説明

ピラゾール誘導体、それらの製造及び医薬品としての使用

本発明の目的は、式Iの化合物及びそれらの医薬として許容される塩、鏡像異性体型、ジアステレオマー及びラセミ体、上文で言及した化合物、それらを含む薬物及びそれらの製造並びに疾病、例えば癌の制御又は予防における、あるいは相当の薬物の製造における上文で言及した化合物の使用、である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ピラゾール誘導体、それらの製造方法、それらを含む医薬粗製物及びそれらの製造、並びに医薬的活性物質としてのそれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインチロシンキナーゼ(PTK)は、細胞増殖及び分化に関与する種々のタンパク質におけるチロシン残基のリン酸化を触媒する(Wilks, A.F., Progress in Growth Factor Research 2 (1990) 97-111; Chan, A.C., and Shaw, A.S., Curr. Opin. Immunol. 8 (1996) 394-401))。かかるPTKは、受容体チロシンキナーゼ(例えば、EGFR/HER−1、c−erB2/HER−2、c−met、PDGFr、FGFr)及び非受容体チロシンキナーゼ(例えば、src、lck)に分類されうる。多数の発癌遺伝子が、細胞形質転換を引き起こすことができる異常なチロシンキナーゼであるタンパク質をコードしていることが知られている(Yarden, Y., and Ullrich, A., Annu. Rev. Biochem. 57 (1988) 443-478; Larsen et al, Ann. Reports in Med. Chem., 1989, Chpt. 13)。また、通常の原癌遺伝子によるチロシンキナーゼの過剰発現も増殖疾患を生じさせうる。
【0003】
HER−ファミリー、例えばHER−2及びEGFR(HER−1)の受容体チロシンキナーゼは、通常の癌、例えば、乳癌、消化管癌、例えば結腸、直腸又は胃の癌、白血病並びに卵巣、気管支及び膵臓の癌においてしばしば異常に発現していることが知られている。高レベルのこれらの受容体は予後不良及び処置に対する応答不良と相関している (Wright, C., et al., Br. J. Cancer 65 (1992) 118-121)。
【0004】
従って、受容体チロシンキナーゼの阻害剤は哺乳類の癌細胞の増殖の選択的阻害剤として有用であることが認識されている。それ故に、複数の小分子化合物並びにモノクローナル抗体が種々のタイプの癌の処置のために臨床試験にかけられている (Baselga, J., and Hammond, L.A., Oncology 63 (Suppl. 1) (2002) 6-16; Ranson, M., and Sliwkowski, M.X., Oncology 63 (suppl. 1) (2002) 17-24)。
【0005】
幾つかの置換オキサゾールが当業界で知られている。WO03/059907は、抗癌剤として有用な、含窒素複素環に関する。WO98/03505,EP 1 270 571、WO01/77107及びWO03/031442は、チロシンキナーゼ阻害剤として、関連の複素環式化合物を開示している。
【0006】
しかしながら、治療的特性が向上している新規化合物、例えば、幾つか例を挙げると、活性が増強し、毒性が低下し、可溶性が優れており、そして薬物動態プロファイルが向上している新規化合物についての必要性が残されている。
【0007】
本発明は、一般式Iの化合物
【化1】

(ここで、
1はハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ又はハロゲンであり;
2は水素又はハロゲンであり;
3は水素又はアルキルであり;
4はアルキルであり;
Wは、−O−、−S−、−S(O)−又は−S(O)2−である)及び医薬として許容されるその全ての塩、に関する。
【0008】
本発明の化合物は、HER−シグナル伝達経路の阻害剤としての活性を示し、それ故に、抗増殖活性を有する。本発明の目的は、式Iの化合物及びそれらの医薬として許容される塩、鏡像異性体型、ジアステレオマー及びラセミ体、上文で言及した化合物、それらを含む薬物及びそれらの製造並びに疾病の制御又は予防、特に上文で言及した疾病及び障害、一般的なヒトの癌(乳癌、消化管癌(結腸、直腸又は胃の癌)、例えば結腸、直腸又は胃の癌、白血病並びに卵巣、気管支及び膵臓の癌)の制御又は予防における、あるいは相当の医薬組成物の製造における上文で言及した化合物の使用、である。
【0009】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」とは、1〜5個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む、飽和の直鎖又は分枝鎖の炭化水素、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチル−ブチル又は2−メチル−ブチルを意味する。
【0010】
好ましい態様において、R3において使用する場合の用語「アルキル」は、(C1−C2)アルキル、好ましくはメチルを意味し、そしてR4において使用する場合の用語「アルキル」は、(C1−C2)アルキル、好ましくはメチルを意味する。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「ハロゲン化アルキル」は、1又は複数のハロゲン原子、好ましくはフッ素又は塩素、特にフッ素で置換されている、上文で定義したアルキルを意味する。例としては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル等であり、好ましくはトリフルオロメチルである。
【0012】
用語「ハロゲン化アルコキシ」は、1又は複数回ハロゲン、好ましくはフッ素又は塩素、特にフッ素で置換されている、上文で定義したアルコキシ基を意味する。例としては、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ペルフルオロエトキシ等があり、好ましくはトリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシであり、特にトリフルオロメトキシである。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素及び臭素、好ましくはフッ素又は塩素を意味する。
【0014】
好ましい態様において、R1において使用する場合の用語「ハロゲン」は、フッ素又は塩素、好ましくは塩素を意味し、そしてR2において使用する場合の用語「ハロゲン」は、フッ素又は塩素、好ましくはフッ素を意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、HER−ファミリー、例えばHER−2及びEGFR(HER−1)の受容体チロシンキナーゼについて言及しているときの頭字語「HER」は、ヒト表皮受容体を指し、そして頭字語「EGFR」は表皮増殖因子受容体を指す。
【0016】
本明細書で使用する場合、質量分析(MS)に関連する用語「ESI+」は、ポジティブエレクトロスプレーイオン化モードを指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、化合物の「治療上有効量」は、疾患の症候を予防し、緩和し又は緩解し、あるいは処置される被験者の生存を延長させるのに有効な量を意味する。治療上有効量の決定は当業者の技術範囲内である。
【0018】
本発明の化合物の治療上有効量又は投与量は、広い制限の範囲内で変化することがあり、これは、当業界で知られている様式で決定されうる。かかる投与量は、各個別の症例における個々の要件、例えば投与される具体的な化合物、投与経路、処置される症状、並びに処置される患者、に調節される。通常、約70Kgの体重の成人への経口又は非経口投薬の場合に、約10mg〜約10,000mg、好ましくは約200mg〜約1,000mgの1日投与量が適切なはずであるが、適応があれば、上限を超えてもよい。前記1日投与量は、単回投与又は分割投与で投与されるか、又は非経口投与において、連続点滴として与えることができる。
【0019】
本明細書で使用する場合、「医薬として許容される担体」とは、医薬の投与に適合するありとあらゆる材料、例えば溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、並びに医薬投与に適合する他の材料及び化合物を含むことが意図される。任意の常用されている媒体又は物質が前記活性化合物と適合しない場合を除き、本発明の組成物における当該化合物の使用が予期される。補助的な活性化合物も前記組成物に取り込むことができる。
【0020】
本発明の一態様は、R2が水素である、式Iの化合物である。
【0021】
本発明の別の態様は、R1がハロゲン化アルコキシである、式Iの化合物である。
【0022】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;そして
2が水素である、
式Iの化合物である。
【0023】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素であり;そして
3がアルキルである、
式Iの化合物である。
【0024】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素であり;そして
Wが−O−である、
式Iの化合物である。
【0025】
前記化合物は、例えば:
4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールである。
【0026】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素であり;そして
Wが−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0027】
このような化合物は、例えば:4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;及び4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールから成る群から選択してもよい。
【0028】
本発明の別の態様は、R1がハロゲン化アルキルである、式Iの化合物である。
【0029】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;そして
Wが−O−である、
式Iの化合物である。
【0030】
このような化合物は、例えば:4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;及び2−[(E)−2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾールから成る群から選択してもよい。
【0031】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;そして
2が水素である、
式Iの化合物である。
【0032】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;そして
2が水素であり;そして
Wが−O−である、
式Iの化合物である。
【0033】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;そして
2がフッ素である、
式Iの化合物である。
【0034】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;
2がフッ素であり;そして
Wが−O−である、
式Iの化合物である。
【0035】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;
2が水素であり;そして
Wが−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0036】
このような化合物は、例えば:4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;及び4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールから成る群から選択してもよい。
【0037】
本発明の別の態様は、R1がハロゲンである、式Iの化合物である。
【0038】
本発明の別の態様は、
1がハロゲンであり;そして
2が水素である、
式Iの化合物である。
【0039】
本発明の別の態様は、
1がハロゲンであり;
2が水素であり;そして
Wが−O−である、
式Iの化合物である。
【0040】
このような化合物は、例えば:2−[(E)−2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾールである。
【0041】
本発明の別の態様は、
1がハロゲンであり;
2が水素であり;そして
Wが−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0042】
このような化合物は、例えば:2−[(E)−2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾールである。
【0043】
本発明の別の態様は、R3がアルキルである、式Iの化合物である。
【0044】
本発明の別の態様は、
2が水素であり;そして
3がアルキルである、
式Iの化合物である。
【0045】
本発明の別の態様は、R3が水素である、式Iの化合物である。
【0046】
本発明の別の態様は、
2が水素であり;そして
3が水素である、
式Iの化合物である。
【0047】
本発明の別の態様は、Wが−O−である、式Iの化合物である。
【0048】
本発明の別の態様は、Wが−S−である、式Iの化合物である。
【0049】
本発明の別の態様は、Wが−S(O)−である、式Iの化合物である。
【0050】
本発明の別の態様は、Wが−S(O)2−である、式Iの化合物である。
【0051】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;そして
2が水素である、
式Iの化合物である。
【0052】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;
2が水素であり;
Wが−S(O)2−である、
式Iの化合物である。
【0053】
本発明の別の態様は、Wが、−O−、−S(O)−又は−S(O)2−である、式Iの化合物である。
【0054】
本発明の別の態様は、
2が水素であり;そして
Wが−O−、−S(O)−又は−S(O)2−である、
式Iの化合物である。
【0055】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素であり;そして
Wが−O−、−S(O)−又は−S(O)2−である、
式Iの化合物である。
【0056】
本発明の別の態様は、Wが−O−又は−S(O)−である、式Iの化合物である。
【0057】
本発明の別の態様は、
2が水素であり;そして
Wが−O−又は−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0058】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素であり;そして
Wが−O−又は−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0059】
本発明の別の態様は、
3がアルキルであり;そして
Wが−O−又は−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0060】
本発明の別の態様は、R2が水素又はフッ素である、式Iの化合物である。
【0061】
本発明の別の態様は、
2が水素又はフッ素であり;そして
Wが−O−、−S(O)−又はS(O)2である、
式Iの化合物である。
【0062】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素又はフッ素であり;そして
Wが−O−、−S(O)−又はS(O)2である、
式Iの化合物である。
【0063】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキルであり;
2が水素又はフッ素であり;そして
Wが−O−、−S(O)−又はS(O)2である、
式Iの化合物である。
【0064】
本発明の別の態様は、
1がハロゲンであり;
2が水素又はフッ素であり;そして
Wが−O−、−S(O)−又はS(O)2である、
式Iの化合物である。
【0065】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ又は塩素であり;
2が水素又はフッ素であり;
3がアルキルであり;そして
Wが−O−又は−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0066】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素であり;
3がアルキルであり;そして
Wが−O−又は−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0067】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ又は塩素であり;
2が水素又はフッ素であり;
3がアルキルであり;そして
Wが−O−である、
式Iの化合物である。
【0068】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素であり;
3がアルキルであり;そして
Wが−O−である、
式Iの化合物である。
【0069】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ又は塩素であり;
2が水素であり;
3が水素又はアルキルであり;そして
Wが−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0070】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ又は塩素であり;
2が水素であり;
3がアルキルであり;そして
Wが−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0071】
本発明の別の態様は、
1がハロゲン化アルコキシであり;
2が水素であり;
3が水素又はアルキルであり;そして
Wが−S(O)−である、
式Iの化合物である。
【0072】
本発明の別の態様は、式Iの化合物の製造方法であり、
ここで、
(a)式Vの化合物
【化2】

(ここで、R3、及びR4は、上記式Iで示した意味を有し、そして
Wは−O−、−S−又は−S(O)−である)
を、式IVの化合物
【化3】

(ここで、R1及びR2は、上記式Iで示した意味を有する)と反応させ、Wが−O−、−S−又は−S(O)−である式Iの各化合物を生成させ;
(b)所望により、Wが−S−又は−S(O)−である式Iの前記化合物を酸化して、Wが−S(O)2−である式Iの各化合物を生成させ;
(c)前記化合物を反応混合物から単離し、そして
(d)所望により、医薬として許容される塩に変換する。
【0073】
本発明の対象である式Iの化合物、又は医薬として許容されるその塩は、化学的に関連する化合物の調製に適用可能であることが当業者知られている任意の方法によって調製することができる。かかる方法は、式Iの化合物、又は医薬として許容される塩を調製するのに使用する場合、本発明の更なる特徴として提供され、そして以下のスキーム1からスキーム4の代表例によって例示される。ここで、特に断らない限り、R1、R2、R3、R4、及びWは、本明細書の前文で示した意味を有する。必要な出発材料は市販のものか、あるいは、有機化学の標準的手順により得ることができるものである。このような出発材料の調製は、以下の実施例又はスキーム1〜4で説明する。あるいは、必要な出発材料は、例示する手順に類似の、有機化学者の通常の技術範囲内にある手順により得られる。
【0074】
スキーム1
式Iの化合物の合成にとって好ましい方法をスキームIで説明する。
【化4】

【0075】
スキーム1において、R1、R2、R3、R4、及びWは式Iについて上文に示した意味を有する。
【0076】
スキーム1の反応順序において、ステップ1は、式Iaのベンズアルデヒドとマロン酸とのクネーフェナーゲル縮合、それに伴う脱炭酸であり、それにより式IIのアクリル酸が生じる。当該反応は、典型的に、ピリジン、N−メチルピロリジノン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド及びそれらの混合物のような溶媒中で最大140の温度で実施される。典型的に使用される塩基は、ピペリジン、トリエチルアミン及びジイソプロピルアミンである。
【0077】
スキーム1のステップ2において、得られた式IIのアクリル酸は、当業者にとって標準的な方法により、例えば式IIのカルボン酸を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド及びそれらの混合物中で、塩化オキサリルを用い、−30℃〜40℃に変化する温度で活性化することにより、式IIIのそれらの相当のアミドに変換される。アンモニアを添加することで、式IIIの前記アミドが生成する。
【0078】
スキーム1のステップ3において、式IVの塩化物は、一般的に知られている方法又はその改良法により合成することができる。式IIIのアミド及び1,3−時クロロアセトンを縮合/脱水にかけることで、式IVの化合物が生成する。この種の反応にとって典型的な溶媒は、トルエン、キシレン、ベンゼン、アセトン及びクロロホルムである。所望により、当該反応は、無溶媒条件下で実施することができる。反応温度は、50℃〜150℃に変更してもよい。
【0079】
スキーム1のステップ4において、式Iの誘導体は、例えば式Vの化合物を式IVの化合物でアルキル化することで得ることができる。典型的に、当該アルキル化は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、エタノール及びイソプロパノールのような溶媒中で、場合によって、塩基、例えばナトリウムメチラート、水素化ナトリウム又はリチウムジイソプロピルアミド等の存在下で実施される。反応温度は、0℃〜150℃に変更してもよい。場合によって、ヨウ化カリウム又はヨウ化ナトリウムが反応混合物に添加される。
【0080】
スキーム2
式Vのフェノール中間体がスキーム2に示すように2段階反応で調製されうる。
【化5】

【0081】
スキーム2において、R3、R4及びWは、式Iについて上文で示したような意味を有し、Aはヒドロキシ保護基、例えばプロペン−3−イル(アリル)、トリフェニルメチル(トリチル)及びシリル基(例えば、tert−ブチル−ジメチル−シリル、トリオイソプロピル−シリル)等である。
【0082】
スキーム2のステップ1は、式IVの化合物と式VIIとのアルキル化反応である。Wの性質によって、この反応の異なるバリエーションが知られており、Z及びYの意味は適宜変化しうる:
【0083】
Wが−O−である場合、
Aは、下文で規定するような適当な保護基を意味し、
Z及びYの一方はヒドロキシ基を意味し、
他方は下文で規定するような適当な脱離基LGを意味し、
そして
Wが−S−である場合、
Aは、下文で規定するような適当な保護基を意味し、
Zはチオール基を意味し、そして
Yは下文で規定するような適当な脱離基LGを意味する。
【0084】
式VIの化合物と式VIIの化合物との反応は当業界で周知である。典型的に、そのようなアルキル化反応は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、エタノール及びイソプロパノールのような溶媒中で実施されうる。この反応にとって典型的な塩基は、炭酸アルカリ、ナトリウムメチラート、水素化ナトリウム又はリチウムジイソプロピルアミドである。反応温度は、20℃〜150℃に変更してもよい。他の好ましいアルキル化手順は、ケトンのような溶媒中で塩基としての炭酸アルカリを利用するものであり、例えば炭酸セシウム/ブタノンを還流温度で、又は水素化ナトリウム/DMFを室温で利用するものである。適当な脱離基LGは、アルキル化反応で典型的に使用されるものであって、且つ当業者に周知なものである。かかる脱離基LGの例は、中でも、ハロゲンのアニオン、例えばヨウ化物、臭化物又は塩化物、p−トルエンスルホン酸塩(トシラート)、メタンスルホン酸塩(メシラート)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(トリフラート)又はアジド基である。
【0085】
Wが−S(O)−又は−S(O)2−である化合物を得るために、中間体であるチオエーテル(Wが−S−のもの)は、例えば、メタ−クロロ−過安息香酸(mCPBA)又はオキソン(登録商標)で酸化することができ、その結果、相当のスルホキシド又はスルホン(Wが−S(O)−又は−S(O)2−であるもの)を生成する。
【0086】
スキーム2のステップ2において、保護基Aの除去がその後実施される。本明細書で言及するヒドロキシ保護基Aは、当業者に知られている慣用の保護基である。例としては、プロペン−3−イル(アリル)、トリフェニルメチル(トリチル)及びシリル基(例えば、tert−ブチル−ジメチル−シリル、トリオイソプロピル−シリル)がある。
【0087】
ヘテロ原子上の保護基の除去は、当該基の性質による。典型例は、酸性条件下で、例えば還流下でテトラヒドロフラン(THF)中のギ酸水溶液を用いて、トリチル基の除去すること、又はtert−ブトキシカルボニル基をトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン中室温で除去すること、又は置換シリル基をフッ化テトラブチルアンモニウムを用いてTHF水溶液中室温で除去することである。アリル基は、基質を触媒量のパラジウム錯体、例えばPd(PPh34/ジクロロメタンでアリル受容体、例えば1,3−ジメチルバルビツール酸の存在下で処理することで速やかに除去することができる。
【0088】
式Vの化合物は新規で且つ本発明の対象でもある。
【0089】
スキーム3
上記式VIIのYはヒドロキシ基又は脱離基LGであり、そして式VIIの化合物は、スキーム3で概説したように調製される。そのため、これらは、VII−a(Yの代わりにヒドロキシ基)及びVII−b(Yの代わりに脱離基LG)と命名する。
【0090】
【化6】

【0091】
スキーム3において、R4は、式Iについて上文で示した意味を有し、LGは上文で定義したような脱離基、例えばヨウ化物、臭化物又は塩化物、p−トルエンスルホン酸塩(トシラート)、メタンスルホン酸塩(メシラート)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(トリフラート)又はアジド基であり、そしてPGはヒドロキシ保護基、例えばシリル基(例えば、
tert−ブチル−ジメチル−シリル、トリイソプロピル−シリル)、アセタール基(例えば、2−テトラヒドロ−ピラン)又は他の適当な保護基である。
【0092】
スキーム3のステップ1において、適切にN置換されたピラゾールVIIIは、n−ブチルリチウムによる位置選択的な脱保護及びその後のO−保護2−ハロエタノール(例えば(2−ブロモ−エトキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シラン又は2−(2−ブロモ−エトキシ)−テトラヒドロ−ピラン)による、不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル中での反応により、式IXの化合物に変換される。温度はリチオ化段階の場合−40℃〜−80℃に変化してもよく、そして全ての試薬の添加後は室温にまで加温してもよい。
【0093】
スキーム3のステップ2により、ヒドロキシル基は一般的に知られている方法を用いて脱保護され、式VII−aの5−(2−ヒドロキシエチル)ピラゾールが提供される。ヘテロ原子上の保護基の除去は、その基の性質による。典型例としては、フッ素源、例えばNaF/HBr(メタノール/水)又はフッ化テトラブチルアンモニウムを用いた、室温でのシリル基の除去又は酸性条件下でのアセタールの開裂がある。
【0094】
スキーム3のステップ3において、ヒドロキシル基は、脱離基「LG」に変換され、式VII−bの化合物が生成される。適当な脱離基は、アルキル化反応で典型的に使用され、且つ当業者に周知のものである。かかる脱離基の例には、中でも、ハロゲンのアニオン、例えばヨウ化物、臭化物又は塩化物、p−トルエンスルホン酸塩(トシラート)、メタンスルホン酸塩(メシラート)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(トリフラート)又はアジド基である。そのような脱離基は、有機化学の標準的な手順により導入することができ、例えば式VII−aのアルコールとトリフルオロメタンスルホン酸無水物との反応の場合、相当のトリフラートが生成し、p−トルエンスルホニルクロリドとの反応の場合、相当のトシラートが生成し、あるいは、無機酸のハロゲン化物、例えばSOCl2、PCl3、PCl5又はPBr3と、塩基、例えばピリジン、ルチジン又はトリエチルアミンの存在下で反応させた場合、相当のハロゲン化物が生成する。ヨウ化物は、上文で表したような脱離基を、当業者に周知のフィンケルシュタイン反応を利用してヨウ化物と交換することで合成することができる。
【0095】
式VIIの化合物は新規であり、且つ本発明の対象でもある。
【0096】
スキーム4
上記式VIのZはヒドロキシ基、脱離基LG又はチオール基であり、式VIの化合物はスキーム4で概説したように調製される。従って、これらの化合物は、VI−a(Zはヒドロキシ基である)、VI−b(Zは脱離基LGである)及びVI−c(Zはチオール基である)と命名される。
【0097】
【化7】

【0098】
スキーム4において、R3は式Iについて上文で示した意味を有し、Aはヒドロキシ保護基、例えばプロペン−3−イル(アリル)、トリフェニルメチル(トリチル)及びシリル基(例えば、tert−ブチル−ジメチル−シリル、トリオイソプロピル−シリル)等であり、そしてLGは上文で定義した脱離基、例えばヨウ化物、臭化物又は塩化物、p−トルエンスルホン酸塩(トシラート)、メタンスルホン酸塩(メシラート)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(トリフラート)又はアジド基である。
【0099】
スキーム4のステップ1において、ヒドロキシ保護基Aは、当業者に周知の標準的方法によりフェノール性のヒドロキシル基に導入され、例えば、式Xの化合物は、臭化アリル又は塩化トリフェニルメチルと、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下反応して相当のエーテルを生成させ、あるいは、塩化シリル、例えばtert−ブチル−ジメチルシリルクロリドと、塩基、例えばピリジン、ルチジン又はイミダゾールの存在下反応して、相当のシリルエーテルを生成させる。
【0100】
スキーム4のステップ2において、式IXの化合物のカルボニル基は、無機錯体水素化物、特に水素化アルミニウムリチウム又は水素化アルミニウムジブチルにより還元され、ベンジル型のアルコールVI−aを生成させる。
【0101】
スキーム4のステップ3において、式VI−aの化合物のヒドロキシル基は、スキーム3のステップ3について記載したのと同じ方法で脱離基に変換され、それにより式VI−bの化合物が生成する。
【0102】
スキーム4のステップ4において、式VI−bの化合物は、チオウレアとの反応、そしてその後の塩基性条件下での中間体チオウロニウムクロリドの開裂により相当のチオールへと変換される。
【0103】
スキーム1〜4におけるヒドロキシル基の保護及び脱保護にとって、上文で概説したものよりも更に多くの方法が適当なこともある。包括的な概略は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition (1999) Whiley Interscience New York, Chichester, Weinheim, Brisbane,Toronto, Singaporeに示されている。
【0104】
式Iの化合物は、1又は複数のキラル中心を含むことがあり、そして次に、ラセミ形で、又は光学的活性形で存在することがある。ラセミ体は、既知の方法に従って、鏡像異性体に分離され得る。例えば、結晶化により分離され得るジアステレオマー塩は、光学的活性の酸、例えばD−又はL−酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸又は樟脳スルホン酸との反応により、ラセミ混合物から形成される。あるいは、鏡像異性体の分離はまた、市販のキラルHPLC相上でのクロマトグラフィーを用いることにより達成され得る。
【0105】
本発明の化合物は、それらの医薬として許容される塩の形で存在することがある。用語「医薬として許容される塩」とは、式Iの化合物の生物学的有効性及び性質を保持し、そして適切な非毒性有機又は無機酸あるいは有機又は無機塩基から形成される、従来の酸付加塩又は塩基付加塩を意味する。酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸に由来するそれらの塩、及び有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸等に由来するそれらの塩を包含する。医薬化合物(すなわち薬物)の塩への化学的修飾は、化合物の物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動性及び溶解性の向上を得るためには、薬剤師にとって周知の技法である。それらは、例えば、Stahl, P. H., and Wermuth, G., (editors), Handbook of Pharmaceutical Salts, Verlag Helvetica Chimica Acta (VHCA), Zurich, (2002)又はBastin, RJ., et al., Organic Proc. Res. Dev. 4 (2000) 427-435に記載されている。
【0106】
好ましい医薬として許容される塩は、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸及び塩酸により形成される。
【0107】
式Iの化合物は、1又は複数のキラル中心を含むことがあり、そして次に、ラセミ形で、又は光学的活性形で存在することがある。ラセミ体は、既知の方法に従って、鏡像異性体に分離され得る。例えば、結晶化により分離され得るジアステレオマー塩は、光学的活性の酸、例えばD−又はL−樟脳スルホン酸との反応により、ラセミ混合物から形成される。あるいは、鏡像異性体の分離はまた、市販のキラルHPLC相上でのクロマトグラフィーを用いることにより達成され得る。
【0108】
本発明の化合物又は医薬として許容されるその塩及び医薬として不活性な担体を含む医薬又は医薬組成物も本発明の対象であり、また、本発明の1又は複数の化合物及び/又は医薬として許容されるその塩、及び、所望により、1又は複数のほかの治療上有益な物質を、1又は複数の治療上不活性な担体と一緒に、生薬の投与形態にすることを含んで成る、それらの製造方法についても同様である。
【0109】
本発明により、本発明の化合物並びに医薬として許容されるそれらの塩は、病気の制御又は予防に有用である。それらのHERシグナル伝達経路阻害及びそれらの抗増殖活性に基づき、前記化合物は、ヒト又は動物における癌のような疾患の処置、及び相当の医薬の製造にとって有用である。投与量は種々の要因、例えば投与方法、種、年齢及び/又は個々の健康状態による。
【0110】
本発明の別の態様は、1又は複数の式Iの化合物と医薬として許容される担体とを含む医薬組成物である。
【0111】
本発明の更に別の態様は、腫瘍増殖の阻害のための前記医薬組成物である。
【0112】
本発明の更に別の態様は、腫瘍増殖の阻害のための式Iの化合物の使用である。
【0113】
本発明の更に別の態様は、癌の治療のための式Iの化合物の使用である。
【0114】
本発明の更に別の態様は、腫瘍増殖の阻害のための相当の医薬組成物の製造のための式Iの化合物の使用である。
【0115】
本発明の別の態様は、活性成分としての治療上有効量の式Iの化合物及び医薬として許容される担体を含んで成る医薬組成物である。
【0116】
本発明の別の態様は、癌を治療する方法であって、かかる治療を必要とするヒトに対し、治療上有効量の式Iの化合物を投与すること、を含んで成る方法である。
【0117】
本発明の別の態様は、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、神経芽細胞腫、子宮頸癌、腎臓癌又は腎癌、白血病又はリンパ腫を治療する方法であって、かかる治療を必要とするヒトに対し、治療上有効量の式Iの化合物を投与すること、を含んで成る方法である。
【0118】
薬理活性
式Iの化合物及びそれらの医薬として許容される塩は、有益な薬理学的特性を有している。前記化合物は、HER−シグナル伝達経路を阻害剤し、且つ、抗増殖活性を示すことが明らかとなっている。その結果、本発明の化合物は、HER−2及びEGFR(HER−1)のなどのHER−ファミリーの受容体チロシンキナーゼの既知の過剰発現を伴う病気の治療及び/又は予防、特に上文で言及した病気の治療及び/又は予防において有用である。HER−シグナル伝達経路阻害剤としての本発明の化合物の活性は、以下の生物学的アッセイにより証明される:
【0119】
HEK293細胞におけるCellTiter−Glo(登録商標)アッセイ
CellTiter−Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega)は、存在するATP(これは代謝的に活性な細胞の存在を示す)の定量をベースとした培養液中の生存細胞数を決定する均質な方法である。
【0120】
HEK293細胞(アデノウイルス5フラグメントによって形質転換したヒト胚腎細胞系、ATCC−No.CRL1573)は、Glutamax(登録商標)(Invitrogen,31966−021)、5%ウシ胎児血清(FCS,Sigma Cat−No,F4135(FBS))、100ユニット/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(=InvitrogenのPen/Strep、Cat.No.15140)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。本アッセイのために、細胞は、384ウェルプレートに1ウェル当たり5000細胞で同一培養液中播種された。次の日、試験化合物を3μM〜0.00015μMに及ぶ種々の濃度(10種類の濃度、1:3希釈)で添加した。7日後、CellTiter−Glo(登録商標)アッセイを取扱説明書に従い実施した(CellTiter−Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega))。要約すると、細胞のプレートを約30分間室温で平衡化し、続いてCellTiter−Glo(登録商標)試薬を添加した。内容物を慎重に15分間混合して細胞溶解を誘導した。45分後、発光シグナルをVictor2で測定した(マルチウェル分光光度計,Wallacでスキャンした)。
【0121】
詳細:
1日目
−培地:Glutamax(登録商標)(Invitrogen,31966−021)、5%ウシ胎児血清(FCS,Sigma Cat−No,F4135(FBS))、Pen/Strep(Invitrogen,Cat.No.15140)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)
−HEK293(ATCC−No.CRL1573):5000細胞/1ウェル当たり60μlの384ウェルプレート(Greiner7810998、ホワイトプレート)
−24時間37℃、5%CO2でインキュベート
【0122】
2日目:誘導(物質試験):
通常、希釈の比率は1:3である。
a)8μlの10mMストック化合物溶液を72μlのDMSOに添加する。
b)このDMSO希釈列9×1:3希釈する(60μlのDMSOに対し常に30μl)
(これは1000μM〜0.06μMの濃度を有する10個のウェルをもたらす)
c)各濃度を1:4.8に希釈する(38μlの培地に対し10μlの化合物希釈物)
d)各濃度を1:10に希釈する(90μlの培地に対し10μlの化合物希釈物)
e)全ての濃度につき10μlを細胞プレートにおける60μlの培地に添加する。
−結果として、全ウェルにおいてDMSOの終濃度:0.3%となる。
−そして、化合物の終濃度が3μM〜0.00015μMとなる。
−37℃、5%CO2で168時間(7日)インキュベートする。
【0123】
解析:
−1ウェル当たりCellTiter−Glo(登録商標)試薬を添加し、
−室温で15分間振とうし、
−更に45分間、室温で振とうせずにインキュベートする。
【0124】
測定:
−Victor2スキャニングマルチウェル分光光度計(Wallac)、発光モード
−IC50をXL−fit(XLfitソフトウェア(ID Business Solution Ltd.,Guilford,Surrey,UK))で決定する。
【0125】
HEK293細胞の有意な阻害が検出され、これは表1に示す化合物により実証される。
【0126】
【表1】

【0127】
本発明の化合物及びそれらの医薬として許容される塩は、例えば医薬組成物の形態で薬物として使用され得る。医薬組成物は、錠剤、被覆された錠剤、糖剤、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形で経口投与され得る。しかしながら、投与はまた、例えば坐剤の形で直腸的に、又は例えば注射用溶液の形態で非経口的に実施され得る。
【0128】
上文で言及した医薬組成物は、本発明の化合物を、医薬的に不活性な無機又は有機担体により処理することにより得られる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩、及び同様のものが、例えば錠剤、被覆された錠剤、糖剤、及び硬質ゼラチンカプセルのためのそのような担体として使用され得る。軟質ゼラチンカプセルのための適切な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール、及び同様のものである。しかしながら、活性物質の性質に依存して、担体は、軟質ゼラチンカプセルの場合、常に必要とされるものではない。溶液及びシロップの生成のための適切な担体は、水、ポリオール、グリセロール、植物油及び同様のものである。坐剤のための適切な担体は、例えば天然又は硬化された油、ワックス、脂肪、半液体又は液体ポリオール等である。
【0129】
さらに、医薬組成物は、保存剤、溶解剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝液、マスキング剤、又は酸化防止剤を含むことができる。それらはまた、他の治療上有益な物質も含むことができる。
【0130】
好ましい医薬組成物は、以下のものを含んで成る:
a)錠剤(湿式造粒):
【表2】

【0131】
製造手順:
1.項目1,2,3及び4を混合し、そして精製水で粒状にする。
2.50℃で顆粒を乾燥させる。
3.顆粒を適当なミル粉砕装置を通過させる。
4.項目5を添加し、そして3分間混合し;適当なプレス機で圧縮する。
【0132】
b)カプセル製剤:
【表3】

【0133】
製造手順:
1.項目1,2及び3を適当なミキサー内で30分間混合する。
2.項目4及び5を添加して3分間混合する。
3.適当なカプセル内に充填する。
【0134】
以下の実施例、引用文献は、本発明の理解、特許請求の範囲に記載されているそれらの範囲を助けるために提供されている。本発明の精神を逸脱することなく前述の手順を変更することができることは理解されるであろう。
【実施例】
【0135】
中間体1
2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタノール
a)5−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール
【化8】

【0136】
10.00g(0.122モル)の1−メチル−1H−ピラゾール/200mlの乾燥テトラヒドロフラン(THF)に対し、窒素雰囲気のもと−65℃で、53.6ml(0.134モル)のn−ブチルリチウム/ヘキサン(2.5M)を添加した。この混合物を1時間−65℃で攪拌した。続いて、29.14g(0.122モル)の(2−ブロムエトキシ)−tert−ブチル−ジメチルシランをゆっくり添加した。2時間の攪拌後、これを室温にまで加温して、そして攪拌を一晩実施した。水を添加し、そしてTHFを真空で除去した。水層を1NのHClで中和し、そして複数回酢酸エチルで抽出した。有機層を回収し、Na2SO4上で脱水し、そして溶媒を真空で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、30%酢酸エチル/n−ヘプタン)により、6.30g(22%)の5−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾールが無色の油として生成した。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ = 0.00 (s, 6 H), 0.85 (s, 9 H), 2.82 (t, 6.5 Hz, 2 H), 3.75 (s, 3 H), 3.80 (t, 6.5 Hz, 2 H), 6.06 (d, 1.5 Hz, 1 H), 7.28 (d, 1.5 Hz, 1 H)
【0137】
b)2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタノール
【化9】

【0138】
12.00g(0.05モル)の5−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール/150mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に対し、6.29g(0.150モル)のフッ化ナトリウム及び17.0ml(0.150モルの水性48%HBrを添加し、そしてこの混合物を一晩室温で攪拌した。全ての揮発物を真空で除去し、そして残渣を酢酸エチル/水に溶解した。水層をNa2CO3で中和し、NaClで飽和させ、そして3回酢酸エチルで抽出した。一まとめにした有機層を回収し、飽和NaCl水溶液で洗浄し、そしてNa2SO4上で脱水し、そして溶媒を真空で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)により、3.80g(61%)の2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタノールが黄色の油として生成した。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ = 2.75 (t, 6.9 Hz, 2 H), 3.61 (t, 6.9 Hz, 2 H), 3.72 (s, 3 H), 6.04 (d, 1.5 Hz, 1 H), 7.26 (s, 1.5 Hz, 1 H)
【0139】
中間体2
3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノール
a)4−アリルオキシ−2−メチル−ベンズアルデヒド
【化10】

【0140】
31.7g(229ミリモル)の炭酸カリウム及び9.51g(57.3ミリモル)のヨウ化カリウムを15.6g(115ミリモル)の4−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアルデヒド及び55.4g(458ミリモル)の臭化アリル/500mlの2−ブタノンに添加し、そして16時間65℃で攪拌した。溶媒を蒸留し、そして残渣を酢酸エチルと1Nの水酸化ナトリウムとの間で分配した。有機層を分離し、そして水溶液を1回酢酸エチルで抽出した。一まとめにした有機層を乾燥させ、そして19.8g(98%)の4−アリルオキシ−2−メチル−ベンズアルデヒドが生成した。
1H-NMR(400 MHZ, D6-DMSO): δ= 2.59 (s, 3H), 4.67 (d, 2H), 5.29 (d, 1H), 5.41 (d, 1H), 6.05 (m, 1H), 6.96 (d, 1H), 6.74 (s, 1H), 7.77 (d, 1H), 10.07 (s, 1H).
【0141】
b)(4−アリルオキシ−2−メチル−フェニル)−メタノール
【化11】

【0142】
8.50g(224ミリモル)の水素化アルミニウムリチウムを250mlのテトラヒドロフランに添加し、そして20分間攪拌した。19.4g(110ミリモル)の4−アリルオキシ−2−メチル−ベンズアルデヒド/100mlTHFを一滴ずつ添加し、そして3時間攪拌し続けた。反応混合物を0℃に冷却し、40mlの濃塩化アンモニウム溶液で慎重に加水分解し、60分間攪拌し、そして濃塩酸でpHを5に調整した。形成した塩の沈殿物を濾過で除去し、THFで洗浄し、そして一まとめにした有機溶液を蒸発させたシリカ上での残渣のクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル 1:3)により、16.0g(81%)の(4−アリルオキシ−2−メチル−フェニル)−メタノールが薄黄色の油として生成した。
1H-NMR 400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.23 (s, 3H), 4.40 (s, 2H), 4.52 (d, 2H), 4.88 (t, 1H), 5.23 (d, 1H), 5.37 (d, 1H), 6.03 (m, 1H), 6.72 (d, 1H), 6.74 (s, 1H), 7.20 (d, 1H).
【0143】
c)4−アリルオキシ−1−クロロメチル−2−メチル−ベンゼン
【化12】

【0144】
16.0g(89.6ミリモル)の(4−アリルオキシ−2−メチル−フェニル)−メタノール/270mlのジクロロメタン及び1.5mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の溶液を0℃に冷却した。
【0145】
7.80ml(12.8g、108ミリモル)の塩化チオニルをゆっくり添加し、そして次に1時間室温で攪拌した。ジクロロメタンを蒸留し、300mlのトルエンを添加し、そして溶媒を真空で除去した。残渣を200mlのトルエンに溶解させ、そして濃炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、そして蒸発させることで、17.5g(99%)の1−アリルオキシ−4−クロロメチル−2−メチル−ベンゼンが色のついた油として生成した。
1H-NMR(400 MHZ, D6-DMSO): δ= 2.34 (s, 3H), 4.74 (d, 2H), 4.55 (s, 2H), 5.25 (d, 1H), 5.38 (d, 1H), 6.02 (m, 1H), 6.75 (d, 1H), 6.82 (s, 1H), 7.29 (d, 1H).
【0146】
d)5−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−ベンジルオキシ)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール
【化13】

【0147】
0.856g(0.036ミリモル)の95%水素化ナトリウムを−50℃で4.677g(0.024ミリモル)の1−アリルオキシ−4−クロロメチル−2−メチル−ベンゼン及び3.000g(0.024ミリモル)の2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタノール/N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の溶液に添加した。この混合物を室温にゆっくり加温して、5時間攪拌した。当該混合物を真空で濃縮し、そして残渣を酢酸エチルと水との間で分配した。有機層をNa2SO4上で脱水し、そして溶媒を減圧下蒸留することで、6.40g(94%)の−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−ベンジルオキシ)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾールが褐色の油として生成し、これを更に精製することなく使用した。
1H-NMR 400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.20 (s, 3 H), 2.88 (t, 6.6 Hz, 2 H), 3.63 (t, 6.6 Hz, 2 H), 3.70 (s, 3 H), 4.40 (s, 2 H), 4.51 (m, 2 H), 5.23 (m, 1 H), 5.37 (m, 1 H), 6.02 (d, 1.8 Hz, 1 H), 6.06 (m, 1 H), 6.71 (dd, 2.6 Hz, 8.3 Hz, 1 H), 6.77 (d, 2.6 Hz, 1 H,), 7.15 (d, 8.3 Hz, 1H,), 7.26 (d, 1.8 Hz, 1 H)
【0148】
e)3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノール
【化14】

【0149】
6.40g(22.4ミリモル)の−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−ベンジルオキシ)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール/100mlのジクロロメタンの溶液を、10.47g(67.0ミリモル)の1,3−ジメチルバルビツール酸及び774mg(0.7ミリモル)のPd(PPH34/30mlのジクロロメタンの溶液に添加し、そして一晩40℃で攪拌した。この混合物を3x飽和NaHCO3溶液で抽出した。一まとめにした水層をジクロロメタンで抽出した。一まとめにした有機抽出物をNa2SO4上で脱水した。溶媒を蒸留し、そして残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 1:1)により精製することで、1.60g(29%)の3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノールが橙色の固体として生成した。
1H-NMRUOOMHZ, D6-DMSO): δ= 2.15 (s, 3 H), 2.86 (t, 6.6 Hz, 2 H), 3.61 (t, 6.6 Hz, 2 H), 4.35 (s, 2 H), 6.02 (d, 1.8 Hz, 1 H), 6.51 (dd, 2.4 Hz, 8.1 Hz, 1 H), 6.57 (d, 2.4 Hz, 1 H,), 7.02 (d, 8.1 Hz, 1H,), 7.26 (d, 1.8 Hz, 1 H), 9.24 (s, 1H)
【0150】
実施例1
4−{3−メチル−4−[2−(E)−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾール
【化15】

【0151】
51mg(2.11ミリモル)の95%水素化ナトリウムを259mg(1.05ミリモル)の3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノール/20mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の溶液に添加し、そして15分間攪拌した。続いて、320mg(1.05ミリモル)の4−クロロメチル−2−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを添加し、そして室温で一晩攪拌し続けた。5mlの水を添加した後、全ての揮発物を真空で除去し、そして残渣をHPLC/MS(RP18、メタノール−水のグラジエント)により精製することで、300mg(56%)の4−{3−メチル−4−[2−(E)−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが無色の固体として生成した(融点77〜78℃)。
MS: M = 514.3 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.22 (s, 3H), 2.89 (t, 6.6 Hz, 2H), 3.64 (t, 6.6 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 4.42 (s, 2H), 5.00 (s, 2H), 6.03 (s, 1H), 6.82 (dd, 2.5 Hz, 8.0 Hz, 1H), 6.86 (d, 2.5 Hz, 1H), 7.18 (d, 8.0 Hz, 1H), 7.25 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.40 (d, 8.5 Hz, 2H), 7.56 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.87 (d, 8.5 Hz, 2H), 8.21 (s, 1H)
【0152】
実施例2
4−{3−メチル−4−[2−(E)−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール
【化16】

【0153】
4−クロロメチル−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを用いた実施例1に記載のものと類似の反応により、77%の4−{3−メチル−4−[2−(E)−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが白色の固体として生成した(融点96−97℃)。
MS: M = 498.4 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.21 (s, 3H), 2.89 (t, 6.6 Hz, 2H), 3.64 (t, 6.6 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 4.42 (s, 2H), 4.99 (s, 2H), 6.03 (s, 1H), 6.82 (dd, 2.5 Hz, 8.3 Hz, 1H), 6.86 (d, 2.5 Hz, 1H), 7.18 (d, 8.3 Hz, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.34 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.62 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.76 (d, 8.3 Hz, 2H), 7.95 (d, 8.3 Hz, 2H), 8.24 (s, 1H)
【0154】
実施例3
2−[(E)−2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾール
【化17】

【0155】
4−クロロメチル−2−[2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを用いた実施例1に記載のものと類似の反応により、50%の4−{3−メチル−4−[2−(E)−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが白色の固体として生成した(融点106−107℃)。
MS: M = 464.6 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.21 (s, 3H), 2.88 (t, 6.6 Hz, 2H), 3.64 (t, 6.6 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 4.42 (s, 2H), 4.99 (s, 2H), 6.04 (d, 1.6 Hz, 1H), 6.81 (dd, 2.4 Hz, 8.2 Hz, 1H), 6.86 (d, 2.4 Hz, 1H), 7.19 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.20 (d, 8.2 Hz, 1H), 7.26 (d, 1.6 Hz, 1H), 7.47 (d, 8.3 Hz, 2H), 7.52 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.76 (d, 8.3 Hz, 2H), 8.20 (s, 1H)
【0156】
実施例4
2−[2−(E)−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾール
【化18】

【0157】
4−クロロメチル−2−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを用いた実施例1に記載のものと類似の反応により、61%の4−{3−メチル−4−[2−(E)−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが浅黄色の固体として生成した。
MS: M = 516.4 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.22 (s, 3H), 2.89 (t, 6.6 Hz, 2H), 3.65 (t, 6.6 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 4.42 (s, 2H), 5.01 (s, 2H), 6.04 (d, 1.8 Hz, 1H), 6.82 (dd, 2.7 Hz, 8.3 Hz, 1H), 6.86 (d, 2.7 Hz, 1H), 7.18 (d, 8.3 Hz, 1H), 7.26 (d, 1.8 Hz, 1H), 7.39 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.59 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.64 (d, 7.6 Hz, 1H), 7.77 (d, 10.9 Hz, 1H), 8.15 (t, 7.9 Hz, 1H), 8.27 (s, 1H)
【0158】
中間体3
トルエン−4−スルホン酸2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エチルエステル
【化19】

【0159】
5.74g(30.1ミリモル)のトルエン−4−スルホニルクロリド、3.69g(36.5ミリモル)のトリエチルアミン及び0.92g(7.5ミリモル)の4−(N,N−ジメチルアミノ)−ピリジン(DMAP)/75mlのジクロロメタンの溶液を一滴ずつ−10℃で3.8g(30.1ミリモル)の2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタノール/75mlのジクロロメタンの溶液に添加し、そして−4℃で一晩攪拌し続けた。100mlの氷水及び100mlのジクロロメタンの添加後、相を分離し、そして有機層をリン酸二水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させた。収量:6.81g(81%)のトルエン−4−スルホン酸2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エチルエステルが黄色の液体として生成した。これを更に精製することなく使用した。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.42 (s, 3H), 2.99 (t, 6.2 Hz, 2H), 3.66 (s, 3H), 4.24 (t, 6.2 Hz, 2H), 5.99 (d, 1.5 Hz, 1H), 7.27 (d, 1.5 Hz, 1H), 7.47 (d, 8.3 Hz, 2H), 7.74 (d, 8.3 Hz, 2H)
【0160】
中間体4
3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノール
a)(4−アリルオキシ−2−メチル−フェニル)−メタンチオール
【化20】

【0161】
19.6g(107.3ミリモル)の1−アリルオキシ−4−クロロメチル−ベンゼンと8.99g(118ミリモル)のチオウレア/25mlのエタノールの混合物を7時間還流し、続いて一晩冷却し、蒸発させ、そして残渣をエタノールで洗浄した。これを加熱して25mlのエタノール及び7.5mlの25%アンモニアと一緒に2時間還流し、続いて蒸発させ、そして5mlの6NのHClと酢酸エチルとの間で分配した。有機相を乾燥させ、そして蒸発させることで、13.65g(71%)の(4−アリルオキシ−2−メチル−フェニル)−メタンチオールがほぼ無色の油として残った。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.30 (s, 3H), 2.60 (t, 7.1 Hz, 1H), 3.67 (d, 7.1 Hz, 2H), 4.52 (m, 2H), 5.24 (m, 1H), 5.37 (m, 1H), 6.02 (m, 1H), 6.71 (dd, 2.7 Hz, 8.3 Hz, 1H), 6.76 (d, 2.7 Hz, 1H), 7.15 (d, 8.3 Hz, 1H)
【0162】
b)5−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−ベンジルスルファニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール
【化21】

【0163】
4.75g(24.5ミリモル)の(4−アリルオキシ−2−メチル−フェニル)−メタンチオールと6.86g(24.5ミリモル)のトルエン−4−スルホン酸2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エチルエステル/30mlのN,N−ジメチルホルムアミドの混合物に対し、アルゴン雰囲気のもと−30℃で0.71g(29.4ミリモル)の水素化ナトリウムを添加した。この混合物を室温にまで加温し、そしてアルゴン雰囲気のもと12時間攪拌した。100mlの水でクエンチングした後、混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させた。シリカ上での精製は、酢酸エチル/ヘプタン1:1による溶出の後、5.30g(72%)の5−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−ベンジルスルファニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾールを薄黄色の油として精製させた。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.31 (s, 3H), 2.67 (t, 7.6 Hz, 2H), 2.85 (t, 7.6 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.72 (s, 2H), 4.52 (m, 2H), 5.24 (m, 1H), 5.37 (m, 1H), 6.02 (m, 1H), 6.04 (d, 1.7 Hz, 1H), 6.71 (dd, 2.7 Hz, 8.3 Hz, 1H), 6.78 (d, 2.7 Hz, 1H), 7.12 (d, 8.3 Hz, 1H), 7.27 (d, 1.7 Hz, 1H)
【0164】
c)5−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−フェニルメタンスルフィニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール
【化22】

【0165】
5.35g(17.7ミリモル)の5−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−ベンジルスルファニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール/150mlのジクロロメタン溶液に対し、一滴ずつ、−30℃で3.05g(17.7ミリモル)の3−クロロ−ベンゼンカルボペルオキソ酸/ジクロロメタンの溶液を添加し、そして1時間攪拌し続けた。この混合物を一晩加温し、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムの溶液、続いて水で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させた。酢酸エチル/ヘプタン(1/1〜1/10)によるシリカからの溶出により、4.44g(71%)の5−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−フェニルメタンスルフィニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾールが白色の固体として生成した。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.31 (s, 3H), 2.93-3.16 (m, 4H), 3.75 (s, 3H), 4.00 (d, 13.1 Hz, 1H), 4.15 (d, 13.1 Hz, 1H), 4.55 (m, 2H), 5.24 (m, 1H), 5.37 (m, 1H), 6.02 (m, 1H), 6.09 (d, 1.5 Hz, 1H), 6.77 (dd, 2.5 Hz, 8.3 Hz, 1H), 6.83 (d, 2.5Hz, 1H), 7.17 (d, 8.3 Hz, 1H), 7.30 (d, 1.7 Hz, 1H)
d)3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノール
【化23】

5.88g(0.038モル)の1,3−ジメチル−ピリミジン−2,4,6−トリオン及び0.44g(0.38ミリモル)のテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム/100mlのジクロロメタンの溶液に対し、一滴ずつ、4.00g(12.56ミリモル)の5−[2−(4−アリルオキシ−2−メチル−ベンジルスルフィニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾールの溶液を添加し、そして一晩45℃で攪拌し続けた。この反応混合物を3分割した炭酸水素ナトリウム溶液で抽出した。有機層を乾燥させ、そして蒸発させた。HPLC/MS(RP18、メタノール−水のグラジエント)により、2.20g(63%)の3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノールが黄色の固体として生成した。
1H-NMR (400 MHz, D^-DIVISO): δ= 2.26 (s, 3H), 2.91-3.14 (m, 4H), 3.75 (s, 3H), 3.96 (d, 13.1 Hz, 1H), 4.10 (d, 13.1 Hz, 1H), 6.09 (d, 1.8 Hz, 1H), 6.58 (dd, 2.4 Hz, 8.3 Hz, 1H), 6.63 (d, 2.4 Hz, 1H), 7.06 (d, 8.3 Hz, 1H), 7.31 (d, 1.8 Hz, 1H), 9.39 (s, 1H)
【0166】
実施例5
4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾール
【化24】

【0167】
22mg(0.91ミリモル)の95%水素化ナトリウムを212mg(0.76ミリモル)の4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノール/20mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の溶液に加え、そして30分間攪拌した。続いて、230mg(0.76ミリモル)の4−クロロメチル−2−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを添加し、そして室温で一晩攪拌し続けた。5mlの水を添加した後、全ての揮発性成分を真空で除去し、そして残渣をHPLC/MS(RP18、メタノール−水のグラジエント)によって精製することで、170mg(41%)の4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが無色の固体として生成した(融点138−139℃)。
MS: M = 546.4 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.33 (s, 3H), 2.93-3.16 (m, 4H), 3.76 (s, 3H), 4.02 (d, 13.1 Hz, 1H), 4.17 (d, 13.1 Hz, 1H), 5.01 (s, 2H), 6.10 (d, 1.8 Hz, 1H), 6.88 (dd, 2.5 Hz, 8.1 Hz, 1H), 6.92 (d, 2.5 Hz, 1H), 7.20 (d, 8.1 Hz, 1H), 7.21 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.30 (d, 1.8 Hz, 1H), 7.40 (d, 8.5 Hz, 2H), 7.57 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.87 (d, 8.5 Hz, 2H), 8.22 (s, 1H)
【0168】
実施例6
2−[2−(E)−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾール
【化25】

4−クロロメチル−2−[2−(4−クロロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを用いた実施例8に記載のものと類似の反応により、31%の2−[2−(E)−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾールが白色固体として生成した(融点169−171℃)。
MS: M = 496.4 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.33 (s, 3H), 2.93-3.17 (m, 4H), 3.75 (s, 3H), 4.01 (d, 12.9 Hz, 1H), 4.16 (d, 12.9 Hz, 1H), 5.01 (s, 2H), 6.09 (d, 1.8 Hz, 1H), 6.88 (dd, 2.5 Hz, 8.1 Hz, 1H), 6.92 (d, 2.5 Hz, 1H), 7.20 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.20 (d, 8.1 Hz, 1H), 7.30 (d, 1.8 Hz, 1H), 7.47 (d, 8.5 Hz, 2H), 7.53 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.76 (d, 8.5 Hz, 2H), 8.21 (s, 1H)
【0169】
実施例7
4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール
【化26】

【0170】
4−クロロメチル−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを用いた実施例8に記載の方法と類似の反応により、30%の4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが白色の固体として生成した(融点161−162℃)。
MS: M = 530.3 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.33 (s, 3H), 2.91-3.16 (m, 4H), 3.76 (s, 3H), 4.02 (d, 13.0 Hz, 1H), 4.17 (d, 13.0 Hz, 1H), 5.03 (s, 2H), 6.10 (s, 1H), 6.89 (dd, 2.5 Hz, 8.1 Hz, 1H), 6.92 (d, 2.5 Hz, 1H), 7.20 (d, 8.1 Hz, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.34 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.62 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.77 (d, 8.3 Hz, 2H), 7.96 (d, 8.3 Hz, 2H), 8.26 (s, lH)
【0171】
中間体5
4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノール
a)(4−アリルオキシ−フェニル)−メタンチオール
【化27】

19.6g(107.3ミリモル)の1−アリルオキシ−4−クロロメチル−ベンゼン及び8.99g(118ミリモル)のチオウレア/25mlエタノールの混合物を7時間還流し、続いて一晩冷却し、蒸発させ、そして残渣をエタノールで洗浄した。これを25mlのエタノール及び7.5mlの25%アンモニアと一緒に2時間還流し、続いて蒸発させ、そして5mlの6N HClと酢酸エチルとの間で分配した。有機層を乾燥させ、そして蒸発させることにより、13.65g(71%)の(4−アリルオキシ−フェニル)−メタンチオールがほぼ無色の油として残った。
1H-NMR (400 MHz, D.-DMSO): δ= 2.73 (t, 7.4 Hz, 1H), 3.68 (d, 7.4 Hz, 2H), 4.53 (m, 2H), 5.24 (m, 1H), 5.38 (m, 1H), 6.03 (m, 1H), 6.88 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.24 (d, 8.6 Hz, 2H)
【0172】
b)5−[2−(4−アリルオキシ−ベンジルスルファニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール
【化28】

2.87g(15.9ミリモル)の(4−アリルオキシ−フェニル)−メタンチオール及び4.46g(15.9ミリモル)のトルエン−4−スルホン酸2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エチルエステル/30mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の混合物に対し、アルゴン雰囲気のもと−30℃で0.46g(19.1ミリモル)の水素化ナトリウムを添加した。当該混合物を室温に加温し、そしてアルゴン雰囲気のもと12時間攪拌した。100mlの水でクエンチングした後、混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させた。シリカ上での精製は、酢酸エチル/ヘプタン1:1による溶出の後、2.25g(49%)の−[2−(4−アリルオキシ−ベンジルスルファニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾールが薄黄色の油として生成した。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.62 (t, 7.6 Hz, 2H), 2.83 (t, 7.6 Hz, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.72 (s, 2H), 4.54 (m, 2H), 5.24 (m, 1H), 5.38 (m, 1H), 6.02 (m, 1H), 6.03 (d, 1.8 Hz, 1H), 6.89 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.23 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.26 (d, 1.8 Hz, 1H)
【0173】
c)5−[2−(4−アリルオキシ−フェニルメタンスルフィニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール
【化29】

【0174】
2.26g(7.8ミリモル)の5−[2−(4−アリルオキシ−ベンジルスルファニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾール/150mlのジクロロメタンの溶液に対し、一滴ずつ、−30℃で1.76g(77%、7.8ミリモル)の3−クロロ−ベンゼンカルボペルオキソ酸/ジクロロメタンの溶液を添加した。この混合物を一晩加温して、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムの溶液で洗浄し、乾燥し、そして蒸発させた。酢酸エチル/ヘプタン(1/1〜1/10)によるシリカからの溶出により、5−[2−(4−アリルオキシ−フェニルメタンスルフィニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾールが白色固体として定量的な収率で生成した。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.78-3.08 (m, 4H), 3.74 (s, 3H), 3.95 (d, 12.9 Hz, 1H), 4.12 (d, 12.9 Hz, 1H), 4.56 (m, 2H), 5.26 (m, 1H), 5.39 (m, 1H), 6.04 (m, 1H), 6.08 (d, 1.8 Hz, 1H), 6.95 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.24 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.29 (d, 1.7 Hz, 1H)
【0175】
d)4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノール
【化30】

3.85g(24.6ミリモル)の1,3−ジメチル−ピリミジン−2,4,6−トリオン及び0.289g(0.25ミリモル)のテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム/80mlのジクロロメタンの溶液に対し、一滴ずつ、2.50g(8.21ミリモル)の5−[2−(4−アリルオキシ−フェニルメタンスルフィニル)−エチル]−1−メチル−1H−ピラゾールの溶液を添加し、そして一晩45℃で攪拌し続けた。この反応混合物を3分割した炭酸水素ナトリウム溶液で抽出した。有機層を乾燥させ、そして蒸発させた。HPLC/MS(RP18、メタノール−水のグラジエント)により、0.500g(23%)の4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノールが白色の固体として生成した。
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.78-3.05 (m, 4H), 3.74 (s, 3H), 3.90 (d, 12.9 Hz, 1H), 4.06 (d, 12.9 Hz, 1H), 6.07 (d, 1.7 Hz, 1H), 6.75 (d, 8.3 Hz, 2H), 7.13 (d, 8.3 Hz, 2H), 7.29 (d, 1.7 Hz, 1H), 9.47 (s, 1H)
【0176】
実施例8
4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾール
【化31】

23mg(0.95ミリモル)の95%水素化ナトリウムを209mg(0.79ミリモル)の4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノール/30mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の溶液に添加し、そして30分間攪拌した。続いて、240mg(0.79ミリモル)の4−クロロメチル−2−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを添加し、そして室温で一晩攪拌し続けた。5mlの水を添加した後、全ての揮発物を真空で除去し、そして残渣をHPLC/MS(RP18、メタノール−水のグラジエント)により精製することで、140mg(33%)の4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが無色の固体として生成した(融点144−146℃)。
MS: M = 532.2 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.80-2.92 (m, 2H), 2.96-3.08 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.96 (d, 12.9 Hz, 1H), 4.14 (d, 12.9 Hz, 1H), 5.03 (s, 2H), 6.08 (d, 1.8 Hz, 1H), 7.05 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.21 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.27 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.29 (d, 1.8 Hz, 1H), 7.40 (d, 8.5 Hz, 2H), 7.57 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.87 (d, 8.5 Hz, 2H), 8.23 (s, 1H)
【0177】
実施例9
4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール
【化32】

4−クロロメチル−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールを用いた実施例8に記載の方法と類似の反応により、37%の4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが白色固体として生成した(融点172−174℃)。
MS: M = 516.3 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 2.80-2.92 (m, 2H), 2.96-3.08 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.97 (d, 12.9 Hz, 1H), 4.14 (d, 12.9 Hz, 1H), 5.04 (s, 2H), 6.08 (d, 2.0 Hz, 1H), 7.06 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.28 (d, 8.6 Hz, 2H), 7.29 (d, 2.0 Hz, 1H), 7.34 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.62 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.76 (d, 8.5 Hz, 2H), 7.95 (d, 8.5 Hz, 2H), 8.26 (s, 1H)
【0178】
実施例10
4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルホニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール
【化33】

32mg(0.06ミリモル)の4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(E)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール/15mlのジクロロメタンの溶液に対し、0℃で、13mg(0.06ミリモル)の3−クロロ−ベンゼンカルボペルオキソ酸/ジクロロメタンの溶液を添加した。この混合物を加温し、そして室温で一晩攪拌した。溶媒の除去後、HPLC/MS(RP18,メタノール−水のグラジエント)により30mg(91%)の4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルホニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾールが白色固体として生成した(204℃の融点)。
MS: M = 532.3 (ES+)
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ= 3.04 (t, 8.0 Hz, 2H), 3.35 (t, 8.0 Hz, 2H), 3.74 (s, 3H), 4.46 (s, 2H), 5.05 (s, 2H), 6.11 (d, 1.8 Hz, 1H), 7.09 (d, 8.9 Hz, 2H), 7.31 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.34 (d, 8.9 Hz, 2H), 7.36 (d, 1.8 Hz, 1H), 7.62 (d, 16.4 Hz, 1H), 7.76 (d, 8.1 Hz, 2H), 7.95 (d, 8.1 Hz, 2H), 8.27 (s, 1H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

(ここで、
1はハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ又はハロゲンであり;
2は水素又はハロゲンであり;
3は水素又はアルキルであり;
4はアルキルであり;
Wは、−O−、−S−、−S(O)−又は−S(O)2−である)及び医薬として許容されるその全ての塩。
【請求項2】
1がハロゲン化アルコキシであり;そして
2が水素である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Wが−O−又は−S(O)−である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
3がアルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;
4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;
2−[(E)−2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾール;
2−[(E)−2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エトキシメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾール;
4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;
2−[(E)−2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−オキサゾール;
4−{3−メチル−4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;
4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;
4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルフィニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール;及び
4−{4−[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタンスルホニルメチル]−フェノキシメチル}−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−オキサゾール
から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
(a)式Vの化合物
【化2】

(ここで、R3、及びR4は、請求項1の式Iで示した意味を有し、そして
Wは−O−、−S−又は−S(O)−である)
を、式IVの化合物
【化3】

(ここで、R1及びR2は、請求項1の式Iで示した意味を有する)と反応させ、Wが−O−、−S−又は−S(O)−である式Iの各化合物を生成させ;
(b)所望により、Wが−S−又は−S(O)−である式Iの前記化合物を酸化して、Wが−S(O)2−である式Iの各化合物を生成させ;
(c)前記化合物を反応混合物から単離し、そして
(d)所望により、医薬として許容される塩に変換する、
請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物と、医薬として許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項8】
腫瘍増殖の阻害のための請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
腫瘍増殖の阻害のための相当の医薬の製造のための請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−504586(P2009−504586A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525454(P2008−525454)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007789
【国際公開番号】WO2007/017222
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】