説明

ビット清掃装置

【課題】効率的に高い精度でゴミを除去することができるビット清掃装置を提供する。
【解決手段】空隙41はドライバビット18の先端部の形状を象る。空隙41には布シート32が覆い被さる。したがって、先端部がその軸心に沿って空隙41に受け入れられると、先端部の外壁面および空隙41の内壁面の間に布シート32が挟み込まれる。軸心に沿ったドライバビット18の移動に基づき先端部は空隙41内で布シート32に押し付けられる。布シート32は押し潰される。布シート32は先端部の外壁面から微小なゴミを擦り取る。こうして布シート32は先端部の外壁面から効率的に高い精度でゴミを除去することができる。清掃作業は効率的に実施される。その結果、ドライバビット18の先端部にゴミの付着は回避される。先端部から例えばねじのねじ頭へのゴミの移動は防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ締めに用いられるドライバビットの先端を清掃するビット清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハードディスク駆動装置(HDD)ではスピンドルモータのハブに磁気ディスクが装着される。クランプはハブにねじで固定される。ねじの締結にあたってドライバビットの先端はねじ頭のリセスに押し付けられる。ドライバビットの回転に基づきねじ軸はハブにねじ込まれる。ドライバビットの先端はリセスから退避する。その後、ドライバビットの先端は清掃される。ドライバビットの先端に付着する金属の摩耗粉といった微小なゴミは除去される。こうした清掃はねじ締め毎に実施される。HDD内にゴミの脱落は回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−337512号公報
【特許文献2】特開平4−367242号公報
【特許文献3】特許第2984601号公報
【特許文献4】特開2004−134603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の清掃では、ドライバビットの先端に例えば粘着テープの粘着面が押し付けられる。しかしながら、粘着テープは例えばドライバビットの溝内に接触できない場合がある。溝内にゴミが残存してしまう。その一方で、清掃にあたって例えばドライバビットにブラシが擦り付けられる。しかしながら、ブラシはドライバビットの表面に沿って微小なゴミを移動させるにすぎない場合がある。ドライバビットの表面にゴミは残存してしまう。こうしてHDD内に残存したゴミが磁気ディスクの表面に付着すると、例えばヘッドクラッシュを引き起こしてしまう。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、効率的に高い精度でゴミを除去することができるビット清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、開示のビット清掃装置の一形態は、所定の形状の先端部を規定するドライバビットの軸心に沿って前記ドライバビットを移動可能に保持する駆動機構と、前記先端部の形状を象りつつ前記軸心に沿って前記先端部を受け入れ可能な空隙を規定する雌型と、前記雌型上に配置されて前記空隙に覆い被さる布シートとを備える。
【0007】
こうしたビット清掃装置によれば、空隙はドライバビットの先端部の形状を象る。空隙には布シートが覆い被さる。したがって、先端部がその軸心に沿って空隙に受け入れられると、先端部の外壁面および空隙の内壁面の間に布シートが挟み込まれる。軸心に沿ったドライバビットの移動に基づき先端部は空隙内で布シートに押し付けられる。布シートは押し潰される。布シートは先端部の外壁面から微小なゴミを擦り取る。こうして布シートは先端部の外壁面から効率的に高い精度でゴミを除去することができる。清掃作業は効率的に実施される。その結果、ドライバビットの先端部にゴミの付着は回避される。先端部から例えばねじのねじ頭へのゴミの移動は防止される。
【発明の効果】
【0008】
以上のように開示のビット清掃装置によれば、効率的に高い精度でゴミを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一具体例に係るねじ締め装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るビット清掃装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るビット清掃装置の内部構造を概略的に示す分解斜視図である。
【図4】雌型の構造を概略的に示す部分透視斜視図である。
【図5】一具体例に係るドライバビットの構造を概略的に示す側面図である。
【図6】一具体例に係るドライバビットの構造を概略的に示す正面図である。
【図7】一具体例に係る空隙の構造を概略的に示す平面図である。
【図8】一具体例に係る空隙の構造を概略的に示す断面図である。
【図9】ねじ締め装置の制御系を示すブロック図である。
【図10】ねじ締め作業時の配置を示す斜視図である。
【図11】清掃作業時の配置を示す斜視図である。
【図12】空隙がドライバビットの軸心上に位置決めされる様子を概略的に示す断面図である。
【図13】ドライバビットの先端部が軸心に沿って空隙に押し込まれる様子を概略的に示す断面図である。
【図14】ドライバビットの先端部が空隙内に押し付けられる様子を概略的に示す断面図である。
【図15】図14の15−15線に沿った断面図である。
【図16】図15に対応し、ドライバビットが軸心回りに回転する様子を概略的に示す断面図である。
【図17】図15に対応し、ドライバビットが軸心回りに回転する様子を概略的に示す断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係るビット清掃装置の構造を概略的に示す断面図である。
【図19】空隙内に洗浄液が供給される様子を概略的に示す断面図である。
【図20】ドライバビットの先端部が空隙内に押し付けられる様子を概略的に示す断面図である。
【図21】空隙内から洗浄液が排出される様子を概略的に示す断面図である。
【図22】空隙内からドライバビットの先端部が引き出される様子を概略的に示す断面図である。
【図23】他の具体例に係るドライバビットの構造を概略的に示す側面図である。
【図24】他の具体例に係るドライバビットの構造を概略的に示す正面図である。
【図25】他の具体例に係る空隙の構造を概略的に示す平面図である。
【図26】他の具体例に係る空隙の構造を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0011】
図1は一具体例に係るねじ締め装置11を示す。ねじ締め装置11はステージ12を備える。ステージ12には任意の水平面に沿って広がる支持面13が規定される。ステージ12には駆動機構すなわちロボット14が固定される。ロボット14は、ステージ12の支持面13から垂直方向に直立する支柱15を備える。支柱15には電動ドライバ16が取り付けられる。電動ドライバ16は支持体17を備える。支持体17は、垂直方向すなわちz軸方向に移動可能に支柱15に保持される。支持体17の下端にはドライバビット18が着脱自在に取り付けられる。ドライバビット18の軸心はz軸方向に規定される。支持体17は、ドライバビット18の軸心回りに回転自在にドライバビット18を保持する。
【0012】
ロボット14にはビット清掃装置21が組み合わせられる。ビット清掃装置21は筐体22を備える。筐体22は支持面13に平行にy軸方向に移動することができる。y軸は、水平面に直交する垂直面内でz軸に直交する。支持面13に平行な筐体22の上面には開口23が形成される。図1では、筐体22は退避位置に位置決めされる。退避位置では、筐体22は、z軸方向に規定されるドライバビット18の移動経路の外側に配置される。後述のように、筐体22がy軸方向に移動すると、筐体22は稼働位置に位置決めされる。筐体22は、ドライバビット18と支持面13との間に配置される。このとき、筐体22の開口23はドライバビット18の移動経路上に配置される。こうして筐体22は退避位置および稼働位置の間で移動することができる。こうした移動にあたって筐体22は後述の筐体移動機構に接続される。
【0013】
図2は本発明の第1実施形態に係るビット清掃装置21の外観を概略的に示す。筐体22はカバー24を備える。前述の開口23はカバー24の上面に形成される。筐体22の例えば背面には流出口25が形成される。流出口25は後述の真空ポンプ(図示されず)に連結される。真空ポンプの働きで筐体22の収容空間から流出口25に向かって空気が吸い出される。その結果、筐体22の収容空間では常に負圧が発生する。図3を併せて参照し、筐体22は、カバー24に嵌め合わせられるベース26を備える。ベース26は垂直面に沿って広がる。カバー24はベース26に被さる。カバー24およびベース26の間に筐体22の収容空間が規定される。
【0014】
収容空間にはテープ搬送機構27が組み込まれる。テープ搬送機構27は、ベース26の側面に回転自在に取り付けられる送出リール28および巻取リール29を備える。送出リール28および巻取リール29の間には複数のローラ31が配置される。送出リール28、巻取リール29およびローラ31の回転軸はx軸方向に規定される。x軸は水平面内でy軸に直交する。送出リール28および巻取リール29の間でローラ31にはテープ状の布シート32が支持される。巻取リール29には電動モータ33が連結される。電動モータ33の駆動に基づき送出リール28から巻取リール29に布シート32が搬送される。布シート32は例えばポリエステル繊維といった樹脂繊維の織布や不織布が用いられる。樹脂繊維は例えば直径2μm程度といった超極細に形成される。
【0015】
送出リール28には残量検出センサ34が関連付けられる。残量検出センサ34は、x軸方向に延びる支軸35に基部端で回転自在に支持されるレバー36を備える。支軸35は送出リール28よりも上方に配置される。こうしてレバー36の先端は、送出リール28に巻き付けられる布シート32に所定の回転角で受け止められる。その結果、送出リール28への布シート32の巻き付け量すなわち残量に応じて支軸35回りでレバー36の回転角は変化する。回転角の変化は布シート32の残量に対応する。こうして布シート32の残量が検出される。その一方で、送出リール28に隣接するローラ31にはパルス検出センサ37が連結される。ローラ31の回転角に応じてパルス検出センサ37はパルスを検出する。パルスの数に応じて布シート32の送りピッチが特定される。ここでは、常に一定のパルスの数に設定されることから、布シート32の送りピッチは常に一定に設定される。
【0016】
収容空間にはベース26に固定される受け台38が収容される。受け台38はカバー24の開口23に向き合う。受け台38は、水平面に沿って配置される1対のローラ31、31同士の間に配置される。その結果、受け台38上には布シート32が配置される。受け台38上で布シート32は水平面に沿って広がる。図4を併せて参照し、受け台38上には雌型39が固定される。ここでは、雌型39は、z軸方向に中心軸を規定する円柱形状に形成される。中心軸回りで雌型39の回転は規制される。雌型39の頂上面は水平面に沿って広がる。雌型39は頂上面で布シート32を受け止める。雌型39の頂上面には所定の空隙すなわちリセス41が形成される。リセス41は雌型39の中心軸に沿って形成される。リセス41は前述のドライバビット18の先端部の形状を象る。電動モータ33の駆動に基づき布シート32が送り出されると、布シート32は雌型39の頂上面に沿って搬送される。
【0017】
図5に示されるように、本実施形態ではドライバビット18の先端部は例えばプラス溝形状に形成される。ここでは、ドライバビット18の直径は例えば3mm〜4mm程度に設定される。先端部はその軸心に沿って先端に向かうにつれて先細る。図6を併せて参照し、先端部は4つの溝18aを備える。相互に隣接する溝18a同士の間には突壁18bが形成される。溝18aおよび突壁18bは軸心に沿って先端まで延びる。その一方で、図7に示されるように、雌型39のリセス41はドライバビット18の先端部のプラス溝形状を象る。リセス41にはドライバビット18の突壁18bを受け入れる4つの溝41aが形成される。図8を併せて参照し、リセス41は底に向かうにつれて先細る。リセス41の寸法は先端部の寸法よりも例えばひとまわり大きく形成される。こうしてリセス41は先端部を受け入れることができる。
【0018】
図9に示されるように、ロボット14にはロボットコントローラ45が接続される。ロボットコントローラ45は制御信号の供給に基づきロボット14の動作を制御する。その結果、ロボット14はz軸方向に支持体17すなわち電動ドライバ16を移動させる。同様に、電動ドライバ16には電動ドライバコントローラ46が接続される。電動ドライバコントローラ46は制御信号の供給に基づき電動ドライバ16の動作を制御する。その結果、電動ドライバ16はドライバビット18の軸心回りにドライバビット18を回転させる。ドライバビット18の回転にあたって所定の回転トルクが設定される。
【0019】
ビット清掃装置21は筐体移動機構47、電動モータ33および真空ポンプ48を備える。筐体移動機構47、電動モータ33および真空ポンプ48には清掃装置コントローラ49が接続される。清掃装置コントローラ49は制御信号の供給に基づき筐体移動機構47、電動モータ33および真空ポンプ48の動作を制御する。制御信号の受信に応じて筐体移動機構47は退避位置および稼働位置の間でy軸方向に筐体22を移動させる。制御信号の受信に応じて電動モータ33は所定の回転角で巻取リール29を回転させる。同様に、制御信号の受信に応じて真空ポンプ48は筐体22内から空気を吸い出す。
【0020】
清掃装置コントローラ49には前述の残量検出センサ34およびパルス検出センサ37が接続される。残量検出センサ34は清掃装置コントローラ49にレバー36の回転角を出力する。出力された回転角に応じて清掃装置コントローラ49は布シート32の残量を検出する。その一方で、パルス検出センサ37は清掃装置コントローラ49にローラ31の回転角を出力する。出力された回転角に応じて清掃装置コントローラ49は布シート32の送りピッチを検出する。こうして検出された送りピッチに応じて電動モータ33の回転角は決定される。その結果、送出リール28から巻取リール29に向かって所定の送りピッチで布シート32は送られる。
【0021】
ロボットコントローラ45、電動ドライバコントローラ46および清掃装置コントローラ49には例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)51が接続される。PLC51は所定のソフトウェアプログラムに従って統括的にロボットコントローラ45、電動ドライバコントローラ46および清掃装置コントローラ49の動作を制御する。こうしてねじ締め装置11の動作は制御される。なお、ソフトウェアプログラムは、同様にねじ締め装置11に組み込まれるフラッシュメモリ(図示されず)といった不揮発性メモリに格納されればよい。
【0022】
いま、ねじ締め装置11が動作する場面を想定する。図10に示されるように、ステージ12の支持面13上で所定の位置にハードディスク駆動装置(HDD)用のベース55が配置される。ベース55内のスピンドルモータには例えば複数枚の磁気ディスク56が装着される。磁気ディスク56上にはクランプ57が配置される。ビット清掃装置21は退避位置に位置決めされる。電動ドライバ16は基準位置に位置決めされる。基準位置は筐体22の移動経路の外側に退避する位置で特定される。ドライバビット18の先端部にはねじ(図示されず)が供給される。PLC51の制御に基づき電動ドライバ16はその軸心に沿って支持面13に向かって下降する。ねじは、スピンドルモータのハブに形成されるねじ孔に受け入れられる。軸心回りのドライバビット18の回転に基づきねじはねじ孔にねじ込まれる。ねじ込み後、ドライバビット18は軸心に沿って基準位置まで上昇する。
【0023】
図11に示されるように、PLC51の制御に基づきビット清掃装置21は退避位置から稼働位置まで移動する。筐体22はドライバビット18およびベース55の間に配置される。図12に示されるように、ドライバビット18の軸心は雌型39の中心軸に一致する。雌型39上で布シート32には所定のテンションが維持される。電動ドライバ16すなわちドライバビット18は軸心に沿って下降する。図13に示されるように、ドライバビット18は先端でリセス41内に向かって布シート32を押し込む。布シート32はリセス41内に向かって撓む。さらにドライバビット18が下降すると、図14に示されるように、ドライバビット18の先端部はリセス41内に完全に受け入れられる。図15に示されるように、布シート32は、先端部の外壁面およびリセス41の内壁面の間に形成される隙間に挟み込まれる。布シート32は先端部の外壁面に密着する。
【0024】
このとき、ドライバビット18は軸心に沿って僅かな距離で上昇および下降の往復運動を繰り返す。こうして先端部はリセス41内で布シート32に複数回にわたって押し付けられる。先端部の外壁面およびリセス41の内壁面の間でドライバビット18の押し付けのたびに布シート32は押し潰される。こうして布シート32は先端部の外壁面から摩耗粉といった微小なゴミを擦り取る。同時に、リセス41内への押し付け時、ドライバビット18は軸心回りで時計回りおよび反時計回りで先端部の外壁面およびリセス41の内壁面の間の隙間の分だけ回転する。その結果、図16や図17に示されるように、先端部の外壁面およびリセス41の内壁面の間で回転のたびに布シート32は押し付けられる。こうして先端部の溝18aに付着する微小なゴミは確実に布シート32で擦り取られる。微小なゴミは布シート32に保持される。
【0025】
ドライバビット18は軸心に沿って基準位置まで上昇する。その後、電動モータ33の駆動に基づき布シート32は所定の送りピッチで巻取リール29に巻き取られる。雌型39上で布シート32は所定の送りピッチで送られる。こうして雌型39上には常に清浄な布シート32が配置される。筐体22内には常に負圧が生成されることから、たとえ布シート32に付着した微小なゴミが筐体22内に脱落しても、ゴミは流出口25から確実に排出される。その後、PLC51の制御に基づきビット清掃装置21は稼働位置から退避位置に退避する。続いて、ドライバビット18は軸心に沿って基準位置から下降する。前述と同様に、ドライバビット18は軸心回りの回転に基づきねじ締め作業が実施される。ねじ締め作業の完了後、前述の清掃作業が実施される。こうしてねじ締め作業および清掃作業が交互に繰り返される。すべてのねじ締め作業が終了すると、ベース55は支持面13から取り外される。
【0026】
以上のようなねじ締め装置11では、リセス41はドライバビット18の先端部の形状を象る。先端部が軸心に沿ってリセス41に受け入れられると、先端部の外壁面およびリセス41の内壁面の間に布シート32が挟み込まれる。軸心に沿ったドライバビット18の移動に基づき先端部はリセス41内で布シート32に押し付けられる。同様に、軸心回りのドライバビット18の回転に基づき先端部はリセス41内で布シート32に押し付けられる。こうして布シート32は押し潰される。布シート32は先端部の外壁面からゴミを擦り取る。布シート32は先端部の外壁面から効率的に高い精度でゴミを除去することができる。清掃作業は効率的に実施される。その結果、ドライバビット18の先端部にゴミの付着は回避される。先端部からねじのねじ頭へのゴミの移動は防止される。HDD内にゴミの残存は回避される。
【0027】
図18は本発明の第2実施形態に係るビット清掃装置21aの構造を概略的に示す。このビット清掃装置21aには洗浄液供給機構61が組み込まれる。洗浄液供給機構61は、筐体22内で例えば送出リール28および雌型39の間で布シート32の表面に向き合わせられる。すなわち、洗浄液供給機構61はリセス41より布シート32の上流側でリセス41にできる限り近接して配置されることが望ましい。洗浄液供給機構61の動作は清掃装置コントローラ49に基づき制御される。洗浄液供給機構61は布シート32に例えばアルコールといった洗浄液62を供給する。こうした洗浄液62の供給は前述の清掃作業のたびに実施される。その他、前述のビット清掃装置21と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
【0028】
こうしたビット清掃装置21aでは、筐体22が稼働位置に配置されると、洗浄液供給機構61が布シート32に向かって洗浄液62を塗布する。こうして布シート32はアルコールに浸される。電動モータ33の駆動に基づき布シート32は所定の送りピッチで送られる。その結果、布シート32は、洗浄液62を含む領域でリセス41上に配置される。このとき、ドライバビット18の先端部はリセス41内に押し込まれる。布シート32は押し潰される。このとき、布シート32に含まれる洗浄液62はドライバビット18の先端部の外壁面を洗浄する。なお、洗浄液供給機構61の洗浄液62の供給は布シート32の送りの直前に実施されればよい。
【0029】
図19に示されるように、洗浄液供給機構61はリセス41に接続されてもよい。雌型39には、リセス41内に洗浄液62を供給する供給路63と、リセス41内に溜まった洗浄液62をリセス41から排出する排出路64とが形成される。洗浄液供給機構61は供給路63に接続される。洗浄液供給機構61は供給路63からリセス41内に洗浄液62を供給する。供給路63は例えばリセス41の内壁面に接続される。排出路64は例えばリセス41の底面に接続される。供給路63からリセス41内に洗浄液62が供給される際、排出路64には栓(図示されず)が配置されればよい。こうしてリセス41内には清掃作業のたびに一定量の洗浄液62が溜められる。同様に、清掃作業のたびに洗浄液62は排出される。
【0030】
図20に示されるように、ドライバビット18の先端部がリセス41内に押し付けられると、リセス41内で布シート32には洗浄液62が染み渡る。このとき、ドライバビット18は前述と同様に動作する。その結果、布シート32は先端部の外壁面からゴミを確実に除去することができる。その後、図21に示されるように、先端部がリセス41内に受け入れられた状態で排出路64の栓が外される。その結果、リセス41内から排出路64から使用後の洗浄液62は排出される。排出にあたって洗浄液62はリセス41から吸引されればよい。排出路64から完全に洗浄液62が排出されると、図22に示されるように、ドライバビット18は軸心に沿って上昇する。こうしてドライバビット18は基準位置に位置決めされる。同時に、布シート32は所定の送りピッチで搬送される。こうしてリセス41上には常に清浄な布シート32が配置される。清掃作業のたびごとに洗浄液62が供給されることから、リセス41内には常に清浄な洗浄液62が溜められる。
【0031】
図23に示されるように、ドライバビット18には例えばトルクス(TORX)溝形状のドライバビットが用いられてもよい。ドライバビット18の先端部は基部端から先端まで均一な直径に規定される。図24を併せて参照し、このドライバビット18にはそれぞれ6つずつの溝18aおよび突壁18bが形成される。その一方で、図25に示されるように、リセス41はドライバビット18の先端部のトルクス溝形状を象る。したがって、リセス41にはドライバビット18の突壁18bを受け入れる6つの溝41aが形成される。図26を併せて参照し、リセス41の寸法は先端部の寸法よりも例えばひとまわり大きく形成される。こうしてリセス41は先端部を受け入れることができる。
【符号の説明】
【0032】
14 駆動機構(ロボット)、18 ドライバビット、21、21a ビット清掃装置、27 搬送機構、32 布シート、39 雌型、41 空隙(リセス)、61 供給機構、62 洗浄液、63 供給路、64 排出路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状の先端部を規定するドライバビットの軸心に沿って前記ドライバビットを移動可能に保持する駆動機構と、
前記先端部の形状を象りつつ前記軸心に沿って前記先端部を受け入れ可能な空隙を規定する雌型と、
前記雌型上に配置されて前記空隙に覆い被さる布シートとを備えることを特徴とするビット清掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビット清掃装置において、前記駆動機構は、前記軸心回りに前記ドライバビットを回転可能に保持することを特徴とするビット清掃装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のビット清掃装置において、前記雌型の表面に沿って所定の方向に前記布シートを搬送する搬送機構をさらに備えることを特徴とするビット清掃装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のビット清掃装置において、前記布シートに前記ドライバビットを洗浄する洗浄液を供給する供給機構をさらに備えることを特徴とするビット清掃装置。
【請求項5】
請求項4に記載のビット清掃装置において、
前記雌型の前記空隙内に所定量の洗浄液を供給する供給路と、
前記空隙内から洗浄液を排出する排出路とを備えることを特徴とするビット清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−158608(P2010−158608A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−965(P2009−965)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】