説明

ピッキング設備

【課題】作業者の受け持ちゾーンを細かく設定できるピッキング設備を提供する。
【解決手段】ピッキング設備1は、複数の保管部3を有する保管装置2と、保管部3からの物品Wを搬送投入する複数の投入装置11と、投入装置11からの物品Wをオーダ単位で搬送するオーダ単位搬送装置12とを備える。投入装置11は、縦方向に並んで位置する縦1列の保管部3ごとに1つずつ設ける。縦1列の保管部3と1つの投入装置11とにて1つのユニット10を構成する。作業者Aに対して任意の数のユニット10を受け持ちゾーンZとして設定可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け持ちゾーンを細かく設定できるピッキング設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば縦方向および横方向に並んで位置する複数の保管部(物品収納部)を有する保管装置と、保管装置と作業スペースを介して離間対向して位置し保管部からオーダ情報に応じて取り出された物品が載置されこの載置された物品を一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入装置と、複数の投入装置からの物品を受け入れこの受け入れた物品を集品容器にオーダ単位として収納した状態で搬送するオーダ単位搬送装置と、作業スペースでピッキング作業をする作業者に対して次に取り出す物品が保管されている保管部およびその取り出した物品を載置する投入装置とを指示するピッキング指示を出す指示手段とを備えたピッキング設備が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このピッキング設備では、縦方向および横方向に並んだ例えば9列3段(合計27)の保管部ごとに作業者がピッキング作業を担当するピッキングゾーンが設けられており、例えば集品ラインの上流側から順に第1ピッキングゾーン、第2ピッキングゾーンおよび第3ピッキングゾーンが配設されている。
【0004】
さらに、第1ピッキングゾーンと第2ピッキングゾーンとの間には第1ゾーン切換スイッチが設けられ、第2ピッキングゾーンと第3ピッキングゾーンとの間には第2ゾーン切換スイッチが設けられている。第1ゾーン切換スイッチは、第1ピッキングゾーンと第2ピッキングゾーンを統合して1つのピッキングゾーンとするときに操作され、第2ゾーン切換スイッチは、第2ピッキングゾーンと第3ピッキングゾーンを統合して1つのピッキングゾーンとするときに操作される。
【特許文献1】特開2005−75635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のピッキング設備では、ゾーン切換スイッチの操作によりゾーン範囲を変更可能であるが、その変更は複数列で複数段の保管部からなる大きなゾーン単位で行われるため、細かなゾーン設定ができない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業者がピッキング作業を担当する受け持ちゾーンを細かく設定できるピッキング設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のピッキング設備は、縦方向および横方向に並んで位置する複数の保管部を有する保管装置と、この保管装置と作業スペースを介して離間対向して位置し、前記保管部からオーダ情報に応じて取り出された物品が載置され、この載置された物品を一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入装置と、これら複数の投入装置からの物品を受け入れ、この受け入れた物品をオーダ情報に対応するオーダ単位で搬送するオーダ単位搬送装置と、前記作業スペースでピッキング作業をする作業者に対して次に取り出す物品が保管されている保管部およびその取り出した物品を載置する投入装置を指示するピッキング指示を出す指示手段とを備え、前記投入装置は、縦方向に並んで位置する縦1列の保管部ごとに1つずつ設けられ、前記縦1列の保管部と前記1つの投入装置とにて、1つのユニットが構成され、前記作業スペースでピッキング作業をする作業者に対して、任意の数のユニットが受け持ちゾーンとして設定可能となっているものである。
【0008】
請求項2記載のピッキング設備は、請求項1記載のピッキング設備において、複数のユニットからなる受け持ちゾーンでは、一のユニットの保管部から取り出された物品が他のユニットの投入装置に優先して同じ一のユニットの投入装置に載置されるよう、指示手段からピッキング指示が出されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業スペースでピッキング作業をする作業者に対して、任意の数のユニットを受け持ちゾーンとして設定できるため、作業者がピッキング作業を担当する受け持ちゾーンを細かく設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1および図2において、1はピッキング設備で、このピッキング設備1は、例えばピッキング対象物である食品等の物品(商品)Wが上面開口状の収納容器W1に1個または複数個収納された状態で保管される保管装置2を備えている。
【0012】
保管装置2は、上下方向である縦方向および左右水平方向である横方向に並んで位置する複数の保管部(物品収納空間)3を有している。すなわち例えば保管装置2は、複数のピッキング棚等にて構成されたもので、棚本体4を備え、この棚本体4に物品Wが収納容器W1に収納された状態で保管される前後方向長手状の保管部3が複数列(例えば48列)でかつ複数段(例えば4段)に形成されている。
【0013】
各保管部3の底面に沿って保管部3の取り出し用の間口である前面開口に向って下り傾斜する傾斜状のフリーローラコンベヤ(図示せず)が配設され、このフリーローラコンベヤ上に複数の収納容器W1が一列に並んで状態に載置される。フリーローラコンベヤの搬送終端側には、先頭の収納容器W1と当接して保管中の収納容器W1の前方への移動を規制するストッパ部5が設けられている。そして、物品Wが取り出されて空になった先頭の収納容器W1を保管部3から除去すると、後続の収納容器W1は自重でフリーローラコンベヤ上を前方向へ移動する。物品Wが収納された収納容器W1は、保管部3へこの保管部3の供給口である後面開口から自動供給装置(図示せず)によって供給される。
【0014】
各保管部3ごとに保管部指示用の保管側ランプ(光源)7が設けられている。保管側ランプ7は、例えば発光ダイオード等で、棚本体4のストッパ部5の前面側に取り付けられている。
【0015】
また、ピッキング設備1は、保管装置2と作業スペースSを介して離間対向して位置し保管部3からオーダ情報に応じて取り出された物品Wが載置されこの載置された物品Wを一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入装置11と、これら複数の投入装置11からの物品Wを受け入れこの受け入れた物品Wをオーダ情報に対応するオーダ単位で搬送する1つのオーダ単位搬送装置12とを備えている。
【0016】
複数の投入装置11は、オーダ単位搬送装置12の側方位置にこのオーダ単位搬送装置12の搬送方向に沿って水平状に並設され、各投入装置11は、縦方向に並んで位置する縦1列の保管部3ごとに1つずつ設けられている。つまり、縦1列(例えば4つ)の保管部3と1つの投入装置11とが1対1の関係にあり、縦1列の保管部3と1つの投入装置11とにて、1つのユニット10が構成されている。
【0017】
そして、ピッキング設備1では、作業スペースSでピッキング作業をする各作業者A(図3では、A、B、C、D……)に対して、任意の数のユニット10が受け持ちゾーンZとして設定可能となっている。例えば図1に示す1人の作業者Aに対しては、複数、例えば4つのユニット10からなる受け持ちゾーン(ピッキングゾーン)Zが設定され、作業者Aは、ピッキング指示に基づき、4列4段(合計16)の保管部3から物品Wを取り出し、4つの投入装置11上に載置する。
【0018】
各投入装置11は、例えばランプ内蔵駆動コンベヤ等にて構成されたもので、保管装置2の保管部3から取り出された物品Wが直接載置されこの載置された物品Wを一時的に待機させた後にオーダ単位搬送装置12上へ搬送投入する水平な搬送面15を上面に有する装置本体16と、この装置本体16の搬送面15の一部または全部を光らせる投入装置指示用の投入側ランプ(光源)17とを有している。
【0019】
装置本体16は、物品Wを搬送する無端状の透光性搬送体18を有し、この透光性搬送体18は、コンベヤフレーム19にて支持された複数のローラ20に回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源(図示せず)からの動力で回行して物品Wをオーダ単位搬送装置12の搬送方向に対して直交する方向へ搬送する。透光性搬送体18は、例えば多数の孔を有する網目状部材にて構成され、この透光性搬送体18の上側の往路面部の上面が搬送面15となっている。投入側ランプ17が点灯すると、透光性搬送体18の搬送面15に形成された孔(搬送面15の一部)から光が放射され、この光によって物品Wを載置する投入装置11が指示されるとともに搬送面15上に物品載置位置が指示される。
【0020】
各透光性搬送体18の内部、つまり透光性搬送体18の上側の往路面部とこの往路面部と離間対向する下側の復路面部との間に光を放つ光源である投入側ランプ17が配設されており、この投入側ランプ17は例えば発光ダイオード等である。
【0021】
なお、作業スペースSでピッキング作業をする作業者Aに対して次に取り出す物品Wが保管されている保管部2を指示する保管側ランプ7、保管部3から取り出した物品Wを載置する投入装置11を指示する投入側ランプ17、およびこれらランプ7,17を制御するランプを制御する制御手段等にて、オーダ情報に応じた所望のピッキング指示を出す指示手段21が構成されている。
【0022】
また、オーダ単位搬送装置12は、例えばオーダ単位の物品Wを搬送面23上に直接載せた状態で、水平な搬送方向(図1中、下方向)に搬送しながらセンターリングする構成になっている。このオーダ単位搬送装置12は、物品Wを搬送する無端状の搬送体24を有し、この搬送体24は、コンベヤフレームにて支持された複数のローラに回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源(図示せず)からの動力で回行して物品Wを搬送する。
【0023】
次に、上記ピッキング設備1の作用等について説明する。
【0024】
例えば作業者が担当する受け持ちゾーンZのユニット10の数をすべての作業者について同数にすると、ピッキング対象物である物品Wの中には、オーダ数(出荷数)の多い高頻度物品や、オーダ数の少ない低頻度物品等があるため、作業者によって作業負担が大きく異なってしまう。すなわち例えば高頻度物品が保管された保管部3を含むユニット10からなる受け持ちゾーンZを受け持った作業者は作業負担が大きく、低頻度物品が保管された保管部3を含むユニット10からなる受け持ちゾーンZを受け持った作業者は作業負担が小さい。
【0025】
そこで、ピッキング設備1では、図4に示すように、各作業者のA、B、C、D……の作業負担が均等になるよう、各作業者A、B、C、D……に対して、物品Wのオーダ数(作業物量)に対応する任意の数のユニット10が受け持ちゾーンZとして設定される。
【0026】
すなわち各作業者ごとにユニット10の単位で受け持ちゾーンZが設定され、例えば作業者Aの受け持ちゾーンZのユニット10の数は4、作業者Bの受け持ちゾーンZのユニット10の数は6、作業者Cの受け持ちゾーンZのユニット10の数は2、作業者Dの受け持ちゾーンZのユニット10の数は4である。
【0027】
なお、図示しないが、作業者の熟練度等を考慮して、ユニット10の数つまり受け持ちゾーンZの範囲を調整してもよい。
【0028】
また、図4を参照して、複数のユニット10からなる受け持ちゾーンZでのピッキング指示について説明する。
【0029】
図4に示すように、4つのユニット10からなる受け持ちゾーンZの投入装置11を「1」、「2」、「3」および「4」とし、そのゾーンZの縦1列の保管部3を「a」、「b」、「c」および「d」とする。
【0030】
指示手段21から出されるピッキング指示の一例を表1に示し、各保管部3における投入装置11の優先順位を表2に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
作業者Aは、「b」から物品Wを取り出し、この取り出した物品Wを優先順位1の「2」に載置する(順序1)。
【0034】
次いで、「c」から物品Wを取り出し、この取り出した物品Wを優先順位1の「3」に載置する(順序2)。
【0035】
続いて、「c」から物品Wを取り出し、この取り出した物品Wを優先順位4の「1」に載置し、またこの際、「2」が物品Wの投入を開始する(順序3)。
【0036】
「c」の優先順位1および優先順位3の「3」および「2」上には物品Wがあり、かつ優先順位2の「4」に関しては後の順序4に「d−4」を予定しているため、順序3では「c−1」となる。
【0037】
次に、「d」から物品Wを取り出し、この取り出した物品Wを優先順位1の「4」に載置する(順序4)。
【0038】
次に、「b」から物品Wを取り出し、この取り出した物品Wを優先順位1の「2」に載置し、またこの際、「3」が物品Wの投入を開始する(順序5)。
【0039】
続いて、「b」から物品Wを取り出し、この取り出した物品Wを優先順位2の「3」に載置し、またこの際、「1」が物品Wの投入を開始する(順序6)。
【0040】
次に、「a」から物品Wを取り出し、この取り出した物品Wを優先順位1の「1」に載置する(順序7)。
【0041】
次いで、「2」による物品Wの投入後、作業者Aは、「a」から物品Wを取り出し、この取り出した物品Wを優先順位2の「2」に載置する(順序8)。
【0042】
このように、複数のユニット10からなる受け持ちゾーンZでは、一のユニット10の保管部(例えば「a」)3から取り出された物品Wが所定条件下で他のユニット10の投入装置(例えば「2」、「3」、「4」)11に優先して同じ一のユニット10の投入装置(例えば「1」)11に載置されるよう、指示手段21からピッキング指示が出される。このため、作業者の横歩きが少なく、ピッキング作業が効率的に行われる。
【0043】
なお、例えば「b」のピッキング指示を出す場合、「b」の優先順位「2→3→1→4(または2→1→3→4)」等のロジックを取るが、端の「a」から反対の端の「4」へ載置することや、端の「d」から反対の端の「1」載置することは、作業者Aの横歩きの増加を招くため、指示手段21は、投入装置11の数である例えば4つ後以内の指示および投入装置11による投入タイミングをみながら最適指示を出す。
【0044】
また、オーダ数(出荷数)の多い高頻度物品については、作業者Aが最も取り出しやすい受け持ちゾーンZの中心部分の保管部3に保管することにより、作業者Aの作業負担を軽減できる。
【0045】
そして、このようなピッキング設備1によれば、作業スペースSでピッキング作業をする作業者Aに対して、物品Wのオーダ数および作業者の熟練度等に対応する任意の数のユニット10を受け持ちゾーンZとして設定できるため、作業者Aがピッキング作業を担当する受け持ちゾーンZを細かく設定でき、よって例えば各作業者の作業負担の均等化を図ることができ、また作業者の熟練度等に応じて受け持ちゾーンZの範囲を細かく調整できる。
【0046】
また、複数のユニット10からなる受け持ちゾーンZでは、一のユニット10の保管部3から取り出された物品Wが他のユニット10の投入装置11に優先して同じ一のユニット10の投入装置11に載置されるよう、指示手段21からピッキング指示が出されるため、各作業者の横歩きが少なく、ピッキング作業の効率化を図ることができる。
【0047】
なお、上記実施の形態では、保管部3にはピッキング対象物である物品Wが収納容器W1に収納された状態で保管される場合について説明したが、例えば収納容器W1を用いず、箱詰め商品等からなる物品を並べて保管するようにしてもよい。
【0048】
また、各作業者に割り当てられるユニット10の数は任意であるため、2、4、6以外に、1、3、5或いは7以上でもよく、また縦1列の保管部3の数(段数)も任意であり、この縦1列の保管部3は複数段には限定されず、1段も含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態に係るピッキング設備の概略平面図である。
【図2】同上ピッキング設備の概略側面図である。
【図3】同上ピッキング設備で作業する作業者のユニット数を示すグラフである。
【図4】同上ピッキング設備の概略平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ピッキング設備
2 保管装置
3 保管部
10 ユニット
11 投入装置
12 オーダ単位搬送装置
21 指示手段
A 作業者
S 作業スペース
W 物品
Z 受け持ちゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向に並んで位置する複数の保管部を有する保管装置と、
この保管装置と作業スペースを介して離間対向して位置し、前記保管部からオーダ情報に応じて取り出された物品が載置され、この載置された物品を一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入装置と、
これら複数の投入装置からの物品を受け入れ、この受け入れた物品をオーダ情報に対応するオーダ単位で搬送するオーダ単位搬送装置と、
前記作業スペースでピッキング作業をする作業者に対して次に取り出す物品が保管されている保管部およびその取り出した物品を載置する投入装置を指示するピッキング指示を出す指示手段とを備え、
前記投入装置は、縦方向に並んで位置する縦1列の保管部ごとに1つずつ設けられ、
前記縦1列の保管部と前記1つの投入装置とにて、1つのユニットが構成され、
前記作業スペースでピッキング作業をする作業者に対して、任意の数のユニットが受け持ちゾーンとして設定可能となっている
ことを特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
複数のユニットからなる受け持ちゾーンでは、一のユニットの保管部から取り出された物品が他のユニットの投入装置に優先して同じ一のユニットの投入装置に載置されるよう、指示手段からピッキング指示が出される
ことを特徴とする請求項1記載のピッキング設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−107788(P2009−107788A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282591(P2007−282591)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】