説明

ビーム放射装置

本発明は、基板と、第1電極および第2電極と、エミッタ層とを有しており、ここでこのエミッタ層は、第1電極と第2電極との間に配置されかつ紫色または青色のスペクトル領域における光を放射する。このエミッタ層には、マトリクス材料と、(このマトリクス材料を基準にして)0.1ないし5重量%の蛍光発生ビーム放射エミッタと、1ないし30重量%のりん光発生エキシトントラップとが含まれている。上記の蛍光発生エミッタの放射最大値およびりん光発生エキシトントラップの放射最大値は、青色、紫色または紫外線のスペクトル領域にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス材料と、ビームを放射する蛍光発生放射器と、エキシトントラップとを含むエミッタ層を有するビーム放射装置に関する。
【0002】
本願は、独国特許出願第102009018647.6号に優先権を主張するものであり、その開示内容を引用によってここに取り入れるものとする。
【0003】
可能な限りに寿命が長くかつ効率の高いエミッタは、高効率有機発光ダイオード(OLED)の開発に対する前提であり、ならびにディスプレイおよびライティング応用に対する前提である。高い効率に対して決定的であるのは、個々のエミッタ分子の量子効率および(マトリクスおよびビーム放射エミッタからなる)エミッタシステム全体の量子効率である。しかしながら長い寿命は、放射されるすべての色に対して同じ程度に実現できるわけではない。紫色または青色のスペクトル領域で光を放射するエミッタ層は、緑色、黄色、橙色または赤色のスペクトル領域において放射するエミッタ層よりも格段に寿命が短い。このことは殊にりん光発光エミッタに対して当てはまる。
【0004】
本発明の課題は、紫色または青色のスペクトル領域において光を放射しかつ改善された量子効率および一層長い寿命を有するエミッタ層を有するビーム放射装置を提供することである。
【0005】
この課題は、独立請求項に記載した装置によって解決される。別の実施形態は従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明によるビーム放射装置には、基板、第1電極、第2電極、および第1電極との第2電極との間に配置されたエミッタ層を有しており、ここでこのエミッタ層より、(動作時に)紫色および/または青色のスペクトル領域において光が放射される。このエミッタ層には、0.1ないし0.5重量%の(紫色または青色のスペクトル領域において放射する)蛍光発生ビーム放射エミッタと、1ないし30重量%のりん光発生エキシトントラップとが含まれている。この蛍光発生ビーム放射エミッタおよびりん光発生エキシトントラップの他に上記のエミッタ層は、マトリクス材料を有する(重量%によるデータはこのマトリクス材料を基準にしたものである)。ふつう上記のエキシトントラップの重量の割合は、上記の蛍光発生エミッタの重量の割合よりも大きい。この蛍光発生エミッタの放射最大値は、青色および紫色のスペクトル領域にあり、またりん光発生エキシトントラップの放射最大値は、青色、紫色または紫外線のスペクトル領域にある。
【0007】
上記のマトリクス材料および蛍光発生エミッタの他にりん光発生エキシトントラップを含む本発明のエミッタ層により、量子効率および出力効率を改善することができる。ふつうりん光発生エキシトントラップおよび蛍光発生エミッタがあることにより、キャリアバランスも改善されかつ電圧も小さくなる。すなわち電流効率が改善されるのである。
【0008】
以下では本発明によるビーム放射装置の個々のコンポーネントを詳しく説明する。すなわち、
本発明による「基板」には、例えば、従来技術においてビーム放射装置に慣用的に使用される基板が含まれている。例えばこの基板は、ガラス、石英、プラスチックシート、金属、金属シート、シリコンウェハまたは別の適当な基板材料を含み得る。上記のビーム放射装置が、例えば、いわゆる「ボトムエミッタ」として実施される場合、上記の基板は有利には透明でありかつ例えばガラス基板として実施される。本発明によるビーム放射装置では第1電極を上記の基板にデポジットすることができる。
【0009】
ここで使用される「第1電極」は、アノードとすることができる。このアノードは、正孔注入材料から構成することができる。正孔注入材料として、従来技術から公知の任意の正孔注入材料を使用することができる。上記のビーム放射装置が、例えば「ボトムエミッタ」として構成される場合、上記のアノードはふつう透明材料からなる。例えば、このアノードは、透明導電性酸化物からなるかまたは透明導電性酸化物からなる層を含むことができる。この透明導電性酸化物(TCO)には、金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化インジウムまたは酸化インジウムスズ(ITO),Zn2SnO4,CdSnO3,ZnSnO3,MgIn24,GaInO3,Zn2In25またはIn4Sn312または種々異なる透明導電性酸化物の混合物を含むことができるが、しかしながらこれらに限定されることはない。上記のTCOは必ずしも化学量論的な組成にしたがう必要はなく、またさらにp型ドーピングまたはn型ドーピングとすることも可能である。
【0010】
上記の第1電極がアノードの場合、第2電極はカソードである。この「カソード」は、電子注入材料から構成することができる。カソード材料としては、従来技術においてふつう使用されるカソード材料、例えば、アルミニウム、バリウム、インジウム、銀、金、マグネシウム、カルシウムまたはリチウムならびにまたこれらの材料の合金および化合物、および上記の元素の混合物、化合物および/または合金を使用することができる。これとは択一的にまたは付加的に、上記のアノード材料において挙げた材料のうちの1つまたは複数の材料を含むことができるか、ないしは上記のカソードを完全にこれらの材料のうちの1つから構成することも可能である。したがってカソードを透明に構成することもできる。
【0011】
上記のビーム放射装置において、例えば1つの電極を透明に実施して、別の1つの電極を反射形に実施することができる。したがって上記のビーム放射装置は、「ボトムエミッタ」かまたは「トップエミッタ」のいずれかとして実施できるのである。これとは択一的に2つの電極を透明に実施することも可能である。
【0012】
本発明によるビーム放射装置のエミッタ層の特徴は機能層であり、この機能層は、1つまたは複数の蛍光発生エミッタと、1つまたは複数のりん光発生エキシトントラップとを含むマトリクス材料からなるか、ないしは上記の少なくとも1つのエミッタおよび少なくとも1つのエキシトントラップを構成する材料からなる。
【0013】
ここで上記のりん光発生エキシトントラップは化合物であり、ここでこの化合物には、マトリクス材料の効率的なエネルギ移動が可能である。この場合に上記のエキシトントラップの役割は、上記のエミッタ材料に効率的かつ高速なエネルギ移動を保証すること、すなわちエキシトンをこのエミッタ材料に移動することである。上記のエキシトントラップはりん光発生化合物であるが、例えばこのエキシトントラップによってビームが放射されることにはならない。むしろここで重要であるのは、エキシトントラップにより、エキシトンの良好な輸送が(またキャリアの可能な限りに良好な輸送も)保証されることである。エキシトントラップとして使用される材料はつねに、エミッタとして使用される材料とは異なる。
【0014】
本発明にしたがって観察されたのは、マトリクス分子(またはエキシトントラップ)にエキシトンが形成され、またマトリクス分子に形成された3重エキシトンが上記のエキシトントラップによって「トラップされる」ことであり、これらのエキシトンは続いて蛍光発生エミッタ(の1重項状態)に移行される。これにより、少なくとも部分的には上記の蛍光性のエミッタにおける上記の蛍光発生エキシトントラップの3重エキシトンを放射に利用することができ、その際にこれらがこの蛍光発生エミッタにおいて放射的または非放射的に再結合されることはない。したがって本発明において認識されたのは、本発明によるエミッタ層により、(例えば青色を放射する)りん光発生エキシトントラップの高い効率と、(例えば青色の)蛍光発生エミッタの良好な長時間安定性とを組み合わせられることである。これとは異なり従来技術では、3重エキシトンも放射的に再結合することができるため、確かに高い量子効率を記録することはできるが(青色のエミッタの場合に)わずかな長時間安定性しか有しないりん光発生エミッタを有するエミッタ層か、またはりん光発生青色エミッタよりも格段に高い長時間安定性を有するが、これらのエミッタ材料において1重項状態エキシトンだけが放射的に再結合し得るために格段に低い量子効率しかを有しない、青色の蛍光発生エミッタを有するエミッタ層のいずれかが使用される。
【0015】
したがって上記のエキシトン輸送に基づく輸送カスケードでは、マトリクス材料またはりん光発光エキシトントラップにおいて生成される3重項エキシトンは、最終的に上記の蛍光発光エミッタの1重項状態に移行するのである。このことは殊に、スピン軌道結合に起因してエキシトンが一般的には3重項状態および1重項状態からの混合状態であるという事実に基づいて可能になる。本発明によれば殊に10μs以下の崩壊時間を有する「3重項エキシトン」は、蛍光発光エミッタの1重項レベルへの移行に適している。
【0016】
上記のエキシトントラップの濃度が比較的高いことにより、上記の蛍光発光エミッタへの効率的なエネルギ移動が保証される。これに対して上記のエミッタの濃度が低いことによって阻止することができるのは、殊にエミッタにおいて立体障害なしに分子の堆積が発生することである。ここでこの堆積は、放射されるスペクトルの赤色方向へのシフトを生じさせ得るものである。これに対してエキシトントラップの濃度が高いことにより、(上記の作用の他に)上記のエキシトントラップが、キャリアに対する降下中心(Fallenzentren)としては作用せず、その逆にキャリアの良好な輸送を行うことができる。
【0017】
例えば、上記のマトリクスによって多数キャリアが輸送され、またエキシトントラップによって、逆の電荷を有する少数キャリアが輸送されること(例えば正孔輸送マトリクスでは、電子はエキシトントラップのLUMOを介して輸送される)により、キャリア輸送を行うことができる。したがって本発明によるビーム放射装置はふつう、改善された電流効率も有する。この電流効率は(エキシトントラップのないエミッタ層と比較して)少なくとも10%増大することも多い。この電流効率は、本発明によるエキシトントラップのない相応するエミッタ層の20%増しになることも多く、しばしば25%増しになることさえもある。このことは殊に、高い輝度における電流効率、すなわちふつう1000cd/m2以上の輝度における電流効率に当てはまる。
【0018】
以上をまとめると確認することができるのは、本発明によってつぎのことが認識されたことである。すなわち、高濃度のりん光発光エキシトントラップと、低濃度のエミッタ材料とを組み合わせることによって互い独立して2つの作用を実現できることが認識されたのである。上記の混合系により、動作時にまずエキシトンがマトリクス材料からエキシトントラップに移動されるかないしはこれがエキシトントラップにおいて形成される。つぎに効率的かつ高速なエネルギ移動により、蛍光発生エミッタの3重項エキシトンが(りん光発光エキシトントラップよりも寿命の長い)1重項レベルに移行し、そこで放射的に崩壊することができる。さらに上記のエキシトントラップは、少数キャリアに対して優れた伝導特性を有する。2つの作用により、全体として格段に高い量子効率が得られ、またそれに加えて改善されたキャリアバランスと低い電圧とが得られるのである。
【0019】
上記の蛍光発光エミッタおよびエキシトントラップはそれぞれ1つのマトリクス材料に埋め込むことができる。ここでこのマトリクス材料は、例えばつぎの群から選択され、この群は、mCP(1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゾール)、TCP(1,3,5−トリス(カルバゾール)−9−イル)ベンゾール)、TCTA(4,4’,4''−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン)、TPBi(1,3,5−トリス(1−フェニル−1−H−ベンゾイミダール−2−イル)ベンゾール)、CBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、CDBP(4,4’−ビス(9−カルバゾールイル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、(DMFL−CBP 4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチルフルオレン)、FL−4CBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)フルオレン)、CPFとも略記されるFL−2CBP(9,9−ビス(4−カルバゾール−9−イル)−フェニル)フルオレン、DPFL−CBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジトリルフルオレン)、FL−2CBP(9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)フルオレン)、スピロ−CBP(2,2’,7,7’−テトラキス(カルバゾール−9−イル)−9,9’−スピロ−ビフルオレン)、ADN(9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン、TBADN(3−t−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン、DPVBi(4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル)、p−DMDPVBi(4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル)、TDAF(t(9,9−ジアリールフルオレン))、BSBF(2−(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン)、TSBF(2,7−ビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン)、BDAFビス(9,9−ジアリールフルオレン)、p−TDPVBi(4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジ(t−ブチル)フェニル)、TPB3(1,3,5−トリ−(ピレン−1−イル)ベンゾール)、PBD(2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、BP−OXD−Bpy(6,6’−ビス[5−(ビフェニル−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−2−イル]−2,2’−ビピリジル)、NTAZ(4−(ナフト−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール)、Bpy−OXD(1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリド−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾール)、BPhen(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、TAZ(3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール)、PADN(2−フェニル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)−アントラセン)、Bpy−FOXD(2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリド−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン)、OXD−7(1,3−ビス[2−4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾール)、HNBphen(2−(ナフト−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、NBphen(2,9−ビス(ナフト−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、3TPYMB(トリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリド−3−イル)フェニル)ボラン)、2−NPIP(1−メチル−2−(4−(ナフト−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−f][1,10]フェナントロリン)、Liq(8−ヒドロキシチノリノレート−リチウム)およびAlq(ビス(2−メチル−8−チノリノレート)−4−(フェニルフェノレート)アルミニウム)ならびにこれらの材料の混合物からなる。マトリクス材料として有利には例えば材料mCP,TCTA,TPBi,BCP,BPhen,CBP,CDBPおよびCPF(すなわちFL−2CBP)などの窒素の割合の多い芳香性材料、または金属錯体、例えばAlqが有利である。金属錯体をマトリクス材料として使用する場合、この金属錯体は、エミッタ材料と(またはエキシトントラップと)一致してはならない。上記の混合系に含まれるマトリクス材料として、例えば、材料TCTA,mCP,CBP,CDBPまたはCPFのうちの1つまたは複数からなる混合物が適しているか、またはTPBiとの混合物を使用する。
【0020】
青色のりん光発生エキシトントラップは、以下から構成される群から選択することができる。すなわち、FIrPic(ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)−イリジウムIII)、FIr6(ビス(48,68−ジフルオロフェニルピリジナト)−テトラキス(1−ピラゾリル)ホウ酸−イリジウムIII)、mer−Ir(dpbic)3(mer−イリジウム(III)トリス(1,3−ジフェニル−ベンゾイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’))、mer−Ir(cn−pmic)3(mer−イリジウム(III)トリス(1−メチル−3−p−シアノフェニル−イミダゾリン−2−イリデン−C,C2’))、mer−Rh(cn−pmic)3(mer−ロジウム(III)トリス(1−メチル−3−p−シアノフェニル−イミダゾリン−2−イリデン−C,C2’))、Pt(cn−pmic)acac(白金(II)(1−メチル−3−p−シアノフェニル−イミダゾリン−2−イリデン−C,C2’)アセチルアセトナト)ならびここで挙げた材料の混合物からなる群から選択することができる。最後に挙げた4つの材料は、P. Erk等によるSID06 Digest 2006,131-134およびそこで引用された刊行物に開示されている。上で挙げたエミッタ材料は、青色のスペクトル領域に放射最大値を有する。一般的にエキシトントランプまたはエミッタが複数の放射最大値を有する場合、本発明において放射最大値とは、最大の強度を有する放射最大値のことである。種々異なる電流強度において、2つ以上の最も強度の大きな放射最大値が、異なる波長に存在する場合、本発明では(例えば、ビーム放射エミッタの放射最大値の波長と、エキシとんとラップの放射最大値の波長との差分を求めるに対して)これらの放射最大値のうち、短い方の波長における最大値を放射最大値とする。
【0021】
青色のりん光発生エキシトントラップは、以下から構成される群から選択することができる。すなわち、fac−Ir(Pmb)3(fac−イリジウム(III)トリス(1−フェニル−3−メチルベンゾイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’))、mer−Ir(Pmb)3(mer−イリジウム(III)トリス(1−フェニル−3−メチルベンゾイミダゾリン−2−イリデン−C,C2'))、fac−Ir(dpbic)3(fac−イリジウム(III)トリス(1,3−ジフェニル−ベンゾイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’) - P. Erk等によるSID06 Digest 2006,131-134)ならびにこれらの材料の混合物からなる群から選択することができる。放射最大値を紫色または紫外のスペクトル領域に有するエキシトントラップは、さらにC. Schildknecht等による"Organic Light Emitting Materials and Devices XI." Kafafi, Zakya H.編;So, Franky. Proceedings of SPIE, Volume 6655, 第665502頁以下 (2007) (SPIE = The International Society for Optical Engineering)に開示されている。このようなエキシトントラップの放射最大値はふつう、少なくとも390nmの波長にある。
【0022】
蛍光発生エミッタとしては、紫色または青色のスペクトル領域に放射最大値を有する化合物を使用することができる。上記のエミッタの放射スペクトルは、別の複数の最大値を有することがある。しかしながらこれらの最大値もふつう青色および/または紫色のスペクトル領域にある。
【0023】
青色の蛍光発生エミッタとして、例えば、以下から構成される群から選択した化合物を使用することができる。すなわち、
BCzVBi(4,4’−Bis(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル),ペリレン,TBPe(2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン),BCzVB(9H−カルバゾール−3,3’−(1,4−フェニレン−ジ−2,1−エテンジル)ビス[9−エチル−(9C)])、DPAVBi 4,4−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル、DPAVB(4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン)、BDAVBi(4,4’−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル)、BNP3FL(N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−トリス−(9,9−ジメチルフルオレニレン)、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾリル)−ビニレニル]−アントラセン、4,4’−ビス(ジフェニルビニレニル)−ビフェニル、1,4−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−2−メトキシ−5−(2−チルヘキシロオキシ)ベンゾール、4,4’−ビス(ジフェニルビニレニル)−アントラセン、1,4−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−9,9−ジヘキシル−フルオレンならびに上記の材料の混合物からなる群から選択した化合物を使用することができる。上で挙げたエミッタ材料は、青色のスペクトル領域に放射最大値を有する。
【0024】
1実施形態において上記のエミッタ層は、少なくとも2つの部分層に分割される。ここでこのエミッタ層は、少なくとも1つの第1部分層(すなわち第1のタイプの1つまたは複数の部分層)を有しており、ただしマトリクス材料は、蛍光発生ビーム放射エミッタを含んでいるが、りん光発生エキシトントラップを含んでいない。さらに上記のエミッタ層は、少なくとも1つの第2部分層(すなわち第2のタイプの1つまたは複数の部分層)を有しており、ただしマトリクス材料は、りん光発生エキシトントラップを含んでいるが、蛍光発生ビーム放射エミッタを含んでいない。
【0025】
このような実施形態では、3重項エキシトンがまずマトリクス材料(またはエキシトントラップにも)形成されてりん光発生エキシトントラップに輸送される。つぎにこの3重項エキシトンは、第1部分層と第2部分層との間の境界面の方向に拡散し、最終的に蛍光発生エミッタに輸送される。
【0026】
1変形実施形態では、それぞれ蛍光発生エミッタ(だけ)を含む2つの部分層の間に、りん光発生エキシトントラップ(だけ)を含む部分層を設けられる。この場合に上記の3重項状態エキシトンは、りん光発生エキシトントラップの分子によって全方向に拡散するが、別の部分層との境界にも衝突することができる。
【0027】
複数の部分層を設ける場合、各部分層に使用するマトリクス材料は同じにすることも、または別にすることも可能である。りん光発生エキシトントラップを含むマトリクス材料の3重項状態には、上記のエキシトントラップの3重項状態に調整されることが多い。カソード側でエキシトントラップを含む部分層に隣接する部分層は、例えば、マトリクス材料として、やはりカソード側においてこの部分層に隣接する正孔阻止層、電子輸送層または電子注入層と同じ材料を有し得る。カソード側でエキシトントラップを含む部分層に隣接する部分層は、例えば、マトリクス材料として、やはりカソード側においてこの部分層に隣接する正孔阻止層、電子輸送層または電子注入層と同じ材料を有し得る。当然のことながら択一的には蛍光発生エミッタを含む1つまたは複数の部分層の上記のマトリクス材料をつぎのようなマトリクス材料から構成することも可能であり、ここでこのマトリクス材料は、上で説明したカソード側ないしはアノード側においてこれらの部分層に隣接するマトリクス材料ではないが、上で示したマトリクス材料から選択される。これに相応して、殊に蛍光発生エミッタを有しかつカソード側に配置される部分層には正孔を阻止して電子を輸送する任意のマトリクス材料が適しており、また蛍光発生エミッタを有するアノード側に配置される部分層には、電子を阻止して正孔を輸送する任意のマトリクス材料が適している。さらにいずれの場合に上記のマトリクス材料を選択して、このマトリクス材料がエキシトンを阻止する特性も有するようにすることが可能である。これによる作用は、上記のエキシトントラップを含む部分層において形成されるエキシトンが、蛍光発生エミッタを有する部分層のマトリクス材料に移動させられることがなく、実質的に蛍光発生エミッタの1重項状態に移行してここで(部分層間の境界面近くで)ビームを放射して崩壊し得ることである。
【0028】
択一的な1実施形態において上記のエミッタ層は、(それぞれ蛍光発生ビーム放射エミッタおよびマトリクス材料だけを含むかまたはりん光発生エキシトントラップおよびマトリクス材料だけを含む)部分層を有しない。この場合、りん光発生エキシトントラップの分子および蛍光発生エミッタの分子は、例えば、エミッタ層全体にわたって統計的に分散される。さらに蛍光発生エミッタの分子およびりん光発生エキシトントラップの分子はそれぞれ(当然のことながら部分層全体ではない)領域において隣り合って存在することが可能である。さらに当然のことながら、統計的な分散と、りん光発生エキシトントラップまたは蛍光発生エミッタを有する領域が存在する実施形態との混合形態も可能である。
【0029】
上記の蛍光発生エミッタおよびりん光発生エキシトントラップはふつう上記のマトリクス材料にわたって統計的に分散している。しかしながら上記のエミッタ層において濃度勾配を設けて、エキシトントラップの濃度の方が高い領域と、蛍光発生エミッタの濃度の割合が高い領域とが交互になるようにすることが可能であり、上記のエミッタ層においてエキシトントラップだけが含まれる複数の領域(しかしながらこれは真の部分層ではない)と、蛍光発生エミッタだけが含まれている複数の領域だけがあるようにすることさえも可能である。これにより、主にエキシトンが形成されるゾーン、ないしは主に放射が行われるゾーンを所期のように調整することができる。
【0030】
一般的には蛍光発生ビーム放射エミッタと、りん光発生エキシトントラップとの間の本発明による分子比により、例えば、蛍光ドーピング材料における3重項エキシトンの直接の形成またはりん光発生エキシトントラップにおける3重項−3重項の対消滅などの非放射性の競争過程を最小化することはできる。
【0031】
複数の実施形態においてりん光発生エキシトントラップの重量の割合は、蛍光発生ビーム放射エミッタのそれの少なくとも4倍であり、少なくとも8倍であることも多い。
【0032】
別の1実施形態においてりん光発生エキシトントラップの割合は、10ないし20重量%である(本発明の枠内において、重量%で示したすべてデータはつねに、エミッタ層に含まれているマトリクス材料を基準にしたものである)。少なくとも10重量%以上の重量の割合ではマトリクス材料にエキシトントラップが十分に含まれており、これによってキャリアの極めて効率的な輸送が可能になり、したがって電流効率の大きな増大がなくなる。20重量%以上の重量の割合では、場合によってはこれに加えて2つのエキシトンに相互作用による効率損失が増大することになり得る。
【0033】
別の1実施形態において上記の蛍光発生エミッタの割合は、1ないし4重量%である。5重量%以上の重量の割合では(エミッタに依存して)濃度消光を、したがって効率が大きく下がってしまうことを覚悟しなければならない。
【0034】
1実施形態において上記のりん光発生エキシトントラップは、上記のビーム放射エミッタよりも短い波長において放射最大値を有する。
【0035】
このことによってふつう保証されるのは、効率的なエネルギ輸送カスケードがりん光発生エキシトントラップから蛍光発生エミッタの1重項状態に行われることである。殊に上記のマトリクス材料の3重項状態(T1Matrix)はエキシトントラップの3重項状態(T1Exzitionenfaenger)よりも高くすべきであり、エキシトントラップの3重項状態そのものは、蛍光発生エミッタの1重項状態(S1Emitter)よりも高くすべきある。この場合、上で説明したように3重項エキシトンがマトリクス材料において形成されて、りん光発生エキシトントラップに移動させられ、つぎにこのエキシトントラップは、蛍光発生エミッタの1重項状態に移動させられるのである(また殊に−エミッタ層の部分層がありかつこの部分層が種々異なるマトリクス材料を有する場合、蛍光発生エミッタを有する部分層のマトリクス材料にわたすことはできない)。
【0036】
別の1実施形態では上記のビーム放射エミッタの放射最大値の波長と、エキシトントラップの放射最大値の波長との差分は、1nmないし100nmであり、有利には少なくとも15nmまたは少なくとも30nmないし100nmである。この場合にはふつう効率的なエネルギ移動カスケードも可能である。
【0037】
別の1実施形態において上記のビーム放射装置の特徴は、(300cd/m2の輝度の場合)上記のエミッタ層の平均寿命が、エミッタ層にりん光発生エキシトントラップだけが含み(かつ蛍光発生エミッタを含まない)という点だけが異なるビーム放射装置の平均寿命に比べて少なくとも50%だけ長くなることである。100%の平均寿命の延びもしばしば観察することができる。300%までのまたは500%までの延びも観察される。
【0038】
(300cd/m2の輝度の場合)本発明によるビーム放射装置は、ふつう少なくとも10000時間の平均寿命を有しており、少なくとも20000時間の平均寿命を有することも多い。50000時間の寿命を実現することも可能である。
【0039】
別の1実施形態において上記のエミッタ層から放射されるビームは実質的に上記のビーム放射エミッタによって形成される。上記のりん光発生エキシトントラップのキャリアおよびエキシトン伝導性が極めて良好であることに起因して、上記のマトリクス材料においてまたはりん光発生エキシトントラップ上形成されるエキシトンの大部分が、蛍光発生エミッタ材料に輸送される。このことは、例えば放射スペクトルによって識別することができる。上記のエキシトントラップの放射最大値の正規化された放射の強度はふつう、エキシトントラップおよびビーム放射エミッタを有するエミッタ層に対して測定したスペクトルにおいて、ビーム放射エミッタの放射最大値の強度の最大40%になり、最大20%であることも多い。ほとんどの場合、上記のエキシトントラップの放射最大値の強度は、ビーム放射エミッタの放射最大値の強度の最大10%にしかならず、最大5%になることさえも多い。上記の測定される強度比はふつう、例えば0.5ないし10mA/cm2である電流密度には依存しない。
【0040】
さらにふつうは、エキシトントラップおよびビーム放射エミッタを有するエミッタ層におけるりん光発生エキシトントラップの放射最大値の強度も、(上で述べた「混合」形のシステムと同じ濃度の)エキシトントラップだけを含みかつビーム放射エミッタ材料を含まない(ならびに部分層を含まない)エミッタ層の放射最大値の強度に比べて格段に小さくなる。この場合にふつうエミッタおよびエキシトントラップを有するエミッタ層におけるエキシトントラップの放射最大値の正規化された放射の強度(例えば5mA/cm2の同じ電流密度で測定した場合)は、マトリクス材料およびエキシトントラップだけからなる層のエキシトントラップの放射最大値の正規化された放射の最大40%であり、ほとんどの場合に最大20%であるが、最大10%になることも多く、最大5%になることさえもしばしばである。上で説明したようにこのことは実質的に上記のエキシトントラップの良好なエキシトン伝導性によるものである。上記の測定される強度比はふつう、例えば0.5ないし10mA/cm2である電流密度には依存しない。
【0041】
上記の多くの実施形態において、上記のエミッタ層から放射される光により、エキシトントラップのない(ならびに部分層のない)エミッタ層から放射される光と実質的に同じ色印象が得られる。ここで実質的に同じ色印象とは、例えば、エキシトントラップのないエミッタ層が放射する光のCIE座標(xOE,yOE)と、エキシトントラップを有するエミッタ層の放射する光のCIE座標(xmE,ymE)とに実質的に違いがないことであると理解される。差分Δx=xoE−xmEないしは差分Δy=yoE−ymEに対してふつうΔx<0.05および/またはΔy<0.05が成り立つ。またΔx<0.03および/またはΔy<0.03が成り立つことも多く、しばしばΔx<0.01および/またはΔy<0.01になることさえもある。これらの差分の絶対値の総和ΣΔ=|Δx|+|Δy|に対してふつう、ΣΔ<0.08が成り立ち、またΣΔ<0.05が成り立ちことも多く、しばしばΣΔ<0.01になることさえもある。
【0042】
上記のエキシトントラップからドーピング材料へのエキシトンの良好な輸送は、波長に依存する時間分解放射スペクトルに基づいて決定することができる。ここでりん光発生エキシトントラップおよび蛍光発生エミッタ材料を含むエミッタ層と、同じ濃度でエキシトントラップだけ含む(かつ部分層を含まない)同じ層ないしはビーム放射エミッタ材料だけを含む(かつ部分層を含まない)同じ層とを比較すると、上記の「混合系」におけるエキシトントラップの放射最大値の放射の強度の半減期が減少したのに対して、蛍光発生エミッタ材料の放射最大値の放射の強度の半減期が実質的に同じままであるかまたはやや増大さえすることが確認される。
【0043】
有利な1実施形態において、本発明によるエミッタ層では上記のエキシトントラップにおけるエキシトン寿命の半減期は、10μs以下であり、有利には1μs以下である。このような系に対して記録されるのは、形成された3重項エキシトンにおいて1重項の割合が殊に高いことである。
【0044】
上で説明した作用によりふつう、上記のエミッタ層の外部量子効率を格段に高くできることにもなる。りん光発生エキシトントラップおよび蛍光発生ビーム放射エミッタを有するエミッタ層の外部量子効率と、(同じ濃度で)蛍光発生エミッタだけを含みエキシトントラップを含まないエミッタ層の量子効率とを比較すると、上記の量子効率が多くの場合に少なくとも20%だけ増大することが確認される。30%にも達する増大が確認されることもしばしばである。したがって本発明によるエミッタ層によれば、12%以上の量子効率を達成することができ、さらに14%にも達する量子効率ηextを達成することも多い。また18%を上回る、例えば20%の量子効率を達成することも可能である。
【0045】
さらに、本発明によるエミッタ層の量子効率は、蛍光発生エミッタだけを含みかつりん光発生エキシトントラップを含まない(ならびに部分層を含まない)エミッタ層の量子効率の少なくとも75%である。本発明によるエミッタ層の量子効率は、蛍光発生エミッタだけを含む上記のエミッタ層と同じかまたは高いことさえも多い。
【0046】
別の1実施形態において、上記のエミッタ層を含むビーム放射エミッタは、殊に蛍光発生エミッタの濃度が低い場合であっても高いフォトルミネセンス量子効率を有している。さらに上記の蛍光発生ビーム放射エミッタ材料におけるエキシトンは、比較的寿命が短い。ふつうこの寿命は最大100nsである。
【0047】
別の1実施形態において、上記のビーム放射装置の(場合によって部分層を有する)エミッタ層の層厚は10ないし40nmである。比較的層厚の小さいエミッタ層は処理が難しく、また10nm以上の層厚ではエミッタセンタの数を最適化して、エキシトンの寿命に一層良好に適合させることができる。しかしながら5ないし10nmの層厚も技術的に有利になり得る。殊に上記のエミッタ層が、2つ、3つまたはそれ以上の部分層を有する場合、個々の部分層の層厚は5−10nmになることが多い。本発明の青色または紫色の光を放射するエミッタ層の他に別のエミッタ層を含む、白色光を放射するビーム放射装置の作製に対し、これらの個々のエミッタ層の層厚は有利にはそれぞれ10ないし20nmである。
【0048】
したがって別の有利な1実施形態において、上記のビーム放射装置は、少なくとも1つの別のエミッタ層を有しており、全体として少なくとも2つまたは3つのエミッタ層を有することが多い。殊にこのような配置構成は、白色光を放射するビーム放射装置を形成するのに適している。この白色光は、第1のエミッタ層および少なくとも1つの別のエミッタ層によって放射されるビームを重畳することによって形成することができる。これに対してふつう少なくとも3つのエミッタ層(例えば、それぞれ赤色、緑色および青色のスペクトル領域に放射する複数のエミッタ層)が使用される。しかしながら2つのエミッタ層(例えば青色および橙色を放射する層)だけを含む系も考えられる。本発明では一般的に上記の種々異なるスペクトル領域をつぎのように定める。すなわち、赤色のスペクトル領域は約640ないし780nmであり、橙色のスペクトル領域は約600ないし640nmであり、黄色のスペクトル領域は約570ないし600nmであり、緑色のスペクトル領域は約500ないし570nmであり、青色のスペクトル領域は約430ないし500nmであり、紫色のスペクトル領域は約380ないし430nmである。
【0049】
本発明の別の1実施形態において、上の段落で挙げたそれぞれ2つのエミッタ層の間に阻止層が設けられている。上記のビーム放射装置が2つ以上のエミッタ層を含む場合、すべてのエミッタ層間に1つの阻止層を設けることができるが、これらのエミッタ層の一部の間だけに設けることも可能である。このような阻止層は、エキシトンを阻止するために使用され、またこの阻止層の厚さが、それぞれ隣接する層において形成されるエキシトンの平均自由路長よりも大きく、エキシトンが第2の層に実質的に到達できないように構成することができる。さらに択一的または同時に上記の阻止層は、少なくとも層の一部においてキャリア(電子または正孔)を阻止するために使用することもできる。キャリアを阻止することのできる層または層の部分領域により、キャリア密度を所期のように調整することができる。エキシトンおよび/またはキャリアを阻止する阻止層は、1つまたは複数のマトリクス材料を含むことができるかまたはこのような材料から構成することができ、適切なマトリクス材料は、上で開示したマトリクス材料から選択することができる。択一的には電子を阻止する層は、正孔輸送層用の以下の材料のうちの1つまたは複数を含むことができるか、またはこの材料は、1つまたは複数のマトリクス材料を含むことができる。さらに正孔を阻止する層は、電子輸送層用の以下の材料のうちの1つまたは複数を含むことができるか、またはこの材料は、1つまたは複数のマトリクス材料を含むことができる。
【0050】
1実施形態において上記のビーム放射装置はOLEDであり、また殊に照明装置としてまたはディスプレイとして構成することができ、大きな面積で構成されたアクティブな発光面を有する。ここで「大きな面積」とは、上記の構成素子が、数平方ミリメートル以上、有利には1平方センチメートル以上、殊に有利には1平方デシメートル以上の面積を有することを意味し得る。
【0051】
本発明によるビーム放射装置は、別の機能層を有し得る。これらの層は、例えば電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層および/または正孔注入層とすることができる。これらの層は、ビーム放射層の効率をさらに増大させるために使用され、またこのビーム放射装置の1つまたは複数の適切な箇所に形成することができる。これらの層は、適切な電子輸送材料および/または正孔輸送材料および/または正孔注入を改善するために適切な材料、ならびにエキシトンまたはキャリア阻止するための材料を含むことができる。電子輸送材料として挙げられるのは、例えば
Liq(8−ヒドロキシチノリノレート−リチウム)、TPBi(2,2’,2''−(1,3,5−ベンジントリル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール))、PBD(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、BPhen(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、BAIq(ビス−(2−メチル−8−チノリノレート)−4−(フェニルフェノレート)アルミニウム)、TAZ(3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール)、CzSi(3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール)、NTAZ(4−(ナフト−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール)、Bpy−OXD(1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリド−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾール)、BP−OXD−Bpy(6,6’−ビス[5−(ビフェニル−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2,2’−ビピリジル)、PADN(2−フェニル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)−アントラセン)、Bpy−FOXD(2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリド−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル]−9,9−ジメチルフルオロレン)、OXD−7(1,3−ビス[2−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾール)、HNBphen(2−(ナフト−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、NBphen(2,9−ビス(ナフト−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、3TPYMB(トリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリド−3−イル)フェニル)ボラン)および2−NPIP(1−メチル−2−(4−(ナフト−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−f][1,10]フェナントロリン)ならびに上記の材料の混合物である。(同時にエキシトン阻止層および/または正孔阻止層として使用することの可能な)電子輸送層に対し、TPBi、BCP、Bphen、CzSiおよびTAZからなる群ならびこれらの材料の混合物からなる群から有利な材料を選択する。
【0052】
正孔輸送材料として、例えば、NPB(N,N’−ビス(ナフト−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、β−NPB(N,N’−ビス(ナフト−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン)、TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン)、N,N’−ビス(ナフト−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,2−ジメチルベンジジン、スピロ−TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン)、スピロ−NPB(N,N’−ビス(ナフト−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン)、DMFL−TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチルフルオレン、DMFL−NPB(N,N’−ビス(ナフト−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチルフルオレン)、DPFL−TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニルフルオレン)、DPFL−NPB(N,N’−ビス(ナフト−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニルフルオレン)、Sp−TAD(2,2’,7,7’−テトラキス(n,n−ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン)、TAPC(ジ−[4−(N,N−ジトリル−アミノ)−フェニル]シクロヘキサン)、スピロ−TTB(2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジ−トリル)アミノ−スピロ−ビフルオレン)、BPAPF(9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ビフェニル−4−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン)、スピロ−2NPB(2,2’,7,7’−テトラキス[N−ナフチル(フェニル)−アミノ]−9,9−スピロビフルオレン),スピロ−5(2,7−ビス[N,N−ビス(9,9−スピロ−ビフルオレン−2−イル)−アミノ]−9,9−スピロビフルオレン),2,2’−スピロ−DBP(2,2’−ビス[N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン)、PAPB(N,N’−ビス(フェナントレン−9−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン)、TNB(N,N,N’,N’−テトラ−ナフト−2−イル−ベンジジン)、スピロ−BPA(2,2’−ビス(N,N−ジ−フェニル−アミノ)−9,9−スピロビフルオレン)、NPAPF(9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ナフト−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン)、NPBAPF(9,9−ビス[4−(N,N’−ビス−ナフト−2−イル−N,N’−ビス−フェニル−アミノ)−フェニル]−9H−フルオレン)、TiOPC(チタンオキシド フタロシアニン)、CuPC(銅−フタロシアニン)、F4−TCNQ(2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8,−テトラシアノ−キノジメタン)、m−MTDATA(4,4’,4''−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、2T−NATA(4,4’,4''−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、1T−NATA(4,4’,4''−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、NATA(4,4’,4''−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、PPDN(ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル)、MeO−TPD(N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)ベンジジン)、MeO−スピロ−TPD(2,7−ビス[N,N−ビス(4−メトキシ−フェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン)、2、2’−MeO−スピロ−TPD(2,2’−ビス[N,N−ビス(4−メトキシ−フェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン)、β−NPP(N,N’−ジ(ナフト−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンゾール−1,4−ジアミン)、NTNPB(N,N’−ジ−フェニル−N,N’−ジ−[4−(N,N−ジ−トリル−アミノ)フェニル]ベンジジン)およびNPNPB(N,N’−ジ−フェニル−N,N’−ジ−[4−(N,N−ジ−フェニル−アミノ)フェニル]ベンジジン)または上記の材料の混合物が挙げられる。(同時にエキシトン阻止層および/または電子阻止層として使用することの可能な)正孔輸送層に対し、NPB、TCTA、TPD、Sp−TADおよびTAPCからなる群ならびこれらの材料の混合物からなる群から有利な材料を選択する。
【0053】
正孔注入を改善するために適切な材料として、例えばCuPC(フタロシアニン,銅錯体)、TiOPC(チタンオキシドフタロシアニン)、m−MTDATA(4,4’,4''−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン)、2T−NATA(4,4’,4''−トリス(N−(2−ナフタチル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、1T−NATA(4,4’,4''−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン)、NATA(4,4’,4''−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン)ならびに上記の材料の混合物が挙げられる。ここで示した材料には選択にドーピングを行うことができる。
【0054】
以下では、実施例および図に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明によるビーム放射装置の概略図である。
【図2】本発明による(部分層のない)OLED構造体の1実施形態のエネルギ準位を示す図である。
【図3】蛍光発生ビーム放射エミッタを備えた第1部分層と、りん光発生エキシトントラップを備えた第2部分層と有する本発明のOLED構造体の別の実施形態におけるエネルギ準位を示す図である。
【0056】
図1には、有機ビーム放射構成部材の概略層構造が示されている。下から上に向かって以下の層構造が実現されている。すなわち最も下側には基板1があり、この基板は、例えば透明とすることができ、またガラス製とすることも可能である。その上には下側電極層2があり、この電極層は、例えばインジウム−すず−酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物とすることができる。ここでこの下側電極層は、アノードまたはカソードとして機能することが可能である。この電極層2の上には正孔注入層3があり、この正孔注入層3そのものの上には正孔輸送層4が配置されている。正孔輸送層4の上には有機活性層、すなわち放射層5が配置されている。上記のブーム放射装置が1つ以上の放射層5を有する場合、第1放射層の上に別の複数の放射層が続き、これらの別の複数の放射は、場合によってエキシトン阻止層によって分離される。1つないしは複数の放射層状には正孔阻止層6があり、この正孔阻止層の上には電子輸送層7および最後に電子注入層8が配置されており、この電子注入層には上側電極9が接している。上側電極9は、例えば金属電極または別の透明電極とすることができ、この電極は、例えば、上で挙げた透明導電性酸化物のうちの1つから構成することができる。本発明によるエミッタ層の部分層を図示することは、わかり易くするために省略した。
【0057】
上側電極と下側電極との間に電圧を加えると、上記の構成部材を通って電流が流れ、上記の有機活性層では光子が遊離する。これらの光子は、光の形態で上記の透明電極ないしは複数の透明電極を介して上記の構成部材を離れる。
【0058】
本発明では放射層5にマトリクスに1つまたは複数のりん光発生エキシトントラップと、1つまたは複数の蛍光発生ビーム放射エミッタとが(後者は殊に低い濃度で)設けられている。
【0059】
このようなビーム放射構成素子の作製は、例えばつぎように行うことができる。すなわち、まずHFスパッタを用いてITO層がアノードとしてガラスプレートにデポジットされる。上記の別の機能層をデポジットするため、この基板は、受容器に入れられる。この受容器には複数の発生源が含まれており、この発生源では、(殊にエキシトントラップとして使用するため、ならびにビーム放射エミッタとして使用するための)有機材料を気化させて、ビーム放射装置の個々の機能層を作製することができる。さらに1つまたは複数の異なるマトリクス材料を供給するための1つまたは複数の発生源が設けられている。正孔注入層を構成するため、マトリクス材料を有する発生源と、Pドーパントを有する発生源とから一緒に上記のガラスプレートにデポジットが行われる。ここでこのガラスプレ度にはすでにアノードが設けられている。これに相応して正孔輸送層に対し、ドーパントおよびマトリクス材料が一緒にデポジットされる。続いて本発明によるエミッタ層のデポジットが行われる。このためにマトリクス材料、エキシトントラップおよび少なくとも1つのビーム放射エミッタ材料が一緒にまたは順次にデポジットされる。
【0060】
実質的に統計的に分散されたエキシトントラップ分子および蛍光発生エミッタの分子を有する1つの層を得るため、マトリクス材料、エキシトントラップおよびエミッタ材料を同時にデポジットする。本発明のエミッタ層内に部分層を作製するためには、エミッタ材料およびエキシトントラップを同時にはデポジットしない。例えば、まず同時にマトリクス材料および蛍光発生エミッタをデポジットし(第1部分層)、つぎにりん光発生エキシトントラップおよびマトリクス材料をデポジットし(第2部分層)、最後にマトリクス材料および蛍光発生エミッタをデポジットすることができる(第3部分層)。阻止層、電子輸送層および電子注入層などの別の得られる層のデポジットを同様に行われる。引き続いてアルミニウム層が反射電極として構成される。択一的には(上記の電極層を除き)湿式プロセス(例えばスピンコーティング)を用いて上記の種々異なる機能層を被着することも可能である。これは、上記の被着すべき層がポリマを含む場合には殊に理にかなっている。さらに湿式プロセスを用いて上記の最初に被着される層を被着し、これに続くすべての層を蒸着によって被着することも可能である。
【0061】
以下では青色を放射するOLEDを作製する例を示す。青色を放射するOLEDの概略構造は、図2および3に示されている。
【0062】
青色を放射するこのOLEDは、ITOアノードに被着された正孔輸送層を有しており、この正孔輸送層は、NPBからなり、厚さは30nmである。正孔輸送層の上には、厚さ10nmの、TAPCからなるエキシトン阻止層は配置されており、この層により、エミッタ層から効率の低い正孔輸送層へのエキシトンの輸送が回避される。LiF/Alからなるカソードには厚さ30nmの、TPBiからなる電子輸送層が配置される。この層そのものの上には10nmの厚さの、Bphenからなる層があり、この層はエキシトン阻止層および正孔阻止層として機能する。エミッタ層そのものには、マトリクス材料TCTAが含まれており、このマトリクス材料には、青色りん光発生エキシトントラップfac−Ir(cn−pmic)3(図2においてエネルギ準位は点によって示されている)と、青色蛍光発生エミッタDPAVBi(図2においてエネルギ準位は破線によって示されている)とが入れられている。上記のエミッタ層の層厚は30nmである。この場合にエキシトンは、まずマトリクス材料TCTA上で生成され、りん光発生エキシトントラップIr(pmb)3を介して蛍光発生エミッタDPAVBiに輸送され、ここでビームを放射して崩壊することができる。この実施例においてエキシトントラップの濃度は20重量%であり、これによってエキシトンが良好かつ直接的に形成され、またマトリクス材料において形成されたエキシトンがエキシトントラップに極めて良好に輸送される。さらに上記のエキシトンは、高い濃度に起因し、エキシトントラップ分子を介して蛍光発生エミッタ分子に良好に拡散することができる。
【0063】
上記のりん光発生エキシトントラップの3重項状態レベル(ならびに上記のマトリクスの3重項状態レベル)は、(マトリクスないしはエキシトントラップの)りん光の放射波長から計算することができる。上記の蛍光発生エミッタの1重項状態レベルは、室温において放射波長を測定することによって求めることができる。
【0064】
図3には、図2の構造に相応する構造が示されている。しかしながらここではエミッタ層は、3つの部分層から構成されている。りん光発生エキシトントラップfac−Ir(pmb)3は、(20重量%の濃度で)中央にある10nm厚の、マトリクス材料TCTAからなる層内にある。この層に隣接して、蛍光発生エミッタDPAVBiを有する、10nm厚の2つの層がそれぞれ配置されている。ここでエミッタ層の中央の部分層に隣接する、アノード側の部分層は、マトリクス材料TAPCを有しており、またこれに隣接するカソードの部分層は、マトリクス材料Bphenを有している。りん光発生エキシトントラップのエネルギ準位はそれぞれ点線によって示されており、蛍光発生エミッタのエネルギ準位は破線で示されている。したがってこの実施形態では、エキシトンは、マトリクス材料TCTAにおいて(ならびにエキシトントラップにおいて)形成され、それぞれ隣接する部分層との境界面の方向に移動し、エキシトンは蛍光発生エミッタ分子のマトリクス材料に渡されることがないため、これらの分子は、蛍光発生エミッタの1重項状態に移行してここで放射して崩壊することができる。
【0065】
本発明は、上記の実施例に基づく説明に制限されるものではない。むしろ本発明にはあらゆる新規の特徴ならびにこれらの特徴の任意の組み合わせが含まれるのであり、これには、殊に特許請求の範囲に記載した特徴の任意の組み合わせを含まれている。またこのことは、たとえ上記の特徴またはその組み合わせそのものが特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていないとしてもあてはまるのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム放射装置において、
− 基板(1)と、
− 第1電極(2)および第2電極(9)と、
− 当該の第1電極と第2電極との間に配置された、紫色または青色のスペクトル領域の光を放射する少なくとも1つのエミッタ層(5)とを有しており、
当該エミッタ層には、マトリクス材料と、当該のマトリクス材料を基準にして0.1ないし5重量%の蛍光発生ビーム放射エミッタと、1ないし30重量%のりん光発生エキシトントラップとが含まれており、
前記の蛍光発生エミッタの放射最大値およびりん光発生エキシトントラップの放射最大値は、青色、紫色または紫外線のスペクトル領域にあることを特徴とする
ビーム放射装置。
【請求項2】
前記のエミッタ層には少なくとも1つの第1部分層と、少なくとも1つの第2部分層とが設けられており、
前記の第1部分層には、マトリクス材料および蛍光発生ビーム放射エミッタが含まれているが、りん光発生エキシトントラップは含まれておらず、
前記の第2部分層には、マトリクス材料およびりん光発生エキシトントラップが含まれているが、蛍光発生ビーム放射エミッタは含まれていない、
請求項1に記載のビーム放射装置。
【請求項3】
前記のエミッタ層には、前記のマトリクス材料の他にはそれぞれ蛍光発生ビーム放射エミッタかまたはりん光発生エキシトントラップのいずれかだけを含む部分層は設けられていない、
請求項1に記載のビーム放射装置。
【請求項4】
前記のエキシトントラップは、前記のビーム放射エミッタよりも短い波長において放射最大値を有する、
請求項1から3までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項5】
前記のマトリクスの3重項状態レベルT1Matrixは、エキシトントラップの3重項状態レベルT1Exzitonenfaengerよりも高く、および/または
前記のエキシトントラップの3重項状態レベルT1Exzitonenfaengerは、前記のビーム放射エミッタの1重項状態レベルS1Emitterよりも高い、
請求項1から4までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項6】
前記の放射最大値の波長の差分は、最大でX−Ynmである、
請求項1から5までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項7】
前記のエミッタ層の平均寿命は、300cd/m2の輝度の場合、りん光発生エキシトントラップだけしか含まないエミッタ層に比べて少なくとも50%長い、
請求項1から6までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項8】
前記のエミッタ層の平均寿命は、300cd/m2の輝度の場合、少なくとも10000時間、有利には少なくとも20000時間である、
請求項1から7までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項9】
前記のエミッタ層(5)から放射されるビームは実質的に前記のビーム放射エミッタによって形成される、
請求項1から8までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項10】
前記のエキシトントラップの放射最大値の正規化された放射の強度は、前記のエミッタ層において前記のビーム放射エミッタの放射最大値の強度の最大20%、有利には最大10%である、
請求項1から9までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項11】
前記のエミッタ層(5)において前記のエキシトントラップ上での前記のエキシトン寿命の半減期は10μs以下である、
請求項1から10までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項12】
前記のエミッタ層(5)の外部量子効率ηextは、りん光発生エキシトントラップだけしたか含まないエミッタ層に比べて少なくとも20%高い、
請求項1から11までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項13】
緑色、黄色、橙色および/または赤色のスペクトル領域における光を放射する少なくとも1つの別のエミッタ層を有する、
請求項1から12までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。
【請求項14】
前記の第1エミッタ層(5)および少なくとも1つの別のエミッタ層によって放射されるビームを重ね合わせることによって白色光を放射する、
請求項1から13までのいずれか1項に記載のビーム放射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−524991(P2012−524991A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506506(P2012−506506)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055368
【国際公開番号】WO2010/122113
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】