説明

ビニル化合物共重合体、接着剤および積層体

【課題】ポリオレフィン樹脂用の接着剤として用いた際に、接着時の熱処理温度を低温にした場合でも優れた接着性が得られるビニル化合物共重合体、該ビニル化合物共重合体を有効成分とする接着剤、および、該ビニル化合物共重合体とポリオレフィン樹脂とが積層されてなる積層体を提供すること。
【解決手段】一般式CH2=CH−R[置換基Rは、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。]で表されるビニル化合物に基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを有するビニル化合物共重合体であって、温度80℃、せん断速度0.5rad/secにおける溶融粘度(η*)が1.0×10〜6.0×104Pa・secであり、示差走査熱量計により200℃から−80℃まで10℃/分で降温しながら測定される示差走査熱量曲線での全発熱量に対する60℃以下の発熱量の割合が80%以上であるビニル化合物共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニル化合物共重合体、ビニル化合物共重合体を有効成分として含有する接着剤およびビニル化合物共重合体とポリオレフィン樹脂とが積層されてなる積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン樹脂からなる成形体は、接着剤により種々の材料と接着することにより使用されることがあり、ポリオレフィン樹脂用の接着剤としては、塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する接着剤樹脂組成物が数多く提案されている(特許文献1、2参照。)。昨今では、環境問題から、ノンハロゲンの接着剤が求められており、該接着剤に用いる接着性樹脂として、エチレンとビニルシクロヘキサンとの共重合体、プロピレンとビニルシクロヘキサンとの共重合体等のビニルシクロヘキサンを共重合したビニル化合物共重合体が提案され、該共重合体からなるシートとポリプロピレン樹脂シートからなる被着体とを積層し、180℃で熱処理することにより、該共重合体からなるシートと被着体とを接着する方法が知られている(特許文献3、4参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−25628号公報
【特許文献2】特開平10−259367号公報
【特許文献3】特開2003−82027号公報
【特許文献4】特開2003−82028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のビニル化合物共重合体では、接着時の熱処理温度を低温にした場合に、接着性において、必ずしも満足のいくものではかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、ポリオレフィン樹脂用の接着剤として用いた際に、接着時の熱処理温度を低温にした場合でも優れた接着性が得られるビニル化合物共重合体、該ビニル化合物共重合体を有効成分とする接着剤、および、該ビニル化合物共重合体とポリオレフィン樹脂とが積層されてなる積層体を提供することにある。
【発明の効果】
【0005】
本発明によりポリオレフィン樹脂用の接着剤として用いた際に、接着時の熱処理温度を低温にした場合でも優れた接着性が得られるビニル化合物共重合体、該ビニル化合物共重合体を有効成分とする接着剤、および、該ビニル化合物共重合体とポリオレフィン樹脂とが積層されてなる積層体を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一は、一般式CH2=CH−R[置換基Rは、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。]で表されるビニル化合物に基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを有するビニル化合物共重合体であって、温度80℃、せん断速度0.5rad/secにおける溶融粘度(η*)が1.0×10〜6.0×104Pa・secであり、示差走査熱量計により200℃から−80℃まで10℃/分で降温しながら測定される示差走査熱量曲線での全発熱量に対する60℃以下の発熱量の割合が80%以上であることを特徴とするビニル化合物共重合体にかかるものである。
【0007】
本発明の第二は、上記のビニル化合物共重合体を有効成分として含有する接着剤にかかるものである。
【0008】
本発明の第三は、上記のビニル化合物共重合体とポリオレフィン樹脂とが積層されてなる積層体にかかるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のビニル化合物共重合体は、一般式CH2=CH−R[置換基Rは、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。]で表されるビニル化合物(以下、ビニル化合物(X)とする。)に基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを有する共重合体である。
【0010】
ビニル化合物(X)は、一般式CH2=CH−R[置換基Rは、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。]で表されるビニル化合物である。置換基Rが脂環族炭化水素基であるビニル化合物(X)としては、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロオクタンなどの置換基Rがシクロアルキル基であるビニル化合物;5−ビニル−2−ノルボルネン、1−ビニルアダマンタン、4−ビニル−1−シクロヘキセン等があげられ、置換基Rが芳香族炭化水素基であるビニル化合物(X)としては、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、p−第2級ブチルスチレンなどのアルキルスチレン;2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン等のアルケニルベンゼン;1−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン等があげられる。ビニル化合物(X)として、好ましくは、置換基Rが脂環族炭化水素基であるビニル化合物であり、より好ましくは、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサンであり、更に好ましくは、ビニルシクロヘキサンである。
【0011】
α−オレフィンとしては、炭素原子数2〜20のα−オレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ヘキサデセン、4‐メチル−1‐ペンテン、4‐メチル−1−ヘキセンなどがあげられる。好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテンである。
【0012】
本発明のビニル化合物共重合体は、ビニル化合物(X)に基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とに加え、不飽和カルボン酸類等の他の単量体に基づく単量体単位を有していてもよい。
【0013】
不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸、メチルナジック酸、ハイミック酸、アンゲリカ酸、テトラヒドロフタル酸、ソルビン酸、メサコン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水ハイミック酸などの不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−i−ブチル、メタクリル酸−i−ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジメチルエステルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの不飽和カルボン酸イミド;塩化マレオイルなどの不飽和カルボン酸ハライド;アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウムなどの不飽和カルボン酸金属塩などがあげられる。
【0014】
ビニル化合物共重合体において、ビニル化合物(X)に基づく単量体単位の含有量は、好ましくは10〜18mol%であり、好ましくは12〜16mol%である。ただし、ビニル化合物共重合体中の単量体単位の総量を100mol%とする。また、単量体単位の含有量は、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルおよびカーボン核磁気共鳴(13C−NMR)スペクトルにより求められる。
【0015】
温度80℃、せん断速度0.5rad/secにおけるビニル化合物共重合体の溶融粘度(η*)は、1.0×10〜6.0×104Pa・secである。該溶融粘度が低すぎる、あるいは、高すぎると、接着性が低下することがある。好ましくは1.0×102Pa〜3.0×104Pa・secであり、より好ましくは1.0×103Pa〜2.0×104Pa・secである。
【0016】
ビニル化合物共重合体の極限粘度[η]は、接着性を高める観点から、好ましくは0.05〜1.0dl/gであり、より好ましくは0.3〜0.7dl/gであり、更に好ましくは0.35〜0.55dl/gである。
【0017】
本発明のビニル化合物共重合体は、示差走査熱量計により200℃から−80℃まで10℃/分で降温しながら測定される示差走査熱量曲線での全発熱量に対する60℃以下の発熱量の割合(S)が80%以上である重合体である。該割合(S)が低いと、接着性が低下することがある。
【0018】
ビニル化合物共重合体の密度としては、ビニル化合物共重合体と被着体との接着部の耐溶剤性を高める観点から、900kg/m3以上が好ましい。なお、該密度は、JIS K7112のA法により測定される。
【0019】
ビニル化合物共重合体のトルエン可溶部量は、接着性を高める観点から、ビニル化合物共重合体を100重量%として、好ましくは90重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上である。該トルエン可溶部量は、ビニル化合物共重合体5gを80℃のトルエン200gに溶解した際に、トルエンに溶解するビニル化合物共重合体の割合であり、ビニル化合物共重合体5gをトルエン200gに添加し、80℃にて2時間攪拌し、静置後、溶液を濾紙(No.5A)により濾過し、次に、濾液を温水浴上で乾固し、濾液に溶解している重合体成分の重量を測定することにより求められる。
【0020】
ビニル化合物共重合体のE−10液への可溶部量は、接着性を高める観点から、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。ここでE−10液とは、JIS K2202の2号に規定された自動車用ガソリン90体積%とエタノール10体積%との混合溶液であり、ビニル化合物共重合体5gをE−10液200gに添加し、室温にて2時間攪拌し、静置後、上澄み液をデカンテーションして、アセトン500g中に滴下し、生成した白色の沈殿物を濾別し、該白色沈殿物を減圧乾燥して重量を測定することにより求められる。
【0021】
ビニル化合物共重合体の製造方法としては、遷移金属錯体と助触媒成分(アルミニウム化合物、ホウ素化合物等)とを接触処理してなる重合触媒により、ビニル化合物(X)とα−オレフィンと任意に使用される他の単量体とを共重合する方法、ビニル化合物(X)とα−オレフィンとの共重合体に任意に使用される他の単量体をラジカル発生剤等によりグラフト重合させる方法、α−オレフィンと任意に使用される他の単量体との共重合体にビニル化合物(X)をラジカル発生剤等によりグラフト重合させる方法などをあげることができる。
【0022】
上記の遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属がジルコニウムである遷移金属錯体として、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロマイド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロマイド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、シクロペンタジエニルジメチルアミノジルコニウムジクロライド、シクロペンタジエニルフェノキシジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルアミノ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルアミノ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド等があげられる。
【0023】
また、遷移金属がチタンである遷移金属錯体として、メチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドジフェニルメチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド等があげられる。
【0024】
助触媒成分としては、アルミニウム化合物として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等の有機アルミニウム化合物をあげることができる。
【0025】
また、下記(A1)または(A2)の有機アルミニウムオキシ化合物をあげることができる。
(A1)一般式 {−Al(E1)−O−}aで表される環状のアルミノキサン
(A2)一般式 E2{−Al(E2)−O−}bAlE22で表される線状のアルミノキサン
(式中、aは2以上の整数を、bは1以上の整数を表す。E1およびE2は炭化水素基を表し、該炭化水素基はハロゲン原子で置換されていてもよく、複数のE1および複数のE2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
1およびE2として、好ましくは、炭素原子数1〜8の炭化水素基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、イソブチル基である。
【0026】
ホウ素化合物である助触媒成分としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、
【0027】
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4ートリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、
【0028】
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、
【0029】
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等をあげることができる。
【0030】
遷移金属錯体と助触媒成分(アルミニウム化合物、ホウ素化合物等)とを接触処理してなる重合触媒としては、本発明のビニル化合物共重合体を効率よく製造する観点から、水素分子の存在下で接触処理してなる重合触媒が好ましく、水素分子の存在下、ジエチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドとトリイソブチルアルミニウムとジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートとを接触処理してなる重合触媒がより好ましい。
【0031】
助触媒成分としてアルミニウム化合物を用いる場合、アルミニウム化合物の接触処理量としては、本発明のビニル化合物共重合体を効率よく製造する観点から、アルミニウム化合物のアルミニウム原子換算として、遷移金属錯体の遷移金属原子1モルあたり、好ましくは1000〜15000モルであり、より好ましくは5000〜15000モルである。
【0032】
遷移金属錯体と助触媒成分とを接触処理してなる重合触媒により、ビニル化合物(X)とα−オレフィンと任意に使用される他の単量体とを共重合する場合、重合でのα−オレフィンと水素とのモル比(α−オレフィン/水素)は、本発明のビニル化合物共重合体を効率よく製造する観点から、遷移金属がジルコニウムである遷移金属錯体を用いた重合触媒では、好ましくは1〜9であり、より好ましくは1〜4である。また、遷移金属がチタンである遷移金属錯体を用いた重合触媒では、好ましくは10〜200であり、より好ましくは10〜100である。
【0033】
ビニル化合物(X)とα−オレフィンと任意に使用される他の単量体とを共重合する方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法等を用いることができる。液相中で重合を行う場合は、重合溶媒として、ブタン、ヘキサン、ヘプタンなどの飽和炭化水素系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒があげられ、重合温度は、通常10〜120℃である。α−オレフィンとしてエチレンを用いる場合は、エチレンの圧力は、通常0.1〜5.0MPaである。また、気相中で重合を行う場合は、重合温度は、通常50〜100℃であり、α−オレフィンとしてエチレンを用いる場合は、エチレンの圧力は、通常0.1〜5.0MPaである。
【0034】
グラフト重合によりビニル化合物共重合体を製造する方法では、通常、重合触媒としてラジカル発生剤が用いられる。該ラジカル発生剤としては、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキサイソプロピル)ベンゼンメチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルアセトアセテートペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレイト、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、パラメンタンハイドロペルオキシド、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジハイドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トルノイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネイト、ジ−2−エチルへキシルペルオキシジカーボネイト、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネイト、ビス(4−tert−ブチルシクロへキシル)ペルオキシジカーボネイト、ジミリスチルペルオキシジカーボネイト、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネイト、ジメトキシイソプロピルペルオキシカーボネイト、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネイト、ジアリルペルオキシジカーボネイト、tert−ブチルペルオキシアセテイト、tert−ブチルペルオキシイソブチレイト、tert−ブチルペルオキシピバレイト、tert−ブチルペルオキシネオデカノエイト、クミルペルオキシネオデカノエイト、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエイト、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエイト、tert−ブチルペルオキシラウレイト、tert−ブチルペルオキシベンゾエイト、ジ−tert−ブチルペルオキシイソフタレイト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−3−ヘキシン、tert−ブチルペルオキシマレイン酸、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネイト、クミルペルオキシオクトエイト、tert−へキシルペルオキシネオデカネイト、tert−へキシルペルオキシピバレイト、tert−ブチルペルオキシネオヘキサノエイト、tert−へキシルペルオキシネオヘキサノエイト、クミルペルオキシネオヘキサノエイト、アセチルシクロへキシルスルフォニルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシアリルカーボネイトなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソプロピオニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどのアゾ化合物などがあげられる。
【0035】
グラフト重合の温度は、通常、200〜250℃であり、ラジカル発生剤の使用量は、グラフト重合の原料に用いる重合体1kgあたり、通常、0.1〜10gである。なお、グラフト重合の原料に用いる重合体は、例えば、上記の遷移金属錯体を用いた重合触媒により、ビニル化合物(X)とα−オレフィンとを共重合、α−オレフィンと任意に使用される他の単量体との共重合することにより準備される。
【0036】
本発明のビニル化合物共重合体は、接着剤の有効成分に、好適に用いられる。接着剤には、水、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノ−ル、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類等の溶剤を含有していてもよく、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、顔料、充填剤等を含有していてもよい。
【0037】
接着剤により接着を行う被着体としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ガラス、金属、木材、紙、などがあげられる。
【0038】
被着体として好ましくは、ポリオレフィン樹脂であり、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン共重合体、エチレン単独重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等をあげることができる。より好ましくはポリプロピレン樹脂であり、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等をあげることができる。
【0039】
ビニル化合物共重合体と被着体とが積層された積層体の製造方法としては、被着体とビニル化合物共重合体とを重ね合わせた後、熱処理する方法、ビニル化合物共重合体を溶剤に溶解させた後、被着体に塗布し溶剤を揮発させ、必要に応じ熱処理する方法、ビニル化合物共重合体を水中に分散させエマルジョンとし、該エマルジョンを被着体に塗布し、必要に応じ熱処理する方法、ビニル化合物共重合体を加熱し溶融させ、被着体に積層する方法、これらを組み合わせた方法等をあげることができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
【0041】
[重合体の物性]
【0042】
(1)重合体中のビニルシクロヘキサン(VCH)単位含有量
カーボン核磁気共鳴法によって、次の測定条件により、重合体のカーボン核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定し、下記算出式より重合体中のVCH単位含有量を算出した。
<測定条件>
装置:Bruker社製 DRX600
測定溶媒:オルトジクロロベンゼンとオルトジクロロベンゼン−d4の4:1(容積比
)混合液
リファレンス:トリメチルシラン
測定温度:135℃
測定方法:Power gate decoupling法 45°パルス 1000回
<算出式>
VCH単位含有量(mol%)=[A/〔(B/A)−2〕]×100
A:38〜50ppmのシグナルの積分値
B:20〜38ppmのシグナルの積分値
【0043】
(2)重合体中のマレイン酸(MAH)単位含有量
重合体1gをキシレン20mlに溶解し、メタノール300mlで再沈殿した。得られた再沈殿物を80℃、8時間真空乾燥した後、熱プレスにより厚さ100μmのフィルムに作成した。赤外線吸収スペクトル分析法により該フィルムの1780cm-1付近の吸収を測定し、重合体中のMAH単位含有量を求めた。
【0044】
(3)60℃以下の発熱量の割合(S、単位:%)
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製 DSC・Q100型)により、重合体約10mgを用いて、次の測定条件で降温工程における示差走査熱量測定曲線を測定し、該曲線の全発熱量に対する60℃以下の発熱量の割合を求めた。全発熱量は、該曲線の高温側のベースラインを低温側に延長した直線と該曲線とで囲まれた部分の面積で示されるものとした。
<測定条件>
(1)昇温:室温から200℃まで10℃/分で昇温後、200℃で5分間保持する。
(2)降温:(1)の操作後、直ちに200℃から−80℃まで10℃/分で降温する。
【0045】
(4)溶融複素粘度(η*、単位:Pa・sec)
温度80℃、せん断速度0.5rad/secにおける溶融粘度(η*)は、下記の条件で測定した。
装置:Reometrics社製Reometrics Mechanical Spectrometer ARES
ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm
プレート間隔:2mm
ストレイン:3%
剪断速度:0.5rad/sec
温度:80℃
【0046】
(5)トルエン可溶部量(単位:wt%)
重合体ペレット5gをトルエン200gに添加し、80℃にて2時間攪拌した。静置後、溶液を濾紙(No.5A)により濾過し、次に、濾液を温水浴上で乾固し、濾液に溶解している重合体成分の重量測定して、重合体5g中の重量割合を算出した。
【0047】
(6)E−10液可溶部量(単位:wt%)
レギュラーガソリン(コスモ石油社製)90体積%とエタノール(純正化学社製試薬特級)10体積%とを混合し、E−10液を調製した。E−10液200gに粉末状の重合体5gを添加し、室温にて2時間攪拌した。静置後、上澄み液をデカンテーションして、アセトン500g中に滴下し、生成した白色の沈殿物を濾別した。該白色沈殿物を減圧乾燥して重量を測定し、重合体5g中の重量割合を算出した。
【0048】
(7)極限粘度([η]:単位dl/g)
極限粘度[η]は、ウベローデ型粘度計を用い、テトラリンを溶媒として135℃で測定した。
【0049】
(8)密度(単位:kg/m3
JIS K7112のA法に従って測定した。重合体をシート状にプレス成形し、23℃、50%湿度下で10時間以上状態調整したものを試験片として用いた。
【0050】
(7)剥離強度(単位:N/cm)
<被着体および重合体シートの準備>
ポリプロピレン(住友化学社製、ノーブレンAY564)をTダイ成形機(東洋精機(株)社製 Tダイス付ラボプラストミルφ20mm押出機)により、厚み100μmのシートに成形し、該シートの片面にアルミ箔をラミネートして、上部被着体とした。
ポリプロピレン(住友化学社製、ノーブレンAY564)を射出成形機(東芝社製5.5オンス射出成形機IS100E)により、厚み2mmのシートに成形し、下部被着体とした。
実施例で得られた重合体を熱プレス成形機により、温度120℃、圧力5MPaの条件で、厚み約20μmの重合体シートに成形した。
【0051】
<接着試験>
下部被着体の上に重合体シートを積層し、更に、上部被着体をポリプロピレン面が重合体シート側になるように積層し、室温にてゴムロールで密着させた。積層に際しては、後述する試験片が切り出せるように、下部被着体と上部被着体との間に重合体シートが配置されていない部分を設けた。次に、80℃、無加圧で70分間静置し、更に、温度23℃、湿度50%にて24時間静置した。得られた積層体から、幅10mm、長さ100mm(下部被着体と重合体シートと上部被着体とが積層されている部分の長さ50mm)の試験片を切り出し、温度23℃、湿度50%にて、下部被着体と上部被着体とをそれぞれつかみ、剥離速度50mm/秒、剥離角度180°でピール剥離試験を実施し、剥離強度を測定した。
【0052】
実施例1
乾燥窒素で置換した1m2のSUS製リアクター中にビニルシクロへキサン43kgとトルエン287kgを投入した。密閉状態にて50℃に昇温した。その後、水素を0.06MPa導入した。水素の添加が終了した後、エチレンを0.4MPa仕込んだ。その後、メチルアルモキサンのトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製MMAO、Al原子換算濃度 6wt%]4.8kgを仕込み、つづいてイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド 0.4gを脱水トルエン 0.8Lに溶解したものを投入して重合を開始した。エチレン圧力が0.4MPaに保持されるようにエチレンを供給し、反応液を2時間撹拌して重合を行った。その後、反応液中にブタノールを2.8L添加し、続いて、20wt%塩酸水溶液を2L添加し、十分に攪拌した後、しばらく静置し、水層と有機層の分離を行った。有機層を回収し、メタノール3600L中に投じ、白色固体を濾取した。該白色固体をメタノールで洗浄し、減圧乾燥して、重合体20kgを得た。該重合体の評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例2
乾燥窒素で置換した1m2のSUS製リアクター中にビニルシクロへキサン38.6kgとトルエン364kgを投入した。密閉状態にて50℃に昇温した。その後、水素を0.015MPa導入した。水素の添加が終了した後、エチレンを0.60MPa仕込んだ。その後、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製TIBA濃度 20wt%]1.0kgを仕込み、つづいてジエチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド 0.1gを脱水トルエン 8.7kgに溶解したものと、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 3gを脱水トルエン 12.2kgに溶解したものを投入して重合を開始した。エチレン圧力が0.5MPaに保持されるようにエチレンを供給し、反応液を2時間撹拌して重合を行った。その後、反応液中にエタノールを0.9kg添加し、続いて、反応液と等量の2wt%塩酸水溶液を添加し、水層と有機層の分離を行った。有機層を回収し、大量のアセトン中に投じ、白色固体を濾取した。該固体をアセトンで洗浄し、減圧乾燥して、重合体30kgを得た。該重合体の評価結果を表1に示す。
【0054】
実施例3
乾燥窒素で置換した1m2のSUS製リアクター中にビニルシクロへキサン59.5kgとトルエン255kgを投入した。密閉状態にて50℃に昇温した。その後、水素を0.044MPa導入した。水素の添加が終了した後、エチレンを0.40MPa仕込んだ。その後、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製TIBA濃度 20wt%]0.8kgを仕込み、つづいてイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド 0.04gを脱水トルエン 8.7kgに溶解したものと、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 2.4gを脱水トルエン 12.2kgに溶解したものを投入して重合を開始した。エチレン圧力が0.5MPaに保持されるようにエチレンを供給し、反応液を2時間撹拌して重合を行った。その後、反応液中にエタノールを0.8kg添加し、続いて、反応液と等量の2wt%塩酸水溶液を添加し、水層と有機層の分離を行った。有機層を回収し、大量のアセトン中に投じ、白色固体を濾取した。該白色固体をアセトンで洗浄し、減圧乾燥して、重合体35kgを得た。該重合体の評価結果を表1に示す。
【0055】
実施例4
実施例2で得られた重合体103重量部に、無水マレイン酸0.4重量部と、1,3−ビス(t−ブチルパーオキサイソプロピル)ベンゼン0.04重量部とを添加して、十分に予備混合し、次に、予備混合物を二軸押出機にて溶融混練した。二軸押出機の設定温度は250℃とした。溶融混練して得られた重合体の評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例5
実施例3で得られた重合体103重量部に、無水マレイン酸0.4重量部と、1,3−ビス(t−ブチルパーオキサイソプロピル)ベンゼン0.04重量部とを添加して、十分に予備混合し、次に、予備混合物を二軸押出機にて溶融混練した。二軸押出機の設定温度は250℃とした。溶融混練して得られた重合体の評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
比較例1
SUS製リアクター中に水素を導入しない以外は、実施例1と同様にして重合体20kgを得た。該重合体の評価結果を表2に示す。
【0059】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式CH2=CH−R[置換基Rは、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。]で表されるビニル化合物に基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを有するビニル化合物共重合体であって、温度80℃、せん断速度0.5rad/secにおける溶融粘度(η*)が1.0×10〜6.0×104Pa・secであり、示差走査熱量計により200℃から−80℃まで10℃/分で降温しながら測定される示差走査熱量曲線での全発熱量に対する60℃以下の発熱量の割合が80%以上であることを特徴とするビニル化合物共重合体。
【請求項2】
トルエン可溶部量が90重量%以上であり、E−10液可溶部量が70重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のビニル化合物共重合体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のビニル化合物共重合体を有効成分として含有する接着剤。
【請求項4】
請求項1または2に記載のビニル化合物共重合体とポリオレフィン樹脂とが積層されてなる積層体。

【公開番号】特開2008−138024(P2008−138024A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323220(P2006−323220)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】