説明

ヒトOX40に対する特異性を有する抗体分子

本発明は、ヒトOX40の抗原決定基に対する特異性を有する抗体分子、該抗体分子の療法的使用、および前記抗体分子を産生するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OX40の抗原決定基に対する特異性を有する抗体分子および該分子を含む組成物に関する。本発明はまた、抗体分子の療法的使用、前記抗体分子を産生するための組成物および方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
OX40(CD134、TNFRSF4、ACT35またはTXGP1Lとしてもまた知られる)は、4−1BB、CD27、CD30およびCD40を含むTNF受容体スーパーファミリーのメンバーである。OX40の細胞外リガンド結合ドメインは、3つの全長システインリッチドメイン(CRD)および部分的な4番目のC末端CRDで構成される(Bodmerら, 2002, Trends Biochem Sci, 27, 19−26)。
【0003】
OX40のリガンドはOX40Lであり、そして3コピーのOX40が三量体リガンドに結合して、OX40−OX40L複合体を形成する(CompaanおよびHymowitz, 2006, Structure, 14, 1321−1330)。OX40は、膜結合性受容体である;が、可溶性アイソフォームもまた検出されてきている(TaylorおよびSchwarz, 2001, J.Immunol. Methods, 255, 67−72)。可溶性型の機能的重要性は現在は未知である。OX40は休止T細胞上では発現されないが、T細胞受容体(TCR)の連結後に活性化されたT細胞上で一過性に発現される。OX40のリガンド、OX40Lは、TNFファミリーのメンバーであり、そしてB細胞、マクロファージ、内皮細胞および樹状細胞(DC)を含む、活性化された抗原提示細胞(APC)上で発現される。
【0004】
OX40は、主要な共刺激受容体であり、最適なT細胞増殖および生存には、CD28およびOX40の連続した結合が必要とされる。活性化されたT細胞上にOX40が連結すると、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の両方で、サイトカイン産生および増殖の増進が導かれ(Gramagliaら, 2000, J. Immunol, 165, 3043−3050、Bansal−Pakalaら, 2004, J.Immunol, 172, 4821−425)、そして進行中のTh1およびTh2反応両方に貢献しうる(Gramagliaら, 1998, J. Immuno., 161, 6510−6517、Arestidesら, 2002, Eur. J. Immunol. 32, 2874−2880)。OX40共刺激は、免疫反応の初期エフェクター相を超えてT細胞生存を延長し、そしてエフェクターT細胞死の阻害を通じて、メモリーT細胞数を増加させる。
【0005】
免疫活性化が過剰であるかまたは制御されていない場合、病的なアレルギー、喘息、炎症、自己免疫および他の関連疾患が生じうる。OX40は、免疫反応を増進するように機能するため、自己免疫および炎症性疾患を悪化させうる。
【0006】
疾患モデルにおけるOX40/OX40L相互作用の役割は、OX40ノックアウトマウスにおいて立証されてきている。多発性硬化症のモデルである実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)において、OX40ノックアウトマウスでは、疾患の臨床徴候がより重度でないこと、およびCNS内の炎症浸潤物が減少していることが注目された(Carboniら, 2003, J.Neuroimmunology, 145, 1−11)。また、オボアルブミンで抗原刺激されそして誘発されたOX40ノックアウトマウスは、肺炎症の減少(好酸球増加症の80〜90%の減少)、粘液産生の減少、および気道反応亢進の有意な減弱を示す(Jemberら, 2001, J. Exp.Med., 193, 387−392)。ネズミOX40リガンドに対するモノクローナル抗体は、関節リウマチのコラーゲン誘導性関節炎モデル(Yoshiokaら, 2000, Eur. J. Immunol., 30, 2815−2823)、EAE(Noharaら, 2001, J. Immunol., 166, 2108−2115)、非肥満糖尿病(NOD)マウス(Pakalaら, 2004, Eur. J. Immunol., 34, 3039−3046)、T細胞回復マウスにおける大腸炎(Malmstromら, 2001, J. Immunol., 166, 6972−6981、Totsukaら, 2003, Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 284, G595−G603)および肺炎症モデル(Salek−Ardakaniら, 2003, J. Exp. Med., 198, 315−324、Hoshinoら, 2003, Eur.J.Immunol, 33, 861−869)において、有益な効果を示してきている。ヒトOX40Lに対する抗体は、アカゲザル(rhesus monkeys)における肺炎症モデルにおいてプロファイリングされてきており、そしてアレルゲン曝露後、細気管支洗浄液における、IL−5、IL−13およびエフェクター・メモリーT細胞レベルの減少を生じた(Seshasayeeら, 2007, J. Clin.Invest, 117, 3868−3878)。
【0007】
OX40発現の増加が、いくつかの自己免疫および炎症性疾患において注目されてきている。これには、関節リウマチ患者の滑液から単離されたT細胞上のOX40発現の増加が含まれる(Brugnoni Dら, 1998, Br.J. Rheum., 37, 584−585; Yoshiokaら, 2000, Eur. J. Immunol., 30, 2815−2823; Giacomelli Rら, 2001, Clin. Exp. Rheumatol., 19, 317−320)。同様に、OX40発現増加は、潰瘍性大腸炎およびクローン病患者由来の胃腸組織において(Souzaら, 1999, Gut, 45, 856−863; Stuberら, 2000, Eur.J.Clin.Invest., 30, 594−599)、そして多発性硬化症患者の活性病変において(Carboniら, 2003, J.Neuroimmunology, 145, 1−11)、注目されてきている。OX40Lもまた、ヒト気道平滑筋(ASM)上で検出可能であり、そして喘息患者ASM細胞は、健康なドナーよりもOX40L連結に対してより大きい炎症反応を示し、喘息において、OX40/OX40L経路が役割を果たしていることが示される(Burgessら, 2004, J. Allergy Clin Immunol., 113, 683−689; Burgessら, 2005, J. Allergy Clin Immunol., 115, 302−308)。全身性エリテマトーデス(SLE)患者の末梢血から単離されたCD4+ T細胞が、上昇したレベルのOX40を発現し、これが疾患活性に関連することもまた報告されてきている(Patschanら, 2006, Clin. Exp. Immunol., 145, 235−242)。
【0008】
アレルギー、喘息、ならびに自己免疫および炎症に関連する疾患におけるOX40の役割を考慮すると、これらの疾患において療法に向かう1つのアプローチは、抗OX40L抗体またはアンタゴニスト性抗OX40抗体の使用を通じて、OX40−OX40Lシグナル伝達を遮断することである。
【0009】
抗OX40L抗体は、例えば、WO2006/029879に記載されてきている。多くのアゴニスト性抗OX40抗体が記載されてきているが、アンタゴニスト性抗OX40抗体は非常にわずかしか知られていない。OX40およびOX40Lの間の相互作用を遮断するウサギ・ポリクローナル抗マウスOX40抗体が、Stuberら, 1996, J.Exp.Med, 183, 979−989によって産生された。ヒトOX40に結合するマウス・モノクローナル抗体、131および315が、Imuraら, 1996, J.Exp.Med, 2185−2195によって生成された。
【0010】
完全ヒト・アンタゴニスト性抗体がWO2007/062245に記載されてきており、これらの抗体の最高アフィニティは、細胞表面(活性化されたT細胞)で発現されたOX40に対して11nMのアフィニティであった。
【0011】
ヒト化アンタゴニスト性抗体がWO2008/106116に記載されてきており、そしてOX40に対する最高アフィニティを持つ抗体は、0.94nMのアフィニティを有した。
【0012】
他の抗OX40抗体が記載されてきており、これには、eBioscienceより商業的に入手可能なネズミL106(米国特許第6,277,962号)およびネズミACT35が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO2006/029879
【特許文献2】WO2007/062245
【特許文献3】WO2008/106116
【特許文献4】米国特許第6,277,962号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Bodmerら, 2002, Trends Biochem Sci, 27, 19−26
【非特許文献2】CompaanおよびHymowitz, 2006, Structure, 14, 1321−1330
【非特許文献3】TaylorおよびSchwarz, 2001, J.Immunol. Methods, 255, 67−72
【非特許文献4】Gramagliaら, 2000, J. Immunol, 165, 3043−3050
【非特許文献5】Bansal−Pakalaら, 2004, J.Immunol, 172, 4821−425
【非特許文献6】Gramagliaら, 1998, J. Immuno., 161, 6510−6517
【非特許文献7】Arestidesら, 2002, Eur. J. Immunol. 32, 2874−2880
【非特許文献8】Carboniら, 2003, J.Neuroimmunology, 145, 1−11
【非特許文献9】Jemberら, 2001, J. Exp.Med., 193, 387−392
【非特許文献10】Yoshiokaら, 2000, Eur. J. Immunol., 30, 2815−2823
【非特許文献11】Noharaら, 2001, J. Immunol., 166, 2108−2115
【非特許文献12】Pakalaら, 2004, Eur. J. Immunol., 34, 3039−3046
【非特許文献13】Malmstromら, 2001, J. Immunol., 166, 6972−6981
【非特許文献14】Totsukaら, 2003, Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 284, G595−G603
【非特許文献15】Salek−Ardakaniら, 2003, J. Exp. Med., 198, 315−324
【非特許文献16】Hoshinoら, 2003, Eur.J.Immunol, 33, 861−869
【非特許文献17】Seshasayeeら, 2007, J. Clin.Invest, 117, 3868−3878
【非特許文献18】Brugnoni Dら, 1998, Br.J. Rheum., 37, 584−585
【非特許文献19】Giacomelli Rら, 2001, Clin. Exp. Rheumatol., 19, 317−320
【非特許文献20】Souzaら, 1999, Gut, 45, 856−863
【非特許文献21】Stuberら, 2000, Eur.J.Clin.Invest., 30, 594−599
【非特許文献22】Burgessら, 2004, J. Allergy Clin Immunol., 113, 683−689
【非特許文献23】Burgessら, 2005, J. Allergy Clin Immunol., 115, 302−308
【非特許文献24】Patschanら, 2006, Clin. Exp. Immunol., 145, 235−242
【非特許文献25】Stuberら, 1996, J.Exp.Med, 183, 979−989
【非特許文献26】Imuraら, 1996, J.Exp.Med, 2185−2195
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、患者を治療するのに適した、改善された抗OX40抗体に対する必要性が、当該技術分野においてなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、ここで、OX40によって仲介されるか、またはOX40レベルの増加に関連する病理学的障害の治療または予防において使用するのに適した、高アフィニティアンタゴニスト性抗OX40抗体を同定した。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1−A】本開示記載の抗体に関連する特定のアミノ酸またはDNA配列を示す。
【図1−B】本開示記載の抗体に関連する特定のアミノ酸またはDNA配列を示す。
【図1−C】本開示記載の抗体に関連する特定のアミノ酸またはDNA配列を示す。
【図1−D】本開示記載の抗体に関連する特定のアミノ酸またはDNA配列を示す。
【図1−E】本開示記載の抗体に関連する特定のアミノ酸またはDNA配列を示す。
【図2】A26Fab’−PEG形式の抗体の図表示を示す。
【図3】細胞表面OX40に対するA26Fab’−PEG抗体の細胞に基づくアフィニティを示す。
【図4】A26Fab’−PEG抗体による、活性化されたT細胞へのOX40L結合の阻害パーセントを示す。
【図5】ヒトMLRにおけるA26Fab’−PEG抗体によるT細胞増殖の阻害パーセントを示す。
【図6】破傷風トキソイドに曝露されたPBMCの増殖のA26Fab’−PEG阻害を示す。
【図7】ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)・アレルゲン性抽出物に曝露されたPBMCからのIL−13産生のA26Fab’−PEG阻害パーセントを示す。
【図8】ヤケヒョウヒダニ・アレルゲン性抽出物に曝露されたPBMCからのサイトカイン産生のA26Fab’−PEG阻害パーセントを示す。
【図9】Hu−SCIDモデルにおいて、A26Fab’−PEGがCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞増殖を阻害することを示す。
【図10】in vivoモデルにおける、A26Fab’−PEGによる関節炎スコア(曲線下面積として)の阻害を示す。
【図11】関節炎in vivoモデルにおける総組織学的スコアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ヒト化抗体を得た元来のラット抗体は、本明細書において、CA044_00026と称される。
一般的にFab断片または他の断片の形であるヒト化CA044_00026は、A26と称される。
【0019】
図2に示す形式のPEG化抗体「A26」は、本明細書において、A26Fab’−PEGと称される。
抗体可変ドメイン中の残基は、慣用的に、Kabatらによって考案された系にしたがって番号付けされる。この系は、Kabatら, 1987, Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Department of Health and Human Services, NIH, USA(本明細書において以後、「Kabatら(上記)」と称される)中に示される。別に示さない限り、本明細書において、この番号付け系が用いられる。
【0020】
Kabat残基命名は、アミノ酸残基の直鎖番号付けと、常に直接対応するわけではない。実際の直鎖アミノ酸配列は、厳密なKabat番号付けに比較して、基本的可変ドメイン構造のフレームワークであれまたは相補性決定領域(CDR)であれ、構造構成要素の短縮または該要素への挿入に対応する、より少ないまたはさらなるアミノ酸を含有しうる。「標準的」Kabat番号付け配列と抗体配列中の相同な残基を整列させることによって、所定の抗体に関して、残基の正確なKabat番号付けを決定してもよい。
【0021】
重鎖可変ドメインのCDRは、Kabat番号付け系にしたがって、残基31〜35(CDR−H1)、残基50〜65(CDR−H2)および残基95〜102(CDR−H3)に位置する。しかし、Chothia(Chothia, C.およびLesk, A.M. J. Mol. Biol., 196, 901−917(1987))にしたがうと、CDR−H1と同等なループは、残基26から残基32に広がる。したがって、別に示さない限り、本明細書で使用する際の「CDR−H1」は、Kabat番号付け系およびChothiaの形態的ループ定義の組み合わせによって記載されるように、残基26〜35を指すよう意図される。
【0022】
軽鎖可変ドメインのCDRは、Kabat番号付け系にしたがって、残基24〜34(CDR−L1)、残基50〜56(CDR−L2)および残基89〜97(CDR−L3)に位置する。
【0023】
本明細書において、用語「アンタゴニスト性抗体」は、例えばOX40リガンドへのOX40の結合を遮断するかまたは結合を実質的に減少させて、そしてしたがってOX40の活性化を阻害することによって、OX40の生物学的シグナル伝達活性を阻害し、そして/または中和することが可能な抗体を記載する。
【0024】
当該技術分野に知られる適切な方法のいずれを用いて、本発明で使用するための抗体を得てもよい。融合タンパク質、例えばOX40−Fc融合タンパク質を含む、OX40ポリペプチド/タンパク質、または(組換え的にまたは天然に)該ポリペプチドを発現している細胞(例えば活性化されたT細胞)を用いて、OX40を特異的に認識する抗体を産生してもよい。OX40ポリペプチドは、「成熟」ポリペプチドあるいはその生物学的活性断片または誘導体であってもよい。適切には、OX40ポリペプチドは、成熟ヒトポリペプチドあるいはその細胞外ドメインまたは断片である。細胞外ドメインは、典型的には、OX40タンパク質のアミノ酸29〜214を含む(SWISS PROTエントリーP43489)。発現系を含む遺伝子操作された宿主細胞から、当該技術分野に周知のプロセスによってOX40ポリペプチドを調製してもよいし、または天然生物学的供給源から該ポリペプチドを回収してもよい。本出願において、用語「ポリペプチド」には、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質が含まれる。これらは、別に明記されない限り、交換可能に用いられる。OX40ポリペプチドは、いくつかの例で、例えばアフィニティタグに融合した融合タンパク質などの、より大きいタンパク質の一部であってもよい。動物の免疫が必要な場合、周知でありそしてルーチンであるプロトコルを用いて、動物、好ましくは非ヒト動物にOX40ポリペプチドを投与することによって、該ポリペプチドに対して生成される抗体を得ることも可能であり、例えばHandbook of Experimental Immunology, D. M. Weir(監修), Vol 4, Blackwell Scientific Publishers, Oxford, England, 1986を参照されたい。ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ウシ、ラクダまたはブタなどの多くの温血動物が免疫可能である。しかし、マウス、ウサギ、ブタおよびラットが、一般的に最も適切である。
【0025】
本発明で使用するための抗体には、全抗体およびその機能的活性断片または誘導体が含まれ、そして限定されるわけではないが、モノクローナル、ヒト化、完全ヒトまたはキメラ抗体であってもよい。
【0026】
ハイブリドーマ技術(Kohler & Milstein, 1975, Nature, 256:495−497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら, 1983, Immunology Today, 4:72)およびEBVハイブリドーマ技術(Coleら, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, pp77−96, Alan R Liss, Inc., 1985)などの当該技術分野に知られる任意の方法によって、モノクローナル抗体を調製してもよい。
【0027】
また、例えば、Babcook, J.ら, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(15):7843−7848l; WO92/02551; WO2004/051268および国際特許出願第WO2004/106377号に記載される方法によって、特異的抗体産生のために選択された単一のリンパ球から生成される免疫グロブリン可変領域cDNAをクローニングしそして発現させることによって、単一リンパ球抗体法を用いて、本発明で使用するための抗体を生成してもよい。
【0028】
ヒトOX40への結合を測定するアッセイおよび/またはリガンド、OX40LへのOX40の結合を遮断する能力を測定するアッセイを用いて、抗体に関するスクリーニングを行ってもよい。結合アッセイの例は、ELISAであり、特に、プレート上に固定されたヒトOX40およびヒトFcの融合タンパク質を用い、そしてコンジュゲート化二次抗体を使用して、融合タンパク質に結合した抗OX40抗体を検出するものである。遮断アッセイの例は、ヒトCD4細胞上のOX40へのOX40リガンド融合タンパク質の結合の遮断を測定する、フローサイトメトリーに基づくアッセイである。蛍光標識二次抗体を用いて、細胞へのOX40リガンド融合タンパク質結合の量を検出する。このアッセイは、上清中の抗体が、OX40へのリガンド融合タンパク質の結合を遮断する際のシグナルの減少を調べる。遮断アッセイのさらなる例は、プレートにコーティングされたOX40リガンド融合タンパク質によって仲介される、未処理(naive)ヒトT細胞の共刺激の遮断を、トリチウム標識チミジン取り込みを測定することによって測定するアッセイである。
【0029】
ヒト化抗体(CDR移植抗体を含む)は、非ヒト種由来の1以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する抗体分子である(例えば、US 5,585,089; WO91/09967を参照されたい)。全CDRではなくCDRの特異性決定残基を導入すればよい可能性もあることが認識されるであろう(例えば、Kashmiriら, 2005, Methods, 36, 25−34を参照されたい)。ヒト化抗体は、場合によって、CDRが由来した非ヒト種に由来する1以上のフレームワーク残基をさらに含んでもよい。
【0030】
キメラ抗体は、要素が由来する種の特性を保持するように、2つの異なる種に由来する要素で構成される。一般的に、キメラ抗体は、1つの種、例えばマウス、ラット、ウサギまたは類似のものに由来する可変領域、および別の種、例えばヒトに由来する定常領域を含むであろう。
【0031】
本発明で使用するための抗体はまた、当該技術分野に知られる多様なファージディスプレイ法を用いても生成可能であり、そしてこれには、Brinkmanら(J. Immunol. Methods, 1995, 182:41−50)中、Amesら(J. Immunol. Methods, 1995, 184:177−186)、Kettleboroughら(Eur. J. Immunol. 1994, 24:952−958)、Persicら(Gene, 1997 187 9−18)、Burtonら(Advances in Immunology, 1994, 57:191−280)ならびにWO 90/02809; WO 91/10737; WO 92/01047; WO 92/18619; WO 93/11236; WO 95/15982; WO 95/20401;ならびにUS 5,698,426; 5,223,409; 5,403,484; 5,580,717; 5,427,908; 5,750,753; 5,821,047; 5,571,698; 5,427,908; 5,516,637; 5,780,225; 5,658,727; 5,733,743および5,969,108に開示されるものが含まれる。
【0032】
完全ヒト抗体は、重鎖および軽鎖両方の可変領域および定常領域(存在する場合)がすべてヒト起源のものであるか、または必ずしも同じ抗体由来でなくても、ヒト起源の配列に実質的に同一である抗体である。完全ヒト抗体の例には、例えば、上述のファージディスプレイ法によって産生される抗体、ならびに例えばEP0546073 B1、US 5,545,806、US 5,569,825、US 5,625,126、US 5,633,425、US 5,661,016、US5,770,429、EP 0438474およびEP0463151に一般論として記載されるように、ネズミ免疫グロブリン可変領域および場合によって定常領域遺伝子が、ヒト対応物によって置換されている抗体が含まれてもよい。
【0033】
1つの態様において、本発明は、重鎖を含む、ヒトOX40に対する特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、重鎖可変ドメインが、CDR−H1に関して図1(c)配列番号1に提供する配列を有するCDR、CDR−H2に関して図1(c)配列番号2または配列番号20に提供する配列を有するCDR、およびCDR−H3に関して図1(c)配列番号3に提供する配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、前記抗体を提供する。
【0034】
別の態様において、本発明は、重鎖を含む、ヒトOX40に対する特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、重鎖可変ドメインのCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3の少なくとも2つが、以下:CDR−H1に関して配列番号1に提供する配列、CDR−H2に関して配列番号2に提供する配列、およびCDR−H3に関して配列番号3に提供する配列より選択される、前記抗体を提供する。例えば、抗体は、CDR−H1が配列番号1に提供する配列を有し、そしてCDR−H2が配列番号2に提供する配列を有する重鎖を含んでもよい。あるいは、抗体は、CDR−H1が配列番号1に提供する配列を有し、そしてCDR−H3が配列番号3に提供する配列を有する重鎖を含んでもよく、または抗体は、CDR−H2が配列番号2に提供する配列を有し、そしてCDR−H3が配列番号3に提供する配列を有する重鎖を含んでもよい。疑義を回避するため、すべての順列が含まれることが理解される。
【0035】
別の態様において、本発明は、重鎖を含む、ヒトOX40に対する特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、重鎖可変ドメインが、CDR−H1に関して配列番号1に提供する配列、CDR−H2に関して配列番号2に提供する配列、およびCDR−H3に関して配列番号3に提供する配列を含む、前記抗体を提供する。
【0036】
別の態様において、本発明は、重鎖を含む、ヒトOX40に対する特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、重鎖可変ドメインが、CDR−H1に関して配列番号1に提供する配列、CDR−H2に関して配列番号20に提供する配列、およびCDR−H3に関して配列番号3に提供する配列を含む、前記抗体を提供する。
【0037】
1つの態様において、本発明は、軽鎖を含む、ヒトOX40に対する特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、軽鎖可変ドメインが、CDR−L1に関して図1(c)配列番号4または配列番号21に提供する配列を有するCDR、CDR−L2に関して図1(c)配列番号5に提供する配列を有するCDR、およびCDR−L3に関して図1(c)配列番号6に提供する配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、前記抗体を提供する。
【0038】
別の態様において、本発明は、軽鎖を含む、ヒトOX40に対する特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、軽鎖可変ドメインのCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3の少なくとも2つが、以下:CDR−L1に関して配列番号4に提供する配列、CDR−L2に関して配列番号5に提供する配列、およびCDR−L3に関して配列番号6に提供する配列より選択される、前記抗体を提供する。例えば、抗体は、CDR−L1が配列番号4に提供する配列を有し、そしてCDR−L2が配列番号5に提供する配列を有する軽鎖を含んでもよい。あるいは、抗体は、CDR−L1が配列番号4に提供する配列を有し、そしてCDR−L3が配列番号6に提供する配列を有する軽鎖を含んでもよく、または抗体は、CDR−L2が配列番号5に提供する配列を有し、そしてCDR−L3が配列番号6に提供する配列を有する軽鎖を含んでもよい。疑義を回避するため、すべての順列が含まれることが理解される。
【0039】
別の態様において、本発明は、軽鎖を含む、ヒトOX40に対する特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、可変ドメインが、CDR−L1に関して配列番号4に提供する配列、CDR−L2に関して配列番号5に提供する配列、およびCDR−L3に関して配列番号6に提供する配列を含む、前記抗体を提供する。
【0040】
別の態様において、本発明は、軽鎖を含む、ヒトOX40に対する特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、可変ドメインが、CDR−L1に関して配列番号21に提供する配列、CDR−L2に関して配列番号5に提供する配列を、およびCDR−L3に関して配列番号6に提供する配列を含む、前記抗体を提供する。
【0041】
本発明の抗体分子は、それぞれ相補的軽鎖または相補的重鎖を適切に含む。
したがって、1つの態様において、本発明記載の抗体は、重鎖可変ドメインが、CDR−H1に関して配列番号1に提供する配列、CDR−H2に関して配列番号2または配列番号20に提供する配列、およびCDR−H3に関して配列番号3に提供する配列を含む、重鎖、ならびに軽鎖可変ドメインが、CDR−L1に関して配列番号4または配列番号21に提供する配列、CDR−L2に関して配列番号5に提供する配列、およびCDR−L3に関して配列番号6に提供する配列を有する、軽鎖を含む。
【0042】
抗体がOX40に結合し、そしてOX40活性を中和する能力を有意に改変することなく、本発明によって提供されるCDRに、1以上のアミノ酸置換、付加および/または欠失を行ってもよいことが認識されるであろう。いかなるアミノ酸置換、付加および/または欠失の影響も、当業者によって、例えば本明細書に、特に実施例に記載の方法を用いて、OX40結合およびOX40/OX40L相互作用阻害を決定することによって、容易に試験可能である。したがって、本発明は、CDRH−1(配列番号1)、CDRH−2(配列番号2または配列番号20)、CDRH−3(配列番号3)、CDRL−1(配列番号4または配列番号21)、CDRL−2(配列番号5)およびCDRL−3(配列番号6)より選択される1以上のCDRを含む、ヒトOX40に対する特異性を有する抗体であって、1以上のCDR中の1以上のアミノ酸が別のアミノ酸、適切には以下に定義するような類似のアミノ酸で置換されている、前記抗体を提供する。1つの態様において、本発明は、図1(c)に示すようなCDRH−1(配列番号1)、CDRH−2(配列番号2または配列番号20)、CDRH−3(配列番号3)、CDRL−1(配列番号4または配列番号21)、CDRL−2(配列番号5)およびCDRL−3(配列番号6)を含む、ヒトOX40に対する特異性を有する抗体であって、例えば1以上のCDR中の1以上のアミノ酸が別のアミノ酸、例えば以下に定義するような類似のアミノ酸で置換されている、前記抗体を提供する。
【0043】
1つの態様において、本発明の抗体は、重鎖を含み、重鎖可変ドメインが3つのCDRを含み、ここでCDR−H1の配列が配列番号1に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有し、CDR−H2が配列番号2に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有し、そして/またはCDR−H3が配列番号3に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する。別の態様において、本発明の抗体は、重鎖を含み、重鎖可変ドメインが3つのCDRを含み、ここでCDR−H1の配列が配列番号1に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有し、CDR−H2が配列番号2に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有し、そして/またはCDR−H3が配列番号3に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する。
【0044】
「同一性」は、本明細書において、整列された配列中の任意の特定の位で、アミノ酸残基が配列間で同一であることを示す。「類似性」は、本明細書において、整列された配列中の任意の特定の位で、アミノ酸残基が配列間で類似のタイプであることを示す。例えば、ロイシンは、イソロイシンまたはバリンで置換可能である。互いにしばしば置換されうる他のアミノ酸には、限定されるわけではないが:
−フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸);
−リジン、アルギニンおよびヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸);
−アスパラギン酸およびグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸);
−アスパラギンおよびグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);ならびに
−システインおよびメチオニン(イオウ含有側鎖を有するアミノ酸)が含まれる。同一性および類似性の度合いは容易に計算可能である(Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.監修, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing. Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.監修, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M.およびGriffin, H.G.監修, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987, Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.およびDevereux, J.監修, M Stockton Press, New York, 1991、NCBIより入手可能なBLASTTMソフトウェア(Altschul, S.F.ら, 1990, J. Mol. Biol. 215:403−410; Gish, W.およびStates, D.J. 1993, Nature Genet. 3:266−272. Madden, T.L.ら, 1996, Meth. Enzymol. 266:131−141; Altschul, S.F.ら, 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389−3402; Zhang, J.およびMadden, T.L. 1997, Genome Res. 7:649−656,)。
【0045】
別の態様において、本発明の抗体は、軽鎖を含み、軽鎖可変ドメインが3つのCDRを含み、ここでCDR−L1の配列が配列番号4に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有し、CDR−L2が配列番号5に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有し、そして/またはCDR−L3が配列番号6に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する。別の態様において、本発明の抗体は、軽鎖を含み、軽鎖可変ドメインが3つのCDRを含み、ここでCDR−L1の配列が配列番号4に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有し、CDR−L2が配列番号5に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有し、そして/またはCDR−L3が配列番号6に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する。
【0046】
1つの態様において、本明細書に提供する抗体はモノクローナル抗体である。
1つの態様において、本明細書に提供する抗体はキメラ抗体である。
1つの態様において、本発明に提供する抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、20および/または21(図1(c))に提供するCDRまたはその変異体の1以上を含む、CDR移植抗体分子である。本明細書において、用語「CDR移植抗体分子」は、重鎖および/または軽鎖が、アクセプター抗体(例えばヒト抗体)の重鎖および/または軽鎖可変領域フレームワーク内に移植された、ドナー抗体(例えばネズミ・モノクローナル抗体)由来の1以上のCDR(望ましい場合、1以上の修飾CDRを含む)を含有する抗体分子を指す。概説には、Vaughanら, Nature Biotechnology, 16, 535−539, 1998を参照されたい。1つの態様において、全CDRを移動させるのではなく、上記のCDRのいずれか1つ由来の1以上の特異性決定領域のみを、ヒト抗体フレームワークに移動させる(例えば、Kashmiriら, 2005, Methods, 36, 25−34を参照されたい)。1つの態様において、上記のCDRの1以上由来の特異性決定残基のみを、ヒト抗体フレームワークに移動させる。別の態様において、上記の各CDR由来の特異性決定残基のみを、ヒト抗体フレームワークに移動させる。
【0047】
CDRまたは特異性決定残基を移植した際、マウス、霊長類およびヒト・フレームワーク領域を含めて、CDRが由来するドナー抗体のクラス/タイプを考慮して、任意の適切なアクセプター可変領域フレームワーク配列を用いてもよい。適切には、本発明記載のCDR移植抗体は、ヒト・アクセプター・フレームワーク領域、ならびに上記のCDRまたは特異性決定残基の1以上を含む可変領域を有する。したがって、1つの態様において、可変ドメインがヒト・アクセプター・フレームワーク領域および非ヒトドナーCDRを含む、中和CDR移植抗体を提供する。
【0048】
本発明で使用可能なヒト・フレームワークの例は、KOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAYおよびPOMである(Kabatら、上記)。例えば、KOLおよびNEWMを重鎖に用いてもよく、REIを軽鎖に用いてもよく、そしてEU、LAYおよびPOMを重鎖および軽鎖両方に用いてもよい。あるいは、ヒト生殖系列配列を用いてもよく;これらは: http://vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk/で入手可能である。
【0049】
本発明のCDR移植抗体において、アクセプター重鎖および軽鎖は、必ずしも同じ抗体に由来しなくてもよく、そして望ましい場合、異なる鎖由来のフレームワーク領域を有する複合鎖を含んでもよい。
【0050】
本発明のCDR移植抗体の重鎖に適したフレームワーク領域は、JH4を伴うヒト下位群VH3配列1−3 3−07に由来する。したがって、重鎖フレームワーク領域がJH4を伴うヒト下位群VH3配列1−3 3−07に由来する、少なくとも1つの非ヒトドナーCDRを含む中和CDR移植抗体を提供する。ヒトJH4の配列は以下の通りである: (YFDY)WGQGTLVTVSS(配列番号22)。YFDYモチーフはCDR−H3の一部であり、そしてフレームワーク4の一部ではない(Ravetch, JV.ら, 1981, Cell, 27, 583−591)。
【0051】
本発明のCDR移植抗体の軽鎖に適したフレームワーク領域は、JK4を伴うヒト生殖系列下位群VK1配列2−1 1−02に由来する。したがって、軽鎖フレームワーク領域がJK4を伴うヒト下位群配列2−1 1−02に由来する、少なくとも1つの非ヒトドナーCDRを含む中和CDR移植抗体を提供する。JK1の配列は以下の通りである: (WT)FGQGTKVEIK(配列番号23)。WTモチーフはCDR−L3の一部であり、そしてフレームワーク4の一部ではない(Hieter, PA.ら, 1982, J. Biol. Chem., 257, 1516−1522)。
【0052】
また、本発明のCDR移植抗体において、フレームワーク領域は、アクセプター抗体のものと正確に同じ配列でなくてもよい。例えば、異常な残基を、そのアクセプター鎖クラスまたはタイプに関して、より頻繁に存在する残基に変更してもよい。あるいは、アクセプター・フレームワーク領域中の選択された残基が、ドナー抗体中の同じ位で見られる残基に対応するように、該残基を変更してもよい(Reichmannら, 1998, Nature, 332, 323−324を参照されたい)。こうした変更は、ドナー抗体のアフィニティを回復するのに必要な最小限度に留めておくべきである。変更する必要がある可能性があるアクセプター・フレームワーク領域中の残基を選択するためのプロトコルは、WO 91/09967に示される。
【0053】
適切には、本発明のCDR移植抗体分子において、アクセプター重鎖がJH4を伴うヒトVH3配列1−3 3−07を有する場合、重鎖のアクセプター・フレームワーク領域は、1以上のドナーCDRに加えて、37位、73位、78位または94位(Kabatら(上記)による)の少なくとも1つのドナー残基を含む。したがって、重鎖可変ドメインの37位、73位、78位および94位の少なくとも1つの残基がドナー残基であるCDR移植抗体を提供する。
【0054】
適切には、本発明記載のCDR移植抗体分子において、アクセプター軽鎖がJK4を伴うヒト下位群VK1配列2−1 1−02を有する場合、軽鎖のアクセプター・フレームワーク領域は、1以上のドナーCDRに加えて、64位または71位の少なくとも1つのドナー残基を含む。したがって、軽鎖可変ドメインの64位および71位の少なくとも1つの残基がドナー残基であるCDR移植抗体を提供する。
【0055】
ドナー残基はドナー抗体、すなわちCDRが元来得られた抗体由来の残基である。
1つの態様において、本発明の抗体は、重鎖可変ドメインが図1(b)配列番号9に提供する配列を含む、重鎖を含む。
【0056】
抗体がOX40に結合し、そしてOX40活性を中和する能力を有意に改変することなく、本発明によって提供される抗体可変ドメインに、1以上のアミノ酸置換、付加および/または欠失を行ってもよいことが認識されるであろう。いかなるアミノ酸置換、付加および/または欠失の影響も、当業者によって、例えば本明細書に、特に実施例に記載の方法を用いて、OX40結合およびリガンド遮断を決定することによって、容易に試験可能である。
【0057】
別の態様において、本発明の抗体は、重鎖を含み、ここで重鎖可変ドメインが配列番号9に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する配列を含む。1つの態様において、本発明の抗体は、重鎖を含み、ここで重鎖可変ドメインが配列番号9に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する配列を含む。
【0058】
1つの態様において、本発明の抗体は、軽鎖を含み、ここで軽鎖可変ドメインが図1(a)配列番号7に提供する配列を含む。
別の態様において、本発明の抗体は、軽鎖を含み、ここで軽鎖可変ドメインが配列番号7に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する配列を含む。1つの態様において、本発明の抗体は、軽鎖を含み、ここで軽鎖可変ドメインが配列番号7に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する配列を含む。
【0059】
1つの態様において、本発明の抗体は、重鎖可変ドメインが配列番号9に提供する配列を含む、重鎖、および軽鎖可変ドメインが配列番号7に提供する配列を含む、軽鎖を含む。
【0060】
本発明の別の態様において、抗体は、重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖可変ドメインが配列番号9に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する配列を含み、そして軽鎖可変ドメインが配列番号7に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する配列を含む。適切には、抗体は、重鎖可変ドメインが配列番号9に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する配列を含む、重鎖、および軽鎖可変ドメインが配列番号7に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する配列を含む、軽鎖を含む。
【0061】
本発明の抗体分子は、全長重鎖および軽鎖を有する完全抗体分子またはその断片を含んでもよく、そして限定されるわけではないが、Fab、修飾Fab、Fab’、修飾Fab’、F(ab’)、Fv、単一ドメイン抗体(例えばVHまたはVLまたはVHH)、scFv、二価、三価または四価抗体、ビス−scFv、ディアボディ、トリアボディ、テトラボディおよび上記いずれかのエピトープ結合断片であってもよい(例えば、HolligerおよびHudson, 2005, Nature Biotech. 23(9):1126−1136; AdairおよびLawson, 2005, Drug Design Reviews− Online 2(3), 209−217を参照されたい)。これらの抗体断片を生成し、そして製造するための方法が当該技術分野で周知である(例えば、Vermaら, 1998, Journal of Immunological Methods, 216, 165−181を参照されたい)。本発明で使用するための他の抗体断片には、国際特許出願WO2005/003169、WO2005/003170およびWO2005/003171に記載されるFabおよびFab’断片が含まれる。多価抗体は、多重特異性を含んでもよいし、または単一特異性であってもよい(例えばWO 92/22853およびWO05/113605を参照されたい)。
【0062】
1つの態様において、本開示記載の抗体は、例えばWO2009/040562に記載されるように、免疫グロブリン部分、例えばFabまたはFab’断片、およびそれに直接または間接的に連結された1つまたは2つの単一ドメイン抗体(dAb)を含むOX40結合抗体融合タンパク質として提供される。
【0063】
1つの態様において、融合タンパク質は、例えば場合によってジスルフィド結合によって連結された、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)対としての、2ドメイン抗体を含む。
【0064】
1つの態様において、融合タンパク質のFab’要素のFabは、単数または複数の単一ドメイン抗体に同じまたは類似の特異性を有する。1つの態様において、FabまたはFab’は、単数または複数の単一ドメイン抗体に対して異なる特異性を有し、すなわち融合タンパク質は多価である。1つの態様において、本発明記載の多価融合タンパク質は、アルブミン結合部位を有し、例えばその中のVH/VL対がアルブミン結合部位を提供する。
【0065】
本発明の抗体分子の定常領域ドメインは、存在する場合、抗体分子の提唱される機能、そして特に必要とされうるエフェクター機能を考慮して選択可能である。例えば、定常領域ドメインは、ヒトIgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMドメインであってもよい。特に、ヒトIgG定常領域ドメイン、特に抗体分子が療法使用に意図され、そして抗体エフェクター機能が必要とされる場合は、IgG1およびIgG3アイソタイプのものを用いてもよい。あるいは、抗体分子が療法目的に意図され、そして例えば単にOX40活性を遮断するために抗体エフェクター機能が必要とされない場合、IgG2およびIgG4アイソタイプを用いてもよい。これらの定常領域ドメインの配列変異体もまた使用可能であることが認識されるであろう。例えば、Angalら, Molecular Immunology, 1993, 30(1), 105−108に記載されるように、241位のセリンが、プロリンに変更されているIgG4分子を用いてもよい。当業者にはまた、抗体が多様な翻訳後修飾を経てもよいことが認識されるであろう。これらの修飾のタイプおよび度合いは、しばしば、抗体を発現するのに使用する宿主細胞株ならびに培養条件に応じる。こうした修飾には、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペラジン形成、アスパラギン酸異性化およびアスパラギン脱アミド化の変動が含まれてもよい。しばしば、修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端塩基性残基(リジンまたはアルギニンなど)の喪失である(Harris, RJ. Journal of Chromatography 705:129−134, 1995に記載されるようなもの)。したがって、図1(f)、配列番号15に提供する抗体重鎖のC末端リジンは存在しなくてもよい。
【0066】
1つの態様において、抗体重鎖はCH1ドメインを含み、そして抗体軽鎖はカッパまたはラムダいずれかのCLドメインを含む。
1つの態様において、本発明が提供する抗体は、重鎖定常領域が修飾ヒンジ領域を含む、ヒトOX40に特異性を有するアンタゴニスト性抗体である。したがって、本発明は、重鎖が図1(f)、配列番号15に提供する配列を含むかまたは該配列からなる抗体を提供する。
【0067】
抗体がOX40に結合し、そしてOX40活性を中和する能力を有意に改変することなく、本発明によって提供される抗体可変および/または定常ドメインに、1以上のアミノ酸置換、付加および/または欠失を行ってもよいことが認識されるであろう。いかなるアミノ酸置換、付加および/または欠失の影響も、当業者によって、例えば本明細書に、特に実施例に記載の方法を用いて、OX40結合およびOX40/OX40L相互作用遮断を決定することによって、容易に試験可能である。
【0068】
本発明の1つの態様において、抗体は、配列番号15に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する配列を含む、重鎖を含む。適切には、抗体は、配列番号15に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する配列を含む、重鎖を含む。
【0069】
1つの態様において、本発明記載の抗体分子は、図1(d)、配列番号11に提供する配列を含む軽鎖を含む。
本発明の1つの態様において、抗体は、配列番号11に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する配列を含む、軽鎖を含む。例えば、抗体は、配列番号11に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する配列を含む、軽鎖を含む。
【0070】
1つの態様において、本発明は、重鎖が配列番号15に提供する配列を含むかまたは該配列からなり、そして軽鎖が配列番号11に提供する配列を含むかまたは該配列からなる、抗体を提供する。
【0071】
本発明の1つの態様において、抗体は、重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖が配列番号15に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する配列を含み、そして軽鎖が配列番号11に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する配列を含む。一般的には、抗体は、配列番号15に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する重鎖、および配列番号11に提供する配列に少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の同一性または類似性を有する軽鎖を含む。
【0072】
抗体または断片などの生物学的分子は、酸性および/または塩基性官能基を含有し、それによって分子に純陽性または陰性電荷を与える。全体の「観察される」電荷の量は、実体の絶対アミノ酸配列、3D構造中の荷電基の局所環境、および分子の環境条件に応じるであろう。等電点(pI)は、特定の分子またはその溶媒アクセス可能表面が純電荷を持たないpHである。1つの態様において、本開示記載の抗体または断片は、少なくとも7の等電点(pI)を有する。1つの態様において、抗体または断片は、少なくとも8、例えば8.5、8.6、8.7、8.8または9の等電点を有する。
【0073】
本発明のOX40抗体および断片は、適切な等電点を有するように操作されてきている。これは、より頑強な特性、特に適切な可溶性および/または安定性プロフィールおよび/または改善された精製特性を持つ抗体および/または断片を導きうる。
【0074】
したがって、1つの側面において、本発明は、元来同定された抗体CA044_00026のものと異なる等電点を有するように操作されたヒト化OX40抗体を提供する。抗体は、例えば、アミノ酸残基を置換することによって、例えば酸性アミノ酸残基を1以上の塩基性アミノ酸残基で置換することによって操作してもよい。あるいは、塩基性アミノ酸残基を導入してもよいし、または酸性残基を除去してもよい。あるいは、分子が許容しえないほど高いpI値を有する場合、必要に応じて、酸性残基を導入してpIを下げてもよい。望ましいように操作される抗体または断片のターゲットpIは、例えば、8以上、例えば8.5または9であってもよい。pIを操作する場合、抗体または断片の望ましい活性を保持するように注意しなければならないことが重要である。したがって、1つの態様において、操作された抗体または断片は、「非修飾」抗体または断片と同じかまたは実質的に同じ活性を有する。
【0075】
**ExPASY http://www.expasy.ch/tools/pi_tool.htmlおよびhttp://www.iut−arles.up.univ−mrs.fr/w3bb/d_abim/compo−p.htmlなどのプログラムを用いて、抗体または断片の等電点を予測してもよい。
【0076】
本発明がやはり提供するのは、本発明が提供する抗体、特に重鎖配列gH2(配列番号9)および/または軽鎖配列gL8(配列番号7)を含む抗体が結合する、ヒトOX40の特異的領域またはエピトープである。
【0077】
当該技術分野に知られる適切なエピトープマッピング法と本発明が提供する抗体のいずれか1つを組み合わせて、ヒトOX40ポリペプチドの特定の領域またはエピトープを同定してもよい。こうした方法の例には、本発明の抗体への結合に関して、抗体によって認識されるエピトープの配列を含有する、抗体に特異的に結合可能な最小断片を用いて、OX40由来の多様な長さのペプチドをスクリーニングする工程が含まれる。OX40ペプチドを合成的に産生してもよいし、またはOX40ポリペプチドのタンパク質分解的消化によってもよい。抗体に結合するペプチドを、例えば質量分析によって同定してもよい。別の例において、NMR分光計またはX線結晶学を用いて、本発明の抗体が結合するエピトープを同定してもよい。ひとたび同定したら、本発明の抗体に結合するエピトープ断片を、必要であれば、免疫源として用いて、同じエピトープに結合するさらなるアンタゴニスト性抗体を得てもよい。
【0078】
本発明記載の抗体、特に重鎖配列gH2(配列番号9)および軽鎖配列gL8(配列番号7)を含む抗体の結合を交差遮断する抗体は、同様に、OX40活性をアンタゴナイズするのに有用でありうる。したがって、本発明はまた、ヒトOX40に特異性を有するアンタゴニスト性抗体であって、ヒトOX40への上記の抗体のいずれか1つの結合を交差遮断し、そして/またはこれらの抗体の1つによってOX40への該抗体の結合が交差遮断される、前記抗体も提供する。1つの態様において、こうした抗体は、上記抗体と同じエピトープに結合する。別の態様において、交差遮断中和抗体は、上記抗体が結合するエピトープと隣接し、そして/または重複する。別の態様において、本発明のこの側面の交差遮断中和抗体は、本発明の抗体と同じエピトープ、あるいは前記エピトープと隣接し、そして/または重複するエピトープに結合しない。
【0079】
当該技術分野の任意の適切な方法を用いて、例えばヒトOX40への交差遮断抗体の結合が、本発明の抗体の結合を防止するかまたはその逆である、競合ELISAまたはBIAcoreアッセイを用いることによって、交差遮断抗体を同定してもよい。
【0080】
1つの態様において、重鎖が配列gH2(配列番号9)を含み、そして軽鎖が配列gL8(配列番号7)を含む抗体のヒトOX40への結合を交差遮断する、ヒトOX40に特異性を有するアンタゴニスト性抗体を提供する。1つの態様において、本発明が提供する交差遮断抗体は、重鎖配列gH2(配列番号9)および軽鎖配列gL8(配列番号7)を含む抗体の結合を、80%より大きく、例えば85%より大きく、例えば90%より大きく、特に95%より大きく阻害する。
【0081】
あるいはまたはさらに、本発明のこの側面記載のアンタゴニスト性抗体は、重鎖配列gH2(配列番号9)および軽鎖配列gL8(配列番号7)を含む抗体によってヒトOX40への結合が交差遮断されうる。したがって、重鎖配列gH2(配列番号9)および軽鎖配列gL8(配列番号7)を含む抗体によってヒトOX40への結合が交差遮断される、ヒトOX40に特異性を有するアンタゴニスト性抗体分子も提供する。1つの態様において、本発明のこの側面が提供するアンタゴニスト性抗体は、重鎖配列gH2(配列番号9)および軽鎖配列gL8(配列番号7)を含む抗体によって、ヒトOX40への結合が、80%より大きく、例えば85%より大きく、例えば90%より大きく、特に95%より大きく阻害される。
【0082】
1つの態様において、本発明が提供する交差遮断抗体は、完全にヒトである。1つの態様において、本発明が提供する交差遮断抗体は、ヒト化されている。1つの態様において、本発明が提供する交差遮断抗体は、ヒトOX40に対して、100pMまたはそれより優れたアフィニティを有する。1つの態様において、本発明が提供する交差遮断抗体は、ヒトOX40に対して、50pMまたはそれより優れたアフィニティを有する。
【0083】
1つの態様において、交差遮断抗体は、少なくとも7、例えば少なくとも8、例えば8.5、8.6、8.7、8.8、8.9または9.0の等電点を有する。
本発明の抗体分子は、適切には、高い結合アフィニティ、特にピコモル濃度のアフィニティを有する。天然または組換えOX40あるいは適切な融合タンパク質/ポリペプチドを用い、本明細書の実施例に記載するように、BIAcoreを含む、当該技術分野に知られる任意の適切な方法を用いて、アフィニティを測定してもよい。1つの例において、本明細書の実施例に記載するような組換えヒトOX40細胞外ドメインを用いて、アフィニティを測定する。1つの例において、用いる組換えヒトOX40細胞外ドメインは、二量体、例えばFc融合二量体である。適切には、本発明の抗体分子は、単離ヒトOX40に対して、約200pMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。1つの態様において、本発明の抗体分子は、約100pMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。1つの態様において、本発明の抗体分子は、約50pMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。1つの態様において、本発明の抗体分子は、約40pMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。1つの態様において、本発明の抗体分子は、約30pMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。1つの態様において、本発明の抗体分子は、完全ヒトまたはヒト化抗体であり、そして約100pMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。
【0084】
本発明の抗体分子は、適切には、活性化されたT細胞表面上で発現されたヒトOX40に対して、高い結合アフィニティ、例えばナノモル濃度またはピコモル濃度アフィニティを有する。活性化されたCD4 OX40ヒトT細胞を用いて、本明細書の実施例に記載するような方法を含めて、当該技術分野に知られる任意の適切な方法を用いて、アフィニティを測定してもよい。特に、本発明の抗体分子は、細胞表面で発現されたヒトOX40に対して、約2nMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。1つの例において、本発明の抗体分子は、細胞表面で発現されたヒトOX40に対して、約1.5nMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。別の例において、本発明の抗体分子は、細胞表面で発現されたヒトOX40に対して、約1.2nMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する。1つの態様において、細胞表面で発現されたOX40に対して、約2nMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する、完全ヒトまたはヒト化抗体分子を提供する。
【0085】
当該技術分野に知られる任意の適切な方法を用いて、本発明が提供する抗体のアフィニティを改変してもよいことが認識されるであろう。本発明はしたがってまた、OX40に対して改善されたアフィニティを有する、本発明の抗体分子の変異体にも関する。こうした変異体は、CDRの突然変異(Yangら, J. Mol. Biol., 254, 392−403, 1995)、鎖シャフリング(Marksら, Bio/Technology, 10, 779−783, 1992)、大腸菌(E. coli)のミューテーター株の使用(Lowら, J. Mol. Biol., 250, 359−368, 1996)、DNAシャフリング(Pattenら, Curr. Opin. Biotechnol., , 724−733, 1997)、ファージディスプレイ(Thompsonら, J. Mol. Biol., 256, 77−88, 1996)および性別PCR(Crameriら, Nature, 391, 288−291, 1998)を含むいくつかのアフィニティ成熟プロトコルによって、得られうる。Vaughanら(上記)は、アフィニティ成熟のこれらの方法を論じる。
【0086】
1つの態様において、本発明の抗体分子は、OX40およびOX40Lの間の相互作用を遮断する。抗体がこの相互作用を遮断する能力を決定するのに適した多くのアッセイを本明細書の実施例に記載する。1つの態様において、本発明は、活性化されたヒトCD4+OX40+ T細胞へのヒトOX40L(最終濃度2μg/mlで試験)の結合を、5nM未満の濃度で50%阻害可能なヒトOX40に対する特異性を有する中和抗体を提供する。1つの態様において、該アッセイで用いるヒトOX40Lは天然ヒトOX40である。1つの態様において、該アッセイで用いるヒトOX40は組換えヒトOX40である。1つの態様において、中和抗体はヒト化または完全ヒト抗体である。
【0087】
望ましい場合、本発明で使用するための抗体を1以上のエフェクター分子にコンジュゲート化してもよい。エフェクター分子は、単一のエフェクター分子、または本発明の抗体に付着可能な単一部分を形成するように連結された2以上のこうした分子を含んでもよいことが認識されるであろう。エフェクター分子に連結された抗体断片を得ることが望ましい場合、抗体断片が直接またはカップリング剤を介してのいずれかでエフェクター分子に連結される、標準的な化学的または組換えDNA法によって、これを調製してもよい。抗体にこうしたエフェクター分子をコンジュゲート化するための技術が当該技術分野に周知である(Hellstromら, Controlled Drug Delivery, 第2版, Robinsonら監修, 1987, pp. 623−53; Thorpeら, 1982, Immunol. Rev., 62:119−58およびDubowchikら, 1999, Pharmacology and Therapeutics, 83, 67−123を参照されたい)。特定の化学的方法には、例えば、WO 93/06231、WO 92/22583、WO 89/00195、WO 89/01476およびWO03031581に記載されるものが含まれる。あるいは、エフェクター分子がタンパク質またはポリペプチドである場合、例えばWO 86/01533およびEP0392745に記載されるように、組換えDNA法を用いて、連結を達成してもよい。
【0088】
用語、エフェクター分子は、本明細書で用いる場合、抗新生物剤、薬剤、毒素、生物学的活性タンパク質、例えば酵素、他の抗体または抗体断片、合成または天然存在ポリマー、核酸およびその断片、例えば、DNA、RNAおよびその断片、放射性核種、特に放射性ヨウ素、放射性同位体、キレート金属、ナノ粒子およびレポーター基、例えば蛍光化合物あるいはNMRまたはESR分光計によって検出可能な化合物が含まれる。
【0089】
エフェクター分子の例には、細胞に有害である(例えば細胞を殺す)いなかる剤も含む細胞毒素または細胞傷害剤が含まれてもよい。例には、コンブレスタチン、ドラスタチン、エポチロン、スタウロスポリン、メイタンシノイド、スポンジスタチン、リゾキシン、ハリコンドリン、ロリジン、ヘミアステリン、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンならびにその類似体または相同体が含まれる。
【0090】
エフェクター分子にはまた、限定されるわけではないが、代謝拮抗剤(例えばメトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリケアマイシンまたはデュオカルマイシン)、ならびに抗有糸分裂剤(例えばビンクリスチンおよびビンブラスチン)も含まれる。
【0091】
他のエフェクター分子には、キレート放射性核種、例えば111Inおよび90Y、Lu177、ビスマス213、カリフォルニウム252、イリジウム192およびタングステン188/レニウム188;または限定されるわけではないが、アルキルホスホコリン、トポイソメラーゼI阻害剤、タキソイドおよびスラミンなどの薬剤が含まれてもよい。他のエフェクター分子には、タンパク質、ペプチドおよび酵素が含まれる。関心対象の酵素には、限定されるわけではないが、タンパク質分解酵素、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼが含まれる。関心対象のタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドには、限定されるわけではないが、免疫グロブリン、毒素、例えばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素、タンパク質、例えばインスリン、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経増殖因子、血小板由来増殖因子または組織プラスミノーゲン活性化因子、血栓剤または抗血管新生剤、例えばアンジオスタチンまたはエンドスタチン、あるいは生物学的反応修飾剤、例えばリンホカイン、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、神経増殖因子(NGF)または他の増殖因子および免疫グロブリンが含まれる。
【0092】
他のエフェクター分子には、例えば診断で有用な検出可能物質が含まれてもよい。検出可能物質の例には、多様な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性核種、ポジトロン放出金属(ポジトロン放出断層撮影に使用するためのもの)、および非放射性常磁性金属イオンが含まれる。一般的には、診断剤として使用するための、抗体にコンジュゲート化可能な金属イオンに関して、米国特許第4,741,900号を参照されたい。適切な酵素には、西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ;適切な補欠分子族には、ストレプトアビジン、アビジンおよびビオチンが含まれ;適切な蛍光物質には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルおよびフィコエリトリンが含まれ;適切な発光物質には、ルミノールが含まれ;適切な生物発光物質には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれ;そして適切な放射性核種には125I、131I、111Inおよび99Tcが含まれる。
【0093】
別の例において、エフェクター分子は、in vivoで抗体の半減期を増加させ、そして/または抗体の免疫原性を減少させ、そして/または上皮バリアを渡って免疫系に到達する抗体送達を増進することも可能である。このタイプの適切なエフェクター分子の例には、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、またはWO05/117984に記載されるものなどのアルブミン結合化合物が含まれる。
【0094】
エフェクター分子がポリマーである場合、該分子は、一般的に、合成または天然存在ポリマー、例えば場合によって置換された直鎖または分枝鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレンまたはポリオキシアルキレンポリマーあるいは分枝または非分枝多糖、例えばホモまたはヘテロ多糖であってもよい。
【0095】
上述の合成ポリマー上に存在してもよい特定の場合による(optional)置換基には、1以上のヒドロキシ、メチルまたはメトキシ基が含まれる。
合成ポリマーの特定の例には、場合によって置換された直鎖または分枝鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)ポリ(ビニルアルコール)またはその誘導体、特に場合によって置換されたポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)またはその誘導体が含まれる。
【0096】
特定の天然存在ポリマーには、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲンまたはその誘導体が含まれる。
「誘導体」は、本明細書において、反応性誘導体、例えばチオール選択性反応基、例えばマレイミド等を含むよう意図される。反応基は、直接またはリンカーセグメントを通じて、ポリマーに連結されてもよい。いくつかの場合、こうした基の残基が、抗体断片およびポリマー間の連結基として、産物の一部を形成することが認識されるであろう。
【0097】
ポリマーサイズは、望ましいように多様であってもよいが、一般的に、500Da〜50000Da、例えば5000〜40000Da、例えば20000〜40000Daの平均分子量範囲である。ポリマーサイズは、特に、製品の意図される使用、例えば腫瘍などの特定の組織を位置決定するか、または循環半減期を延長させる能力に基づいて選択されてもよい(概説には、Chapman, 2002, Advanced Drug Delivery Reviews, 54, 531−545を参照されたい)。したがって、例えば、産物が循環を離れ、そして例えば腫瘍治療で使用するため、組織に浸透することを意図される場合、小分子量ポリマー、例えば約5000Daの分子量を持つポリマーを使用することが好適でありうる。産物が循環中に留まる適用に関しては、より高分子量のポリマー、例えば、20000Da〜40000Daの範囲の分子量を有するポリマーが好適でありうる。
【0098】
適切なポリマーには、ポリアルキレンポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)あるいは特にメトキシポリ(エチレングリコール)またはその誘導体であり、そして特に、約15000Da〜約40000Daの範囲の分子量を持つものが含まれる。
【0099】
1つの例において、本発明で使用するための抗体は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に付着される。1つの特定の例において、抗体は抗体断片であり、そしてPEG分子は、抗体断片中に位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖または末端アミノ酸官能基、例えば任意の未結合(free)アミノ、イミノ、チオール、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を通じて付着してもよい。こうしたアミノ酸は、抗体断片中に天然に存在してもよいし、または組換えDNA法を用いて断片内に操作されてもよい(例えばUS 5,219,996; US 5,667,425; WO98/25971を参照されたい)。1つの例において、本発明の抗体分子は、修飾Fab断片であって、該修飾が、その重鎖C末端への1以上のアミノ酸の付加であり、これがエフェクター分子の付着を可能にする、前記修飾Fab断片である。適切には、さらなるアミノ酸は、エフェクター分子が付着可能な1以上のシステイン残基を含有する修飾ヒンジ領域を形成する。多数の部位を用いて、2以上のPEG分子を付着させてもよい。
【0100】
適切には、PEG分子は、抗体断片中に位置する少なくとも1つのシステイン残基のチオール基を通じて共有結合される。修飾抗体断片に付着した各ポリマー分子を、断片に位置するシステイン残基のイオウ原子に共有結合してもよい。共有結合は、一般的に、ジスルフィド結合、または特にイオウ−炭素結合であろう。チオール基を付着点として用いる場合、適切に活性化されたエフェクター分子、例えばチオール選択的誘導体、例えばマレイミドおよびシステイン誘導体を用いてもよい。活性化されたポリマーを、上述のようにポリマー修飾抗体断片の調製において、出発材料として用いてもよい。活性化されたポリマーは、α−ハロカルボン酸またはエステル、例えばヨードアセトアミド、イミド、例えばマレイミド、ビニルスルホンまたはジスルフィドなどのチオール反応基を含有する任意のポリマーであってもよい。こうした出発材料を商業的に(例えばNektar、以前のShearwater Polymers Inc.、米国アラバマ州ハンツビルより)得てもよいし、または慣用的な化学的方法を用いて、商業的に入手可能な出発材料から調製してもよい。特定のPEG分子には、20Kメトキシ−PEG−アミン(Nektar、以前のShearwater; Rapp Polymere;およびSunBioより入手可能)およびM−PEG−SPA(Nektar、以前のShearwaterより入手可能)が含まれる。
【0101】
1つの態様において、抗体は、例えばEP 0948544またはEP1090037に開示する方法にしたがって、PEG化された、すなわち共有結合されたPEG(ポリ(エチレングリコール))を有する修飾Fab断片またはdiFabである[また、“Poly(ethyleneglycol) Chemistry, Biotechnical and Biomedical Applications”, 1992, J. Milton Harris(監修), Plenum Press, New York, “Poly(ethyleneglycol) Chemistry and Biological Applications”, 1997, J. Milton HarrisおよびS. Zalipsky(監修), American Chemical Society, Washington DC、ならびに“Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences”, 1998, M. AslamおよびA. Dent, Grove Publishers, New York; Chapman, A. 2002, Advanced Drug Delivery Reviews 2002, 54:531−545を参照されたい]。1つの例において、PEGをヒンジ領域中のシステインに付着させる。1つの例において、PEG修飾Fab断片は、修飾ヒンジ領域中の単一チオール基に共有結合されたマレイミド基を有する。リジン残基をマレイミド基に共有結合してもよいし、そしてリジン残基上の各アミン基に、およそ20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーを付着させてもよい。したがって、Fab断片に付着したPEGの総分子量は、およそ40,000Daであってもよい。
【0102】
1つの態様において、本発明は、配列番号9に提供する配列を含む重鎖および配列番号7に提供する配列を含む軽鎖を有し、そしてその重鎖C末端に、エフェクター分子が付着する少なくとも1つのシステイン残基を含有する修飾ヒンジ領域を有する、修飾Fab断片である、ヒトOX40に特異性を有するアンタゴニスト性抗体分子を提供する。適切には、エフェクター分子はPEGであり、そしてWO98/25971およびWO2004072116に、またはWO2007/003898に記載される方法を用いて付着する。適切には、リジルマレイミド基が重鎖C末端のシステイン残基に付着し、そしてリジル残基の各アミノ基が、共有結合した約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)残基を有するような方式で、エフェクター分子が付着される。したがって、抗体に付着するPEGの総分子量はおよそ40,000Daである。特定のPEG分子には、PEG2MAL40K(Nektar、以前のShearwaterより入手可能)としても知られる、N,N’−ビス(メトキシポリ(エチレングリコール)MW20,000)修飾リジンの2−[3−(N−マレイミド)プロピオンアミド]エチルアミドが含まれる。
【0103】
PEGリンカーの別の供給源には、NOFが含まれ、NOFはGL2−400MA2(以下の構造中のmが5である)およびGL2−400MA(mが2である)を供給し、そしてnはおよそ450である:
【0104】
【化1】

【0105】
すなわち各PEGは、約20,000Daである。以下のタイプのさらなる別のPEGエフェクター分子:
【0106】
【化2】

【0107】
が、Reddy博士、NOFおよびJenkemより入手可能である。
1つの態様において、鎖中のアミノ酸226のまたはその近傍のシステインアミノ酸残基、例えば重鎖アミノ酸226(連続番号付けによる)を通じて付着される、PEG化された(例えば本明細書記載のPEGで)抗体を提供する。
【0108】
1つの態様において、本発明は、配列番号15に提供する配列を含むかまたは該配列からなる重鎖、および配列番号11に提供する配列を含むかまたは該配列からなる軽鎖を有し、そして重鎖の226位(配列番号15由来の直鎖番号付け)のシステインに付着したエフェクター分子を有する修飾Fab断片である、ヒトOX40に特異性を有するアンタゴニスト性抗体分子を提供する。適切には、エフェクター分子はPEGであり、そしてWO98/25971およびWO2004072116、またはWO2007/003898に記載される方法を用いて付着され、そしてリジルマレイミド基が重鎖の226位のシステイン残基(配列番号15)に付着し、そしてリジル残基の各アミノ基が、共有結合した約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)残基を有する。したがって、抗体に付着したPEGの総分子量はおよそ40,000Daである。特定のPEG分子には、PEG2MAL40K(Nektar、以前のShearwaterより入手可能)としても知られる、N,N’−ビス(メトキシポリ(エチレングリコール)MW20,000)修飾リジンの2−[3−(N−マレイミド)プロピオンアミド]エチルアミドが含まれる。適切には、本発明の抗体分子は、図2に示すようなPEG化修飾Fab’断片である。このPEG化分子は、本明細書において、A26Fab’−PEGと称される。
【0109】
別の例において、出願WO2005/003169、WO2005/003170およびWO2005/003171に記載される方法を用いて、エフェクター分子を抗体断片に付着させてもよい。
【0110】
本発明はまた、本発明の抗体分子の重鎖および/または軽鎖(単数または複数)をコードする単離DNA配列も提供する。適切には、DNA配列は、本発明の抗体分子の重鎖または軽鎖をコードする。本発明のDNA配列は、合成DNA、例えば化学的プロセシングによって産生されるもの、cDNA、ゲノムDNAまたはその任意の組み合わせを含んでもよい。当業者に周知の方法によって、本発明の抗体分子をコードするDNA配列を得てもよい。例えば、抗体重鎖および軽鎖の一部またはすべてをコードするDNA配列を、望ましいように、決定したDNA配列から、または対応するアミノ酸配列に基づいて、合成してもよい。
【0111】
アクセプター・フレームワーク配列をコードするDNAは、当業者に広く入手可能であり、そして既知のアミノ酸配列に基づいて、容易に合成可能である。
分子生物学の標準的技術を用いて、本発明の抗体分子をコードするDNA配列を調製してもよい。オリゴヌクレオチド合成技術を用いて、望ましいDNA配列を完全にまたは部分的に合成してもよい。部位特異的突然変異誘発およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を適切なように用いてもよい。
【0112】
適切な配列の例を、図1(h)配列番号8;図1(i)配列番号10;図1(j)配列番号13;図1(k)配列番号14;図1(l)配列番号17および図1(m)配列番号18に提供する。配列番号18のヌクレオチド1〜63および配列番号14の1〜63は、シグナルペプチド配列OmpAをコードし、該配列は切断されて、本発明のアンタゴニスト性抗体分子を生じる(シグナルペプチドは、それぞれ、図1(g)配列番号16のアミノ酸残基1〜21および図1(e)配列番号12の1〜21に対応する)。本発明はまた、配列番号17または配列番号18を含む、本発明の抗体の重鎖をコードする単離DNA配列も提供する。本発明はまた、配列番号13または配列番号14を含む、本発明の抗体の軽鎖をコードする単離DNA配列も提供する。
【0113】
本発明はまた、本発明の1以上のDNA配列を含むクローニングまたは発現ベクターにも関する。したがって、本発明の抗体をコードする1以上のDNA配列を含むクローニングまたは発現ベクターを提供する。適切には、クローニングまたは発現ベクターは、本発明の抗体分子の軽鎖および重鎖それぞれをコードする2つのDNA配列を含む。適切には、本発明記載のベクターは、配列番号14および配列番号18に提供する配列を含む。配列番号18のヌクレオチド1〜63および配列番号14の1〜63は、OmpA由来のシグナルペプチド配列をコードし(それぞれ、配列番号16の残基1〜21および配列番号12の1〜21)、これは、最も適切には、切断されて、本発明の中和抗体分子を生じる。1つの例において、ベクターは、重鎖および軽鎖間の遺伝子間配列、例えばIGS2を含む(WO03/048208を参照されたい)。したがって、1つの態様において、本発明のベクターは、図1(n)に提供する配列(配列番号19)を含む。
【0114】
ベクターを構築可能な一般的な方法、トランスフェクション法および培養法が当業者に周知である。これに関して、“Current Protocols in Molecular Biology”, 1999, F. M. Ausubel(監修), Wiley Interscience, New YorkおよびCold Spring Harbor PublishingによるManiatis Manualを参照されたい。
【0115】
本発明の抗体をコードする1以上のDNA配列を含む1以上のクローニングまたは発現ベクターを含む宿主細胞もまた提供する。本発明の抗体分子をコードするDNA配列の発現のために、任意の適切な宿主細胞/ベクター系を用いてもよい。細菌、例えば大腸菌、および他の微生物系を用いてもよいし、または真核、例えば哺乳動物宿主細胞発現系もまた用いてもよい。適切な哺乳動物宿主細胞には、CHO、骨髄腫またはハイブリドーマ細胞が含まれる。
【0116】
本発明はまた、本発明記載の抗体分子を産生するためのプロセスであって、本発明のベクターを含有する宿主細胞を、本発明の抗体分子をコードするDNAからタンパク質発現を導くのに適した条件下で培養し、そして抗体分子を単離する工程を含む、前記プロセスも提供する。
【0117】
抗体分子は、重鎖または軽鎖ポリペプチドのみを含んでもよく、この場合、宿主細胞をトランスフェクションするのに重鎖または軽鎖ポリペプチドコード配列のみを用いればよい。重鎖および軽鎖両方を含む産物を産生するためには、2つのベクター、軽鎖ポリペプチドをコードする第一のベクターおよび重鎖ポリペプチドをコードする第二のベクターで細胞株をトランスフェクションしてもよい。あるいは、軽鎖および重鎖ポリペプチドをコードする配列を含む、単一のベクターを用いてもよい。
【0118】
本開示記載の抗体および断片は、宿主細胞から優れたレベルで発現される。したがって、抗体および/または断片の特性は最適化され、そして商業的プロセシングを助長する。
本発明の抗体は、病理学的状態の治療および/または予防に有用であるため、本発明はまた、1以上の薬学的に許容されうる賦形剤、希釈剤またはキャリアーと組み合わされた、本発明の抗体分子を含む薬学的組成物または診断組成物も提供する。したがって、薬剤製造のための本発明の抗体の使用を提供する。組成物は、通常、薬学的に許容されうるキャリアーを通常は含む、無菌薬学的組成物の一部として供給されるであろう。本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容されうるアジュバントをさらに含んでもよい。
【0119】
本発明はまた、薬学的組成物または診断組成物を調製するためのプロセスであって、本発明の抗体分子と1以上の薬学的に許容されうる賦形剤、希釈剤またはキャリアーを一緒に添加しそして混合する工程を含む、前記プロセスを提供する。
【0120】
抗体分子は、薬学的組成物または診断組成物中の単独の活性成分であってもよいし、あるいは他の抗体成分、例えば抗TNF、抗IL−1β、抗T細胞、抗IFNγまたは抗LPS抗体、またはキサンチンなどの非抗体成分を含む、他の活性成分を伴ってもよい。他の適切な活性成分には、寛容を誘導可能な抗体、例えば抗CD3または抗CD4抗体が含まれる。
【0121】
さらなる態様において、本開示記載の抗体、断片または組成物を、さらなる薬学的活性剤、例えばコルチコステロイド(プロピオン酸フルチカゾンなど)および/またはベータ−2アゴニスト(サルブタモール、サルメテロールまたはホルモテロール)または細胞成長および増殖の阻害剤(例えばラパマイシン、シクロホスファミド、メトトレキセート)または別のCD28および/またはCD40阻害剤と組み合わせて使用する。1つの態様において、阻害剤は小分子である。別の態様において、阻害剤はターゲットに特異的な抗体である。
【0122】
薬学的組成物は、適切に、本発明の抗体の療法的有効量を含む。用語「療法的有効量」は、本明細書において、ターゲットとされる疾患または状態を治療するか、軽減するかまたは防止するか、あるいは検出可能な療法的または予防的効果を示すのに必要である療法剤の量を指す。任意の抗体に関して、療法的有効量は、最初に、細胞培養アッセイ中あるいは動物モデル中のいずれか、通常は、げっ歯類、ウサギ、イヌ、ブタまたは霊長類中で概算可能である。また、動物モデルを用いて、適切な濃度範囲および投与経路を決定してもよい。次いで、こうした情報を用いて、ヒトにおける投与に有用な用量および経路を決定してもよい。
【0123】
ヒト被験体のための正確な療法的有効量は、疾患状態の重症度、被験体の全身健康状態、被験体の年齢、体重および性別、食餌、投与時間および頻度、併用薬剤(単数または複数)、反応感度および療法に対する耐性/反応に応じるであろう。この量は、ルーチンの実験によって決定可能であり、そして臨床医の判断能力内である。一般的に、療法的有効量は、0.01mg/kg〜50mg/kg、例えば0.1mg/kg〜20mg/kgであろう。薬学的組成物は、好適に、用量あたり、あらかじめ決定された量の本発明の活性剤を含有する単位用量型で提示可能である。
【0124】
組成物を個々に患者に投与してもよいし、あるいは他の剤、薬剤またはホルモンと組み合わせて(例えば同時に、連続してまたは別個に)投与してもよい。
本発明の抗体分子を投与する用量は、治療しようとする状態の性質、存在する炎症の度合い、および抗体分子が予防的に用いられるか、または現存する状態を治療しようとするかのいずれかであるかに応じる。
【0125】
用量頻度は、抗体分子の半減期およびその効果の期間に応じるであろう。抗体分子が短い半減期(例えば2〜10時間)を有する場合、1日1用量以上を投与する必要がありうる。あるいは、抗体分子が長い半減期(例えば2〜15日)を有する場合、1日1回、1週間に1回、またはさらに1または2ヶ月ごとに1回の投薬量を与えればよい可能性もある。
【0126】
薬学的に許容されうるキャリアーは、それ自体、組成物を投与される個体に有害な抗体の産生を誘導してはならないし、そして毒性であってはならない。適切なキャリアーは、巨大な緩慢に代謝される巨大分子、例えばタンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび不活性ウイルス粒子であってもよい。
【0127】
薬学的に許容されうる塩、例えば鉱酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩および硫酸塩、または有機酸の塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩および安息香酸塩を用いてもよい。
【0128】
療法組成物中の薬学的に許容されうるキャリアーは、さらに、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールなどの液体を含有してもよい。さらに、補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、あるいはpH緩衝物質が、こうした組成物中に存在してもよい。こうしたキャリアーは、薬学的組成物が、患者による摂取のため、錠剤、丸剤、ドラジェ、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリーおよび懸濁物として配合されることを可能にする。
【0129】
投与に適した型には、例えば注射または注入による、例えばボーラス注射または連続注入による、非経口投与に適した型が含まれる。産物が注射または注入用のものである場合、産物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁物、溶液またはエマルジョンの型であってもよいし、そして配合剤、例えば懸濁剤、保存剤、安定化剤および/または分散剤を含有してもよい。あるいは、抗体分子は、使用前に、適切な無菌液で再構成するため、乾燥型であってもよい。
【0130】
ひとたび配合したら、本発明の組成物を被験体に直接投与してもよい。治療される被験体は動物であってもよい。しかし、1以上の態様において、組成物は、ヒト被験体への投与のために適応している。
【0131】
適切には、本開示記載の配合物において、最終配合物のpHは、抗体または断片の等電点の値と類似ではなく、例えば、配合物のpHが7である場合、8〜9またはそれより高いpIが適切でありうる。理論によって束縛されることは望ましくないが、これは、最終的に、改善された安定性の最終配合物を提供し、例えば抗体または断片は、溶液中に留まる。
【0132】
1つの態様において、4.0〜7.0の範囲のpHの薬学的配合物は:1〜200mg/mLの本開示にしたがった抗体、1〜100mMの緩衝剤、0.001〜1%の界面活性剤、a)10〜500mMの安定化剤、b)10〜500mMの安定化剤および5〜500mMの等張剤、またはc)5〜500mMの等張剤を含む。
【0133】
例えば、およそpH6の配合物は、1〜50mg/mLの抗体、20mM L−ヒスタジン(histadine)HCl、240mMトレハロースおよび0.02%ポリソルベート20を含んでもよい。あるいは、およそpH5.5の配合物は、1〜50mg/mLの抗体、20mMクエン酸緩衝剤、240mMスクロース、20mMアルギニン、および0.02%ポリソルベート20を含んでもよい。
【0134】
本発明の薬学的組成物を、限定されるわけではないが、経口、静脈内、筋内、動脈内、髄内、クモ膜下腔内、心室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)(例えばWO98/20734を参照されたい)、皮下、腹腔内、鼻内、腸内、局所、舌下、膣内または直腸経路を含む、多くの経路のいずれによって投与してもよい。また、皮下噴射器を用いて、本発明の薬学的組成物を投与してもよい。典型的には、療法組成物を、溶液または懸濁物のいずれかとして、注射剤として調製してもよい。注射前に、液体ビヒクル中で溶液にまたは懸濁物にするのに適した固体型もまた調製してもよい。
【0135】
組成物の直接送達は、一般的に、注射によって、皮下、腹腔内、静脈内または筋内で達成されるか、あるいは組織の間質内空間に送達されるであろう。また、組成物を病変中に投与してもよい。投薬治療は、単回用量スケジュールまたは多数回用量スケジュールであってもよい。
【0136】
組成物中の活性成分が抗体分子であることが認識されるであろう。こうしたものとして、組成物は、胃腸管における分解に感受性であろう。したがって、胃腸管を用いた経路によって組成物を投与しようとする場合、組成物は、抗体が分解しないように保護するが、ひとたび胃腸管から吸収されたならば、抗体を放出する剤を含有する必要があるであろう。
【0137】
薬学的に許容されうるキャリアーの完全な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company, N.J. 1991)で入手可能である。
【0138】
1つの態様において、配合物を、吸入を含む局所投与のための配合物として提供する。
適切な吸入調製物には、吸入可能粉末、噴霧ガスを含有する計量エアロゾル、または噴霧ガスを含まない吸入可能溶液が含まれる。活性物質を含有する開示にしたがった吸入可能粉末は、単に、上記活性物質、または上記活性物質と生理学的に許容されうる賦形剤の混合物からなってもよい。
【0139】
これらの吸入可能粉末には、単糖(例えばグルコースまたはアラビノース)、二糖(例えばラクトース、スクロース、マルトース)、オリゴ糖および多糖(例えばデキストラン)、多価アルコール(例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)またはこれらと互いとの混合物が含まれてもよい。単糖または二糖を適切に用い、ラクトースまたはグルコースは、特に、排他的にではないが、その水和物の形で用いる。
【0140】
肺中に沈着させるための粒子は、10ミクロン未満、例えば1〜9ミクロン、例えば0.1〜5μm、特に1〜5μmの粒子サイズを必要とする。活性成分(例えば抗体または断片)の粒子サイズが主に重要である。
【0141】
吸入可能エアロゾルを調製するのに使用可能な噴霧ガスが当該技術分野に知られる。適切な噴霧ガスは、炭化水素、例えばn−プロパン、n−ブタンまたはイソブタンおよびハロ炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパンまたはシクロブタンの塩素化および/またはフッ素化誘導体の中から選択される。上述の噴霧ガスをそれ自体で、またはその混合物中で用いてもよい。
【0142】
特に適切な噴霧ガスは、TG11、TG12、TG134aおよびTG227の中から選択されるハロゲン化アルカン誘導体である。上述のハロゲン化炭化水素のうち、TG134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)およびTG227(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)およびその混合物が特に適切である。
【0143】
噴霧ガス含有吸入可能エアロゾルはまた、他の成分、例えば共溶媒、安定化剤、表面活性剤(界面活性剤)、酸化防止剤、潤滑剤およびpHを調節するための手段も含有してもよい。すべてのこれらの成分が当該技術分野に知られる。
【0144】
本発明記載の噴霧ガス含有吸入可能エアロゾルは、活性成分重量を5%まで含有してもよい。本発明記載のエアロゾルは、例えば重量0.002〜5%、重量0.01〜3%、重量0.015〜2%、重量0.1〜2%、重量0.5〜2%または重量0.5〜1%の活性成分を含有する。
【0145】
あるいは、肺への局所投与はまた、ネブライザー、例えばコンプレッサーに連結されたネブライザー(例えば、Pari Respiratory Equipment, Inc.、バージニア州リッチモンドによって製造された、Pari Master(R)コンプレッサーに連結されたPari LC−Jet Plus(R)ネブライザー)などのデバイスを使用した、溶液または懸濁物配合物の投与によってもよい。
【0146】
本発明の抗体を溶媒中に分散させて、例えば溶液または懸濁物の形で送達してもよい。該抗体を適切な生理学的溶液、例えば生理食塩水または他の薬理学的に許容されうる溶媒または緩衝溶液中で懸濁してもよい。当該技術分野に知られる緩衝溶液は、約4.0〜5.0のpHを達成するように、1mlの水あたり、0.05mg〜0.15mgエデト酸二ナトリウム、8.0mg〜9.0mg NaCl、0.15mg〜0.25mgポリソルベート、0.25mg〜0.30mg無水クエン酸、および0.45mg〜0.55mgクエン酸ナトリウムを含有してもよい。懸濁物は、例えば凍結乾燥抗体を使用してもよい。
【0147】
療法懸濁物または溶液配合物はまた、1以上の賦形剤も含有してもよい。賦形剤は当該技術分野に周知であり、そして緩衝剤(例えばクエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤および重炭酸緩衝剤)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、およびグリセロールを含む。溶液または懸濁物をリポソームまたは生体分解可能微小球体中に被包してもよい。配合物は、一般的に、無菌製造プロセスを使用して、実質的に無菌である型で提供されるであろう。
【0148】
これには、一般の当業者によく知られる方法による、産生、および配合に使用した緩衝溶媒/溶液のろ過による滅菌、無菌緩衝溶媒溶液中での抗体の無菌懸濁、および無菌容器内への配合物の分配が含まれてもよい。
【0149】
本開示記載の噴霧可能な配合物を、例えば、ホイルエンベロープにパッキングされた、単回用量単位(例えば密封プラスチック容器またはバイアル)として提供してもよい。各バイアルは、溶媒/溶液緩衝液の体積、例えば2mL中、単位用量を含有する。
【0150】
本明細書に開示する抗体は、噴霧を介した送達に適切でありうる。
本発明の抗体が遺伝子治療を使用することによって投与されうることもまた予想される。これを達成するため、適切なDNA構成要素の制御下で抗体分子の重鎖および軽鎖をコードするDNA配列を患者に導入し、抗体鎖がDNA配列から発現され、そしてin situで組み立てられるようにする。
【0151】
本発明はまた、炎症性疾患、例えば急性または慢性炎症性疾患を制御する際に使用するための、抗体分子(または該分子を含む組成物)も提供する。適切には、抗体分子(または該分子を含む組成物)を用いて、炎症プロセスを減少させるかまたは炎症プロセスを防止してもよい。1つの態様において、活性化T細胞、特に不適切な炎症免疫反応に関与するもの、例えばこうした反応の近傍/位置に補充されるもののin vivo減少を提供する。
【0152】
活性化T細胞の減少は、本明細書で使用した際、治療前または治療なしと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90パーセントまたはそれを超える減少であってもよい。好適には、本発明記載の抗体、断片または組成物での治療は、患者T細胞の全身レベル(不活性化T細胞)を減少させることなく、活性化T細胞レベルの減少を可能にしうる。これは、より少ない副作用を生じる可能性もあり、そしておそらく、患者におけるT細胞枯渇を防止する可能性もある。
【0153】
本発明はまた、OX40によって仲介されるか、またはOX40レベルの増加と関連する病理学的障害の治療または予防において使用するための本発明の抗体分子も提供する。病理学的状態は、例えば、感染(ウイルス、細菌、真菌および寄生虫)、感染に関連する内毒素ショック、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、血管炎、外科的癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、関節炎、髄膜脳炎、自己免疫ブドウ膜炎、中枢神経系および末梢神経系の免疫仲介炎症性障害、例えば多発性硬化症、ループス(例えば全身性エリテマトーデス)およびギランバレー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫肝炎、線維性肺胞炎、グレーブズ病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫障害、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植拒絶、虚血性疾患を含む心臓病、例えば心筋梗塞、ならびにアテローム性動脈硬化症、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節症、歯周病および低酸症からなる群より選択されることも可能である。
【0154】
1つの態様において、本発明記載の抗体は、アレルギー(allery)、COPD、自己免疫疾患または関節リウマチの治療に使用される。
本発明はまた、疼痛、特に炎症と関連する疼痛の治療または予防において使用するための、本発明記載の抗体分子も提供する。
【0155】
本発明はさらに、OX40によって仲介されるか、またはOX40レベルの増加と関連する病理学的障害の治療または予防のための薬剤製造における、本発明記載の抗体分子、断片または組成物の使用を提供し、特に、病理学的障害は、関節リウマチ、喘息またはCOPDである。
【0156】
本発明はさらに、本明細書に記載する1以上の医学的徴候の治療または予防のための薬剤製造における、本発明記載の抗体分子、断片または組成物の使用を提供する。
本発明の抗体分子、断片または組成物を、ヒトまたは動物体内でOX40の影響を減少させるのが望ましい、任意の療法に利用してもよい。OX40は体内で循環していてもよいし、または体の特定の部位、例えば炎症部位に、望ましくなく高レベルで局在して存在していてもよい。
【0157】
1つの態様において、本発明の抗体分子または該抗体分子を含む組成物を、例えば本明細書に記載するような炎症性疾患の制御のために用いる。
本発明はまた、OX40によって仲介される障害に罹患しているかまたはそのリスクがあるヒトまたは動物被験体を治療する方法であって、該被験体に、本発明の抗体分子、または該抗体分子を含む組成物の有効量を投与する工程を含む、前記方法を提供する。
【0158】
1つの態様において、抗体(特に本発明記載の抗体または断片)を精製するためのプロセスであって:
不純物がカラムに保持され、そして抗体が溶出されるような非結合様式の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う
工程を含む、前記プロセスを提供する。
【0159】
該プロセスで用いるのに適したイオン交換樹脂には、Q.FF樹脂(GE−Healthcareによって供給される)が含まれる。該工程を、例えば約8のpHで行ってもよい。
【0160】
該プロセスは、さらに、例えば約4〜5、例えば4.5のpHで行う陽イオン交換クロマトグラフィーを使用する最初の捕捉工程を含んでもよい。陽イオン交換クロマトグラフィーは、例えば、CaptoS樹脂またはSPセファロースFF(GE−Healthcareによって供給される)などの樹脂を使用してもよい。次いで、イオン性塩溶液、例えば塩化ナトリウムの、例えば200mM濃度のものを使用して、抗体または断片を樹脂から溶出してもよい。
【0161】
したがって、単数または複数のクロマトグラフ工程には、適切なように、1以上の洗浄工程が含まれてもよい。
精製プロセスはまた、1以上のろ過工程、例えばダイアフィルトレーション工程も含まれてもよい。
【0162】
抗体または断片の、約8より高い、例えば8.5、8.6、8.7、8.8または9.0のpIは、精製を補助して、不純物、例えば内毒素、DNAおよび宿主細胞タンパク質を「含まない」かまたは「実質的に含まない」抗体または断片を提供すると考えられる。
【0163】
したがって、1つの態様において、精製OX40抗体または断片、例えばヒト化抗体または断片、特に実質的に精製された、特に内毒素および/または宿主細胞タンパク質またはDNAを含まないかまたは実質的に含まない本発明記載の抗体または断片を提供する。
【0164】
上記のような精製型は、少なくとも90%純度、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99%w/wまたはそれより純粋であることを指すよう意図される。
【0165】
実質的に内毒素を含まない、は、一般的に、抗体産物mgあたり1EUの内毒素含量以下、例えば産物mgあたり0.5または0.1EUを指すよう意図される。
実質的に宿主細胞タンパク質またはDNAを含まない、は、一般的に、抗体産物mgあたり400μgのタンパク質および/またはDNA含量以下、例えばmgあたり100μg以下、特に適切なように、mgあたり20μgを指すよう意図される。
【0166】
また、本発明の抗体分子を、診断、例えば、OX40に関与する疾患状態のin vivo診断および画像化にも用いてもよい。
本明細書の背景において、含む(comprising)は含む(including)を意味するよう意図される。
【0167】
技術的に適切である場合、本発明の態様を組み合わせてもよい。
態様は、本明細書において、特定の特徴/要素を含むように記載される。本開示はまた、前記特徴/要素からなるまたは本質的にこれらからなる別個の態様に広がる。
【0168】
本発明は、以下の実施例において、例示のためのみにさらに記載され、これらは付随する図に言及する。
【実施例】
【0169】
図1詳細:
a)抗体A26の軽鎖V領域(配列番号7)
b)抗体A26の重鎖V領域(配列番号9)
c)抗体A26のCDRH1(配列番号1)、CDRH2(配列番号2)、CDRH3(配列番号3)、CDRL1(配列番号4)、CDRL2(配列番号5)、CDRL3(配列番号6)、ならびに抗体CA044_00026のCDRH2(配列番号20)およびCDRL1(配列番号21)
d)抗体A26の軽鎖(配列番号11)
e)シグナル配列(下線)を含む抗体A26の軽鎖(配列番号12)
f)抗体A26の重鎖(配列番号15)
g)シグナル配列(下線)を含む抗体A26の重鎖(配列番号16)
h)抗体A26の軽鎖可変領域をコードするDNA(配列番号8)
i)抗体A26の重鎖可変領域をコードするDNA(配列番号10)
j)抗体A26の軽鎖をコードするDNA(配列番号13)
k)シグナル配列を含む抗体A26の軽鎖をコードするDNA(配列番号14)
l)抗体A26の重鎖をコードするDNA(配列番号17)
m)シグナル配列を含む抗体A26の重鎖をコードするDNA(配列番号18)
n)シグナル配列および遺伝子間配列IGS2を含む抗体A26の重鎖および軽鎖をコードするDNA(配列番号19)
DNA操作および一般的な方法
大腸菌株INVαF’(Invitrogen)を形質転換およびルーチンの培養増殖に用いた。DNA制限酵素および修飾酵素をRoche Diagnostics Ltd.およびNew England Biolabsから得た。Maxiプラスミド精製キット(QIAGEN、カタログ番号12165)を用いて、プラスミド調製を行った。ABI Prism Big Dyeターミネーター配列決定キット(カタログ番号4304149)を用いて、DNA配列決定反応を行い、そしてABI 3100自動化配列決定装置(Applied Biosystems)上で泳動した。プログラムAutoAssembler(Applied Biosystems)を用いてデータを分析した。Invitrogenからオリゴヌクレオチドを得た。最初のV領域配列をコードする遺伝子を設計し、そしてEntelechon GmbHによる自動化合成アプローチによって構築し、そして修飾して、オリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発によって移植型を生成した。Fab’アセンブリーELISAを用いて、Fab’濃度を決定した。
【0170】
実施例1:中和抗OX40抗体A26の産生およびヒト化
ヒトOX40およびmFCの組換え融合タンパク質で、雌スプレーグ・ドーリー・ラットを免疫した。WO92/02551に記載する方法を用いて、ヒトOX−40に結合する抗体CA044_00026を単離した。抗体CA044_00026の重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)の遺伝子を単離し、そして逆転写PCRを通じたクローニングにしたがって配列決定した。
【0171】
ヒトV領域アクセプターフレームワークを用いて、そしてフレームワーク領域中のドナー残基の数を変化させることによって、一連のヒト化VLおよびVH領域を設計した。2つの移植VH領域(gH1および2)および8つの移植VL領域(gL1〜8)を設計し、そしてオリゴヌクレオチドアセンブリーおよびPCR突然変異誘発によって、遺伝子を構築した。
【0172】
ヒト化可変ドメインをコードする遺伝子を用いて、抗体Fab’断片を各移植に関して構築して、ヒトCγ1重鎖CH1ドメイン(G1m17アロタイプ)およびヒトCカッパ軽鎖定常ドメイン(K1m3アロタイプ)をコードするDNAを含有する大腸菌発現ベクターpTTOD(WO03/048208に以前記載される通り)内にサブクローニングした。ヒンジ領域を一部切除し(truncated)、そしてCys−Pro−Pro−CysからCys−Ala−Alaへの配列変化からなる修飾を行って、PEG部分の部位特異的付着に利用可能な単一のシステイン残基を持つヒンジ領域を生成した(実施例2を参照されたい)。
【0173】
OmpAシグナルペプチドをコードする配列を、重鎖および軽鎖両方をコードする遺伝子の5’端に付着させた。発現に際して、シグナル配列は、各ポリペプチドの細菌周辺質への輸送をターゲットとする。細胞膜を通じた転位置後、シグナル配列は切り落とされ、成熟Fab’重鎖および軽鎖が残る。
【0174】
各移植を含有するpTTODベクターを宿主株大腸菌K12 W3.110に形質転換し、そして標準法を用いた細胞高密度培養によって、大腸菌において、抗体Fab’断片が産生された。標準法を用いて、陽イオン交換クロマトグラフィー後に陰イオン交換クロマトグラフィーを用い、抗体を精製した(Humphreysら, 2002, Protein Expression and Purification, 26, 309−320)。
【0175】
産生した多様なFab’断片を以下に記載する結合および遮断で試験し、そして大腸菌における発現、親抗体と比較した強度、ならびに精製および下流プロセシングに関する適切性に関して、各々を評価した。これによって、移植gL8gH2が選択され、これをA26と名付けた。この移植片のV領域配列を、軽鎖(gL2)および重鎖(gH2)に関して、それぞれ、図1(a)および(b)、ならびに配列番号7および9に示す。
【0176】
重鎖アクセプターフレームワークは、ヒト生殖系列配列VH3 1−3 3−07とヒトJH領域生殖系列JH4のこの部分に由来するフレームワーク4である。軽鎖アクセプターフレームワークは、ヒト生殖系列VK1 2−1 1−02とヒトJK領域生殖系列JK4のこの部分に由来するフレームワーク4である。配列番号9の重鎖中、37位、73位、78位および94位(Kabat番号付け)のアミノ酸はドナー残基(親抗体由来)であり、これらは完全強度を保持するために必須であることが見出された。CDRH2内の残基64をドナーのグルタミン酸からアクセプターのリジン(E64K)に変換して、イオン交換精製により好ましい、より高いpIを持つ分子を生成した。配列番号7の軽鎖中、64位および71位(Kabat番号付け)のアミノ酸は、完全強度を保持するために必須であることが見出されたドナー残基である。CDR−L1内の残基27および28をドナーのグルタミン酸およびアスパラギン酸からアクセプターのグルタミン(E27Q)およびセリン(D28S)に変換して、イオン交換精製により好ましい、より高いpIを持つ分子を生成した。
【0177】
この抗体のCDRを図1(c)に示し、修飾されていない元来のCDRH2(配列番号20)およびCDRL1(配列番号21)も示す。全長軽鎖および重鎖を、それぞれ、図1(d)および(f)に示す。
【0178】
gL8およびgH2遺伝子は、DNAレベルで再設計されて、大腸菌における発現のために最適化された可変および定常領域両方に関するコドンを含有する。軽鎖および重鎖をコードするDNA配列を、それぞれ、図1(k)、配列番号14および(m)配列番号18に示す。
【0179】
このFab’(定常領域を含む)のタンパク質配列を、配列番号11および12(OmpAシグナルペプチドを含まないおよび含む軽鎖)、ならびに配列番号15および16(OmpAシグナルペプチドを含まないおよび含む重鎖)に提供する。pTTOD(A26 IGS2)二シストロン発現ベクターには、図1(n)および配列番号19に提供する配列が含まれる。配列は、軽鎖および重鎖遺伝子間に、遺伝子間配列IGS2(WO03/048208を参照されたい)を、そして軽鎖および重鎖遺伝子両方の開始部分にOmpAリーダー配列を含有する。
【0180】
実施例2:A26Fab’−PEGの産生
実施例1に記載するように大腸菌で産生し、そして精製したFab’断片A26を、WO2007/003898に記載される方法にしたがってPEG化した。リジルマレイミド基が重鎖(配列番号15)の226位のシステイン残基に付着し、そしてリジル残基の各アミノ基が、共有結合した分子量約20,000Daを有するメトキシポリ(エチレングリコール)残基を有するように、PEGを重鎖(配列番号15)の226位(直鎖番号付け)のヒンジ・システインに付着させた。抗体に付着したPEGの総分子量はしたがって、図2に示すようにおよそ40,000Daであった。
【0181】
実施例3:OX40に対するA26およびA26Fab’−PEGのアフィニティの評価
BIAcore技術は、リアルタイムで、そして標識する必要性を伴わず、生体分子間の結合を監視する。リガンドと称される相互作用物質の一方を直接固定するか、または固定化表面上に捕捉するかいずれかを行い、一方、分析物と称されるもう一方を、溶液中で捕捉表面上に流動させる。分析物がリガンドに結合して、表面上で複合体を形成するにつれて、センサーが、センサー表面上の質量変化を検出する。これが会合プロセスに対応する。分析物が緩衝剤によって置換された際、リガンドからの分析物の解離が監視される。アフィニティBIAcoreアッセイでは、リガンドは試験される抗体であり、そして分析物はヒトOX40である。
【0182】
装置:Biacore(登録商標)3000、Biacore AB、スウェーデン・ウプサラ。
センサーチップ:CM5(研究等級)カタログ番号:BR−1001−14、Biacore AB、スウェーデン・ウプサラ。チップを4℃で保存した。
【0183】
アミンカップリングキット:カタログ番号:BR−1000−50、Biacore AB、スウェーデン・ウプサラ。
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸(EDC)。蒸留水中で75mg/mLにして、そして200μLアリコット中、−70℃で保存した。
【0184】
N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)。蒸留水中で11.5mg/mLにして、そして200μLアリコット中、−70℃で保存した。
1Mエタノールアミン塩酸−NaOH pH8.5。200μLアリコット中、−70℃で保存。
【0185】
緩衝剤:泳動緩衝剤:HBS−EP(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20)。カタログ番号:BR−1001−88、Biacore AB、スウェーデン・ウプサラ。緩衝剤を4℃で保存。
【0186】
固定化緩衝剤:アセテート5.0(10mM酢酸ナトリウムpH5.0)。カタログ番号:BR−1003−51、Biacore AB、スウェーデン・ウプサラ。緩衝剤を4℃で保存。
【0187】
リガンド捕捉:Affinipure F(ab’)断片ヤギ抗ヒトIgG、F(ab’)断片特異的。Jackson ImmunoResearch Inc(米国ペンシルバニア州)カタログ番号:109−006−097。試薬を4℃で保存。
【0188】
リガンド:抗体A26およびA26Fab’−PEG、4℃で保存。
分析物:ネズミIgG2a Fc(232aa)に融合させたヒトOX40細胞外(185aa)ドメイン(0.5mg/ml、Ancell番号513−020、ロット142805)、4℃で保存。
【0189】
再生溶液:11.6Mストック溶液(BDH、英国プール。カタログ番号:101254H)から、蒸留水での希釈によって調製した40mM HCl。
50mMストック溶液から、蒸留水での希釈によって調製した5mM NaOH。カタログ番号:BR−1003−58。Biacore AB、スウェーデン・ウプサラ。
【0190】
アッセイ法:アッセイ形式は、固定された抗ヒトF(ab’)による抗体の捕捉後、捕捉表面上でのヒト細胞外ドメインOX40の滴定であった。方法の例を以下に提供する:
BIAcore 3000(BIAcore AB)を用いて、BIA(生体分子相互作用分析)を行った。アミンカップリング化学反応を介して、F(ab’)断片特異的Affinipure F(ab’)断片ヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)を、CM5センサーチップ上に、〜4000反応単位(RU)の捕捉レベルまで固定した。HBS−EP緩衝剤(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20、BIAcore AB)を泳動緩衝剤として、10μl/分の流速で用いた。0.5μg/mLのFab’または50μg/mLのFab’−PEGの10μl注入を、固定化抗ヒトIgG−F(ab’)による捕捉のために用いた。ヒトOX40を、30μL/分の流速、多様な濃度(25nM〜0.78nM)で、捕捉抗体上で滴定した。10μL/分の流速での10μLの40mM HCl注入後、5μLの5mM NaOH注入によって、表面を再生した。
【0191】
標準法にしたがって、BIAevaluationソフトウェア(バージョン3.2)を用いて、バックグラウンドを減じた結合曲線を分析した。適合アルゴリズムから、動力学パラメーターを決定した。
【0192】
A26に関して決定したアフィニティ値は、19〜45.4pMの範囲であり、そしてA26Fab’−PEGは13.7〜50.3pMの範囲であった。
以下の表は、ヒトOX40に結合する非PEG化ヒト化Fab断片A26(fab)およびA26Fab’−PEG Fab断片(Fab−PEG**)に関する反復データを示す:
表1
【0193】
【表1】

【0194】
5回の測定の平均、**4回の測定の平均
実施例3a:A26Fab’−PEGの細胞に基づくアフィニティおよびリガンド遮断能
細胞に基づくアフィニティ
細胞表面で発現された抗原に対するA26Fab’−PEGのアフィニティを決定するため、活性化されたCD4OX40 T細胞、およびFITC標識抗体を用いて、飽和結合実験を行った。リガンド濃度範囲に渡る平衡時の受容体への抗体の特異的結合を用いて、結合曲線のどの地点でも非常に少量の抗体のみが受容体に結合すると仮定して、Kを決定した。
【0195】
以下の等式を用いて、平衡結合を記載する:
【0196】
【化3】

【0197】
受容体と抗体の会合率=konx[受容体未結合]x[抗体未結合
受容体−抗体複合体の解離率=koffx[受容体−抗体]
平衡時、会合率および解離率は等しく、そして結合等温線を記載する等式が得られうる;片対数プロット上、結合はシグモイド状である。Kはkoff/konによって定義され、そして最大の半分の結合が生じる濃度として結合曲線から計算可能である。
【0198】
4対数濃度範囲に渡るフローサイトメトリーによって、FITC標識A26Fab’−PEGの活性化されたヒトCD4OX40 T細胞への結合を測定した。A26Fab’−PEGに関する代表的な結合曲線を図3に示す。3人の異なるドナー由来の活性化された細胞に関して得られたK値は、1.193nM、1.071nMおよび1.055nMであった。
【0199】
A26Fab’−PEGの細胞に基づくK(平均1.106nM)は、BIAcoreによって測定された組換えOX40に対する結合(31.3pM)より有意に弱い。これは、いくつかの要因のためである可能性があった。A26Fab’−PEGは、二量体Fc融合タンパク質として発現された組換えOX40に対してより高いアフィニティを有する可能性があり、該組換えOX40は、細胞膜中で非共有結合三量体として会合していると予測される、天然細胞表面で発現されるOX40とは異なる三次構造および四次構造を有する(Chanら、2000)。さらに、天然OX40に対する組換えOX40の示差グリコシル化によって、アフィニティが改変されうる。膜旋回(membrane convolution)および同時局在タンパク質などの細胞膜の三次元環境もまた、立体障害を提供して、A26Fab’−PEGへのOX40のアクセス可能性を限定しうる。その結果、細胞に基づくアフィニティは、おそらく、in vivoでの真の薬剤アフィニティにより近い測定値に相当する。
【0200】
方法:ヒト活性化CD4OX40 T細胞へのA26Fab’−PEG結合
Ficoll勾配上での分離によってPBMCを単離し、そして1μg/mL PHA−Lを37℃、5%CO、100%湿度で3日間活性化した。磁気ビーズを用いた陰性選択によって、CD4 T細胞を単離した(ヒト用CD4 T細胞単離キットII)。およそ1.2x10細胞を抗体の存在下(最終濃度範囲10μg/mL〜0.0006μg/mL(111nM〜0.0068nM))、氷上で2時間インキュベーションした。FACScalibur(Becton Dickinson)を用いたフローサイトメトリーによって、分析前に細胞を洗浄した。1つはA26Fab’−PEGを用いて、そして二番目は非特異的結合対照としてgA33Fab’−PEGを用いて、2つの滴定曲線を産生した。線形回帰分析を用いて、非特異的結合を減じ、そしてこうして生成した特異的結合曲線を非線形回帰(Graphpad Prism(登録商標))によって分析して、Kを決定した。
【0201】
実施例3b:リガンド遮断能
フローサイトメトリーに基づくリガンド遮断アッセイを用いて、細胞表面で発現されたOX40および組換えOX40L間の相互作用をA26Fab’−PEGが遮断する能力を測定した。簡潔には、活性化されたヒトCD4OX40 T細胞を、A26Fab’−PEGの滴定とプレインキュベーションした。続いて組換えOX40Lを細胞に添加し、そしてA26Fab’−PEGの存在下で結合を可能にした。次いで、標識二次試薬を用いたフローサイトメトリーによって、結合したOX40Lの比率を検出した。図4は、代表的な阻害曲線を示し、そしてA26Fab’−PEGが、OX40L結合を完全に遮断可能であることを立証する。組換えOX40L結合阻害の平均IC50は4.1nMであった(n=2ドナー)。
【0202】
方法:A26Fab’−PEGによる、ヒト活性化CD4OX40 T細胞へのOX40L結合の阻害。Ficoll勾配上の分離によってPBMCを単離し、そして1μg/mL PHA−Lで、37℃、5%CO、100%湿度で3日間活性化した。2.5x10細胞を抗体の存在下(最終濃度範囲20μg/mL〜0.0003μg/mL(229nM〜0.0035nM))、氷上で10分間インキュベーションした。OX40L(ビオチン化CD252 muCD8、Ancell)を最終濃度2μg/mLで添加し、そして氷上でさらに30分間インキュベーションした。細胞を洗浄し、そしてFACScalibur(Becton Dickinson)を用いたフローサイトメトリーによる分析の前に、PE標識ストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)とのインキュベーションによって、OX40L結合を検出した。gA33 Fab’−PEGを非特異的対照として用いた。非線形回帰(Graphpad Prism(登録商標))によって阻害曲線を分析して、IC50を決定した。示すデータは、2人のうち、1人の代表的なドナー由来である。
【0203】
実施例4:ヒト機能アッセイにおけるA26Fab’−PEGの強度
細胞相互作用中の内因性OX40−OX40L結合を遮断する際の強度を評価するため、抗原が駆動するヒトT細胞反応の範囲内で、A26Fab’−PEGを試験した。
【0204】
実施例4a:混合リンパ球反応
1964年に最初に開発された(Bachら, 1964, Science 143, 813−814)同種混合リンパ球反応(MLR)は、2人の関連しないドナー由来の全末梢血単核球(PBMC)を用いた、同種反応性T細胞活性化および増殖のin vitroモデルである(O’Flahertyら, 2000, Immunology, 100, 289−299)。関連しないドナーの刺激因子PBMC上の同種主要組織適合複合体(MHC)抗原の認識を通じて、ドナーT細胞を活性化して、細胞増殖およびサイトカイン産生を生じる(Lukacsら, 1993, Am J Pathology, 143, 1179−1188)。Tリンパ球同種反応は、同種MHC抗原および結合したペプチドの両方によって駆動されることが示されてきており(Shermanら, 1993, Annu. Rev. Immunol, 11, 385−402)、MLR反応が刺激因子である同種MHC抗原および結合したペプチドの両方に対するものでありうることが示唆されてきている。MLR反応の度合いは、反応因子−刺激因子対間のMHCミスマッチの度合いと相関する(Forresterら, 2004, Corneal Transplantation: An Immunological Guide to the Clinical Problem, Imperial College Press, 66−67)。MLR反応は、反応中のドナーからの細胞の増殖、ならびにT1(IL−2、IFN−γおよびTNF−α)およびT2(IL−4、IL−5、IL−10およびIL−13)両方のT細胞由来サイトカインの産生を生じる。MLRにおける正確なサイトカインプロフィールは、反応因子−刺激因子対に特異的であると考えられる(Jordanら, 2002, J. Immunol. Methods, 260, 1−14)。MLRアッセイは、T細胞活性化経路を研究し、そして免疫抑制薬剤をスクリーニングする研究において、そして後天性免疫不全症候群(AIDS)患者における免疫機能を評価し、そして移植レシピエントにおいてありうるドナー臓器拒絶を予測する臨床設定において広く用いられてきている(Bromelowら, 2001, J. Immunol. Methods, 247, 1−8)。
【0205】
本質的にO’Flahertyら、2000によって記載されるようなMLRアッセイを用いて、in vitroヒト同種反応性T細胞活性化および増殖に対するA26Fab’−PEGの影響を調べた。2人の関連しないドナー由来のPBMCを、A26Fab’−PEGの存在下および非存在下で同時培養し、そしてH−チミジン取り込みによって、細胞増殖を測定した。図5に示すように、A26Fab’−PEGは、用量依存方式でT細胞増殖を阻害し、IC50値は2.149nM(0.1877μg/mL)であり、そして最大阻害は57%であった。中規模発見(MSD)ヒト・サイトカインアッセイにおいてヒトMLR由来の上清を分析して、サイトカイン産生に対するA26Fab’−PEGの影響を調べた。A26Fab’−PEG化は、MLRにおいて、IFN−γ(55%阻害)、IL−13(50%阻害)およびIL−5(80%阻害)の産生を部分的に阻害した。
【0206】
方法:A26Fab’−PEGによる、ヒト同種一方向全PBMC MLR増殖反応の阻害。2人の関連しないドナー由来のヒトPBMCを全血から単離した。一方のドナー由来の細胞をγ照射によって不活性化して、刺激因子集団を生成した。残ったドナー由来の細胞は反応因子集団を形成した。刺激因子および反応因子集団を1:1の比(1x10細胞/ドナー)で混合し、そしてA26Fab’−PEG(1ng〜100μg/mL)の存在下で6日間培養した。A33Fab’−PEG(社内試薬)を対照試薬として利用した。第6日、H−チミジン取り込み(0.5μCi/ウェル)によって細胞増殖を測定した。データを、生物学的試薬の非存在下での反応因子+刺激因子反応と比較した阻害パーセントとして示し、そしてこれは、10人の異なるドナー対からの組み合わせデータ(平均±SEM)であった。Graphpad Prism(登録商標)ソフトウェアを用いてIC50値を計算した。結果を図5に示す。
【0207】
実施例4b:破傷風トキソイド反応
破傷風トキソイド(TT)は、ワクチン接種された個体において、強いT細胞特異的免疫反応を誘導する。in vitroで、増殖およびPBMCからのサイトカイン産生(T1およびT2)を監視することによって、TT曝露に対する抗原特異的リコール反応を検出してもよい(Bishopら、2005)。A26Fab’−PEGは、用量依存方式で、増殖、ならびにIL−5、IL−13、IFN−γおよびTNF−α産生を阻害し(データ未提示)、増殖最大阻害は38%に達した。2人のドナーに関して計算した、増殖阻害に関するIC50値は、0.58nM(0.051μg/mL)および1.11nM(0.097μg/mL)であった。図6は、1人のドナーに関するA26Fab’−PEG増殖阻害曲線を示す。
【0208】
方法:A26Fab’−PEGは、破傷風トキソイドに曝露されたPBMCの増殖を阻害する。
Ficoll勾配上での分離によってPBMCを単離し、そして96ウェル丸底プレート中、ウェルあたり200μLの最終体積中で、A26Fab’−PEGの存在下(濃度範囲5μg/mL〜0.001μg/mL)、1μg/mL破傷風トキソイド(Calbiochem)に曝露した。37℃、5%CO、100%湿度で5日間インキュベーションした後、活発に分裂している細胞へのHチミジン(0.5μCi/ウェル)の取り込みによって、細胞増殖を測定した。単一の代表的なドナーからの結果を提示する。Graphpad Prism(登録商標)ソフトウェアを用いてIC50値を計算した。
【0209】
実施例4c:イエダニ(house dust mite)反応
ヤケヒョウヒダニ属由来の種を含むイエダニなどの吸入抗原によって、重度急性喘息が誘発されうる(Tillie−Leblondら, 2005, Allergy, 60, (1), 23−29)。こうしたアレルゲンは、アトピー患者において、末梢血細胞による増殖反応およびT2に偏ったサイトカイン産生を誘導するが、非アトピー患者では誘導しない(Lingら, 2004, Lancet, 363, 608−615)。in vitroアッセイをセットアップして、抗原曝露に反応したT2サイトカインIL−13の産生に対するOX40遮断の影響を決定した。3〜5の間のアレルゲン特異的IgE(RAST)スコア(スケール0〜6)を持つアトピー患者からPBMCを採取し、そしてA26Fab’−PEGまたは対照抗体の存在下で、ヤケヒョウヒダニ抗原で刺激した。A26Fab’−PEGは、最大60%までIL−13産生を阻害し、IC50値は1.23nMであった(図7)。さらに、A26Fab’−PEGはまた、このアッセイにおいて、サイトカインIL−4、IL−5およびTNF−α産生も強力に阻害し、一方、制御サイトカイン、IL−10のレベルを増進した(図8)。
【0210】
方法 図7:A26Fab’−PEGは、ヤケヒョウヒダニ・アレルギー性抽出物に曝露されたPBMCからのIL−13産生を阻害する。Ficoll勾配上での分離によって、アレルギーを有する志願者からPBMCを単離した。精製PBMCを、96ウェル丸底プレート中、ウェルあたり200μLの最終体積中で、試験抗体の存在下(濃度範囲10μg/mL〜0.0005μg/mL)、25μg/mLのヤケヒョウヒダニ・アレルゲン性抽出物(Greer)に曝露した。37℃、5%CO、100%湿度で6日間インキュベーションした後、上清を採取し、そしてELISA(Biosource)によってIL−13含量に関してアッセイした。グラフは、3人のドナー由来のプールしたデータに相当する(平均±SEM)。Graphpad Prism(登録商標)ソフトウェアを用いて、IC50値を計算した。
【0211】
方法 図8:A26Fab’−PEGは、ヤケヒョウヒダニ・アレルゲン性抽出物に曝露されたPBMCからのサイトカイン産生を調節する。Ficoll勾配上での分離によって、アレルギーを有する志願者からPBMCを単離した。精製PBMCを、96ウェル丸底プレート中、ウェルあたり200μLの最終体積中で、10μg/mLのA26Fab’−PEG(114nM)または対照(TN3 Fab’−PEG)の存在下、25μg/mLのヤケヒョウヒダニ・アレルゲン性抽出物(Greer)に曝露した。37℃、5%CO、100%湿度で6日間インキュベーションした後、上清を採取し、そしてマルチスポットアッセイ(MSD)を用いて、サイトカイン含量に関してアッセイした。グラフは、3人のドナー由来のプールしたデータに相当する(平均±SEM)。
【0212】
要約
ヒト機能アッセイにおけるA26Fab’−PEGに関するIC50値を表2に要約する。A26Fab−PEGの強度は、3つのアッセイすべてに渡って類似であり、そして1.106nMである細胞に基づくアフィニティ測定値とよく相関する。これらのアッセイにおいて、細胞増殖および/または多数の炎症性サイトカインの産生のいずれかが有意に抑制され、A26Fab’−PEGがT細胞活性化を大規模に阻害することが立証される。破傷風トキソイドおよびイエダニアッセイは、どちらも、メモリーT細胞によるリコール反応を測定し、A26Fab’−PEGが多様な抗原に対する確立されたT細胞反応を阻害可能であることを示す。
【0213】
表2 ヒト機能in vitroアッセイにおけるA26Fab’−PEGに関する平均IC50
【0214】
【表2】

【0215】
イエダニ抗原に対するアトピー性メモリーT2反応は、アレルギー性喘息に関して適切なin vitroアッセイを提供し、そしてこのデータは、A26Fab’−PEGがこの徴候において有効な療法となりうることを示唆する。OX40同時刺激は、以前、肺炎症と結びつけられてきており、ここで、アレルゲン特異的未処理CD4 T細胞の炎症性T2細胞への分化およびメモリーT2細胞のリコール反応の両方において、非常に重要な役割を果たすことが示唆された(Wang & Liu, 2007, J. Clin. Invest, 117(12), 3655−3657)。アレルギー性炎症中、ストレスを受けた上皮細胞によって産生される生得的サイトカイン胸腺間質リンホポエチン(lyphopoietin)(TSLP)は、ヒト樹状細胞の成熟を駆動し、そしてOX40Lの発現を誘導する。OX40Lは、TNF−αが増進するがIL−10産生がない炎症性表現型を伴う、CD4T細胞のT2極性化を促進するよう機能する(Itoら, 2005, J. Exp. Med, 202(9), 1213−1223)。HDM反応において、A26Fab’−PEGは、古典的T2サイトカイン、IL−13、IL−5およびIL−4ならびにTNF−αを強力に阻害する。さらに、4人のアレルギーを有するドナーのうち、2人において、A26Fab’−PEGはIL−10産生を増進した。したがって、A26Fab’−PEGは、アレルギー反応を阻害するだけでなく、これらを制御表現型に向けるように調節する能力も有しうる。
【0216】
実施例5:
Hu−SCIDモデルにおいて、A26Fab’−PEGは、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖を阻害する。
【0217】
Hu−SCIDモデルは、ヒトPBMCでのSCIDマウスの再構成を伴い、これは次いで、宿主マウスに対する強い異種反応を誘発する。この反応は、マウスにおけるヒトT細胞の増殖によって追跡される。A26Fab’−PEGのPKに対して実験的に決定されたデータを用いて、8、23および34μg/mlのA26Fab’−PEGの定常状態血漿濃度を生じる投薬措置を設計した。図9のデータは、CD4 T細胞およびCD8 T細胞が、8、23および34μg/mlのA26Fab’−PEGの定常状態血漿レベルを維持することによって、非常に阻害されることを示す。
【0218】
方法:A26Fab’−PEGは、Hu−SCIDモデルにおいて、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞増殖を阻害する。
マウスに第2日、0.825、2.475または8.25mg/kgのs.c.装填用量を、そして次いで、それぞれ、0.25、0.75または2.5mg/kgのs.c.維持用量を毎日投与した。第0日に腹腔内に800万のヒトPBMCをトランスファーする前日、TMβ1を投薬することによって、マウスのNK細胞を枯渇させる。次いで、実験を第14日に終結させ、そして血液、腹腔洗浄液および脾臓ホモジネートを、CD4細胞およびCD8細胞に関して分析する。第14日、頸椎脱臼によってマウスを屠殺し、そして心臓穿刺によって出血させた。次いで、FACS分析によって、ヒトCD4細胞およびCD8細胞数を測定した。データ(n=10)を平均±SEMで表す。A26Fab’−PEG投与後の血中のCD4細胞およびCD8細胞の減少を図9に示す。
【0219】
実施例6:非ヒト霊長類OX40とA26Fab’−PEGの交差反応性
非ヒト霊長類(NHP)疾患モデルおよび前臨床毒性学におけるA26Fab’−PEGの使用を検証するため、ヒトおよびNHP細胞上で、相対的アフィニティおよび機能的強度を比較した。
NHP細胞上の細胞に基づくアフィニティ
カニクイザル(cynomolgus)またはアカゲザルCD4 T細胞を末梢血から単離し、そして活性化して高レベルのOX40を発現させた。図3に示すような平衡結合曲線の非線形回帰分析によって、A26Fab’−PEGのアフィニティを測定した。A26Fab’−PEGは、ヒトに比較した際、カニクイザルまたはアカゲザルCD4 T細胞に関してアフィニティの2倍未満の低下を示し、非常に交差反応性であることが示された(表3)。
【0220】
表3 ヒトおよびNHP細胞上のA26Fab’−PEGの細胞に基づくアフィニティの比較
【0221】
【表3】

【0222】
NHP PBMCをLympholyte(VH Bio)勾配上で分離し、1μg/mL PHA−L、37℃、5%CO、100%湿度で3日間活性化し、そして磁気ビーズ(非ヒト霊長類用CD4 T細胞単離キットII; MiltenyiBiotec)を用いた陰性選択によって、CD4 T細胞を単離した。実施例3aに記載するようにアフィニティを測定した(図3)。
【0223】
実施例7:カニクイザルCIAモデルにおける有効性研究
研究および研究設計の原理
カニクイザル・コラーゲン誘導性関節炎は、ヒト実験の前に、潜在的な抗関節炎薬剤をプロファイリングするのに用いられる、標準モデルである。ここでは、このモデルは、TNFαおよびIL−6に対して向けられる治療に反応する。これらのデータは、同等の抗ヒト療法を用いた臨床的RA知見と一致する。
【0224】
カニクイザルにおける関節炎の誘導には、3週間の期間をおいたコラーゲンIIでの2回の免疫工程が必要である。関節炎症状(1以上の関節の腫脹および圧痛)は、第二の免疫後のいかなる時点で明らかになる可能性もあり、そしてこれを、関節炎スコアを用いて毎週評価した。実験は全部で11週間行った。OX40は共刺激分子であり、そしてしたがって、機能障害は、モデルの免疫期に影響を有すると予期される。A26Fab’−PEGでの3回の投薬措置を評価した。1つの群には、第一の免疫の前日にのみ一度、A26Fab’−PEG(100mg/kg)を投与した。第二の群には、第二の免疫の前日にのみ一度、A26Fab’−PEG(100mg/kg)を投与し、そして第三の群には、第一および第二の免疫の前日に、A26Fab’−PEG(100mg/kg)を投与した。動物の対照群には、酢酸緩衝液ビヒクルを投与した。ビヒクル処置群での疾患開始を、急性期タンパク質であるC反応性タンパク質(CRP)およびハプトグロビン(RA試験において臨床的に測定されるバイオマーカー)の血清上昇によって特徴付けた。関節完全性をx線によってそして組織学的検査によって評価した。
【0225】
結果および結論
第一の免疫前日に、A26Fab’−PEGで処置した動物において、関節炎重症度は、一般的に、ビヒクル処置群におけるより低かった。関節炎スコアにおけるこれらの相違は、第49日、63日および76日で統計的に有意であった。図10は、臨床スコアに関する曲線下面積として示される、個々の動物に関するデータの全体の要約を示す。関節に対する骨浸食のX線評価もまた減少し(表4)、組織病理学的変化も同様であった(図11)。CRPおよびハプトグロビンの濃度は、対照群におけるより低くなる傾向があった。第一の免疫の前日、および第二の免疫の前日に、A26Fab’−PEGを投与した動物群に関して、類似の結果を得た。しかし、第二の免疫前日にのみ一度、A26Fab’−PEGを投与された動物では、説得力がある関節炎効果はなかった。これらのデータは、カニクイザルCIAにおける抗OX40治療の抗関節炎効果を示し、そして病原性免疫反応開始に対するOX40の重要性を立証する。
【0226】
図10:カニクイザルCIAにおけるA26Fab’−PEGによる関節炎スコアの阻害。データは、第一および第二の免疫前に酢酸緩衝液を投与した対照動物(Ac Ac)、第一の免疫前にA26Fab’−PEGを投与した動物(A26 Ac)、第二の免疫前にA26Fab’−PEGを投与した動物(Ac A26)、ならびに第一および第二の免疫前にA26Fab’−PEGを投与した動物(A26 A26)に関する、個々の動物の臨床スコアデータの曲線下面積を示す。バーは中央値である。
【0227】
表4 骨浸食のx線スコアに対するA26Fab’−PEG治療の効果
【0228】
【表4】

【0229】
Ac Ac動物には酢酸緩衝液ビヒクルを投与し、A26 Ac動物には第一の免疫前にA26Fab’−PEGを投与し、Ac A26動物には第二の免疫前にA26Fab’−PEGを投与し、そしてA26 A26動物には第一および第二の免疫前にA26Fab’−PEGを投与した。平均±s.e.m.、p<0.05、**p<0.01ウィルコクソン検定。
【0230】
方法 図11:A26Fab’−PEGによるカニクイザルCIAにおける総組織学的スコアの減少。データは、研究終了時の個々の動物に関する総組織学的スコア(軟骨および骨の変性、線維症、肉芽組織および過形成を取り込む)を示す。Ac Ac動物には酢酸緩衝液ビヒクルを投与し、A26 Ac動物には第一の免疫前にA26Fab’−PEGを投与し、Ac A26動物には第二の免疫前にA26Fab’−PEGを投与し、そしてA26 A26動物には第一および第二の免疫前にA26Fab’−PEGを投与した。バーは中央値である。
【0231】
本発明は例示のためのみに記載されてきており、いかなる点でも限定を意味せず、そして詳細の修飾は、以下の請求項の範囲内で行われうることが、もちろん理解されるであろう。本発明の各態様の好ましい特徴は、変更すべきところを変更して、他の態様各々に関する好ましい特徴でもある。限定されるわけではないが、本明細書に引用される特許および特許出願を含むすべての刊行物は、各個々の刊行物が、具体的に、そして個々に、完全に示されるかのように本明細書に援用されると示されるかのように、本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖を含む、ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体であって、重鎖可変ドメインが、CDR−H1に関して配列番号1に提供する配列を有するCDR、CDR−H2に関して配列番号2または配列番号20に提供する配列を有するCDR、およびCDR−H3に関して配列番号3に提供する配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、前記抗体。
【請求項2】
重鎖可変ドメインが、CDR−H1に関して配列番号1に提供する配列、CDR−H2に関して配列番号2または配列番号20に提供する配列、およびCDR−H3に関して配列番号3に提供する配列を含む、請求項1記載のアンタゴニスト性抗体。
【請求項3】
軽鎖を含む、ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体であって、軽鎖可変ドメインが、CDR−L1に関して配列番号4または配列番号21に提供する配列を有するCDR、CDR−L2に関して配列番号5に提供する配列を有するCDR、およびCDR−L3に関して配列番号6に提供する配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、前記抗体。
【請求項4】
さらに軽鎖を含む、請求項1または請求項2記載のアンタゴニスト性抗体であって、軽鎖可変ドメインが、CDR−L1に関して配列番号4または配列番号21に提供する配列を有するCDR、CDR−L2に関して配列番号5に提供する配列を有するCDR、およびCDR−L3に関して配列番号6に提供する配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、前記抗体。
【請求項5】
軽鎖可変ドメインが、CDR−L1に関して配列番号4または配列番号21に提供する配列、CDR−L2に関して配列番号5に提供する配列、およびCDR−L3に関して配列番号6に提供する配列を含む、請求項3または請求項4記載のアンタゴニスト性抗体。
【請求項6】
ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体であって、重鎖可変ドメインが3つのCDRを含み、そしてCDR−H1の配列が配列番号1に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有し、CDR−H2の配列が配列番号2に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有し、そしてCDR−H3の配列が配列番号3に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する、前記抗体。
【請求項7】
さらに軽鎖を含む、請求項6記載のアンタゴニスト性抗体であって、軽鎖可変ドメインが3つのCDRを含み、そしてCDR−L1の配列が配列番号4に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有し、CDR−L2の配列が配列番号5に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有し、そしてCDR−L3の配列が配列番号6に提供する配列に少なくとも60%の同一性または類似性を有する、前記抗体。
【請求項8】
重鎖が配列番号9に提供する配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項9】
軽鎖が配列番号7に提供する配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項10】
抗体分子が:全長重鎖および軽鎖を有する完全抗体分子あるいはその断片、例えばFab、修飾Fab’、Fab’、F(ab’)、Fv、VH、VLまたはscFv断片からなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか一項記載の中和抗体分子。
【請求項11】
配列番号9に提供する配列を含む重鎖および配列番号7に提供する配列を含む軽鎖を有する、ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体。
【請求項12】
軽鎖可変ドメインが請求項11の抗体の軽鎖可変ドメインに少なくとも80%の同一性または類似性を有する配列を含み、そして重鎖可変ドメインが請求項11の抗体の重鎖可変ドメインに少なくとも80%の同一性または類似性を有する配列を含む、ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体。
【請求項13】
配列番号15に提供する配列を含む重鎖および配列番号11に提供する配列を含む軽鎖を有する、ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体。
【請求項14】
重鎖および軽鎖が、請求項13の抗体の対応する重鎖および軽鎖に少なくとも80%同一または類似である、ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体。
【請求項15】
エフェクターまたはレポーター分子が付着するのを可能にするように修飾されている、請求項1〜14のいずれか一項記載のアンタゴニスト性抗体分子。
【請求項16】
修飾が、エフェクターまたはレポーター分子の付着を可能にするような、重鎖C末端への1以上のアミノ酸の付加である、請求項15記載のアンタゴニスト性抗体分子。
【請求項17】
さらなるアミノ酸が、エフェクターまたはレポーター分子が付着可能な1つまたは2つのシステイン残基を含有する修飾ヒンジ領域を形成する、請求項16のアンタゴニスト性抗体分子。
【請求項18】
エフェクターまたはレポーター分子が付着している、請求項1〜17のいずれか一項記載のアンタゴニスト性抗体分子。
【請求項19】
エフェクター分子が1以上のポリマーを含む、請求項18記載のアンタゴニスト性抗体分子。
【請求項20】
1以上のポリマーが、場合によって置換された直鎖または分枝鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレンまたはポリオキシアルキレンポリマー、あるいは分枝または非分枝多糖である、請求項19記載のアンタゴニスト性抗体分子。
【請求項21】
1以上のポリマーがメトキシポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレングリコール)である、請求項20記載のアンタゴニスト性抗体分子。
【請求項22】
重鎖のC末端のシステイン残基の1つに付着したリジルマレイミドまたはリジルビスマレイミド基を有する請求項21記載のアンタゴニスト性抗体分子であって、リジル残基の各アミノ基に、約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)残基が共有結合している、前記抗体分子。
【請求項23】
ヒトOX40に特異性を有するアンタゴニスト性抗体分子であって、配列番号15に提供する配列を含む重鎖および配列番号11に提供する配列を含む軽鎖を有し、そして重鎖の226位のシステインにリジルマレイミド基が付着し、リジル残基の各アミノ基に、約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)残基が共有結合している、前記抗体分子。
【請求項24】
単離ヒトOX40(例えばヒト細胞外ドメイン)に対して、100pMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する、アンタゴニスト性抗体。
【請求項25】
細胞表面で発現されたヒトOX40に対して、2nMまたはそれより優れた結合アフィニティを有する、アンタゴニスト性抗体。
【請求項26】
請求項11の抗体と同じエピトープに結合する、ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体。
【請求項27】
ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性抗体であって、単離ヒトOX40(例えばヒト細胞外ドメイン)に対して、100pMまたはそれより優れた結合アフィニティを有し、そしてヒトOX40への請求項11の抗体の結合を交差遮断するか、または請求項11の抗体によってヒトOX40への該抗体の結合が交差遮断される、前記抗体。
【請求項28】
ヒトOX40に結合するアンタゴニスト性中和抗体であって、5nM未満の濃度で、ヒトOX40L(2μg/MLの最終濃度)の活性を50%阻害可能であり、前記阻害活性が、CD4+OX40+ T細胞表面上で発現されるOX40へのOX40L結合に関して測定されている、前記抗体。
【請求項29】
請求項11の抗体が結合するヒトOX40上のエピトープ。
【請求項30】
請求項1〜28のいずれか一項記載の抗体の重鎖(単数または複数)および/または軽鎖(単数または複数)をコードする単離DNA配列。
【請求項31】
請求項30記載の1以上のDNA配列を含む、クローニングまたは発現ベクター。
【請求項32】
配列番号14および配列番号18に提供する配列を含む、請求項31記載のベクター。
【請求項33】
配列番号19に提供する配列を含む、請求項31記載のベクター。
【請求項34】
請求項31または請求項32または請求項33に記載される1以上のクローニングまたは発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項35】
請求項34の宿主細胞を培養し、そして抗体を単離する工程を含む、請求項1〜28のいずれか一項の抗体を産生するための方法。
【請求項36】
薬学的に許容されうる賦形剤、希釈剤またはキャリアーの1以上と組み合わされた、請求項1〜28のいずれか一項記載の抗体を含む、薬学的組成物。
【請求項37】
他の活性成分をさらに含む、請求項36記載の薬学的組成物。
【請求項38】
OX40によって仲介されるか、またはOX40レベルの増加と関連する病理学的障害の治療または予防において使用するための、請求項1〜28のいずれか一項記載の抗体、あるいは請求項36または請求項37記載の薬学的組成物。
【請求項39】
OX40によって仲介されるか、またはOX40レベルの増加と関連する病理学的障害の治療または予防のための薬剤製造における、請求項1〜28のいずれか一項記載の抗体の使用。

【図1−A】
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【図1−B】
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【図1−C】
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【図1−D】
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【図1−E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−521191(P2012−521191A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551173(P2011−551173)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/024377
【国際公開番号】WO2010/096418
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(507364540)ユーシービー ファーマ ソシエテ アノニム (3)
【Fターム(参考)】