説明

ビグアニドおよびチアゾリジンジオン誘導体を含む新規の医薬製剤

【課題】抗糖尿病化合物のための制御放出または持続放出製剤の提供。
【解決手段】次の(A)、(B)を含む医薬剤形。(A)HClメトホルミンを含む制御放出浸透性錠剤コアであって、USPタイプ2装置で75rpm、擬似腸液(pH7.5)900ml、37℃を用いて試験した場合、2時間後に0〜25%のHClメトホルミンが放出され、4時間後に10〜45%のHClメトホルミンが放出され、8時間後に30〜90%のHClメトホルミンが放出され、12時間後に50%以上のHClメトホルミンが放出され、16時間後に60%以上のHClメトホルミンが放出され、20時間後に70%以上のHClメトホルミンが放出される溶解プロフアイルを示す制御放出浸透性錠剤コア(B)該浸透性錠剤コアを囲む即時放出HClピオグリタゾン層。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年9月19日出願の米国特許出願第10/664803号、ならびに2002年9月20日出願の仮特許出願第60/412180号および第60/412181号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、抗糖尿病薬とチアゾリジンジオン誘導体の組み合わせを含む医薬剤形に関する。より詳しくは、本発明は、ビグアニド、例えばメトホルミンもしくはブホルミン、またはそれらの製薬上許容される塩、例えば本明細書に参照により組み込まれる米国特許第3957853号および第4080472号に記載されている塩酸メトホルミンまたはメトホルミン塩と、本明細書にやはり参照により組み込まれる米国特許第4687777号に記載されているチアゾリジンジオン誘導体の組み合わせを含む経口剤形に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物の治療的血清レベルを維持するために、かつ患者のコンプライアンスの欠如によりもたらされる薬物投与欠落の影響を最小にするために、制御放出および長時間放出の医薬剤形を提供すべく、多くの技術が用いられてきた。
【0004】
例えば、半透膜に包囲された浸透活性のある薬物コアを有する、長時間放出錠剤が記載されている。これらの錠剤は、胃液や腸液などの液体の水性成分がコーティング膜を透過し、有効成分を溶解できるようにし、したがって得られた薬物溶液がコーティング膜中の通路を通して放出され得ることによって作用する。あるいは、有効成分が浸透液に不溶である場合には、ヒドロゲルなどの膨張剤により通路を通して押し出され得る。これらの浸透性錠剤のシステムの代表例のいくつかは、米国特許第3845770号、第3916899号、第4034758号、第4077407号、および第4783337号に見ることができる。米国特許第3952741号は、膜の中で十分な圧力が生じて膜の弱い部分で膜が破裂または破壊した後にのみ半透性の膜によって包囲されたコアから有効物質が放出される浸透圧デバイスを教示している。
【0005】
上記に引用した特許に記載されている基本的な浸透圧デバイスは、有効成分の放出のより大きな制御をもたらそうと時間の経過とともに改良されてきたものである。例えば、米国特許第4777049号および第4851229号は、コアを包囲する半透壁を含む浸透圧性の剤形を記載している。コアは有効成分および調節物質を含み、調節物質が半透膜の通路を介して有効成分のパルス状の放出を引き起こす。さらなる改良では、米国特許第5178867号、第4587117号、および第4522625号のように、膜を形成する成分の比率を変える、または米国特許第5650170号および第4892739号のように活性コアを包囲するコーティングの数を増やすなど、活性コアを包囲する半透性の膜に対する改変が含まれている。
【0006】
塩酸メトホルミンなどの抗糖尿病薬を使用する、ある種の制御放出製剤または持続放出製剤は、剤形からの薬物の放出を制御するための膨張剤またはゲル化剤を使用することだけに制限されてきた。この制限された研究は、国際公開第96/08243号の教示、およびブリストルマイヤーズスクイブ社から市販されている制御放出塩酸メトホルミン製品であるGLUCOPHAGE(商標)XR製品に同封の説明書によって例示される。
【0007】
チアゾリジンジオン誘導体は、米国特許第4687777号に記載されている。併用療法におけるこれらの化合物の治療的価値は、米国特許第5859037号、第5952356号、第5965584号、第6150384号、および第6172090号にさらに記載されている。しかし、これらの特許のどれも本発明の利点を有する剤形について記載していない。
【0008】
抗糖尿病薬とチアゾリジンジオン誘導体の組み合わせを含む医薬剤形は、当技術分野で提唱されている。例えば、欧州特許第0749751号(本明細書に参照により組み込まれる)は、チアゾリジンジオン化合物であってよいインスリン感受性増強薬と他の抗糖尿病薬の組み合わせを含む薬剤組成物を教示している。より詳しくは、欧州特許第0749751号は、好ましいインスリン感受性増強薬はピオグリタゾンであり、それをメトホルミン、フェンホルミン、ブホルミンなどの他の抗糖尿病薬と組み合わせることができ、さらにこれらの薬物は従来の賦形剤と関連付けて(混合および/または被覆して)味覚マスキングまたは持続放出作用を提供することができると教示している。抗糖尿病薬とチアゾリジンジオン誘導体の組み合わせの別の例は、米国特許第6011049号である(本明細書に参照により組み込まれる)。この特許は、ピオグリタゾンまたはトロリタゾン(trolitazone)およびメトホルミンを浸透圧ポンプや皮膚用パッチ剤などの遅延放出形態で含む単一の薬剤組成物を教示している。抗糖尿病薬とチアゾリジンジオン誘導体の他の組み合わせは、米国特許第6524621号、第6475521号、第6451342号、第6153632号、ならびにPCT特許出願国際公開第01/3594号および第01/3594号に見ることができ、これらは本明細書に参照により組み込まれる。
【0009】
また、当技術分野では、抗糖尿病薬または血糖降下薬を含む即時放出コーティングで被覆されたメトホルミンの浸透性錠剤を開示している国際公開99/47125号および米国特許第6099862号が知られている。
【特許文献1】米国特許出願第10/664803号
【特許文献2】仮特許出願第60/412180号
【特許文献3】仮特許出願第60/412181号
【特許文献4】米国特許第3957853号
【特許文献5】米国特許第4080472号
【特許文献6】米国特許第4687777号
【特許文献7】米国特許第3845770号
【特許文献8】米国特許第3916899号
【特許文献9】米国特許第4034758号
【特許文献10】米国特許第4077407号
【特許文献11】米国特許第4783337号
【特許文献12】米国特許第3952741号
【特許文献13】米国特許第4777049号
【特許文献14】米国特許第4851229号
【特許文献15】米国特許第5178867号
【特許文献16】米国特許第4587117号
【特許文献17】米国特許第4522625号
【特許文献18】米国特許第5650170号
【特許文献19】米国特許第4892739号
【特許文献20】国際公開第96/08243号
【特許文献21】米国特許第4687777号
【特許文献22】米国特許第5859037号
【特許文献23】米国特許第5952356号
【特許文献24】米国特許第5965584号
【特許文献25】米国特許第6150384号
【特許文献26】米国特許第6172090号
【特許文献27】欧州特許第0749751号
【特許文献28】米国特許第6011049号
【特許文献29】米国特許第6524621号
【特許文献30】米国特許第6475521号
【特許文献31】米国特許第6451342号
【特許文献32】米国特許第6153632号
【特許文献33】PCT特許出願国際公開第01/3594号
【特許文献34】国際公開99/47125号
【特許文献35】米国特許第6099862号
【特許文献36】米国特許第4008719号
【特許文献37】米国特許第4036228号
【特許文献38】米国特許第4612008号
【特許文献39】米国特許第5071607号
【非特許文献1】Encyclopedia of Polymer Science and Technology、10巻(1969年)、John Wiley&Sons出版
【非特許文献2】Remington’s Pharmaceutical Sciences(1955年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術では抗糖尿病化合物およびチアゾリジンジオン誘導体の両方を含む薬剤投与製剤が教示されているが、本発明は以下に記載するように、従来技術の教示に勝る多くの利点を提供するものである。
【0011】
本発明の目的は、制御放出または持続放出による送達を提供するために配合された第1の有効薬物を含む剤形を提供することである。好ましくは、第1の有効薬物は抗糖尿病化合物である。本発明はさらに、好ましくはチアゾリジンジオン誘導体である第2の有効薬物を提供する。本明細書に記載される新規の剤形は、第1および第2の有効薬物の送達を提供し、両薬物のバイオアベイラビリティは食物の存在により減少することがない。
【0012】
本発明のさらなる目的は、抗糖尿病化合物のための制御放出または持続放出製剤としての第1の有効薬物の送達と、チアゾリジンジオン誘導体を含む第2の有効薬物の即時放出による送達の組み合わせを含む上記に記載した剤形を提供することであり、前記の制御放出または持続放出の機序は膨張ポリマーにより調節されることはない。
【0013】
本発明のさらなる目的は、抗糖尿病化合物のための制御放出または持続放出製剤としての第1の有効薬物の送達と、チアゾリジンジオン誘導体を含む第2の有効薬物の即時放出による送達の組み合わせを含み、前記抗糖尿病薬の持続的かつ非拍動性の治療レベルを8〜24時間の期間にわたりそのような治療を必要とする動物またはヒトに対し提供することのできる上記に記載した剤形を提供することである。
【0014】
本発明の追加の目的は、抗糖尿病化合物のための制御放出または持続放出製剤としての第1の有効薬物の送達と、チアゾリジンジオン誘導体を含む第2の有効薬物の即時放出による送達の組み合わせを含み、投与約8〜12時間後に抗糖尿病化合物のピーク血漿レベルが得られ、投与約1〜4時間後にチアゾリジンジオン誘導体のピーク血漿レベルが得られる剤形を提供することである。
【0015】
本発明の目的は、また、浸透圧コアの成分は通常の錠剤圧縮方法を用いて作ることができる均一の浸透圧コアのみを有する、制御放出または持続放出薬剤のコア錠剤として、第1の有効薬物を含む剤形を提供することである。
【0016】
本発明の追加の目的は、抗糖尿病化合物のための制御放出または持続放出製剤としての第1の有効薬物の送達と、チアゾリジンジオン誘導体を含む第2の有効薬物の即時放出による送達の組み合わせを含み、投与約8〜12時間後に抗糖尿病化合物のピーク血漿レベルが得られ、投与約1〜4時間後にチアゾリジンジオン誘導体のピーク血漿レベルが得られる剤形を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、制御放出または持続放出成分として抗糖尿病薬、および即時放出成分としてチアゾリジンジオン誘導体を含み、チアゾリジンジオン誘導体の全量の85%以上が45分またはそれより短い時間以内に剤形から放出される剤形を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる追加の目的は、制御放出または持続放出成分として抗糖尿病薬、および即時放出成分としてチアゾリジンジオン誘導体を含み、2年間貯蔵後もチアゾリジンジオン関連化合物または不純物の全量が0.6%以下であり、個別の関連化合物または不純物がいずれも0.2%を超えない、貯蔵安定性のある剤形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、第1の有効薬物、好ましくは抗糖尿病薬と、第2の有効薬物、好ましくはチアゾリジンジオン誘導体の組み合わせを含む医薬剤形に関する。より詳しくは、本発明は、メトホルミンもしくはブホルミンまたはそれらの製薬上許容される塩、例えば塩酸メトホルミンもしくはメトホルミン塩などのビグアニドを含む第1の有効薬物と、チアゾリジンジオン誘導体を含む第2の有効薬物の組み合わせを含む経口剤形に関する。
【0020】
前述の目的は、第1および第2の有効薬物を含み、第1の有効薬物がゲル化ポリマーもしくは膨張ポリマーを含みまたは含まない制御放出コア、好ましくは浸透性錠剤として配合される剤形によって達成される。第2の有効成分は、制御放出コアの一部でもよく、あるいは好ましくは第2の有効成分の即時放出を提供するように制御放出コアと組み合わせてもよい。例えば、第2の有効成分はコアに施される膜中に組み入れることができ、あるいは第2の有効成分を被覆されもしくは被覆されない制御放出コアに施してもよい。
【0021】
一実施形態においては、第2の有効薬物はチアゾリジンジオン誘導体でよく、その剤形では即時放出製剤として提供されるのに対し、抗糖尿病成分はその剤形では制御放出製剤として提供される。この製剤の即時放出部分は、1〜12時間、好ましくは1〜4時間のチアゾリジンジオン誘導体のピーク血漿レベル(Tmax)をもたらさなければならず、製剤の制御放出部分により8〜12時間の抗糖尿病成分のピーク血漿レベル(Tmax)をもたらすことができる。
【0022】
好ましくは、本発明による剤形は、1日1回好ましくは食事とともにまたは食後に、最も好ましくは夕食とともにまたは夕食後に投与することができる。本剤形は、一日中治療レベルの薬物を供給することができ、抗糖尿病薬のピーク血漿レベル(Tmax)は投与8〜12時間後に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、抗糖尿病薬を含む第1の有効薬物と、チアゾリジンジオン誘導体を含む第2の有効薬物の組み合わせを含む医薬製剤または剤形に関する。好ましくは、抗糖尿病薬はビグアニド、例えばメトホルミンもしくはブホルミン、またはそれらの製薬上許容される塩である。抗糖尿病薬は、錠剤のコア、好ましくはゲル化ポリマーもしくは膨張ポリマーを含みまたは含まない浸透性錠剤のコアから制御放出により送達される。錠剤のコアは、抗糖尿病薬および少なくとも1つの製薬上許容される賦形剤を含まなければならない。本発明の一実施形態では、錠剤のコアは、抗糖尿病薬、結合剤、および吸収促進剤を含み、錠剤のコアは好ましくはポリマー性のコーティングで被覆されて錠剤の周囲に膜を形成し、穿孔されて膜のそれぞれの側に1つの通路を作りだしている。第2の有効薬物はチアゾリジンジオン誘導体を含み、好ましくは錠剤のコアの膜に施され、前記チアゾリジンジオン誘導体の即時放出または制御放出のいずれかを提供する。
【0024】
本明細書に用いられる抗糖尿病薬という用語は、インスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)を制御または管理するのに有用な薬物を意味する。抗糖尿病薬は、メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミンなどのビグアニド、および製薬上許容されるそれらの塩、異性体、または誘導体を含む。
【0025】
本明細書で用いられるチアゾリジンジオン誘導体という用語は、NIDDMを制御または管理するのに有用な薬物を意味する。これは、トログリタゾン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、シグリタゾンなど、および製薬上許容されるそれらの塩、異性体、または誘導体を含むが、それだけに限定されない。
【0026】
結合剤という用語は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ロウなどの、従来知られている製薬上許容されるあらゆる結合剤を意味する。前述した結合剤の混合物も用いることができる。好ましい結合剤は、平均分子量25000〜3000000の重量を有するポリビニルピロリドンなどの水性材料である。結合剤は、コアの全重量の約0〜約40%、好ましくはコアの全重量の約3〜約15%を含むことができる。一実施形態では、コアに結合剤を使用することは任意である。
【0027】
好ましい一実施形態では、コアは場合により吸収促進剤を含むことができる。吸収促進剤は、脂肪酸、界面活性剤(陰イオン性、陽イオン性、両性)、キレート剤、胆汁酸塩、またはそれらの混合物など、当技術分野で通常知られている任意のタイプの吸収促進剤であってよい。好ましい吸収促進剤のいくつかの例として、レシチン、脂肪酸(カプリン酸、オレイン酸、およびこれらのモノグリセリドなど)、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、ポリソルベート80など)、キレート剤(クエン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N,N−四酢酸(EGTA)など)がある。コアは、コアの全重量の約0〜約20%、最も好ましくはコアに対して全重量の約2〜約10%の吸収促進剤を含むことができる。
【0028】
本発明の一実施形態では、ゲル化ポリマーまたは膨張ポリマーを用いず、本発明のコアは好ましくは抗糖尿病薬を結合剤とともに造粒し、滑沢剤および吸収促進剤を添加して顆粒を圧縮して錠剤にすることにより形成されることが好ましい。コアは、コア成分をローラーコンパクターに通しコア成分を乾燥造粒して、滑沢剤を添加して顆粒を錠剤に圧縮することにより、形成してもよい。直接圧縮を錠剤化に用いることもできる。通常知られている他の造粒手順は当技術分野では公知である。さらに、滑沢剤、色素、染料などの他の添加剤も、本発明の製剤に用いることができる。
【0029】
ゲル化ポリマーまたは膨張ポリマーという用語は、水または生体液の存在下でゲル化、膨潤、または膨張するポリマーを意味する。ゲル化ポリマーまたは膨張ポリマーの代表例には、高分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(ダウケミカルから市販されているMETHOCEL(登録商標)K100Mなど)、および高分子量のポリエチレンオキシド(POLYOX WSR301、WSR303、WSR COAGULANTなど)がある。他のゲル化ポリマーまたは膨張ポリマーは、米国特許第4522625号に記載されている(本明細書に参照により組み込まれる)。
【0030】
本明細書に記載したように形成したコアを、膜または持続放出コーティングで被覆することができる。膜または持続放出コーティングを形成するのに有用な材料には、エチルセルロース、セルロースエステル、セルロースジエステル、セルローストリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテル、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、およびセルロースアセテートブチレートがある。他の適切なポリマーは、米国特許第3845770号、第3916899号、第4008719号、第4036228号、および第4612008号に記載されている(本明細書に参照により組み込まれる)。最も好ましい膜または持続放出コーティング材料は、39.3〜40.3%のアセチル含量を含む酢酸セルロースであり、Eastman Fine Chemicalsから市販されている。
【0031】
一代替実施形態では、膜または持続放出コーティングは、上記に記載したポリマーの1つ、および流動促進剤を含むことができる。流動促進剤は、コア中に吸収される液体の体積を増加させて、通路および/または多孔性の膜を通して剤形が実質的に全ての抗糖尿病薬を分配できるようにすることができる。流動促進剤は、水性材料または腸溶性材料であってよい。流動促進剤として有用な好ましい材料の例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、メタクリル酸共重合体、ポロキサマー(BASFより市販されているLUTROL F68、LUTROL F127、LUTROL F108など)、およびこれらの混合物がある。好ましい流動促進剤は、PEG400である。
【0032】
流動促進剤は、メトホルミンまたはその製薬上許容される塩などの水性である薬物でもよく、あるいは流動促進剤は腸内の条件下で可溶性である薬物でもよい。流動促進剤が薬物である場合、本剤形は、流動促進剤として選択された薬物の即時放出を提供するという追加の利点を有する。
【0033】
流動促進剤はコーティングの全重量の約0〜約40%、最も好ましくはコーティングの全重量の約2〜約20%を含む。流動促進剤は、膜または持続放出コーティングを溶解しまたはそれらから浸出して、膜または持続放出コーティング中にチャネルを形成し、このチャネルによって液体がコアに入り有効成分を溶解することが可能になる。
【0034】
膜または持続放出コーティングは、可塑剤などの一般に知られている賦形剤を用いて形成することもできる。いくつかの一般に知られた可塑剤には、アジペート、アゼレート、エンゾエート(enzoate)、シトレート、ステアレート、イソエブケート(isoebucate)、セバケート(sebacate)、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、クエン酸エステル、およびJohn Wiley&Sons出版、Encyclopedia of Polymer Science and Technology、10巻(1969年)に記載されているものが含まれる。好ましい可塑剤には、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、グレープシードオイル、オリーブ油、ゴマ油、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、グリセリン、ソルビトール、ジエチルオキサレート、ジエチルマレート、ジエチルフマレート、ジブチルスクシネート、ジエチルマロネート、ジオクチルフタレート、ジブチルセバケート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセロールトリブチレートなどがある。特定の可塑剤に応じて、膜または持続放出コーティングの全重量に対して約0〜約25%、好ましくは約2〜約15%の量の可塑剤を用いることができる。
【0035】
一般に、コア周囲の膜または持続放出コーティングは、コアおよびコーティングの全重量に対して約1〜約10%、好ましくは約2〜約5%含むことができる。
【0036】
好ましい一実施形態では、コアを包囲する膜または持続放出コーティングは、薬物をコアから制御放出できる通路をさらに含む。本明細書で用いられる通路という用語には、アパーチャー、孔(orifice)、穴部(bore)、穴、弱化部分、または、浸食して剤形から抗糖尿病薬を放出させる浸透圧性の通路を形成するゼラチンプラグ(gelatin plug)などの浸食性要素が含まれる。本発明により用いられる通路はよく知られており、米国特許第3845770号、第3916899号、第4034758号、第4077407号、第4783337号、および第5071607号に記載されている。
【0037】
第2の有効薬物は抗糖尿病薬とは独立しており、好ましくはチアゾリジンジオン誘導体である。この第2の有効薬物は、チアゾリジンジオン誘導体の即時放出をもたらすように配合することができる。本発明の一実施形態では、チアゾリジンジオン誘導体は層の形態で、結合剤、ならびに吸収促進剤、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、および前記の組み合わせなどの他の従来の薬剤の賦形剤を用いて、層として抗糖尿病薬を含む制御放出または持続放出コアに施される。吸収促進剤は、チアゾリジンジオン誘導体の重量に比べて最高約30%w/wの量で、チアゾリジンジオン誘導体の層に存在することができる。結合剤は、チアゾリジンジオン誘導体の最高150%w/wの量で存在することができる。第2の有効薬物の即時放出製剤は、従来の方法により剤形の膜または持続放出コーティング上に被覆することにより単回投与形態に組み入れることができる。あるいは、第2の有効薬物の即時放出製剤は、製薬上許容される任意の方法により、第1の有効薬物を含む単回剤形に組み入れることができる。第2の有効薬物の組入れは、薬物の層状化、ラミネーション、乾式圧縮、堆積、および印刷からなる群から選択される方法により行うことができるが、それだけに限定されない。
【0038】
チアゾリジンジオン誘導体が浸透性錠剤のコアの膜または持続放出コーティング上を被覆する際、チアゾリジンジオンコーティングは、水性溶媒、有機溶媒、または水性および有機溶媒の混合物を使用するコーティング溶液または懸濁液から施されなければならない。典型的な有機溶媒には、アセトン、イソプロピルアルコール、メタノール、およびエタノールが含まれる。水性溶媒および有機溶媒の混合液を使用する場合は、水と有機溶媒の比率は、98:2〜2:98、好ましくは50:50〜2:98、最も好ましくは30:70〜20:80、理想的には約25:75〜20:80の範囲でなければならない。混合溶媒系を用いる場合は、膜または持続放出コーティング上にチアゾリジンジオン誘導体を被覆するのに必要な結合剤の量は減少させてもよい。例えば、結合剤のチアゾリジンジオン誘導体に対する比率が1:9〜1:11である混合溶媒系から好結果のコーティングが得られている。チアゾリジンジオンコートを膜または持続放出コーティングに直接施すと許容できるコーティングを得ることができるが、好ましい手法は、最初に膜または持続放出コーティングをシールコートで被覆し、その後チアゾリジンジオンコーティングを施すことである。本明細書で用いるシールコートは、有効薬剤成分を含まず、即座に水に分散または溶解するコーティングである。
【0039】
チアゾリジンジオンコーティング溶液または懸濁液は、界面活性剤および造孔剤も含むことがある。造孔剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、メタクリル酸共重合体、ポロキサマー(BASFより市販されているLUTROL F68、LUTROL F127、LUTROL F108など)、およびこれらの混合物などの水性材料が好ましい。一代替実施形態では、本発明の剤形は効果的な即時放出の量の抗糖尿病薬も含むことができる。効果的な即時放出の量の抗糖尿病薬は、剤形の膜または持続放出コーティング上に被覆することができ、あるいは膜または持続放出コーティング中に組み入れることができる。
【0040】
さらに、様々な希釈剤、賦形剤、滑沢剤、染料、色素、分散剤などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1955年)に開示されており、本発明の上記に列挙した製剤を最適化するために用いることができる。
【0041】
メトホルミンなどのビグアニドは、500mg、750mg、850mg、および1000mgを含む剤形で通常投与される。チアゾリジンジオン誘導体、例えばピオグリチゾン(pioglitizone)は、15mg、30mg、および45mgを含む剤形で通常投与される。本発明は上記に列挙した治療用の組み合わせを含むことが意図され、化合物のそれぞれの可能な組み合わせおよびそれぞれの投与量の具体的な例を提供するものではない。
【0042】
好ましい実施形態では、剤形は以下の組成を有する。
第1の有効薬物
コア: 量(コア中%)
薬物 50〜98% (好ましくは75〜95%)
結合剤 0.1〜40% (好ましくは3〜15%)
吸収促進剤 0〜20% (好ましくは2〜10%)
滑沢剤 0〜5% (好ましくは0.5〜1%)
コーティング 量(コーティング中%)
ポリマー 50〜99% (好ましくは75〜95%)
流動促進剤 0〜40% (好ましくは2〜20%)
可塑剤 0〜25% (好ましくは2〜15%)
第2の有効薬物 量(全剤形中%)
薬物 0.1〜20% (好ましくは1〜10%)
結合剤 0.1〜30% (好ましくは1〜15%)
界面活性剤 0〜20% (好ましくは0.1〜15%)
造孔剤 0〜25% (好ましくは0.1〜15%)
ポリマー(任意) 0〜30% (好ましくは0.1〜20%)
【0043】
本発明に従って調製された剤形は、USPタイプ2装置で75rpm、擬似腸液(pH7.5リン酸緩衝液)900ml、37℃で試験すると、以下の溶解プロファイルを示す。
【0044】
(表1)
第1の有効薬物の放出

───────────────────────────────

時間(時間) 放出%

───────────────────────────────

2 0〜25% (好ましくは0〜15%)
4 10〜45% (好ましくは20〜40%)
8 30〜90% (好ましくは45〜90%)
12 50%以上 (好ましくは60%以上)
16 60%以上 (好ましくは70%以上)
20 70%以上 (好ましくは80%以上)

───────────────────────────────

NLT= 以上

【0045】
(表2)
第2の有効薬物の放出

───────────────────────────────

時間(時間) 放出%

───────────────────────────────

0.5 60%以上 (好ましくは75%以上)
【0046】
この剤形のチアゾリジンジオン成分で使用する賦形剤の選択は、チアゾリジンジオンの放出特性、効力、および安定性に大きな影響を及ぼし得ることが見出されている。したがって、本発明の一代替実施形態では、本発明のチアゾリジンジオン成分の組成は、米国薬局方(USP)26に従い、100rpm、37℃の装置1およびpH2.0の0.3M KCl−HCl緩衝液900mlを用いて試験した場合、剤形から45分以内、好ましくは40分以内、最も好ましくは30分以内に、85%以上、好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上のチアゾリジンジオンが放出されるように選択されなければならない。
【0047】
さらに、この剤形のチアゾリジンジオン成分で用いる賦形剤は、最終剤形におけるチアゾリジンジオン関連化合物または不純物が全部で0.6%以下、好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.25%以下で、最終剤形における個別のチアゾリジンジオン関連化合物または不純物がそれぞれ、0.25%以下、好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下となるように選択されなければならない。最終剤形におけるチアゾリジンジオン関連化合物または不純物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、YMC−ODS−AQ、5μm、120Å、4.6×250mm、または同等のカラム、移動相0.1M酢酸アンモニウム緩衝液:アセトニトリル:氷酢酸(25:25:1)、注入量約40μL、流速0.7mL/分、カラム温度25℃、UV検出器波長269nmを用いて決定される。
(実施例)
【0048】
以下は例示にすぎず、決して限定的なものではない。
【実施例1】
【0049】
HClメトホルミン850mgとピオグリタゾン15mgを含む制御放出錠剤を以下のように調製する。
【0050】
(表3)
第1の有効薬物
I. コア (コア中の組成%)
HClメトホルミン 90.54%
ポビドン(Povidone)K-301、USP 4.38%
三塩基リン酸ナトリウム 4.58%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%

────────────────────────────

1およその分子量=50000、動粘性率(20℃の10%w/v溶液)=5.5〜8.5mPa・s
【0051】
(a)造粒
HClメトホルミンを40メッシュのふるいに通して塊を除き、ポリエチレンで内側を被覆した清潔な容器に回収する。ポビドン(povidone)K−30、および三塩基リン酸ナトリウムを精製水中に溶解する。次いで、塊を除いたHClメトホルミンをトップスプレー流動層造粒機に加え、以下の条件下でポビドンと三塩基リン酸ナトリウムの結合剤溶液を噴霧して造粒する:吸気温度50〜70℃、噴霧空気圧力1〜3バール、噴霧速度10〜100ml/分。
【0052】
結合剤溶液を使い切ったら、乾燥時の減少が2%より少なくなるまで造粒機中で顆粒を乾燥させる。乾燥した顆粒は、18メッシュのふるいの同等物を装着したComilを通す。
【0053】
(b)錠剤化
ステアリン酸マグネシウムを40メッシュのステンレススチール製ふるいに通し、約5分間HClメトホルミン顆粒とブレンドする。ブレンド後、15/32インチ丸型標準凹型パンチ(パンチ下部は平面、パンチ上部は約1mmの凹みピンを有する)を取り付けたロータリープレス上で顆粒を圧縮する。
【0054】
上述したように、孔は製薬業界で通常用いられる任意の手段により形成することができる。
【0055】
(c)シールコーティング(任意)
コア錠剤は、最初にOpadry材料、好ましくはOpadry Clearを精製水に溶解することにより、Opadry材料または他の適切な水性材料でシールコートすることができる。次いで、Opadry溶液をパンコーターを用いて以下の条件下でコア錠剤上に噴霧する:排気温度38〜42℃、噴霧空気圧28〜40psi(2.0〜2.8kg/cm)、噴霧速度10〜15ml/分。理論上のコーティングレベルである約2〜4%が得られるまで、コア錠剤をシール溶媒で被覆する。
【0056】
(表4)
II (膜中の組成%)
酢酸セルロース(398-10)2 85%
トリアセチン 5%
PEG 400 10%

────────────────────────────

2アセチル含有量39.3〜40.3%
【0057】
(a)膜コーティングプロセス
酢酸セルロースを、ホモジナイザーで撹拌しながらアセトン中に溶解する。この酢酸セルロース溶液にポリエチレングリコール400とトリアセチンを加え、透明な溶液が得られるまで撹拌する。次いで、この透明な膜コーティング溶液を、以下の条件を用い流動層コーターを用いてシールコートした錠剤上に噴霧する:製品温度16〜22℃、噴霧空気圧約3バール、噴霧速度120〜150ml/分。シールされたコア錠剤を、理論上のコーティングレベルである約3%が得られるまで被覆する。
【0058】
III 第2の有効薬物の層状化 (第2の成分の組成%)
HClピオグリチゾン 43.5%
Tween80 2.0%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 54.5%
【0059】
Tween80とヒドロキシプロピルメチルセルロースを精製水中に溶解する。次いで、この溶液中にHClピオグリチゾンを分散させる。次いで、得られた懸濁液を、上記の膜で被覆した錠剤上に噴霧する。
【実施例2】
【0060】
HClメトホルミン850mgとピオグリタゾン15mgを含む制御放出錠剤を以下のように調製する。
【0061】
(表5)
第1の有効薬物
I. コア (コア中の組成%)
HClメトホルミン 88.555%
ポビドンK-903、USP 6.368%
ラウリル硫酸ナトリウム 4.577%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%

──────────────────────────────

3およその分子量=1000000、動粘性率(10%w/v溶液)=20℃で300〜700mPa・s
【0062】
(a)造粒
HClメトホルミンとラウリル硫酸ナトリウムを40メッシュのふるいに通して塊を除き、ポリエチレンで内側を被覆した清潔な容器に回収する。ポビドンK−90を精製水中に溶解する。次いで、塊を除いたHClメトホルミンとラウリル硫酸ナトリウムをトップスプレー流動層造粒機に加え、以下の条件下でポビドンの結合剤溶液を噴霧して造粒する:吸気温度50〜70℃、噴霧空気圧1〜3バール、噴霧速度10〜100ml/分。
【0063】
結合剤溶液を使い切ったら、乾燥時の減少が2%より少なくなるまで造粒機中で顆粒を乾燥させる。乾燥した顆粒は、18メッシュのふるいの同等物を装着したComilを通す。
【0064】
(b)錠剤化
ステアリン酸マグネシウムを40メッシュのステンレススチール製ふるいに通し、約5分間HClメトホルミン顆粒とブレンドする。ブレンド後、15/32インチ丸型標準凹型パンチ(パンチ下部は平面、パンチ上部は約1mmの凹みピンを有する)を取り付けたロータリープレス上で顆粒を圧縮する。
【0065】
上述のように、孔は製薬業界で通常用いられる任意の手段により形成することができる。
【0066】
(c)シールコーティング(任意)
コア錠剤は、最初にOpadry材料、好ましくはOpadry Clearを精製水中に溶解することにより、Opadry材料または他の適切な水性材料でシールコートする。次いで、Opadry溶液を以下の条件下でパンコーターを用いてコア錠剤上に噴霧する:排気温度38〜42℃、噴霧空気圧28〜40psi(2.0〜2.8kg/cm)、噴霧速度10〜15ml/分。理論上のコーティングレベルである約2%が得られるまで、コア錠剤をシール溶媒で被覆する。
【0067】
(表6)
II 膜 (膜中の組成%)
酢酸セルロース(398-10)4 85%
トリアセチン 5%
PEG 400 10%

────────────────────────────

4アセチル含有量39.3〜40.3%
【0068】
(a)膜コーティングプロセス
酢酸セルロースを、ホモジナイザーで撹拌しながらアセトン中に溶解する。この酢酸セルロース溶液にポリエチレングリコール400とトリアセチンを加え撹拌する。次いで、このコーティング溶液を、以下の条件を用い流動層コーターで、シールコートした錠剤上に噴霧する:製品温度16〜22℃、噴霧空気圧約3バール、噴霧速度120〜150ml/分。シールされたコア錠剤を、理論上のコーティングレベルである約3%が得られるまで被覆する。
【0069】
III 第2の有効薬物の層状化 (第2の成分の組成%)
HClピオグリチゾン 43.5%
Tween80 2.0%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 54.5%
【0070】
Tween80とヒドロキシプロピルメチルセルロースを精製水中に溶解する。次いで、この溶液中にHClピオグリチゾンを分散させる。次いで、得られた懸濁液を、上記に記載した錠剤上に噴霧する。
【実施例3】
【0071】
HClメトホルミン500mgとピオグリタゾン15mgを含む制御放出錠剤を以下のように調製する。
【0072】
I.第1の有効薬物
錠剤化の間に化合物カップ成形型を用いる以外は上記実施例2に記載したように、メトホルミン500mg膜コーティング錠を調製する。メトホルミン500mg膜コーティング錠は以下の組成を有する:
コア
HClメトホルミン 500mg/錠
ポビドンK−90、USP 35.96mg/錠
ラウリル硫酸ナトリウム、NF 25.84mg/錠
ステアリン酸マグネシウム、NF 2.82mg/錠
シールコーティング
Opadry Clear(YS−1−7006) 23.53mg/錠
膜コーティング
酢酸セルロース、398−10、NF 23.56mg/錠
トリアセチン、USP 1.39mg/錠
ポリエチレングリコール400、NF 2.77mg/錠
全重量 615.87mg/錠
【0073】
II.第2の有効薬物の層化
即時放出量のHClピオグリチアゾンを、ステップIで調製したHClメトホルミン500mg膜コーティング錠に施す。最終の錠剤は以下の組成を有する:
HClメトホルミン膜コーティング 615.87mg/錠
ピオグリタゾンコーティング
HClピオグリタゾン 16.53mg/錠
Tween80 2.0mg/錠
Polyplasdone XL 15.0mg/錠
Opadry Clear(YS−1−7006) 8.47mg/錠
着色コーティング
Opadry White 10.0mg/錠
艶出しコーティング
カンデリラロウ粉末 2.0mg/錠
【0074】
ピオグリタゾンコーティングをHClメトホルミン500mg膜コーティング錠に直接施す。Opadry Clear0.252kg、Polyplasdone XL0.269kg、およびTween80 0.036kgを精製水9.908kg中にホモジナイザーを用いて溶解してピオグリタゾンコーティングを調製する。これらの成分が溶解したら、HClピオグリタゾン0.296kgをこの溶液中に分散させ、ホモジナイズする。次いで、ホモジナイズした分散物を、以下の条件で24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターを用いてHClメトホルミン500mg膜コーティング錠に直接施す:
噴霧速度 15〜27mL/分
排気温度 42〜47℃
噴霧空気圧 25psi(1.76kg/cm
パン速度 5〜9rpm
吸気流量 300〜400CFM
【0075】
ピオグリタゾンコーティングをHClメトホルミン500mg膜コーティング錠に施したら、Opadry Whiteの美的または着色コーティングをピオグリタゾンコーティング錠に施す。着色コーティングは、Opadry White0.179kgを精製水1.791kg中に分散して調製する。Opadry White懸濁液は、24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターを用いて以下の条件下でピオグリタゾンコーティング錠に施す。
噴霧速度 20〜35mL/分
排気温度 35〜45℃
噴霧空気圧 25psi(1.76kg/cm
パン速度 9rpm
吸気流量 390〜500CFM
【0076】
着色コーティングを施したら、カンデリラロウ粉末0.036kgを用いて錠剤を艶出しする。
【実施例4】
【0077】
HClメトホルミン500mgおよびピオグリタゾン15mgを含む制御放出錠を以下のように調製する。
【0078】
I.第1の有効薬物
500mg膜コーティング錠は、錠剤化の間に化合物カップ成形型(compoundcup toolings)を用いる以外は上記実施例2に記載したように調製する。500mg膜コーティング錠は、以下の組成を有する:
コア
HClメトホルミン 500mg/錠
ポビドンK−90、USP 35.96mg/錠
ラウリル硫酸ナトリウム、NF 25.84mg/錠
ステアリン酸マグネシウム、NF 2.82mg/錠
シールコーティング
Opadry Clear(YS−1−7006) 23.53mg/錠
膜コーティング
酢酸セルロース、398−10、NF 23.56mg/錠
トリアセチン、USP 1.39mg/錠
ポリエチレングリコール400、NF 2.77mg/錠
全重量 615.87mg/錠
【0079】
II.第2の有効薬物の層化
ステップIで調製したHClメトホルミン500mgのシールコートした錠剤に、即時放出量のHClピオグリチアゾンを施す。最終の錠剤は以下の組成を有する:
HClメトホルミン膜コーティング錠 615.87mg/錠
シールコート
Opadry Clear(YS−1−7006) 13.8mg/錠
ピオグリタゾンコーティング
HClピオグリタゾン 16.53mg/錠
Tween80 2.0mg/錠
塩化ナトリウム 4.27mg/錠
Opadry Clear(YS−1−7006) 2.0mg/錠
着色コーティング
Opadry White 8.10mg/錠
艶出しコーティング
カンデリラロウ 0.20mg/錠
【0080】
シールコーティング溶液は、Opadry Clear0.258kgを精製水2.576kg中に溶解し、その溶液を24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターを用いてHClメトホルミン500mg膜コーティング錠のコア約12.088kg上に噴霧して調製する。シールコートは以下の条件下で施す:
噴霧速度 20〜35mL/分
排気温度 35〜45℃
噴霧空気圧 25psi(1.76kg/cm
パン速度 9rpm
吸気流量 390〜500CFM
【0081】
シールコートしたHClメトホルミン500mg膜コーティング錠に、ピオグリタゾンコーティングを施す。ピオグリタゾンコーティングは、Opadry Clear0.040kg、塩化ナトリウム0.085kg、およびTween80 0.040kgを、精製水4.915kg中にホモジナイザーを用いて溶解して調製する。これらの成分が溶解したら、HClピオグリタゾン0.328kgを溶液中に分散させてホモジナイズする。次いで、ホモジナイズした分散物を、24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターを用いて以下の条件で、シールコートしたHClメトホルミン500mg膜コーティング錠に施す:
噴霧速度 10〜30mL/ガン/分
排気温度 35〜45℃
噴霧空気圧 20〜40psi(1.4〜2.8kg/cm
パターン空気圧 20〜40psi(1.4〜2.8kg/cm
パン速度 8〜12rpm
吸気流量 240〜450CFM
【0082】
ピオグリタゾンコーティングをシールコートしたHClメトホルミン500mg膜コーティング錠に施したら、Opadry Whiteの美的または着色コーティングをピオグリタゾンコーティング錠に施す。着色コーティングは、Opadry White0.159kgを精製水1.585kg中に分散させて調製する。Opadry White懸濁液を、シールコーティングを施すために上記に記載したのと同様の条件を用いてピオグリタゾンコーティング錠に施す。着色コーティングを施したら、錠剤をカンデリラロウ粉末0.004kgを用いて艶出しする。
【実施例5】
【0083】
HClメトホルミン1000mgとピオグリタゾン30mgを含む制御放出錠剤を以下のように調製する。
【0084】
I.第1の有効薬物
メトホルミン1000mg膜コーティング錠を、上記実施例3に記載したように調製する。1000mg膜コーティング錠は以下の組成を有する:
コア
HClメトホルミン 1000mg/錠
ポビドンK−90、USP 78.0mg/錠
ラウリル硫酸ナトリウム、NF 51.69mg/錠
ステアリン酸マグネシウム、NF 5.66mg/錠
シールコーティング
Opadry Clear(YS−1−7006) 47.05mg/錠
膜コーティング
酢酸セルロース、398−10、NF 15.77mg/錠
トリアセチン、USP 0.92mg/錠
ポリエチレングリコール400、NF 1.85mg/錠
全重量 1201.0mg/錠
【0085】
II.第2の有効薬物
即時放出量のHClピオグリタゾンを、ステップIで調製したHClメトホルミン1000mg膜コーティング錠に施す。最終の錠剤は以下の組成を有する:
HClメトホルミン膜コーティング錠 1201.0mg/錠
シールコーティング
Opadry Clear(YS−1−7006) 16.0mg/錠
ピオグリタゾンコーティング
HClピオグリタゾン 33.06mg/錠
塩化ナトリウム 4.27mg/錠
Opadry Clear(YS−1−7006) 3.0mg/錠
着色コーティング
Opadry II White(Y−22−7719) 20.27mg/錠
艶出しコーティング
カンデリラロウ粉末 0.40mg/錠
【0086】
シールコーティングは、Opadry Clear0.174kgをエタノール3.478kgに分散させ、分散液を15分間混合して調製する。次いで、分散液を、24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターを用いてHClメトホルミン1000mg膜コーティング錠約13.174kg上に噴霧する。HClメトホルミン1000mg膜コーティング錠に、以下の条件でシールコートを施す:
噴霧速度 10〜30ml/ガン/分
排気温度 25〜45℃
噴霧空気圧 20〜40psi(1.4〜2.8kg/cm
パン速度 6〜12rpm
パターン空気圧 20〜40psi(1.4〜2.8g/cm
吸気流量 250〜450CFM
【0087】
次いで、シールコートしたHClメトホルミン1000mg膜コーティング錠に、ピオグリタゾンコーティングを施す。ピオグリタゾンコーティングは、Opadry Clear0.036kgおよび塩化ナトリウム0.046kgをエタノール5.344kgに、ホモジナイザーを用いて溶解して調製する。成分が分散した後、HClピオグリタゾン0.359kgを溶液中に分散しホモジナイズする。次いで、ホモジナイズした分散液を、シールコートしたHClメトホルミン1000mg膜コーティング錠に、24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターを用いて以下の条件で施す:
噴霧速度 10〜30mL/ガン/分
排気温度 25〜45℃
噴霧空気圧 20〜40psi(1.4〜2.8kg/cm
パン速度 6〜12rpm
パターン空気圧 20〜40psi(1.4〜2.8kg/cm
吸気流量 250〜450CFM
【0088】
ピオグリタゾンコーティングを施したら、OpadryIIWhiteの美的または着色コーティングをピオグリタゾンコーティング錠剤に施す。着色コーティングは、OpadryIIWhite0.220kgをエタノール4.407kgに分散して調製する。次いで、OpadryIIWhite懸濁液を、24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターを用いてシールコーティングで上記に記載したのと同様の条件を用いてHClピオグリタゾンコーティング錠剤に施す。着色コーティングを施したら、カンデリラロウ粉末0.004kgを用いて錠剤を艶出しする。
【実施例6】
【0089】
HClメトホルミン1000mgとピオグリタゾン30mgを含む制御放出錠剤を以下のように調製する。
【0090】
I.第1の有効薬物
上記実施例3に記載したように、1000mg膜コーティング錠を調製する。1000mg膜コーティング錠は以下の組成を有する:
コア
HClメトホルミン 1000mg/錠
ポビドンK−90、USP 78.0mg/錠
ラウリル硫酸ナトリウム、NF 51.69mg/錠
ステアリン酸マグネシウム、NF 5.65mg/錠
シールコーティング
Opadry Clear(YS−1−7006) 47.05mg/錠
膜コーティング
酢酸セルロース、398−10、NF 15.77mg/錠
トリアセチン、USP 0.92mg/錠
ポリエチレングリコール400、NF 1.85mg/錠
全重量 1201.0mg/錠
【0091】
II.第2の有効薬物
即時放出量のHClピオグリタゾンを、ステップIで調製したHClメトホルミン1000mg膜コーティング錠に施す。最終の錠剤は以下の組成を有する:
HClメトホルミン膜コーティング錠 1201.0mg/錠
シールコート
Opadry Clear(YS−1−7006) 21.0mg/錠
ピオグリタゾンコーティング
HClピオグリタゾン 33.06mg/錠
塩化ナトリウム 5.0mg/錠
Opadry Clear(YS−1−7006) 3.7mg/錠
着色コーティング
OpadryIIWhite(Y−22−7719) 21.54mg/錠
艶出しコーティング
カンデリラロウ粉末 0.40mg/錠
【0092】
HClメトホルミン1000mg膜コーティング錠にシールコートを施す。シールコーティングは、Opadry Clear0.229kgをUSPアルコール4.573kgに分散し、分散液を15分間混合して調製する。次いで、分散液を、固定層の上部から4±2インチノズルチップセットを装着した24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーター、および以下の条件を用いてHClメトホルミン1000mg錠のコア約13.08kg上に噴霧する:
噴霧速度 25±10mL/ガン/分
排気温度 25±5℃
噴霧空気圧 10〜40psi(0.7〜2.8kg/cm
パン速度 4〜9rpm
供給空気流量 200±100CFM
パターン空気圧 10〜40psi(0.7〜2.8kg/cm
【0093】
シールコーティング分散液は、コーティングプロセスの間に消費されるまで絶えず撹拌する。
【0094】
次いで、シールコートしたHClメトホルミン1000mg膜コーティング錠に、ピオグリタゾンコーティングを施す。ピオグリタゾンコーティングは、USPアルコール4.434kgと精製水1.250kgを混合し(アルコール対精製水の比率は約78:22)、Opadry Clear0.040kgを混合溶媒中にゆっくりと分散させて調製する。Opadry Clearが分散したら、それを約10分間ホモジナイズする。Opadry Clear分散液をホモジナイズしたら、分散液に塩化ナトリウム0.054kgを加え、約2分間ホモジナイズする。塩化ナトリウムをホモジナイズした後、HClピオグリタゾン0.360kgを混合溶媒中にゆっくりと分散させ、次いで約10分間ホモジナイズする。HClピオグリタゾンをホモジナイズしたら、混合容器からホモジナイザーを取り除き、エアミキサーと置き換え、さらなる15分間混合する。コーティングプロセス中に懸濁液が消費されるまでピオグリタゾン懸濁液を撹拌する。HClピオグリタゾン懸濁液を、シールコートしたHClメトホルミン1000mg膜コーティング錠に、固定層の上部に4±2インチノズルチップセットを装着した24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターを用いて以下の条件で施す:
噴霧速度 25±10mL/ガン/分
排気温度 25±5℃
噴霧空気圧 10〜40psi(0.7〜2.8kg/cm
パン速度 4〜9rpm
パターン空気圧 10〜40psi(0.7〜2.8kg/cm
供給空気流量 200±100CFM
【0095】
シールコートしたHClメトホルミン1000mg膜コーティング錠にピオグリタゾンコーティングを施した後、OpadryIIWhiteの美的コーティングをピオグリタゾンコーティング錠剤に施す。美的コーティングは、OpadryIIWhite(Y−22−7719)0.235kgをUSPアルコール4.691kg中に分散させ、分散液を約1時間混合して調製する。次いで、OpadryIIWhite分散液は、固定層の上部から4±2インチノズルチップセットを装着した24インチO’Hara LabcoatIIIパンコーターおよび以下の条件を用いてHClピオグリタゾンコーティング錠上に噴霧する:
噴霧速度 25±10mL/ガン/分
排気温度 25±5℃
噴霧空気圧 10〜40psi(0.7〜2.8kg/cm
パン速度 4〜9rpm
供給空気流 200±100CFM
パターン空気圧 10〜40psi(0.7〜2.8kg/cm
【0096】
着色コーティング分散液は、コーティングプロセスの間に分散液が消費されるまで絶えず撹拌する。
【0097】
美的コーティング懸濁液が消費されたら、錠剤をコーティングパン中で約5分間、パン速度約2〜8rpm、排気温度25±5℃で乾燥させる。錠剤が乾燥したら、排気を切り、パン速度を約3〜4rpmに調節し、60メッシュのふるいに通したカンデリラロウ粉末0.004kgを錠剤上に散布する。錠剤がワックス中を約5分間回転した後、排気を入れさらなる10分間錠剤を回転させる。
【0098】
完成し艶出しした錠剤を、USPタイプ1装置で100rpm、pH2.0、HCl−0.3M KCl緩衝液で試験すると、以下のHClピオグリタゾンの崩壊プロファイルを示した:
時間 放出されたピオグリタゾンの%
10分 42%
20分 79%
30分 95%
45分 102%
【0099】
完成し艶出しした錠剤を、また、HPLCで、YMC−ODS−AQ、5μm、120Å、4.6×250mmカラム、移動相0.1M酢酸アンモニウム緩衝液:アセトニトリル:氷酢酸(25:25:1)、注入量40μL、流速0.7mL/分、カラム温度25℃、UV検出器波長269nmを用いて試験すると、以下のピオグリタゾン関連化合物が含まれていた。
【0100】
(表7)
物質名 相対保持時間 量(%)

────────────────────────────

RS-l 0.7 N.D*.
ピオグリタゾン 1.0
RS-2 1.5 0.03
RS-3 3.4 0.04
RS-4 1.2 0.03
RS-5 2.8 0.04
*N.D.=検出せず
【0101】
RS−1は、(+/−)−5−[p−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル]−5−ヒドロキシ−2,4−チアゾリジンジオンである。
RS−2は、(z)−5−[p−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジリデン]−2,4−チアゾリジンジオンである。
RS−3は、(+/−)−5−[p−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル]−3−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エチル]−2,4−チアゾリジンジオンである。
RS−4は、(+/−)−エチル−2−カルバモイルチオ−3−[4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]フェニル]プロピオネートである。
RS−5は、エチル−3−p−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]フェニルプロピオネートである。
【0102】
最終の艶出しした錠剤は、SORB−IT(登録商標)乾燥剤2gを1缶含む100ccHDPEボトルに包装し、40℃、相対湿度75%の安定性加速条件に3ヶ月間さらした。貯蔵後、最終の艶出しした錠剤を試験し、USPタイプ1装置で100rpm、pH2.0HCl−0.3M KCl緩衝液で試験すると、以下のHClピオグリタゾン崩壊プロファイルを示した:
時間 放出されたピオグリタゾンの%
10分 38%
20分 73%
30分 92%
45分 101%
【0103】
貯蔵した最終の艶出しした錠剤は、また、HPLCで、YMC−ODS−AQ、5μm、120Å、4.6×250mmカラム、移動相0.1M酢酸アンモニウム緩衝液:アセトニトリル:氷酢酸(25:25:1)、注入量40μL、流速0.7mL/分、カラム温度25℃、UV検出器波長269nmを用いて試験すると、以下のピオグリタゾン関連化合物を含んでいた。
【0104】
(表8)
物質名 相対保持時間 量(%)

──────────────────────────

RS-1 0.7 N.D*.
ピオグリタゾン 1.0
RS-2 1.5 0.03
RS-3 3.4 0.05
RS-4 1.2 0.02
RS-5 2.8 0.04
*N.D.=検出せず
【0105】
本発明を開示する目的で、本発明のある種の好ましい実施形態および代替の実施形態を述べてきたが、開示した実施形態に対する変更は当業者なら着想することができよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の全ての実施形態およびそれらの変更を含むものとし、本発明の精神および範囲から逸脱するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)、(B)を含む医薬剤形
(A)HClメトホルミンを含む制御放出浸透性錠剤コアであって、USPタイプ2装置で75rpm、擬似腸液(pH7.5)900ml、37℃を用いて試験した場合、
2時間後に0〜25%のHClメトホルミンが放出され、
4時間後に10〜45%のHClメトホルミンが放出され、
8時間後に30〜90%のHClメトホルミンが放出され、
12時間後に50%以上のHClメトホルミンが放出され、
16時間後に60%以上のHClメトホルミンが放出され、
20時間後に70%以上のHClメトホルミンが放出される溶解プロフアイルを示す制御放出浸透性錠剤コア
(B)該浸透性錠剤コアを囲む即時放出HClピオグリタゾン層。
【請求項2】
該浸透性錠剤コアはゲル化ポリマーまたは膨張性ポリマーを含まない請求項1記載の医薬剤形。
【請求項3】
USPタイプ1装置で100rpm、pH2.0の0.3M KCL−HCL緩衝液900mlを用いて試験した場合、95%のHCLピオグリタゾンが放出される請求項1記載の医薬剤形。
【請求項4】
USPタイプ2装置で75rpm、擬似腸液(pH7.5)900ml、37℃を用いて試験した場合、該浸透性錠剤コアは、
2時間後に0〜15%のHClメトホルミンが放出され、
4時間後に20〜40%のHClメトホルミンが放出され、
8時間後に45〜90%のHClメトホルミンが放出され、
12時間後に60%以上のHClメトホルミンが放出され、
16時間後に70%以上のHClメトホルミンが放出され、
20時間後に80%以上のHClメトホルミンが放出される溶解プロフアイルを示す請求項1記載の医薬剤形。
【請求項5】
次の工程a)、b)、c)を備える持続放出経口錠剤の調製方法
a)メトホルミン500mg〜1000mgを含む制御放出HCLメトホルミンを形成する工程
b)
i)HCLピオグリタゾン
ii)水
iii)有機溶媒
iv)結合剤
v)任意成分として界面活性剤
vi)任意成分として造孔剤
を含む即時放出コーテイング溶液を調製する工程であって、有機溶媒に対する水の比率は50:50〜2:98であり、HCLピオグリタゾンに対する結合剤の比率は1:9〜1:11である工程
c)USPタイプ2装置で75rpm、擬似腸液(pH7.5緩衝液)900ml、37℃を用いて試験した場合、30分後に75%以上のHClピオグリタゾンが放出されるように、該即時放出コーテイング溶液を該制御放出HCLメトホルミン錠剤に施す工程。
【請求項6】
30分後に95%以上のHCLピオグリタゾンが持続放出錠剤から放出される請求項5記載の方法。
【請求項7】
該有機溶媒はアセトン、イソプロピルアルコール、メタノールまたはエタノールである請求項5記載の方法。
【請求項8】
該持続放出錠剤はゲル化ポリマーを使用することなく調製される請求項5記載の方法。
【請求項9】
該制御放出HCLメトホルミン錠剤は、
a)HCLメトホルミンを少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤と混合する工程
b)工程a)の混合物を圧縮して錠剤にする工程
c)工程b)の錠剤を膜で被覆する工程
によって形成される請求項5記載の方法。
【請求項10】
請求項5記載の方法により調製された錠剤。
【請求項11】
次の工程a)、b)、c)を備える持続放出経口錠剤の製造方法
a)メトホルミン500mg〜1000mgを含む制御放出HCLメトホルミンをゲル化ポリマーを使用せずに形成する工程であって、次のステップを含む工程
i)HCLメトホルミンを少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤と混合するステップ
ii)ステップi)の混合物を圧縮して錠剤にするステップ
iii)ステップii)の錠剤を膜で被覆するステップ
b)
i)HCLピオグリタゾン
ii)水
iii)アセトン、イソプロピルアルコール、メタノールおよびエタノールからなる群から選ばれた有機溶媒
iv)結合剤
v)任意成分として界面活性剤
vi)任意成分として造孔剤
を含む即時放出コーテイング溶液を調製する工程であって、有機溶媒に対する水の比率は50:50〜2:98であり、HCLピオグリタゾンに対する結合剤の比率は1:9〜1:11である工程
c)USPタイプ2装置で75rpm、擬似腸液(pH7.5緩衝液)900ml、37℃を用いて試験した場合、30分後に95%以上のHClピオグリタゾンが該持続放出錠剤から放出されるように、該即時放出コーテイング溶液を該制御放出HCLメトホルミン錠剤の膜に施す工程。
【請求項12】
請求項11記載の方法によって調製された錠剤。

【公開番号】特開2011−148819(P2011−148819A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62093(P2011−62093)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2006−526860(P2006−526860)の分割
【原出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(505101606)アンドルックス ラボズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【Fターム(参考)】