説明

ピラー端子及びコンセント及びスイッチ

【課題】端子ねじが挿通する開口部の縁と上面部の端縁との間隔を確保することのできるピラー端子及びコンセント及びスイッチを提供する。
【解決手段】このピラー端子80は、端子枠110と端子ねじ100とを備える。端子枠110は、第1側面部114及び第2側面部116と、第1側面部114と第2側面部116との間に設けられた底面部115と、底面部115に対向して第2側面部116から延設された第2上面部(内側上面部)117と、この第2上面部117の外側面に対向し第1側面部114から延設された第1上面部(外側上面部)113とを備えている。第1側面部114と第2側面部116と底面部115と第2上面部117とにより囲まれる空間である端子枠貫通孔には、電線が配置される。第1上面部113は、第2側面部116から外部に突出するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が内側に挿入される筒状の端子枠と、この端子枠内にねじ入れられる端子ねじとを備えたピラー端子並びにその接続構造のコンセント及びスイッチ。
【背景技術】
【0002】
コンセントの刃受けと電線とを電気的に接続するピラー端子が知られている(例えば、特許文献1)。ピラー端子は、端子枠と端子ねじにより構成されている。端子枠内には1本又は数本の電線が挿入される。端子ねじを端子枠にねじ入れることにより、電線と接触端子部とが押圧される。これにより、電線と接触端子部とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−249282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、コンセントやスイッチの小型化にともないピラー端子も小型化することが要求されるが、ピラー端子を小型化する場合、端子ねじが挿通する開口部の縁と上面部の端縁との間隔を狭くする必要がある。しかし、この場合は、ピラー端子の製造過程において前記開口部を形成したときに、開口部の縁と上面部の端縁との間の部分に変形が生じやすいことが問題となる。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、端子ねじが挿通する開口部の縁と上面部の端縁との間隔を確保することのできるピラー端子及びコンセント及びスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、端子枠内に挿入される電線を端子ねじにより固定するピラー端子において、前記端子枠は、互い対向する第1側面部及び第2側面部と、前記第1側面部と前記第2側面部との間に設けられた底面部と、前記底面部に対向して前記第2側面部から延設された内側上面部と、この内側上面部の外側面に対向し前記第1側面部から延設された外側上面部とを含み、前記第1側面部と前記第2側面部と前記底面部と前記内側上面部とにより囲まれる空間である端子枠貫通孔に前記電線が配置されるものであり、前記外側上面部は、前記第2側面部から外部に突出して形成されていることを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、外側上面部が、第2側面部から外部に突出して形成されているため、外側上面部に形成される開口部と外側上面部の端縁までの間隔を大きくすることができる。
【0008】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のピラー端子において、前記端子枠と前記端子ねじの先端部との間には、前記端子ねじの先端部により押される端子補助板が設けられていることを要旨とする。
【0009】
端子ねじの先端部により電線を押圧する構造の従来のピラー端子にあっては、端子ねじの先端部により電線が捻られながら押圧するようになるため、電線の一部分に強く圧力が加わる。この点、本発明によれば、電線が端子補助板により押圧されるため、電線が端子ねじの先端により押圧される構造のピラー端子に比較して、電線を均等に押圧することができる。
【0010】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のピラー端子を含むコンセントであることを要旨とする。
端子ねじをねじ込むときに外側上面部に加わる力によって同外側上面部の変形が生じるおそれがある。この点、本発明によれば、外側上面部に形成される開口部と外側上面部の端縁までの間隔が大きくなっているため、当該部分の強度が大きくなり、当該部分の変形を抑制することができる。これにより、コンセントの耐久性を向上することができる。
【0011】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のコンセントにおいて、前記外側上面部のうち前記第2側面部よりも外部に突出している部分を突出部として、当該コンセントは、前記ピラー端子を収容する収容ケースを備えるものであり、前記収容ケースは、前記ピラー端子を収容するピラー端子収容室が設けられ、前記ピラー端子収容室には、前記ピラー端子を前記ピラー端子収容室に収容したときに前記突出部が嵌り込む嵌合部が設けられていることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、ピラー端子をピラー端子収容室に収容すると端子枠の突出部が嵌合部に嵌り込むため、このような嵌合部がないものと比較して、ピラー端子のピラー端子収容室に収容する際におけるピラー端子のピラー端子収容室に対する位置決め精度を高くすることができる。
【0013】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載のピラー端子を含むスイッチであることを要旨とする。
この発明によれば、外側上面部の開口部と外側上面部の端縁までの部分の強度が大きくなっているため、当該変形を抑制することができる。これにより、スイッチの耐久性を向上することができる。
【0014】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチにおいて、前記外側上面部のうち前記第2側面部よりも外部に突出している部分を突出部として、前記ピラー端子を収容する収容ケースを備え、前記収容ケースには、前記ピラー端子を収容するピラー端子収容室が設けられ、前記ピラー端子収容室には、前記ピラー端子を前記ピラー端子収容室に収容したときに前記突出部が嵌り込む嵌合部が設けられていることを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、ピラー端子をピラー端子収容室に収容すると端子枠の突出部が嵌合部に嵌り込むため、ピラー端子のピラー端子収容室に収容する際におけるピラー端子のピラー端子収容室に対する位置決め精度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、端子ねじが挿通する開口部の縁と上面部の端縁との間隔を確保することのできるピラー端子及びコンセント及びスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のコンセントを具体化した第1実施形態について、同コンセントを分解した状態を示す分解斜視図。
【図2】同実施形態のコンセントについて、このコンセントの断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態のコンセントのボディについて、同ボディにピラー端子及び刃受け部を収容したものの斜視構造を示す斜視図。
【図4】同実施形態のコンセントの刃受け部について、同刃受け部の斜視構造を示す斜視図。
【図5】同実施形態のコンセントの刃受け部について、同刃受け部の側面構造を示す側面図。
【図6】同実施形態のコンセントの刃受け部について、同刃受け部の正面構造を示す正面図。
【図7】同実施形態のコンセントのピラー端子について、同ピラー端子の斜視構造を示す斜視図。
【図8】同実施形態のコンセントのピラー端子について、同ピラー端子の平面構造を示す平面図。
【図9】同実施形態のコンセントの端子補助板について、同端子補助板の斜視構造を示す斜視図。
【図10】同実施形態の端子部に電線を取り付けたものについて、この電線接続状態の端子部の斜視構造を示す斜視図。
【図11】同実施形態の端子部に電線を取り付けた状態のものについて、この電線接続状態の端子部を下方から見た下面図。
【図12】同実施形態の端子部に電線を取り付けた状態のものについて、端子部を透視して見た透視図。
【図13】本発明のスイッチを具体化した第2実施形態について、同スイッチの斜視構造を示す斜視図。
【図14】同実施形態のスイッチについて、このスイッチの断面構造を示す断面図。
【図15】同実施形態のスイッチのボディについて、同ボディの平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図12を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。この実施形態では、ピラー端子を含むコンセントとして本発明を具体化した一例を示している。またコンセントの構成としては、栓刃のプラグ及び丸ピンのプラグの双方に対応したものを挙げている。
【0019】
図1に示すように、コンセントAは、同コンセントAの外枠を構成する収容ケース1と、プラグの栓刃が接続される一対の端子部3と、同プラグの栓刃が差し込まれる差込口22を開閉する扉部2とにより構成されている。
【0020】
以降では、コンセントAに対してプラグの栓刃が挿入される方向を「上下方向」とし、その上下方向において差込口22がある方向を「上方」とし、その反対方向を下方とする。差込口22の並び方向を「長手方向」とし、この長手方向及び上下方向のいずれにも直行する方向を「幅方向」とする。
【0021】
収容ケース1には、端子部3の一部を収容するボディ10と、ボディ10に取り付けられるカバー20と、ボディ10とカバー20とを係止する係止部品23とが設けられている。カバー20には、一対の差込口22が設けられている。ボディ10の長手方向の両側面には第1係合部11が設けられている。カバー20の長手方向の側面には第2係合部21が設けられている。第1係合部11と第2係合部21は、カバー20とボディ10とを組み付けた状態で上下に隣り合うようになっている。係止部品23は、第1係合部11と第2係合部21とに係合して、カバー20とボディ10とを締結する。
【0022】
扉部2には、差込口22を開閉する一対の開閉体30と、開閉体30を付勢する開閉ばね31と、扉部2を支持する支持部32とが設けられている。開閉体30は、カバー20の長手方向の長さよりも短くされ、差込口22を閉鎖するようにカバー20の内側に設けられている。開閉体30の側面とカバー20の幅方向の内側面との間には開閉ばね31が設けられ、一対の開閉体30が互いに押圧するようにされている。支持部32は、開閉体30及び開閉ばね31を覆うようにしてカバー20に取り付けられる。同支持部32は、開閉体30が幅方向に移動することができるように同開閉体30を支持している。また同支持部32には、一対の差込口22に対応するように一対の栓刃挿通口33が設けられている。
【0023】
端子部3には、プラグの栓刃及び丸ピンが挿入される一対の刃受け部40と、電線300と刃受け部40とを接続する一対のピラー端子80とが設けられている。刃受け部40は差込口22に対応する位置に設けられている。ピラー端子80は、刃受け部40に対応する位置に設けられている。ピラー端子80には、電線300を押圧する端子補助板90と、端子補助板90を押圧する端子ねじ100と、端子ねじ100を支持する端子枠110とが設けられている。
【0024】
図2を参照して、コンセントAの差込口22及び開閉体30及び刃受け部40の位置関係について説明する。差込口22はカバー20に長手方向に並列している。差込口22の下方には、開閉体30が設けられる。開閉体30の下方には刃受け部40が設けられている。刃受け部40の下方にはピラー端子80が設けられている。
【0025】
図3を参照して、ボディ10について端子部3を収容する収容構造を説明する。同図には、片方のピラー端子80が収容された状態のボディ10が示されている。
ボディ10には、長手方向の中間部に隔壁12が設けられている。ボディ10の内部は、隔壁12により2つの端子収容室13に区切られている。各端子部3は隔壁12により絶縁される。端子収容室13には、刃受け部40を収容する刃受け部収容室14と、ピラー端子80を収容するピラー端子収容室15とが設けられている。
【0026】
刃受け部収容室14は、ボディ10の上部且つ幅方向に亘って設けられている。刃受け部収容室14の中間部よりも幅方向に離れた位置に突起16が設けられている。刃受け部40は、刃受け部収容室14に配置され、突起16により位置決めされる。
【0027】
ピラー端子収容室15は、ボディ10の下部且つ幅方向の半分の領域に設けられている。2つのピラー端子収容室15はボディ10に対して対角線上に配置されている。ピラー端子収容室15の底面部17であって且つピラー端子80に対向する部分には、電線300が通る電線挿通口17aが設けられている。ピラー端子収容室15の側面部18であって且つピラー端子80と対向する部分には、端子ねじ100を回すための開口部18aが形成されている。また、ピラー端子収容室15の内周面には、ピラー端子80を位置決めするための嵌合部15aが設けられている。
【0028】
図4〜図6を参照して、刃受け部40について説明する。
刃受け部40には、栓刃または丸ピンが差し込まれる刃受けばね50と、電線300と接触する接触端子部70と、刃受けばね50と接触端子部70とを連結する連結部60とが設けられている。刃受けばね50と接触端子部70と連結部60とは一体的なものであり、一つの部材から加工されている。ここでは、刃受けばね50に対して丸ピンが挿入される軸を丸ピン挿入軸CAとし、刃受けばね50に対して栓刃が挿入される栓刃挿入軸CBとする。
【0029】
刃受けばね50は、刃受け部本体51と、丸ピンと接触する一対の丸ピン受けばね53と、栓刃と接触する一つの栓刃受けばね55とにより構成されている。
一対の丸ピン受けばね53は、刃受け部本体51の幅方向の両側端52に、互いに対向するように設けられている。同丸ピン受けばね53は、丸ピン挿入軸CAに対して、上方に向かうにつれて幅方向に広がるように屈曲され、所定高さを超えたところで徐々に狭まるように屈曲され、さらに上方に向かうにつれて再度広がるように形成されている。丸ピン受けばね53の間隔が狭まるところには、丸ピンと接触する丸ピン接触部53aが設けられている。丸ピン受けばね53のそれぞれは、図5に示すように側面視で異なった形状となっている。すなわち、刃受け部本体51に対して連結部60と同じ側に設けられている丸ピン受けばね53には、その根元を切り欠いた切り欠き部54が設けられている。他方の丸ピン受けばね53には切り欠き部54が設けられていない。切り欠き部54は連結部60を形成するために設けられている。すなわち、丸ピン受けばね53を平面状に展開したときに丸ピン受けばね53と連結部60とが重ならないようになっている。このような形状により、刃受け部40は一枚の部材から形成されるようになっている。
【0030】
栓刃受けばね55は、刃受け部本体51の長手方向の側に設けられている。連結部60が設けられている。同栓刃受けばね55は、栓刃挿入軸CBに対して、上方に向かうにつれて幅方向に広がるように屈曲され、所定高さを超えたところで徐々に狭まるように屈曲され、さらに上方するにつれて再度広がるように屈曲されている。栓刃受けばね55が栓刃挿入軸CBに対して狭まるところには、栓刃と接触する栓刃接触部55aが設けられている。
【0031】
連結部60は、同刃受け部本体51と同一平面となるように設けられている。連結部60の幅方向の側端62には、刃受け部40を位置決めする位置決め部61が設けられている。位置決め部61は、刃受け部40がボディ10に嵌め込められたときに、ボディ10の側壁に当たるようになっている。
【0032】
接触端子部70は、連結部60の長手方向の側端に、この連結部60に対して垂直な方向且つ下方に延びるように設けられている。図4に示すように、接触端子部70は、その断面が円弧状となるように形成されている。すなわち接触端子部70のうちで電線300に接触する接触面71が円弧状に凹む形状に形成され、その両側端が、端子補助板90が配置されている方向(図中右方向)に向かって屈曲している。また図6に示すように接触面71には、幅方向に延びる溝72が複数形成されている。電線300は接触端子部70に沿って下方に配置される。すなわち、溝72は、電線300の配線方向と交差する方向に延びるように形成されている。
【0033】
図7及び図8を参照して、ピラー端子80について説明する。
ピラー端子80の端子枠110は、端子枠貫通孔111を有した筒状体により構成されている。すなわち、端子枠110は、一枚の金属板から形成され、第1上面部(外側上面部)113と、第1上面部113から延設された第1側面部114と、第1側面部114から延設された底面部115と、底面部115から延設された第2側面部116と、第2側面部116から延設され第1上面部113の内側に配置される第2上面部(内側上面部)117とにより構成されている。第1側面部114と第2側面部116は向かいあって配置されている。また底面部115と第2上面部117は向かいあって配置されている。また第1上面部113には、開口部113aが設けられている。第2上面部117には、円筒状の突出部が設けられ、この突出部にねじ穴112が形成されている。ねじ穴112は、開口部113aに嵌りこむようになっている。ねじ穴112には端子ねじ100がねじ込まれている。
【0034】
底面部115は、接触端子部70に沿うように円弧状に形成されている。また、ピラー端子80の端子枠貫通孔111には、端子補助板90が挿入されている。端子ねじ100が端子枠110に対してねじ込まれたときに、端子ねじ100の先端部101が端子補助板90に当たるようになっている。
【0035】
また、図8に示すように、第1上面部113の幅D1は、端子枠110の幅D2よりも大きくなっている。すなわち、従来のピラー端子のように突出部113bが設けられていないものと比較して、第1上面部113に形成される開口部113aと第1上面部113の端縁までの間隔D3が大きくなっている。すなわち、第1上面部113の端部は、第2側面部に対し外部に向けて突出している。以降では、第1上面部113において、端子枠110から突出する部分を突出部113bという。
【0036】
図9を参照して端子補助板90について説明する。
端子補助板90は、平板部91と、平板部91の一方の側端に設けられて同平板部91に対して垂直に延びる第1側壁92と、平板部91の他方の側端に設けられて同平板部91に対して垂直に延びる第2側壁93と、により構成されている。平板部91において、第1側壁92及び第2側壁93が延びている側の第1面91aは、端子ねじ100が当接する。第1面91aとは反対側の第2面91bは電線300に当接する。第1側壁92の幅方向の長さは、平板部91の幅方向の長さよりも長く、且つ端子枠110の端子枠貫通孔111の幅方向の長さよりも長くなっている。第2側壁93の幅方向の長さは、端子枠110の端子枠貫通孔111の幅方向の長さよりも短くなっている。すなわち、端子補助板90を端子ねじ100のねじ込み方向に対して平板部91を垂直にしたときに、第1側壁92が端子枠110に当たるようになっている。
【0037】
図10〜図12を参照して刃受け部40とピラー端子80と電線300との関係を説明する。
図10に示すように、端子枠110の端子枠貫通孔111には、端子補助板90及び電線300及び接触端子部70が配置される。図11に示すように、接触端子部70は端子枠110の底面部115側に配置され、端子補助板90は端子枠110の第2上面部117側に配置される。電線300は端子枠110の下方から挿入され、接触端子部70と端子補助板90との間に配置される。端子枠110の底面部115と接触端子部70とは幅方向に亘って接触している。接触端子部70は断面視において円弧状に形成されているため、電線300は接触端子部70の略中間部に配置される。端子ねじ100は、長手方向にねじ込まれる。端子ねじ100の先端部101は端子補助板90を押す。また図12に示すように、端子補助板90の第1側壁92は、端子枠110の上部に当接して、下方に落ちないようになっている。
【0038】
本実施形態のコンセントAによれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、端子枠110の第1上面部(外側上面部)113が第2側面部116よりも外部に突出して形成されている。これにより、第1上面部113に形成される開口部113aと第1上面部113の端縁までの間隔D3を大きくすることができる。このため、端子枠110の製造過程において開口部113aを形成したときに、開口部113aの縁と第1上面部113の端縁との間の部分に変形が生じることが少なくなる。
【0039】
また、開口部113a及びねじ穴112を大きくして、直径の大きい端子ねじ100を端子枠110に挿入することができるようになる。これにより、端子枠110の第1側面部114または第2側面部116と端子ねじ100の側面との間隔が狭められるため、当該間隔に電線300が挟み込まれることが少なくなる。すなわち、電線300が接触端子部70の上から離れて当該間隔に入ることが抑制されるため、電線300と接触端子部70との接触が不十分となることが抑制される。特に、電線300がより線により構成されているときは、その効果が大きくなる。
【0040】
(2)本実施形態では、端子枠110と端子ねじ100の先端部101との間に、端子ねじ100の先端部101により押される端子補助板90が設けられている。
端子ねじ100の先端部101により電線300を押圧する従来のピラー端子にあっては、端子ねじ100の先端部により電線300が捻られながら押圧するようになるため、電線300の一部分に強く圧力が加わる。このため、電線300が破断するおそれがあった。この点、本発明によれば、電線300が端子補助板により押圧されるため、電線300が端子ねじ100の先端により押圧される構造の従来のピラー端子に比較して、電線300を均等に押圧することができる。このため、電線300が破断するおそれを抑制することができる。
【0041】
(3)本実施形態では、プラグの刃を受ける刃受けばね50に設けられている接触端子部70と電線300とを接続する接続構造が、上記構造のピラー端子80により構成されている。
【0042】
端子ねじ100をねじ込むときに第1上面部113に加わる力によって同第1上面部113の変形が生じるおそれがある。この点、本発明によれば、第1上面部113に形成される開口部113aと第1上面部113の端縁までの間隔が大きくなっているため、当該部分の強度が大きくなり、当該部分の変形を抑制することができる。これにより、コンセントAの耐久性を向上することができる。
【0043】
(4)本実施形態では、ピラー端子収容室15に、ピラー端子80をピラー端子収容室15に収容したときに突出部113bが嵌り込む嵌合部15aが設けられている。
この構成によれば、ピラー端子80をピラー端子収容室15に収容すると端子枠110の突出部113bが嵌合部15aに嵌り込むため、このような嵌合部15aがないものと比較して、ピラー端子80のピラー端子収容室15に収容する際におけるピラー端子80のピラー端子収容室15に対する位置決め精度を高くすることができる。
【0044】
(第2実施形態)
図13〜図15を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この実施形態では、ピラー端子を含むスイッチとして本発明を具体化した一例を示している。
【0045】
本実施形態のスイッチBは、第1実施形態のピラー端子と同様の構造のピラー端子を用いて構成されたものである。なお、第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0046】
図13及び図14に示すように、スイッチBは、電線300と接続する端子部201と、端子部201を収容するボディ202と、ボディ202の上部を覆うカバー部203と、カバー部203の上部に取り付けられて一対の電線300を導通及び切断する押釦部204とにより構成されている。
【0047】
図14に示すように、押釦部204には、外側の押釦カバー270と、押釦カバー270の内側に配置される押釦本体271とが設けられている。押釦本体271には、接点端子230を支持する支持部272が設けられている。
【0048】
接点端子230は、接点端子本体231と接点ばね233により構成されている。接点端子本体231には接点232が設けられている。接点ばね233は接点端子本体231の上部に設けられている。接点ばね233の上部は、支持部272により保持されている。なお、同図では、接点ばね233の上部が省略されている。
【0049】
端子部201は、第1実施形態のものと同様構造の第1ピラー端子210及び第2ピラー端子220と、第1ピラー端子210に対して配置される第1接触端子部240と、第2ピラー端子220に対して配置される第2接触端子部250と、前記接点端子230と、により構成されている。第2接触端子部250には、接点232と電気的に接触する被接点254が設けられている。接点232と被接点254とが接触することにより、第1ピラー端子210に接続されている電線300と、第2ピラー端子220に接続されている電線300とが導通する。
【0050】
ボディ202には、第1ピラー端子210を収容するピラー端子収容室260aと、第2ピラー端子220を収容するピラー端子収容室260bと、第1接触端子部240の一部及び第2接触端子部250の一部及び接点端子230とを収容する接点端子収容室261とが設けられている。ボディ202の底面部であって、第1ピラー端子210及び第2ピラー端子220に対向する部分には、電線300が通る電線挿通口262が設けられている。ボディ202の側面部であって端子ねじ100と対向する部分には、端子ねじ100を回すための開口部263が形成されている。
【0051】
図15に示すように、ピラー端子収容室260aには、第1ピラー端子210の第1上面部113の突出部113bが嵌りこむ第1嵌合部264aが設けられている。ピラー端子収容室260bには、第2ピラー端子220の第1上面部113の突出部113bが嵌りこむ第2嵌合部264bが設けられている。
【0052】
本実施形態のスイッチBによれば、先の第1実施形態による前記(1)及び(2)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(5)本実施形態では、この接触端子部70と電線300とが接続する接続構造が、上記構造のピラー端子80により構成されている。
【0053】
この構成によれば、第1及び第2ピラー端子において第1上面部113に形成される開口部113aと第1上面部113の端縁まで部分の強度が大きくなっているため、当該変形を抑制することができる。これにより、スイッチBの耐久性を向上することができる。
【0054】
(6)本実施形態では、ピラー端子収容室260aに、第1ピラー端子210を同ピラー端子収容室260aに入れたときに突出部113bが嵌り込む第1嵌合部264aが設けられている。同様に、ピラー端子収容室260bに、第2ピラー端子220を同ピラー端子収容室260bに入れたときに突出部113bが嵌り込む第2嵌合部264bが設けられている。
【0055】
この構成によれば、ピラー端子80をピラー端子収容室260a,260bに収容したときに突出部113bが嵌合部264a,264bに嵌り込むようになっている。このため、ピラー端子80のピラー端子収容室260a,260bに収容する際におけるピラー端子80の同ピラー端子収容室260a,260bに対する位置決め精度を高くすることができる。
【0056】
(その他の実施形態)
本発明のピラー端子80の実施態様は、上記実施形態に例示した内容に限定されるものではなく、例えば以下のように変更して実施することもできる。また、以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0057】
・上記第1実施形態では、端子枠110の第1上面部113の幅方向の長さが端子枠110の幅方向の長さよりも長くなっている部分である突出部113bは、上下方向の中間部分に設けられている。このような態様に代えて、突出部113bが、上下方向に亘って形成されるようにしてもよい。
【0058】
・上記第1実施形態では、ピラー端子80の端子枠110は鉄材により形成しているが、これに代えて、銅材等を使用してもよい。このよう構成であっても、上記(1)の効果を奏することができる。
【0059】
・上記第1実施形態では、ピラー端子収容室15の内周面には、ピラー端子80を位置決めするための嵌合部15aを設けているが、この嵌合部15aを省略してもよい。このような構成であっても、上記(1)の効果を奏することができる。
【0060】
・上記に挙げた第1実施形態の変形例は第2実施形態にも適用される。
【符号の説明】
【0061】
A…コンセント、1…収容ケース、2…扉部、3…端子部、10…ボディ、11…第1係合部、12…隔壁、13…端子収容室、14…刃受け部収容室、15…ピラー端子収容室、15a…嵌合部、16…突起、17…底面部、17a…電線挿通口、18…側面部、18a…作業穴、20…カバー、21…第2係合部、22…差込口、23…係止部品、30…開閉体、31…開閉ばね、32…支持部、33…栓刃挿通口、40…刃受け部、50…刃受けばね、51…刃受け部本体、52…側端、53…丸ピン受けばね、53a…丸ピン接触部、54…切り欠き部、55…栓刃受けばね、55a…栓刃接触部、60…連結部、61…位置決め部、62,63…側端、70…接触端子部、71…接触面、72…溝、80…ピラー端子、90…端子補助板、91…平板部、91a…第1面、91b…第2面、92…第1側壁、93…第2側壁、100…端子ねじ、101…先端部、110…端子枠、111…端子枠貫通孔、112…ねじ穴、113…第1上面部(外側上面部)、113a…開口部、113b…突出部、114…第1側面部、115…底面部、116…第2側面部、117…第2上面部(内側上面部)、B…スイッチ、201…端子部、203…カバー部、204…押釦部、210…第1ピラー端子、220…第2ピラー端子、230…接点端子、231…接点端子本体、232…接点、233…接点ばね、240…第1接触端子部、241…第1電線接触部、242…第1接点接触部、243…連結部、250…第2接触端子部、251…第2電線接触部、252…第2接点接触部、253…連結部、254…被接点、202…ボディ、260a…ピラー端子収容室、260b…ピラー端子収容室、261…接点端子収容室、262…電線挿通口、263…作業穴、264a…第1嵌合部、264b…第2嵌合部、270…押釦カバー、271…押釦本体、272…支持部、300…電線、900…従来の刃受け部、910…刃受けばね、911…刃受け部本体、912…丸ピン受けばね、913…栓刃受けばね、920…端子部、921…接触端子部、930…リベット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子枠内に挿入される電線を端子ねじにより固定するピラー端子において、
前記端子枠は、互い対向する第1側面部及び第2側面部と、前記第1側面部と前記第2側面部との間に設けられた底面部と、前記底面部に対向して前記第2側面部から延設された内側上面部と、この内側上面部の外側面に対向し前記第1側面部から延設された外側上面部とを含み、前記第1側面部と前記第2側面部と前記底面部と前記内側上面部とにより囲まれる空間である端子枠貫通孔に前記電線が配置されるものであり、
前記外側上面部は、前記第2側面部から外部に突出して形成されている
ことを特徴とするピラー端子。
【請求項2】
請求項1に記載のピラー端子において、
前記端子枠と前記端子ねじの先端部との間には、前記端子ねじの先端部により押される端子補助板が設けられている
ことを特徴とするピラー端子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のピラー端子を含むコンセント。
【請求項4】
請求項3に記載のコンセントにおいて、
前記外側上面部のうち前記第2側面部よりも外部に突出している部分を突出部として、
当該コンセントは、前記ピラー端子を収容する収容ケースを備えるものであり、
前記収容ケースは、前記ピラー端子を収容するピラー端子収容室が設けられ、
前記ピラー端子収容室には、前記ピラー端子を前記ピラー端子収容室に収容したときに前記突出部が嵌り込む嵌合部が設けられている
ことを特徴とするコンセント。
【請求項5】
請求項1または2に記載のピラー端子を含むスイッチ。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチにおいて、
前記外側上面部のうち前記第2側面部よりも外部に突出している部分を突出部として、
前記ピラー端子を収容する収容ケースを備え、
前記収容ケースには、前記ピラー端子を収容するピラー端子収容室が設けられ、
前記ピラー端子収容室には、前記ピラー端子を前記ピラー端子収容室に収容したときに前記突出部が嵌り込む嵌合部が設けられている
ことを特徴とするスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−108586(P2011−108586A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265137(P2009−265137)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】