説明

ピッキング支援システム及びピッキング支援方法

【課題】簡易な構成でピッキング作業の誤りを防止するとともに、ピッキング作業を効率的に行うことができるピッキング支援システム及びピッキング支援方法を提供すること。
【解決手段】商品棚500に商品毎に貼付され、商品を一意に識別するための商品コードを記憶すると共に商品コードを人体通信により送信するタッチタグ120と、ハンディ・ターミナル110とを備えたピッキング支援システムであって、ハンディ・ターミナル110は、ピッキング用伝票から読み取った商品コードを記憶するメモリと、作業者が前記記憶媒体に近接したときに、タッチタグ120から送信された商品コードを人体通信により受信する人体通信部と、受信した商品コードとメモリに記憶された商品コードとが一致するか否かを照合する照合部と、照合結果に応じた所定の出力を行う音声出力部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が商品収納場所から商品をピッキングする作業の支援を行うピッキング支援システム及びピッキング支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品の入荷や配送などを行う物流センターにおいて、作業者が商品収納場所から商品を必要数だけピッキングする作業に関しては、収納されている商品の種類やピッキングすべき必要数が多岐に渡ることから、ピッキング対象の商品を間違えたり、ピッキングする数を誤ったりする可能性があり、このことに起因する商品の誤配送や作業効率の低下が問題となっている。このため、どのような作業者でも商品やピッキング数を誤ることなくピッキング作業を行うことができる支援システムの提供が従来から望まれている。
【0003】
このようなピッキング支援システムの従来技術の一つとしては、以下のような技術が知られている。すなわち、従来技術では、商品が収納されている商品棚に表示灯を設置するとともに、商品棚の商品の近辺に表示器を設け、表示灯と表示器とをPC(Personal Computer)に接続する。そして、当該PCあるいはハンディターミナル等により、ピッキング対象の商品の商品コードや数量が2次元バーコード等にて埋め込まれたピッキング用伝票を読み込み、読み込んだ商品コードの商品が収納されている商品棚に設置された表示灯を点灯させ、表示器に数量を表示させる。このような技術によれば、商品が収納されている商品棚の位置を視覚的に作業者に報知することで、作業者がピッキング作業を間違えることを防止できる。
【0004】
さらに、従来技術として、表示灯を作業者毎に異なる色彩ランプ等で点灯させるとともに、対象商品の配置場所付近の表示器を作業者毎に異なる色で表示させることで、作業者毎のピッキング位置を知らせるようにしたものがある。そして、作業者がその商品棚から商品を指定された数量だけピッキングし、作業が完了したら表示灯の横に設置された完了ボタンを押下する。
【0005】
【特許文献1】特開2003−192112
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来技術では、商品棚などに表示灯や表示器などの表示機器を設置しなければならず、ピッキング行業の誤り防止のために装置が過大となるとともに、装置の製造コストが増大するいう問題がある。
【0007】
また、作業者毎に異なる色彩で表示灯や表示器を点灯させる場合、点灯することができる色数には制限があるため、同時に作業できる作業者が小数人に限られてしまい、多数の作業者が同一の作業場所で同時にピッキング作業を行う場合にはピッキング位置を知らせることができない。このため、一部の作業者がピッキング作業を一時的に中断しなければならず、ピッキングの作業効率が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でピッキング作業の誤りを防止するとともに、ピッキング作業を効率的に行うことができるピッキング支援システム及びピッキング支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のピッキング支援システムは、ピッキング対象の商品又は当該商品を陳列する棚に前記商品毎に貼付されるものであって、前記商品を一意に識別するための商品識別情報を記憶すると共に、前記商品識別情報を送信する記憶媒体と、前記記憶媒体に記憶された前記商品識別情報を受信し、当該受信した前記商品識別情報に基づいて、作業者がピッキングした商品の適合性を判断する照合装置とを備え、前記記憶媒体は、前記作業者が前記記憶媒体に近接した時に、当該記憶媒体によって記憶された前記商品識別情報を、当該作業者の人体を媒体とした人体通信によって前記照合装置に送信する記憶媒体側人体通信手段を備え、前記照合装置は、前記商品識別情報を記憶する商品識別情報記憶手段と、前記作業者が前記記憶媒体に近接した時に当該記憶媒体から送信された前記商品識別情報を、前記人体通信により受信する照合装置側人体通信手段と、前記照合装置側人体通信手段にて受信された前記商品識別情報と、前記商品識別情報記憶手段にて記憶された前記商品識別情報であって、前記ピッキング対象である商品に対応する商品識別情報として所定方法で特定された前記商品識別情報とが、相互に一致するか否かを照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果に応じた所定の出力を行う出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のピッキング支援システムは、請求項1に記載のピッキング支援システムにおいて、前記照合装置は、前記作業者が携帯可能な携帯端末であり、前記携帯端末は、前記商品識別情報の入力を受け付けて前記商品識別情報記憶手段に保存する入力手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のピッキング支援システムは、請求項2に記載のピッキング支援システムにおいて、前記商品識別情報記憶手段は、商品の所要のピッキング数を前記商品識別情報に対応づけて記憶し、前記携帯端末は、前記商品識別情報が一致することが前記照合手段によって照合された数を計数する計数手段を備え、前記出力手段は、前記計数手段による計数結果と、前記照合装置側人体通信手段にて受信された前記商品識別情報に対応付けて前記商品識別情報記憶手段に記憶された前記ピッキング数とに応じた、所定の出力を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載のピッキング支援システムは、請求項2又は3に記載のピッキング支援システムにおいて、前記携帯端末は、前記商品識別情報と、当該商品識別情報にて識別される商品が配置される棚を一意に識別するための棚識別情報とを、対応付けて記憶する商品配置情報記憶手段と、前記商品識別情報記憶手段にて記憶された前記商品識別情報であって、前記ピッキング対象である商品に対応する商品識別情報として所定方法で特定された前記商品識別情報に対応する前記棚識別情報を、前記商品配置情報記憶手段から検索する棚検索手段と、前記棚検索手段にて検索された前記棚識別情報に応じた出力を行う棚情報出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載のピッキング支援方法は、ピッキング対象の商品又は当該商品を陳列する棚に前記商品毎に貼付されるものであって、前記商品を一意に識別するための商品識別情報を記憶すると共に、前記商品識別情報を送信する記憶媒体と、前記記憶媒体に記憶された前記商品識別情報を受信し、当該受信した前記商品識別情報に基づいて、作業者がピッキングした商品の適合性を判断する照合装置と、を備えたピッキング支援システムで実行されるピッキング支援方法であって、前記照合装置に設けた商品識別情報記憶手段に前記商品識別情報を保存するステップと、前記作業者が前記記憶媒体に近接した時に、当該記憶媒体によって記憶された前記商品識別情報を、当該作業者の人体を媒体とした人体通信にて当該記憶媒体から前記照合装置に送信するステップと、前記記憶媒体から前記照合装置に送信した前記商品識別情報と、前記商品識別情報記憶手段にて記憶された前記商品識別情報であって、前記ピッキング対象である商品に対応する商品識別情報として所定方法で特定された前記商品識別情報とが、相互に一致するか否かを前記照合装置において照合するステップと、前記照合手段による照合結果に応じた所定の出力を行うステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び5に記載の発明によれば、記憶媒体が、作業者が記憶媒体に近接したときに、当該記憶媒体によって記憶された商品識別情報を、当該作業者の人体を媒介とした人体通信によって送信し、照合装置が、作業者が記憶媒体に近接したときに、当該記憶媒体から送信された商品識別情報を、前記人体通信により受信し、照合装置側人体通信手段によって受信した前記識別情報と商品識別情報記憶手段に記憶された商品識別情報とが一致するか否かを照合し、照合結果に応じた所定の出力を行うことで、簡易な構成でピッキング作業の誤りを防止するとともに、ピッキング作業を効率的に行うことができるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、照合装置は作業者が保持する携帯端末であり、この携帯端末が、商品識別情報の入力を受け付けて商品識別情報記憶手段に保存することで、商品識別情報の照合を携帯端末側で行うことができるので、商品棚に表示灯や表示器、及びこれらの配線を設置する必要がなくなる。このため、請求項2の発明によれば、装置構成をより簡易にしてピッキング作業の誤りを防止し、かつピッキング作業を効率的に行うことができるという効果を奏する。また、請求項2の発明によれば、携帯端末と記憶媒体のみで、ピッキング対象の商品の選択誤りを検出することができるので、商品棚の設置場所を問わずに、かつ商品管理を行うホストコンピュータ等の大がかりなシステムを導入せずに、ピッキング作業の誤りを防止するとともに、ピッキング作業を効率的に行うことができるという効果を奏する。また、商品棚のある作業場所で複数の作業者が同時にピッキング作業を行う場合でも、携帯端末と商品毎の記憶媒体のみでピッキング作業の支援を行うことができ、表示灯や表示器等で作業者毎に色分け表示を行う必要がなく、作業者の人数を制限する必要もなくなり、ピッキング作業をより効率的に実現することができるという効果を奏する。さらに、請求項2の発明によれば、携帯端末と記憶媒体のみで、ピッキング対象の商品の選択誤りを検出することができるので、商品棚の設置場所が変更された場合にも、ピッキング対象の商品の選択誤りを検出の仕組みを変更する必要がなく、ピッキング支援システムのメンテナンス作業の労力を軽減することができるという効果を奏する。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、携帯端末が、照合装置側人体通信手段によって受信した商品識別情報と商品識別情報記憶手段にて記憶された商品識別情報が一致すると判断する毎に、作業者によってピッキングされた商品の数を計数し、計数結果と、受信した商品識別情報に対応付けて商品識別情報記憶手段に記憶された所要のピッキング数とに応じた所定の出力を行うことで、作業者によるピッキング作業においてピッキング対象の商品の数を誤ることを防止することができるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、携帯端末が、商品識別情報と商品識別情報の商品が配置される棚の識別情報である棚識別情報とを対応付けて記憶し、ピッキング対象の商品の商品識別情報に対応する棚識別情報を商品配置情報記憶手段から検索し、検索された棚識別情報に応じた表示を行うことで、作業者が商品の棚の位置を正確に把握することができるので、作業者のピッキング作業におけるピッキング対象の商品の選択誤りを未然に防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るピッキング支援システム及びピッキング支援方法の実施の形態を詳細に説明する。まず、本実施の形態の構成を説明した後、本実施の形態の処理内容について説明し、最後に本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(概要)
図1は、本実施の形態に係るピッキング支援システムの概要を説明するための模式図、図2は、ハンディ・ターミナルによるピッキング用伝票の読取り状態を示す模式図である。図1に示すように、ピッキング支援システムは、物流センターにおける商品のピッキング作業を支援するものであり、ハンディ・ターミナル110とタッチタグ120とを備えた構成となっている。ハンディ・ターミナル110は、作業者が身体に装着して携行する携帯端末である。タッチタグ120は、商品棚500の引き出し501の前面に貼付されている。すなわち、商品棚500には前面に向けて引き出し可能な複数の引き出し501が設けられており、各引き出し501にはそれぞれ異なる商品が収容されており、これら各引き出し501の前面にタッチタグ120が貼付されている。これら受信側のハンディ・ターミナル110と発振側のタッチタグ120は、いずれも人体を媒介とした人体通信の機能を有している。
【0020】
タッチタグ120は、貼付された引き出しに収納されている商品を一意に識別するための商品コードを記憶すると共に、この商品コードを人体通信によって送信するもので、特許請求の範囲における記憶媒体に対応する。
【0021】
ハンディ・ターミナル110は、ピッキング対象の商品の商品コード及びピッキングすべき所要の数量を記憶するもので、特許請求の範囲における照合装置に対応する。これら情報のハンディ・ターミナル110への入力方法は任意であるが、例えば、図2に示すように、ピッキング用伝票1に記載された2次元バーコード2をハンディ・ターミナル110にてスキャンし、この2次元バーコード2をハンディ・ターミナル110にて解析することで、これらの情報を入力する。
【0022】
また図1に示すように、ハンディ・ターミナル110は、各商品コード毎に、当該商品コードに対応する商品の収納先の商品棚500の識別情報である棚番号を記憶しており、読み取った商品コードの商品が収納されている商品棚500の棚番号やその位置と商品コードを、当該ハンディ・ターミナル110に設けた表示部114に表示する。作業者は表示部114に表示された商品棚500を確認して、その商品棚500へ向かうので、作業者はピッキング対象の商品が収納された商品棚500を正確に把握することができる。
【0023】
そして、作業者は、表示部114に表示された商品コードの商品を、商品棚500の引き出しからピッキングする。商品棚500の各引き出し501にはタッチタグ120が貼付されているので、作業者が商品をピッキングしようとする際に引き出し501を開けることによりタッチタグ120に手をかざして近接すると、タッチタグ120に記憶されている商品コードが、作業者の人体を媒介として、当該作業者が保持するハンディ・ターミナル110に送信される。
【0024】
ハンディ・ターミナル110は、タッチタグ120から人体通信により送信された商品コードを受信し、受信した商品コードとピッキング用伝票1から読み取った商品コードとを照合する。そして、ハンディ・ターミナル110は、受信した商品コードとピッキング用伝票1から読み取った商品コードとが一致しない場合には、作業者がピッキングした商品に誤りがあると判断して、その旨の音声出力及び表示を行う。また、受信した商品コードとピッキング用伝票1から読み取った商品コードとが一致する場合には、先にピッキング用伝票1から読み取った所要の数量を音声出力部115から音声出力するようにしてもよい。
【0025】
また、作業者が商品をピッキングする毎に、タッチタグ120に近接することになるため、そのたびにタッチタグ120から商品コードが作業者の人体を介した人体通信により送信される。ハンディ・ターミナル110は、タッチタグ120からの送信毎に商品コードを受信し、作業者により完了ボタンが押下されるまで商品コードの受信回数をカウントし、カウント数がピッキング用伝票1から読み取った商品の数を超えていないか否かを判断する。そして、超えた場合には、ピッキング対象の商品のピッキング数に誤りがある旨を音声出力する。従って、本実施の形態によれば、ハンディ・ターミナル110とタッチタグ120という簡易な構成のみによって、ピッキング作業の誤りを防止するとともに、ピッキング作業を効率的に行うことができる。
【0026】
(構成)
以下、本実施の形態にかかるピッキング支援システムの構成の詳細について説明する。図3は、本実施の形態のピッキング支援システムを構成するハンディ・ターミナル110とタッチタグ120の機能的構成を示すブロック図である。
【0027】
(構成−ハンディ・ターミナル)
ハンディ・ターミナル110は、作業者がピッキングした商品の適合性を判断するものであり、図3に示すように、バーコードリーダ111、照合部112、カウンタ113、表示部114、音声出力部115、人体通信部116、棚検索部131、メモリ(例えばRAM:Random Access Memory)117、及び不揮発性メモリ118(例えばFlash RAMや、HD:Hard Disk)を主に備えている。
【0028】
バーコードリーダ111は、ピッキング用伝票1から、商品コードと商品の数量が埋め込まれた2次元バーコード2をスキャンし、スキャンした2次元バーコード2から商品コードと商品の数量を読み取るもので、特許請求の範囲における入力手段に対応する。
【0029】
メモリ117は、バーコードリーダ111により読み取った商品コードと、商品の所要のピッキング数である数量とを対応付けて一時的に記憶する記憶手段である。
【0030】
人体通信部116は、人体を媒介とした人体通信を行う通信モジュールであり、タッチタグ120から作業者の人体を媒介として商品コードを受信するもので、特許請求の範囲における照合装置側人体通信手段に対応する。ここで、人体通信とは、人体が微弱な電流を流す性質を応用して人体を通信ケーブルの代わりとして使い、近距離のデータ通信に用いる技術である。具体的には、人体の体内電流の変化を利用したり、タッチタグ120等の送信側の機器から、人体に無害な程度の電流を流すことで体内電流を変化させ、この変化を読みとることで実現することができる。
【0031】
照合部112は、人体通信部116によってタッチタグ120から受信した商品コードと、メモリ117に一時的に記憶された商品コード、すなわちピッキング用伝票1から読み取った商品コードとが一致するか否かを判断する照合処理を行うもので、特許請求の範囲における照合手段に対応する。また、照合部112は、後述するカウンタ113によるカウント数が、メモリ117に一時的に記憶された商品の数を超えているか否かを判断する。
【0032】
カウンタ113は、人体通信部116によってタッチタグ120から受信した商品コードとメモリ117に一時的に記憶された商品コードとが一致すると判断する毎にその回数、すなわち、人体通信による商品コードの受信回数をカウントするもので、特許請求の範囲における計数手段に対応する。
【0033】
不揮発性メモリ118は、例えばフラッシュメモリなどの記憶媒体であり、商品配置テーブル119を記憶するもので、特許請求の範囲における商品配置情報記憶手段に対応する。商品配置テーブル119は、商品コードと、商品コードに対応する商品が収納されている商品棚500を一意に識別するための棚番号とを対応付けたテーブルである。図4は、商品配置テーブル119のデータの内容の一例を示す説明図である。図4に示すように、商品配置テーブル119には、商品コード毎に棚番号が対応して登録されている。
【0034】
図3に戻り、棚検索部131は、メモリ117に一時的に記憶された商品コード(すなわち、ピッキング用伝票1から読み取った商品コード)を読み出して、読み出した商品コードを検索キーとして、当該商品コードに対応する棚番号を、商品配置テーブル119から検索するもので、特許請求の範囲における棚検索手段に対応する。
【0035】
表示部114は、バーコードリーダ111から読み込んだピッキング対象の商品の商品コードや商品の数量を表示したり、照合部112による照合の結果に関する情報を出力する出力手段(特にここでは表示手段)である。また、表示部114は、棚検索部131によりピッキング対象の商品が収納されている棚番号が検索された場合に、その棚番号あるいは棚番号の商品棚500が配置されている位置を表示するものである。表示部114は、例えば液晶ディスプレイが該当する。
【0036】
音声出力部115は、バーコードリーダ111から読み込んだピッキング対象の商品の商品コードや商品の数を音声出力したり、照合部112による照合の結果に関する情報を出力する出力手段(特にここでは音声出力手段)であり、例えばスピーカが該当する。これら表示部114及び音声出力部115は、特許請求の範囲における出力手段及び棚情報出力手段に対応する。
【0037】
また、ハンディ・ターミナル110には、ピッキング作業の完了時に作業者が押下するための完了ボタン等の各種入力手段としてのボタン(図3において図示省略)が装備されている。
【0038】
なお、照合部112や棚検索部131は、実際には、CPU等の制御装置、ROM(Read Only Memory)やRAMの如き記憶装置、及びこれら各装置にて実行されるプログラムを用いて構成されている。
【0039】
(構成−タッチタグ)
タッチタグ120は、商品棚500の引き出し501に貼付された記憶媒体であり、メモリ121と人体通信部122とを主に備えている。
【0040】
メモリ121は、タッチタグ120が貼付された引き出し501の内部に収納されている商品の商品コードを記憶する記憶媒体である。ただし、タッチタグ120のメモリ121に記憶させる情報は、最終的に当該タッチタグ120に対応する商品が特定できる情報であればよく、例えば、メモリ121には商品コードに代えて当該タッチタグ120に固有の識別番号を記憶させると共に、当該識別番号と商品コードとの対応関係をハンディ・ターミナル110等の機器に記憶させておき、メモリ121から読み出した識別番号をハンディ・ターミナル110等で商品コードに変換してもよい。
【0041】
人体通信部122は、作業者が商品棚500の引き出し501を開ける等のピッキングの動作によってタッチタグ120に手をかざして近接したときに、メモリ121に記憶された商品コードを、当該作業者の人体を媒介とした人体通信によって送信する通信モジュールである。この人体通信部122は、特許請求の範囲における記憶媒体側人体通信手段に対応する。
【0042】
(処理)
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかるピッキング支援システムを用いて実行されるピッキング処理について説明する。図5は、ピッキング処理のフローチャートである。
【0043】
まず、作業者は、ハンディ・ターミナル110のバーコードリーダ111により、ピッキング用伝票1に記載された2次元バーコード2をスキャンする(ステップS11)。バーコードリーダ111は、スキャン入力されたバーコードから商品コードと数量を読み取り、両者を対応付けてメモリ117に保存する(ステップS12)。
【0044】
次に、棚検索部131は、メモリ117に保存された商品コードに対応する商品棚500の棚番号を商品配置テーブル119から検索し、検索された棚番号に対応する商品棚500の配置位置を表示部114に表示する(ステップS13)。これにより、作業者は、ピッキング対象の商品が収納されている商品棚500の場所を、表示部114に表示された商品棚500の配置位置によって把握することができるので、ピッキング対象以外の商品の商品棚500に誤って移動して、誤った商品をピッキングすることを防止することができる。また、表示部114による表示と共に、商品棚500の場所を、音声出力部115にて音声出力してもよい。ただし、実際には、作業者がピッキング作業に慣れており、正しい商品棚500の位置を既に知っていることが多い場合には、商品棚500の出力を省略してもよい。
【0045】
また、音声出力部115は、読み取った商品の数量を音声出力する(ステップS14)。これにより、作業者はピッキング対象の商品の数量を正確に把握することができる。また、音声出力部115による音声出力と共に、商品コードとピッキング数量を表示部114にて表示してもよい。ただし、作業者が商品コードとピッキング数量が記載されているピッキング用伝票1等を保持してピッキングを行うことができるような場合には、これら商品コードとピッキング数量の出力を省略してもよい。
【0046】
次に、人体通信部116は、タッチタグ120から商品コードの人体通信による受信待ち状態となる(ステップS15)。そして、作業者が商品をピッキング作業のため商品棚500の引き出し501を開ける等のピッキングの動作によりタッチタグ120に手をかざして近接した場合には、タッチタグ120は自身のメモリ121に記憶された商品コードを人体通信により送信する。ハンディ・ターミナル110の人体通信部116がこのタッチタグ120から送信された商品コードを人体通信により受信した場合には(ステップS15,Yes)、照合部112は、人体通信部116が受信した商品コードとメモリ117に記憶された商品コードが一致するか否かを判断する(ステップS16)。
【0047】
そして、両者が一致しない場合には(ステップS16,No)、音声出力部115は、ピッキングした商品がピッキング対象の商品と異なる旨の音声出力を行う(ステップS18)。このとき、同様のメッセージが表示部114に表示される。そして、再度、タッチタグ120から商品コードの人体通信による受信待ち状態となる(ステップS15)。
【0048】
一方、ステップS16において、人体通信部116が受信した商品コードとメモリ117に記憶された商品コードが一致する場合には(ステップS16,Yes)、作業者がピッキングした商品は、ピッキング用伝票1から読み取った商品コードの商品と同じであると判断して、カウンタ113はピッキングした商品の数をカウントアップする(ステップS17)。なお、この場合にも、ピッキングした商品がピッキング対象の商品と同じである旨の音声出力や表示出力を行うようにしてもよい。
【0049】
次に、作業者がピッキング作業を完了してハンディ・ターミナル110の完了ボタンを押下したか否かを判断し(ステップS19)、完了ボタンが押下されるまで(ステップS19,No)、ステップS15からS18の処理を繰り返し実行する。
【0050】
一方、作業者がハンディ・ターミナル110の完了ボタンを押下した場合には(ステップS19,Yes)、カウンタ113によるカウント数が、メモリ117に記憶された商品の数量を超えていないか否かを判断する(ステップS20)。そして、超えている場合には(ステップS20,No)、音声出力部115は、作業者がピッキングした商品の数がピッキング用伝票1の商品の数量より多い可能性がある旨の警告の音声出力を行う(ステップS21)。このとき、同様の警告メッセージが表示部114に表示される。
【0051】
一方、ステップS20において、カウンタ113によるカウント数が、メモリ117に記憶された商品の数量を超えていない場合には(ステップS20,Yes)、ピッキング作業が正しく完了したものと判断して、照合処理を終了する。
【0052】
なお、この処理では、カウント数が商品の数量を超えた場合にのみ警告出力を行っているが、カウント数が商品の数量より少ないにも関わらず完了ボタンが押下された場合に警告を行ったり、カウント数が商品の数量と一致している時に完了ボタンが押下された場合に正常メッセージを出力するようにしてもよい。ただし、実際には、1回のピッキング毎(人体通信が1回行われる毎)に、同一の商品棚500から複数個の商品を作業者がまとめて取る場合があり、カウント数と商品の数量との完全な照合は困難である可能性があるため、上記処理では、ピッキング数の超過のみを自動判定して警告を行うものとしている。また、正しい商品の商品コードが人体通信によりハンディ・ターミナル110にて受信された場合には、当該商品のピッキングが完了した事とし、ハンディ・ターミナル110には、未照合のピッキング対象の商品を音声出力又は表示にて作業者に示すようにしてもよい。
【0053】
(効果)
このように本実施の形態に係るピッキング支援システムでは、タッチタグ120が、作業者がタッチタグ120に近接したときに、タッチタグ120に記憶された商品コードを、作業者の人体を媒介とした人体通信によって送信し、ハンディ・ターミナル110が、作業者がタッチタグ120に近接したときに、タッチタグ120から送信された商品コードを、人体通信により受信し、受信した商品コードとピッキング用伝票1から読み取った商品コードとの照合を行って、商品コードが一致しない場合や、ピッキング数が所要数量を超過している場合には、警告出力している。このため、本実施の形態では、タッチタグ120とハンディ・ターミナル110という簡易な構成で、ピッキング作業の誤りを防止するとともに、ピッキング作業を効率的に行うことができる。
【0054】
また、本実施の形態のピッキング支援システムでは、配線や電池が不要なタッチタグ120と電池のみが必要なハンディ・ターミナル110だけで、ピッキング作業の誤りを防止することができるので、商品棚500に従来のような表示灯や表示器を設置する必要がなく、過大な設備が不要となる。
【0055】
また、本実施の形態のピッキング支援システムでは、ハンディ・ターミナル110とタッチタグ120のみで、ピッキング対象の商品の選択誤りを検出することができるので、商品棚500の設置場所を問わずに、かつ商品管理を行うホストコンピュータ等の大がかりなシステムを導入せずに、ピッキング作業の誤りを防止し、ピッキング作業を効率的に行うことができる。また、このため、商品棚500のある作業場所で複数の作業者が同時にピッキング作業を行う場合でも、ハンディ・ターミナル110と商品毎のタッチタグ120のみでピッキング作業の支援を行うことができ、表示灯や表示器等で作業者毎に色分け表示を行う必要がなく、作業者の人数を制限する必要もなくなり、ピッキング作業をより効率的に実現することができる。
【0056】
さらに、本実施の形態のピッキング支援システムでは、ハンディ・ターミナル110とタッチタグ120のみで、ピッキング対象の商品の選択誤りを検出することができるので、商品棚500の設置場所が後に変更された場合にも、ピッキング対象の商品の選択誤りを検出の仕組みを変更する必要がなく、ピッキング支援システムのメンテナンス作業の労力を軽減することができる。
【0057】
加えて、本実施の形態のピッキング支援システムでは、作業者が商品をピッキングしようとする際に引き出し501を開けることによりタッチタグ120に手をかざして近接すると、タッチタグ120に記憶されている商品コードが、作業者の人体を媒介として作業者が保持するハンディ・ターミナル110に送信され、ハンディ・ターミナル110で商品コードの照合が行える。このため、本実地の形態では、作業者は商品コードの照合のために、ピッキングの際、ハンディ・ターミナル110をタッチタグ120にかざす必要がなく、ピッキング作業をより効率的に行うことができる。特に、人体通信は指向性が高いことから、作業者が手をかざした商品棚500以外の商品棚500と誤って通信が行われることを防止でき、高い通信精度を得ることができる。
【0058】
〔変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0059】
例えば、上記実施の形態では、タッチタグ120を、商品棚500の引き出し501に貼付する構成としたが、タッチタグ120の貼付位置は引き出し501に限定されず、商品との対応関係が特定できる限りにおいて任意の位置に設置することができる。
【0060】
また、人体通信として、作業者の人体の体内電流の変化を利用した手法を例にあげて説明したが、これに限定されるものではなく、人体を媒介として通信を行う手法であれば、いずれの人体通信の手法も用いることができる。
【0061】
また、上記実施の形態では、本発明を物流センターにおける商品の管理上のピッキングに適用した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、組立工場における工具の管理上のピッキングや、薬品工場における薬品の管理上のピッキングに本発明を適用することもできる。
【0062】
また、上記実施の形態で説明したハンディ・ターミナル110の構成を簡略化することもできる。例えば、カウンタ113を省略し、商品のピッキング数は作業者自身に計数させてもよい。あるいは、棚検索部131及び商品配置テーブル119を省略し、商品棚500の位置は作業者自身に判断させてもよい。
【0063】
なお、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係るピッキング支援システムの概要を説明するための模式図である。
【図2】ハンディ・ターミナルによるピッキング用伝票の読取り状態を示す模式図である。
【図3】ハンディ・ターミナルとタッチタグの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】商品配置テーブルのデータの内容の一例を示す説明図である。
【図5】ピッキング処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 ピッキング用伝票
2 2次元バーコード
110 ハンディ・ターミナル
111 バーコードリーダ
112 照合部
113 カウンタ
114 表示部
115 音声出力部
116、122 人体通信部
117、121 メモリ
118 不揮発性メモリ
119 商品配置テーブル
120 タッチタグ
131 棚検索部
500 商品棚
501 引き出し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキング対象の商品又は当該商品を陳列する棚に前記商品毎に貼付されるものであって、前記商品を一意に識別するための商品識別情報を記憶すると共に、前記商品識別情報を送信する記憶媒体と、
前記記憶媒体に記憶された前記商品識別情報を受信し、当該受信した前記商品識別情報に基づいて、作業者がピッキングした商品の適合性を判断する照合装置とを備え、
前記記憶媒体は、
前記作業者が前記記憶媒体に近接した時に、当該記憶媒体によって記憶された前記商品識別情報を、当該作業者の人体を媒体とした人体通信によって前記照合装置に送信する記憶媒体側人体通信手段を備え、
前記照合装置は、
前記商品識別情報を記憶する商品識別情報記憶手段と、
前記作業者が前記記憶媒体に近接した時に当該記憶媒体から送信された前記商品識別情報を、前記人体通信により受信する照合装置側人体通信手段と、
前記照合装置側人体通信手段にて受信された前記商品識別情報と、前記商品識別情報記憶手段にて記憶された前記商品識別情報であって、前記ピッキング対象である商品に対応する商品識別情報として所定方法で特定された前記商品識別情報とが、相互に一致するか否かを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に応じた所定の出力を行う出力手段とを備えたこと、
を特徴とするピッキング支援システム。
【請求項2】
前記照合装置は、前記作業者が携帯可能な携帯端末であり、
前記携帯端末は、前記商品識別情報の入力を受け付けて前記商品識別情報記憶手段に保存する入力手段を備えること、
を特徴とする請求項1に記載のピッキング支援システム。
【請求項3】
前記商品識別情報記憶手段は、商品の所要のピッキング数を前記商品識別情報に対応づけて記憶し、
前記携帯端末は、前記商品識別情報が一致することが前記照合手段によって照合された数を計数する計数手段を備え、
前記出力手段は、前記計数手段による計数結果と、前記照合装置側人体通信手段にて受信された前記商品識別情報に対応付けて前記商品識別情報記憶手段に記憶された前記ピッキング数とに応じた、所定の出力を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載のピッキング支援システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、
前記商品識別情報と、当該商品識別情報にて識別される商品が配置される棚を一意に識別するための棚識別情報とを、対応付けて記憶する商品配置情報記憶手段と、
前記商品識別情報記憶手段にて記憶された前記商品識別情報であって、前記ピッキング対象である商品に対応する商品識別情報として所定方法で特定された前記商品識別情報に対応する前記棚識別情報を、前記商品配置情報記憶手段から検索する棚検索手段と、
前記棚検索手段にて検索された前記棚識別情報に応じた出力を行う棚情報出力手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載のピッキング支援システム。
【請求項5】
ピッキング対象の商品又は当該商品を陳列する棚に前記商品毎に貼付されるものであって、前記商品を一意に識別するための商品識別情報を記憶すると共に、前記商品識別情報を送信する記憶媒体と、
前記記憶媒体に記憶された前記商品識別情報を受信し、当該受信した前記商品識別情報に基づいて、作業者がピッキングした商品の適合性を判断する照合装置と、
を備えたピッキング支援システムで実行されるピッキング支援方法であって、
前記照合装置に設けた商品識別情報記憶手段に前記商品識別情報を保存するステップと、
前記作業者が前記記憶媒体に近接した時に、当該記憶媒体によって記憶された前記商品識別情報を、当該作業者の人体を媒体とした人体通信にて当該記憶媒体から前記照合装置に送信するステップと、
前記記憶媒体から前記照合装置に送信した前記商品識別情報と、前記商品識別情報記憶手段にて記憶された前記商品識別情報であって、前記ピッキング対象である商品に対応する商品識別情報として所定方法で特定された前記商品識別情報とが、相互に一致するか否かを前記照合装置において照合するステップと、
前記照合手段による照合結果に応じた所定の出力を行うステップと、
を含むことを特徴とするピッキング支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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