説明

ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤からのクリーニング溶液の作製方法及びパッケージ化された高濃縮クリーニング剤

ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤から(例えば、希薄な)クリーニング溶液を作製する方法、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のパッケージ、及びヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を作製する方法が述べられている。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
一つの実施形態では、クリーニング溶液を作製する方法を述べる。この方法は、活性クリーニング成分及び水不溶性ポリマーと極性溶媒の均質な混合物を含む、ヒドロゲルの高濃縮クリーニング剤の塊を準備することと、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤をヒドロゲルの高濃縮クリーニング剤の塊の少なくとも10倍の量の水と組み合わせて、クリーニング溶液を形成することと、を含む。
【0002】
この方法は、通常、不溶性ポリマーをクリーニング溶液から分離することを更に含む。一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤及び水は容器中で組み合わされ、容器は不溶性ポリマーをクリーニング溶液から分離するための手段を含む。あるいは、又はそれに加えて、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、水透過性及び水不溶性の囲い(使い捨てのパウチ又は再充填可能なカートリッジなど)内に収容され、囲いが水と組み合わされる。このような例示の実施形態では、囲いは、クリーニング溶液からヒドロゲルの不溶性ポリマーを分離する手段を提供し得る。
【0003】
クリーニング溶液は、通常、15分未満で、好ましくは1分未満で、標的濃度(例えばすぐに使える)に達する。水は、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤と静的又は動的に組み合わせることができる。一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、クリーニング溶液から分離され、更なる水と再び組み合わされて、少なくとも1種の第2のクリーニング溶液を形成する。
【0004】
別の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のパッケージを述べる。パッケージは、水透過性の(及び好ましくは水不溶性の)囲いにより含有されるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊を含み、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、活性クリーニング成分及び、水不溶性ポリマーと極性溶媒の均質な混合物を含む。
【0005】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の活性クリーニング成分は、界面活性剤、酸、塩基、酵素及びこれらの混合物を含む。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、抗菌剤又は芳香剤などのいろいろな添加剤を更に含み得る。この方法又はパッケージのヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、一体型の塊として準備され得るが、通常、ビーズ、繊維、又は(例えば、破砕された)粒子などの複数のばらばらな自由流動性の小片として準備され得る。一部の実施形態では、この方法又はパッケージのヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、第1の活性クリーニング成分を含む第1のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊と、第1のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊と異なる活性クリーニング成分を含む第2のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊と、を含む。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊は、規定された量の水(例えば、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤と水を組み合わせる容器の容量など)に対して適当な量まで予め測定したものであり得る。一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、発泡剤と組み合わされる。
【0006】
別の実施形態では、ヒドロゲルビーズを作製する方法を述べる。この方法は、a)前駆体組成物の全重量を基準として10重量パーセント超の極性溶媒と、b)フリーラジカル重合が可能でありかつモノマー分子当たりのエチレン系不飽和基の平均数が少なくとも1.2である重合性材料であって、極性溶媒と混和性である重合性材料と、c)活性クリーニング成分と、を含む前駆体組成物であって、c)と組み合わせたa)が30mN/m以下の表面エネルギーを有する、前駆体組成物を準備することと、液滴が全体的に気相によって囲まれている、前駆体組成物の液滴を形成することと、重合性材料を少なくとも部分的に重合させて第1のヒドロゲル高濃縮ビーズを形成するのに十分な時間、液滴を放射線に曝露することと、を含む。この方法は、場合によっては、第1のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを乾燥させることと、乾燥させたビーズを(同一の又は異なる)活性クリーニング成分と組み合わせて、第2の膨潤したヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ(例えば、第1の膨潤したヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズよりも高濃度の活性クリーニング成分を有する)を形成することと、を更に含む。一部の実施形態では、重合性材料は、ポリ(アルキレンオキシド)単位を含む。重合性材料のポリ(アルキレンオキシド)単位は、好ましくは少なくとも5個のアルキレンオキシドサブ単位を有し、及び/又は2000g/モル以下の重量平均分子量を有する。
【0007】
これらの実施形態のそれぞれでは、ヒドロゲルの水不溶性ポリマーは、好ましくはフリーラジカル重合されたポリマーである。ヒドロゲル前駆体組成物は好ましくは光開始剤を更に含み、水不溶性ポリマーは好ましくは放射線硬化ポリマーである。水不溶性ポリマーは、好ましくはポリ(アルキレンオキシド)単位を含む。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、約25重量%〜70重量%の水不溶性ポリマー及び30重量%〜75重量%の極性溶媒を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ポリマービーズの形のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の実施形態の200倍の倍率の光学顕微鏡写真。
【図2】ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を含む容器と水分配システムとを包含する洗浄系の図。
【図3】囲い内に収容されたヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズのパッケージの実施形態。
【図4】スプレー瓶の軸に取り付けるためのスリーブを包含する、長い囲い内に収容されたヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズのパッケージの別の実施形態。
【図5】「ティーバッグ」形囲いのパッケージ内に収容された、円板形の異なるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の一体型の塊を含む、デュアル小室スプレー瓶の図。
【図6a】モップハンドルの中に挿入するのに好適な、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を収容した再充填可能なカートリッジパッケージの図。
【図6b】具体化されたモップの図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤から(例えば、希薄な)クリーニング溶液を作製する方法、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のパッケージ、及びヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を作製する方法を述べる。
【0010】
クリーニング溶液を作製する方法は、一般に、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を準備することと、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を水と組み合わせることと、を含む。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、活性クリーニング成分及び水不溶性ポリマーと極性溶媒の均質な混合物を含む。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を水と組み合わせると、活性クリーニング成分はヒドロゲルから水の中に拡散して、クリーニング溶液を形成する。このように形成されるクリーニング溶液は、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤中の活性クリーニング成分の濃度と比べて希釈された濃度の活性クリーニング成分を含む。
【0011】
いろいろな活性クリーニング成分がヒドロゲル高濃縮クリーニング剤中で使用可能である。活性クリーニング成分は、有機又は無機の汚染物質の極性溶媒、好ましくは水の中への溶解を助ける少なくとも1種の成分を指す。最も一般的な活性クリーニング成分としては、界面活性剤、酸、塩基、及び酵素が挙げられる。
【0012】
通常、ヒドロゲルの高濃縮クリーニング剤は、十分に濃厚であって、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、ヒドロゲルの塊の少なくとも10、20、30、40、又は50倍の量の水と組み合わされる。高濃度の活性クリーニング成分を含むヒドロゲル又は極めて希薄な濃度で有効な活性クリーニング成分を含むヒドロゲルに対して、水の量は、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊の100、200、300、400又は更には500倍であり得る。
【0013】
クリーニング溶液は、「すぐに使える」(「RTU」)溶液、すなわち、クリーニング溶液が表面の洗浄に使用される濃度であることができる。別法としては、クリーニング溶液は、更に希薄な又はRTUのクリーニング溶液が形成される、中間的な濃縮品であることができる。
【0014】
RTUクリーニング溶液は、いかなる好適な無機、ポリマー、金属、又は複合材料の表面にも適用可能であり、表面としては、カウンタートップ、キャビネット、(例えば、エナメル又はステンレススチール)器具表面、(例えば、木材、ビニル、積層)フローリング、ドライブウエー、及び歩道、サイディング又は他の外部構造物表面、ガラス及び鏡、セラミック、タイルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「ヒドロゲル」は、親水性であり、かつ膨潤しているか又は極性溶媒によって膨潤可能なポリマー材料を指す。ポリマー材料は、通常、極性溶媒と接触すると膨潤はするが溶解はしない。すなわちヒドロゲルは、極性溶媒には溶解しない。
【0016】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、いかなる物理的な形でも提供可能である。一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、2007年12月12日出願の米国特許出願第61/013085号で述べられているように(例えば、一体化)形状の塊として提供される。他の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、ヒドロゲルビーズ又は繊維などの複数のばらばらな(例えば自由流動性)小片として提供される。(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第2008/0207794号及び国際公開第2007/146722号を参照のこと)ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の大きな塊を破砕することにより、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のばらばらな自由流動性の小片を形成することもできる。ヒドロゲル粒子をミル掛け又は磨砕などの方法により作製する場合には、粒子は、通常、不規則な表面を有する。小片は、通常、約0.5mm〜約5mmの、より典型的には約1mm〜約3mmのサイズの範囲である。破砕されると、粒子サイズは、50マイクロメートル以下とすることができる。一体型の塊として提供される場合には、ヒドロゲル塊は、かなり大きな寸法を有することができる。例えば、賦型されたヒドロゲル円筒形の棒(例えば、0.7L(22oz)スプレー瓶中で使用するための)は、約1.5mm〜5mmの直径及び約10mm以上までの高さを有し得る。別法として、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、2007年8月30日出願の米国特許出願第11/847397号に述べられているように実質的に連続的な繊維の形で準備可能である。
【0017】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を複数の自由流動性の小片として準備する場合には、意図された水の添加量に対して正しい量を単純に測定することにより、任意の容積のRTUクリーニング溶液の製造に同一のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を使用することができる。同一の方法で、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のいろいろな予め測定したパッケージを使用することができる。このように、比較的大量のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を含むパッケージを中間的な濃縮品を形成する工業的な使用のために作製することができる。同様に、小量を含むパッケージを在宅消費者の使用のために作製することができる。
【0018】
ヒドロゲルの不溶性ポリマーは、バルクの中への拡散律速移動及びバルクからの拡散律速移動をもたらす。拡散速度は、例えばポリマー材料及びその架橋密度を変えること、極性溶媒を変えること、極性溶媒中での活性クリーニング成分の溶解性を変えること、及び活性クリーニング成分の分子量を変えることにより制御可能である。ヒドロゲルの表面積を増加又は減少させること、並びにヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の水の温度を上昇させることは、拡散速度にも影響を及ぼす。ヒドロゲルの塊を複数のばらばらな小片として準備する場合には、ヒドロゲルは、同一の塊を有する単一小片として提供されることと比べて高い表面積を有する。
【0019】
クリーニング溶液は、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を適切な量の水と組み合わせると、(例えばRTU)標的濃度に比較的短時間で達するということが好ましい。通常、標的濃度は1時間未満で得られる。好ましくは、活性クリーニング成分は、十分な速度で拡散して、標的濃度が30分、15分、10分、5分以下、又は1若しくは2分以下で得られる。
【0020】
ヒドロゲルは、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2007/146722号で述べられているように作製可能である。ヒドロゲルは、前駆体組成物、すなわち、重合前の反応混合物から形成される。一部の実施形態では、前駆体組成物は、極性溶媒、少なくとも1種の活性クリーニング成分、及び極性溶媒と混和性の重合性材料を含む、高濃縮クリーニング剤を含む。極性溶媒は前駆体組成物中では反応しない(すなわち、極性溶媒はモノマーではない)が、ヒドロゲルは極性溶媒により膨潤させられる。
【0021】
別法としては、ヒドロゲルは、極性溶媒を含有するが、活性クリーニング成分を欠くか又は十分な濃度の活性クリーニング成分を欠く前駆体組成物から形成され得る。ヒドロゲルを乾燥させて、極性溶媒の少なくとも一部を蒸発させることができる。次いで、乾燥したヒドロゲルを、高濃縮クリーニング剤の少なくとも一部を収着するのに十分な時間にわたって液体高濃縮クリーニング剤と接触させることができる。高濃縮クリーニング剤収着物は、少なくとも極性溶媒及び少なくとも1種の活性クリーニング成分を含む。本明細書で使用するとき、用語「収着する」は、吸着する、吸収する、又はそれらの組み合わせを指す。同様に、用語「収着」は、吸着、吸収、又はそれらの組み合わせを指す。収着は、化学プロセスであることもできるし(すなわち、化学反応が起こる)、物理プロセスであることもできるし(すなわち、化学反応が起こらない)、両方であることもできる。
【0022】
ヒドロゲル中の活性クリーニング成分の濃度を増大させるために、一部の実施形態では、活性クリーニング成分を含む前駆体からヒドロゲルを作製し、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を乾燥させ、次いで乾燥したヒドロゲルを更なる又は異なる高濃縮クリーニング剤と接触させて、更なる活性クリーニング成分をヒドロゲルの中に収着させることが好ましい。ヒドロゲルは、繰り返し乾燥させられ、高濃縮クリーニング剤溶液により繰り返し膨潤させられ得る。例えば、このサイクルを、2、3、4若しくは5回、又はヒドロゲルが活性クリーニング成分により実質的に飽和されるまで繰り返すことができる。乾燥したヒドロゲル中の活性クリーニング成分の増加は、吸収される液体高濃縮クリーニング剤の量に液体高濃縮クリーニング剤収着物中の活性クリーニング成分の濃度を掛けたものに等しい。
【0023】
乾燥したヒドロゲルは、乾燥したヒドロゲルの重量基準で少なくとも10重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも100重量パーセント、少なくとも120重量パーセント、少なくとも140重量パーセント、少なくとも160重量パーセント、少なくとも180重量パーセント、又は少なくとも200重量パーセントに等しい液体高濃縮クリーニング剤収着物の量を収着することができる。重量の増加は、通常、300重量パーセント未満、275重量パーセント未満、又は250重量パーセント未満である。
【0024】
活性クリーニング成分は、また、ヒドロゲル前駆体組成物中に存在する場合、通常、均質に分布する。しかしながら、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を活性クリーニング成分の乾燥したヒドロゲルの中への収着により作製する場合には、活性クリーニング成分は、ポリマービーズ中に均質に分布し得ない。更に、活性クリーニング成分は、ポリマーマトリックスと別々の相に存在していてもよい。
【0025】
多数の実施形態で、1つの例示的な物理的な形、すなわち、ヒドロゲルビーズを参照しながら、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を本明細書で述べる。しかしながら、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズの代わりに、他の物理的な形を使用できるということが認識されるであろう。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「ビーズ」及び「ポリマービーズ」は、互換的に使用され、好ましくは平滑表面を有し、一部の実施形態では3:1以下の、2.5:1以下の、2:1以下の、1.5:1、又は1:1以下のアスペクト比を有するポリマー材料を含有する粒子を指す。すなわち、アスペク比は、好ましくは3:1〜1:1の範囲である。アスペクト比とは、ポリマービーズの最長の寸法と最長の寸法に直交する寸法との比率を指す。ポリマービーズの形状は、多くの場合に球状又は楕円形である。しかし、球状又は楕円形形状は、ポリマービーズが乾燥したときに、潰れる可能性がある。本明細書で使用するとき、用語「平滑な」は、光学顕微鏡(50倍倍率)などの顕微鏡下で見たとき不連続点及び鋭い縁を含まない、表面を指す。
【0027】
図1を参照した場合、均質とは、光学顕微鏡(50倍倍率)などの顕微鏡下で見たとき外側の表面と内側の組成物との間に識別可能な界面が存在しないという意味である。一部の実施形態では、走査電子顕微鏡(50,000倍倍率)により見たとき識別可能な界面が明白でない。乾燥したポリマービーズは、しばしば均質な状態を保ち、巨視的な(すなわち、100nmよりも大きい)孔又は溝のような内部細孔又は溝を含有しない。
【0028】
この水不溶性ポリマーは、湿度に対して比較的低感度である。ビーズなどの複数のばらばらな小片として提供される場合、ビーズが団結して、貯蔵時に単一の塊を形成することはない。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、通常、指触に対して乾燥した感じである。したがって、有利なこととしては、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、液体高濃縮クリーニング剤を乾燥送達するための手段を提供する。
【0029】
ヒドロゲルの水不溶性ポリマーは、クリーニング溶液の形成に使用される水により、又は形成されるクリーニング溶液により溶媒和されず、したがってクリーニング溶液の成分とならない。水溶性ポリマーバインダーは、通常、クリーニング溶液から水が蒸発した後に残渣を残すので、これは有利である。しかしながら、ヒドロゲルは、水不溶性ポリマー(例えば、バインダー)成分を含むので、クリーニング溶液を作製する方法は、水不溶性ポリマーがクリーニング溶液用の分配器を詰まらせないために、好ましくは、クリーニング溶液からヒドロゲルの不溶性ポリマーを分離することを含む。
【0030】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤又はこのように形成されるクリーニング溶液は、いかなる(例えば、モップ、スプレー瓶、工業用など)アプリケータシステムによっても使用可能である。
【0031】
一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤及び水は、(例えば、再使用可能な)容器中で組み合わされる。容器は、クリーニング溶液用の分配システムに連結されるように設計され得る。容器又は分配システムは、クリーニング溶液からヒドロゲルの不溶性ポリマーを分離するための手段を含み得る。
【0032】
例えば、図2は、本明細書で述べられているヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を液体の濃厚クリーナーの希釈用に設計された慣用の重力供給型システムで使用する1つのアプローチを図示する。図2は、それぞれ異なるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ251、252及び253を含むいくつかの瓶201、202、203を含む3M(商標)Twist n’ Fill(商標)Cleaning Chemical Management Systemを図示する。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、最初に瓶中で水と組み合わされて、中間的な高濃縮クリーニング剤溶液を形成する。中間的とは、高濃縮クリーニング剤が更に希釈されて、RTUクリーニング溶液を形成するという意味である。中間的な高濃縮クリーニング剤が形成された後、瓶(例えば203)は、反転され、RTUクリーニング溶液濃度まで希釈するために水分配システム280と連結される。中間的な高濃縮クリーニング剤溶液からヒドロゲルの不溶性ポリマーを分離する1つの具体化された手段では、瓶のキャップ260は、クリーニング溶液からヒドロゲルの水不溶性ポリマーを濾過するためのふるい(図示せず)を包含する。
【0033】
(例えば、中間的又はRTUの)クリーニング溶液用の容器は、瓶に限定されない。流体を保持することができる、任意の変形不能な又は(例えば、圧搾可能な)変形可能な容器も使用することができる。例えば、容器は、袋、パウチ、又は、箱に入った袋の容器を含み得る。更に、容器は、単一の小室又は1つ以上の小室を含み、これにより、多数の小室の内容物を分配前又は分配と同時に反応させる、組み合わせる又は混合することが可能となる。
【0034】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊を水と直接に組み合わせることの代替法として、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊を(例えば、再充填可能な)カートリッジ又はヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の(例えば予め測定した)パッケージなどの水透過性囲い内に収容することができる。囲い(例えば、カートリッジ又はパッケージ)が水と組み合わされる。構造物がヒドロゲルの塊をその中に収容する能力があるならば、いかなる構造物も本開示による囲いとして使用することができる。囲いは、使い捨てであってもよく、その内部に配設されたヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の(例えば自由流動性の)予め測定した塊を含有する。別法としては、囲いは、使い捨て(すなわち、再充填可能)であってもよく、繰り返し開封することができる開口を有し、次いでヒドロゲルの不溶性ポリマーの内容物を保持するために密封状態に保たれる。
【0035】
水透過性囲いをポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーから作製することができるが、囲いは、好ましくは、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の不溶性ポリマーを保持するように構成される。好ましい実施形態では、囲いは、水不溶性並びにクリーニング溶液に不溶性である。次いで、囲いは、クリーニング溶液の分配前後に不溶性ポリマーと一緒にクリーニング溶液から除去可能である。
【0036】
いろいろな水不溶性のプラスチック、セラミック、金属、及び複合材料を使用して、囲いを作製することができる。ヒドロゲルの不溶性ポリマーを保持するために、囲いの開口又は細孔サイズは、ヒドロゲル(例えば、一体型の塊又はビーズ)の物理的な形よりも十分に小さい。
【0037】
一部の実施形態では、囲いは、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の予め測定した塊を含む。この実施形態では、囲いは、通常、使い捨てであるように設定される。例えば、いろいろな市販の不織布材料をヒドロゲル高濃縮クリーニング剤をその中に含有するパウチの中にヒートシールすることができる。好適な不織布材料としては、例えば、BBA Fiberweb(Old Hickory,TN)から市販されているスパンボンドポリプロピレン(20グラム/m)、スパンボンドポリエステル(15グラム/m)、及びCerex Advanced Fabrics,Inc(Pensacola,FL)から市販されているスパンボンドナイロン(17グラム/m)の不織布が挙げられる。
【0038】
図3は、水透過性(例えば、不織布の)囲い340内に含有されたヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ350の予め測定した塊を含む、パッケージ300の1つの実施形態を図示する。
【0039】
図4は、長方形の水透過性(例えば、不織布の)囲い440内に含有されたヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ450の予め測定した塊を含む、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のパッケージ400の別の実施形態を図示する。パッケージは、スプレー瓶の軸480に取り付けるためのスリーブ445を更に含む。
【0040】
図5は、各々が「ティーバッグ」形の不織布の囲い440中に包み込まれている円板の形のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の一体型の塊、551及び552を含有する、パッケージ501及び502の別の実施形態を図示する。この実施形態では、それぞれのパッケージは、クリーニング溶液からパッケージを取り出すためのひも560及びタブ580を更に含む。国際公開第2007/146635号は、2つの異なるクリーニング溶液を同時に適用するのに好適な別の好適な(例えば、モップ)適用システムを述べている。
【0041】
一部の実施形態では、囲いは、再使用可能(例えば、再充填可能)である。再充填可能なパウチは、例えばアルミニウム、ステンレススチール又はナイロンなどの耐久性のあるプラスチック材料から構成される、いろいろな耐久性のあるスクリーン又はメッシュ材料からも作製され得る。パウチの縁は、例えば縫合又は接着剤接合などの任意の好適な手段によって固定可能である。更に、熱可塑性材料は、超音波溶接及びヒートシールにより接合可能である。パウチを繰り返して開閉することができるように、パウチの1つの周辺の縁に沿って、インターロック閉止系(例えば、ジッパー、ホック及びループ)を提供することができる。この目的に好適な囲いである、いろいろな成形された(例えば、プラスチック)カートリッジが当業界で既知である。
【0042】
図6aは、ある量のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を収容するのに好適な、再充填可能なプラスチックカートリッジ囲い620の実施形態の斜視図を示す。カートリッジは、ジョイント623で接続された、2つの部分621及び622を有する。この部分をしっかりと連結することができるように、カートリッジ部分は、ねじ付きとしてもよく、又は1つの部分が他の部分と比べて小さい直径を有してもよい。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の一体型の塊又は複数のばらばらな小片(例えば、ビーズ)650をカートリッジ内に入れるために、再充填可能な成形されたプラスチックカートリッジの頂部を回して、カートリッジを開けることができる。カートリッジの頂部及び底部(図示せず)は、(例えば、プラスチック)メッシュ材料624を含み、メッシュの開口はヒドロゲル小片(例えば、ビーズ)650のサイズよりも小さい。この円筒形のカートリッジは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第2006/0280546号に述べられているような、水を充填することができるモップハンドルの中に挿入するのに好適なサイズとされる。
【0043】
モップハンドル640は、RTUクリーニング溶液分配組み立て体660の一部を下端で受け取るようにされている。モップハンドル640は、また、水で充填可能なリザーバ組み立て体610の一部を上端で受け取るようにされている。モップヘッド690は、RTUクリーニング溶液分配組み立て体に連結ジョイント670により連結される。図示した実施形態では、流体リザーバ630は瓶であり、及びモップの柄640は中空管を含む。使用において水は、リザーバ組み立て体610から床まで中空のハンドル640経由で搬送される。水がヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を含有するカートリッジ620を通るとき、RTUクリーニング溶液が形成される。このクリーニング溶液は流体分配組み立て体660に入って、流体分配口655を通って出て、モップヘッド690の近傍の床上に堆積される。次いで、流体は、通常のモップ掛けで床上に又はいずれの他の表面上にも広げられてもよい。
【0044】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、水不溶性ポリマーと極性溶媒の均質な混合物を含む。ヒドロゲルの極性溶媒は、通常、水、水混和性有機溶媒、又はその混合物を含む。水混和性の有機溶媒とは、通常、水素結合が可能であるとともに、水と混合されたときに単一相の溶液を形成する有機溶媒を指す。好適な水混和性の有機溶媒としては、ヒドロキシル基又はオキシ基がしばしば含有されているが、アルコール、重量平均分子量が約300g/モル以下のポリオール、エーテル、及び重量平均分子量が約300g/モル以下のポリエーテルが挙げられる。例示の水混和性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム及びブロックコポリマー、ジメトキシテトラグリコール、ブトキシトリグリコール、トリメチレングリコールトリメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
極性溶媒は、前駆体組成物の全重量基準で10重量パーセント超の量でヒドロゲル中にしばしば存在する。例示の前駆体組成物では、極性溶媒は、前駆体組成物の全重量を基準として、少なくとも15重量パーセントの、少なくとも20重量パーセントの、少なくとも25重量パーセントの、少なくとも30重量パーセントの、少なくとも40重量パーセントの、又は少なくとも50重量パーセントの量で存在する。前駆体組成物における極性溶媒は、前駆体組成物の全重量を基準として、最大で85重量パーセントの、最大で80重量パーセントの、最大で75重量パーセントの、最大で70重量パーセントの、又は最大で60重量パーセントの量で存在することができる。一部の前駆体組成物では、極性溶媒は、前駆体組成物の全重量を基準として、10超から85重量パーセントの、10超から80重量パーセントの、20〜80重量パーセントの、30〜80重量パーセントの、又は40〜80重量パーセントの量で存在する。
【0046】
一部の実施形態では、高濃縮クリーニング剤は、少なくとも1種の界面活性剤を活性クリーニング成分として含む。用語「界面活性剤」は、本明細書で使用するとき、水又は水溶液に溶解した場合、表面張力を低下させるか、又は2つの液体の間の、又は液体と固体の間の界面張力を低下させる、物質又は化合物を意味し、及び含むように意味される。界面活性剤は、一般に、親水基及び疎水基の両方を含有する。
【0047】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、両性及び双極イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される1種以上の界面活性剤を含有し得る。水中で解離し、カチオン及びアニオンを放出する界面活性剤は、イオン性と称される。存在する場合には、両性、両性及び双極イオン性界面活性剤は、一般に、1種以上のアニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用される。
【0048】
活性クリーニング成分(例えば界面活性剤)は、通常、少なくとも1、2、3、4、又は5重量%の、更に通常、少なくとも6、7、8、9、又は10重量%の濃度でヒドロゲル中に存在する。好ましくは、ヒドロゲル中の活性クリーニング成分(例えば界面活性剤)の濃度は、ヒドロゲルが代替使用可能な、液体高濃縮クリーニング剤中の界面活性剤の濃度に少なくとも等価である。更に好ましくは、ヒドロゲル中の活性クリーニング成分(例えば、界面活性剤)は、ヒドロゲルが代替使用可能な、液体高濃縮クリーニング剤中の界面活性剤の濃度よりも著しく大きい。より高濃度の界面活性剤を準備することにより、液体高濃縮クリーニング剤の等価の塊よりも高容量の希釈されたクリーニング溶液をヒドロゲル高濃縮クリーニング剤から作製することができる。一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、15、20、25、又は30重量%超の界面活性剤の混合物などの活性クリーニング成分の固体を含む。
【0049】
一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含む。本明細書で使用される好適なカチオン性界面活性剤としては四級アンモニウム界面活性剤が挙げられる。四級アンモニウム界面活性剤は、残りのN位置がメチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピル基により置換されている、モノC6〜C16、又はC6〜C10N−アルキル若しくはアルケニルアンモニウム界面活性剤であってもよい。モノ−アルコキシル化及びビス−アルコキシル化アミン界面活性剤も好適である。四級アンモニウム化合物の一部の種(例えば、モノC12〜C16)は、界面活性剤としての作用及び抗菌剤としての作用の二重の目的を果たし得る。
【0050】
一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤はイオンを有しない。これらの化学品は、一方の端では分子の(例えば、酸素に富んだ)極性部分を有し、他方の端で大きな有機分子(例えば、6〜30個の炭素原子を含有するアルキル基)を有することにより極性を獲得する。酸素成分は、通常、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの短いポリマーに由来する。非イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルポリサッカライド、アミンオキシド、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーが挙げられる。アルキルピロリジノン及びエチレングリコールモノヘキシルエーテルなどの一部の非イオン性界面活性剤も、(例えばガラス)表面上の筋を低減する。いろいろな非イオン性界面活性剤がHuntsmanから商品名「Surfonic」として市販されている。
【0051】
非イオン性界面活性剤の1つの好ましい類は、6〜30個の炭素原子を含有する疎水基を有するアルキルポリサッカライドと、例えば、ポリグリコシド、1.3〜10個のサッカライド単位を含有する親水基を有するポリサッカライドである。アルキルポリグリコシドは、式RO(C2nO)(グリコシル)を有し得、式中、Rは、アルキル基、アルキルフェニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルフェニル基、及びこれらの混合物からなる群から選択され、アルキル基は、10〜18個の炭素原子を含有し、nは2又は3であり、tは0〜10であり、xは1.3〜8である。一部の実施形態では、Rは、6〜18個の、更に好ましくは10〜16個の炭素原子を有するアルキル基である。グリコシルは好ましくはグルコース由来である。一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2007/143344号で述べられているように、アルキルポリグリコシドとアルキルピロリドンとの組み合わせを含み得る。市販のアルキルポリサッカライド界面活性剤としては、商品名「GLUCOPON 425 N」界面活性剤として入手可能なアルキルポリグリコシドとココグルコシドとの混合物などのCognis Corporation(Cincinnati,OH)から市販されている「GLUCOPON」シリーズ非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0052】
界面活性剤は、水性ベースの組成物に可溶性又は分散性の非イオン性フルオロ界面活性剤、カチオン性フルオロ界面活性剤、又はこれらの混合物も含み得る。好適な非イオン性フルオロ界面活性剤化合物は、3Mから商品名「Fluorad」として、及びDupontから商品名「Zonyl」として市販されている。
【0053】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤はアニオン性界面活性剤を含み得る。アニオン性界面活性剤としては、アニオン性サルフェート、スルホネート、カルボキシレート及びサルコシネート界面活性剤の塩(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びモノ−、ジ−及びトリ−エタノールアミン塩などの置換アンモニウム塩)が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、スルホネート又はサルフェート界面活性剤を含み得る。アニオン性界面活性剤は、本明細書で述べられているように、アルキルサルフェート、線状又は分岐型アルキルベンゼンスルホネート、又はアルキルジフェニルオキシドジスルホネートを含み得る。酸及び塩基は、活性クリーニング成分として普通に使用されて、いろいろな無機汚染物質、特にいろいろな無機酸化物から構成される硬水残渣と反応する。酸又は塩基を活性クリーニング成分として使用する場合には、得られるRTUは、通常、中性(すなわち、6.5〜7.5のpH)でない。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が酸性である場合には、得られるRTUは、通常、6.5未満のpHを有する。得られるRTUのpHは、通常、少なくとも4及び約6以下である。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が塩基性である場合には、得られるRTUは7.5超のpHを有する。得られるRTUのpHは、少なくとも8及び通常10以下である。
【0054】
例えば、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、シュウ酸、ホウ酸、酢酸(酢)、クエン酸、過酢酸、酒石酸などを含む、多種多様な酸のいずれもが使用可能である。同様に、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどの多種多様な塩基が使用可能である。
【0055】
酵素は、広範な反応を触媒するタンパク質の類である。タンパク質酵素は、タンパク質のペプチド結合を開裂して、水を同時に形成する(加水分解)活性クリーニング成分として使用される。リアーゼ酵素は特定の化学基を除去又は付加する。例えば、セルラーゼはセルロースをグルコースに分解する。ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤で使用するための酵素は、通常、約10,000ダルトン以下の分子量を有する。次は、活性クリーニング成分として普通に使用される酵素の一部の部分的なリストである。
【0056】
【表1】

【0057】
高濃縮クリーニング剤での使用に好適な酵素がNovozymes及びEnzyme Solution Inc.から市販されている。
【0058】
一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、界面活性剤などの活性クリーニング成分と組み合わせた、抗菌剤、消毒剤、防腐剤、抗カビ剤及び抗バクテリア剤を含む、少なくとも1種の生物学的活性剤を含む。
【0059】
前駆体組成物又は得られるヒドロゲルと適合するあらゆる既知の抗菌剤を使用可能である。これらには、クロルヘキシジン塩、例えばグルコン酸クロルヘキシジン(CHG);パラクロロメタキシレノール(PCMX);トリクロサン;ヘキサクロロフェン;グリセリン及びプロピレングリコールの脂肪酸モノエステル及びモノエーテル、例えばグリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート;フェノール;(C12〜C22)疎水性物質及び四級アンモニウム基又はプロトン化した第3級アミノ基を含む、界面活性剤並びにポリマー;四級シランのような四級アミノ含有化合物、及びポリヘキサメチレンビグアニドのようなポリ四級アミン;銀含有化合物、例えば銀金属、銀塩例えば塩化銀、酸化銀及びスルファジアジン銀;メチルパラベン;エチルパラベン;プロピルパラベン;ブチルパラベン;オクテニジン;2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール;又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗菌剤が例えば米国特許出願公開2006/0052452号(Scholz)、同第2006/0051385号(Scholz)、及び同第2006/0051384号(Scholz)に述べられている。
【0060】
これらの四級アンモニウム化合物及びフェノール系抗菌剤の非限定的な例としては、ベンザルコニウムクロリド及び/又は置換ベンザルコニウムクロリド、ジ(C〜C14)アルキルジ短鎖(C1〜4アルキル及び/又はヒドロキシアルキル)四級アンモニウム塩、N−(3−クロロアリル)ヘキサミニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、及びセチルピリジニウムクロリドが挙げられる。他の四級化合物としてはアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
ビグアニド抗菌活性剤としては、例えばポリヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリド、p−クロロフェニルビグアニド、4−クロロ−ベンズヒドリルビグアニド、クロルヘキシジン(1,1’−ヘキサメチレン−ビス−5−(4−クロロフェニルビグアニド)などのハロゲン化ヘキシジンが挙げられるが、これらに限定されない。参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,318,871号及び米国特許出願第2007/0238634号に述べられているものなど、いろいろな他の界面活性剤及び抗菌剤が既知である。
【0062】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、例えばしみ及び汚れはじき剤、潤滑剤、悪臭防止剤、香料、芳香剤及び芳香放出剤、及び漂白剤を含む1種以上の添加剤を場合によっては含有し得る。他の添加剤としては、酸、電解質、染料及び/又は着色剤、溶解材料、安定剤、増粘剤、脱泡剤、ヒドロトロープ、曇点改善剤、保存剤、及び他のポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。溶解材料としては、使用される場合には、ヒドロトロープ(例えば、トルエン、クメン、及びキシレンのスルホン酸のナトリウム及び/又はカリウム塩などの低分子量有機酸の水溶性塩)が挙げられるが、これらに限定されない。酸としては、使用される場合には、有機ヒドロキシ酸、クエン酸、ケト酸などが挙げられるが、これらに限定されない。電解質としては、使用される場合には、カルシウム、ナトリウム及びカリウムの塩化物が挙げられる。脱泡剤としては、使用される場合には、シリコーン、アミノシリコーン、シリコーンブレンド、及び/又はシリコーン/炭化水素ブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。漂白剤としては、使用される場合には、過酸、次亜塩素酸塩、及び過酸化水素、及び/又は過酸化水素の源が挙げられるが、これらに限定されない。保存剤としては、使用される場合には、かび成長阻止剤又は静菌剤、メチル、エチル及びプロピルパラベン、短鎖有機酸(例えば、酢酸、乳酸及び/又はグリコール酸)、ビスグアニジン化合物(例えば、Dantagard及び/又はGlydant)及び/又は短鎖アルコール(例えば、エタノール及び/又はIPA)が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、皮膚の有望なヒーリング機能を提供するために、アラントインとしても知られている(2、5−iioxo−4−イミダゾリジニル)ウレアなどの角質溶解剤などの有効量のスキンケア剤も場合によっては含んでもよい。他のスキンケア剤としては、例えばパンテノール、ビザボロール、イクタモール、ステアリルグリシレチネート、アンモニウムグリシレチネート、ビタミンE及び/又はA;並びにグリーンティー、コーラ、オート麦、ナガバクコ、及びアロエからなどの植物抽出物;並びにスキン湿潤剤;スキンパウダーなどが挙げられる。
【0063】
本発明によるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、場合によっては、清浄化又は抗菌並びに脱臭の目的で松根油、テルペン誘導体又は他の精油を含み得る。精油としては、タイム、レモングラス、シトラス、レモン、オレンジ、アニス、丁子、アニシード、パイン、シナモン、ゼラニウム、ばら、ミント、ラベンダー、シトロネラ、ユーカリ、ペッパーミント、樟脳、白檀、ローズマリン、クマツズラ、フリーグラス、ラタンヒアエ、ヒマラヤスギ及びこれらの混合物から得られるものが挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合には、このようなオイルは、通常、少なくとも0.01重量%及び約5重量%以下の量で存在する。
【0064】
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤は、着色剤などの指示物質を更に含み得る。活性クリーニング成分がクリーニング溶液の中に拡散するにつれて、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズは無色となり得る。逆に、クリーニング溶液は着色が進み得る。
【0065】
一部の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の方法又はパッケージは、第1の活性クリーニング成分を含む第1の塊と、第1の塊と異なる活性クリーニング成分を含む第2の塊と、を含み得る。この態様は、第1の活性クリーニング成分が第2のクリーニング成分の効果を低下させる場合など、単一のRTUクリーニング溶液中で通常一体化することができない活性クリーニング成分の組み合わせに特に有用である。例えば、この方法又はパッケージは、第1の塊(例えば、ビーズの)中の活性クリーニング成分として酸又は塩基と、第2の塊(例えば、ビーズ)中のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼなどの酵素を含み得る。通常、酵素は、衣服の上の食品のしみ又は草のしみなどの有機汚染物質用のクリーナーとして使用され、一方、酸又は塩基溶液は無機汚れのしみを洗うのに使用される。例えば、Spray’N Wash二倍パワー製品は、第1の区画が酵素混合物を含有し、第2の区画がクエン酸組成物を含有する、2つの区画を有する。酵素及び酸を使用するまで別々に保存しないと、酸が酵素を不活性化する。
【0066】
別の実施形態では、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の方法又はパッケージは、第1の活性クリーニング成分を含む第1の塊と、RTUクリーニング溶液中で組み合わされると第1の活性クリーニング成分の効果を低下させるか、又は不活性化する添加剤を含む第2の塊と、を含み得る。例えば、第1の塊(例えば、ビーズ)は、アルキルポリグルコシドなどの界面活性剤を含み得、及び第2の塊(例えば、ビーズの)は過酸化水素を消毒剤として含み得る。RTUクリーニング組成物として一体化すると、界面活性剤は、過酸化水素を不活性化する。しかしながら、これらの成分を別々の塊(例えば、単一の不織布パウチパッケージ中の2つのタイプのビーズ)中に有することにより、第1及び第2のヒドロゲルビーズを水と組み合わせて、RTU組成物を作製することができる。
【0067】
ヒドロゲル前駆体の重合性材料は、極性溶媒と混和性であり、極性溶媒から相分離しない。重合性材料に関連して本明細書で使用するとき、用語「混和性」の意味は、重合性材料が極性溶媒に支配的に溶解するか又は極性溶媒と相溶性であるということである。しかし、極性溶媒に溶解しない重合性材料が少量だけ存在し得る。例えば、重合性材料が極性溶媒に溶解しない不純物を有することがある。一般に、少なくとも95重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、少なくとも99.5重量パーセント、少なくとも99.8重量パーセント、又は少なくとも99.9重量パーセントの重合性材料が極性溶媒に溶解性である。
【0068】
本明細書で使用するとき、用語「重合性材料」は、モノマー又はモノマーの混合物を指すことができる。用語「モノマー」と「モノマー分子」は互換的に使用されて、フリーラジカル重合が可能である少なくとも1種の重合性基を含有する化合物を指す。重合性基は、通常、エチレン系不飽和基である。
【0069】
いくつかの実施形態においては、重合性材料には、単一の化学構造のモノマーが挙げられる。他の実施形態においては、重合性材料には、複数種の異なるモノマーが挙げられる(すなわち、化学構造が異なるモノマーの混合物が存在する)。重合性材料に含まれるのが1種のモノマーであろうとモノマーの混合物であろうと、重合性材料のモノマー分子当たりの重合性基(例えば、エチレン系不飽和基)の平均数は、少なくとも1.2である。重合性材料には、例えば、2個以上の重合性基を有する単一の型のモノマーを挙げることができる。別法としては、重合性材料には、モノマー分子当たりの重合性基の平均数が少なくとも1.2に等しくなるように複数の異なる種類のモノマーを挙げることができる。一部の実施形態においては、モノマー分子当たりの重合性基の平均数は、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0、少なくとも2.1、少なくとも2.2、少なくとも2.3、少なくとも2.4、少なくとも2.5、少なくとも2.6、少なくとも2.7、少なくとも2.8、少なくとも2.9、又は少なくとも3.0に等しい。
【0070】
前駆体組成物は、一般に、前駆体組成物の全重量を基準として、25〜90重量パーセントの重合性材料を含有する。例えば、前駆体組成物は、少なくとも25重量パーセントの、少なくとも30重量パーセントの、少なくとも40重量パーセントの、又は少なくとも50重量パーセントの重合性材料を含有する。前駆体組成物は、最大で90重量パーセント、最大で80重量パーセント、最大で75重量パーセント、最大で70重量パーセント、又は最大で60重量パーセントの重合性材料を含むことができる。一部の前駆体組成物では、重合性材料の量は、前駆体組成物の全重量を基準として、25〜90重量パーセント、30〜90重量パーセント、40〜90重量パーセント、又は40〜80重量パーセントの範囲である。
【0071】
重合性材料は、しばしば、1種又は複数の(メタ)アクリレートを含む。本明細書で用られる場合、用語「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート、アクリレート、又はそれらの混合物を指す。(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を含有する。用語「(メタ)アクリロイル」は、式HC=CR−(CO)−の一価基を指す。ここで、Rは水素又はメチルであり、(CO)は、炭素が酸素に二重結合によって結合していることを示す。(メタ)アクリロイル基は、フリーラジカル重合が可能である(メタ)アクリレートの重合性基(すなわち、エチレン系不飽和基)である。全ての重合性材料が(メタ)アクリレートであることができ、又は重合性材料がエチレン系不飽和基を有する他のモノマーと組み合わせて1種又は複数の(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0072】
多くの実施形態では、重合性材料は、ポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)を含む。用語ポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)、ポリ(アルキレングリコール(メタ)アクリレート)、アルコキシ化(メタ)アクリレート、及びアルコキシ化ポリ(メタ)アクリレートは、互換的に使用されて、2個以上のアルキレンオキシドの残基の構成単位(アルキレンオキシド単位と言うこともある)を含有する少なくとも1つの基を有する(メタ)アクリレートを指す。多くの実施形態では、少なくとも5個のアルキレンオキシドの残基単位がしばしば存在する。アルキレンオキシド単位は、式−OR−の二価基である。式中、Rは、最大で10個の炭素原子、最大で8個の炭素原子、最大で6個の炭素原子、又は最大で4個の炭素原子を有するアルキレンである。アルキレンオキシド単位は、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位、又はそれらの混合物からしばしば選択される。
【0073】
モノマー分子当たりのエチレン系不飽和基(例えば、(メタ)アクリロイル基)の平均数が少なくとも1.2である限り、重合性材料は、単一の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリレートの混合物を含むことができる。モノマー分子当たり1個のエチレン性不飽和基を有する好適な重合可能な物質の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)(例えば、ポリ(エチレンオキシド(メタ)アクリレート)、ポリ(プロピレンオキシド(メタ)アクリレート)、及びポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド(メタ)アクリレート))、アルコキシポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド)、及びN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
モノマー分子当たり2個のエチレン系不飽和基を有する好適な重合性材料としては、例えば、アルコキシジ(メタ)アクリレートが挙げられる。アルコキシジ(メタ)アクリレートの例としては、ポリ(アルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート)、例えばポリ(エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート)及びポリ(プロピレンオキシドジ(メタ)アクリレート);アルコキシジオールジ(メタ)アクリレート、例えばエトキシル化ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、及びエトキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;アルコキシトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、例えばエトキシル化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート及びプロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート;及びアルコキシペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、例えばエトキシル化ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート及びプロポキシ化ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
モノマー分子当たり3個のエチレン系不飽和基を有する好適な重合性材料の例としては、例えばアルコキシ化トリ(メタ)アクリレートが挙げられる。アルコキシ化トリ(メタ)アクリレートの例としては、アルコキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、例えばエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマートリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;及びアルコキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート例えばエトキシル化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
モノマー当たり少なくとも4個のエチレン系不飽和基を有する好適な重合性材料としては、例えばアルコキシ化テトラ(メタ)アクリレート及びアルコキシ化ペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。アルコキシ化テトラ(メタ)アクリレートの例としては、アルコキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、例えばエトキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0077】
一部の実施形態では、重合性材料には、モノマー分子当たり少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)が挙げられる。アルコキシ部分(すなわち、ポリ(アルキレンオキシド)部分)は、しばしば、エチレンオキシドユニット、プロピレンオキシドユニット、ブチレンオキシドユニット、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも5個のアルキレンオキシドユニットを有する。すなわち、ポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)の各モルは、少なくとも5モルのアルキレンオキシドユニットを含有する。複数のアルキレンオキシドユニットが存在することによって、極性溶媒中でのポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)の溶解が促進される。いくつかの例示のポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)は、少なくとも6個のアルキレンオキシドユニット、少なくとも8個のアルキレンオキシドユニット、少なくとも10個のアルキレンオキシドユニット、少なくとも12個のアルキレンオキシドユニット、少なくとも15個のアルキレンオキシドユニット、少なくとも20個のアルキレンオキシドユニット、又は少なくとも30個のアルキレンオキシドユニットを含有する。ポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)は、ホモポリマー鎖、ブロックコポリマー鎖、ランダムコポリマー鎖、又はそれらの混合物であるポリ(アルキレンオキシド)鎖を含有できる。いくつかの実施形態においては、ポリ(アルキレンオキシド)鎖はポリ(エチレンオキシド)鎖である。
【0078】
所望の物理的形状(例えば、ポリマービーズ、繊維、又は成形品)を前駆体組成物から形成することができる限り、少なくとも2個の(メタ)アクロイル基を有するいかなる分子量のこのポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)も使用することができる。このポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)の重量平均分子量は、しばしば、2000g/モル以下、1800g/モル以下、1600g/モル以下、1400g/モル以下、1200g/モル以下、又は1000g/モル以下である。しかし、他の用途では、2000g/モル超の重量平均分子量を有するポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)を重合性材料に含めることが望ましい。
【0079】
多数個の(メタ)アクリロイル基を有するいくつかの例示のポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)の作製が米国特許第7,005,143号(Abuelyamanら)、並びに米国特許出願公開第2005/0215752 A1号(Poppら)、同第2006/0212011 A1号(Poppら)、及び同第2006/0235141 A1号(Riegelら)に記載されている。モノマー分子当たり少なくとも2に等しい平均の(メタ)アクリロイル官能基を有し、少なくとも5個のアルキレンオキシドユニットを有する、好適なポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)は、例えばSartomer(Exton,PA)から商品名「SR9035」(エトキシル化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート)、「SR499」(エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、「SR502」(エトキシル化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート)、「SR415」(エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート)、並びに「CD501」(プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)及び「CD9038」(エトキシル化(30)ビス−フェノールAジアクリレート)として市販されている。括弧の中の数は、モノマー分子当たりのアルキレンオキシドユニットの平均数を指す。他の好適なポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)としてはポリアルコキシトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられ、これは、例えばBASF(Ludwigshafen,Germany)から商品名「LAROMER」として市販されているものであり、少なくとも30個のアルキレンオキシドユニットを有する。
【0080】
いくつかの例示の前駆体組成物は、モノマー1分子当たり少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有し、少なくとも5個のエチレンオキシドユニットを有し、並びに重量平均分子量が2000g/モル未満である、ポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)を含有する。更により具体的な例示の前駆体組成物は、2000g/モル以下の重量平均分子量を有するエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートを含む。エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、しばしば、1個の(メタ)アクリロイル基、2個の(メタ)アクリロイル基、又はそれらの混合物を有する不純物を含有する。例えば、市販の「SR415」(エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート)は、しばしば、モノマー分子当たり3未満の平均官能基数を有する(分析すると、モノマー分子当たりの平均官能基数は約2.5であった)。不純物が存在する場合であっても、前駆体組成物中におけるモノマー分子当たりの平均官能基数は、少なくとも1.2である。
【0081】
モノマー1分子当り少なくとも2個の(メタ)アクロイル基を有するポリ(アルキレンオキシド(メタ)アクリレート)に加えて、前駆体組成物は、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤にある特性を付与するために添加される他のモノマーを包含することができる。一部の場合には、前駆体組成物は、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第20007/146722号で述べられているものなどのアニオン性又はカチオン性モノマーを含有することができる。
【0082】
一部の例示の重合性材料は、非イオン性モノマーのみを含有する。すなわち、重合性材料は、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーを両方とも実質的に含まない。アニオン性又はカチオン性モノマーに関連して本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」の意味は、重合性材料は、重合性材料の重量を基準として、1重量パーセント未満、0.5重量パーセント未満、0.2重量パーセント未満、又は0.1重量パーセント未満のアニオン性モノマー又はカチオン性モノマーを含有するということである。
【0083】
一部の実施形態では、前駆体組成物は、酸性基、酸性基の塩又はそれらの混合物に加えてエチレン性不飽和基を有する、前駆体組成物中の重合性材料の全重量の20重量パーセントまでのアニオン性モノマーを含有する。
【0084】
四級アミノ基を有するものなどのカチオン性モノマーは、ヒドロゲルに抗菌性を付与することができるが、このようなカチオン性モノマーは、ヒドロゲルの中に重合されると、ヒドロゲルから拡散して、抗菌クリーニング溶液を形成する能力をもはや持たない。
【0085】
極性溶媒及び重合性材料に加えて、前駆体組成物は、国際公開第2007/146722号で述べられているものなどの処理剤などの1種以上の随意の添加物を包含することができる。
【0086】
一つの例示の処理剤は開始剤である。ほとんどの前駆体組成物は、フリーラジカル重合反応を起こすための開始剤を含む。開始剤は、光開始剤とすることもできるし、熱開始剤とすることもできるし、レドックス対とすることもできる。開始剤は、前駆体組成物に可溶性であることもできるし、前駆体組成物中に分散性であることもできる。
【0087】
好適な可溶性光開始剤の例は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY)から商品名「IRGACURE 2959」として市販されている、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンである。好適な分散された光開始剤の例は、Ciba Specialty Chemicalから商品名「IRGACURE 651」として市販されている、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンである。他の好適な光開始剤は、重合性基、並びに、開始剤として機能できる基、を含有する米国特許第5,506,279号に記載されている、アクリルアミドアセチル光開始剤である。開始剤は通常、当該技術分野で既知である、いくつかの重合性組成物中で使用されるようなレドックス開始剤ではない。このようなレドックス開始剤は、もし存在するならば、生物活性剤と反応する。
【0088】
ポリマービーズを形成する方法は、国際公開第2007/146722号で述べられているように、前駆体組成物を準備し、ガス相により全体的に取り囲まれている前駆体組成物の液滴を形成することを包含することができる。この方法は、前駆体組成物における重合性材料を少なくとも部分的に重合させ、並びに第1の膨潤したポリマービーズを形成するのに十分な時間液滴を放射線に曝露する工程を更に含む。液滴は、重力によって放射線源をこえて落下させることもでき、又は、スプレーとして(例えば、上方に)吹き飛ばすこともできる。
【0089】
ヒドロゲル前駆体組成物が比較的高濃度の界面活性剤を含む場合には、前駆体の表面エネルギーを30mN/m以下まで低下させることができる。このような低表面エネルギーの前駆体がなお液滴を形成するのは驚くべきことである。
【0090】
ある特定の液滴形成方法に対して、粒度分布は広くてもよいし、狭くてもよい。狭い粒度分布は、単分散又はほぼ単分散であることができる。一例として、超音波アトマイゼーションを用いて液滴を生成する場合、平均直径としてほぼ50マイクロメートルが得られることがあるが、ビーズ粒度分布の範囲は約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルであることがある。他の液滴形成技術は、異なるビーズ粒度分布をもたらす。狭い粒度分布のビーズが求められる用途に対しては、より制御された液滴形成方法を用いてもよく、又は当業者には既知であるように、付加的な後工程のふるい分けを行なって粒度分布を狭めることもできる。
【0091】
ポリマービーズは、多種多様なサイズを有することができる。ビーズの直径は、放射線硬化の前に前駆体組成物の液滴を生成するために用いられる厳密な方法に依存し、その範囲は、1マイクロメートル未満から数千マイクロメートルであることができる。特に好適なビーズ直径は、1〜約5000マイクロメートルの範囲、1〜4000マイクロメートルの範囲、10〜3500マイクロメートルの範囲、又は100〜2000マイクロメートルの範囲である。
【0092】
放射線に曝露すると、前駆体組成物内の重合性材料はフリーラジカル重合反応を起こす。本明細書で使用するとき、用語「放射線」は、化学線(例えば、紫外線スペクトル領域又は可視光スペクトル領域の波長を有する放射線)、加速粒子(例えば、電子ビーム放射線)、熱線(例えば、熱又は赤外線)等を指す。放射線は化学線又は加速粒子であることが多い。なぜならば、これらのエネルギー源は、重合の開始及び速度に対して良好な制御をもたらす傾向があるからである。加えて、比較的低い温度で硬化を行なうために、化学線及び加速粒子を用いることができる。この結果、重合反応を熱放射線によって開始するために必要とされ得る比較的高温の影響を受けやすい成分の劣化が回避される。電磁気スペクトルの所望の領域のエネルギーを生成することができる、いずれの好適な化学線源も用いることができる。化学線の例示の供給源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステンフィラメントランプ、レーザ、太陽光などが挙げられる。
【0093】
以下の非限定的な実施例を参照しながら、本発明を更に説明する。
【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
【表6】

【0099】
【表7】

【実施例】
【0100】
実施例1:高濃縮クリーニング剤のヒドロゲル収着により形成されるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤
41.8mN/mの表面張力を有する20モルのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)(SR415,Sartomer(Exeter、PA)40グラムと、脱イオン(DI)水60グラムと、光開始剤(IRGACURE 2959,Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY))0.8グラムとを混合することにより、均質な前駆体組成物を作製した。この実施例及び以後の全ての実施例で用いるエトキシル化TMPTAの平均官能基数を、HPLCデータから決定した。それによれば、モノマーは、53.6重量パーセントの3官能性アクリレート(52.5モルパーセント)、45.3重量パーセントの2官能性アクリレート(46.5モルパーセント)、及び1.0重量パーセントの単官能性のアクリレート(1.1モルパーセント)であった。この情報を用いて、またそれぞれの種に対して20モルのエトキシル化の平均値を想定して、平均官能基数は約2.5であると計算した。
【0101】
国際公開第2007/146722号の実施例1で述べられているようにビーズを前駆体組成物から作製した。ビーズの直径は、ほぼ1ミリメートル〜4ミリメートルの範囲であった。
【0102】
ヒドロゲルビーズを70℃のオーブン中で2時間乾燥させた。5グラムの乾燥したビーズを10グラムの高濃縮クリーニング剤No.1と組み合わせ、2時間吸収させた。ビーズを篩に掛け、すすぎ、ペーパータオルを用いて軽く乾燥させた。クリーナー吸収後のビーズの最終重量は10グラムであり、5グラムのクリーナーがビーズの中に吸収されていることを示した。高濃縮クリーニング剤1は、36重量%のGlucopan 425Nを有し、Glucopan 425Nは50重量%の界面活性剤を含むので、得られるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ中の界面活性剤の濃度は9重量%であった。
【0103】
20個のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ(重量0.23グラム)を100mLビュレットに入れた。栓を閉めて、蒸留水を70mLのマークまで添加した。流速が0.1mL/秒に相当するまで、栓の把手を回した。
【0104】
ビュレットから出る溶液の試料を固定した時間間隔で捕集し(流れの1分毎に4mL試料を捕集した)、試料の外観を観察した。全ての試料は淡黄色であり、試料の色強度は同一であり、流水の中へのクリーナーの定常状態の拡散を定性的に示した。
【0105】
実施例2:液体高濃縮クリーニング剤との系内ビーズ形成により形成されるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤
20モルのエトキシル化TMPTA(SR 415,Sartomer(Exeter,PA)から入手可能)80gを高濃縮クリーニング剤No.120gとブレンドすることにより、ヒドロゲル前駆体溶液を作製した。これにIrgacure 2959光開始剤(Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY))0.8gを添加した。光開始剤が溶解したならば、オリフィスを石英管の入口でUV域の50.8cm(20インチ)上で配置したことを除いて、国際公開第2007/146722号の実施例1と同一の方法でビーズを作製した。
【0106】
実施例3〜6:他の液体高濃縮クリーニング剤との系内ビーズ形成により形成されるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤
次の前駆体組成物を用いて、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを実施例2の方法に従って作製した。
【0107】
【表8】

【0108】
実施例7:ヒドロゲルの動的希釈に対する色の定量的評価
水をヒドロゲル高濃縮クリーニング剤と動的に組み合わせることを動的にモデル化するために、ビュレットに実施例4のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ(製品No.24を含有)5.009gと水25mLとを充填した。タイマーをスタートし、5個の試料を捕集するまで、2分毎に5mLをビュレットから別々の瓶に分注した(ラン1)。次いで、ビーズをビュレット中に残し、25mLの水を添加した。更に5個の試料を得るまで、この手順を繰り返した(ラン2)。高濃縮クリーニング剤に対する標的希釈率は、250〜400(水):1である。次の結果は、ビュレット中のビーズを通る水から形成されるクリーニング溶液が第1及び第2のランの両方に対して標的濃度を呈したということを示す。
【0109】
【表9】

【0110】
実施例8:ヒドロゲルの四級アンモニウム化合物放出速度
水をヒドロゲル高濃縮クリーニング剤と動的に組み合わせることを静的にモデル化するために、実施例3のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤(製品No.23を含有)5gを水100mLと組み合わせた。5分間隔で10mLの液体を取り出し、四級アンモニウム抗菌化合物(QAC)の濃度をQAC試験キット(LaMotteから市販)により試験した。次いで、各回10mLを取り出すことを考慮に入れるために、QACの濃度を再計算した。[補正濃度=(測定濃度)×(残った容積)/100mL]。平均拡散速度(すなわち、勾配)を20.8ppm/分であると計算した。20分後液体は淡緑色であった。界面活性剤は、抗菌剤と同一の速度で拡散すると仮定する。
【0111】
【表10】

【0112】
実施例9:ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤放出速度に及ぼす表面積の影響
ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを水と組み合わせる前に、ビーズを乳鉢中で破砕し、乳棒により湿った粉末状のコンシステンシーまで磨砕したことを除いて、実施例8を繰り返した。次いで、各回10mLを取り出すことを考慮に入れるために、QACの濃度を再計算した。[補正濃度=(測定濃度)×(残った容積)/100mL]。平均拡散速度(すなわち、勾配)を50.3ppm/分であると計算した。20分後液体は強い蛍光を発する緑色であった。界面活性剤は、抗菌剤と同一の速度で拡散すると仮定する。
【0113】
【表11】

【0114】
実施例10:液体高濃縮クリーニング剤との系内ビーズ形成及び高濃縮クリーニング剤の収着により形成されるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤
実施例3のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ(製品No.23含有)15gをオーブン中60℃で2時間乾燥させた。ヒドロゲルビーズをオーブンから取り出し、秤量し、並びに、乾燥したヒドロゲルビーズの重量の約2倍の量の濃縮剤を吸収させるために製品No.23中に少なくとも3時間浸漬した。ビーズを濾過し、ペーパータオルにより乾燥させた。ビーズを秤量して、吸収された製品No.23の重量を確認した。収着手順(すなわち、乾燥及び含浸)を3回繰り返した。測定重量及び製品No.23中の抗菌剤の既知の濃度を用いて、利用可能な抗菌剤の量を計算した。
【0115】
【表12】

【0116】
製品No.23中の抗菌剤の濃度(10.14+6.76))×(ビーズ中の製品No.23の重量%(0.60))
実施例11:すぐに使える(「RTU」)クリーニング溶液の即時的形成
実施例5のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ(製品No.4含有)0.5グラムを水20グラムと組み合わせた。ビーズを添加する前の水のpHは7.2であった。ビーズの添加直前でpHは、2.5まで低下した(酸活性成分により)。pHは10分後2.5にとどまり、ビーズ中の酸の大部分が直ちに拡散して出たことを示す。
【0117】
実施例12:ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のパッケージ
予め測定したパッケージに対するヒドロゲル重量の定量:
製品No.23、製品No.4、製品No.33などの市販の液体高濃縮クリーニング剤に対する推奨の希釈率は、文献に公表されている。製品No.4液体高濃縮クリーニング剤に対する標的水:高濃縮クリーニング剤の比は51:1である。実施例5のヒドロゲルビーズは60重量%の高濃縮クリーニング剤を含有するので、3.3gのビーズは、100グラムの水による希釈に対する適切な重量である、1.98gの高濃縮クリーニング剤に相当する。
【0118】
製品No.23液体高濃縮クリーニング剤に対する推奨の希釈率は227:1である。実施例3のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ2.4グラムを含有するパウチは、0.6×2.4=1.44グラムの濃縮クリーナー、328グラムのRTUクリーニング溶液を作製するのに十分なクリーナーを含有する。
【0119】
製品No.33及び製品No.24液体高濃縮クリーニング剤の両方に対する推奨の希釈率は200:1である。したがって、5グラムのヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズは、600グラムの水による希釈に適切な重量である。
【0120】
パッケージ化されたヒドロゲルビーズを作製する方法:
BBA Fiberweb(Old Hickory,TN)から市販されている、スパンボンドポリプロピレン(20グラム/m)、スパンボンドポリエステル(15グラム/m)、及びCerex Advanced Fabrics,Inc(Pensacola,FL)から市販されているスパンボンドナイロン(17グラム/m)不織布を包含する、いろいろな不織布材料がヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを含有するためにヒートシールした囲いを作製するのに好適であることが判明した。
【0121】
不織材料のシート(約15.2cm(6インチ)幅)を半分にたたみ、次いで、この折り目に垂直にたたみ、Audion Elektro Packaging Heat Sealer(Packaging Aids Corporation)を用いて、約5.1cm(2”)離して2つのシールを作製した。不織布がヒートシール機の1回のプレス後にシールしない場合には、シールするまで時間を調整した、又は多数回のプレスを使用した。
【0122】
実施例5のヒドロゲルビーズ3.3gをパウチ中の開口(折り目に平行である)の中に注ぎ、次いで上記の同一のヒートシール法を用いて、開口をシールで閉じた。シールしたパウチは約5.1cm×5.1cm(2”×2”)であった。
【0123】
実施例13:酸を活性成分として含むヒドロゲル高濃縮クリーニング剤
ビーズを高濃縮クリーニング剤1の代わりに酢と少なくとも3時間組み合わせたことを除いて、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを実施例1で述べたように作製した。乾燥したビーズが60重量%の酢を収着したことが判明した。
【0124】
実施例14:酸を活性成分として含むヒドロゲルビーズを含むヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のパウチ
実施例13の酢を含有するヒドロゲル5.5gを蒸留水により2回すすぎ、ペーパータオル上で乾燥させた。次いで、実施例12で述べたように、2.508gを1.904gの重曹と不織布囲い中で組み合わせた。このパウチを100mLの水を含有する瓶に添加した。泡がパウチ内で1分以内に生成し、酢と重曹との間の酸塩基反応の結果として発生したCOガスの結果として数時間生成し続けた。同一の内容物を有する別のパウチをベンチの頂部に数日置いた。その間、このような酸塩基反応の兆候はなかった。
【0125】
実施例15:活性成分としての酸と防腐剤とを含むヒドロゲルビーズ
ビーズを高濃縮クリーニング剤1の代わりに高濃縮クリーニング剤2と組み合わせたことを除いて、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを実施例1と同一の方法で作製した。
【0126】
実施例16:活性成分として界面活性剤を含むヒドロゲルビーズ
ビーズを高濃縮クリーニング剤1の代わりにGlucopan 425Nと組み合わせたことを除いて、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを実施例1と同一の方法で作製した。
【0127】
実施例17:実施例16のヒドロゲルビーズと組み合わせて実施例15のヒドロゲルビーズを含むヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のパウチ
実施例16のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ0.29g、及び、実施例15のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ1.00g。
【0128】
実施例17からのパウチを水70.03gと組み合わせた。
【0129】
実施例15のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズ1.00gを水70.06gと組み合わせた。
【0130】
対照として、0.5gの高濃縮クリーニング剤2を70.06gの水と組み合わせた。
【0131】
Indigo Instrumentsから市販されている高レベルペルオキシド試験片を用いて、溶液中のペルオキシド濃度を測定した。
【0132】
【表13】

【0133】
結果は、過酸化水素をヒドロゲルの中に組み込むとペルオキシド濃度が1.0g/L以下に減少しなかったが、対照についてはそれが起きたことを示す。結果は、また、Glucopon 425Nが高濃縮クリーニング剤2の過酸化水素を48時間内に不活性化しなかったことも示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニング溶液の作製方法であって、
活性クリーニング成分及び水不溶性ポリマーと極性溶媒の均質な混合物を含む、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊を準備することと、
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤を前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊の少なくとも10倍の量の水と組み合わせて、クリーニング溶液を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記活性クリーニング成分が界面活性剤、酸、塩基、酵素及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不溶性ポリマーを前記クリーニング溶液から分離することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤及び水が容器中で組み合わされ、前記容器が前記不溶性ポリマーを前記クリーニング溶液から分離するための手段を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記容器が水分配システムに付属する重力供給型容器である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が水透過性及び水不溶性の囲い内に収容され、前記囲いが前記水と組み合わされている、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記囲いが不織布材料を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記囲いが再充填可能なカートリッジを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記クリーニング溶液が15分未満ですぐに使える濃度に達する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記クリーニング溶液が1分未満ですぐに使える濃度に達する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記水不溶性ポリマーがフリーラジカル重合されたポリマーである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記水不溶性ポリマーが放射線硬化されたポリマーである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線硬化されたポリマーが光開始剤を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記水不溶性ポリマーがポリ(アルキレンオキシド)単位を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水不溶性ポリマーが架橋ポリ(アルキレン)オキシド(メタ)アクリレート単位を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が複数のばらばらな自由流動性の小片として準備される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ばらばらな小片がビーズ、繊維、又は粒子である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が一体型の塊として提供される、請求項1〜15に記載の方法。
【請求項19】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊が、第1の活性クリーニング成分を含む第1のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊と、第1のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊と異なる活性クリーニング成分を含む第2のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊と、を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が前記クリーニング溶液から分離され、水と再び組み合わされて、第2のクリーニング溶液を形成する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記水が前記高濃縮クリーニング剤と静的に組み合わされる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記水が前記高濃縮剤と動的に組み合わされる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊の50〜500倍の範囲の量の水と組み合わされる、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が約25重量%〜70重量%の前記水不溶性ポリマー及び15重量%〜75重量%の前記極性溶媒を含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が少なくとも5重量%の界面活性剤を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記界面活性剤と組み合わせた前記極性溶媒が30mN/m以下の表面エネルギーを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が抗菌剤、芳香剤、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
水透過性囲いに含有されるヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊を含み、前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤が、活性クリーニング成分及び、水不溶性ポリマーと少なくとも1種の極性溶媒との均質な混合物を含む、ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤のパッケージ。
【請求項29】
前記活性クリーニング成分が界面活性剤、酸、塩基、酵素及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項28に記載のパッケージ。
【請求項30】
前記囲いが水不溶性である、請求項28に記載のパッケージ。
【請求項31】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊が前記囲い内で自由流動性である、請求項28に記載のパッケージ。
【請求項32】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊が複数のばらばらな小片として準備される、請求項28〜31のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項33】
前記ばらばらな小片がビーズ、繊維、又は粒子である、請求項32に記載のパッケージ。
【請求項34】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊が一体型の塊として準備される、請求項28〜31のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項35】
前記塊が予め測定したものである、請求項28〜34のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項36】
前記水透過性囲いが不織布材料を含む、請求項28〜35のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項37】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊が第1の活性クリーニング成分を含む第1のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊と、前記第1の高濃縮クリーニング剤の塊と異なる活性クリーニング成分を含む第2のヒドロゲル高濃縮クリーニング剤の塊と、を含む、請求項28〜36のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項38】
前記ヒドロゲル高濃縮クリーニング剤、囲い、又はこれらの組み合わせが発泡剤を更に含む、請求項28〜37のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項39】
ヒドロゲルビーズの作製方法であって、
前駆体組成物を準備することであって、
a)前記前駆体組成物の全重量基準で10重量パーセント超の極性溶媒と、
b)フリーラジカル重合能があり、モノマー1分子当り少なくとも1.2個に等しいエチレン性不飽和基の平均数を有し、前記極性溶媒と混和性である重合性材料と、
c)活性クリーニング成分と、を含み、
a)及びc)の組み合わせが30mN/m以下の表面エネルギーを有する、前記前駆体組成物を準備することと、
全体的に気相によって囲まれている、前記前駆体組成物の液滴を形成することと、
前記重合性材料を少なくとも部分的に重合させ、第1の膨潤したヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを形成するのに十分な時間にわたって前記液滴を放射線に曝露することと、を含む、方法。
【請求項40】
前記第1の膨潤したヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを乾燥させて、極性溶媒の少なくとも一部を除去することと、前記乾燥させたヒドロゲルビーズを活性クリーニング成分と組み合わせて、前記第1の膨潤したヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズよりも高濃度の活性クリーニング成分を有する第2の膨潤したヒドロゲル高濃縮クリーニング剤ビーズを形成することと、を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記活性クリーニング成分が界面活性剤、酸、塩基、酵素及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記重合性材料がポリ(アルキレンオキシド)単位を含む、請求項39〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリ(アルキレンオキシド)単位が少なくとも5個のアルキレンオキシドサブ単位を有する、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2011−528061(P2011−528061A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518761(P2011−518761)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/047145
【国際公開番号】WO2010/008712
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】