説明

ビレット構造

【課題】デザイン性を高めることができるビレット構造を提供する。
【解決手段】フロントグリル2のビレット1を、ビレット本体12と照明レンズ13で構成し、ビレット本体12を、上面部21と後面部22と下面部23とで断面コ字状に形成する。上面部21に上凸部31を形成し、下面部23に下凸部32を形成する。各凸部31,32と後面部22間の保持部43にフレキシブル基板42を保持し、照明レンズ13は、フレキシブル基板42に設けられた灯体51からの光61を透過する。照明レンズ13の上壁面62の端縁を上凸部31に接合し、下壁面63の端縁を下凸部32に接合してシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントグリル等の横桟を形成するビレット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の前部には、フロントグリルが設けられており、ラジエータへの通風性が確保されている。
【0003】
このフロントグリルは、開口部と、該開口部に横設された複数のビレットによって構成されている。
【0004】
図2は、ビレット801を示す図であり、該ビレット801は、アルミの押し出し成型によって板状に形成されている。このビレット801の前縁側は、下方へ向けて折曲されており、当該ビレット801は、その前縁部802が下方へ向けて延出した断面への字状に形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のビレット構造にあっては、デザインが金属色に限られてしまい、新たなデザインの要求が高まっている。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、デザイン性を高めることができるビレット構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のビレット構造にあっては、グリルの開口部に横設されるビレット本体を備えたビレット構造において、前記ビレット本体を、上面を構成する上面部と、該上面部の後縁部より下方へ延出した後面部と、該後面部の下端部より前方へ向けて延出した下面部とによって前方開口部を備えた形状に形成するとともに、前記上面部と前記下面部との各対向部位に凸部を設け、各凸部と前記後面部との間に、当該ビレット本体の側部より挿入された基板を保持する保持部を形成する一方、前記基板に設けられた灯体からの光を透過する透明性を有した透光部を前記前方開口部より前記ビレット本体に内嵌し、この内嵌状態で前記上面部に沿って延在する当該透光部の上壁面の端縁及び前記下面部に沿って延在する当該透光部の下壁面の端縁を前記凸部に接合した。
【0008】
すなわち、グリルの開口部に横設されるビレット本体は、前方開口形状に形成されており、その上面部及び下面部に設けられた凸部と前記後面部との間に形成された保持部には、基板が保持されている。
【0009】
そして、前記ビレット本体の前記前方開口部には、透明性を有した透光部が内嵌されており、前記ビレット本体内の前記基板に設けられた灯体からの光は、この透光部を透過する。
【0010】
このため、前記灯体からの光が前記ビレット本体に内嵌された前記透光部を透過することによって、前記ビレット本体と前記透光部とからなるビレットの前面を光らせることができる。
【0011】
そして、前記透光部を前記ビレット本体に内嵌した状態において、前記透光部の上壁面の端縁及び下壁面の端縁を前記凸部に接合することによって、前記透光部と前記ビレット本体との接合部分がシールされる。
【0012】
また、請求項2のビレット構造においては、前記透光部の前記上壁面と前記下壁面とを前縁側で連設する前壁面を、上方から下方へ向かうに従って前方側に傾斜する傾斜面で構成した。
【0013】
すなわち、前記ビレットの前面を構成する前記透光部の前記前壁面は、上方から下方へ向かうに従って前方側に傾斜する傾斜面で構成されており、当該前壁面が構成する発光面は、斜め上方を向くこととなる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明の請求項1のビレット構造にあっては、前記ビレット本体内に配設された前記灯体からの光が、ビレット本体の前方開口部に嵌着された前記透光部を透過することによって、前記ビレット本体と前記透光部とからなるビレット前面を光らせることができる。
【0015】
このため、自発光する新たなデザインのビレットを提供することができ、バリエーションを増やすことができるとともに、デザイン性のさらなる向上を図ることができる。
【0016】
したがって、当該ビレットが横設されるグリルを自発光することができ、グリルに変化を持たせることができる。
【0017】
そして、前記透光部を前記ビレット本体に内嵌した状態において、前記透光部の上壁面の端縁及び下壁面の端縁を前記凸部に接合することによって、前記透光部と前記ビレット本体との接合部分をシールすることができる。
【0018】
これにより、前記透光部と前記ビレット本体とで形成された内部空間の防水性を確保することができ、内部空間への水分浸入による内部の曇りや、基板や灯体等の内蔵部品の腐食を防止することができる。
【0019】
また、請求項2のビレット構造においては、前記ビレットの前面を構成する前記前壁面を、上方から下方へ向かうに従って前方側に傾斜する傾斜面で構成することによって、当該前壁面が構成する発光面を、斜め上方へ向けることができる。
【0020】
このとき、当該ビレットが横設されるグリルは、下部側に配置され、上方から見下ろされる場合が多い。このため、使用状態で目に付く前記前壁面を発光することができ、垂直面が発光する場合と比較して、発光量を増大すること無く、発光状態を強調することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるビレット構造を備えたビレット1を示す図であり、当該ビレット1を、車両のフロントグリル2に採用した例が示されている。
【0022】
すなわち、車両のフロントバンパー上側であってラジエータの前部には、エンジンルームに連通する開口部11が設けられており、該開口部11には、車幅方向に延在する複数の前記ビレット1が上下に間隔をおいて横設されている。該ビレット1は、アルミ押し出し成型品からなるビレット本体12と、該ビレット本体12に設けられた透光部としての照明レンズ13とを備えている。
【0023】
前記ビレット本体12は、上面を構成する上面部21と、該上面部21の後縁部より下方へ延出した後面部22と、該後面部22の下端部より車両前方Fへ向けて延出した下面部23とによって断面コ字状に形成されており、車両前方F側に開口した前方開口部24が形成されている。前記上面部21の後縁部は、前記後面部22より車両後方R側へ延出しており、この延出部分は、前記開口部11内に起立された支柱25の切欠部26に挿入された状態で支持される支持片27を構成している。これにより、該支持片27が前記支柱25の前記切欠部26に支持された状態で前記後面部22が前記支柱25に当接するように構成されており、この状態で前記後面部22がほぼ垂直に起立するように構成されている。
【0024】
前記下面部23の車両前後方向の幅寸法は、前記上面部21より幅狭に設定されており、当該下面部23の前縁は、前記上面部21の前縁より車両後方Rへ後退した位置に配置されている。前記上面部21の前記後面部22寄りの部位には、前記下面部23側へ向けて突出した上凸部31が長さ方向全域に一体形成されており、この上凸部31に対向した前記下面部23の部位には、前記上面部21側へ向けて突出した下凸部32が長さ方向全域に一体形成されている。
【0025】
前記各凸部31,32と前記後面部22との間には、間隙が形成されており、この間隙によって、当該ビレット本体12の側方開口部41(図1の(b)参照)から挿入されたフレキシブル基板42を保持する保持部43が形成されている。これにより、当該ビレット本体12の長さ方向に延在する長尺状の前記フレキシブル基板42を前記保持部43に保持した状態で、当該フレキシブル基板42の上縁部が前記上凸部31と前記後面部22との間に挟持されるとともに、前記フレキシブル基板42の下縁部が前記下凸部32と前記後面部22との間に挟持されるように構成されている。
【0026】
このフレキシブル基板42には、複数の灯体51が長さ方向に等間隔をおいて設けられており(一つの灯体51のみ図示)、各灯体51は、前記フレキシブル基板42のプリント回路に半田付けされた電球や発光ダイオードで構成されている。前記プリント回路には、図1の(b)に示したように、前記各灯体51に電力を供給する為のハーネス52が接続されており、該ハーネス52の先端には、電源に接続する為のコネクタ53が設けられている。このハーネス52は、前記ビレット本体12の前記側方開口部41より延出するように構成されており、このハーネス52が延出した前記側方開口部41及び他方の側方開口部は、コーキング剤54によって閉鎖されシールされている。
【0027】
前記照明レンズ13は、無色透明の樹脂によって形成されており、前記フレキシブル基板42に設けられた前記灯体51からの光61を透過できるように構成されている。この照明レンズ13は、前記前方開口部24より前記ビレット本体12に内嵌した状態で取り付けられており、この内嵌状態において、前記ビレット本体12の前記上面部21に沿って延在する上壁面62と、前記ビレット本体12の前記下面部23に沿って延在する下壁面63と、前記上壁面62及び前記下壁面63を前縁側で連設する前壁面64とによって車両後方R側へ開口した断面コ字状に形成されている。
【0028】
前記上壁面62の端縁は、前記ビレット本体12の前記上凸部31の側面に達するように構成されており、当該上壁面62の端面は、接着剤によって前記上凸部31の側面に接着固定されている。また、前記下壁面63の端縁は、前記ビレット本体12の前記下凸部32の側面に達するように構成されており、当該下壁面63の端面も、接着剤によって前記下凸部32の側面に接着固定されている。これにより、前記照明レンズ13の前記各壁面62,63が接合される前記各凸部31,32の側面は、シール面71,71を構成しており、前記照明レンズ13と前記ビレット本体12で包囲された内部空間72は密閉され水密性が保たれている。
【0029】
この照明レンズ13における前記上壁面62の車両前後方向の幅寸法は、前記下壁面63の幅寸法より幅狭に形成されており、当該照明レンズ13の前記前壁面64は、前記ビレット本体12の前記後面部22に対して傾斜するとともに、上方から下方へ向かうに従って車両前方F側に傾斜した傾斜面を形成するように構成されている。
【0030】
また、前記ビレット本体12の前記下面部23の車両前後方向の幅寸法は、前記上面部21より狭く設定されていることから、前記照明レンズ13の前記下壁面63は、その前縁側が露出している。これにより、当該ビレット1には、前記灯体51からの光61を下方へ透過して、下部に配置されたビレット1を照明する下窓部81が形成されている。
【0031】
以上の構成にかかる本実施の形態において、フロントグリル2の開口部11に横設された前記ビレット本体12は、前方開口形状に形成されており、その上面部21及び下面部23に設けられた上凸部31及び下凸部32と前記後面部22との間に形成された保持部43には、前記フレキシブル基板42が保持されている。
【0032】
そして、前記ビレット本体12の前記前方開口部24には、透明性を有した透光部としての照明レンズ13が内嵌されており、前記ビレット本体12内の前記フレキシブル基板42に設けられた灯体51からの光61は、この照明レンズ13を透過する。
【0033】
このため、前記灯体51からの光61が前記ビレット本体12に内嵌した前記照明レンズ13を透過することによって、前記ビレット本体12と前記照明レンズ13とからなるビレット1の前面を光らせることができる。これにより、自発光する新たなデザインのビレット1を提供することができ、バリエーションを増やすことができるとともに、デザイン性のさらなる向上を図ることができる。
【0034】
したがって、当該ビレット1が横設される前記フロントグリル2を自発光することができ、当該フロントグリル2に変化を持たせることができる。
【0035】
そして、前記照明レンズ13を前記ビレット本体12に内嵌した状態において、前記照明レンズ13の上壁面62の端縁及び下壁面63の端縁を、対応する各凸部31,32側面のシール面71,71に接合することによって、前記照明レンズ13と前記ビレット本体12との接合部分をシールすることができる。
【0036】
これにより、前記照明レンズ13と前記ビレット本体12とで形成された内部空間72の防水性を確保することができ、当該内部空間72への水分浸入による前記照明レンズ13内面の曇りや、前記フレキシブル基板42や灯体51等の内蔵部品の腐食を防止することができる。
【0037】
また、前記ビレット1の前面を構成する前記照明レンズ13の前記前壁面64は、上方から下方へ向かうに従って車両前方側に傾斜する傾斜面で構成されており、当該前壁面64が構成する発光面を、斜め上方へ向けることができる。
【0038】
このとき、当該ビレット1が横設される前記フロントグリル2は、目線より下側に配置されており、上方から見下ろされる。このため、使用状態で目に付く前記前壁面64を発光することができ、垂直面が発光する場合と比較して、発光量を増大すること無く、発光状態を強調することができる。
【0039】
なお、本実施の形態にあっては、前記ビレット1をフロントグリル2に採用した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えばバンパに設けられたバンパグリルなど、他の箇所に採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、(a)は要部の断面図であり、(b)は端部の斜視図である。
【図2】従来のビレットを示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ビレット
2 フロントグリル
11 開口部
12 ビレット本体
13 照明レンズ
21 上面部
22 後面部
23 下面部
24 前方開口部
31 上凸部
32 下凸部
41 側方開口部
42 フレキシブル基板
43 保持部
51 灯体
61 光
62 上壁面
63 下壁面
64 前壁面
71 シール面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリルの開口部に横設されるビレット本体を備えたビレット構造において、
前記ビレット本体を、上面を構成する上面部と、該上面部の後縁部より下方へ延出した後面部と、該後面部の下端部より前方へ向けて延出した下面部とによって前方開口部を備えた形状に形成するとともに、前記上面部と前記下面部との各対向部位に凸部を設け、各凸部と前記後面部との間に、当該ビレット本体の側部より挿入された基板を保持する保持部を形成する一方、
前記基板に設けられた灯体からの光を透過する透明性を有した透光部を前記前方開口部より前記ビレット本体に内嵌し、この内嵌状態で前記上面部に沿って延在する当該透光部の上壁面の端縁及び前記下面部に沿って延在する当該透光部の下壁面の端縁を前記凸部に接合したことを特徴とするビレット構造。
【請求項2】
前記透光部の前記上壁面と前記下壁面とを前縁側で連設する前壁面を、上方から下方へ向かうに従って前方側に傾斜する傾斜面で構成したことを特徴とする請求項1記載のビレット構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−179225(P2008−179225A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13715(P2007−13715)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000128544)株式会社オーテックジャパン (183)
【Fターム(参考)】