説明

ヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置

【課題】冷房運転時の結露を防止するヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置を提供する。
【解決手段】冷媒を加熱および冷却するヒートポンプサイクル39の冷媒と水と熱交換して高温水または冷水にする水冷媒熱交換器2を備えた熱交換ユニットBと、水冷媒熱交換器2と湯水を循環する循環回路38と、室内を暖房、冷房する暖房端末23と冷房端末22と、熱交換ユニットB内の湯水を循環回路38を介して暖房端末23および冷房端末22へ送る沸き上げポンプ9と、熱交換ユニットB内部と外気を遮断する外装37と、外装37の表面温度を検知する熱交外装サーミスタ28と、熱交換ユニットB内に設けられ内部の雰囲気温度を上げるヒータ29を備え、ヒートポンプサイクル39で冷却された冷媒を熱交換ユニットBに送り、冷水を冷房端末22へ送って室内を冷房する際に、露点温度までに低下し結露が発生する時、ヒータ29に通電して外装37の結露を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを用いて生成した冷・温水で冷房および暖房を行うヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、石油やガスなどの燃焼系の燃料を熱源とした暖房機器の利用が大半を占めていたが、近年では、ヒートポンプ技術を利用した暖房市場が急激に拡大している。また、従来の空気調和機においてもヒートポンプ技術を利用して、冷房と暖房の双方を利用することができるものもある。
【0003】
しかしながら、従来の空気調和機だけでは、暖房時に足元が暖まりにくい等の課題があり、それを解消するためにヒートポンプ技術を利用した温水暖房装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の温水暖房装置では、高温冷媒と温水とを熱交換して、熱交換して昇温した温水を床暖房パネル等の暖房端末へ送り、暖房を行っている。
【0004】
図9は、上記特許文献1に記載された従来のヒートポンプ式温水暖房装置の構成図である。
【0005】
図9に示すように、従来のヒートポンプ式温水暖房装置は、圧縮機101と、水冷媒熱交換器102の冷媒流路と、減圧装置103と、蒸発器104とを順次冷媒配管105で環状に接続して冷凍サイクル106を構成し、水冷媒熱交換器102の水流路と、沸き上げポンプ109と、貯湯タンク110とを順次環状に接続して沸き上げサイクルを構成していた。
【0006】
そして暖房運転を開始すると、温水循環ポンプ111が駆動することによって、貯湯タンク110内の温水を、暖房端末108へ送る。また、給湯運転を行う時には、貯湯タンク110内に設けられた給湯熱交換器112で、温水を貯湯タンク110内の高温水と熱交換して、給湯端末(図示せず)へ温水が供給される。
【0007】
上記システムは、暖房だけを主体としたシステムで、主に北欧地域で使用されるシステムである。しかしながら、ヒートポンプを用いたシステムの特徴として、暖房だけでなく、冷房も行えるという特徴があり、欧州全域に対しては、冷房も行えることのできるシステムも要望されている。
【0008】
そこで、欧州全域に対しては、冷房も行うことができるシステムとして、図10で示されたヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置が一般的になっており今後の需要が見込まれている。
【0009】
図10は、従来のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の構成図である。
【0010】
図10に示すように、従来のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置は、圧縮機101と、水冷媒熱交換器102の冷媒流路と、減圧装置103と、蒸発器104とを、順次冷媒配管105で環状に接続して冷凍サイクル106を構成ししているが、さらに、四方弁113を設け、冷房時には、圧縮機101からの冷媒を水冷媒熱交換器102に送り、水冷媒熱交換器102の水流路(図示せず)の冷水を冷房端末115に送ることができる。
【0011】
循環ポンプ116で、冷水を供給しているときは、三方弁114で、貯湯タンク117に送らずに、冷房端末115に送るよう切り替えられ、また、暖房端末108途中の経路にも2方弁118を設け、暖房端末108が結露しないように配慮する。また暖房時には、暖房端末108途中の2方弁118を開にして暖房を行うのと、三方弁114を切り替えることにより、暖房と給湯をそれぞれ交互に行うことができる。貯湯タンク117の水は、直接加熱せず、給湯熱交換器112を介して加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−39305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の構成では、単純にヒートポンプ冷房装置として冷房運転をする際にさまざまな課題を有している。
冷房と暖房を切り替える際の貯湯タンク117の沸き上げ制御や、冷房端末115の選定、冷房端末115と暖房端末108の切り替えなどが上げられるが、一番の課題として冷媒、および冷水が湿気を含んだ外気と接触する場合に結露を発生することが大きな課題であった。
【0014】
結露が発生することは、循環ポンプ116などの機能部品、安全装置、制御器板に重大な影響を及ぼす恐れがあり、結露を発生させないことが重要である。また、本体内部の結露だけでなく本体外装部に付着した結露水は、床面や本体背面を濡らし、カビの発生や変色をおこし、使用者の家屋に被害をもたらすといった課題があった。
【0015】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、冷房運転時の結露を防止し、安全で、快適性を損なうことのないヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置は、冷媒を加熱および冷却するヒートポンプサイクルと、前記ヒートポンプサイクルの冷媒と水と熱交換して高温水または冷水にする水冷媒熱交換器を備えた熱交換ユニットと、前記水冷媒熱交換器と湯水を循環する循環回路と、室内を暖冷房する暖房端末、冷房端末と、前記熱交換ユニット内の湯水を前記循環回路を介して前記暖房端末および前記冷房端末へ送る循環ポンプと、前記熱交換ユニット内部と外気を遮断する外装と、前記外装の表面温度を検知する熱交外装サーミスタと、前記熱交換ユニット内に設けられた加熱手段とを備え、前記ヒートポンプサイクルで冷却された冷媒が前記熱交換ユニットに送られ、冷水にして前記冷房端末へ送られ室内を冷房し、露点温度までに低下し結露が発生する場合に、前記加熱手段を動作させることを特徴とするもので、本体外装の温度が加熱手段によって上昇して、本体外装及び内部に結露が発生することがなくなり、熱交換ユニットの背面および床面のカビによる汚損および充電部の結露を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置は、本体を露点温度以上に保ち、外装に結露を防止し、また内部の結露も防止することができ、床面、壁面のカビによる汚損および充電部の結露を防止することができる快適性を損なうことのないヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の構成図
【図2】(a)同ヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の熱交換ユニットの正面図(b)同熱交換ユニットの斜視図
【図3】同熱交換ユニットの他の例(対策案1)を示す構成図
【図4】同熱交換ユニットの他の例(対策案2)を示す構成図
【図5】同熱交換ユニットの他の例(対策案3)を示す構成図
【図6】同ヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置のリモコン装置の正面図
【図7】同ヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の加熱手段動作温度と外気温度の特性図
【図8】同ヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の外気温度と熱交外装サーミスタとヒータの特性図
【図9】従来のヒートポンプ式温水暖房装置の構成図
【図10】従来のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の発明は、冷媒を加熱および冷却するヒートポンプサイクルと、前記ヒートポンプサイクルの冷媒と水と熱交換して高温水または冷水にする水冷媒熱交換器を備えた熱交換ユニットと、前記水冷媒熱交換器と湯水を循環する循環回路と、室内を暖冷房する暖房端末、冷房端末と、前記熱交換ユニット内の湯水を前記循環回路を介して前記暖房端末および前記冷房端末へ送る循環ポンプと、前記熱交換ユニット内部と外気を遮断する外装と、前記外装の表面温度を検知する熱交外装サーミスタと、前記熱交換ユニット内に設けられた加熱手段とを備え、前記ヒートポンプサイクルで冷却された冷媒が前記熱交換ユニットに送られ、冷水にして前記冷房端末へ送られ室内を冷房し、露点温度までに低下し結露が発生する場合に、前記加熱手段を動作させることを特徴とするヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置もので、本体外装の温度が加熱手段によって上昇して、本体外装及び内部に結露が発生することがなくなり、熱交換ユニットの背面および床面のカビによる汚損および充電部の結露を防止することができる。
【0020】
第2の発明は、特に、第1の発明の熱交換ユニットに湿度条件を設定可能とする入力端末を備え、その地域の夏場の湿度条件に対して前記入力端末に湿度を入力し、運転開始する直前に熱交外装サーミスタが検知した外装温度と設定された湿度に対し、露点温度を算出し、前記熱交外装サーミスタが検知する外装温度が前記露点温度まで低下した場合に、加熱手段を動作させるもので、欧州全域に対して夏場の湿度条件もさまざまであり、湿度設定を変更することで無駄な電力を消費することなく、結露を防止することができる。
【0021】
第3の発明は、特に、第1の発明の熱交換ユニットに湿度条件を設定可能とする入力端末と、外気温度を検出する外気温サーミスタを備え、その地域の夏場の湿度条件に対して前記入力端末に湿度を入力し、前記外気温サーミスタが検知した外気温度と設定された湿度に対し、露点温度を算出し、熱交外装サーミスタが検知する温度が前記露点温度まで低下した場合に、加熱手段を動作させるもので、1日の外気温の変化に対し、きめ細かな加熱手段の動作制御を行うことができ、結露を防止することができる。
【0022】
第4の発明は、特に、第3の発明の熱交外装サーミスタ及び外気温サーミスタのそれぞれが検知する温度が0℃以下の場合に、加熱手段を動作させるもので、夏場の結露防止だけでなく、冬場の凍結防止の役目も同時に果たすことができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置について、図1〜8を用いて説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態1におけるヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の構成図である。図1において、本実施の形態におけるヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置は、ヒートポンプユニットAと、熱交換ユニットBと、タンクユニットCの3つのユニットで構成され、ヒートポンプユニットAは、屋外に設置され、熱交換ユニットBおよびタンクユニットCは屋内に設置される。
【0026】
そして本実施の形態におけるヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置は、冷媒を圧縮して高温冷媒を吐出する圧縮機1と、水と高温冷媒とを熱交換して温水を生成する水冷媒熱交換器2と、冷媒を減圧する減圧装置3と、空気と冷媒とで熱交換を行う蒸発器4aと、冷媒の流路を変更する四方弁5とを備えている。
【0027】
そして、圧縮機1、水冷媒熱交換器2、減圧装置3、蒸発器4a、四方弁5を冷媒配管6で環状に接続してヒートポンプサイクル39を構成している。さらに、蒸発器4aに送風を行い、空気と冷媒との熱交換を促進させる送風ファン4bを設けている。なお、水冷媒熱交換器2の形態としては、プレート式や二重管方式のいずれの形態であっても問題はない。
【0028】
また、水冷媒熱交換器2を、熱交換ユニットB内に配置し、圧縮機1、減圧装置3、蒸発器4a、四方弁5をヒートポンプユニットA内に配置することによって、屋内と屋外とは、冷媒配管6で接続されることになるため、ヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置が寒冷地に設置された場合であっても、冷媒配管6が凍結する恐れが低い。37は、熱交換ユニットB内部と外気を遮断する外装である。
【0029】
また、本実施の形態では、冷媒をR410Aとして説明するが、これに限定されることはなく、例えばR407C等のフロン系冷媒を用いることができる。
また、タンクユニットC内には、湯水を貯える貯湯タンク7を有しており、内部に熱交換器8があり、貯湯タンク7の下方部から、水冷媒熱交換器2へ低温水を送るための循環ポンプとしての沸き上げポンプ9を備えている。そして沸き上げポンプ9を駆動することによって、貯湯タンク7の下方部の水出口10から低温水を水冷媒熱交換器2へ送り、水冷媒熱交換器2で冷媒から熱を貰い温水が生成されている。また、水冷媒熱交換器2で生成された温水は、貯湯タンク7の中間部の湯入口11へ戻されている。また、貯湯タンク7はステンレスを用いている。
【0030】
以上のように、本実施の形態では、沸き上げポンプ9と、水冷媒熱交換器2と、熱交換器8とで、湯水を循環させる循環回路38を構成している。
【0031】
また、水冷媒熱交換器2の水側入口には、入水温度を検出する温度センサ12aと、水冷媒熱交換器2の水側出口には、出湯温度を検出する温度センサ12bとを設けている。また、沸き上げサイクル内に湯水が流れていることを検出するためのフロースイッチ13を設けている。
【0032】
図2(a)は、同ヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の熱交換ユニットの構成正面図、図2(b)は、同熱交換ユニットの構成斜視図である。
【0033】
図2(a)(b)に示すように、本実施の形態では、熱交換ユニットB内で、フロースイッチ13が沸き上げポンプ9よりも上方に配置させている。このように沸き上げポンプ9よりもフロースイッチ13を上方に配置することで、フロースイッチ13で湯水の流れ
を検知しなければ、沸き上げポンプ9が正常に動作していないことを検出することができる。
【0034】
また、沸き上げサイクル内の圧力調整を行うための膨張タンク14および過圧逃し弁15が設けられており、膨張タンク14で、内部の容積を変化させ圧力調整を行い、さらに沸き上げサイクル内に異常が発生して内圧が上昇した場合、過圧逃し弁15の設定圧力よりも高くなると膨張した湯水を排水することができる。
【0035】
また、貯湯タンク7の中央には、タンクヒータ16が配置されている。このタンクヒータ16は、水冷媒熱交換器2で加熱された湯で貯湯タンク7内部を熱交換器8で加熱するが、さらに高温の湯をためるために用いられる。タンクヒータ16で加熱された湯の温度は、温度センサ17で検知され、設定された温度に達するとタンクヒータ16を停止させる。もし、温度センサ17に異常を生じた場合には、温度過昇防止装置18を設けて、タンクヒータ16を停止させるように配慮している。
【0036】
また、貯湯タンク7下部には、水道水を供給するための給水口19を設け、貯湯タンク7の上端には、給湯端末33に湯を供給する給湯口20が設けられている。
【0037】
また貯湯タンク7は沸き上げによる内圧上昇を防止するため、安全弁20a、20bを設けている。
【0038】
以上のように構成された本実施の形態におけるヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置の動作、作用について説明する。
【0039】
まず、沸き上げ運転について説明する。まず、使用者は、熱交換ユニットBに入力端末として設けられているリモコン装置30で、水冷媒熱交換器2における湯水の沸き上げ温度Thを設定する。そして沸き上げ運転が開始されると、沸き上げポンプ9が駆動し、貯湯タンク7内の温水が水冷媒熱交換器2へ供給される。そして、温度センサ12bで検出される温度が沸き上げ温度Thを超えるまで、ヒートポンプサイクルによる沸き上げ運転が継続される。なお、貯湯タンク7内の温水をヒートポンプサイクルで沸き上げる時には、圧縮機1から吐出する高温冷媒が、水冷媒熱交換器2へ流入する流路となるように四方弁5が切り替わっている。
【0040】
その結果、圧縮機1から吐出される高温冷媒が、水冷媒熱交換器2へ流入し、湯水へと放熱することによって高温水を生成することができる。なお、水冷媒熱交換器2内では、水と冷媒とは対向流にして熱交換効率を向上させている。
【0041】
そして、温度センサ12bで検出する水冷媒熱交換器2から出湯する湯水の温度が、沸き上げ温度Thに近づいてくると、圧縮機1の回転数を小さくして能力を下げる。そして温度センサ12bで検出する温度が、沸き上げ温度Thよりも所定温度Ta(例えば、2℃)だけ高くなると、圧縮機1の運転を停止して沸き上げ運転を終了する。そして、貯湯タンク7は、沸き上げ温度Thの湯水で満たされることになる。
【0042】
なお、水冷媒熱交換器2で生成された高温水は、暖房用温水部7bへ戻されるが、仕切り板34の周囲と貯湯タンク7との間にできた隙間を通って、給湯用温水部7aも沸き上げ温度Thの湯水で満たされる。このとき、制御装置32では、圧縮機1の運転を停止した時に温度センサ12aで検出した入水温度Tiを記憶しておく。
【0043】
また、ヒートポンプサイクルによる沸き上げ運転が終了した後も、沸き上げポンプ9を駆動させて、貯湯タンク7内の温水を水冷媒熱交換器2へ循環させている。これは沸き上
げ運転停止中であっても、温度センサ12aおよび温度センサ12bで貯湯タンク7内の温水の温度を検出しておく必要があり、貯湯タンク7内の温水の温度が低下するとすぐにヒートポンプサイクルによる沸き上げ運転を再開しなければならないからである。
【0044】
そして、給湯運転停止中も、沸き上げポンプ9を駆動して、温度センサ12aで貯湯タンク7内の温水を常時検出しており、温度センサ12bで検出する温度が、圧縮機1の運転を停止した時に記憶した入水温度Tiよりも所定温度Tb(例えば、5℃)だけ小さくなった時に圧縮機1の運転を再開し、沸き上げ運転を開始する。
例えば、沸き上げ温度Thに55℃を設定すると、温度センサ12bで検出する温度が57℃(=55℃+2℃)を超えたときに、圧縮機1の運転を停止する。そして、圧縮機1の運転を停止した時の温度が53℃であったとすると、入水温度Tiが53℃であると記憶する。
【0045】
そして、圧縮機1の運転が停止後も、沸き上げポンプ9の駆動を行い、温度センサ12bが検出する温度が、入水温度Tiよりも所定温度Tb(例えば、5℃)小さくなったときに圧縮機1の運転を再開する。また、本実施の形態に示した所定温度Ta、Tbは、一つの実施例であって、本実施の形態に限定されることはない。
【0046】
また、タンクユニットCに設けられているリモコン装置30では、タンクヒータ16での沸き上げ温度を設定できるようになっている。図6は、リモコン装置30の正面図である。図6に示すように、リモコン装置30には、操作部30a、表示部30bを有しており、操作部30aを操作して温度を設定することができる。本実施の形態では、操作部30aを操作することによって、沸き上げ温度Tk、タンク温度Tuを設定および表示することができる。
【0047】
そして、本実施の形態では、タンクヒータ16による沸き上げ温度Tkよりも高い温度Tuに設定することができる。例えば、リモコン装置30で、沸き上げ温度Tkを55℃に設定し、リモコン装置30で沸き上げ温度Tuを75℃に設定すると、水冷媒熱交換器2で沸き上げ温度Th(55℃)まで沸き上げ、さらにタンクヒータ16で75℃まで沸き上げ運転を行う。
【0048】
次に、タンクヒータ16での沸き上げ運転について説明する。
【0049】
タンクヒータ16の運転を開始するときは、タンクヒータ16よりも高い位置に設けられた温度センサ17で検出する温度が、沸き上げ温度Tkよりも所定温度Tc(例えば、5℃)だけ低い温度を検出した時にタンクヒータ16の出力をONする。そしてタンクヒータ16によって貯湯タンク7上部の温水を温め、タンクヒータ16と同じ位置に設けられた温度センサ17で検出する温度が、沸き上げ温度Tkよりも所定温度Td(例えば、2℃)だけ高い温度を検出した時にタンクヒータ16の出力をOFFしている。
【0050】
これまでの回路は、貯湯タンク7を沸かすための回路であるが、冷・暖房を行ううえで回路を切り替えるために途中に三方弁21を設け、給湯沸きあげを行う必要のない場合は三方弁21を、冷房端末22および暖房端末23へ切り替える。冷房を行うときは、四方弁5が、蒸発器4a側へと切り替わり、水冷媒熱交換器2には、冷却された冷媒が流れ冷水を作る。
【0051】
このとき暖房端末23に冷水が流れると結露を発生して床が濡れてしまうため、二方弁24を設け冷房端末22だけに流れるようにする。
【0052】
このように冷房時の結露について各ブロックごとの対策について説明する。
【0053】
まず、外部に設けた配管について、ヒートポンプユニットAから熱交換ユニットBの冷媒配管6および熱交換ユニットBからタンクユニットCならびに、暖房端末23、冷房端末22間の配管は、断熱材(図示せず)で覆うことで湿気を含んだ外気に接触することを防止できるため結露の心配はない。
【0054】
ヒートポンプユニットAについては、冷媒配管6について結露を発生させるが、屋外に設置する機器であり、蒸発器4aからもともと結露水が発生し本体下部のドレンパン25で受け、ドレン口26から排水されるため問題ない。残されたか所としては、熱交換ユニットBの外装37の結露と内部の結露の2つの課題がある。
【0055】
そこで、結露を防止するための対策案としていくつか説明する。
【0056】
図3に示す構成は、熱交換ユニットBを、発泡系の断熱材で覆い本体内を密閉する案であるが、完全に断熱するためには、30mm以上の厚みが必要であり、本体自体の容積が大きくなり、また内部に発火源がある場合において安全性の面で好ましくはない。
【0057】
図4の構成は、熱交換ユニットBの上下に開口35を設け、本体内外の温度差をなくし外装37表面の結露を防止する方法であるが、外装37表面の結露はなくなっても本体内部の部品が湿気の多い空気にさらされ、制御部27などの充電部が絶縁不良をおこす可能性があり、沸き上げポンプ9は、暖房時巻線温度の上昇を防ぐため断熱材をまくことはできず、また内部の結露水を処理するためにドレン口26を設け排水させる必要がある。
【0058】
図5に示す構成は、上記課題を解決するために、熱交換ユニットBを密閉状態の外装37で覆い、なおかつ、内部配管は、沸き上げポンプ9を除き断熱材で覆い本体内の冷却をできるだけ抑える。しかしこれでは、時間が経過するとともに本体内の温度は低下していき、熱交換ユニットBの外装37の温度も低下するため、外部の湿気の多い空気が接触して、結露を発生させる。
【0059】
これを防止するため、制御部27に熱交外装サーミスタ28と、ヒータ29を接続し、熱交外装サーミスタ28の先端を熱交換ユニットBの外装37の内側に貼り付ける。運転前においては熱交外装サーミスタ28先端の温度は、外気温度と同じであり、制御部27に外気温定数として記憶する。冷房運転を開始すると、冷媒および冷却水の影響で本体内の温度は低下して結露をおこす温度となったときに外装37に結露が発生する。このときの温度を露点温度というが、この露点温度は、外気温度と外気の湿度によって計算式や換算表で算出することができる。この計算式を以下に記載する。
【0060】
露点温度を求める計算式
相対湿度や絶対湿度が解っている場合、前述の式よりその水蒸気圧を求める。求められた水蒸気圧が、露点温度における飽和水蒸気圧となる。
【0061】
e:露点温度における飽和水蒸気圧
飽和水蒸気圧から露点湿度を算出する計算式は、数1〜3に示すとおりである。
【0062】
【数1】

【0063】
【数2】

【0064】
【数3】

【0065】
また、氷の飽和水蒸気圧から露点温度を算出する計算式は、数4、5に示す通りである。
【0066】
【数4】

【0067】
【数5】

【0068】
露点温度を算出する計算式は、かなり複雑、難解であるが、通常はJIS28806に記載されている飽和水蒸気圧表を使用し、相対温度、露点温度、絶対温度等、色々な湿度を求めることができる。パソコン等を使用し、計算、データ解析を行う場合には、これらの計算式の方が使い勝手がよい場合もあり。機器が判断するうえでは重要な式となる。仮に外気温度が夏場27℃で、湿度が65%の場合の露点温度は、24℃前後となる。
【0069】
制御部27には、あらかじめ夏場の湿度を入力して、熱交外装サーミスタ28が初期値の温度と夏場の湿度の定数を計算し、露点温度を算出し、熱交外装サーミスタ28の温度がそれに達した場合に、ヒータ29をONする。ONしたヒーター29は、算出した露点温度よりも5℃高くなった時点または初期温度を上回った時点でOFFする。これにより熱交換ユニットBの外装37の温度がヒータ29によって上昇して、外装37に結露が発生することがなくなり、熱交換ユニットBの背面および床面の汚損を防止することができる。
【0070】
しかし、一定湿度条件をあらかじめ入力しておくのは、欧州全域において決定するのは困難であり、より安全を見て湿度条件を高く設定すると、ヒータ29がONしやすくなってしまう。
【0071】
仮に湿度100%を入力すると、外気温と露点温度が一致することなり、常にヒータ29がONすることとなる。また、夏場でも、湿度の低い地域では、露点温度も低く、ヒータ29のONする時間も短くなり、ランニングコストを抑えることができる。
【0072】
図6は、本実施の形態1におけるリモコン装置30の正面図である。図6に示すように、リモコン装置30は、操作部30a、表示部30bを有しており、操作部30aを操作して温度を設定することができる。
【0073】
そして、本実施の形態では、操作部30aのSETボタン30cを5秒押し続けることで、定数設定モードに移ることになり、▲▼ボタン30dで、湿度設定定数の項目を選択する表示部TkにHUMの表示がでると、SELECTボタン30eを押す。
【0074】
あとは▲▼ボタン30dで、Tuの表示部分に、湿度濃度を選択し入力後は、最後にSETボタン30cを押して入力完了となる。これにより欧州全域に対して夏場の湿度条件もさまざまであっても、湿度設定を変更することで、無駄な電力を消費することなく、結露を防止することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、外気温度を検出する手段として、ヒートポンプユニットAに設けられた外気温サーミスタ31を補正サーミスタとして用いる、これは、冷房運転中は、外気温度が変化しても検知することができず、いったん停止した後、再運転した場合に、実際の外気温度を検知するのが困難であり、機器が一定時間停止して、機器内外が安定条件にならなければ設定を変更することができない。
【0076】
図7は、同実施の形態1におけるヒータ29のON温度と外気温度の特性図である。ヒータ29のON温度は、冷房運転直前に熱交外装サーミスタ28が検知した温度で決定する。冷房運転中に、日中から夜に変わるにつれて、外気温度が変化して低くなるが、外気温サーミスタ31で測定している温度をベースに、外気温度の変化をヒータ29のON温度に反映させてシフトさせる。このことにより、外気温度の変化に対しても正確な露点温度を決定することができ、余分な電力を消費することなく、結露を防止することができる。
【0077】
また本実施の形態では、結露に対しての対策としてヒータ29を使用しているが、熱交換ユニットBは、屋内設置を基本としているが、必ずしも外気温度が0℃以上になるとは限らない。冬場の条件で、熱交換ユニットBが設置されている部屋が外気と同じ条件に近い場合、暖房運転を停止していれば凍結の恐れがある。凍結を防ぐためには、ヒートポンプユニットAを強制的の沸き上げを行う必要がある。しかし凍結するかどうかは、熱交換ユニットBの外気温度を測定しなければならず、沸き上げを行うか否かの判断ができない。また運転停止中に沸き上げを行うことは、お客様に誤作動と判断され、クレームとなる可能性があり、何らかの表示を行う必要がある。
【0078】
これを解決するため、前記外気温サーミスタ31かつ熱交外装サーミスタ28が、0℃以下の場合、ヒータ29をONさせ、熱交換ユニットB内の雰囲気温度を上昇させる。熱交外装サーミスタ28が、3℃以上になったのを確認できればヒータ29をOFFする。図8は、外気温度と熱交外装サーミスタ28とヒータ29の特性を図で表したものである。以上のようにヒートポンプで沸き上げを行わなくても、ヒータ29で加熱することで、結露防止だけではなく、凍結防止にも役立てることができる。
【0079】
また、本実施の形態で凍結防止を行っても、屋内に設置する熱交換ユニットBが屋外に設置された場合は、ヒータ29の能力から考えると凍結の可能性がある。近年、ヒートポンプ温水暖房器の動きとして、ヒートポンプユニットAと熱交換ユニットBを一体化して冷媒配管工事を廃止する動きがあるが、そうした場合、熱交換ユニットBを屋外におく必要があり、凍結についての対策もさらに強化しなければならない。沸き上げポンプ9で循環可能な配管は、温水が循環することで凍結を防止できる。しかしながら、循環回路38にない膨張タンク14、過圧逃し弁15等の部品については、配管に温水を循環させることができず、配管が凍結した場合、機器の異常を起こす可能性がある。
【0080】
本実施の形態は、本体内の雰囲気温度を上げるヒータ29を循環回路38以外の部分に設けることで、膨張タンク14、過圧逃し弁15等の機能部品を凍結から保護し、機能を損ねることがないヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置を提供できる。
【0081】
また、貯湯タンク7の下部には、排水栓(図示せず)が設けられており、貯湯タンク7
内の湯水を外部に排水することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明に係るヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置は、冷房運転中でも本体内の雰囲気温度が低下せず、本体内、本体外において結露の発生を抑え、本体背面や床面を汚すことがなく、また、同時に外気温度が低くなっても凍結を防止することも可能な冷房および暖房を提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 圧縮機
2 水冷媒熱交換器
3 減圧装置
4a 蒸発器
4b 送風ファン
5 四方弁
6 冷媒配管
7 貯湯タンク
8 熱交換器
9 沸き上げポンプ(循環ポンプ)
10 水出口
11 湯入口
12a、12b 温度センサ
13 フロースイッチ
14 膨張タンク
15 過圧逃し弁
16 タンクヒータ
17 温度センサ
18 温度過昇防止装置
19 給水口
20a、20b 安全弁
21 三方弁
22 冷房端末
23 暖房端末
24 二方弁
25 ドレンパン
26 ドレン口
27 制御部
28 熱交外装サーミスタ
29 ヒータ(加熱手段)
30 リモコン装置(入力端末)
31 外気温サーミスタ
32 制御装置
37 外装
38 循環回路
39 ヒートポンプサイクル
A ヒートポンプユニット
B 熱交換ユニット
C タンクユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を加熱および冷却するヒートポンプサイクルと、前記ヒートポンプサイクルの冷媒と水と熱交換して高温水または冷水にする水冷媒熱交換器を備えた熱交換ユニットと、前記水冷媒熱交換器と湯水を循環する循環回路と、室内を暖冷房する暖房端末、冷房端末と、前記熱交換ユニット内の湯水を前記循環回路を介して前記暖房端末および前記冷房端末へ送る循環ポンプと、前記熱交換ユニット内部と外気を遮断する外装と、前記外装の表面温度を検知する熱交外装サーミスタと、前記熱交換ユニット内に設けられた加熱手段とを備え、前記ヒートポンプサイクルで冷却された冷媒が前記熱交換ユニットに送られ、冷水にして前記冷房端末へ送られ室内を冷房し、露点温度までに低下し結露が発生する場合に、前記加熱手段を動作させることを特徴とするヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置。
【請求項2】
熱交換ユニットに湿度条件を設定可能とする入力端末を備え、その地域の夏場の湿度条件に対して前記入力端末に湿度を入力し、運転開始する直前に熱交外装サーミスタが検知した外装温度と設定された湿度に対し、露点温度を算出し、前記熱交外装サーミスタが検知する外装温度が前記露点温度まで低下した場合に、加熱手段を動作させることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置。
【請求項3】
熱交換ユニットに湿度条件を設定可能とする入力端末と、外気温度を検出する外気温サーミスタを備え、その地域の夏場の湿度条件に対して前記入力端末に湿度を入力し、前記外気温サーミスタが検知した外気温度と設定された湿度に対し、露点温度を算出し、熱交外装サーミスタが検知する温度が前記露点温度まで低下した場合に、加熱手段を動作させることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置。
【請求項4】
熱交外装サーミスタ及び外気温サーミスタのそれぞれが検知する温度が0℃以下の場合に、加熱手段を動作させることを特徴とする請求項3に記載のヒートポンプ式冷温水冷房暖房装置。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−13358(P2012−13358A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151792(P2010−151792)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】