説明

ピペラジニル置換シクロヘキサン1,4−ジアミン

【化1】


本発明は、良性前立腺肥大および下部尿路症状の処置のためのα1a/α1dアドレナリン受容体モジュレーターとしての、式(I)のピペラジン置換シクロヘキサン−1,4−ジアミン化合物およびその製薬学的に許容できる形態物に関する。また本発明は、該新規化合物を含んでなる製薬学的組成物、これらの新規化合物を製造する新規方法、および薬物としての新規使用ならびに処置の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対するクロス・リファレンス】
【0001】
本出願は、2005年3月29日提出の米国暫定特許出願第60/665952号の利益を請求するものであり、これらは完全に、そして全目的について引用によって本明細書に組み入れられている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、良性前立腺肥大および/または下部尿路症状の処置のための選択性α1a/α1dアドレナリン受容体モジュレーターとしての新規化合物、より具体的には新規ピペラジン置換シクロヘキサン−1,4−ジアミンに関する。また本発明は、該新規化合物を含んでなる製薬学的組成物、これらの新規化合物を製造する新規方法、α1a/α1dアドレナリン受容体モジュレーターとしてのこれらの化合物の使用、および薬物としての新規使用ならびに処置の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ノルエピネフリンおよびエピネフリンがそれらの生物学的活性を、これらの受容体を介して発揮するアドレナリン受容体(AR)は、多くの治療学的に重要な薬物のための標的である。α−ARは、平滑筋収縮の制御において著しい役割を演じ、そして血圧、鼻の充血、前立腺機能およびその他のプロセスの制御において重要である(非特許文献1)。α−ARは、薬物学的プロフィルによって2つのサブタイプ、α1aおよびα1bに初めて分類された(非特許文献2;非特許文献3)。異なるα−ARサブタイプ(α1a、α1bおよびα1d)をコードしている3種の遺伝子が、ヒトを含む、多数の種についてクローン化されている(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。これらの3種のクローン化されたα−ARは、一連のアンタゴニスト化合物の相対結合親和力に基づいて互いに最良に分別される。α1a−およびα1b−ARは薬理学的に定義されたα1a−およびα1b−ARに対応していることは一般に認められているが、一方、α1d−ARの機能的役割は、それがある種の血管の収縮を媒介するようであるけれども、あまり明瞭ではない(非特許文献7)。他のARと同様、α−ARは,G蛋白質共役受容体スーパーファミリーのメンバーであり、そしてほとんどの細胞において、全てのα−ARサブタイプの活性化に対する一次の機能的応答は、細胞内Ca2+の増加である。
【0004】
良性前立腺過形成(BPH)は、前立腺の非悪性増大であり、そして成人男性集団の大部分における下部尿路症状(LUTS)の原因である。緊張(straining)、躊躇(hesitancy)、たれる(dribbling)、弱い尿流(weak stream)および残尿(incomplete emptying)のような症状は、排尿または閉塞症状として分類される。閉塞症状は、最初は、増大した前立腺の物理的量による尿道への圧力(静的要素)および前立腺間質および膀胱頸部の平滑筋の増強された緊張(動的要素)によるものである(非特許文献8)。BPHに関連する過敏および貯留症状は、頻度、切迫、夜尿症、排尿障害および焼成感覚である。患者は、これらの症状が閉塞症状よりも不安にさせるものと感じる。膀胱排出閉塞により尿の流動が減退させられるので、膀胱基底の周囲の壁が肥厚し、機能亢進になる。
【0005】
機能的研究は、前立腺平滑筋の緊張がα−ARを介して維持され、そしてこれらの受容体が閉塞の動的要素を媒介することを確認した。α−ARアンタゴニストは、BPHに関連する閉塞症状を処置するために成功裏に使用された(非特許文献9)。さらにまた、α1a−ARサブタイプは、ヒトの前立腺平滑筋におけるα−ARの大多数を含み、この組織において収縮を媒介することが分った。抗高血圧剤として最初に導入された、α−ARアンタゴニストは、BPHの管理において益々重要になった。α−ARアンタゴニストは前立腺および下部尿路における平滑筋の緊張を低下し、それによって膀胱出口を弛緩し、尿の流動を増加させる。非選択性α−ブロッカーの主要な欠点は、それらの副作用プロフィル、特に、めまい、体位性低血圧、無力症および時には失神をもたらす血管拡張である。この理由のために、血管の緊張維持に関与するα−ARに拮抗することなく下位尿路においてα−ARをブロックすることが望まれる。
【0006】
多数の因子が下部尿路症状に伴われる。膀胱のアドレナリン作動性刺激は、過剰な収縮を媒介するα−ARを抑えるβ−ARによる弛緩をもたらす。膀胱の収縮は主にムスカリン性受容体により媒介される。いくつかの研究は、α−ARからの寄与が、膀胱排出閉塞または他の症状による機能亢進性膀胱において増大することを示している(非特許文献10;非特許文献11)。しかしながら、その他の研究は、正常および肥大膀胱間のα−AR受容体機能には出口閉塞による変化を見出さない(非特許文献12)。ある研究は、膀胱頂部、基底および三角におけるα1aサブタイプmRNAの卓越量を報告した(非特許文献13)。その他の報告は、α1bサブタイプについての証拠はないが、α1dサブタイプが、mRNAおよび蛋白質両レベルにおいてα−ARの66%として存在し、一方α1aサブタイプは全体の34%として存在することを見出した(非特許文献14)。α1a−ARサブタイプのみを選択的に拮抗する薬物は、BPHの過敏症状にはほとんど影響を及ぼさないと考えられる。Ro−70004、α1aサブタイプ−選択性化合物は、これらの症状の処置において乏しい効力を有することが見出された時点で、臨床研究において中止されたことが報告された(非特許文献15)。α1d−ARは過敏症状の媒介に必要であるかもしれない;しかしながら、これらのα1d−ARの場所は知られていない(非特許文献16)。
【0007】
研究は、ネコの膀胱への交感神経性および体細胞性流出に及ぼすαアンタゴニストの中枢神経系(CNS)抑制効果を例証した(非特許文献17;非特許文献18)。鞘内投与されたドキサゾシン(doxazosin)は、正常ラットおよび排出閉塞に対して二次的な膀胱肥大を有するラットの両者において排尿圧の減少を惹起した(非特許文献19)。これらの効果は、脊髄および神経節における副交感神経活性の低下によるものであろう。他の研究は、過活性の膀胱を有する自然発生の高血圧ラットを使用して、鞘内に投与されただけのα−ARアンタゴニストが正常な排尿への復帰を惹起することを例証した(非特許文献20、非特許文献21)。膀胱の近くの動脈内に投与されたアンタゴニスト、または末梢ノルアドレナリン作動性神経の切除は、これらの動物における膀胱過活性には効果を有せず、脊髄におけるα−ARが膀胱活性を制御することを示している。脊髄α−ARは、ヒトでも同様にBPH症状の薬理学的処置のための重要な標的であるかもしれない。全3種のα−ARサブタイプmRNAがヒト脊髄全体に見出されるが、α1d−ARサブタイプmRNAは、特に、腹側の仙椎運動ニューロンおよび自律交感神経経路において、他のサブタイプの2倍レベルで存在している(非特許文献22)。BPH症状を減退する際に、CNSにおけるα1d−ARの薬理学的遮断に対する臨床的利点が存在するであろう。
【0008】
CNSおよび膀胱におけるα1d−ARの拮抗性は、BPHの過敏または充満症状を低下させ、そして患者の症状スコアを改善する際の重要な活性であろう。タムスロシン(Tamsulosin)(Flomax(R),Yamanuchi and Boehringer Ingelheim)はα−ARアンタゴニストであり、これはα1bサブタイプよりもα1aサブタイプおよびα1dサブタイプに対して約15倍選択的である。タムスロシンによるBPH患者の大規模な臨床試行は、閉塞および過敏の両症状における改善を示したが、心臓血管および勃起機能障害の副作用が見られた(非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25)。また、非選択性αアンタゴニストにより処置された患者は、血管副作用の危険性は比較的大きいけれども、閉塞および過敏両症状における改善を有する。一般に、α1aサブタイプは、mRNAおよび蛋白質レベルでは動脈にお
いて卓越しているが、一方全3種のサブタイプは静脈において見出される。α1aが内臓および冠動脈において最初に見出されたサブタイプであるが、α1dサブタイプは大動脈において見出される卓越したサブタイプであることでは、特定の血管床は重要である。血管系におけるα−ARサブタイプは年齢とともに変化することが分っている。乳房動脈の収縮は両α1aおよびα1bサブタイプによって媒介される。乳房動脈におけるα受容体の数は年齢とともに倍加する;しかしながら、α1bサブタイプはα1aサブタイプよりも大きい程度まで増加する(非特許文献26)。α1bサブタイプは、初老患者では血管の緊張においてより大きい役割を演じるであろう。このことは、α1aおよびα1d−選択性アンタゴニストが、初老のBPH患者の血管系にはあまり影響を及ぼさず、非選択性αアンタゴニストにより見られるよりも少ない心臓血管副作用しかもたらさず、しかし閉塞および過敏両症状の軽減を提供するであろう。
【0009】
尿路選択性(uroselective)で、心臓血管に寛大なα−ARアンタゴニストは、体位性低血圧、めまいおよび失神という望ましくない副作用もなく、現在市販される非選択性作用物、例えばテラゾシン/Hytrin(R)、ドキサゾシン/Cardura(R)、アルフゾシン/Xatral(R)/Uroxatral(R)および弱い選択性のタムスロシン/Flomax(R)/Harnal(R)に匹敵するBPHの症状軽減を提供することが期待されるであろう。射精機能障害または退行性射精は、タムスロシンを用いる患者の10〜35%において見られる副作用である(非特許文献27;非特許文献28)。この活性は、5−HT1a受容体におけるタムスロシン拮抗によるものとされている。これは、しばしば処置の中止をもたらす。さらにまた、非選択性α−ARアンタゴニストおよびタムスロシンはPDEインヒビターとの同時使用に対して禁忌される。LUTSおよび勃起機能障害患者の間には高い共通罹患率がありそうである。現在α−ARブロッカーによってLUTSに対して処置されている患者は、彼らがPDEインヒビターを使用することから除外されることを理解できる。α1aおよびα1dサブタイプに対して選択的である受容体サブタイプ結合プロフィルをもつが、α1bサブタイプの比較的小さい拮抗性をもつα−ARアンタゴニストは、BPHの両閉塞および過敏症状を効果的に処置できるであろう。そのような化合物は、低い心臓血管副作用プロフィルを有し、そしてPDEインヒビターとの同時使用を可能にすると考えられる。また、5−HT1a受容体における低い結合活性は、射精副作用の発生を低下すると考えられる。
【0010】
LUTSはまたある年齢の女性において現れる。男性におけるように、女性におけるLUTSは、切迫、失禁および夜尿症のような充満症状、および弱い尿流、躊躇、膀胱の残尿および腹圧のような排尿症状の両方を含む。男女両性のこの症状の存在は、病因の少なくとも一部が両性において類似していることを示唆している。
【0011】
したがって、二重選択性α1a/α1dアドレナリン受容体モジュレーターアンタゴニスト、言い換えれば、α1aまたは/およびα1dアドレナリン受容体の両方と相互作用するが、α1bアドレナリン受容体とは相互作用しない(または少なくとも、実質的にはほとんど相互作用しない)化合物を提供する必要が存在する。本発明の化合物は、主としてBPH/LUTS患者のためにより効能のある薬物であると信じられ、そして同時に、これらの化合物は、現存する薬品よりも少ない望ましくない副作用を示すに違いない。
【非特許文献1】Harrison et al.,Trends Pharmacol Sci;1991;62−67
【非特許文献2】Morrow and Creese,Mol.Pharmacol;1986;29:231−330
【非特許文献3】Minneman et al.,Mol.Pharmacol;1988;33:509−514
【非特許文献4】Schwinn et al.,J.Biol Chem;1990;265:8183−8189
【非特許文献5】Ramarao et al.,J.Biol Chem;1992;267:21936−21945
【非特許文献6】Bruno et al.,Biochem Biophys Res Commun;1991;179:1485−1490
【非特許文献7】Goetz et al.,Eur J Pharmacol;1991;272:R5−R6
【非特許文献8】Caine,J Urol;1986;136:1−4
【非特許文献9】Jardin et al.,Scientific Communications Int;1998;pp559−632
【非特許文献10】Perlberg et al.,Urology;1982;20:524−527
【非特許文献11】Restorick and Mundy,Br J Urol;1989;63:32−35
【非特許文献12】Smith and Chapple,Neurolog Urodyn;1994;12:414−415
【非特許文献13】Walden et al.,J Urol;1997;157:414−415
【非特許文献14】Malloy et al.,J Urol;1998;160:937−943
【非特許文献15】Blue et al.,Abstract5th International Consultation on BPH(June 25−28)2000
【非特許文献16】Piascik and Perez,J Pharmacol Exp Ther;2001;298:403−410
【非特許文献17】Danuser and Thor,J Urol;1995;153:1308−1312
【非特許文献18】Ramage and Wyllie,Eur J Pharmacol;1995;294:645−650
【非特許文献19】Ishizuka et al.,Br J Pharmacol;1996;117:962−966
【非特許文献20】Persson et al.,Am J Physiol;1998;275:R1366−1373
【非特許文献21】Steers et al.,1999;Exp Physiol;84:137−147
【非特許文献22】Stafford−Smith et al.,Mol Brain Res;1998;63:234−261
【非特許文献23】Abrams et al.,Br J Urol;1995;76:325−336
【非特許文献24】Chapple et al.,Eur Urol;1996;29:155−167
【非特許文献25】Lepor,Urology;1998;51:892−900
【非特許文献26】Raudner et al.,Circulation;1999;100:2336−2343
【非特許文献27】Lepor,Urology;1998;51:901−906
【非特許文献28】Andersson and Wyllie,Brit J Urol Int;2003;92:876−877
【発明の開示】
【0012】
本発明は、式(I)
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、
は、
(1)アリール、
(2)アリール−C1−8アルキル、
(3)C3−8シクロアルキル、
(4)C3−8シクロアルキル−C1−8アルキル、
(5)ヘテロアリール、
(6)ヘテロアリール−C1−8アルキル、
(7)ヘテロシクリル、および
(8)ヘテロシクリル−C1−8アルキル、
からなる群から選ばれ、
ここで、各アリール、C3−8シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいは
(i)C1−8アルキル、
(ii)C1−8アルコキシ、
(iii)C1−8アルコキシ−C1−8アルキル、
(iv)ハロ−C1−8アルキル、
(v)ハロ−C1−8アルコキシ、
(vi)ヒドロキシ−C1−8アルキル、
(vii)C1−8アルコキシ−カルボニル、
(viii)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたSO
(ix)非置換か、またはC1−8アルキルにより一もしくは二置換されたアミノ、
(x)シアノ、
(xi)ハロゲン、
(xii)ヒドロキシ、
(xiii)ニトロ、
(xiv)非置換か、またはC1−8アルキルによりアミノにおいて一もしくは二置換されたアミノ−C1−8アルキル、
(xv)アリール−C1−8アルキル、
(xvi)アリール−C1−8アルコキシ、
(xvii)ヘテロアリール−C1−8アルキル、
(xviii)ヘテロシクリル−C1−8アルキル、
(xix)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたC(O)、
(xx)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたS(O)、
(xxi)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換さ
れたC(O)N、
(xxii)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたSON、
(xxiii)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により硫黄において置換されたNHSO
(xxiv)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基によりカルボニルにおいて置換されたNHC(O)、
(xxv)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたNHSON、
(xxvi)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたNHC(O)N、
(xxvii)C3−8シクロアルキル、
(xxviii)アリール、
(xxix)ヘテロアリール、および
(xxx)ヘテロシクリル;
からなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基により置換されていて、
は、水素およびC1−8アルキルからなる群から選ばれ、
は、
(1)C1−8アルキル、
(2)C1−8アルコキシ、
(3)C1−8アルコキシ−C1−8アルキル、
(4)ハロ−C1−8アルキル、
(5)ハロ−C1−8アルコキシ、
(6)ヒドロキシ−C1−8アルキル、
(7)C1−8アルコキシ−カルボニル、
(8)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたSO
(9)非置換か、またはC1−8アルキルにより一もしくは二置換されたアミノ、
(10)シアノ、
(11)ハロゲン、
(12)ヒドロキシ、
(13)ニトロ、
(14)非置換か、またはC1−8アルキルによりアミノにおいて一もしくは二置換されたアミノ−C1−8アルキル、
(15)アリール、
(16)アリール−C1−8アルキル、
(17)アリール−C1−8アルコキシ、
(18)C3−8シクロアルキル、
(19)C3−8シクロアルキル−C1−8アルキル、
(20)C3−8シクロアルキル−C1−8アルコキシ、
(21)ヘテロアリール、
(22)ヘテロアリール−C1−8アルキル、
(23)ヘテロシクリル、
(24)ヘテロシクリル−C1−8アルキル、
(25)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたC(O)、
(26)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたS(O)、
(27)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたSO
(28)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたC(O)N、
(29)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたSON、
(30)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により硫黄において置換されたNHSO
(31)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基によりカルボニルにおいて置換されたNHC(O)、
(32)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたNHSON、
(33)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたNHC(O)N、および
(34)C3−8シクロアルコキシ;
からなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基であり、
ここで、各アリール、C3−8シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいは
(i)C1−8アルキル、
(ii)C1−8アルコキシ、
(iii)C1−8アルコキシ−C1−8アルキル、
(iv)ハロ−C1−8アルキル、
(v)ハロ−C1−8アルコキシ、
(vi)ヒドロキシ−C1−8アルキル、
(vii)C1−8アルコキシ−カルボニル、
(viii)C1−8アルキル−スルホニル、
(ix)非置換か、またはC1−8アルキルにより一もしくは二置換されたアミノ、
(x)シアノ、
(xi)ハロゲン、
(xii)ヒドロキシ、
(xiii)ニトロ、および
(xiv)非置換か、またはC1−8アルキルによりアミノにおいて一もしくは二置換されたアミノ−C1−8アルキル;
からなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基により置換されていて、そして
およびRは、各々、水素から選ばれるか、あるいは各々、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、アミノ、C1−8アルキル−アミノ、シアノ、ハロゲン、オキソおよびニトロからなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基である]
のピペラジン置換シクロヘキサン−1,4−ジアミン化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を提供する。
【0015】
本発明の例は、本出願に記述される式(I)の化合物のいずれかの治療学的に有効な量および製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物を含む。
【0016】
本発明の1つの例は、本出願に記述される式(I)の化合物のいずれかおよび製薬学的に許容できる担体を組み合わせることによって作成される製薬学的組成物である。
【0017】
本発明のその他の実例は、本出願に記述される化合物のいずれかおよび製薬学的に許容できる担体を組み合わせることを含んでなる製薬学的組成物の作成方法である。
【0018】
本発明の1つの態様は、α1a/α1dアドレナリン受容体モジュレーター、より具体的にはそのインヒビター、より興味あるにはそのアンタゴニストを提供することである。本発明の化合物は、好ましくは選択性二重α1a/α1dアドレナリン受容体モジュレーター、より具体的にはそのインヒビター、より興味あるにはそのアンタゴニストである。
【0019】
その他の態様では、本発明は、本出願に記述される式(I)の化合物またはそれを含んでなる製薬学的形態物を、特定の使用のために有効な量において下部尿路の膀胱および他の器官の収縮を罹患している哺乳動物(ヒトを含む)に投与することによって、実質的に血圧に影響を与えることなく下部尿路の前立腺、膀胱および他の器官の収縮を予防する方法に向けられる。
【0020】
本発明のさらなる目的は、良性前立腺過形成(BPH)を罹患している患者の処置の方法であって、方法は、BPHを罹患している患者に対して本出願に記述される式(I)の化合物またはそれを含んでなる製薬学的形態物の有効量を投与することを含む。
【0021】
本発明のさらなる目的は、限定されるものではないが、充満症状、切迫、失禁および夜尿症、ならびに弱い尿流、躊躇、間欠、残尿および腹圧のような排尿問題を含む、下部尿路症状(LUTS)の処置の方法であって、方法は、そのような処置の必要な患者に対して本出願に記述される式(I)の化合物またはそれを含んでなる製薬学的形態物の有効量を投与することを含む。
【0022】
本発明のさらなる目的は、医薬としてのこれらの化合物の使用である。
【0023】
本発明のなおその他の目的は、BPHおよび/またはLUTSを処置するための薬物の製造のための本発明の化合物の使用である。
【0024】
本発明のなおその他の目的は、BPHおよび/またはLUTSの処置の方法であって、方法は、5α−レダクターゼ作用物、例えばフィナステリド(finasteride)またはヅラステリド(durasteride)の有効量と組み合わせて、本発明の化合物の治療学的に有効な量を投与することを含む。
【0025】
本発明のなおその他の目的は、BPHおよび/またはLUTSの処置の方法であって、方法は、NK−1インヒビターの治療学的に有効な量と組み合わせて、本発明の化合物の治療学的に有効な量を投与することを含む。
【0026】
本発明のなおその他の目的は、BPHおよび/またはLUTSの処置の方法であって、方法は、抗−抗アンドロゲン、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、選択性アンドロゲン受容体モジュレーター、PDEインヒビター、尿失禁薬物(例えば、抗ムスカリン様作用薬)または5HT受容体モジュレーターの治療学的に有効な量と組み合わせて、本発明の化合物の治療学的に有効な量を投与することを含む。
【0027】
本明細書に記述され、列挙される全化合物が、その全水和物、溶媒和物、多形および製薬学的に許容できる塩を含むことを意味すると理解されるべきである。また、他に指示されなければ、式(I)の化合物がその立体化学的異性形態物を含むことを意味すると理解されるべきである。
【0028】
本発明の1つの例は、Rが、非置換か、または
(i)C1−8アルキル、
(ii)C1−8アルコキシ、
(iii)ハロ−C1−8アルコキシ。および
(iv)ハロゲン
からなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基により置換された、アリールである、式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0029】
本発明の1つの例は、Rが、非置換か、またはC1−8アルコキシおよびハロゲンからなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基により置換された、アリールである、式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0030】
本発明の1つの例は、Rが水素である、式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0031】
本発明の1つの例は、Rが、
(1)C1−8アルキル、
(2)C1−8アルコキシ、
(3)ハロ−C1−8アルコキシ、および
(4)C3−8シクロアルキル−C1−8アルコキシ
からなる群から独立して選ばれる0、1、2、3または4個の置換基である、式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0032】
本発明の1つの例は、Rが、C1−8アルコキシおよびC3−8シクロアルキル−C1−8アルコキシからなる群から独立して選ばれる0、1、2、3または4個の置換基である、式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0033】
本発明の1つの例は、RおよびRが各々水素である、式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0034】
本発明の1つの例は、式(Ia):
【0035】
【化2】

【0036】
[式中、RおよびRは、
【0037】
【表1】

【0038】
から依存して選ばれる]
の化合物から選ばれる式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0039】
本発明の1つの例は、
が、3,4−(OCH−フェニル、5−Cl−2−OCH−フェニルおよび5−Cl−2−F−フェニルから選ばれ;そして
が、3−OCH−シクロプロピルおよび3−OCH(CHから選ばれる、
式(Ia)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0040】
本発明の1つの例は、式(Ib):
【0041】
【化3】

【0042】
[式中、RおよびRは、
【0043】
【表2】

【0044】
から依存して選ばれる]
の化合物から選ばれる式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0045】
本発明の1つの例は、
が、3,4−(OCH−フェニル、5−Cl−2−OCH−フェニルおよび5−Cl−2−F−フェニルから選ばれ;そして
が、3−OCH−シクロプロピルおよび3−OCH(CHから選ばれる、
式(Ib)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0046】
本発明のその他の例は、
【0047】
【化4】

【0048】
【化5】

【0049】
からなる群から選ばれる化合物およびその製薬学的に許容できる形態物を含む。
【0050】
化合物形態物
本発明の化合物に関して、用語「形態物(form)」は、限定されるものではないが、塩、立体異性体、互変異性体、結晶、多形、無定形、溶媒和物、水和物、エステル、プロ・ドラッグまたは代謝産物形態物として存在してもよいそのようなものを意味する。
【0051】
本発明の化合物に関して、用語「単離された形態物」は、限定されるものではないが、鏡像異性体、ラセミ混合物、幾何学的異性体(例えばシスまたはトランス立体異性体)、幾何学的異性体の混合物などのような本質的に純粋な状態で存在してもよいそのようなものを意味する。本発明は全てのそのような化合物形態物およびそれらの混合物を包含する。
【0052】
ある種の式(I)の化合物は、種々の立体異性または互変異性形態物およびそれらの混合物において存在してもよい。本発明は、本質的に純粋な鏡像異性体、ラセミ混合物および互変異性体の形態における活性化合物を含む、全てのそのような化合物を包含する。
【0053】
本発明の化合物は、製薬学的に許容できる塩の形態において存在してもよい。医薬における使用では、本発明の化合物の「製薬学的に許容できる塩」は非毒性の酸性/陰イオン性または塩基性/陽イオン性塩形態物を指す。
【0054】
本発明の化合物の適当な製薬学的に許容できる塩は、例えば、製薬学的に許容できる酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸の溶液と、本発明による化合物の溶液を混合することによって形成されてもよい酸付加塩を含む。
【0055】
さらにまた、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合は、その適当な製薬学的に許容できる塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩;および適当な有機リガンドと形成される塩、例えば、第4級アンモニウム塩を含んでもよい。かくして、代表的な製薬学的に許容できる塩は、次に示すもの:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム塩、カムシレート(camsylate)(またはカンフォスルホン酸塩)、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロ塩化物、エデト酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ハイドラバミン塩、ハイドロブロミン塩(hydrobromine),塩酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩を含む。
【0056】
本発明は、種々の異性体およびその混合物の化合物を含む。用語「異性体」は、同じ組成と分子量を有するが物理的および/または化学的性質において異なる化合物を指す。そのような物質は、同じ数と種類の原子を有するが構造において異なる。構造的相違は、化学構造(幾何学的異性体)か、または偏光面の回転性能(立体異性体)にあってもよい。
【0057】
用語「光学異性体」は、それらの基の空間配置においてのみ異なる同一化学構造の異性体を意味する。光学異性体は、異なる方向に偏光面を回転する。用語「光学活性」は、光学異性体が偏光面を回転する程度を意味する。
【0058】
用語「ラセミ化合物」または「ラセミ混合物」は、2つの鏡像異性種の等モルの混合物を意味し、ここで、単離された種の各々は、混合物が光学活性を欠くように反対方向に偏光面を回転する。
【0059】
用語「鏡像異性体」は、重ね合わされない鏡像を有する異性体を意味する。
【0060】
用語「ジアステレオマー」は、鏡像異性体ではない立体異性体を意味する。
【0061】
用語「キラル」は、与えられた立体配置において、その鏡像において重ね合わすことができない分子を意味する。これは、それらの鏡像において重ね合わすことができるアキラル分子とは反対である。
【0062】
また、キラル分子の2つの別々の鏡像分子は、それらが偏光面を回転する方向に応じて、levo(左手側)、Lと略記、またはdextro(右手側)、Dと略記、として知られている。記号「R」および「S」は立体形成炭素原子の周囲の基の立体配置を表す。
【0063】
キラルまたはアキラル混合物の単離形態物は、1つの鏡像分子を実質的に含有しないそれらの形態物を意味する。そのような実質的に純粋な形態物は、1つの鏡像が、混合物において25%未満、10%未満、5%未満、2%未満または1%未満の範囲において存在するそれらのものである。
【0064】
アキラル混合物のラセミ形態物から単離された鏡像異性体として富有化された形態物の例は、右旋性鏡像異性体を含み、ここで、混合物は左旋性異性体を実質的に含有しない。この文脈において、実質的に含有しないは、左旋性異性体が、式:
【0065】
【数1】

【0066】
にしたがって、混合物の25%未満、10%未満、5%未満、2%未満または1%未満の範囲において含まれてもよいことを意味する。
【0067】
同様に、アキラル混合物のラセミ形態物から単離された鏡像異性体として富有化された形態物の例は、左旋性鏡像異性体を含み、ここで、混合物は右旋性異性体を実質的に含有しない。この文脈において、実質的に含有しないは、右旋性異性体が、式:
【0068】
【数2】

【0069】
にしたがって、混合物の25%未満、10%未満、5%未満、2%未満または1%未満の範囲において含まれてもよいことを意味する。
【0070】
「幾何学的異性体」は、炭素−炭素二重結合、シクロアルキル環または架橋二環式系に対する関係において置換原子の方向で異なる異性体を意味する。炭素−炭素二重結合の各側の置換原子(水素以外の)は、EまたはZ配置において存在できる。「E」配置では、置換基は炭素−炭素二重結合との関係で反対側に存在する。「Z」配置では、置換基は炭素−炭素二重結合との関係で同じ側に向けられる。
【0071】
環系に接続される置換原子(水素以外の)は、cisまたはtrans配置において存在できる。「cis」配置では、置換基は環の面との関係で同じ側に存在する;「trans」配置では、環の面との関係で反対側に存在する。「cis」および「trans」種の混合物を有する化合物は「cis/trans」と呼ばれる。
【0072】
異性体の記号(「R」、「S」、「E」および「Z」)はコア分子に関する原子配置を示し、そして文献において定義されるように使用されるよう意図される。
【0073】
さらにまた、本発明の化合物は少なくとも1種の結晶、多形または無定形形態を有してもよい。多数のそのような形態物が本発明の範囲内に含まれる。さらに、若干の化合物は、水との溶媒和物(すなわち、水和物)または通常の有機溶媒との溶媒和物(例えば、エタノラートなどのような有機エステル)を形成できる。そのような溶媒和物の多くは、また、本発明の範囲内に包含されることを意図している。
【0074】
化学的命名および定義
可変置換基から環系に引かれた結合線は、置換基が置換可能な環原子のいずれかに結合されてもよいことを示す。
【0075】
本明細書で使用されるように、次の用語は次の意味を有することを意図している(さらなる定義は本明細書をとおして必要とされる場所で定義される)。ここでの定義は化学的
用語が指示される式を有することを指定してもよい。与えられる特定の式は本発明の範囲を限定することを意図せず、用語の具体的説明として提供される。用語のそれ自体の定義の範囲は、当業者によって包含されると期待される多くの変更を含むことが意図される。
【0076】
単独でもまた置換基の一部として使用されても、用語「C1−8アルキル」は、1〜8個の炭素原子を含んでなる直鎖または分枝鎖の炭化水素アルキル基またはアルキルジイル結合基を意味し、ここで、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、tert−ブチル,1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、1−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、3−オクチルなどのように、遊離基は、単一の炭素原子から1個の水素原子の除去によって誘導され、そしてアルキルジイルは、鎖中の2個の炭素原子の各々から1個の水素原子の除去によって誘導される。例はC1−8アルキル、C1−6アルキルおよびC1−4アルキル基を含む。アルキル基または結合基は、末端炭素原子を介して、または鎖内の炭素原子を介してコア分子に結合されてもよい。同様に、可変置換基は、有効原子価によって可能とされる場合にはアルキル結合基に結合されてもよい。
【0077】
単独でもまた置換基の一部として使用されても、用語「C2−8アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素アルキルまたはアルキルジイル遊離基を意味し、ここで、二重結合はアルキル基の2個の隣接する炭素原子の各々から1個の水素原子の除去によって誘導される。原子はシス(E)またはトランス(S)配座のいずれかにおいて二重結合の周囲に向けられてもよい。2〜8個の炭素原子を含んでなる典型的なアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、アリル(2−プロペニル)、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなど。例はC2−4アルケニル基を含む。
【0078】
単独でもまた置換基の一部として使用されても、用語「C2−8アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素アルキルまたはアルキルジイル遊離基を意味し、ここで、三重結合はアルキル基の2個の隣接する炭素原子の各々から2個の水素原子の除去によって誘導される。2〜8個の炭素原子を含んでなる典型的なアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなど。例はC2−4アルキニル基を含む。
【0079】
単独でもまた置換基の一部として使用されても、用語「C1−8アルコキシ」は、式:−O−C1−8アルキルのように、酸素結合原子をとおして結合されるアルキルまたはアルキルジイル遊離基を指す。1〜8個の炭素原子を含んでなる典型的なアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシなど。アルコキシ基はコア分子に結合されてもよく、指示される場合にはさらに置換されてもよい。例はC1−8アルコキシまたはC1−4アルコキシ基を含む。
【0080】
単独でもまた置換基の一部として使用されても、用語「C3−12シクロアルキル」は、単一の環炭素原子から1個の水素原子の除去によって誘導される飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式炭化水素環系基を指す。
【0081】
また用語「C3−12シクロアルキル」は、C3−8シクロアルキル、C3−10シクロアルキル、C5−6シクロアルキル、C5−8シクロアルキル、C5−12シクロアルキル、C9−13シクロアルキルまたはベンゾ縮合−C3−12シクロアルキル環系基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、1H−インデニル、インダニル、9H−フルオレニル、テトラヒド
ロ−ナフタレニル、アセナフテニル、アダマンタニルなどを含む。例はC3−8シクロアルキル、C5−8シクロアルキル、C3−10シクロアルキルなどを含む。C3−12シクロアルキル基はコア分子に結合され、そして有効原子価によって可能とされる場合にはいかなる原子においてさらに置換されてもよい。
【0082】
単独でもまた置換基の一部として使用されても、用語「ヘテロシクリル」は、単一の炭素または窒素環原子から1個の水素原子の除去によって誘導される飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式環基を指す。典型的なヘテロシクリル基は、2H−ピロール、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリジニル、1,3−ジオキソラニル、2−イミダゾリニル(また4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾリルとも言われる)、イミダゾリジニル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、テトラゾリル、テトラゾリジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、アゼチジニル、アゼパニル、ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキシアゼパニル、テトラヒドロ−フラニル、テトラヒドロ−チエニル、テトラヒドロ−ピラニル、テトラヒドロ−ピリダジニル、1,3−ベンゾジオキソリル(またベンゾ[1,3]ジオキソリルとも言われる)、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル(また2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニルとも言われる)などを含む。ヘテロシクリル基はコア分子に結合され、そして有効原子価によって可能とされる場合にはいかなる原子においてもさらに置換されてもよい。
【0083】
環系について接頭辞として使用される用語「ヘテロ」は、N,SまたはOから独立して選ばれる1個以上のヘテロ原子による少なくとも1個の環炭素原子の置換を指す。例は1、2、3または4個の環員が窒素原子であるか;または0、1、2または3個の環員が窒素原子であり、そして1個の環員が酸素または硫黄原子である場合の環を含む。有効原子価によって可能である場合は2個までの隣接環員がヘテロ原子であってもよく;ここで、1個のヘテロ原子は窒素であり、そして他はN,SまたはOから選ばれる1個のヘテロ原子である。
【0084】
単独でもまた置換基の一部として使用されても、用語「アリール」は、環系の単一炭素原子から1個の水素原子の除去によって誘導される芳香族の単環式または多環式炭化水素環基を指す。典型的なアリール基はフェニル、ナフタレニル、アズレニル、アントラセニルなどを含む。アリール基はコア分子に結合され、そして有効原子価によって可能とされる場合にはいかなる原子においてもさらに置換されてもよい。
【0085】
用語「芳香族」は、不飽和の共役π電子系を有するシクロアルキル炭化水素環系を指す。
【0086】
単独でもまた置換基の一部として使用されても、用語「ヘテロアリール」は、環系の単一環炭素原子から1個の水素原子の除去によって誘導されるヘテロ芳香族の単環式または多環式炭化水素環基を指す。典型的なヘテロアリール基は、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、インドリル、アザインドリル、イソインドリル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チエニル、インダゾリル、アザインダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シノリニル、フタルジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニルなどを含む。ヘテロアリール基はコア分子に結合され、そして有効原子価によって可能とされる場合にはいかなる原子においてもさらに置換されてもよい。
【0087】
用語「C1−8アルコキシ−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−O−C1−8アルキルの基を意味する。
【0088】
用語「C1−8アルコキシ−カルボニル」は、式:−C(O)−O−C1−8アルキルの基を意味する。
【0089】
用語「C1−8アルキル−アミノ」は、式:−NH−C1−8アルキルまたは−N(C1−8アルキル)の基を意味する。
【0090】
用語「C1−8アルキル−スルホニル」は、式:−SO−C1−8アルキルの基を意味する。
【0091】
用語「アミノ」は、式:−NHの基を意味する。
【0092】
用語「アミノ−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−NHの基を意味する。
【0093】
用語「アリール−C1−8アルコキシ」は、式:−O−C1−8アルキル−アリールの基を意味する。
【0094】
用語「アリール−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−アリールの基を意味する。
【0095】
用語「C3−8シクロアルキル−C1−8アルコキシ」は、式:−O−C1−8アルキル−C3−8シクロアルキルの基を意味する。
【0096】
用語「C3−8シクロアルキル−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−C3−8シクロアルキルの基を意味する。
【0097】
用語「ヘテロシクリル−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−ヘテロシクリルの基を意味する。
【0098】
用語「ヘテロアリール−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−ヘテロアリールの基を意味する。
【0099】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、基フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0100】
用語「ハロ−C1−8アルコキシ」は、1個以上のハロゲン原子が、有効原子価によって可能とされる場合にC1−8アルキルにおいて置換されてもよい式:−O−C1−8アルキル−(ハロ)(式中、nは鎖中の炭素原子の数に基づく有効原子価のその量を表す)の基を意味し、そしてモノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルなどを含む。
【0101】
用語「ハロ−C1−8アルキル」は、1個以上のハロゲン原子が、有効原子価によって可能とされる場合にC1−8アルキルにおいて置換されてもよい式:−C1−8アルキル−(ハロ)(式中、nは鎖中の炭素原子の数に基づく有効原子価のその量を表す)の基を意味し、そしてモノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルなどを含む。
【0102】
用語「ヒドロキシ−C1−8アルキル」は、C1−8アルキルが、有効原子価によって可能とされる場合に1個以上のヒドロキシ基により1個以上の有効炭素原子において置換されている式:−C1−8アルキル−ヒドロキシの基を意味する。
【0103】
用語「置換された」は、1個以上の水素原子が1個以上の機能的基部分により置換されているコア分子を指す。有効原子価によって可能とされる数が置換基の量を限定する。置換はコア分子に限定されることなく、また置換基において生じてもよく、この場合、置換基は結合基になる。
【0104】
用語「独立して選ばれる」は、置換基可変基の群から選ばれる1個以上の置換基を指し、ここで、選ばれた置換基は同じでも異なっていてもよい。
【0105】
用語「依存して選ばれる」は、可変的な構造の指示された組み合わせにおいて特定される1個以上の置換基を指す。
【0106】
治療的使用
α1aならびにα1d受容体に特異的に結合する本発明の化合物の能力は、それらをBPHの処置のために有用にさせる。α1aおよびα1d受容体に対して親和力を示す化合物の結合の特異性が、α受容体の他の種類への結合親和力に対して比較される。
【0107】
本発明の1つの態様は、いずれかまたは両α1aおよび/またはα1dアドレナリン受容体の活性に対して、約25μM以下、約10μM以下、約1μM以下、約0.5μM以下、約0.25μM以下、または約0.1μM以下の範囲におけるIC50(50%阻害濃度)を有する式(I)の化合物を含む。
【0108】
本発明のその他の態様は、多数のα1aおよび/またはα1dアドレナリン受容体媒介の障害または疾病を処置、軽減または予防するための二重選択性α1a/α1dアドレナリン受容体アンタゴニストを含む。
【0109】
二重選択性α1a/α1dアドレナリン受容体アンタゴニストとしての本発明の化合物またはその組成物の有用性は、本明細書に開示される方法にしたがって決定することができる。そのような使用の範囲は、良性前立腺肥大および/または下部尿路症状の処置を含む。
【0110】
式(I)の化合物のための使用の態様は、化合物が放射性リガンド(ジュウテリウム、トリチウムなどから選ばれる)のようなリガンドにより標識される、マーカーとしての本化合物の使用を含む。
【0111】
本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその形態物もしくは組成物の治療学的または予防学的に有効な量を患者に投与することを含んでなる、そのような処置、軽減または予防の必要な患者におけるα1aおよび/またはα1dアドレナリン受容体媒介の障害または疾病を処置、軽減または予防する方法に対向される。
【0112】
本発明の方法の1つの態様は、さらに、式(I)の化合物またはその形態物もしくは組成物の治療学的に有効な量を、良性前立腺過形成の処置の必要な患者に投与することを含んでなる、そのような処置の必要な患者における良性前立腺過形成の処置を含む。
【0113】
本発明の方法の1つの態様は、さらに、式(I)の化合物またはその形態物もしくは組成物の治療学的に有効な量を、下部尿路症状の処置の必要な患者に投与することを含んで
なる、そのような処置の必要な患者における下部尿路症状の処置を含む。
【0114】
本発明の方法のその他の態様は、さらに、薬物の形態における式(I)の化合物またはその組成物の有効量を患者に投与することを含む。その結果、本発明は薬物としての式(I)の化合物の使用を包含する。
【0115】
したがって、本発明は、前記方法のいずれかに述べられる疾病、障害または症状のいずれかを処置するための薬物の製造のための式(I)の化合物の使用を含む。
【0116】
用語「α1aおよび/またはα1dアドレナリン受容体媒介の障害または疾病」は、限定されるものではないが、血圧に及ぼす影響の有無によらず、下部尿路の前立腺、膀胱および他の器官の収縮のような障害または疾病を意味する。そのような使用の範囲はBPHおよび/またはLUTSの処置を含む。
【0117】
用語「LUTS」は、限定されるものではないが、充満症状、切迫、失禁および夜尿症、ならびに弱い尿流、躊躇、間欠、残尿および腹圧のような排尿問題、のような障害または疾病を意味する。
【0118】
それに関して、本発明は、式(I)の化合物またはその製薬学的組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、それの必要な患者におけるα1aおよび/またはα1dアドレナリン受容体媒介の障害または疾病を処置、軽減または予防する方法を含む。
【0119】
それに関して、本発明は、式(I)の化合物またはその製薬学的組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、そのような処置の必要な患者におけるBPHおよび/またはLUTSを処置、軽減または予防する方法を含む。
【0120】
用語「患者」または「被験者」は、処置、予防、観察または実験の患者または対象であった動物、好ましくは哺乳動物、もっとも好ましくはヒトを意味する。
【0121】
用語「投与すること」は、本発明の方法にしたがって自由に解釈されるべきである。そのような方法は、治療コースの間種々の時間において、または組み合わせ形態で同時に、本発明の組成物または薬物の有効量を治療的または予防的に投与することを含む。予防的投与は、α1aおよび/またはα1dアドレナリン受容体媒介の障害または疾病の特徴的な症状の出現前に行われて、その結果、障害または疾病が、処置、軽減、予防されるかまたは他の方法でその進行を遅延させられる。本発明の方法は、さらに、当業者によって使用される全ての治療的または予防的処置療法を包含すると理解されるべきである。
【0122】
用語「有効量」は、処置されている症候群、障害または疾病の症状を処置、軽減または予防することを含む、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって探求されている、組織系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を惹起する活性化合物または製薬学的作用物の量を指す。
【0123】
本発明の方法において例示される式(I)の化合物の有効量は、約0.001mg/kg/日〜約300mg/kg/日の範囲内にある。
【0124】
用語「薬物」は、キナーゼ媒介の疾病、障害または症状を処置、予防または軽減する際に使用する生産物を指す。
【0125】
本明細書に記述されるα1a−ARおよびα1d−AR媒介の障害または疾病を処置、軽減または予防する方法の例では、本方法は、BPHおよび/またはLUTSの治療学的
作用物と組み合わせて、式(I)の化合物またはその組成物を含んでなる組み合わせ生産物の有効量を、患者に投与することを含んでなるBPHおよび/またはLUTSを罹患している患者を処置することを含む。
【0126】
BPHおよび/またはLUTSの治療学的作用物は、ヒト・テストステロン5α−レダクターゼインヒビター作用物または5α−レダクターゼイソ酵素2インヒビター作用物(例えばフィナステリドまたはヅラステリドなどまたはそれらの混合物)、NK−1インヒビター、抗アンドロゲン受容体アゴニスト、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、選択性アンドロゲン受容体モジュレーター、PDEインヒビター、尿失禁薬物(例えば、抗ムスカリン様作用薬)または5HT−受容体モジュレーターを含む。
【0127】
組み合わせ生産物の投与方法に関して、用語「有効量」は、処置されている症候群、障害または疾病の症状を処置、軽減または予防するために調節された治療学的作用物の量との組み合わせにおける式(I)も化合物またはその製薬学的組成物のその量を意味する。式(I)の化合物の有効量は、1日当たり体重の約0.0002mg/kg〜約2000mg/kgの範囲内にある。
【0128】
当業者が評価できるように、式(I)の化合物またはその製薬学的組成物および治療学的作用物の用量は、独立して最適化され、そして相乗効果を達成するために組み合わされてもよく、この場合、病変は、いずれかの作用物が単独で使用された場合よりも減少される。本発明の方法にしたがって、組み合わせ物の個々の成分は、治療コースの間種々の時間において別々に、あるいは分割された形態物または単一の組み合わせ形態物において同時に投与することができる。したがって、本発明は、全てのそのような同時または交互の処置療法を包含するものと理解されるべきであり、そして用語「投与すること」は、それに応じて解釈されるべきである。
【0129】
本発明が、BPHの処置のための式(I)の化合物およびその他の作用物の投与に対向される場合には、用語「治療学的に有効な量」または「予防学的に有効な量」は、組み合わされた効果が所望の生物学的または医学的応答を惹起するように、一緒に投与される作用物の組み合わせ物のその量を意味するであろう。
【0130】
本発明の代表的化合物は、α1aおよびα1dアドレナリン受容体に対する高い選択性を示す。さらにまた、本発明の代表的化合物はα1d受容体に対しては低い親和力ないし非常に低い親和力を示す。その結果として、本発明の化合物は、所望されない副作用なしに尿道内の圧力を低下すると考えられる。
【0131】
これらの化合物は、そのような処置がBPHにおけるように必要とされるα1aおよびα1d受容体に拮抗させるために効果的な用量において投与することができる。
【0132】
製薬学的組成物
本発明はまた、本発明の処置の新規方法における使用のために適当な局所的、経口的、全身的および非経口的製薬学的調合物を提供するという目的を有する。ヒトα1aアドレナリン受容体の特異的拮抗における使用のために有効成分として本発明の化合物を含有する組成物は、全身的投与のために慣用の媒質中の広範な治療用量形態物において投与することができる。
【0133】
本発明はまた、製薬学的に許容できる担体とともに本発明の1種以上の化合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻内、舌下または肛門投与のため、または吸入または吹入による投与のために;単位用量形態物、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、無菌の非経口液剤または懸濁剤、定量エアゾルまたは液スプレー剤、点滴剤、アンプル剤、自動注入デバイスまたは坐剤において存在する。
【0134】
錠剤のような固形組成物では、主有効成分は、製薬学的担体、例えば、慣用の打錠成分、例えばコーンスターチ、乳糖、蔗糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたは粘質ゴム、および他の製薬学的希釈剤、例えば水と混合されて、本発明の化合物またはその製薬学的に許容できる塩の均一な混合物を含有する固形の予備調合組成物が形成される。これらの予備調合組成物を均一という場合、それは、組成物が、錠剤、丸剤およびカプセル剤のような等しく有効な単位用量形態物に容易に再分できるように、有効成分が組成物中に平均して分散されることを意味している。この固形の予備調合組成物は、次に、本発明の有効成分の0.1〜約500mgを含有する前記種類の単位用量形態物に再分される。
【0135】
新規組成物の錠剤または丸剤は、長期作用という利点を与える投薬形態物を提供するために剤皮を施されるか、または他の方法で調合することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部の投薬成分および外部の投薬成分(後者が前者を覆う外皮の形態で存在する)を含むことができる。腸溶性の層が2成分を分けることができる。腸溶性の層は胃における崩壊に抵抗するのに役立ち、そして内部成分を十二指腸へとそのまま通過させるか、または放出において遅延させる。種々の材料がそのような腸溶性層またはコーティングのために使用でき、そのような材料は、多くの重合酸類、およびセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料と重合酸類との混合物を含む。
【0136】
本発明の新規組成物が経口的または注射による投与のために組み入れられてもよい液状形態物は、水性液剤、適当には着香されたシロップ剤、水性または油性懸濁剤、および食用油、例えば綿実油、ゴマ油、椰子油またはピーナッツ油を用いる着香された乳剤、ならびにエリキシル剤および類似の製薬学的媒質を含む。水性懸濁剤のために適当な分散化または懸濁化剤は、合成および天然の粘質ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドンまたはゼラチンを含む。
【0137】
本明細書で使用されるように、用語「組成物」は、特定の量において特定の成分を含んでなる生産物、ならびに直接的または間接的に、特定の量における特定の成分の組み合わせ物から得られるすべての生産物を包含することを意図している。
【0138】
所望される化合物の有効であるが非毒性の量が、α1a/α1d拮抗作用物として使用することができる。有利には、本発明の化合物は、単一の1日用量において投与されてもよく、または総1日用量が、1日に2、3または4回の分割用量において投与されてもよい。さらにまた、本発明のための化合物は、適当な鼻内媒質の局所使用を介する鼻内形態物において、または当業者には周知の経皮的皮膚パッチ剤のそれらの形態物を用いる経皮経路を介して投与することができる。経皮送達システムの形態において投与されるように、用量投与は、もちろん、投薬療法をとおして間欠的よりもむしろ連続的であろう。
【0139】
本発明の化合物を利用する投薬療法は、種類、種、年令、体重、性別および患者の医学的症状;処置される症状の重篤度;投与の経路;患者の腎および肝機能;および使用されるその特定の化合物を含む種々の因子にしたがって選択される。通常の技術をもつ医師または獣医師は、症状の進行を防ぎ、対向し、または休止するために必要とされる薬物の有効量を容易に決定し、そして処方することができる。毒性なしに有効性を生じる範囲内の薬物の濃度を達成する最適な精度が、標的部位に対する薬物の生物学的利用度の動態に基づく療法を要求する。これは、薬物の分布、平衡および排出の考慮を必要とする。
【0140】
式(I)の化合物は、ヒトα1a−ARまたはα1d−ARの抑制が要求される場合は常に、前記組成物のいずれかにおいて、かつ当該技術分野において確立された投薬療法にしたがって投与されてもよい。そのような抑制は、ヒトα1a−ARまたはα1d−ARの抑制、ヒトα1a−ARまたはα1d−ARの選択的抑制、ヒトα1a−ARおよびα1d−ARの二重抑制、またはヒトα1a−ARおよびα1d−ARの選択的二重抑制を含む。式(I)の化合物は、いずれか潜在的毒性を最少化しつつヒトα1a−ARまたはα1d−ARの最適な拮抗を得るために、日常試験によって決定された適当な用量において単独で使用されてもよい。
【0141】
生産物の1日の用量は、1日当たり1成人について約0.001〜約3,000mgの広範囲にわたって変化されてもよい。経口投与では、組成物は、好ましくは、処置される患者への用量の症状への調節のために有効成分の0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0およびmgを含有する錠剤の形態で提供される。薬物は、典型的には、有効成分の約0.01mg〜約500mg、好ましくは、有効成分の約0.001mg〜約3000mgを含有する。
【0142】
式(I)の化合物の有効量は、1日当たり体重の約0.001mg/kg〜約20mg/kgの用量レベル範囲である。好ましくは、範囲は1日当たり体重の約0.001mg/kg〜10mg/kgである。より好ましくは、範囲は1日当たり体重の約0.001mg/kg〜7mg/kgである。化合物は1日当たり1〜4回の療法において投与されてもよい。
【0143】
本発明の化合物は、いずれか潜在的毒性を最少化しつつヒトα1a/α1dアドレナリン受容体の最適な拮抗を得るために、日常試験によって決定された適当な用量において単独で使用されてもよい。さらに、BPHの影響を軽減する他の作用物の同時投与または連続投与が望ましい。
【0144】
式(I)の化合物が組み合わせ生産物において投与される場合、式(I)の化合物またはその製薬学的組成物および治療作用物は、同時投与または連続投与されてもよく、それによってBPHおよび/またはLUTSの影響が処置、軽減または予防される。
【0145】
かくして、1つの実施態様では、本発明の方法は、本発明の化合物および5−αレダクターゼイソ酵素2のインヒビターを含む、ヒト・テストステロン5−αレダクターゼインヒビターの投与を含む。
【0146】
α1aアドレナリン受容体およびテストステロン5−αレダクターゼインヒビターの用量は、併用される場合には調節されて所望の効果が達成される。当業者は理解できるように、5−αレダクターゼインヒビターおよびα1aアドレナリン受容体アンタゴニストの投与は、独立して最適化され、そしていずれかの作用物が単独で使用された場合よりも病変が減退される相乗効果を達成するように組み合わされてもよい。本発明の方法にしたがって、組み合わせ物の個々の成分は、治療コースの間種々の時間において別々に、あるいは分割された形態物または単一の組み合わせ形態物において同時に投与することができる。したがって、本発明は、全てのそのような同時または交互の処置療法を包含するものと理解されるべきであり、そして用語「投与すること」は、それに応じて解釈されるべきである。
【0147】
ヒト・テストステロン5α−レダクターゼインヒビター作用物または5−αレダクターゼイソ酵素2インヒビター作用物(例えばフィナステリドまたはヅラステリドなどまたはそれらの混合物)、NK−1インヒビター、抗アンドロゲン受容体アゴニスト、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、選択性アンドロゲン受容体モジュレーター、PDEインヒビ
ター、尿失禁薬物(例えば、抗ムスカリン様作用薬)または5HT−受容体モジュレーターから選ばれる治療作用物の有効量は、1日当たり体重の約0.0002mg/kg〜約20mg/kgの用量レベル範囲である。好ましくは、範囲は1日当たり体重の約0.001mg/kg〜10mg/kgである。より好ましくは、範囲は1日当たり体重の約0.001mg/kg〜7mg/kgである。
【0148】
良性前立腺過形成の処置では、α1aアドレナリン受容体拮抗を示す本発明の化合物は、5α−レダクターゼイソ酵素2インヒビター、例えばフィナステリドの治療学的に有効な量と組み合わすことができる。
【0149】
かくして、本発明の1つの実施態様では、BPHを処置するために有効なフィナステリドと組み合わせていずれかの本発明の化合物を、処置の必要な患者に投与することを含む、BPHを処置する方法が提供される。
【0150】
患者に投与されるフィナステリドの用量は、α1aアンタゴニストと組み合わせて、1日当たり1患者について約0.01mg〜1日当たり1患者について約50mgである。好ましくは、組み合わせにおけるフィナステリドの用量は、1日当たり1患者について約0.2mg〜1日当たり1患者について約10mg、より好ましくは1日当たり1患者について約1〜約7mg、もっとも好ましくは1日当たり1患者について約5mgである。
【0151】
本発明のその他の実施態様では、抗−抗アンドロゲン作用物、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、選択性アンドロゲン受容体モジュレーター、尿失禁薬物(例えば、抗ムスカリン様作用薬)または5HT受容体モジュレーターの治療学的に有効な量と組み合わせて、いずれかの本発明の化合物を、処置の必要な患者に投与することを含む、BPHを処置する方法が提供される。
【0152】
本明細書に記述される治療方法および薬物学的組成物、医薬または薬物における使用のための式(I)の代表的な化合物またはその形態物は、
5−クロロ−N−シス−{4−[4−(3−イソプロポキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド、
5−クロロ−2−フルオロ−N−シス−{4−[4−(3−イソプロポキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−ベンゼンスルホンアミド、
5−クロロ−N−シス−{4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド、および
5−クロロ−N−シス−{4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−2−フルオロ−ベンゼンスルホンアミド:
から選ばれる化合物を含む。
【0153】
合成方法
本発明の代表的な化合物は、以下に記述される一般的合成スキームにしたがって合成することができ、そしてより具体的には次に示す特定の合成実施例において例示される。一般的スキームおよび特定の実施例は、具体的説明として提供される;本発明は、記述される化学反応および条件によって限定されるものと考えられてはならない。スキームおよび実施例において使用される種々の出発材料を製造する方法は当業者には周知である。実施例の反応のいずれかで得られる収量を最適化する試みは行われなかった。当業者は、反応時間、温度、溶媒および/または試薬における日常的変更をとおしてそのような収量を増加させる方法を知るであろう。
【0154】
本発明の化合物の製造方法のいずれかにおいては、関係する分子のいずれかの感受性または反応性の基を保護することが必要かつ/または望ましいであろう。このことは、Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Edition,John Wiley &
Sons,1999に記述されているような、慣用の基を保護する手段によって達成されてもよい。保護基は当該技術分野において既知の方法を用いて便利な続く段階において除去されてもよい。
【0155】
合成経路
本発明による化合物の製造方法が立体異性体の混合物を生じる場合は、これらの異性体は調製用クロマトグラフィーのような慣用の技術によって分離することができる。化合物はラセミ形態で製造されてもよく、あるいは個々の鏡像異性体がエナンチオ特異的合成か、または分割のいずれかによって製造されてもよい。例えば、化合物は、標準技術によって、例えば光学的に活性な酸、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸および/または(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸を用いる塩形成によるジアステレオマーペアの形成と、それに続く分別晶出および遊離塩基の生成によって、それらの成分鏡像異性体に分割されてもよい。また化合物は、ジアステレオマーのエステルまたはアミドの形成と、それに続くクロマトグラフィー分離およびキラル補助基(auxiliary)の除去によって分割されてもよい。あるいはまた、化合物はキラルHPLCカラムを用いて分割されてもよい。
【0156】
本発明を記述する際に使用される用語は共通して使用され、そして当業者には既知である。若干の試薬は化学式として言及される。他の試薬は当業者には既知の略語として言及される。本明細書で使用される場合、次の略語は指示される意味を有する:

Cpd 化合物
CM ジクロロメタン
EtOAc 酢酸エチル
EtO ジエチルエーテル
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分光測定
min/hr/d 分/時間/日
MS 質量スペクトル(m/z(M+H))
m/z 質量/電荷
Ret. 保持時間
RT/rt/r.t.室温
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0157】
本発明を代表する特定の化合物は、例示の方法によって、かつ限定される方法ではなく提供される次の実施例にしたがって製造されてもよい。いかなる反応においても得られる収量を最適化する試みは行われなかった。当業者は、反応時間、温度、溶媒および/または試薬における日常的変更をとおしてそのような収量を増加させる方法を知るであろう。さらなる化合物は、本方法において使用される可能な出発材料、試薬および条件においてのみ異なる、当業者による本発明の合成方法にしたがって作成されてもよい。
【0158】
【化6】

【0159】
置換ピリジニル化合物A1(式中、Xはハロゲン原子または他の適当な脱離基を表す)が溶媒(例えばDMF、乾燥THFまたはDCMなど)に溶解され、次いでR置換ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル化合物A2およびKCOが添加される。混合液が撹拌され、そして80℃で2時間加熱される。溶媒が除去され、得られる残渣が溶媒(例えばEtOなど)中に採取され、次いで洗浄(例えば水などによる)され、そして乾燥(例えばNaSOなどによる)される。溶媒が乾燥溶液から蒸発されて、置換4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル化合物A3を得る。
【0160】
化合物A1出発材料のR置換基の1個以上は、種々の試薬および反応条件を用いてさらに置換されてもよく、その結果、本明細書および当業者によって示されような本発明の代表的な他の化合物を製造することができる。
【0161】
【化7】

【0162】
化合物A3は溶媒(例えば乾燥DCMなど)に溶解され、そして酸(例えばTFAなど)とともに室温で2.5時間撹拌される。溶媒が蒸発されて、残渣を得て、これが溶媒(例えばDCMなど)中に採取され、そして塩基(例えば1NNaOHなど)で約pH10に処理される。有機層が乾燥(例えばKSOなどによる)される。溶媒が乾燥溶液から蒸発されて、置換1−ピリジン−2−イル−ピペラジン化合物A4を得るが、これはさらなる精製なしに次の段階において直接使用される。
【0163】
【化8】

【0164】
化合物A4、RおよびR置換(4−オキソ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル化合物A5、還元剤(例えばNaBH(OAc)など)、添加してもしなくてもよい触媒量の酸(例えばHOAcなど)および乾燥溶媒(例えば無水DCMなど)が室温で一緒に混合されて、スラリーが形成される。化合物A5がもはや検出されなくなる(TLCおよび/またはLCMSを用いて)まで混合液が窒素雰囲気下で撹拌され、続いて洗浄(水、NaHCOまたはNHCl(飽和)により)され、乾燥(例えばNaSO上で)される。溶媒が乾燥溶液から蒸発されて、粗生成物が生成され、これがフラッシュクロマトグラフィー(溶出液としてAcOEtまたはAcOEt/ヘキサン混合液を用いる、シリカゲルカラムにおいて)により精製されて、置換[4−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル化合物A6を、シスおよびトランス異性体の混合物(波結合線によって表される)として得る。
【0165】
【化9】

【0166】
化合物A6は溶媒(例えば乾燥DCMなど)に室温で溶解され、次いで酸(例えばTFAなど)中に撹拌され、そして触媒量のHOが添加される。混合液が2時間撹拌され、次いで溶媒が除去され、そして得られる残渣を溶媒(例えばDCMなど)中に採取され、そして塩基(例えば1N NaOH、1N KOHなど)で約pH10に処理される。有機層が乾燥(例えばKCO、NaSOなどによる)される。溶媒が乾燥溶液から蒸発されて、置換4−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−シクロヘキシルアミン化合物A7を粗生成物として得るが、これはさらなる精製なしに次の段階において使用される。
【0167】
【化10】

【0168】
化合物A7およびR置換スルホニルクロリド化合物A8が、溶媒(例えばDCMなど)に溶解される。KCOのような弱塩機が添加され、そして溶液が室温で、化合物A7がもはや検出されなくなる(TLCおよび/またはLCMSを用いて)まで撹拌される。混合液を濾過して、置換4−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−シクロヘキシル−アミノ−スルホニル化合物A9を、シスおよびトランス異性体混合物として得る。
【0169】
化合物A6、化合物A7または化合物A9の置換基は、種々の反応材料、試薬および条件を用いて脱保護の前後にさらに置換されてもよく、その結果、当業者による本発明の代表的な他の化合物の製造が可能になる。
【0170】
【化11】

【0171】
化合物A9異性体、すなわち化合物A10および化合物A11は相対的に極性であり、そして調製用TLC(5%MeOH/DCMなどのような溶出混合液を用いて)のようなクロマトグラフィー技術により分離されてもよい。化合物A10のようなシス異性体は極性が比較的低く、そして化合物A11のようなトランス異性体は比較的極性である。
【実施例1】
【0172】
N−シス−{4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド(化合物1)
N−トランス−{4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンア
ミド(化合物2)
【0173】
【化12】

【0174】
3−ブロモ−ピリジン−3−オール化合物1a(6.4g,36.8mmol)をDMF(100ml)中に溶解し、次いでブロモメチル−シクロプロパン化合物1b(5.0g,37mmol)およびKCO(7.5g,54.3mmol)を添加した。混合液を撹拌し、そして80℃で2時間加熱した。過剰量のDMFをロータリーエバポレーターにおいて除去した。褐色残渣をEtO(150ml)と混合し、次いでHOで洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒を乾燥溶液から蒸発させて、2−ブロモ−3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン化合物1c(7.04g,収率84%)を得た。
【0175】
【化13】

【0176】
化合物1c(2.3g,10mmol)およびピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル化合物1d(2.8g,15mmol)、CuCN(0.5g)およびKCO(1.38g,10mmol)を混合し、そして密封チューブ中で110℃で48時間加熱した。褐色混合液を室温まで冷却し、次いでAcOEt中に溶解しHOで洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥した。溶媒を乾燥溶液から蒸発させて、褐色油状物としての粗生成物を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25%−50%AcOEt/ヘキサン)により精製して、黄色ないしほとんど無色のオイルとして4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル化合物1e(0.70g,収率21%)を得た。
【0177】
【化14】

【0178】
化合物1e(0.38g)をDCM中に溶解し、そしてTFA(0.5ml)とともに室温で2.5時間撹拌した。揮発物をロータリーエバポレーターにおいて除去して残渣を
得て、これをDCMと混合し、そして1NNaOHで処理して約pH10にする。有機層をKSO上で乾燥した。溶媒を乾燥溶液から蒸発させて、黄色油状物としての1−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン化合物1f(0.176g)を得て、これを、さらなる精製なしに次の段階において直接使用した。
【0179】
【化15】

【0180】
化合物1f(0.176g,0.76mmol)、(4−オキソ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル、化合物1g(0.25g,1.2mmol)、NaBH(OAc)(0.48g,2.27mmol)、HOAc(0.1ml)および無水DCM(10ml)を一緒に混合し、そして窒素雰囲気下で18時間撹拌した。白色スラリーは黄色溶液になり、そして化合物1fはもはやTLC(100%AcOEt)によって検出されなかった。反応混合液をDCM(80ml)で希釈し、次に連続して水およびNHCl(飽和)により洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒を乾燥溶液からロータリーエバポレーターにより蒸発させて、粗生成物を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%AcOEt、シリカゲル)により精製して、[4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル,化合物1h(0.185g,収率57%)を、白色粘質オイルとして得た。LC−MS(2.429min.)m/z431.3(M+H).
【0181】
【化16】

【0182】
化合物1hをDCM中に溶解し、そしてTFAおよび触媒量のHOとともに室温で2時間撹拌した。揮発物をロータリーエバポレーターにおいて除去して残渣を得て、これをDCMと混合し、そして1NNaOHで処理して約pH10にする。有機層をKSO
上で乾燥した。溶媒を乾燥溶液から蒸発させて、黄色油状物としての4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシルアミン、化合物1i(0.084g)を得て、これを、さらなる精製なしに次の段階において直接使用した。
【0183】
【化17】

【0184】
化合物1i(0.015g,0.045mmol)および塩化3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニル、化合物1j(0.015g,0.063mmol)をDCM(3ml)中に溶解した。KCO(10mg)を黄色溶液に添加した。得られる黄色混濁溶液を室温で撹拌し、そして化合物1iがもはや検出されなくなるまでTLC(5%MeOH/DCM)およびLC−MSによってモニターした。混合液を濾過し、調製用TLC(5%MeOH/DCM)を使用して、N−{4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド化合物1k(0.015g)を黄色オイルとして得た。LC−MS(2.378mins.)m/z531.2(100,M+H).H NMR(CDCl,TMS)δ0.20−0.40(m,2H),0.50−0.70(m,2H),0.70−2.00(m,8H),2.00−2.55(m,2H),2.55−2.80(m,4H),3.40−3.55(m,4H),3.75(d,J=7Hz,2H),3.82(s)&3.88(s,6H),4.48−4.70(m,1H),6.60−6.80(m,1H),6.80−7.05(m,2H),7.10−7.38(m,2H),7.38−7.60(m,1H),7.70−7.90(m,1H).
【0185】
【化18】

【0186】
シス異性体化合物1およびトランス異性体化合物2は混合物から単離される。
【0187】
適当な出発材料、試薬および溶媒を置換する実施例の手法にしたがって、次の化合物が調製された:
【0188】
【表3】

【0189】
生物学的実施例
α−アドレナリン受容体結合アッセイ
COS細胞膜の調製
膜はCOS−7細胞(アフリカミドリザルの腎臓SV40−形質転換細胞)から調製されたが、この細胞は、3種のα−ARサブタイプ(α1aサブタイプのGenbankアクセッション番号:AF013261;α1bサブタイプのGenbankアクセッション番号:NM000679;α1dサブタイプのGenbankアクセッション番号:NM000678)の1種により次の方法を使用してトランスフェクトされた:10個の100mm組織培養プレートからCOS細胞をTB(50mMTris−HCl、5mM EDTAの混合液,pH7.4)の5ml中に掻き取った。細胞懸濁液をBrinkman Polyton(8の設定において)を用いて10秒間破壊した。破壊した細胞を4℃において10分間1000xgで遠心分離した。上澄液を4℃で20分間34,500xgで遠心分離した。膜ペレットをTNE(50mMTris−HCl、5mMEDTAおよび150mMNaClの混合液,pH7.4)2ml容量に懸濁した。膜懸濁液の一定分量を使用まで−70℃で保存した。タンパク質濃度は、TritonX−100を用いて膜を溶解した後、BioRad“DC”タンパク質アッセイキットを用いて決定した。
【0190】
放射性リガンド結合アッセイ
増加する濃度の試験化合物の存在下で放射性リガンド結合の3並列の決定を実施した。
試薬を96穴ポリプロピレンプレートのウェルに添加した。各アッセイウェルは、140μlTNE、25μl125I−2−(β−4−ヒドロキシフェニル)エチルアミノメチルテトラロン(125I−HEAT)(比活性2200Ci/mmol,Dupont−New England Nuclear,50pM最終)、10μl ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した試験化合物(半対数増加で1pM〜10μM、最終)、および25μl TNE中の適当なα−AR膜サブタイプ懸濁液(α1aおよびα1bサブタイプでは0.5ng/μlおよびα1dサブタイプでは13ng/μl)を含有した。プレートを室温で1時間インキュベートした。ウェルの内容物を、Packard Filtermate細胞ハーベスターを用いてガラスフィルター(C型)(GF/C)メンブランUnifilterプレート(Packard Instruments)をとおして濾過した。フィルタープレートを真空オーブン中で40℃で30分間乾燥した。25μlのMicroscint20液体シンチレーション液(Packard Instruments)を各ウェルに添加した。放射性内容物をTopCountミクロプレートシンチレーションカウンター(Packard Instruments)において分析した。
【0191】
データ分析
表1に示したK値(nM)は、GraphPad Prismソフトウエアを用いて決定した。
【0192】
【表4】

【0193】
インビボ・モデル
インビボで前立腺平滑筋を弛緩させる試験化合物の能力は、麻酔したネコ・モデルにおいて前立腺尿道内圧力(IUP)および血圧(MAP)を用いて評価されてもよい。あるいはまた、インビボの前立腺平滑筋組織を弛緩させる試験化合物の能力は、意識のあるネコ・モデルにおいて前立腺尿道内圧力(IUP)および血圧(MAP)を評価することによって評価されてもよい。
【0194】
先の記述は本発明の原理をその実施例により教示するが、これはある種の態様を強調したものであることを理解すべきである。また、本発明の実行が、次の請求項およびそれらの等価物の範囲内にはいる通常の変更物、適合物および修飾物の全てを包含することを理解すべきである。しかしながら、具体的に詳述または議論されない種々の他の等価物は、それにもかかわらず、本発明および請求項の精神および範囲内にはいり、そして包含されることが意図される。
【0195】
本出願をとおして、種々の公表物が引用される。本明細書に引用される全ての出版物または特許は、それらが本発明の時点における当該技術の状態を示し、かつ/または本発明の説明および可能性を与えるので、引用によって本明細書に完全に組み入れられている。
公表物は、全ての科学的または特許公表物、あるいは全ての記録された電気的または印刷フォーマットを含む全ての媒体フォーマットにおいて利用できる他の情報を指す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、
(1)アリール、
(2)アリール−C1−8アルキル、
(3)C3−8シクロアルキル、
(4)C3−8シクロアルキル−C1−8アルキル、
(5)ヘテロアリール、
(6)ヘテロアリール−C1−8アルキル、
(7)ヘテロシクリル、および
(8)ヘテロシクリル−C1−8アルキル、
からなる群から選ばれ、
ここで、各アリール、C3−8シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいは
(i)C1−8アルキル、
(ii)C1−8アルコキシ、
(iii)C1−8アルコキシ−C1−8アルキル、
(iv)ハロ−C1−8アルキル、
(v)ハロ−C1−8アルコキシ、
(vi)ヒドロキシ−C1−8アルキル、
(vii)C1−8アルコキシ−カルボニル、
(viii)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたSO
(ix)非置換か、またはC1−8アルキルにより一もしくは二置換されたアミノ、
(x)シアノ、
(xi)ハロゲン、
(xii)ヒドロキシ、
(xiii)ニトロ、
(xiv)非置換か、またはC1−8アルキルによりアミノにおいて一もしくは二置換されたアミノ−C1−8アルキル、
(xv)アリール−C1−8アルキル、
(xvi)アリール−C1−8アルコキシ、
(xvii)ヘテロアリール−C1−8アルキル、
(xviii)ヘテロシクリル−C1−8アルキル、
(xix)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたC(O)、
(xx)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたS(O)、
(xxi)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたC(O)N、
(xxii)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたSON、
(xxiii)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により硫黄において置換されたNHSO
(xxiv)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基によりカルボニルにおいて置換されたNHC(O)、
(xxv)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたNHSON、
(xxvi)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたNHC(O)N、
(xxvii)C3−8シクロアルキル、
(xxviii)アリール、
(xxix)ヘテロアリール、および
(xxx)ヘテロシクリル;
からなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基により置換されていて、
は、水素およびC1−8アルキルからなる群から選ばれ、
は、
(1)C1−8アルキル、
(2)C1−8アルコキシ、
(3)C1−8アルコキシ−C1−8アルキル、
(4)ハロ−C1−8アルキル、
(5)ハロ−C1−8アルコキシ、
(6)ヒドロキシ−C1−8アルキル、
(7)C1−8アルコキシ−カルボニル、
(8)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたSO
(9)非置換か、またはC1−8アルキルにより一もしくは二置換されたアミノ、
(10)シアノ、
(11)ハロゲン、
(12)ヒドロキシ、
(13)ニトロ、
(14)非置換か、またはC1−8アルキルによりアミノにおいて一もしくは二置換されたアミノ−C1−8アルキル、
(15)アリール、
(16)アリール−C1−8アルキル、
(17)アリール−C1−8アルコキシ、
(18)C3−8シクロアルキル、
(19)C3−8シクロアルキル−C1−8アルキル、
(20)C3−8シクロアルキル−C1−8アルコキシ、
(21)ヘテロアリール、
(22)ヘテロアリール−C1−8アルキル、
(23)ヘテロシクリル、
(24)ヘテロシクリル−C1−8アルキル、
(25)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたC(O)、
(26)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたS(O)、
(27)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により置換されたSO
(28)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたC(O)N、
(29)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたSON、
(30)C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基により硫黄において置換されたNHSO
(31)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる置換基によりカルボニルにおいて置換されたNHC(O)、
(32)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたNHSON、
(33)水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選ばれる2個の置換基により窒素において置換されたNHC(O)N、および
(34)C3−8シクロアルコキシ;
からなる群から独立して選ばれる1もしくは2個の置換基であり、
ここで、各アリール、C3−8シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいは
(i)C1−8アルキル、
(ii)C1−8アルコキシ、
(iii)C1−8アルコキシ−C1−8アルキル、
(iv)ハロ−C1−8アルキル、
(v)ハロ−C1−8アルコキシ、
(vi)ヒドロキシ−C1−8アルキル、
(vii)C1−8アルコキシ−カルボニル、
(viii)C1−8アルキル−スルホニル、
(ix)非置換か、またはC1−8アルキルにより一もしくは二置換されたアミノ、
(x)シアノ、
(xi)ハロゲン、
(xii)ヒドロキシ、
(xiii)ニトロ、および
(xiv)非置換か、またはC1−8アルキルによりアミノにおいて一もしくは二置換されたアミノ−C1−8アルキル;
からなる群から独立して選ばれる1もしくは2個の置換基により置換されていて、そしてRおよびRは、各々、水素から選ばれるか、あるいは各々、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、アミノ、C1−8アルキル−アミノ、シアノ、ハロゲン、オキソおよびニトロからなる群から独立して選ばれる1もしくは2個の置換基である]
の化合物またはその製薬学的に許容できる形態物。
【請求項2】
が、非置換か、または
(i)C1−8アルキル、
(ii)C1−8アルコキシ、
(iii)ハロ−C1−8アルコキシ、および
(iv)ハロゲン
からなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基により置換された、アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、非置換か、またはC1−8アルコキシおよびハロゲンからなる群から独立して選ばれる1、2、3もしくは4個の置換基により置換された、アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、
(1)C1−8アルキル、
(2)C1−8アルコキシ、
(3)ハロ−C1−8アルコキシ、および
(4)C3−8シクロアルキル−C1−8アルコキシ
からなる群から独立して選ばれる0、1、2、3または4個の置換基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、C1−8アルコキシおよびC3−8シクロアルキル−C1−8アルコキシからなる群から独立して選ばれる0、1、2、3または4個の置換基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
およびRが各々水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
化合物が、式(Ia):
【化2】

[式中、
が、3,4−(OCH−フェニル、5−Cl−2−OCH−フェニルおよび5−Cl−2−F−フェニルからなる群から選ばれ;そして
が、3−OCH−シクロプロピルおよび3−OCH(CHからなる群から選ばれる]
の化合物である、式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物。
【請求項9】
化合物が、式(Ib):
【化3】

[式中、
が、3,4−(OCH−フェニル、5−Cl−2−OCH−フェニルおよび5−Cl−2−F−フェニルからなる群から選ばれ;そして
が、3−OCH−シクロプロピルおよび3−OCH(CHからなる群から選ばれる]
の化合物である、式(I)の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物。
【請求項10】
化合物が、
【化4】

からなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物およびその製薬学的に許容できる形態物。
【請求項11】
化合物が、
5−クロロ−N−シス−{4−[4−(3−イソプロポキシ−ピリジン−2−イル)−ピ
ペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド、
5−クロロ−2−フルオロ−N−シス−{4−[4−(3−イソプロポキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−ベンゼンスルホンアミド、
5−クロロ−N−シス−{4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド、および
5−クロロ−N−シス−{4−[4−(3−シクロプロピルメトキシ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシル}−2−フルオロ−ベンゼンスルホンアミド:
からなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
化合物がα1a/α1dアドレナリン受容体モジュレーターである、請求項1〜11のいずれかの化合物。
【請求項13】
化合物がそのプロ・ドラッグ形態物である、請求項12の化合物。
【請求項14】
化合物がその単離された形態物である、請求項1〜13のいずれかの化合物。
【請求項15】
それが請求項1に記載の化合物であることを特徴とする、α1a/α1dアドレナリン受容体モジュレーター。
【請求項16】
それが請求項1に記載の化合物であることを特徴とする、α1a/α1dアドレナリン受容体アンタゴニスト。
【請求項17】
化合物がその代謝産物形態物である、請求項14の化合物。
【請求項18】
化合物がマーカーとして使用するためにリガンドにより標識され、そしてリガンドがジュウテリウムまたはトリチウムから選ばれる放射性リガンドである、請求項1〜14のいずれかの化合物。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物の治療学的に有効な量および製薬学的に許容できる担体を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物を製薬学的に許容できる担体と緊密に混合する段階を含んでなる、請求項19に記載の製薬学的組成物の製造方法。
【請求項21】
α1aまたはα1dアドレナリン受容体の1種または両方を化合物と接触させることを含んでなる、α1a/α1dアドレナリン受容体アンタゴニストとしての請求項1〜17のいずれかの化合物の使用。
【請求項22】
使用が、α1a/α1dアドレナリン受容体媒介の疾病の処置のための製薬学的組成物、医薬または薬物における該化合物の使用をさらに含む、請求項21の使用。
【請求項23】
α1a/α1dアドレナリン受容体媒介の疾病を処置するための薬物の製造のための、請求項1〜14のいずれかの化合物の使用。
【請求項24】
α1a/α1dアドレナリン受容体媒介の疾病を処置するための医薬としての、請求項1〜14のいずれかの化合物の使用。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物の有効量をそのような処置の必要な患者に投与することを含ん
でなる、α1a/α1dアドレナリン受容体媒介の疾病を処置する方法。
【請求項26】
請求項1に記載の化合物の有効量が、1日当たり体重の約0.001mg/kg〜約300mg/kgの範囲内にある、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1に記載の化合物の有効量をそのような処置の必要な患者に投与することを含んでなる、LUTSを処置する方法。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物の有効量が、1日当たり体重の約0.001mg/kg〜約300mg/kgの範囲内にある、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物の有効量をそのような処置の必要な患者に投与することを含んでなる、BPHを処置する方法。
【請求項30】
請求項1に記載の化合物の有効量が、1日当たり体重の約0.001mg/kg〜約300mg/kgの範囲内にある、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
a)式A1の中間化合物を式A2の中間化合物と反応させて、式A3の中間化合物を形成し:
【化5】

(式中、Xはハロゲン原子または他の適当な脱離基から選ばれる)
b)A3の中間化合物をA4の中間化合物に変換し:
【化6】

c)式A4の中間化合物を式A5の中間化合物と反応させて、式A6の中間化合物を形成し:
【化7】

d)A6の中間化合物をA7の中間化合物に変換し:
【化8】

、そして
e)式A7の中間化合物を式A8の中間化合物と反応させて、式(I)の化合物のシスおよびトランスの混合物である式A9の中間化合物を形成する:
【化9】

段階を含んでなる請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項32】
式A10のシス異性体および式A11のトランス異性体を分離する:
【化10】

段階をさらに含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
式(I)の化合物を適当な酸または塩基との反応によって製薬学的に許容できる塩形態物に転化する段階をさらに含んでなる、請求項31または請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2008−535828(P2008−535828A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504095(P2008−504095)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/009164
【国際公開番号】WO2006/104686
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】