説明

ピッキングシステム

【課題】作業者がピッキング作業中であっても、次のオーダーの集品箱が自ゾーンに来るまでの時間が把握できるように、作業者にとって視認し易い状態で次のオーダーの集品箱の位置を知らせる。
【解決手段】複数のピッキング作業領域の各作業ゾーン(Z1、Z2、・・・)に配置されたピッキング作業者110が、該各作業ゾーン(Z1、Z2、・・・)に貯蔵された物品30を、所定方向から順次搬送されてくる集品箱51の中に、投入指示のオーダーに従って投入するピッキングシステム101であって、各作業ゾーン(Z1、Z2、・・・)に配置されたピッキング作業者110が現在行っているピッキング作業の次オーダーの集品箱51の現在位置に関する情報を表示する次オーダー搬送位置表示手段25が、各作業ゾーン(Z1、Z2、・・・)の所定位置に視認可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流などにおける配送センターや倉庫等において、集品あるいは配送のために指定された物品を収納する集品箱(集品箱ケース)を指示することにより、ピッキング(仕分け)作業を正確且つ迅速に行うためのピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流における各種物品の配送センターや倉庫においては、指定物品の集品や仕分け作業が行われる。この作業は、例えば配送センターにおいては、顧客の注文に応じた物品をピッキングして集品箱である集品箱ケース(以下において、単に「集品箱」と略称する)に収納する、いわゆるピッキング作業が行われる。
【0003】
このようなピッキング作業の基本的な形態は、例えばベルトコンベヤなどの集品箱搬送手段をこの搬送手段の移動方向に沿って複数の作業ゾーンに区画し、各作業ゾーンには他の作業ゾーンとは異なる種類の物品を積んだピッキングラックを配設するとともに、各作業ゾーン専属の作業者(作業者)を配置し、ピッキング指示に基づいて各作業者が配置された自分の作業ゾーンのラックから指示された物品をピックアップして、ベルトコンベヤにて搬送されてくる集品箱に収納する作業を行うものである。
【0004】
しかしながら、前掲の基本的なピッキング作業では、作業者が集品箱や物品を間違えたり、物品を収納しないうちに集品箱が搬送されてしまうなどのトラブルが発生することがある。そこで、物品の収納間違い等の不都合を解消するべく、これまでに各種のピッキングシステムが提案され用いられてきている。
【0005】
特許文献1に開示されたピッキング方法について図9を参照して簡単に説明する。
特許文献1に開示されたピッキング方法は、図9に示されるように、ベルトコンベヤ4に沿って所定間隔おいて配置された複数のガイドランプL1〜L15を備えるオーダー表示器21を各ゾーンに配設し、集品箱51がピッキング対象物品が貯蔵されたゾーン(以下ピッキングゾーンと略称する)を通過する際に、ガイドランプL1〜L15が集品箱51の移動に同期して順次点灯して作業者にピッキング対象の集品箱を認識させる構成である。
【0006】
このピッキング作業における従来のピッキングシステムの動作について概略説明をする。
作業ゾーンZ1がピッキングゾーンである場合を想定して説明すると、先ず、各作業ゾーン毎に1個設けられたインジケータであるベイ表示器9の表示灯が点灯し、この作業ゾーンZ1においてピッキングが必要であることを、作業ゾーンZ1に配置された作業者に報知するのと同時に、物品毎に設けられたアイテム表示器10がランプ点滅などによりピッキング対象物品を指示するとともに、その数量を表示する。
【0007】
一方、オーダー表示器21は、ピッキングの作業ゾーンZ1に順次搬入されてくる集品箱51のうちピッキングの対象となる集品箱51aが搬送されてくると、ガイドランプL1〜L15のうち集品箱51aの集品箱長(搬送方向の長さ)に相当する個数分(ここでは例えば3個のL6、L7、L8)を単位として、しかも集品箱51aの移動に追従して順次点灯して作業者に報知する。
【0008】
作業者は、ピッキング対象の集品箱51aをオーダー表示器21で認識するとともに、アイテム表示器10の表示に従って作業ゾーンZ1にあるラックから物品をピッキングして集品箱51aに収納する。このようにランプ追跡型ピッキング方法とすることで、集品箱の誤認や、物品の種類や数量の間違いといったピッキングミス防ぐように工夫されている。
【0009】
このように構成されたピッキングシステムは、物品の投入対象である集品箱51aを認識し易くすることで、物品の投入ミスを防ぐ工夫がなされている。
【0010】
【特許文献1】特開2005−187167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のようなピッキングシステムにおいては、作業者はピッキング作業を終えて、リセットボタンを押すことにより、ガイドランプはピッキング作業対象としていた集品箱のところが消灯し、次の集品箱を示すように点灯が切り替わる。
【0012】
ところが、リセットボタンを押さないと次のオーダーの集品箱の位置が分からないため、ラインを止めないためには、作業者は常に次のオーダーの集品箱がすぐに来てしまう場合を想定して、常に急いでピッキング作業を行う必要がある。
【0013】
しかしながら、オーダーの集品箱が未だ自ゾーンから離れた作業ゾーンにある場合には、時間に余裕があるので、ピッキング作業を急ぐ必然性は無い。また、作業者にとっては、常に急いでピッキング作業をしなければならないという心理的な圧迫を受ける。このため、作業ミスにつながるおそれがある。
【0014】
また、近年、個人顧客向けのピッキングを行う例が増加している。このようなピッキングシステムにおいては、物品1つのみの投入がほとんどであるため、複数の物品を投入することはごく稀である。このため、複数の物品を投入があった場合に、作業者が投入ミスをするおそれがある。
【0015】
また、従来のピッキングシステムおいては、作業者がピッキングラック内の物品が数個もしくはゼロになっても、その残り数が正しいかを把握できず、次の表示数が表示された時点で不足していることが判明すると、その補充の為にライン全体を停止しなければならなかった。
【0016】
本発明の課題(目的)は、作業者がピッキング作業中であっても、次のオーダーの集品箱が自ゾーンに来るまでの時間が把握できるように、作業者にとって視認し易い状態で次のオーダーの集品箱の位置を知らせることができるピッキングシステムを提供することにある。
また、本発明の別の課題(目的)は、投入指示が、複数個の投入若しくは複数種類の投入か、あるいは物品1個の投入かを、作業者が容易に認識することができるピッキングシステムを提供することにある。
また、本発明のさらに別の課題(目的)は、ピッキング作業中において極めて平易に残数の表示をすることで残数が不足する前に予め物品を補充でき、ライン停止といった最悪な事態を回避することができるピッキングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るピッキングシステムは、複数のピッキング作業領域の各作業ゾーンに配置されたピッキング作業者が、該各作業ゾーンに貯蔵された物品を、所定方向から順次搬送されてくる集品箱の中に、投入指示のオーダーに従って投入するピッキングシステムであって、
前記各作業ゾーンに配置されたピッキング作業者が現在行っているピッキング作業の次オーダーの集品箱の現在位置に関する情報を表示する次オーダー搬送位置表示手段が、前記各作業ゾーンの所定位置に視認可能に設けられていることを特徴とする(請求項1)。
上記ピッキングシステムにより、次オーダーの集品箱の位置を表示し作業者に次オーダーのピッキング作業を認識させる先行表示が可能となり、作業者は、次のピッキング作業までの時間を予測確認することがきるので、現在のピッキング作業に余裕ができて正確なピッキング処理を行うことができる。したがって、不用意なコンベヤの停止を行うことなくライン全長に亘り定常的な確実なピッキングが行なわれる。また、自分の作業ゾーン若しくは当分の時間に次オーダーの集品箱が存在しない場合など、従来は作業者が何の行動もとれずに次の集品箱を待つだけであったのが、次のピッキング作業を行うべき集品箱の位置が把握出来る先行表示により、次のピッキング指示に対する準備がし易くなることにより、無駄な待機時間が無くなり効率良くピッキング作業ができる。
【0018】
本発明に係るピッキングシステムは、請求項1において、前記次オーダー搬送位置表示手段が表示する次オーダーの集品箱の現在位置に関する情報は、次オーダーの集品箱が作業者のいる自ゾーンからどれだけ離れているかを示す相対位置の情報であることを特徴とする(請求項2)。
上記ピッキングシステムにより、次オーダーの集品箱が作業者のいる自ゾーンからどれだけ離れているかが直ちに把握できるので、次のピッキング作業までの時間予測が容易にできる。
【0019】
本発明に係るピッキングシステムは、請求項1又は2において、前記次オーダー搬送位置表示手段は、次オーダーのゾーン位置表示手段及び/又は次オーダー接近警告表示手段を備えることを特徴とする(請求項3)。
上記ピッキングシステムにより、作業者へ次オーダーが接近していることを警告すること及び/又は次オーダーのゾーン位置を示すことができる。
【0020】
本発明に係るピッキングシステムは、複数のピッキング作業領域の各作業ゾーンに配置されたピッキング作業者が、該各作業ゾーンに貯蔵された物品を、所定方向から順次搬送されてくる集品箱の中に、投入指示のオーダーに従って投入するピッキングシステムであって、
前記各作業ゾーンにおける前記物品の投入指示に際して、インジケータランプの表示により、複数個の投入若しくは複数種類の投入の時は、物品1個を投入するときの表示とは異なる表示を行うようにしてピッキング作業を認識させることを特徴とする(請求項4)。
上記ピッキングシステムにより、投入指示が、複数個の投入若しくは複数種類の投入か、あるいは物品1個の投入かを、作業者が容易に認識することができ、今度はいつもと違う作業であるとの認識が予めできるので、間違った作業を防止することができる。
【0021】
本発明に係るピッキングシステムは、複数のピッキング作業領域の各作業ゾーンに配置されたピッキング作業者が、該各作業ゾーンに貯蔵された物品を、所定方向から順次搬送されてくる集品箱の中に、投入指示のオーダーに従って投入するピッキングシステムであって、
1つの作業ゾーン内のピッキングラックに貯蔵された物品の種類毎に設置され、ピッキング指示に対応してピッキング数量を表示するアイテム表示器を備え、該アイテム表示器に対する特定の操作によって、作業中において物品の残数を表示する残数確認表示機能を前記アイテム表示器に付加したことを特徴とする(請求項5)。
上記ピッキングシステムにより、ピッキング作業中においてアイテム表示器に対する特定の操作によって極めて平易に残数の表示をすることができるので、残数が不足する前に予め補充でき、ライン停止といった最悪な事態を回避することができ、作業性を向上させることができる。
【0022】
本発明に係るピッキングシステムは、請求項5において、前記アイテム表示器に対する特定の操作後、所定の時間が経過したら通常表示に戻ることを特徴とする(請求項6)。
上記ピッキングシステムにより、物品の残数を確認を行っても、直ちにピッキング作業に戻ることができるので、作業性をほとんど損なうことなく物品の残数確認ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1から図8を参照して本発明に係るピッキングシステム及びこのシステムを実施可能なピッキング用表示装置の一実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るピッキングシステムの一部を示す概略平面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るピッキングシステムの要部ブロック図である。図3は、本発明の実施の形態に係るピッキングシステムの拡大斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係るピッキングシステムのピッキングラックを示す斜視図である。図5は、本発明の実施の形態に係るピッキングシステムのアイテム表示器の正面図である。図6は、本発明の実施の形態に係るピッキングシステムのピッキング表示装置である次オーダー搬送位置表示手段の一例を示す模式図である。図7は、本発明の実施の形態に係るピッキングシステムのピッキング表示装置である次オーダー搬送位置表示手段の他の一例を示す模式図である。図8は、ピッキングラックが複数配置された場合の平面図である。
【0024】
図1に示すように、このピッキングシステム101においては、ピッキングする物品を保管するピッキングラック18と、集品箱51を搬送するベルトコンベヤ4とが隣接して配置されている。
【0025】
また、集品箱51を搬送するベルトコンベヤ4に沿って複数の指示ランプ装置24(図2参照)やリセットスイッチ22(図2参照)等を備えた表示手段23が設けられており、ベルトコンベヤ4上を搬送される集品箱51に追随して点灯するようになっている。
【0026】
そして、複数に区分けされたピッキングの作業ゾーン(Z1、Z2、Z3、Z4、・・・)毎に配置された作業者110が、アイテム表示器10によって指示された情報に基づいて物品をピッキングし、各ピッキングした物品をガイドランプL1〜Lnの指示に従って集品箱51内に投入してリセットスイッチ22を押すことにより順次ピッキングを行う。
【0027】
また、本実施の形態においては、各作業ゾーンには、集品箱51の搬送位置を知らせる次オーダー搬送位置表示手段25が設けられている。この次オーダー搬送位置表示手段25により、次に投入すべき物品の集品箱51の位置を表示し作業者(ピッキング作業者)にピッキング作業の混み具合を予め認識させることができる。
【0028】
図2を用いてピッキングシステムの主要構成を説明する。
図2において、このピッキングシステムは、ベルトコンベヤ4を物品の種類を基に区分した複数の作業ゾーンのうちの第1作業ゾーンZ1と全体の制御系を示したものであり、実際には作業ゾーンZ1に示した機器がベルトコンベヤ4に沿って区分した作業ゾーン毎に設けられている。
【0029】
以下、図2を参照してピッキングシステムの全体構成と基本的動作を説明し、次いで各部の構成及び作用を順次説明する。
図2に示すホストコンピュータ1は、システム全体を総合的に制御するものであり、ホストコンピュータ1に関連してプリンタ2、操作卓3、ランプコントローラ12が設けられている。
【0030】
そして、操作卓3の操作によりベルトコンベヤ4、コンベヤ速度制御器5、ベルト移動検出器6、発進灯7、発進フォトスイッチ8、インジケータランプであるベイ表示器9、アイテム表示器10、オーダー表示器21、指示ランプ装置24等を備えた表示手段23等を所定動作に制御し得るように構成されている。
また、ベルトコンベヤ4は本発明でいう搬送手段に相当するものであり、ベルトコンベヤ4上には集品箱51が順次載置され、図中に矢印で示した方向、即ち図1の下方(上流)から上方(下流)へ搬送されるように構成されている。
【0031】
1つの作業ゾーン当りのコンベヤ搬送方向の長さは、特に限定するものではないが例えばピッキングラックが1つの場合には1.8m程度に設定することができる。
この範囲内に搬送されてきた集品箱51のうち、ピッキング作業を行うものについての搬送位置が指示ランプ装置24に設けられたガイドランプLにより表示される。
また、オーダー表示器21には、例えばピッキングするオーダーナンバーを表示できるように構成されている。
【0032】
図2には便宜上3個のアイテム表示器10が示されているが、実際には1つの作業ゾーン内のピッキングラックに貯蔵された物品の種類毎に設置され、ピッキング指示に対応してピッキング数量を数字により表示するように構成されている。したがって、このアイテム表示器10の設置数は、1つの作業ゾーン内の物品の種類数に対応する。
【0033】
ここで本実施の形態における指示ランプ装置24および次オーダー搬送位置表示手段25について説明する。
本実施の形態の指示ランプ装置24は、図1、図2および図3に示すように、ベルトコンベヤ4に沿って等間隔に配置された複数のガイドランプL(L1,L2,〜L15)を備えている。この指示ランプ装置24はベルトコンベヤ4に隣接してリセットボタン22と平行に配置されている。
【0034】
このリセットボタン22は作業ゾーンZ1の幅とほぼ同じ程度に長い長尺なボタンであり、長尺状のタッチセンサ(作業者がタッチ操作を行う)により形成された構成であり、作業者110がどこを押してもリセット操作ができるように構成されている。
【0035】
また、ピッキングラック18は、例えば図4に示すように物品30を収納するケース26を複数配置(図4の例では3段に配置)するもので、アイテム表示器10は各段の前面の横枠28に配置されている。
アイテム表示器10は、図5に拡大して示すように、表示部10aとリセットスイッチ16とを備える。
【0036】
また、本実施の形態においては、次オーダーの集品箱51の次オーダー搬送位置表示手段25が作業者110とはベルトコンベヤ4を挟んで反対側、すなわち、物品の投入側に視認可能に設けられている。このような構成により、この次オーダー搬送位置表示手段25は作業者110にとって見易く確認しやすい配置となっている。
【0037】
この次オーダー搬送位置表示手段25は、図6に示すように、例えば、次オーダー接近警告表示手段である表示ランプ25aと、次オーダーのゾーン位置表示手段25bとを備えている。
【0038】
次オーダー接近警告表示手段である表示ランプ25aは、次オーダーが接近していることを警告するような表示手段であり、ランプの色と表示形態(点灯、点滅など)を組み合わせて接近警告に関する複数の意味を持たせている。例えば、橙色と緑色のいずれかが点灯可能な表示ランプを使用して、次オーダーがまだ遠いときは緑色で点灯し、次オーダーが接近した場合に作業者110に注意を喚起する橙色の点灯に変わり、さらに近づいた場合は点滅してより注意を惹くようにするなどとする。
【0039】
また、次オーダーのゾーン位置表示手段25bは、例えば、複数の表示セグメントで構成されたディスプレイデバイスであり、図6の例では、電子機器で一般的に数値等を表示するのに使われる7セグメントディスプレイ3個で構成される。そして、表示セグメントの点灯パターンを変えて、次オーダーのゾーン位置を示している。
【0040】
次オーダーが現在どのゾーンにあるか示す表示方法としては、絶対位置を数字で表示する(例えばZ3ゾーンにあるなら「3」と表示)方法でもよいが、作業者にとっては、自ゾーンとの相対位置が分かった方が都合が良いので、自ゾーンのいくつ前のゾーンまで来ているかを表示する方が望ましい。
【0041】
また、単に数字で相対位置を示すよりは、図6のように、表示セグメントの点灯パターンを変えることによって、作業者110がより直感的に把握しやすくなる。また、数字で表示すると作業者110が物品の数量やオーダーナンバーなどと混同するおそれがあるので、上記のような表示セグメントの点灯パターンによる表示とする方が望ましい。
【0042】
図6に示す表示例では、(a)、(b)、(c)の順に、次のオーダーの集品箱51の位置が自ゾーン近くなっている。
図6(a)は、次のオーダーの集品箱51が2ゾーン上流にある場合の表示であり、表示ランプ25aは緑色で点灯し、ゾーン位置表示手段25bは、図のようなパターンのセグメントが点灯している。
図6(b)は、次のオーダーの集品箱51が自ゾーンのすぐ前のゾーンにある場合の表示であり、表示ランプ25aは橙色で点灯し、ゾーン位置表示手段25bは、図のようなパターンのセグメントが点灯している。
図6(c)は、次のオーダーの集品箱51がすでに自ゾーンにある場合の表示であり、表示ランプ25aは橙色で点滅し、ゾーン位置表示手段25bは、図のようなパターンのセグメントが点灯している。
【0043】
なお、3ゾーン以上上流に次のオーダーの集品箱51がある場合は、上記(a)、(b)、(c)とは異なる表示形態とすればよい。その場合、3ゾーン上流、4ゾーン上流、・・・、と位置が細かく分からなくてもよい(例えば、表示ランプ25aを消灯、かつ、ゾーン位置表示手段25bの全セグメントを消灯する)。なぜならば、実際の作業上、作業者110にとっては、次のオーダーの集品箱51がある程度接近したときの位置を判別できればよいからである。
【0044】
上記図6の(a)〜(c)などの表示方法により、次のオーダーの集品箱51がどこまで来ているかを、作業者110がより直感的に把握することができる。なお、表示方法は、図6の表示例に限定されるものではなく、様々な表示方法をとることができる。
【0045】
また、表示ランプ25aの表示色は他の色でもよい。また、ゾーン位置表示手段25bは、他の形態のものでもよく、例えば、図7に示すように、長さが異なる複数のセグメントが並んだディスプレイとし、次のオーダーの集品箱51が自ゾーンに近づくに従って、点灯するセグメントが少なくなっていく、などの表示方法などでもよい。
【0046】
本実施の形態においては、各作業ゾーン(Z1、Z2、Z3、・・・・)には、ベイ表示器9が各作業ゾーン毎に1個ずつ設けられる。
このベイ表示器9の表示灯が点灯することにより、その作業ゾーンにおいてピッキングが必要であることを作業者110に報知する。
このベイ表示器9は、図4に示すように、例えばピッキングラック18の右枠の中段の位置に比較的大きなランプとして設けることが出来る。
【0047】
次に、本実施の形態に係るピッキングシステムの動作を容易に理解し得るようにここで概略を説明する。
指示ランプ装置24のガイドランプL1〜Lnは自ゾーン用オーダーケース表示手段に相当するものであり、ピッキングの対象となる集品箱51の搬送に対応して上流から下流に向かって順次点灯し集品箱51を特定する。
【0048】
作業者は、指示ランプ装置24のガイドランプL1〜Lnの点灯に対応する集品箱51Aにアイテム表示器10に表示された物品を収納し、アイテム表示器10に設置されているアイテム表示器用リセットスイッチ(図示省略)を押す。
アイテム表示器10に表示された全ての物品を収納し、アイテム表示器10に設置されているアイテム表示器用のリセットスイッチ16を押した後、指示ランプ装置24のリセットスイッチ22を押す。
【0049】
なお、前述のアイテム表示器10に表示された全ての物品30をピッキングラック18から取り出す前に、リセットスイッチ22を押した場合には、集品箱51Aに対応する指示ランプ装置24のガイドランプL1〜Lnは消灯せずに、全ての物品が収納し終えていない事を作業者に認識させることができる。
【0050】
また、次オーダー搬送位置表示手段25には、ホストコンピュータ1から送信された次オーダーの集品箱51の現在位置に関する情報が表示される。
例えば、次のオーダーの集品箱51が2ゾーン上流にあるとき、表示ランプ25aが緑色で点灯し、ゾーン位置表示手段25bは、図6(a)のパターンのセグメントが点灯する。次に、自ゾーンのすぐ前のゾーンにきたら、表示ランプ25aは橙色の点灯に変わり、ゾーン位置表示手段25bは、図6(b)の点灯パターンに変わる。そして、自ゾーンに入った段階で、表示ランプ25aは橙色で点滅し、ゾーン位置表示手段25bは、図6(c)の点灯パターンに変わる。
そして、現在作業中のオーダーへの物品30の投入が全て完了し、作業者110がリセットスイッチ22を押下し、作業が次オーダーへ切り替わると、次オーダー搬送位置表示手段25の表示は、さらに次のオーダーの表示に切り替わる。
【0051】
よって、作業者110は、次オーダー搬送位置表示手段25を視認することにより、ピッキング作業を行いながら、次オーダーの集品箱51の現在位置に関する情報をリアルタイムで容易に得ることができる。
【0052】
各ガイドランプを接続するデータバス13は、デージーチェーン接続ラインと共通パーティーラインの2種類の信号ラインより構成され、パーティーラインは各ガイドランプのオン/オフ情報、ランプの点灯色情報、ブザーのオン/オフ情報及び各ランプの動作状況情報と電源供給に使用されており、デージーチェーン接続ラインは各ガイドランプが各情報を取り込むためのタイミング情報に使用されている。
これら2種類の信号ラインをランプコントローラ12が同期を取りながら制御することができ、各ガイドランプはアドレスなどの設定をすることなく、全く同仕様で設置できる。
【0053】
次に、本実施の形態におけるピッキング作業・動作について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0054】
先ず、ホストコンピュータ1は、操作卓3の操作により図示を省略した記憶手段に制御プログラムや顧客情報を格納し、且つ読み出してピッキング動作を行うと共に、他のコンピュータ情報に基づいてピッキングが行い得るように構成されている。ピッキング開始に際しては、操作卓3に設けたディスプレイ装置に注文番号情報を表示し、オペレータが表示内容と出荷指示伝票とを照合し、ミスの有無をチェックする。
【0055】
そして、ピッキングを開始する場合は、準備完了を示す発進灯7を点灯させ、次いで集品箱供給部4a上に集品箱51を載置すると共に、出荷指示伝票を各顧客毎の集品箱51に入れる。
【0056】
集品箱51は、集品箱供給部4aからベルトコンベヤ4上に搬送されるが、発進フォトスイッチ8の前を通過した時点で発進フォトスイッチ8からスイッチ信号が発生する。このスイッチ信号はホストコンピュータ1に供給され、集品箱51がベルトコンベヤ4上に搬送されたことを確認するとともに、集品箱51の長さも計測し得るようにする。
【0057】
そして、発進灯7を消灯すると共に、各顧客の注文に応じて準備された集品箱51の制御をピッキング領域全体にわたって開始するようになる。
【0058】
すなわち、ホストコンピュータ1からデータバス11を介して各ゾーンのベイ表示器9に制御信号が供給される。そして、ベイ表示器9からアイテム表示器10にアイテム信号が供給され、オーダー表示器21にオーダー信号が供給されるとともに、ホストコンピュータ1からランプコントローラ12を経由してデータバス13を介して指示ランプ装置24に信号が送信される。
【0059】
ここで、作業ゾーンZ1においてピッキングが必要であるとすれば、ベイ表示器9の表示灯が点灯し、この作業ゾーンZ1においてピッキングが必要であることを作業者に認識させる。
【0060】
また、ピッキングすべき区分に設置されたアイテム表示器10がランプ点滅などによりピッキング指示を行い、その数量を表示することができる。また、次オーダー搬送位置表示手段25により、次のオーダーの集品箱51の相対位置(作業までの時間認識)を認識できる。
【0061】
指示ランプ装置24は、ピッキングの対象となる集品箱51が搬送されてくると、自分の作業ゾーンのガイドランプL1〜Lnのうち、その集品箱51の位置に対応したガイドランプ(集品箱51の長さに合わせて複数個)を点灯させて認識させる。
【0062】
更に、指示ランプ装置24は、ベルトコンベヤ4の移動によりピッキング対象の集品箱51が上流から下流に移動するのに同期して、集品箱51長に合った個数分のガイドランプL1〜Lnを点灯する。
【0063】
この検出信号は、ホストコンピュータ1に供給され、ホストコンピュータ1は新たにランプコントローラ12に対してベルトコンベヤ4上の集品箱51の位置情報と、それに対応するピッキング状態情報とを送信し、それを受けてランプコントローラ12が、各ガイドランプL1〜Lnのオン/オフ制御を行うように設定されている。
【0064】
なお、上記検出信号は、移動距離に応じて複数入力され、ホストコンピュータ1によってタイミングを判断している。その結果、ガイドランプL1〜L15が、集品箱51の搬送に追随して順次点灯し、集品箱51を特定する。
【0065】
次に、ピッキング終了後の動作について詳細に説明する。
なお、ピッキング終了後は、次のピッキングを行う必要があるか否かによって3つの動作が行われる。
【0066】
先ず、作業者は、一つの集品箱51に対するピッキングが完了する度に、ベルトコンベヤ4に沿って設けられたリセットスイッチ22にタッチすることによりこの集品箱51に対するピッキング及び収納が全て完了したことをホストコンピュータ1に通知する。
前述したように、このリセットスイッチ22は長尺状で、ガイドランプL1〜Lnに沿って設けられ、何れの位置にタッチすることができる。そして、作業者がピッキングの都合により作業ゾーンZ1内の何れの位置に居ても簡単に完了通知を行うことができる。
【0067】
リセットスイッチ22がオンされることで、ホストコンピュータ1にピッキング完了情報が通知され、ホストコンピュータ1にアイテム表示器10が全てリセットされていることが通知されていれば、集品箱51に追随して点灯していた指示ランプ装置24の各ガイドランプL1〜Lnが消灯する。
【0068】
一方、次の集品箱51が、2ゾーン上流にのゾーンに入ると、表示ランプ25aが緑色で点灯し、ゾーン位置表示手段25bは、図6(a)のパターンのセグメントが点灯する。次の集品箱51が、自ゾーンのすぐ前のゾーンにきたら、表示ランプ25aは橙色の点灯に変わり、ゾーン位置表示手段25bは、図6(b)の点灯パターンに変わる。そして、次の集品箱51が、自ゾーンに入った段階で、表示ランプ25aは橙色で点滅し、ゾーン位置表示手段25bは、図6(c)の点灯パターンに変わる。
【0069】
なお、ピッキングすべき集品箱51が最下流、すなわち、指示ランプ装置24のガイドランプL15の位置まで搬送されたにも関わらずリセットスイッチ22がオンされない場合は、ベルトコンベヤ4はホストコンピュータ1により停止するように制御されている。
【0070】
以上、詳述した本発明の実施の形態に係るピッキングシステムによれば、次オーダーの集品箱の位置を表示し作業者に次オーダーのピッキング作業を認識させる先行表示が可能となり、作業者は、次のピッキング作業までの時間を予測確認することがきるので、現在のピッキング作業に余裕ができて正確なピッキング処理を行うことができる。したがって、不用意なコンベヤの停止を行うことなくライン全長に亘り定常的な確実なピッキングが行なわれる。また、自分の作業ゾーン若しくは当分の時間に次オーダーの集品箱が存在しない場合など、従来は作業者が何の行動もとれずに次のピッキング対象の集品箱を待つだけであったのが、次のピッキング作業を行うべき集品箱の位置が把握出来る先行表示により、次のピッキング指示に対する準備がし易くなることにより、無駄な待機時間が無くなり効率良くピッキング作業ができる。
【0071】
以上に、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、ベイ表示器9あるいはアイテム表示器10に対して、以下の変形例1〜3を適用することも可能である。
【0072】
(変形例1:ベイ表示器)
前述の実施の形態に対して適用可能なベイ表示器の変形例について説明する。
本変形例では、上述の実施の形態において各作業ゾーン(Z1、Z2、Z3、・・・・)に設けられたベイ表示器9に対し、物品の投入指示が複数個の投入若しくは複数種類の投入の時は、物品を1個を投入するときの表示とは異なる表示とするように制御する。例えば、物品の投入が1つのときは点灯し、1つ以外の時は点滅するように制御する。
【0073】
本変形例のベイ表示器9によれば、多くの場合のピッキング作業において、1つの投入が行われているときに複数個投入指示があったときに異なった表示をすることで、今度はいつもと違う作業であるとの認識が予めできるので、間違った作業を防止することができる。これは、通常において複数個のピッキング作業を行っていて1個の投入指示がある場合においても同様である。
特に、個人顧客向けのピッキングが多いピッキングシステムにおいては、物品1つのみの投入がほとんどであるため、複数の物品を投入することはごく稀である。よって、点滅するようにして、作業者110に注意を促すことは非常に有効である。
【0074】
(変形例2:アイテム表示器の変形その1)
上述の実施の形態に対して適用可能なアイテム表示器の変形その1について説明する。
本変形例は、図8に示すように、作業者110が多品種のピッキングを行うシステムにおいても有効な装置である。
図8に示すように、8つのピッキングラック18を一人で受け持つ広い作業ゾーンにおいて、ベルトコンベヤ4で搬送されてくる集品箱51に投入すべき物品の最終ピッキングを行ったときに、リセットスイッチ16を押すことで、アイテム表示器10にはピッキング終了を示す終了表示(例えば、“END”と表示する)が行われるように構成されている。
この終了表示によれば、ピッキングした物品が最後物品であるかを認識させるエンド表示がされるので、作業が完了したか否かを瞬時に認識でき、広い作業ゾーンを見渡すなどの行為を行う必要がなくなり、作業効率並びに正確性を格段に向上する。
【0075】
(変形例3:アイテム表示器の変形その2)
また、前述の実施の形態に対して適用可能なアイテム表示器の変形その2について説明する。本変形例のアイテム表示器10は、作業中において物品30の残数を確認する残数確認表示機能を付加したものである。
【0076】
従来においては、作業者110がピッキングラック18内の物品30が数個もしくはゼロになっても、その残り数が正しいかを把握できず、次の表示数が表示された時点で不足していることが判明すると、その補充の為にライン全体を停止しなければならなかった。
しかしながら、本変形例の残数確認表示機能により、残数が不足する前に予め補充でき、ライン停止といった最悪な事態を回避することができ、作業性を向上させることができる。
【0077】
本変形例のアイテム表示器10では、残数の表示を特定の操作によって極めて平易に表示することができる。この特定の操作とは、例えば、アイテム表示器10のリセットスイッチ16を通常とは違って長く押し続けた時に、通常はピッキング表示をしている表示部10aにて残数が表示される。
また、この残数表示は、リセットスイッチ16を押圧解除してから所定時間(例えば3秒間)が経過したら通常表示に戻るように設定される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係るピッキングシステムの一部を示す概略平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るピッキングシステムの要部ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るピッキングシステムの拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るピッキングシステムのピッキングラックを示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るピッキングシステムのアイテム表示器の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るピッキングシステムのピッキング表示装置である次オーダー搬送位置表示手段の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るピッキングシステムのピッキング表示装置である次オーダー搬送位置表示手段の他の一例を示す模式図である。
【図8】ピッキングラックが複数配置された場合の平面図である。
【図9】従来のピッキングシステムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ホストコンピュータ
2 プリンタ
3 操作卓
4 コンベヤ
5 コンベヤ速度制御器
6 ベルト移動検出器
7 発進灯
8 発進フォトスイッチ
9 ベイ表示器
10 アイテム表示器
10a 表示部
12 ランプコントローラ
16 リセットスイッチ
18 ピッキングラック
21 オーダー表示器
22 リセットスイッチ
23 表示手段
24 指示ランプ装置
25 次オーダー搬送位置表示手段
25a 表示ランプ(次オーダー接近警告表示手段)
25b 次オーダーのゾーン位置表示手段
30 物品
51 集品箱
L1〜Ln ガイドランプ
110作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピッキング作業領域の各作業ゾーンに配置されたピッキング作業者が、該各作業ゾーンに貯蔵された物品を、所定方向から順次搬送されてくる集品箱の中に、投入指示のオーダーに従って投入するピッキングシステムであって、
前記各作業ゾーンに配置されたピッキング作業者が現在行っているピッキング作業の次オーダーの集品箱の現在位置に関する情報を表示する次オーダー搬送位置表示手段が、前記各作業ゾーンの所定位置に視認可能に設けられていることを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
前記次オーダー搬送位置表示手段が表示する次オーダーの集品箱の現在位置に関する情報は、次オーダーの集品箱が作業者のいる自ゾーンからどれだけ離れているかを示す相対位置の情報であることを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記次オーダー搬送位置表示手段は、次オーダーのゾーン位置表示手段及び/又は次オーダー接近警告表示手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
複数のピッキング作業領域の各作業ゾーンに配置されたピッキング作業者が、該各作業ゾーンに貯蔵された物品を、所定方向から順次搬送されてくる集品箱の中に、投入指示のオーダーに従って投入するピッキングシステムであって、
前記各作業ゾーンにおける前記物品の投入指示に際して、インジケータランプの表示により、複数個の投入若しくは複数種類の投入の時は、物品1個を投入するときの表示とは異なる表示を行うようにしてピッキング作業を認識させることを特徴とするピッキングシステム。
【請求項5】
複数のピッキング作業領域の各作業ゾーンに配置されたピッキング作業者が、該各作業ゾーンに貯蔵された物品を、所定方向から順次搬送されてくる集品箱の中に、投入指示のオーダーに従って投入するピッキングシステムであって、
1つの作業ゾーン内のピッキングラックに貯蔵された物品の種類毎に設置され、ピッキング指示に対応してピッキング数量を表示するアイテム表示器を備え、該アイテム表示器に対する特定の操作によって、作業中において物品の残数を表示する残数確認表示機能を前記アイテム表示器に付加したことを特徴とするピッキングシステム。
【請求項6】
前記アイテム表示器に対する特定の操作後、所定の時間が経過したら通常表示に戻ることを特徴とする請求項5に記載のピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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