説明

ヒヨコ豆抽出物を含有する肥満および/または糖尿病の予防または治療剤および飲食品

【課 題】ヒヨコ豆の抽出物を配合した肥満および/またはII型糖尿病の予防および/または治療用食品の製造方法を提供する。
【解決手段】ヒヨコ豆から極性溶媒を使用して抽出した抽出物を含有することを特徴とする肥満および/またはII型糖尿病の予防または治療剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒヨコ豆の抽出物を配合した肥満および/またはII型糖尿病の予防または治療剤およびヒヨコ豆の抽出物を含有する飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の抽出物は、薬品の開発に重要な役割を果たす。欧米諸国において、医薬または医薬部外品の製剤処方の約25%に少なくとも1種類の植物エキスあるいは植物由来化合物が含有されている。米国では、植物の抽出物が生薬市場の約95%以上を占めている。ドイツでは、主に植物の抽出物で作られた生薬は全国薬品市場の売り上げの約10%も占めていて、全国OTC(一般医薬品)市場の約30%を占めている。よって、薬用植物の抽出物は新しい医薬または医薬部外品の応用土台となり得、未だ植物の抽出物を主成分とする薬品の市場は大きい(非特許文献1、2参照)。中国においても、漢方薬抽出物の開発が盛んに行われるようになってきた。中国における開発は、まだ十分とは言えないまでも、多くの研究機関、製薬会社がすでに、例えば、オウギ、葛根、サンザシなどの何百種もの植物またはこれら植物を含む漢方薬抽出エキスを開発している。例えば、銀杏の有効成分(例.フラボノイド)は、抽出物とすることにより抽出物中に含有される該有効成分を、原料の銀杏自身に含有される該有効成分の約50倍に濃縮することができた。したがって濃縮された抽出物を利用することにより薬物効果を大幅に高めることができた。
【0003】
また、大豆についての研究も盛んで、現在米国において大豆イソフラボンを利用した約300種以上の機能食品が上市されており、年間売上高は約20億米ドル(約2100億円)に達する。ヨーロッパ、日本または韓国などにおいても、大豆イソフラボンを主成分として作られた健康食品の売れ行きが良好で、大豆イソフラボンが含有された健康食品は約10種類以上にも達する。統計によれば、近い将来国際市場における大豆イソフラボンの年間需要量は約1500トンに達すると推定されているが、実年間生産量は約300トンしかない。このため大豆イソフラボンの代替品の開発が望まれている。
【0004】
ヒヨコ豆〔鷹嘴豆(Nuhut、奴乎特、諾胡提、Cicer arietinumL chick pea)〕の形は鷹の頭に似て、胚珠のついているところがくちばし状に突き出ているために鷹嘴豆と名づけられた。ヒヨコ豆はマメ科の植物で、原産地はアジアの西部と中東地域の温暖且つ乾燥地帯に分布している。インドでは第一食用豆類とされている。ヒヨコ豆は中国の新疆において既に約2500年前から栽培されており、ウイグル薬品として、「新疆ウイグル薬誌」に掲載されている(非特許文献3参照)。ヒヨコ豆中の栄養分は豊富で、ヒヨコ豆中に蛋白質が約14.9〜24.6質量%、脂肪が約6.4%含まれており、しかも脂肪の多くは体に良い不飽和脂肪酸である。例えば、カブール種ヒヨコ豆中の脂肪には、オレイン酸約50.3質量%、亜オレイン酸約40質量%が含まれる。さらに、ヒヨコ豆中のアミノ酸の含量はオートムギ中のアミノ酸の約3倍もあり、人の体に必要な8種類のアミノ酸全てがヒヨコ豆中に含まれている。ヒヨコ豆中の亜オレイン酸の含量は大豆中のそれより約20%高く、ヒヨコ豆中の鉄、亜鉛、カルシウム、リンなど微量元素の含量も他の豆類のそれより高い。これらのヒヨコ豆またはヒヨコ豆の種皮は中性脂肪とコレステロールを下げる働きがあり、中老年の中枢神経「系統」の制御と循環器の保護などのためにも効果的であることが知られている(非特許文献4、5参照)。
【0005】
中国ウイグル自治区において、ヒヨコ豆はウイグル薬品として日常疾患の治療に良く使われている。特に、ヒヨコ豆が糖尿病、循環器病、腎臓病などに明らかな治療効果が見られる。また、ヒヨコ豆は優れた栄養食品でもある。新疆の調査によると、全地域に約600種類のウイグル薬があり、その内約360種類が常用薬として試用されている。その中で、当地資源が使用されているのは約160種で、ウイグル薬全体の約27%に当たる。常用ウイグル薬のうち、当地民族専用に属する資源は約30種類であって、ヒヨコ豆もこの中の一つである。古代文献「飲膳正要」、「本草拾遺」、「救荒本草」などに、ヒヨコ豆が唾液の分泌を促進し、中性脂肪を低下させる効果があると記載されている。
1960〜1970年代には既に実験用マウス、ラビットを用いた実験結果によりヒヨコ豆が中性脂肪とコレステロールを下げる効果がある旨を記載した文献がある(非特許文献6〜10)。
しかし、上記ヒヨコ豆の効果は、ヒヨコ豆をそのまま、食するものであり、極性溶媒を使用して抽出したヒヨコ豆の抽出物に関する効果についての言及はない。
【非特許文献1】方建国,林愛華,杜光. 医薬導報,2001,11(20):719−720
【非特許文献2】董麗麗,李野,沈楓.中国薬方,2004,15(9):570−572
【非特許文献3】中国薬典(1998年版)ウイグル薬分册114頁
【非特許文献4】肖克来提・木尼拉.、中国民族医薬雑誌,2003,11(3):20
【非特許文献5】レターム・ピー(Leterme P.)、ザ・ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション(Br J Nutr.)、2002年、第88巻、S239−242
【非特許文献6】ツレット・エム・エー(Zulet MA)他1名、プラント・フード・フォー・ヒューマン・ニュートリション(Plant Foods Hum Nutr.)、1995年、第48巻3号、p.269−277
【非特許文献7】マンド・ジェー・ケー(Mand JK)ら,インディアン・ハート・ジャーナル(Indian Heart J.)1991年、第43巻5号、p.347−350
【非特許文献8】ターナー・アール・シー(Turner RC)ら、ユナイテッド・キングダム・プロスペクティブ・ダイアベーテス・スタディ[United Kingdom Prospective Diabetes Study (UKPDS: 23)BMJ.]、1998年3月14日、第316巻、p.823−828
【非特許文献9】ラークソ・エム(Laakso M)ら、サーキュレーション(Circulation)、1993年、第88巻、p.1421−1430
【非特許文献10】マクガリー・ジェー・ディ(McGarry JD.)、ダイアベーテス(Diabetes)、2002年、第51巻1号、p.7−18
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、肥満および/またはII型糖尿病の予防または治療剤、肥満および/またはII型糖尿病の予防または改善効果を有する飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは高脂肪飼料を無制限に摂取させて人の肥満体に近い肥満実験用動物を作成し、これを用いて種々研究を行った。その結果、ヒヨコ豆から極性溶媒を使用して抽出した抽出物が長期間高脂肪飼料の摂取によって、増加したマウスの体重を下げる効果があること、更に、血清LDL−コレステロール(低密度リポプロテインコレステロール)とTG(トリグリセリド)も明らかに低下させ、HDL−コレステロール(高密度リポプロテインコレステロール)を上げる効果を示すこと、骨格筋肉組織における脂質沈降を改善し、高脂肪飼料摂取によるグリコーゲンの増加や血管内膜の増厚などをも改善することを知見した。さらに、分子生物学的研究により、ヒヨコ豆が長期間高脂肪飼料を摂取させたマウスの脂肪組織中のアディポネクチン(Adiponectin)mRNAの発現を高める効果のあることを知見した。さらに、ヒヨコ豆から極性溶媒を使用して抽出した抽出物が高脂肪飼料の長期摂取により、上昇する血糖値を低下させる効果のあることも知見した。またさらに本発明者らは、抽出溶媒である極性溶媒の中で、低級アルコールまたは低級アルコールと水との混合物の抽出物、該中エタノール抽出物が予想外の顕著な効果を奏することを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき、更に検討を重ねて本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1] ヒヨコ豆を極性溶媒で抽出した抽出物を含有することを特徴とする肥満および/またはII型糖尿病の予防または治療剤、
[2] 肥満および/またはII型糖尿病がアディポネクチン分泌低下に起因することを特徴とする上記[1]記載の予防または治療剤、
[3] 肥満が内臓脂肪蓄積型肥満であることを特徴とする上記[1]または[2]記載の予防または治療剤、
[4] II型糖尿病がインスリン抵抗性II型糖尿病であることを特徴とする上記[1]または[2]記載の予防または治療剤、
[5] 抽出物が、以下の工程により得られるものであることを特徴とする上記[1]記載の肥満および/またはII型糖尿病の予防または治療剤;
(a)ヒヨコ豆を破砕する工程;
(b)破砕したヒヨコ豆を極性溶媒で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣を分離する工程;
(c)前記(b)工程で得られるヒヨコ豆抽出残渣を極性溶媒で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣を分離する工程を複数回繰り返す工程;および
(d)抽出液を集めて極性溶媒を除去する工程、
[6] 極性溶媒が水または/および低級アルコールであることを特徴する上記[1]または[5]記載の予防または治療剤、
[7] 極性溶媒がエタノールまたはエタノール水溶液であることを特徴する上記[1]または[5]記載の予防または治療剤、
【0009】
[8] ヒヨコ豆を極性溶媒で抽出した抽出物を含有し、肥満および/またはII型糖尿病を予防または改善する効果を有するものであることを特徴とし、肥満および/またはII型糖尿病改善のために、用いられるものである旨の表示を付した飲食品、
[9] 肥満および/またはII型糖尿病がアディポネクチン分泌低下に起因することを特徴とする上記[8]記載の飲食品、
[10] 肥満が内臓脂肪蓄積型肥満であることを特徴とする上記[8]または[9]記載の飲食品、
[11] II型糖尿病がインスリン抵抗性II型糖尿病であることを特徴とする上記[8]または[9]記載の飲食品、
[12] 抽出物が、以下の工程により得られるものであることを特徴とする上記[8]記載の飲食品;
(a)ヒヨコ豆を破砕する工程;
(b)破砕したヒヨコ豆を極性溶媒で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣を分離する工程;
(c)前記(b)工程で得られるヒヨコ豆抽出残渣を極性溶媒で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣を分離する工程を複数回繰り返す工程;および
(d)抽出液を集めて極性溶媒を除去する工程、
[13] 極性溶媒が水または/および低級アルコールであることを特徴する上記[8]または[12]記載の飲食品、
[14] 極性溶媒がエタノールまたはエタノール水溶液であることを特徴する上記[8]または[12]記載の飲食品、
[15] 飲食品の形態が、錠剤、カプセル及び液体飲料から選択される1つであることを特徴とする上記[8]〜[14]のいずれかに記載の飲食品、
[16] 液体飲料が以下の工程で製造されることを特徴とする上記[15]記載の飲食品;
上記8で得られた抽出物を破砕機にいれて破砕し、破砕した抽出物に対して5〜20倍質量の極性希釈溶媒存在下にさらに前記抽出物を破砕し、抽出物の微粒子懸濁液を作製する工程、および前記で得られた微粒子懸濁液を水で薄める工程、
[17] 以下の工程で製造される液体飲料であることを特徴とする上記[15]記載の飲食品;
(a)ヒヨコ豆を破砕してエタノールで抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣をろ過して分離し、分離したヒヨコ豆抽出残渣をエタノールで抽出し、抽出液をろ過する工程を複数回繰返し、ろ液を集めて40℃以下で加圧濃縮し、エキスを得る工程;
(b)前記(a)で得られたエキスを破砕機で破砕し、破砕したエキスを該エキスの5〜20倍量のDMSO水溶液の存在下に破砕機でさらに破砕して懸濁液とし、次いで前記懸濁液中のエキスを微粒子化し、前記微粒子をDMSO水溶液に均一に分散させて微粒子懸濁液を作製する工程;および
(c)前記(b)で得られた微粒子懸濁液を水で薄める工程、
[18] 以下の工程で製造される液体飲料であることを特徴とする上記[15]記載の飲食品;
(a)ヒヨコ豆を破砕して水で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣をろ過して分離し、ろ液を更に遠心分離して上清液とヒヨコ豆抽出残渣を分離し、ろ過および遠心分離して得られるヒヨコ豆抽出残渣を水で抽出し、抽出液をろ過し、ろ液を遠心分離する工程を複数回繰返し、上清液を集めて60℃以下で、減圧濃縮し、エキスを得る工程;
(b)前記(a)で得られたエキスを破砕機で破砕し、破砕したエキスを該エキスの5〜20倍量のDMSO水溶液の存在下に破砕機でさらに破砕して懸濁液とし、次いで前記懸濁液中のエキスを微粒子化し、前記該微粒子をDMSO水溶液に均一に分散させて微粒子懸濁液を作製する工程;および
(c)前記(b)で得られた微粒子懸濁液を水で薄める工程、および
[19] 特定保健用食品であることを特徴とする、上記[8]〜[18]のいずれかに記載の飲食品、
に関する。
【0010】
また、本発明は、
[20] ヒヨコ豆から極性溶媒を使用して抽出した抽出物を、ヒトを含む哺乳動物に投与することを特徴とする肥満および/またはII型糖尿病の予防および/または治療方法、
[21] ヒヨコ豆から極性溶媒を使用して抽出した抽出物を含有する飲食品を、ヒトを含む哺乳動物に摂食させることを特徴とする肥満および/またはII型糖尿病を予防または改善する方法、
[22] 肥満および/またはII型糖尿病を予防および/または治療する医薬を製造するための、ヒヨコ豆から極性溶媒を使用して抽出した抽出物の使用、および
[23] 肥満および/またはII型糖尿病を予防および/または改善する飲食品を製造するための、ヒヨコ豆から極性溶媒を使用して抽出した抽出物の使用、
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に用いられるヒヨコ豆を極性溶媒で抽出した抽出物は、肥満またはII型糖尿病に対して予防または治療効果を有する。
本発明の予防または治療剤、あるいは本発明の飲食品は、肥満、特に内臓脂肪が蓄積する内臓脂肪蓄積型肥満を予防または改善し得る。内臓脂肪蓄積型肥満は、高脂血症や糖尿病、あるいは高血圧症などの成人病の引き金となるので、内臓脂肪蓄積型肥満の予防または改善は、成人病の予防または治療、あるいは改善に繋がり得る。前記に関連して、本発明の予防または治療剤、あるいは本発明の飲食品は、高脂肪食摂取による肥満を予防または改善し、同時に血清脂質、例えば総コレステロール、TGまたは悪玉コレステロールであるLDL−コレステロールなどを低下させ、善玉コレステロールであるHDL−コレステロールを増加させる効果があるので、高脂血症を予防または治療、あるいは改善し得る。さらに前記高脂血症の予防などは、高脂血症に起因する心臓や脳における動脈硬化を防止できるので、例えば脳梗塞のような脳動脈疾患や狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患などを引き起こすのを防止し得る。
また、本発明の予防または治療剤、あるいは本発明の飲食品は、高脂肪食摂取により惹起されるII型糖尿病に対し、血糖値を低下させ、耐糖能などを改善する効果がある。
また、本発明の予防または治療剤、あるいは本発明の飲食品は、脂肪細胞におけるアディポネクチン遺伝子の発現を増強させるので、インスリン感受性や血管機能等に影響をもつと考えられているサイトカインの一種であるアディポネクチンの分泌を促進し得る。例えば内臓脂肪蓄積等により、血中アディポネクチン濃度が低下すると、インスリン抵抗性や冠動脈疾患が誘発されるが、本発明の予防または治療剤、あるいは本発明の飲食品は、アディポネクチンの分泌を促進し得るので、II型糖尿病、特にインスリン抵抗性糖尿病や、冠動脈疾患に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、ヒヨコ豆を極性溶媒で抽出した抽出物(以下、ヒヨコ豆エキスともいう。)を含むことを特徴とする肥満および/またはII型糖尿病の予防および/または治療剤、および飲食品に関する。
【0013】
本発明で用いられるヒヨコ豆は、マメ科の鷹嘴豆(Cicer arietinumL)であれば、大粒系(ガルバンソ)または小粒系(ブラック・チャナ)のいずれも好ましく用いることができる。ヒヨコ豆は、採取直後でも、乾燥させた後に用いてもよい。
【0014】
本発明で抽出に用いられる極性溶媒(以下、抽出用極性溶媒ということもある。)としては、水または有機極性溶媒およびこれらの混合溶媒などを挙げることができる。
水としては、飲用可能なものであれば特に制限はなく、例えば水道水または井水など常水;常水を蒸留、イオン交換、超濾過(逆浸透法/限界濾過)のいずれか、あるいはこれらを組み合わせた方法で処理した精製水;地下水または涌水などの天然水;注射用水;滅菌水またはアルカリイオン水などが挙げられる。中でも精製水が好ましく、特に陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の両方で処理した脱イオン水が好ましい。
【0015】
有機極性溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、低級アルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トリクロロエチレン、アセトニトリルなどが挙げられる。低級アルコールとしては、炭素数が1ないし4のアルコール(例.メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノールなど)を挙げることができる。
ヒヨコ豆エキスの効能や最終的に飲食品などにも配合できることを考慮すると、極性溶媒としては、安全性の観点からも水、低級アルコールまたはDMSOなどがより好ましい。
【0016】
混合溶媒は、水と有機極性溶媒との混合溶媒が好ましく、例えば低級アルコールと水との低級アルコール水溶液(例.メタノール水溶液、エタノール水溶液、イソプロパノール水溶液、プロパノール水溶液、ブタノール水溶液など)が挙げられる。水と有機極性溶媒との混合溶媒中の有機極性溶媒の濃度は、約0.1〜99.5%(V/V)、好ましくは約30〜99.5%(V/V)、さらに好ましくは約50〜99.5%(V/V)である。
本発明における好ましい極性溶媒としては、水、低級アルコールまたは低級アルコール水溶液であり、さらに好ましくは低級アルコールまたは低級アルコール水溶液であり、とくに好ましくはエタノールまたはエタノール水溶液である。なお、低級アルコール水溶液には、含水エタノールなどの含水低級アルコール[水分5%(V/V)以下]も当然に包含される。
【0017】
本発明で原料として用いられるヒヨコ豆の極性溶媒による抽出方法としては、特に限定されるものではなく、極性溶媒を上記ヒヨコ豆と接触させることにより行われる。ヒヨコ豆は、そのまま、または例えばヒヨコ豆を粉砕、破砕、切断もしくは細切したものなどを用いることができる。中でも抽出効率に優れた、例えば約1〜5mm角程度に粉砕されたヒヨコ豆が好ましい。粉砕は、公知の粉砕手段を用いることができ、例えばミルなどの粉砕機で粉砕するのが好ましい。
抽出は、極性溶媒中に例えば粉砕したヒヨコ豆を浸漬させて、例えば超音波照射、加熱還流、冷浸または温浸などの公知の方法またはこれら方法を組み合わせて行うことができる。中でも、抽出効率がよい超音波照射による方法が好ましい。抽出は常温で行われても加温下で行われてもよい。抽出温度は特に限定されないが、溶媒の沸点以下であることが好ましい。抽出に要する時間は、温度条件や抽出方法にもよるが、例えば超音波照射によって抽出する場合、該照射時間(抽出時間)は、通常約0.5〜5時間、好ましくは約2〜3時間程度である。
【0018】
次いで、抽出後のヒヨコ豆浸漬溶液は、例えばロ紙、布(例.ガーゼなど)、ガラスフィルターもしくはメンブランフィルターなどによるろ過、遠心分離、または搾汁など公知の方法、あるいはこれら公知の方法を組み合わせて使用して、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣(以下、単に抽出残渣ということもある。)を分離するのが好ましい。
ヒヨコ豆の代わりに上記した抽出残渣を使用して、極性溶媒で上記抽出方法を通常約1〜10回、好ましくは約2〜5回繰返し適用することが好ましい。抽出を繰り返し行ない、抽出液を合わせる。このようにして、ヒヨコ豆中の成分を十分に抽出し得る。
【0019】
得られた抽出液に含まれる極性溶媒は、公知の手段で除去し得る。極性溶媒の除去は、抽出液を常圧、加圧または減圧下に濃縮することにより実施できる。中でも加圧または減圧下に濃縮を行うのが好ましい。濃縮は常温で行われても加温下で行われてもよい。中でも加温下で行われるのが好ましい。加温温度は特に限定されないが、溶媒の沸点以下であることが好ましく、より好ましくは約30〜70℃である。また、得られた抽出液をそのまま、または上記いずれかの手段で濃縮後、凍結乾燥を行なってもよい。
【0020】
本発明の予防または治療剤は、有効成分としてヒヨコ豆エキスを配合することによって、製造され、医薬として用いることができる。医薬として用いる場合には、ヒヨコ豆エキスをそのまま投与してもよいが、一般的には、ヒヨコ豆エキスと製剤用添加物を含む医薬組成物の形態で投与することが望ましい。医薬組成物は、例えばカプセル剤、錠剤(糖衣錠もしくは腸溶錠などのコーティング錠または多層錠を含む。)、散剤もしくは顆粒剤などの経口固形製剤の形態をとっていてもよいし、経口液体製剤の形態をとっていてもよいし、注射剤や点滴剤、坐剤などの非経口製剤の形態をとっていてもよい。これら製剤は、公知の方法に従って製造することが可能である。
【0021】
カプセル剤、錠剤、散剤もしくは顆粒剤などの固形製剤に通常使用されている製剤用添加物としては、例えば、賦形剤(例.乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロースなど)、結合剤(例.デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、カルメロース液、アラビアゴム液、ゼラチン液、アルギン酸ナトリウム液など)、崩壊剤(例.デンプン、カルメロースナトリウム、炭酸カルシウムなど)、滑沢剤(例.ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムなど)、界面活性剤(例.ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、増粘剤(例.ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。錠剤または顆粒剤は、コーティング剤(例.ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウ、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)などで剤皮を施してもよい。カプセル剤は、ハードカプセルの他、マイクロカプセルまたはソフトカプセルなどであってもよい。固形製剤は、公知の方法により製造することができる。
【0022】
経口投与に適する液体製剤は、溶媒または分散媒、例えば、極性希釈溶媒にヒヨコ豆エキスを溶解または懸濁させることにより製造できる。該極性希釈溶媒としては、人体に対して悪い影響を与えない例えば、水、エタノール、DMSO、エタノール水溶液、DMSO水溶液などが特に好ましく挙げられる。水、エタノール水溶液またはDMSO水溶液が好ましい。エタノール水溶液またはDMSO水溶液の濃度は、通常約0.01〜50%(V/V)、好ましくは約0.01〜20%(V/V)、さらに好ましくは約0.05〜10%(V/V)、とりわけ好ましくは約0.1〜1%(V/V)程度である。
【0023】
液体製剤は、より具体的には、以下の工程により製造できる。
(a)ヒヨコ豆エキスを例えば破砕機(例.乳鉢、ミルなど)にいれて破砕し、そこへ極性希釈溶媒、例えば約0.05〜0.2%(V/V)DMSO水溶液をヒヨコ豆エキスの約5〜20倍質量、好ましくは約8〜12倍質量程度を徐々にいれながらさらに破砕して懸濁液とするのが好ましい。
(b)次いで前記(a)で得られた懸濁液をさらに例えば超音波照射またはホモジナイザーなどでヒヨコ豆エキスを微粒子化し、ヒヨコ豆エキスを極性希釈溶媒に均一に分散させた微粒子懸濁液とするのが好ましい。該微粒子懸濁液には、約5〜20倍、好ましくは、約8〜12倍希釈濃度のヒヨコ豆エキスが含まれるのが好ましい。
(c)上記(b)で得られた微粒子懸濁液は、服用時に水(例.蒸留水、精製水など)などで希釈し、ヒヨコ豆エキスの含有量が通常約0.1〜2質量%、好ましくは約0.2〜1質量%、より好ましくは約0.4〜0.8質量%とするのが好ましい。
【0024】
液体製剤には、例えば、糖類(例.ショ糖、ソルビット、果糖など)、グリコール類(例.ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)、分散または増粘剤(例.ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなど)、乳化剤(例.グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、溶解補助剤(例.アラビアゴム、ポリソルベート80など)、pH調整剤(例.クエン酸、クエン酸三ナトリウムなど)、防腐剤(例.、パラオキシ安息香酸エステル類など)を配合してもよい。
【0025】
非経口投与に適する製剤のうち注射剤や点滴剤などの血管内投与用製剤は、好ましくは体液と等張の水性媒体を用いて調製することができる。例えば、注射剤は、注射用蒸留水、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩溶液とブドウ糖溶液の混合物から選ばれる水性媒体を用い、常法に従って適当な助剤とともに溶液、懸濁液または分散液として調製することができる。腸内投与のための坐剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪または水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができる。
【0026】
また、本発明の飲食品は、ヒヨコ豆エキスを配合することによって、肥満および/またはII型糖尿病効果を有する飲食品として用いることができる。本発明の飲食品は、ヒヨコ豆エキスそのままでもよいが、一般的には、ヒヨコ豆エキスと通常の食品原料として使用されている添加剤を含む食品組成物の形態とすることが好ましい。該食品組成物は、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠などのコーティング錠または多層錠、あるいは口中崩壊剤などを含む。)、散剤もしくは顆粒剤などの固形組成物の形態をとっていてもよいし、液体組成物の形態をとっていてもよい。該添加剤としては、例えば、賦形剤(例.乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロースなど)、滑沢剤(例.ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなど)、崩壊剤(例.カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例.デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアゴム液など)、溶解補助剤(例.アラビアゴム、ポリソルベート80など)、甘味料(例.砂糖、果糖、ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテームなど)、着色料(例.β−カロテン、食用タール色素、リボフラビンなど)、保存料(例.ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウムなど)、増粘剤(例.アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(例.ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、トコフェロールなど)、香料(例.ハッカ、ストロベリー香料など)、酸味料(例.クエン酸、乳糖、DL−リンゴ酸など)、調味料(例.DL−アラニン、5’−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウムなど)、乳化剤(例.グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、pH調整剤(例.クエン酸、クエン酸三ナトリウムなど)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、色素などが挙げられる。該固形組成物は、常法に従って製造することができる。また、液体組成物は、上記経口投与に適する液体製剤と同様にして製造することができる。
【0027】
またヒヨコ豆エキスまたはそれを含む固形組成物もしくは液体組成物を飲食品に配合することによって、本発明の飲食品を製造することができる。そのような飲食品としては、例えば、菓子類(例.ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック菓子、ゼリー、グミ、錠菓など)、麺類(例.そば、うどん、ラーメンなど)、乳製品(例.ミルク、アイスクリーム、ヨーグルトなど)、調味料(例.味噌、醤油など)、スープ類、飲料(例.ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料など)をはじめとする一般食品や栄養補助食品(例.栄養ドリンクなど)などが挙げられる。
【0028】
本発明の飲食品は、肥満および/またはII型糖尿病効果を有するヒヨコ豆エキスを含有するので、肥満および/またはII型糖尿病改善のために用いられるものである旨の表示を飲食品の包装等に付することが好ましい。
また、本発明の飲食品は、肥満および/またはII型糖尿病改善のために用いられる特定保健用食品となり得る。
【0029】
上記医薬組成物または食品組成物へのヒヨコ豆エキスの配合量は、通常約10〜95質量%が好ましく、約50〜90質量%がより好ましい。
【0030】
本発明の予防または治療剤は、肥満、特に内臓脂肪蓄積型肥満の予防または治療に使用でき、本発明の飲食品は、肥満、特に内臓脂肪蓄積型肥満の抑制、改善等に使用できる。
本発明の予防または治療剤は、II型糖尿病、特にインスリン抵抗性II型糖尿病の予防または治療に使用できる。また、本発明の飲食品は、II型糖尿病、特にインスリン抵抗性II型糖尿病の発症を抑制し、また該糖尿病の病態改善等に使用できる。さらに、本発明の予防または治療剤は、肥満またはII型糖尿病に付随する各種疾患、例えば、高脂血症、高血圧症または動脈硬化症(例えば脳梗塞のような脳動脈疾患、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患)などの予防または治療に使用できる。また、本発明の飲食品は、前記した肥満またはII型糖尿病に付随する各種疾患の発症を抑制し、また該疾患の病態改善等に使用できる。
【0031】
本発明に用いられるヒヨコ豆エキスの投与または摂取量は、肥満の程度またはII型糖尿病の症状、投与対象、投与方法などにより異なるが、例えば、成人に経口的に投与する場合は、1日数回、1回量約100〜1000mg、好ましくは約200〜800mgである。
【0032】
以下に本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
[材料と方法]
1.ヒヨコ豆エキスの抽出方法
(1)エタノールによる抽出
ヒヨコ豆を1〜5mm角の大きさに破砕してビーカーに入れ、これにヒヨコ豆に対し3〜4質量部のエタノールを加え、2時間超音波を照射した。超音波照射後、ヒヨコ豆とエタノールの混合物をろ紙でろ過し、ろ液を分離した。残渣にエタノール(ヒヨコ豆に対し2〜3質量部)を加え同様に超音波照射およびろ過を4〜5回行なった。ろ液を集めて40℃の温度以下で加圧濃縮し、エタノールによるヒヨコ豆抽出物を得、ヒヨコ豆エタノールエキスとした。
(2)水による抽出
ヒヨコ豆を1〜5mm角の大きさに破砕してビーカーに入れ、これにヒヨコ豆に対し3〜4質量部の脱イオン水を加え、3時間超音波を照射した。超音波照射後、ヒヨコ豆と脱イオン水の混合物をガーゼーでろ過し、ろ液を分離した。ろ液を更に遠心分離にかけて上清液を分離した。残渣に脱イオン水(ヒヨコ豆に対し2〜3質量部)を加え同様に超音波照射、ろ過および遠心分離を3回行なった。上清液を集めて60℃の温度以下で、減圧濃縮し、水によるヒヨコ豆の抽出物を得、ヒヨコ豆水エキスとした。
(3)ヒヨコ豆エタノールエキス飲料およびヒヨコ豆水エキス飲料
(1)で得られた抽出物4g、または(2)で得られた抽出物8gを乳鉢にいれて細かく破砕し、0.1%(V/V)DMSO水溶液100mLを徐々に注ぎながら磨細した。磨細した抽出物をさらに超音波照射にて均一に分散させた後、抽出物を10倍に希釈した懸濁液を作製した。該懸濁液を、動物に摂取させる前にさらに蒸留水で薄めてヒヨコ豆エタノールエキス飲料およびヒヨコ豆水エキス飲料を作製した。飲料に含む各エキス濃度はヒヨコ豆エタノールエキス4g/Lおよびヒヨコ豆水エキス8g/Lとなるように調製した。
【0034】
2.実験動物
体重約40gのマウスを以下の5群に分けた。
(イ)正常飼料食餌群(以下、正常群と略記する。)
(ロ)高脂肪飼料食餌群(以下、高脂肪食群と略記する。)
(ハ)高脂肪+ヒヨコ豆粉混合飼料食餌群(以下、ヒヨコ豆投与群と略記する。)
(ニ)高脂肪飼料食餌+ヒヨコ豆水エキス飲料(ヒヨコ豆水エキス乾燥質量として0.4g/kgマウス/day)飲食群(以下、ヒヨコ豆水エキス投与群と略記する。)
(ホ)高脂肪飼料食餌+ヒヨコ豆エタノールエキス飲料(ヒヨコ豆エタノールエキス乾燥質量として0.2g/kgマウス/day)飲食群(以下、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群と略記する。)
【0035】
3.飼料成分
(イ)正常飼料は、基本飼料(炭水化物60質量%、蛋白質22質量%、脂肪10質量%、その他8質量%)を使用した。
(ロ)高脂肪飼料は、基本飼料にラード、粉ミルク、粉魚、砂糖などを添加して作製したもの(炭水化物40質量%、蛋白質13質量%、脂肪40質量%、その他7質量%)を使用した。
(ハ)高脂肪+ヒヨコ豆粉混合飼料は、高脂肪飼料の10質量%を削減して、その代わりに同じ量のヒヨコ豆粉を添加したものを使用した。但し、カロリー総量、炭水化物、蛋白質および脂肪の比率は、高脂肪食群の飼料とほぼ同等となるように調製した。
【0036】
4.投与方法:
実験期間中、各郡におけるマウスの上記飼料の摂取は自由摂食とした。また、正常群、高脂肪食群およびヒヨコ豆投与群には、滅菌水を自由に摂取させた。ヒヨコ豆水エキス投与群またはヒヨコ豆エタノールエキス投与群には、滅菌水の代わりにそれぞれヒヨコ豆水エキス飲料またはヒヨコ豆エタノールエキス飲料をマウスに自由に摂取させた。実験期間は100日間であった。実験期間中、一月に1回体重を測定した。
【0037】
5.インスリン負荷試験(ITT)
マウスにインスリンを1国際単位(IU)/kgの割合で腹腔内投与した。投与前または投与後0、15、30、60、90、120、180分毎にマウスの尾静脈から採血して血糖値を測定した。
本試験により、インスリン受容体異常によるインスリン抵抗性を測定することができる。II型糖尿病では、通常、インスリン受容体に異常をきたすため、インスリン抵抗性を測定することにより、II型糖尿病の診断ができる。
【0038】
6.TG、総コレステロール、LDL−コレステロールおよびHDL−コレステロール値の測定
実験100日目にマウスを断頭により採取した血液から血清を分離した。血清中のTG、総コレステロール、LDL−コレステロールおよびHDL−コレステロールの測定は、市販の測定キット(和光純薬工業株式会社製)を用いて行なった。
【0039】
7.経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)およびインスリン放出試験(IRT)
20質量%グルコース液を絶食したマウスに経口投与した(投与グルコース量は2g/kgマウス体重)。グルコース投与前および投与120分後にマウス尾静脈から採血し、血糖値およびインスリン値をそれぞれ測定した。血糖値は、自己血糖値測定装置(ワンタッチアシスト;ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社製)を用いて測定した。インスリン値は、Linco insulin assay kit(RIA、アメリカ)を用いて測定した。
【0040】
8.内臓脂肪(副睾丸脂肪組織)の分離と該脂肪組織におけるレプチン(Leptin)、LPL受容体およびアディポネクチン(Adiponectin)の各mRNAの発現
上記6により血液を採取後のマウスから内臓脂肪(副睾丸脂肪組織)を分離した。分離した該組織重量を測定した。
次いで、TRIZOL試薬(インビトロゲン社製)に添付されているプロトコールに従って分離した副睾丸脂肪組織からトータルmRNAを抽出した。抽出したmRNAを1%ホルムアルデヒド変性アガロースゲルにて電気泳動を行なった。電気泳動を行なったゲルをハイボンド−N膜(アマシャム・ファルマシア・バイオテック株式会社製)に転写(ブロット)した。転写されたハイボンド−N膜は、ランダムプライムドDNAプローブキット(タカラバイオ株式会社製)を用いて、32P−標識cDNAプローブをハイブリダイズさせた。前記ハイブリダイズは68℃で、一晩で行なった。ハイブリダイズした膜を、室温で2×SSC溶液(saline-sodium citrate solution)−0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)で洗浄し、次いで、68℃で0.1×SSC−0.1%SDSで洗浄した。その洗浄した膜は軽く乾燥させ、オートラジオグラフィー用フィルム(Hyperfilm;アマシャムバイオサエンス株式会社製)および増感スクリーンと重ね合わせ、−70℃でオートラジオグラフィーを行なった。
【0041】
[試験結果]
1.マウスの体重増加に対する影響
実験開始100日後における正常群、高脂肪食群、ヒヨコ豆投与群、ヒヨコ豆水エキス投与群、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群の体重は、それぞれ52.13±3g、69.00±6.26g、63.78±11.28g、62.33±7.04gおよび57.11±6.13gであった。
高脂肪食群のマウス体重は、正常群のそれと比較して有意に体重が増加したが、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群では、高脂肪飼料食餌によるマウス体重増加を著明に抑制した[危険率1%以下(p<0.01)で有意差あり]。また、ヒヨコ豆投与群およびヒヨコ豆水エキス投与群のマウス体重は、高脂肪食群のマウス体重よりも低かったが、統計学的に有意な差はなかった(図1、2参照)。
【0042】
2.空腹時血糖値
実験開始60日目における正常群、高脂肪食群、ヒヨコ豆水エキス投与群、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群の空腹時血糖値はそれぞれ2.96±0.6mM、4.01±0.94mM、3.47±1.1mMおよび3.01±0.55mMであった(図3参照)。
高脂肪食群の空腹時血糖値は、正常群のそれと比較して有意に増加した。これは、高脂肪飼料食餌により、空腹時血糖値が上昇することを示している。ヒヨコ豆水エキスおよびヒヨコ豆エタノールエキス投与群では、高脂肪飼料食餌による空腹時血糖値上昇を抑制する効果が認められた。特に、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群の該効果は顕著であった。
【0043】
3.内臓脂肪(副睾丸脂肪組織)重量
実験開始100日後における正常群、高脂肪食群、ヒヨコ豆投与群、ヒヨコ豆水エキス投与群、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群の内臓脂肪(副睾丸脂肪組織)重量は各々1.15±0.37g、3.28±0.59g、3.35±1.34g、3.12±0.98gおよび2.22±0.62gであった。
高脂肪食群の内臓脂肪重量は、正常群のそれに比較して約3倍程度に増加した。これは、高脂肪飼料食餌により、内臓脂肪が増加することを示している。ヒヨコ豆エタノールエキス投与群のマウスの内臓脂肪重量は、高脂肪食群のマウスの内臓脂肪重量に比較して著しい低下が認められた(危険率5%で有意差あり、p<0.05)。ヒヨコ豆投与群およびヒヨコ豆水エキス投与群のマウスの内臓脂肪重量は、高脂肪食群のマウスの内臓脂肪重量に比較して統計学的に有意な差はなかった。(図4参照)
【0044】
4.インスリン抵抗性に対する影響
実験開始90日後における各群のマウスのインスリン抵抗性をITTに基づいて評価した。その結果、ヒヨコ豆投与群、ヒヨコ豆水エキス投与群およびヒヨコ豆エタノールエキス投与群共に長期高脂肪飼料食餌によるインスリン抵抗性が著しく改善されていることが確認された。これは飼料へのヒヨコ豆粉の添加、並びにヒヨコ豆水エキス飲料またはヒヨコ豆エタノールエキス飲料によるものと考えられる。尚、ヒヨコ豆投与群、ヒヨコ豆水エキス投与群およびヒヨコ豆エタノールエキス投与群の間に有意な差はなかった。(図5、6参照)
【0045】
5.血清TG、総コレステロール、LDL−コレステロール、HDL−コレステロールに対する影響
実験開始100日後における、高脂肪食群のマウス血清TG、総コレステロール、LDL−コレステロールは、正常群に比較して有意に上昇した。ヒヨコ豆投与群、ヒヨコ豆水エキス投与群およびヒヨコ豆エタノールエキス投与群においては、高脂肪飼料食餌により上昇するTG、総コレステロール、LDL−コレステロールが抑制された。特にヒヨコ豆エタノールエキス投与群において、TG、総コレステロール、LDL−コレステロールの高脂肪飼料食餌による上昇が顕著に抑制された(表1参照)。これは飼料へのヒヨコ豆粉の添加、並びにヒヨコ豆水エキス飲料またはヒヨコ豆エタノールエキス飲料によりTG、総コレステロール、LDL−コレステロールの上昇が抑制されたものと考えられる。特に、ヒヨコ豆エタノールエキス飲料が高脂肪飼料食餌によるTG、総コレステロール、LDL−コレステロールの上昇に対して顕著な抑制効果を示した。
また、高脂肪飼料食餌をした高脂肪食群のHDL−コレステロールは、正常群のそれに比較して低下した。ヒヨコ豆水エキス投与群およびヒヨコ豆エタノールエキス投与群では、高脂肪飼料食餌によるHDL−コレステロールの低下を抑制した(図10参照)。
【0046】
【表1】

(注1)(イ)正常群、(ロ)高脂肪食群、(ハ)ヒヨコ豆投与群、(ニ)ヒヨコ豆水エキス投与群、(ホ)ヒヨコ豆エタノールエキス投与群
(注2)*は、(ロ)高脂肪食群に対して危険率5%以下(p<0.05)で有意差があることを示し、**は、(ロ)高脂肪食群に対して危険率1%以下(p<0.01)で有意差があることを示す。△は、ヒヨコ豆投与群に対して危険率5%以下(p<0.05)で有意差があることを示す。
【0047】
6.OGTTにおける血糖値とインスリン値
グルコース負荷2時間後のマウスの血糖値と血中インスリン値は、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群において、高脂肪食群の血糖値と血中インスリン値に比較して有意に低かった。ヒヨコ豆水エキス投与群の血糖値と血中インスリン濃度は、高脂肪食群の血糖値と血中インスリン濃度に比較して低かったが、有意な差は認められなかった。ヒヨコ豆投与群の血糖値は、高脂肪食群の血糖値に比較して変化が認められなかった(表2参照)。
【0048】
【表2】

(注1)(イ)正常群、(ロ)高脂肪食群、(ハ)ヒヨコ豆投与群、(ニ)ヒヨコ豆水エキス投与群、(ホ)ヒヨコ豆エタノールエキス投与群
(注2)**は、(ロ)高脂肪食群に対して危険率1%以下(p<0.01)で有意差があることを示す。△は、正常群に対して危険率5%以下(p<0.05)で有意差があることを示す。
【0049】
7.マウス脂肪組織におけるレプチン(Leptin)mRNA、LPL受容体mRNAおよびアディポネクチン(Adiponectin)mRNAの発現
結果を図7に示した。
(1)レプチンmRNA
レプチンmRNAは、高脂肪食群の脂肪組織ではその発現が正常群に比較して顕著に増加しているのが分かった。一方、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群の脂肪組織におけるレプチンmRNA量は、正常群のそれと比較してやや増加しているが、その程度は僅かと考えられた。このことは、高脂肪飼料食餌では、レプチンの分泌が増加するが、ヒヨコ豆エタノールエキスの投与により、高脂肪飼料食餌によるレプチンの分泌増加が抑制されることを示すものである。血中レプチン濃度は、ヒトにおけるBMI(Body Mass Index)や体脂肪率、あるいはゲッ歯類における体脂肪含量ときわめて良好な正の相関を示すことは知られている。このことから、高脂肪食群では、高脂肪飼料食餌により体脂肪含量が増加していることが分かる。一方、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群では、高脂肪飼料食餌による体脂肪含量の増加が抑制されたことが分かる。
(2)LDL受容体mRNA
LDL受容体mRNAは、高脂肪食群の脂肪組織ではその発現が正常群に比較して顕著に増加しているのが分かった。一方、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群の脂肪組織におけるLDL受容体量は、正常群のそれとほぼ同量程度であった。
(3)アディポネクチンmRNA
アディポネクチンmRNAは、高脂肪食群の脂肪組織ではその発現が正常群に比較して減少しているのが分かった。一方、ヒヨコ豆エタノールエキス投与群の脂肪組織におけるアディポネクチンmRNAの発現の程度は、正常群のそれと同量程度であった。このことは、高脂肪飼料食餌により、アディポネクチンの分泌が低下するが、ヒヨコ豆エタノールエキスの投与により、高脂肪飼料食餌によるアディポネクチンの分泌低下が抑制されることを示すものである。
【0050】
結論:
極性溶媒(水またはエタノール)を使用して抽出された抽出物(ヒヨコ豆エキス)はヒヨコ豆そのもの(例えばヒヨコ豆粉)に比較して、高脂肪飼料食餌による体重増加を抑制した。このことは、ヒヨコ豆エキスが肥満を防止または抑制することを示すものである。特にヒヨコ豆エタノールエキスは、ヒヨコ豆水エキスの1/2の濃度でも該効果がヒヨコ豆水エキスより大きく、さらに高脂肪飼料食餌により、内臓に付着する脂肪をも顕著に抑制するという優れた効果を示した。
また、ヒヨコ豆エキスは、高脂肪飼料食餌による血清TG、総コレステロールおよび悪玉コレステロールといわれるLDL−コレステロールの上昇、並びに高脂肪飼料食餌による善玉コレステロールといわれるHDL−コレステロールの低下を抑制した。該効果もヒヨコ豆そのものの該効果よりそれぞれ大きかった。このことは、ヒヨコ豆エキスが、高脂血症の予防、改善または治療に好ましく使用し得ることを示すものである。特にヒヨコ豆エタノールエキスは、ヒヨコ豆水エキスの1/2の濃度でも該効果が大きく、高脂血症の予防、改善または治療に特に有用であることが分かった。
さらに、ヒヨコ豆エキスは、高脂肪飼料食餌による血糖値の上昇、糖負荷試験における耐糖能の低下の抑制、インスリン抵抗性を抑制し、アディポネクチン分泌の低下を抑制し、かつ体脂肪含量の増加を抑制した。これらの効果は、ヒヨコ豆エキスが体脂肪蓄積型肥満を抑制すると共に、II型糖尿病、特にインスリン抵抗性II型糖尿病に対して有用であることを示すものである。特にヒヨコ豆エタノールエキスにおいて、前記効果が顕著に認められ、ヒヨコ豆エタノールエキスが優れた肥満およびII型糖尿病、特にインスリン抵抗性II型糖尿病の予防、改善または治療薬となり得ることを示すものである。
【0051】
[製剤例1]
錠剤
ヒヨコ豆エタノールエキス 10.0
乳糖 75.0
ステアリン酸マグネシウム 15.0
合計 100.0
上記の各重量部を均一に混合し、常法に従って錠剤とする。
【0052】
[製剤例2]
顆粒剤
ヒヨコ豆エタノールエキス 20.0
デンプン 30.0
乳糖 50.0
合計 100.0
上記の各重量部を均一に混合し、常法に従って顆粒剤とする。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の予防または治療剤は、肥満および/またはII型糖尿病の予防または治療に有用であり、本発明の飲食品は、肥満および/またはII型糖尿病を予防または改善する機能食品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、各群のマウスの体重の経日変化を示す図である。図中、(1)は正常群、(2)は高脂肪食群、(3)はヒヨコ豆投与群、(4)はヒヨコ豆水エキス投与群、(5)はヒヨコ豆エタノールエキス投与群を示す。
【図2】図2は、実験開始90日目の各群のマウスの体重を示す図である。図中、(1)は正常群、(2)は高脂肪食群、(3)はヒヨコ豆投与群、(4)はヒヨコ豆水エキス投与群、(5)はヒヨコ豆エタノールエキス投与群を示す。
【図3】図3は、実験開始60日目の各群のマウスの空腹時の血糖値を示す図である。図中、(1)は正常群、(2)は高脂肪食群、(3)はヒヨコ豆投与群、(4)はヒヨコ豆水エキス投与群、(5)はヒヨコ豆エタノールエキス投与群を示す。
【図4】図4は、実験開始100日目の各群のマウスの内臓脂肪(副睾丸脂肪)量を示す図である。図中、(1)は正常群、(2)は高脂肪食群、(3)はヒヨコ豆投与群、(4)はヒヨコ豆水エキス投与群、(5)はヒヨコ豆エタノールエキス投与群を示す。
【図5】図5は、インスリン抵抗性試験(ITT)において、マウスへのインスリン投与180分後の血糖値を示す図である。図中、(1)は正常群、(2)は高脂肪食群、(3)はヒヨコ豆投与群、(4)はヒヨコ豆水エキス投与群、(5)はヒヨコ豆エタノールエキス投与群を示す。
【図6】図6は、インスリン抵抗性試験(ITT)において、各群のマウスのインスリン投与後の血糖値の経時変化を示す図である。図中、(1)は正常群、(2)は高脂肪食群、(3)はヒヨコ豆投与群、(4)はヒヨコ豆水エキス投与群、(5)はヒヨコ豆エタノールエキス投与群を示す。
【図7】図7は、脂肪組織におけるレプチン(Leptin)mRNA、LPL受容体mRNAまたはアディポネクチン(Adiponectin)mRNAの発現を示す図である。図中、1は正常群、2は高脂肪食群、5はヒヨコ豆エタノールエキス投与群を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒヨコ豆を極性溶媒で抽出した抽出物を含有することを特徴とする肥満および/またはII型糖尿病の予防または治療剤。
【請求項2】
肥満および/またはII型糖尿病がアディポネクチン分泌低下に起因することを特徴とする請求項1記載の予防または治療剤。
【請求項3】
肥満が内臓脂肪蓄積型肥満であることを特徴とする請求項1または2記載の予防または治療剤。
【請求項4】
II型糖尿病がインスリン抵抗性II型糖尿病であることを特徴とする請求項1または2記載の予防または治療剤。
【請求項5】
抽出物が、以下の工程により得られるものであることを特徴とする請求項1記載の予防または治療剤;
(a)ヒヨコ豆を破砕する工程;
(b)破砕したヒヨコ豆を極性溶媒で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣を分離する工程;
(c)前記(b)工程で得られるヒヨコ豆抽出残渣を極性溶媒で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣を分離する工程を複数回繰り返す工程;および
(d)抽出液を集めて極性溶媒を除去する工程。
【請求項6】
極性溶媒が水または/および低級アルコールであることを特徴する請求項1または5記載の予防または治療剤。
【請求項7】
極性溶媒がエタノールまたはエタノール水溶液であることを特徴する請求項1または5記載の予防または治療剤。
【請求項8】
ヒヨコ豆を極性溶媒で抽出した抽出物を含有し、肥満および/またはII型糖尿病を予防または改善する効果を有するものであることを特徴とし、肥満および/またはII型糖尿病改善のために、用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
【請求項9】
肥満および/またはII型糖尿病がアディポネクチン分泌低下に起因することを特徴とする請求項8記載の飲食品。
【請求項10】
肥満が内臓脂肪蓄積型肥満であることを特徴とする請求項8または9記載の飲食品。
【請求項11】
II型糖尿病がインスリン抵抗性II型糖尿病であることを特徴とする請求項8または9記載の飲食品。
【請求項12】
抽出物が、以下の工程により得られるものであることを特徴とする請求項8記載の飲食品;
(a)ヒヨコ豆を破砕する工程;
(b)破砕したヒヨコ豆を極性溶媒で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣を分離する工程;
(c)前記(b)工程で得られるヒヨコ豆抽出残渣を極性溶媒で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣を分離する工程を複数回繰り返す工程;および
(d)抽出液を集めて極性溶媒を除去する工程。
【請求項13】
極性溶媒が水または/および低級アルコールであることを特徴する請求項8または12記載の飲食品。
【請求項14】
極性溶媒がエタノールまたはエタノール水溶液であることを特徴する請求項8または12記載の飲食品。
【請求項15】
飲食品の形態が、錠剤、カプセル及び液体飲料から選択される1つであることを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の飲食品。
【請求項16】
液体飲料が以下の工程で製造されることを特徴とする請求項15記載の飲食品;
請求項8で得られた抽出物を破砕機にいれて破砕し、破砕した抽出物に対して5〜20倍質量の極性希釈溶媒の存在下にさらに前記抽出物を破砕し、抽出物の微粒子懸濁液を作製する工程、および前記で得られた微粒子懸濁液を水で薄める工程。
【請求項17】
以下の工程で製造される液体飲料であることを特徴とする請求項15記載の飲食品;
(a)ヒヨコ豆を破砕してエタノールで抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣をろ過して分離し、分離したヒヨコ豆抽出残渣をエタノールで抽出し、抽出液をろ過する工程を複数回繰返し、ろ液を集めて40℃以下で加圧濃縮し、エキスを得る工程;
(b)前記(a)で得られたエキスを破砕機で破砕し、破砕したエキスを該エキスの5〜20倍量のDMSO水溶液の存在下に破砕機でさらに破砕して懸濁液とし、次いで前記懸濁液中のエキスを微粒子化し、前記微粒子をDMSO水溶液に均一に分散させて微粒子懸濁液を作製する工程;および
(c)前記(b)で得られた微粒子懸濁液を水で薄める工程。
【請求項18】
以下の工程で製造される液体飲料であることを特徴とする請求項15記載の飲食品;
(a)ヒヨコ豆を破砕して水で抽出し、抽出液とヒヨコ豆抽出残渣をろ過して分離し、ろ液を更に遠心分離して上清液とヒヨコ豆抽出残渣を分離し、ろ過および遠心分離して得られるヒヨコ豆抽出残渣を水で抽出し、抽出液をろ過し、ろ液を遠心分離する工程を複数回繰返し、上清液を集めて60℃以下で、減圧濃縮し、エキスを得る工程;
(b)前記(a)で得られたエキスを破砕機で破砕し、破砕したエキスを該エキスの5〜20倍量のDMSO水溶液の存在下に破砕機でさらに破砕して懸濁液とし、次いで前記懸濁液中のエキスを微粒子化し、前記微粒子をDMSO水溶液に均一に分散させて微粒子懸濁液を作製する工程;および
(c)前記(b)で得られた微粒子懸濁液を水で薄める工程。
【請求項19】
特定保健用食品であることを特徴とする、請求項8〜18のいずれかに記載の飲食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−249068(P2006−249068A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321602(P2005−321602)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(505411837)駿神生物医学(上海)有限公司 (1)
【出願人】(505411848)
【Fターム(参考)】