ヒンジ機構
【課題】 スライダーとこのスライダーに接触する作動体との間に、読み取り対象物等である原稿や指が挟み込まれないようにする。
【解決手段】 スライダー5に覆い板8を設け、この覆い板5の先端部分を、作動体(軸部材3,3)を囲う方向に曲げるとともに、支持部材aに対してケース本体bを最大角度に維持したとき、上記覆い板8の先端が、作動体の外接線のうち覆い板8と対向する側の鉛直線上の外接線に位置するか、あるいは上記外接線よりも作動体側に突出する構成にしている。
【解決手段】 スライダー5に覆い板8を設け、この覆い板5の先端部分を、作動体(軸部材3,3)を囲う方向に曲げるとともに、支持部材aに対してケース本体bを最大角度に維持したとき、上記覆い板8の先端が、作動体の外接線のうち覆い板8と対向する側の鉛直線上の外接線に位置するか、あるいは上記外接線よりも作動体側に突出する構成にしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコピー機などの読み取り装置と蓋とを連結するヒンジ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のヒンジ機構として、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。
この従来のヒンジ機構は、例えばコピー機などに用いるもので、この種のヒンジ機構では、一対のスライダー間にコイルスプリングを設けるとともに、支持部材とケース本体とを相対回転させたとき、支持部材に設けた軸でスライダーをコイルスプリングのばね力に抗して移動させ、上記ケース本体に対して、コピー機の蓋を押し上げる方向のトルクを発生させるようにしている。
【0003】
上記のようにしたヒンジ機構では、支持部材に設けた上記軸とスライダーとの間に、例えばコピー目的の原稿などを挟み込んでしまう危険がある。また、この軸にはグリスを塗布し、軸とスライダーとの滑り性を良くしているので、もし、コピー目的の原稿が挟み込まれてしまうと、軸に塗布したグリスがそのコピー目的の原稿に付着して、当該原稿が汚れたり損傷したりする。
【0004】
さらに、コピー機の蓋は、何らかの修理目的で90度まで開いた状態に保つことがあるが、このときには修理している者が指を上記軸とスライダーとの間に挟み込んでしまうことがある。もし、このような状態で、上記蓋が不用意に閉じてしまうと、それが怪我の基になるということもあった。
そこで、従来は、スライダーに延出片を設け、この延出片で上記軸を覆うようにし、軸とスライダーとの間に原稿や指などが挟み込まれないようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにした従来のヒンジ機構では、スライダーに設けた延出片で上記軸を完全に覆うことができず、そのために軸と延出片との間にすき間ができてしまい、軸とスライダーとの間に原稿や指が挟み込まれるという問題を解決できなかった。
この発明の目的は、従来の軸に相当する作動体とスライダーとの間に、紙や指などが挟み込まれないようにしたヒンジ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、読み取り対象物を押さえる押さえ板側に固定するケース本体と、このケース本体の両側に設けた一対のガイド面間に移動可能に設けたスライダーと、このスライダーとそのスライダーに対向する面との間に介在させたコイルスプリングとを備える一方、ケース本体の上記ガイド面間に支持軸を設け、この支持軸に回動自在に支持されるとともに読み取り装置側に固定する支持部材を設け、この支持部材には作動体を設け、支持部材が上記支持軸を中心に相対的に回動したとき、その回動力を上記スライダーに伝達して、当該スライダーを上記コイルスプリングのばね力に抗して移動させるヒンジ機構に関する。
【0008】
そして、上記スライダーに覆い板を設け、この覆い板の先端部分を、作動体を囲う方向に曲げるとともに、上記支持部材に対して上記ケース本体を最大角度に維持したとき、上記覆い板の先端が、作動体の外接線のうち覆い板と対向する側の鉛直線上の外接線に位置するか、あるいは上記外接線よりも作動体側に突出する構成にしている。
なお、上記最大角度とは、例えば、ストッパー機構で形成されるものと、ヒンジ機構の構造上必然的に定まるものとの両方が含まれる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、作動体が覆い板で常に覆われる構成にしたので、作動体とスライダーとの接触部に、読み取り対象物等が挟み込まれるおそれが全くない。
しかも、上記覆い板はスライダーに設けたので、このスライダーと一体成形することも可能になる。このように覆い板をスライダーと一体成形すれば、その製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を60度に保った状態の断面図である。
【図2】第1実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を60度に保った状態の正面図である。
【図3】第1実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を90度に保った状態の断面図である。
【図4】第1実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を90度に保った状態の正面図である。
【図5】第1実施形態の支持部材の斜視図である。
【図6】第1実施形態の支持部材に設けた作動体の取り付け状態を拡大した部分断面図である。
【図7】第2実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を60度に保った状態の断面図である。
【図8】第2実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を60度に保った状態の正面図である。
【図9】第2実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を90度に保った状態の断面図である。
【図10】第2実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を90度に保った状態の正面図である。
【図11】第2実施形態の支持部材の斜視図である。
【図12】第2実施形態の支持部材に設けた作動体の取り付け部分を拡大した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜図6に示した第1実施形態はコピー機に用いるヒンジ機構で、このヒンジ機構は、図1に示したコピー機の読み取り装置X側に固定する支持部材aと、支持軸1を介して上記支持部材aと回動自在に支持されたケース本体bとからなる。
【0012】
上記支持部材aは、コピー機の読み取り装置X側に固定する平板部a1の両側に両側起立片a2,a2を設けるとともに、これら両側起立片a2,a2間に背側起立片a3を設けている(図5参照)。
そして、平板部a1には、当該支持部材aを上記読み取り装置Xに固定するためのボルト穴a4を形成するとともに、上記両側片a2,a2には軸孔a5,a5を形成し,この軸孔a5,a5に上記支持軸1が支持される構成にしている。
【0013】
また、上記軸孔a5,a5よりもやや前方下側には、作動体としての一対の軸部材3,3を設けるとともに、これら軸部材3,3は互いの軸中心線を一致させている。そして、図6からも明らかなように、軸部材3,3の基端にフランジ部を形成するとともに、それら軸部材3,3の先端は図5からも明らかなように間隔を保持して互いに対向させている。
【0014】
さらに、軸孔a5,a5間に支持された支持軸1には、押さえ板Y(以下「蓋Y」と言う)と一体的に回動するケース本体bが回動自在に支持されるが、このケース本体bはその上板b1の両側に垂下片b2、b2を形成するとともに、上記支持軸1はこれら垂下片b2,b2を貫通して、上記軸孔a5,a5に支持されている。なお、これら垂下片b2,b2の内側対向面をこの発明のガイド面としている。
【0015】
一方、ケース本体bの垂下片b2,b2の内側対向面であるガイド面間には、第1,2スライダー5,6を摺動自在に組み込んでいるが、これら第1,2スライダー5,6間には、圧縮時にばね力を発揮するコイルスプリング7を介在させている。
そして、上記コイルスプリング7のばね力の作用で、上記第1スライダー5は支持軸1に圧接し、第2スライダー6はローラ4に圧接し、これら第1,2スライダー5,6は、支持軸1と第2作動体を構成するローラ4との間に組み込まれている。
【0016】
そして、上記第1スライダー5であって、コイルスプリング7とは反対側面に、覆い板
8を一体成形している。この覆い板8は、図2からも明らかなように、両側起立片a3,a3間にほぼいっぱいとなる幅を有するとともに、その先端部分を作動体である軸部材3,3を囲う方向に曲げている。さらに、この覆い板8は、支持部材aに対してケース本体bを最大角度に維持したとき、上記覆い板8の先端が、上記軸部材3,3の外接線のうち覆い板8と対向する側の鉛直線上の外接線に位置している(図3参照)。
【0017】
上記のように上記覆い板8の先端が、上記軸部材3,3の外接線のうち覆い板8と対向する側の鉛直線上の外接線に位置しているので、ケース本体bの回動範囲内では、覆い板8が作動体である軸部材3,3を常に覆うことになる。このようにケース本体bの回動範囲内で作動体である軸部材3,3を覆い板8で覆うので、読み取り対象物等である原稿や指が、作動体である軸部材3,3と第1スライダー5との間に挟まったりしない。
なお、上記覆い板8の先端は、支持部材aに対してケース本体bを最大角度に維持したとき、上記外接線よりも作動体側に突出する構成にしてもよいこと当然である。
【0018】
上記のようにした第1スライダー5であって、コイルスプリング7とは反対側面にカム面9を形成している。そして、上記作動体である軸部材3、3は、ケース本体bが支持部材aに対して回動する過程で、支持軸1を中心に円弧運動をするとともに、その運動の過程で上記カム面9を押して、コイルスプリング7を撓ませながら第1スライダー5を移動する。
【0019】
なお、支持部材aとケース本体bとの角度が設定角度以下の範囲、例えばこの実施形態では60度以下の範囲にあるとき、軸部材3,3がカム面9に接触する構成にし、60度以上90度の範囲では、作動体である軸部材3,3はカム面9から離なれた状態を保つ構成にしている。
そして、ケース本体bが支持部材aに対して90度の位置を保っているときには、ケース本体bの上板b1の後端が支持部材aの背側起立片a3に当たって、90度以上回動しないようにしている(図3参照)。したがって、この第1実施形態では、支持部材aに対してケース本体bを90度に開いたときが最大角度ということになる。
【0020】
また、上記のように第1スライダー5がコイルスプリング7に抗して移動することによってコイルスプリング7を撓ませるが、そのときのコイルスプリング7のばね力が、蓋Yを押し上げる力、すなわち蓋Yを開く方向のトルクとして作用する。したがって、例えばコピー機において、蓋Yが閉まった状態からそれを開けるときには、コイルスプリング7のばね力が蓋Yを開ける力に対してアシスト力となる。
反対に、開けた状態の蓋Yを閉めるときには、コイルスプリング7のばね力が、蓋Yの急激な落下を防止するための減衰力として作用する。
【0021】
いずれにしても、第1実施形態では、蓋Yが開閉する過程で、第1スライダー5と一体にした覆い板8が、作動体である軸部材3,3を覆うので、軸部材3,3と第1スライダー5との間に原稿が入り込もうとしても、覆い板8が邪魔してその進入を阻止する。このように覆い板8によって原稿などの進入が阻止されるので、上記軸部材3,3とカム面9とが接触する箇所にグリスを塗っていても、上記原稿がグリスによって汚されたりしないし、指などの挟み込みも防止できる。
【0022】
図7〜図12に示した第2実施形態は、作動体の構成を第1実施形態と相違させただけで、その他の構成及び作用は第1実施形態と同じである。
したがって、第1実施形態と同じ構成要素については、図7〜図12において第1実施形態と同じ符号を用い、それら構成の詳細な説明を省略するとともに、同一の構成要素についてはその作用の説明も省略する。
【0023】
第2実施形態における作動体は、支持部材aの両側起立片a2,a2であって、第1実施形態の軸部材3,3を設けた位置と全く同じ位置に、ローラ軸13,13を設けるとともに、このローラ軸13,13にローラ14,14を回転自在に設けてなる。
したがって、第2実施形態にいては、第1実施形態と異なり、カム面9と接触する作動体の接触部にグリスを塗布する必要がない。
【0024】
この第2実施形態によれば、ローラ14,14と第1スライダー5との間に原稿などが進入しようとしても、覆い板8が邪魔をしてそれを阻止する。したがって、ローラ14,14と第1スライダー5との間に、原稿などが挟まったり、指などを挟み込んだりしない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
コピー機の読み取り装置と蓋とを連結するヒンジ機構として最適である。
【符号の説明】
【0026】
a 支持部材
b ケース本体
X 読み取り装置
Y 押さえ板(蓋)
1 支持軸
3 作動体である軸部材
5 スライダー
7 コイルスプリング
8 覆い板
13 作動体を構成するローラ軸
14 作動体を構成するローラ
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコピー機などの読み取り装置と蓋とを連結するヒンジ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のヒンジ機構として、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。
この従来のヒンジ機構は、例えばコピー機などに用いるもので、この種のヒンジ機構では、一対のスライダー間にコイルスプリングを設けるとともに、支持部材とケース本体とを相対回転させたとき、支持部材に設けた軸でスライダーをコイルスプリングのばね力に抗して移動させ、上記ケース本体に対して、コピー機の蓋を押し上げる方向のトルクを発生させるようにしている。
【0003】
上記のようにしたヒンジ機構では、支持部材に設けた上記軸とスライダーとの間に、例えばコピー目的の原稿などを挟み込んでしまう危険がある。また、この軸にはグリスを塗布し、軸とスライダーとの滑り性を良くしているので、もし、コピー目的の原稿が挟み込まれてしまうと、軸に塗布したグリスがそのコピー目的の原稿に付着して、当該原稿が汚れたり損傷したりする。
【0004】
さらに、コピー機の蓋は、何らかの修理目的で90度まで開いた状態に保つことがあるが、このときには修理している者が指を上記軸とスライダーとの間に挟み込んでしまうことがある。もし、このような状態で、上記蓋が不用意に閉じてしまうと、それが怪我の基になるということもあった。
そこで、従来は、スライダーに延出片を設け、この延出片で上記軸を覆うようにし、軸とスライダーとの間に原稿や指などが挟み込まれないようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにした従来のヒンジ機構では、スライダーに設けた延出片で上記軸を完全に覆うことができず、そのために軸と延出片との間にすき間ができてしまい、軸とスライダーとの間に原稿や指が挟み込まれるという問題を解決できなかった。
この発明の目的は、従来の軸に相当する作動体とスライダーとの間に、紙や指などが挟み込まれないようにしたヒンジ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、読み取り対象物を押さえる押さえ板側に固定するケース本体と、このケース本体の両側に設けた一対のガイド面間に移動可能に設けたスライダーと、このスライダーとそのスライダーに対向する面との間に介在させたコイルスプリングとを備える一方、ケース本体の上記ガイド面間に支持軸を設け、この支持軸に回動自在に支持されるとともに読み取り装置側に固定する支持部材を設け、この支持部材には作動体を設け、支持部材が上記支持軸を中心に相対的に回動したとき、その回動力を上記スライダーに伝達して、当該スライダーを上記コイルスプリングのばね力に抗して移動させるヒンジ機構に関する。
【0008】
そして、上記スライダーに覆い板を設け、この覆い板の先端部分を、作動体を囲う方向に曲げるとともに、上記支持部材に対して上記ケース本体を最大角度に維持したとき、上記覆い板の先端が、作動体の外接線のうち覆い板と対向する側の鉛直線上の外接線に位置するか、あるいは上記外接線よりも作動体側に突出する構成にしている。
なお、上記最大角度とは、例えば、ストッパー機構で形成されるものと、ヒンジ機構の構造上必然的に定まるものとの両方が含まれる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、作動体が覆い板で常に覆われる構成にしたので、作動体とスライダーとの接触部に、読み取り対象物等が挟み込まれるおそれが全くない。
しかも、上記覆い板はスライダーに設けたので、このスライダーと一体成形することも可能になる。このように覆い板をスライダーと一体成形すれば、その製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を60度に保った状態の断面図である。
【図2】第1実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を60度に保った状態の正面図である。
【図3】第1実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を90度に保った状態の断面図である。
【図4】第1実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を90度に保った状態の正面図である。
【図5】第1実施形態の支持部材の斜視図である。
【図6】第1実施形態の支持部材に設けた作動体の取り付け状態を拡大した部分断面図である。
【図7】第2実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を60度に保った状態の断面図である。
【図8】第2実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を60度に保った状態の正面図である。
【図9】第2実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を90度に保った状態の断面図である。
【図10】第2実施形態を示すもので、支持部材とケース本体との角度を90度に保った状態の正面図である。
【図11】第2実施形態の支持部材の斜視図である。
【図12】第2実施形態の支持部材に設けた作動体の取り付け部分を拡大した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜図6に示した第1実施形態はコピー機に用いるヒンジ機構で、このヒンジ機構は、図1に示したコピー機の読み取り装置X側に固定する支持部材aと、支持軸1を介して上記支持部材aと回動自在に支持されたケース本体bとからなる。
【0012】
上記支持部材aは、コピー機の読み取り装置X側に固定する平板部a1の両側に両側起立片a2,a2を設けるとともに、これら両側起立片a2,a2間に背側起立片a3を設けている(図5参照)。
そして、平板部a1には、当該支持部材aを上記読み取り装置Xに固定するためのボルト穴a4を形成するとともに、上記両側片a2,a2には軸孔a5,a5を形成し,この軸孔a5,a5に上記支持軸1が支持される構成にしている。
【0013】
また、上記軸孔a5,a5よりもやや前方下側には、作動体としての一対の軸部材3,3を設けるとともに、これら軸部材3,3は互いの軸中心線を一致させている。そして、図6からも明らかなように、軸部材3,3の基端にフランジ部を形成するとともに、それら軸部材3,3の先端は図5からも明らかなように間隔を保持して互いに対向させている。
【0014】
さらに、軸孔a5,a5間に支持された支持軸1には、押さえ板Y(以下「蓋Y」と言う)と一体的に回動するケース本体bが回動自在に支持されるが、このケース本体bはその上板b1の両側に垂下片b2、b2を形成するとともに、上記支持軸1はこれら垂下片b2,b2を貫通して、上記軸孔a5,a5に支持されている。なお、これら垂下片b2,b2の内側対向面をこの発明のガイド面としている。
【0015】
一方、ケース本体bの垂下片b2,b2の内側対向面であるガイド面間には、第1,2スライダー5,6を摺動自在に組み込んでいるが、これら第1,2スライダー5,6間には、圧縮時にばね力を発揮するコイルスプリング7を介在させている。
そして、上記コイルスプリング7のばね力の作用で、上記第1スライダー5は支持軸1に圧接し、第2スライダー6はローラ4に圧接し、これら第1,2スライダー5,6は、支持軸1と第2作動体を構成するローラ4との間に組み込まれている。
【0016】
そして、上記第1スライダー5であって、コイルスプリング7とは反対側面に、覆い板
8を一体成形している。この覆い板8は、図2からも明らかなように、両側起立片a3,a3間にほぼいっぱいとなる幅を有するとともに、その先端部分を作動体である軸部材3,3を囲う方向に曲げている。さらに、この覆い板8は、支持部材aに対してケース本体bを最大角度に維持したとき、上記覆い板8の先端が、上記軸部材3,3の外接線のうち覆い板8と対向する側の鉛直線上の外接線に位置している(図3参照)。
【0017】
上記のように上記覆い板8の先端が、上記軸部材3,3の外接線のうち覆い板8と対向する側の鉛直線上の外接線に位置しているので、ケース本体bの回動範囲内では、覆い板8が作動体である軸部材3,3を常に覆うことになる。このようにケース本体bの回動範囲内で作動体である軸部材3,3を覆い板8で覆うので、読み取り対象物等である原稿や指が、作動体である軸部材3,3と第1スライダー5との間に挟まったりしない。
なお、上記覆い板8の先端は、支持部材aに対してケース本体bを最大角度に維持したとき、上記外接線よりも作動体側に突出する構成にしてもよいこと当然である。
【0018】
上記のようにした第1スライダー5であって、コイルスプリング7とは反対側面にカム面9を形成している。そして、上記作動体である軸部材3、3は、ケース本体bが支持部材aに対して回動する過程で、支持軸1を中心に円弧運動をするとともに、その運動の過程で上記カム面9を押して、コイルスプリング7を撓ませながら第1スライダー5を移動する。
【0019】
なお、支持部材aとケース本体bとの角度が設定角度以下の範囲、例えばこの実施形態では60度以下の範囲にあるとき、軸部材3,3がカム面9に接触する構成にし、60度以上90度の範囲では、作動体である軸部材3,3はカム面9から離なれた状態を保つ構成にしている。
そして、ケース本体bが支持部材aに対して90度の位置を保っているときには、ケース本体bの上板b1の後端が支持部材aの背側起立片a3に当たって、90度以上回動しないようにしている(図3参照)。したがって、この第1実施形態では、支持部材aに対してケース本体bを90度に開いたときが最大角度ということになる。
【0020】
また、上記のように第1スライダー5がコイルスプリング7に抗して移動することによってコイルスプリング7を撓ませるが、そのときのコイルスプリング7のばね力が、蓋Yを押し上げる力、すなわち蓋Yを開く方向のトルクとして作用する。したがって、例えばコピー機において、蓋Yが閉まった状態からそれを開けるときには、コイルスプリング7のばね力が蓋Yを開ける力に対してアシスト力となる。
反対に、開けた状態の蓋Yを閉めるときには、コイルスプリング7のばね力が、蓋Yの急激な落下を防止するための減衰力として作用する。
【0021】
いずれにしても、第1実施形態では、蓋Yが開閉する過程で、第1スライダー5と一体にした覆い板8が、作動体である軸部材3,3を覆うので、軸部材3,3と第1スライダー5との間に原稿が入り込もうとしても、覆い板8が邪魔してその進入を阻止する。このように覆い板8によって原稿などの進入が阻止されるので、上記軸部材3,3とカム面9とが接触する箇所にグリスを塗っていても、上記原稿がグリスによって汚されたりしないし、指などの挟み込みも防止できる。
【0022】
図7〜図12に示した第2実施形態は、作動体の構成を第1実施形態と相違させただけで、その他の構成及び作用は第1実施形態と同じである。
したがって、第1実施形態と同じ構成要素については、図7〜図12において第1実施形態と同じ符号を用い、それら構成の詳細な説明を省略するとともに、同一の構成要素についてはその作用の説明も省略する。
【0023】
第2実施形態における作動体は、支持部材aの両側起立片a2,a2であって、第1実施形態の軸部材3,3を設けた位置と全く同じ位置に、ローラ軸13,13を設けるとともに、このローラ軸13,13にローラ14,14を回転自在に設けてなる。
したがって、第2実施形態にいては、第1実施形態と異なり、カム面9と接触する作動体の接触部にグリスを塗布する必要がない。
【0024】
この第2実施形態によれば、ローラ14,14と第1スライダー5との間に原稿などが進入しようとしても、覆い板8が邪魔をしてそれを阻止する。したがって、ローラ14,14と第1スライダー5との間に、原稿などが挟まったり、指などを挟み込んだりしない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
コピー機の読み取り装置と蓋とを連結するヒンジ機構として最適である。
【符号の説明】
【0026】
a 支持部材
b ケース本体
X 読み取り装置
Y 押さえ板(蓋)
1 支持軸
3 作動体である軸部材
5 スライダー
7 コイルスプリング
8 覆い板
13 作動体を構成するローラ軸
14 作動体を構成するローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り対象物を押さえる押さえ板側に固定するケース本体と、このケース本体の両側に設けた一対のガイド面間に移動可能に設けたスライダーと、このスライダーとそのスライダーに対向する面との間に介在させたコイルスプリングとを備える一方、ケース本体の上記ガイド面間に支持軸を設け、この支持軸に回動自在に支持されるとともに読み取り装置側に固定する支持部材を設け、この支持部材には作動体を設け、支持部材が上記支持軸を中心に相対的に回動したとき、その回動力を上記スライダーに伝達して、当該スライダーを上記コイルスプリングのばね力に抗して移動させるヒンジ機構において、上記スライダーに覆い板を設け、この覆い板の先端部分を、作動体を囲う方向に曲げるとともに、上記支持部材に対して上記ケース本体を最大角度に維持したとき、上記覆い板の先端が、作動体の外接線のうち覆い板と対向する側の鉛直線上の外接線に位置するか、あるいは上記外接線よりも作動体側に突出する構成にしたヒンジ機構。
【請求項1】
読み取り対象物を押さえる押さえ板側に固定するケース本体と、このケース本体の両側に設けた一対のガイド面間に移動可能に設けたスライダーと、このスライダーとそのスライダーに対向する面との間に介在させたコイルスプリングとを備える一方、ケース本体の上記ガイド面間に支持軸を設け、この支持軸に回動自在に支持されるとともに読み取り装置側に固定する支持部材を設け、この支持部材には作動体を設け、支持部材が上記支持軸を中心に相対的に回動したとき、その回動力を上記スライダーに伝達して、当該スライダーを上記コイルスプリングのばね力に抗して移動させるヒンジ機構において、上記スライダーに覆い板を設け、この覆い板の先端部分を、作動体を囲う方向に曲げるとともに、上記支持部材に対して上記ケース本体を最大角度に維持したとき、上記覆い板の先端が、作動体の外接線のうち覆い板と対向する側の鉛直線上の外接線に位置するか、あるいは上記外接線よりも作動体側に突出する構成にしたヒンジ機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−234043(P2012−234043A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102469(P2011−102469)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000110206)トックベアリング株式会社 (83)
【出願人】(398041155)キヨタ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000110206)トックベアリング株式会社 (83)
【出願人】(398041155)キヨタ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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