説明

ピペリジン/ピペラジン誘導体

本発明は、如何なる立体化学異性体形態も包含する式(I)
【化1】


[式中、AはCHまたはNを表し、XはOまたはNRを表し、破線はAが炭素原子を表す場合の任意の結合を表し、Yは直接結合、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−Z−O−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−C(=O)−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−O−C(=O)−、−C(=O)−NR−O−Z−、−C(=O)−NR−Z−NR−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−O−を表し、Rは場合によりで置換されていてもよいC1−12アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリール1−6アルキル;Het;またはHet1−6アルキルを表すが、但しYが−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−O−Z−または−C(=O)−NR−Z−NR−を表す場合にはまたRが水素を表してもよいことを条件とし、RおよびRは各々独立して水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルを表し、Rは水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合により置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合により置換されていてもよい);シアノ;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;C1−4アルキルカルボニルアミノ;−S(=O)−C1−4アルキル;RN−C(=O)−;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−C1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−C1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−O−を表し、Rは水素;ハロ;C1−4アルキル;ヒドロキシルで置換されているC1−4アルキルを表す]
で表されるDGAT阻害剤、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物に関する。本発明は、更に、前記化合物を製造する方法、前記化合物を含有して成る
製薬学的組成物ばかりでなく前記化合物を薬剤として用いることにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種以上の満腹(satiety)ホルモン、特にGLP−1の濃度を高くして疾患を予防または治療するための薬剤を製造するためにDGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤を用いることに関する。本発明は、また、DGAT阻害活性、特にDGAT1阻害活性を有するピペリジン/ピペラジン誘導体にも関する。本発明は、更に、それらの製造方法およびそれらを含有して成る製薬学的組成物にも関する。本発明は、また、DGAT、特にDGAT1が媒介する疾患を予防または治療するための薬剤を製造するために前記化合物を用いることにも関する。
【背景技術】
【0002】
トリグリセリドは真核生物が貯蔵するエネルギーの主要な形態に相当する。トリグリセリド代謝の障害または不均衡が肥満症、インスリン抵抗性症候群および2型糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患および冠状動脈性心臓病の病因および危険性増大に関係していると思われている(非特許文献1および2を参照)。加うるに、高トリグリセリド血症はしばしば癌療法の悪影響としても起こる(非特許文献3を参照)。
【0003】
トリグリセリド合成における鍵となる酵素はアシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、即ちDGATである。DGATは、哺乳動物の組織内に幅広く発現して小胞体の所で1,2−ジアシルグリセロール(DAG)と脂肪アシルCoAからトリグリセリド(TG)をもたらす結合に触媒作用を及ぼすミクロソーム酵素である(非特許文献4および5の論評)。トリグリセリド合成の2つの主要な経路であるグリセロール燐酸経路およびモノアシルグリセロール経路の中の最終的段階であるジアシルグリセロールからトリグリセリドをもたらすアシル化の触媒作用をDGATが独自に制御すると元々は考えられていた。トリグリセリドは生存に必須であると見なされておりかつそれらの合成は単一の機構によって起こると考えられていたことから、DGATの活性を抑制してトリグリセリド合成を阻害することはほとんど探求されていなかった。
【0004】
今日では、マウスDGAT1および関連ヒト同族体ARGP1(ヒトDGAT1)およびARGP2(ヒトACAT2)をコードする遺伝子がクローン化されかつ特徴づけられた(非特許文献6、7)。DGAT1遺伝子の機能をより明らかにする目的でマウスDGAT1の遺伝子を用いてDGATノックアウトマウスが作り出された。予想外に、機能的DGAT1酵素を発現する能力も持たないマウス(Dgat1−/−マウス)は生存しかつ引き続いてトリグリセリドを合成する能力を有し、このことは、複数の触媒作用機構がトリグリセリド合成に寄与していることを示している(非特許文献8)。また、トリグリセリド合成に触媒作用を及ぼす他の酵素、例えばDGAT2およびジアシルグリセロールトランスアシラーゼなども同定された(非特許文献9)。マウスを用いた遺伝子ノックアウト研究により、DGAT2が哺乳動物のトリグリセリド合成で基本的役割を果たしていて生存に必要であることが分かった。DGAT2欠損マウスは脂肪低下状態にありかつ誕生後直ぐに死亡し、これは明らかにエネルギー代謝用基質の顕著な低下および皮膚透過バリヤー機能の障害によるものである(非特許文献10)。
【0005】
重要な点は、Dgat1−/−マウスが食餌誘発肥満に抵抗を示して痩せたままである点にある。Dgat1−/−マウスに高脂餌(脂肪が21%)を与えたとしても普通の餌(脂肪が4%)を与えたマウスに匹敵する体重を維持しかつ体内総トリグリセリド濃度がより低い。そのようにDgat1−/−マウスが肥満に抵抗することはカロリー摂取が低いことによるものでなく、エネルギー消費量が高くかつインスリンおよびレプチンへの抵抗性が低いことの結果である(非特許文献11、12および13)。加うるに、Dgat
1−/−マウスが示すトリグリセリド吸収速度も低い(非特許文献14)。Dgat1−/−マウスは、トリグリセリド代謝の向上を示すことに加えて、また、グルコース代謝も向上し、グルコース摂取後のグルコース濃度およびインスリン濃度が野生型マウスのそれに比べて低い(非特許文献15)。
【0006】
ジアシルグリセロールからトリグリセリドをもたらす合成の触媒作用に複数の酵素が寄与していることを見つけだしたことは重要である、と言うのは、それによって個体における治療的結果を不利な副作用を最小限にしながら達成するようにそのような生化学的反応の中の1つの触媒作用機構をモジュレートする機会が与えられるからである。ジアシルグリセロールからトリグリセリドをもたらす変換を阻害する化合物、例えばDGAT1の活性を特異的に抑制することで阻害する化合物は、トリグリセリドの身体的濃度および吸収を低くすることで肥満症、インスリン抵抗性症候群および顕性2型糖尿病、うっ血性心不全およびアテローム性動脈硬化症における異常なトリグリセリド代謝によって引き起こされる発病の影響および癌療法の結果として引き起こされる発病の影響に治療的に対抗しようとする時に使用可能である。
【0007】
世界中の社会で肥満症、2型糖尿病、心疾患および癌の罹病率が絶えず増加していることから、そのような病気を有効に治療および予防する新規な療法を開発する緊急な必要性が存在する。従って、DGAT、特にDGAT1の触媒作用活性を特異的に強力に阻害し得る化合物の開発に興味が持たれている。
【0008】
我々は、ここに、本発明の化合物がDGAT阻害活性、特にDGAT1阻害活性を示し、従ってDGATが関係または媒介する疾患、例えば肥満症、2型糖尿病、心疾患および癌などを予防または治療する目的で使用可能であることを予想外に見いだした。本発明の化合物は、構造、薬理学的活性、薬理学的効力および/または薬理学的プロファイルの点で従来技術の化合物とは異なる。
【0009】
我々は、また、DGAT阻害剤を用いて1種以上の満腹ホルモン、特にグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)の濃度を高くすることができ、従ってDGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤を用いてまた満腹ホルモン、特にGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を予防または治療することも可能であることも予想外に見いだした。グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)は、一般に高血糖中のインスリン分泌を刺激し、グルカゴンの分泌を抑制し、(プロ)インスリン生合成を刺激しかつ胃内容排出および酸分泌を減速させる腸ホルモンである。GLP−1は、脂肪および蛋白質を摂取した後に小腸および大腸内のL細胞から分泌される。GLP−1は、とりわけ、インスリン非依存性2型糖尿病ばかりでなく関連代謝障害、例えば肥満症などを管理する目的で使用可能な治療薬であるとして提案されている。
【0010】
従って、このように見いだしたことによって、GLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を低分子(高分子、例えば蛋白質または蛋白質様化合物、例えばGLP−1類似物などに比べて)を用いて治療することが可能になる。
【0011】
複素環式誘導体およびそれらをステアロイルCoAデサチュラーゼ阻害剤(SCD−1阻害剤)として用いることが特許文献1に開示されている。
【0012】
特許文献2は、不利な体重上昇を治療するためのSCD−1阻害剤と別の薬剤の組み合わせ療法に関する。
【0013】
特許文献3および4は、DGAT阻害活性を有する尿素およびアミノ誘導体に関する。
【0014】
特許文献5は、DGAT阻害活性を有する縮合二環式窒素含有複素環に関する。
【0015】
特許文献6は、DGAT阻害活性を有する化合物が示す食欲抑制作用に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO 2006/034441
【特許文献2】WO 2006/086445
【特許文献3】WO 2006/004200
【特許文献4】JP 2007131584
【特許文献5】WO 2004/047755
【特許文献6】WO 2005/072740
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Lewis他、Endocrine Reviews(2002)23:201
【非特許文献2】MalloyおよびKane、Adv.Intern.Med.(2001)47:11 1
【非特許文献3】Bast他、Cancer Medicine、5版、(2000)B.C.Decker、Hamilton、Ontario、CA
【非特許文献4】ChenおよびFarese、Trends Cardiovasc.Med.(2000)10:188
【非特許文献5】Farese他、Curr.Opin.Lipidol.(2000)11:229
【非特許文献6】Cases他、Proc.Natl.Acad.Sci.(1998)95:13018
【非特許文献7】Oelkers他、J.Biol.Chem.(1998)273:26765
【非特許文献8】Smith他、Nature Genetics(2000)25:87
【非特許文献9】Cases他、J.Biol.Chem.(2001)276:38870
【非特許文献10】Farese他、J.Biol.Chem.(2004)279:11767
【非特許文献11】Smith他、Nature Genetics(2000)25:87
【非特許文献12】ChenおよびFarese、Trends Cardiovasc.Med.(2000)10:188
【非特許文献13】Chen他、J.Clin.Invest.(2002)109:1049
【非特許文献14】Buhman他、J.Biol.Chem.(2002)277:25474
【非特許文献15】ChenおよびFarese、Trends Cardiovasc.Med.(2000)10:188
【発明の概要】
【0018】
発明の説明
本発明は、1種以上の満腹ホルモン、特にGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を予防または治療、特に治療するための薬剤を製造する目的でDGAT阻害剤を用いることに関する。
【0019】
本発明は、更に、如何なる立体化学異性体形態も包含する下記の式
【0020】
【化1】

【0021】
[式中、
Aは、CHまたはNを表し、
Xは、OまたはNRを表し、
破線は、Aが炭素原子を表す場合の任意の結合を表し、
Yは、直接結合、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−Z−O−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−C(=O)−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−O−C(=O)−、−C(=O)−NR−O−Z−、−C(=O)−NR−Z−NR−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−O−を表し、
Zは、C1−6アルカンジイル、C2−6アルケンジイルまたはC2−6アルキンジイルから選択される二価の基を表し、かつ前記C1−6アルカンジイル、C2−6アルケンジイルまたはC2−6アルキンジイルの各々は場合によりC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルチオ、ヒドロキシル、シアノまたはアリールで置換されていてもよく、かつZの定義において同じ炭素原子と結合している2個の水素原子が場合によりC1−6アルカンジイルに置き換わっていてもよく、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
は、水素;場合によりC3−6シクロアルキルもしくはアリールもしくはHetで置換されていてもよいC1−4アルキル;C2−4アルケニル;または−S(=O)−アリールを表し、
は、場合によりシアノ、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルもしくはアリールで置換されていてもよいC1−12アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリール1−6アルキル;Het;またはHet1−6アルキルを表すが、但しYが−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−O−Z−または−C(=O)−NR−Z−NR−を表す場合にはまたRが水素を表してもよいことを条件とし、
およびRは、各々独立して、水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルを表し、
は、水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;C1−4アルキルカルボニルアミノ;−S(=O)−C1−4アルキル;RN−C(=O)−;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−C1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−C1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−O−を表し、Rは、水素;場合によりヒドロキシルまたはC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−4アルキル;RN−C1−4アルキル;C1−4アルキルオキシ;Het;アリール;RN−C(=O)−C1−4アルキルを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
は、水素;C1−4アルキル;C1−4アルキルカルボニルを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表すか、或は
とRがこれらが結合している窒素と一緒になって更に各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい飽和単環式5、6もしくは7員の複素環を形成していてもよく、かつ前記複素環は場合によりC1−4アルキルで置換されていてもよく、
は、水素;ハロ;C1−4アルキル;ヒドロキシルで置換されているC1−4アルキルを表し、
アリールは、フェニル、または各置換基がヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルを表し、
アリールは、フェニル、ナフタレニルまたはフルオレニルを表し、前記フェニル、ナフタレニルまたはフルオレニルは各々が場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりカルボキシル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたはア
リール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;アリール−C(=O)−C1−4アルキル;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−C(=O)−C1−4アルキル;Het−O−から独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
Hetは、各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式の非芳香もしくは芳香複素環;または各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環を表し、前記単環式複素環または前記二もしくは三環式複素環は場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキル−オキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
Hetは、各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式の非芳香もしくは芳香複素環;または各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環を表し、前記単環式複素環または前記二もしくは三環式複素環は場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりカルボキシル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;アリール−C(=O)−C1−4アルキル;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−C(=O)−C1−4アルキル;Het−O−から独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2
、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
pは、1または2を表す]
で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物にも関する。
【0022】
本発明は、また、1種以上の満腹ホルモン、特にGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を予防または治療するための薬剤を製造する目的で式(I)で表される化合物を用いることにも関し、特に、本発明は、GLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を治療するための薬剤を製造する目的で式(I)で表される化合物を用いることにも関する。
【0023】
本発明は、更に、DGATが媒介する疾患を予防または治療するための薬剤を製造する目的で式(I)で表される化合物を用いることにも関し、特に、本発明は、DGATの阻害が有効であり得る疾患を予防または治療、特にDGAT、特にDGAT1の阻害が有効であり得る疾患を治療するための薬剤を製造する目的で式(I)で表される化合物を用いることにも関する。
【0024】
本明細書の上または本明細書の以下で用いる如きC0−3アルキルは、基または基の一部として、炭素原子数が0(この場合には直接結合を表す)から3の直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチルなどを定義するものであり、C1−4アルキルは、基または基の一部として、炭素原子数が1から4の直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチルなどを定義するものであり、C1−5アルキルは、基または基の一部として、炭素原子数が1から5の直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基、例えばC1−4アルキルで定義した基およびペンチル、2−メチルブチルなどを定義するものであり、C1−6アルキルは、基または基の一部として、炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基、例えばC1−4アルキルおよびC1−5アルキルで定義した基およびヘキシル、2−メチルペンチルなどを定義するものであり、C1−12アルキルは、基または基の一部として、炭素原子数が1から12の直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基、例えばC1−6アルキルで定義した基およびヘプチル、2−メチルヘプチルなどを定義するものであり、C1−6アルカンジイルは、炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝鎖飽和二価炭化水素基、例えばメチレン、1,2−エタンジイルもしくは1,2−エチリデン、1,3−プロパンジイルもしくは1,3−プロピリデン、1,4−ブタンジイルもしくは1,4−ブチリデン、1,5−ペンタンジイルなどを定義するものであり、C2−4アルケニルは、基または基の一部として、二重結合を有する炭素原子数が2から4の直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基、例えばエテニル、プロペニル、ブテニルなどを定義するものであり、C2−6アルケニルは、基または基の一部として、二重結合を有する炭素原子数が2から6の直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基、例えばC2−4アルケニルで定義した基およびペンテニル、ヘキセニル、3−メチルブテニルなどを定義するものであり、C2−6アルケンジイルは、二重結合を有する炭素原子数が2から6の直鎖もしくは分枝鎖二価炭化水素基、例えば1,2−エテンジイル、1,3−プロペンジイル、1,4−ブテンジイル、1,5−ペンテンジイルなどを定義するものであり、C2−6アルキニルは、三重結合を有する炭素原子数が2から6の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを定義するものであり、C2−6アルキンジイルは、基または基の一部として、三重結合を有する炭素原子数が2から6の直鎖もしくは分枝鎖二価炭化水素基、例えば1,2−エチンジイル、1,3−プロピンジイル、1,4−ブチンジイル、1,5−ペンチンジイルなどを定義するものであり、C3−6シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルの総称である。
【0025】
用語「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称である。ポリハロC1−
アルキルを基または基の一部として本明細書の上および以下で用いる場合、これは1個以上、例えば2、3、4または5個のハロ原子で置換されているC1−6アルキル、例えば1個以上のフルオロ原子で置換されているメチル、例えばジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなど、1,1−ジフルオロ−エチル、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリフルオロ−エチルなどであると定義する。ポリハロC1−6アルキルの定義の範囲内でC1−6アルキル基に結合しているハロゲン原子の数が2以上の場合、それらは同一または異なっていてもよい。
【0026】
本明細書の上記で用いた如き用語(=O)は、これが炭素原子と結合した時にカルボニル部分を形成し、硫黄原子と結合した時にスルホキサイド部分を形成し、そして前記用語の2つが硫黄原子と結合した時にスルホニル部分を形成する。オキソは=Oを意味する。
【0027】
本明細書の上記で定義した如き基HetまたはHetは、各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子、特に1、2または3個のヘテロ原子を含有していて場合により置換されていてもよい単環式の非芳香もしくは芳香複素環、または各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子、特に1、2、3、4または5個のヘテロ原子を含有していて場合により置換されていてもよい二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環であってもよい。そのような非置換単環式複素環の例には、これらに限定するものでないが、4、5、6もしくは7員の単環式非芳香(完全飽和もしくは部分飽和)もしくは芳香複素環、例えばアゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロオキサゾリル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリジニル、トリアゾリジニル、チアジアゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピラジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル、ヘキサヒドロジアゼピニル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピラニルなどが含まれる。前記非置換二環式もしくは三環式複素環の例には、これらに限定するものでないが、8員から17員の二環式もしくは三環式非芳香(完全飽和もしくは部分飽和)もしくは芳香複素環、例えばデカヒドロキノリニル、オクタヒドロインドリル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、インドリニル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノリジニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、ベンゾピラニル、ピロロピリジル、チエノピリジル、フロピリジル、イソチアゾロピリジル、チアゾロピリジル、イソオキサゾロピリジル、オキサゾロピリジル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル、ピロロピラジニル、チエノピラジニル、フロピラジニル、イソチアゾロピラジニル、チアゾロピラジニル、イソオキサゾロピラジニル、オキサゾロピラジニル、ピラゾロピラジニル、イミダゾピラジニル、ピロロピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、イソチアゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、イソオキサゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリダジニル、チエノピリダジニル、フロピリダジニル、イソチアゾロピリダジニル、チアゾロピリダジニル、イソオキサゾロピリダジニル、オキサゾロピリダジニル、ピラゾロピリダジニル、イミダゾピリダジニル、オキサジアゾロピリジル、チアジアゾロピリジル、トリアゾロピリジル、オキサジアゾロピラジニル、チアジアゾロピラ
ジニル、トリアゾロピラジニル、オキサジアゾロピリミジニル、チアジアゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、オキサジアゾロピリダジニル、チアジアゾロピリダジニル、トリアゾロピリダジニル、イミダゾオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾインダゾリル、イミダゾピラゾリル、イソオキサゾロトリアジニル、イソチアゾロトリアジニル、ピラゾロトリアジニル、オキサゾロトリアジニル、チアゾロトリアジニル、イミダゾトリアジニル、オキサジアゾロトリアジニル、チアジアゾロトリアジニル、トリアゾロトリアジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどが含まれる。Het複素環の任意の置換基は、ヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキル−オキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルである。Het置換基の任意の置換基は、ヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりカルボキシル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;アリール−C(=O)−C1−4アルキル;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−C(=O)−C1−4アルキル;Het−O−である。
【0028】
いずれかの変項がいずれかの成分(例えばアリール、Het、アリール、Het)に2回以上存在する場合、各定義は独立している。
【0029】
用語「Het」または「Het」に当該複素環の可能な異性体形態の全部を包含させることを意味し、例えばピロリルには1H−ピロリルおよび2H−ピロリルが含まれる。
【0030】
用語「アリール」、「Het」、「アリール」または「Het」に含まれる炭素環もしくは複素環は、特に明記しない限り、適宜、環の炭素もしくはヘテロ原子を通して式(I)で表される分子の残りと結合していてもよい。このように、例えば複素環がイミダゾリルの場合、これは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリルなどであってもよく、或は炭素環がナフタレニルの場合、これは1−ナフタレニル、2−ナフタレニルなどであり得る。
【0031】
置換基から環系の中に引いた線は、その結合が適切な環原子のいずれかと結合していてもよいことを示す。
【0032】
Yが例えば−NR−C(=O)−であると定義する場合、このことはNRの窒素が
フェニル部分と結合しそしてC(=O)の炭素原子がR置換基と結合していることを意味する。このように、Yの定義において、二価の基の左部分がフェニル部分と結合しそして二価の基の右部分がR置換基と結合している。
【0033】
また、式(I)で表される化合物の中の数種は互変異性形態でも存在し得る。そのような形態を前記式に明確には示さなかったが、そのような形態物を本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0034】
置換基、例えばRおよびRなどの置換基を数多くの定義のリストから各々独立して選択することができることを本明細書の上または本明細書の以下で用いる時にはいつでも化学的に可能なあらゆる可能な組み合わせを意図する。
【0035】
治療用途の場合の式(I)で表される化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容される塩である。しかしながら、製薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた例えば製薬学的に許容される化合物の調製または精製などでは使用可能である。塩が製薬学的に許容されるか或は許容されないかに拘らず、あらゆる塩が本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
本明細書の上または本明細書の以下に記述する如き製薬学的に許容される塩は、これに式(I)で表される化合物が形成し得る治療的に有効な無毒の酸付加塩形態物を包含させることを意味する。後者は、便利に、塩基形態物を無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸など、硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロピオン酸、2−オキソプロピオン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸などの如き適切な酸で処理することで得ることができる。逆に、塩形態物をアルカリで処理することで遊離塩基形態物に変化させることも可能である。
【0037】
酸性プロトンを含有する式(I)で表される化合物を適切な有機および無機塩基で処理することで治療的に有効な無毒の金属もしくはアミン付加塩形態物に変化させることができる。本明細書の上または本明細書の以下に記述する如き製薬学的に許容される塩にまた式(I)で表される化合物が形成し得る治療的に有効な無毒の金属もしくはアミン付加塩形成物(塩基付加塩形成物)も包含させることを意味する。適切な塩基付加塩形態物には、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基、例えば第一級、第二級および第三級脂肪族および芳香族アミンなどの塩、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種類存在するブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリン、ベンザジン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミンなどの塩、そしてアミノ酸、例えばアルギニン、リシンなどの塩が含まれる。逆に、塩形態物を酸で処理することで遊離酸形態物に変化させることも可能である。
【0038】
用語「塩」にはまた式(I)で表される化合物が有する塩基性窒素と適切な第四級化剤、例えば場合により置換されていてもよいC1−6アルキルハライド、アリールハライド、C1−6アルキルカルボニルハライド、アリールカルボニルハライドまたはアリールC1−6アルキルハライド、例えばヨウ化メチルまたはヨウ化ベンジルなどとの間の反応に
よって式(I)で表される化合物が形成し得る第四級アンモニウム塩(第四級アミン)も含まれる。また、良好な脱離基を有する他の反応体、例えばトリフルオロメタンスルホン酸C1−6アルキル、メタンスルホン酸C1−6アルキルおよびp−トルエンスルホン酸C1−6アルキルなどを用いることも可能である。第四級アミンは正に帯電した窒素を有する。製薬学的に許容される対イオンには、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテート、アセテート、トリフレート、スルフェート、スルホネートが含まれる。選択した対イオンをイオン交換樹脂を用いて導入することができる。
【0039】
用語「溶媒和物」には、式(I)で表される化合物ばかりでなくそれの塩が形成し得る水和物および溶媒付加形態物が含まれる。そのような形態物の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0040】
本化合物のN−オキサイド形態物は、これに1個もしくは数個の第三級窒素原子が酸化されていわゆるN−オキサイドになっている式(I)で表される化合物を包含させることを意味する。
【0041】
式(I)で表される化合物およびこれらのN−オキサイド、塩および溶媒和物の中の数種はキラリティー中心を1個以上含有する可能性があることで立体化学異性体形態物として存在し得ることは理解されるであろう。
【0042】
本明細書の上または本明細書の以下で用いる如き用語「立体化学的異性体形態物」は、式(I)で表される化合物およびこれらのN−オキサイド、塩または溶媒和物が持ち得る可能性のある立体異性体形態物の全部を定義するものである。特に明記しない限り、化合物の化学的表示は、可能なあらゆる立体化学的異性体形態物の混合物を表し、前記混合物は基本的な分子構造を有するあらゆるジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有するばかりでなく式(I)の個々の異性体形態物およびこれらのN−オキサイド、塩または溶媒和物の各々を含有し、その他の異性体を実質的に含有しない、即ち伴う他の異性体の量は10%未満、好適には5%未満、特に2%未満、最も好適には1%未満である。このように、式(I)で表される化合物が例えば(E)であるとして示す場合、このことは、その化合物に(Z)異性体が実質的に存在しないことを意味する。
【0043】
特に、立体中心はR配置またはS配置を取り得、二価の環式(部分)飽和基上の置換基はシス配置またはトランス配置のいずれかを取り得る。二重結合を含有する化合物は前記二重結合の所にE(entgegen)立体化学またはZ(zusammen)立体化学を取り得る。用語シス、トランス、R、S、EおよびZは当業者に良く知られている。式(I)で表される化合物の立体化学異性体形態物を本発明の範囲内に包含させることを明らかに意図する。
【0044】
CASの命名慣例に従い、絶対配置が既知の2個の立体中心が分子中に存在する場合にはRまたはS記述子に番号が最も小さいキラル中心、即ち基準中心を割り当てる(Cahn−Ingold−Prelogの配列規則を基に)。2番目の立体中心の配置を相対的記述子[R,R]または[R,S]で示し、ここで、1番目のRを常に基準中心として指定し、そして[R,R]は同じキラリティーを持つ中心を示し、そして[R,S]は異なるキラリティーを持つ中心を示す。例えば、分子中で番号が最も小さいキラル中心がS配置を有しかつ2番目の中心がRである場合、その立体記述子はS−[R,S]であると指定することになるであろう。「α」および「β」を用いる場合、環の番号が最も低い環系が有する不斉炭素原子上の優先度が最も高い置換基の位置が随意常にその環系によって決まる平均面の「α」位にあるとする。前記基準原子が有する優先度が最も高い置換基の位置を基準にしたその環系内に存在する他の不斉炭素原子上の優先度が最も高い置換基の位置がこの環系によって決まる平均面の同じ側に存在する場合には
それを「α」と命名し、或はそれがこの環系によって決まる平均面のもう一方の側に存在する場合にはそれを「β」と命名する。
【0045】
式(I)で表される化合物は、鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成可能であり、それらを互いに当該技術分野で公知の分割手順に従って分離することができる。式(I)で表されるラセミ化合物を適切なキラル酸と反応させることで相当するジアステレオマー塩形態物に変化させてもよい。その後、前記ジアステレオマー塩形態物に分離を例えば選択的もしくは分別結晶化などで受けさせた後、アルカリを用いてそれから鏡像異性体を遊離させる。式(I)で表される化合物の鏡像異性体形態物を分離する代替様式は、キラル固定相を用いた液クロの使用を伴う。また、相当する適切な出発材料の立体化学的に高純度の異性体形態物を用いてそのような立体的に高純度の異性体形態物を生じさせることも可能であるが、その反応が立体特異的に起こることを条件とする。特定の立体異性体が必要な場合、好適には、立体特異的製造方法を用いて前記化合物の合成を行う。そのような方法では有利に鏡像異性体的に高純度の出発材料を用いる。
【0046】
用語「式(I)で表される化合物」またはこれらのサブグループのいずれかを本明細書の以下で用いる時にはいつでも、これらにまたこれらのN−オキサイド形態物、塩、立体化学異性体形態物および溶媒和物も包含させることを意味する。特に興味の持たれる化合物は、立体化学的に高純度の式(I)で表される化合物である。
【0047】
本発明の1番目の態様は、如何なる立体化学異性体形態も包含する下記の式
【0048】
【化2】

【0049】
[式中、
Aは、CHまたはNを表し、
Xは、OまたはNRを表し、
破線は、Aが炭素原子を表す場合の任意の結合を表し、
Yは、直接結合、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−Z−O−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−C(=O)−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−O−C(=O)−、−C(=O)−NR−O−Z−、−C(=O)−NR−Z−NR−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−O−を表し、
Zは、C1−6アルカンジイル、C2−6アルケンジイルまたはC2−6アルキンジイルから選択される二価の基を表し、かつ前記C1−6アルカンジイル、C2−6アルケンジイルまたはC2−6アルキンジイルの各々は場合によりC1−4アルキルオキシ、C1−
アルキルチオ、ヒドロキシル、シアノまたはアリールで置換されていてもよく、かつZの定義において同じ炭素原子と結合している2個の水素原子が場合によりC1−6アルカンジイルに置き換わっていてもよく、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
は、水素;場合によりC3−6シクロアルキルもしくはアリールもしくはHetで置換されていてもよいC1−4アルキル;C2−4アルケニル;または−S(=O)−アリールを表し、
は、場合によりシアノ、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルもしくはアリールで置換されていてもよいC1−12アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリール1−6アルキル;Het;またはHet1−6アルキルを表すが、但しYが−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−O−Z−または−C(=O)−NR−Z−NR−を表す場合にはまたRが水素を表してもよいことを条件とし、
およびRは、各々独立して、水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルを表し、
は、水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキル;RN−C(=O)−;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−O−を表し、
は、水素;場合によりヒドロキシルまたはC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−4アルキル;RN−C1−4アルキル;C1−4アルキルオキシ;Het;アリール;RN−C(=O)−C1−4アルキルを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
は、水素;C1−4アルキル;C1−4アルキルカルボニルを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表すか、或は
とRがこれらが結合している窒素と一緒になって更にO、S、S(=O)またはNから選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい飽和単環式5、6もしくは7員の複素環を形成していてもよく、かつ前記複素環は場合によりC1−4アルキルで置換されていてもよく、
アリールは、フェニル、または各置換基がヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基、特
に1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルを表し、
アリールは、フェニル、ナフタレニルまたはフルオレニルを表し、前記フェニル、ナフタレニルまたはフルオレニルは各々が場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりアリール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−O−から独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
Hetは、O、S、S(=O)またはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式の非芳香もしくは芳香複素環;またはO、S、S(=O)またはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環を表し、前記単環式複素環または前記二もしくは三環式複素環は場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキル−オキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
Hetは、O、S、S(=O)またはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式の非芳香もしくは芳香複素環;またはO、S、S(=O)またはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環を表し、前記単環式複素環または前記二もしくは三環式複素環は場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりアリール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−O−から独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の
置換基で置換されていてもよく、
pは、1または2を表す]
で表される式(I)で表される化合物、これらのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物である。
【0050】
本発明の2番目の態様は、XがNR、特にNHを表す本明細書の態様として記述した如き式(I)で表される化合物またはこれらのサブグループのいずれかである。
【0051】
本発明の3番目の態様は、XがOを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばこれらのサブグループのいずれかである。
【0052】
本発明の4番目の態様は、AがNを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばこれらのサブグループのいずれかである。
【0053】
本発明の5番目の態様は、AがCHを表す、特にAがCHを表しそして前記破線が結合を表さない態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0054】
本発明の6番目の態様は、Yが−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−を表し、特にYが−NR−C(=O)−または−NR−C(=O)−Z−を表しかつZがC1−6アルカンジイルを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物またはこれらのサブグループのいずれかである。
【0055】
本発明の7番目の態様は、Yが直接結合を表し、特にYが直接結合を表しそしてRがHetを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0056】
本発明の8番目の態様は、Yが−NR−C(=O)−を表し、特にYが−NR−C(=O)−を表しそしてRがアリールまたはHetを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0057】
本発明の9番目の態様は、Yが−NR−C(=O)−Z−NR−を表し、特にYが−NR−C(=O)−Z−NR−を表しそしてRがアリールまたはHetを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0058】
本発明の10番目の態様は、Yが−NR−C(=O)−Z−C(=O)−O−または−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−、特に−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−を表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0059】
本発明の11番目の態様は、RおよびRが各々独立して水素、ハロまたはC1−6アルキルを表す、特にRおよびRの両方がハロを表す、より特別にはRおよびRの両方がクロロまたはフルオロを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0060】
本発明の12番目の態様は、Rがパラ位に位置する態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれか
である。
【0061】
本発明の13番目の態様は、Rが水素;カルボキシル;C1−6アルキルオキシカルボニル;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;RN−C(=O)−;RN−C1−6アルキル;Het−C(=O)−またはHetC1−4アルキル、特にHet−C(=O)−またはHetC1−4アルキルを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0062】
本発明の14番目の態様は、Rがパラ位に位置していて水素;カルボキシル;C1−6アルキルオキシカルボニル;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;RN−C(=O)−;RN−C1−6アルキル;Het−C(=O)−またはHetC1−4アルキル、特にHet−C(=O)−またはHetC1−4アルキルを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0063】
本発明の15番目の態様は、pが2を表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0064】
本発明の16番目の態様は、Rが水素、C1−12アルキル、アリールまたはHet、特にアリールまたはHet、より特別にはアリール、更により特別には場合により置換されていてもよいフェニル(ここで、任意の置換基は好適にはアリール、HetまたはC1−6アルキルオキシから選択される)、更により特別にはフェニルを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0065】
本発明の17番目の態様は、ZがC1−6アルカンジイルを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0066】
本発明の18番目の態様は、Rが水素を表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0067】
本発明の19番目の態様は、Rが水素を表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0068】
本発明の20番目の態様は、Rが水素を表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0069】
本発明の21番目の態様は、Rがハロ、C1−4アルキル、ヒドロキシル置換C1−4アルキルを表す態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物または可能ならばいつでもこれらのサブグループのいずれかである。
【0070】
本発明の22番目の態様は、下記の制限の中の1つ以上、好適には全部が当てはまる態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物またはこれらのサブグループのいずれかである:
a)XがNHを表す;
b)Rが水素、ハロまたはC1−6アルキル、特にハロ、より特別にはクロロを表す;c)Rが水素、ハロまたはC1−6アルキル、特にハロ、より特にはクロロを表す;
d)Rが水素を表す;
e)AがNを表す;
f)破線が追加的結合を表さない;
g)Yが−NR−C(=O)−Z−を表す;
h)ZがC1−6アルカンジイルを表す;
i)Rがアリール、特に場合により置換されていてもよいフェニル、より特別にはフェニルを表す;
j)Rが水素を表す。
【0071】
本発明の23番目の態様は、下記の制限の中の1つ以上、好適には全部が当てはまる態様として本明細書で上述した如き式(I)で表される化合物またはこれらのサブグループのいずれかである:
a)XがNHまたはOを表す;
b)Rが水素、ハロまたはC1−6アルキル、特にハロ、より特別にはクロロまたはフルオロを表す;
c)Rが水素、ハロまたはC1−6アルキル、特にハロ、より特にはクロロまたはフルオロを表す;
d)Rが水素、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、Het−C(=O)−またはHetC1−4アルキル、特にHet−C(=O)−またはHetC1−4アルキルを表す;
e)AがNを表す;
f)破線が結合を表さない;
g)Yが−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−を表す;
h)ZがC1−6アルカンジイルを表す;
i)Rが水素、C1−12アルキル、アリールまたはHet、特にアリール、より特別には場合により置換されていてもよいフェニル(任意の置換基を好適にはアリール、HetまたはC1−6アルキルオキシから選択する)、より特別にはフェニルを表す;j)Rが水素を表す;
k)Rが水素を表す;
l)Rが水素を表す;
m)Rがパラ位に位置する。
【0072】
好適な化合物を下記
【0073】
【化3】

【0074】
これらのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物から選択する。
【0075】
XがNHを表す式(I)で表される化合物[この化合物を式(I−a)で表す]の調製は一般に式(II)で表される中間体とシアナミド、特に鉛シアナミドを適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0076】
【化4】

【0077】
XがOを表す式(I)で表される化合物[この化合物を式(I−b)で表す]の調製は、Wが適切な脱離基、例えばフェノキシなどを表す式(III)で表される中間体と式(IV)で表される中間体を適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0078】
【化5】

【0079】
式(I−b)で表される化合物を式(V)で表される中間体と適切な強塩基、例えば水素化ナトリウムなどおよび適切な溶媒、例えばジオキサンなどの存在下で反応させることで式(I−a)で表される化合物に変化させることができる。
【0080】
【化6】

【0081】
Yが−NR−C(=O)−を含んで成る式(I)で表される化合物[この化合物を式(I−c)で表し、かつYは直接結合を包含するリンカーYの残りを表す]の調製は、式(XIX)で表される中間体と式(XIII)で表される中間体を適切な脱水(連成)剤、例えばN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの一塩酸塩(EDCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−[ビス(ジ−メチルアミノ)メチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウム−ヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキサイド(HBTU)、1−[ビス(ジメチル−アミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム−ヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキサイド(HCTU)、テトラフルオロホウ酸O−ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウム(TBTU)またはシアノホスホン酸ジエチル(DECP)[場合によりヒドロキシベンゾトリアゾールまたはクロロヒドロキシベンゾトリアゾールと組み合わせてもよい]などの存在下で適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはジクロロメタンなどを存在させて場合により適切な塩基、例えばN,N−ジイソプロピル−エタンアミンまたはN,N−ジエチル−エタンアミンなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0082】
【化7】

【0083】
式(I−c)で表される化合物の調製をまた式(XIX)で表される中間体とWが適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロなどを表す式(XX)で表される中間体を適切な塩基、例えば水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、N,N−ジイソプロピル−エタンアミンまたはN,N−ジエチル−エタンアミンなどおよび適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどの存在下で反応させることで実施することも可能である。
【0084】
【化8】

【0085】
Yが−NR−C(=O)−Z−NR−を表す式(I)で表される化合物[この化合物を式(I−d)で表す]の調製は、Wが適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロ、ブロモなどを表す式(XXI)で表される中間体と式(XXII)で表される中間体を適切な塩基、例えばNaCO、KCOなどおよび適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0086】
【化9】

【0087】
Yが−NR−C(=O)−Z−を表しそしてRが窒素原子を通してZと結合していて場合により置換されていてもよい単環式飽和複素環を表す(このRをR1aで表す)式(I)で表される化合物[この化合物を式(I−e)で表す]の調製は、式(XXI)で表される中間体と式(XXIII)で表される中間体を適切な塩基、例えばN,N−ジイソプロピル−エタンアミンまたはN,N−ジエチル−エタンアミンなどおよび適切な溶媒、例えばアセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0088】
【化10】

【0089】
がNHで置換されている(このRをR1’−NHで表す)式(I)で表される化合物[この化合物を式(I−f)で表す]の調製は、Pが適切な保護基、例えば第三ブチルオキシカルボニルなどを表す式(XXIV)で表される中間体に脱保護を適切な酸、例えばトリフルオロ酢酸などの存在下で適切な溶媒、例えばジクロロメタンなどを存在させて受けさせることで実施可能である。式(XXIV)で表される中間体の調製は前記反応の中の1つに従って実施可能である。
【0090】
【化11】

【0091】
式(I)で表される化合物の調製を更に式(I)で表される化合物を当該技術分野で公知の基変換反応に従って互いに変化させることで実施することも可能である。
【0092】
式(I)で表される化合物から相当するN−オキサイド形態物への変換は、三価の窒素をN−オキサイド形態に変化させるに適することが当該技術分野で知られている手順に従って実施可能である。前記N−オキサイド化反応は、一般に、式(I)で表される出発材料を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることで実施可能である。適切な無機過酸化物には、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムなどが含まれ、適切な有機過酸化物には、ペルオキシ酸、例えば過安息香酸またはハロ置換過安息香酸、例えば3−クロロ過安息香酸など、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸など、アルキルヒドロパーオキサイド、例えばt−ブチルヒドロパーオキサイドなどが含まれ得る。適切な溶媒は、例えば水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエンなど、ケトン、例えば2−ブタノンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、そしてそのような溶媒の混合物である。
【0093】
が置換されていない式(I)で表される化合物をC1−4アルキル−S(=O)−W[ここで、Wは適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロなどを表す]と適切な塩基、例えばN,N−ジエチル−エタンアミンなどの存在下で適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどを存在させて反応させることでRがC1−4アルキル−S(=O)−置
換基を含有する化合物に変化させることができる。
【0094】
がC1−6アルキルオキシカルボニル置換基を含有する式(I)で表される化合物を適切な塩基、例えば水酸化ナトリウムなどと適切な溶媒、例えばジオキサンなどの存在下で反応させることでRがカルボキシル置換基を含有する式(I)で表される化合物に変化させることができる。
【0095】
また、RがC1−6アルキルオキシカルボニル置換基を含有する式(I)で表される化合物を適切な還元剤、例えばLiBHなどと適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサンなどの存在下で反応させることでRがCH−OH置換基を含有する式(I)で表される化合物に変化させることも可能である。
【0096】
また、RがC1−6アルキルオキシカルボニル置換基を含有する式(I)で表される化合物を適切な酸、例えば塩酸などと反応させることでRが置換されていない式(I)で表される化合物に変化させることも可能である。
【0097】
がC1−5アルキル−カルボニル置換基を含有する式(I)で表される化合物を適切な還元剤、例えばNaBHなどと適切な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールなどの存在下で反応させることでRがC1−5アルキル−CH(OH)−置換基を含有する式(I)で表される化合物に変化させることができる。
【0098】
がC1−6アルキルオキシ置換基を含有する式(I)で表される化合物を適切な還元剤、例えばBBrなどと適切な溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなどの存在下で反応させることでRがOH置換基を含有する式(I)で表される化合物に変化させることができる。
【0099】
がアリルを表す式(I)で表される化合物を適切な触媒、例えばPd(PPhなどおよび適切な求核剤、例えば
【0100】
【化12】

【0101】
などと適切な溶媒、例えばジクロロエタンなどの存在下で反応させることでRが水素を表す式(I)で表される化合物に変化させることができる。
【0102】
が−S(=O)−アリール[ここで、アリールはニトロ置換フェニルである]を表す式(I)で表される化合物をLiOHおよびHS−CH−C(=O)−OHと適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどの存在下で反応させることでRが水素を表す式(I)で表される化合物に変化させることができる。
【0103】
がC1−6アルキルオキシ置換基を含有するか或はR、RまたはRがC1−6アルキルオキシを表す式(I)で表される化合物を適切な還元剤、例えばBBrなどと適切な溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなどの存在下で反応させることでRがOH置換基を含有するか或はR、RまたはRがOHを表す式(I)で表される化合物に変化させることができる。
【0104】
がカルボキシル置換基を含有するか或はRがカルボキシルを表す式(I)で表される化合物をN原子を少なくとも1個含有していていて場合により置換されていてもよい単環式飽和複素環[この複素環はN原子を通してC(=O)基と結合している]と適切な脱水(連成)剤、例えばN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの一塩酸塩(EDCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−[ビス(ジ−メチルアミノ)メチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウム−ヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキサイド(HBTU)、1−[ビス(ジメチル−アミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム−ヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキサイド(HCTU)、テトラフルオロホウ酸O−ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウム(TBTU)またはシアノホスホン酸ジエチル(DECP)[場合によりヒドロキシベンゾトリアゾールまたはクロロヒドロキシベンゾトリアゾールと組み合わせてもよい]などの存在下で適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどを存在させて場合により適切な塩基、例えばN,N−ジイソプロピル−エタンアミンまたはN,N−ジエチル−エタンアミンなどの存在下で反応させることでRがHet−C(=O)−置換基を表すか或はRがHet−C(=O)−を表しかつHetが前記複素環を表す式(I)で表される化合物に変化させることができる。この反応をまた迅速合成反応として実施することも可能であり、この反応では、迅速合成に適することが良く知られている適切な反応体、例えば適切な担体、例えばポリスチレンなどと結合させておいたジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはカルボニルジイミダゾール(CDI)などを用いる。また、反応混合物を精製する目的で、適切な迅速合成用反応体、例えば1−エテニル−4−(イソシアナトメチル)−ベンゼン重合体などをエテニルベンゼンと一緒に用いることも可能である。
【0105】
本発明における式(I)で表される化合物および中間体の中の数種は不斉炭素原子を含有する可能性がある。当該技術分野で公知の手順を用いることで前記化合物および前記中間体の高純度の立体化学的異性体形態物を得ることができる。例えば、物理的方法、例えば選択的結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば向流分配液クロなどの如き方法を用いてジアステレオ異性体の分離を行うことができる。最初にラセミ混合物に適切な分割剤、例えばキラリティーを持つ酸などによる変換を受けさせてジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物を生じさせた後、前記ジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物に物理的分離、例えば選択的結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば液クロなどの方法を用いた物理的分離を受けさせそして最後に前記分離したジアステレオマー塩もしくは化合物を相当する鏡像異性体に変化させることで前記ラセミ混合物から鏡像異性体を得ることができる。また、高純度の立体化学的異性体形態の適切な中間体および出発材料を用いることでも高純度の立体化学的異性体形態物を得ることができるが、但し介在する反応が立体特異的に起こることを条件とする。
【0106】
式(I)で表される化合物および中間体の鏡像異性体形態物を分離する代替様式は、液クロまたはSCF(超粒界流体)クロマトグラフィー、特にキラル固定相を用いた液クロの使用を伴う。
【0107】
前記中間体および出発材料の中の数種は公知化合物であり、商業的に入手可能であるか或は当該技術分野で公知の手順に従って調製可能である。
【0108】
式(II)で表される中間体の調製は、式(IV)で表される中間体と式(VI)で表される中間体を適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0109】
【化13】

【0110】
Yが−NH−C(=O)−を含んで成る式(IV)で表される中間体[この中間体をYが直接結合を包含するリンカーYの残りを表す式(IV−a)で表す]の調製は下記の反応スキームに従って実施可能であり、この反応スキームでは、Pが適切な保護基、例えばベンジルオキシカルボニルまたは第三ブチルオキシまたはベンジルなどを表しそしてWが適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロなどを表す式(VII)で表される中間体と式(VIII)で表される中間体を適切な塩基、例えばNaHCOなどおよび適切な溶媒、例えばジクロロメタンなどの存在下で反応させることで式(IX)で表される中間体を生じさせた後、次の段階で前記式(IX)で表される中間体に水添(H)を適切な触媒、例えば炭に担持されている白金などおよび適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランおよびアルコール、例えばメタノールなどの存在下で受けさせることで式(X)で表される中間体を生じさせる。次の段階で、前記式(X)で表される中間体とWが適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロなどを表す式(XI)で表される中間体を適切な塩基、例えばNaHCOなどおよび適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどの存在下で反応させることで式(XII)で表される中間体を生じさせた後、次の段階でそれに脱保護をH、適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムなどおよび適切な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールなどの存在下で場合により適切な酸、例えばメタンスルホン酸などを存在させるか或は適切な酸、例えばトリフルオロ酢酸などおよび適切な溶媒、例えばジクロロメタンなどの存在下でか或は蟻酸アンモニウム、適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムなどおよび適切な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールなどの存在下で受けさせる。
【0111】
【化14】

【0112】
前記反応スキームでは、また、式(X)で表される中間体と式(XIII)で表される
中間体を適切な活性化剤、例えばSOClまたはCl−C(=O)−C(=O)−Clなど、適切な塩基、例えばN,N−ジエチル−エタンアミンまたはN,N−ジイソプロピル−エタンアミンなどおよび適切な溶媒、例えばジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの存在下で反応させることも可能である。さもなければ、式(XIII)で表される中間体と式(X)で表される中間体を適切な脱水(連成)剤、例えばN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの一塩酸塩(EDCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−[ビス(ジ−メチルアミノ)メチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウム−ヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキサイド(HBTU)、1−[ビス(ジメチル−アミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム−ヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキサイド(HCTU)、テトラフルオロホウ酸O−ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウム(TBTU)またはシアノホスホン酸ジエチル(DECP)[場合によりヒドロキシベンゾトリアゾールまたはクロロヒドロキシベンゾトリアゾールと組み合わせてもよい]などの存在下で適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどを存在させて場合により適切な塩基、例えばN,N−ジイソプロピル−エタンアミンまたはN,N−ジエチル−エタンアミンなどの存在下で反応させることも可能である。
【0113】
また、式(XII)で表される中間体とハロゲン化C1−4アルキル、例えばCHIなどを適切な塩基、例えばNaHなどおよび適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどの存在下で反応させることで式(XV)で表される中間体を生じさせることも可能であり、それに脱保護を上述したプロトコルに従って受けさせることで式(IV−a’)で表される中間体を生じさせることができる。
【0114】
式(XIII)で表される中間体の調製は、式(XV)で表される中間体に加水分解を適切な塩基、例えば水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムなどを用いて適切な溶媒、例えば水、テトラヒドロフランまたはアルコール、例えばメタノールなどの存在下で受けさせることで実施可能である。
【0115】
【化15】

【0116】
がHetを表す[前記Hetは場合により置換されていてもよい複素環であり、これは場合により置換されていてもよいフェニルまたは場合により置換されていてもよい複素環のいずれかで更に置換されている]式(XV)で表される中間体の調製は、保護されていて場合により置換されていてもよい複素環と場合により置換されていてもよいフェニルを適切な触媒、例えば酢酸パラジウムなどの存在下で適切な触媒配位子、例えば1,1’−(1,5−ペンタンジイル)−ビス[1,1’−ジフェニルホスフィン]など、適切な塩基、例えば酢酸カリウムなどおよび適切な溶媒、例えばN−メチル−ピロリジン−2−オンなどを存在させて反応させるか或は保護されていて場合により置換されていてもよい複素環と場合により置換されていてもよくて適切な脱離基、例えばハロ、例えばブロモ、ヨードなどを持つフェニルを適切な触媒、例えば酢酸パラジウムなどの存在下で適切な触媒配位子、例えば1,3−プロパンジイルビス[ジフェニルホスフィン]など、適切な塩基、例えば酢酸カリウムまたは炭酸セシウムなどおよび適切な溶媒、例えばN−メチル−ピロリジン−2−オンなどを存在させて反応させるか或は保護されていて場合により置換されていてもよい複素環と場合により置換されていてもよくて適切な脱離基、例え
ばハロ、例えばブロモ、ヨードなどを持つ複素環を適切な触媒、例えば酢酸パラジウムなどの存在下で適切な触媒配位子、例えば1,3−プロパンジイルビス[ジフェニルホスフィン]など、適切な塩基、例えば酢酸カリウムまたは炭酸セシウムなどおよび適切な溶媒、例えばN−メチル−ピロリジン−2−オンなどを存在させて反応させることで実施可能である。
【0117】
が場合により置換されていてもよいフェニルを表しかつそれが更に場合により置換されていてもよいフェニルまたは場合により置換されていてもよい複素環のいずれかで置換されている式(XV)で表される中間体の調製も相当して実施可能である。
【0118】
がNRを含有しかつRがC2−4アルケニルを表す式(XV)で表される中間体の調製は、Rが水素を表す相当する中間体とC2−4アルケニル−W[ここで、Wは適切な脱離基、例えばハロ、例えばヨードなどを表す]を適切な塩基、例えばKCOまたはN,N−ジイソプロピル−エタンアミンなどおよび適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドまたはアルコール、例えばエタノールなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0119】
がNRを含有しかつRが−S(=O)−アリールを表す式(XV)で表される中間体の調製は、Rが水素を表す相当する中間体とW−S(=O)−アリール[ここで、Wは適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロなどを表す]を適切な塩基、例えばN,N−ジエチル−エタンアミンなどおよび適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0120】
が−Z−NR−C(=O)−NR−を表す式(XIII)で表される中間体[この中間体を式(XIII−a)で表す]の調製は、式(XVI)で表される中間体と式(XVII)で表される中間体を適切な塩基、例えばN,N−ジエチル−エタンアミンなどおよび適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどの存在下で反応させた後にその結果として生じた式(XVIII)で表される中間体に脱保護を適切な塩基、例えばKOHなどを用いて適切な溶媒、例えば水およびアルコール、例えばエタノールなどの存在下で受けさせることで実施可能である。
【0121】
【化16】

【0122】
が水素を表しそしてXがNHを表す式(XIX)で表される中間体[この中間体を式(XIX−a)で表す]の調製は、式(XXV)で表される中間体とN−シアノカルボンイミド酸ジフェニルを適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で反応させることで実施可能である。その後、次の段階で、その結果として生じた式(XXVI)で表される中間体と式(V)で表される中間体をNaHおよび適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどの存在下で反応させてもよい。次に、その結果として生じた式(XXVII)で表される中間体に水添を適切な触媒、例えば炭に担持されている白金な
ど、適切な触媒毒、例えばチオフェン溶液などおよび適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランまたはアルコール、例えばメタノールなどの存在下で受けさせることで式(XIX−a)で表される中間体を得ることができる。
【0123】
【化17】

【0124】
式(XIX−a)で表される中間体の調製をまた式(V)で表される中間体とN−シアノカルボンイミド酸ジフェニルを適切な溶媒、例えばピリジンなどの存在下で反応させることで実施することも可能である。その後、その結果として生じた式(XXVIII)で表される中間体と式(XXV)で表される中間体を適切な溶媒、例えばピリジンなどの存在下で反応させることで式(XXVII)で表される中間体を生じさせた後、それに変換を上述したようにして受けさせることで式(XIX−a)で表される中間体を生じさせることができる。
【0125】
【化18】

【0126】
がHet−C1−4アルキルを表しかつHetが式(XXIX)で表されるN含有
単環式飽和複素環を表す式(V)で表される中間体[この式(V)で表される中間体を式(V−a)で表す]の調製は、式(XXIX)で表される中間体と式(XXX)で表される中間体を適切な脱水(連成)剤、例えばN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの一塩酸塩(EDCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−[ビス(ジ−メチルアミノ)メチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウム−ヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキサイド(HBTU)、1−[ビス(ジメチル−アミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム−ヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキサイド(HCTU)、テトラフルオロホウ酸O−ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウム(TBTU)またはシアノホスホン酸ジエチル(DECP)[場合によりヒドロキシベンゾトリアゾールまたはクロロヒドロキシベンゾトリアゾールと組み合わせてもよい]などの存在下で適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどを存在させて場合により適切な塩基、例えばN,N−ジイソプロピル−エタンアミンまたはN,N−ジエチル−エタンアミンなどの存在下で反応させることで実施可能である。その後、次の段階で、その結果として生じた式(XXXI)で表される中間体に還元を適切な還元剤、例えばボランなどの存在下で適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどを存在させて受けさせることで式(V−a)で表される中間体を生じさせることができる。
【0127】
【化19】

【0128】
式(V−a)で表される中間体の調製をまた式(XXIX)で表される中間体とWが適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロなどを表す式(XXXII)で表される中間体を適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどの存在下で反応させる結果として式(V’−a)で表される中間体を生じさせることで実施することも可能である。
【0129】
【化20】

【0130】
式(XXI)で表される中間体の調製は、式(XIX)で表される中間体とWが適切
な脱離基、例えばハロ、例えばクロロ、ブロモなどを表す式(XXXIII)で表される中間体を適切な塩基、例えばN,N−ジエチル−エタンアミン、N,N−ジイソプロピル−エタンアミンなどおよび適切な溶媒、例えばジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0131】
【化21】

【0132】
薬理学的部分
この上に既に示したように、本発明は、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤を用いて1種以上の満腹ホルモンの濃度、特にGLP−1の濃度を高くすることに関する。本発明は、また、1種以上の満腹ホルモンの濃度を高くすることが有効であり得る疾患、特にGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を予防または治療、特に治療するための薬剤を製造する目的でDGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤を用いることにも関する。特に、血漿または門脈血、より特別には血漿中のGLP−1濃度が高くなる。GLP−1濃度が高い、例えば血漿中GLP−1濃度が高いか或は門脈血中GLP−1濃度が高いは、DGAT1阻害剤を摂取した被験体のGLP−1濃度が同じ条件下であるがDGAT1阻害剤を摂取していない被験体に比べて高いか或は増加することを意味する。特に、空腹状態または食後、より特別には食後にGLP−1の濃度が高くなる。GLP−1の濃度を高くする化合物の治療的用途には、これらに限定するものでないが、学習の改善、神経保護の強化および/または中枢神経系の疾患もしくは障害の症状の軽減、例えば神経発生のモジュレーションなどによる軽減、および例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、ALS、卒中、大出血、脳血管発作、ADDおよび神経精神病学的症候群の軽減、肝臓幹細胞/前駆細胞から機能的膵臓細胞への変換、ベータ細胞劣化の防止およびベータ細胞増殖の刺激、膵炎の治療、肥満症の治療、食欲の抑制および満腹の誘発、過敏性腸症候群または炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎などの治療、心筋梗塞および卒中に関連した罹病率および/または死亡率の低下、Q波心筋梗塞が存在しないことで特徴づけられる急性冠不全症候群の治療、術後異化作用変化の軽減、冬眠心筋または糖尿病性心筋症の治療、血漿血中ノルエピネフリン濃度の抑制、尿ナトリウム排泄の増加、尿カリウム濃度の低下、毒性循環血漿量過多に関連した疾患もしくは障害、例えば腎不全、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、肺水腫および高血圧などの治療、強心応答の誘発および心筋収縮能の向上、多嚢胞性卵巣症候群の治療、呼吸困難の治療、消化管以外の経路、即ち静脈内、皮下、筋肉内、腹腔または他の注射もしくは輸液による栄養の改善、腎症の治療、左心室の収縮機能障害、例えば左心室駆出率異常などによる障害の治療、十二指腸後運動性の抑制(例えば消化管障害、例えば下痢、術後ダンピング症候群および過敏性腸症候群などの治療または予防および内視鏡手術における前投薬として)、重症疾患多発神経障害(CIPN)および全身性炎症反応症候群(SIRS)の治療、トリグリセリド濃度のモジュレートおよび脂質異常症の治療、虚血後の血流再潅流によって引き起こされる器官組織損傷(例えば脳組織損傷)の治療、虚血性および再
潅流脳組織の機能の改善、冠動脈心疾患リスク因子(CHDRF)症候群の治療が含まれる。GLP−1濃度を高くすることが有効であり得るさらなる病気には、これらに限定するものでないが、虚血性気絶心筋、虚血性/再潅流障害、急性心筋梗塞、左心室機能障害、血管疾患、神経障害(2型糖尿病に関連した末梢感覚神経障害を包含)、骨関連疾患(骨粗しょう症を包含)、肥満症、糖尿病が含まれる。DGAT阻害剤は、GLP−1に作用することから、また、心臓保護を与える目的でも使用可能である。この上に示した適応症を裏付ける引用文献には、Experimental Neurology、203(2)巻、293−301頁(2007);米国特許第7,186,683号;J.Pharm.Exp.Ther.312巻、No.1、303−308頁(2005);Diabetes、54巻、146−151頁(2005);US2007/0021339(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)が含まれる。
【0133】
式(I)で表される本化合物、これらのN−オキサイド形態物、製薬学的に許容される塩または溶媒和物は、DGAT阻害活性、特にDGAT1阻害活性を有することを鑑み、薬剤として使用可能である。特に、本発明は、式(I)で表される化合物、これらのN−オキサイド形態物、製薬学的に許容される塩または溶媒和物を薬剤として用いること、特にGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を予防または治療するための薬剤として用いることに関する。特に、本発明は、また、式(I)で表される化合物をGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患、例えば上述した疾患および障害などを予防または治療するための薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0134】
DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤が上述した有用性を有することを鑑み、GLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患に苦しんでいる温血哺乳動物(ヒトを包含)を治療する方法、そのような疾患に苦しまないように温血哺乳動物(ヒトを包含)を予防する方法、特にGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患に苦しんでいる温血哺乳動物(ヒトを包含)を治療する方法を提供する。前記方法は、温血哺乳動物(ヒトを包含)にDGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤を有効な量で投与することを含んで成る。
【0135】
式(I)で表される化合物がDGAT阻害活性を有することを鑑み、GLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患に苦しんでいる温血哺乳動物(ヒトを包含)を治療する方法、またはそのような疾患に苦しまないように温血哺乳動物(ヒトを包含)を予防する方法、特にGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患に苦しんでいる温血哺乳動物(ヒトを包含)を治療する方法を提供する。前記方法は、温血哺乳動物(ヒトを包含)に式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物を有効な量で投与することを含んで成る。
【0136】
本発明は、また、式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物がDGAT阻害活性、特にDGAT1阻害活性を有することを鑑み、それを薬剤として用いること、特にDGAT、特にDGAT1の阻害が有効であり得る疾患を予防または治療するための薬剤として用いることにも関する。本発明は、また、DGAT、特にDGAT1の阻害が有効であり得る疾患または障害を予防または治療するための薬剤を製造する目的で式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物を用いることにも関する。DGAT、特にDGAT1の阻害が有効であり得る疾患または障害には、これらに限定するものでないが、代謝障害、例えば肥満症および肥満症関連障害(末梢血管疾患、心不全、心筋虚血、脳虚血、心筋症を包含)、糖尿病、特に2型糖尿病、およびそれによって生じる合併症(例えば網膜症、神経障害、腎障害)、X症候群、インスリン抵抗性、耐糖能異常、空腹時血糖値異常状態、低血糖症、高血糖症、高尿酸血症、高インスリン血症、膵炎、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症、混合型脂質異常症、高トリグリセリド血症および非アルコール性
脂肪肝疾患、脂肪肝、腸間膜脂肪上昇、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症、代謝性アシドーシス、ケトーシス、代謝異常症候群、皮膚疾患、例えばアクネ、乾癬など、心臓血管病、例えばアテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、急性心不全、うっ血性心不全、冠状動脈疾患、心筋障害、心筋梗塞、狭心症、高血圧、低血圧、卒中、虚血、虚血性再潅流障害、動脈瘤、再狭窄および血管狭窄など、腫瘍性疾患、例えば固形腫瘍、皮膚癌、メラノーマ、リンパ腫および内皮癌、例えば乳癌、肺癌、結腸直腸癌、胃癌、他の消化官の癌(例えば食道癌および膵臓癌)、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌および卵巣癌など、およびDGAT機能、特にDGAT1機能のモジュレーション、特に阻害に敏感または反応する他の病気および疾患が含まれる。
【0137】
DGAT、特にDGAT1の阻害が有効であり得る個々の疾患または障害は、肥満症、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症、混合型脂質異常症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎および糖尿病、特に2型糖尿病から選択される。
【0138】
式(I)で表される化合物がDGAT阻害活性を有することを鑑み、DGATの阻害が有効であり得る疾患に苦しんでいる温血哺乳動物(ヒトを包含)を治療する方法、またはそれに苦しまないように温血哺乳動物(ヒトを包含)を予防する方法、特にDGATの阻害が有効であり得る疾患に苦しんでいる温血哺乳動物(ヒトを包含)を治療する方法を提供する。前記方法は、温血哺乳動物(ヒトを包含)に式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、塩または溶媒和物を有効な量で投与することを含んで成る。
【0139】
本発明は、また、GLP−1の濃度を高くすることが有効であり得るか或はDGAT、特にDGAT1の阻害が有効であり得る疾患を予防または治療する、特にGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得るか或はDGAT、特にDGAT1の阻害が有効であり得る疾患を治療するための組成物も提供する。前記組成物は、式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、塩または溶媒和物を治療的に有効な量で含有しかつ製薬学的に許容される担体を含有して成る。
【0140】
本発明の化合物を投与の目的でいろいろな製薬学的形態物に構築してもよい。全身投与用薬剤として通常用いられるあらゆる組成物を適切な組成物として挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を調製する時、有効量の個々の化合物を場合により塩の形態で有効成分として製薬学的に許容される担体との密な混合物として一緒にするが、前記担体に持たせる形態は投与に望まれる製剤の形態に応じて幅広く多様であり得る。本製薬学的組成物を特に経口、直腸、経皮投与または非経口注入に適した単位投薬形態物にするのが望ましい。例えば、本組成物を経口投薬形態物として調製する時、通常の製薬学的媒体のいずれも使用可能であり、例えば液状の経口用製剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシル、乳液および溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、希釈剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与が容易なことから錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の製薬学的担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は少なくとも大部分が一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助する材料などを含有させることも可能である。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。また、使用直前に液状形態の製剤に変換することを意図する固体形態の製剤も含まれる。経皮投与に適した組成物の場合、その担体に場合により浸透向上剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それらを場合によりいずれかの性質を有する適切な添加剤と少しの比率で組み合わせてもよく、そのような添加剤は、皮膚に対して有害な影響を大きな度合では
与えない添加剤である。前記添加剤は皮膚への投与を助長しそして/または所望組成物の調製に役立ち得る。そのような組成物はいろいろな様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)、軟膏などとして投与可能である。
【0141】
本発明の化合物をまた吸入または吹送によって投与することも可能であり、この場合、このような様式で投与する目的で当該技術分野で用いられる方法および製剤を用いる。このように、本発明の化合物は一般に溶液、懸濁液または乾燥した粉末の形態で肺に投与可能である。経口または鼻吸入または吹送によって溶液、懸濁液または乾燥した粉末を搬送する目的で開発された如何なるシステムも本化合物の投与に適切である。
【0142】
本発明の化合物をまた滴、特に点眼液の形態で局所的に投与することも可能である。前記点眼液は溶液または懸濁液の形態であってもよい。そのような溶液または懸濁液を点眼液として送達する目的で開発された如何なるシステムも本化合物の投与で用いるに適する。
【0143】
上述した製薬学的組成物を単位投薬形態物に構築するのが特に有利である、と言うのは、その方が投与が容易でありかつ投薬が均一であるからである。本明細書で用いる如き「単位投薬形態物」は、各単位が要求される製薬学的担体と一緒に所望治療効果をもたらすように計算して前以て決めておいた量の有効成分を含有する単位投薬形態物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような単位投薬形態物の例は錠剤(切り目が入っている錠剤または被覆されている錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末、パケット、ウエハース、座薬、注射可能溶液もしくは懸濁液など、そしてそれらを複数に分離したものである。
【0144】
投与の正確な用量および頻度は、当業者に良く知られているように、使用する前記式(I)で表される個々の化合物、治療すべき個々の疾患、治療すべき疾患のひどさ、個々の患者の年齢、体重、性、障害の度合および一般的身体状態ばかりでなく個人が服用している可能性のある他の薬剤にも依存する。その上、1日当たりの有効量をその治療を受けさせる被験体の反応に応じてそして/または本発明の化合物を処方する医者の評価に応じて少なくするか或は多くしてもよいことも明らかである。
【0145】
投与様式に応じて、本製薬学的組成物に含有させる式(I)で表される化合物の量を好適には0.05から99重量%、より好適には0.1から70重量%、更により好適には0.1から50重量%にしかつ製薬学的に許容される担体の含有量を1から99.95重量%、より好適には30から99.9重量%、更により好適には50から99.9重量%にする(パーセントは全部が本組成物の総重量を基準にしたパーセントである)。
【0146】
DGAT阻害剤が上述した効果を示しそして/またはDGAT阻害剤がGLP−1の濃度に対して示す効果を鑑み、本発明は、また、
a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とジペプチジルペプチダーゼ−4−阻害剤(DPP−4阻害剤)の組み合わせ[DPP−4は、いろいろな組織、例えば肝臓、肺、腎臓、消化管刷子縁膜、リンパ球、内皮細胞など中に幅広く発現する膜貫通細胞表面アミノペプチダーゼである。DPP−4は、2番目のアミノ末端位置にプロリンまたはアラニン残基を有するペプチドを開裂させる。いろいろな消化管ホルモンがDPP−4、中でもGLP−1の基質である。このようにDPP−4阻害剤はGLP−1の開裂を抑制することでGLP−1の濃度上昇をもたらす。従って、この上に示した如き組み合わせは、GLP−1の濃度が高くなるようにDGAT阻害剤とDPP4阻害剤の活性を組み合わせる目的で使用可能である。GLP−1の濃度が高くなるようにDGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサ
イド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物をDPP4阻害剤と一緒に投与することで様々な機構を標的にすることができる。このようにして、前記組み合わせを用いると、DGAT阻害剤またはDPP4阻害剤を単一治療薬として投与した時に比べて、GLP−1の濃度を所望通り高くするに必要なDGAT阻害剤およびDPP4阻害剤の投薬量を低くすることができる。従って、そのような組み合わせを用いるとGLP−1の濃度を高くする活性を妨害することなく単一治療薬が示す副作用を軽減またはなくすことが可能になる。また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とDPP4阻害剤の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)DPP4阻害剤をGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である。本発明に従うDGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤と組み合わせることが可能な前記DPP4阻害剤は、公知のDPP4阻害剤、例えばシタグリプチン、ビルダグリプチンおよびサクサグリプチンなどであり得る]、
b)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とGLP−1類似物の組み合わせ[前記GLP−1類似物は、GLP−1受容体の作動薬であるとして見なすことができる。また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とGLP−1類似物の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)GLP−1類似物をGLP−1の濃度を高くすることが有効であり得る疾患を治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である。本発明に従うDGAT阻害剤と組み合わせることが可能な前記GLP−1類似物は、公知のGLP−1類似物、例えばエキセナチド、エキセナチドLARまたはリラグルチドなどであり得る]、
c)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と抗糖尿病薬の組み合わせ[また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と抗糖尿病薬の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)抗糖尿病薬をGLP−1の濃度上昇またはDGATの阻害が有効であり得る疾患、例えば糖尿病、特に2型糖尿病などを治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である。本発明に従うDGAT阻害剤と組み合わせることが可能な前記抗糖尿病薬は、公知の抗糖尿病薬、例えばメトホルミン、グリベンクラミド、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、レパグリニド、グリメピリド、アカルボース、グリカジド、グリピジド、ナテグリニド、トルブタミド、蛋白質チロシンホスファターゼ1阻害剤または11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤などであり得る]、
d)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、特にPDE10AまたはPDE11A阻害剤の組み合わせ[ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、特にPDE10AまたはPDE11A阻害剤は、インスリン分泌促進剤でありかつcAMPの加水分解を抑制することでGLP−1のシグナル伝達を向上させることが知られている。また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、特にPDE10AまたはPDE11A阻害剤の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、特にPDE10AまたはPDE11A阻害剤をGLP−1の濃度上昇またはDGATの阻害が有効であり得る疾患、例えば糖尿病、特に2型糖尿病または肥満症などを治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である。本発明に従うDGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤と組み合わせることが可能な前記ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、特にPDE10AまたはPDE11A阻害剤は、公知のPDE阻害剤、例えばパパベリン、PQ−10、ジピリダモール、イブジラストまたはタダラフィルなどであり得る]、
e)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と食欲抑制剤の組み合わせ[また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と食欲抑制剤の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)食欲抑制剤をGLP−1の濃度上昇またはDGATの阻害が有効であり得る疾患、例えば糖尿病、特に2型糖尿病または肥満症などを治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である。本発明に従うDGAT阻害剤と組み合わせることが可能な前記食欲抑制剤は、公知の食欲抑制剤、例えばシブトラミンおよびフェンテルミンなどであり得る]、
f)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とCNS(中枢神経系)作用様式を有する抗肥満薬、例えばCB1拮抗薬またはインバースアゴニストなどの組み合わせ[また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とCNS(中枢神経系)作用様式を有する抗肥満薬の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)CNS(中枢神経系)作用様式を有する抗肥満薬をGLP−1の濃度上昇またはDGATの阻害が有効であり得る疾患、例えば糖尿病、特に2型糖尿病または肥満症などを治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である。本発明に従うDGAT阻害剤と組み合わせることが可能な前記CNS(中枢神経系)作用様式を有する
抗肥満薬は、公知の抗肥満薬、例えばリモナバント、オルリスタット、SLV−319またはMK−0364などであり得る]、
g)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と脂質低下薬、例えば3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル補酵素A(HMG−CoA)還元酵素阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、FXR(ファルネソイドX受容体)およびLXR(肝臓X受容体)リガンド、コレスチラミン、フィブレート、ニコチン酸およびアスピリンなどの組み合わせ[また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と脂質低下薬の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)脂質低下薬をGLP−1の濃度上昇またはDGATの阻害が有効であり得る疾患、例えば糖尿病、特に2型糖尿病または肥満症などを治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である。本発明に従うDGAT阻害剤と組み合わせることが可能な前記脂質低下薬は、公知の脂質低下薬、例えばロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびリバスタチンなどであり得る]、
h)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とペルオキシソーム増殖因子活性化受容体の作動薬、例えばフェノフィブラートなどの組み合わせ[また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物とペルオキシソーム増殖因子活性化受容体の作動薬、例えばフェノフィブラートなどの組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体の作動薬、例えばフェノフィブラートなどをGLP−1の濃度上昇またはDGATの阻害が有効であり得る疾患、例えば糖尿病、特に2型糖尿病または肥満症などを治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である]、
i)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と抗高血圧薬の組み合わせ[また、DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と抗高血圧薬の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。本発明は、また、(a)DGAT阻害剤、特にDGAT1阻害剤、より特別には式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物と(b)抗高血圧薬をGLP−1の濃度上昇またはDGATの阻害が有効であり得る疾患、例えば糖尿病、特に2型糖尿病または肥満症などを治療する時に同時、個別または逐次的に用いるに適した組み合わせ製剤として含有して成る製品にも関する。そのような組み合わせまたは製品のいろいろな薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらの各々を製薬学的に許容される担体と一緒に個別の製剤として存在させることも可能である。本発明に従うDGAT阻害剤と組み合わせることが可能な前記抗高血圧薬は、公知の抗高血圧薬、例えばループ利尿薬、例えばエタクリン酸、フロセミドおよびトルセミドなど、アン
ギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリノドプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリルなど、Na−K−ATPアーゼ膜ポンプの阻害剤、例えばジゴキシンなど、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、ACE/NEP阻害剤、例えばオマパトリラット、サンパトリラットおよびファシドトリルなど、アンギオテンシンII拮抗薬、例えばカンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンなど、特にバルサルタン、レニン阻害剤、例えばジテキレン、ザンキレン、テルラキレン、アリスキレン、RO 66−1132およびRO−66−1168など、β−アドレナリン受容体遮断薬、例えばアセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロールなど、強心薬、例えばジゴキシン、ドブタミンおよびミルリノンなど、カルシウムチャンネル遮断薬、例えばアムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミルなど、アルドステロン受容体拮抗薬およびアルドステロン合成酵素阻害剤などであり得る]、
にも関する。
【0147】
以下の実施例は本発明の例示を意図するものである。
【0148】
実験部分
本明細書では以降、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「EDCI」はN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの一塩酸塩を意味し、「HOBT」は1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「EtO」はジエチルエーテルを意味し、「p.a.」はプロ分析(pro analysis)を意味し、そして「DMSO」はジメチルスルホキサイドを意味する。
【0149】
いろいろな化合物の精製を以下に示す方法を用いた逆相高性能液クロで実施した。
【0150】
HPLC方法A
生成物の精製を高性能液クロ[Shandon Hyperprep(商標)C18 BDS(塩基不活性化シリカ(Base Deactivated Silica))8μm、250g、I.D.5cm]を用いて実施した。記述する可動相を用いて勾配をかけた[相A:水中0.25%のNHHCO溶液、相B:CHOH(任意)、相C:CHCN]。
【0151】
A.中間体化合物の製造
(実施例A1)
a)中間体1の製造
【0152】
【化22】

【0153】
雰囲気下の機械的撹拌型フラスコ内で1−(4−ニトロフェニル)ピペラジン(100g、483ミリモル)とNaHCO(44.61g、1.1当量)をDCM(600ml)に入れて8℃の氷水浴で冷却した。フェニルメチルカルボノクロリド酸エステル(86.49g、1.05当量)を120mlのDCMに溶解させて温度を15℃未満に維持しながら2時間かけて滴下した。撹拌を室温で15時間行った後、更に8.15g(0.2当量)のNaHCOおよび16.50gのフェニルメチルカルボノクロリド酸エステル(0.2当量)を50mlのDCMに入れることで生じさせた溶液を室温で滴下した。5時間後にアセトニトリルを加えて更に撹拌を18時間行った。次に、水を500ml加え、その反応混合物を更に1時間撹拌した後、相分離を起こさせた。その水層にDCMを用いた抽出を再び受けさせた。乾燥(MgSO)後の有機相に蒸発を受けさせ、225.33gのオレンジ色粉末を回収した。それをDIPEに入れて撹拌しながら2−3時間かけて再懸濁させ、濾過で取り出した後、真空下50℃で乾燥させた。収量:中間体1(152−156℃)を158.58g(96%)。
b)中間体2の製造
【0154】
【化23】

【0155】
中間体1(80g、234ミリモル)に水添を5gの5%Pt/Cを触媒として用いて3mlのチオフェン溶液、250mlのメタノールおよび250mlのTHFの存在下室温で一晩受けさせた。水素吸収後、触媒を濾過で除去した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物を熱DIPE中で磨り潰し、室温に冷却し、濾過で取り出した後、真空下50℃で一晩乾燥させた。収量:融点が70−76.5℃の中間体2を62.8g。
c)中間体3の製造
【0156】
【化24】

【0157】
ベンゼンブタン酸(0.1670モル)を塩化チオニル(1.7モル)に入れて室温で一晩撹拌した。その溶液に蒸発を受けさせた後、トルエンを用いた共蒸発を2回受けさせた。その残留物を100mlのアセトニトリルに溶解させた後、中間体2とNaHCOを500mlのアセトニトリルに入れることで生じさせた懸濁液(水浴で冷却)に15分かけて滴下した。その混合物を2.5 lの水で処理した後、2時間撹拌した。沈澱物を回収し、水で洗浄した後、400mlの沸騰エタノールを用いて再結晶化させた。収量:中間体3を64.2g(88%)。
d)中間体4の製造
【0158】
【化25】

【0159】
中間体3(0.095モル)をメタノール(500ml)に入れることで生じさせた溶液に水添をParr装置(8ポンドの圧力)内で10%Pd/C(5g)を触媒として用いて受けさせた。水素(1当量)吸収後、触媒を濾過で除去し、その濾液に蒸発を受けさせた後、トルエンを用いた共蒸発を受けさせることで中間体4を35.7g(99%)得た。
e)中間体5の製造
【0160】
【化26】

【0161】
1,3−ジクロロ−2−イソチオシアナトベンゼン(0.00275モル)をTHF(15ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに中間体4(0.0025モル)を加えた。その反応混合物を室温で18時間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出し、THF(3x)そしてジエチルエーテル(3x)で洗浄した後、乾燥(真空、60℃)させた。収量:中間体5を0.924g(70%)。
【0162】
(実施例A2)
a−1)中間体6の製造
【0163】
【化27】

【0164】
1−(4−ニトロフェニル)ピペラジン(50g、0.24モル)とN−シアノカルボンイミド酸ジフェニル(57.2g、0.24モル)とTHF(無水)の混合物を50℃で20時間撹拌した。生成物が沈澱してきた。その混合物を冷却し、生成物を濾過で取り出し、洗浄(DIPE)した後、乾燥させた。収量:中間体6を80.5g。
a−2)中間体7の製造
【0165】
【化28】

【0166】
ピロリジン(22.2ml、0.27モル)とアセトニトリル(150ml)の混合物を氷浴で冷却しながら撹拌した。氷を用いた冷却を行いながら2,6−ジクロロ−4−(クロロメチル)−ベンゼンアミンの塩酸塩(6.7g、0.027モル)を分割して30分かけて添加した。添加後の混合物を氷浴上で10分間撹拌した後、室温で1時間撹拌した。溶媒を50℃で蒸発させた。その残留物を水に入れて撹拌し、NaCOで処理した後、DCMを用いた抽出を実施した。層分離を起こさせた。その有機層を乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。収量:粗中間体を6.5g。この粗生成物の一部(3.25g)をシリカゲルの上に置いてDCMとCHOHの混合物(95/5)を溶離剤として用いて濾過した。所望画分を集めることで中間体7を2.1g得た。
b)中間体8の製造
【0167】
【化29】

【0168】
中間体7(2.45g、0.010モル)とDMF(25ml)の混合物を室温で撹拌した。NaH(0.800g、0.020モル、60%)を分割して15分かけて添加した。その後の混合物を50℃で30分間撹拌した。その混合物を室温に冷却した。中間体6(3.51g、0.010モル)を加えた。その混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた。その残留物を水に入れて撹拌した。その混合物に最初にCHCOOHを用いた処理をpHが5−6になるまで受けさせた後にNaHCOを用いた処理をpHが8になるまで受けさせた。次に、その混合物にDCMを用いた抽出を受けさせた。溶解しなかった固体を濾過で除去した後、その濾液の層分離を起こさせた。その有機層を乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をHPLC方法Aで精製した。高純度画分を集めた後、溶媒をある程度蒸発させた(約200mlになるまで)。生成物が沈澱し、それを濾過で取り出した後、乾燥させた。収量:中間体8を2.13g。
c)中間体9の製造
【0169】
【化30】

【0170】
中間体8(1.2g、0.0024モル)とチオフェン溶液(3ml、DIPE中4%)とTHF(120ml)の混合物にPt/C(0.4g、5%)を用いた水添を常圧下室温で受けさせた。H(0.0072モル)吸収後、触媒を濾過で除去した後、その濾
液に蒸発を受けさせた。その粗残留物をそのまま次の反応段階で用いた。収量:中間体9を1.13g。
【0171】
(実施例A3)
a)中間体10の製造
【0172】
【化31】

【0173】
4−アミノ−3,5−ジクロロ安息香酸(20.6g、0.100モル)とEDCI(21.1g、0.110モル)とHOBT(14.9g)とDMF(200ml)の混合物を室温で15分間撹拌した。次に、1−メチル−ピペラジン(11g、0.110モル)を加えた後の混合物を3時間撹拌した。生成物が沈澱してきた。その固体を濾過で取り出し、DIPEで洗浄した後、乾燥させた。収量:中間体10を5.9g。その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物をDMFに入れて撹拌した。生成物を濾過で取り出し、DIPEで洗浄した後、乾燥させることで中間体10を2番目の量(10g)で得た。
b)中間体11の製造
【0174】
【化32】

【0175】
中間体10(3.9g、0.0135モル)とDMF(30ml)の混合物を室温で撹拌した。NaH(1.08g、0.027モル、60%)を分割して30分かけて添加した。その混合物を30分間撹拌した。中間体6(4.75g、0.0135モル)を加えた。その混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。その残留物を水に入れて撹拌した後、DCMを用いた抽出を実施した。層分離を起こさせた。その水層にまだ所望中間体の主要部分が入っていたことから、その水層に最初にCHCOOHを用いた処理をpHが5になるまで受けさせることに続いてNaHCOを用いた処理をpHが8になるまで受けさせた後、DCMを用いた抽出を受けさせた。溶解しなかった固体を濾過で除去した後、層分離を起こさせた。その有機層を乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(固体)を乾燥させた。収量:中間体11を3.4g。
c)中間体12の製造
【0176】
【化33】

【0177】
中間体11(3.4g、0.0062モル)とチオフェン溶液(DIPE中4%)とCHOH(適量)の混合物にPt/C(1g、5%)を触媒として用いた水添を常圧下室温で受けさせた。H(3当量)吸収後、触媒を濾過で除去した。その濾液に蒸発を受けさせることで中間体12を粗残留物として3.2g得た。
【0178】
(実施例A4)
a)中間体13の製造
【0179】
【化34】

【0180】
N−シアノカルボンイミド酸ジフェニル(4.6g、0.0194モル)と4−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルエステル(3.6g、0.0194モル)とピリジン(5ml、p.a. モレキュラーシーブで乾燥)の溶液を60℃で45分間撹拌した。追加的量(5ml)のピリジンを加えた後の反応混合物の撹拌を60℃で2時間継続した。粗混合物(中間体13が入っている)をそのまま次の反応段階で用いた。
b)中間体14の製造
【0181】
【化35】

【0182】
中間体13(この上に示した反応段階で得た粗反応混合物、最大で0.0194モル)をピリジン(10ml、p.a. モレキュラーシーブで乾燥)に入れて、これに1−(4−ニトロフェニル)ピペラジン(4.02g、0.0194モル)を加えた。その後、更にピリジン(5ml)を加えた後の反応混合物を100℃に加熱した。その混合物を100℃で20分間撹拌した後、室温に到達させた。その混合物を一晩放置した。EtOAc(15ml)を加えた後の混合物を15分間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出し、洗浄(EtOAcで3x)した後、乾燥(50℃、真空)させた。収量:中間体14を6.5g(76%)。
c)中間体15の製造
【0183】
【化36】

【0184】
中間体14(4.7g、0.0106モル)をチオフェン溶液(DIPE中4%)(2ml)とCHOH(150ml)に入れることで生じさせた溶液にPt/C(1g、10%)を触媒として用いた水添を受けさせた。H(855ml)吸収後、触媒を濾過で除去した。その濾液に蒸発を受けさせた後、その残留物をEtO(50ml)/EtOAc(5ml)に入れて撹拌した。所望中間体を濾過で取り出し、洗浄(EtOで2x)した後、乾燥(50℃、真空)させた。収量:中間体15を3.81g(87%)。
【0185】
B.最終的化合物の製造
(実施例B1)
化合物1の製造
【0186】
【化37】

【0187】
中間体5(0.000474モル)と鉛シアナミド(0.000566モル)をDMF(4.5ml)に入れることで生じさせた混合物をマイクロ波オーブンに入れて140℃で撹拌した。1時間後に更に鉛シアナミド(0.000566モル)を加えた後、その反応混合物をマイクロ波オーブン内で140℃に1時間加熱した。その混合物を室温に冷却し、室温に1時間放置した後、ジカライトの上に置いて濾過した。その濾液の溶媒を蒸発させた。その残留物を逆相HPLC(HPLC方法A)で精製した。生成物画分を集めた後、有機溶媒を蒸発させた。その水性濃縮液を一晩放置した。沈澱物を濾過で取り出し、水(3x)で洗浄した後、乾燥(真空、50℃)させた。その画分をDCM/CHOHに溶解させて適切な容器に移した後、溶媒を再び蒸発させた。収量:化合物1を0.038g(15%)。
【0188】
(実施例B2)
化合物2の製造
【0189】
【化38】

【0190】
中間体4(0.003モル)とシアノカルボンイミド酸ジフェニルエステル(0.0031モル)をTHF(15ml)に入れることで生じさせた溶液を55℃で18時間撹拌した。その混合物を室温に冷却した後、水(50ml)の中に注ぎ出した。その混合物にDCMを用いた抽出を受けさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をエタノールに入れて撹拌し、濾過で取り出し、エタノールで洗浄した後、真空下50℃で乾燥させた。収量:化合物2を0.94g(67%)。
【0191】
(実施例B3)
a)化合物3の製造
【0192】
【化39】

【0193】
1−アミノ−2−クロロベンゼン(0.0047モル)を1,4−ジオキサン(1.5ml)に入れることで生じさせた溶液をN雰囲気下で撹拌しながらこれに鉱油中60%のNaH(0.00137モル)を加えた。その混合物を1時間撹拌した。化合物2(0.000427モル)を加えた。その結果として得た反応混合物を室温で18時間撹拌した。その反応混合物を水(8ml)の中に注ぎ出した。その混合物にDCMを用いた抽出を受けさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、その濾液を体積が±1.5mlになるまで濃縮した。その濃縮液から所望化合物が析出してきた。その沈澱物を濾過で取り出し、1,4−ジオキサンそしてジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥(真空、50℃)させた。収量:化合物3を0.131g(61%)。
b)化合物4の製造
【0194】
【化40】

【0195】
1−アミノ−2−メチルベンゼン(0.5ml)を1,4−ジオキサン(1.5ml)に入れることで生じさせた溶液をN雰囲気下で撹拌しながらこれに鉱油中60%のNaH(0.00137モル)を加えた。その結果として得た混合物を90分間撹拌した。化合物2(0.000427モル)を加えた。その結果として得た反応混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。1−メチル−2−ピロリジノン(2.5ml)を加えた。その反応混合物を110℃で2.5時間撹拌した。その反応混合物を冷却し、水(35ml)の中に注ぎ出した後、ジエチルエーテルで洗浄した。その水層を分離してこれにHOAcをpH=1.5になるまで加えた。その混合物にEtOAcを用いた抽出を受けさせた。その2層の間に溶解していない材料が多量に存在したままであった。その2相混合物を濾過することで2相の濾液を得て、それを分離()し、そして溶解していない材料を95/5のDCM/CHOH(50ml)+半飽和状態のNaHCO水溶液(25ml)に入れて溶解させた。その95/5のDCM/CHOH(50ml)+半飽和状態のNaHCO水溶液の混合物の有機層を分離し、この上で分離したEtOAc層()と一緒にし、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を逆相HPLC(HPLC方法A)で精製した。所望画分を集め、溶媒を蒸発させた後、メタノールを用いた共蒸発を4回実施した。収量:化合物4を0.013g(6%)。
c)化合物5の製造
【0196】
【化41】

【0197】
化合物2(0.00032モル)をアミノベンゼン(2ml、p.a. モレキュラーシーブで乾燥)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながらこれに鉱油中60%のNaH(0.001モル)を加えた。その反応混合物を室温で3時間撹拌した。その反応混合物を水(15ml)の中に注ぎ出した。その混合物にDCMを用いた抽出を受けさせた。その有機層を分離して水(4x)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルに入れて撹拌した後、傾斜法による除去を実施した(3x)。その残留物をフラッシュ管の上に置いて精製した(溶離剤:DCM/CHOHを90/10)。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物を90/10のDCM/CHOHに入れて撹拌し、濾過し、洗浄を行ってシリカゲルを除去した後、その濾液の溶媒を蒸発させた。その残留物を逆相HPLC(HPLC方法A)で精製した。生成物画分を集めた後、有機揮発物を蒸発させた。その水性濃縮液から沈澱物を濾過で取り出し、水で洗浄した後、乾燥(真空、60℃)させた。収量:化合物5を0.017g(11%)。
【0198】
(実施例B4)
化合物6の製造
【0199】
【化42】

【0200】
中間体9(1g、0.002モル)と2’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−カルボン酸(0.43g、0.002モル)とEDCI(0.38g、0.002モル)と水加1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.31g、0.002モル)とEtN(0.28ml、0.002モル)とDMF(10ml)の混合物を室温で18時間撹拌した。次に、溶媒を蒸発させた。その残留物を水に入れて撹拌した後、DCMを用いた抽出を実施した。その有機層を乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲルの上に置いてDCMとCHOHの混合物(90/10)を溶離剤として用いることで精製した。生成物が入っている画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで残留物を1.1g得た。その残留物をHPLC方法Aで精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEに入れて撹拌した。生成物を濾過で取り出した後、乾燥させた。収量:化合物6を0.638g。
【0201】
(実施例B5)
化合物7の製造
【0202】
【化43】

【0203】
中間体12(1.03g、0.002モル)と3−(1−ピロリジニル)安息香酸(0.38g、0.002モル)とEDCI(0.42g、0.0022モル)と水加1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.34g、0.0022モル)とEtN(0.0022モル)とDMF(10ml)の混合物を室温で18時間撹拌した。次に、溶媒を蒸発させた。その残留物を水に入れて撹拌した後、90/10のDCM/CHOHを用いた抽出を実施した。その有機層を乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をHPLC方法Aで精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物を乾燥させた。収量:化合物7を0.428g。
【0204】
(実施例B6)
化合物9の製造
【0205】
【化44】

【0206】
中間体15(0.27g、0.000654モル)と3−(1−ピロリジニル)安息香酸(0.138g、0.000719モル)とEtN(0.11ml、1.2当量)とTHF(10ml、p.a. モレキュラーシーブで乾燥)の混合物を撹拌しながらこれにシアノホスホン酸ジエチルエステル(0.112ml、0.000752モル)を加えた。その反応混合物をN流下室温で24時間撹拌した後、72時間放置した。その後、生成物を濾過で取り出し、洗浄(THFで2xそしてEtOで2x)した後、乾燥(50℃、真空)させた。収量:化合物9を0.04g(10%)。
【0207】
本発明に従う以下の式(I)で表される化合物の調製を前記実施例番号の中の1つに類似した様式で実施した。
【0208】
【化45】

【0209】
C.分析部分
LCMS
本発明の化合物をLCMSで特徴付ける目的で下記の方法を用いた。
【0210】
一般的手順A
脱気装置付き四式ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下に示す個々の方法で指定する如きカラムが備わっているAlliance HT 2790(Waters)装置を用いてHPLC測定を実施した。前記カラムから出る流れを分割してMS検出器に送った。このMS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっていた。0.1秒のドゥエル時間を用いて1秒間に100から1000まで走査することで質量スペクトルを取得した。毛細管針の電圧を3kVにしそし
て源の温度を140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして用いた。データの取得をWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0211】
一般的手順B
複式ポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下に示す個々の方法で指定する如きカラムが備わっているAcquity UPLC(Waters)装置を用いてLC測定を実施した。前記カラムから出る流れを分割してMSスペクトロメーターに送った。このMS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっていた。0.02秒のドゥエル時間を用いて0.18秒間に100から1000まで走査することで質量スペクトルを取得した。毛細管針の電圧を3.5kVにしそして源の温度を140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして用いた。データの取得をWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0212】
LCMS方法1
一般的手順Aに加えて、Xterra MS C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)を用いた逆相HPLCを流量を1.6ml/分にして実施した(カラムヒーターを40℃に設定した)。3種類の可動相[可動相A:25mMの酢酸アンモニウムが95%+アセトニトリルが5%;可動相B:アセトニトリル;可動相C:メタノール]を用いてAが100%から6.5分かけてAが1%でBが49%でCが50%にし、1分かけてAが1%でBが99%にして、この条件を1分間保持しそして再びAが100%の平衡状態に1.5分間置く勾配条件で流した。10μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0213】
LCMS方法2
一般的手順Aに加えて、Xterra MS C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)を用いた逆相HPLCを流量を1.6ml/分にして実施した(カラムヒーターを60℃に設定した)。3種類の可動相[可動相A:25mMの酢酸アンモニウムが95%+アセトニトリルが5%;可動相B:アセトニトリル;可動相C:メタノール]を用いてAが100%から6.5分かけてBが50%でCが50%にし、0.5分かけてBが100%にして、この条件を1分間保持しそして再びAが100%の平衡状態に1.5分間置く勾配条件で流した。10μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0214】
LCMS方法3
一般的手順Bに加えて、架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1x50mm;Waters Acquity)を用いた逆相UPLC(超性能液クロ)を流量を0.8ml/分にして実施した。2種類の可動相[可動相A:HO中0.1%の蟻酸/メタノールが95/5;可動相B:メタノール]を用いてAが95%でBが5%から1.3分かけてAが5%でBが95%にして0.2分間保持する勾配条件で流した。0.5μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードでは10Vにしそして負イオン化モードでは20Vにした。
【0215】
融点
いろいろな化合物が示す融点(m.p.)の測定をDSC823e(Mettler−Toledo)を用いて実施した。融点の測定を30℃/分の温度勾配を用いて実施した。最大温度を400℃にした。値はピーク値である。
【0216】
【表1】

【0217】
D.薬理学的実施例
A)本化合物がDGAT1の活性を抑制する度合の測定
本化合物がDGAT1活性を抑制する活性の選別を膜調製物を構成しているDGAT1およびミセルを構成しているDGAT1基質を用いそして生じてフラッシュプレート表面の直ぐ近くに来た放射性トリアシルグリセロールを放射線ルミネセンスで測定する単一穴手順検定で実施した。
【0218】
前記検定はWO2006/067071(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)に詳述されている。
【0219】
DGAT1活性は、補酵素Aで活性化された脂肪酸が1,2−ジアシルグリセロールの3位に移動してトリグリセリド分子が酵素であるDGAT1によって生じることを意味する。
【0220】
検定の段階1:DGAT1の発現
ヒトDGAT1(NM012079.2)をpFastBacベクター[翻訳開始部位であるFLAG−タグを文献に記述されているようにN末端の所に含有しかつ昆虫細胞内の発現を向上させるウイルスKozak配列(AAX)をATGの前方に含有する]にクローン化した。発現をSF9細胞を用いて文献に記述されているようにして実施した[Cases,S.、Smith,S.J.、Zhen,Y.、Myers H.M.、Lear,S.R.、Sande,E.、Novak,S.、Collins,C.、Welch,C.B.、Lusis,A.J.、Erickson,S.K.およびFarese,R.V.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95、13018−13023]。
【0221】
検定の段階2:DGAT1膜の調製
トランスフェクションを72時間受けさせたSF9細胞を遠心分離(13000rpm
、15分、4℃)で集めた後、2x500mlの溶解用緩衝液(0.1Mのスクロース、50mMのKCl、40mMのKHPO、30mMのEDTA、pH7.2)に入れて溶解させた。細胞破壊器を用いて細胞を均一にした。遠心分離(1380rpm、15分、4℃)を実施(SNを廃棄)した後、沈澱物を500mlの溶解用緩衝液に入れて再懸濁させ、34000rpm(100000g)の超遠心分離を60分間(4℃)実施することで全ての細胞膜を集めた。その集めた膜を溶解用緩衝液に入れて再懸濁させ、一定分量に分割した後、10%のグリセロールと一緒にして使用時まで−80℃で貯蔵した。
【0222】
検定の段階3:ミセルを構成しているDGAT基質の調製
材料
a)1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール:1,2−ジアシルグリセロール(DAG)をアセトニトリルに10mg/ml溶解させ、そのアセトニトリル溶液に蒸発を窒素下で受けさせた後、クロロホルムに最終濃度が10mg/mlになるように入れて戻す。b)L−α−ホスファチジルコリン:ホスファチジルコリン(PC)をクロロホルムに最終濃度が1mg/mlになるように1mg/ml溶解させて4℃で貯蔵する。
c)L−α−ホスファチジル−L−セリン:ホスファチジルセリン(PS)をクロロホルムに最終濃度が1mg/mlになるように1mg/ml溶解させて4℃で貯蔵する。
【0223】
方法
厚いガラス製の容器の中で10mlのL−α−ホスファチジルコリン(1mg/ml)と10mlのL−α−ホスファチジル−L−セリン(1mg/ml)にジオレオイル−sn−グリセロール(10mg/ml)を1ml加える。蒸発を窒素下で起こさせた後、氷の上に15分間置く。氷上で10mlのTris/HCl(10mM、pH7.4)に入れて音波処理することで戻す。その音波処理を音波処理浴中で10秒間処理した後に氷浴上で10秒間冷却する音波処理サイクルで構成させそしてその音波処理サイクルを均一な溶液が得られるまで繰り返す(約15分間要する)。そのようにして得たミセルを後で使用するまで−20℃で貯蔵し、そしてそれはDAGを最終濃度が1.61mMであるように含有する。
【0224】
検定の段階4:DGAT FlashPlate(商標)検定
材料
a)検定用緩衝液
50mMのTris−HCl(pH7.4)、150mMのMgCl、1mMのEDTA、0.2%のBSA。
b)5MのN−エチルマレイミド
5gを最終体積が8mlの100%DMSOに溶解させた後、一定分量に分けて、後で使用するまで−20℃で貯蔵する。
c)基質混合物(1個の384穴プレート=3840μl)
ミセルストックを612μl(最終的に51μM)
9.7mMのオレオイルCoAを16.6μl
H]−オレオイルCoAを23μl(49Ci/ミリモル、500μCi/ml)
10mMのTris(pH7.4)を3188.4μl
d)酵素混合物(1個の384穴プレート=3520μl)(5μg/ml)
3508μlの検定用緩衝液にDGAT膜ストック(1500μg/mlのストック)を11.73μl加える。
e)停止用混合物(1個の384穴プレート=7.68ml)(250mM)
3.456mlの100%DMSOにN−エチルマレイミド(5M)を384μl加えた後、3.84mlの前記溶液を3.84mlの10%DMSOで更に希釈する。
【0225】
方法
膜調製物が示すDGAT活性の検定をレッドシフトBasic Image FlashPlate(商標)(Perkin Elmerカタログ番号SMP400)を用いて384穴フォーマット中の最終体積が50μlになるように50mMのTris−HCl(pH7.4)と150mMのMgClと1mMのEDTAと0.2%のBSA[DAGを50μM、PC/PSを32μg/mlおよび[H]−オレオイルCoAを8.4μM(穴1個当たりの比放射能が30nCiになるように)入れておいた]中で実施した。
【0226】
詳細には、場合により1μlのDMSO(ブランクおよび対照)または1μlの試験化合物の存在下で30μlの検定用緩衝液に酵素混合物を10μlおよび基質混合物を10μl加えた。その反応混合物を37℃で120分間インキュベートした後、停止用混合物を20μl加えることで酵素反応を停止させた。プレートを密封した後、ベシクルを室温で一晩放置した。プレートを1500rpmの遠心分離に5分間かけた後、Leadseekerを用いた測定を実施した。試験化合物をいろいろな濃度で用いた実験を実施した後、%CTRLmin(正規化対照に対する%)を基にして曲線を計算して引いた。%CTRLminの計算を式1:
式1:%CTRLmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)
[式中、HC(高対照)は、酵素と基質を入れたが試験化合物を入れなかった穴に関して測定した放射線ルミネセンス値の中央値を指し、LC(低対照)は、基質を入れたが酵素も試験化合物も入れなかった穴に関して測定した背景放射線ルミネセンス値の中央値を指し、そしてサンプルは、基質、酵素および試験化合物を特定の濃度で入れた穴に関して測定した放射線ルミネセンス値を指す]
に従って実施した。
【0227】
計算%CTRLmin値は、用量に反応して降下するS字状曲線を形成し、そしてこの曲線からpIC50値[−logIC50(IC50は試験化合物がDGAT1活性の50%阻害をもたらす時の濃度に相当する)]を計算した。表2に、式(I)で表される化合物が示したpIC50値を示す。
【0228】
本化合物がDGAT1に対して示す選択性(DGAT2に対して比較)を測定する目的で、また、DGAT2にとって最適な検定条件が得られるように若干修飾した前記検定を用いて当該化合物がDGAT2に対して示す阻害活性も測定した。試験を受けさせた化合物はDGAT2に対しては阻害活性を示さなかった[J.Biolog.Chem.276(42)38870−38876頁(2001)に記述されているようにしてヒトDGAT2(NM032564)をクローン化して発現させた]。
【0229】
【表2】

【0230】
B)試験化合物が血漿中GLP−1濃度に対して示す効果に関するインビボ検定
DGAT阻害剤が血漿中GLP−1濃度を高くする度合を以下に示すようにして検定することができる:
イヌに餌を22時間に渡って与えない。0時の時、動物に脂肪含有量が18%(重量/重量)の液状餌を胃管による強制飼養で与える。試験化合物を前記餌と一緒に経口投与する。その後、GLP−1に関する食後血漿プロファイルを測定する。従って、0時間(餌を与える直前)および投与から0.5、1、2、4、6、8および24時間後である前以て決めておいた時間的間隔で血液を採取して氷冷Vacutainers EDTA−血漿管に入れそして採取したサンプル中のGLP−1濃度を測定する。投与グループ毎に6匹のイヌ(3匹のオスおよび3匹のメス)を含めて、血漿中GLP−1プロファイルを試験化合物を投与しない以外は同じ条件で前以て測定しておいたそれら自身のGLP−1プロファイルと比較する。
【0231】
血漿中GLP−1測定をLINCO Researchのグルカゴン様ペプチド−1(活性)ELISAキット96穴プレートを用いて実施する。
【0232】
E.組成物実施例
本実施例全体に渡って用いる如き「有効成分」(a.i.)は、如何なる立体化学異性体形態物も包含する式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物、特に例示した化合物の中のいずれか1つに関する。
【0233】
本発明の製剤の処方の典型的な例は下記の通りである:
1.錠剤
有効成分 5から50mg
燐酸ジカルシウム 20mg
ラクトース 30mg
タルク 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ジャガイモ澱粉 200mgになる量

2.懸濁液
経口投与用水性懸濁液の調製を1ミリリットル当たりの有効成分含有量が1から5mg、ナトリウムカルボキシメチルセルロース含有量が50mg、安息香酸ナトリウム含有量
が1mg、ソルビトール含有量が500mgになるように水(1mlになる量)に加えることで実施する。

3.注射液
非経口用組成物の調製を0.9%のNaCl溶液に有効成分を1.5%(重量/体積)入れて撹拌することで実施する。

4.軟膏
有効成分 5から1000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
ホワイトペトロリアム 15g
水 100gになる量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
如何なる立体化学異性体形態も包含する下記の式
【化1】

[式中、
Aは、CHまたはNを表し、
Xは、OまたはNRを表し、
破線は、Aが炭素原子を表す場合の任意の結合を表し、
Yは、直接結合、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−Z−O−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−C(=O)−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−O−C(=O)−、−C(=O)−NR−O−Z−、−C(=O)−NR−Z−NR−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−O−を表し、
Zは、C1−6アルカンジイル、C2−6アルケンジイルまたはC2−6アルキンジイルから選択される二価の基を表し、かつ前記C1−6アルカンジイル、C2−6アルケンジイルまたはC2−6アルキンジイルの各々は場合によりC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルチオ、ヒドロキシル、シアノまたはアリールで置換されていてもよく、かつZの定義において同じ炭素原子と結合している2個の水素原子が場合によりC1−6アルカンジイルに置き換わっていてもよく、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
は、水素;場合によりC3−6シクロアルキルもしくはアリールもしくはHetで置換されていてもよいC1−4アルキル;C2−4アルケニル;または−S(=O)−アリールを表し、
は、場合によりシアノ、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルもしくはアリールで置換されていてもよいC1−12アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリール1−6アルキル;Het;またはHet1−6アルキルを表すが、但しYが−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−O−Z−または−C(=O)−NR−Z−NR−を表す場合にはまたRが水素を表してもよいことを条件とし、
およびRは、各々独立して、水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしく
はジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルを表し、
は、水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;C1−4アルキルカルボニルアミノ;−S(=O)−C1−4アルキル;RN−C(=O)−;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−C1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−C1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−O−を表し、Rは、水素;場合によりヒドロキシルまたはC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−4アルキル;RN−C1−4アルキル;C1−4アルキルオキシ;Het;アリール;RN−C(=O)−C1−4アルキルを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
は、水素;C1−4アルキル;C1−4アルキルカルボニルを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表すか、或は
とRがこれらが結合している窒素と一緒になって更に各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい飽和単環式5、6もしくは7員の複素環を形成していてもよく、かつ前記複素環は場合によりC1−4アルキルで置換されていてもよく、
は、水素;ハロ;C1−4アルキル;ヒドロキシルで置換されているC1−4アルキルを表し、
アリールは、フェニル、または各置換基がヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルを表し、
アリールは、フェニル、ナフタレニルまたはフルオレニルを表し、前記フェニル、ナフタレニルまたはフルオレニルは各々が場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりカルボキシル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;アリール−C(=O)−C
1−4アルキル;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−C(=O)−C1−4アルキル;Het−O−から独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
Hetは、各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式の非芳香もしくは芳香複素環;または各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環を表し、前記単環式複素環または前記二もしくは三環式複素環は場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキル−オキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
Hetは、各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式の非芳香もしくは芳香複素環;または各々がO、S、S(=O)またはNから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環を表し、前記単環式複素環または前記二もしくは三環式複素環は場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりカルボキシル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;アリール−C(=O)−C1−4アルキル;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−C(=O)−C1−4アルキル;Het−O−から独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
pは、1または2を表す]
で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【請求項2】
如何なる立体化学異性体形態も包含する下記の式
【化2】

[式中、
Aは、CHまたはNを表し、
Xは、OまたはNRを表し、
破線は、Aが炭素原子を表す場合の任意の結合を表し、
Yは、直接結合、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−Z−O−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−、−NR−C(=O)−O−Z−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−O−Z−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−C(=O)−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−Z−O−、−C(=O)−NR−Z−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−O−C(=O)−、−C(=O)−NR−O−Z−、−C(=O)−NR−Z−NR−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−Z−NR−C(=O)−O−を表し、
Zは、C1−6アルカンジイル、C2−6アルケンジイルまたはC2−6アルキンジイルから選択される二価の基を表し、かつ前記C1−6アルカンジイル、C2−6アルケンジイルまたはC2−6アルキンジイルの各々は場合によりC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルチオ、ヒドロキシル、シアノまたはアリールで置換されていてもよく、かつZの定義において同じ炭素原子と結合している2個の水素原子が場合によりC1−6アルカンジイルに置き換わっていてもよく、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
は、水素;場合によりC3−6シクロアルキルもしくはアリールもしくはHetで置換されていてもよいC1−4アルキル;C2−4アルケニル;または−S(=O)−アリールを表し、
は、場合によりシアノ、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルもしくはアリールで置換されていてもよいC1−12アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリール1−6アルキル;Het;またはHet1−6アルキルを表すが、但しYが−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−C(=O)−NR−、−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−C(=O)−NR−、−C(=O)−NR−Z−、−C(=O)−NR−O−Z−または−C(=O)−NR−Z−NR−を表す場合にはまたRが水素を表してもよいことを条件とし、
およびRは、各々独立して、水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルを表し、
は、水素;ヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキル;RN−C(=O)−;RN−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アル
キル;Het−C(=O)−;Het−O−を表し、
は、水素;場合によりヒドロキシルまたはC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−4アルキル;RN−C1−4アルキル;C1−4アルキルオキシ;Het;アリール;RN−C(=O)−C1−4アルキルを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
は、水素;C1−4アルキル;C1−4アルキルカルボニルを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表すか、或は
とRがこれらが結合している窒素と一緒になって更にO、S、S(=O)またはNから選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい飽和単環式5、6もしくは7員の複素環を形成していてもよく、かつ前記複素環は場合によりC1−4アルキルで置換されていてもよく、
アリールは、フェニル、または各置換基がヒドロキシル;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルを表し、
アリールは、フェニル、ナフタレニルまたはフルオレニルを表し、前記フェニル、ナフタレニルまたはフルオレニルは各々が場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりアリール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−O−から独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
Hetは、O、S、S(=O)またはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式の非芳香もしくは芳香複素環;またはO、S、S(=O)またはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環を表し、前記単環式複素環または前記二もしくは三環式複素環は場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりC1−4アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されていてもよいC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキル−オキシカルボニル;シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;−S(=O)−C1−4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
Hetは、O、S、S(=O)またはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式の非芳香もしくは芳香複素環;またはO、S、S(=O)またはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する二環式もしくは三環式の非芳香もしくは芳香複素環を表し、前記単環式複素環または前記二もしくは三環式複素環は場合により各置換基がヒドロキシル;オキソ;カルボキシル;ハロ;場合によりアリール−C(=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル;場合によりアリールまたはアリール−C(=O)−で置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;場合によりC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルチオ;ポリハロC1−6アルキルオキシ;C1−6アルキルオキシ−カルボニル(ここで、C1−6アルキルは場合によりアリールで置換されていてもよい);シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル;C1−6アルキルカルボニル;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ;C3−6シクロアルキル−NR−;アリール−NR−;Het−NR−;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル−NR−;アリールC1−4アルキル−NR−;HetC1−4アルキル−NR−;−S(=O)−C1−4アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキルC1−4アルキル;C3−6シクロアルキル−C(=O)−;アリール;アリールオキシ;アリールC1−4アルキル;アリール−C(=O)−;Het;HetC1−4アルキル;Het−C(=O)−;Het−O−から独立して選択される少なくとも1個の置換基、特に1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、
pは、1または2を表す]
で表される請求項1記載の化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【請求項3】
XがNHを表す請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
AがNを表す前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
前記破線が結合を表さない請求項1から3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
Yが−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−を表す前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
Yが−NR−C(=O)−または−NR−C(=O)−Z−を表す請求項6記載の化合物。
【請求項8】
およびRが各々独立して水素、ハロまたはC1−6アルキルを表す前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
が水素、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、Het−C(=O)−またはHetC1−4アルキルを表す前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
がアリールまたはHetを表す前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
XがNHまたはOを表し、Rが水素、ハロまたはC1−6アルキルを表し、Rが水素、ハロまたはC1−6アルキルを表し、Rが水素、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、Het−C(=O)−またはHetC1−4アルキルを表し、AがNを表し、Yが−NR−C(=O)−、−NR−C(=O)−Z−、−NR−C(=O)−Z−NR−、−NR−C(=O)−Z−O−C(=O)−を表し、ZがC1−
アルカンジイルを表し、Rが水素、C1−12アルキル、アリールまたはHetを表し、Rが水素を表し、Rが水素を表し、Rが水素を表し、Rがパラ位に位置する請求項1記載の化合物。
【請求項12】
下記
【化3】

から選択される請求項1記載の化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【請求項13】
薬剤として用いるための前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
肥満症、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症、混合型脂質異常症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎または糖尿病の治療で用いるための請求項1から12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
製薬学的に許容される担体および請求項1から12のいずれか1項記載の化合物を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物。
【請求項16】
DGAT1の阻害が有効であり得る疾患を予防または治療する薬剤を製造するための請求項1から12のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物の使用。
【請求項17】
肥満症、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症、混合型脂質異常症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎または糖尿病を治療する薬剤を製造するための請求項1から12のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物の使用。
【請求項18】
2型糖尿病を治療するための請求項17記載の使用。
【請求項19】
請求項1記載の化合物を製造する方法であって、
a)式(II)で表される中間体とシアナミドを適切な溶媒の存在下で反応させるか、
【化4】

[ここで、変項は請求項1で定義した通りである]
b)Wが適切な脱離基を表す式(III)で表される中間体と式(IV)で表される中間体を適切な溶媒の存在下で反応させるか、
【化5】

[ここで、変項は請求項1で定義した通りである]
c)式(I−b)で表される化合物と式(V)で表される中間体を適切な還元剤および適切な溶媒の存在下で反応させるか、
【化6】

[ここで、変項は請求項1で定義した通りである]
d)式(XIX)で表される中間体と式(XIII)で表される中間体を適切な脱水(連成)剤の存在下で適切な溶媒を存在させて場合により適切な塩基の存在下で反応させるか、
【化7】

[ここで、変項は請求項1で定義した通りであり、そしてYは直接結合を包含するリン
カーYの残りを表す]
e)式(XIX)で表される中間体とWが適切な脱離基を表す式(XX)で表される中間体を適切な塩基および適切な溶媒の存在下で反応させるか、
【化8】

[ここで、変項は請求項1で定義した通りであり、そしてYは直接結合を包含するリンカーYの残りを表す]
f)Wが適切な脱離基を表す式(XXI)で表される中間体と式(XXII)で表される中間体を適切な塩基および適切な溶媒の存在下で反応させるか、
【化9】

[ここで、変項は請求項1で定義した通りである]
g)式(XXI)で表される中間体と式(XXIII)で表される中間体を適切な塩基および適切な溶媒の存在下で反応させるか、
【化10】

[ここで、変項は請求項1で定義した通りであり、そしてRは窒素原子によってZと結
合している場合により置換されていてもよい単環式飽和複素環を表し、前記RをR1aで表す]
h)Pが適切な保護基を表す式(XXIV)で表される中間体に脱保護を適切な酸および適切な溶媒の存在下で受けさせるか、
【化11】

[ここで、変項は請求項1で定義した通りであり、そしてRはNHで置換されていてもよく、前記RをR1’−NHで表す]
または必要ならば、式(I)で表される化合物を当該技術分野で公知の変換に従って互いに変化させ、そして更に必要ならば、式(I)で表される化合物を酸で処理することで治療的に有効な無毒の酸付加塩に変化させるか或は塩基で処理することで治療的に有効な無毒の塩基付加塩に変化させるか、或は逆に、酸付加塩形態物をアルカリで処理することで遊離塩基に変化させるか、或は塩基付加塩を酸で処理することで遊離酸に変化させ、または必要ならば、それらの立体化学異性体形態物、第四級アミン、溶媒和物またはN−オキサイド形態物を調製する、
ことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2010−529086(P2010−529086A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510808(P2010−510808)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057011
【国際公開番号】WO2008/148851
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】