説明

ヒータ支持装置

【課題】保持用ピースの破損、ピースホルダからの乖離、天井部付近での断熱不良を防止し、温度特性の均一化や寿命の向上を図る半導体製造装置用ヒータ支持装置を提供する。
【解決手段】被加熱体の周りにコイル状に形成された発熱体31が配設され、鉛直方向に保持用ピース32が多数連設され、該保持用ピース間に径方向に長い長円形状の空洞部38が形成され、前記発熱体が前記空洞部を挿通し、前記保持用ピースを介して支持され、該保持用ピースの上面と下面のいずれか一方に、前記発熱体と交わる方向に嵌合凹部が形成されると共に、他方に前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成され、前記保持用ピースは前記嵌合凹部と前記嵌合凸部との嵌合を介して連設された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置、特に縦型炉に使用される半導体製造装置用ヒータ支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の1つに拡散、化学気相成長工程があり、斯かる工程を行う装置として縦型炉がある。
【0003】
該縦型炉は炉内を加熱しつつ反応ガスを供給してウェーハ等の被処理基板表面に各種薄膜を生成するものであり、加熱装置としてヒータを具備している。
【0004】
先ず、図8に於いて、従来の半導体製造装置用ヒータを具備する縦型炉の概略について説明する。
【0005】
縦型炉1は筒状のヒータ2を有し、該ヒータ2の内側には、均熱管3と反応管4が同心多重に設けられており、該反応管4にボート5が装入される様になっている。該ボート5はボートキャップ6を介してエレベータキャップ7に載置され、該エレベータキャップ7は図示しないボートエレベータにより昇降可能に設けられている。
【0006】
前記反応管4の上端には、ガス導入管8が挿通され、前記反応管4の下端には排気口9が設けられている。前記ガス導入管8の下端はガス供給管10と接続され、前記排気口9は排気管11と接続されている。
【0007】
前記ボート5を前記反応管4より引出した状態で、所定枚数のウェーハ12を前記ボート5に装填し、前記ボートエレベータ(図示せず)により前記ボート5を上昇させ、前記反応管4内に装入する。前記ヒータ2で前記反応管4内を所定の温度に加熱し、前記ガス供給管10、前記ガス導入管8により反応ガスを前記反応管4内に導入し、前記ウェーハ12表面に薄膜を生成し、反応後のガスは前記排気口9、前記排気管11を経て排気される。
【0008】
次に、図8〜図10に於いて、従来の前記ヒータ2について説明する。
【0009】
該ヒータ2は、前記均熱管3の周りを囲む様に設けられたコイル状の発熱体13、該発熱体13を支持する保持用ピース14、該保持用ピース14を支持するピースホルダ15、該ピースホルダ15の周囲に巻設された周囲断熱材16及び該周囲断熱材16の天井部を閉塞する天井部断熱材17から構成され、前記周囲断熱材16及び前記天井部断熱材17は図示しないヒータケースにより周囲を覆われている。又、前記発熱体13は断面が円形であり、前記保持用ピース14により円周を所要等分した位置で支持されている。
【0010】
該保持用ピース14はハイアルミナ製で、鉛直方向に多数個連結されている。該保持用ピース14の上面には、外側斜め上方に延出する突起部18,19が形成され、該突起部18,19の間には、断面が半円形状の上向凹曲面21が形成されている。又、前記保持用ピース14の下面には凹部22が形成され、該凹部22には断面が逆台形形状の嵌合部23と、該嵌合部23と連続して形成された断面が半円形状の下向凹曲面24が形成され、前記嵌合部23は前記突起部18,19と嵌合可能となっている。該突起部18,19と前記嵌合部23とが嵌合することで、前記上向凹曲面21と前記下向凹曲面24により前記発熱体13が挿通される空洞部が形成される様になっている。
【0011】
又、図11は、前記保持用ピース14の他の従来例を示している。
【0012】
保持用ピース25の上面左方には、両端が外側斜め上方に延出する断面が逆台形形状の嵌合凸部26が形成され、該嵌合凸部26の右方には断面が半長円形状の上向凹曲面27が形成されている。又、前記保持用ピース25の下面左方には、前記嵌合凸部26と嵌合可能な断面が逆台形形状の嵌合凹部28が形成されている。前記嵌合凸部26と前記嵌合凹部28とが嵌合することで、前記上向凹曲面27と前記保持用ピース25の下面により前記発熱体13が挿通される空洞部が形成される様になっている。
【0013】
従来のヒータ2の場合、輸送時に於ける前記発熱体13の振動や、ウェーハ12の成膜処理時の前記発熱体13の熱膨張及び収縮により、前記保持用ピース14,25に外力が加わった場合、鉛直方向に連結された多数の前記保持用ピース14,25の内の1つに径方向或は円周方向の外力が集中する。更に、外力が集中する前記保持用ピース14,25内でも、前記保持用ピース14であれば図12(A)に示される様に前記嵌合部23の角部、前記保持用ピース25であれば図13(A)に示される様に前記嵌合凹部28の角部、即ち前記保持用ピース14同士、或は前記保持用ピース25同士の連結部付近に応力が集中し、破損することがある。前記保持用ピース14,25が破損することで、前記ヒータ2の生産に於ける歩留りを悪化させていた。
【0014】
又、前記保持用ピース14,25が破損し、破損片が落下すると、前記保持用ピース14,25が前記発熱体13を支持できなくなる為、該発熱体13同士が接触して短絡する、或は前記均熱管3に接触して漏電する等の事故が発生し、前記発熱体13の寿命が短くなる虞れがあった。
【0015】
更に、従来のヒータ2では、図14に示される様に、輸送時に於ける振動や前記発熱体13の熱膨張及び収縮により、前記保持用ピース14,25及び前記ピースホルダ15が前記周囲断熱材16から乖離したり、或は前記ピースホルダ15と前記周囲断熱材16との熱膨張差により前記天井部断熱材17が押上げられ、該天井部断熱材17と前記周囲断熱材16との間に隙間が生じ、該隙間から熱が逃げることで断熱不良を引き起すという問題があった。
【0016】
尚、保持用ピースの縦型炉の径方向及び円周方向の相対変位を規制し、保持用ピースと連結されたピースホルダの縦型炉の中心方向への動きを規制したことで、発熱体の熱膨張、収縮により保持用ピースの連結外れや部品の破損を防止するヒータ支持装置として特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11−67424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は斯かる実情に鑑み、保持用ピースの破損、ピースホルダからの乖離、天井部付近での断熱不良を防止し、温度特性の均一化や寿命の向上を図る半導体製造装置用ヒータ支持装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、被加熱体の周りにコイル状に形成された発熱体が配設され、鉛直方向に保持用ピースが多数連設され、該保持用ピース間に径方向に長い長円形状の空洞部が形成され、前記発熱体が前記空洞部を挿通し、前記保持用ピースを介して支持され、該保持用ピースの上面と下面のいずれか一方に、前記発熱体と交わる方向に嵌合凹部が形成されると共に、他方に前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成され、前記保持用ピースは前記嵌合凹部と前記嵌合凸部との嵌合を介して連設されたヒータ支持装置に係るものである。
【0020】
又本発明は、前記保持用ピースが鉛直方向に連設されたピースホルダにより水平方向の動きが規制される様支持され、該ピースホルダが前記発熱体の周りに設けられた周囲断熱材に支持されたヒータ支持装置に係り、又前記ピースホルダは凹部を有し平断面が凹字状であり、前記凹部の対向面の少なくとも一面と、前記保持用ピース側面の少なくとも一面のいずれか一方に鉛直方向に延びる係止溝を形成し、他方に該係止溝に嵌合可能で鉛直方向に延びる係止凸部を形成し、前記保持用ピースが前記ピースホルダ間に掛渡った状態で前記凹部に嵌合すると共に、前記係止凸部が前記係止溝に嵌合するヒータ支持装置に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、被加熱体の周りにコイル状に形成された発熱体が配設され、鉛直方向に保持用ピースが多数連設され、該保持用ピース間に径方向に長い長円形状の空洞部が形成され、前記発熱体が前記空洞部を挿通し、前記保持用ピースを介して支持され、該保持用ピースの上面と下面のいずれか一方に、前記発熱体と交わる方向に嵌合凹部が形成されると共に、他方に前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成され、前記保持用ピースは前記嵌合凹部と前記嵌合凸部との嵌合を介して連設されたので、前記発熱体が昇降温時に熱膨張及び収縮した場合でも前記空洞部により前記保持用ピースに力を作用させることがないと共に、輸送時の振動等により前記保持用ピースに外力が作用した場合であっても、単一の保持用ピースに外力を集中させることなく、又該保持用ピースの内部で応力を集中させることなく上下の保持用ピースに外力を分散させることができ、前記保持用ピースの破損を防止することができる。
【0022】
又本発明によれば、前記保持用ピースが鉛直方向に連設されたピースホルダにより水平方向の動きが規制される様支持され、該ピースホルダが前記発熱体の周りに設けられた周囲断熱材に支持されたので、前記発熱体の熱膨張及び収縮によって前記保持用ピース間の連結等が外れる事による破損、及び前記発熱体同士が接触する短絡事故や、前記発熱体と他の部材が接触する漏電事故の発生を防止することができる。
【0023】
更に又本発明によれば、前記ピースホルダは凹部を有し平断面が凹字状であり、前記凹部の対向面の少なくとも一面と、前記保持用ピース側面の少なくとも一面のいずれか一方に鉛直方向に延びる係止溝を形成し、他方に該係止溝に嵌合可能で鉛直方向に延びる係止凸部を形成し、前記保持用ピースが前記ピースホルダ間に掛渡った状態で前記凹部に嵌合すると共に、前記係止凸部が前記係止溝に嵌合するので、輸送時等に保持用ピースの連結等が外れることによる破損を防止でき、ヒータの再組立作業等の作業者の労力を低減することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に於けるヒータの縦断面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図2のB拡大図である。
【図4】本発明に於ける保持用ピースであり、(A)は該保持用ピースの平面図を示し、(B)は該保持用ピースの正面図を示し、(C)は該保持用ピースの側面図を示している。
【図5】本発明に於けるピースホルダであり、(A)は該ピースホルダの平面図を示し、(B)は該ピースホルダの側面図を示している。
【図6】図1のC拡大図である。
【図7】図1のD拡大図である。
【図8】従来の縦型炉を示す縦断面図である。
【図9】従来のヒータを示す概略縦断面図である。
【図10】従来の保持用ピースであり、(A)は該保持用ピースの平面図を示し、(B)は該保持用ピースの正面図を示している。
【図11】他の従来例を示す保持用ピースであり、(A)は該保持用ピースの平面図を示し、(B)は該保持用ピースの正面図を示している。
【図12】従来の保持用ピースの破損例であり、(A)は要部拡大正面図を示し、(B)は要部拡大側面図を示している。
【図13】他の従来例の保持用ピースの破損例であり、(A)は要部拡大正面図を示し、(B)は要部拡大側面図を示している。
【図14】従来のヒータに於けるピースホルダの周囲断熱材からの乖離、及び天井部断熱材と周囲断熱材との間に生じた隙間を示す概略縦断面図である。
【図15】本発明に於ける複数連結された保持用ピースであり、(A)は通常状態に於ける側面図を示し、(B)は保持用ピースに円周方向の外力が加えられた状態の側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0026】
先ず、図1〜図7に於いて、本発明に於けるヒータ30について説明する。
【0027】
被加熱体である均熱管(図示せず)と同心にコイル状の発熱体31が設けられ、該発熱体31は断面が円形で、連結された保持用ピース32により円周を所要等分した位置で支持されている。
【0028】
該保持用ピース32はハイアルミナ製で、鉛直方向に多数連結されている。図4に於いて、該保持用ピース32について説明する。尚、図4(B)に於ける上下左右を、該保持用ピース32の上下左右とする。又、図4(B)の右側を前記ヒータ30の中心側、左側を反中心側とし、図4(A)に於ける上下方向を厚み方向とする。
【0029】
前記保持用ピース32の上面には、断面が半長円形状の上向凹曲面33が形成されると共に、該上向凹曲面33を除いた上面の厚み方向中央には、中心方向側の端部から反中心方向側の端部に掛けて水平方向に延びる、即ち前記発熱体31と直交する方向(前記上向凹曲面33の軸心と直交する方向)に延びる半円柱又は略半円柱形状の嵌合凸部34が形成されている。又、前記保持用ピース32の前面及び背面の反中心側には、鉛直方向に延びる略半円柱形状の係止凹部35,35が凹設されている。
【0030】
又、前記保持用ピース32の下面には、断面が半長円形状の下向凹曲面36が形成されると共に、該下向凹曲面36を除いた下面の厚み方向中央には、前記発熱体31と直交する方向(前記下向凹曲面36の軸心と直交する方向)に延びる半円柱又は略半円柱形状の嵌合凹部37が形成され、該嵌合凹部37は前記嵌合凸部34と嵌合可能となっている。又、前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37とで前記保持用ピース32の嵌合部を構成し、該保持用ピース32は前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37との嵌合を介して、上下方向に多数連設される様になっている。更に、前記保持用ピース32が後述するピースホルダ42に取付けられた際に、前記嵌合部は縦型炉(図示せず)の炉心に対して放射状となる様になっている。
【0031】
前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37とが嵌合することにより、前記各保持用ピース32間の鉛直方向及び前記縦型炉の円周方向の相対変位が規制され、又前記上向凹曲面33と前記下向凹曲面36とで縦型炉の径方向に長い断面が長円形状の空洞部38が形成される様になっている。前記保持用ピース32が鉛直方向に多数連結されることで、鉛直方向に等間隔で多数の前記空洞部38が形成される様になっている。
【0032】
尚、前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37は半円柱又は略半円柱形状であり、曲面を有しているので、前記保持用ピース32,32が嵌合している場合でも、曲面を介して該保持用ピース32が僅かに傾動でき、該保持用ピース32に掛る円周方向の外力を吸収できると共に前記嵌合部に掛る応力を分散できる様になっている。
【0033】
又、図15(A)は該保持用ピース32の平常時に於ける連結状態を示しており、該保持用ピース32に掛る円周方向の外力が大きく、前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37の曲面を介した傾動で外力を吸収しきれなかった場合でも、図15(B)に示される様に、外力が掛る保持用ピース32の前記嵌合凹部37が、該嵌合凹部37と嵌合する前記嵌合凸部34に曲面を介して乗上げ、又前記外力が掛る保持用ピース32の前記嵌合凸部34が、該嵌合凸部34と嵌合する前記嵌合凹部37を曲面を介して押上げることで、前記外力が掛る保持用ピース32が円周方向に相対変位し、又連結された前記保持用ピース32が上方に相対変位し、前記嵌合部に掛る応力を上方に分散できる様になっている。
【0034】
又、前記保持用ピース32に掛る円周方向の外力がなくなった場合には、該保持用ピース32の自重により前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37の曲面を介して反外力方向に相対変位し、前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37とが再度嵌合し、図15(A)の状態となる。
【0035】
連結された前記保持用ピース32の最上段には、前記上向凹曲面33と後述するホルダ支持部39との間に空洞部38aが形成され、前記嵌合凸部34と前記ホルダ支持部39との間には間隙40が形成される。又、最下段には前記保持用ピース32と、前記上向凹曲面33と前記嵌合凸部34を有する最下段用保持用ピース41とが嵌合することにより空洞部38bが形成される。
【0036】
前記発熱体31は、非発熱時の最も収縮した状態で前記空洞部38の中心側に位置し、該空洞部38の反中心側に空隙を保つ様、該空洞部38に挿通され支持される。
【0037】
前記保持用ピース32は、前記縦型炉の反中心側でピースホルダ42に嵌合されている。該ピースホルダ42は縦長の直方体に鉛直方向に貫通する凹部43が刻設された形状となっている。又、前記ピースホルダ42は水平断面が略凹字状であり、前記凹部43の両内側面には、前記係止凹部35と嵌合可能で鉛直方向に延びる略半円柱形状の係止凸部44,44が形成されている。
【0038】
又、前記ピースホルダ42は、継目の位置が前記保持用ピース32の継目の位置と一致しない様、鉛直方向に連結され、前記保持用ピース32の前記縦型炉の反中心側は前記凹部43に嵌合可能であり、前記保持用ピース32が前記凹部43に嵌合し、前記係止凹部35,35に前記係止凸部44,44が嵌合することにより、前記保持用ピース32の前記ピースホルダ42に対する前記縦型炉の径方向及び円周方向の相対変位が規制される様になっている。
【0039】
該ピースホルダ42の周囲には、前記発熱体31と同心に円筒形状の周囲断熱材47,48が2重に設けられている。該周囲断熱材47には、円周を所要等分した位置に、上端から下端に亘って鉛直方向にそれぞれ溝49が刻設され、該溝49に前記ピースホルダ42が反中心方向側及び円周方向側の3側面を当接させて支持されている。連結された前記ピースホルダ42の最上段には最上段用ピースホルダ42aが連結され、最下段には最下段用ピースホルダ42bが連結され、連結された前記ピースホルダ42の高さは、前記周囲断熱材47の高さよりも低くなっている。更に、前記周囲断熱材48の外面は、図示しないヒータケースにより覆われている。
【0040】
前記周囲断熱材47,48の上端には、円盤形状の天井部断熱材51が水平姿勢で設けられている。該天井部断熱材51下面の所要箇所には前記ホルダ支持部39が突設され、該ホルダ支持部39の下面の位置は、前記最上段用ピースホルダ42aの上端の位置よりも低くなっている。又、前記ホルダ支持部39の前記最上段用ピースホルダ42aと対向する位置にはホルダ支持凹部52が形成されており、前記最上段用ピースホルダ42aの上端が前記ホルダ支持凹部52に挿入される様になっている。尚、前記ホルダ支持部39は、前記天井部断熱材51下面の所要箇所に突設するのではなく、リング状としてもよい。
【0041】
尚、前記ホルダ支持凹部52の底面の位置は前記最上段用ピースホルダ42aの上端よりも高くなっており、該最上段用ピースホルダ42aの上端と前記ホルダ支持凹部52の底面との間には間隙53が形成される。
【0042】
前記ピースホルダ42及び前記周囲断熱材47,48は、断熱シート54を介して円柱形状のヒータコイル受け55に立設され、該ヒータコイル受け55上面の内端部には、前記断熱シート54を介して最下段用保持用ピース41を支持する隆起部56が形成されると共に、該隆起部56の外周縁との間にホルダ支持凹部57が形成される様隆起部58が形成されている。前記ホルダ支持凹部57は前記ホルダ支持凹部52と同心且つ同径の円形となっており、前記ホルダ支持凹部57に前記最下段用ピースホルダ42bの下端が挿入され、支持される様になっている。又、前記ヒータコイル受け55の外周面及び下面には、それぞれ前記断熱シート54が貼設されている。
【0043】
上記の様に、前記最上段用ピースホルダ42aの上端部が前記ホルダ支持凹部52に挿入され、更に前記最下段用保持用ピース41が前記隆起部56上に支持されることで前記最下段用ピースホルダ42bが下方に突出し、突出した部分が前記ホルダ支持凹部57に挿入されるので、前記ピースホルダ42は前記ホルダ支持部39及び前記ヒータコイル受け55によって径方向への動きが規制される。
【0044】
縦型炉(図示せず)内でウェーハに成膜処理を行っている間、前記縦型炉は前記発熱体31により加熱され、該発熱体31自体も高温となっている。該発熱体31は熱により膨張し、コイル径が拡大し、全周に亘って前記縦型炉の反中心方向に移動する。前記空洞部38は長円形状であり、前記縦型炉の反中心側に隙間を有するので、前記発熱体31が前記空洞部38で移動した際にも前記保持用ピース32に力が作用することなく、又連結された前記ピースホルダ42は上端及び下端がそれぞれ前記ホルダ支持凹部52及び前記ホルダ支持凹部57に挿入され、支持されていると共に前記ピースホルダ42の反中心方向側側面が前記周囲断熱材47により支持されているので前記ピースホルダ42が前記縦型炉の反中心方向に移動することがない。
【0045】
又、前記発熱体31の熱により、熱膨張率の異なる前記保持用ピース32、前記ピースホルダ42及び前記周囲断熱材47がそれぞれ熱膨張し、熱膨張差で上端の位置が相対変化するが、前記最上段用ピースホルダ42aの上端と前記ホルダ支持凹部52の底面との間に前記間隙53が形成されているので、前記ピースホルダ42が熱膨張により前記天井部断熱材51を押上げることがなく、又最上段の前記保持用ピース32の前記嵌合凸部34と前記ホルダ支持部39との間に前記間隙40が形成されているので、前記保持用ピース32が前記ホルダ支持部39を押上げることがなく、該天井部断熱材51と前記周囲断熱材47との間に隙間を生じ、該隙間から熱が逃げることで断熱不良を引き起すことがない。
【0046】
成膜処理が終了した後、前記発熱体31は発熱を停止し、該発熱体31自体の温度が低下することで該発熱体31のコイル径が縮小し、全周に亘って前記縦型炉の中心方向に移動する。前記発熱体31は、最も収縮した状態で前記空洞部38の中心側に位置する様予め設定されているので、前記発熱体31のコイル径の縮小により、前記保持用ピース32に中心方向の力が作用することがなく、又連結されたピースホルダ42は上端及び下端がそれぞれ前記ホルダ支持凹部52及び前記ホルダ支持凹部57に挿入され支持されているので、前記ピースホルダ42が前記縦型炉の中心方向に移動し、前記周囲断熱材47から前記ピースホルダ42が乖離することがない。
【0047】
又、前記保持用ピース32の嵌合部である前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37が、前記縦型炉の炉心に対して放射状となる様、中心側端部から反中心側端部に亘って形成されているので、前記発熱体31の昇降温時に於ける熱膨張及び収縮や、該発熱体31の輸送時の振動によって前記保持用ピース32に径方向の外力が作用した場合であっても、単一の保持用ピース32に外力を集中させることなく、又該保持用ピース32の嵌合部に応力を集中させることなく上下の保持用ピース32に外力を分散させ、該保持用ピース32の破損を防止することができる。
【0048】
又、前記嵌合凸部34及び前記嵌合凹部37の形状を半円柱又は略半円柱形状とし、上下の前記保持用ピース32を完全に嵌込まない形状としたので、輸送時の振動等により前記保持用ピース32に円周方向の外力が作用した場合であっても、該保持用ピース32が僅かに傾動することで前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37に集中する応力を分散させることができ、前記保持用ピース32が破損するのを防止することができる。
【0049】
又、該保持用ピース32に作用する円周方向の外力が大きく、該保持用ピース32の傾動では前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37に集中する応力を分散しきれない場合でも、外力が作用した保持用ピース32が、該保持用ピース32の前記嵌合凹部37と嵌合する前記嵌合凸部34の曲面を介して乗上げると共に、外力が作用した保持用ピース32の前記嵌合凸部34が、該嵌合凸部34と嵌合していた前記嵌合凹部37を曲面を介して押上げ、円周方向及び上方に相対変位するので、前記嵌合凸部34と前記嵌合凹部37に集中する応力を上方に分散させることができ、前記保持用ピース32が破損するのを防止することができる。
【0050】
又この時、前記外力が作用した保持用ピース32が、該保持用ピース32の前記嵌合凹部37と嵌合する前記嵌合凸部34に乗上げると共に、前記外力が作用した保持用ピース32の前記嵌合凸部34が、該嵌合凸部34と嵌合していた前記嵌合凹部37を押上げることで、最上段の保持用ピース32の前記嵌合凸部34が上方に相対変位するが、前記間隙40により前記最上段の保持用ピース32の嵌合凸部34の相対変位量を吸収でき、該保持用ピース32の嵌合凸部34が前記ホルダ支持部39を押上げ、前記天井部断熱材51と前記周囲断熱材47との間に隙間を生じることがない。
【0051】
更に、該保持用ピース32の破損を防止することで、ヒータ生産に於ける歩留りを増加させることができると共に、前記発熱体31が他の部材と接触することで発生する短絡や漏電等の事故を防ぐことができ、ヒータ30の寿命及び安全性の向上を図ることができる。
【0052】
尚、本実施例に於いては、前記保持用ピース32の上面に前記嵌合凸部34を形成し、下面に前記嵌合凹部37を形成しているが、上面に該嵌合凹部37を形成し、下面に前記嵌合凸部34を形成してもよい。
【0053】
又、本実施例では、前記保持用ピース32に前記係止凹部35,35を形成し、前記ピースホルダ42に前記係止凸部44,44を形成しているが、前記保持用ピース32に前記係止凸部44,44を形成し、前記ピースホルダ42に前記係止凹部35,35を形成してもよい。
【0054】
更に、本実施例では、前記最上段用ピースホルダ42aの上端を前記ホルダ支持部39に形成された前記ホルダ支持凹部52に挿入し、前記ピースホルダ42の径方向の動きを規制しているが、前記天井部断熱材51の前記最上段用ピースホルダ42aの上端と対向する位置にホルダ支持凹部を穿設し、該ホルダ支持凹部に前記最上段用ピースホルダ42aの上端を挿入し、前記ピースホルダ42の動きを規制することで、前記ホルダ支持部39を省略することができ、コストの削減を図ることができる。
【0055】
尚、本実施例では、前記ヒータ30を半導体製造装置に実施した場合について説明したが、半導体製造装置以外であっても炉を有する装置に対して実施可能であることは言う迄もない。
【0056】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0057】
(付記1)被加熱体の周りにコイル状に形成された発熱体が配設され、鉛直方向に保持用ピースが多数連設され、該保持用ピース間に径方向に長い長円形状の空洞部が形成され、前記発熱体が前記空洞部を挿通し、前記保持用ピースを介して支持され、該保持用ピースの上面と下面のいずれか一方に、前記発熱体と交わる方向に嵌合凹部が形成されると共に、他方に前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成され、前記保持用ピースは前記嵌合凹部と前記嵌合凸部との嵌合を介して連設されたことを特徴とするヒータ支持装置。
【0058】
(付記2)前記保持用ピースが鉛直方向に連設されたピースホルダにより水平方向の動きが規制される様支持され、該ピースホルダが前記発熱体の周りに設けられた周囲断熱材に支持された付記1のヒータ支持装置。
【0059】
(付記3)前記嵌合凹部及び嵌合凸部は、前記被加熱体に対して放射状となる様前記保持用ピースの上面或は下面の一端から他端に亘って形成された付記1のヒータ支持装置。
【0060】
(付記4)前記周囲断熱材の上端に天井部断熱材が設けられ、該天井部断熱材の下面にホルダ支持部が突設され、該ホルダ支持部に前記ピースホルダの上端部が挿入可能なホルダ支持凹部が形成された付記2のヒータ支持装置。
【0061】
(付記5)前記周囲断熱材の上端に天井部断熱材が設けられ、該天井部断熱材に前記ピースホルダの上端部が挿入可能なホルダ支持凹部が形成された付記2のヒータ支持装置。
【0062】
(付記6)前記ピースホルダの上端と前記ホルダ支持凹部の底面との間には間隙が形成された付記4又は付記5のヒータ支持装置。
【符号の説明】
【0063】
30 ヒータ
31 発熱体
32 保持用ピース
34 嵌合凸部
35 係止凹部
37 嵌合凹部
38 空洞部
39 ホルダ支持部
42 ピースホルダ
44 係止凸部
52 ホルダ支持凹部
53 間隙
55 ヒータコイル受け
56 隆起部
57 ホルダ支持凹部
58 隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱体の周りにコイル状に形成された発熱体が配設され、鉛直方向に保持用ピースが多数連設され、該保持用ピース間に径方向に長い長円形状の空洞部が形成され、前記発熱体が前記空洞部を挿通し、前記保持用ピースを介して支持され、該保持用ピースの上面と下面のいずれか一方に、前記発熱体と交わる方向に嵌合凹部が形成されると共に、他方に前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成され、前記保持用ピースは前記嵌合凹部と前記嵌合凸部との嵌合を介して連設されたことを特徴とするヒータ支持装置。
【請求項2】
前記保持用ピースが鉛直方向に連設されたピースホルダにより水平方向の動きが規制される様支持され、該ピースホルダが前記発熱体の周りに設けられた周囲断熱材に支持された請求項1のヒータ支持装置。
【請求項3】
前記ピースホルダは凹部を有し平断面が凹字状であり、前記凹部の対向面の少なくとも一面と、前記保持用ピース側面の少なくとも一面のいずれか一方に鉛直方向に延びる係止溝を形成し、他方に該係止溝に嵌合可能で鉛直方向に延びる係止凸部を形成し、前記保持用ピースが前記ピースホルダ間に掛渡った状態で前記凹部に嵌合すると共に、前記係止凸部が前記係止溝に嵌合する請求項2のヒータ支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−258544(P2011−258544A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58673(P2011−58673)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】