説明

ビードコア被覆装置及びビードコア被覆方法

【課題】ビードコアの断面形状に依存することなくビードコアの外周面にシート部材を確実に密着させて被覆することを可能にするビードコア被覆装置及びビードコア被覆方法を提供する。
【解決手段】環状に成形されたビードコアを円周方向に沿って一方向に回転させる回転ローラと、回転するビードコアに対して当該ビードコアの表面を被覆する帯状のシート部材を供給する供給部と、ビードコアの回転方向に沿って回転し、供給部から供給されたシート部材を幅方向から包囲し、ビードコアの断面形状に沿って型付けしつつシート部材の一部をビードコアに被着する型付けローラと、型付けローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、ビードコアの表面に被着したシート部材と接触し、当該接触した位置から当該シート部材の端部方向に回転する圧着ローラとを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状に成形されたビードコアをゴム等の素材からなるシート部材で被覆するビードコア被覆装置及びビードコア被覆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤを構成する部材の一つであるビードコアは、無端状に形成された複数本のワイヤやゴム材料で被覆されたワイヤを束ねて環状構造としたものが知られている。ビードコアの外周面は、束ねられたワイヤの配列乱れを防止し、ワイヤ相互の密着性をより強固なものとするためにシート部材で被覆される。ビードコアをシート部材で被覆する作業は、ビードラッピング装置により自動的に行われる。
ビードラッピング装置は、ビードコアを被覆するシート部材を供給する供給部と、シート部材をビードコアに被着させる本体部とにより構成される。供給部には、あらかじめ所定幅で長尺な薄肉帯状に成形されたシート部材を積層するように巻付けたボビンが配置され、ボビンから引き出されたシート部材が複数のガイドローラを経て本体部に供給される。
本体部には、ビードコアが起立した状態となるように、互いに所定距離離間して配置された一対の支持ローラにより支持され、ビードコアの上方が起立状態を維持するようにガイド部材にガイドされる。支持ローラ間のビードコアの内径側には、ビードコアの内周面と当接して、ビードコアを回転駆動させる被着ローラが配置される。被着ローラは、両端にフランジ部を有するプーリ状のローラであって、フランジ部間によってビードコアを挟み込むための溝部が形成される。フランジ部の外周面には、シート部材が溝部を閉塞するように当該シート部材の粘着力により貼着させて供給される。そして、被着ローラの溝部にビードコアを配置することにより、フランジ部がシート部材を折り曲げてビードコアの内径側に被着するように供給される。さらに、支持ローラ間のビードコアの回転経路上には、シート部材をビードコアに巻き付ける一対の巻付けローラと仕上げローラとが配置される。巻付けローラと仕上げローラとはビードコアの回転により従動的に回転するローラである。巻付けローラは、回転方向に位置ずれして設けられ、ビードコアを挟むように外周面側の左右に分かれて配置され、ビードコアの回転に伴なって回転しながらシート部材と接触することで、シート部材をビードコアに巻付けている。巻付けローラの下流側には仕上げローラが設けられ、巻付けローラによってビードコアに巻付けられたシート部材同士を圧着することにより、ビードコアの外周面全体をシート部材で被覆するようにしている。
しかしながら、シート部材をビードコアに被着させる巻付けローラや仕上げローラがビードコアの回転により回転する従動ローラであるため、ビードコアへのシート部材の密着不足やクセ付け不足が生じる虞がある。また、特許文献1では、ビードコアの断面形状が六角形状の場合を示しているが、断面形状が六角形以外の、例えば四角形状のようにシート部材の巻付け角度が六角形状よりも大きい場合には、さらに密着不足やクセ付け不足が生じやすくなってしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−54288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題を解決するため、ビードコアの断面形状に依存することなく、ビードコアの外周面にシート部材を確実に密着させて被覆することを可能にするビードコア被覆装置及びビードコア被覆方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する構成として、環状に成形されたビードコアを円周方向に沿って一方向に回転させる回転ローラと、回転するビードコアに対して当該ビードコアの表面を被覆する帯状のシート部材を供給する供給部と、ビードコアの回転方向に沿って回転し、供給部から供給されたシート部材を幅方向から包囲し、ビードコアの断面形状に沿って型付けしつつシート部材の一部をビードコアに被着する型付けローラと、型付けローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、ビードコアの表面に被着したシート部材と接触し、当該接触した位置から当該シート部材の端部方向に回転する圧着ローラとを備える構成とした。
本構成によれば、圧着ローラが、型付けローラにより型付けされたシート部材に接触しながらシート部材の端部方向に回転することにより、圧着ローラの回転力がシート部材を端部方向に引張るとともにシート部材をビードコアの表面に擦りつけるのでシート部材の一部をビードコアの表面に密着させることができる。
他の構成として、圧着ローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、ビードコアの回転方向に沿って回転しながらビードコアの表面に被着されたシート部材と接触するとともに当該シート部材の端部をビードコアの表面に巻き付ける巻付けローラを備える構成とした。
本構成によれば、巻付けローラが、ビードコアに被着していないシート部材の端部側をビードコアに巻きつけるので、ビードコアにシート部材を被着させることができる。
また、他の構成として、巻付けローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、ビードコアの回転方向に沿って回転しながらビードコアの表面に被着したシート部材の端部と接触してシート部材の端部をビードコアに押圧する仕上げローラを備える構成とした。
本構成によれば、仕上げローラが、ビードコアに被着されたシート部材の端部を押圧するので、シート部材の端部をビードコアに密着させることができる。また、シート部材の端部同士が重なるときには、シート部材の重ね合わせ部分を密着させることができる。
また、他の構成として、ビードコアの断面形状が四角である構成とした。
本構成によれば、ビードコアの断面形状が四角であっても圧着ローラがシート部材を引張るように擦ることでシート部材をビードコアに密着するように被着することができる。
また、前記課題を解決する方法として、回転するビードコアに供給された帯状のシート部材をビードコアの回転方向に沿って回転しながら幅方向から包囲してビードコアの断面形状に沿って型付けする型付けローラによりシート部材の一部をビードコアに被着する型付け工程と、型付けローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、型付け工程によりビードコアの表面に被着したシート部材と接触し、当該接触した位置から当該シート部材の端部方向に回転する圧着ローラによりシート部材をビードコアに圧着する圧着工程とを含む形態とした。
本方法によれば、型付け工程によって型付けされてビードコアに被着したシート部材を圧着工程によって圧着ローラが接触しながらシート部材の端部方向に回転することにより、圧着ローラの回転力がシート部材を端部方向に引張るのでシート部材の一部をビードコアの表面に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ビードコア被覆装置の概略構成図。
【図2】シート部材の被着工程を内径側から見た工程図。
【図3】各工程における矢視断面図。
【図4】圧着ローラの他の形態の配置図。
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組合せのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、ビードコア2にシート部材3を被覆するビードコア被覆装置1の概略構成図を示す。
図2は、シート部材3の被着工程を内径側から見た図を示し、図3(a)乃至(f)は、図2における各矢視を断面視した図を示す。以下、図1を用いてビードコア被覆装置1について説明する。なお、説明において適宜図2及び図3を参照する。
ビードコア被覆装置1は、ビードコア2を被覆するシート部材3を供給する供給部5と、ビードコア2にシート部材3を被覆する被覆部6とにより構成される。
供給部5は、あらかじめ所定幅で長尺な薄肉帯状に成形されたシート部材3を積層するように巻付けたボビン7が配置される。ボビン7から引き出されたシート部材3が複数のガイドローラ11A〜11Cを経て被覆部6に供給される。ガイドローラ11Cは、後述の回転ローラ21と型付けローラ26との間に設けられ、ビードコア2が被覆部6に配設されたときに、ビードコア2の表面である内周面2bにシート部材3を当接するように付勢する図外の付勢手段を備える。シート部材3は、ビードコア2の延長方向に沿って、シート部材3の軸線が沿うように内周面2bに供給される。シート部材3は、例えば、ゴム素材等の可撓性を有する素材からなる。
【0009】
被覆部6は、垂直に立設される装置本体20の一側面側において、ビードコア2を支持し、ビードコア2を回転させる一対の回転ローラ21;22と、ビードコア2の回転をガイドするガイド部材23と、ビードコア2にシート部材3を被着させるための複数のローラとにより構成される。本例で示すビードコア2は、断面四角形状のものとして説明するが、本発明のビードコア被覆装置1により被覆可能なビードコア2の断面形状は四角形状に限定されるものではない。
【0010】
回転ローラ21;22は、円筒状のローラであって、装置本体20の一側面20aから突出するように設けられる。回転ローラ21;22は、互いの距離を調整可能に設けられ、ビードコア2の外周面2aの下側と当接してビードコア2を下側から支持するように水平方向に所定距離離間して配置される。回転ローラ21;22は、図外の動力伝達機構を介してモータ24と接続され、回転ローラ21;22に掛け渡されたベルト25をモータ24が駆動することによって同期して回転する駆動ローラである。
ガイド部材23は、ビードコア2が回転ローラ21;22により下側が支持された状態において、起立した状態を保つようにビードコア2の円周方向に沿って複数箇所設けられる。つまり、ビードコア2は、モータ24がベルト25を介して回転ローラ21;22を駆動することで起立した状態で回転する。
【0011】
回転ローラ21;22の間には、ビードコア2にシート部材3を被着するための、型付けローラ26と、圧着ローラ27;28と、巻付けローラ29;30と、仕上げローラ31とが設けられる。具体的には、回転ローラ21;22の間において、ビードコア2の回転方向の上流側から、型付けローラ26、圧着ローラ27;28、巻付けローラ29;30、仕上げローラ31の順に設けられる。
図2;図3(b)に示すように、型付けローラ26は、両端にフランジ部32A;32Bを有するボビン状に形成され、装置本体20に軸支され、一側面20aから突出する回転軸の先端に取着される。型付けローラ26の軸心は、回転ローラ21;22の軸心と平行に設けられる。フランジ部32A;32Bの間隔は、ビードコア2の幅にシート部材3の厚さを加えた幅よりも広く設定される。なお、本例では型付けローラ26は、ビードコア2の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0012】
図2:図3(c)に示すように、圧着ローラ27;28は、型付けローラ26の下流側に位置し、互いに対向してビードコア2を挟むようにビードコア2の左右に設けられる。なお、左右とは、ビードコア2の装置本体20側を左側とし、その逆側を右側とする。圧着ローラ27;28は、円錐形状のローラであって、テーパー面をなす外周面27a;28aがビードコア2の側面2c;2dとそれぞれ接触するように配置される。圧着ローラ27;28の外周面27a;28aは、当該圧着ローラ27;28を側方視したときに、例えば直線状に形成される。具体的には、圧着ローラ27;28の小径部側をビードコア2の回転方向下流側に向けて、圧着ローラ27の外周面27aがビードコア2の側面2cと接触し、圧着ローラ28の外周面28aがビードコア2の側面2dと接触する。
ビードコア2の側面2c;2dにおいて圧着ローラ27;28が接触する位置は、ビードコア2に接触する圧着ローラ27;28を側方視したときに、ビードコア2の断面中心を通る接線と圧着ローラ27;28の軸線とが重なる位置に設定される。即ち、圧着ローラ27;28の軸線は、圧着ローラ27;28がビードコア2に接触する位置におけるビードコア2の接線と同一平面上に位置するように設けられ、軸線と平行な外周面27a;28aの母線が側面2c;2dと接触する。圧着ローラ27;28には、ビードコア2の回転とは独立して回転するように、例えば歯車機構等の図外の伝達機構を介してモータ34;35の駆動力が伝達される。圧着ローラ27;28の回転方向は、接触した位置からシート部材3の端部方向に回転するように設定される。換言すれば、圧着ローラ27;28は、ビードコア2に被着したシート部材3をより密着させるように、ビードコア2の内径側から外径側に向けて回転する(図3(c)参照)。
【0013】
上記のように圧着ローラ27;28を円錐形状に構成して、ビードコア2の内径側から外径側に向けて回転させることによりビードコア2に型付けされたシート部材3は、圧着ローラ27;28の外周面27a;28aにおける小径部から大径部までの間の回転周速差によって、シート部材3をビードコア2の半径方向外側に異なる力で引張りながらビードコア2の側面2c;2dに擦りつけることで圧着させることができる。本例では、圧着ローラ27;28の回転周速の速い大径部により最初に大きな力でシート部材3を引張りながら回転周速の遅い小径部側によってシート部材3をビードコア2の側面2c;2dに擦りつけている。つまり、一組の圧着ローラ27;28によって、シート部材3の引張りと圧着とを同時に行うことができる。
なお、圧着ローラ27;28は、小径部側がビードコア2の回転方向上流側を向くように設けても良い。このように圧着ローラ27;28を設けることにより、ビードコア2とともにシート部材3が圧着ローラ27;28の回転周速の遅い小径部側から回転周速の速い大径部側に移動することによって、シート部材3は、徐々に大きくなる力で引張られるとともに側面2c;2dに擦り付けられるので、シート部材3をビードコア2に、より密着させることができる。
【0014】
なお、圧着ローラ27;28を円筒形状のローラにより構成し、ビードコア2に型付けされたシート部材3を側面2c;2dに擦りつけるようにしても良いが、上記のように、円錐形状ローラとすることが好ましい。具体的には、圧着ローラ27;28を円筒形状に構成し、圧着ローラの軸線がビードコア2の回転中心を向くように配置した場合、シート部材3をビードコア2の側面2c;2dに擦りつけて圧着することができるが、シート部材3をビードコア2の半径方向外側に引張ることができない。また、圧着ローラの軸線がビードコア2の接線と平行となるように配置した場合、シート部材3をビードコア2の半径方向外側に引張りながら側面2c;2dに擦りつけることが可能となるが、ビードコア2の回転方向上流側の圧着ローラ端部がシート部材3に引っかかり、ビードコア2にシート部材3を被着させる妨げとなる虞がある。
また、圧着ローラの軸線をビードコア2の接線と平行に配置した場合と、ビードコア2の回転中心を向くように配置した場合の間の角度で圧着ローラの軸線が傾斜するように配置した場合、シート部材3を引張るように側面2c;2dに擦りつけることが可能となるが、圧着ローラの外周面の回転周速が同じであるため、シート部材3を引張る力に変化を与えることができない。
以上を踏まえると、圧着ローラ27;28を円錐形状とするにより、シート部材3の引張りと擦りつけによる圧着とを同時に行うことが可能となる。特に、圧着ローラ27;28が、シート部材3をビードコア2の半径方向外側に引張ることにより、シート部材3がビードコア2に対して浮き上がりが生じている場合でも、シート部材3をビードコア2の表面に被着させることができる。つまり、圧着ローラ27;28を円錐形状とすることで、ビードコア2の断面形状に依存することなく、シート部材3をビードコア2に被着させることができる。
【0015】
図2;図3(d)に示すように、巻付けローラ29;30は、圧着ローラ27;28の下流側に設けられる。具体的には、巻付けローラ29;30は、ビードコア2の回転方向に位置ずれして設けられ、巻付けローラ29が圧着ローラ27;28の下流側のビードコア2の左側に設けられ、巻付けローラ30が巻付けローラ29の下流側のビードコア2の右側に位置する。
巻付けローラ29;30は、円筒状の円筒部の一端側に円板状のフランジ部29A;30Aを有する逆T字状に形成される。フランジ部29A;30Aは、円筒部と同心に設けられ、フランジ部29A;30Aの半径と円筒部の半径の差が、シート部材3の被着対象であるビードコア2の幅と同一、又は、やや狭くなるように設定される。巻付けローラ29;30は、軸線がビードコア2の法線と略一致するように設けられ、円筒部の外周面29a;30aがビードコア2の左右の側面2c;2dと接し、フランジ部29A;30Aの円筒部側面29b;30bがビードコア2の表面である外周面2aと接するように配置される。巻付けローラ29;30は、それぞれ図外の伝達機構を介してモータ36;37の回転力が伝達される駆動ローラである。巻付けローラ29;30の回転速度は、例えば、同一に設定される。また、巻付けローラ29;30の回転方向は、ビードコア2を送出するように、ビードコア2の回転方向に沿って回転するように設定される。
【0016】
なお、巻付けローラ29;30の回転速度は、ビードコア2の回転速度に対して適宜設定すれば良いが、ビードコア2の直径に応じて変化させるようにすると良い。具体的には、ビードコア2の直径が大きな場合には、回転周速が速くなるので、これに対応して巻付けローラ29;30の回転速度を速くし、ビードコア2の直径が小さい場合には、回転周速が遅くなるので、これに対応して巻付けローラ29;30の回転速度を遅くすることにより、ビードコア2の回転速度に依存することなく一定の回転速度でシート部材3を折り曲げて巻付けることができる。
【0017】
巻付けローラ29;30のビードコア2を挟んで反対側には、それぞれ円筒状の押えローラ38;39がそれぞれ設けられる。押えローラ38;39は、回転する軸線が、対応する巻付けローラ29;30の軸線と平行となるように設けられる。具体的には、ビードコア2を挟んで巻付けローラ29の反対側に押えローラ38、ビードコア2を挟んで巻付けローラ30の反対側に押えローラ39がそれぞれ配置される。押えローラ38;39は、巻付けローラ29;30の円筒部の外周面29a;30aがビードコア2の側面2c;2dに接触したときにビードコア2が左右方向に逃げないように規制するためのローラである。なお、押えローラ38;39は、ビードコア2の側面2c;2dが接触することにより従動回転する従動ローラである。
【0018】
よって、図3(d)に示すように、巻付けローラ29が、ビードコア2の左側においてビードコア2に被着していないシート部材3の端部側3aを折り曲げることで外周面2aに被着させる。そして、図3(e)に示すように、巻付けローラ30が、ビードコア2の右側においてビードコア2に被着していないシート部材3の端部側3bを折り曲げることで既に外周面2aに被着したシート部材3に被着させることができる。
【0019】
図2,図3(f)に示すように、仕上げローラ31は、巻付けローラ30の下流側、回転ローラ22の上流側に設けられる円筒状のローラであって、軸線が回転ローラ22の軸線と平行に設定され、仕上げローラ31の外周面がビードコア2の外周面2aに当接するように設けられる。なお、仕上げローラ31は、ビードコア2の回転により従動回転する従動ローラである。
【0020】
図1に戻り、被覆制御装置50は、所謂コンピュータであって、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM,RAM、通信手段としての入出力インターフェース、シート部材3の被着を行うビードコア2の情報、被着動作の開始及び停止の指令が入力されるタッチパネル式の入力表示手段が接続される。被覆制御装置50には、各ローラを駆動するモータと接続され、各モータの回転速度の制御を行う。
【0021】
以下、図2,図3を用いて、ビードコア被覆装置1によりビードコア2にシート部材3を被着させる工程について説明する。
あらかじめ環状に成形されたビードコア2を装置本体20のすべてのガイド部材23を通過するように設け、ビードコア2の下側が回転ローラ21;22に支持されるように配置する。
次に、作業者が、被着制御装置50のタッチパネルから被着開始の指令を入力することにより、各モータ24;34;35;36;37に回転開始信号が出力されると、回転ローラ21;22、圧着ローラ27;28及び巻付けローラ29;30が回転を開始する。回転ローラ21;22の回転に伴なってビードコア2が回転し、ビードコア2に貼着されたシート部材3が牽引されてボビン7から引き出される。そして、図2,図3(a)に示すように、シート部材3が貼着した状態で回転するビードコア2は、シート部材3とともに型付けローラ26に取り込まれる。
【0022】
図2,図3(b)に示すように、型付けローラ26では、フランジ部32A;32Bがシート部材3の両側端側を挟み込むように折り曲げてシート部材3を逆U字状にクセ付けを行いながら、円筒部26aがシート部材3をビードコア2の内周面2bと接触することで、シート部材3の中央部分をビードコア2の内周面に被着する。つまり、型付けローラ26は、シート部材3をビードコア2の内周面2bに被着するとともに側面2c;2dに沿って型付けする型付け工程である。
【0023】
次に、図2,図3(c)に示すように、圧着ローラ27;28が、ビードコア2の側面2c;2dに被着したシート部材3を左右それぞれの端部方向に引張るように擦ることで、ビードコア2の側面2c;2dにシート部材3を密着させる。つまり、圧着ローラ27;28は、シート部材3をビードコア2に被着する工程のうち、ビードコア2にシート部材3を圧着する圧着工程を行う。
【0024】
次に、図2,図3(d)に示すように、巻付けローラ29のフランジ部29Aが、ビードコア2の左側においてビードコア2に被着していないシート部材3の端部側3aをビードコア2の外周面2aに巻き付けるように被着させる。
次に、図2,図3(e)に示すように、巻付けローラ30が、ビードコア2の右側において、ビードコア2に被着していないシート部材3の端部側3bを巻付けローラ29によって、先にビードコア2の外周面2aに被着した端部側3aの上に巻き付けるように重ねて被着させる。つまり、巻付けローラ29;30は、シート部材3をビードコア2に被着する工程のうち、シート部材3の端部側3a;3bをビードコア2に巻付ける巻付け工程である。
【0025】
次に、図2,図3(f)に示すように、仕上げローラ31が、ビードコア2の外周面2aにおいて重なるように被着したシート部材3をビードコア2方向に押圧することにより、シート部材3の端部同士及びシート部材3をビードコア2に密着させる。つまり、仕上げローラ31は、シート部材3でビードコア2を被覆する工程のうち、シート部材3の端部同士を密着させる合わせ工程である。
そして、上記工程を回転するビードコア2に対して連続的に行うことでビードコア2の表面全体にシート部材3を密着させた状態で被覆することができる。
【0026】
以上、説明したように、型付けローラ26によりビードコア2に対して型付けされたシート部材3を圧着ローラ27;28によってシート部材3の端部側を引張りながら擦ることで、シート部材3をビードコア2の側面2c;2dに密着させることができる。そして、巻付けローラ29;30が側面2c;2dと当接しつつシート部材3の端部側3a;3bを折り曲げることにより、シート部材3の端部側3a;3bをしっかりとビードコア2の外周面2aに被着することができる。さらに、仕上げローラ31が、外周面2aにおいて重なるように被着したシート部材3の端部側3a;3b同士を押圧することにより、シート部材3をビードコア2の外周面に密着させることができる。特に、圧着ローラ27;28がシート部材3を引張るように擦るので、断面形状が四角形以外の、例えば、六角形等のビードコア2の断面外周が型付けローラ26に接触しない形状であっても、シート部材3をビードコア2にしっかりと被着させることができる。
【0027】
なお、上記例において、圧着ローラ27;28の軸線がビードコア2の接線と略同一平面上となるように配置するとして説明したが、ビードコア2の接線に対して圧着ローラ27;28の軸線を傾斜させるようにしても良い。具体的には、図4に示すように、圧着ローラ27;28の外周面27a;28aがビードコア2の側面2c;2dにおいて内径側から外径側まで接触するように傾斜させて設けても良い。つまり、圧着ローラ27;28の小径部側がビードコア2の内径側を向くように、軸線を傾斜させて配置すれば良い。よって、圧着ローラ27;28の外周面27a;28aの母線が、ビードコア2の側面2c;2dにおいて内径側から外径側までを横切るように配置される。このように、圧着ローラ27;28の小径部が内径側を向くように圧着ローラ27;28の軸線を傾斜させて配置することにより、回転周速の遅い小径部側が、内径部側のシート部材3を繰り返し擦ることによりシート部材3にクセ付けを行うことができる。また、内径部から外径部に向かって回転周速が速くなるので、外径部が、ビードコア2の内径側から外径側に向かってシート部材3全体を引き伸ばすように引張り、ビードコア2にシート部材3をよりしっかりと密着させることができる。
なお、圧着ローラ27;28は、小径部側がビードコア2の外径側を向くように軸線を傾斜して配置するようにしても良い。
【0028】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0029】
1 ビードコア被覆装置、2 ビードコア、3 シート部材、26 型付けローラ、
27;28 圧着ローラ、29;30 巻付けローラ、31 仕上げローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に成形されたビードコアを円周方向に沿って一方向に回転させる回転ローラと、
回転するビードコアに対して当該ビードコアの表面を被覆する帯状のシート部材を供給する供給部と、
前記ビードコアの回転方向に沿って回転し、前記供給部から供給されたシート部材を幅方向から包囲し、ビードコアの断面形状に沿って型付けしつつシート部材の一部をビードコアに被着する型付けローラと、
前記型付けローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、ビードコアの表面に被着したシート部材と接触し、当該接触した位置から当該シート部材の端部方向に回転する圧着ローラとを備えるビードコア被覆装置。
【請求項2】
前記圧着ローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、前記ビードコアの回転方向に沿って回転しながらビードコアの表面に被着されたシート部材と接触するとともに当該シート部材の端部をビードコアの表面に巻き付ける巻付けローラを備えることを特徴とする請求項1記載のビードコア被覆装置。
【請求項3】
前記巻付けローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、前記ビードコアの回転方向に沿って回転しながらビードコアの表面に被着したシート部材の端部と接触してシート部材の端部をビードコアに押圧する仕上げローラを備えることを特徴とする請求項2記載のビードコア被覆装置。
【請求項4】
前記ビードコアの断面形状が四角であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記載のビードコア被覆装置。
【請求項5】
回転するビードコアに供給された帯状のシート部材をビードコアの回転方向に沿って回転しながら幅方向から包囲してビードコアの断面形状に沿って型付けする型付けローラによりシート部材の一部をビードコアに被着する型付け工程と、
前記型付けローラよりもビードコアの回転方向下流側に設けられ、前記型付け工程によりビードコアの表面に被着したシート部材と接触し、当該接触した位置から当該シート部材の端部方向に回転する圧着ローラによりシート部材をビードコアに圧着する圧着工程とを含むビードコア被覆方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−240334(P2012−240334A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113811(P2011−113811)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】