説明

ヒトGM−CSFに結合するヒトのモノクローナル抗体並びにその抗原結合部分

【課題】過剰な産生が様々な疾病状態を導く原因となるヒトGM−CSFに対し、より強化された親和性および中和能をもつヒトのモノクローナル抗体を提供する。
【解決手段】ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、特定のアミノ酸配列で示される軽鎖(L鎖)と、特定のアミノ酸配列で示される重鎖(H鎖)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(human granulocyte-macrophage colony stimulating factor)(以下「hGM−CSF」と称す場合がある)に結合するヒトのモノクローナル抗体並びにその抗原結合部分に関する。
【背景技術】
【0002】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は、骨髄の顆粒球やマクロファージの前駆細胞の増殖を促進し、インビトロでコロニー形成を促進する液性因子として同定され、その名がつけられた。
現在では、顆粒球マクロファージ系血球の分化増殖の誘導、抗原提示細胞の機能促進、一部の上皮の機能発現維持、肺胞マクロファージの機能発現(サーファクタントの分解促進、殺菌能の促進、F受容体の発現促進)など、広い範囲の細胞に起因する因子であることがわかっている(非特許文献1)。
【0003】
その一方で、GM−CSFは様々な疾病状態を導く原因となることが知られている。
GM−CSFによって引き起こされる疾病は多岐に渡るが、代表的なものとしては、
1)喘息、アトピー、花粉症などのアレルギー疾患、2)移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)、3)関節リウマチ等の自己免疫疾患、などが挙げられる。
例えば、アレルギー個体の肺や、慢性関節リウマチ患者の関節においては過剰発現したhGM−CSFが検出され、アレルギーの個体の皮膚からはhGM−CSFのmRNAが過剰に検出されている。又、アトピー性皮膚炎の炎症惹起細胞である単球がGM−CSFの産生により寿命が延長しているとの報告がある(非特許文献2)。
その他、GM−CSFは白血病細胞の増殖を刺激することが示されており、白血病の原因因子とも考えられている。
【0004】
これらの報告から、過剰発現したhGM−CSFに結合し、その生物学的活性を喪失させることが、hGM−CSFが原因となって引き起こされる様々な病気に対する治療戦略上、有用であると考えられる。
そこでhGM−CSFの活性を喪失させて疾病症状を緩和する為、hGM−CSFに対して強い親和性及び中和能をもち、且つ拒絶反応を示さない抗hGM−CSF抗体を、所謂「抗体医薬」として投与するのが有効であると考えられた。
【0005】
実際、マウスの喘息モデルで抗GM−CSF抗体が有効であったとの報告(非特許文献3、4)が、マウスの関節リウマチモデルにおいては、GM−CSF投与が症状を悪化させ(非特許文献5、6)、抗GM−CSF抗体がその症状軽減に有効であった報告(非特許文献7、8)がある。
【0006】
しかしながら、hGM−CSFは様々な疾病状態を導く原因となるにも拘らず、現在までに報告されているhGM−CSF阻害抗体では、hGM−CSFに対して親和性及び中和能の点において十分ではなかった。
即ち、従来の抗hGM−CSF抗体では天然のhGM−CSFの生物活性を充分に阻止することはできなかった(特許文献1)。
又、抗体作製の手法として、通常はマウス、ウサギ、ヤギ等の実験動物を利用してポリクローナル抗体や、モノクローナル抗体を取得することが行われてきたが、このようにして得られた抗体は用いた動物種に特徴的な配列を有しているので、そのままヒトに投与するとヒト免疫系により異物として認識され、ヒト抗動物抗体応答が起こる(即ち、抗体の抗体を作ってしまう)という問題があった。
【0007】
そこで、異物認識応答を起こさないヒトのモノクローナル抗体であって、hGM−CSFに対する親和性、特異性及び中和能に優れた治療薬としても活用することのできる抗hGM−CSF抗体並びにその抗原結合部分の開発が強く望まれていた。
【0008】
【非特許文献1】The cytokine handbook, 4th edition (ed.) Thomson, A. et al., Academic Press, 2003
【非特許文献2】Bratton, D.L. et al., Granulocyte macrophage colony-stimulating factor contributes to enhanced monocyte survival in chronic atopic dermatitis. J. Clin. Invest., 95: 211-218, 1995.
【非特許文献3】Cates, E.C. et al., Intranasal exposure of mice to house dust mite elicits allergic airway inflammation via a GM-CSF-mediated mechanism. J. Immunol., 173: 6384-6392, 2004.
【非特許文献4】Ohta, K. et al., Diesel exhaust particlulate induces airway hyperresponsiveness in a murine model: essential role of GM-CSF. J. Allergy Clin. Immunol., 104: 1024-1030, 1999.
【非特許文献5】Bischof, R.J. et al., Exacerbation of acute inflammatory arthritis by the colony-stimulating fctors CSF-1 and granulocyte macrophage (GM)-CSF: evidence of macrophage infiltration and local proliferation. Clin. Exp. Immunol., 119: 361-367, 2000.
【非特許文献6】Campbell, I.K. et al., Granulocyte-macrophage colony stimulating factor exacerbates collagen induced arthritis in mice. Annal. Res. Dis., 56: 364-368, 1997.
【非特許文献7】Cook, A.D. et al., Blockade of collagne-induced arthritis post-onset by antibody to granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF): requirement for GM-CSF in the effector phase of disease. Arthritis Res., 3: 293-298, 2001.
【非特許文献8】Yang, Y.H. and Hamilton, J.A., Dependence of interleukin-1-induced arthritis on granulocyte-macrophage colony-stimulating factor. Arthritis Rheumatol., 44: 111-119, 2001.
【特許文献1】特開平5−176792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、様々な疾病状態を導く原因となるhGM−CSFに対し、親和性および中和能に優れたヒトのモノクローナル抗体並びにその抗原結合部分の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、hGM−CSFに対して、親和性および中和能に優れるヒトのモノクローナル抗体を創意工夫により見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、請求項1に係る発明は、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、配列番号1のアミノ酸配列で示される軽鎖(L鎖)と、配列番号2のアミノ酸配列で示される重鎖(H鎖)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体に関する。
請求項2に係る発明は、前記軽鎖(L鎖)及び/又は重鎖(H鎖)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1に記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体に関する。
請求項3に係る発明は、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、配列番号3のアミノ酸配列で示される軽鎖可変部領域(LCVR)と、配列番号4のアミノ酸配列で示される重鎖可変部領域(HCVR)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項4に係る発明は、前記軽鎖可変部領域(LCVR)及び/又は重鎖可変部領域(HCVR)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項3に記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項5に係る発明は、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、配列番号5〜10からなる群より選択される何れか一つ以上のアミノ酸配列で示される相補性決定領域(CDR)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項6に係る発明は、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、配列番号5のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR1ドメインと、配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR2ドメインと、配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR3ドメインとからなる群から選択されたCDRドメインを含むことを特徴とする、抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項7に係る発明は、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR1ドメインと、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR2ドメインと、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR3ドメインとからなる群から選択されたCDRドメインを含むことを特徴とする、抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項8に係る発明は、前記相補性決定領域(CDR)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項9に係る発明は、ヒトGM−CSFに対する親和性(アフィニティー(M))が、2.0×10−10(M)〜2.3×10−10(M)であることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項10に係る発明は、約2μg/mLで、特発性肺胞蛋白症陽性患者の血清を750倍〜1500倍希釈したものと同等の中和能を有することを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項11に係る発明は、末梢血樹状細胞の増殖を抑制することのできる、請求項1乃至10のいずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項12に係る発明は、抗体のクラス(サブクラス)がIgG(κ)であることを特徴とする請求項1乃至11いずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
請求項13に係る発明は、請求項1〜12いずれか記載のヒトモノクローナル抗体またはその抗体結合部分に薬学的に許容可能な担体を含む、ヒトGM−CSFにより引き起こされる疾病に対する医薬組成物に関する。
請求項14に係る発明は、前記hGM−CSFの過剰な産生により引き起こされる疾病が、(a)喘息、アトピー、花粉症などのアレルギー疾患、(b)移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)、(c)関節リウマチなどの自己免疫疾患からなる群より選択される何れか一つである請求項13記載の医薬組成物に関する。
請求項15に係る発明は、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得る抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体又はその抗原結合部分をコードするDNAであって、配列番号1〜10からなる群から選択されたアミノ配列をコードする単離されたDNAに関する。
請求項16に係る発明は、請求項15に記載のDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離されたDNAに関する。
請求項17に係る発明は、請求項15又は16に記載の単離DNAを組込んだベクターに関する。
請求項18に係る発明は、内部に請求項17の組換え発現ベクターが導入された、宿主細胞に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分は、様々な疾病の原因となるhGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を喪失(中和)させ、(hGM−CSFに対して)優れた親和性および中和能を発揮することができる。又、ヒトのモノクローナル抗体である為、免疫原性を有さず、拒絶反応も見られない。
さらに樹状細胞の増殖を抑制することができるので、抗原提示能の減弱に寄与するものと推測される。
【0013】
以上の性質より、本発明に係る抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分は、hGM−CSFが原因となって引き起こされる様々な疾病、例えば、喘息、アトピー、花粉症などのアレルギー疾患、移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)、関節リウマチ等の自己免疫疾患、などの予防ないし治療薬として有用であると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本願発明に係る抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分について説明する。
【0015】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、4本のポリペプチド鎖、2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖であってジスルフィド結合によって相互接続されたものからなる免疫グロブリン分子を指すものとする。
抗体の「抗原結合部分」(又は単に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えばhGM−CSF)に特異的に結合する能力を持つ1つ又は複数の抗体のフラグメントを指す。
「hGM−CSF活性を中和し得る抗体」とは、hGM−CSFに結合することによってhGM−CSFの生物学的活性を阻害する抗体を指すものとする。
【0016】
本明細書で使用される、例えば「阻害効果」、「阻害」、「阻害し得る」等々の用語は、源が何であれ、天然のhGM−CSFの観察される生物活性を約5〜100%低減させる抗体を称する。好ましくは、治療投与のためには、GM−CSFの観察される生物活性の低減は、約50〜100%の範囲にある。
【0017】
本願発明の一態様は、ヒトGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和し得るヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、配列番号1のアミノ酸配列で示される軽鎖と、配列番号2のアミノ酸配列で示される重鎖を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体に関する。
ヒトGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和し得るヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であれば、
軽鎖(L鎖)において、配列番号1のアミノ酸配列から一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有する抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分も本願発明に含まれるし、
重鎖(H鎖)において、配列番号2のアミノ酸配列から一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有する抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体も本願発明に含まれる。
【0018】
各H鎖は、H鎖可変部領域(「HCVR」または「V」と称す場合がある)とH鎖不変部領域(H鎖不変部領域は3つのドメインからなり、それぞれ「C1」、「C2」、「C3」と称す場合がある)からなる。
各L鎖は、L鎖可変部領域(「LCVR」または「V」と称す場合がある)とL鎖不変部領域(L鎖不変部領域は1つのドメインからなり、「C」と称す場合がある)からなる。
特にHCVRおよびLCVRは、抗体の結合特異性に関与する点で重要である。
【0019】
そこで本願発明の別の態様としては、ヒトGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和し得るヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、配列番号3のアミノ酸配列で示される軽鎖可変部領域(LCVR)と、配列番号4のアミノ酸配列で示される重鎖可変部領域(HCVR)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
【0020】
ヒトGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和し得るものであれば、前記軽鎖可変部領域(LCVR)及び重鎖可変部領域(HCVR)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分も本願発明に含まれるし、前記LCVR、HCVRのどちらか一方において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分も本願発明に含まれる。
【0021】
ここで可変部領域のアミノ酸配列は、大半の抗体−抗原相互作用を担っているため、特定の天然発生型の抗体を由来とする可変部領域配列を、異なる性質を持った異なる抗体由来のフレームワーク配列に移植した状態で含有するような発現ベクターを構築すると、特定の天然発生型抗体の性質を模倣する組換え抗体を発現させることができる。
そのために、もとの抗体のものと同様な結合特性を有するインタクト組換え抗体を作り直す際に、特定の抗体の配列全体を得る必要はない。通常、可変部領域にわたる部分的重鎖及び軽鎖配列があれば、この目的にとって充分である。
【0022】
ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であれば、配列番号3又は4のアミノ酸配列で示される可変部領域を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は本願発明に含まれるし、前記可変部領域において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分も本願発明に含まれる。
【0023】
抗体はLCVR及びHCVRのアミノ酸残基を主に通じて標的抗原と相互作用するので、可変部領域内のアミノ酸配列は可変部領域の外にある配列よりも個々の抗体間の違いが大きい。HCVR及びLCVRは、より一定に保たれたフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域が散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分することができる。
HCVR及びLCVRは、それぞれ3つのCDRおよび4つのFRからなり、これらはFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端まで配列される。
【0024】
そこで、本願発明の更なる別の態様としては、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、配列番号5〜10からなる群から選択される何れか一つ以上のアミノ酸配列で示される相補性決定領域(CDR)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
ヒトGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和し得るヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であれば、前記相補性決定領域(CDR)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分も本願発明に含まれる。
【0025】
本願発明の更なる態様として、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、配列番号5のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR1ドメインと、配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR2ドメインと、配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR3ドメインとからなる群から選択されたCDRドメインを含むことを特徴とする、抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
ヒトGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和し得るヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であれば、前記軽鎖の相補性決定領域(CDR)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分も本願発明に含まれる。
【0026】
本願発明の更なる態様として、ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR1ドメインと、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR2ドメインと、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR3ドメインとからなる群から選択されたCDRドメインを含むことを特徴とする、抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。
ヒトGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和し得るヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であれば、前記重鎖の相補性決定領域(CDR)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分も本願発明に含まれる。
【0027】
本発明にかかる抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、ヒトGM−CSF上に存在する特定の抗原決定基(エピトープ)と特異的に結合し、その生物活性を中和し得るものである。
【0028】
以上のとおり、本発明に係る抗hGM−CSFモノクローナル抗体又はその抗原結合部分の特定態様について特記したが、変化、変形をなし得るものであり、これらは本願発明の技術的範囲内に属するものである。
即ち、本願発明の抗体は、完全長の抗体又はその抗原結合部分であってもよく、可変部領域や、相補性決定領域(CDR)を示す、配列番号3〜10のアミノ酸配列をもとにすれば、当該技術分野における周知の技術によって、hGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和し得る組換えヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を得ることができるが、これらは本願発明の技術的範囲内に属するものである。
【0029】
例えば、重鎖及び軽鎖リーダ配列はタンパク質成熟の過程で切断され、最終的な抗体の特性には寄与しないが、欠けている配列を追加するためには、クローン化されたcDNA配列を、ライゲーション又はPCR増幅法により、合成オリゴヌクレオチドに組み合わせることができる。
代替的には、可変領域全体を一組の短い、重複のあるオリゴヌクレオチドとして合成し、PCR増幅法で組み合わせて、完全に人工的な可変領域クローンを作製することもできる。
【0030】
そこで本願発明の別の態様としては、hGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得る抗hGM−CSFモノクローナル抗体又はその抗原結合部分をコードするDNAであって、配列番号1〜10からなる群から選択されたアミノ配列をコードする単離されたDNAに関する。
hGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得る抗hGM−CSFモノクローナル抗体又はその抗原結合部分をコードするDNAであれば、前記DNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離されたDNAも本願発明に含まれる。
又、上記した単離DNAを組込んだベクター、並びにこれらの組換え発現ベクターが導入された、宿主細胞も本願発明に含まれる。
【0031】
その他、近年開発された、遺伝子工学技術を活用して組み換え抗体(リコンビナント抗体)をファージ表面に発現させる、ファージディスプレイ抗体技術により、人工的にV、V遺伝子をシャッフリングさせ多様化したscFv(single chain Fragment of variable region)抗体をファージ融合タンパクとして発現させ、特異抗体を得ることもできる。
該技術は、免疫を回避でき、さらに細胞融合法に変わるヒト化抗体作製技術として高く評価されているが、本願明細書における配列番号1〜10のアミノ酸配列を参考に作製した特異抗体又はその抗原結合部分であれば、本願発明の技術的範囲内に属する。
【0032】
上述した本発明に係る抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分は、様々な疾病の原因となるhGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和することができるが、とくに高い親和性と中和能を特徴とする。
【0033】
ここで「特異的結合」とは、所定の抗原への抗体の結合を言う。典型的には、抗体は少なくとも約1×10−7(M)の親和性で結合し、所定の抗原に対しては、前記所定の抗原又は関係の近い抗原以外の非特異的な抗原(例えばBSA、カゼイン)に対するその結合親和性よりも少なくとも2倍高い親和性で結合する。
ここで、或IgG抗体に対する「高親和性」とは、少なくとも約1×10−7(M)、好ましくは少なくとも約1×10−8(M)、より好ましくは少なくとも約1×10−9(M)、そしてさらにより好ましくは少なくとも約1×10−10(M)の結合親和性を言う。しかしながら、「高親和性」結合は他の抗体 アイソタイプでは様々であり、例えばIgMアイソタイプにとっての「高親和性」結合とは、少なくとも約1×10−7(M)の結合親和性を言う。
【0034】
抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分の中和能については、hGM−CSF存在下におけるヒト末梢血単球の増殖及び腫瘍細胞株TF−1の増殖を何れも抑制することができることから確認される。
即ち、ヒト末梢血単球及びTF−1は何れもhGM−CSFの存在下で培養すると増殖することが知られているが、この培養系に本発明の抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分を共存させるとこれらの増殖が抑制される。
【0035】
本発明に係る抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分は、親和性として、通常、Kd=2.0×10−10(M)〜2.3×10−10(M)の性質を有する。
また、中和活性として、通常、約2μg/mLで、特発性肺胞蛋白症患者の血清を750倍〜1500倍に希釈したものと同等の中和能を有する。
【0036】
さらに本発明に係る抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分は、ヒトGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を中和することができるだけでなく、末梢血樹状細胞の増殖を抑制することができる。
その為、提示細胞の機能促進が原因となる移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)等にも有効であると考えられる。
【0037】
その他、本願発明の一態様として、かかる抗hGM−CSFモノクローナル抗体のクラス(サブクラス)がIgG(κ)であることを特徴とする。
IgGは物質として安定で、親和性が高いことが知られている。
一方、IgMはすぐに凝集しまい、親和性も低いことが知られている。
【0038】
上述した性質、即ち、本発明に係る抗hGM−CSF抗体又はその抗原結合部分は、hGM−CSFに対して強い親和性及び中和能をもつので、hGM−CSFが原因となって引き起こされる様々な疾病、特に皮膚アレルギー性疾患や喘息、慢性関節リウマチ等の自己免疫疾患、などの治療薬としても期待できる。
更に末梢血樹状細胞の増殖を抑制する効果も有するので、抗原提示細胞の機能促進が原因となる移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)等にも有効であると考えられる。
【0039】
本明細書で使用される「hGM−CSFにより引き起こされる疾病」という用語は、その疾患にかかっている被験対象がGM−CSFを持っていることがその疾患の病態生理の原因でありまたはその疾患を悪化させる一因である、ということが示されまたはそうであると考えられる疾病およびその他の疾患を含むものとする。
従って、GM−CSF活性が害となる疾患は、GM−CSF活性の阻害によってその疾患の症状および/または進行が緩和されることが予測される疾患である。
このような疾患は、例えば上述の抗GM−CSF抗体を使用して検出することが可能な、その疾患にかかっている被験対象の生物学的流体中のGM−CSFの濃度を高める(例えば、被験対象の血清や血漿、滑液中のGM−CSFの濃度を高める)ことによって証明することができる。
【0040】
さらに本発明に係る抗hGM−CSFモノクローナル抗体又はその抗原結合部分は、特発性肺胞蛋白症患者の血液由来の抗体産生細胞から得られたものであるので、完全なヒトのモノクローナル抗体である。
その為、抗体医薬として人体に投与したとしても、免疫原性を有さず、拒絶反応は見られないものと考えられる。
又、上記抗体は、ヒトの単核球を活用することで人の体内と同じ状態で抗体を作る為、例えばマウスなどを利用して作製した場合に比べ活発で、投与量が1/50〜1/100でも同程度の治療効果が期待できる。
【0041】
本発明の抗体および抗体部分は、被験対象への投与に適する医薬品組成物に組み込むことができる。典型的な場合、医薬品組成物は、本発明の抗体または抗体部分と、医薬品として許容される担体を含む。
本明細書で使用される「医薬品として許容される担体」には、生理学的に適合可能な任意の、または全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤または抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などが含まれる。
医薬品として許容される担体の例には、水、塩類溶液、リン酸緩衝化生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1種または複数、並びにこれらの組合せが含まれる。多くの場合、等張剤、例えば糖や、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。医薬品として許容される担体には、さらに、湿潤剤や乳化剤、防腐剤、緩衝剤など、抗体または抗体部分の保存性または有効性を増大させる少量の補助物質を含めることができる。
【0042】
本発明の抗体および抗体部分は、非経口投与に適する医薬品組成物に組み込むことができる。抗体または抗体部分は、0.1〜250mg/mlの抗体を含有する注射可能な溶液として調製することが好ましい。
注射可能な溶液は、液体または凍結乾燥させた剤型を、フリントまたはアンバーバイアル、アンプル、または予備充填シリンジに入れたもので構成することができる。緩衝剤は、pH5.0〜7.0(最適な場合、pH6.0)のL−ヒスチジン(1〜50mM)、最適な場合は5〜10mMのL−ヒスチジンにすることができる。その他の適切な緩衝剤には、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、またはリン酸カリウムが含まれるが、これらに限定されない。濃度0〜300mMの溶液(液体剤型に関しては、最適な場合、150mM)の毒性を変えるために、塩化ナトリウムを使用することができる。凍結乾燥させた剤型には、凍結保護物質、主に0〜10%(最適な場合、0.5〜1.0%)のスクロースを含めることができる。その他の適切な凍結保護物質にはトレハロースおよびラクトースが含まれる。凍結乾燥させた剤型には、増量剤、主に1〜10%のマンニトール(最適な場合、2〜4%)を含めることができる。液体および凍結乾燥させた剤型の両方には、安定剤、主に1〜50mML(最適な場合、5〜10mM)のL−メチオニンを使用することができる。その他の適切な増量剤にはグリシン、アルギニンが含まれ、0〜0.05%(最適な場合、0.005〜0.01%)のポリソルベート80として含めることができる。他の界面活性剤には、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
本発明の組成物は、様々な剤型にすることができる。そのような組成物には、例えば、溶液(例えば注射可能であり輸液可能な溶液)や分散液、懸濁液、錠剤、ピル、粉末、リポソーム、坐剤など、液体、半固体、固体の剤型が含まれる。好ましい形は、意図される投与形態および治療の適用例により異なる。一般に好ましい組成物は、他の抗体でヒトを受動免疫化するために使用されるものと同様の組成物など、注射可能または輸液可能な溶液の形にあるものである。好ましい投与形態は、非経口的なもの(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内から)である。好ましい実施形態では、抗体は、静脈輸液または静脈注射によって投与される。別の好ましい実施形態では、抗体は筋肉内注射または皮下注射によって投与される。
【0044】
治療組成物は、一般に、製造および貯蔵の条件下で無菌または安定でなければならない。この組成物は、溶液、ミクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高い薬物濃度に適するその他のオーダーされた構造として、処方することができる。無菌の注射可能な溶液は、必要とされる量の活性化合物(すなわち抗体または抗体部分)を、必要な場合には上述の成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒に混ぜ、その後、濾過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、活性化合物を、基本的な分散媒および上記列挙したものから必要とされるその他の成分を含有する無菌ビヒクルに混ぜることによって、分散液を調製する。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌凍結乾燥粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および噴霧乾燥であり、それによって、活性成分の粉末に加え、前に述べたその滅菌濾過溶液からの任意の他の所望の成分が得られる。溶液の適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、また、分散液の場合には必要とされる粒度を維持することによって、また、界面活性剤を使用することによって、維持することができる。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、その組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩やゼラチンを含めることによって行うことができる。
【0045】
本発明の抗体および抗体部分は、当技術分野で知られている様々な方法によって投与することができるが、多くの治療の適用例での好ましい投与経路/形態は皮下注射、静脈注射、または輸液である。当業者に理解されるように、投与経路/形態は、所望の結果に応じて異なる。ある実施形態では、活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムを含む、制御放出製剤など、この化合物が急速に放出されないようにする担体と共に調製することができる。エチレン酢酸ビニルやポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸など、生分解性で生体適合性のポリマーを使用することができる。このような製剤を調製するための多くの方法には特許が付与され、または当業者に一般に知られている。
【0046】
ある実施形態では、本発明の抗体または抗体部分を、例えば不活性な希釈剤または同化可能な食用担体と共に経口投与することができる。化合物(および望むならその他の成分)は、硬質または軟質シェルのゼラチンカプセルに封入し、錠剤に圧縮し、または被験対象の食物に直接混ぜることもできる。経口治療投与の場合、化合物を賦形剤に混ぜることができ、経口摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラートなどの形で使用することができる。非経口投与以外で本発明の化合物を投与するには、その化合物の不活性化を防止する材料でその化合物を被覆し、またはその化合物の不活性化を防止する材料と同時にその化合物を投与する必要があると考えられる。
【0047】
組成物には、補助的な活性化合物も組み入れることができる。ある実施形態では、本発明の抗体または抗体部分は、GM−CSFが原因となる疾患を治療するのに有用な1種または複数の他の治療薬と一緒に処方し、またはそのような他治療薬と同時に投与する。例えば、本発明の抗hGM−CSF抗体または抗体部分は、他の標的に結合する1つまたは複数の他の抗体(例えば、他のサイトカインに結合する抗体、または細胞表面分子に結合する抗体)と一緒に処方し、またはそのような他の抗体と同時に投与することができる。さらに、本発明の1つまたは複数の抗体は、前述の治療薬のうち2種またはそれ以上の種類を組み合わせて使用することができる。そのような組合せによる療法は、投与された治療薬のより低い用量を有利に利用することができ、したがって、様々な単一療法に伴う可能性ある毒性または合併症が回避される。
【0048】
上述の本発明の抗hGM−CSF抗体または抗体部分に薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物は、hGM−CSFにより引き起こされる疾病に対して有効であると考えられる。
前記hGM−CSFの過剰な産生により引き起こされる疾病としては、(a)喘息、アトピー、花粉症などのアレルギー疾患、(b)移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)、(c)関節リウマチなどの自己免疫疾患、等を例示することができる。
【0049】
次に、本発明に係る抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体およびその抗原結合部分を得た工程について説明するが、本発明に係る抗体等を得る手法はこれらの記載に何ら限定されるものではなく、上述したとおり、当該技術分野における通常の変更ができることは言うまでもない。
【0050】
本発明に係る抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体およびその抗原結合部分は、特発性肺胞蛋白症(IPAP)患者の血清から種々の工程を経て、該抗体を産生する細胞クローンを分離し、得られた抗体産生細胞ライブラリから抗体陽性細胞を選択する工程を経、前記抗体陽性細胞上清より得られた抗体について、アフィニティー精製を行うことによって得ることができる。
【0051】
1)抗hGM−CSF抗体産生細胞クローンの分離
血清中の抗hGM−CSF抗体が高値である特発性肺胞蛋白症(IPAP)患者の血液から単核球を分離する。
単核球からT細胞を除去した後、該単核球を不死化する。
不死化の方法自体は公知であり、例えばガンの誘因因子となる「エプスタイン・バールウイルス(EBウイルス)」(Epstein-Barr virus)(以下、EBVと称す)を用いたトランスフォーム法(D.Kozborら)により、行うことができる。
即ち、上記単核球をEBVに感染させて不死化し、増殖させた細胞を抗体産生細胞ライブラリとする。
【0052】
2)抗体産生細胞ライブラリからモノクローナル抗体の回収
不死化細胞からモノクローナル抗体を回収する方法はモノクローナル抗体の作製 において常用されている周知の方法により行うことができる。
即ち、不死化した単核球を限界希釈法等でクローン化し、所望の抗体(hGM−CSFに陽性反応を示す抗体)を産生するものを選択し、それを培地中で培養して増殖させ、その培養上清から所望のモノクローナル抗体を採取することができる。
【0053】
前記抗体産生細胞ライブラリの中からhGM−CSFに陽性反応を示す抗体を作り出すリンパ球を選別、抗体を取り出す。即ち、前記抗体産生細胞ライブラリから限界希釈法によりhGM−CSFに陽性反応を示す細胞集団(クローン)を選択する。
GM−CSFと結合する画分の検出には、GM−CSF及び標識マウス抗GM−CSF抗体を用いたELISAを採用するのが好ましい。
選択された抗体陽性細胞集団を培養し、スクリーニングを繰り返すことによって、目的とする抗体のみを産生する細胞集団(クローン)を得ることができる
以上の抗体産生細胞クローンの分離までの工程を表すフローチャートを図1に示す。
【0054】
3)ProteinAを用いたアフィニティー精製
抗hGM−CSF抗体を精製するには、選抜された不死化細胞を、ローラ瓶、2リットル入りスピナー・フラスコ、又は他の培養系で成長させることができる。
上清を濾過し、濃縮してからプロテインA−セファロース(ニュージャージー州ピスカタウェイ、ファルマシア社)によるアフィニティ・クロマトグラフィにかけて当該タンパク質を精製することができる。緩衝液をPBSに交換し、1.43の吸光係数を用いたOD280により、又は好ましくはネフェロメータ分析により、濃度を判定できる。
アイソタイプはゲル電気泳動法及び抗原特異的方法で検査することができる。
【0055】
このようにして得られた抗hGM−CSF抗体は、ヒト体内で感作されたBリンパ球から作製した完全ヒト抗体であるので、副作用を排除することができる。
又、抗体産生細胞クローン作成に関して、Bリンパ球に感染して無限増殖(不死化)させる活性があるEBウイルスを利用している点も特徴である。
EBウイルス不死化法の利点は、ヒトの体内で作られるナチュラルな抗体を作製できる点で、例えば、GM−CSFに対するヒト抗体は、マウスを人工的に免疫して作られた抗体より約50〜100倍活性が高いことも判明している。
EBウイルス感染で増殖したBリンパ球集団は抗体産生細胞のライブラリーとなる。
このライブラリーから特定の抗体産生細胞クローンを分離しヒト抗体を得ることができる。
【0056】
上述のとおり、本発明を特定の態様について特記したが、変化、変形をなし得るものであり、これらは本発明の技術的範囲内に属するものである。
本発明の抗体又はその抗原結合部分は、この発明の組換えヒト抗体を発現するための核酸、ベクター及び宿主細胞も又この発明に包含される。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0058】
1.hGM−CSF抗体産生細胞クローンの分離
図1は、抗体産生細胞クローンの分離までのフローチャートである。
血清中の抗hGM−CSF抗体が高値であるヒトの血液から単核球を分離した。
単核球からT細胞を除去し、その後EBVに感染させ増殖してきた細胞を抗体産生細胞ライブラリーとした。
【0059】
抗体産生細胞ライブラリーは96wellプレートに播種し、およそ3〜4週間の培養後、培養上清中の抗hGM−CSF抗体の1stスクリーニングを行った。スクリーニングはリコンビナントGM−CSFをコートした96wellプレートを用いて、ELISA法により行った。得られた抗体陽性細胞集団は新たな96wellプレートに細胞濃度を薄くして播種し、細胞増殖の助けとなるようにフィーダーセルを添加した。3〜4週間培養した後に抗GM-CSF抗体の2ndスクリーニングを行った。得られた抗体陽性細胞集団は新たな96wellプレートに限界希釈で播種し、この段階にも細胞増殖の助けとなるようにフィーダーセルを添加した。3〜5週間培養した後に、抗hGM−CSF抗体の3rdスクリーニングを行った。得られた抗体陽性細胞集団は限界希釈による培養とスクリーニングを行い、well当たり1個まきのプレートから抗体陽性細胞が得られた。
【0060】
2.抗体アイソタイプの確認
分離した抗体産生細胞クローンについて産生する抗体のアイソタイプを確認した。確認の方法はスクリーニングと同様のELISAシステムを利用し、2次抗体としてそれぞれのアイソタイプに特異的な抗体を使用した。サンプルはクローン分離後の細胞培養上清を用いた。その結果、得られた抗hGM−CSF抗体はIgG、κであった(図2)。
【0061】
3.抗体精製
抗hGM−CSF抗体の精製はProteinAを用いたアフィニティー精製で行った。カラムはHiTrap rProtein A FF(Amersham)のプレパックカラム使用し、精製条件はカラムメーカーの推奨条件とした。
図3はSDS-PAGE結果である。精製後、50kDaの抗体H鎖と25kDaの抗体L鎖が確認できた。精製後の抗体はELISAでGM-CSF抗体活性が保持されていることを確認した。
【0062】
4.抗hGM−CSF抗体のアフィニティー解析
抗hGM−CSF抗体のアフィニティー解析は、ビアコアシステム(登録商標)を用いて行った(図4)。
方法は抗体をセンサーチップに固定化し、抗体固定化表面に抗原を添加して相互作用を測定するものである。抗体は精製抗体、抗原にはリコンビナントhGM−CSFを用いた。ポジティブコントロールは市販のマウス抗hGM−CSFモノクローナル抗体(R&D)を、ネガティブコントロールには精製ヒト抗ヒトサイトメガロウイルス(CMV)モノクローナル抗体を使用した。
その結果、ネガティブコントロールでは抗原抗体相互作用は検出されなかった。
ポジティブコントロールのアフィニティー(親和性)は解離定数として5.7×10−9(M)であった。
抗GM-CSF抗体のアフィニティー(親和性)は2.1×10−10(M)であった(図5)。
【0063】
5.抗GM-CSF抗体の中和活性評価
抗GM-CSF抗体の有効性評価として中和活性を確認した。中和活性の評価にはGM-CSF依存的に増殖するTF-1細胞を用いた。TF-1細胞に精製抗体とリコンビナントGM-CSFを添加して培養し、3日後の生細胞数をカウントした。抗体に中和活性があれば、添加したGM-CSFを中和し、TF-1細胞を死滅させることができる。生細胞のカウントはCell Counting Kit(同仁)を使用し、発色(A450)の強さで評価した。
図6はコントロールとして用いた血清と各GM-CSF抗体の中和活性評価結果である。GM-CSF濃度によるTF1細胞の生細胞数の変化を示した。
【0064】
血清での試験は実験コントロールとして行った。
健常者血清(ネガティブコントロール)および特発性肺胞タンパク症患者血清(ポジティブコントロール)を3000倍希釈で使用した。
その結果、健常者血清ではGM-CSF濃度依存的にTF1細胞の増加がみられたが、患者血清ではGM-CSF 5ng/mlまでTF1細胞はほとんど増殖できなかった。
精製抗体での試験は精製抗体の濃度を4段階(0,500,1000,1500,2000ng/ml)に設定して行った。抗体濃度依存的に生細胞数が減少し、中和活性が確認された。
【0065】
6.抗GM-CSF抗体による末梢血樹状細胞の増殖抑制効果(図7)
20mlの末梢血より1.7x107の単核球を得、Blood Dendritic Cell Isolation Kit II Human (Miltenyii Biotec Inc, Auburn CA, USA)を用いて、3x105のDC(dendritic cell:樹状細胞)を回収した。このDCには、plasmacytoid DCとmyeloid DCが含まれている。
得られたDCをRPMI1640+10%FCSにリコンビナントGM-CSF(100 ng/ml)、TNF-α(100 ng/ml)を添加した培養液に浮遊し、96穴平底プレートに0.45×104/well播いて、2日目、4日目、6日目に培養液、サイトカイン、抗体を新鮮なものと交換し、8日間培養した。その結果、抗GM-CSF抗体(1μg/ml)の添加によりDCのGM-CSF依存性増殖が抑制された。
一方、対照として用いた抗CMV抗体はDCのGM-CSF依存性増殖を抑制しなかった。
以上より、抗GM-CSF抗体はDCの増殖を抑制することが明らかになり、抗原提示能の減弱に寄与するものと推測された。
【0066】
7.抗体産生細胞からの抗体遺伝子のクローニング
抗体遺伝子のクローニングはPCR法により行った。抗GM-CSF抗体産生細胞クローンからTRIZOL試薬(invitrogen)を使用しtotal-RNAを抽出した。抽出したtotal-RNAからOligo-dT Primer(invitrogen)とReverse Transcriptase(invitogen)を用いcDNA合成を行った。
抗体遺伝子はH鎖、L鎖のいずれも5´末端側に可変領域をコードし、抗体によりシークエンスは多様である。3´末端側は定常領域であり、抗体遺伝子間でよく保存されている。抗体遺伝子シークエンスのデータベースをもとに、5´末端側は転写開始点を含むように、3´末端側は転写終結点を含むように以下のprimerを設計し、合成したcDNAをテンプレートとして抗体遺伝子の増幅を行った。
【0067】
【表1】

【0068】
8.抗体遺伝子の塩基配列に基づく抗体のアミノ酸配列の決定
抗体遺伝子の塩基配列はABIのシークエンサーを用いて行った。
得られた塩基配列に基づく抗GM-CSF抗体のアミノ酸配列は配列番号1乃至10に示す。
【0069】
9.得られた抗体遺伝子が抗GM-CSF抗体をコードしていることの確認(図8)
得られた抗体遺伝子(H鎖・L鎖)のcDNAクローンをそれぞれプラスミドベクターpSG5に挿入した。両プラスミドを293T細胞に導入し、一過性での抗体発現の確認を行った。
形質導入はリポフェクタミン(invitrogen)とプラス試薬(invitrogen)による方法を採用した。コントロールとしてpEGFPを形質導入し、GFP発現細胞を蛍光顕微鏡下で観察することで形質導入の効率を確認した。効率は50%〜60%であった。
形質導入から2日後の293T細胞のライセートを使用し、ヒト抗体を検出したウェスタンブロットを行った。検出にはペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG H+L(Amersham)を使用し、1ステップで検出した。その結果、形質導入した細胞においてヒト抗体のH鎖(50kDa)とL鎖(25kDa)を確認することができた。
【0070】
次に同様の形質導入試験による抗体の分泌および抗原特異性の保持を確認した。形質導入から24時間後と48時間後の細胞培養上清を採取し、ELISAによるヒトIgG抗体の検出および抗GM-CSF特異的抗体の検出を行った。図8はELISA結果である。
ELISAのコントロールとして精製抗体(G3D No.9)の希釈系列を使用した。
形質導入のコントロールは上記と同様pEGFPを形質導入した細胞の培養上清を使用した。抗体遺伝子を一過性に発現させた細胞の培養上清からはいずれもヒトIgGが確認できた。又、分泌された抗体はいずれもGM-CSFに対する特異性を保持していることが確認できた(図6)。
【0071】
このようにして得られた抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分は、様々な疾病の原因となるhGM−CSFに特異的に結合し、その生物活性を喪失(中和)させ、(hGM−CSFに対して)優れた親和性および中和能を発揮することができる。又、ヒトのモノクローナル抗体である為、免疫原性を有さず、拒絶反応も見られない。
さらに樹状細胞の増殖を抑制することができるので、抗原提示能の減弱に寄与するものと推測される。
以上の性質より、本発明に係る抗hGM−CSF抗体またはその抗原結合部分は、例えば、喘息、アトピー、花粉症などのアレルギー疾患、移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)、関節リウマチ、その他、hGM−CSFによって引き起こされる病的状態の予防ないし治療薬として有用であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明にかかる抗hGM−CSF抗体を産生する抗体産生細胞クローン分離の手順をフローチャートで表した図である。
【図2】本発明にかかる抗hGM−CSF抗体について、そのアイソタイプをELISA法で確認した結果である。
【図3】本発明にかかる抗hGM−CSF抗体を、SDS−PAGEで確認した結果である。
【図4】本発明にかかる抗hGM−CSF抗体のアフィニティー解析手順を表した概略図である。
【図5】本発明にかかる抗hGM−CSF抗体のアフィニティーを解離定数(M)で示した結果である。
【図6】本発明にかかる抗hGM−CSF抗体によるTF−1細胞の増殖抑制効果を示した結果である。
【図7】本発明に係る抗hGM−CSF抗体による樹状細胞増殖の抑制能を確認した結果である。
【図8】293T細胞への抗hGM−CSF抗体遺伝子の導入による抗hGM−CSF抗体産生を確認した結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、配列番号1のアミノ酸配列で示される軽鎖(L鎖)と、配列番号2のアミノ酸配列で示される重鎖(H鎖)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体。
【請求項2】
前記軽鎖(L鎖)及び/又は重鎖(H鎖)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1に記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体。
【請求項3】
ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、配列番号3のアミノ酸配列で示される軽鎖可変部領域(LCVR)と、配列番号4のアミノ酸配列で示される重鎖可変部領域(HCVR)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項4】
前記軽鎖可変部領域(LCVR)及び/又は重鎖可変部領域(HCVR)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項3に記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項5】
ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、配列番号5〜10からなる群より選択される何れか一つ以上のアミノ酸配列で示される相補性決定領域(CDR)を有することを特徴とする抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項6】
ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、配列番号5のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR1ドメインと、配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR2ドメインと、配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖(L鎖)CDR3ドメインとからなる群から選択されたCDRドメインを含むことを特徴とする、抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項7】
ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得るヒトのモノクローナル抗体であって、配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR1ドメインと、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR2ドメインと、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖(H鎖)CDR3ドメインとからなる群から選択されたCDRドメインを含むことを特徴とする、抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項8】
前記相補性決定領域(CDR)において、一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項9】
ヒトGM−CSFに対する親和性(アフィニティー(M))が、2.0×10−10(M)〜2.3×10−10(M)であることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項10】
約2μg/mLで、特発性肺胞蛋白症陽性患者の血清を750倍〜1500倍希釈したものと同等の中和能を有することを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項11】
末梢血樹状細胞の増殖を抑制することのできる、請求項1乃至10のいずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項12】
抗体のクラス(サブクラス)がIgG(κ)であることを特徴とする請求項1乃至11いずれか記載の抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれか記載のヒトモノクローナル抗体またはその抗体結合部分に薬学的に許容可能な担体を含む、ヒトGM−CSFにより引き起こされる疾病に対する医薬組成物。
【請求項14】
前記ヒトGM−CSFの過剰な産生により引き起こされる疾病が、(a)喘息、アトピー、花粉症などのアレルギー疾患、(b)移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)、(c)関節リウマチなどの自己免疫疾患からなる群より選択される何れか一つである請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
ヒトGM−CSFに結合し、その生物活性を中和し得る抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体又はその抗原結合部分をコードするDNAであって、配列番号1〜10からなる群から選択されたアミノ配列をコードする単離されたDNA。
【請求項16】
請求項15に記載のDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離されたDNA。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の単離DNAを組込んだベクター。
【請求項18】
内部に請求項17の組換え発現ベクターが導入された、宿主細胞。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−116947(P2007−116947A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311776(P2005−311776)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国の委託に係る研究(平成16年度地域新生コンソーシアム研究開発事業「医薬素材としての完全ヒト抗体の作製と大量生産システムの確立」)の成果に係る出願。
【出願人】(503161763)株式会社イーベック (6)
【Fターム(参考)】