説明

ヒートシール装置

【課題】シール強度が不安定になり難いヒートシール装置を提供すること。
【解決手段】本発明のヒートシール装置1Aは、重ね合わされた帯状の被加工シート2を、一対のシールブロック体3間に供給通過させて、被加工シート2に間欠的にシールを施す装置である。各シールブロック体3は、被加工シート2にシールを施すシールブロック体3の先端に固定されたパターンブロック4と、シールブロック体3の内部に、パターンブロック4を加熱するヒーターブロック5とを有している。ヒーターブロック5は、パターンブロック4と離間可能に備えられている。ヒートシール装置1Aは、一対のパターンブロック4により被加工シート2を挟み付けてシールする。各シールブロック体3のヒーターブロック5は、シール時にパターンブロック4と離間し、シール後にパターンブロック4と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の被加工シートに間欠的にシールを施すヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱板式,超音波式,熱風式,インパルス式等の熱源のヒートシール装置が知られ、シール装置の機構としては、回転式(ロータリー式),往復式(レシプロ式)の機構が知られている。更に、回転式(ロータリー式),往復式(レシプロ式)のシール装置の機構それぞれは、シール時間を長くするように工夫され、所謂ボックスモーション式の機構,速度可変式の機構のヒートシール装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ボックスモーションの1サイクル時間を一定にした状態で、かつ一定のストロークのシール距離に対してボックスモーションの1サイクル中のシール時間が相対的に長くなるように制御したボックスモーション型エンドシール(横シール)・カット装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、十分な熱量を供給する特許文献1に記載のボックスモーション式のシール装置においてでも、シール強度が不安定になる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−50934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、シール強度が不安定になり難いヒートシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、重ね合わされた帯状の被加工シートを、相対向する一対のシールブロック体間に供給通過させて、該被加工シートに間欠的にシールを施すヒートシール装置であって、一対の前記シールブロック体それぞれは、前記被加工シートにシールを施す該シールブロック体の先端に固定されたパターンブロックと、該シールブロック体の内部に、該パターンブロックを加熱するヒーターブロックとを有し、前記ヒーターブロックは、前記パターンブロックと離間可能に備えられており、相対向する一対の前記パターンブロックにより前記被加工シートを挟み付けてシールし、一対の前記シールブロック体の前記ヒーターブロックそれぞれは、シール時に前記パターンブロックと離間し、シール後に前記パターンブロックと接触するヒートシール装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のヒートシール装置によれば、シール強度が不安定になり難い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のヒートシール装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示すヒートシール装置におけるシールブロック体の正面図である。
【図3】図3は、図2に示すY1−Y1線断面図である。
【図4】図4は、図1に示すヒートシール装置を用いて帯状の被加工シートに間欠的にシールを施す工程を説明する図である。
【図5】図5は、本発明のヒートシール装置の他の実施形態を模式的に示す図である。
【図6】図6は、図5に示すヒートシール装置におけるシールブロック体の正面図である。
【図7】図7は、図6に示すY2−Y2線断面図である。
【図8】図8は、図5に示すヒートシール装置を用いて帯状の被加工シートに間欠的にシールを施す工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のヒートシール装置をその好ましい第1実施態様に基づき、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0011】
第1実施形態のヒートシール装置1Aは、図1に示すように、重ね合わされた帯状の被加工シート2を、相対向する一対のシールブロック体3,3間に供給通過させて、帯状の被加工シート2に間欠的にシールを施し、シール部20を形成する装置である。シール部20では、重ね合わされた帯状の被加工シート2が接合されている。ヒートシール装置1Aは、相対向する一対のパターンブロック4,4により帯状の被加工シート2を挟み付けてシールし、一対のシールブロック体3のヒーターブロック5それぞれは、シール時にパターンブロック4と離間し、シール後にパターンブロック4と再び接触するように形成されている。以下の説明では、図1に示すように、帯状の被加工シート2の供給方向をX方向とし、帯状の被加工シート2の幅方向(供給方向に直交する方向)をZ方向とし、一対のシールブロック体3,3の対向する方向をY方向として説明する。
【0012】
詳述すると、第1実施形態のヒートシール装置1Aは、図1に示すように、一対の直方体状の移動体10,10を備え、各移動体10の先端(Y方向における帯状の被加工シート2を挟む側の先端)に、シールブロック体3を備えている。一対のシールブロック体3,3それぞれは、図2に示すように、帯状の被加工シート2にシールを施すシールブロック体3の先端に固定されたパターンブロック4と、シールブロック体3の内部に、パターンブロック4を加熱するヒーターブロック5とを有している。具体的には、図2,図3に示すように、各シールブロック体3は、周面を形成する一対のプレート56,56と、底面を形成するエンドプレート57とを有し、一対のプレート56,56と、エンドプレート57とにより、パターンブロック4及びヒーターブロック5を保持している。
【0013】
相対向する一対の移動体10,10は、ピストンシリンダー(不図示)により、Y方向に移動可能であり、一対の移動体10,10の先端に配されたシールブロック体3,3同士で帯状の被加工シート2を挟み、帯状の被加工シート2を挟んだ状態で、コンベア(不図示)により、X方向に、帯状の被加工シート2と並走可能に設けられている。移動体10の動作(ピストンシリンダー及びコンベアの動作)の制御は、ヒートシール装置1Aに備えられた、制御手段(不図示)により、所定の動作シーケンスに従って制御されている。このように、第1実施形態のヒートシール装置1Aは、所謂、ボックスモーション式のシール装置である。
【0014】
一対のシールブロック体3それぞれは、図2に示すように、正面視して矩形状のものである。各シールブロック体3には、図2,図3に示すように、一対のプレート56,56の先端部に、帯状の被加工シート2にシールを施すパターンブロック4が固定されており、一対のプレート56,56の内部に、パターンブロック4を加熱するヒーターブロック5を備えている。シールブロック体3のプレート56は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属で形成されていてもよく、耐熱性樹脂で形成されていてもよい。
【0015】
一対のシールブロック体3それぞれのパターンブロック4は、図2に示すように、直方体状のものであり、シールブロック体3の長手方向(Z方向)の両端間に亘って配設固定されている。各シールブロック体3の天面を構成するパターンブロック4の幅(Z方向の長さ)(W1)は、帯状の被加工シート2の幅(Z方向の長さ)(W0)よりも長く形成されていることが好ましく、パターンブロック4を加熱したときZ方向の中央部分に比べてZ方向の両端部分の温度が低下してしまう観点から、具体的には、被加工シート2の幅(W0)に対するパターンブロック4の幅(W1)の値(W1/W0)が、1.3倍以上であることが好ましい。パターンブロック4の幅(W1)は、シールする対象物に応じて適宜調整することができ、例えば、使い捨ておむつの所謂サイドシール部の形成においては、パターンブロック4のZ方向の長さを100〜300mm、X方向の長さを30〜40mm、Y方向の厚みを20〜40mm程度に調整する。
【0016】
第1実施形態の各パターンブロック4においては、X方向の両角部は、図3に示すように、角部で帯状の被加工シート2にダメージを与えないように、面取りしておくのが好ましい。パターンブロック4の先端には、ヒートシールパターンが施されており、シール時に、帯状の被加工シート2にそのシールパターンが転写される。転写されるシールパターンの形状としては、ストライプ状、ドット状等が挙げられる。ヒートシールパターンは、パターンブロック4の先端の後述する一対の貫通口41,41同士の間の領域、即ち、帯状の被加工シート2に接触する領域に施されており、後述する貫通口41よりZ方向の外方の領域、即ち、帯状の被加工シート2に接触しない領域には施されていない。パターンブロック4は、帯状の被加工シート2に接触する領域(シールパーターン形成面)にのみ加圧力を掛け、温度をある程度均一にする観点から、帯状の被加工シート2に接触しない領域を、帯状の被加工シート2に接触する領域(シールパーターン形成面)より一段低く削っておくことが好ましい。パターンブロック4は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性のブロックで形成されている。
【0017】
シールブロック体3は、第1実施形態においては、シールブロック体3の各パターンブロック4に、図2,図3に示すように、Y方向に貫通する貫通口41を有している。第1実施形態において、貫通口41は、図4に示すように、一対のシールブロック体3,3の各パターンブロック4に形成されている。また、貫通口41は、図2に示すように、一対のシールブロック体3,3の各パターンブロック4のZ方向の両端部4a,4aそれぞれに、Y方向に貫通する貫通口41を有している。貫通口41は、貫通口41同士の間の距離が、帯状の被加工シート2の幅(W0)よりも長くなる位置に形成されている。また、第1実施形態の各パターンブロック4は、図3に示すように、後述するヒーター51の温度を調整するための温度センサ52を備えており、貫通口41に重ならない位置に、温度センサ52を配置する筒状の穴42が、一方の端部4aから長手方向(Z方向)の中央近傍にまで延びている。なお、温度センサ52を配置する筒状の穴42は、温度センサ52の配置位置が、パターンブロック4の表面付近が好ましい観点から、パターンブロック4の表面付近に形成されていることが好ましく、後述する空気口43と同様に長手方向(Z方向)の両端間に亘って延びる貫通口としてもよい。
【0018】
また、各パターンブロック4は、更にパターンブロック4の温度を下げる冷却手段を備えていてもよい。第1実施形態の各パターンブロック4には、図2,図3に示すように、貫通口41及び穴42に重ならない位置に、長手方向(Z方向)の両端間に亘って延びる空気口43が形成されている。第1実施形態においては、図3に示すように、穴42と空気口43との間に貫通口41が配されている。冷却手段は、任意のタイミングで、貫通する空気口43に空気を噴き通すことによりパターンブロック4の温度を下げる。
【0019】
本発明の各ヒーターブロック5は、図2,図3に示すように、パターンブロック4と離間可能に備えられている。各ヒーターブロック5は、パターンブロック4を加熱するものであり、各ヒーターブロック5には、図2,図3に示すように、ヒーターブロック5を加熱するヒーター51が備えられている。パターンブロック4と離間可能に備えられている。第1実施形態の各ヒーターブロック5は、図2,図3に示すように、パターンブロック4の各貫通口41内を移動自在に嵌挿された突出杆53と、突出杆53の反対側に配されたスプリング54とを有している。ヒーターブロック5は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性のブロックで形成されている。
【0020】
第1実施形態のヒーター51は、図2に示すように、ヒーターブロック5の長手方向(Z方向)の両端間に亘って延びており、2個のヒーター51が、図3に示すように、Y方向の中央部に、Y方向に間隔を空けて並置されている。上述したように、第1実施形態においては、ヒーター51の温度を調整するための温度センサ52が、各パターンブロック4の穴42の内部に配置されている。
【0021】
ヒーター51としては、カートリッジヒーター、ラバーヒーター、プレートヒーター等が挙げられ、高寿命・高電力密度の観点から、カートリッジヒーターが好ましく用いられる。第1実施形態のヒーター51は、図2に示すように、ヒーターブロック5に開けた貫通穴に配される。ヒーターブロック5の温度を均一化させる観点から、ヒーターブロック5のZ方向の両端部間に亘って配することが好ましい。
【0022】
第1実施形態の突出杆53は、Y方向に長い棒状のピンであり、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが接触している場合には、その先端部が、パターンブロック4のシールパターン形成面から突出している。突出杆53においては、シールパターン形成面から突出している部分の長さは、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが離間した際に、パターンブロック4の表面温度が低下するのに十分な長さであればよく、対象物の厚み、溶着温度、シール時間等の条件を考慮して調整する。例えば、突出杆53のシールパターン形成面から突出している部分の長さは、帯状の被加工シート2の厚みよりも長いことが好ましく、1mm〜10mmであることが好ましい。
【0023】
前述したように、パターンブロック4の貫通口41同士の間の距離は、帯状の被加工シート2の幅(W0)よりも長くなる位置に形成されているため、貫通口41内に嵌挿された突出杆53が、帯状の被加工シート2に接触することはない。尚、第1実施形態においては、一方のヒーターブロック5に設けられた突出杆53と、他方のヒーターブロック5に設けられた突出杆53とは、互いに接触しない位置に配されていることが好ましい。その理由は、スプリング54のバランスの影響を受けてしまい、一方のヒーターブロック5の離間するタイミングが遅くなってしまう可能性があり、また、各シールブロック体3においても、ヒーターブロック5が離間するタイミングが左右でずれ、ヒーターブロック5が傾いてしまう可能性があるためである。従って、一方のヒーターブロック5に設けられた突出杆53と、他方のヒーターブロック5に設けられた突出杆53とは、X方向には、同じ位置に配されていてもよいが、Z方向には、ずれた位置に配されている方が好ましい。
【0024】
突出杆53の材料としては、樹脂、鉄鋼・ステンレス等の金属が挙げられ、熱伝導の観点から、熱伝導率の低い耐熱樹脂を好ましく用いることができる。
【0025】
第1実施形態のスプリング54は、図3に示すように、ヒーターブロック5のY方向における、突出杆53の配された面と反対側の面に配されている。スプリング54は、一端がヒーターブロック5に固定され、他端がシールブロック体3の底面を形成するエンドプレート57の上面に設けられた穴にはめ込まれている。エンドプレート57の上面の穴は、スプリング54の他端が当接する部分に形成される。上述したように、スプリング54の他端をエンドプレート57に固定するのではなく、穴にはめ込む理由は、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが離間する際に、穴の内部でスプリング54を摺動させ、エンドプレート57とスプリング54との干渉を抑えるためである。
【0026】
第1実施形態のヒートシール装置1Aにおいては、シール時には、突出杆53が押されると、スプリング54の弾性力に抗して、突出杆を介して、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが離間し、シール後には、スプリング54の付勢力により、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが再び接触するように形成されている。
【0027】
ヒートシール装置1Aは、制御手段(不図示)を備えており、該制御手段は、前述した移動体10の動作(ピストンシリンダー及びコンベアの動作)の制御、ヒーターブロック5の内部に配されたヒーター51の温度制御、冷却手段による空気を噴き通すタイミングの制御を、所定の動作シーケンスに従って制御している。
【0028】
次に、帯状の被加工シート2に間欠的にシールを施すヒートシール装置1Aの作用を、図4を参照しながら説明する。
【0029】
まず、前工程において重ね合わされた帯状の被加工シート2を、相対向する一対のシールブロック体3,3間に供給する。図4(a)に示すように、一対のシールブロック体3,3が互いに離れている状態であるため、各シールブロック体3に設けられたパターンブロック4は、ヒーターブロック5と接触しており、ヒーターブロック5により十分に加熱されている。
【0030】
次に、一対のシールブロック体3,3を互いに近接するように移動させる。その際、パターンブロック4が帯状の被加工シート2に接触する前に、帯状の被加工シート2の幅よりも広い位置に設けられ、且つ帯状の被加工シート2の厚みよりも突出しているヒーターブロック5に設けられた各突出杆53が、相対向する他方のパターンブロック4の表面に接触する。一対のシールブロック体3,3が互いに更に近づくにつれて、各突出杆53が、相対向するパターンブロック4により押圧され、突出杆53を押し込む押圧力にともない、スプリング54の弾性力に抗して、ヒーターブロック5が突出杆53を介してパターンブロック4と離間し始める。従って、一対のパターンブロック4により、帯状の被加工シート2を挟み付けてシールするシール時には、図4(b)に示すように、一対のシールブロック体3,3のヒーターブロック5,5それぞれは、パターンブロック4,4と完全に離間する。
【0031】
シール時には、各パターンブロック4の持っていた熱量は、一対のパターンブロック4により挟み付けた帯状の被加工シート2を溶融するために奪われる。従って、帯状の被加工シート2の溶融にともない各パターンブロック4の温度は低下する。ここで、パターンブロック4に設けられた温度センサ52が温度低下の信号を出しても、各ヒーターブロックと各パターンブロック4とは完全に離間しているため、ボックスモーションの帯状の被加工シート2を挟んだ状態を維持している間、各パターンブロック4の温度は低下し続ける。一方、パターンブロック4に設けられた温度センサ52が温度低下の信号を出し続けているため、ヒーターブロック5は、ヒーター51により設定温度以上に熱せられる。
【0032】
帯状の被加工シート2の溶融部は、各パターンブロック4の温度が低下し、帯状の被加工シート2の材料の融点を下回ったところで、一対のパターンブロック4により挟み付けられた加圧状態を維持したまま、溶融状態から固化状態に移行する。ここで、パターンブロック4の温度低下の程度は、5℃以上であることが好ましく、10℃〜40℃であることが更に好ましい。尚、第1実施形態においては、制御手段(不図示)を備えているため、空気口43に空気を噴き通し、各パターンブロック4の温度を強制的に低下させることもできる。尚、この溶融部の固化した間欠的に形成されたシール部20(図1参照)を、次工程で切断離間することにより、製品を連続して生産することができる。
【0033】
次に、各シールブロック体3が、相対向する他方のパターンブロック4と離れ始めるにつれて、スプリングの付勢力により、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが近づき始める。そして、シール後には、一対のシールブロック体3,3のヒーターブロック5,5それぞれは、図4(a)に示すように、パターンブロック4,4と完全に接触し、ヒーターブロック5の突出杆53は、その先端が、パターンブロック4のシールパターン形成面から突出した元の状態に戻る。
【0034】
シール後に、各ヒーターブロック5がパターンブロック4と接触した際には、温度の低下した各パターンブロック4が、設定温度以上に熱せられた各ヒーターブロック5から熱量の供給を受け、各パターンブロック4は、短時間で設定温度まで回復することができる。
従って、ヒートシール装置1Aによれば、帯状の被加工シート2を一対のパターンブロック4により挟み付けられた加圧した状態を維持したまま、各パターンブロック4の温度を低下させ、帯状の被加工シート2の溶融部を溶融状態から固化状態に移行することができるので、施されたシール部20のシール強度が不安定になり難い。また、上述したように、シール後に、各パターンブロック4が短時間で設定温度まで回復するので、帯状の被加工シート2に間欠的にシール部20を連続的に施すことができる。
【0035】
前工程において重ね合わされた帯状の被加工シート2としては、紙や不織布や樹脂フィルム等の積層体、2種以上の不織布の積層体、樹脂フィルムと不織布との積層体、筒形状の袋内に内容物(お菓子類、ウエットティシュ等)を装填したもの(例えば特開2007−50934号公報の図1に示されるもの)、吸収性本体とともに二つ折りされた外包材の連続体からなる帯状のおむつ連続体(例えば特開2008−137271号公報の図3に示されるもの)を用いることができる。尚、帯状の被加工シート2が、帯状のおむつ連続体である場合には、施されたシール部20が、所謂サイドシール部となる。被加工シート2の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0036】
以下、本発明のヒートシール装置をその好ましい第2実施態様に基づき、図5〜図8を参照しながら説明する。
第2実施形態のヒートシール装置1B(以下、「ヒートシール装置1B」ともいう)については、第1実施形態のヒートシール装置1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、第1実施形態のヒートシール装置1Aと同様であり、第1実施形態のヒートシール装置1Aの説明が適宜適用される。
【0037】
第2実施形態のヒートシール装置1Bは、図5に示すように、相対向する一対のロールを備えたロール回転式のシール装置である点が、ボックスモーション式のシール装置であるヒートシール装置1Aと異なる。また、第2実施形態のヒートシール装置1Bは、図6,図7に示すように、ヒーターブロック5の移動がエアーシリンダー55である点が、スプリング54の利用であるヒートシール装置1Aと異なる。
【0038】
ヒートシール装置1Bは、図5に示すように、相対向する一対の円筒形状の加工ロール(以下、単に「ロール」ともいう。)11,11を備え、各ロール11の周面に、シールブロック体3を備えている。一対のロール11,11は、それらの回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって同期して回転するように設けられている。ヒートシール装置1Bは、一対のロール11,11が回転しているときに、シールブロック体3,3同士で帯状の被加工シート2を挟むように形成されている。一対のロール11,11の駆動手段の制御は、ヒートシール装置1Bに備えられた、制御手段(不図示)により、シール時間が相対的に長くなるような変速回転速度に制御されている。具体的には、一対のロール11,11は、ロールの回転を変速的に制御されており、シールしているときには低速に回転又は一時的に回転を停止するように制御されており、シール時以外のときには高速に回転するように制御されている。このように、第2実施形態のヒートシール装置1Bは、所謂、速度可変に制御されたロール回転式のシール装置である。
【0039】
第2実施形態のヒートシール装置1Bにおいては、一対のシールブロック体3それぞれの先端に配されたパターンブロック4には、図6,図7に示すように、第1実施形態のヒートシール装置1Aのような貫通口41が形成されていない。また、第2実施形態のヒートシール装置1Bにおいては、図6,図7に示すように、パターンブロック4には、温度センサ52を配置する筒状の穴42が形成されているが、第1実施形態のヒートシール装置1Aのような空気口43は形成されていない。尚、第2実施形態のヒートシール装置1Bのパターンブロック4においても、必要に応じて、冷却手段の空気口43を設けてもよい。
【0040】
第2実施形態のヒートシール装置1Bにおいては、図6,図7に示すように、一対のシールブロック体3それぞれの内部に配されたヒーターブロック5には、パターンブロック4と反対側に空気等の圧縮によるエアーシリンダー55が配されており、第1実施形態のヒートシール装置1Aのような突出杆53は配されていない。第2実施形態のヒートシール装置1Bにおいては、エアーシリンダー55は、制御手段(不図示)によって制御され、該制御手段によるエアーシリンダー55の制御により、シール時には、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが離間し、シール後には、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが再び接触するように形成されている。具体的には、該制御手段(不図示)は、シールブロック体3の外部に設置した位置検出器(不図示)を備えている。該位置検出器は、各ロール11のパターンブロック4の位置を検出し、その情報を信号として該制御手段に伝える。前記制御手段は、前記位置検出器からの信号に基づき、一対のパターンブロック4,4により帯状の被加工シート2を挟み付けたか否かを判断し、圧縮空気によりエアーシリンダー55を動かし、ヒーターブロック5を、パターンブロック4から離間させたり、パターンブロック4に接触させたりする。
【0041】
第2実施形態のヒーター51は、図6に示すように、ヒーターブロック5の長手方向(Z方向)の両端間に亘って延びており、2個のヒーター51が、図7に示すように、Y方向の中央部に、Y方向に間隔を空けて並置されている。第2実施形態においては、ヒーター51の温度センサ52が、各パターンブロック4の穴42の内部に配置されている。
【0042】
ヒートシール装置1Bは、制御手段(不図示)を備えており、該制御手段は、前述したロール11の回転速度の制御、ヒーターブロック5の内部に配されたヒーター51の温度制御、前述したエアーシリンダー55の動作を、所定の動作シーケンスに従って制御している。
【0043】
次に、帯状の被加工シート2に間欠的にシールを施すヒートシール装置1Bの作用を、図8を参照しながら説明する。
【0044】
まず、前工程において重ね合わされた帯状の被加工シート2を、相対向する一対のロール11,11間に供給する。図8(a)に示すように、一対のシールブロック体3,3が互いに離れている状態であるため、各シールブロック体3に設けられたパターンブロック4は、ヒーターブロック5と接触しており、ヒーターブロック5により十分に加熱されている。
【0045】
次に、一対のシールブロック体3,3の各パターンブロック4が帯状の被加工シート2に接触して、各パターンブロック4に負荷がかかると、その負荷による移動位置が位置検出器(不図示)によって検出され、位置検出器(不図示)は、その情報を信号として前記制御手段(不図示)に伝える。前記制御手段(不図示)は、位置検出器(不図示)からの信号を受信し、所定の設定の位置に達すると、一対のパターンブロック4,4により帯状の被加工シート2を挟み付けたと判断し、エアーシリンダー55を稼働させ、ヒーターブロック5がパターンブロック4と離間する。このように、シール時には、図8(b)に示すように、一対のシールブロック体3,3のヒーターブロック5,5それぞれは、パターンブロック4,4と完全に離間する。尚、第2実施形態のエアーシリンダー55は、圧縮空気により、検出信号がでたときにパターンブロック4とヒーターブロック5とを離間させ、それ以外のときには接触させるように、制御されているが、シリンダーによっては、離間は圧縮空気で行い、接触はスプリングの付勢力、または離間はスプリングの付勢力で行い、接触は圧縮空気で行ってもよい。また、位置検出器(不図示)以外に、パターンブロック4にかかる負荷を検出する負荷検出器を用いて制御してもよい。
【0046】
シール時には、各パターンブロック4の持っていた熱量は、一対のパターンブロック4により挟み付けた帯状の被加工シート2を溶融するために奪われる。従って、帯状の被加工シート2の溶融にともない各パターンブロック4の温度は低下する。ここで、パターンブロック4に設けられた温度センサ52が温度低下の信号を出しても、各ヒーターブロックと各パターンブロック4とは完全に離間しているため、帯状の被加工シート2を挟んだ状態の間、各パターンブロック4の温度は低下し続ける。一方、パターンブロック4に設けられた温度センサ52が温度低下の信号を出し続けているため、ヒーターブロック5は、ヒーター51により設定温度以上に熱せられる。
【0047】
帯状の被加工シート2の溶融部は、各パターンブロック4の温度が低下し、帯状の被加工シート2の材料の融点を下回ったところで、一対のパターンブロック4により挟み付けられた加圧状態を維持したまま、溶融状態から固化状態に移行する。
【0048】
次に、一対のシールブロック体3,3のパターンブロック4,4同士がY方向に垂直になった時点で(垂直になるのと同時に)、パターンブロック4とヒーターブロック5とが離間し始める。そして、シール後、図8(a)に示すように、一対のシールブロック体3,3が、完全に被加工シート2を挟まない状態になったら、再度エアーシリンダー55を稼働させ、ヒーターブロック5とパターンブロック4とが再度接触する。
【0049】
シール後に、各ヒーターブロック5がパターンブロック4と接触した際には、温度の低下した各パターンブロック4が、設定温度以上に熱せられた各ヒーターブロック5から熱量の供給を受け、各パターンブロック4は、短時間で設定温度まで回復することができる。
従って、ヒートシール装置1Bによれば、帯状の被加工シート2を一対のパターンブロック4により挟み付けられた加圧した状態を維持したまま、各パターンブロック4の温度を低下させ、帯状の被加工シート2の溶融部を溶融状態から固化状態に移行することができるので、施されたシール部20のシール強度が不安定になり難い。また、上述したように、シール後に、各パターンブロック4が短時間で設定温度まで回復するので、帯状の被加工シート2に間欠的にシール部20を連続的に施すことができる。
【0050】
本発明のヒートシール装置は、上述の第1,第2実施形態のヒートシール装置1A,1Bに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1,第2実施形態のヒートシール装置1A,1Bにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。例えば、第1の実施形態に第2の実施形態のヒーターブロック5の移動がエアーシリンダー55で行われるタイプを用いてもよく、また、第2の実施形態に第1の実施形態のヒーターブロック5の移動が突出杆53で行われるタイプを用いてもよい。
【0051】
例えば、上述の第1,第2実施形態のヒートシール装置1A,1Bにおいては、図2,図6に示すように、2個のヒーター51がヒーターブロック5内に配置されているが、1個でも3個以上でもよい。また、第1,第2実施形態のヒートシール装置1A,1Bにおいては、図2,図6に示すように、ヒーター51の温度センサ52が、各パターンブロック4の穴42の内部に配置されているが、外部に配置されていてもよい。
【0052】
また、上述の第1実施形態のヒートシール装置1Aにおいては、貫通口41が、図2,図3に示すように、シールブロック体3の天面に配されたパターンブロック4に形成されているが、パターンブロック4に形成されていなくてもよく、シールブロック体に形成されていてもよい。また、上述の第1実施形態のヒートシール装置1Aにおいては、貫通口41が、図2に示すように、長手方向(Z方向)の両端部4a,4aに設けられ(2個)、ヒーターブロック5は、各貫通口41内を移動自在な突出杆53を有しているが、貫通口41は、1個でも3個以上でもよく、ヒーターブロック5は、貫通口41の数に対応する突出杆53を有していればよい。
【0053】
また、上述の第1実施形態のヒートシール装置1Aにおいては、図4に示すように、一方のヒーターブロック5に設けられた突出杆53と、他方のヒーターブロック5に設けられた突出杆53とが、相対向する位置に配されていないが、相対向する位置に配されていてもよい。 また、上述の第1実施形態のヒートシール装置1Aにおいては、図4に示すように、一対のシールブロック体3,3を互いに近接するように、各移動体10を移動させているが、一方の移動体のみを駆動させてもよい。また、上述の第1実施形態のヒートシール装置1Aにおいては、図4に示すように、一対のシールブロック体3,3それぞれが、ヒーターブロック5を有しているが、片方のみがヒーターブロック5を有する片側加熱式であってもよい。
【0054】
また、図5に示す第1実施形態のロール回転式のヒートシール装置1Bでは、一対のシールブロック体3,3であったが、各ロール表面に相対向するシールブロック体3,3を複数対設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1A.1B ヒートシール装置
2 帯状の被加工シート
20 シール部
3 シールブロック体
4 パターンブロック
4a 端部
41 貫通口
5 ヒーターブロック
51 ヒーター
52 温度センサ
53 突出杆
54 スプリング
55 エアーシリンダー
56 プレート
57 エンドプレート
10 移動体
11 ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされた帯状の被加工シートを、相対向する一対のシールブロック体間に供給通過させて、該被加工シートに間欠的にシールを施すヒートシール装置であって、
一対の前記シールブロック体それぞれは、前記被加工シートにシールを施す該シールブロック体の先端に固定されたパターンブロックと、該シールブロック体の内部に、該パターンブロックを加熱するヒーターブロックとを有し、
前記ヒーターブロックは、前記パターンブロックと離間可能に備えられており、
相対向する一対の前記パターンブロックにより前記被加工シートを挟み付けてシールし、
一対の前記シールブロック体の前記ヒーターブロックそれぞれは、シール時に前記パターンブロックと離間し、シール後に前記パターンブロックと接触するヒートシール装置。
【請求項2】
前記シールブロック体は、一対の前記シールブロック体の対向する方向に貫通する貫通口を有し、
前記シールブロック体の前記ヒーターブロックは、前記貫通口内を移動自在に嵌挿された突出杆と、該突出杆の反対側に配されたスプリングとを有し、
前記シールブロック体の前記ヒーターブロックは、シール時に、前記突出杆が押され前記スプリングの弾性力に抗して、該突出杆を介して前記パターンブロックと離間し、シール後に前記スプリングの付勢力により前記パターンブロックと接触する請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記貫通口は、一対の前記シールブロック体それぞれの前記パターンブロックに形成され、且つ帯状の被加工シートの供給方向と直交する方向の該パターンブロックの両端部それぞれに形成されている請求項2に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記ヒーターブロックは、加熱するヒーターを備え、
前記シールブロック体の前記パターンブロックは、前記ヒーターの温度センサを備えている請求項1〜3の何れかに記載のヒートシール装置。
【請求項5】
前記シールブロック体の前記パターンブロックは、その温度を下げる冷却手段を備えている請求項1〜4の何れかに記載のヒートシール装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、前記パターンブロックにおける帯状の被加工シートの供給方向と直交する方向の両端間に亘って貫通する空気口を有し、該空気口に空気を噴き通すことにより前記パターンブロックの温度を下げる請求項5に記載のヒートシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−84313(P2011−84313A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238878(P2009−238878)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】