説明

ピッキング作業実績表示システム、サーバ及び表示方法

【課題】物品が種類毎に仕分けされて格納されている物品棚において行われるピッキング作業の実態を把握するために必要な各種のデータを、管理者に提示する。
【解決手段】ピッキング作業者による作業完了操作を契機としてサーバに送信されるピッキングされた区画を特定するための情報から区画と物品とを求めて、ピッキング日時と区画及び物品の識別情報とを含むピッキング作業の履歴情報を生成してサーバに記憶しておき、前記履歴情報を検索することによって、管理者にピッキング作業実績に関する各種データを提供するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品棚や倉庫等から必要な物品を取り出すピッキング作業の実績を可視化するピッキング作業実績表示システム、サーバ及び表示方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、各種カスタマイズが可能な製品の組立て工程において、必要となる種々の部品をタイムリーに作業現場に供給するために、部品棚にそれらの部品を仕分けして格納しておき、生産計画に応じて必要な部品を必要な数量だけ部品棚からピッキングして作業現場に運搬する方法が採用されている。
このようなピッキング作業を自動化するには、自動倉庫やロボットを導入するなど多大な設備投資が必要であるため、多くの場合、ピッキング作業は作業員の人手によって行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、人手によって行われたピッキング作業の内容を照合するために、物品の種類を識別する無線タグの情報を読み取る方法が開示されているが、棚のどの位置から物品がピッキングされたのかという情報は収集されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−50851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピッキング作業の効率は、物品を探し易いように配置を決めたり、頻繁にピッキングされる物品をアクセスし易い場所に置いたり、一緒にピッキングされることが多い物品同士を近くに置いたり、といった工夫が為されているかどうかによって、大きく変化するが、物品の配置は作業者任せになっている場合が多い。しかし、従来は、適切な配置がなされているか否か、あるいは作業を改善する余地があるか否かを判断するための客観的なデータを管理者が入手することは困難であった。
【0006】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、ピッキング作業の実態を把握するために必要な各種のデータを、管理者に提示することができるピッキング作業実績表示システム、サーバ及び表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明では、物品をその種類毎に仕分けして格納しておくための複数の区画を有する物品棚に係るピッキング作業の実績を、ピッキング作業者による作業完了操作を契機としてサーバに送信されるピッキングされた区画を特定するための情報から区画と物品とを求めて、ピッキング日時と区画及び物品の識別情報とを含むピッキング作業の履歴情報を生成してサーバに記憶しておき、前記履歴情報を検索することによって、管理者にピッキング作業実績に関する各種データを提供するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品棚の管理者やピッキング作業者が、物品棚の各区画毎のピッキング回数、ピッキング数量、回転数など、ピッキング作業の実態を把握するために必要な各種のデータを容易に入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ピッキング設備の模式図である。
【図2】部品棚の正面図及びその部分拡大図である。
【図3】ピッキングリストの例を示したものである。
【図4】ピッキング作業実績表示システムの全体構成図である。
【図5】部品情報テーブルの構造及びデータ例を示したものである。
【図6】現品票管理テーブルの構造及びデータ例を示したものである。
【図7】区画管理テーブルの構造及びデータ例を示したものである。
【図8】棚割り管理テーブルの構造及びデータ例を示したものである。
【図9】ピッキング作業履歴テーブルの構造及びデータ例を示したものである。
【図10】部品補充作業手順を示すフローチャートである。
【図11】ピッキング作業手順を示すフローチャートである。
【図12】管理者用起動画面の表示例である。
【図13】棚割り状況表示画面の表示例である。
【図14】ピッキング回数表示画面の表示例である。
【図15】ピッキング回数表示画面の他の表示例である。
【図16】ピッキング数量表示画面の表示例である。
【図17】保管開始日/保管期限表示画面の表示例である。
【図18】出庫日時表示画面の表示例である。
【図19】回転数表示画面の表示例である。
【図20】部品ピッキング回数表示画面の表示例である。
【図21】部品保管開始日/払出完了日表示画面の表示例である。
【図22】区画ピッキング履歴表示画面の表示例である。
【図23】区画回転履歴表示画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態として、製造工場における作業現場に部品を供給するためのピッキング作業に本発明を適用した例について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0011】
図1は、製造工場において作業現場に必要な各種部品を供給するためのピッキング設備の一例を模式的に示したものである。
【0012】
図1に示した例は、ピッキング作業の対象となる物品として多種類の部品が種類毎に仕分けされて収納ボックスに収納され、そのような収納ボックスが複数の区画を有する物品棚である部品棚1に格納されており、当日の生産計画に基づいて作成されたピッキングリスト7が搬送用の空きコンテナ3aに添付されて届けられ、ピッキング作業者4が、届けられた空きコンテナ3aを1つずつ順番に作業台5の上に置いて、その中に、ピッキングリスト7によって指示された部品を指示された数量だけ取り出して収納していく作業形態を想定したものである。ピッキング作業が終了した作業済みコンテナ3bは、不図示の搬送担当者によって作業現場に搬送される。
【0013】
また、部品棚1への部品の補充は、補充用収納ボックス2aの中に納入ロット単位または部品毎に決められた所定の数量単位で部品が収納されて届けられ、部品棚1の空いている区画に届けられた補充用収納ボックス2aをそのまま格納することによって行われ、すべての部品がピッキングされて空になった空き収納ボックス2bは、部品棚1から取り出されて回収される。
【0014】
図2(a)は、一例として、5列×4段で最大20個の収納ボックス2が収容可能な部品棚1を模式的に示したものであり、図2(b)は記号Aで示した部分を拡大したものである。
【0015】
部品棚1は、棚板11によって複数段にわたって収納ボックス2を収容できるようになっており、各段は水平方向に複数の区画に分割されている。各区画には、その場所を識別するための区画アドレスが割り振られる。例えば、列を左から順にA列、B列、C列、・・・、段を上から順に1段目、2段目、3段目・・・というように区別するものとすれば、図2(a)の記号Aで示した左から2列目(B列)の最上段(1段目)の区画には「B−1」なる区画アドレスが割り振られる。以下、例えば、区画アドレスが「B−1」である区画を、区画「B−1」のように表記するものとする。
【0016】
図2(b)に示すように、棚板11の前面には、それぞれの区画に割り振られた区画アドレスが区画表示12として記載され、前もってそれぞれの区画アドレスと対応付けられた区画ICタグ番号が記録されている区画ICタグ13が貼付される。また、収納ボックス2には、現品票6を入れておくためのポケット21が備えられる。部品補充時には、収納ボックス2に収納されている部品8の内容を示す現品票6がポケット21に入れられた状態で届けられ、そのまま部品棚1に格納される。収納ボックス2が空になって回収されるときも、現品票6はポケット21に入れられたまま回収される。
【0017】
現品票6には、それぞれの現品票6を識別するために付される現品票番号、現品票6の発行日時、部品の種類を示す品名コード、部品を製造したメーカー名、部品を購入したときに付されたロット番号、部品の入庫数量などの情報が記載されるとともに、現品票6の発行時に前記現品票番号と対応付けられた現品票ICタグ番号が記録されている現品票ICタグ61が貼付される。
【0018】
図3は、ピッキングリスト7の様式と記載例とを示したものである。ピッキングリスト7は、コンテナ番号欄71、作業期限欄72、配送先欄73、部品内訳欄74などから構成される。
【0019】
コンテナ番号欄71には、このピッキングリスト7が添付され、ピッキングした部品を収納して搬送するための空きコンテナ3a(図1)の識別番号が記載される。作業期限欄72には、ピッキング作業を終了すべき期限の日時が記載される。配送先欄73には、ピッキング作業が終了したコンテナの配送先が記載される。
【0020】
部品内訳欄74はさらに、No.欄75、品名コード欄76、ピッキング数量欄77、備考欄78などから構成される。部品内訳欄74は、1行が1つの部品を表しており、No.欄75には行番号が、品名コード欄76には、ピッキングすべき部品の品名コードが、ピッキング数量欄77にはその部品をピッキングすべき数量が、備考欄78にはその他必要な情報(例えば、メーカー名)が記載される。
【0021】
図3に示した例では、品名コード「P001」の部品を4個、品名コード「P003」の部品を25個、品名コード「P005」の部品を1個、の3種類の部品のピッキング作業が指示されている。なお、ピッキングリスト7の記載内容に、それぞれの部品を識別するために有用な品名、色、形、サイズ等の情報をさらに含めるようにしてもよい。
【0022】
あるいは、紙のピッキングリスト7に代えて、空きコンテナ3a(図1)にコンテナICタグを添付しておき、コンテナICタグ番号を読み取ってピッキング作業指示サーバに送信し、ピッキング作業指示サーバから返送されるピッキング作業指示情報をピッキング作業者用の端末に表示するようにしてもよい。また、部品棚1の各区画にピッキングすべき区画を指示するためのランプとピッキング数量を表示する表示器を設けて、ピッキング作業指示サーバからの指示にしたがってそれらの表示を制御するようにしてもよい。
【0023】
図4に、ピッキング作業実績表示システムの全体構成図を示す。
ピッキング作業実績表示システムSは、部品棚1(図1)の各区画に貼付される複数の区画ICタグ13と、部品8が収納された各収納ボックス2の現品票に貼付される複数の現品票ICタグ61と、それらICタグの番号を読み取る機能を有する携帯無線端末(作業者用端末)50と、無線基地局51と、データベースサーバ(サーバ)30と、管理者用端末40と、それらの機器間を接続するためのネットワーク60とを備えて構成される。
【0024】
データベースサーバ30は、処理部31、通信部32、記憶部33などから成るコンピュータであり、記憶部33に記憶されたプログラムを読み出して処理部31が実行することによって、その機能が実現される。また、記憶部33には、部品情報テーブル34、現品票管理テーブル35、区画管理テーブル36、棚割り履歴テーブル37、及びピッキング作業履歴テーブル38が備えられる。
ピッキング作業実績の検索表示手段としての管理者用端末40は、処理部41、通信部42、記憶部43、入力部44、表示部45などから成るコンピュータであり、記憶部43に記憶されたプログラムを読み出して処理部41が実行することによって、その機能が実現される。
【0025】
部品情報テーブル34には、図5にその構造とデータ例を示すように、本システムで取り扱われるすべての部品の情報が前もって登録される。部品情報テーブル34は、品名コード欄341、メーカー名欄342、品名欄343、及びその他の属性欄344〜347を有して成り、それぞれの行は1つの部品の情報を表す部品レコードを構成する。各部品レコードの品名コード欄341には、部品の品名コードが、メーカー名欄342にはその部品を製造したメーカー名が、品名欄343にはその部品の品名が、その他の属性欄344〜347にはその部品の色、形、寸法、重量、材質などの属性データが登録される。
なお、同一の品名コードの部品が複数のメーカーから供給される場合には、供給されるメーカー毎に部品レコードが登録される。図5のデータ例は、品名コード「P001」の部品が「メーカーA」と「メーカーB」との両者から供給される場合を示している。
【0026】
現品票管理テーブル35には、図6にその構造とデータ例を示すように、各現品票が発行された時点でその現品票の情報が登録される。現品票管理テーブル35は、現品票番号欄351、発行日時欄352、品名コード欄353、メーカー名欄354、ロット番号欄355、入庫数量欄356、部品棚名欄357、及び保管期限欄358を有して成り、それぞれの行は1つの現品票の情報を表す現品票レコードを構成する。各現品票レコードの現品票番号欄351には現品票を識別するための現品票番号が、発行日時欄352にはその現品票の発行日時が、品名コード欄353にはその現品票が添付されている部品の品名コードが、メーカー名欄354にはその部品を製造したメーカー名が、ロット番号欄355にはその部品を購入したときに付されたロット番号が、入庫数量欄356にはその部品の入庫数量が、部品棚名欄357にはその部品を格納する部品棚名が、保管期限欄358にはその部品の保管期限が、それぞれ登録される。
【0027】
図6のデータ例は、現品票番号「Sxx1」〜「Sxx5」の5枚の現品票が順次発行された様子を示している。なお、現品票番号「Sxx2」と現品票番号「Sxx4」とは、いずれも品名コードが「P001」でメーカー名が「メーカーB」となっているが、納入時期が異なるので両者には順番に「Lxx1」、「Lxx2」という別々のロット番号が割り振られ、「Sxx2」に対応する部品の方が先に納入され、その分だけ早く保管期限が到来する様子が示されている。
【0028】
データベースサーバ30(図1)は、携帯無線端末50によって読み取られた現品票ICタグ番号からそれに対応付けられた現品票番号を検索し、その現品票番号をキーとしてこの現品票管理テーブル35を参照することによって、その現品票が添付されている部品を識別する。
【0029】
区画管理テーブル36は、図7にその構造及びデータ例を示すように、部品棚1が有するすべての区画の使用状態を表す区画管理情報が登録されるテーブルである。区画管理テーブル36は、区画アドレス欄361、現品票番号欄362、残数量欄363、品名コード欄364、メーカー名欄365、ロット番号欄366、及び保管期限欄367を有して成り、それぞれの行は部品棚1内の1つの区画の情報を表す区画管理レコードを構成する。各区画管理レコードの区画アドレス欄361には区画を識別するための区画アドレスが、現品票番号欄362にはその区画に格納されている収納ボックス2に添付されている現品票の現品票番号が、残数量欄363にはその収納ボックス2に収納されている部品の残数量が、品名コード欄364にはその部品の品名コードが、メーカー名欄365にはその部品を製造したメーカー名が、ロット番号欄366にはその部品を購入したときに付されたロット番号が、保管期限欄367にはその部品の保管期限が、それぞれ登録される。
【0030】
なお、部品の割付けが行われ、収納ボックス2が格納されている区画の区画管理レコードには、上記各欄には該当するデータが書き込まれるが、部品の割付けが行われておらず、収納ボックス2が格納されていない空きの区画の区画管理レコードには、区画アドレス欄361以外の各欄には「空き」を表す記号「−」が書き込まれる。
【0031】
図7のデータ例は、以下のような区画の使用状態を示している。
(1)区画「A−1」(1行目)と区画「B−3」(7行目)とには、同じ「メーカーB」から別々のロット(「Lxx1」と「Lxx2」)で納入された同一の部品(品名コード「P001」)が収納されている。また、保管期限(20xx.08.31)が早く到来する区画「A−1」の残数量(46個)が、保管期限(20xx.11.30)が遅く到来する区画「B−3」の残数量(12個)を上回っていることから、部品の先入れ先出し処理が正しく行われていないことがわかる。
(2)区画「A−2」(2行目)と区画「B−1」(5行目)は「空き」である。
(3)区画「A−3」(3行目)には、現品票番号「Sxx3」に該当する部品が125個収納されている。
(4)区画「A−4](4行目)には、現品票番号「Sxx1」に該当する部品が51個収納されている。
(5)区画「B−2」(6行目)には、現品票番号「Sxx5」に該当する部品が50個収納されている。
【0032】
棚割り履歴テーブル37は、図8にその構造及びデータ例を示すように、部品棚1の各区画への部品の割付け追加及び割付け解除の履歴を時系列に記録するためのテーブルである。棚割り履歴テーブル37は、日時欄371、区画アドレス欄372、現品票番号欄373、品名コード欄374、メーカー名欄375、ロット番号欄376、及び入庫数量欄377を有して成り、それぞれの行は1回の部品の割付け追加もしくは割付け解除の情報を表す棚割り履歴レコードを構成する。各棚割り履歴レコードの日時欄371には部品の割付け追加もしくは割付け解除が行われた日時が、区画アドレス欄372にはその対象となった区画アドレスが、現品票番号欄373には割付けが行われた部品に該当する現品票番号が、品名コード欄374にはその部品の品名コードが、メーカー名欄375にはその部品を製造したメーカー名が、ロット番号欄376にはその部品を購入したときに付されたロット番号が、入庫数量欄377にはその部品の入庫数量が、それぞれ登録される。
【0033】
なお、区画への部品の割付けが追加された場合には、対応する補充用収納ボックス2a(図1)に添付されていた現品票の現品票ICタグ番号と、その補充用収納ボックス2aが格納された区画の区画ICタグ番号とが読み込まれて、データベースサーバ30に送信される。データベースサーバ30は、不図示の対応テーブルを参照するなどによって送信された区画ICタグ番号から該当する区画アドレスを求めるとともに、送信された現品票ICタグ番号から現品票番号を求め、その現品票番号をキーとして現品票管理テーブル35を検索することによって該当する現品票レコードから必要な情報を入手して、前記棚割履歴レコードを生成し、棚割り履歴テーブル37の先頭に追加して記録する。
【0034】
他方、部品の割付けが解除された場合には、同様の処理により現品票番号欄373には割付けが解除されたことを表す記号「−」が書き込まれるとともに、入庫数量欄377にはそのときの部品の残数量(通常は0)が括弧付きで書き込まれる。
【0035】
図8のデータ例は、以下のような順序で割付け追加及び割付け解除が行われたときの記録内容(下から日時が古い順となっている)を示したものである。
・・・
(1)区画「B−3」への部品の割付けが解除された。
(2)区画「A−1」に現品票番号「Sxx2」に該当する部品の割付けが追加された。
(3)区画「A−2」への部品の割付けが解除された。
(4)区画「B−3」に現品票番号「Sxx4」に該当する部品の割付けが追加された。
(5)区画「D−5」に現品票番号「・・・」に該当する部品の割付けが追加された。
【0036】
なお、この例では、枠で囲まれている2つの行(上記(2)と(4)に対応)から、同じ「メーカーB」から別々のロット(「Lxx1」と「Lxx2」)で納入された同一の部品(品名コード「P001」)が、それぞれ区画「A−1」と区画「B−3」とに割り付けられたことがわかる。
【0037】
ピッキング作業履歴テーブル38は、図9にその構造及びデータ例を示すように、ピッキング作業者が行ったピッキング作業の履歴を時系列に記録するためのテーブルである。ピッキング作業履歴テーブル38は、日時欄381、区画アドレス欄382、現品票番号欄383、品名コード欄384、メーカー名欄385、ロット番号欄386、及びピッキング数量欄387を有して成り、それぞれの行は1回の部品のピッキング作業の履歴を表すピッキング作業履歴レコードを構成する。各ピッキング作業履歴レコードの日時欄381には、ピッキング作業が行われた日時が、区画アドレス欄382にはピッキングの対象となった区画アドレスが、現品票番号欄383にはその区画に収納されている部品に該当する現品票番号が、品名コード欄384にはその部品の品名コードが、メーカー名欄385にはその部品を製造したメーカー名が、ロット番号欄386にはその部品を購入したときに付されたロット番号が、ピッキング数量欄387にはピッキングされた部品の数量が、それぞれ記憶される。
【0038】
なお、ある区画から部品のピッキングが行われた場合には、対応する収納ボックス2(図2)に添付されている現品票6に貼付されている現品票ICタグ61の番号が読み込まれて、ピッキング数量とともにデータベースサーバ30に送信され、データベースサーバ30は、送信された現品票ICタグ番号から不図示の対応テーブルを参照するなどによって現品票番号を求め、その現品票番号をキーとして現品票管理テーブル35を検索することによって該当する現品票レコードから必要な情報を入手して、前記ピッキング作業履歴レコードを生成し、ピッキング作業履歴テーブル38の最後に追加して記録する。
【0039】
図9のデータ例は、以下のような順序でピッキング作業が行われたときの記録内容を示したものである。
・・・
(1)区画「A−2」から品名コード「P005」の部品が20個ピッキングされた。
(2)区画「B−3」から品名コード「P001」の部品が3個ピッキングされた。
・・・
【0040】
続いて、図1、図3及び図4を参照しつつ図10及び図11に示したフローチャートに沿って、届けられた補充部品を部品棚1に格納するときの作業手順及びピッキング作業手順と、そのときに実行されるテーブルの更新処理の内容について詳しく説明する。
【0041】
[部品補充作業手順](図10)
前記したように、部品棚1に補充すべき部品は、補充用収納ボックス2aに入庫数量分だけ収納された状態で届けられる(図1参照)。
届けられた部品を部品棚1に補充するときには、まず始めにステップS11において、部品補充作業者(ピッキング作業者でもよい)は、届けられた補充用収納ボックス2aを1つ選択する。なお、複数の補充用収納ボックス2aが届いている場合には、在庫切れが発生している部品を先に選択するなどしてもよい。
【0042】
次に、ステップS12において、部品補充作業者は、部品棚1の空き区画の中からその部品の格納先区画を決定し、決定した格納先区画に補充用収納ボックス2aを格納する。このとき、複数の空き区画が存在している場合には、部品の重量や予想されるピッキング頻度などを考慮して最も適当と思われる区画を選択することが好ましい。
【0043】
次に、ステップS13において、部品補充作業者は、格納した補充用収納ボックス2a(収納ボックス2)の現品票に貼付されている現品票ICタグ61と、格納先区画に貼付されている区画ICタグ13とを、携帯無線端末50で読み取り、ファンクションキーを押下する等により棚割り登録操作を実行する(図4参照)。
【0044】
それにより、無線基地局51及びネットワーク60を経由して、携帯無線端末50からデータベースサーバ30に対して、現品票ICタグ番号と区画ICタグ番号とを含む棚割り完了メッセージが送信され、データベースサーバ30は、そのメッセージから読み出した現品票ICタグ番号と区画ICタグ番号とから、不図示の対応テーブルを参照するなどによって対応する現品票番号と区画アドレスとを求め、その区画への部品の割付けの結果を区画管理テーブル36に格納するとともに、割付けが追加されたことを表す棚割り履歴レコードを棚割り履歴テーブル37の先頭に追加して記録する。このとき、区画管理テーブル36の残数量欄363には、現品票管理テーブル35に記憶されている当該現品票レコードの入庫数量欄356の値がコピーされて書き込まれる。
【0045】
以上、部品補充作業手順について説明したが、ある収納ボックス2の部品がすべて払い出されて空きとなった空き収納ボックス2b(図1)を部品棚1から取り出す場合にも同じようにして棚割り解除操作が実行され、区画管理テーブル36の該当区画の部品の割付け解除が行われ、棚割り履歴テーブル37に割付けが解除されたことを表す棚割り履歴レコードが追加して記録される。
【0046】
[ピッキング作業手順](図11)
前記したように、ピッキング作業は、部品を搬送するための空きコンテナ3aに添付されるピッキングリスト7によって指示される(図1参照)。
ピッキング作業を行うときには、まず始めにステップS21において、ピッキング作業者4は、届けられた空きコンテナ3aを1つ選択して作業台5の上に置く。なお、複数の空きコンテナ3aが届いている場合には、特定の配送先宛へのコンテナを先に選択するなどしてもよい。
【0047】
次に、ステップS22において、ピッキング作業者4は、選択した空きコンテナ3aに添付されているピッキングリスト7を取り出し、ピッキングリスト7に記載されたすべての部品について(図3参照)ステップS23〜S26の工程を繰り返す。
すなわち、ピッキング作業者4は、ステップS23において、まだピッキングが完了していない部品が収納されている収納ボックス2を部品棚1の中から探し、ステップS24において、その収納ボックス2の現品票に貼付されている現品票ICタグ61を携帯無線端末50で読み取るとともに、ピッキング数量をテンキー等によって入力し、ステップS25において、その収納ボックス2から指示された数量の部品を取り出して作業台5の上に置かれた空きコンテナ3aに移動し、最後に、ステップS26において、携帯無線端末50のファンクションキーを押下する等によりピッキング完了操作を実行する(図4参照)。
【0048】
それにより、無線基地局51及びネットワーク60を経由して、携帯無線端末50からデータベースサーバ30に対して、現品票ICタグ番号とピッキング数量とを含むピッキング完了メッセージが送信され、データベースサーバ30は、そのメッセージから読み出した現品票ICタグ番号から不図示の対応テーブルを参照するなどによって対応する現品票番号を求め、その現品票番号をキーとして区画管理テーブル36を検索することによって該当する区画管理レコードからピッキングが行われた区画アドレスを入手して、ピッキング作業履歴レコードを生成し、ピッキング作業履歴テーブル38の最後に追加して記録するとともに、当該区画管理レコードの残数量欄363の値から前記ピッキング数量を減算する。
【0049】
また、ステップS27においては、ピッキング作業者4は、まだピッキングが完了していない次の部品があるかを判定し、次の部品があれば(ステップS27で「Yes」)ステップS23に戻り、次の部品がなければ(ステップS27で「No」)ステップS28に進んで、作業台5の上に置かれている作業済みコンテナ3bを搬出して一連の作業を終了する(図1参照)。
なお、ステップS24においては、現品票ICタグ61を読み取るものとして説明したが、代わりに区画ICタグ13を読み取るようにし、データベースサーバ30は区画アドレスをキーとして区画管理テーブル36を検索するようにしてもよい。
【0050】
以上説明した各作業手順によって、データベースサーバ30に備えられた区画管理テーブル36には、部品棚1の使用状況が、棚割り履歴テーブル37には、部品棚1に対して行われた各区画への部品の割付け追加と割付け解除の履歴が、ピッキング作業履歴テーブル38には、部品棚1について行われた部品のピッキング作業の履歴が、それぞれ記録される。
【0051】
続いて、データベースサーバ30に記録されたこれらピッキング作業に関する各種情報を、管理者に提供する方法について詳しく説明する。
【0052】
図12は、管理者用端末40(図4)の表示部45に表示される管理者用起動画面81の構成およびデータ例を示したものである。
【0053】
管理者用起動画面81は、部品棚選択部811、「棚割り状況表示」ボタン812、「ピッキング実績表示」ボタン813等を有して構成される。部品棚選択部811は、選択結果表示部8111、ドロップダウンアイコン8112、及びドロップダウンリスト8113から構成され、管理者が管理者用端末40の入力部44からマウス等でドロップダウンアイコン8112を選択すると、予めシステムに登録されている部品棚の名称がドロップダウンリスト8113として表示され、その中の1つを選択することができるようになっている。図12のデータ例は、ドロップダウンリスト8113から「部品棚c」が選択され、選択された部品棚の名称が選択結果表示部8111に表示されている様子を示している。
【0054】
管理者が、そのようにして情報を入手したい部品棚を選択した後に、「棚割り状況表示」ボタン812または「ピッキング実績表示」ボタン813のいずれかをマウス等で選択すると、選択されたボタンに応じて図13に示すような棚割り状況表示画面82または図14に示すようなピッキング回数表示画面83に表示が切り替わる。また、「終了」ボタン101は、管理者用起動画面81を閉じて処理を終了するためのボタンである。
【0055】
図13は、管理者用起動画面81において「棚割り状況表示」ボタン812が選択されたときに表示される棚割り状況表示画面82の構成およびデータ例を示したものである。
以下では、選択された部品棚は4列×4段の計16区画からなるものとして説明するが、部品棚の列数や段数はこれに限るものではない。
【0056】
棚割り状況表示画面82は、棚割り状況表示部821、「割付け追加」ボタン822、「割付け解除」ボタン823、「区画変更」ボタン824、「区画交換」ボタン825等を有して構成される。
【0057】
棚割り状況表示部821には、部品棚を正面から見た状態で4列×4段の区画表示部がマトリクス表示されている。区画アドレスは、列を左から順にA列、B列、C列、D列、段を上から順に1段目、2段目、3段目、4段目とし、例えば左から2列目で上から3段目の区画であれば「B−3」と表記する。
【0058】
棚割り状況表示部821のマトリクスを構成するそれぞれの区画表示部には、その区画に割り付けられている部品を識別するための情報(例えば、品名コードとメーカー名とロット番号)と、部品の残数量とが表示される。これらの情報はデータベースサーバ30内の区画管理テーブル36から読み出され、管理者用端末40に送信される。
【0059】
斜線が付されている区画表示部は、対応する区画には現在部品の割付けがなく、区画が空き状態にあることを示している。図13のデータ例は、区画「A−1」と区画「B−3」に品名コードが「P001」でメーカー名が「メーカーB」である同じ部品が割り付けられ、区画「A−1」はロット番号が「Lxx1」で残数量が38個、区画「B−3」はロット番号が「Lxx2」で残数量が8個となっており、以前に納入された部品(ロット番号が小さい部品)の残数量の方が大きく、部品の先入れ先出し処理が適切に行われていない様子を示している。また、区画「A−2」、区画「B−1」、及び区画「B−4」の3つの区画は、空き状態となっている。
【0060】
このような棚割り状況表示画面の表示内容を吟味することにより、管理者は、部品棚の区画の過不足を把握したり、不適切な区画の割付けが行われていないかをチェックしたり、部品の先入れ先出し処理が正しく行われているかをチェックしたりすることができる。
【0061】
また、「割付け追加」ボタン822、「割付け解除」ボタン823、「区画変更」ボタン824、「区画交換」ボタン825の4つのボタンは、管理者が部品棚の棚割りを決定して指示するような運用を行うときに使用されるものである。具体的な画面や操作方法は省略するが、これらのボタンを選択することによって、管理者は、区画に部品を割り付けたり(「割付け追加」ボタン822)、区画への部品の割付けを解除したり(「割付け解除」ボタン823)、部品に割り付けられている区画を変更したり(「区画変更」ボタン824)、2つの区画の部品の割付けを入れ替えたり(「区画交換」ボタン825)することができ、その結果がピッキング作業者4に伝達、指示されて実際に収納ボックス2の移動等が行われる。
【0062】
また、「戻る」ボタン102は、現在表示されている画面を閉じて、管理者用起動画面81(図12)に表示を戻すためのボタンである。
【0063】
図14は、管理者用起動画面81において「ピッキング実績表示」ボタン813が選択されたときに最初に表示される、ピッキング回数表示画面83の構成およびデータ例を示したものである。
【0064】
また、図15〜図21の各画面は、図14のピッキング回数表示画面83と共通して配置される操作ボタン群を選択することによって表示されるものである。
そこで、まず、これら各画面に共通して配置される操作ボタン群の機能につき、図14を参照しながら説明する。
【0065】
画面の上部に配置されている「標準」ボタン121、「ランク分け」ボタン122、「上位」ボタン123、及び「下位」ボタン124の4つのボタンは、マトリクス表示される区画表示部の表示方法を4種類の中から指定するためのボタンであり、それぞれ以下のような機能を有する。
「標準」ボタン121:デフォルトとして選択され、すべての区画を非強調で表示する。
「ランク分け」ボタン122:区画を対象となるデータの値によっていくつかのランクに分けて階調または色分けして表示する。ランクの数は不図示のドロップダウンリストで選択することができる。
「上位」ボタン123:対象となるデータの値が大きい順に、指定された数の区画を強調表示する。強調表示する区画の数は不図示のドロップダウンリストで選択することができる。
「下位」ボタン124:対象となるデータの値が小さい順に、指定された数の区画を強調表示する。強調表示する区画の数は不図示のドロップダウンリストで選択することができる。
【0066】
画面の下部に配置されている「当日」ボタン131、「当月」ボタン132、「すべて」ボタン133、及び「期間指定」ボタン134の4つのボタンは、区画表示部に表示するデータの範囲を指定するためのボタンであり、それぞれ以下のような機能を有する。
「当日」ボタン131:当日のデータのみを表示対象とする。
「当月」ボタン132:当月のデータのみを表示対象とする。
「すべて」ボタン133:システムが保有しているすべてのデータを表示対象とする。
「期間指定」ボタン134:開始日入力欄135と終了日入力欄136とに入力される開始日(date1)と終了日(date2)とによって指定された期間内のデータのみを表示対象とする。
【0067】
画面の右側に配置されている「ピッキング回数」ボタン111、「ピッキング数量」ボタン112、「保管日」ボタン113、「出庫日時」ボタン114、及び「回転数」ボタン115の5つのボタンは、区画表示部に表示するデータの種類を指定するためのボタンであり、それぞれ以下のような機能を有する。
「ピッキング回数」ボタン111:各区画のピッキング回数を表示する。
「ピッキング数量」ボタン112:各区画のピッキング数量を表示する。
「保管日」ボタン113:各区画の部品の保管開始日と保管期限を表示する。
「出庫日時」ボタン114:各区画から最後に部品がピッキングされた日時(出庫日時)を表示する。
「回転数」ボタン115:各区画の部品の割付け追加回数(=入庫回数)を表示する。
【0068】
また、画面右側の最も下に配置されている「部品選択」ボタン116は、区画表示部に表示するデータを特定の部品だけに絞り込んで表示を行うためのボタンである。部品が選択されていないときには、部品情報テーブル34(図5)に登録されている品名コードのドロップダウンリスト(不図示)が表示されるので、そこから部品を選択し、部品が選択済みで特定の部品だけに絞り込まれた表示がされているときには、部品の選択を解除して元の表示に戻す機能を有する。
【0069】
なお、画面タイトルの右側に配置されている「戻る」ボタン102は、現在表示されている画面を閉じて、管理者用起動画面81(図12)に表示を戻すためのボタンである。
【0070】
以下、図14〜図21の各画面の構成およびデータ例につき、順を追って説明する。なお、各画面においては、選択された操作ボタンが太線で強調表示されている。
【0071】
[ピッキング回数表示画面(すべて、ランク分け)](図14)
対象データとして「すべて」が、表示方法として「ランク分け」が指定された場合の表示例であり、ピッキング回数表示部831には各区画のピッキング回数がマトリクス表示されている。また、ピッキング回数の値が大きい順に丸付きで順位が表示されている。さらに、ピッキング回数の値によって各区画が3段階にランク分けされ、階調分け表示されている。
このようなピッキング回数表示画面83によって、管理者は、作業性が良くない部品棚の上部や側端部のピッキング頻度が高くなっていないか、あるいは逆に、部品棚の中心部付近のピッキング頻度が低くなっていないかをチェックすることができる。
【0072】
[ピッキング回数表示画面(当月、上位5件)](図15)
対象データとして「当月」が、表示方法として「上位5件」が指定された場合の表示例であり、ピッキング回数表示部841には各区画のピッキング回数がマトリクス表示されている。また、ピッキング回数の値が大きい順に丸付きで順位が表示されている。さらに、ピッキング回数の値が大きい順に上位5件の区画が強調表示されている。
このピッキング回数表示画面84のように、対象データの期間を限定して表示することによって、管理者は、問題となった事象がいつ頃から発生しているのかを調査することができる。
【0073】
[ピッキング数量表示画面(期間指定、下位5件)](図16)
対象データが「期間指定」され、表示方法として「下位5件」が指定された場合の表示例であり、ピッキング数量表示部851には各区画のピッキング数量がマトリクス表示されている。また、ピッキング数量の値が小さい順に四角付きで順位が表示されている。さらに、ピッキング数量の値が小さい順に下位5件の区画が強調表示されている。
このようなピッキング数量表示画面85によって、管理者は、作業性が良くない部品棚の上部や側端部などのピッキング数量が多くなっていないか、あるいは逆に部品棚の中央部付近のピッキング数量が少なくなっていないかをチェックすることができる。
【0074】
[保管開始日/保管期限表示画面(すべて、最旧3件)](図17)
対象データとして「すべて」が、表示方法として「最旧3件」が指定された場合の表示例であり、保管開始日/保管期限表示部861には各区画の部品の保管開始日が上の行に、その保管期限が下の行にマトリクス表示されている。また、保管開始日が早い順に四角付きで順位が表示されている。さらに、保管開始日が早い順に最旧3件の区画が強調表示されている。なお、この画面のように区画表示部に日時のデータが表示される画面では、前記の「上位」ボタン123及び「下位」ボタン124に代えて「最新」ボタン125及び「最旧」ボタン126が配置される。
このような保管開始日/保管期限表示画面86によって、管理者は、長期保管されている部品がないか、あるいは保管期限が迫っている部品がないかをチェックすることができる。
【0075】
[出庫日時表示画面(当日、最新5件)](図18)
対象データとして「当日」が、表示方法として「最新5件」が指定された場合の表示例であり、出庫日時表示部871には各区画から最後に部品がピッキングされた日時(出庫日時)がマトリクス表示されている。また、出庫日時が新しい順に丸付きで順位が表示されている。さらに、出庫日時が新しい順に最新5件の区画が強調表示されている。
このような出庫日時表示画面87によって、管理者は、どのような順序で部品がピッキングされたのか、また、その作業順序は適当であったかをチェックすることができる。
【0076】
[回転数表示画面(期間指定、ランク分け)](図19)
対象データが「期間指定」され、表示方法として「ランク分け」が指定された場合の表示例であり、回転数表示部881には各区画への部品の割付け追加回数(=入庫回数)である回転数がマトリクス表示されている。また、回転数の値が大きい順に丸付きで順位が表示されている。さらに、回転数の値によって各区画が3段階にランク分けされ、階調分け表示されている。
このような回転数表示画面88によって、管理者は、各区画への部品の割付けが適切になされているか、あるいは作業性が良くない区画への部品の割付けが多くなっていないかをチェックすることができる。
【0077】
[部品ピッキング回数表示画面(すべて、標準)](図20)
「部品選択」ボタン116によって品名コード「P003」の部品が選択され、対象データとして「すべて」が、表示方法として「標準」が指定された場合の表示例であり、品名コード表示部892に選択された部品の品名コード「P003」が表示され、部品ピッキング回数表示部891には選択された部品の各区画からのピッキング回数がマトリクス表示されている。また、ピッキング回数の値が大きい順に丸付きで順位が表示されている。なお、ピッキング回数の値が0である区画には、斜線が引かれており、この部品は、特定の3つの区画からのみピッキングが行われている様子が示されている。
このような部品ピッキング回数表示画面89によって、管理者は、各区画への部品の割付けがどの程度まで固定化されているのかを把握することができる。
【0078】
[部品保管開始日/払出完了日表示画面(すべて、最新3件)](図21)
「部品選択」ボタン116によって品名コード「P001」の部品が選択され、対象データとして「すべて」が、表示方法として「最新3件」が指定された場合の表示例であり、品名コード表示部902に選択された部品の品名コード「P001」が表示され、部品保管開始日/払出完了日表示部901には選択された部品が各区画に割り付けられて保管が開始された最新の日時である部品保管開始日が上の行に、その部品の払出完了日、すなわちその部品の割付けが解除された日付が下の行にマトリクス表示されている。また、部品保管開始日が新しい順に丸付きで順位が表示されている。さらに、部品保管開始日が新しい順に最新3件の区画が強調表示されている。なお、下の行がブランクとなっている区画は、現在その部品が保管中であることを示しており、当該部品の割付けが行われなかった区画には、斜線が引かれている。したがって、図21の例は、この部品は、特定の3つの区画にのみ割り付けられ、区画「A−1」の部品保管開始日(20xx.01.20)が区画「B−3」の部品保管開始日(20xx.04.18)よりも早く、区画「A−1」にまだ部品が残っているにも関わらず、区画「B−3」から部品がピッキングされており、部品の先入れ先出し処理が適切に行われていない様子を示している。
このような部品保管開始日/払出完了日表示画面90によって、管理者は、部品の先入れ先出し処理が適切に行われているか否かをチェックすることができる。
【0079】
続いて、これら図14〜図21に示した各画面において、指定された特定の区画について詳細な履歴を確認するための画面について説明する。
【0080】
図22は、例えば、図14に示したピッキング回数表示画面83のピッキング回数表示部831の中から区画「B−3」をマウスでダブルクリックしたときに表示される区画ピッキング履歴表示画面91の表示例であり、区画アドレス表示部911には当該区画の区画アドレス「B−3」が表示され、その下に当該区画について実行されたピッキング作業の履歴情報が日時の新しい順に時系列に一覧表示されている。
この履歴情報は、日時欄912、品名コード欄913、メーカー名欄914、ロット番号欄915、ピッキング数量欄916、残数量欄917などから成る。残数量欄917を除くこれら各欄のデータは、ピッキング作業履歴テーブル38(図9)から当該区画のレコードのみが抽出され転記される。また、残数量欄917の値は、前記した棚割り履歴テーブル37(図8)から各部品の入庫数量を検索し、この入庫数量からそれぞれのピッキング数量を逐次減算していくことによって計算される。
【0081】
なお、マウスでスクロールバー104を操作することによって、表示する履歴情報の範囲を任意に選択することができる。「閉じる」ボタン103は、この画面を閉じて元の画面に表示を戻すためのボタンである。
【0082】
また、図23は、例えば、図19に示した回転数表示画面88の回転数表示部881の中から区画「B−3」をマウスでダブルクリックしたときに表示される区画回転履歴表示画面92の表示例であり、区画アドレス表示部921には当該区画の区画アドレス「B−3」が表示され、その下に当該区画について行われた部品の割付け追加及び割付け解除の履歴情報が日時の新しい順に時系列に一覧表示されている。
この履歴情報は、日時欄922、品名コード欄923、メーカー名欄924、ロット番号欄925、入庫数量欄926、ピッキング回数欄927などから成る。ピッキング回数欄927を除くこれら各欄のデータは、棚割り履歴テーブル37(図8)から当該区画のレコードのみが抽出され転記される。また、ピッキング回数欄927の値は、ピッキング作業履歴テーブル38(図9)から該当するピッキング作業履歴レコードの件数をカウントすることによって求められる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、前記した各画面により、管理者は以下のような視点でピッキング設備及びピッキング作業のチェックを行うことが可能となる。
・ピッキング頻度の高い物品が棚の中央付近に集中しているか。
・重量物が棚の下段に配置されているか。
・1回のピッキング数量が多いものが棚の中央付近に集中しているか。
・予備品は棚の上段か下段に保管されているか。
・棚の区画の数が多過ぎたり少な過ぎたりしていないか。
・区画への部品への割付けが固定化されていないか。
・長期間未使用となっている部品はないか。
・保管期限切れになりそうな部品はないか。
・部品の補充は適切に行われているか。
・同じ部品がいくつもの区画に収納されていないか。
・部品の先入れ先出し処理が適切に行われているか。
・その他現在のピッキング作業に問題はないか。
【0084】
なお、本実施形態においては、ICタグには個々のICタグを識別するための番号だけが記録されているものとして説明したが、現品票ICタグに対応する現品票番号や部品の各種属性情報を記録するようにしてもよく、区画ICタグに対応する区画アドレスを記録するようにしてもよい。また、現品票ICタグにピッキング作業の履歴を記録するようにし、現品票が回収された時点で記録された履歴データをサーバに転送するようにしてもよい。
【0085】
また、本実施形態においては、各区画への部品の割付けを自由に行うことができる言わばフリーアドレス方式の運用形態が採用されている場合について説明したが、各区画と部品との対応が固定されている固定アドレス方式にも容易に適用可能である。
さらに、本実施形態においては、作業者用携帯端末を利用してピッキング作業の履歴を収集する場合を説明したが、ピッキング作業の指示を作業台に取り付けたタッチパネル式の表示器に表示し、作業者がタッチパネルに触れることでピッキング完了操作を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 部品棚(物品棚)
2,2a,2b 収納ボックス
3a,3b コンテナ
4 ピッキング作業者
5 作業台
6 現品票
7 ピッキングリスト
8 部品(物品)
13 区画ICタグ
30 データベースサーバ(サーバ)
33 記憶部
34 部品情報テーブル
35 現品票管理テーブル
36 区画管理テーブル
37 棚割り履歴テーブル
38 ピッキング作業履歴テーブル
40 管理者用端末(検索表示手段)
50 携帯無線端末
60 ネットワーク
61 現品票ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をその種類毎に仕分けして格納しておく複数の区画を有する物品棚に係るピッキング作業の実績を収集して表示するピッキング作業実績表示システムであって、
実行された個々のピッキング作業について、少なくともピッキング作業が実行された日時と、ピッキングされた物品が格納されていた区画の識別情報と、その物品の識別情報とを含む、ピッキング作業実績に係る履歴情報を時系列に記憶部に記憶するサーバと、
ピッキング作業実績に関する各種情報を検索して表示する検索表示手段と
を備え、
前記サーバは、
前記各区画に格納されている前記物品の識別情報と前記区画の識別情報とを対応付けて区画管理情報として前記記憶部に記憶し、
ピッキング作業者による作業完了操作を契機として送信される、ピッキングされた物品またはピッキングされた区画を特定するための情報を受信し、その情報から前記区画管理情報を参照することによってピッキングされた区画と物品とを求めて、前記履歴情報を生成し、
前記検索表示手段からの要求に応じて、前記履歴情報を検索し、検索結果を前記検索表示手段の表示部に表示させる
ことを特徴とするピッキング作業実績表示システム。
【請求項2】
前記履歴情報は、さらに物品のピッキング数量を含み、
前記ピッキング作業者による作業完了操作を契機として送信される情報は、前記ピッキングされた物品またはピッキングされた区画を特定するための情報とその物品のピッキング数量であって、
前記サーバは、前記ピッキング数量を含む前記履歴情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のピッキング作業実績表示システム。
【請求項3】
物品をその種類毎に仕分けして格納しておく複数の区画を有する物品棚に係るピッキング作業の履歴を記録して、ピッキング作業実績に関する各種情報を検索して表示する検索表示手段にピッキング作業実績に関する各種情報を表示させるサーバであって、
実行された個々のピッキング作業について、少なくともピッキング作業が実行された日時と、ピッキングされた物品が格納されていた区画の識別情報と、その物品の識別情報とを含む、ピッキング作業実績に係る履歴情報を時系列に記憶部に記憶し、
前記各区画に格納されている前記物品の識別情報と前記区画の識別情報とを対応付けて区画管理情報として前記記憶部に記憶し、
ピッキング作業者による作業完了操作を契機として送信される、ピッキングされた物品またはピッキングされた区画を特定するための情報を受信し、その情報から前記区画管理情報を参照することによってピッキングされた区画と物品とを求めて、前記履歴情報を生成する
ことを特徴とするサーバ。
【請求項4】
前記履歴情報は、さらに物品のピッキング数量を含み、
前記ピッキング作業者による作業完了操作を契機として送信される情報は、前記ピッキングされた物品またはピッキングされた区画を特定するための情報とその物品のピッキング数量であって、
前記ピッキング数量を含む前記履歴情報を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記検索表示手段からの要求に応じて、前記履歴情報を検索し、検索結果として前記各区画のピッキング回数、ピッキング数量、またはピッキング作業の履歴情報を、前記検索表示手段の表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
前記各区画への物品の割付けまたは割付け解除が行われたことを示す割付け追加/割付け解除情報を受信して、受信した割付け追加/割付け解除情報を棚割り履歴情報としてさらに時系列に前記記憶部に記憶し、
前記検索表示手段からの要求に応じて、前記棚割り履歴情報を検索し、検索結果を棚割りの経緯を示す情報として、前記検索表示手段の表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
前記検索表示手段の表示部に表示させる表示画面は、
前記各区画の配置に対応して前記各区画の情報の表示エリアをマトリクス表示したものであって、前記表示エリアに表示する前記履歴情報の期間を指定できるようにした
ことを特徴とする請求項5に記載のサーバ。
【請求項8】
前記検索表示手段の表示部に表示させる表示画面は、
前記各区画の配置に対応して前記各区画の情報の表示エリアをマトリクス表示したものであって、指定された物品についての前期履歴情報を抽出して表示できるようにした
ことを特徴とする請求項5に記載のサーバ。
【請求項9】
前記検索表示手段の表示部に表示させる表示画面は、
前記各区画の配置に対応して前記各区画の情報の表示エリアをマトリクス表示したものであって、前記表示エリアにデータ値を昇順または降順に順位を付して表示し、さらにデータ値が上位または下位の所定数に含まれる前記表示エリアを強調して表示するようにした
ことを特徴とする請求項5に記載のサーバ。
【請求項10】
前記検索表示手段の表示部に表示させる表示画面は、
前記各区画の配置に対応して前記各区画の情報の表示エリアをマトリクス表示したものであって、前記表示エリアにデータ値を昇順または降順に順位を付して表示し、さらにデータ値によって前記表示エリアを所定数のクラスに分割するとともに、それらのクラスを階調分けまたは色分けして表示するようにした
ことを特徴とする請求項5に記載のサーバ。
【請求項11】
前記検索表示手段の表示部に表示させる表示画面は、
前記各区画の配置に対応して前記各区画の情報の表示エリアをマトリクス表示したものであって、選択された1つの表示エリアに該当する区画についての履歴情報を抽出して一覧表示できるようにした
ことを特徴とする請求項5に記載のサーバ。
【請求項12】
物品をその種類毎に仕分けして格納しておく複数の区画を有する物品棚に係るピッキング作業の実績を収集して表示するピッキング作業実績表示方法であって、
実行された個々のピッキング作業について、少なくともピッキング作業が実行された日時と、ピッキングされた物品が格納されていた区画の識別情報と、その物品の識別情報とを含む、ピッキング作業に係る履歴情報を時系列に記憶部に記憶するサーバに、ピッキング作業者による作業完了操作を契機として、ピッキングされた物品またはピッキングされた区画を特定するための情報を送信する第1のステップと、
前記サーバが、前記各区画に格納されている前記物品の識別情報と前記区画の識別情報とを対応付けて前記記憶部に記憶した区画管理情報を参照することによって、送信された前記ピッキングされた物品またはピッキングされた区画を特定するための情報から物品がピッキングされた区画を求めて、前記履歴情報を生成する第2のステップと、
前記サーバが、検索表示手段からの要求に応じて、前記履歴情報を検索し、検索結果を前記検索表示手段の表示部に表示させる第3のステップと
を備えたことを特徴とするピッキング作業実績表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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