説明

ビールの後発酵および/または貯蔵、および/または移送、および/または分配のためのユニット

本発明は食品産業に関する。温度技術制御を提供するため、ビールの後発酵および/または貯蔵、および/または移送、および/または分配のためのユニットが、冷却ジャケットに流入する液体を冷却可能な冷却ユニットを含んで成り、この冷却ジャケットは保護ハウジングの内部に取り付けられ、または保護ハウジングの外部に配置されてこれに堅く接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品産業に関し、低エネルギー醸造装置の後発酵用ユニットに適用でき、また未濾過の(または濾過されていない)ビールの製造、貯蔵、移送および分配(またはディスペンス)を構成(organize)するのに利用できる。
【背景技術】
【0002】
後発酵用ユニットは、ビール製造用装置に使用される冷却ジャケットを備えた等温容器を含むものとして知られている(ソビエト連邦特許第1817791号、クラスC12C 13/00、1992年3月12日を参照のこと)。しかしながら、既知の装置の構造は固定式であって、未濾過のビールを分配および/または販売箇所へ操作的に移送するのに用いることはできず、充填およびパッキングするための追加の操作を要する。
【0003】
特許請求の範囲に記載のユニットと技術的本質の点で最も近い従来技術は、冷却ジャケットとハウジングとを備える等温容器を含んで成り、操作的接続および分離が可能であり、ならびに出来上りのビールをその分配箇所および/または販売箇所へ、または、後発酵段階にあるビールをその分配および/または販売の可能性のある後発酵の他の箇所へ移送できる後発酵用ユニットである(ロシア特許第2171834号、クラスC12C 13/00、2000年11月9日を参照のこと)。
【0004】
しかしながら、既知のユニットは、後発酵および/または移送、固定式冷却システムのない分配および/または販売箇所での貯蔵および/または分配において、温度を技術的に管理(または制御)していない。更に、既知のユニットでは、ユニットからビール分配用バルブまでの送給部(ビールパイプライン)の冷却は行われない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、後発酵および/または移送、分配および/または販売箇所での貯蔵および/または分配において、温度の技術的管理を提供し、ならびに、ユニットからビール分配用バルブまでのビール送給部(ビールパイプライン)の温度の技術的管理を提供するという課題に基づいてなされたものである。
【0006】
この課題は、断熱材で覆われ、および保護ハウジングの内部に配置される冷却ジャケットを備える容器を含んで成る、ビールの後発酵および/または貯蔵、および/または移送、および/または分配のためのユニットにより解決され、本発明によれば、これは冷却ジャケットに流入する液体を冷却可能な冷却ユニットを含んで成り、冷却ユニットは保護ハウジングの内部に取り付けられ、または保護ハウジングの外部に配置されてこれ(保護ハウジング)に堅く接続される。
【0007】
更に、冷却ユニットは圧縮器−凝縮器ユニットを含んで成り、その蒸発器が断熱容器内に配置され、断熱容器を通じて冷却される液体が、ポンプにより、冷却ジャケットを通っているクローズドループに沿って流される。更に、このユニットは、ビールの分配のための連通部(またはビール分配用連通部)、ならびに連通部との操作的接続および分離のための機能バルブおよびジョイントであって、対応するパイプラインによって容器の内部空間および冷却ユニットに連通する機能バルブおよびジョイントを備える。ビールの分配のための連通部には、その(連通部の)長さに亘って配置され、およびポンプを介して冷却ユニットに連結される冷却ループが備えられ、上記連通部およびループは一般的な断熱ハウジングで覆われている。
【0008】
この技術的解決策の本質は、上述のように提案したユニットの実現により、後発酵においておよび移送において、ならびに固定式冷却システムのない分配および/または販売箇所での貯蔵および/または分配において、必要な温度の技術的管理を行うことが可能となる点にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ビールの後発酵および/または貯蔵、および/または移送、および/または分配のためのユニットは、冷却ジャケット2を備える容器1を含んで成り、これらは断熱材3で覆われ、および保護ハウジング4の内部に配置されている。このユニットは冷却ユニットを更に含んで成り、冷却ユニットは冷却ジャケット2に流入する液体を冷却可能であり、および圧縮器−凝縮器ユニット5を含んで成り、圧縮器−凝縮器ユニット5の蒸発器6は断熱容器7内に配置され、断熱容器7を通じて冷却される液体が、ポンプ8により、冷却ジャケット2を通っているクローズドループに沿って流されるようになっている。
【0010】
冷却ユニットは保護ハウジング4の内部に取り付けられるか、保護ハウジング4の外部に配置されて保護ハウジング4に堅く接続される。
【0011】
このユニットには、ビール分配用連通部9、ならびに連通部9との操作的(または操作による)接続および分離のための機能バルブ10−1...10−4およびジョイント11−1...11−4が備えられ、機能バルブ10−1...10−4およびジョイント11−1...11−4は、対応するパイプライン12−1...12−4によって容器1の内部空間および冷却ユニットに連通する。
【0012】
ビール分配用連通部9(その送給部−パイプライン)には、連通部9の長さに亘って配置され、およびポンプ8を介して冷却ユニットに連結される冷却ループ13が備えられる。上記連通部9およびループ13は一般的な断熱ハウジング14で覆われている。
【0013】
容器1は、容器1の内部空間の上部と連通する圧力ゲージ16が取り付けられるカバーを備えるネック部15を有し、ならびに、容器1の内部圧力をサポート(または付加)するための過給(supercharging)のパイプライン12−4に通じる開口部を有する。パイプライン12−4の反対側の端部には、例えば過給用ガスタンクなどとの操作的接続のための機能バルブ10−4がジョイント11−4と共に備えられる。容器1の下部には、機能バルブ10−1およびジョイント11−1を通して製品(若ビール(グリーンビール)または出来上りのビール)を充填(注ぎ入れ)または排出(注ぎ出し)するためのパイプライン12−1に通じる開口部17が備えられる。ジョイント11−1には、分配および/または販売箇所において、ビール出口にバルブ18を有するビール分配用連通部9が結合される。更に、ビール分配用連通部9に結合しているとき、バルブ10−2および10−3ならびにパイプライン12−2および12−3を通じて断熱容器7と結合しているジョイント11−2および11−3により冷却ループ13がつながり、これにより、冷却された液体がポンプ8により冷却ジャケット2およびループ13に入るように流れる。
【0014】
冷却ジャケット2のためのループと、ビール分配用連通部9を冷却するためのループ13とには、端部にある栓19を外すとループにつながるパイプラインの開口部から液体が予め充填される。
【0015】
よって、特許請求の範囲に記載のユニットは、操作的接続および分離が可能であり、ならびに、出来上りの未濾過のビールを(収容した状態で)分配箇所および/または販売箇所へ、または後発酵段階にあるビールを(収容した状態で)その分配および/または販売の可能性のある後発酵の他の箇所へ、その味覚性を保持することを保証しつつ移送することが可能である。
【0016】
更に、追加の外部冷却源を用いることなく、ユニットを長距離移送することおよびこれを比較的長期間貯蔵することの機会が提供される。
【0017】
このユニットは以下のようにして操作される。
【0018】
後発酵のために若ビールをユニットに充填する前に、製品空間全部を殺菌し、入念に洗浄しなければならない。
【0019】
例えば開口部17を通じた充填の後、ユニットを密閉し(さねはぎ、溝もしくは切込みで継ぐ:rabbeted)、主発酵の技術過程を経た若ビールを0...+2℃の温度に冷却する。過給およびガス排出用のバルブ10−4にジョイント11−4を介して、酸ガスのガスタンクおよび圧力調整器(図1に示さず)が接続される。
【0020】
ビールの後発酵において放出される酸ガス、または必要であれば別個の供給源(ガスタンク)から過給のパイプライン12−4を通じて得られる酸ガスによって生じる容器1内のゲージ圧力にて、およびポンプ8のスイッチオン操作により液体を冷却ジャケット2のループに通して供給することで得られる、冷却ユニットの断熱容器7からの冷却された循環液体(例えば水)によりサポートされる0...+2℃のビール温度にて、後発酵の技術過程が起こる。
【0021】
この液体は、断熱容器7内に組み込まれる蒸発器6、例えばフレオン蒸発器により冷却され、フレオン供給および熱除去は圧縮器−凝縮器ユニット5により行われる。
【0022】
この温度にてビールは数週間で熟し、圧力ゲージ16でモニターされる所定の圧力にて可溶性酸ガスが飽和した完全に準備の整った状態になる。
【0023】
ビールが熟した後、準備ができた製品を収容したユニットは貯蔵し、あるいは分配および/または販売箇所に移送してよい。
【0024】
長期間の移送の場合、例えば移送しようとするときから、冷却ユニットのポンプ8および圧縮器−凝縮器ユニット5をスイッチオンにして、ユニット内のビールを冷却し続けてよい。
【0025】
ビールの貯蔵、またはその販売および/または分配の際、冷却ユニットを動作せさるためにユニットは現地の電源に接続される。更に、分配用連通部9および過給用ガスタンクが接続される。
【0026】
ジョイント11−1...11−4を接続した後、バルブ10−1...10−4を開いて、ビールを分配用連通部9に通してビール分配用バルブ18へと供給し、および冷却ユニットからの循環液体によりループを冷却する。ビールを出すとき、パイプライン12−4からの過給により、容器1内の圧力が一定に保たれる。冷却ユニットは、ビールの販売の間中ずっと、バルブ18が閉じられているときにも、容器1内のビールを冷却する。
【0027】
以上のようにして、提起された技術的課題は、提案するユニットでは解決される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
提案するユニットの上記利点により、食品産業において、特に、未濾過のビールの製造、貯蔵、移送および分配を構成する場合に、幅広い利用の可能性が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は提案するユニットの構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材(3)で覆われ、および保護ハウジング(4)の内部に配置される冷却ジャケット(2)を備える容器(1)を含んで成る、ビールの後発酵および/または貯蔵、および/または移送、および/または分配のためのユニットであって、冷却ジャケット(2)に流入する液体を冷却可能な冷却ユニットを含んで成り、冷却ユニットは保護ハウジング(4)の内部に取り付けられ、または保護ハウジング(4)の外部に配置されてこれに堅く接続されることを特徴とするユニット。
【請求項2】
冷却ユニットが圧縮器−凝縮器ユニット(5)を含んで成り、圧縮器−凝縮器ユニット(5)の蒸発器(6)が断熱容器(7)内に配置され、断熱容器(7)を通じて冷却される液体が、ポンプ(8)により、冷却ジャケット(2)を通っているクローズドループに沿って流されることを特徴とする、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
ビールの分配のための連通部(9)、ならびに連通部(9)との操作的接続および分離のための、対応するパイプライン(12−1...12−4)によって容器(1)の内部空間および冷却ユニットに連通する機能バルブ(10−1...10−4)およびジョイント(11−1...11−4)を備えることを特徴とする、請求項1および/または2に記載のユニット。
【請求項4】
ビールの分配のための連通部(9)には、その長さに亘って配置され、およびポンプ(8)を介して冷却ユニットに連結される冷却ループ(13)が備えられ、該連通部(9)およびループ(13)は一般的な断熱ハウジング(14)で覆われていることを特徴とする、請求項3に記載のユニット。

【図1】
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【公表番号】特表2008−515456(P2008−515456A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536643(P2007−536643)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/RU2005/000275
【国際公開番号】WO2006/078188
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(506202386)フィフス・オーシャン・エンジニアリング・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】FIFTH OCEAN ENGINEERING LIMITED
【Fターム(参考)】