説明

ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体及びそれを製造するためのプロセス

ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体及びそれを製造するためのプロセスが提供される。より特には、非天然起源ヒドロキシルポリマー繊維を含むヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体が提供され、繊維性構造体は、20μmを超え500μmまでの範囲の細孔の、3.75mmVg乾燥繊維性構造体質量を超える全細孔容積を示し、及び/又はヒドロキシルポリマー繊維及び固体添加物を含む繊維性構造体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体及びそれを製造するためのプロセスに関する。より特には、本発明は、非天然起源ヒドロキシルポリマー繊維を含むヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体に関し、繊維性構造体は、本明細書に記載される細孔容積分布試験方法(Pore Volume Distribution Test Method)により決定されたとき、20μmを超え500μmまでの範囲の細孔の、3.75mm3/mg乾燥繊維性構造体質量を超える全細孔容積を示し、並びに/又はヒドロキシルポリマー繊維及び固体添加物を含む繊維性構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体は、当該技術分野において既知である。しかしながら、こうした繊維性構造体は、水のような液体に曝されたとき崩壊する(即ち、繊維性構造体の平面に対して垂直なZ方向のキャリパーが減少する)(及び「大きくなる」、即ちZ方向のキャリパーが増加することが全くない)傾向がある。
【0003】
それ故に、液体に曝されたときのこうした崩壊を回避する又は低減するヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体及びそれを製造するためのプロセスへの要求が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、繊維性構造体が液体に曝されるときに繊維性構造体の崩壊を回避する若しくは減らす及び/又は繊維性構造体が液体に曝されるときに大きくなる1つ以上の部分を増やす若しくは有するヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体及びそれを製造するためのプロセスを提供することにより、上記の要求を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施例では、非天然起源の多糖類繊維及び複数個の固体添加物を有する繊維性構造体が提供される。1つの実施例では、こうした繊維性構造体は、本明細書に記載される細孔容積分布試験方法(Pore Volume Distribution Test Method)により決定されたとき、20μmを超え500μmまでの範囲の細孔の、3.75を超える、及び/又は3.81を超える、及び/又は3.87を超える、及び/又は3.90を超える、及び/又は3.96を超える、及び/又は4.00mm3/mg乾燥繊維性構造体質量を超える全細孔容積を示す。
【0006】
本発明の1つの実施例では、非天然起源ヒドロキシルポリマー繊維を含む繊維性構造体が提供され、繊維性構造体は、本明細書に記載される細孔容積分布試験方法(Pore Volume Distribution Test Method)により決定されたとき、20μmを超え500μmまでの範囲の細孔の、3.75を超える、及び/又は3.81を超える、及び/又は3.87を超える、及び/又は3.90を超える、及び/又は3.96を超える、及び/又は4.00mm3/mg乾燥繊維性構造体質量を超える全細孔容積を示す。
【0007】
本発明の別の実施例では、非天然起源ヒドロキシルポリマー繊維及び固体添加物を含む繊維性構造体が提供される。
【0008】
本発明の更に別の実施例では、本発明による繊維性構造体を含む単プライ又は多プライの衛生ティッシュ製品が提供される。
【0009】
本発明の更に別の実施例では、繊維性構造体を製造するためのプロセスが提供され、このプロセスは、
a.複数個の非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維を含む繊維性構造体を提供する工程、及び
b.固体添加物が繊維性構造体の表面の全表面積より少ない面積を被覆するように、複数個の固体添加物により繊維性構造体の表面に接触する工程を含む。
【0010】
本発明のなお更に別の実施例では、繊維性構造体を製造するためのプロセスが提供され、このプロセスは、
a.複数個の非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維を含む第1ガス流を提供する工程、
b.複数個の固体添加物を含む第2ガス流を提供する工程、及び
c.非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維及び固体添加物を収集装置上に、繊維性構造体が形成されるように収集する工程を含む。
【0011】
本発明のなお更に別の実施例では、非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維及び固体添加物を含む繊維性構造体が提供され、非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維は、絶乾重量で固体添加物を超える重量で繊維性構造体中に存在する。
【0012】
本発明のなお更に別の実施例では、繊維性構造体は、複数個の非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維及び細孔容積増加システムを含み、これは繊維性構造体の20μmを超え500μmまでの範囲の細孔の乾燥繊維性構造体質量当たりの全細孔容積を、細孔容積増加システムのない同じ繊維性構造体と比較して増加させる。1つの実施例では、細孔容積増加システムは、固体添加物を含んでもよい。
【0013】
本発明のなお更にまた別の実施例では、繊維性構造体は、複数個の非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維を含み、繊維性構造体の少なくとも一部分は繊維性構造体の別の部分より、両方の部分が水性液体(例えば水)のような液体に曝された後に高く隆起したまま残る。
【0014】
本発明のなお更に別の実施例では、繊維性構造体は、複数個の非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維を含み、繊維性構造体の少なくとも一部分は、水性液体(例えば水)のような液体に曝された後で高さを示し、それは水性液体(例えば水)のような液体に曝される前のその高さより高い。
【0015】
それ故に、本発明は、非天然起源ヒドロキシルポリマー繊維を含む繊維性構造体(繊維性構造体は、本明細書に記載される細孔容積分布試験方法(Pore Volume Distribution Test Method)により決定されたとき、20μmを超え500μmまでの範囲の細孔の、3.75mm3/mg乾燥繊維性構造体質量を超える全細孔容積を示す)、非天然起源ヒドロキシルポリマー繊維及び固体添加物を含む繊維性構造体、細孔容積増加システムを含む繊維性構造体、こうした繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品、及びこうした繊維性構造体を製造するためのプロセスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
定義
「非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維」及び/又は「非天然起源材料」に関して本明細書で使用するとき、「非天然起源」は、そのヒドロキシルポリマー繊維及び/又は材料がその形態では天然には見出せないことを意味する。換言すれば、非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維及び/又は非天然起源材料を得るためには、材料の何らかの化学処理が生じる必要がある。例えば、木材パルプ繊維は天然起源のヒドロキシルポリマー繊維であるが、しかしながら木材パルプ繊維が、例えばリオセルのタイプの処理を介するなど、化学処理される場合、ヒドロキシルポリマーの溶液が形成される。ヒドロキシルポリマーの溶液は次に繊維に紡がれてもよい。それ故に、この繊維はその存在する形態が天然から直接得られないために、非天然起源のヒドロキシルポリマー繊維であると見なされる。
【0017】
本明細書で使用するとき、「天然起源」は、材料がその存在する形態で天然に見出されることを意味する。天然起源材料の例は、木材パルプ繊維である。
【0018】
本明細書で使用するとき、「繊維性構造体」は、少なくとも1つの繊維を含む単一ウェブ構造体を意味する。例えば、本発明の繊維性構造体は、1つ以上の繊維を含んでもよく、その際繊維の内の少なくとも1つがヒドロキシルポリマー繊維を含む。別の例では、本発明の繊維性構造体は、複数個の繊維を含んでもよく、その際繊維の内の少なくとも1つ(時には大多数、更にはすべて)がヒドロキシルポリマー繊維を含む。本発明の繊維性構造体は、繊維性構造体の1つの層が同じ繊維性構造体の別の層とは異なる繊維及び/又は材料の組成を含んでいてもよいように、層化されていてもよい。
【0019】
本明細書で使用するとき、「繊維性構造体の表面」は、外部環境に暴露されている繊維性構造体の部分を意味する。換言すれば、繊維性構造体の表面は、繊維性構造体の他の部分により完全に取り囲まれていない繊維性構造体の部分である。
【0020】
本明細書で使用するとき、「ヒドロキシルポリマー」は、本発明の繊維性構造体の中に、例えば繊維の形態で繊維性構造体の中に組み込まれ得るいずれのヒドロキシル含有ポリマーも包含する。
【0021】
1つの実施例では、本発明のヒドロキシルポリマーは、10重量%を超える、及び/又は20重量%を超える、及び/又は25重量%を超えるヒドロキシル部分を包含する。
【0022】
本発明によるヒドロキシルポリマーの非限定例には、ポリオール類、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体類、ポリビニルアルコールコポリマー類、デンプン、デンプン誘導体類、デンプンコポリマー類、キトサン、キトサン誘導体類、キトサンコポリマー類、セルロース、セルロース誘導体類、例えば、セルロースエーテル及びエステル誘導体類、セルロースコポリマー類、ゴム類、アラビナン類、ガラクタン類、タンパク質類及び他の様々な多糖類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
ヒドロキシルポリマーの部類は、ヒドロキシルポリマー主鎖によって定義される。例えば、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体類及びポリビニルアルコールコポリマー類は、ポリビニルアルコールヒドロキシルポリマー類の部類であり、一方デンプン及びデンプン誘導体類は、デンプンヒドロキシルポリマー類の部類である。
【0024】
ヒドロキシルポリマーは、約10,000〜約40,000,000g/molの重量平均分子量を有してもよい。より高い及びより低い分子量のヒドロキシルポリマーが、例示された重量平均分子量を有するヒドロキシルポリマーと組み合わせて使用されてもよい。
【0025】
天然デンプン類のようなヒドロキシルポリマーの周知の修飾としては、化学修飾及び/又は酵素修飾が挙げられる。例えば、天然デンプンは、酸希釈(acid-thinned)、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、及び/又は酸化されることができる。加えて、ヒドロキシルポリマーは、デントコーンデンプンヒドロキシルポリマーを含んでもよい。
【0026】
本明細書のポリビニルアルコールは、その特性を改善するために他のモノマーによりグラフトされることができる。広範なモノマーが、ポリビニルアルコールに成功裡にグラフトされてきた。そのようなモノマーの非限定例としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、1,3−ブタジエン、メチルメタクリレート、メタクリル酸、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルアミン、及び多様なアクリレートエステル類が挙げられる。
【0027】
本明細書で使用するとき、「多糖類」は、天然多糖類、及び多糖類誘導体又は修飾多糖類を意味する。適した多糖類としては、デンプン類、デンプン誘導体類、キトサン、キトサン誘導体類、セルロース誘導体類、ゴム類、アラビナン類、ガラクタン類、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用するとき、「繊維」は、長軸に垂直な繊維の2つの互いに直行する軸と比べ、非常に長い長軸を有する細長くて薄い高可撓性物を意味する。好ましくは、長軸に垂直な繊維の断面の等価直径に対するその長軸の長さの縦横比は、100/Lを超え、より具体的には500/Lを超え、及びなおより具体的には1000/Lを超え、及び更により具体的には5000/Lを超える。
【0029】
本発明の繊維は、連続していても又は実質的に連続していてもよい。繊維が及び/又は繊維性構造体及び/又はそれから製造された衛生ティッシュ製品の縦方向の長さの100%まで伸びる場合、繊維は連続している。1つの実施例では、繊維が繊維性構造体及び/又はそれから製造された衛生ティッシュ製品の縦方向の長さの約30%を超え、及び/又は約50%を超え、及び/又は約70%を超えて伸びる場合、繊維は実質的に連続している。別の実施例では、本発明による連続した又は実質的に連続した繊維は、3.81cm(1.5インチ)を超える長さを示してもよい。
【0030】
繊維は、本明細書に記載された繊維直径試験方法(Fiber Diameter Test Method)により決定されたとき、約50ミクロン未満、及び/又は約20ミクロン未満、及び/又は約10ミクロン未満、及び/又は約8ミクロン未満、及び/又は約6ミクロン未満の繊維直径を有することができる。
【0031】
繊維には、メルトスパン繊維、乾式スパン繊維、並びに/又はスパンボンド繊維、短繊維、中空繊維、成形繊維、例えば多角断面繊維、及び多成分繊維、特に2成分繊維を挙げてもよい。多成分繊維、特に2成分繊維は、サイド・バイ・サイド、シース・コア、分割パイ、リボン、海島型構成、又はこれらの組み合わせであってもよい。シースはコアの周囲で連続あっても非連続であってもよい。シースとコアとの重量比は、約5:95〜約95:5であることができる。本発明の繊維は、円形、楕円形、星形、方形、三つに分かれた形、及び他の様々な偏心を包含する異なる形状を有してもよい。
【0032】
使用されるとき、「衛生ティッシュ製品」には、排尿及び排便後の清浄のための拭取り用具(トイレットペーパー)、耳鼻咽喉科学的な分泌物のための拭取り用具(ティッシュペーパー)、並びに多機能吸収体、清浄用途(吸収性タオル)、拭き取り用品、女性用ケア製品、及びおむつが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の衛生ティッシュ製品は、本発明による少なくとも1つの繊維性構造体を含む。1つの実施例では、本発明による繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、少なくとも約3.1g/cm(8g/インチ)、及び/又は少なくとも約3.9g/cm(10g/インチ)、及び/又は少なくとも約5.9g/cm(15g/インチ)、及び/又は少なくとも約7.9g/cm(20g/インチ)、及び/又は少なくとも約15.7g/cm(40g/インチ)の初期全湿潤引張(initial total wet tensile)を示す。
【0034】
別の実施例では、本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、本明細書に記載される、初期全湿潤引張試験方法(Initial Total Wet Tensile Test Method)により測定されたとき、約196.9g/cm(500g/インチ)未満、及び/又は約157.5g/cm(400g/インチ)未満、及び/又は約118.1g/cm(300g/インチ)未満、及び/又は約78.7g/cm(200g/インチ)未満、及び/又は約59.1g/cm(150g/インチ)未満、及び/又は約47.2g/cm(120g/インチ)未満、及び/又は約39.4g/cm(100g/インチ)未満の初期全湿潤引張(initial total wet tensile)を示す。
【0035】
更に別の実施例では、本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約3.1g/cm(8g/インチ)〜約196.9g/cm(500g/インチ)、及び/又は約15.7g/cm(40g/インチ)〜約196.9g/cm(500g/インチ)、及び/又は約23.6g/cm(60g/インチ)〜約196.9g/cm(500g/インチ)、及び/又は約25.6g/cm(65g/インチ)〜約177.2g/cm(450g/インチ)、及び/又は約27.6g/cm(70g/インチ)〜約157.5g/cm(400g/インチ)、及び/又は約29.5g/cm(75g/インチ)〜約157.5g/cm(400g/インチ)、及び/又は約31.5g/cm(80g/インチ)〜約118.1g/cm(300g/インチ)、及び/又は約31.5g/cm(80g/インチ)〜約78.7g/cm(200g/インチ)、及び/又は約31.5g/cm(80g/インチ)〜約59.1g/cm(150g/インチ)、及び/又は約31.5g/cm(80g/インチ)〜約47.2g/cm(120g/インチ)、及び/又は約31.5g/cm(80g/インチ)〜約39.4g/cm(100g/インチ)の初期全湿潤引張(initial total wet tensile)を示してもよい。
【0036】
1つの実施例では、本発明による繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、少なくとも約27.6g/cm(70g/インチ)、及び/又は少なくとも約39.4g/cm(100g/インチ)、及び/又は少なくとも約118.1g/cm(300g/インチ)、及び/又は少なくとも約196.9g/cm(500g/インチ)、及び/又は少なくとも約275.6g/cm(700g/インチ)、及び/又は少なくとも約314.9g/cm(800g/インチ)、及び/又は少なくとも約354.3g/cm(900g/インチ)、及び/又は少なくとも約393.7g/cm(1000g/インチ)の最小全乾燥引張(minimum total dry tensile)を示す。
【0037】
別の実施例では、本発明による繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約1968.5g/cm(5000g/インチ)未満、及び/又は約1574.8g/cm(4000g/インチ)未満、及び/又は約787.4g/cm(2000g/インチ)未満、及び/又は約669.3g/cm(1700g/インチ)未満、及び/又は約590.6g/cm(1500g/インチ)未満の最大全乾燥引張(maximum total dry tensile)を示す。
【0038】
更に別の実施例では、本発明による繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約25未満、及び/又は20未満、及び/又は15未満、及び/又は10未満の湿潤リントスコアを示す。
【0039】
更に別の実施例では、本発明による衛生ティッシュ製品は、上記のような最小及び最大全乾燥引張値(total dry tensile value)の範囲内の全乾燥引張(total dry tensile)を示す。
【0040】
なお更に別の実施例では、本発明による繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約10未満、及び/又は約8未満、及び/又は約7未満、及び/又は約6未満、及び/又は約5.5未満の乾燥リントスコアを示す。
【0041】
衛生ティッシュ製品に加えて、本発明の繊維性構造体は、当該技術分野において既知の幾つもの様々な他の用途に活用されてもよい。例えば、幾つかの実施例では、繊維性構造体は、包装材料、創傷包帯などとして活用されてもよい。
【0042】
本明細書で使用するとき、「プライ」又は「プライ類」は、他のプライと実質的に連続の向かい合わせの関係に任意に配置され、多プライ衛生ティッシュ製品を形成する単一繊維性構造体を意味する。単一繊維性構造体は、例えばそれ自体の上に折り畳むことによって、2「プライ」又は多「プライ」を有効に形成できることも意図される。プライ又はプライ類はまたフィルムとして存在することもできる。
【0043】
1つ以上の層が、単一プライの中に存在してもよい。例えば、異なる組成の2つ以上の層が単一プライを形成してもよい。換言すれば、2つ以上の層は、プライを実質的に損傷せずに互いに物理的に分離することが、実質的に又は完全にできない。
【0044】
本明細書で使用するとき、「重量平均分子量」は、コロイド及び界面A、物理化学及び工学の状況(Colloids and Surfaces A. Physico Chemical & Engineering Aspects)、162巻、2000、107〜121ページに見出されるプロトコルにしたがって、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して決定されたときの重量平均分子量を意味する。
【0045】
本明細書で使用するとき、「キャリパー」は、試料の巨視的な厚さを意味する。本発明による繊維性構造体の試料のキャリパーは、繊維性構造体の試料を、ロードフット搭載面よりもサイズが大きくなるように切断することによって決定され、この場合ロードフットの搭載面は約20.3cm2(3.14インチ2)の円の表面積を有する。試料を水平な平面とロードフット搭載面との間に押し込める。ロードフット搭載面は、1.45kPa(15.5g/cm2(約0.21psi))の封圧を試料に印加する。キャリパーは、平面とロードフット搭載面との間に結果として生じる隔たりである。このような測定は、ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)のスウィング・アルバート・インストルメント社(Thwing‐Albert Instrument Company)から入手可能なVIR電子厚さ試験機モデルII(VIR Electronic Thickness Tester Model II)上で得ることができる。平均キャリパーを計算できるように、キャリパー測定を少なくとも五(5)回繰り返し及び記録する。
【0046】
本明細書で使用するとき、「添加物」は、繊維性構造体の中に及び/又は上に低濃度で存在する物質を意味する。例えば、添加物は、繊維性構造体の中に及び/又は上に、繊維性構造体の50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満、及び/又は30重量%未満、及び/又は20重量%未満、及び/又は10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は0.5重量%未満から約0重量%までの濃度で存在する物質である。
【0047】
本明細書で使用するとき、「固体添加物」は、繊維性構造体の表面に固体形態で適用されることができる添加物を意味する。換言すれば、本発明の固体添加物は、液相の存在なしに、即ち固体添加物を融解せずに及び固体添加物を液体溶媒又は担体中に懸濁せずに繊維性構造体の表面に直接送達されることができる。そのようなものとして、本発明の固体添加物は、繊維性構造体の表面に送達されるために、液体状態又は液体溶媒若しくは担体を必要としない。本発明の固体添加物は、ガス又はガスの組み合わせを介して送達されてもよい。本発明の目的において、繊維性構造体を生産するために使用される繊維のスラリー中への液体及び/又は固体の添加物の送達は、この語句に包含されない。しかしながら、こうした添加物は、完成した繊維性構造体の中に、完成した繊維性構造体がまた固体添加物を本明細書で定義されたように含む限り、存在してもよい。更に、ラテックスエマルションのような液体の媒体を介して繊維性構造体に送達された液体及び/又は固体の添加物は完成した繊維性構造体の中に、完成した繊維性構造体がまた固体添加物を本明細書で定義されたように含む限り存在してもよい。更に、ホットメルト接着剤のような溶融を介して繊維性構造体に送達された液体及び/又は固体の添加物は完成した繊維性構造体の中に、完成した繊維性構造体がまた固体添加物を本明細書で定義されたように含む限り存在してもよい。1つの実施例では、簡単に言うと、固体添加物は、容器内に設置されたときに容器の形状を取らない添加物である。
【0048】
適した固体添加物の非限定例には、親水性無機粒子、親水性有機粒子、疎水性無機粒子、疎水性有機粒子、天然起源繊維、非天然起源粒子及び他の非天然起源繊維が挙げられる。
【0049】
1つの実施例では、天然起源繊維は、木材パルプ繊維類、トリコーム類、種子毛類、タンパク質繊維類、例えば絹及び/若しくは羊毛、並びに/又は綿リンターを含んでもよい。
【0050】
別の実施例では、他の非天然起源繊維は、ポリオレフィン繊維類及び/又はポリアミド繊維類を含んでもよい。
【0051】
別の実施例では、親水性無機粒子は、粘土、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ三水和物、活性炭、硫酸カルシウム、ガラス微小球、珪藻土及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0052】
1つの実施例では、本発明の親水性有機粒子は、その表面が親水性材料により処理された疎水性粒子を包含してもよい。疎水性材料を親水性材料により表面処理するための適したプロセスの記載は、米国特許第4,139,660号に記載されている。こうした親水性有機粒子の非限定例には、ポリエステル、例えば汚れ放出ポリマー及び/又は界面活性剤により表面処理されたポリエチレンテレフタレート粒子が挙げられる。別の実施例は、界面活性剤により表面処理されたポリオレフィン粒子である。
【0053】
別の実施例では、親水性有機粒子は、吸収性ゲル材料(AGM)、例えばヒドロゲル、超吸収性材料、ヒドロコロイド材料及びこれらの混合物を含んでもよい。1つの実施例では、親水性有機粒子はポリアクリレートを含む。適した親水性有機粒子の他の非限定例は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第5,428,076号は、本発明に適した親水性有機粒子の多数の例を記載している。
【0054】
別の実施例では、親水性有機粒子は、高分子量デンプン粒子(高アミロース含有デンプン粒子)、例えばナショナル・スターチ(National Starch)から入手可能なハイロン7(Hylon 7)を含んでもよい。
【0055】
別の実施例では、親水性有機粒子は、セルロース粒子を含んでもよい。
【0056】
別の実施例では、親水性有機粒子は、圧縮セルローススポンジ粒子を含んでもよい。圧縮セルローススポンジ粒子を含む繊維性構造体は、水性液体(例えば水)のような液体に接触した後、それらの常態の2倍を超えて、及び/又は3倍を超えて、及び/又は4倍を超えて膨張する場合がある。
【0057】
本発明による固体添加物の1つの実施例では、固体添加物は、ASTM D2578により測定されたとき、約0.0003N/cm(30ダイン/cm)を超える、及び/又は約0.00035N/cm(35ダイン/cm)を超える、及び/又は約0.0004N/cm(40ダイン/cm)を超える、及び/又は約0.0005N/cm(50ダイン/cm)を超える、及び/又は約0.0006N/cm(60ダイン/cm)を超える表面張力を示す。
【0058】
本発明の固体添加物は、円形、楕円形、星形、方形、三つに分かれた形及び他の様々な偏心を包含する異なる幾何学的形及び/又は断面積を有してもよい。
【0059】
1つの実施例では、固体添加物は、その最大寸法において6mm未満、及び/又は5.5mm未満、及び/又は5mm未満、及び/又は4.5mm未満、及び/又は4mm未満、及び/又は2mm未満の粒径を示してもよい。
【0060】
本明細書で使用するとき、「粒子」は、約25/1未満、及び/又は約15/1未満、及び/又は約10/1未満、及び/又は5/1未満から約1/1までの縦横比を有する物体を意味する。粒子は、本明細書で定義されるような繊維ではない。
【0061】
ヒドロキシルポリマー繊維
本発明のヒドロキシルポリマー繊維は、1つ以上のポリマーを含んでもよい。1つの実施例では、ヒドロキシルポリマー繊維は、第1ポリマー及び第2ポリマーを含み、その際2つのポリマーの内の1つは本質的に熱可塑性であり、したがって、そのTgより高い温度に曝されるとき、可塑剤の必要なしに融解及び/又は流動する。他方のポリマーは、そのTgより高い温度に曝されるとき、融解及び/又は流動できるように可塑剤、例えば水、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール類、エチレングリコール、ポリエチレングリコールのようなポリオール、尿素、スクロース、及びエステル、並びにこれらの組み合わせを必要としてもよい(即ち、熱可塑化可能ポリマー)。1つの実施例では、第1ポリマー及び第2ポリマーは、ヒドロキシルポリマーである。別の実施例では、第1ポリマー及び第2ポリマーは、デンプンヒドロキシルポリマー及びポリビニルアルコールヒドロキシルポリマーのようにヒドロキシルポリマーの異なる部類である。ヒドロキシルポリマー繊維のポリマーは、それら自体に対して及び/又は互いに対して、架橋システムを介して架橋可能であってもよい。
【0062】
本発明のヒドロキシルポリマー繊維は、ポリマー組成物をポリマー加工、例えばメルトブロー、スパンボンディング、及び/又は回転紡績することにより製造することができる。
【0063】
ポリマー組成物
本発明のポリマー組成物は、3000秒-1の剪断速度及び加工温度(50℃〜100℃)で測定されたとき、約1パスカル・秒〜約25パスカル・秒、及び/又は約2パスカル・秒〜約20パスカル・秒、及び/又は約3パスカル・秒〜約10パスカル・秒の剪断粘度を有してもよい。
【0064】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物から繊維を製造するとき、約50℃〜約100℃、及び/又は約65℃〜約95℃、及び/又は約70℃〜約90℃の温度を有してもよい。
【0065】
ポリマー組成物のpHは、約2.5〜約9、及び/又は約3〜約8.5、及び/又は約3.2〜約8、及び/又は約3.2〜約7.5であってもよい。
【0066】
1つの実施例では、本発明のポリマー組成物は、ポリマー組成物の約30重量%、及び/又は40重量、及び/又は45重量、及び/又は50重量%から約75重量%、及び/又は80重量%、及び/又は85重量%、及び/又は90重量%、及び/又は95重量%、及び/又は99.5重量%までのヒドロキシルポリマーを含んでもよい。ヒドロキシルポリマーは架橋の前に、約100,000g/モルを超える重量平均分子量を有してもよい。
【0067】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物がヒドロキシルポリマー繊維に有効にポリマー加工され得るように、少なくとも1、及び/又は少なくとも3、及び/又は少なくとも5の毛管数を示してもよい。
【0068】
毛管数は、この液滴の破断の可能性を特徴付けるために使用される無次元数である。大きい毛管数は、ダイを出る際の流体安定性がより大きいことを示す。毛管数は以下のように定義される。
【0069】
【数1】

Vはダイ出口での流体速度(時間当たりの長さの単位)であり、
ηはダイの状態での流体粘度(長さ*時間当たりの質量の単位)であり、
σは流体の表面張力(時間2当たりの質量の単位)である。速度、粘度及び表面張力が一連の一貫した単位で表されるとき、結果として得られる毛管数はそれ自身の単位を持たず、個々の単位は相殺される。
【0070】
毛管数はダイの出口での状態に対して定義される。流体速度は、ダイ開口部を通過する流体の平均速度である。平均速度は以下のように定義される。
【0071】
【数2】

Vol’=体積流量(時間当たりの長さ3の単位)であり、
面積=ダイ出口の断面積(長さ2の単位)である。
【0072】
ダイ開口部が円形の穴である場合、流体速度は以下のように定義されることができる
【0073】
【数3】

Rは円形の穴の半径(長さの単位)である。
【0074】
流体粘度は温度に依存し、及び剪断速度に依存する場合がある。ずり減粘流体の定義は、剪断速度への依存を包含する。表面張力は、流体の構成及び流体の温度に依存する。
【0075】
紡糸プロセスでは、ダイを出るときにフィラメントは初期安定性を有する必要がある。毛管数は、この初期安定性基準を特徴付けるために使用される。ダイの状態では、毛管数は1を超える、及び/又は4を超える必要がある。
【0076】
1つの実施例では、ポリマー組成物は、少なくとも1から約50まで、及び/又は少なくとも3から約50まで、及び/又は少なくとも5から約30までの毛管数を示す。更に、ポリマー組成物は、少なくとも約4から約12まで、及び/又は少なくとも約4.5から約11.5まで、及び/又は少なくとも約4.5から約11までのpHを示してもよい。
【0077】
架橋剤を含む架橋システムは、ポリマー組成物中に存在してもよく、及び/又はポリマー組成物のポリマー加工の前にポリマー組成物に加えられてもよい。更に、架橋システムは、ポリマー組成物のポリマー加工の後に、ヒドロキシルポリマー繊維に加えられてもよい。本明細書で使用するとき、「架橋剤」は、本発明によるポリマー組成物内のヒドロキシルポリマーを架橋することができる、いずれの物質をも意味する。
【0078】
適した架橋剤の非限定例としては、ポリカルボン酸、イミダゾリジノン、及び尿素とグリオキサールのアルキル置換又は非置換環状付加物から生じる他の化合物、チオ尿素、グアニジン、メチレンジアミド、及びメチレンジカルバメートとこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
ヒドロキシルポリマーを架橋する際に、以下の略図に示されたように、架橋剤はヒドロキシルポリマーを架橋した結果として、ヒドロキシルポリマー繊維の一体化部分となる。
【0080】
ヒドロキシルポリマー−架橋剤−ヒドロキシルポリマー
別の実施例では、本発明の架橋システムは、既存のヒドロキシルポリマー繊維に、コーティング及び/又は表面処理として適用されてもよい。
【0081】
ポリマー組成物は、a)ポリマー組成物の約30重量%、及び/又は40重量%、及び/又は45重量%、及び/又は50重量%から約75重量%、及び/又は80重量%、及び/又は85重量%、及び/又は90重量%、及び/又は99.5重量%までの1つ以上のヒドロキシルポリマー、b)ポリマー組成物の約0.1重量%〜約10%の架橋剤を含む架橋剤システム、並びにc)ポリマー組成物の約0重量%、及び/又は10重量%、及び/又は15重量%、及び/又は20重量%から約50重量%、及び/又は55重量%、及び/又は60重量%、及び/又は70重量%までの外部可塑剤、例えば水を含んでもよい。
【0082】
ポリマー組成物は、2つ以上の異なる部類のヒドロキシルポリマーを、約20:1から、及び/又は約15:1から、及び/又は約10:1から、及び/又は約5:1から、及び/又は約2:1から、及び/又は約1:1から約1:20まで、及び/又は約1:15まで、及び/又は約1:10まで、及び/又は約1:5まで、及び/又は約1:2まで、及び/又は約1:1までの重量比で含んでもよい。
【0083】
1つの実施例では、ポリマー組成物は、約0.01重量%〜約20重量%、及び/又は約0.1重量%〜約15重量%、及び/又は約1重量%〜約12重量%、及び/又は約2重量%〜約10重量%の第1部類のヒドロキシルポリマー、例えばポリビニルアルコールヒドロキシルポリマー、並びに約20重量%〜約99.99重量%、及び/又は約25重量%〜約95重量%、及び/又は約30重量%〜約90重量%、及び/又は約40重量%〜約70重量%の第2部類のヒドロキシルポリマー、例えばデンプンヒドロキシルポリマーを含む。
【0084】
ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体を製造するためのプロセス
ポリマー組成物を生産し、及び/又はポリマー組成物をポリマー加工し、及び/又は本発明のヒドロキシルポリマー繊維を生産するために、当業者に既知のいずれの適したプロセスも使用できる。こうしたプロセスの非限定例は、EP1035239、EP1132427、EP1217106、EP1217107、PCT国際公開特許WO03/066942、及び米国特許第5,342,225号の公開された出願に記載されている。
【0085】
a.ポリマー組成物の製造
1つの実施例では、本発明によるポリマー組成物は、第1部類のポリマー及び第2部類のポリマーを含む。第1部類のポリマーは、これはこの実施例では、乾燥重量比約50:50の2つの異なるデンプンを含み、酸希釈デントコーンデンプンヒドロキシルポリマー(例えば、エクリプス(Eclipse)(登録商標)G−A.E.ステーリー(A.E. Staley)から市販されている)、及びエトキシル化コーンデンプンヒドロキシルポリマー(例えば、エチレックス(Ethylex)(登録商標)2035−A.E.ステーリー(A.E. Stale)から市販されている)を含み、並びに第2部類のポリマーは、ポリビニルアルコールヒドロキシルポリマー(例えば、セルボル(Celvol)(登録商標)310−セラネーゼ(Celanese)から市販されている)を含む。ヒドロキシルポリマーに加えて、ポリマー組成物はアルカリ化剤(例えば、水酸化ナトリウム)、カチオン性剤(例えば、アーカード(Arquad)(登録商標)12−37−アクゾ・ノベル(Akzo Nobel)から市販されている)、本明細書に記載されたような架橋剤を含む架橋システム、及び架橋促進剤(例えば、塩化アンモニウム)を含む。更に、ポリマー組成物は、可塑剤(例えば水)を含む。十分な量の水がポリマー組成物に、ポリマー組成物が少なくとも1の毛管数を示すように加えられる。
【0086】
本発明のポリマー組成物は、ベント付2軸スクリュー押出成形機のようなスクリュー押出成形機を使用して調製されてもよい。
【0087】
APVベイカー(APV Baker)(英国ピーターボロー(Peterborough))2軸スクリュー押出成形機のバレル10が、図1Aに概略的に示されている。バレル10は8つの領域に分かれており、領域1〜8として識別される。バレル10は図1Bに概略的に示されている押出スクリュー及び混合要素を取り囲んでおり、押出成形プロセスの間、収容容器としての役割を果たす。固体供給ポート12が領域1内に配置され、液体供給ポート14が領域1内に配置されている。押出成形機から出る前に液体、例えば、水、混合物の内容物を冷却し及び減少させるために、ベント16が領域7内に包含されている。ポリマー組成物がベント16を通って流出するのを防ぐために、APVベイカー(APV Baker)から市販されている任意のベント用詰め物を採用することができる。バレル10を通るポリマー組成物の流れは領域1から始まり、領域8においてバレル10を出る。
【0088】
2軸スクリュー押出成形機のためのスクリュー及び混合要素の構成は図1Bに概略的に示されている。2軸スクリュー押出成形機は、直列に設置された複数個のツインリードスクリュー(TLS)(A及びBで示されている)及びシングルリードスクリュー(SLS)(C及びDで示されている)を含む。スクリュー要素(A〜D)は連続リードの数及びこれらのリードのピッチにより特徴付けられる。
【0089】
リードはスクリュー要素の芯に巻きつく(所与のねじれ角における)フライトである。リードの数はそのスクリューの長さに沿ったいずれかの所与の位置において芯に巻きついているフライトの数を示す。リードの数が増すと、スクリューの容積が減少し、スクリューの能力を生じさせる圧力が増大する。
【0090】
スクリューのピッチは、フライトが芯の1回の回転を完了するために必要な距離である。それは、フライトの1回の完全な回転当たりのスクリュー要素の直径の数として表される。スクリューのピッチが減少すると、スクリューによって生ずる圧力が増大し、スクリューの容積が減少する。
【0091】
スクリュー要素の長さは、その要素の長さをその要素の直径で割った比として記録される。
【0092】
この実施例はTLS及びSLSを使用している。スクリュー要素Aはピッチ1.0及び長さ比1.5のTLSである。スクリュー要素Bはピッチ1.0及びL/D比1.0のTLSである。スクリュー要素Cはピッチ1/4及び長さ比1.0のSLSである。スクリュー要素Dはピッチ1/4及び長さ比1/2のSLSである。
【0093】
混合要素として機能する双葉パドル(Bilobal paddles)Eもまた、混合を強化するためにSLS及びTLSスクリュー要素と直列に包含される。流量及び対応する混合時間を制御するために、様々な形状の双葉パドル及び反転要素F(反対方向へとねじ込まれるシングル及びツインリードスクリュー)が使用される。
【0094】
領域1では、第1ヒドロキシルポリマー(例えばデントコーンデンプン)及び/又は第1ヒドロキシルポリマー組成物(例えばデントコーンデンプン及びエトキシル化デンプン)が、固体供給ポートの中に、183g/分の速度でK−トロン(K‐Tron)(ニュージャージー州ピットマン(Pitman))ロスインウエイト式フィーダーを使用して供給される。第2ヒドロキシルポリマー及び/又は第2ヒドロキシルポリマー組成物は、同じポートの中に、第2K−トロン(K‐Tron)フィーダーを介して38g/分の速度で供給される。
【0095】
任意に、第2ヒドロキシルポリマー及び/又は第2ヒドロキシルポリマー組成物は、別個に調製され、及び水系のポリマー組成物として、次の手順にしたがって加えられてもよい。第2ヒドロキシルポリマー及び/又は第2ヒドロキシルポリマー組成物は、擦過(scraped)壁反応槽(英国ドールトン(Dalton)のケムプラント・ステンレス・ホールディングス社(Chemplant Stainless Holdings Ltd.))の中で調製される。反応槽は、オイルジャケットを通じて加熱することができ、高温での水分の損失を防ぐために加圧されてもよい。外部可塑剤である水が槽の中に導入され、攪拌しながら第2ヒドロキシルポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)が加えられ、任意に別のヒドロキシルポリマー(例えば、エトキシル化デンプン)もまたこの工程中に加えられてもよい。界面活性剤又はアルカリ性物質、例えば水酸化ナトリウム/水酸化アンモニウムのような追加的構成成分が加えられてもよい。反応槽の添加物ポートは次に閉じられ、封止され、0.14MPa(20psi)まで加圧される。反応槽は次に攪拌しながらおよそ1時間約110℃まで加熱され、次いで供給ラインを通ってB9000ポンプまで、前述のように、押出成形機の領域1の中への定量供給のために加圧供給される。全ポリマー添加を約220g/分まで及び水を約136g/分までに保つために供給速度に対して調整が行なわれる。
【0096】
第1ヒドロキシルポリマー及び/又は第1ヒドロキシルポリマー組成物、並びに第2ヒドロキシルポリマー及び/又は第2ヒドロキシルポリマー組成物が、ミルトン・ロイ(Milton Roy)(ペンシルベニア州アイビーランド(Ivyland))ダイヤフラムポンプ(1時間当たり1.9ガロンのポンプヘッド)を使用して液体供給のところで136g/分の速度で加えられる水、外部可塑剤と、押出成形機(領域1)内部で組み合わされて第3のヒドロキシルポリマー組成物を形成する。第3のヒドロキシルポリマー組成物は次に押出成形機のバレルまで搬送され、並びにアルカリ化剤、例えば水酸化アンモニウム及び/又は水酸化ナトリウムの存在下で加熱される。(グリセリンのような外部可塑剤の導入)加熱は、1つ以上のヒドロキシルポリマー上の少なくとも1つのヒドロキシル部分からの水素を、このヒドロキシル部分の酸素原子から解離させ、ひいては前のヒドロキシル部分の酸素原子上に負電荷を作り出す。ここで酸素原子は、第四級アンモニウム化合物、例えば四級アミンのようなカチオン性剤などの置換剤による置換に対して開放される。
【0097】
表1は、押出成形機の各領域の温度、圧力、及び対応する機能を記載する。
【0098】
【表1】

第3ヒドロキシルポリマー組成物が押出成形機を出た後、ポリマー組成物の一部は廃棄されることができ、他の部分(100g)が、ゼニス(Zenith)(登録商標)、PEPII型(ノースカロライナ州サンフォード(Sanford))の中に供給され、SMX式スタティックミキサー(コーク・グリッチ(Koch‐Glitsch)、イリノイ州ウッドリッジ(Woodridge))の中に投入されることができる。スタティックミキサーは、架橋剤、架橋促進剤、水のような外部可塑剤などの追加的添加剤を第3ヒドロキシルポリマー組成物と組み合わせるために使用される。これらの添加剤は、PREP100HPLCポンプ(クロム・テック(Chrom Tech)、ミネソタ州アップルバレー(Apple Valley))を介してスタティックミキサーの中に投入される。これらのポンプは高圧低容積添加能力を提供する。本発明の第3ヒドロキシルポリマー組成物は少なくとも1の毛管数を示し、したがってヒドロキシルポリマー繊維にポリマー加工される用意ができている。
【0099】
b.ポリマー組成物のヒドロキシルポリマー繊維へのポリマー加工
次にヒドロキシルポリマー組成物は、ヒドロキシルポリマー繊維にポリマー加工される。ポリマー加工作業の非限定例には、押出成形、成形、及び/又は紡糸が挙げられる。押出成形及び成形(鋳造又はブローのいずれか)は典型的にはフィルム、シート及び様々な異型押出成形品を生産する。成形としては、射出成形、ブロー成形及び/又は圧縮成形を挙げてもよい。紡糸には、スパンボンディング、メルトブロー、連続繊維生産及び/又はトウ繊維生産を挙げてもよい。紡糸は、乾式紡糸であっても又は湿式紡糸であってもよい。
【0100】
c.ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体の形成
本発明によるポリマー組成物のポリマー加工の結果として生産されたヒドロキシルポリマー繊維は、複数個の繊維をベルト又は布地上に収集することによって、繊維性構造体に組み合わされてもよい。
【0101】
複数個の固体添加物は、ヒドロキシルポリマー繊維と、繊維がベルト又は布地のような収集装置上に付着されているときに、組み合わされてもよい。
【0102】
1つの実施例では、第1ガス流は複数個のヒドロキシルポリマー繊維を含んでもよく、第2ガス流は複数個の固体添加物を含んでもよい。2つのガス流は、固体添加物が、結果として生じる繊維性構造体内及び/又は上に同伴されるように、ヒドロキシルポリマー繊維及び固体添加物を収集装置上に付着する前及び/又はそれと同時に組み合わされてもよい。この種類のプロセスに使用するのに適した装置の例は、米国特許出願2003/0114067に記載されている。
【0103】
本発明の繊維性構造体は、次にウェブに後処理操作を受けさせることにより、後処理されてもよい。後処理操作の非限定例には、複数個の固体添加物による繊維性構造体への接触、硬化、エンボス加工、熱接着、加湿、穿孔(perfing)、カレンダー加工、印刷、差別緻密化(differential densifying)、タフト変形生成(tuft deformation generation)、及び他の既知の後処理操作が挙げられる。
【0104】
d.固体添加物による繊維性構造体表面への接触
固体添加物は繊維性構造体に、当該技術分野において既知のいずれの適した手段によって適用されてもよい。固体添加物が繊維性構造体に適用されるとき、固体添加物を含む繊維性構造体の表面が形成される。固体添加物が繊維性構造体に適用されてもよい非限定例は、デンマークのリスコフ(Risskov)のダン・ウェブ(Dan‐Web)から市販されるダン・ウェブ(Dan Web)形成機を使用することによるものであり、その例は米国特許第5,885,516号に記載されている。
【0105】
ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体
図2に示されたように、ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体20は、ヒドロキシルポリマー繊維22(複数個のヒドロキシルポリマー繊維22は、固体添加物がその上に付着されてもよい基礎基材を形成してもよい)、及び固体添加物24を含み、これは粒子及び/又は天然起源の繊維であってもよい。
【0106】
ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体20は、第1表面26、及び図3に示されたように第1表面26に相対する第2表面28を含んでもよい。固体添加物24は、繊維性構造体の表面、例えば第1表面26の上に存在してもよい。固体添加物24は、繊維性構造体の表面の全表面積より少ない面積を被覆してもよい。固体添加物24は、繊維性構造体の表面にランダムのパターンで存在してもよい。固体添加物24は、繊維性構造体の表面に非ランダムの繰り返しパターンで存在してもよい。
【0107】
説明及び/又は明確さのために、固体添加物24は、分散した性質で示されているが、しかしながらヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体20の第1表面26及び/又はヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体20の第2表面28上の固体添加物24の濃度は、第1表面26及び/又は第2表面28の全表面積又はほとんど全表面積が固体添加物24と接触していてもよいようなものであってもよい。
【0108】
図4及び5に示されたように、本発明の1つの実施例では、多層ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体30は、複数個のヒドロキシルポリマー繊維を含む第1層32、複数個の固体添加物を含む第2層34、及び複数個のヒドロキシルポリマー繊維を含む第3層36を含む。
【0109】
1つの実施例では、繊維性構造体30は、非天然起源ヒドロキシルポリマー繊維22の大多数を含む少なくとも1つの層及び固体添加物24の大多数を含む少なくとも1つの層を含んでもよい。
【0110】
別の実施例では、固体添加物24は、均一に又は実質的に均一に繊維性構造体の全域に分配されてもよい。
【0111】
更に別の実施例では、固体添加物24は、不均一に繊維性構造体の全域に分配されてもよい。
【0112】
図6は、本発明のヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体の更に別の実施例を図解している。ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体20は、ヒドロキシルポリマー繊維22及び複数個の固体添加物24を含む。図6に示されたように、複数個の固体添加物24は、非ランダムの、繰り返しパターンにおいて、ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体20の表面に配置される。固体添加物を非ランダムで、繰り返しパターンで付着させることは、当該技術分野において既知のいずれの適した手段によっても実現され得る。例えば、模様付きマスクがヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体上に設置され、マスクの空き区域のみによって固体添加物がヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体の表面と接触できるようにしてもよい。
【0113】
図7は、本発明のヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体のなお更に別の実施例を図解している。ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体20は、ヒドロキシルポリマー繊維22及び複数個の固体添加物24を含む。図7に示されたように、複数個の固体添加物24は、ランダムのパターンで、ヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体20の表面に配置される。
【0114】
1つの実施例では、本発明のヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体は、絶乾重量で40重量%を超える、及び/又は45%重量%を超える、及び/又は50重量%を超えるヒドロキシルポリマー繊維を含んでもよい。
【0115】
別の実施例では、本発明のヒドロキシルポリマー繊維の繊維性構造体は、絶乾重量で60重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は30重量%未満、及び/又は15重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は2重量%未満の固体添加物を含んでもよい。
【0116】
試験方法
指示がない限り、定義の欄で記載されたものを包含する本明細書に記載されたすべての試験及び次の試験方法は、試験前24時間、約23℃±2.2℃(73°F±4°F)の温度、及び50%±10%の相対湿度に調節された部屋で調整された試料に対して行われる。本明細書に記載されたように調整された試料は、本発明の目的上、乾燥試料(例えば「乾燥繊維性構造体」)であると見なされる。更に、すべての試験はこうした調節された部屋の中で行われる。試験される試料及びフェルトは、試験前24時間、約23℃±2.2℃(73°F±4°F)及び50%±10%の相対湿度に曝される必要がある。
【0117】
A.細孔容積分布試験方法
細孔容積分布測定は、TRI/オートポロシメータ(TRI/Autoporosimeter)(ニュージャージー州プリンストン(Princeton)のTRI/プリンストン社(TRI/Princeton Inc.))上で行なわれる。TRI/オートポロシメータ(TRI/Autoporosimeter)は、多孔質材料の細孔容積分布(例えば、有効孔半径1〜900μmの範囲内の異なるサイズの孔の容積)を測定するための自動コンピュータ制御機器である。無料配布の自動機器ソフトウェア、2000年1月配布、及びデータ処理ソフトウェア、2000年1月配布が、データの取り込み、分析及び出力のために使用される。TRI/オートポロシメータ(TRI/Autoporosimeter)についての更なる情報、その操作及びデータ処理については、本明細書に参考として組み込まれるコロイド及び界面科学誌(The Journal of Colloid and Interface Science)162巻(1994年)、163〜170ページに見出すことができる。
【0118】
この適用において使用されるとき、細孔容積分布の決定は、周囲の空気圧が変化するときに多孔質材料に入る又は出る液体の増加分を記録することを伴う。試験チャンバ中の試料は、精密制御された空気圧の変化に暴露される。液体を保持できる最大の孔のサイズ(半径)は、空気圧の関数である。空気圧が増加(減少)するにつれて、異なるサイズの孔グループが液体を排出(吸収)する。各グループの細孔容積は、相当する圧力で機器により測定されたときのこの液体の量と等しい。孔の有効半径は、次の関係により圧力差に関係する。
【0119】
圧力差=[(2)γcosθ]/有効半径
この場合、γ=液体表面張力であり、及びθ=接触角である。
【0120】
典型的には、孔には、多孔質材料中の空隙、穴又は溝のような用語が考えられる。この方法は、定数及び装置制御圧に基づいて有効孔半径を計算するために上記の方程式を使用するということに注意することは重要である。上記の方程式は、均一の円筒形の孔を仮定している。通常、自然の孔及び製造された多孔質材料は、完全には円筒形でないし、すべて均一でもない。そのため、ここで報告された有効半径は、顕微鏡使用などの他の方法により得られた空隙寸法の測定と完全に一致しない場合もある。しかしながら、これらの測定は、材料間の空隙構造の相対的な差を特徴付けるために許容できる手段を提供する。
【0121】
装置は、液体を吸収するため圧力を減少する(孔径を増加する)、又は液体を排出するため圧力を増加する(孔径を減少する)のいずれかにより、試験チャンバの空気圧をユーザー指定の増加分で変えることにより動作する。各圧力増加分での吸収(排出)液体容積は、先行する圧力設定と現在の設定との間のすべての孔のグループについての累積容積である。
【0122】
TRI/オートポロシメータ(TRI/Autoporosimeter)のこの適用では、液体は、蒸留水中のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(コネチカット州ダンベリー(Danbury)のユニオンカーバイド・ケミカル・アンド・プラスチックス社(Union Carbide Chemical and Plastics Co.)からのトリトンX−100(Triton X‐100))の0.2重量%溶液である。機器の計算定数は次のようである:ρ(密度)=1g/cm3、γ(表面張力)=3.1Pa(31ダイン/cm2)、cosθ=1。0.22μmミリポア・ガラス・フィルター(マサチューセッツ州ベッドフォード(Bedford)のミリポア社(Millipore Corporation)、カタログ番号GSWP09025)が、試験チャンバの多孔質プレート上に採用される。約24g重量のプレキシガラスプレート(機器と共に供給された)が試料上に、試料がミリポア・フィルター上に確実に平らに置かれるように設置される。追加のおもりは試料上に設置されない。
【0123】
残りのユーザー指定の入力は以下に記載される。この適用のための孔径(圧力)の順序は次のようである(μmによる有効孔半径):1、2.5、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900、800、700、600、500、450、400、350、300、275、250、225、200、180、160、140、120、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5、2.5、1、2.5、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900。この順序は、乾燥した試料を用いて開始し、それを孔の設定が増加するにつれて飽和し(第1吸収)、次いでその後1.0μmの有効孔半径を超えるすべての容積の試料を排出し(脱着)、次いで最後に孔の設定が増加するにつれて再びそれを飽和する(第2吸収)。平衡速度は、5mg/分に設定される。停止半径は指定されない。
【0124】
試験材料に加えて、ブランク条件(プレキシガラスプレートとミリポア・フィルターとの間に試料がない)が、チャンバ内のいずれかの表面及び/又は周辺効果を明らかにするために実行される。このブランクの実行で測定されたいずれの細孔容積も、試験試料の適応可能な孔のグループから引き算される。このデータ処理は、手動で又は利用可能なTRI/オートポロシメータ(TRI/Autoporosimeter)データ処理ソフトウェア、2000年1月配布を用いて達成されることができる。
【0125】
試験順序の第1吸収部分の吸収は、どのように乾燥繊維性構造体が濡れたフィルターに接触するかに基づいて変化し得るときもあるため(乾燥繊維性構造体の材質、エンボス加工などによって影響される)、湿潤繊維性構造体(ウェブ)崩壊に関しては、試験順序の第2吸収部分の特徴的な孔径分布が分析される。このように、試験順序の脱着部分の後、既に一度濡れた試料は、(湿潤時の、より低い繊維及び繊維性構造体(ウェブ)の弾性率のために)多孔質フィルターとより良好に水圧接触することが予測される。
【0126】
TRI/オートポロシメータ(TRI/Autoporosimeter)は、チャンバ圧力が所定の試験順序にしたがって段階的に変化させられたときの、各孔グループから吸収された/脱着された液体の重量(mg)を報告する。このデータ、液体密度、及び元の乾燥試料の重量から、細孔容積/試料重量の比が計算できる。この値は、mm3/mg乾燥試料質量として報告できる。同様に、指定された孔径範囲(例えば、20〜500μm)にわたる細孔容積/乾燥試料重量が、その範囲に包含される各孔設定の報告された細孔容積を単純加算し及び乾燥試料質量で割り算することによって計算できる。これらのデータ処理は、自動機器ソフトウェア、2000年1月配布、の出力に基づいて手動で行なわれる。
【0127】
B.繊維直径試験方法
適当な坪量(およそ5〜20g/平方メートル)のヒドロキシルポリマー繊維を含む繊維性構造体を、およそ20mm×35mmの方形に切断する。次に繊維を相対的に不透明にするために、SEMスパッターコーター(米国ペンシルバニア州、EMS社(EMS Inc))を使用して、試料を金でコーティングする。典型的なコーティングの厚さは50〜250nmである。次いで試料を2枚の標準顕微鏡スライドの間に載せて、小さなバインダークリップを使用して共に圧縮する。試料をオリンパス(Olympus)BHS顕微鏡で10X対物レンズを使用し顕微鏡光コリメータレンズ(light−collimating lens)をできるだけ対物レンズから遠ざけるように動かして画像化する。画像をニコン(Nikon)D1デジタルカメラを使用してとらえる。画像の空間距離を較正するためにガラス顕微鏡ミクロメーターを使用する。画像のおよその解像度は1μm/ピクセルである。画像は典型的には、繊維及び背景に対応する強度ヒストグラムにおいてはっきりした二峰性分布を示す。許容可能な二峰性分布を達成するために、カメラ調節又は異なる坪量が使用される。典型的には試料1つ当たり10枚の画像が撮られ、画像分析結果が平均される。
【0128】
画像は、B.ポアデイヒミ,R.(B. Pourdeyhimi, R.)及びR.デント(R. Dent)によって「不織布の繊維直径分布測定(Measuring fiber diameter distribution in nonwovens)」(織物研究誌(Textile Res. J.)69(4)233〜236、1999年)に記載されているものと同様の方式で分析される。MATLAB(バージョン6.3)及びMATLABイメージプロセッシングツールボックス(MATLAB Image Processing Tool Box)(バージョン3)を使用するコンピューターによって、デジタル画像が分析される。画像は最初にグレースケールに変換される。次いで画像を、閾値化された白黒ピクセルの種類内の相違を最小限にする閾値を使用して白黒ピクセルへと二値化する。画像は二値化されると、各繊維の中心が画像中に位置決めされるように画像は骨格化される。二値化された画像の距離の変換もまた計算される。骨格化された画像と距離地図のスカラ積が、ピクセル強度がゼロかその位置での繊維の半径かのいずれかである画像を提供する。2つの重なり合う繊維間の接合部の1つの半径内でのピクセルは、それらが示す距離がその接合部の半径よりも小さい場合は考慮されない。次いで残りのピクセルを使用して、画像中に含まれる繊維直径の長さ加重ヒストグラム(length−weighted histogram)を計算する。
【0129】
本発明の「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。
【0130】
本明細書に開示した寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりもむしろ、特に指定のない限り、こうした各寸法は、列挙した値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0131】
本発明の特定の実施形態/実施例を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行えることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1A】本発明で使用するのに適した二軸スクリュー押出機のバレルの側面図の略図。
【図1B】図1Aのバレルに使用するのに適したスクリュー及び混合要素の構成の概略的側面図。
【図2】本発明による繊維性構造体の1つの実施例の概略透視図。
【図3】図2の繊維性構造体の線3−3に沿って見た断面図。
【図4】層が見えるように表面を一部切りとった、本発明による多層繊維性構造体の実施例の1つの概略透視図。
【図5】図4の多層繊維性構造体の線5−5に沿って見た断面図。
【図6】本発明による繊維性構造体の別の実施例の概略透視図。
【図7】本発明による繊維性構造体の別の実施例の概略透視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の非天然起源の多糖類繊維及び複数個の固体添加物を含む繊維性構造体。
【請求項2】
前記繊維性構造体が、20μmを超え500μmまでの範囲の細孔の、3.75mm3/mg乾燥繊維性構造体質量を超える全細孔容積を示す、請求項1に記載の繊維性構造体。
【請求項3】
前記固体添加物が、前記繊維性構造体の少なくとも1つの表面に存在し、好ましくは前記固体添加物が、前記繊維性構造体の前記表面の全表面積より少ない面積を被覆し、及び/又は前記固体添加物が、前記繊維性構造体の前記表面にランダムのパターンで存在するか、若しくは前記固体添加物が、前記繊維性構造体の前記表面に非ランダムの繰り返しパターンで存在する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項4】
前記固体添加物が、前記繊維性構造体の全域に均一に分配されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項5】
前記固体添加物が、前記繊維性構造体の全域に不均一に分配されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項6】
前記固体添加物の少なくとも1つが、30ダイン/cmを超える臨界表面張力を示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項7】
前記固体添加物が、親水性無機粒子、親水性有機粒子、疎水性無機粒子、疎水性有機粒子、天然起源繊維、非天然起源粒子、他の非天然起源繊維及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは前記天然起源繊維が、木材パルプ繊維、綿リンター、タンパク質繊維及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは前記他の非天然起源繊維が、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは前記親水性無機粒子が、粘土、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ三水和物、活性炭、硫酸カルシウム、ガラス微小球、珪藻土及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項8】
前記繊維性構造体が、前記非天然起源の多糖類繊維の大多数を含む少なくとも1つの層と前記固体添加物の大多数を含む少なくとも1つの層とを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項9】
前記非天然起源の多糖類繊維が、デンプン、デンプン誘導体類、デンプンコポリマー類、キトサン、キトサン誘導体類、キトサンコポリマー類、セルロース、セルロース誘導体類、セルロースコポリマー類、ゴム類、アラビナン類、ガラクタン類、及びこれらの混合物からなる群から選択される多糖類を含み、好ましくは前記非天然起源の多糖類繊維が、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体類、ポリビニルアルコールコポリマー類、タンパク質類、及びこれらの混合物からなる群から選択されるヒドロキシルポリマーを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項10】
前記固体添加物の少なくとも1つが、最大寸法において6mm未満の粒径を示す、請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項11】
前記繊維性構造体が、絶乾重量で50重量%未満の前記固体添加物を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項12】
前記非天然起源の多糖類繊維が、絶乾重量で前記固体添加物を超える重量で存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の繊維性構造体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の繊維性構造体を有する、単プライ又は多プライの衛生ティッシュ製品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−511756(P2009−511756A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526606(P2008−526606)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052903
【国際公開番号】WO2007/023455
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】