施形態において、皮膚の領域をタッチアップするために、従来の化粧品が使用される。調整のほとんどは自動的に適用されるため、必要とされる化粧品の量は大幅に削減される。
【0122】
(望ましい改善の例)
・より滑らかな皮膚
・より鮮明な雀斑
・日焼け
(高度な特徴マッピングによる望ましい改善)
・ビューティマーク
より黒く見えるホクロおよびより深く見える笑窪等
・金色の腕毛女性は、黒い皮膚と金色の腕毛を望んでいるかもしれない。一実施形態において、望ましい効果を作成するため、毛にRMAが塗布され得る。別の実施形態において、望ましい効果を作成するため、毛の周囲の皮膚にRMAが塗布され得る。
・より目立つ特徴
胸、頬骨、目、膝、および唇等、いくつかの特徴の下に、高度感によってそれらを強調するために黒化を使用することもできる。
【0123】
(望ましい改善を作成するための技術)
(より滑らかな皮膚)
より強く望ましい特徴を除去することなく平滑化を達成するために、スキャンされたデータを空間周波数帯域に分割してよい。2mm〜12mmの空間周波数において、例えば10%のピークツーピーク反射を下回る弱い波は減衰され得るが、より強い波は留保され得る。1/2〜2mmの範囲では、より高い閾値で減衰が行われることができ、1/2mmを下回る空間周波数の波は留保され得る。12〜25mmの範囲では、限られた制御下で同閾値が適用され得る。
【0124】
この方法は、皮膚に魅力的な多様性を残したまま、皮膚を全体的に平滑化するものである。このアプローチは、すべての周波数を平らにする日焼けよりも優れている。
【0125】
(より鮮明な雀斑)
雀斑は、自然な均一性を示す低周波を残すことにより、改善または鮮明化されることができる。魅力的でない不規則性を示す高周波を取り消すために、染料が塗布され得る。
【0126】
図22に示し上記で説明したように、若い皮膚の自然な雀斑442を表すパターンは、はるかに規則的で左右対称のパターンを有し、それによって自然な雀斑442を、加齢による雀斑440のパターンよりも鮮明に見せる。この自然なパターン442は、ランダムな雀斑440のパターンと比較するための目標パターン448として使用され得る。ランダムな雀斑440のパターンと目標パターン448との間の差異は、望ましい特性として使用され得る。また図1に示すように、この改善を達成するためにプリント可能な改善画像234が作成され得る。
【0127】
皮膚の一般的なスキャンから若々しい雀斑のパターンを導くための方法は、以下の通りである。まず、皮膚画像の空間帯域幅を、例えば、1mmで1サイクルと4mmで1サイクルとの間の帯域に限定する。次に、この帯域制限された画像が、一定の「雀斑」濃色、または、一般にエリアの80%以上に雀斑がないという設定の、「雀斑のない」淡色のいずれかになるように、閾値を設定する。このパターンは、鋭角的で鮮明な縁を持つ若々しい雀斑に見える傾向があるが、さらに老斑またはその他の皮膚の不完全な部分をフォローするものであり、不完全な部分を黒くするために皮膚表面全体を黒くすることなく、これらの不完全な部分を若い雀斑としてカムフラージュすることが可能である。
【0128】
一例において、改善された雀斑が作成される。例えば、年配女性において、スキャンの解析によって濃すぎるエリアを発見することができ、補正技術でそれらのエリアを雀斑として残すこともできるが、図22Cで概説するように、若く見える雀斑の外観の効果を実現するために染料が塗布され得る。
【0129】
雀斑は一般に、異なる色帯域におけるそれらの特性パターンの認識によって識別される。
【0130】
(複数のスペクトル帯域との連携)
一実施形態において、RGB帯域等の複数のスペクトル帯域内で識別されたパターンを改善するために有効な技術が用いられ得る。例えば、上述のように、図25は、すべて若い皮膚にある、傷460、加齢による雀斑468、静脈瘤476、青痣484、黄色い痣492について、RGBパターンを示す。以下の技術は、上述のように、平滑化するために皮膚全体が中間周波数で黒くされている場合に有効である。
【0131】
(傷)
傷460を改善するために、マゼンタおよびイエローであって、シアンを多く含まないRMAが傷に塗布され得る。これにより、青白く見える傷460に赤色を追加する。
【0132】
(静脈瘤)
静脈瘤476を改善するために、静脈瘤476の周囲のエリアに、黒くするRMAが少量追加され得る。
【0133】
(加齢による雀斑)
加齢による雀斑468を改善するために、当該雀斑468のエリアに、黒くするRMAが少量追加され得る。
【0134】
(青痣)
青痣を改善するために、全体的な黒化中に少量のシアンRMAが追加され得る。
【0135】
(黄色い痣)
黄色い痣を改善するために、全体的な黒化中に少量のイエローRMAが追加され得る。
【0136】
(少なくとも1つの反射変性剤を塗布する)
(反射変性剤(RMA)の種類)
本発明は、以下を含む様々な反射変性剤(RMA)を利用する。
・アナリン
・食品着色料
・UV
・透明な染料
・透明なインク
・顔料
・酸化剤
・日焼け剤
・漂白剤
・化学変化剤
例えば、染料は光を反射しないが、主として光を吸収することによって作用して、皮膚の反射率を変更する。
【0137】
一実施形態において、RMAは時間遅延を有し、そのため、それらの塗布は即効性を有さないが、誘発剤によって後に発効する。例えば、RMAは、紫外線もしくはその他の光の変調ビームまたはその他の形の光によって選択的に露光され、その後、表面に均一に塗布された化学剤によって現像されることができる、1つ以上の感光性材料を含んでよい。例えば、光ベースの材料の写真乳剤を使用してよく、その中でも銀ベースのハロゲン化合物が良好な例である。
【0138】
(複数パス)
一実施形態において、RMAは、スキャンおよびプリントをほとんど同時に行い、皮膚の上に複数パスを作ることによって皮膚に塗布され得る。いくつかの利点は、複数パス塗布を使用することに起因する。当業者には公知であるように、複数パスによって画像をディザリングするまたはぼかすことが可能になるため、マイクロレジストレーションの問題が削減され得る。例えば、複数パス塗布は、皮膚に対する毛の効果を取り除くのに有用である。
【0139】
また、RMAの複数パス塗布は、皮膚にRMAを同化させる時間を与え、一部の種類の皮膚はその他の皮膚よりもよく吸収するため、これは特に重要である。
【0140】
複数パス塗布のためのプロセスは、RMAの部分塗布を行い、その後、当該部分塗布を受けた皮膚のエリアを再度スキャンすることである。RMAのさらなる塗布を行ってよく、美的目的に近づくために、またさらなる複数パススキャンおよび塗布が行われ得る。
【0141】
(ドロップ制御塗布技術)
物質は、「流量制御」デバイスを用いて塗布され得る。これらの流量制御デバイスは一般に、物質の個々の液滴が制御される「ドロップ制御技術」、または「非ドロップ制御技術」として特徴付けられる。
【0142】
噴霧デバイスおよび静電噴霧デバイスは、液滴が全体としてのみ生じ制御される、非ドロップ制御技術である。噴霧デバイスでは、多くの場合、比較的大きいエリアにわたって平滑な塗布を生じさせるために、個々の液滴制御の欠如、つまり「ランダム性」が望ましい。対照的に、本発明においては、RMAの量および留置について極めて特異的な制御を提供することが望ましい。
【0143】
ドロップ制御の例としては、必要に応じて液滴を送達するために物質の流れが正確に制御される「微細流量制御」、および「インクジェット技術」が挙げられる。旧式のインクジェット技術は、液滴を通過させるまたは溝の方へ偏向させるように交互に帯電する静電偏向板を通って帯電液滴の連続流を供給することを含む。この技術は、インクジェットプリンタの基礎となる原設計であった。
【0144】
その他のインクジェット技術としては、Hewlett Packard社が提供する熱デバイス等の「ドロップオンデマンド」、ならびにEpson社およびその他のプリンタメーカが提供するような圧電素子が挙げられる。本発明の一実施形態において、ドロップオンデマンド技術は、液滴の帯電と組み合わせられる。
【0145】
本発明の別の実施形態は、帯電した液滴をスキャンした方向のビームに送達する方式で旧式のインクジェット技術を使用することである。現代のインクジェットプリンタは、限られた距離にわたって平面上にプリントするために最適化されている。本発明は、寸法の決まった表面である皮膚の上にプリントするものであり、多くの場合、液適用のより長い投射距離を必要とする。このより長い投射距離は、帯電液滴によって可能なものよりも良好な液滴の目標によって容易になり得る。例えば、ドロップオンデマンド技術は、顔面にある斑に一滴の白色顔料を画素レベルの正確さで塗布するために使用され得る。
【0146】
本発明の別の実施形態において、微細流量制御技術等の非インクジェットドロップ制御技術が使用される。
【0147】
上述のように、本特許明細書において、「インクジェットプリンタ」という語句は、インクジェット技術のあらゆる形を簡潔に表すために使用されるものである。
【0148】
一実施形態において、インクジェットプリンタは、300dpi(11.8dpmm)の解像度でプリントして、皮膚の表面にRMAを塗布するために使用され得る。
【0149】
一実施形態において、インクジェットプリンタは、塗布の速度を上げるために複数のプリンタヘッドを有し得る。ロボット工学によって本体を旋回させることもできる。
【0150】
RMAの塗布を望ましい噴霧範囲に制御することが望ましい。一例において、インクジェットプリンタは、約1/8インチ(3.2mm)という望ましい噴霧距離を有する。図26に示すように、カップ等、当該望ましい噴霧距離を維持するために、皮膚の表面においてプリンタ要素を案内する様々な技術が使用され得る。
【0151】
一実施形態において、インクジェットプリンタのヘッドは、皮膚上の毛を一様に且つ固定パターンに保ち、毛を平滑化するための櫛状部を有する。
【0152】
(劇的に増大した正確さ)
美的目的のために、知覚される改善の一方向における小さな変化は、知覚される非常に大きい改善をもたらす場合が多い。ヒトは、画像または画像の一部における差異を、強度の差異の二乗の関数として知覚することができる。これは、力は電圧もしくは電流等の強度の直接測定の、または、電磁波における磁気もしくは静電等の電界強度の二乗である、という共通理解において見られる。一般には平方根に基づいてそれらの正味効果に二乗として追加させる、無相関の源の間における位相整合のランダム性によって、統計的にこれを導くこともできる。例えば、第一の画像が、第一の強度の注意を逸らさせる、望ましくない特性を有し、第二の画像が半分(1/2)のみの強度の当該注意を逸らさせる特性を有する場合、ヒトの目には、第二の画像が約四分の一(1/4)の当該注意を逸らさせる特性による損傷を有するように見えることになる。これは、本発明において外観における実質的な改善を可能にする要因の1つである。染料は、ヒトの皮膚の部分間における強度の差異を削減する方式で、意図的且つ正確に塗布され得る。穏やかにではあっても、皮膚の欠点を削減することにより、「外観」は実質的に改善され得る。三色とは対照的に単色が、または高解像度プリントとは対照的に中解像度プリントが、または欠陥の全補正とは対照的に部分補正が、視覚的に実質的な補正を提供する理由はこれである。
【0153】
一実施形態において、染料は、ヒトの目の解像度と同等の正確さで塗布され得る。例えば、10インチ(254mm)の距離における20画素/ミリメートルの解像度は、約500ドット/インチ(20dpmm)である。これは、良好な照明条件および強い純粋な白黒コントラスト下においてヒトの目が持つ解像度の実用限界である。しかしながら、多くの場合、この高解像度は必要なく、カメラおよびプリントシステムの技術要件を緩和している。
【0154】
(実施形態の詳細な説明−マッピングベースの改善)
(実施例−皮膚のマップを生成する)
この例は、皮膚のマップを生成し、当該マップを解析して補正計画を生成し、当該補正計画を実行するための、1つの方法を実証するものである。
【0155】
(ステップ1−皮膚をスキャンし、皮膚のマップを生成する)
この例において、初回に皮膚をスキャンして収集されたデータから、皮膚のマップが生成される。
【0156】
この例において、皮膚のマップを作成する一般的なプロセスは、フレキセルをスキャンすることによってデータを得るステップと、続いてマップを作成するために当該データを処理するステップとを含む。この例において、処理するステップは、基準座標系に対するスキャンデバイスおよびフレキセルの位置を決定するステップと、複数の波長におけるフレキセルの反射特性を決定するステップと、座標系に対するフレキセルの傾斜または配向を決定するステップとを含む。続いて、フレキセルおよびその隣接物に関する情報は、顔等の身体の一部に対するフレキセルの位置に微調整を行うために処理され、それによってマップが生成され得る。この微調整は、認識された顔の特徴に対するフレキセルを参照すること等によって、フレキセルの基準を顔とすることを含む。
【0157】
(a.データ表現)
フレキセルを表すデータ表現の例を、以下に示す。
[(x,y,z,α,β,γ),
(x,y,z,α,β,γ),
{(refl),(refl),(refl),(refl),(refl)}]
この例において、(x,y,z,α,β,γ)および(x,y,z,α,β,γ)は、スキャナセンサおよびフレキセルの、座標系に対する位置および角度配向を表す。
【0158】
(b.センサまたは座標系に対するフレキセル位置)
データ要素(x,y,z,α,β,γ)は、センサからフレキセルまでの距離を表すものであってもよいし、基準座標系に対するフレキセルの絶対位置および配向であってもよい。一例において、フレキセルからスキャナまでの距離の決定は、2ステップで行われることができる。第一のステップは、皮膚からのセンサの一定高さ等、ほぼ機械ベースの測定であってよい。第二のステップは、微調整を提供するための、光学的な一次導関数測定であってよい。一例において、微調整は表面からの角度を測定することによって計算される。別の実施形態において、微調整は、2つの光源を使用して、センサによる検出のために2つの基準点または格子を送出することによって行われることができる。
【0159】
(c.反射率および照度のデータならびに計算)
データ要素{(refl),(refl),(refl),(refl),(refl)}は、周囲照明条件下のものと、LED等、4つの光源のそれぞれについてのフレキセルを表す反射データを表し、考察を容易にするため、当該データを適宜、北(N)−南(S)−東(E)−西(W)と表す。3つの源等、その他の数の光源を使用することもできるが、4つの光源であると計算が簡易化される。(refl)は、反射率測定のための1つ以上のデータポイントを表す。
【0160】
フレキセルデータを処理して各光源の反射率および照度を決定することができ、当該情報は、反射率および表面形状を決定するために使用され得る。
【0161】
一例において、反射率はすべての測定結果の平均値(averageまたはmean)である。照度は、LED等の光源の、既知の輝度から決定され得る。
【0162】
(d.フレキセル配向)
2本の直交軸に対するフレキセルの傾斜を決定することにより、フレキセルの配向を決定することができる。フレキセルおよびその隣接物の配向は、皮膚の実際の局所的な表面テクスチャを示すものである。本発明の一態様は、局所的な反射特性および局所的な表面テクスチャの両方を測定し補償するための能力である。
【0163】
この例では、北、南、東、および西と表される4つの光源がある。センサは、各光源がオンになり、その他の源がオフである際に、データを得る。センサは、4つの光源のうちいずれもオンになっていない際に、周囲照明のデータを得ることもできる。
フレキセルの傾斜は、北測定結果と南測定結果とを比較することによって決定され得る。これら測定結果の間の差異は、北−南軸に沿ったフレキセルの傾斜に関連している。東測定結果と西測定結果との間の差異は、東−西軸に沿ったフレキセルの傾斜に関連している。
【0164】
(e.導かれた値のデータ表現)
フレキセルからのデータを表す理想的なデータ表現を以下に示す。データストレージ要件を削減するために、様々な圧縮方法が使用され得る。この例においては、データを登録してマップを作成する方法を実証するために、各データ要素を完全セットとして示す。
フレキセルデータ[(x,y,z)
NS傾斜,
EW傾斜,
(R,G,B視覚色のアルベド),
取得時間]
(x,y,z)は、座標系に対するフレキセルの位置を表す。
NS(南北)傾斜は、EW(東西)軸に対するフレキセルの傾斜を表す。EW傾斜は、NS軸に対するフレキセルの傾斜を表す。
【0165】
(R,G,B視覚色のアルベド)は、赤色、緑色、および青色スペクトルにおけるフレキセルの測定された反射率を表す。本発明の一態様は、複数の波長についてデータを得ることができ、皮膚の特徴を識別する上で当該異なる波長データが有用であることである。
【0166】
ヒトの目には、反射率およびトポロジの両方が見える。本発明の一実施形態において、反射率およびトポロジの両方についてデータが得られる。
【0167】
(ステップ2−フレキセルの群を登録する)
第二のステップは、複数のフレキセルからのデータの意味を把握することである。
当該例のこの部分は、衛星または空中写真から地表面をマッピングする際の問題に類似している。空中写真の場合、実際の地表面を反映するよう画像を適切に重ね合わせるために、多数の写真が、わずかに拡大縮小、回転、および/または変換される。続いて、適切に重ね合わせられた画像から、マップを生成することができる。
【0168】
本実施例において、複雑性の一因はわずかに異なる取得時間でデータがキャプチャされるため、皮膚の動きおよび計算された位置のわずかな誤差を補償する必要があることである。
【0169】
この動作態様は、ゲームアプリケーションにおけるモデリングに類似している。ゲームにおいて、身体のモデルは、当該身体が骨格に関連し得るように、骨格のモデルを含み得る。骨格に最初に適用され得るのは動きであり、続いて、骨格の位置を知り、骨格と身体との関係を知ることから身体の動きが計算され得る。本発明において、身体の形状が決定している点で問題は逆であり、測定中に動作を補正することが望ましい。
【0170】
(a.フレキセルをマップにマッピングする)
この例においては、フレキセルまたはフレキセルの群をマップ上の位置と関連付けることが望ましい。例えば、フレキセルは顔の一部であってよく、マップは顔の理想的なマップである。
【0171】
顔の場合、モデルは、無表情な姿勢の硬質で直立の顔であってよい。
【0172】
一実施形態において、塗布される複数の染料それぞれについて望ましい量の決定は、
・初回に皮膚のマップを生成すること
・当該マップを解析して補正計画を生成すること
によって行われる。
【0173】
続いて、スキャナおよび染料塗布器を含むデバイスを用いて皮膚上に複数パスを作ることにより、第二回に補正計画を実行する。スキャナは、塗布器の位置を決定するため、および、各パスの当該位置にどの程度の量の染料がさらに必要であるかを決定するために使用されるデータを提供する。補正計画は、皮膚の各小部分に塗布される染料の総量の計算を提供する。一例において、染料の一部は、皮膚上にある複数のパスのそれぞれに塗布される。
【0174】
(実施形態の詳細な説明−方法例)
本発明の実施形態を説明するために、ヒトの皮膚の下記エリアの改善プロセス用の例を以下に示す。
・顔
・脚
・胸
(顔を改善する)
(顔における望ましくない特性と望ましい特性)
図13は、いくつかの特性を持つヒト顔面235を表す。
・淡斑408
・雀斑410
・傷等の不均一性412
図14は、本発明によって使用され、上述したスキャンプロセスに起因する、図13に示す顔の2D表面マップ232の表現を示す。この図14中の2D表面マップ232は、パターン認識によって識別され得る、上記で列挙した特性を留める。
・淡斑408
・雀斑410
・傷等の不均一性412
顔の形状をキャプチャするために、2D表面マップ232は一般に奥行きの表現を含むことに留意されたい。
【0175】
上記に示した魅力の原理に従って図13に示すそのような顔235を改善するためには、淡斑408および不均一性412等の望ましくない特性を、視界から削減または消去することが望ましい。同時に、若々しい皮膚の特性であり得る雀斑410等の特性の外観を留保する、またはさらに増強することも望ましい。望ましくない特徴と望ましい特徴の両方をメイクアップで覆う傾向がある従来の化粧品技術と異なり、本発明は、両者を区別し、それらを適切に処置することができる。
【0176】
(スキャンされた画像を空間周波数帯域に入れる)
図31のステップ606に示し以下で説明するように、一実施形態において、塗布アルゴリズム230は、特性の識別を可能にするために、スキャンされた画像を空間周波数帯域に入れる。
【0177】
図16A〜Eは、データが空間周波数帯域に入れられた後の、図14に示す2D顔面232のパターンを表す。
【0178】
(アルベド)
図16中の最上部の帯域は、2D表面マップ232の実際の「アルベド」を表す。実際のアルベドグラフにおける上昇は、淡斑408を識別するものである。同グラフにおける深い急落は、傷等の不均一性412を識別するものである。また、不規則なセクションは、雀斑410を識別するものである。
【0179】
(照度(シェーディング))
2D表面マップ232の実際の照度(シェーディング)も、空間周波数帯域によってグラフ化している。
【0180】
特徴認識
図15は、パターン認識により、
・毛髪422
・眉424
・目426
・頬骨428
・鼻430
・口432
・顎434
等、スキャンされた2D表面マップ232内の特徴も識別できることを示す。
【0181】
そのような特徴を識別することにより、塗布アルゴリズム230は、それらの特徴に改善を行うか否かを決定することができる。例えば、通常、目426にRMA264をプリントすることは望ましくない。したがって、塗布アルゴリズム230は、目426を表すエリアを、改善の検討から除去することができる。
【0182】
(追跡)
塗布アルゴリズム230は、皮膚のエリア302において、例えば図3に示すもののような塗布デバイス246の位置を追跡するためのパターン認識を使用することもできる。
【0183】
上述したように、化学マーカーは、マップの作成を支援するためにスキャン中に皮膚のエリアに塗布され、皮膚のエリア302を持つマップのその後の追跡を可能にすることができる。例えば、紫外線マーカーが使用され得る。
【0184】
(特徴を理想的な特徴と比較する)
塗布アルゴリズム230は、マッピングされた身体的特徴を、図2に示す特徴ライブラリ274中の理想的な特徴と比較し、当該比較を使用して、特徴を変性させることができる。例えば、塗布アルゴリズム230は、望ましくはより高くなった理想的な頬骨と一致させるために、頬骨428の下のエリアを黒くすることができる。
【0185】
したがって、塗布アルゴリズム230は、図2に示す特徴ライブラリ274中に確立された、スキャンされた特徴の国際的ガイドラインに当てはまり得る。
【0186】
(実際の深度を決定する)
皮膚のエリア302をスキャンすることにより、実際の深度が提供される。
【0187】
(目標深度を決定する)
一実施形態において、目標深度は、実際の深度のみの低い空間周波数であり得る。しかしながら、美学は、さらなる数学的または手動の入力によってさらに彫りを深くすることを指図し得る。目標深度は、知覚された深度またはテクスチャに対する照度の効果を包含し、入射光の量および角度に関連する。
【0188】
(ローパスフィルタを実行する)
一実施形態において、平滑化を達成するための目標深度を決定するために、1/2インチ〜1インチ(12.7〜25.4mm)の波長でローパスフィルタが実行され得る。
【0189】
(実際の照度を決定する)
実際の深度および目標深度の両方が、深度の一次導関数、つまり勾配として、表面角度に転換される。続いて表面角度は、ゲームまたはアニメーショングラフィック等のアプリケーションにおける3Dモデリングでよく理解されるように、表面の照度に転換される。一般に、想定される照射角度および拡散は、ヒトの皮膚に達する平均的な光である。
【0190】
(目標照度を決定する)
目標反射率はここでも、単純に実際の反射率のローパスバージョンとして、アルゴリズミによって導かれ得る。しかしながら、数学的または手動の入力によって、さらなる美的属性が追加され得る。
【0191】
(実際のアルベドを決定する)
実際のアルベドは、上述したように、塗布デバイスのセンサによって決定される。
【0192】
(目標アルベドを決定する)
目標アルベドは、上記で説明した補正の原理によって決定される。
【0193】
この例においては、全身の平滑化が実行され、特異的な特徴補正が実行される。例えば、淡斑は黒くされ、雀斑は保持され場合によっては鋭角化され、傷は、皮膚を全体的に黒くすること、および傷の上の明るいエリアを特異的に黒くすることによって、少なくとも部分的にカムフラージュされ得る。
【0194】
目標アルベドは、平滑化および特徴補正を計算した後の、知覚される望ましい反射率である。
【0195】
その他の例において、目標アルベドは、顔の一部を他の部分に対して黒くする等の芸術的戦略を含み得る。
【0196】
(美的目標を適用する)
一実施形態において、人間の観測者は、美的改善を達成するために、コンピュータ画面、キーボード、およびマウス等、スキャンされたエリアの実際の深さにおいてさらなる変調を行うための手段を任意で使用し得る。
【0197】
(改善された顔の外観)
図17は、図13に描かれた顔面235の外観の、RMAの塗布による改善の例を示す。図13に示されている淡斑408および不均一性412は、図17では除去されている。しかしながら、雀斑410は、多様性の魅力的なパターンとして図17中に留保されている。
【0198】
(単一パスまたは複数パスシステム)
(単一パス)
十分な演算能力があるため、塗布デバイス246は、データをスキャンすることおよびRMA264を塗布することの両方のために、皮膚のエリア302全体にわたって1つのパスを作るだけでよいであろう。
【0199】
(顔料)
図21に示す任意の顔料パス1 368および任意の顔料パス2 370は、エリアを明るく見せるために、それらのエリアにおいて実行され得ることに留意されたい。そのような場合、陰性染料372ではなく、白色等の淡色の顔料が使用され得る。その他の実施形態において、皮膚を明るくするために、淡い顔料を塗布するよりもむしろ、漂白剤または酸化剤が使用され得る。この例において、吹き出物または静脈等の暗斑は、顔料の塗布によって明るくされる。
【0200】
(複数パス)
一実施形態において、ユーザは、皮膚のエリア302上で塗布デバイス246を何度も移動させる。続いて、塗布システムは継続的にスキャンし、各パスの後に新しい2D表面マップ233を作成し、当該2D表面マップ233を継続的に使用して、皮膚のエリア302のランドスケープを識別、および各パスによって新しいプリント可能な改善画像234を計算し、RMA264の一部のみ、例えばRMA246の10%〜20%を、各パスに塗布する。複数パスの使用は、このようにして、塗布システム200にRMA264の部分塗布を行わせ、当該塗布の結果を見せ、次いでさらなる改善のために別の部分塗布を行わせる。これらのパスの連続は、望ましい結果の精度を確実に増大させることができる。また、複数パスにおけるRMA264の塗布は、筋状になる可能性を削減し、有効性をより高めるために塗布と塗布の間でRMA264を乾燥させる。
【0201】
図21は、プリントされていない表面366にプリント可能な改善画像234(厳密な目標)を適用するために、複数パスがどのように使用され得るかを示す。陰性染料372、つまりエリアを黒くするようにヒトの目に見えるRMAでエリアを黒くするために、染料パス1 360が実行され、それによって陰性染料372の一部が塗布される。その後、さらに陰性染料372を塗布するための染料パス2 362が、次に、またさらに陰性染料372を塗布するための染料パス3 364が、実行される。複数パスにおいて染料を塗布することの1つの利点は、スキャンまたはプリントにおける誤差が平滑化される傾向にあることである。さらに、誤差は平滑化されるのみならず、ヒトがするのと同じようなフィードバック、例えば、第一のパスにおいて生じた誤差を第二のパスにおいて補正することによって補正される。別の利点は、皮膚全体の色において望ましくない急変がないように、エッジ効果が和らげられる傾向にあることである。
【0202】
上述したように、任意の顔料パス1 368および任意の顔料パス2 370は、エリアを明るく見せるために、それらのエリアにおいて実行され得ることに留意すべきである。そのような場合、陰性染料372ではなく、白色等の淡色の顔料が使用され得る。その他の実施形態において、皮膚を明るくするために、淡い顔料を塗布するよりもむしろ、漂白剤または酸化剤を使用し得る。
【0203】
(重複エリア)
本発明のいくつかの例において、エリア上に塗布器の複数パスを作ることが望ましい。一般的な場合、塗布器がその後のパス内のエリアに交差すると、いくつかのフレキセルが初めて見えることになり、他のフレキセルは前の第一のパスを有しており、さらに他のフレキセルは前2つのパス等を有していることになる。各フレキセルが何度通過したかを追跡することが望ましく、その結果、この情報は望ましい量のRMAを塗布するための制御アルゴリズムに含まれ得る。
【0204】
第一のパスにおいて、目標堆積物の50%のRMAを補正することが望ましい場合がある。第二のパスの観測段階において、望ましい補正のおよそ50%、塗布が発生していることに気付くことができる。これが60%に見えたと仮定すると、補正されずに残っているのは40%のみであり、また、皮膚のこの部分は、RMAに対して6/5強い反応で効果を示していることがここでわかる。したがって、計算によると、第二のパスで望ましい効果を獲得するためには、5/6×4/5=2/3のみのRMAが必要ということになる。代わりに、アルゴリズムが第二のパスにおいてこれよりも少なく堆積させることを選ぶと仮定すると、第三のパスでは、フィードバックによる望ましい効果を正確に滴定するために、効率の最終観測および最終計算ならびに最終堆積を行う。
【0205】
複数パスは連続的なスキャン順序であり得、したがって、プローブの頂面側には常に新鮮皮膚が見え、中央部は中間パスを処理し、底部は最終パスのために一片の皮膚を処理することが可能である。より実用的なシステムは、皮膚のフレキセルが処置を受けた回数をソフトウェアが追跡している場合、電気剃刀の動作と同様のランダムな動きを可能にする。音波または触覚フィードバックは、各パス下における効果の完了に応じて電気剃刀が音を変えるように、各フレキセルについての完了を示すことができるであろう。
【0206】
前の塗布パスの縁と正確に一致させることは概して実用的でないため、塗布器の端部がパスの中央部よりも弱いRMAの塗布を行うことも概して望ましい。例えば、このページ上で塗布器が左から右へ移動された場合、パスのより良好な重複を提供するためにその後のパスでそれらのエリアにさらなるRMAをプリントする機会があるように、プリントヘッドの最上部分および底部分によって、計算されたよりも少ない量のRMAが塗布されるであろう。皮膚に対して異なる配向の各パスに、毛髪、皮膚のテクスチャ、または皮膚の引っ張り歪みによる測定結果または堆積のばらつきを任意に抽出させ、同じ経路を反復させないことも望ましい。例えば、第一のパスが左から右へ行われた場合、第二のパスはわずかに時計回りに傾斜され、第三のパスはわずかに反時計回りに傾斜されるであろう。
【0207】
(改善プロセスの概要)
図46は、一実施形態において、ヒト顔面を含む皮膚のエリア等のオブジェクトを視覚的に改善するための、本発明の一実施形態の一般的なプロセスを示す。「目が見ているもの380」は、皮膚のエリア302についてスキャンされたデータを表す。光学的観点から、このデータは以下を含む。
・アルベドG1−皮膚のエリア302の表面からの反射率の程度
・照度G3−皮膚のエリア302の照度G3の程度
・深度G5−スキャナまたはその他の基準点から測定されている皮膚の部分までの距離
・測定されている皮膚の部分の「傾斜」または配向。この配向は、隣接する皮膚のエリアからの情報と組み合わせると、皮膚の表面形状を表す。
【0208】
「あなたが見たいもの382」は、「目が見ているもの380」をより魅力的なものにし得る改善を表す。この改善は、数学的におよび任意で手動視覚補正によって計算でき、以下を含む。
・目標アルベドG2−皮膚のエリア302の表面からの反射率の、より魅力的な程度
・目標照度G4−皮膚のエリア302の照度G3の、より魅力的な程度
・目標深度G6−スキャナまたはその他の基準点から測定されている皮膚の部分までの、知覚される望ましい距離。注:一実施形態において、適用される補正は、皮膚の局所的エリアの知覚された反射率を受けて染料の混合および量が決定されるような透明な染料の混合物であり、これは、実際の反射率および表面形状の両方に関連する。このように、補正により、望ましいRMAを塗布して実際の反射率を補償し、シェーディングを適用して表面特徴を隠す、または改善する。
【0209】
一実施形態において、目標アルベドG2、目標照度G4、および目標深度G6を作成するための数学的計算は、中間周波数フィルタリングによって実行され得、特定の有効性を持つ。
【0210】
上記に示した魅力の原理に従って「あなたが見たいもの382」を計算することにより、皮膚のエリア302をより魅力的にするために、皮膚の当該エリア302にプリントするためのプリント可能な改善画像234が作成され得る。
【0211】
(改善プロセスにおけるステップ)
図33は、一実施形態において、本発明の改善技術を達成するためのプロセスにおけるステップを示す。
・図33のステップ7100−パターン認識を使用して、スキャンされたエリアの身体的特徴をマッピングする
・図33のステップ7200−スキャンされたエリアの実際の深度を決定する
・図33のステップ7300−スキャンされたエリアの目標深度を決定する
・図33のステップ7400−スキャンされたエリアの実際の照度を決定する
・図33のステップ7500−スキャンされたエリアの目標照度を決定する
・図33のステップ7600−スキャンされたエリアの実際のアルベドを決定する
・図33のステップ7700−スキャンされたエリアの目標アルベドを決定する
図34は、図33のステップ7300を達成するためのプロセスにおけるステップを示す。
・図34のステップ7310−ローパスフィルタを実行する
・図34のステップ7320−マッピングされた身体的特徴を、特徴ライブラリ274中の理想的な特徴と比較する
・図34のステップ7330−パターン認識を使用して、望ましい特性を保持する
・図34のステップ7340−美的目標を適用する
図35は、図33のステップ7500を達成するためのプロセスにおけるステップを示す。
・図35のステップ7510−ローパスフィルタの微分を実行する
・図35のステップ7520−美的目標を適用する
(脚を改善する)
(2D脚における望ましくない特性と望ましい特性)
図18は、以下の望ましくない特性および望ましい特性をもつヒト脚237の説明図を示す。
・セルライト414
・自然な色差416
・静脈瘤418
・老斑420
脚237に改善をプリントするために使用され得るプリント可能な改善画像234を表すものを含む、これらの特性を表すスペクトル帯域も示されている。説明を簡易化するために、2D皮膚マップは、皮膚の表面全体にわたる点線を辿った1Dグラフとして描かれている。
【0212】
この線に沿った実際の深度がグラフ化されている。また、目標深度が得られる。目標深度は、実際の深度のみの低空間周波数であってよい。しかしながら、美学では多くの場合、美容術において既知であるように、さらに彫りを深くすることが指図される。
【0213】
実際の深度および目標深度の両方が、深度の一次導関数、つまり勾配として、表面角度に転換される。続いて表面角度は、ゲームまたはアニメーショングラフィック等のアプリケーションにおける3Dモデリングでよく理解されるように、表面の照度に転換される。一般に、想定される照射角度および拡散は、ヒトの皮膚に達する平均的な光である。
【0214】
皮膚にプリントすることは、表面深度にほとんど影響をもたらさない。しかしながら、シェーディングをプリントすることによって、深度の錯視が得られる。セルライトは、約6インチを超える距離においては、実際には立体的に知覚されない。ヒトの目は、主にシェーディングによってセルライトを知覚する。
【0215】
日焼けがどのようにして皮膚に達する平均照度とは逆の、したがって平均的シェーディングとは逆の色素沈着を生じさせ、それによって日焼けしたヒトの身体をより滑らか且つ魅力的に見せるか留意されたい。刷り込みタイプの日焼け液は光に対する皮膚角度に敏感なこの特性を有さないため、同じ魅力を提供することができないことに留意されたい。
【0216】
脚の例では、色素沈着および静脈瘤も示している。目標反射率はここでも、単純に実際の反射率のローパスバージョンとして、アルゴリズムにより導かれ得るが、老斑を排除しながら、既存の色素沈着と協調し得る雀斑等のさらなる美的属性が追加され得る。膝頭の黒ずみ等、その他の選択された特徴も含み得る。
【0217】
目標反射率曲線および実際の反射率曲線は、各色を別々に表し得ることを理解すべきである。例えば、静脈瘤は青色または赤色であり得、一方、色素沈着はオレンジ色であり得る。したがって、各色は、プロセスカラーであるシアン、マゼンタ、およびイエロー等のカラーインクを使用して、単独で補正される。
【0218】
人間の観測者によって脚から視覚化された知覚光は、照度*反射率(アルベド)である。実際には、実際の照度*実際の反射率であるが、目標照度*目標反射率となるのが望ましい。したがって、実際の値から目標の値にするために、掛け合わせた(または染料)画像を皮膚上に堆積させる必要がある、すなわち、
転換された目標角度 目標反射率
転換された実際の角度 実際の反射率
ここで、「転換された目標角度」は、平均照度を想定して標準的な照度に転換された目標角度であり、「転換された実際の角度」は、平均照度を想定して標準的な照度に転換された実際の角度である。これは、プリント可能な改善画像234として示される目標修正を提供する。別々の目標修正は、プリントする各色、一般に赤色、緑色、および青色について、シアン、マゼンタ、およびイエローの順で導かれ得る。
【0219】
染料によって実現可能なのは概して皮膚を黒くすることのみであるという問題が生じる。(その他の実施形態においては、エリアを選択的に明るくするために、限られた量の増白染料または漂白剤を使用することが可能である。)したがって、急場しのぎの方法として、皮膚のより多くが補正可能となるように、目標塗料がシフトされる(点線)。これは、より日焼けした外観のためにより低い目標反射率を選ぶことと同等である。
【0220】
脚における青い静脈瘤等のいくつかの細部は、適度なオフセットがあっても依然として補正範囲外である場合がある。これらの細部は、正しい色を提供するために染料を重ねてプリントするよりも、淡い顔料を小エリアに堆積させることによって補正され得る。あるいは、端点は補正されないままでもよい。補正されない点の相対誤差は、隣接する皮膚がやや黒くなっている場合、ほとんど目立たないままである。
【0221】
図19は、本発明によって改善された後のヒト脚238の説明図を示す。図18に示す以下の望ましくない特性が、視界から削減された。
・セルライト414
・静脈瘤418
老斑420
しかしながら、膝頭の3D品質を可視にする役割を果たす、望ましい自然な色差416は、残っている。
【0222】
(胸を改善する)
図20は、差異346を決定することにより、平均照度340下において、実際の3D表面342からの胸239の知覚を美的目標344に変更する例を示す。この差異を近づけるためにRMAを塗布することにより、胸の知覚される外観を変化させることになる。
【0223】
(単一パス平滑化例)
図37は、皮膚のための単純な平滑化の例を表す。腕のエリア等、皮膚のエリアは、ステップ900において複数のフレキセルに分けられる。ステップ910において、フレキセルの少なくとも1つの光学的属性が決定される。当該光学的特性は、Rとして表される。視覚的特性の各範囲に塗布するための反射変性剤の量を提供するルックアップテーブルがある。ステップ930において、当該ルックアップテーブルから塗布されるRMAの量が決定される。ステップ940において、望ましい量のRMAを塗布し、それによって皮膚のエリアの外観を変更する。この単一パスの例では、皮膚のマッピングを必要としない。
【0224】
(複数パス平滑化例)
図38は、皮膚の複数パス平滑化を表す。同図において、反射変性剤の一連の塗布により、望ましい反射率Rに近くなる。ステップ900において、実際の初期反射率はRと決定され、当該値は、第一のパスにおいて塗布されるRMAの第一の量Qを提供する。RMAの第一の量Qの塗布は、反射率をRからRに変更する。第二のパスにおいて、Rは、塗布されるRMAの第二の量(Q)を決定するためにルックアップテーブル内で使用される。第二の量が塗布されると、反射率がRに変更される。第三のパスにおいて、Rは、RMAの第三の量(Q)を決定するために使用される。結果として生じる反射率Rは、望ましい反射率に近い。パスの数は3に限定されるものではなく、その数より多くても少なくてもよい。
【0225】
(顔面マップの例)
図39は、顔面マップの例を表す。この例において、顔の皮膚は、上述のように複数のフレキセルに割り当てられる。フレキセル位置が決定および特定され、個別のフレキセルを表す位置データがあるように記録されることを除き、上述と同様にステップ910において光学的属性が測定される。個別のフレキセルを表すデータは、センサ位置と、フレキセルの位置と、1つ以上の光学的属性とを含む。光学的属性は、ステップ920において、フレキセルの反射率、位置、および配向を決定するために使用され得る。その結果、各フレキセルは実際の反射率等の初期特性を有する。フレキセルは、望ましい反射率、および1つ以上のパスにおいて塗布されるRMAの量等、望ましい最終特性も有する。RMAの量は、ステップ940において決定される。望ましい反射率は、皮膚の平滑化、中間周波数特性を除去するためのフィルタリング、特徴認識および特徴改善、ならびに一般的な芸術的スキーム等の改善戦略から決定される。RMAの望ましい量は、望ましい反射率と実際の反射率との間の差異から決定される。
【0226】
(LED配置)
図40Aは、センサおよびLED配置の概略である。この例において、センサは、北、南、東、および西と表される4つのLEDの軸に沿って設置される。
【0227】
図40Bは、LEDが一般にセンサの下にある皮膚上の点へ向けられることを示す断面図である。一般に、LEDおよびセンサは筐体内に設けられ、当該筐体は、いくつかの応用において、フレキセルにより多くの拡散光または関節光を提供するために反射特性を有し得る。その他の応用において、フレキセルの傾斜を決定するために、光を直接フレキセルに配向することが望ましい。
【0228】
深度は、LEDによって異なる角度から投影されるシェーディング視差格子によって決定され得る。別の実施形態において、立体アプローチに2つのカメラが使用され得る。
【0229】
(特徴認識)
図41は、単純な特徴認識アプローチを示す。特定のフレキセル「m」およびその隣接するフレキセルを示すフレキセルマップが表されている。各フレキセルのデータは一般に、フレキセルの時間、位置、反射率、および配向を含む。図の反射特徴の部分において実証されているように、情報はグラフを用いて表されることができる。ステップ910において、光学的属性を測定するために、皮膚をスキャンする。ステップ920において、スキャンから、反射率等の視覚的特性を決定する。ステップ921において、観察者によって知覚されるような実際の視覚的特性を提供するために、顔面マップを生成する。ステップ922において、特定の被験者についての局所的特徴およびパラメータを識別するために、フレキセルデータをレビューする。パラメータの例は、当該被験者における読み出しの範囲であり、当該範囲は正規化またはその他のデータ操作において使用され得る。ステップ924において、改善戦略を適用する。ステップ925において、改善マップが提供される。当該改善マップは、その視覚的特性を変更するために、特定のフレキセルに塗布するRMAの量を含む。
【0230】
図42は、顔面の一部を表すフレキセルマップを示す。この図は、吹き出物、フレキセル、淡斑、および傷等の特性を示すものである。それらの特性のそれぞれは、図中、複数のフレキセルを持つ拡大された位置に示されている。これらのエリアは、様々な皮膚の特徴が持つ既知の特性から数学的に表され検出されることができるため、特徴認識は数学的解析によって自動的に実行され得る。
【0231】
(芸術的戦略)
図43は、単純な芸術的戦略の一例を表す。顔面のフレキセルマップが生成されると、様々なシェーディング戦略または全体的な広範囲の戦略が外観に提供され得る。例えば、1つの戦略は、淡色の目と淡色の頬、または淡色の目と濃色の頬、または濃色の目と淡色の頬、または濃色の目と濃色の頬等、顔面の上部または下部にある白色または黒色のエリアの選択を伴う。これらの一般的なシェーディング戦略のぞれぞれは、特定の被験者に極めて独特の外見を提供し、被験者の特定の顔の造作、または、当該人物の特定の活動または目的のいずれを表すのにも適切となり得る。この例において、全体的なシェーディング戦略のうち1つが選択され、当該全体的なシェーディング戦略は、上述した中間周波数除去および特定の特徴改善等のフィルタリング戦略と共に適用される。これらの戦略の組み合わせにより、これらのアプローチの複合物である、顔面の望ましい改善マップが提供されるため、組み合わせた方式で補正が適用される。
【0232】
(実施形態の詳細な説明−システム)
(化粧品のための動作環境)
図1は、皮膚のエリア302にRMA264を塗布するために使用される本発明の一実施形態を示す。下記でさらに詳細に説明する以下の要素を備える塗布システム200を、関係者が組み立てる。
・コンピュータ環境100−例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、または携帯型コンピュータデバイス
・スキャナ220−皮膚のエリア302の属性に関するデータを電子的にスキャンする
・塗布の手段240−例えば、インク等のRMA264を塗布するために使用され得るプリンタ
コンピュータ環境200は、以下をさらに含む。
・塗布アルゴリズム230
・ストレージ250−不揮発性データストレージであってよい
・塗布マップ232−皮膚のエリア302への塗布命令を提供するために、塗布アルゴリズム230によって作成される
・プリント可能な改善画像234−皮膚のエリア302への塗布命令のセットである
(Loosely Coupledシステム)
実施形態において、塗布システム200の要素は、離散ユニットを備え得、内部接続を含み得るリンク142および144を介して接続されていてよい。例えば、図2は、皮膚のエリア302への塗布のために疎接続された要素の実施形態を示す。スキャナ220と、プリンタ241と、コンピュータ環境100とは、ネットワーク130ならびにリンク142、144、および146上で通信を行っている。ネットワーク130は、インターネット、プライベートLAN(ローカルエリアネットワーク)、無線ネットワーク、TCP/IP(伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル)ネットワーク、またはその他の通信システムを含んでよく、ゲートウェイ、ルータ、およびスイッチ等の複数の要素を含んでよい。リンク142、144、および146は、ネットワーク130に使用されている技術と互換性がある。
【0233】
特徴ライブラリ274は、例えば目、鼻、口等、パターン認識によって使用するヒトの特徴の特性を格納するために使用され得る。特徴ライブラリ274を使用して、実際の特徴をより魅力的に見せるために使用され得るヒトの特徴の理想的なパターンを格納することもできる。例えば、ヒトの唇の理想的なパターンを使用して、実際の唇をより赤く見せるだけでなく、よりふっくらしているように見せることができる。図1に示す塗布マップ232のために、図2に示す2D表面マップ233が使用される。2D表面マップは、一般に、顔面の形状をキャプチャするために深度の表現を含む。
【0234】
また、皮膚のエリア302に対するスキャナ220およびプリンタ241の位置を追跡するために、機械的または電子的な登録手段270が使用される。
【0235】
(コンピュータと接続されたスキャナとプリンタの組み合わせ)
図3は、塗布デバイス246が、容器262から皮膚のエリア302にRMA264を塗布するためにスキャナ220およびインクジェットプリンタ242を備える、一実施形態を示す。塗布デバイス246もネットワーク130上で通信を行っている。
【0236】
(反射変性剤)
図4は、RMA264がマゼンタ265、イエロー266、およびシアン267のRMAを含み得る、一実施形態を示す。その他の実施形態において、RMA264は、黒色または茶色および白色を追加で含み得る。
【0237】
(塗布デバイス)
塗布デバイス246は、図3に示す携帯型スキャナ220と携帯型インクジェットプリンタ242とを備える。この例において、当該デバイスは、皮膚から1/8インチ〜1/4インチ(3.2〜6.4mm)等の均一な高さに当該デバイスを保持するために、チップまたはカップ等の高さ決定手段を有する。プローブの高度は、数ミリメートル以内の誤差であればよい。当該デバイスは、鏡または2つのカメラを使用する。デバイスは、顔面の150平方インチ(1000平方cm)を覆うために、一般に10のパスを作り、プロセスを完了するために必要な時間は、電気髭剃りに必要な時間に相当する。当該デバイスの長さは、2インチ(50mm)未満である。
【0238】
(携帯型スキャナ)
一実施形態において、携帯型スキャナ220は、スキャンされる皮膚のエリア302の表面に軽く触れるエリアアレイを備える。別の実施形態において、携帯型スキャナは、スキャンされている皮膚の付近の皮膚に触れることなく移動される。スキャン中、センサ内の白色LED光源が光り、皮膚のエリア302に対して、上方からの光と定義されている通常光を適用する。LEDがオン/オフの場合の測定が行われ、光源の寄与を決定するために、2つの測定の差異を減算する。
【0239】
(インクジェットプリンタ)
一実施形態において、インクジェットプリンタ242は、0.001インチの解像度を持つインクジェットプリンタと、RMA264を保持することができる容器262とを備える。一実施形態において、RMA246は透明な染料を含むが、その他の実施形態においては、インクまたはその他の有用な化学物質を含む。一実施形態において、FDA(アメリカ食品医薬品局)に認可されたRMAが用いられる。図4に示すように、RMA264は、以下の色の剤を含んでよい:マゼンタ265、イエロー266、およびシアン267。黒色、茶色、および白色等、さらなる色を含んでもよい。これらの色は、インクジェットプリンタ242がヒトの皮膚のエリアにおいて任意の色を作成することを可能にすることができる。
【0240】
(登録手段)
上述したように、皮膚のエリア302に対するスキャナ220およびプリンタ241の位置を追跡するために、機械的または電子的な登録手段270が使用される。一実施形態において、登録手段270は、加速度および傾斜を測定する加速度計と、三次元におけるオブジェクトの回転を測定し当該回転を制御するジンバルとを備えてよく、これらも塗布デバイス246内に含まれ得る。これらのデバイスは、動きおよび位置決めの制御を支援し、塗布デバイス246の正しい反射角度を維持する。
【0241】
別の実施形態において、登録手段は、高周波数放射を介して局所的に使用される、全地球測位型のサービス(GPS)を備えてよい。
【0242】
さらに別の実施形態において、登録手段は、圧痕をつけるために皮膚の表面に軽く押し付けられる小型の扁平ピンのセットを備えてよい。例えば、当該ピンは、顔のマスクを作るために、顔に押し付けられ得る。フレーム内におけるピンの動きは、3D座標を提供するために機械的に追跡され得る。
【0243】
(携帯型塗布デバイス)
図5に示すように、本発明の別の実施形態は、材料を皮膚に塗布するための複数の要素を備え、外部ネットワークを必要としない、携帯型塗布デバイス260である。携帯型塗布デバイス260の一実施形態では、皮膚のエリア302にインク248を塗布するためにインクジェットプリンタ242を使用する。
【0244】
(曲面を持つ携帯型塗布デバイス)
本発明の一態様は、ヒトの皮膚から画像データを取得し操作することである。一実施形態において、第一のステップは身体の一部のマップを生成するために使用され、当該マップは後に染料を選択的に塗布する特定の計画を生成するために使用される。本発明の一実施形態は、携帯型スキャンデバイスを使用してマップを生成するためのデータを取得することと、携帯型スキャンデバイスを携帯型プリントデバイスと組み合わせて使用して皮膚の領域に染料を選択的に塗布することとである。図30は、ネットワーク上での通信デバイスおよび曲面を持つ携帯型塗布デバイスを介して、材料を皮膚に塗布するために用いられ得る、本発明の実施形態を示す。
【0245】
(マスクまたはヘルメット)
曲面は、例えば、中にヒト顔面を挿入することができるマスクまたはヘルメットと、当該顔面の周りを回る塗布デバイス(スキャナ/プリンタ)とを含み得る。そのような曲面を使用する場合、塗布デバイスがその顔面上における位置および皮膚からの距離を計算することができるように、人工知能およびマッピングによる特徴認識が必要となる。
【0246】
曲面デバイスの1つの利点は、ユーザのアクションも訓練も必要としないことである。別の利点は、塗布デバイスが皮膚よりも上にとどまるため、まだ乾いていないRMAに触れないことである。
【0247】
(ブース)
本発明の別の実施形態は、顔または全身等の皮膚の領域をスキャンするために、ブースまたはワークステーションを使用することである。
【0248】
図27は、ブースを備える塗布デバイス246の一実施形態を示す。この場合、図36に示すように、皮膚のエリア302は、ドア282を通って塗布デバイス246に入る人物の全体を含む。当該人物は、日焼けブースで一般にするように、衣服を脱いでブースに入り、RMAの塗布のために横たわるか、または立っていてよい。スキャナ220と、容器262およびRMA264を持つインクジェットプリンタ242と、登録手段270とを備えるスキャナ/塗布器284は、データを収集し、当該データを解析し、RMAを塗布することによって改善を行うために、当該人物の身体全体を移動するであろう。
【0249】
別の実施形態において、ブースは、人物全体または顔面等の人物の一部を囲い込む、二部シリンダを備え得る。
【0250】
(吸取紙)
図29は、吸取紙を備える塗布デバイス246を用いた一実施形態を示す。当該吸収紙は、上述したように、皮膚のエリア302からほぼ適切な距離を維持するためのカップ280を備える。単一パスまたは複数パスにおける吸収紙塗布デバイス246を皮膚のエリア302全体にわたって移動させる代わりに、ユーザは吸収紙塗布デバイス246を皮膚の小エリア上に置いてそれをそこで一時的に保持し、当該小エリアにおけるスキャン、解析、およびRMAの塗布を達成し、その後、吸収紙塗布デバイス246を隣の小エリアに移動させる。
【0251】
吸収紙塗布デバイス246では、機械的手段は、RMA264の塗布のために、皮膚のエリア302上でプリンタ242を移動させ得る。例えば、図44は、吸収紙を備える塗布デバイス246の反転図を示す。一実施形態において、吸収紙塗布デバイス246は、4つのLED290と、2つのカメラ292と、塗布デバイス246において中心軸の周囲を時計の針のように移動する回転インクジェットプリンタ294とを備える。回転インクジェットプリンタ294は、第二のプリントのために重複エリアに吸収紙を移動させることによってプリントされ得る中心軸のエリアを除く、吸収紙塗布デバイス246のエリア全体にRMAをプリントする。
【0252】
(光源)
図40A〜Bは、反射率および皮膚の配向データを取得するための、LEDおよびセンサのサンプルレイアウトである。
【0253】
一実施形態において、光源が菱形の角に置かれるような4つの光源のセットが使用され、この場合センサは当該菱形レイアウトの中心に位置付けられる。この構成は、表面形状を計算するための数学的解析を簡易化する。
【0254】
一実施形態において、平均照度を用いることが有用である。このために、鏡を含み得る構成において、複数の拡散性または直交する光源が使用され得る。光はストロボライトのように繰り返し光ることができるため、小エリアについて何百もの画像を撮ることができ、平均化して有効性を求めることができる。
【0255】
(塗布システムを化粧品に用いるためのプロセス)
図6は、一実施形態において、塗布システム200を用いるためのプロセスを示す。このプロセスは、下記で詳細に説明する以下の高レベルのステップを含む。
・図6のステップ1000−属性を決定するための皮膚のエリア302のスキャンに基づいて塗布システム200を組み立て、決定された属性と一致するように、またはそれに反して、レジスタ内の皮膚の当該エリア302にRMA264を塗布する
・図6のステップ2000−皮膚のエリア302をスキャンする
・図6のステップ3000−塗布アルゴリズム230を用いてスキャンされたデータを解析する
・図6のステップ4000−塗布アルゴリズム230を用いてプリント可能な改善画像234を作成する
・図6のステップ5000−プリント可能な改善画像234を使用して、皮膚のエリア302にRMA264を塗布する
・図6のステップ5002−任意でステップ2000から5000を繰り返す
(塗布システムを組み立てる)
図7は、一実施形態において、図6に示すステップ1000−塗布システム200を組み立てるステップ−を表すプロセスを示す。当該プロセスは、下記で説明する以下のステップを含む。
・図7のステップ1010−塗布アルゴリズム230を提供する
・図7のステップ1020−コンピュータ環境100において塗布アルゴリズム230を提供する
・図7のステップ1030−コンピュータ環境においてストレージ250を提供する
・図7のステップ1040−皮膚のエリア302をスキャンする手段220を統合する
・図7のステップ1050−RMA264の塗布手段240を統合する
(塗布アルゴリズムを提供する)
1人以上のプログラマが、一実施形態において、図6に概説し上記で説明した本発明の要素およびプロセスを制御する塗布アルゴリズム230を作成する。塗布アルゴリズム230が作成された後、当該アルゴリズムは、図1に示すように少なくとも1つのコンピュータ環境100において使用され得、塗布システム200のその他の要素と統合され得る。例えば、一実施形態において、塗布アルゴリズム230は、サーバを備えるコンピュータ環境100にロードされ得る。コンピュータ環境100は、スキャナ220からのスキャンされたデータ等のデータを格納することができる不揮発性ストレージ250を装備し得る。
【0256】
様々な実施形態において、塗布アルゴリズムは、特徴認識、特徴ベースのルックアップスキーム、または一般的な芸術的目標に基づき得るデフォルト戦略を含み得る。
【0257】
図8に示すように、一実施形態において、塗布アルゴリズム230によって達成される一般的な機能は、
・スキャンによって皮膚の画素レベルマッピングを調整することと、
・特徴認識を提供すること、もしくは、画像改善戦略の手動選択を受け入れることと、
・プリント可能な改善画像234を作成することと、
・所定の改善を実現するために、物質の画素レベル塗布を調整することと
である。
【0258】
(スキャンによって皮膚の画素レベルマッピングを調整する)
塗布アルゴリズム230の主要な機能は、材料300の第一段階のエリアについてスキャンされたデータを解析して当該エリア300の属性の3D塗布マップ232を作成することであり、そのためには材料300の第二段階の塗布が有用となり得る。この機能の要部分は、材料の第二段階の塗布を、材料の第一段階の当該エリアが持つ属性に従って材料のレジスタ内に入れるべきか、またはそれらの属性に反してレジスタに入れるべきかを、塗布アルゴリズム230が各スキャン点で決定することである。この判定は、材料300の第一段階のエリアに何が有用となり利点となり得るかに関するアルゴリズム内の命令に基づくものである。
【0259】
図31は、スキャンを調整するステップに含まれるステップを示す。
・図31のステップ602−スキャナ220によってスキャンを開始する
塗布デバイス246をオンにして皮膚のエリア302上を移動させると、スキャナ220がスキャンを開始する。
・図31のステップ604−スキャンされたデータをコンピュータ環境100へ送る
塗布デバイス246は、そのスキャンされたデータを、リンク144、ネットワーク130、およびリンク142を介してコンピュータ環境100へ伝送する。
・図31のステップ606−スキャンされたデータをストレージ250に格納する
・図31のステップ608−スキャンされたデータを空間周波数帯域に入れる
(プリント可能な改善画像を作成する)
本発明の化粧品の実施形態の目的は、観測者に、ある人物を、実際よりも若く知覚させるために、ヒトの視覚システムの特性を理解し活用することである。これは、画素レベルで実行されるカムフラージュの形と見なされ得る。この目的を達成するための本発明の技術は、皮膚の罹患エリアの細部をすべて一掃するものではなく、皮膚のエリアを本物らしくする、重大な、望ましい細部を留めるものであることに留意することが重要である。この目的を達成するために、本発明は、RMA264の適切な塗布を行うためのプリント可能な改善画像234を作成するために、以下で説明する洗練された技術を使用する。
【0260】
図9は、一実施形態において、プリント可能な改善画像234を作成するためのプロセスを示す。
【0261】
図9のステップ6051−コンピュータモデルにおいて3Dスキャンを2D表面マップ233に変換する。
図10は、コンピュータモデルおよびゲームで用いる既知の技術によって、3Dヒト顔面235が、どのように当該顔面233の2D表面マップにマッピングされ得るかの例を示す。この2Dマッピングでは、小域(制限)的にすべての表面が平面であり、「ベース」を表す剃刀モデルを作成している。
【0262】
図9のステップ6052−パターン認識を使用して、2D表面マップ233の特定の特徴310を識別する
例えば、パターン認識は、目を識別するために使用され得る。
【0263】
図9のステップ6054−識別された特徴310を使用して、改善されない皮膚の部分320をさらに識別する
例えば、RMAを潜在的に刺激することによって改善されない目を特定することが望ましい場合がある。
【0264】
図9のステップ6056−改善されない部分を計算から除外する
例えば、目は、計算から除外され得る。
【0265】
図9のステップ6058−美的目的を実現するために、補正可能な特徴330において改善技術600を用いる
本発明によって用いられる改善技術を、以下で詳細に説明する。
【0266】
(所定の改善を実現するために、反射変性剤の画素レベル塗布を調整する)
図32に示すように、所定の改善を実現するためにRMA264の画素レベル塗布を調整することは、以下のステップによって実現され得る。
・図32のステップ6060−プリント可能な改善画像234を塗布デバイス246へ送る
・図32のステップ6070−インクジェットプリンタ242を使用して、プリント可能な改善画像234にRMA264を塗布する
(実施形態の動作)
本発明の動作は、図3に示す塗布デバイス246およびコンピュータ環境100を参照して説明され得る。
【0267】
(スキャン)
ユーザは、スキャナ220がデータを記録し得るように、皮膚のエリア302全体にわたって塗布デバイス246を移動させる。例えば、皮膚のエリア302はユーザの顔であってよい。スキャナ220は、ネットワーク130を介して、スキャンされたデータをコンピュータ環境100に送り、ここで当該データはストレージ250に格納される。
【0268】
一実施形態において、ユーザは、電気剃刀を顔面上で移動させている場合のように、さらに滑らかなパスにするプローブのタッピングまたは吸い取り動作を用いるよう求められる場合がある。この動作は、RMAの塗布における汚れを削減する。
【0269】
一実施形態において、ユーザは、ニュートラルモデルを提示するための、ニュートラルで動きのない位置を想定することを求められる場合がある。例えば、顔面に使用する場合、ユーザは、静止したまま目を閉じ、無表情でいるように求められる場合がある。全身に使用する場合、ユーザは、ブース内の特定の位置に静止して立つように求められ得る。
【0270】
(スキャンされたデータを解析する)
塗布アルゴリズム230は、格納されているデータを空間周波数帯域に入れ、皮膚のエリア302のランドスケープおよびRMA264の塗布が必要な寸法を決定するために、パターン認識を使用してそれらを解析する。
【0271】
塗布アルゴリズム230は、その解析を使用してソフトウェア内に皮膚のエリア302の2D表面マップ233を作成し、当該マップは潜在的な将来の使用のためにストレージ250に格納される。
【0272】
(プリント可能な改善画像を作成する)
塗布アルゴリズム230は、2D表面マップ233に基づいて、プリント可能な改善画像243の作成も行う。
【0273】
また、プリント可能な改善画像234は、オペレータがコンピュータ画面上にマップを表示し、望ましい調整を行うための制御を使用することによって手動で作られ得ることに留意されたい。
【0274】
(改善画像をプリントする)
塗布アルゴリズム230は、容器264から皮膚のエリア302にRMA264を塗布するようインクジェットプリンタ242をトリガする塗布デバイス246へ、ネットワーク130を介してプリント可能な改善画像234を送る。インクジェットプリンタ242は、皮膚のエリア302の異なる部分に望ましい結果を作成するために、異なる量および混合のRMA264を画素レベルで塗布し、塗布を極めて正確なものにする。
【0275】
(単一または複数パス)
上述したように、十分な演算能力があるため、塗布デバイス246は、データをスキャンすることおよびRMA264を塗布することの両方のために、皮膚のエリア302全体にわたって1つのパスを作るだけでよいであろう。
【0276】
そうでない場合、ユーザは塗布デバイス246を皮膚のエリア302上で何度も移動させる。続いて塗布システムは継続的にスキャンし、2D表面マップ233を作成し、継続的に2D表面マップ233を使用して皮膚のエリア302のランドスケープを識別し、プリント可能な改善画像234を使用してRMA264の約10%をそれぞれのパスに塗布する。
【0277】
一例において、デバイスが顔面上を満遍なく回る際、または顔面に吸収される際に染料を塗布するために携帯型プリンタが使用される。デバイス上の1つ以上のスキャナが、マッピング例において上述したような方式で、画像データを取得する。当該データは、プリンタを皮膚に登録することができるよう、スキャナの位置を識別するために使用される。プリンタが皮膚上を移動する際に、補正計画、または複数パスの場合には補正計画の一部が皮膚に適用される。
【0278】
現在のインクジェットプリンタは一般に、プリントヘッドとプリントされている表面との間に、約1/8インチ(3.2mm)という望ましい作業範囲を有する。一例において、このプリント距離は、デバイスが移動される際の皮膚への軽い接触等、ハンドヘルド動作によって維持される。別の例において、スキャナおよびプリンタが皮膚全体にわたって所定の経路に向けられるよう、ヘルメット型ガイドが設けられる。
【0279】
様々な実施形態において、スキャンおよびプリントコンポーネントは、ハンドヘルドシステム、備え付けシステム、またはブースシステム内に設けられ得る。
【0280】
(ハンドヘルド動作の例)
ハンドヘルドシステムにおいて、デバイスは、吸い取られる、または皮膚全体にわたって移動されることができるよう、電気剃刀またはパウダーパフのサイズであってよい。デバイスは、皮膚外観の全体的な平滑化を提供するための単一パスモードで、または、各パス上において比較的小さな補正を提供するために皮膚の各エリア上にあるいくつかのパスが使用される複数パスモードで、使用され得る。システムは、動作が完了したことを示すトーン等のフィードバック手段を含み得る。
【0281】
(皮膚に触れるハンドヘルドスキャナの例)
図26は、ハンドヘルドスキャナを示す。この例において、スキャナ筐体は、プリンタヘッド等の塗布デバイスが皮膚に対してほぼ既知の距離および配向で維持されるように、皮膚に触れる。
【0282】
(顔面モデリングおよびプリント用のヘルメットガイドの例)
ヘルメットモードは、スキャンおよび塗布デバイスが指定の限定移動経路を有する、備え付けシステムの例である。備え付けシステムは、座標基準点、ガイドストリップ、および可動プローブを含み得る。
【0283】
(塗布例−顔のメイクアップ)
例えば、ユーザは、自身の顔の上で塗布デバイス246を移動させ、顔の魅力を改善するためのメイクアップの形としてRMA264を塗布させることが可能である。これらのRMAは、美しいホクロ等の望ましい細部は留めながら、皮膚のトーンアップまで行う透明な染料、またはインク、または顔料を含み、頬に赤みを帯びた色を加え、皮膚の不具合および傷を隠して、ヒトの目に対する皮膚の魅力を大幅に改善する。一般に、一実施形態において、ユーザは、目および口を閉じて、それらがRMA264に曝露されるのを防止し得る。別の実施形態において、システムは、目等の敏感なエリアを認識し、それらの敏感なエリアにRMA264を、塗布しないように自身を制限するために、特徴識別を使用し得る。
【0284】
(タッチアップ)
2D表面マップ233および当該顔を表すプリント可能な改善画像234が格納されると、それらを繰り返し使用して、例えば迅速な日常の化粧品タッチアップ用の塗布デバイス246で、顔にRMA264を迅速に塗布し得る。
【0285】
プリント可能な改善画像234は、顔面のエリアの属性と一致するレジスタ内、または、それらの属性に反するレジスタ内の両方にあってよいことに留意されたい。例えば、皮膚の淡色エリアは、塗布アルゴリズム230によって計算された望ましい効果に応じて、比較的淡色のままにされる場合もあるし、黒くされ得る。
【0286】
(本発明の塗布の例)
・顔のメイクアップ
SPS15のサンブロック等、日焼け止めローションの成分が追加され得る。例えば、母親は月に一度、外観および日射し避けの両方のため、子供にスプレーし得る。
・口紅
・アイライナー
・眉のメイクアップおよび整形
・日焼け
・マニキュア
・疑似ナイロンストッキング
・刺青および特殊デザイン−永久的なものおよび一時的なもの
・例えばハロウィン用の顔面マスク
・ボディペイント
・メッシュを入れた髪
・カムフラージュ
例えば、皮膚のエリアの属性をカムフラージュし、皮膚のエリアの底部にあるエリアを明るくし、頂面上のエリアを黒くすることであり、これは、上方からの光によって、自然な、ひいては予期されるパターンを反転させるからである。
・重度外傷のメイクアップ
例えば、メイクアップは、化学療法または放射線療法によって顔の毛を失った癌患者の眉をシミュレートするために塗布され得る。
【0287】
(実施形態の詳細な説明−日焼け)
この実施形態において、先行技術のデバイスを超える、改善された外観を作成する人工的な日焼けを提供するためのデバイスが提供される。
【0288】
(日焼け技術の利点と不利点)
日光または日焼けブース内の光に皮膚を曝露させることによる自然な日焼けは、人々が魅力を増大させるために使用する、よくある手法である。自然な日焼けは、皮膚の外観を平滑化する傾向があり、これによって皮膚はより若々しく見える。例えば、老斑、瘤、シワ、およびニキビ痕等の魅力的でない不具合は一般に、年齢を重ねるとともに人々の皮膚に現れる。ヒトの目は、皮膚のエリアの淡/濃におけるコントラストを作成するため、これらの不具合を知覚し、皮膚をより不規則且つ滑らかさが少ないように見せる。老斑は一般に、その周囲のエリアよりも濃い。瘤は、太陽がその人物の上方から照らす場合の自然な照明条件において、その下に影を投げ掛けることが多い。シワは、皮膚にある陥凹した谷のようなものであるため、光に曝露されることは少なく、その周囲の表面よりも濃い外観を有する。ニキビ痕も同様に濃いエリアである。
【0289】
自然な日焼けは、皮膚の表面上における淡/濃のコントラストを削減することによって、そのような不具合の外観を平滑化する。既存の老斑が太陽に曝露されると、一般にそのメラニンによって限られた程度まで黒くなるように保護されるが、その周囲の皮膚は、同じレベルのメラニンによってさらなる程度までは保護されない。したがって、老斑と周囲の皮膚との間のコントラストは小さくなる。同様に、瘤等の隆起したエリアは、上向き側においてより多くの日光を受けるため、太陽への曝露によって瘤の下のシェーディングエリアよりも黒くなる。シェーディングによって視覚化された寸法外観に対抗するという効果がある。シワおよびニキビ痕の周囲のエリアは、それらの中のシェーディングエリアよりも黒くなる。したがって、シワのより濃い中心線は比較的明るくなり、シワをカムフラージュする。自然な日焼けの平滑化効果が皮膚自体を黒くすることではなくコントラストの削減にあるにもかかわらず、海辺における夏の日等の多くの状況において、日焼けの色はそれ自体が美の文化的規範となった。
【0290】
日光または人工光による日焼けは確かに皮膚をより滑らかに且つより魅力的に見せるが、それには重大な不利点がある。天気は常に暖かく晴天であるとは限らず、日焼けブースはそのサービスに対し料金を請求する。最悪なことに、増大した紫外線光に皮膚を曝露することは、残念ながら、皮膚癌等の皮膚への重大な損傷を引き起こし得る。
【0291】
結果として、増大した光に皮膚を曝露することなく皮膚の外観を黒くすることによって日焼けの魅力的な効果をシミュレートするために、日焼けクリームおよびスプレー式ローション等の製品が開発された。しかしながら、これらの製品は一般に、当該製品が同程度まで塗布される皮膚のエリアすべてを黒くする傾向があり、皮膚を魅力のないものにする濃淡のコントラストが失われないという単純な理由で、皮膚を平滑化するという錯覚を作成することには成功していない。例えば、老斑が黒くなり、周囲のエリアも黒くなるため、老斑は依然としてその周囲のエリアよりも黒い。同様に、瘤の上部および下部の両方が黒くなるため、上方からの光がある通常の照明条件下では、当該瘤の下部は上部よりも依然として黒いままである。また、これらの製品は手動で高価なものであり、それらの技術は画素レベルで特定の改善を行うのに十分なほど正確ではなく、その有効性を制限する。
【0292】
(日焼けをシミュレートするための、自動スキャン、解析、および画素レベル塗布)
対照的に、本発明は、自然な日焼けをシミュレートするために、フレキセルにおけるスキャンされた空間周波数の特定の範囲を対象とした改善を行う。これにより、魅力を改善するために、茶色またはメラニン色等の単色のRMAを塗布して、いくつかの空間周波数にあるパターンを変化させ、その他の周波数にあるパターンを留める。例えば、暖色のエリア、若く見える雀斑、およびビューティマークを留めながら、皮膚の選択的なエリアを黒くすることによってエリア間の濃淡のコントラストを削減するために、RMAが塗布され得る。一般に、RMAは、選択された淡色エリアを黒くするために、スキャンによって得られたデータとは逆に塗布される。スキャンされたデータは、その反射率およびそのトポグラフィを識別するために解析され、それらはいずれも、どのフレキセルを黒くすべきかを正確に決定するために有用なものである。表面テクスチャのシェーディングを識別するために、皮膚上にある特徴の表面角度が、ゲームにおいて行われるようにして決定される。
【0293】
魅力的な平滑化効果を実現するために、このプロセスによって、光による自然な日焼けが必要とするほど皮膚を黒くする必要はないであろう。これは、このプロセスが画素レベルで極めて特異的な改善を行うことができるためである。例えば、当該プロセスは、より濃い老斑を皮膚のより明るいエリアと区別することができ、明るいエリアだけを特別に黒くすることができ、より明るいエリアのみを、視覚的改善に有用な最低限の程度まで黒くすることができる。
【0294】
(疑似日焼けによって瘤をカムフラージュする)
本発明は、図12に示す表面テクスチャの変動400を持つ、例えば極小の瘤を表す、極めて小さいエリアを識別し得る。本発明は、光源に対する表面角度のおかげでより多くの照射を受けているためにより明るく見える、瘤400のより明るく見えるエリア404にインクまたは染料を塗布し、瘤の下の、陰になったより暗く見える部分406を黒くしないでままにし得る。これにより、瘤の次元に関連する明暗のコントラストを削減し、皮膚をより滑らかに見せる。
【0295】
(疑似日焼けにより皮膚全体を改善する)
皮膚における、場合によっては何十万もの瘤およびその他の小さな不規則性に対して、特異的な画素レベルの改善を同様に行うことにより、皮膚の平滑性の全体的な視覚的知覚は大幅に改善される。例えば、シワの周囲のより明るいエリアを黒くし、陰になっているため既に黒く見えている傾向があるシワ内の陥凹エリアは黒くしないでおき、それによってシワをカムフラージュすることができる。
【0296】
結果として、皮膚は自然な日焼けの色のように全体的に黒く、より滑らかで魅力的に見えるであろうが、より黒いベースを塗布する場合とは異なり、雀斑および頬の色等の望ましい特徴は改善されないまま、留め得る。
【0297】
(疑似日焼けによる単色改善)
本発明の疑似日焼けは、インクもしくは染料、または化学的に変化させる黒化剤、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー等の複数の色の代わりに1つの色で日焼けをシミュレートするために使用される化合物の使用による、化粧品改善を提供する。
【0298】
ヒトの目が持つ、色に対する解像度は照度に対するものよりも低いため、照度のみに影響を及ぼす改善は、ニキビまたは静脈瘤等の有色の欠陥をカムフラージュするために使用される場合であっても、知覚される均一性および魅力をさらに大幅に改善し得る。
【0299】
(大きいエリアに対する改善のための疑似日焼け)
本発明の技術は、図12に示す瘤400等の極めて小さい特徴だけでなく、皮膚のはるかに大きいエリアにも適用され得る。例えば、筋肉の定義をシミュレートするため、および、胸または頬骨の下部を黒くし、谷間を明るくすることによって、これらの特徴を突出させるために使用し得る。
【0300】
(実施形態の詳細な説明−ハンドヘルドマーク塗布器)
図47Aは、老斑、小さな傷、および静脈瘤等の皮膚マーク用の、ハンドヘルドデバイスの一実施形態の側面図である。図47Bは、図47Aのデバイスの正面図であり、図47Cは、図47BのセクションAA’に沿った水平断面図である。
【0301】
マーク塗布器デバイス550は、上部ハンドル部および下部皮膚塗布部を設けた筐体553を含む。この例において、デバイスは、幅約1と1/2〜2インチ(38〜50mm)、高さ約4〜5インチ(100〜127mm)である。この例において、筐体の底部554にある開口部は、約1/2〜3/4平方インチ(12.7〜19.2平方mm)である。
【0302】
少なくとも1つの光源が使用される。この例においては、4つの光源551が、正方形管の4つの角に近接して位置付けられる。光源は一般に、白色光LED、または白色光を生じさせるための赤色、緑色、および青色等のLEDの組み合わせであるが、これらの源は、マーク認識のためのさらなるデータを提供するために変動する波長であり得る。いくつかの場合において、単一の光源が使用され得る。別々の波長の光源を使用することの利点は、より強い感度、より良好な色精度、およびより高い解像度を含む。しかし、上述したブースおよび可動ハンドヘルドの実施形態において、これらの利点では、実用上の困難およびフレキセルの各セットのための4つの異なる照明条件を配列するために必要な時間を克服し得ない。ほとんどのカメラは、白色光源から良好なカラー画像を提供し得る。
【0303】
しかしながら、本実施形態において、カメラは移動されず、数色の光源のそれぞれから、および、すべての光源がオンになっている場合に生じる白色光から、画像を得ることがより実用的である。したがって、この塗布器のいくつかの例は、異なる波長の光源を含み、それにより、より洗練された特徴認識を支持するために、より良好な白色光および複数の波長におけるさらなる画像データを提供する。
【0304】
概して、この実施形態およびその他の実施形態における光源は、可視光、赤外線、および紫外線を含む様々な波長であり得る。赤外線の波長は、特徴認識を支持するために、皮膚のより良好な透過を提供する。
【0305】
管の下部は、好ましくは、光源が筐体壁から反射して、露出した皮膚のエリアに均一な照明を提供するように、光るまたはつや消しアルミニウムまたはスチール等の反射面を有する。これらの反射面は、光ファイバに類似している。カメラ552は、上述したように露光したエリアの画像をキャプチャする。プリントヘッド560は、エリア、特にマークに望ましい補正をプリントするために、開口部全体にわたって移動される。筐体内のその他のコンポーネントは、回路基板562および電子部品、少なくとも1つのRMAカートリッジ564およびバッテリ566を含む。本明細書において、RMAという用語は一般的意味で使用され、カートリッジは顔料またはその他の剤を含有し得る。
【0306】
動作中、ステップ7900において、デバイスはユーザがカムフラージュしたいと希望するマークを有する皮膚のエリア上に置かれる。デバイスは所定の時間、または、当該ユニットがステータスライトまたは可聴トーン等を用いて完了を合図するまで、適所に保持される。続いてユーザは筐体(図示せず)にあるスイッチを押下し、ユニットが以下の一般的な動作を実行する。
【0307】
ステップ7910においてユーザが筐体にあるスイッチを押下したことに応えて、ユニットは以下のステップを完了する。
【0308】
ステップ7920において、カメラは、底部の開口部によって露光された皮膚のエリアのカメラを用いて、周囲光における第一の画像をキャプチャする。ユニットを皮膚に押し付けても、一部の光は皮膚を通って移動し、部分的にエリアを照射する。
【0309】
ステップ7930において、光源がオンにされる。
【0310】
ステップ7940において、光源がオンになっている間に、カメラで第二の画像をキャプチャする。
【0311】
ステップ7950において、ユニットは画像を解析し、それには以下のステップが含まれ得る。ステップ7952において第二の画像から第一の画像を減算し;ステップ7954においてマークを識別し;ステップ7956において当該マークおよび隣接する皮膚について望ましい変性された反射率を決定する。
【0312】
ステップ7960において、望ましい変性を実現するために、マーク上にプリントするRMAの望ましい量を決定する。この実施形態の小さなマークをカムフラージュするためには、概して不透明で白色のRMAが使用され得る。当該物質は、伝統的なメイクアップベースと同様であり得、一般に当該ベースよりも明るい、またはより白い。一例において、RMAは純白であるか、または、薄ピンク色等、1つの波長において白色である。RMAは、周囲の皮膚と調和する方式で、マーク上に少量が使用され得るよう、好ましくは皮膚よりも明るい。
【0313】
ステップ7970において、1つ以上のプリントヘッドパスにおいて補正をプリントする。1つのプリント方法例は、ステップ7972において、第一のパス内で望ましい補正の一部をプリントすること;ステップ7974において、第一の部分をプリントした後に皮膚のエリアの画像を撮影すること;ステップ7976において、画像を解析すること;ステップ7978において、第二のパスにおいてプリントされる量を画像の解析に従って調整すること;および、ステップ7979において、第二のパス内の残留補正量の少なくとも一部をプリントすることを含む。必要に応じて、さらなるパスを実行され得る。この例における「パス」は、皮膚エリア上を移動されているプリントヘッドをいう。その他すべてのコンポーネントおよび筐体は、静止したままである。第二のパスは、予測補正を実際の補正と比較し、差異を補償するための機会を提供する。例えば、望ましいものよりも少ない補正がプリントされると、ユニットは第二のパス内の残留する計算量よりも多くプリントすることができ、望ましいものよりも多くの補正がプリントされると、ユニットは第二のパス内の残留する計算量よりも少なくプリントし得る。
【0314】
(実施形態の詳細な説明−特殊皮膚領域塗布器)
この実施形態において、唇、または目の周囲等、皮膚の特殊なエリアにプリントするためのユニットが提供される。当該ユニットは、ブース型備え付け備品として設けられてもよいが、好ましくはハンドヘルドデバイスのように携帯型である。当該デバイスは、安定性および位置合わせを提供するために、顎当て等の携帯型支持材を含み得る。
【0315】
唇およびその周囲の皮膚エリアの実施形態例において、上述した実施形態のハンドヘルドマーク塗布器と同様のデバイスが使用され得る。ユニットは一般に、マーク塗布器とのいくつかの相違点を有する。この例において、当該ユニットは一般に、塗布器および開口部よりも大きく、当該開口部は、皮膚領域とより厳密に一致する楕円等の形状のものであってよい。皮膚領域は実質的な湾曲を有し得るため、プリントヘッドは一般に、当該ヘッドが当該領域上を移動される際に、皮膚により近くまたは皮膚からより遠く移動されるz軸の能力を有する。
【0316】
上記の実施形態で説明したような複数の光源は、小エリアにおけるフレキセル配向の「シェーディング」解析を提供するために有効である。唇のような領域は、局所的特徴のみならず、より大きな形状特徴を有するため、立体知覚法でシェーディング解析を補足することが望ましい。例えば、2つのカメラを使用することにより、局所的なシェーディング解析だけでなく、領域の立体知覚解析を展開するための画像の比較が可能になる。したがって、2つのアプローチは相補的である。
【0317】
この例においては、デバイスが唇の上に置かれる、またはブースデバイスの場合には、唇がブース内に置かれる。複数の光源を持つ一対のカメラによって、様々な照明条件下で画像が撮影される。一方または両方のカメラからの画像データは、上述したようにフレキセル配向を決定するために使用され得る。両方のカメラからの画像データを使用して、立体解析を展開し得る。
【0318】
当該解析は、補正計画を展開するために使用される。当該補正計画は、1つ以上のRMAを−好ましくは複数パスで−塗布するために領域上でプリントヘッドを移動させることによって実行される。この例において、プリントヘッドは、必要に応じて当該ヘッドが唇により近くなる、または唇からより遠くなるよう、z軸制御を有する。
【0319】
(代替的な実施形態)
(皮膚以外の表面について)
本発明は、皮膚以外の表面に物質を塗布するためにも使用されることができ、以下に例を示す。
・ケーキ、クッキー、その他のデザート、野菜、果物、肉、および魚等の食品に対して、それらの外観を改善し、栄養素含有量を改善するために
・葉および花を含む植物に対して、それらの外観を改善するために
・衣類、家具、壁、および床に対して、それらの外観を改善するために
・あらゆる吸収面に対して
(その他のハードウェアおよびソフトウェア)
本発明の異なる実施形態では、幅広い可能なハードウェアおよびソフトウェア技術を用い得ることも当業者には明らかであろう。例えば、Webサービスプロバイダとクライアント企業のコンピュータとの間の通信は、有線、無線、赤外線、またはラジオのものを含む任意の数のリンクを介して、および、未だ存在していないものを含む、引用した以外の通信ネットワークを介して行われ得る。
【0320】
また、本明細書において、コンピュータという用語は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、コンピュータ処理能力を持つ電話機、携帯情報端末(PDA)、およびサーバを含む最も広い意味で使用され、サーバ間で分割されるストレージおよびソフトウェア機能を持つ複数のサーバを含み得ることが認識されるはずである。クライアントアプリケーションとWebサービスの間でメッセージを伝送するために、多様なオペレーティングシステム、互換性のある電子メールサービス、Webブラウザ、およびその他の通信システムが使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図16】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図46】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図28】
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【図44】
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【図45】
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【図47】
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【公開番号】特開2013−19909(P2013−19909A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−231585(P2012−231585)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2008−526284(P2008−526284)の分割
【原出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【出願人】(511093340)ティーシーエムエス トランスペアレント ビューティー エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】