説明

ピッキングシステム

【課題】迅速にピッキング作業をすることが可能なピッキングシステムを提供すること。
【解決手段】移動可能なカートと、該カートに載置されたコンテナと、該コンテナに対応して設けた計量手段を備え、上位装置から指示されたピッキング指示情報に基づき指示された物品をコンテナに投入するピッキングシステムにおいて、前記指示された物品に関するピッキング作業が完了すると計量手段で計量された重量値をリセットする第1のリセット手段と、該第1のリセット手段のリセット後で、次の物品のピッキング作業を実行する前に第1のリセット手段にて重量値がリセットされたときよりも重量値が増加しているかを判断する判断手段と、該判断手段により重量が増えていると判断したときのみ、計量手段で計量された重量値をリセットする第2のリセット手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位の管理装置からの指示に基づき所定数の物品を所定の陳列棚から取り出し、移動可能なカートに搭載されたコンテナへ投入するピッキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
データ受信手段及び表示手段等を備えたピッキングカートを多数の物品陳列が配置された倉庫内を移動させながら、データ受信手段で上位の管理装置から送信される指示データを受信し、表示手段に表示し、該表示された指示データに基づき物品のピッキング作業を行うピッキングシステムは知られている。そして、このようなピッキングシステムでは、次の商品のピッキング指示を受けて、その指示された場所へピッキングカートを移動し、その移動先で指示された商品の個数分をカートの計量部の上に置かれたコンテナに投入し、その一つの作業が終るとその計量部をゼロリセットしている。このように計量部をゼロリセットすることで、次に指示を受けてコンテナに追加して投入された商品の重量と、その単位重量とに基づき前記追加された商品の個数を正しく算出できる。しかし、一つの作業が終了し次の指示の商品を投入する際、例えばコンテナ内の商品の配置状態や次に投入する商品の形状又は材質等によっては、次の商品をコンテナに投入する前に緩衝材等を入れてから次の商品が投入される場合もある。
【0003】
このように、次の商品をコンテナに投入する前に緩衝材が投入される場合があるので、指示された商品をコンテナに投入する前に再度、重量値をゼロリセットしてから次の商品をコンテナに投入することで、たとえ、次の商品をコンテナに投入する前に緩衝材等が投入されたとしても、次に投入された商品の正しい個数を計量部で出力された重量値から算出することが可能となる。
【特許文献1】特開2004−188242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように次の商品のピッキング指示を受け、カートを移動した直後に計量部をゼロリセットすると、移動直後ということで計量部が安定するまで待たなければゼロリセットができず、また、商品によっては緩衝材等の投入が不要なときもあるが、従来では常に次のピッキング作業前に計量部がゼロリセットされていたので、迅速にピッキング作業ができないという問題があった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、迅速にピッキング作業をすることが可能なピッキングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、移動可能なカートと、該カートに載置されたコンテナと、該コンテナに対応して設けた計量手段を備え、上位装置から指示されたピッキング指示情報に基づき指示された物品をコンテナに投入するピッキングシステムにおいて、指示された物品に関するピッキング作業が完了すると計量手段で計量された重量値をリセットする第1のリセット手段と、該第1のリセット手段のリセット後で、次の物品のピッキング作業を実行する前に第1のリセット手段にて重量値がリセットされたときよりも重量値が増加しているか否かを判断する判断手段と、判断手段により重量が増えていると判断されたときのみ、計量手段で計量された重量値をリセットする第2のリセット手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、重量値をリセットするとは、計量手段に搭載されたコンテナに一つのピッキング指示情報毎に物品を投入するが、一つのピッキング指示情報の物品の投入完了した時点の重量値を確定値として、次の物品の重量を計量するための区切りの重量としても良いし、或いは、その時点での物品の重量をコンテナと共に風袋引きして、ゼロとするいわゆるゼロリセットとしても良い。
【0008】
また、第1のリセット手段を実行する手段としては、例えば、作業の完了を宣言するキーを作業者が押下することで実行しても良いし、或いは指示された個数と同じ個数分の重量が計量手段から出力され、指示個数分の商品がコンテナに投入されたと判断された場合に自動的に実行するようにしてもよい。
【0009】
また、判断手段を実行するタイミングは、指示された次の商品のバーコードを読み取ったときに合わせて実行されても、その他、例えばピッキング開始を宣言するキー等を設け、該キーを次の商品をコンテナに投入する前に押下することで、第1のリセット以後、重量が増えているかを判断するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明は、上記ピッキングシステムにおいて、商品のバーコードを読み取り、該読み取った商品データがピッキング指示情報で指示された商品データと一致するか否かを判断する確認手段を有し、判断手段は確認手段が判断を実行する際に判断を実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記ピッキングシステムにおいて、コンテナと該コンテナに対応する計量手段と、をそれぞれ識別可能に複数有し、ピッキング指示情報に、複数のコンテナのうち物品を投入するコンテナの識別情報を有し、確認手段での確認の際、ピッキング指示情報に含まれるコンテナに対応する計量手段が第1のリセット手段にて重量値がリセットされたときよりも重量値が増加しているか否かを判断し、第2のリセット手段は該ピッキング指示情報に含まれているコンテナに対応する計量手段の重量値をリセットすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記ピッキングシステムにおいて、第2のリセット手段が実行を許容する増加重量値を設定する増加重量値設定手段と、増加重量値が増加重量値設定手段で設定された増加重量値以下の場合に、第2のリセット手段を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、作業が完了したとき、通常、カートは移動せずに安定している状態にて第1のリセット手段で計量手段がリセットされるので、迅速にリセットがされ、更にカートの移動後、緩衝材等が投入されて重量が増えている場合のみカートの移動後に第2のリセット手段により計量手段から出力される重量値がリセットされるので、第1のリセット後、重量が増えていない場合(緩衝材等が投入されない場合)には、計量手段から出力される重量値は第2のリセット手段によりリセットされないから、不要なリセット動作の時間を待つ必要がなく迅速にピッキング作業をすることが可能になる。
【0014】
請求項2の発明によれば、商品のバーコードを読み取り、指示された商品データとピッキング作業を開始しようとする商品とが一致するか否かを判断する際に、第1のリセット後に重量が増えているかが判断されるので、重量が増えているかを確認する操作を別途行う必要が無く、また、該操作のし忘れもなく操作性が向上する。
【0015】
請求項3の発明によれば、カートにコンテナと該コンテナに対応する計量手段が複数あるような場合でも、投入指示がされたコンテナに対応する計量手段についてのみ第1のリセット手段にて重量値がリセットされたときよりも重量値が増加しているかを判断し、第2のリセット手段はピッキング指示情報に含まれるコンテナに対応する計量手段のみの重量値をリセットするように制御されるので、必要な計量手段のみをリセットすることになり処理が速くなり、迅速なピッキング作業が可能になる。
【0016】
請求項4の発明によれば、増加重量値が増加重量設定手段により設定された設定重量値以上の場合に、第2のリセット手段の実効を中止するので、例えば緩衝材を置く前に次のピッキング商品を置いてしまった等、誤った重量値に基づ重量値がリセットされてしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るピッキングシステムに用いるピッキングカートの構成例を示す図である。
【図2】本発明に係るピッキングシステムの全体システム構成を示す図である。
【図3】ピッキングカートのシステム構成を示す図である。
【図4】ピッキングカートが受信するピッキングを指示する指示データの例を示す図である。
【図5】ピッキング作業の操作フローを示す図である。
【図6】ピッキングカートの表示部の表示例を示す図である。
【図7】ピッキングカートの表示部の初期画面の表示例を示す図である。
【図8】ピッキング作業におけるピッキングカートの表示部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。物品(商品)のピッキング作業には、倉庫内の陳列棚に物品が並んでいて、指示された商品を該陳列棚から取り出し、カートに搭載されているコンテナに収納する所謂摘み取り方式ピッキングと、カートに物品(商品)が載置されており、棚が例えば納品先毎に分けられており、該棚に物品を納めていく、所謂種蒔き方式ピッキングがあるが、本発明に係るビッキングシステムは摘み取り方式ピッキングに使用される。
【0019】
そして、主にスーパーマーケット等からの注文により日用品をピッキングするもので、扱われる日用品である商品は後述する一回に使用する緩衝材の重量より重い重量である。また、緩衝材はカートにおけるコンテナ内に敷かれるものなので、一回の使用は概ね10g以下と軽量である。また、緩衝材としてポリエチレンの膜で空気を包み込んだ無数の気泡をシート状にしたいわゆるプチプチ(登録商標)等を必要量だけ使用するものである。
【0020】
図1は本発明に係るピッキングシステムに用いるピッキングカートの構成例を示す図で、図1(a)は側面図、図1(b)は正面図(矢印A方向から見た図)である。図1に示すように、1台のピッキングカート10は、上下2段に仕切られ、下段には2台の台秤11、12、上段には2台の台秤13、14が設けられている。図示は省略するが台秤11〜14の各々には折り畳みコンテナ等のピッキングした物品を収容するコンテナ41〜44を搭載できるようになっている。
【0021】
ピッキングカート10には押すためのハンドル15が設けられ、該ハンドル15の前方(正面)には作業者がピッキングカート10を押しながらピッキングのため指示データ等の各種データを見ることが出来るように第1表示部16が設けられている。また、ピッキングカート10の側部にはピッキング作業を行いながら、指示データ等の各種データを見ることが出来るように第2表示部17が設けられている。また、ピッキングカート10の上部側部にはプリンタ18が設けられている。このプリンタ18ではピッキングした物品を収容するコンテナに貼り付けるラベル等を発行できるようになっている。また、図示は省略するが、第1表示部16内には上位の管理装置と通信するためのアンテナが設けられている。更に、図示は省略するがピッキングする物品のバーコードを読み取るためスキャナーが設けられている。
【0022】
図2は本発明に係るピッキングシステムのシステム構成例を示すブロック図である。各ピッキングカート10−1、10−2、・・・10−nは、無線ルータ101を介して管理装置100と通信可能になっている。無線ルータ101はルータ機能を有するアクセスポイントで、無線LAN102と有線LAN(図示せず)と同時の接続が可能となっている。
【0023】
図3はピッキングカート10のシステム構成を示すブロック図である。ピッキングカート10は、CPU20、RAM21、ROM22、第1表示部16、第2表示部17、充電電源部23、通信部24、第1計量部(台秤13)25、第2計量部(台秤14)26、第3計量部(台秤11)27、第4計量部(台秤12)28、スキャナー30、プリンタ18、及びスピーカー部31を備えている。CPU20は、各種演算を実行し、ピッキングカート10の各部を制御する。RAM21にはCPU20によって読み出されたデータ等、CPU20が処理を行う上で利用するフラグやレジスタ、管理装置100から送信されるピッキングのための指示データ等が記憶され、第1計量部25、第2計量部26、第3計量部27、第4計量部28から出力され、該出力された計量値から予め設定されたコンテナ分の風袋重量を減算した重量値が記憶される領域を有する。ROM22には、CPUが動作するためのプログラムが記憶されており、それぞれの計量部が安定すると、一定時間間隔で該安定した重量値から前記コンテナ分の風袋重量が減算された重量値を前記RAM21の領域にそれぞれ記憶するようプログラムされている。
【0024】
第1表示部16は図1に示すように、ハンドル15の前方(正面)に設けられ、液晶タッチパネルとして構成されている。また、第2表示部17はピッキングカート10の側面に設けられ、第1表示部16と同様に液晶タッチパネルとして構成されている。充電電源部23は、充電されたピッキングカート10に搭載されている各機器に電源を供給する。通信部24は、図2に示すように、上位の管理装置100と無線LAN102にて通信する。スキャナー30は物品に付されているバーコードを読み取るために設けられている。第1計量部25〜第4計量部28には上記のように折り畳み式の等のピッキングした物品を収納するコンテナ41〜44が搭載されている。また、プリンタ18は各コンテナに貼り付けるラベルやピッキングした実績を印字して発行する。スピーカー部31はエラーを音で知らせるために設けられている。
【0025】
ピッキングカート10の各計量部(台秤)に搭載されるコンテナNoは1つの納入先を示している。上位の管理装置100は多数の店舗等から受ける大量の注文データに基づき、同じピッキングカート10でピッキング作業を行なう際、移動距離が短く、効率のよいピッキング作業ができるような指示データを生成して各ピッキングカート10へ送信する。
【0026】
図4はピッキングカート10が受信するビッキングを指示する指示データの例を示す。図示するように、指示データには、「コンテナNo」、「ロケーションNo」、「商品名」、「JANコード(バーコード情報)」、「総指示数」、「入り数」、「単位重量(g)」、「ケース風袋重量」、「基準個数」、「納品先情報」、「物品投入位置」がある。ここで「単位重量(g)」とはピッキングする物品の単位重量である。
【0027】
また、「物品投入位置」とは、指示データ毎の当該指示された物品をどのコンテナに投入するかを示す情報である。ピッキングカート10のコンテナが搭載される上段の台秤13(第1計量部25)を「A」、台秤14(第2計量部26)を「B」とし、下段の台秤11(第3計量部27)を「C」、台秤12(第4計量部28)を「D」としている。また、「ロケーションNo」は、物品が配置されている位置を示す位置情報で倉庫内を一定の規則で各棚と棚内の物品の位置を特定できるように割り振られたものである。そして、各作業員はロケーション情報を熟知しているので、表示部16、17に表示されるロケーション情報を見ることで、移動先を理解することができる。また、各棚にはロケーション情報が視認可能なようにラベル等に印字され貼付されているので該ラベルを見て、指示された棚へ移動可能である。
【0028】
1つの指示データ毎に(図4の一行毎)に1つの物品(商品)が特定され、それぞれJANコードや総指示数、1ケースに収納されている物品の入り数、物品の単位重量、ケース単位重量、減算或いは加算表示形態にするための基準個数、物品の投入位置情報(A、B、C、D)が設定されている。つまり、最上位行の商品名シャンプA、B、Cは、Aのコンテナの位置、つまり、第1軽量部25の上に置くことが指示データに含まれていることになる。
【0029】
図5はピッキング作業の操作フローを示す図である。先ず、ピッキング作業の開始前にピッキングカート10の第1表示部16には、図6に示すように、「担当者番号」、「担当者名」、「パスワード」、「切替キー」、「テンキー」の画面が表示されている。先ずステップST1において、ピッキング作業の担当者が担当者番号を入力することにより、担当者番号の入力が受け付けられ第1表示部16には、図7に示すように、ロケーション情報や商品名等が表示されるロケーション/商品情報エリア、指示データが表示される指示データエリア、更に、各コンテナを示したコンテナ情報エリア、には何も情報が表示されていない初期画面が表示され、ステップST2へ進む。ステップST2では図7で表示されている「開始」キーが押下された信号を受信する。
【0030】
上記「開始」キーが押下されると、CPU20は通信部を介して管理装置100へ指示データを要求し、そしてCPU20は通信部24を介して管理装置100からピッキングのための例えば図4のような指示データを受信し、該指示データをRAM21の所定エリアに記憶する。そしてステップST3では、指示データのコンテナNo毎のラベルがプリンタ18から4枚発行される。各ラベルは各コンテナに対応しており、発行される4枚のラベルの隅にA、B、C、Dとそれぞれ搭載位置が印字されている。そしてピッキングカート10の上段はA、B、下段はC、Dと予め決まっているので、作業者(担当者)は発行されたラベルを搭載位置A、B、C、Dにあるコンテナの側面に貼り付ける。貼り付けられた各ラベルには、ピッキング指示データの各コンテナNo毎に設定されている納品先情報に基づき納品先の店名や支店などが印字される他、各コンテナNo、コンテナの搭載位置情報(Aか、Bか、Cか、Dかの情報)等がバーコード化され印字されている。
【0031】
ピッキングカート10の各コンテナが位置する場所にはそれぞれA、B、C、Dを示すバーコードが貼り付けられている。ステップST4では、上記ステップST3でコンテナに貼付けられたラベルのバーコードと、ピッキングカート10のA位置に貼付けられたラベルに印字されたバーコードとをスキャナー30で読み取り、コンテナの位置が間違っていないかどうかが確認される。そして上記と同様、ピッキングカート10のB、C、D位置に貼付けられたラベルに印字されたバーコードと該B、C、D位置に搭載されているコンテナの側面に貼付けられたラベルに印字されたバーコードとをスキャナー30で読み取り、コンテナの位置が間違っていないかどうかが確認される。
【0032】
上記ステップST4でのA、B、C、D全てのコンテナの対応付けの確認が済むと、ステップST5へ進む。ステップST5では、上記ステップST2で受信した指示データの初めの指示、例えば図4に示す受信したデータのうち、最上位行の指示データのロケーション情報である「シA−201」、当該指示の商品名である「シャンプA、B、C」、指示個数35、商品を投入すべきコンテナの位置「A」が表示される位置に指示個数「35」、商品投入コンテナの位置「A」が表示される位置に表示個数「35」が、第1表示部16と第2表示部17の両方に表示される。
【0033】
そして、指示データを受信したときの指示データに含まれる物品の投入位置情報に対応する計量部の重量値をRAM21から特定する。図4の最上位の指示データでは、コンテナ位置「A」へ商品を投入する指示データであるので、第1計量部25の重量を特定する。この場合、各計量部から出力された重量値からコンテナの重量値を風袋として減算した重量が記憶されているが、この場合では未だ商品は投入されていない、或いは前回のピッキング指示完了し、ステップST16で第1のリセットがされて、第1計量部25に相当する重量値は「0」gを特定し、「0」gをRAM21の所定領域に一時記憶する。そしてステップST6へ進む。ステップST6では、作業者が上記表示部に表示されたロケーションにピッキングカート10を移動し、当該ロケーションに位置する物品に付されているバーコードがスキャナー30で読み取られ、ステップST7へ進む。
【0034】
次に、ステップST7では、ステップST2で受信した指示データのJANコードと、物品に付されたバーコードから読み取ったJANコードが一致(商品一致)するか否を判断し、ノー(N)の場合は「商品が間違っている」旨のエラー表示をして、ステップST6に戻り、イエス(Y)の場合はステップST8に進む。ステップST8では、ステップST5で特定され一時記憶された計量部の重量値と、現在第1の計量部25から出力されRAM21の所定領域に記憶されている重量値とを比較し、重量値が増加したか否かを判断し、増加していない(N)場合は後述するステップST12に移行し、増加している(Y)場合はステップST9に移行する。この場合、前記ステップST5で一時記憶された「0」gと、RAM21の所定の領域に記憶する現在の第1の計量部25の重量値とを比較する。
【0035】
ステップST9では、重量値が増加しているので、例えば緩衝材等が投入されたと判断し、第1の計量部25から出力されたコンテナ分の重量を風袋引きした重量をゼロリセットするよう、第2のリセットを実行し、ステップST10に進む。本実施形態では、ステップST6で商品を確認してから指示された物品をコンテナへ投入することが運用上決っているので、重量が増加している場合は、必ず緩衝材が投入されることなる。ステップS10では、第1表示部16と第2表示部17の両方に第2のリセット中を表示し、ステップST11に移行する。ステップST11では、ステップST11から一定時間経過後、第2のリセット中の表示を消去してステップST12に移行する。
【0036】
ここでリセットとは、計量部11〜14に搭載したコンテナ41〜44に一つのピッキング指示情報毎に物品を投入していき、一つのピッキング指示情報に基づく物品の投入が終了する毎に、次のピッキング指示情報に基づき物品の投入が行われるが、一つのピッキング指示情報による物品の投入が完了した時点の重量を確定して、次のピッキング指示情報に基づく物品の重量を計量するための区切りのようなものであが、本実施形態では、リセットされた計量部の重量値をゼロとする、所謂ゼロリセットを実行する例である。
【0037】
ステップST12では、指示された物品を所定位置(本実施例ではA位置)にあるコンテナに投入するメッセージを第1表示部16と第2表示部17の両方に表示し、ステップST13に移行する。ステップST13ではCPU20がRAM21に記憶してある第1計量部25の重量値が指示数に単位重量を乗算した値に等しいかどうかを判断し(正しい重量かを判断)する。正しい重量(Y)である場合は、第1表示部16と第2表示部17の両方に、完了キー押すことを促す表示をさせ、ステップST15へ進む。正しい重量でない(N)の場合は、ステップST14へ進み、個数があっていない旨のエラーを表示し、正しい個数を投入する旨を第1表示部と第2表示部17の両方に表示する。
【0038】
ステップST15では、完了キーが押されると、RAM21に記憶する第1の計量部25に関する重量値をゼロリセットする(第1のリセット)。つまり、第1の計量部25の重量値をゼロとし、RAM21の所定エリアに記憶される第1の計量部25に投入された商品とコンテナの重量との両方を風袋として、第1の計量部25の重量値をゼロに上書きし記憶する。また、ステップST5で特定し一時記憶した「0」gをクリアする。また、該当するロケーションNoで作業したデータが管理装置100に送られる。この場合はピッキング総指示数の情報が送信され管理装置100の実績ファイルが更新される。
【0039】
次に、ステップST16では、ステップST2で受信しRAM21に記憶した指示データに次の指示データがあるか否かを判断し、ある(Y)場合は前記ステップST5に進み上記処理を繰り返す。また、指示データがない(NO)場合はステップST17に進む。
【0040】
ステップST17では、全ての作業が終了した旨が第1表示部16と第2表示部17の両方に表示され、ピッキングカート10を所定の位置まで移動させ、コンテナを所定の位置で降ろすよう指示される。
【0041】
以上のように、ステップST15で、完了キーが押されるときに、商品が投入されたコンテナに対応する計量部の重量値がゼロリセットされるが、このときは商品をコンテナに投入する作業が終了し、カートが止まっている状態なので計量部が安定しており迅速なゼロリセット処理が可能になる。
【0042】
また、ステップST5へ戻り、別のピッキング指示があり、別のロケーションへ移動し、次の商品のバーコードが読み取られたとき、ステップST15でゼロリセットされた時の重量値から重量値が増えているとステップST8で判断された場合のみ、緩衝材が投入されたと推定し、第2のリセットが実行される。このように、ピッキングカート10の移行後に実行される第2のリセットは、全ての商品に対して実行されるのではなく、第1のリセット後に重量が増えたときのみ実行される。換言すれば、第1のリセットから、次の商品のバーコードが読み取られるまでの間に、指定されたコンテナに物品等が載置されない場合は、重量が増えていないので改めて第2のリセットを実行する必要がないので、その処理をすることなく、次の物品の投入することができる。
【0043】
上記ピッキング作業の操作フローでは、ステップST8で第1の計量部25の重量値がゼロから増えているかを判断し、増えていれば第2のリセットを実行させる例にて説明したが、これに限らず、例えば増加量を判断し、一定の増加量以下の場合に、第2のリセットを実行するようにしてもよい。この場合、使用が想定される緩衝材の重量を予め設定する緩衝材重量設定手段を設け、増加している重量値が、該緩衝材重量設定手段で設定している緩衝材重量値以下の場合のみ、緩衝材と判断し、第2のリセットを実行するようにしてもよい。そして、その増加している重量値が、前記緩衝材重量設定手段で設定し重量値以上の場合には、緩衝材ではなく、例えば商品が投入されていると判断し、その旨を示すメッセージを第1表示部16と第2表示部17の両方に表示するようにしても良い。また、例えば、ゼロから重量値が増加しているかを判断するに際し、例えば風が当ること等により一定の重量値を示すことがあるので、緩衝材の重量にも満たない誤差範囲を設け、その誤差範囲内の増加量は重量が増加したものではないと判断するようにしても良い。
【0044】
また、カートに設けられる計量部の数は4つに限るものではなく、例えば1つあるいは2つであっても良い。
【0045】
また、上記ピッキング作業の操作フローでは、ステップST8で重量が増加していると判断されると、自動的に第2のリセット手段を実行する例を説明したが、これに限らず、リセットを実行するリセット実行スイッチを設けておき、ステップST8で重量が増加したと判断されたとき、該スイッチを押下するようメッセージを第1表示部16と第2表示部17の両方に表示し、該表示に基づき前記リセット実行スイッチが押下されたら第2のリセットを実行するように制御しても良い。
【0046】
また、カートに設けられた各計量部を任意のタイミングでゼロリセットさせる操作キーを設けるようにしても良い。
【0047】
また、上記の実施の形態では、ビッキングする商品として主に日用品を扱う例を示し、一回に使用する緩衝材の重さが商品の重さより軽い例を示したが、緩衝材の重さよりも軽い商品があったとしても、ピッキング作業の運用として、必ず緩衝材をコンテナに投入してから次の商品を投入することを徹底しておくことで、図5に示すフローのステップST8で重量が増えているか?を判断するだけで、この増量分は緩衝材の投入とすることができるので、第2のリセットを実行するようにしても正しいピッキング作業を行うことができる。
【0048】
なお、ピッキングをする商品を規定する商品ファイルを備え、商品毎に商品を識別するJANコードや値段等の他に、緩衝材を入れるべき商品であることを示すフラグを設定しておく。例えば、割れ易い商品や傷が付き易い商品の場合には、該フラグを設定しておく。そして、カートのコンテナに緩衝材を投入すべき商品に関するピッキング指示が送信され、その商品のバーコードが読み取られたとき、判断手段が重量が増えていないと判断した場合、「緩衝材を投入して下さい。」のメッセージを表示部に表示するように制御する。そして、該表示がされ、緩衝材が投入されて、重量が増えると、重量をリセットするキーが表示部に表示されて、該キーを押すことで第2のリセット手段が実行されるようにする。
【0049】
このようにすることで、不慣れな作業者が緩衝材を投入し忘れる場合でも、緩衝材の投入を促すメッセージが表示されるから、緩衝材を投入してから当該商品を投入することになるので、当該商品や他の商品を確実に保護することができる。また、緩衝材が必要な商品だけについてのみ、前記フラグが設定されるので、緩衝材が不要な商品については上記制御が実行されないので迅速なピッキング作業をすることが可能になる。
【0050】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ピッキング作業が完了した時点でカートは移動せずに安定している状態でピッキング作業完了宣言手段によりピッキング作業完了宣言がなされたら第1のリセット手段でゼロリセットがされるので、次のピッキング作業を迅速にすることが可能となり、またカートの移動後、緩衝材等が投入されて重量値が増える等の必要な場合のみカートの移動後に第2のリセット手段によりゼロリセットがされるので、緩衝材等が投入されない場合には、次の商品のスキャン時にはゼロリセットされないので迅速にピッキング作業をすることが可能なり、迅速にピッキング作業が実施できるピッキングシステムとして利用できる。
【符号の説明】
【0052】
10 ピッキングカート
11〜14 台秤
15 ハンドル
16 第1表示部
17 第2表示部
18 プリンタ
20 CPU
21 RAM
22 ROM
23 充電電源部
24 通信部
25 第1計量部
26 第2計量部
27 第3計量部
28 第4計量部
30 スキャナー
31 スピーカー部
100 管理装置
101 無線ルータ
102 無線LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なカートと、該カートに載置されたコンテナと、該コンテナに対応して設けた計量手段を備え、上位装置から指示されたピッキング指示情報に基づき指示された物品を前記コンテナに投入するピッキングシステムにおいて、
前記指示された物品に関するピッキング作業が完了すると前記計量手段で計量された重量値をリセットする第1のリセット手段と、
前記第1のリセット手段のリセット後で、次の物品のピッキング作業を実行する前に前記第1のリセット手段にて重量値がリセットされたときよりも重量値が増加しているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により重量が増えていると判断されたときのみ、前記計量手段で計量された重量値をリセットする第2のリセット手段と、
を備えたことを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のピッキングシステムにおいて、
商品のバーコードを読み取り、該読み取った商品データが前記ピッキング指示情報で指示された商品データと一致するか否かを判断する確認手段を有し、
前記判断手段は前記確認手段が前記判断を実行する際に前記判断を実行することを特徴とするピッキングシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のピッキングシステムにおいて、
前記コンテナと、該コンテナに対応する前記計量手段と、をそれぞれ識別可能に複数有し、
前記ピッキング指示情報に、前記複数のコンテナのうち物品を投入するコンテナの識別情報を有し、
前記確認手段での確認の際、前記ピッキング指示情報に含まれるコンテナに対応する計量手段が第1のリセット手段にて重量値がリセットされたときよりも重量値が増加しているか否かを判断し、前記第2のリセット手段は該ピッキング指示情報に含まれているコンテナに対応する計量手段の重量値をリセットすることを特徴とするピッキングシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のピッキングシステムにおいて、
前記第2のリセット手段が実行を許容する増加重量値を設定する増加重量値設定手段と、前記増加重量値が前記増加重量値設定手段で設定された増加重量値以下の場合に、前記第2のリセット手段を実行することを特徴とするピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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