説明

ビタミンD耐性腫瘍細胞においてビタミンD感受性を回復させるための免疫調節性化合物

ビタミンD耐性である腫瘍細胞においてビタミンD感受性を回復させる方法が本明細書において提供される。また、免疫調節性化合物を、ビタミンD剤と組み合わせて使用して、癌を処置、予防または管理する方法も提供される。本明細書において提供される方法において使用するのに適した医薬組成物および単回単位投与形も開示される。別の実施形態において、ビタミンD処置に対して不応性の癌を処置、管理または予防する方法が提供され、この方法は、このような癌を有する患者に、一定量の免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、ビタミンD剤と組み合わせて投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、ともに表題「Immunomodulatory compounds for the restoration of vitamin D sensitivity in vitamin D resistant tumor cells」である、2010年4月15日に出願された仮出願第61/324,473号および2009年11月24日に出願された仮出願第61/264,062号の出願日の利益を主張する。これらの全体の開示は、本開示への参考として本明細書に援用される。
【0002】
1.分野
本明細書では、ビタミンD耐性腫瘍細胞においてビタミンD感受性を回復させる方法が提供される。免疫調節性化合物を、ビタミンD剤(vitamin D agent)と組み合わせて使用する、癌を処置する方法、医薬組成物および投与計画も提供される。
【背景技術】
【0003】
2.1 癌の病理学
癌は、所与の正常組織に由来する異常な細胞数の増大、これらの異常な細胞による隣接組織の浸潤または悪性細胞の局所リンパ節への、および遠位部位への、リンパ液または血液媒介性の伝播(転移)によって主に特徴付けられる。臨床データおよび分子生物学的研究によって、癌は、わずかな前癌性変化で始まり、これが特定の条件下で新生物に進行し得る多段階プロセスであることが示されている。腫瘍性病変は、特に、新生細胞が宿主の免疫学的監視を逃れる条件下で、クローン性に進化し、浸潤、成長、転移および異質性のための増大する能力を発達させ得る。Roitt, I.、Brostoff, JおよびKale, D.、Immunology、17.1〜17.12(第3版、Mosby,St.Louis,Mo.、1993年)。
【0004】
非常にさまざまな癌があり、これらは医学文献に詳細に記載されている。例として、肺、結腸、直腸、前立腺、乳房、脳および腸の癌が挙げられる。癌の発生率は、一般集団が高齢化し、新規癌が発生し、感受性集団(例えば、AIDSに感染した人または日光に過度に曝露された人)が成長するにつれ、上がり続ける。しかし、癌の治療の選択肢は限られている。例えば、血液癌(例えば、多発性骨髄腫)の場合には、特に、従来の化学療法が失敗し、骨髄移植が選択肢ではない場合には、利用可能である治療選択肢はほとんどない。したがって、癌の患者を処置するために使用できる新規方法および組成物に対する非常に大きな需要が存在する。
【0005】
多数の種類の癌が、新規血管形成、血管新生として公知のプロセスと関連している。腫瘍誘導性血管新生に関与するいくつかの機序が解明されている。これらの機序のうち最も直接的なものは、血管新生特性を有するサイトカインの、腫瘍細胞による分泌である。これらのサイトカインの例として、酸性および塩基性繊維芽細胞増殖因子(a,b−FGF)、アンギオゲニン、血管内皮増殖因子(VEGF)およびTNF−γが挙げられる。あるいは、腫瘍細胞は、プロテアーゼの産生と、その後の一部のサイトカイン(例えば、b−FGF)が貯蔵されている細胞外マトリックスの分解によって血管新生ペプチドを放出し得る。血管新生はまた、炎症細胞(特に、マクロファージ)の補充とその後の血管新生サイトカイン(例えば、TNF−α、b−FGF)の放出によって間接的に誘導され得る。
【0006】
2.2 ビタミンD剤および癌
ビタミンD剤は、骨石灰化の維持におけるその主な役割に加えて、腫瘍細胞増殖の阻害剤として有効であるとわかっている。例えば、乳癌細胞株では、アポトーシス促進性効果に加えて、細胞周期停止、血管新生、浸潤および転移に対する阻害効果が観察されている。さらに、ビタミンD剤は、いくつかのマウスモデルにおいて乳癌成長を阻害および予防するとわかっており、乳癌細胞でのビタミンD受容体発現と乳癌患者の無病生存率間の相関も観察されている。
【0007】
ビタミンD剤の有益な効果にもかかわらず、腫瘍細胞によるビタミンD耐性の発生および高カルシウム血症などの制約が、癌療法においてビタミンD剤を使用することにおける課題を提示する。したがって、ビタミンD耐性を発生している腫瘍細胞においてビタミンD感受性を回復させることは、癌治療における価値のある治療ツールとなろう。
【0008】
2.3 免疫調節性化合物
TNF−αの異常な産生と関連している疾患を処置するために安全に、効果的に使用できる化合物を提供することを目的として、いくつかの研究が実施されている。例えば、非特許文献1;非特許文献2;および非特許文献3参照のこと。一部の研究は、LPS刺激されたPBMCによるTNF−α産生を強力に阻害する能力について選択された化合物の群に焦点をあてた。非特許文献4。IMiDs(商標)(Celgene Corporation)またはImmunomodulatory Drugsと呼ばれるこれらの化合物は、TNF−αの強力な阻害を示すだけでなく、LPS誘発性単球IL1βおよびIL12産生の著しい阻害も示す。LPS誘発性IL6はまた、部分的にではあるが、免疫調節性化合物によっても阻害される。これらの化合物は、LPS誘発性IL10の強力な刺激物質である。同文献。免疫調節性化合物の特定の例として、それだけには限らないが、両方ともG.W. Mullerらの特許文献1および特許文献2に記載される置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミドおよび置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドールが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,281,230号明細書
【特許文献2】米国特許第6,316,471号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Marriott, J.B.ら、Expert Opin. Biol. Ther.(2001年)1号(4巻):1〜8頁
【非特許文献2】G.W. Mullerら、Journal of Medicinal Chemistry(1996年)39号(17巻):3238〜3240頁
【非特許文献3】G.W. Mullerら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(1998年)8巻:2669〜2674頁
【非特許文献4】L.G. Corralら、Ann. Rheum. Dis.(1999年)58巻:(付録I)1107〜1113頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書では、ビタミンD耐性腫瘍細胞においてビタミンD感受性を回復させる方法が提供される。本方法は、有効量の免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、立体異性体もしくはプロドラッグを、ビタミンD耐性腫瘍細胞と接触させることを含む。
【0012】
また、本明細書では、本明細書において提供される有効量の免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体もしくはプロドラッグを、ビタミンD剤と組み合わせて投与することを含む、ビタミンD処置に対して不応性の癌を処置する方法も提供される。
【0013】
いくつかの実施形態では、癌を処置、予防または管理するために従来使用される1種または複数の療法を、さらに使用してもよい。このような従来療法の例として、それだけには限らないが、化学物質および適応免疫療法(adaptive immunotherapy)が挙げられる。
【0014】
また、本明細書では、免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体もしくはプロドラッグと、ビタミンD剤とを含む、医薬組成物、単回単位投与形、投与計画およびキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、MCF乳癌細胞変異体MCF−12A、MDF7およびMDA−MB−231の生存率に対するビタミンDの効果を示す図である。
【図2】図2Aは、ビタミンD剤1,25 D3の存在下または不在下での、MCF−12Aの細胞生存率および増殖に対する免疫調節性化合物1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンの効果を示す図である。図2Bは、ビタミンD剤1,25 D3の存在下または不在下での、MCF7の細胞生存率および増殖に対する免疫調節性化合物1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンの効果を示す図である。図2Cは、ビタミンD剤1,25 D3の存在下または不在下での、MDA−MB−231の細胞生存率および増殖に対する免疫調節性化合物1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンの効果を示す図である。
【図3】図3は、100nMの1,25 D3の存在下で統計上有意な細胞増殖阻害を提供する1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンの最小濃度の決定を示す図である。
【図4】図4は、1,25 D3単独、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン単独または1,25 D3および1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンを組み合わせて用いて処理された細胞で実施したPARP切断試験の結果を示す図である。
【図5】図5は、1,25 D3単独、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン単独または1,25 D3および1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンを組み合わせて用いて処理された細胞で実施したアネキシンV/PI染色試験の結果を示す図である。
【図6A】図6は、乳癌細胞増殖および生存率に対するIMiDs処理の効果を示す図である。
【図6B】図6は、乳癌細胞増殖および生存率に対するIMiDs処理の効果を示す図である。
【図7A】図7は、種々の乳癌細胞株の増殖および生存率に対する同時処理IMiDs/1,25−Dの効果を示す図である。
【図7B】図7は、種々の乳癌細胞株の増殖および生存率に対する同時処理IMiDs/1,25−Dの効果を示す図である。
【図8】図8は、同時処理レナリドマイド/1,25−Dによって誘発されるMDA−MB−231死という性質を決定することを示す図である。
【図9】図9は、MDA−MB−231アポトーシスにつながるタンパク質の活性化に対する、レナリドマイド/1,25−Dの同時処理の効果を示す図である。
【図10A】図10は、MDA−MB−231細胞におけるp53活性化ならびにp21、p27、クラスピンおよびBCL−2タンパク質発現に対するレナリドマイド/1,25−Dの同時処理の効果を示す図である。
【図10B】図10は、MDA−MB−231細胞におけるp53活性化ならびにp21、p27、クラスピンおよびBCL−2タンパク質発現に対するレナリドマイド/1,25−Dの同時処理の効果を示す図である。
【図11】図11は、MDA−MB−231細胞における重要なシグナル伝達タンパク質の発現に対するレナリドマイド/1,25−D同時処理の同時処理の効果を示す図である。
【図12】図12は、乳癌細胞株生存率に対する、単独または組み合わせた、1,25−D3およびレナリドマイド処理の効果を示す図である。
【図13】図13は、MCF−7/VDRおよびHBL−100生存率に対するレナリドマイド処理の効果を示す図である。
【図14】図14は、MCF−7/VDおよびHBL−100生存率に対するレナリドマイド/1,25−D同時処理の効果を示す図である。
【図15】図15は、MCF−7VDおよびHBL−100細胞におけるBCL−2発現に対する同時処理レナリドマイド/1,25−Dの効果を示す図である。
【図16】図16は、MCF−7VDおよびHBL−100生存率に対するBCL−2阻害の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
5.1 定義
本明細書において、特に断りのない限り、用語「薬学的に許容される塩」は、この用語が指す化合物の非毒性酸および塩基付加塩を包含する。許容される非毒性酸付加塩として、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボル酸(embolic acid)、エナント酸などを含めた、当技術分野で公知の有機および無機の酸または塩基から誘導されるものが挙げられる。
【0017】
本来、酸性である化合物は、さまざまな薬学的に許容される塩基と塩を形成できる。このような酸性化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を調製するために使用してもよい塩基は、非毒性塩基付加塩、すなわち、それだけには限らないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特に、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムまたはカリウム塩などの薬理学的に許容されるカチオンを含有する塩を形成するものである。適した有機塩基として、それだけには限らないが、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(meglumaine)(N−メチルグルカミン)、リシンおよびプロカインが挙げられる。
【0018】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「プロドラッグ」とは、生物学的条件下(in vitroまたはin vivo)で、加水分解、酸化またはそうでなければ反応して、化合物を提供し得る化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例として、それだけには限らないが、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイドおよび生加水分解性ホスフェート類似体などの生加水分解性部分を含む免疫調節性化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグのその他の例として、−NO、−NO、−ONOまたは−ONO部分を含む免疫調節性化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは、通常、1 Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery、172〜178巻、949〜982頁(Manfred E. Wolff編、第5版、1995年)およびDesign of Prodrugs(H. Bundgaard編、Elselvier、New York 1985年)に記載されているものなどの周知の方法を使用して調製できる。
【0019】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「生加水分解性アミド」、「生加水分解性エステル」「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」、「生加水分解性ホスフェート」とは、1)化合物の生物活性に干渉しないが、その化合物に、取り込み、作用期間もしくは作用開始などの有利な特性をin vivoで付与し得るか、または2)生物学的に不活性であるが、in vivoで生物学的に活性な化合物に変換するといういずれかである化合物のアミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイドまたはホスフェートをそれぞれ意味する。生加水分解性エステルの例として、それだけには限らないが、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(例えば、アセトキシルメチル、アセトキシエチル、アミノカルボニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチルおよびピバロイルオキシエチルエステル)、ラクトニルエステル(例えば、フタリジルおよびチオフタリジルエステル)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(例えば、メトキシカルボニル−オキシメチル、エトキシカルボニルオキシエチルおよびイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステルおよびアシルアミノアルキルエステル(例えば、アセトアミドメチルエステル)が挙げられる。生加水分解性アミドの例として、それだけには限らないが、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられる。生加水分解性カルバメートの例として、それだけには限らないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式および複素芳香族アミンならびにポリエーテルアミンが挙げられる。
【0020】
本方法および組成物において使用するための免疫調節性化合物は、キラル中心を含有し、ゆえに、RおよびS鏡像異性体のラセミ混合物として存在し得る。本明細書において提供される方法および組成物は、この化合物のステレオマー的に(stereomerically)純粋な形態の使用ならびにそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、同等または不均等な量の鏡像異性体を含む混合物を、本明細書において提供される方法および組成物において使用してもよい。これらの異性体は、不斉合成してもよいし、キラルカラムまたはキラル分割剤などの標準技術を使用して分割してもよい。例えば、Jacques, J.ら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley−Interscience、New York、1981年);Wilen, S. H.ら、Tetrahedron 33号:2725頁(1977年);Eliel, E.L.、Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill、NY、1962年);およびWilen, S. H.、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions 268頁(E. L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、IN、1972年)参照のこと。
【0021】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ステレオマー的に純粋な」とは、化合物が、1種の立体異性体を実質的に含み、その他の立体異性体を実質的に含まないことを意味する。例えば、1つのキラル中心を有するステレオマー的に純粋な化合物は、1種の鏡像異性体を実質的に含み、反対の鏡像異性体を実質的に含まない。2つのキラル中心を有するステレオマー的に純粋な化合物は、1種の立体異性体(例えば、ジアステレオ異性体)を実質的に含み、化合物のその他のジアステレオマーを実質的に含まない。通常のステレオマー的に純粋な化合物は、約80重量%超の化合物の1種の立体異性体と約20重量%未満の化合物のその他の立体異性体、約90重量%超の化合物の1種の立体異性体と約10重量%未満の化合物のその他の立体異性体、約95重量%超の化合物の1種の立体異性体と約5重量%未満の化合物のその他の立体異性体または約97重量%超の化合物の1種の立体異性体と約3重量%未満の化合物のその他の立体異性体を含む。本明細書において、特に断りのない限り、用語「ステレオマー的に濃縮された」とは、約60重量%超の化合物の1種の立体異性体、約70重量%超または約80重量%超の化合物の1種の立体異性体を含む組成物を意味する。本明細書において、特に断りのない限り、用語「鏡像異性体的に純粋な」とは、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物を意味する。同様に、用語「ステレオマー的に濃縮された」とは、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に濃縮された組成物を意味する。言い換えれば、本明細書において提供される方法は、免疫調節性化合物のRまたはS鏡像異性体の使用を包含する。
【0022】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「治療すること」とは、特定の疾患の症状の発症後の、本明細書において提供される化合物の、その他の追加の活性薬剤を伴った、または伴わない投与を指す。
【0023】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「予防すること」とは、特に、横断性脊髄炎および/またはその他の障害の危険性のある患者への、症状の発症前の、免疫調節性化合物を用いる、その他の追加の活性薬剤を伴った、または伴わない、治療または投与を指す。用語「予防」は、特定の疾患の症状の阻害または低減を含む。特定の実施形態では、特定の疾患の家族歴を有する患者は、予防レジメンの候補である。さらに、再発症状の病歴を有する患者も、予防の有望な候補である。この関連で、用語「予防」は、用語「予防的処置」と同義的に使用され得る。
【0024】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「管理すること」とは、疾患の再発を予防もしくは最小にしようと、および/または患者の死亡率を低減させようと、特定の疾患を患った患者を処置することを包含する。
【0025】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ビタミンD剤」は、そのさまざまな形態のビタミンD(例えば、1α,25−ジヒドロビタミンD3(「1,25 D3」)、ビタミンDの代謝産物(例えば、1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール))またはビタミンDの誘導体、ビタミンDの類似体およびそれらの薬学的に許容される塩を包含する。
【0026】
5.2 治療、予防および管理方法
ビタミンD耐性腫瘍細胞においてビタミンD感受性を回復させる方法が、本明細書において提供される。本方法は、有効量の免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、立体異性体もしくはプロドラッグを、ビタミンD耐性腫瘍細胞と接触させることを含む。
【0027】
また、有効量の本明細書において提供される免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体もしくはプロドラッグを、ビタミンD剤と組み合わせて投与することを含む、ビタミンD処置に対して不応性の癌を処置する方法も提供される。
【0028】
特定の理論によって制限されるものではないが、免疫調節性化合物およびビタミンD剤の組合せは、特に、ビタミンD処置に対して不応性の癌を処置することにおいて相乗作用をもたらす。特定の理論によって制限されるものではないが、ビタミンD療法の無効性は、少なくとも一部は、腫瘍細胞が発達させたビタミンD耐性によるものであり、ビタミンD耐性腫瘍細胞の治療を組み合わせることによって観察される相乗作用は、一部には、免疫調節性化合物によるビタミンD感受性の回復の結果であると考えられる。
【0029】
5.2.1 免疫調節性化合物
本明細書において、特に断りのない限り、用語「免疫調節性化合物」は、LPS誘発性単球TNF−α、IL−1β、IL−12、IL−6、MIP−1α、MCP−1、GM−CSF、G−CSFおよびCOX−2産生を阻害する特定の小さい有機分子を包含する。具体的な免疫調節性化合物を以下に論じる。
【0030】
TNF−αは、急性炎症の際にマクロファージおよび単球によって産生される炎症性サイトカインである。TNF−αは、細胞内の多様な範囲のシグナル伝達事象に関与している。特定の理論によって制限されるものではないが、本明細書において提供される免疫調節性化合物によって発揮される生物学的効果の1つは、骨髄性細胞TNF−α産生の低減である。本明細書において提供される免疫調節性化合物は、TNF−α mRNAの分解を増強し得る。
【0031】
免疫調節性化合物の具体例として、置換スチレンのシアノおよびカルボキシ誘導体、例えば、米国特許第5,929,117号に開示されるもの;1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3イル)イソインドリンおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン、例えば、米国特許第5,874,448号および同第5,955,476号に記載されるもの;米国特許第5,798,368号に記載される四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン(piperdin)−3−イル)−1−オキソイソインドリン;1−オキソおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン(例えば、サリドマイドの4−メチル誘導体)、置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミドならびに置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドール、例えば、それだけには限らないが、米国特許第5,635,517号、同第6,281,230号、同第6,316,471号、同第6,403,613号、同第6,476,052号および同第6,555,554号に開示されるもの;米国特許第6,380,239号に記載されるインドリン環の4または5位で置換された1−オキソおよび1,3−ジオキソイソインドリン(例えば、4−(4−アミノ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−4−カルバモイルブタン酸);米国特許第6,458,810号に記載される2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルを用いて2位で置換されたイソインドリン−1−オンおよびイソインドリン−1,3−ジオン(例えば、2−(2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシ−5−フルオロピペリジン−5−イル)−4−アミノイソインドリン−1−オン);米国特許第5,698,579号および同第5,877,200号に開示される非ポリペプチド環状アミドのクラス;ならびにイソインドール−イミド化合物、例えば、2003年3月6日に公開された米国特許出願公開第2003/0045552号、2003年5月22日に公開された特許出願公開第2003/0096841号および国際出願番号PCT/US01/50401(国際公開番号WO02/059106)に記載されるものが挙げられる。本明細書において特定される各特許および特許出願の全文は、参照により本明細書に組み込まれる。免疫調節性化合物は、サリドマイドを含まない。
【0032】
本明細書において提供されるさまざまな免疫調節性化合物は、1つまたは複数のキラル中心を含有し、鏡像異性体のラセミ混合物またはジアステレオマーの混合物として存在し得る。本明細書における方法および組成物は、このような化合物のステレオマー的に純粋な形態の使用ならびにそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、特定の免疫調節性化合物の同等または不均等な量の鏡像異性体を含む混合物を本明細書において提供される方法および組成物において使用してもよい。これらの異性体は、不斉合成してもよいし、キラルカラムまたはキラル分割剤などの標準技術を使用して分割してもよい。例えば、Jacques, J.ら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley−Interscience、New York、1981年);Wilen, S.H.ら、Tetrahedron 33号;2725頁(1977年);Eliel, E. L.、Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill、NY、1962年);およびWilen, S. H.、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions 268頁(E.L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、IN、1972年)参照のこと。
【0033】
一実施形態では、提供される免疫調節性化合物として、それだけには限らないが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,635,517号に記載されるようなベンゾ環においてアミノで置換された1−オキソ−および1,3ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリンが挙げられる。これらの化合物は、構造I:
【0034】
【化1】

[式中、XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYのもう一方は、C=OまたはCHであり、Rは、水素または低級アルキル、特に、メチルである]
を有する。具体的な免疫調節性化合物として、それだけには限らないが、
【0035】
【化2】

およびその光学的に純粋な異性体が挙げられる。化合物は、標準合成法によって得ることができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,635,517号参照のこと)。化合物はまた、Celgene Corporation、Warren、NJから入手可能である。
【0036】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「光学的に純粋な」とは、化合物の一方の光学異性体を含み、その化合物のもう一方の異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の光学的に純粋な組成物は、化合物の反対の鏡像異性体を実質的に含まない。2つのキラル中心を有する化合物の光学的に純粋な組成物は、化合物のその他のジアステレオマーを実質的に含まない。通常の光学的に純粋な化合物は、約80重量%超の化合物の1種の鏡像異性体と約20重量%未満の化合物のその他の鏡像異性体、約90重量%超の化合物の1種の鏡像異性体と約10重量%未満の化合物のその他の鏡像異性体、約95重量%超の化合物の1種の鏡像異性体と約5重量%未満の化合物のその他の鏡像異性体、約97重量%超の化合物の1種の鏡像異性体と約3重量%未満の化合物のその他の鏡像異性体または約99重量%超の化合物の1種の鏡像異性体と約1重量%未満の化合物のその他の鏡像異性体を含む。
【0037】
その他の具体的な免疫調節性化合物は、置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミドおよび置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドールのクラス、例えば、各々、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,281,230号;同第6,316,471号;同第6,335,349号;同第6,476,052号および国際特許出願番号PCT/US97/13375(国際公開番号WO98/03502)に記載されるものに属する。代表的な化合物として、式:
【0038】
【化3】

[式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYのもう一方は、C=OまたはCHであり;
(i)R、R、RおよびRの各々は、互いに独立に、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキルもしくは1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、または(ii)R、R、RおよびRのうち1つは、−NHRであり、R、R、RおよびRの残りは水素であり;
は、水素または1〜8個の炭素原子のアルキルであり;
は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキル、ベンジルまたはハロであり;
ただし、XおよびYが、C=Oであり、(i)R、R、RおよびRの各々が、フルオロであるか、または(ii)R、R、RもしくはRのうち1つが、アミノである場合には、Rは水素以外である]
の化合物がある。
【0039】
このクラスの代表的な化合物として、式:
【0040】
【化4】

[式中、Rは、水素またはメチルである]の化合物がある。別途の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、これらの化合物の鏡像異性体的に純粋な形態(例えば、光学的に純粋な(R)または(S)鏡像異性体)の使用を包含する。
【0041】
さらにその他の具体的な免疫調節性化合物は、各々、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開番号US2003/0096841号および同US2003/0045552号ならびに国際出願番号PCT/US01/50401(国際公開番号WO02/059106)に開示されるイソインドール−イミドのクラスに属する。代表的な化合物として、式II:
【0042】
【化5】

[式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、もう一方は、CHまたはC=Oであり;
は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(S)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(O)NHR、C(S)NHR、C(O)NR3’、C(S)NR3’または(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり;
は、H、F、ベンジル、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルであり;
およびR3’は独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)RまたはC(O)ORであり;
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルキル−OR、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキルまたは(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリールであり;
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリールまたは(C〜C)ヘテロアリールであり;
はそれぞれ、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)ヘテロアリールもしくは(C〜C)アルキル−C(O)O−Rであるか、またはR基は一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成する場合もあり;
nは、0または1であり;
は、キラル−炭素中心を表す]
の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物および立体異性体の混合物がある。
【0043】
式IIの具体的な化合物では、nが0である場合には、Rは、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(S)NHRまたは(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり;
は、Hまたは(C〜C)アルキルであり;
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−NH−C(O)O−R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)RまたはC(O)ORであり;その他の変数は、同一の定義を有する。
【0044】
式IIのその他の具体的な化合物では、Rは、Hまたは(C〜C)アルキルである。
【0045】
式IIのその他の具体的な化合物では、Rは、(C〜C)アルキルまたはベンジルである。
【0046】
式IIのその他の具体的な化合物では、Rは、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、CHOCH、CHCHOCHまたは
【0047】
【化6】

である。
【0048】
式IIの化合物の別の実施形態では、Rは、
【0049】
【化7】

[式中、
Qは、OまたはSであり、Rはそれぞれ、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、ハロゲン、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)RもしくはC(O)ORであるか、または隣接するRは、一緒になって二環式アルキルまたはアリール環を形成し得る]である。
【0050】
式IIのその他の具体的な化合物では、Rは、C(O)Rである。
【0051】
式IIのその他の具体的な化合物では、Rは、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル、アリールまたは(C〜C)アルキル−ORである。
【0052】
式IIのその他の具体的な化合物では、ヘテロアリールは、ピリジル、フリルまたはチエニルである。
【0053】
式IIのその他の具体的な化合物では、Rは、C(O)ORである。
【0054】
式IIのその他の具体的な化合物では、C(O)NHC(O)のHは、(C〜C)アルキル、アリールまたはベンジルで置き換えられてもよい。
【0055】
このクラスの化合物のさらなる例として、それだけには限らないが、[2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル]−アミド;(2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル;4−(アミノメチル)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン;N−(2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル)−アセトアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}シクロプロピル−カルボキサミド;2−クロロ−N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}アセトアミド;N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)−3−ピリジルカルボキサミド;3−{1−オキソ−4−(ベンジルアミノ)イソインドリン−2−イル}ピペリジン−2,6−ジオン;2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−4−(ベンジルアミノ)イソインドリン−1,3−ジオン;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}プロパンアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}−3−ピリジルカルボキサミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}ヘプタンアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}−2−フリルカルボキサミド;{N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)カルバモイル}酢酸メチル;N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)ペンタンアミド;N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)−2−チエニルカルボキサミド;N−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル]メチル}(ブチルアミノ)カルボキサミド;N−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル]メチル}(オクチルアミノ)カルボキサミド;およびN−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル]メチル}(ベンジルアミノ)カルボキサミドが挙げられる。
【0056】
さらにその他の具体的な免疫調節性化合物は、各々、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開番号US2002/0045643、国際公開番号WO98/54170および米国特許第6,395,754号に開示されるイソインドール−イミドのクラスに属する。代表的な化合物として、式III:
【0057】
【化8】

[式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、もう一方は、CHまたはC=Oであり;
Rは、HまたはCHOCOR’であり;
(i)R、R、RもしくはRの各々は、互いに独立に、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキルもしくは1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、または(ii)R、R、RもしくはRのうち1つは、ニトロもしくは−NHRであり、R、R、RもしくはRの残りは水素であり;
は、水素または1〜8個の炭素原子のアルキルであり;
は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロであり;
R’は、R−CHR10−N(R)であり;
は、m−フェニレンまたはp−フェニレンまたは−(C2n)−(式中、nは、0〜4の値を有する)であり;
およびRの各々は、互いに独立に、水素もしくは1〜8個の炭素原子のアルキルであるか、またはRおよびRは一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンもしくは−CHCHCHCH−(式中、Xは,−O−、−S−または−NH−である)であり;
10は、水素、〜8個の炭素原子のアルキルまたはフェニルであり;
は、キラル−炭素中心を表す]
の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物および立体異性体の混合物がある。
【0058】
その他の代表的な化合物として、式:
【0059】
【化9】

[式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYのもう一方は、C=OまたはCHであり;
(i)R、R、RもしくはRの各々は、互いに独立に、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキルもしくは1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、または(ii)R、R、RおよびRのうち1つは、−NHRであり、R、R、RおよびRの残りは水素であり;
は、水素または1〜8個の炭素原子のアルキルであり;
は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロであり;
は、m−フェニレンまたはp−フェニレンまたは−(C2n)−(式中、nは、0〜4の値を有する)であり;
およびRの各々は、互いに独立に、水素もしくは1〜8個の炭素原子のアルキルであるか、またはRおよびRは一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンもしくは−CHCHCHCH−(式中、Xは,−O−、−S−または−NH−である)であり;
10は、水素、〜8個の炭素原子のアルキルまたはフェニルである]
の化合物がある。
【0060】
その他の代表的な化合物として、式:
【0061】
【化10】

[式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYのもう一方は、C=OまたはCHであり;
、R、RおよびRの各々は、他のものとは独立に、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキルもしくは1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、または(ii)R、R、RおよびRのうち1つは、ニトロもしくは保護されたアミノであり、R、R、RおよびRの残りは水素であり;
は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロである]
の化合物がある。
【0062】
その他の代表的な化合物として、式:
【0063】
【化11】

[式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYのもう一方は、C=OまたはCHであり;
(i)R、R、RおよびRの各々は、互いに独立に、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキルもしくは1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、または(ii)R、R、RおよびRのうち1つは、−NHRであり、R、R、RおよびRの残りは水素であり;
は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキルまたはCO−R−CH(R10)NR(式中、R、R、RおよびR10の各々は、本明細書において定義のとおりである)であり;
は、1〜8個の炭素原子のアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロである]
の化合物がある。
【0064】
化合物の具体例として、式:
【0065】
【化12】

[式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYのもう一方は、C=OまたはCHであり;
は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロであり;
は、m−フェニレン、p−フェニレンまたは−(C2n)−(式中、nは、0〜4の値を有する)であり;
およびRの各々は、互いに独立に、水素もしくは1〜8個の炭素原子のアルキルであるか、またはRおよびRは一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンもしくは−CHCHCHCH−(式中、Xは,−O−、−S−または−NH−である)であり;
10は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキルまたはフェニルである]
の化合物がある。
【0066】
その他の具体的な免疫調節性化合物として、それだけには限らないが、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3イル)イソインドリンおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン、例えば、各々、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,874,448号および同第5,955,476号に記載されるものが挙げられる。代表的な化合物として、式:
【0067】
【化13】

[式中、
Yは、酸素またはHであり、
、R、RおよびRの各々は、互いに独立に、水素、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシまたはアミノである]
の化合物がある。
【0068】
その他の具体的な免疫調節性化合物として、それだけには限らないが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,798,368号に記載される四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリンが挙げられる。代表的な化合物として、式:
【0069】
【化14】

[式中、R、R、RおよびRの各々は、互いに独立に、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキルまたは1〜4個の炭素原子のアルコキシである]
の化合物がある。
【0070】
その他の具体的な免疫調節性化合物として、それだけには限らないが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,403,613号に開示される1−オキソおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリンが挙げられる。代表的な化合物として、式:
【0071】
【化15】

[式中、
Yは、酸素またはHであり、
およびRのうち第1のものは、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノまたはカルバモイルであり、RおよびRのうち第2のものは、第1のものとは独立に、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノまたはカルバモイルであり、
は、水素、アルキルまたはベンジルである]
の化合物がある。
【0072】
化合物の具体例として、式:
【0073】
【化16】

[式中、
およびRのうち第1のものは、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、ジアルキルアミノ(ここで、各アルキルは、1〜4個の炭素原子のものである)、シアノまたはカルバモイルであり;
およびRのうち第2のものは、第1のものとは独立に、水素、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、アルキルアミノ(ここで、アルキルは、1〜4個の炭素原子のものである)、ジアルキルアミノ(ここで、各アルキルは、1〜4個の炭素原子のものである)、シアノまたはカルバモイルであり;
は、水素、1〜4個の炭素原子のアルキルまたはベンジルである]
の化合物がある。具体例として、それだけには限らないが、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−メチルイソインドリンが挙げられる。
【0074】
その他の代表的な化合物として、式:
【0075】
【化17】

[式中、
およびRのうち第1のものは、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、ジアルキルアミノ(ここで、各アルキルは、1〜4個の炭素原子のものである)、シアノまたはカルバモイルであり;
およびRのうち第2のものは、第1のものとは独立に、水素、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、アルキルアミノ(ここで、アルキルは、1〜4個の炭素原子のものである)、ジアルキルアミノ(ここで、各アルキルは、1〜4個の炭素原子のものである)、シアノまたはカルバモイルであり;
は、水素、1〜4個の炭素原子のアルキルまたはベンジルである]
の化合物がある。
【0076】
その他の具体的な免疫調節性化合物として、それだけには限らないが、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,380,239号および2006年4月20日に公開された同時係属米国特許出願公開第20060084815号に記載される、インドリン環の4または5位で置換された1−オキソおよび1,3−ジオキソイソインドリンが挙げられる。代表的な化合物として、式:
【0077】
【化18】

[式中、Cと表される炭素原子は、不斉の中心を構成し(nがゼロでなく、RがRと同じでない場合);XおよびXのうち一方は、アミノ、ニトロ、1〜6個の炭素のアルキルまたはNH−Zであり、XまたはXのうちもう一方は水素であり;RおよびRの各々は、互いに独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり;Rは、水素、1〜6個の炭素のアルキル、ハロまたはハロアルキルであり;Zは、水素、アリール、1〜6個の炭素のアルキル、ホルミルまたは1〜6個の炭素のアシルであり;nは、0、1または2の値を有し;ただし、Xがアミノであり、nが1または2である場合は、RおよびRは、両方ともヒドロキシではない]の化合物およびその塩がある。
【0078】
さらなる代表的な化合物として、式:
【0079】
【化19】

[式中、Cと表される炭素原子は、nがゼロでなく、RがRではない場合には不斉の中心を構成し;XおよびXのうち一方は、アミノ、ニトロ、1〜6個の炭素のアルキルまたはNH−Zであり、XまたはXのもう一方は水素であり;RおよびRの各々は、もう一方のとは独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり;Rは、1〜6個の炭素のアルキル、ハロまたは水素であり;Zは、水素、アリールまたは1〜6個の炭素のアルキルもしくはアシルであり;nは、0、1または2の値を有する]
の化合物がある。
【0080】
具体例として、それだけには限らないが、それぞれ、以下の構造:
【0081】
【化20】

を有する2−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−4−カルバモイル−酪酸および4−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−4−カルバモイル−酪酸ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグおよび立体異性体が挙げられる。
【0082】
その他の代表的な化合物として、式:
【0083】
【化21】

[式中、Cで表される炭素原子は、nがゼロでなく、RがRではない場合には不斉の中心を構成し;XおよびXのうち一方は、アミノ、ニトロ、1〜6個の炭素のアルキルまたはNH−Zであり、XまたはXのもう一方は水素であり;RおよびRの各々は、互いに独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり;Rは、1〜6個の炭素のアルキル、ハロまたは水素であり;Zは、水素、アリールまたは1〜6個の炭素のアルキルもしくはアシルであり;nは、0、1または2の値を有する]
の化合物およびその塩がある。
【0084】
具体例として、それだけには限らないが、それぞれ、以下の構造:
【0085】
【化22】

を有する、4−カルバモイル−4−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−酪酸、4−カルバモイル−2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−酪酸、2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−4−フェニルカルバモイル−酪酸および2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−ペンタンジオン酸ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグおよび立体異性体が挙げられる。
【0086】
化合物のその他の具体例として、式:
【0087】
【化23】

[式中、
およびXのうち一方は、ニトロまたはNH−Zであり、XまたはXのもう一方は水素であり;
およびRの各々は、互いに独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり;
は、1〜6個の炭素のアルキル、ハロまたは水素であり;
Zは、水素、フェニル、1〜6個の炭素のアシルまたは1〜6個の炭素のアルキルであり;
nは、0、1または2の値を有し、
−CORおよび−(CHCORが異なっている場合には、Cで表される炭素原子は、不斉の中心を構成する]
の化合物がある。
【0088】
その他の代表的な化合物として、式:
【0089】
【化24】

[式中、
およびXのうち一方は、1〜6個の炭素のアルキルであり;
およびRの各々は、互いに独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり;
は、1〜6個の炭素のアルキル、ハロまたは水素であり;
Zは、水素、フェニル、1〜6個の炭素のアシルまたは1〜6個の炭素のアルキルであり;
nは、0、1または2の値を有し;
−CORおよび−(CHCORが異なっている場合には、Cで表される炭素原子は、不斉の中心を構成する]
の化合物がある。
【0090】
さらにその他の具体的な免疫調節性化合物として、それだけには限らないが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,458,810号に記載される、2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルを用いて2位で置換されたイソインドリン−1−オンおよびイソインドリン−1,3−ジオンが挙げられる。代表的な化合物として、式:
【0091】
【化25】

[式中、
で表される炭素原子は、不斉の中心を構成し;
Xは、−C(O)−または−CH−であり;
は、1〜8個の炭素原子のアルキルまたは−NHRであり;
は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキルまたはハロゲンであり;
は、水素、
非置換であるかまたは1〜8個の炭素原子のアルコキシ、ハロ、アミノもしくは1〜4個の炭素原子のアルキルアミノで置換された、1〜8個の炭素原子のアルキル、
3〜18個の炭素原子のシクロアルキル、
非置換であるかまたは1〜8個の炭素原子のアルキル、1〜8個の炭素原子のアルコキシ、ハロ、アミノもしくは1〜4個の炭素原子のアルキルアミノで置換されたフェニル、
非置換であるかまたは1〜8個の炭素原子のアルキル、1〜8個の炭素原子のアルコキシ、ハロ、アミノもしくは1〜4個の炭素原子のアルキルアミノで置換されたベンジル、あるいは−CORであり、ここで
は水素、
非置換であるかまたは1〜8個の炭素原子のアルコキシ、ハロ、アミノもしくは1〜4個の炭素原子のアルキルアミノで置換された、1〜8個の炭素原子のアルキル、
3〜18個の炭素原子のシクロアルキル、
非置換であるかまたは1〜8個の炭素原子のアルキル、1〜8個の炭素原子のアルコキシ、ハロ、アミノもしくは1〜4個の炭素原子のアルキルアミノで置換されたフェニル、あるいは
非置換であるかまたは1〜8個の炭素原子のアルキル、1〜8個の炭素原子のアルコキシ、ハロ、アミノもしくは1〜4個の炭素原子のアルキルアミノで置換されたベンジルである]
の化合物がある。
【0092】
記載された化合物のすべては、商業的に購入できるか、本明細書に開示される特許または特許公報に記載される方法に従って調製できるといういずれかである。さらに、光学的に純粋な化合物は、不斉合成してもよいし、公知の分割剤またはキラルカラムならびにその他の標準合成有機化学技術を使用して分割してもよい。
【0093】
本明細書において使用される化合物は、約1,000g/mol未満の分子量を有する小さい有機分子であり得、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖またはその他の高分子ではない。
【0094】
示される構造とその構造に与えられた名称の間に矛盾がある場合は、示される構造により重きを置くと認められるべきであるということは留意されたい。さらに、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太線または破線で示されない場合は、構造または構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含すると解釈されるべきである。
【0095】
5.2.2 ビタミンD剤
本明細書において提供される方法および組成物に適したビタミンD剤として、それだけには限らないが、ビタミンD、カルシトリオール、例えば、米国特許第4,717,721号に記載されるコレステロールまたはエルゴステロール側鎖よりも長い17側鎖を有する1α−ヒドロキシ誘導体;例えば、米国特許第4,851,401号に記載されるシクロペンタノ−ビタミンD類似体;例えば、米国特許第4,866,048号および同第5,145,846号に記載されるアルキニル、アルケニルおよびアルカニル側鎖を有するビタミンD類似体;例えば、米国特許第5,120,722号に記載されるトリヒドロキシカルシフェロール;例えば、米国特許第5,547,947号に記載されるフルオロ−コレカルシフェロール化合物;例えば、米国特許第5,446,035号に記載されるメチル置換ビタミンD;例えば、米国特許第5,411,949号に記載される23−オキサ誘導体;例えば、米国特許第5,237,110号に記載される19−ノル−ビタミンD化合物;ならびに例えば、米国特許第4,857,518号に記載されるヒドロキシル化24−ホモ−ビタミンD誘導体が挙げられる。例として、それだけには限らないが、ROCALTROL(Roche Laboratories);CALCIJEX注射用カルシトリオール;セオカルシトール;24a,26a,27a−トリホモ−22,24−ジエン−1αa,25−(OH)−D;20−エピ−22−オキサ−24a,26a,27a−トリホモ−1α,25−(OH)−D、1,25−(OH)−20−エピ−D);カルシポトリオール、1α,24s−(OH)−22−エン−26,27−デヒドロ−D,);1,25−(OH)−16−エン−D、1,25−(OH)−16−エン−23−イン−Dおよび25−(OH)−16−エン−23−イン−Dを含むRocheによって製造された薬物;Chugai製の22−オキサカルシトリオール(22−オキサ−1α,25−(OH)−D);イリノイ大学製の1α−(OH)−D;ならびにZK161422(20−メチル−1,25−(OH)−D)およびZK157202(20−メチル−23−エン−1,25−(OH)−D)を含むInstitute of Medical Chemistry−Schering AG製の薬物;1α−(OH)−D;1α−(OH)−Dおよび1α−(OH)−Dが挙げられる。
【0096】
一実施形態では、ビタミンD剤は、ビタミンDである。別の実施形態では、ビタミンD剤は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25 D3)である。
【0097】
5.2.3 投与方法
本明細書において提供される実施形態のすべてでは、免疫調節性化合物および/またはビタミンD剤の適当な用量および経路は、さまざまな因子に応じて決定され得る。このような因子として、それだけには限らないが、治療される具体的な状態、患者の状態(患者の年齢および性別を含める)、患者が受けた前の治療、観察された有害作用および/または使用される任意の追加の療法が挙げられる。
【0098】
患者への免疫調節性化合物およびビタミンD剤の投与は、同一または異なる投与経路によって、同時に行っても、逐次行ってもよい。特定の活性薬剤に対する、使用される特定の投与経路の適合性は、活性薬剤自体(例えば、血流に入る前に分解することなく経口投与できるかどうか)および治療される疾患に応じて決まる。一実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物を経口投与する。別の実施形態では、本明細書において提供されるビタミンD剤を経口投与する。別の実施形態では、免疫調節性化合物およびビタミンD剤の両方を経口投与する。本明細書において提供される活性薬剤または成分の通常の投与経路は、当業者に公知である。例えば、Physicians’ Desk Reference(2006年)参照のこと。
【0099】
一実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物を、本明細書において提供されるビタミンD剤の投与の前に投与する。別の実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物を、本明細書において提供されるビタミンD剤の投与の後に投与する。別の実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物を、同一または異なる投与経路を使用して本明細書において提供されるビタミンD剤と同時に投与する。
【0100】
別の実施形態では、免疫調節性化合物を、ビタミンD剤と組み合わせて約0.1mg〜約150mg/dの量で患者に投与する。
【0101】
また、本明細書において提供される免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体もしくはプロドラッグを投与することを含む、ビタミンD処置に対して不応性の癌を有する患者(例えば、ヒト)において、ビタミンD感受性、すなわち、ビタミンD剤の治療効力を回復させる方法も本明細書において提供される。本方法に続いて、抗癌療法を提供するための免疫調節性化合物による治療の後にビタミンD剤の投与を行ってもよい。
【0102】
一実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物を、ビタミンD耐性の出現の前に、その間に、またはその後に、約0.1mg〜約150mg、約1〜約50mg、約1〜約30mg、約0.1〜約30mgおよび約2〜約25mgの量で毎日、経口投与してもよい。
【0103】
一実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物を、約0.10〜約150mg/日の量で一日用量を単回で、または分割して経口投与してもよい。一実施形態では、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンは、1日あたり約0.1〜約1mgの量で、あるいは、約0.1〜約5mgの量で1日おきに投与してもよい。別の実施形態では、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、1日あたり約1〜約25mgの量で、あるいは、約10〜約50mgの量で1日おきに投与してもよい。
【0104】
一実施形態では、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンを、1日あたり約1、2または5mgの量で患者に投与してもよい。特定の実施形態では、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、1mg/日の量で最初に投与してもよく、用量を、10、20、25、30および50mg/日に毎週上げてもよい。別の実施形態では、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、最大約30mg/日の量で患者に投与してもよい。別の実施形態では、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、最大約40mg/日の量で患者に投与してもよい。
【0105】
一実施形態では、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンを、1日あたり約0.1〜約1mgの量で、あるいは、約0.1〜約5mgの量で1日おきに患者に投与してもよい。
【0106】
別の実施形態では、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、1日あたり約1〜約25mgの量で、あるいは、約10〜約50mgの量で1日おきに患者に投与してもよい。
【0107】
一実施形態では、ビタミンD剤を、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mgまたは約50〜約200mgの量で、1日に1回または2回、経口的に、静脈内に、または皮下に投与する。ビタミンD剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療、予防または管理される疾患の種類、疾患の重篤度およびステージ、組み合わせて使用される免疫調節性化合物の量(複数可)ならびに患者に同時投与される任意の任意選択の追加の活性薬剤に応じて決まる。
【0108】
別の実施形態では、ビタミンD剤は、1α,25 D3である。別の実施形態では、ビタミンD剤は、カルシトリオールである。別の実施形態では、ビタミンD剤は、ビタミンD類似体である。
【0109】
一実施形態では、免疫調節性化合物は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンであり、ビタミンD剤は1α,25 D3である。別の実施形態では、免疫調節性化合物は、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンであり、ビタミンD剤は1α,25 D3である。
【0110】
本明細書において提供されるビタミンD剤と組み合わせて免疫調節性化合物によって治療、予防または管理される障害の例として、それだけには限らないがさまざまな種類の癌が挙げられる。癌および前癌状態の例として、それだけには限らないが、Mullerらの米国特許第6,281,230号および同第5,635,517号に、2004年11月4日に公開された米国特許出願公開第2004/0220144A1号(Treatment of Myelodysplastic Syndrome);2004年2月12日に公開された同第2004/0029832A1号(Treatment of Various Types of Cancer);および2004年5月6日に公開された同第2004/0087546号(Treatment of Myeloproliferative Diseases)を含めたZeldisのさまざまな米国特許公報に記載されるものが挙げられる。例としてまた、2004年5月5日に出願されたPCT/US04/14004に記載されるものも挙げられる。これらの参考文献のすべては、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0111】
具体的な癌の例として、それだけには限らないが、皮膚の癌、例えば、黒色腫;リンパ節;乳房;子宮頸部;子宮;消化管;肺;卵巣;前立腺;結腸;直腸;口腔;脳;頭頸部;咽頭;精巣;甲状腺;腎臓;膵臓;骨;脾臓;肝臓;膀胱;喉頭;鼻腔;およびAIDS関連の癌が挙げられる。ここで提供される化合物は、血液および骨髄の癌、例えば、多発性骨髄腫ならびに急性および慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ性および骨髄球性白血病を処置するのに有用である。本明細書において提供される化合物は、原発腫瘍または転移腫瘍を処置、予防または管理するために使用できる。
【0112】
癌のその他の例として、それだけには限らないが、進行性悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形性膠芽腫、膠芽腫、脳幹膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、未分化乏突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌腫、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、転移性黒色腫(それだけには限らないが、眼の黒色腫を含めた限局性黒色腫)、悪性中皮腫、悪性胸膜滲出中皮腫症候群、腹膜癌腫、乳頭漿液性癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球症、平滑筋肉腫、進行性骨化性線維異形成症、ホルモン不応性前立腺癌、切除されている高リスク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛性型骨髄腫、卵管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性ステージIV非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌および平滑筋腫が挙げられる。特定の実施形態では、癌は転移性である。特定の実施形態では、癌は、不応性であるか、または化学療法もしくは放射線照射に対して耐性である。
【0113】
別の実施形態では、参照によりその全文が組み込まれる、2006年2月9日に公開された米国特許出願第2006/0030594号に開示されるように、再発性、不応性または耐性である白血病を含めた、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病および急性骨髄芽球性白血病などのさまざまな形態の白血病を処置、予防または管理する方法が本明細書において提供される。用語「白血病」とは、血液形成組織の悪性新生物を指す。白血病として、それだけには限らないが、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病および急性骨髄芽球性白血病が挙げられる。白血病は、再発性であり、従来の療法に対して不応性または耐性である場合がある。用語「再発性である」とは、療法後に白血病の緩解があった患者が、骨髄における白血病細胞の再発および正常血液細胞の減少を起こす状態を指す。用語「不応性または耐性である」とは、患者が、集中治療後でさえ、その骨髄中に残存する白血病細胞を有している状況を指す。
【0114】
さらに別の実施形態では、非ホジキンリンパ腫(NHL)を含めたさまざまな種類のリンパ腫を処置、予防または管理する方法が本明細書において提供される。用語「リンパ腫」とは、網内系およびリンパ系に生じる新生物の不均一な群を指す。「NHL」とは、リンパ節、骨髄、脾臓、肝臓および消化管を含めた免疫系部位におけるリンパ球系細胞の悪性のモノクローナル増殖を指す。NHLの例として、それだけには限らないが、マントル細胞リンパ腫、MCL、中分化型のリンパ球性リンパ腫、中間型リンパ球性リンパ腫、ILL、びまん性低分化型リンパ球性リンパ腫、PDL、中心細胞性リンパ腫、びまん性小分割細胞性リンパ腫、DSCCL、濾胞性リンパ腫および顕微鏡下で見ることができる任意の種類のマントル細胞リンパ腫(結節性、びまん性、芽細胞およびマントルゾーンリンパ腫)が挙げられる。
【0115】
一実施形態では、癌は、乳癌である。別の実施形態では、癌は、前立腺癌である。
【0116】
5.2.4 追加の活性薬剤
本明細書において提供される方法および組成物において、免疫調節性化合物およびビタミンD剤を、その他の薬理学的に活性な化合物(「追加の活性薬剤または成分」)とともに使用してもよく、またはそれと組み合わせてもよい。特定の組合せは、本明細書において提供される方法において相乗的に働くと考えられる。免疫調節性化合物および/またはビタミンD剤はまた、特定の追加の活性薬剤と関連する有害作用を軽減するよう働く場合もあり、一部の追加の活性薬剤は、本明細書において提供される免疫調節性化合物および/またはビタミンD剤と関連する有害作用を軽減するために使用できる。
【0117】
1種または複数の追加の活性成分または薬剤を、本明細書において提供される方法および組成物において、免疫調節性化合物およびビタミンD剤と一緒に使用してもよい。追加の活性薬剤は、巨大分子(例えば、タンパク質)であっても、小分子(例えば、合成無機分子、有機金属分子または有機分子)であってもよい。
【0118】
追加の活性薬剤の例として、それだけには限らないが、セマキサニブ;シクロスポリン;エタネルセプト;ドキシサイクリン;ボルテゾミブ;アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロールニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテール;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;および塩酸ゾルビシンが挙げられる。
【0119】
その他の追加の薬剤として、それだけには限らないが、20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラフォリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質−1;抗アンドロゲン、前立腺癌腫;抗エストロゲン剤;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節因子;アプリン酸;アラ−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ−アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルフォスチンC;カンプトセシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロルルン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロールニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメックス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ(Gleevec(登録商標))、イミキモド;免疫賦活薬ペプチド;インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトールスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;ミトトキシン繊維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;アービタックス、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+マイコバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;窒素酸化物抗酸化剤;ニトルリン;オブリメルセン(Genasense(登録商標));O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリスルフェートナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質Aベースの免疫調節物質;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe 186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1ミメティクス;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;ナトリウムフェニルアセテート;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作用性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スウェインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチンミメティック;チマルファシン;サイモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンスズ;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベラレゾール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマーが挙げられる。
【0120】
さらにその他の追加の活性薬剤として、それだけには限らないが、2−メトキシエストラジオール、テロメスタチン、多発性骨髄腫細胞(例えば、TRAILなど)におけるアポトーシスの誘導物質、スタチン、セマキサニブ、シクロスポリン、エタネルセプト、ドキシサイクリン、ボルテゾミブ、オブリメルセン(Genasense(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチナム、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、Arisa(登録商標)、タキソール、タキソテール、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゼローダ、CPT−11、インターフェロンアルファ、ペグ化インターフェロンアルファ(例えば、PEGイントロン−A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL−2、GM−CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、エストラムスチンナトリウムホスフェート(Emcyt(登録商標))、スリンダックおよびエトポシドが挙げられる。
【0121】
5.2.5 サイクリング療法
特定の実施形態では、本明細書において開示される予防的薬剤または治療的薬剤を患者に周期的に投与する。サイクリング療法は、一定期間の活性薬剤の投与とそれに続く一定期間の休止およびこの逐次投与を反復することを含む。サイクリング療法は、1種または複数の療法に対して耐性が発生することを低減し、療法の1種の副作用を避けるか、もしくは低減し、かつ/または治療の有効性を改善し得る。
【0122】
結果として、一実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物を、約1週間または2週間の休止期間を含む4〜6週間の周期で、単回または分割用量で毎日投与する。他の実施形態では、投薬周期の頻度、数および長さを増大してもよい。したがって、単独で投与される場合に典型的なものよりも多い周期の免疫調節性化合物の投与も本明細書において提供される。
【0123】
一実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物を、約0.1mg〜約150mg/dの用量で、毎日、3または4週間連続して投与し、続いて1または2週間中断する。4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンは、0.1〜5mg/dの初期用量で、毎日、連続して投与し、療法が許容される限り、1〜10mg/dの用量増加(毎週)を50mg/dの最大用量まで行うことが好ましい。特定の実施形態では、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、4または6週間の周期で、約1、5、10または25mg/日の量で、または一実施形態では、約10mg/日の量で3〜4週間投与し、続いて1週間または2週間休止する。
【0124】
一実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物およびビタミンD剤を、4〜6週間の周期の間、経口投与し、免疫調節性化合物の投与をビタミンD剤の30〜60分前に行う。別の実施形態では、本明細書において提供される免疫調節性化合物およびビタミンD剤の組合せを、周期ごとに約90分かけて静脈内注入によって投与する。一実施形態では、1周期は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの約1〜約25mg/日と、ビタミンD剤の約1〜約1000mg/m/日の、3〜4週間、毎日の投与、次いで、1または2週間の休止を含む。別の実施形態では、各周期は、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンの約5〜約10mg/日と、ビタミンD剤の約1〜約1000mg/m/日の、3〜4週間の投与と、それに続く、1または2週間の休止を含む。通常、コンビナトリアル治療が患者に投与される間の周期数は、約1〜約24周期、約2〜約16周期および約4〜約3周期となる。
【0125】
5.3 医薬組成物および投与形
医薬組成物は、個々の単回単位投与形の調製において使用してもよい。本明細書において提供される医薬組成物および投与形は、本明細書において提供される免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、立体異性体、クラスレートもしくはプロドラッグと、本明細書において提供されるビタミンD剤とを含む。本明細書において提供される医薬組成物および投与形は、1種または複数の賦形剤をさらに含み得る。
【0126】
本明細書において提供される医薬組成物および投与形はまた、1種または複数の追加の活性成分も含み得る。任意選択の第2の、または追加の活性成分の例は、本明細書に開示されている。
【0127】
本明細書において提供される単回単位投与形は、患者への経口、粘膜、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内または動脈内)、局所、経皮(transdermal)または経皮(transcutaneous)投与に適している。投与形の例として、それだけには限らないが、錠剤;カプレット剤;カプセル剤、例えば、弾性ソフトゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散剤;坐剤;散剤;ゲル剤;患者への経口または粘膜投与に適した液体投与形、例えば、懸濁液(例えば、水性もしくは非水性液体懸濁液、水中油型エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョン)、溶液およびエリキシルを含む;患者への非経口投与に適した液体投与形;および患者への非経口投与に適した液体投与形を提供するために再構成され得る滅菌固体(例えば、結晶または非晶質固体)が挙げられる。
【0128】
本明細書において提供される投与形の組成、形状および種類は、通常、その用途に応じて変わる。例えば、疾患の急性治療において使用される投与形は、同一疾患の慢性治療において使用される投与形が含むものよりも多量の1種または複数の活性成分を含有し得る。同様に、非経口投与形は、同一疾患を処置するために使用される経口投与形が含むものよりも少量の1種または複数の活性成分を含有し得る。本明細書に包含される具体的な投与形が互いに異なるこれらおよびその他の方法は、当業者には容易に明らかとなろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、Mack Publishing、Easton PA(2000年)参照のこと。
【0129】
通常の医薬組成物および投与形は、1種または複数の賦形剤を含む。適した賦形剤は、薬学の当業者には周知であり、適した賦形剤の限定されない例を本明細書において提供する。特定の賦形剤が、医薬組成物または投与形に組み込まれるのに適しているかどうかは、それだけには限らないが、投与形が患者に投与される方法を含めた当技術分野で周知のさまざまな因子に応じて決まる。例えば、錠剤などの経口投与形は、非経口投与形における使用には適していない賦形剤を含有し得る。特定の賦形剤の適合性は、投与形中の具体的な活性成分に応じて決まることもある。例えば、いくつかの活性成分の分解は、ラクトースなどのいくつかの賦形剤によって、または水に曝露された場合に加速され得る。第一級または第二級アミンを含む活性成分は、このような加速された分解に対して特に感受性がある。結果として、ラクトース、他の単糖または二糖を、たとえあったとしてもほとんど含有しない医薬組成物および投与形が、特定の実施形態では提供される。本明細書において、用語「ラクトース不含」とは、たとえあったとしても、存在するラクトースの量が、活性成分の分解速度を実質的に増大するには不十分であることを意味する。
【0130】
ラクトース不含組成物は、当技術分野で周知であり、例えば、米国薬局方(USP)25−NF20(2002年)に列挙される賦形剤を含み得る。一般に、ラクトース不含組成物は、活性成分、結合剤/増量剤および滑沢剤を、薬学的に適合し、薬学的に許容される量で含む。一実施形態では、ラクトース不含投与形は、活性成分、微晶質セルロース、アルファ化デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0131】
活性成分を含む無水の医薬組成物および投与形がさらに包含されるが、これは、水が一部の化合物の分解を促進し得るためである。例えば、水(例えば、5%)を添加することは、長期保存をシミュレートして、製剤の有効期間または経時的な安定性などの特徴を調べる手段として製薬の技術分野で広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen、Drug Stability: Principles & Practice、第2版、Marcel Dekker、NY、NY、1995年、379〜80頁参照のこと。実際に、水および熱は、一部の化合物の分解を加速する。したがって、製剤の製造、取り扱い、パッケージング、保存、輸送および使用の際に、水分および/または湿気に遭遇することが多いので、製剤に対する水の効果は、非常に重要なものであり得る。
【0132】
本明細書において提供される無水の医薬組成物および投与形は、無水成分または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して調製できる。ラクトースと、第一級または第二級アミンを含む少なくとも1種の活性成分とを含む医薬組成物および投与形は、製造、パッケージングおよび/または保存の際に、水分および/または湿気との実質的な接触が予測される場合には、無水である。
【0133】
無水の医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製し、保存しなくてはならない。したがって、無水の組成物を、適した処方キットに含めることができるよう、例えば、水に対する曝露を阻止すると知られている材料を使用してパッケージングする。適したパッケージングの例として、それだけには限らないが、密閉されたホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパックおよびストリップパックが挙げられる。
【0134】
さらに、活性成分が分解する速度を低下させる1種または複数の化合物を含む医薬組成物および投与形が提供される。このような化合物は、本明細書において「安定化剤」と呼ばれ、これとして、それだけには限らないが、アスコルビン酸などの抗酸化物質、pHバッファーまたは塩バッファーが挙げられる。
【0135】
賦形剤の量および種類と同様、投与形中の活性成分の量および具体的な種類は、それだけには限らないが、患者に投与される経路などの因子に応じて異なり得る。特定の実施形態では、投与形は、本明細書において提供される免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、立体異性体、クラスレートもしくはプロドラッグを、約0.10〜約150mgの量で含む。その他の実施形態では、投与形は、本明細書において提供される免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、立体異性体、クラスレートもしくはプロドラッグを、約0.1、1、2.5、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150または200mgの量で含む。一実施形態では、投与形は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、約1、2.5、5、10、15、20、25または50mgの量で含む。特定の実施形態では、投与形は、第2の活性成分を、1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mgまたは約50〜約200mgの量で含む。第2の薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療または管理されている疾患の種類ならびに患者に同時投与される本明細書において提供される免疫調節性化合物および任意の任意選択の追加の活性薬剤の量(複数可)に応じて決まる。
【0136】
5.3.1 経口投与形
経口投与に適している医薬組成物は、それだけには限らないが、錠剤(例えば、咀嚼錠)、カプレット剤、カプセル剤および液体(例えば、香味をつけたシロップ)などの別個の投与形として提示できる。このような投与形は、所定量の活性成分を含有し、当業者に周知の薬学の方法によって調製してもよい。全般的に、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、Mack Publishing、Easton PA(2000年)参照のこと。
【0137】
一実施形態では、投与形は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、約1、2.5、5、10、15、20、25または50mgの量で、および1α,25 D3を、約1、10、50、100、300、500または1000mgの量で含むカプセル剤または錠剤である。一実施形態では、カプセル剤または錠剤投与形は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、約5または10mgの量で、および1α,25 D3を、約1、10、50、100、300、500または1000mgの量で含む。
【0138】
特定の実施形態では、本明細書において提供される経口投与形を、従来の薬剤配合技術に従って、少なくとも1種の賦形剤との密接混合(intimate admixture)において、活性成分を組み合わせることによって調製する。賦形剤は、投与に望まれる製剤の形態に応じて多様な形態をとり得る。例えば、経口液体またはエアゾール投与形において使用するのに適した賦形剤として、それだけには限らないが、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味剤、保存料および着色剤が挙げられる。固体経口投与形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤およびカプレット剤)において使用するのに適した賦形剤の例として、それだけには限らないが、デンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤が挙げられる。
【0139】
錠剤およびカプセル剤は、その投与の容易さのために、最も有利な経口投与単位形に相当し、この場合には、固体賦形剤が使用される。必要に応じて、錠剤を、標準の水性または非水性技術によってコーティングしてもよい。このような投与形は、薬学の任意の方法によって調製できる。一般に、医薬組成物および投与形は、活性成分を液体担体、微粉化固体担体または両方と均一および密接に混合すること、次いで、必要に応じて、生成物を所望の体裁に形作ることによって調製する。
【0140】
例えば、錠剤は、圧縮または成形することによって調製できる。圧縮錠剤は、適した機械で、所望により、賦形剤と混合された粉末または顆粒などの流動性形態の活性成分を圧縮することによって調製できる。成形錠剤は、適した機械で、不活性の液体希釈剤で加湿した粉末化合物の混合物を成形することによって製造できる。
【0141】
経口投与形において使用してもよい賦形剤の例として、それだけには限らないが、結合剤、増量剤、崩壊剤および滑沢剤が挙げられる。医薬組成物および投与形において使用するのに適した結合剤として、それだけには限らないが、コーンスターチ、ジャガイモデンプンまたはその他のデンプン、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えば、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、その他のアルギネート、粉末トラガカント、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、番号2208、2906、2910)、微晶質セルロースならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0142】
微晶質セルロースの適した形態として、それだけには限らないが、AVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103 AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105(FMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Sales、Marcus Hook、PAから入手可能)として販売される材料およびそれらの混合物が挙げられる。具体的な結合剤は、AVICEL RC−581として販売される、微晶質セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。適した無水または低水分賦形剤または添加剤として、AVICEL−PH−103(商標)およびデンプン1500LMが挙げられる。
【0143】
本明細書において開示される医薬組成物および投与形において使用するのに適した増量剤の例として、それだけには限らないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微晶質セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプンおよびそれらの混合物が挙げられる。医薬組成物中の結合剤または増量剤は、通常、医薬組成物または投与形の約50〜約99重量パーセントで存在する。
【0144】
水性環境に曝露されると崩壊する錠剤を提供するために、崩壊剤を組成物中に使用する。過剰の崩壊剤を含有する錠剤は、保存において崩壊し得るが、過少にしか含有しないものは、所望の速度で、または所望の条件下で崩壊しない場合がある。したがって、活性成分の放出を有害に変更するために過剰でも過少でもない十分な量の崩壊剤を使用して、本明細書において提供される固体経口投与形を形成しなくてはならない。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて変わり、当業者にとって容易に認識できる。通常の医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤または約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0145】
医薬組成物および投与形において使用してもよい崩壊剤として、それだけには限らないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリン(polacrilin)カリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、ジャガイモまたはタピオカデンプン、その他のデンプン、アルファ化デンプン、その他のデンプン、クレイ、その他のアルギン(algin)、その他のセルロース、ゴムおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0146】
医薬組成物および投与形において使用してもよい滑沢剤として、それだけには限らないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、その他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ピーナッツオイル、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブオイル、コーンオイルおよび大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリル酸エチル、寒天およびそれらの混合物が挙げられる。さらなる滑沢剤として、例えば、シロイドシリカゲル(W.R. Grace Co. of Baltimore、MDによって製造されるAEROSIL200)、合成シリカの凝固したエアゾール(Degussa Co. of Plano、TXによって市販されている)、CAB−O−SIL(Cabot Co. of Boston、MAによって販売される発熱性二酸化ケイ素製品)およびそれらの混合物が挙げられる。使用する以上は、滑沢剤は、通常、それらを組み込む医薬組成物または投与形の約1重量パーセント未満の量で使用する。
【0147】
特定の実施形態では、固体経口投与形は、本明細書において提供される免疫調節性化合物、無水ラクトース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、無水コロイドシリカおよびゼラチンを含む。
【0148】
5.3.2 放出制御投与形
本明細書において提供される活性成分は、当業者に周知である放出制御手段によってか、または送達装置によって投与できる。例として、それだけには限らないが、各々、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;および同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、同第5,639,480号、同第5,733,566号、同第5,739,108号、同第5,891,474号、同第5,922,356号、同第5,972,891号、同第5,980,945号、同第5,993,855号、同第6,045,830号、同第6,087,324号、同第6,113,943号、同第6,197,350号、同第6,248,363号、同第6,264,970号、同第6,267,981号、同第6,376,461号、同第6,419,961号、同第6,589,548号、同第6,613,358号、同第6,699,500号および同第6,740,634号に記載されるものが挙げられる。このような投与形を使用して、所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェアまたはそれらの組合せをさまざまな割合で使用する、1種または複数の活性成分の持続放出または放出制御を提供できる。本明細書に記載されるものを含めた当業者に公知の適した放出制御製剤は、本明細書において提供される活性成分とともに使用するために容易に選択できる。したがって、それだけには限らないが、放出制御に適合している錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤およびカプレット剤などの経口投与に適した単回単位投与形が本明細書において提供される。
【0149】
すべての放出制御医薬製剤は、その非制御対応物によって達成されるものを上回って、薬物療法を改善するという共通の目的を有する。理想的には、医療における最適に設計された放出制御製剤の使用は、最小量の時間で、状態を治癒または制御するために使用されている最小の薬物物質によって特徴付けられる。放出制御製剤の利点として、長期の薬物の活性、投与頻度の減少および患者のコンプライアンスの増大が挙げられる。さらに、放出制御製剤を使用して、作用の発生時間または薬物の血中レベルなどのその他の特徴に影響を及ぼすことができ、また、ひいては、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0150】
ほとんどの放出制御製剤は、所望の治療効果を即時にもたらす一定量の薬物(活性成分)を最初に放出し、長期間にわたってこのレベルの治療または予防効果を維持するために他の量の薬物を徐々に、継続的に放出するよう設計される。身体において、この一定レベルの薬物を維持するために、薬物は、代謝され、身体から排出されている薬物の量を補う速度で投与形から放出されなければならない。活性成分の放出制御は、それだけには限らないが、pH、温度、酵素、水またはその他の生理学的条件もしくは化合物を含めた、さまざまな条件によって刺激を受け得る。
【0151】
特定の実施形態では、薬剤は、静脈内注入、埋め込み可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソームまたはその他の投与様式を使用して投与してもよい。一実施形態では、ポンプを使用してもよい(Sefton、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14巻:201頁(1987年);Buchwaldら、Surgery 88巻:507頁(1980年);Saudekら、N. Engl. J. Med. 321巻:574頁(1989年)参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用してもよい。さらに別の実施形態では、放出制御系を、熟練した医師によって決定される、すなわち、したがって、全身用量のほんの一部しか必要としない適当な部位に、対象中に留置してもよい(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、第2巻、115〜138頁(1984年)参照のこと)。その他の放出制御系はLangerによる総説(Science 249巻:1527〜1533頁(1990年))において論じられている。活性成分を、体液中で不溶性である外側のポリマー膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、塩化ポリビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元共重合体ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーによって囲まれている固体内部マトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化塩化ポリビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコンカーボネートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールならびに架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニル中に分散させてもよい。次いで、活性成分が、放出速度制御ステップで、外側のポリマー膜をとおって拡散する。このような非経口組成物中の活性成分のパーセンテージは、その具体的な性質ならびに対象の必要性に高度に依存する。
【0152】
5.3.3 非経口投与形
概して、皮下、筋肉内または静脈内のいずれかの注射によって特徴付けられる非経口投与も本明細書において考慮される。注射用物質は、液体溶液または懸濁液、注射の前の液体中の溶液または懸濁液に適した固体形態としてか、エマルジョンとしてのいずれかで従来の形態で調製できる。適した賦形剤として、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールがある。さらに、必要に応じて、投与されるべき医薬組成物はまた、少量の非毒性の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解度増強剤ならびに例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリル酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンなどのその他のこのような薬剤も含み得る(米国特許第5,134,127号参照のこと)。
【0153】
組成物の非経口投与として、静脈内、皮下および筋肉内投与が挙げられる。非経口投与用製剤として、注射の準備が整った滅菌溶液、滅菌乾燥可溶性製剤、例えば、皮下錠剤を含めた、使用する直前に溶媒と組み合わされる準備が整った凍結乾燥散剤、注射の準備が整った滅菌懸濁液、使用の直前にビヒクルと組み合わされる準備が整った滅菌乾燥不溶性製剤および滅菌エマルジョンが挙げられる。溶液は、水性である場合も、非水性である場合もある。
【0154】
静脈内に投与される場合には、適した担体として、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)ならびにグルコース、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールならびにそれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含有する溶液が挙げられる。
【0155】
非経口製剤において使用される薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤として、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤、バッファー、抗酸化物質、局所麻酔、懸濁剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート化剤ならびにその他の薬学的に許容される物質が挙げられる。
【0156】
水性ビヒクルの例として、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロースおよび乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルとして、植物起源の不揮発性油、綿実油、コーンオイル、ゴマ油およびピーナッツオイルが挙げられる。複数回用量容器にパッケージングされた非経口製剤には、静菌または静真菌濃度の抗菌剤を加えなければならず、これとして、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムが挙げられる。等張剤として、塩化ナトリウムおよびデキストロースが挙げられる。バッファーとして、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられる。抗酸化物質として、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔として、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁剤および分散剤として、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤として、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤またはキレート化剤として、EDTAが挙げられる。医薬担体としてまた、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールならびにpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸が挙げられる。
【0157】
活性成分の濃度は、注射が所望の薬理効果をもたらすのに有効な量を提供するように調整する。正確な用量は、当技術分野で公知のように、患者または動物の年齢、体重および状態に応じて決まる。
【0158】
単位用量非経口製剤は、アンプル、バイアルまたはニードルを有するシリンジ中にパッケージングする。非経口投与用のすべての製剤は、当技術分野において公知であり、実施されるように無菌でなくてはならない。
【0159】
例示的に、活性成分を含む滅菌水溶液の静脈内または動脈内注入は、有効な投与様式である。別の実施形態は、必要に応じて注射されて、所望の薬理効果をもたらす活性材料を含む滅菌水性または油性溶液または懸濁液である。
【0160】
注射用物質は、局所投与および全身投与のために設計される。通常、治療上有効な投与量は、少なくとも約0.1重量%〜最大約90重量%またはそれを超える濃度または治療される組織(複数可)に対して1重量%超の活性成分を含有するよう処方する。活性成分は、1回で投与してもよく、時間間隔をおいて投与されるいくつかのより少ない用量に分割してもよい。正確な投与量および治療期間は、治療されている組織の関数であり、公知の試験プロトコールを使用して、またはin vivoもしくはin vitro試験データから外挿することによって実験的に決定できるということは理解されよう。濃度および投与量の値はまた、治療される個体の年齢に応じて変わり得るということは留意されたい。任意の特定の対象について、具体的な投与計画は、個体の必要性および製剤の投与を行うまたは監督する人の専門的判断に従って経時的に調整しなくてはならないことおよび本明細書に示される濃度範囲は、単に例示であって、特許請求される製剤の範囲または実施を制限しようとするものではないことはさらに理解されよう。
【0161】
化合物は、微粒子化した形態もしくはその他の適した形態で懸濁してもよく、またはより可溶性の活性製剤を生成するか、もしくはプロドラッグを生成するよう誘導体化してもよい。得られた混合物の形態は、目的の投与様式および選択された担体またはビヒクルにおける化合物の溶解度を含めたいくつかの因子に応じて決まる。有効な濃度は、状態の症状を寛解するのに十分であり、実験的に決定できる。
【0162】
5.3.4 凍結乾燥散剤
凍結乾燥散剤も本明細書において対象とされ、これは、投与のために溶液、エマルジョンおよびその他の混合物として再構成できる。それらはまた、再構成し、固体またはゲルとして処方してもよい。
【0163】
滅菌、凍結乾燥散剤は、適した溶媒中に活性成分またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグを溶解することによって調製する。溶媒は、散剤または散剤から調製された再構成された溶液の安定性またはその他の薬理成分を改善する賦形剤も含有し得る。使用してもよい賦形剤として、それだけには限らないが、デキストロース、ソルビトール(sorbital)、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたはその他の適した薬剤が挙げられる。溶媒はまた、バッファー、例えば、クエン酸、リン酸ナトリウムもしくはカリウムまたは通常、ほぼ中性pHの当業者に公知のその他のこのようなバッファーも含有し得る。その後の溶液の滅菌濾過と、それに続く、当業者に公知の標準条件下での凍結乾燥によって、所望の製剤を提供する。一般に、得られた溶液を、凍結乾燥用バイアル中に分配する。各バイアルは、単回投与量(10〜1000mgまたは100〜500mg)または複数回投与量の活性成分を含有する。凍結乾燥散剤は、適当な条件下、例えば、約4℃〜室温で保存できる。
【0164】
この凍結乾燥散剤の、注射用水を用いる再構成によって、非経口投与において使用するための製剤を提供する。再構成するために、1mLの滅菌水またはその他の適した担体あたり、約1〜50mg、5〜35mgまたは約9〜30mgの凍結乾燥散剤を加える。正確な量は、使用される化合物に応じて決まる。このような量は、実験的に決定できる。
【実施例】
【0165】
本明細書において提供される特定の実施形態を、以下の限定されない例によって例示する。
【0166】
6.1 乳癌細胞に対するビタミンDの効果
乳癌細胞の増殖に対するビタミンD剤の効果を試験した。MCF−12A、MCF7およびMDA−MB−231は、調査された異なる腫瘍形成能を有する乳癌細胞株の3種の変異株である。MCF−12Aは非悪性であり、MCF7は悪性であり、正常p53を発現し、MDA−MB−231は、悪性であり、異常なp53を発現する。
【0167】
細胞を、ウェルあたり10個細胞の密度で24ウェルプレートに播種し、24時間接着させた。用量応答を実施し、1α,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25 D3)の漸増用量(0、1、10、50、75および100nM)を7日間かけて試験した。薬物は2日毎に更新した。次いで、細胞生存率をニュートラルレッドアッセイによって調べ、550nmの吸光度を測定した。
【0168】
図1に示されるように、MCF−12AおよびMCF7は、ビタミンD剤治療に対する感受性を示したが、MDA−MB−231はビタミンD剤治療に対して耐性であるとわかった。
【0169】
6.2 乳癌細胞に対する免疫調節性化合物およびビタミンDの効果
乳癌細胞の細胞生存率および細胞増殖に対する、ビタミンD剤を伴った、またはビタミンD剤を伴わない、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンの効果を調査した。使用した細胞株は、MCF−12A、MCF7およびMDA−MB−231であった。
【0170】
細胞をウェルあたり10個細胞の密度で24ウェルプレートに播種し、24時間接着させた。薬物の組合せ効果を調べるために、細胞を100nMの1,25 D3および10nMの1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンまたは1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで処理した。各処理は、最大7日間実施したが、2日毎に更新した。次いで、細胞増殖をスルホローダミンB(SRB)アッセイによって調べ、550nmの吸光度を測定した。
【0171】
図2Aおよび2Bに示されるように、両免疫調節性化合物とも、ビタミンDの存在下または不在下で、MCF−12AまたはMCF7の細胞生存率および細胞増殖に大きくは影響を及ぼさないとわかった。しかし、図2Cに示されるように、MDA−MB−231(すなわち、ビタミンD耐性細胞株)に関しては、免疫調節性化合物は、ビタミンDの不在下では細胞株の細胞生存率および細胞増殖に影響を及ぼさなかったが、免疫調節性化合物は、ビタミンDの存在下で細胞の死滅を大幅に増大する(例えば、最大50%)と実証された。この結果は、免疫調節性化合物は、ビタミンD耐性細胞においてビタミンD感受性を回復させ、その結果、ビタミンDの存在下で細胞の死滅を増大させるということを示す。
【0172】
6.3 用量決定
MDA−MB−231細胞に対するビタミンDとの相乗作用に必要な最小用量の免疫調節性化合物を評価するために、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンを用い、一定用量の1,25 D3(100nM)を使用して用量応答実験を実施した。
【0173】
細胞を、ウェルあたり10個細胞の密度で24ウェルプレートに播種し、24時間接着させた。薬物の組合せ効果を調べるために、細胞を、100nMの1,25 D3および種々の用量の1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンまたは1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンを用いて処理した。各処理は、最大7日間実施したが、2日毎に更新した。次いで、細胞増殖をスルホローダミンB(SRB)アッセイによって調べ、550nmの吸光度を測定した。
【0174】
図3に示されるように、最小濃度の1μMの1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン(図3A)および0.1μMの1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン(図3B)を用いて、統計上有意な(一元配置分散分析およびポストホック分析を使用して)増殖阻害があった。
【0175】
6.4 アポトーシスに対する組合せの効果
MDA−MB−231細胞増殖および生存率の阻害が、アポトーシスに対する組合せの効果によるものであるかどうかを調べるために、以下のアッセイを実施してアポトーシスを測定した。
【0176】
6.4.1 PARP切断アッセイ
細胞を75cmのフラスコ中にプレーティングし、各々単独または組み合わせた、1μl/mL DMSO(対照)または1μMの1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンおよび100nMの1,25 D3とともに6日間培養した。各時点で、培地を除去し、氷冷PBSを用いて細胞を洗浄した。次いで、細胞をRIPAバッファー(1%NP40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、PBS)を用いて溶解し、溶解物を、4℃、13000rpmで20分間遠心分離した。上清を回収し、タンパク質濃度を測定するためにアリコートを取った。Bio−Rad DCタンパク質アッセイキットを製造業者の使用説明書に従って使用して、各溶解物のタンパク質推定値を決定した。タンパク質抽出物をSDS(1/4)と混合し、10秒間超音波処理し、Bradfordアッセイによってタンパク質濃度を決定した。
【0177】
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)をMini Trans−Blot Module装置(Bio−Rad)で実施した。この実験では分離ゲル中のポリアクリルアミド/ビス−アクリルアミドのパーセンテージを12%v/vとした。濃縮ゲルには、以下の試薬を使用した:30%アクリルアミド/ビス−アクリルアミド0.67mL;HO2.7mL;1M trizma0.5mL;10%過硫酸アンモニウム0.01mL;およびSDS0.04mL。分離ゲルには、以下の試薬を使用した:30%アクリルアミド/ビス−アクリルアミド3.3mL;HO4mL;1M trizma2.5mL;10%過硫酸アンモニウム0.1mL;および10%SDS0.1mL。
【0178】
分離ゲルを調製すると、10μlのN’,N’,N’,N’−テトラメチルエチレン(teramethylethylene)−ジアミン(TEMED)を添加することによって重合を開始させた。溶解物を5分間沸騰させ、氷上で冷却し、次いで、等量のタンパク質がロードされるように容積を調整して、濃縮ゲル中にロードした。電気泳動溶液をモニタリングするために1つのウェルにレインボーカラーマーカー(Sigma Aldrich)も加えた。電気泳動を、ランニングバッファー(10×25mM trizma、192mMグリシン、0.1%SDS)中、40mA定流で1〜2時間実施した。
【0179】
ウエスタンブロッティングのために、Mini Trans−Blot装置(Bio−Rad)において製造業者の使用説明書に従って、タンパク質をゲルからHybond C−Superニトロセルロースメンブレン(Amersham International、U.K.)上にトランスファーした。トランスファーは、トランスファーバッファー(25mM Tris塩基、192mMグリシン、20%メタノール、pH8.2)中、100Vで1.5〜2時間実施した。ニトロセルロースは、ミルク溶液(PBS 1x、1%Tween 20、1%Triton X100、5%脱脂乳)と1時間一緒にした後、ブロッキングされた。次いで、メンブレンを、ミルク溶液中で一次抗体、全PARPおよび切断PARPを用いて1時間染色した。メンブレンを、ミルク溶液を用いて洗浄し、二次抗体(Sigma Aldrich製の抗ウサギ)を用いて1時間染色した。最後に、メンブレンをPBS+1%Tween 20+1%Triton X100で洗浄し、PBS 1×を用いて再度洗浄し、増強化学発光(ECL)検出剤(Amersham International、U.K.)を用いて明らかにした。次いで、メンブレンを暗所で、ラップで包み、カセット中に入れ、その上にオートグラフィーフィルム(GRI)の小片を置き、所望の時間静置し、その後、現像剤に通した。
【0180】
図4に示されるように、ビタミンDまたは1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン単独で処理された細胞ではPARP切断はない、すなわち、切断PARP抗体を用いてシグナルが見られないが、組合せに関しては相当なレベルの切断PARPが観察されることがわかった。これらの結果は、組合せがアポトーシスに対して著しい効果を有することを示す。
【0181】
6.4.2 アネキシンV/P.I.染色
細胞を、2×10個細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種した。細胞を、1μl/mL DMSO(対照)または1nMの1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンおよび100nMの1,25 D3を、各々単独または組み合わせて用いて最大6日間処理した。培地をEDTA処理によって除去し、細胞を氷冷PBSを用いて2回洗浄した。次いで、細胞を1×10個細胞/mLの希釈でバッファーに再懸濁した。次いで、10個の細胞を、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(「PI」)を用いて染色した。染色をFACSによって分析した。結果を、対照アネキシンVまたはPI染色のパーセンテージとして表し、これでは、対照は、DMSOのみで処理された細胞である。結果は3連のウェルから得たものである。
【0182】
図5に示されるように、アネキシンVまたはPI染色のいずれかによって評価されるように、ビタミンDまたは1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン単独で処理された細胞ではアポトーシスの大幅な増大はないことがわかった。しかし、アネキシンVおよびPI染色の両方によって評価されるように、組合せで処理された細胞では、アポトーシスの大幅な増大が観察された。これらの結果はまた、組合せは、アポトーシスに対して著しい効果を有することを示唆する。
【0183】
6.5 レナリドマイドは、BCL−2の阻害によって、ビタミンD耐性乳癌細胞MDA−MB−231にビタミンD感受性表現型を回復させる
ビタミンDは、骨格の健康に関与する必須成分として十分に確立されている。ビタミンDの活性なホルモン性代謝産物として、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(1,25 D)があり、これは腎臓において合成され、カルシウムおよびリン酸の腸管吸収の刺激によって骨のためのミネラルの提供を媒介する(Holick MF. Resurrection of vitamin D deficiency and ricket. J Clin Invest. 2006年)。1987年のビタミンDの受容体のクローニング以降、乳房を含めた多数の組織においてビタミンDの受容体が発見され、乳房では、受容体のレベルは乳汁分泌の際に上がるとわかった(Zinser, G.M.ら Mol Endocrinol 18巻、2208〜2223頁(2004年))。1,25 Dの循環レベルもまた、妊娠においても上がり、ビタミンDは、乳腺分化および乳汁分泌において役割を果たすと考えられる。VDRは、乳癌生検の80%超において発現され、乳房腫瘍では、VDRの発現のレベルの増大が、無病生存率と相関することもわかっている(Friedrich, M.ら Histochem. J 34巻、35〜40頁(2002年)、Friedrich, M. Clin Exp. Obstet. Gynecol. 27巻、77〜82頁(2000年)、Friedrich, M.ら Histochem. J Cytochem. 46巻、1335〜1337頁(1998年)およびFriedrich, M.らAnticancer Res. 26巻、2615〜2620頁(2006年))。乳癌の予防における1,25 Dの役割が、7,12−ジメチルベンズ(a)−アントラセン(DMBA)注射によって発生させたマウスの乳房腫瘍において実証され、これでは、この薬物での前治療がマウスにおいて腫瘍の発生を阻害した(Guyton, K.Z.ら Annual Review of Pharmacology and Toxicology 41巻、421〜442頁(2001年))。さらなる研究によって、1,25 Dの、乳房腫瘍増殖を阻害する能力がin−vitroおよびin−vivoの両方で実証された。in−vitroでの腫瘍細胞に対する効果(無色素性黒色腫株に対する)は、1981年に最初に実証され、続いて乳癌株を含めた多数のその他の細胞株の増殖および分化の阻害に関する報告が過去20年にわたってなされた(Colston, K.W.ら Endocr. Relat Cancer 9巻、45〜49頁(2002年))。乳癌細胞株に対する1,25 Dの阻害効果は、細胞周期の調節によるものであると考えられ、細胞株MCF−7において見られるようなサイクリン依存性キナーゼ阻害剤およびアポトーシス促進性タンパク質P21の増大など、いくつかの細胞周期調節因子に対する効果を有する(Verlinden, L.ら Mol. Cell Endocrinol. 142巻、57〜65頁(1998年))。また、抗アポトーシス分子BCL2の喪失に伴うアポトーシスの誘導があるが、効果は、カスパーゼまたはP53によって媒介されない(Mathiasen, I.S.ら Cancer Res. 59巻、4848〜4856頁(1999年))。
【0184】
ビタミンDはまた、乳癌の予防および治療の両方において有望な臨床薬であるとわかっている(Colston KWら Possible role for vitamin D in controlling breast cancer cell proliferation. Lancet. 1989年)。ビタミンDはまた、前立腺癌および多発性骨髄腫を含めたその他の癌の予防および治療の両方においても有望な臨床薬であるとわかっている(Trump, D.L.らAnticancer Research 26巻、2551〜2556頁(2006年))。不応性癌における第1相試験によって、有望な結果が示されている。これらの研究を用いる場合の2つの大きな警告は、ビタミンDによって引き起こされる高カルシウム血症および多数の乳癌患者において発生するか、またはそれらにおいて存在するビタミンDに対する耐性であった(Byrne, B.ら J Steroid Biochem. Mol. Biol. 103巻、703〜707頁(2007年)およびWelsh, J. J Bone Miner. Res. 22巻付録2、V86〜V90頁(2007年))。乳癌細胞株の1,25 D処理は極めて有効であり、nM領域にIC50値を有するが、薬物に対する耐性の問題(固有のものおよび誘導されたものの両方)は、極めてよくあることである(Colston, K.W.ら Endocr. Relat Cancer 9巻、45〜49頁(2002年)およびColston, K.W.ら Biochem Pharmacol. 44巻、693〜702頁(1992年))。VDRを発現するいくつかの乳癌細胞株は、1,25(OH)の抗増殖効果に対して応答できない(Byrne, B.ら J Steroid Biochem. Mol. Biol. 103巻、703〜707頁(2007年))。乳房細胞株から得たデータから、SV40またはrasを用いる発癌性形質転換は、VDRシグナル伝達を阻害し、1,25 Dの増殖阻害効果に対する耐性を誘導し、したがって、乳癌進行が1,25 Dに対する感受性の喪失につながると予測されるということが示唆される(Kemmis, C.M.ら J Cell Biochem. 105巻、980〜988頁(2008年))。したがって、ビタミンDに対して不応性の腫瘍の耐性を逆転させることができる薬剤は、ビタミンDを使用するあらゆる抗癌療法において重要である(Galustian Cら The anti−cancer agents lenalidomide and pomalidomide inhibit the proliferation and function of T regulatory cells. Cancer Immunol Immunother. 2009年)。免疫調節薬、レナリドマイドは、いくつかの腫瘍細胞株においてアポトーシス促進効果を有するとこれまでにわかっており、骨髄腫細胞株ならびに増殖停止およびアポトーシスが誘導される初代患者細胞において薬物耐性を克服することが報告されている(Mitsiades, N.ら Blood 99巻、4525〜4530頁(2002年))。そのアポトーシス促進機序は、カスパーゼに対する効果および抗アポトーシス分子BCL−2の阻害を含む(Quach, H.ら Leukemia 24巻、22〜32頁(2010年))。レナリドマイド(CC−503)はまた、NKおよびT細胞機能を増強し、T調節細胞数および機能を阻害する免疫調節効果に加えて、浸潤、転移、血管新生に対する阻害効果などの多数のその他の抗癌特性も有する(Galustian, C.ら Expert Opin. Pharmacother. 10巻、125〜133頁(2009年)、Galustian, C.ら Cancer Immunol. Immunother. 58巻、1033〜1045頁(2009年)およびLiu, W.M.ら Br. J Cancer 101巻、803〜812頁(2009年))。
【0185】
この研究では、本発明者らは、薬物、レナリドマイドが、ビタミンD耐性乳癌細胞株MDA−MB−231にビタミンD感受性を付与するかどうかを調べた。この細胞株は、ビタミンD受容体は発現するが、ビタミンDに対して不応性であると確立されている。MDA−MB−231細胞におけるビタミンDに対する耐性の機序はまだ理解されていないが、耐性は、ゲニステイン(genestein)およびBCL2阻害剤などのアポトーシスに直接的に影響を及ぼす薬剤の使用によって逆転される(Li, Z.ら Toxicol. In Vitro 22巻、1749〜1753頁(2008年))。したがって、本発明者らは、細胞増殖およびアポトーシス経路におけるいくつかのタンパク質を標的とすることができ、多発性骨髄腫細胞をいくつかの化学療法薬に対して感作することができるレナリドマイドはまた、細胞株をビタミンDに対して感作することができるであろうと推定した。本発明者らは、ここで、レナリドマイドが、1,25 Dに対するMDA−MB−231細胞株の耐性を実際に逆転させることができることならびにparp切断および細胞でのアネキシンV発現によって測定されるように、両薬剤の添加は、アポトーシスに対して優れた相加作用を有することを実証する。本発明者らは、感受性の回復は、アポトーシス促進分子および抗アポトーシス分子の発現の変化によるものであるということならびに最も重要な変化は、2種の薬物の存在下でのBCL−2発現の阻害であるということを示す。
【0186】
6.5.1 材料および方法
細胞培養および試薬
悪性のMCF−7、MCF−7/VD、HBL−100およびMDA−MB−231細胞を、2mMのグルタミン、100IU/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび10%のFBSを補給したRPMI 1640において増殖させた。MCF−12Aは、2mMのグルタミン、100IU/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、5%のウマ血清、100ng/mlのコレラ毒素、20ng/mlの上皮増殖因子、0.01mg/mlのインスリンおよび500ng/mlのヒドロコルチゾンを補給したDMEM/F12で増殖させた。1,25ジヒドロキシビタミンD(Sigma Aldrich、UK)は100nMの濃度で使用した。レナリドマイド(CC−5013)、ポマリドマイド(CC−4047)およびサリドマイド(Celgene)を、最大100nMの種々の濃度で使用した。ABT−263は、Genentechから購入し、最大20μMの種々の濃度で使用した。DMSOをビヒクルとして使用した。
【0187】
増殖アッセイ
6日間処理した後、細胞を、1×10個細胞/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種した。24時間後、細胞を試薬またはビヒクルを用いて最大6日間処理した。細胞を、サリドマイド(0.1μMから最大100μM)、ポマリドマイドおよびレナリドマイド(0μMから最大10μM)の対数用量を用いて最大6日間処理した。各実験の最後に、氷冷50%w/vトリクロロ酢酸(TCA)を10%TCAの終濃度が得られるよう添加することによって、細胞をウェルの底に固定した。プレートを4℃で30分間インキュベートし、次いで、蒸留水を用いて洗浄した。プレートを室温で風乾させ、その後、1%v/v酢酸中の0.4%w/v SRBを用いて染色し、シェーカー上で15分間インキュベートした。次いで、プレートを1%酢酸を用いて十分に洗浄して、結合していない色素を除去し、再度、室温で風乾させた。組み込まれた色素を、10nM Tris塩基200μlを用いて可溶化した。100μlのアリコートを、96ウェルプレートに移し、550nmの吸光度を調べた。
【0188】
生存率アッセイ
6日間処理した後、細胞を1×10個細胞/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種した。24時間後、細胞を試薬またはビヒクルを用いて最大6日間処理した。インキュベーション期間の最後に、培地を除去し、細胞をニュートラルレッド溶液(フェノールレッドおよび血清不含DMEM中、40μg/ml)とともに、37℃で2時間インキュベートした。ニュートラルレッド溶液を除去した後、0.5%CaClを含有する4%ホルマリン食塩水1mlを用いてウェルを1回すすいだ。プレートをペーパータオル上で反転させて水気を切り、200μlの溶出液(50%エタノール中の1%酢酸)を加えた。穏やかに振盪しながら室温で30分間インキュベートした後、550nmの吸光度を調べた。
【0189】
ウエスタンブロット解析
細胞を、1%NP40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、PBSを含有するRIPAバッファーに溶解した。等量のタンパク質(レーンあたり20μg)をSDS−PAGEに付し、ニトロセルロースメンブランにトランスファーした。メンブランを、0.05%Tween−20/TBS中の5%ミルクを用いてブロッキングし、次いで、0.5%ミルク中で一次抗体とともに一晩インキュベートした。次いで、メンブランを、二次抗マウスまたは抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート抗体とともにインキュベートした。増強化学発光ウエスタンブロッティング検出システム(ECL、Amersham、NJ、USA)を使用してバンドを可視化した。Adobe Photoshop CS2を使用して濃度測定分析を実施した。抗切断PARPおよび抗全PARP抗体(New England biolab、Cell Signalling)を1/1000の希釈で使用し、抗ウサギ(AbCam、UK)を1/5000の希釈で使用した。
【0190】
FACS分析
レナリドマイド/1,25−Dの同時処理によって誘導されたMDA−MB−231細胞死(アポトーシスまたは壊死)の性質を評価するために、細胞を、2×10個細胞/フラスコの密度で25cm2フラスコに播種した。細胞を1μl/mLのDMSO(対照)、1μMのレナリドマイド(CC−503)または100nMの1,25−Dを、単独または組み合わせて用いて最大6日間処理した。培地をEDTA処理によって除去し、細胞を氷冷PBSを用いて2回洗浄した。次いで、細胞を1×10個細胞/mlの希釈でバッファーに再懸濁した。次いで、10個の細胞を、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムを用いて染色した。染色をFACSによって分析した。
【0191】
タンパク質アレイ
MDA−MB−231細胞を、100nMの1,25−Dを伴って、または伴わずに1nMのレナリドマイドを用いて最大6日間処理した。細胞を、1%NP40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDSおよびPBSを含有するRIPAバッファーに溶解し、300μgのタンパク質を含有する溶解物を、RおよびDアポトーシスタンパク質アレイキットを製造業者の使用説明書(R&D catalogue number ARY009)に従って用いてプローブした。増強化学発光ウエスタンブロッティング検出システム(ECL、Amersham、NJ、USA)を使用してスポットを可視化した。Adobe Photoshop CS2を使用して濃度測定分析を実施した。
【0192】
6.5.2 結果
単一の薬剤IMiDサリドマイド、レナリドマイドおよびポマリドマイドは、MCF−7、MCF−12AまたはMDA−MB−231細胞株では細胞生存率または増殖に影響を及ぼさない。
【0193】
本発明者らは、MCF−12A、MCF−7およびMDA−MB−231乳癌細胞株の生存率および増殖に対する単一薬剤IMiDサリドマイド、レナリドマイドまたはポマリドマイドの効果をまず調べた。図6は、乳癌細胞増殖および生存率に対するIMiD処理の効果を示す。MCF−12A、MCF−7およびMDA−MB−231細胞を、漸増用量のサリドマイド(0.01μMから最大100μM)、CC−4047およびレナリドマイド(0.001μMから最大10μM)を用いて最大6日間処理した。(6A)は、ニュートラルレッド色素アッセイによって測定された細胞生存率を示す。(6B)細胞増殖はSRBアッセイによって推定した。(一元配置分散分析およびニューマンクールズポスト検定によるp<0.005)。対照(非処理細胞)と処理細胞間の有意性を比較する統計を実施した。ニュートラルレッドアッセイによって測定されるように、IMiD単独のうち、3種の乳癌細胞株の生存率に対して効果を有するものはなかった(6A)。MCF−12AおよびMCF−7細胞は、IMiD処理による増殖阻害に対して非感受性であった(p>0.05)(6Bに示される)。レナリドマイドおよびサリドマイド処理は、MDA−MB−231細胞の増殖のわずかな阻害につながった(それぞれ、28%および20%;p<0.05)が、最高用量の薬物(10μMのレナリドマイドおよび100μMのサリドマイド)でのみであった。ポマリドマイドは、MDA−MB−231細胞増殖に対して効果を有していなかった(p>0.05)。これらの結果は、MCF−12A、MCF−7およびMDA−MB−231の増殖および生存率は、生理学的用量で使用される単一薬剤IMiDSによって影響を受けないことを示す。
【0194】
種々の乳房細胞増殖および生存率に対するIMiD/1,25−Dを用いる同時処理の効果
MCF−12A、MCF−7およびMDA−MB−231細胞を、1μMの種々のIMiDおよび100nMの1,25−Dを、単独または組み合わせて用いて最大6日間処理した。この処理の効果を図7に示す。対照として、細胞をまた、0.1%DMSOを用いて処理した。(7A)は、ニュートラルレッド色素アッセイによって測定された細胞生存率を示す。(7B)は、SRBアッセイによって推定された細胞増殖を示す。**(一元配置分散分析およびニューマンクールズポスト検定によるp<0.001)。対照(ビヒクルとしてのDMSO)と処理細胞間の有意性を比較する統計を実施した。
【0195】
上記のように、IMiD処理は、MCF−7およびMCF−12A細胞生存率および増殖に対して効果を有さない。1,25−D処理は、MCF−12AおよびMCF−7生存率をそれぞれ35%および40%阻害し、増殖もMCF−12A細胞については55%、MCF−7細胞については30%阻害する。しかし、1,25−Dとの同時処理におけるIMiDの添加は、細胞増殖および生存率に対する1,25−Dの効果を変更しない。1,25−DおよびIMiD処理単独は、MDA−MB−231細胞増殖および生存率に対して効果を有さない。しかし、1,25−DおよびIMiDレナリドマイドを用いて同時処理されたMDA−MB−231は、細胞生存率の阻害(30〜35%の阻害(p<0.001))および細胞増殖の阻害(22〜35%阻害(p<0.001))につながる。これらの結果は、MDA−MB−231細胞増殖の阻害および細胞死の活性化に対する1,25−Dおよびレナリドマイドの相乗作用を示唆する。本発明者らは、MDA−MB−231細胞死につながるこの相乗作用の機序を理解するために、その研究をMDA−MB−231細胞に対する同時処理レナリドマイド/1,25−Dの効果に集中することを決定した。
【0196】
図12は、乳癌細胞株生存率に対する、単独または組み合わせた1,25−D3およびレナリドマイド処理の効果を示す。
【0197】
レナリドマイド/1,25−D同時処理によって誘導されるMDA−MB−231死の性質の決定
図8は、MDA−MB−231細胞を、1μMのレナリドマイドおよび100nMの1,25−Dを、単独または組み合わせて用いて最大6日間処理するこの処理を示す。細胞はまた、対照として0.1%DMSOを用いて処理した。(8A)は、2、4および6日の処理後に細胞から抽出した全タンパク質を示す。0.1%DMSOを用いて処理された細胞を対照として使用した(0日目)。細胞溶解物を切断PARP(C−PARP)および全PARP(T−PARP)についてプローブした。示されるデータは、3つの同一実験を代表するものである。(8B)は、ヨウ化プロピジウムおよびアネキシンVについて染色しており、FACSによって分析された細胞を示す。(一元配置分散分析およびニューマンクールズポスト検定による、非処理対照に対して比較されたp<0.005)。対照(ビヒクルとしてのDMSO)と処理細胞間の有意性を比較する統計を実施した。
【0198】
MDA−MB−231細胞に対する同時処理レナリドマイドおよび1,25−D処理によって誘発される細胞死の性質を決定するために、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ1(PARP)切断を、ウエスタンブロットによって調査した(8A)。実際、通常、DNA修復、DNA安定性およびその他の細胞事象に関与するPARPは、初期アポトーシスの間にカスパーゼファミリーのメンバーによって切断される。切断PARPは、多数の細胞種においてアポトーシスの検出のために最も使用される診断ツールの1つである(Kohら、2005年)。2、4および6日間の処理後に、全タンパク質を細胞から抽出した。0.1%DMSOを用いて処理された細胞を、対照として使用した(0日目)。レナリドマイドおよび1,25−D処理単独は、MDA−MB−231においてPARP切断に対して効果を有さない。しかし、両薬物を組み合わせると、PARPは2日間の処理後に切断され始める。本発明者らは、同時処理レナリドマイド/1,25−Dによって誘導されるMDA−MB−231死は、アポトーシスによって媒介されると結論づけることができる。この結果を確認するために、処理細胞中のヨウ化プロピジウムおよびアネキシンV発現を染色するFACS分析を実施した(これらは、それぞれ壊死およびアポトーシスのマーカーである)(8B)。レナリドマイドおよび1,25−D処理は、壊死およびアポトーシス活性化に対して効果を有さない。しかし、同時処理レナリドマイド/1,25−Dを用いると、アネキシンV染色が観察された。本発明者らは、ここで、同時処理レナリドマイド/1,25−Dによって誘発されるMDA−MB−231細胞死は、アポトーシスによって媒介されることを確認した。
【0199】
MDA−MB−231アポトーシスにつながるタンパク質の活性化を用いる、レナリドマイド/1,25−D同時処理で見られるアポトーシスの増大に関与するタンパク質の決定
レナリドマイド/1,25−D組合せ処理で見られるアポトーシスの増大に関与する経路およびタンパク質を決定するために、種々の処理から採取した細胞から全タンパク質を抽出し、これを、製造業者に従ってアポトーシスタンパク質アレイを用いるプロービングに使用した。図9は、効果を示す。MDA−MB−231細胞を、1μMのレナリドマイドおよび100nMの1,25−Dを単独または組み合わせて用いて最大6日間処理した。細胞はまた、対照として0.1%DMSOを用いて処理した。細胞を、材料および方法において記載されるRIPAバッファーを用いて溶解し、各試料から300μgのタンパク質を、製造業者の使用説明書に従ってR&Dアポトーシスアレイを用いるプロービングに使用した。結果は、実施された2つの別個のアレイを代表するものである。タンパク質アレイからは、重要なアポトーシスおよびチェックポイント経路タンパク質の変化の半定量的分析が得られる。レナリドマイド/1,25−Dを用いる同時処理(およびレナリドマイドのみ)は、p53活性化を誘導し、セリン15およびセリン392のリン酸化が検出された。p21、p27およびクラスピン発現の活性化も誘導する。これらのタンパク質はすべて、主要なアポトーシス促進性タンパク質またはチェックポイント調節タンパク質であることは周知である。レナリドマイドまたは1,25−D処理単独は、抗アポトーシスタンパク質Bcl−2の発現には影響を及ぼさず、このことによって、これらの処理後のMDA−MB−231細胞の生存を説明できるが、レナリドマイド/1,25−Dを用いる同時処理は、BCL−2発現を阻害する。これらの結果すべては、ウエスタンブロットによって確認し(図10(a))、アレイのデンシトメトリープロットおよびウエスタンブロットバンド/ドットを実施して、これらのタンパク質の発現の変化を定量化した(図10(b))。したがって、Bcl−2の減少と共役したアポトーシス促進タンパク質の増大が、組合せ処理で見られるアポトーシスの増大の原因であり得る。
【0200】
より詳しくは、図10は、MDA−MB−231細胞におけるp53活性化ならびにp21、p27、クラスピンおよびBCL−2タンパク質発現に対する同時処理レナリドマイド/1,25−Dの効果を示す。MDA−MB−231細胞を、1μMのレナリドマイドおよび100nMの1,25−Dを単独または組み合わせて用いて最大6日間処理した。細胞はまた、対照として0.1%DMSOを用いて処理した。全タンパク質を抽出し、ハウスキーピングタンパク質としてb−アクチンを用い、p53(セリン15およびセリン392)、p21、p27、クラスピンおよびBCL−2についてプローブした。3実験の代表的なブロットを示し(図10(a))、タンパク質の濃度指数プロット(対照は指数値1を有する)を図10(b)に示す(アレイおよびウエスタンブロットから採取したバンド/ドットからのn=5)。
【0201】
レナリドマイド/1,25−D同時処理は、MDA−MB−231細胞においてAKTおよびERK1/2活性化ならびにVDRタンパク質発現に対する効果を有さない。
【0202】
レナリドマイド/1,25−D同時処理が、重要な増殖シグナル伝達タンパク質に対する効果を有していたかどうかを調べるために、処理細胞を、材料および方法に示されるように溶解し、全タンパク質を抽出し、全AKT(T−AKT)、ホスホル−AKT(P−AKT)、全ERK1/2(T−ERK1/2)、ホスホ−ERK1/2(P−ERK1/2)、VDRおよびハウスキーピングタンパク質としてのb−アクチンについてプローブした。図11は、3実験からの代表的なブロットを示す。いずれの処理においても、これらのタンパク質の発現に対する効果は見られない。
【0203】
より詳しくは、図11は、MDA−MB−231細胞における重要なシグナル伝達タンパク質の発現に対する同時処理レナリドマイド/1,25−Dの効果を示す。MDA−MB−231細胞を、1μMのレナリドマイドおよび100nMの1,25−Dを単独または組み合わせて用いて6日間処理した。細胞はまた、対照として0.1%DMSOを用いて処理した。全タンパク質を抽出し、全AKT(T−AKT)、ホスホル−AKT(P−AKT)、全ERK1/2(T−ERK1/2)、ホスホ−ERK1/2(P−ERK1/2)、ホスホル−p38および全p38、VDRおよびハウスキーピングタンパク質としてのb−アクチンについてプローブした。3実験の代表的なブロットを示す。
【0204】
MCF−7/VDおよびHBL−100生存率に対するレナリドマイドおよび1,25−D処理の効果
MDA−MB−231細胞において得られたこれまでの結果を検証するために、2種のその他のビタミンD耐性細胞株MCF−7/VDおよびHBL−100細胞を調査した。第1に、これらの細胞株に対するレナリドマイドの効果を調査した。このために、細胞を、種々の濃度のレナリドマイド(0μMから最大10μM)を用いて最大6日間処理した。細胞生存率は、ニュートラルレッド色素アッセイによって測定した(図13)。レナリドマイド処理後に、MCF−7/VDおよびHBL−100細胞の生存率において有意差は検出されなかった(p>0.05)。
【0205】
より詳しくは、図13は、MCF−7/VDRおよびHBL−100生存率に対するレナリドマイド処理の効果を示す。MCF−7/VDRおよびHBL−100細胞を、種々の濃度のレナリドマイド(0μMから最大10μM)を用いて最大6日間処理した。細胞生存率は、ニュートラルレッド色素アッセイによって測定した。結果は、3つの独立実験の平均である(各々、4連で行った)。
【0206】
次いで、先にMDA−MB−231細胞において実施したように、MCF−7/VDおよびHBL−100細胞を、種々の濃度のレナリドマイド(0.01μMから最大1μM)を単独または種々の濃度の1,25−D(0から最大1000nM)と組み合わせて用いて最大6日間処理した。細胞生存率は、ニュートラルレッド色素アッセイによって測定した(図14)。これらの処理を単独または組み合わせて用いて、MCF−7/VDおよびHBL−100細胞の生存率において有意差は検出されなかった(p>0.05)。
【0207】
より詳しくは、図14は、MCF−7/VDRおよびHBL−100生存率に対するレナリドマイド/1,25−D3同時処理の効果を示す。MCF−7/VDRおよびHBL−100細胞を、種々の濃度のレナリドマイド(0.01μMから最大1μM)を単独または種々の濃度の1,25−D3(0から最大1000nM)と組み合わせて用いて最大6日間処理した。細胞生存率は、ニュートラルレッド色素アッセイによって測定した。結果は、3つの独立実験の平均である(各々、4連で行った)。
【0208】
MDA−MB−231細胞同様、MCF−7/VDおよびHBL−100細胞は、レナリドマイドおよび1,25−D処理に対して耐性である。しかし、これらの細胞株では、組合せ処理によって、これらのビタミンD耐性乳癌細胞株にビタミンD感受性表現型を回復させることができなかった。
【0209】
MCF−7/VDおよびHBL−100細胞におけるBCL−2発現に対するレナリドマイド/1,25−D同時処理の効果
この明細書では、発現のBCL−2阻害が、MDA−MB−231における感受性ビタミンD感受性表現型の回復の重要な事象であるようであるとわかった。レナリドマイド/1,25−Dを用いる同時処理は、MCF−7/VDおよびHBL−100細胞にビタミンD感受性表現型を回復させることができなかったので、BCL−2発現に対するこれらの処理の効果を調査した。したがって、細胞を、1μMのレナリドマイドおよび100nMの1,25−Dを単独または組み合わせて用いて6日間処理した。細胞はまた、対照として0.1%DMSOを用いて処理した。全細胞抽出物を調製し、BCL−2抗体をイムノブロッティングすることによって分析した。β−アクチンをローディング対照として使用した。両細胞株において、単独または組み合わせたレナリドマイドおよび1,23−D処理は、BCL−2発現に対して効果を有していなかった(図15)。
【0210】
より詳しくは、図15は、MCF−7VDRおよびHBL−100細胞におけるBCL−2発現に対する同時処理レナリドマイド/1,25−D3の効果を示す。MCF−7/VDRおよびHBL−100細胞を、1μMのレナリドマイドおよび100nMの1,25−D3を単独または組み合わせて用いて最大6日間処理した。細胞はまた、対照として0.1%DMSOを用いて処理した。全タンパク質を抽出し、BCL−2についてプローブした。β−アクチンをローディング対照として使用した。3実験の代表的なブロットを示す。
【0211】
MDA−MB−231、MCF−7/VDおよびHBL−100生存率に対するBCL−2阻害の効果
この最後の実験は、発現のBCL−2阻害が、MDA−MB−231、MCF−7/VDおよびHBL−100細胞において細胞死を誘導するのに十分であることを示すために実施した。これを達成するために、細胞を、種々の濃度のBCL−2阻害剤、ABT−263(0.2μM)を用いて最大6日間処理した。非処理細胞を対照として使用した。6日間処理した後、細胞生存率をニュートラルレッドアッセイによって測定した(図16)。3種の細胞株では、BCL−2阻害が、細胞死につながる。IC50は、すべての細胞株においてほとんど同等である(1μM+/−0.2μM)。
【0212】
より詳しくは、図16は、MCF−7VDおよびHBL−100生存率に対するBCL−2阻害の効果を示す。MDA−MB−231、MCF−7/VDおよびHBL−100細胞を、種々の濃度のABT−263(0.2から最大20μM)を用いて最大6日間処理した。非処理細胞を対照として使用した。6日間処理した後、細胞生存率をニュートラルレッドアッセイによって測定した。結果は、3つの独立実験の平均である(各々、4連で行った)。
【0213】
6.5.3 考察
この研究で、本発明者らは、レナリドマイドが、ビタミンDの効果に対して完全に不応性である細胞株のビタミンDに対する感受性を回復させることを実証している。感受性細胞では、1,25 D3が、ビタミンD受容体に対して、アポトーシスおよび増殖停止につながるシグナル伝達カスケードを誘発するよう作用する。図6は、乳癌細胞におけるビタミンDの作用に関与する増殖およびアポトーシス経路を示す。MCF−7細胞では、1,25 D3は、増殖停止を誘導するようp21カスケードによって作用し、BCL−2が下方制御されてアポトーシスを促進する(Mathiasen, I.S.ら Cancer Res. 59巻、4848〜4856頁(1999年))。
【0214】
本発明者らは、まず、3種の乳癌細胞株、MCF12A、MCF−7およびMBA−MD−231に対する単一薬剤としてのIMiD、サリドマイド、ポマリドマイドおよびレナリドマイドの直接効果を調べた。MCF12AまたはMCF−7の増殖または生存率に対する効果はなく、最高用量のIMiDでMBA−MD−231の増殖に対するわずかな効果のみがあった。したがって、IMiDは、それだけで投与される場合には、抗増殖剤でも細胞傷害性薬剤でもない。IMiDが1,25 D3と組み合わされた場合、MCF12AおよびMCF−7細胞では薬剤の既存の作用に対して薬物の相加作用はなかった。しかし、ビタミンD耐性細胞株、MBA−MD−231では、生理学的用量のIMiDによってビタミンD感受性が回復され、MBA−MD−231およびMCF−7細胞では100nMの1,25 D3が、同様の増殖阻害および毒性をもたらした。本発明者らは、この効果の分子機構の分析のために主要な治療上使用されるIMiD、レナリドマイドを選択した。
【0215】
本発明者らは、MBA−MD−231細胞株において、単一薬剤としての、または組み合わせた1,25 D3およびレナリドマイドの、アポトーシスに影響を及ぼす能力を最初に研究したが、これは、それが、1,25 D3がMCF−7および乳癌細胞においてその抗腫瘍効果を媒介する重要な機序であるからである。本発明者らは、レナリドマイドおよびビタミンDを用いて処理されたMBA−MD−231細胞において、単一の薬剤またはDMSO対照を用いて処理された細胞と比較して、アネキシンV染色およびPARP切断によって測定されるアポトーシスが大幅に増大されることを観察した。
【0216】
レナリドマイドおよびビタミンD処理で、その他の処理と比較して大幅に変化したアポトーシス経路のタンパク質を調べるために、本発明者らは、MBA−MD−231細胞株においてタンパク質アレイおよび確証的ブロット分析を使用した。半定量的分析を用いてアポトーシスおよび増殖停止経路中のいくつかのタンパク質をスクリーニングするために、タンパク質アレイ分析を最初に使用した。本発明者らは、アレイから、アポトーシス促進性タンパク質P21、P27およびP53S392が、レナリドマイドをそれだけで、またビタミンDと組み合わせて用いた処理の際に上方制御されることを示した。
【0217】
アポトーシス促進性タンパク質クラスピンは、組合せによって上方制御されるが、いずれかの薬剤単独では上方制御されず、抗アポトーシス性タンパク質BCL2の発現は、組合せによって消失する。これらの変化は、これらのタンパク質を使用するウエスタンブロッティングアッセイを用いて確認した。したがって、1,25Dおよびレナリドマイドを組み合わせることは、1,25D単独を用いる処理と比較して、アポトーシスの全般的な増大につながる抗アポトーシス促進性タンパク質およびアポトーシス促進性タンパク質の発現の変化を引き起こした。最も特筆すべき結果は、MDA−MB−231細胞株におけるBC1−2発現の消失であり、これは、カスパーゼ(capase)活性の増大およびPARP切断の大幅な増大をもたらした。組合せは、VDRまたは重要な増殖シグナル伝達タンパク質、例えば、pAKT、pERKもしくはpJNKの発現においては変化を引き起こさなかった。
【0218】
抗アポトーシスタンパク質BCL−2は、固形腫瘍の増殖の阻害のための一般的な治療標的であり、現在、BCL−2阻害剤を用いて第I/II相臨床試験が始まっている(Manion, M.K.ら Curr. Opin. Investig. Drugs 7巻、1077〜1084頁(2006年)およびManion, M.K.ら Cancer Biol. Ther. 2巻、S105〜S114頁(2003年))。本発明者らは、1,25Dおよびレナリドマイド両方の存在下でのBC1−2の阻害が、MBA−MD−231細胞株における細胞死滅増大の機序であると考えた。したがって、本発明者らは、BCL−2の特異的阻害剤、ABT263(Tse, C.ら Cancer Res. 68巻、3421〜3428頁(2008年)およびShoemaker, A.R.ら Clin Cancer Res. 14巻、3268〜3277頁(2008年)およびAckler, S.ら Cancer Chemother. Pharmacol.(2010年))が、MBA−MD−231細胞株およびビタミンDに対して耐性であったその他の細胞株において細胞死を引き起こすことができるかどうかを調べた。阻害剤は、実際に、MBA−MD−231細胞ならびにその他の2種のビタミンD耐性株HBL100およびMCF−7 vitD resの死滅を誘導した。これらの細胞株の死滅のIC50は、ABT263と同様であった(1μM)。しかし、本発明者らが、HBL100およびMCF7VitD res細胞株に対するレナリドマイド/1,25D組合せの効果を調べた場合には、レナリドマイド、1,25Dまたは組み合わせた2種の薬物を用いて死滅の阻害はなく、2種の薬物の異なる用量設定もこれら2種の細胞株の死滅をもたらさなかった。したがって、本発明者らは、これらの細胞株におけるBCL−2の発現に対する組合せ処理の効果を調べた。しかし、MDA−MB−231細胞株においてBCL−2の阻害を引き起こした1,25Dおよびレナリドマイドの組合せは、HBL100およびMCF7vitDR細胞株では、BCL−2の発現を阻害するのに十分ではなかった。これは、MDA−MB−231細胞株において見られるものと比較して、これら2種の細胞株におけるBCL−2の高い発現によるものであり得る。したがって、1,25Dおよびレナリドマイド組合せ単独によって死滅しない細胞株では、死滅を阻害するために、1,25D/レナリドマイドの組合せを、低濃度のBC1−2阻害剤と組み合わせて使用してもよいという可能性がある。これらの薬物に対する耐性は比較的迅速に発生するので、これはBCL−2阻害剤を単独で使用するよりも適した戦略であろう(Vogler, M.ら Blood 113巻、4403〜4413頁(2009年)およびVolger, Mら Cell Death. Differ. 16巻、360〜367頁(2009年)。
【0219】
本発明者らの結果は、免疫調節性薬物レナリドマイドが、耐性MDA−MB−231乳癌細胞にビタミンD感受性表現型を回復させる;MDA−MB−231細胞のアポトーシス細胞死は、1,25−D3/レナリドマイドを用いる同時処理によって誘導される;1,25 D3およびレナリドマイドの組合せは、アポトーシス促進性タンパク質(リン酸化p53、p21、p27およびクラスピン)の増大および、抗アポトーシス性タンパク質bcl−2の減少をもたらす;ならびに1,25 D3およびレナリドマイドの組合せは、p38、AKTおよびERKに対して効果がなかったことを実証する。これらの結果は、ビタミンDに対して不応性の腫瘍を標的とするための1,25 D3と組み合わせたレナリドマイドの可能性ある用途を実証する。
【0220】
要約すると、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3、(1,25 D3)、ビタミンDの生物学的に活性な形態は、骨石灰化の維持におけるその主な役割に加えて、癌細胞増殖の阻害剤として十分に確立されている。乳癌細胞株では、アポトーシス促進性効果に加えて、細胞周期停止、血管新生、浸潤および転移に対する阻害効果が観察されている。(1,25 D3)はまた、いくつかのマウスモデルにおいて乳癌増殖を阻害し、防ぎ、乳癌細胞でのビタミンD受容体発現と乳癌患者の無病生存率間の相関も観察されている。しかし、高用量では、ビタミンDに対する耐性および高カルシウム血症が、臨床使用における重要な限定因子である。多発性骨髄腫において大いに見込みがあった薬物レブリミド(レナリドマイド)はまた、アポトーシスおよび細胞増殖経路におけるシグナル伝達も調節でき、細胞増殖の阻害、転移の阻害および浸潤の阻害につながる。本発明者らの研究は、ビタミンDに耐性である乳癌細胞のレナリドマイド処理が、ビタミンDに対する感受性の獲得をもたらし、その結果、細胞増殖が阻害されるかどうかを調べることを目的とした。非腫瘍形成性、腫瘍形成性および転移性乳房株に相当する、細胞株MCF−12A、MCF−7およびMDA−MB−231をそれぞれ使用した。後者の株はまた、ビタミンD耐性でもあった。細胞を、100nMの用量の1,25 D3(MCF−7およびMCF−12A細胞のIC50阻害をもたらす臨床上許容される用量)を使用してレナリドマイドおよび/または1,25 D3を用いて処理した。結果は、レナリドマイドは、ビタミンD感受性株の増殖に対して効果を有さないが、10μMでMDA−MB−231の増殖のわずかに20%の阻害を与え、1μMの濃度のレナリドマイドの存在下で、1,25 D3によって細胞増殖の50%阻害(感受性株を用いた場合に見られるものと同等)が達成されたことを示した。さらなる調査によって、この効果の機序は、parp切断およびアネキシンV発現の増大によって示される細胞株のアポトーシスの増大であるとことが示された。いくつかのシグナル伝達カスケードと関連するタンパク質を測定するアレイによって、1,25 D3およびレナリドマイドの組合せが、アポトーシス促進性タンパク質(BCL−2の減少に加えて、リン酸化P53、P21およびクラスピン)の増大をもたらすことが示された。両薬物とも、アポトーシス促進性タンパク質および抗アポトーシス性タンパク質に対して個々の効果を有していたが、組合せは、アポトーシス促進性タンパク質発現の全般的な増大をもたらし、細胞生存率および増殖の阻害の観察につながった。これらの結果は、ビタミンDに対して不応性である腫瘍のためのレナリドマイドおよび1,25 D3の組み合わせた使用の可能性を実証する。
【0221】
これらの例はまた、レナリドマイドの、ビタミンD耐性細胞株MDA−MB−231の、ビタミンDに対する感受性を回復させ、BCL−2の阻害に対応して細胞株のアポトーシスをもたらす能力を実証する。本発明者らは、組合せが、BCL−2が影響を受けないその他のビタミンD耐性細胞株の死滅を引き起こさないので、BC1−2は、この細胞株において2種の薬物によって標的とされる分子であるということを提案する。この株において1,25D/レナリドマイドの組合せが、BCL−2発現に影響を及ぼす詳細な機序には、さらなる実験が依然として必要であるが、アポトーシス性タンパク質および生存促進性タンパク質の発現のバランスの変化が重要な要因であり得、高い生存促進性タンパク質/アポトーシス性タンパク質比を有する乳癌およびその他の癌において利用することができる治療戦略を実証する。
【0222】
上記の実施形態は、単に例示であって、当業者ならば、日常の実験を使用するのみで、特定の化合物、材料および手順の多数の等価物を認識するか、または確認できるであろう。すべてのこのような等価物は、特許請求される対象の範囲内にあると考えられ、添付の特許請求の範囲によって包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンD耐性腫瘍細胞においてビタミンD感受性を回復させる方法であって、前記腫瘍細胞を免疫調節性化合物と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
ビタミンD処置に対して不応性の癌を処置、管理または予防する方法であって、このような癌を有する患者に、一定量の免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、ビタミンD剤と組み合わせて投与することを含む、方法。
【請求項3】
追加の活性薬剤の投与をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2の活性薬剤が、抗癌剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫調節性化合物が、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ−(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫調節性化合物が、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記免疫調節性化合物が、式(I):
【化26】

であり、式中、XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYのもう一方は、C=OまたはCHであり、Rは、水素または低級アルキルである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫調節性化合物が、式(II):
【化27】

であり、式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、もう一方は、CHまたはC=Oであり;
は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(S)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(O)NHR、C(S)NHR、C(O)NR3’、C(S)NR3’または(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり;
は、H、F、ベンジル、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルであり;
およびR3’は独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)RまたはC(O)ORであり;
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルキル−OR、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキルまたは(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリールであり;
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリールまたは(C〜C)ヘテロアリールであり;
はそれぞれ、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)ヘテロアリールもしくは(C〜C)アルキル−C(O)O−Rであるか、またはR基は一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し;
nは、0または1であり;
は、キラル−炭素中心を表す、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫調節性化合物を、1日あたり約0.1mg〜約150mgの量で投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記ビタミンD剤が、1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫調節性化合物およびビタミンD剤を同時投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫調節性化合物を、前記ビタミンD剤の投与の前に投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫調節性化合物およびビタミンD剤を、同一経路を使用して投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫調節性化合物およびビタミンD剤を、両方とも経口投与する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫調節性化合物およびビタミンD剤を、異なる経路を使用して投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫調節性化合物を非経口的に投与し、ビタミンD剤を経口投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫調節性化合物を経口投与し、ビタミンD剤を非経口的に投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
免疫調節性化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体と、ビタミンD剤とを含む医薬組成物。
【請求項19】
前記免疫調節性化合物が、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンまたは4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ−(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記ビタミンD剤が、1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項18に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512195(P2013−512195A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540169(P2012−540169)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/057951
【国際公開番号】WO2011/066351
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(509307635)セルジーン コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】