説明

ヒト脂肪組織萎縮症を処置するためのレプチンの使用および該処置のための素因決定方法

【課題】レプチン、レプチン類似体およびレプチン誘導体は、脂肪組織萎縮症に罹患している患者の処置のために用いられる。
【解決手段】レプチンは、該疾患の遺伝性および後天性型両方のリポジストロフィ状態に対して有効である。レプチンの治療上有効な量は、皮下および遺伝子治療を用いた方法を含む様々な方法にて、投与することができる。本発明の方法は、処置前に約4ng/ml以下のレプチンレベルを有する患者に対するレプチン、レプチン類似体およびレプチン誘導体の投与を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の利益)
本発明は、一部をNIHからの財源によって支援された。政府は本発明にて一部の権利を有する。
【0002】
(関連した出願の相互参照)
本出願実用特許は、2001年10月22日出願の米国仮出願番号60/336394(Depaoli et al.)に対して優先権を主張し、その開示内容は引用により本明細書に包含される。
【0003】
(発明の属する技術分野)
本発明は、ヒト脂肪組織萎縮症の処置のためのレプチン、レプチン類似体、およびレプチン誘導体の治療的使用の分野に関連する。
【背景技術】
【0004】
本明細書中に引用するすべての文献は、引用により本明細書に包含される。引用した文献はすべて、詳細な説明の末尾に掲載している。
【0005】
脂肪組織萎縮症(リポジストロフィとしても知られる)症候群は、脂肪または脂肪組織の欠乏によって特性化される症候群の多様な群である。代謝異常もまた、この状態に関連するかもしれない。これらの代謝異常は、通常、糖尿病に伴って起こる高トリグリセリド血症および重度のインスリン抵抗性を含む(Reitmann et al.,2000)。ヒトでの脂肪組織萎縮症は、遺伝性または後天性であり得る。脂肪組織萎縮症には2つ以上の遺伝型がある。例えば、ラミンA/C(LMNA)をコードする遺伝子の変異は、ダニガン型家族性部分的リポジストロフィ(FPLD)と関連していることが示唆されている(Cao et al.,2000)。ダニガンFPLDである個体は、正常な脂肪分布をもって生まれるが、思春期には内臓および頭および首の脂肪組織を除き、皮下肢部および体幹性脂肪の進行性欠損を生じる。異なる染色体領域(9p34)はまた、先天性全身リポジストロフィの疾患遺伝子に関連している(Garg et al.,1999)。先天性全身リポジストロフィは、出生からの脂肪組織のほぼ完全な欠乏、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症および黒色表皮症によって特性化される劣性遺伝疾患である。
【0006】
ヒトの脂肪組織萎縮症のいくつかの型は、後天性である。例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染し、かつ高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)で処置されている多くの患者は、増加した内臓脂肪およびクッシング症候群にて観察されるのと同様の「バッファロ・ハンプ」を伴った、顔、肢部および胴体の皮下脂肪の欠損によって特性化される部分的リポジストロフィを生じる。これらの患者は、さらにインスリン抵抗性および高トリグリセリド血症のような代謝障害を生じる場合がある。後天性型の脂肪組織萎縮症はさらに、若年性皮膚筋炎および他の自己免疫疾患に関連している場合もある。
【0007】
動物モデルにおける研究により、これらの代謝異常が脂肪欠損に関連しうることが明らかにされた(Gavrilova et al.,2000)。しかし脂肪組織萎縮症の特性を示すインスリン抵抗性および高トリグリセリド血症は、様々な手法を試したにもかかわらず処置に対して非常に不応性であった(Garg,2000)。これらの手法のうち1つは、PPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)アゴニストであるチアゾリジンジオンによる処置である。チアゾリジンジオンは脂肪細胞分化およびインスリン感受性の両方を促進するため魅力的であるが、チアゾリジンジオンを受ける患者は、高投与量インスリン、経口低血糖物質(例えば、メトホルミンおよびチアゾリジンジオン)、および脂質低下薬物(例えば、フィブラートおよびスタチン)を含む組合せ治療で通常管理される。これらの治療にもかかわらず、全身性脂肪組織萎縮症の患者は、重度の高トリグリセリド血症(急性膵炎の再発性の原因となる)、重度の高血糖症(糖尿病性網膜症および腎症の危険をもたらす)、および非アルコール性脂肪性肝炎(結果として肝硬変になりうる)の症状が続く(Arioglu et al.,2000)。実際、チアゾリジンジオン類の1つ、トログリタゾンは、まれであるが重度の肝細胞毒が原因で米国市場から排除され、2つのチアゾリジンジオン(ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)が市販されるのみである(Reitmann, et al.)。よって、脂肪組織萎縮症のための代替処置の必要性が存在する。
【0008】
脂肪組織萎縮症のための様々な遺伝的実験動物モデルが、開発され試験された。しかしながらこれらのモデルは、レプチンによる処置に対する感受性に関して矛盾した結果を提供する。例えば、SREBP−1cの切断した核酸異形を発現し、インスリン抵抗性および著しい低脂肪組織を有する先天性の全身性リポジストロフィの特徴を呈している1つのトランスジェニックマウスモデルでは、レプチンの継続的全身投与によりインスリンに対するマウスの抵抗性が克服された(Shimomura et al., 1999)。一方、A−ZIP/F−1遺伝子を発現し、脂肪組織の欠乏、インスリンに対する重度の抵抗性、糖尿病および非常に減少した血清レプチンレベルによって特徴づけられる異なるトランスジェニックマウスでは、同等の投与量のレプチンに応答せず、より高い投与量であっても有効性は少なかった(Gavrilova et al., 2000年)。レプチンの効能はまた動物の年齢とともに減少した(前掲)。さらに、インスリン抵抗性は、SREBP−1cトランスジェニックマウスではレプチンで克服されたが、脂肪組織萎縮症の回復は観察されなかった(Shimomura et al.)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ヒト治療におけるレプチンは現在、主に肥満およびそれに関連する代謝機能不全を減少することを目的に使用されている(Heymsfield et al.1999)。レプチン遺伝子中の変異によるレプチン欠損患者は、幼年期から病的に太っており、インスリン抵抗性および低ゴナドトロピン性機能低下症を含む多くのホルモン異常を有している(Montague et al.,1997)。これらの患者の1人において一年間の組換えレプチンの生理学的置換が、顕著な体重減少とホルモン異常の改善をもたらした(Farooqi et al.,1999;PCT国際出願番号:WO00/20872)。これらの先行研究は、ヒト脂肪組織萎縮症に関連するレプチンの使用を検討していない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、脂肪組織萎縮症およびそれに関連する代謝異常に罹患したヒトの処置におけるレプチンの使用、およびレプチン処置に対する素因を決定する方法を提供する。1つの具体例にてヒトレプチンは、レプチン血清濃度が減少している脂肪組織萎縮症患者におけるホルモン置換治療にて使用される。好適には、組換えヒトレプチンまたはレプチン類似体あるいは誘導体が使用される。レプチンタンパク質は、皮下または全身、あるいは遺伝子治療における方法を含む任意の他の経路を介して投与することができる。
【0011】
レプチンによる処置に対する脂肪組織萎縮症患者の素因を判断するには、レプチンの血清濃度を測定すればよい。好適には4ng/ml以下、さらに好適には2ng/ml以下、最適には0.5ng/ml以下の血清レプチン濃度を備えた患者が、レプチン処置を受ける状態にある。レプチンによる処置はまた、4ng/ml未満の血清レプチン濃度の女性患者に対して、および3ng/ml未満の血清レプチン濃度の男性患者に対して与えることが好ましい。さらに好適にはレプチンは、2ng/ml未満の血清レプチン濃度の男性患者に対して与える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、4か月のレプチン治療を備えた患者NIH−1の臨床コースを示す。レプチン治療前の史料 (0日にて開始)は、代謝の発見事項の厳格さを証明するために示される。治療および代謝パラメーターにおける改善の重要な成果が示される。
【図1B】図1Bは、基準および4か月のレプチン治療でL4のレベルである患者NIH−1のT1−加重核磁気共鳴映像を示す。肝臓サイズの減少、および腎臓および正中線構造の位置の必然的変化に注目すること。
【0013】
【図2】図2は、レプチンが糖尿病患者にてHbAicを減少させることを示す(n=8)。データには、平均変化および95%信頼区間を示すエラーバーを示した。基準および4か月の±SEM値(平均標準誤差)も示した。*p<0.001である。
【0014】
【図3A】図3は、インスリン抵抗性および経口グルコース耐性の両方の期間にレプチンがグルコース曲線を改善することを示す(n=9)。パネルA:レプチン治療前(黒丸および線)および4か月後(白丸および点線)の0.2U.kgIVインスリンに対する応答での血漿グルコース。エラーバーは、SEMを示す。*p<0.02である。パネルB:レプチン治療前(黒丸および線)および4か月後(白丸および点線)の75グラムの経口グルコースに対する応答での血漿グルコース。エラーバーは、SEMを示す。*p<0.01である。
【0015】
【図3B】図3は、インスリン抵抗性および経口グルコース耐性の両方の期間にレプチンがグルコース曲線を改善することを示す(n=9)。パネルA:レプチン治療前(黒丸および線)および4か月後(白丸および点線)の0.2U.kgIVインスリンに対する応答での血漿グルコース。エラーバーは、SEMを示す。*p<0.02である。パネルB:レプチン治療前(黒丸および線)および4か月後(白丸および点線)の75グラムの経口グルコースに対する応答での血漿グルコース。エラーバーは、SEMを示す。*p<0.01である。
【0016】
【図4】図4は、レプチンがトリグリセリドを減少させることを示す。データには、基準からの平均変化および95%信頼区間を示すエラーバーを示した。観察した範囲の基準および4か月の平均値も示した。データが非対称であり、正規分布ではないことに注意。*p<0.001である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
脂肪細胞ホルモンレプチンは、エネルギー恒常性にて中心的な役割を果たす。レプチンは、置換に際して食物摂取および体重を減少させる不明であった血清因子として肥満マウスにて最初に発見された(Zhang et al. , 1994;Pelleymounter et al., 1995)。これらの最初の観察のために、本ホルモンを用いる初期治療の試みの多くが肥満治療である。肥満者の多くのは血清レプチン濃度が高く、レプチン抵抗性の状態が存在していると考えられる(Mantzoros et al. , 2000)。今までのところ組換えヒトレプチンの効果は、先天的レプチン欠乏症の状態の場合を除き、肥満個人に減量を起こすには限定的である(Heymsfield et al., 1999;Farooqi et al., 1999)。
【0018】
本発明は、ヒトにおける脂肪組織萎縮症および、高血糖、異常脂質血症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄およびインスリン抵抗性のような該萎縮症に関連する代謝異常の処置のためにレプチンを使用する可能性を提供する。HIV患者における研究結果は、レプチンの血清濃度における減少が後天性脂肪組織萎縮症の発症に密接に関係していることを示している。さらに、他のすべての可能性のある治療が中止された後でさえ脂肪組織萎縮症患者におけるレプチン置換が、グルコースおよびトリグリセリド代謝を劇的に改善する。これらのレプチン置換治療のすべての場合にて、レプチンの基準血清濃度は4ng/mlより少なかった。
【0019】
後天性脂肪組織萎縮症の1つの重症例では、患者(0.5ng/ml未満の血清レプチン濃度を有する)は、重度の高トリグリセリド血症、糖尿病、有痛性発疹性皮膚黄色腫および巨大肝腫に侵されていた。4か月以上のレプチン治療が、患者の高トリグリセリド血症および高血糖症を劇的に改善し、血漿交換および他の糖尿病薬物治療を中断させた。その改善には、皮膚黄色腫の消失および患者の肝臓容量の40%の減少も伴っていた。したがってこれらのデータは、ヒトにおける後天性または先天性脂肪組織萎縮症およびそれに関連する代謝異常の処置のために、レプチン置換治療を有効に用いることができることを示す。
【0020】
さらに、これらのデータを基にして、レプチンの血清濃度が4ng/mlより少ない患者は、レプチンによる置換治療のための患者として好適な群となるかもしれないと推定できる。レプチンレベルは、体液、最適には血液またはその何らかの一部分を用いて測定できる。本明細書では、個人の血清を用いた。他の体液、例えば全血、大脳の脊髄分泌液、血漿および可能であれば尿もまた、測定可能なレプチンを含み得る。血清1mlに対するレプチン4ngという本発明の測定値は、他の体液中の対応するレベルと相関できる。例えば全血を用いた場合、レプチン濃度は希釈し、用いた未分画血液の希釈効果を考慮に入れる。
【0021】
当業者は、レプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体の投与および所望の治療効果の観察によって有効投与量を確認することができる。置換治療の目標は、血漿中でのレプチンの生理学的濃度近辺を達成することである。レプチンの生理学的置換投与量は、すべての年齢の男性については約0.02mg/kg体重/日、18歳以下の女性については約0.03mg/kg体重/日および成人女性については約0.04mg/kg体重/日であると推測される。レプチンの生理学的濃度近辺を達成するには、例えば、処置の最初の月には推定した置換投与量の50%、処置の第2月には置換投与量の100%、処置の第3月には置換投与量の200%により患者を処置すればよい。レプチン置換治療中には、レプチン処置の治療効果をモニターするために任意の生化学標識を測定することができる。グリコシル化ヘモグロビン(HbAic)レベルおよびトリグリセリド(空腹時)レベルは、レプチン処置の有効性をモニターし治療効果を測定するための好適な標識である。
【0022】
別法として、以下の実施例にてさらに示したように、血清レプチンレベルは市販されている免疫測定を用いて測定することができる。一般に、血液(または血漿あるいは血清)中のレプチン量を測定するための診断分析は、最初にタンパク質の内性的レベルを決定するために用いることができる。そのような診断手段は、抗体サンドイッチ分析のような抗体分析の形式中にあるかもしれない。内性的レプチンの量をまず測定し、基準を決定する。治療投与量は、内性および外性レプチンタンパク質(すなわち自己生産または投与のどちらかの、体内にて観察されたレプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体)の定量化として決定される。患者のレプチンレベルの観察は、治療のコース期間中継続した。
【0023】
本発明はまた、レプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体の医薬組成物の使用方法を提供する。そのような医薬組成物は、注入、または経口、肺、鼻、経皮的またはその他の投与形式の投与が可能である。レプチンタンパク質の投与の好適な方法は、皮下に体系的または遺伝子治療法によるものを含む。
【0024】
一般に、本発明の医薬組成物は、製薬的に許容される希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、補形剤および/または担体と共にレプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体の効果的な量を含む。そのような組成物は、様々な緩衝液内容物の希釈剤(例えば、トリス−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pHおよびイオン強度の希釈剤;浄化剤および可溶化剤(例えば、トゥイーン80、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、Thimersol、ベンジルアルコール)および充填物質(例えば、ラクトース、マンニトール)のような添加剤;ポリラクチン酸、ポリグリコール酸などのようなポリマー組成物の粒子製剤中またはリポソーム中への物質の組み込みを含む。循環血液中にて持続性持続時間の促進効果を有しうる、ハイラウロン酸もまた用いられることができる。そのような組成物は、物理的状態、安定性、インビボ放出の割合、および本タンパク質および誘導体のインビボ除去の割合に影響するかもしれない。例えば、本明細書中に参考文献として添付したレミングトンの製薬科学18版(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18thEd. (1990, Mack Publishing Co. , Easton, PA 18042))の1435〜1712ページを参照のこと。組成物は、液体形式中または凍結乾燥形式のような乾燥粉末中に調製されうる。埋め込み型の持続性放出形式もまた、経皮的形式として検討されることができる。
【0025】
水性環境への治療物質の分解を補助するために界面活性剤が、湿潤剤として加えられていた。界面活性剤は、ラウリル酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウムのような陰イオン浄化剤を含んでいてもよい。陽イオン浄化剤を用いることができ、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンズチオニウムを含むことが可能であった。界面活性剤としての形式に含まれうる潜在的非イオン性浄化剤の一覧は、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン水素化硬化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65および80、脂肪酸エステルスクロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、タンパク質、または誘導体単独または異なる比率の混合物のいずれかの形式中に存在することができる。
【0026】
レプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体タンパク質の摂取を潜在的に増強する添加剤としては、例えば脂肪酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸がある。
【0027】
制御放出形式が望ましい可能性がある。レプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体タンパク質は、拡散または溶出機序のいずれかによる放出を許可する、例えば、ガムのような不活発マトリックスへの組み込みが可能であった。ゆっくり縮退するマトリックスもまた、例えば、アルギン酸、多糖のような形式に組み込むことができる。本治療の制御放出のもう1つの形式は、例えば、レプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体タンパク質が、浸透効果によって水が進入しタンパク質が単一の小さな穴を通過し押し出されることを可能にする半浸透性薄膜で囲まれている、オロスの治療システム(Oros therapeutic system)(Alza社)に基づく方法によるものである。いくつかの腸溶性コーティングもまた、遅延放出効果を有する。
【0028】
さらに、レプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体を備えた処置に対して応答する脂肪組織萎縮症に罹患したヒト患者の素因を決定するための改良したキットを、本発明によって検討する。1つの態様では、改良したキットが、該レプチン治療前の患者のレプチンレベルが約4ng/ml以下かどうかを決定するための手段を提供することができる。関連する態様では、改良したキットが、該レプチン治療前の患者のレプチンレベルを決定する時に患者の性別を考慮することができる。よってキットは、患者が男性ならば該レプチン治療前の患者のレプチンレベルが約2ng/ml以下かどうか、患者が女性ならば約4ng/ml以下かどうかを決定するための手段を提供することができる。好適には、キットは取り扱い説明書を含む。該キットはさらに、試薬、チューブ、包装および/または他の反応組成物を含んでいてもよい。
【0029】
以下の説明は、実施例としてのみ提供され、特許請求の範囲を制限するものではなく、そのように解釈してはならない。説明に基づき、当業者は本発明の範囲を超えない好適な具体例に対する修正および変更を行ってもよい。
【実施例】
【0030】
実施例1
以下の実施例は、HIV関連脂肪組織萎縮症症候群(HIV−LS)の進行が、体脂肪の蓄積、欠損または再分配に寄与する血清中の低下レプチンによって影響を受け得ることを示す。
【0031】
具体的には、本研究は、HIV−LSの脂肪組織萎縮症表現型が高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)の開始に続く血清レプチンにおける変化と関連するかどうかを決定する目的で行った。本研究は、血清レプチン濃度をHAART前および後で比較した146人(146)のHIV陽性男性を含む。身体検査により、男性を2つの主な表現型に評価し階層化した:それは、脂肪組織萎縮症単独、および中枢性脂肪増大を伴う脂肪組織萎縮症(「混合型」HIV−LS)である。
【0032】
146人のうち42人(42/146)の男性が、HAART後、1つ以上の身体領域中に中度または重度の脂肪組織萎縮症あるいは脂肪肥大を有することを発見した。146人中27人(27/146)が脂肪組織萎縮症を単独で有し、146人中15人(15/146)がHAART後に「混合型」に変化した。146人中39人(39/146)が身体体質の変化を有せず、これらの患者を対照として利用した。一般に、HIV−LSを有する男性はより年配であり、プロチアーゼ阻害物質のより長期にわたる使用を行っていた。彼らは、より低い基準CD4数を有し、基準から平均4kg、体重が減少していた。
【0033】
HAART前では脂肪組織萎縮症および「混合型」群両方の中央値基準レプチンレベルが3.6ng/mlであり、対照の中央値レプチンレベルが4.1ng/mlであった。HAART後に脂肪組織萎縮症のみを発症した人では、血清レプチン濃度が3.6から2.8ng/ml(Wilcoxon p= 0.06)に著しく減少した。他方、「混合型」HIV−LS群(4.0ng/ml)[p=NS]およびHIV−LSを発現しなかった39人のHIV陽性対照(3.7ng/ml)[p=NS]の両方では、血清レプチンレベルは安定なままであった。
【0034】
これらのデータは、HIV陽性患者における高活性抗レトロウイルス剤療法に続くレプチンレベルの減少が脂肪組織萎縮症症候群の進行に寄与しうることを示唆する。
【0035】
実施例2
ヒトにおける脂肪組織萎縮症を処置するためにレプチンを用いることの効果を決定するため、様々な形態の脂肪組織萎縮症と診断された9人の女性患者に対し、レプチン置換治療も行った。本研究の患者は、米国およびヨーロッパにて多数の内科医によって調査された。適格性として、患者には、脂肪組織萎縮症に関連する低レベル(男性にて3.0ng/ml未満、女性にて4.0ng/ml未満の血清レプチン濃度として定義する)を有すること、および以下の少なくとも1つの代謝異常を伴うことを要求した。:それは、(1)米国糖尿病連合協会による糖尿病の存在(Peters et al. 1998参照。);(2)空腹時血清トリグリセリド濃度が200mg/dLより高い;および/または(3)空腹時血清インスリン濃度が300μU/mlより高い、である。脂肪組織萎縮症の診断は、当業者によって周知の臨床上の観点に基づいて行われた。
【0036】
表1は、本研究にて処置した患者の基準臨床特性の概要を示す。
【表1】

【表2】

【0037】
本研究へ採用された9人の患者はみな女性であった。本研究は両方の性別に利用できるが、女性はより早期におよびより頻繁に認識される傾向がある。9人の患者のうちの5人は、先天的な一般化された脂肪組織萎縮症またはSeip-Beradinelli症候群を有していた。本分析は、他の臨床基準(Online Mendelian Inheritance in Man,OMIM #269700;Garg et al. , 1992)と関連した出生からの一般化した脂肪欠損の証拠にて規定された。3人の患者が、幼年期の明白な脂肪欠損の歴史の全身性リポジストロフィを獲得していたことが分かった。これらの患者(UTSW−2)の1人は、若年性皮膚筋炎を備えた一般化されたリポジストロフィを発現した。もう1人の患者(NIH−7)はダニガン家族性全身性リポジストロフィを有していた(OMIM #151660;Garg, 1999; and Cao et al., 2000)。
【0038】
研究設計
本研究は、糖尿病、消化および腎臓疾患(NIDDK)の国立研究所の糖尿病部門、およびダラスのテキサス大学南西(UT Southwestern)医療センターにて、予期される非盲検研究として設計された。Amgen Inc.(Thousand Oaks, CA)は、試みとして組換えメチオニルヒトレプチン(組換えレプチン)を提供した。各々の患者の応答を、各自の基準状態と比較した。脂肪組織萎縮症症候群の希少性および臨床特性の変動性のため、無作為化された偽薬処置した対照群を含むことは実現不可能であった。NIDDKおよびテキサス大学南西医療センターの施設内倫理委員会は、本研究を承認した。書面による同意書は、患者または法定後見人から得られた。
【0039】
患者は、レプチン治療前およびレプチン治療の1、2および4か月後に再び国立衛生研究所の臨床センター、およびテキサス大学南西医療センターの一般臨床研究センターにて、入院患者として検討された。すべての患者は、レプチンを始める前に少なくとも6週間の併用薬物の安定した投与量下にあった。本研究期間にて、随時低血糖薬物を徐々に減らすか中止した。
【0040】
本研究の目標は、血漿中にてレプチンのほぼ生理学的な濃度を達成することであった。生理学的置換投与量が、すべての年齢の男性では0.02mg/kg/日、18歳以下の女性では0.03mg/kg/日および成人女性では0.04mg/kg/日であると推測された。組換えレプチンを、12時間ごとに皮下に投与した。置換投与量が肥満試験の中で最も一般的に使用される投与量の約10分の1であることに注目することが重要である。患者を、第1月間に置換投与量の50%、その翌月に100%置換投与量および次の2か月間に200%置換投与量にて処置した。組換えレプチンの効果を決定する一次終点は、ヘモグロビンAic、および空腹時血清トリグリセリドレベルとして決定した。
【0041】
生物化学分析
血清グルコースおよびトリグリセリドレベルは、自動日立機器(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)およびベックマン機器(Beckman, CA)を使用し、標準の方法によって決定した。ヘモグロビンAicは、イオン交換高圧液体クロマトグラフィー(バイオ・ラッド・ラボラトリーズ社、ヘラクレス、CA)によって決定した。血清遊離脂肪酸(FFA)レベルは、業務用キット(Wako,Richmond, VA)にて決定した。血清インスリンレベルは、Abbott Imx機器 (Abbott Park, IL)および業務用キット(Linco Research, Inc. , St. Charles, MO)によって提供された試薬を用いた免疫分析によって決定した。血清レプチンレベルは、業務用キット(Linco Research, Inc. St. Charles, MO)を用いた免疫分析によって決定した。
【0042】
手順
安静時エネルギー消費は、Deltatrac設備(Sensormedics, Yorba Linda, CA)を用いて測定した。試験は、午前6時および8時の間に起きた安静時の患者にて8時間以上の一晩の断食後に行った。経口グルコース耐性試験は、75gのブドウ糖を用いた一晩の断食後に行った。血清グルコースは、グルコース負荷の−10、0、30、60、90、120および180分に測定した。
【0043】
高投与量インスリン耐性試験は、インスリン感度を評価するために0.2IU/kg調整インスリンを用いて行った。インスリンは、一晩の断食後に静脈内に投与した。グルコースのためのサンプルは、インスリン投与の−10、0、5、10、15、20および30分にて集めた。K定数(全身インスリン感度の反映としてのグルコース欠損の割合)は、第1系列動力学を用いて静脈内インスリン後の血中グルコース降下の一定割合として計算した(Harrision et al. , 1976)。
【0044】
身体脂肪は、二重エネルギーX線吸収測定装置を用いて決定した(DEXA, Hologic QDR 4500)(Hologic, Inc. , Bedford, MA)(Lambrinoudaki et al. , 1998)。肝臓のTl軸加重MR走査は、1.5テスラスキャナ上で得られた(General Electric Medical Systems, Milwaukee)(Abate et al., 1994)。肝臓容量は、サン・ワークステーション上にてMEDxイメージ分析ソフトウェアパッケージを用いて計算した(Sensor Systems, Inc., Sterling, VA)。以下のアルゴリズムの先の先端を決定することにより、肝臓の外相端の透写図を、個々の接触スライス上にて作製した。肝臓容量はその後、ピクセル領域およびスライス厚に基づいて計算した。NIH部にて参加する被験者には、推定した毎日の食物摂取を計算するために最後の3日の基準および4か月後の食物摂取を報告するように依頼した(Feskanich et al., 1993)。
【0045】
統計分析
測定値は平均±SEMとして示す。様々な研究期間にて研究変数を比較するため、反復手段分散分析を用いた。トリグリセリド濃度および測定したK定数のような非対称データは、対数変換した。対応のあるt検定は、適用可能な限り様々な時間ポイントと基準データを比較するために用いた。経口グルコース耐性試験期間中の血漿グルコース濃度は、繰り返された因子としてモデル化されたテスト期間での研究期間および時間の2−因子分散分析を用いて比較した。平均間の相違の95パーセントの信頼区間は、分散分析および平均間の相違に由来した(Hanh et al.,1991)。変換は、p<0.05で統計的に有意であると考えられた。同時比較のための調節は、特別な優先仮説の統計分析のために行われなかった。
【0046】
結果
基準患者の特性
本研究にて9人中8人は糖尿病であり、全員が高脂血症であった(表1)。すべての糖尿病患者は、本研究前に薬物療法を受け(表1、2)、4人の患者は、脂肪管理のための薬物療法を受けていた(表1)。糖尿病患者の平均HbAicは、9.1±0.5%(通常:<5.6%)であった。平均トリグリセリドレベルは、1405mg/dLに上がっていた(範囲:322〜7420mg/dL;通常範囲:35〜155mg/dL)[16mmol/L、範囲:3.6〜8.7mmol/L]。遊離脂肪酸(FFA)レベルは、通常の上限のおよそ3倍に増加していた(1540±407μmol/L;通常:350〜550μmol/L)。7人のNIH患者のうち6人は、超音波での脂肪肝および物理的試験での肥大肝臓を有していた。患者のうち3人は肝臓生検を経験し、3人のうち2人は、組織病理学の基準に基づいた非アルコール性脂肪性肝炎と診断された。(Manton et al. , 2000; Berasain et al. , 2000; Luyckx, et al., 2000)。
【0047】
平均血清レプチン濃度は基準(表1)にて1.3±0.3ng/mLであり、処置の第1月の月末に2.3±0.5ng/mL、第2月の月末に5.5±1.2ng/mL、および第4月の月末に11.1±2.5ng/mLまでの治療で増加した。したがって、本研究にて使用した投与量の組換えレプチン投与は、これらの患者にてほぼ正常な血清レプチンレベルを与える。
【0048】
第1の患者のレプチン効果:事例(図1)
本研究にて処置した最初の患者(NIH−1)は最も重度に罹患しており、彼女の経過は、他のすべての可能性のある治療が中止された後でさえこの集団におけるレプチン置換の劇的な効果を示すことにて示唆的である。この患者は、健康に生まれたが10および12歳の間に脂肪欠損を経験した。彼女は13歳で重度高トリグリセリド血症および14歳で糖尿病を発現した。彼女は、トリグリセリドレベルが一貫して10000mg/dLより高く(113nmol/Lより高く)、9.5%のHbAicを備えた糖尿病に罹患した15歳の時にNIH臨床センターに来院した。彼女は、散在性の有痛性発疹性皮膚黄色腫を身体および骨盤の縁まで及ぶ巨大肝腫の全体に持っていた。週間血漿交換治療およびオーリスタット(Orlistat)を、高トリグリセリド血症を軽減するために加えた(図1A)(Bolan et al)。他の顕著な臨床特徴は、大変な食欲(彼女は3200kcal/日を越えて食べることを報告した)および予測値の180%である2010kcal/日の非常に高い安静時代謝率を含んでいた。4か月以上の組換えレプチンは、血漿交換および糖尿病薬物を中止したための高トリグリセリド血症および高血糖症における著しい進歩的な改良を起こした(図1A)。代謝パラメーターにおける改善には、皮膚黄色腫の消失が伴った。さらに、彼女の肝臓容量は、(図1Bにて示される基準の4213mLから、4か月後の2644mLまで)40%減少した。
【0049】
レプチンは、すべての糖尿病性脂肪組織萎縮症患者における代謝制御を改善した
レプチン治療の開始に先立って、8人の糖尿病性脂肪組織萎縮症患者は弱い代謝制御を有していた。4か月のレプチン置換治療で、HbAicは、平均1.9パーセンテージポイント(95%CI、1.1〜2.7%、p=0.0012)減少した(図2)。患者の個々の反応は、表3に示す。減少または中止の基準抗糖尿病治療にもかかわらず血糖制御が改善したことは特記できる(表2)。
【表3】

【0050】
インスリン耐性試験期間の血漿グルコースレベルは、基準と4か月の終端の比較での著しい改善を示した(図3A)。K値(グルコース消失の割合)は、全身インスリン感度の改善を示す、0.0071±0.0012から0.0169±0.0039まで増加した(p=0.035)。さらに、経口グルコース耐性も基準と比較して著しく改善された(図3B)。
【0051】
4か月の組換えレプチン治療の終わりにて、空腹時トリグリセリドレベルは、60%に下がった(CI、43〜77%、p<0.001、図4)。この同じ期間に、空腹時遊離脂肪酸は、1540±407μmol/Lから790±164μmol/Lまで下がった(p=0.045)。個々の反応は、表3に示す。
【表4】

【0052】
肝臓容量の変化、および肝機能検査法
基準平均肝臓容量は、3097±391mLであった(年齢および性別一致の正常体重の個人の比較にて約4倍上昇した)。レプチンは、基準から平均28%(CI、20〜36%)肝臓容量を減少させた。肝臓容量の平均減少は、987mL(CI、546〜1428mL、p=0.0024)であった。肝臓サイズにおける改善は、肝機能検査法における改善に関連していた。基準アラニンアミノ基転移酵素濃度は、4か月の終端にて66±16U/Lから24±4U/Lに減少した(p=0.023)。同様に、血清アスパラギン酸アミノ基転移酵素濃度は、4か月の終端にて基準および21±2U/Lで53±12U/Lであった(p=0.03)。
【0053】
エネルギーバランスにおける変化
自己報告された日々の摂取カロリーは、2680±250kcal/日の基準から1600±150kcal/日に非常に減少した(p=0.005、n=7)。正確な安静時代謝率1920±150 kcal/日から1580±80kcal/日に並列の減少があった(p=0.003、n=9)。
【0054】
1人の被験者(NIH−3)以外のすべては、4か月末にて減量していた。平均減量は、−1.7および7.3kg間の範囲にて3.6±0.9kgであった。減量の重要な部分(50−65%)は、肝臓重量の損失に起因することができる。
【0055】
耐性および副作用
注入部位での皮膚反応は、報告または観察されなかった。所定の生化学的または血液パラメーターでの副作用効果の傾向はなかった。患者NIH−1は、第1投与量後に吐き気および嘔吐の発作を有していた。患者NIH−6は、洗浄に関連する第2投与量後に高血圧症の悪化を有していた。
【0056】
患者NIH−7は、治療の第3月期間に連鎖球菌感染により入院した。これらの出来事のどれも継続的な治療にて再発しなかった。
【0057】
考察
本研究では、レプチン置換が、リポジストロフィおよびレプチン欠損に罹患した患者の1群にて明瞭および劇的な代謝上の利益を与えた。本研究期間にて、組換えレプチンとの置換が、HbAicを1.9パーセンテージポイント改善させ、これは糖尿病人口(英国PDS、1998年)の〜22%に網膜症を発現する関係リスクを減少させると推定される。さらに、トリグリセリドレベルは60%に減少し、これは母集団全体中の心臓血管事象のための相対的な危険を35〜65%に減少させると推定される(Kreisberg、1998年;Garg、2000年)。
【0058】
これらの結果は、レプチンの作用メカニズムに対する新規な見識を提供する。レプチンシグナルは、エネルギー恒常性の制御におけるその既知の役割に加え、全身インスリン感受性およびトリグリセリドレベルを調節していると思われる。本研究は、レプチンがヒトにてインスリン感作物質およびインスリン予備物質としてインビボで機能するという最初の証拠である。
【0059】
無作為化された研究設計を用いなかったが、証拠の重要性は、改善した代謝制御が研究への参加者のコンプライアンスの改善ではなくレプチンによって引き起こされたことを示唆する。第1に、HbAicの改善の大きさおよび再現性は、プラシーボ効果ではなく薬物結果と最も一致する。本研究に含まれた患者の不均性にもかかわらず我々は、すべての糖尿病患者における代謝制御の一定の改善を観察した。患者NIH−2にはノンコンプライアンスの証拠があり、これは長期治療により矯正された、第2および4月の間の彼女のHbAicの悪化から説明される(表3)。この患者における薬物中止の改善は、改善したHbAicレベルがレプチン投与による効果である強い証拠である。
【0060】
食物摂取におけるレプチンの効果
脂肪組織萎縮性糖尿病におけるカロリー摂取の制限は、グルコースおよび脂質異常を改善すると認識されている(Trygstad et al.,1977)。しかしながら、患者は自らの食欲のために食事制限に従うことが困難である。レプチンは、明白にこれらの患者における食物摂取を減少させた。代謝パラメーター上の減少した食物摂取の貢献を決定するため、制限した研究を患者NIH−1に行った。病院では、彼女は、9日間レプチンを使用中止し、カロリー摂取を使用中止前のレベルに固定した。安定したダイエット中にもかかわらず、彼女の空腹時インスリン、トリグリセリドおよびグルコース濃度は48時間以内に増加した。これらの観察は、レプチンが食物摂取に対する効果と無関係に、インスリン感受性およびトリグリセリド代謝に対して効果を有することを示す。レプチン投与ありの場合またはなしの場合の脂肪組織萎縮症マウスにおけるペア摂食実験(pair-feeding)を用いた同様のデータが報告されている(Shimomura et al., 1999;Ebihara et al., 2001)。
【0061】
マウスモデルとの相関性
脂肪組織萎縮症の様々なマウスモデルは、脂肪組織の不存在がこの症候群におけるインスリン抵抗性の原因であることを示唆した(Burant et al., 1997; Moitra et al., 1998; Shimomura et al., 2000)。脂肪組織萎縮症マウスにて脂肪組織の移植が劇的にインスリン抵抗性を改善し、代謝制御を改善するという証明は、本仮説を強く支持する(Gavrilova et al., 2000)。しかしながら、なぜ全身インスリン感受性を維持するために脂肪組織が必要なのかは、不明なままであった。上述のシモムラ(Shimomura)らと共に、前記考察した観察および結果は、全身インスリン感受性における脂肪組織の調節作用の大部分がレプチンを介して作用することを示唆する。
【0062】
レプチンがインスリン感受性および脂質代謝の両方を調節する可能なメカニズムは、脂質生成を刺激する転写因子であるSREBP1cに基づくかもしれない。肝臓では、SREBP1cは脂肪組織萎縮症で見られる高インスリン血症によって上方調節される。レプチン欠損および高インスリン血症は、インスリン受容体基質であるIRS−2の下方調節を引き起こし、インスリン作用を障害し、肝臓グルコース生産を増加させる。増加した脂質生成および肝臓グルコース生産は、悪循環を引き起こす。増加した組織脂質レベルは、減少した全身インスリン感受性およびさらなる肝臓グルコース生産に関連する。レプチンの置換は、この悪循環を補正することが示されている。トリグリセリド合成の割合は脂肪組織萎縮症に罹患したヒトにて研究されていないが、間接的な熱量研究は脂質生成が実際に無調節にされうるいくつかの証拠を提供する(Arioglu et al., 2000)。他の観察では、本研究にて処置した患者における安静時エネルギー消費が減少した。このことは、減少された食事誘導熱産生に帰着する、減少した食物摂取によるかもしれない。
【0063】
レプチン:抗脂肪症ホルモン
Zuckerラットにおけるレプチン投与が、脂質蓄積部位として機能する様々な器官にて脂肪症の補正を導くことが報告された;それは、肝臓または心臓細胞の島細胞のような部位にてである(Unger, 1995; Unger et al., 1999)。脂肪細胞の外側の脂質蓄積は、トリグリセリドを貯蔵する最大容積に達した脂肪細胞に起因する現象に波及するかもしれない。リポジストロフィでは、これらの器官が脂質を貯蔵できるただ一つの部位である。リポジストロフィを備えたマウスにおけるレプチン処置は、肝臓トリグリセリド貯蔵に劇的な低下を引き起こす。並行して、リポジストロフィに罹患したヒトにおけるレプチン治療が、肝臓容積の著しく、極めて大きな減少を引き起こす。
【0064】
レプチン置換のためのタイミング
脂肪組織が内分泌器官であるという概念は、レプチンの発見によって強く支持された。レプチンは、脳、肝臓、筋肉、脂肪および膵臓を含む代謝の主要な器官にて直接および/または間接的両方の効果がある。レプチンは確かに、唯一の循環型脂肪細胞シグナルではない。例えば、他の脂肪細胞ホルモンとしては、筋肉および肝臓にて脂肪酸化を引き起こすことにおいて重要に見える脂肪細胞特異的組成物関連タンパク質(ACRP)30/アディポネクチン/AdipoQがある(Yamauchi et al., 2001;Fruebis et al., 2001; Berg et al., 2001)。脂肪細胞の欠損が、既知および未だ発見されていないすべての脂肪誘導シグナルの欠損に帰着するのであれば、従って脂肪の欠失によって特徴づけられた症候群で見られた異常の多くに寄与する。本研究は、脂肪欠損の状態における脂肪誘導ホルモンを置換する代謝効果から判断する最初のヒト研究である。脂肪組織萎縮症に関連して見られた代謝異常に対して(それだけではないが)レプチン欠損が主に貢献することが明らかとなった。そのため、本研究は、ヒトにおけるレプチン置換治療を考慮する重要な理由を強調する;それは、すなわち重度のリポジストロフィである。
【0065】
実施例III
成熟組換えメチオニルヒトレプチンのためのアミノ酸配列は、配列番号1として本明細書に示し、ここでマチュアなタンパク質の第1のアミノ酸が(部位1の)バリンで、メチオニル残基が部位1(本明細書にてrHu−レプチン1−146、配列番号1と定義する)に位置する。
【数1】

【0066】
別法として、以下に示したrHu−レプチン1−146と比較して部位28でグルタミン欠損を有する、145アミノ酸を有するヒトレプチンの天然変異形を用いることができる(本明細書にてrHu−レプチン1−145、配列番号2と定義し、ここで空白「*」はアミノ酸がないことを示す)。
【数2】

【0067】
レプチンタンパク質、類似体、誘導体、調製、剤形化、医薬組成物、投与量および投与ルートの他の実施例は、以前に以下のPCT出願にて述べており、本明細書で以下に完全に示すように本明細書に参考のために示す。PCT国際出願番号WO 96/05309;WO 96/40912;WO 97/06816;WO 00/20872; WO 97/18833;WO 97/38014;WO 98/08512 およびWO 98/28427である。
【0068】
レプチンタンパク質、類似体および関連分子もまた、以下の刊行物にて報告されている;しかしながら、報告した任意の組成物の作用に関しては説明がない。
米国特許番号 US5,521,283;US 5,525,705;US 5,532,336;US 5,552,522;US 5,552,523;US 5,552,524;US 5,554,727;US 5,559,208;US 5,563,243;US 5,563,244;US 5,563,245;US 5,567,678;US 5,567,803;US 5,569,743;US 5,569,744;US 5,574,133;US 5,580,954;US 5,594,101;US 5,594,104;US 5,605,886;US 5,614,379;US 5,691,309;US 5,719,266(Eli Lilly and Company);
PCT WO96/23513;WO96/23514;WO96/23515;WO96/23516;WO96/23517;WO96/23518;WO96/23519;WO96/34111;WO 96 37517;WO96/27385;WP 97/00886;EP 725078;EP 725079;EP 744408;EP 745610;EP 835879 (Eli Lilly and Company);
PCT WO96/22308 (Zymogenetics);
PCT WO96/31526 (Amylin Pharmaceuticals, Inc.)
PCTWO96/34885;WO 97/46585 (SmithKline Beecham, PLC);
PCT WO 96/35787 (Chiron Corporation);
PCT WO97/16550 (Bristol-Myers Squibb);
PCT WO 97/20933 (Schering Corporation)
EP 736599 (Takeda) ;
EP 741187 (F. Hoffman La Roche)がある。
【0069】
有用なレプチンタンパク質または類似体、または関連する組成物あるいは方法、そのような組成物および/または方法のために提供するこれらの参考文献の範囲で、本方法と共に用いることが可能である。上記の条件で、これらの刊行物は本明細書に参考のために示す。
【0070】
実施例IV
標準酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)は、本発明の1つの実施例による脂肪組織萎縮症患者の血清中のレプチンレベルを決定するために用いることができる。ELISA法は、血清からのレプチンを捕らえるために精製ラットモノクローナル抗−rmetHu−レプチン抗体を用いることができる。ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合親和性精製ラビット抗−rmetHu−レプチンポリクローナル抗体も捕獲したレプチンを検知するために用いられることができる。これらの抗体を用いた該分析の検知の限界は、0.5−0.8ng/mlの範囲にあるかもしれない。ある抗体が使用されたかもしれないが、好ましい抗体は天然のヒトレプチンと特異的に反応し、5ng/ml血清以下のレプチン量を検知するために感度がよい。
【0071】
好適には、患者の基準レプチンレベルを決定するためのタイミングは、午前中のような断食後8〜12時間である。基準レプチンレベルは、例えば食事後など、またはほとんどの個人で観察されたレプチンの睡眠サイクル上昇(例えば、午前3時にレプチンレベルが上昇する)による、上昇レベルによって混乱されなかった。そのような基準レベルは、例えば夜間のレプチンレベル上昇の観察などに用いられてもよいが、それらのレベルは同様の状態の患者における同様のレベルと比較されるべきである。
【0072】
上記のデータに基づいて、レプチンを備えた処置に対する脂肪組織萎縮症患者の素因を決定する方法は、血清レプチン濃度に対応するレプチンレベルを決定すること、および血清レプチン濃度が約4ng/ml以下であることにより、実行することができる。
【0073】
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【配列表フリーテキスト】
【0074】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チアゾリジンジオン、フィブラート、スタチンおよびメトホルミンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むプロテアーゼ阻害物質、および配列表番号1および2からなる群から選択されるレプチンタンパク質の組合せを含む、脂肪組織萎縮症を処置するための医薬組成物。
【請求項2】
脂肪組織萎縮症に関連する代謝異常を処置するための請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
脂肪組織萎縮症が後天性型の疾患である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
脂肪組織萎縮症がHIV陽性患者における、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
後天性型の脂肪組織萎縮症が、HIV陽性患者における高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)に関連する、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項6】
レプチン、レプチン類似体またはレプチン誘導体を有効成分とする、脂肪組織萎縮症を処置するための医薬組成物。
【請求項7】
さらに医薬的に許容される担体を含む、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
さらに医薬的に許容される希釈剤を含む、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項9】
4ng/ml以下のレプチンレベルを有する患者に投与するための、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項10】
2ng/ml以下のレプチンレベルを有する患者に投与するための、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
脂肪組織萎縮症が後天性型である、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項12】
HIV陽性患者に投与するための、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
後天性型の脂肪組織萎縮症が、HIV陽性患者における高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)に関連する、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
脂肪組織萎縮症が遺伝型である、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項15】
脂肪組織萎縮症の遺伝型が先天性全身脂肪組織萎縮症である、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
脂肪組織萎縮症が代謝異常を含む、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項17】
代謝異常が高血糖症、異常脂質血症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄およびインスリン抵抗性からなる群から選択される、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
代謝異常が糖尿病である、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項19】
代謝異常がインスリン抵抗性である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項20】
代謝異常が高トリグリセリド血症である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項21】
脂肪組織萎縮症が脂肪肝である、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項22】
脂肪組織萎縮症が脂肪組織の分配の異常である、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項23】
皮下投与用である、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項24】
レプチンが配列表番号1および2の組換えヒトレプチンからなる群から選択される、請求項23記載の医薬組成物。
【請求項25】
さらに医薬的に許容される担体を含む、請求項24記載の医薬組成物。
【請求項26】
さらに医薬的に許容される希釈剤を含む、請求項24記載の医薬組成物。
【請求項27】
レプチンが組換えヒトレプチンである、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項28】
組換えヒトレプチンが配列表番号1である、請求項27記載の医薬組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−209114(P2010−209114A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137501(P2010−137501)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【分割の表示】特願2003−537565(P2003−537565)の分割
【原出願日】平成14年10月22日(2002.10.22)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【出願人】(507059783)ザ・ガバメント・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ・アズ・リプリゼンテッド・バイ・ザ・セクレタリー・デパートメント・オブ・ヘルス・アンド・ヒューマン・サービシーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】The Government of the United States of America as represented by the Secretary, Department of Health and Human Services
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】