説明

ピリミジン−5−イル酢酸誘導体の新規な塩の形態

[4,6-ビス(ジメチルアミノ)-2-(4-{[4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ベンジル)ピリミジン-5-イル]酢酸の結晶性のN-メチルグルカミン及びナトリウムの塩、それらの調製方法、それらの塩を含む医薬組成物、及びCRTH2-介在の障害又は疾患の1以上の症状の治療、予防、又は改善にそれらを使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、[4,6-ビス(ジメチルアミノ)-2-(4-{[4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ベンジル)ピリミジン-5-イル]酢酸の結晶質のN-メチルグルカミン及びナトリウムの塩に関する。本発明の塩は医薬品の有効成分として有用であり及びCRTH2活性に付随する疾患の予防及び治療に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
CRTH2はTh2細胞、好酸球、及び好塩基球に発現されるGタンパク質共役型走化性因子受容体である(Nagataら、J. Immunol.1999、162、1278-1286;Hiraiら、J. Exp. Med. 2001、193、255-261)。プロスタグランジンD2(PGD2)は肥満細胞から生成される主要な炎症性メディエーターであり、CRTH2の天然リガンドである。近年、PGD2によるCRTH2の活性がTh2細胞及び好酸球の移動及び活性化を生じさせることが示され、CRTH2はアレルギー性疾患の炎症誘発の役割を演じ得ると示唆された(Hiraiら、J. Exp. Med. 2001、193、255-261;Gervaisら、J. Allergy Clin. Immunol.2001、108、982-988)。またアトピー性皮膚炎患者において疾患の重篤度と関連するCRTH2を発現する循環T細胞が増加することも示された(Cosmiら、Eur. J. Immunol. 2000、30、2972-2979;Iwazakiら、J. Investigative Dermatology 2002、119、609-616)。アレルギー性の炎症の開始及び維持におけるPGD2の役割は、喘息のマウスモデルにおいてPGD2シンターゼによるin vivoのPGD2の生産過剰が気道炎症を悪化させることを示すことによりさらに証明された(Fujitaniら、J. Immunol. 2002、168、443-449)。従って、CRTH2拮抗薬はCRTH2介在の障害又は疾患、例えばアレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、気管支収縮作用、アトピー性皮膚炎、又は全身性炎症疾患の治療に有用であろう。
【0003】
国際公開番号WO2008/15678は、式(I)を有する[4,6-ビス(ジメチルアミノ)-2-(4-{[4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ベンジル)ピリミジン-5-イル]酢酸の遊離酸の形態を開示し、その化合物がCRTH2拮抗薬として有用であることを報告する。
【化1】

国際公開番号WO2008/156780は、式(I)の化合物の遊離酸の形態の2つの結晶性多形体を開示する。
国際公開番号WO2008/156781は、式(I)の化合物のN-メチルグルカミン及びナトリウムの塩を開示する。WO2008/156781は、これらの塩が低い水溶性であり、微小の結晶を含むことを報告する。
本明細書に開示されるものは式(I)の化合物の新規のN-メチルグルカミン及びナトリウムの塩であり、これらの塩は高結晶質であり及び良好な水溶性を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の広義の態様において、本発明は式(I)の化合物の新規の結晶質のN-メチルグルカミン及びナトリウムの塩(以後「本発明の塩」)に関する。
ある態様において、本発明は式(I)の化合物の結晶質のN-メチルグルカミン塩(「本発明のN-メチルグルカミン塩」)に関する。本発明のN-メチルグルカミン塩は無水及び非溶媒和型であり、及びN-メチルグルカミンの1モル当量あたり式(I)の化合物を約1モル当量含む。
別の態様において、本発明は式(I)の化合物の結晶質のナトリウム塩(「本発明のナトリウム塩」)に関する。本発明のナトリウム塩は無水及び非溶媒和型であり、及びナトリウムの1モル当量あたり式(I)の化合物を約1モル当量含む。
別の態様において、本発明は薬学的に効果がある量の1以上の本発明の塩、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含み、及び1以上の追加の有効成分を含んでもよい医薬組成物(「本発明の医薬組成物」)に関する。
別の態様において、本発明はCRTH2介在の疾患又は障害の1以上の症状を治療又は予防する方法に関し、治療上効果がある量の1以上の本発明の塩を患者へ投与することを含む。
別の態様において、本発明は本発明の塩を製造する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明のN-メチル-D-グルカミン塩の粉末X線回折パターンを表す。
【図2】本発明のN-メチル-D-グルカミン塩の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)の温度記録図を表す。
【図3】本発明のN-メチル-D-グルカミン塩の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロットを表す。
【図4】本発明のナトリウム塩の粉末X線回折パターンを表す。
【図5】本発明のナトリウム塩の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)の温度記録図を表す。
【図6】本発明のナトリウム塩の動的水蒸気吸着(DVS)の等温線プロットを表す。
【図7】本発明のN-メチル-D-グルカミン塩(●)及び本発明のナトリウム塩(△)のpH6.8、37℃の0.2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液における動力学的溶解性を表す。図7はまた式(I)の化合物の酸の入っていない形態(◆)、式(I)の化合物のコリン塩(*)、及び式(I)の化合物のエチレンジアミン塩(▲)の比較動力学的溶解性も表す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
本明細書で使用されるように、用語「遊離酸」は式(I)の化合物に関連している場合は式(I)の化合物の塩でない形態を表す。
本明細書で使用されるように、式(I)の化合物との関係における用語「非溶媒和物(ansolvate)」は本質的に有機溶媒を含まない(例えば、存在し得る対イオンを含む式(I)の化合物の全質量を基準として1質量%未満の有機溶媒)式(I)の化合物の形態を表す。
上述の通り、出願人は式(I)の化合物の高結晶質のN-メチルグルカミン及びナトリウムの塩を発見した。これらの塩の特徴は下記に示される。
【0007】
出願人は、本発明の塩が式(I)の化合物の遊離酸の形態よりも高い速度論的溶解度(kinetic solubility)を示すことを発見した。本発明のN-メチル-D-グルカミン及びナトリウムの塩の速度論的溶解度はpH6.8及び37℃のドデシル硫酸ナトリウム溶液中で実施された。検討の結果(図7)は、検討で使用した式(I)の化合物の全ての塩の形態が式(I)の化合物の遊離酸の形態よりも高い速度論的溶解度を示すことを表す。式(I)の化合物の遊離酸の形態は約5分後に約50μg/mLの最大溶解度に達し、溶解度は検討された時間(60分間)にわたり本質的に変化しないままであった。本発明のナトリウム塩は約5分後に約1010μg/mLの最大溶解度に達し、本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は約5分後に約910μg/mLの最大溶解度に達する。式(I)の化合物のコリン塩は約5分後に約960μg/mLの最大溶解度に達し、これは本発明のN-メチル-D-グルカミン及びナトリウムの塩の間である。一方で、式(I)の化合物のエチレンジアミン塩は約5分後に約670μg/mLの溶解度に達するのみである。図7において表された全ての塩はこの最初の急激な上昇の後溶解度の減少を示す。60分後、溶解度は約150μg/mL(式(I)の化合物のエチレンジアミン塩)から約245μg/mL(式(I)の化合物のコリン塩)の範囲となった。検討完了後に集められた固形物は式(I)の化合物の遊離酸の形態であることが分かった。
検討の結果は、式(I)の化合物の異なる塩の形態の速度論的溶解度が大きく異なり得ることを示す。
【0008】
N-メチルグルカミン塩
上述の通り、本発明の1つの側面は本発明のN-メチルグルカミン塩に関する。本発明のN-メチルグルカミン塩は無水及び非溶媒和型であり、N-メチルグルカミンの1モル当量あたり式(I)の化合物を約1モル当量含む。
本発明のN-メチルグルカミン塩はN-メチルグルカミンのキラル型(例えば、N-メチル-D-グルカミン又はN-メチル-L-グルカミン)又はそれらの混合物(例えば、N-メチルグルカミンのD-及びL-の形態のラセミ混合物)を含んでもよい。ある態様においては、本発明のN-メチルグルカミン塩は実質的にN-メチル-D-グルカミンを含む。別の態様においては、本発明のN-メチルグルカミン塩は実質的にN-メチル-L-グルカミンを含む。別の態様においては、本発明のN-メチルグルカミン塩は実質的にN-メチル-D-グルカミン及びN-メチル-L-グルカミンの混合物を含む。そして別の態様においては、本発明のN-メチルグルカミン塩は実質的にN-メチル-D-グルカミン及びN-メチル-L-グルカミンのおよそ等量の混合物を含む。
【0009】
好ましい態様において、本発明のN-メチルグルカミン塩は実質的にN-メチル-D-グルカミンを含む(「本発明のN-メチル-D-グルカミン塩」)。本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は、ある態様においては、およそ5.4、9.6、10.4、19.3、22.6、23.4°の2θ角を含む粉末X線回折パターンの提供により特徴付けられる。
別の態様においては、本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は、表1に示されるものと実質的に同等の2θ角を含む粉末X線回折パターンの提供により特徴付けられる。
【0010】
表1. 本発明のN-メチル-D-グルカミン塩の反射特性ピーク(2θ)の相対強度(%)及び線間隔(d)

【0011】
別の態様において、本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は実質的に図1に示される粉末X線回折パターン及び/又は図2に示される示差走査熱量の温度記録図を有する。
別の態様において、本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は実質的に図1に示される粉末X線回折パターンを有する。
さらに別の態様において、本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は実質的に図2に示されるDSC温度記録図を有する。
さらに別の態様において、本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は約175℃の開始温度及び化合物の単独溶解に起因する約195℃までの溶解中の質量損失がないことを示すDSC温度記録図を有する。分解に起因する追加の質量損失は200℃より上で観測される。
さらに別の態様において、本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は、化合物の穏やかな吸湿性に起因する室温から最大約195℃までにおける約1.0質量%からの質量損失の態様を示すTGA温度記録図を有する。
本発明のN-メチル-D-グルカミン塩の水の吸着/脱着プロファイルは図3に示される。本発明のN-メチル-D-グルカミン塩は、25℃での相対湿度85%において約3.7%の水分獲得を表し、この分析で使用される条件において穏やかな吸湿性を示す。
【0012】
ナトリウム塩
本発明のナトリウム塩は無水及び非溶媒和型であり、ナトリウムの1モル当量あたり式(I)の化合物を約1モル当量含む。本発明のナトリウム塩は、ある態様においては、およそ5.7、7.0、7.4、9.3、16.4、17.8、19.4、21.7、22.3°の2θ角を含む粉末X線回折パターンの提供により特徴付けられる。
別の態様においては、本発明のナトリウム塩は表3に示されるものと実質的に同等の2θ角を含む粉末X線回折パターンの提供により特徴付けられる。
【0013】
表2. 本発明のナトリウム塩の反射特性ピーク(2θ)の相対強度(%)及び線間隔(d)

【0014】
別の態様において、本発明のナトリウム塩は実質的に図4に示される粉末X線回折パターン及び/又は図5に示される示差走査熱量の温度記録図を有する。
別の態様において、本発明のナトリウム塩は実質的に図4に示される粉末X線回折パターンを有する。
さらに別の態様において、本発明のナトリウム塩は実質的に図5に示されるDSC温度記録図を有する。
さらに別の態様において、本発明のナトリウム塩は化合物の単独溶解に起因する約319℃の開始温度を示すDSC温度記録図を有する。分解に起因する追加の質量損失は319℃より上で観測される。
さらに別の態様において、本発明のナトリウム塩は、化合物の吸湿性に起因し得る室温から最大319℃までにおける約2.3質量%からの質量損失の態様を示すTGA温度記録図を有する。
本発明のナトリウム塩の水の吸着/脱着プロファイルは図6に示される。本発明のナトリウム塩は、25℃での相対湿度55%において約2%未満の水分獲得、及び25℃での最大85%までの相対湿度で約17%の水分吸着を表す。この結果は、本発明のナトリウム塩がこの分析で使用される条件において吸湿性であることを示す。
【0015】
本発明の塩の製造方法
本発明の塩はこの下及び実施例に記載される方法により調製され得る。
ある態様において、本発明は本発明の塩の製法に関し以下を含む:(a)適切な極性溶媒中でN-メチルグルカミン又はナトリウムの塩及び式(1)化合物を含む混合物を形成する(「混合段階」);及び(b)本発明の塩(すなわち、式(I)の化合物のN-メチルグルカミン又はナトリウムの塩)を混合物から結晶化させること(「結晶化段階」)。
【0016】
典型的に、上記の混合段階で使用されるN-メチルグルカミン又はナトリウムの塩は式(I)の化合物の遊離酸の形態及び元の基剤(例えば、N-メチルグルカミン又はナトリウムアルコキシド)を適切な極性溶媒中で反応させて本発明の塩を形成することにより現場で生成又は形成される。この現場の塩形成のために、式(I)の化合物の遊離酸の形態の元の基剤に対するモル比は、約3:1〜1:3;約2.5:1〜約1:2.5;又は約1:1で変動し得る。結果として得られる本発明の塩の結晶は、約1:1である式(I)の化合物の遊離酸の形態の基剤に対するモル比を有する。現場の塩形成のために使用される式(I)の化合物の遊離酸の形態は溶媒和物、水和物、無水物、それらの組み合わせの非溶媒和物であり得る。同様に現場の塩形成のために使用される式(I)の化合物の遊離酸の形態は、アモルファス又は結晶質、例えばWO2008156780に記載される形態Iであり得る。
このように、別の態様において、本発明は本発明の塩の製法に関し以下を含む:(a)式(I)の化合物の遊離酸の形態、N-メチルグルカミン又はナトリウムの基剤前駆体及び適切な極性溶媒をN-メチルグルカミン又はナトリウムの塩及び式(I)の化合物を含む混合物の形成に十分な条件下で混合すること(混合段階);及び(b)本発明の塩を混合物から結晶化させること(結晶化段階)。
ナトリウム基剤前駆体の非限定的な例としてナトリウムアルコキシド、例えばナトリウムエトキシド及び水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用されるように、用語「適切な極性溶媒」は式(I)の化合物の遊離酸の形態の少なくとも一部;メチルグルカミン及びナトリウムの基剤前駆体;及び式(I)の化合物のメチルグルカミン及びナトリウムの塩を溶解し得る有機溶媒を示す。
適切な極性溶媒の選択は使用される元の基剤に従い異なる。本発明のN-メチルグルカミン塩を形成する際の、適切な極性溶媒の非限定的な例として、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールなどのアルコール;テトラヒドロフラン;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、及び酢酸n-ブチルなどのアセテート;ジクロロメタン;及びアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、及びそれらの混合物が挙げられる。ある態様において、N-メチルグルカミン塩の調製に使用される極性溶媒はエタノールを含む。
本発明のナトリウム塩を形成する際の、適切な極性溶媒の非限定的な例として、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びそれらの混合物が挙げられる。ある態様において、本発明のナトリウム塩を調製するために使用される極性溶媒は、エタノール及びイソプロパノールを含む。別の態様において、本発明のナトリウム塩を調製するために使用される極性溶媒は、エタノール及びアセトンを含む。
【0018】
上述された態様における混合段階は本発明の塩の少なくとも一部を溶解させるのに十分な時間及び温度にて行われる。別の態様において、上述された態様における混合段階は本発明の塩の少なくとも大部分を溶解させるのに十分な時間及び温度において行われる;及び別の態様においては、混合段階において本発明の塩の本質的に全てが溶解する。
混合段階のための適切な温度は、約25℃から極性溶媒のおよその還流温度までである;別の態様においては約25℃〜約40℃である;別の態様においては約40℃〜約65℃である;及び別の態様においては約40℃である。混合段階の適切な時間は典型的には約15分〜約24時間である;又は約15分〜約5時間である;又は約15分〜約2時間である。混合段階は、温度がある時間一定に保たれ得る平坦域を含む温度勾配を1以上含み得ると理解される。
【0019】
上述された態様における結晶化段階は式(I)の化合物のN-メチルグルカミン又はナトリウムの塩の少なくとも大部分を結晶化又は本発明の塩に転換させるのに十分な時間及び温度にて行われる。結晶化段階のための適切な温度は約25℃から極性溶媒のおよその還流温度までである;別の態様においては約40℃から極性溶媒のおよその還流温度までである;別の態様においては約40℃〜約65℃である;別の態様においては約65℃である;別の態様においては極性溶媒のおよその還流温度である;別の態様においては約40℃である。結晶化段階の適切な時間は典型的には約1時間〜約72時間である;又は約1時間〜約48時間である;又は約2時間〜約24時間である。結晶化段階は、温度がある時間一定に保たれ得る平坦域を含む温度勾配を1以上含み得ると理解される。
【0020】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は吸入、経口、静脈注射、局所、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経皮又は直腸の投与に適切な形態で調製されてもよい。
【0021】
A)経口製剤
ある態様において、本発明は本発明の塩及び1以上の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む経口投与に適切な本発明の医薬組成物に関する。ある態様において、本発明の医薬組成物は本発明のN-メチルグルカミン塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は本発明のナトリウム塩を含む。
別の態様において、本発明は本質的に本発明の塩からなる経口投与に適切な医薬組成物に関する。ある態様において、本発明の医薬組成物は本質的に本発明のN-メチルグルカミン塩からなる。別の態様において、本発明の医薬組成物は本質的に本発明のナトリウム塩からなる。
別の態様において、本発明は本発明のN-グルカミン塩、本発明のナトリウム塩、又はそれらの組み合わせを含む経口投与に適切な医薬組成物に関する。
別の態様において、本発明は本質的に本発明のN-グルカミン塩、本発明のナトリウム塩、又はそれらの組み合わせからなる経口投与に適切な医薬組成物に関する。
【0022】
経口製剤の非限定的な例として、錠剤、被覆錠剤、丸薬、顆粒又は顆粒状の粉末、シロップ、乳剤、懸濁液、又は溶液が挙げられ、必要に応じて不活性及び無毒の薬学的に許容可能な賦形剤又は溶媒を併せてもよい。
適切な錠剤は、例えば1又は複数の有効成分を既知の賦形剤、例えば不活性の希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース、錠剤分解物質、例えばコーンスターチ又はアルギン酸、バインダー、例えばデンプン又はゼラチン、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク及び/又は遅延放出剤、例えばカルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、又はポリビニルアセテートと混合することにより得られ得る。錠剤はまたいくつかの層を含んでもよい。
被覆錠剤は錠剤と類似して製造される核を錠剤の被覆に通常使用される物質、例えばコリドン又はセラック、アラビアガム、タルク、二酸化チタン又は糖で被覆することにより調製され得る。遅延放出を達成し又は配合禁忌を予防するために、核はまた多くの層からなってもよい。同様に錠剤被覆は遅延放出を達成するため、場合により錠剤のための上に記載された賦形剤を使用して多くの層からなってもよい。
【0023】
本発明による有効成分又はそれらの組み合わせを含むシロップはさらに甘味料、例えばサッカリン、チクロ、グリセロール又は糖及び調味料、例えばバニリン又はオレンジ抽出物のような香味料を含んでもよい。それらはまた懸濁補助剤又は増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、湿潤剤、例えば脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、又は防腐剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸を含んでもよい。
1以上の有効成分又は有効成分の組み合わせを含むカプセルは例えば有効成分と不活性の担体、例えばラクトース又はソルビトールを混合し及びそれらをゼラチンカプセルの中に包むことにより調製され得る。
【0024】
使用できる担体又は賦形剤として、例えば水、薬学的に許容可能な有機溶媒、例えばパラフィン(例えば石油の留分)、植物油(例えば、落花生油又はゴマ油)、単一又は多官能基のアルコール(例えば、エタノール又はグリセロール)、担体、例えば天然無機化合物の粉末(例えばカオリン、粘度、タルク、チョーク)、合成無機化合物の粉末(例えば、非常によく分散されたケイ酸及びケイ酸塩)、糖(例えば、甘蔗糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えば、リグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
【0025】
錠剤はさらに添加剤、例えばクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムを様々な添加剤、例えばデンプン、好ましくは馬鈴薯デンプン、ゼラチン及び同等のものと一緒に含んでもよい。さらに、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクは打錠工程で同時に使用されてもよい。
水性懸濁液は上述した賦形剤に加えて様々な調味料又は着色料と組み合わされてもよい。
本発明の塩を含むそれぞれの経口製剤は以下に記載される1以上の追加の有効成分を含んでもよいと理解される。
【0026】
B)吸入製剤
ある態様において、本発明は本発明の塩及び1以上の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む吸入に適切な医薬組成物に関する。ある態様において、吸入に適切な本発明の医薬組成物は本発明のN-メチルグルカミン塩を含む。別の態様において、吸入に適切な本発明の医薬組成物は本発明のナトリウム塩を含む。
別の態様において、本発明は本質的に本発明の塩の1つ及び少なくとも1つの薬学的担体又は賦形剤からなる、吸入に適切な医薬組成物に関する。ある態様において、吸入に適切な本発明の医薬組成物は本質的に本発明のN-メチルグルカミン塩からなる。別の態様において、吸入に適切な本発明の医薬組成物は本質的に本発明のナトリウム塩からなる。
吸入に適切な製剤の非限定的な例として、吸入用粉末、噴射剤含有定量式エアロゾル剤(propellant-containing metered-dose aerosols)及び噴射剤非含有吸入用溶液(propellant-free inhalable solutions)が挙げられる。吸入用製剤は必要に応じて下記のような不活性及び無毒の薬学的に許容可能な賦形剤又は溶媒を含んでもよい。
【0027】
B.1)粉末製剤:
本発明の医薬組成物は、ある態様において、吸入用粉末の形態にすることができ、必要に応じて薬学的に許容可能な賦形剤を含んでもよい。
粉末製剤に有用な薬学的に許容可能な賦形剤の非限定的な例として、モノサッカライド(例えば、グルコース又はアラビノース)、ジサッカライド(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース、トレハロース)、オリゴ及びポリサッカライド(例えば、デキストラン)、ポリアルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、シクロデキストリン(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、χ-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤の互いの混合物が挙げられる。好ましくは、モノ又はジサッカライドが使用され、同時に特に、水和物の形態であるラクトース、トレハロース又はグルコースの使用が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0028】
本発明による吸入用粉末の範囲内において、賦形剤はある態様において最大平均粒子径が最大約250μm;別の態様において約10〜約250μm;別の態様において約10〜約150μm;及び別の態様において約15〜約80μmである。
吸入用粉末は上記賦形剤に加えて、さらに平均粒子径が1〜9μmであるより細かい賦形剤の画分を含んでもよい。これらのより細かい賦形剤はまた上記の可能な賦形剤の群からも選択される。本発明による吸入用粉末を調製するため、好ましくは平均粒子径が0.5〜10μm、より好ましくは1〜6μmである本発明の塩の微粉化形態(及び存在する場合には1以上の追加の有効成分)が賦形剤混合物へ加えられる。本発明による吸入用粉末を粉砕及び微粉化並びに最終的にこれらの原料を一緒に混合することにより製造する方法は当技術分野で既知である。
ある態様において、本発明は吸入用粉末の形態における医薬組成物に関し、その有効成分として本発明の塩のみを含む。
【0029】
本発明による吸入用粉末は従来技術から既知の吸入器を使用して投与されてもよい。1以上の生理的に許容可能な賦形剤を含む本発明による吸入用粉末は、例えば、US4570630Aに記載される計量チャンバーを使用して供給源から単回用量を送る吸入器により、又はDE3625685Aに記載される他の方法により投与されてもよい。本発明の塩を含む本発明による吸入用粉末は必要に応じて生理的に許容可能な賦形剤と併せて、例えば、タービュヘイラー(Turbuhaler)(商標)なる名前により知られる吸入器を使用して又は例えばEP237507Aに開示されるような吸入器を使用して投与されてもよい。好ましくは、生理的に許容可能な賦形剤を含む本発明による吸入用粉末は、例えばWO94/28958に記載されるような吸入器において使用されるカプセルに詰められる(いわゆるインハレット(inhalettes)を製造する)。本発明による吸入用粉末に使用するための特に好ましい吸入器はハンディヘイラー(Handyhaler)(商標)なる名前により知られる吸入器である。
本発明による吸入用粉末を上述の好ましい使用のためカプセル(吸入器)の中に詰める場合、それぞれのカプセルに詰めた量は1カプセルあたり1〜30mgであるべきである。
【0030】
B.2)噴射剤含有吸入エアロゾル剤
別の態様において、本発明は噴射剤含有吸入エアロゾル剤の形態における医薬組成物に関する。そのような製剤は溶解及び/又は分散した形態で本発明の塩、及び必要に応じて1以上の追加の有効成分を含む。
噴射剤含有吸入エアロゾル剤において有用な噴射ガスの非限定的な例として、炭化水素、例えばn-プロパン、n-ブタン又はイソブテン;又はハロ炭化水素(halohydrocarbons)、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンの塩素化及び/又はフッ素化誘導体が挙げられる。
別の態様において、噴射剤含有吸入エアロゾル剤に使用される噴射剤はTG11(トリクロロフルオロメタン)、TG12(ジクロロジフルオロメタン)、TG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、又はそれらの混合物である。別の態様において、噴射剤はTG134a、TG227又はそれらの混合物である。
本発明による噴射剤含有吸入エアロゾル剤はまた他の原料、例えば共溶媒、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、潤滑剤及びpH調整剤を含んでもよい。全てのこれらの原料は当技術分野で既知である。
【0031】
本発明による噴射剤含有吸入エアロゾル剤は本発明の塩を最大5質量%まで含んでもよく、及び必要に応じて1以上の追加の有効成分を含んでもよい。本発明によるエアロゾル剤は、例えば本発明の塩を0.002〜5質量%、0.01〜3質量%、0.015〜2質量%、0.1〜2質量%、0.5〜2質量%又は0.5〜1質量%含み、及び追加の有効成分を含んでもよい。
本発明の塩及び必要に応じて追加の有効成分が分散形態で存在する場合、有効成分の粒子は平均粒子径が、ある態様において最大約10μm;別の態様において約0.1〜約6μm;及び別の態様において約1〜約5μmである。
【0032】
本発明による噴射剤促進吸入エアロゾル剤(propellant-driven inhalation aerosols)は、当技術分野で既知の吸入器(MDIs=定量式吸入器)を使用して投与されてもよい。従って、別の側面において本発明は、上記に記載されるような噴射剤促進エアロゾル剤の形態で、これらのエアロゾルの投与に適切な1以上の吸入器と組み合わされた、医薬組成物に関する。加えて、本発明は、本発明による上述の噴射剤ガス含有エアロゾル剤を含むことにより特徴付けられる吸入器に関する。本発明はまた適切な吸入器に使用でき及び上記の本発明による噴射剤ガス含有吸入エアロゾル剤の1つを詰めるのに適切な弁を装着されたカートリッジに関する。適切なカートリッジ及びこれらのカートリッジに本発明による噴射剤ガスを含む吸入エアロゾル剤を充填する方法は先行技術から既知である。
【0033】
B.3. 噴射剤非含有吸入エアロゾル剤
別の態様において、本発明は噴射剤非含有吸入エアロゾル剤の形態における医薬組成物に関する。
本発明の噴射剤非含有吸入エアロゾル剤は溶液又は懸濁液の形態にある。本発明による噴射剤非含有吸入溶液及び懸濁液は、例えば、水性又はアルコール性、好ましくはエタノール性溶媒、必要に応じて水性溶媒と混合されたエタノール性溶媒を含む。水性/エタノール性溶媒の混合物が使用される場合、水と比較したエタノールの相対比率は限定されないが、好ましくはエタノールの最大値が70容量%までであり、より特別には60容量%までである。容積の残り分は水で構成される。本発明の塩及び必要に応じて追加の有効成分を別々に又は一緒に含む水溶液又は懸濁液は、適切な酸を用いてpH2〜7、好ましくは2〜5に調整される。pHは無機又は有機の酸から選択される酸を用いて調整されてもよい。特に適切な無機酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、及び/又はリン酸が挙げられる。特に適切な有機酸の例として、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸である。また有効成分の1つとの酸付加塩を既に形成した酸を使用することも可能である。有機酸の中でも、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。必要に応じて、特に酸性化する性質に加えて他の特性(例えば香味料、酸化防止剤又は錯化剤として)を有する酸、例えばクエン酸又はアスコルビン酸の場合、上記の酸の混合物が使用されてもよい。本発明によれば、塩酸をpH調整に使用することが特に好ましい。
【0034】
本発明によれば、安定剤又は錯化剤としてのエデト酸(EDTA)又はその既知の塩の1つであるエデト酸ナトリウムの添加は当製剤においては不要である。他の態様はこの化合物又はこれらの化合物を含んでもよい。好ましい態様においては、エデト酸ナトリウムに基づく含量は、100mg/100ml未満であり、好ましくは50mg/100ml未満であり、より好ましくは20mg/100ml未満である。一般に、エデト酸ナトリウムの含量が0〜10mg/100mlである吸入溶液が好ましい。
【0035】
共溶媒及び/又は他の賦形剤は本発明による噴射剤非含有吸入用溶液に加えられてもよい。好ましい共溶媒は、ヒドロキシル基又は他の極性基を含むもの、例えば、アルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。これに関連して賦形剤及び添加剤という用語は、有効成分ではなく、有効成分の製剤の定性的性質を改善するために薬理学的に適切な溶媒中で有効成分又は複数の成分と製剤化され得る薬理学的に許容可能な物質を意味する。好ましくは、これらの物質は薬理学的効果を有さず、又は所望の治療に関して、かなりの又は少なくとも望ましくない薬理学的効果を有さない。賦形剤及び添加剤としては、例えば、界面活性剤、例えば大豆レシチン、オレイン酸、ソルビタンエステル、例えばポリソルベート、ポリビニルピロリドン、他の安定剤、錯化剤、酸化防止剤及び/又は完成した医薬製剤の保存期間を保証又は延長する防腐剤、香味料、ビタミン及び/又は当技術分野で既知の他の添加剤が挙げられる。添加剤としてまた薬理学的に許容可能な塩、例えば等張剤としての塩化ナトリウムが挙げられる。
好ましい賦形剤として、アスコルビン酸のような酸化防止剤、例えばまだpH調整に使用されていないという条件で、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び同等のビタミン及びヒト体内に存在するプロビタミンが挙げられる。
防腐剤は製剤を病原体による汚染から保護するために使用されてもよい。
適切な防腐剤は当技術分野で既知のものであり、特に従来技術から既知の濃度における塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸又はベンゾエート、例えば安息香酸ナトリウムである。上記で示された防腐剤は、好ましくは最大50mg/100mlまで、より好ましくは5〜20mg/100mlの濃度で存在する。
【0036】
ある態様において、噴射剤非含有吸入用溶液は、水、本発明の塩、及び防腐剤を含む。別の態様において、噴射剤非含有吸入用溶液は、水、本発明の塩、及び塩化ベンザルコニウム及びエデト酸ナトリウムから選択される防腐剤を含む。さらに別の態様においては、噴射剤非含有吸入用溶液は、水、本発明の塩、及び塩化ベンザルコニウムを含む。さらに別の態様においては、噴射剤非含有吸入用溶液は、水、本発明の塩、及びエデト酸ナトリウムではない防腐剤を含む。
【0037】
本発明による噴射剤非含有吸入用溶液は、薬用量で少量の液体製剤を数秒以内に噴霧して治療上の吸入のために適切なエアロゾルを作り出すことが可能であるような、吸入器を使用して投与され得る。本発明の範囲内において、好ましい吸入器は、治療上効果のある量に相当するエアロゾルの吸入部分となるような方法において、100μL未満、好ましくは50μL未満、より好ましくは20〜30μLの量の有効成分溶液を好ましくは1回の噴霧動作で噴霧し、平均粒子径が20μm未満、好ましくは10μm未満であるエアロゾルを形成するものである。
噴射剤非含有の吸入用液体医薬組成物の定量送出のためのこの種の器具は、例えば国際特許出願WO91/14468及びまたWO97/12687(特に図6a及び6bを参照のこと)にも記載される。それらの明細書に記載される噴霧器(装置)はレスピマット(Respimat)(商標)なる名前により知られる。
【0038】
ある態様において、本発明は必要に応じて他の共溶媒及び/又は賦形剤を含んでもよい吸入用溶液の形態における医薬組成物に関する。
別の態様において、本発明はヒドロキシル基又は他の極性基を含む少なくとも1つの共溶媒、例えば、アルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール;及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルを含む吸入用溶液の形態における医薬組成物に関する。
さらに別の態様において、本発明は界面活性剤、安定剤、錯化剤、酸化防止剤及び/又は防腐剤、香味料、薬学的に許容可能な塩及び/又はビタミンから選択される賦形剤を含む吸入用溶液の形態における医薬組成物に関する。
【0039】
噴射剤非含有吸入エアロゾル剤が追加の有効成分を含む際は、本発明による組み合わせに適用可能な用量は単回適用あたりの用量を示しているものとして理解される。しかしながら、これは本発明による組み合わせを複数回投与する可能性を除外しないと理解されるべきである。医学的要求次第で患者は複数の吸入の適用を受けてもよい。例えば、患者は本発明による組み合わせを例えば2又は3回(例えば粉末吸入器、MDI等を用いて2又は3回吹くこと)それぞれの治療日の朝に摂取してもよい。前述の用量の例は単に単回適用あたり(すなわち1吹きあたり)の用量例として理解されるべきであることから、本発明による組み合わせの複数回適用は前述の例の複数回の用量を導く。本発明による組成物の適用は例えば1日1回、又は薬剤の作用の持続時間次第で1日2回又は、2又は3日に1回とすることができる。
前述の用量は定量のみの例として理解されるべきであると理解されよう。すなわち、前述の用量は肺に実際に到達する本発明による組み合わせの効果のある量として理解されるべきではない。肺に送達された用量は投与された有効成分の定量よりも一般に低いことは当業者に明らかである。
【0040】
単位用量形態及び投与の方法
上記に示されるように、本発明の医薬組成物は吸入、経口、静脈注射、局所、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経皮又は直腸の投与に適切な製剤の形態で投与されてもよい。本発明の医薬組成物は患者に単位用量形態として適用される。
本明細書で使用されるように、語句「単位用量形態」は実際の生成物を示し、これにより患者に本発明の医薬組成物が投与される。単位用量形態の非限定的な例として、錠剤、トローチ剤、カプセル、吸入用粉末のカプセル、単位用量の薬瓶、定量吸入器(MDI)により提供される測定された用量、注入用薬瓶及び当業者に一般に知られる他のものが挙げられる。
【0041】
ある態様において、本発明は医薬組成物をそれを必要としている患者に経口投与する方法に関する。経口投与は、患者に対する1日用量を達成するために1日あたり1回以上行われ得る。別の態様においては、本発明の塩は1日2回経口投与される。別の態様においては、本発明の塩は1日1回経口投与される。
別の態様において、本発明は医薬組成物をそれを必要としている患者に投与するための吸入方法に関する。さらに別の態様において、吸入の方法は吸入用粉末、噴射剤含有定量式エアロゾル剤及び噴射剤非含有吸入用溶液から選択される医薬組成物を含む。別の態様において、吸入方法は吸入用粉末を含む。別の態様において、吸入方法は噴射剤含有定量式エアロゾル剤を含む。及び別の態様において、吸入方法は噴射剤非含有吸入可能溶液を含む。
別の態様において、本発明は医薬組成物をそれを必要としている患者に投与するための座薬の使用に関する。適切な座薬は、例えばこの目的のために提供される担体、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコール又はその誘導体と混合することにより製造され得る。
【0042】
本発明の医薬組成物は1回の投与又は1回より多い補助投与(sub-administration)での単位用量形態により患者に適用され得る。1の態様において、本明細書の上記に記載される1日用量は患者に1日3回(t-d)の投与計画で;別の態様において、本明細書で上述される1日用量は患者に1日2回(b-i-d)の投与計画で;及び別の態様において、本明細書で上述される1日用量は患者に1日1回(q-d)の投与計画で投与される。
ある態様において、単位用量の形態は本発明の塩を約1mg〜約1000mg;別の態様において約5mg〜約800mg;別の態様において約10mg〜約700mg;別の態様において約15mg〜約600mg;別の態様において約20mg〜約500mg;及び別の態様において約25mg〜約400mgの量含む。
【0043】
医学的適用
本発明の塩は優れたCRTH2拮抗薬活性を示す。これは従って、CRTH2活性に付随する疾患の予防及び治療に適切である。本明細書に記載される医薬組成物は気管支痙攣緩和(bronchospasmolysis)及び気道における炎症の減少;口腔鼻咽頭(oro-naso pharynx)、皮膚又は眼のアレルギー性疾患;関節の炎症性疾患;及び炎症性腸疾患に関して有利な効果を有することが分かった。
【0044】
ある態様において、本発明は、粘液の増加又は変化した生成を伴う気道及び肺の疾患及び/又は気道の炎症性及び/又は閉塞性疾患、例えば急性気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、咳、肺気腫;アレルギー性又は非アレルギー性の鼻炎又は副鼻腔炎、慢性の副鼻腔炎又は鼻炎;鼻ポリープ、慢性鼻副鼻腔炎、急性鼻副鼻腔炎;喘息、アレルギー性気管支炎、歯槽骨炎、農夫の疾患(Farmer's disease)、気道過敏症(hyper-reactive airways);感染、例えば、細菌、病原体、寄生虫、菌類、原生動物又は他の病原体に起因する気管支炎又は肺炎;小児喘息、気管支拡張症;肺繊維症;成人呼吸窮迫症候群、気管支及び肺の浮腫;異なる原因、例えば、吸引(aspiration)、有毒ガスの吸入、吸入剤(vapors)に起因する気管支炎、肺炎又は間質性肺炎;心不全、X-線、放射線、化学療法に起因する気管支炎、肺炎又は間質性肺炎;膠原病、例えば紅斑性ループス、全身性硬皮症に付随する気管支炎、肺炎又は間質性肺炎;アスベスト肺、珪肺、エム・ベック(M. Boeck)又はサルコイドーシス、肉芽種などの異なる原因による肺繊維症、特発性肺線維症(IPF)、間質性肺疾患又は間質性肺炎;嚢胞性繊維症又はムコビシドーシス;又はα-1-抗トリプシン欠乏症から選択される症状(A)の治療に関する。
従って、ある態様において、本発明は上述の症状(A)から選択される呼吸器の疾患及び症状の治療用薬剤製造の為の本発明の医薬組成物の使用に関する。
別の態様において、本発明は上記(A)から選択される症状の治療方法に関し、治療上効果のある量の本発明の医薬組成物をそれを必要としている患者に投与することを含む。
さらに別の態様において、本発明は慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、慢性副鼻腔炎、鼻ポリープ、アレルギー性鼻炎、慢性鼻副鼻腔炎、急性鼻副鼻腔炎、及び喘息から選択される症状(A)を治療する方法に関し、この方法は治療上効果のある量の本発明の医薬組成物をそれを必要としている患者に投与することを含む。
【0045】
別の態様において、本発明は、様々な原因による消化管の炎症性疾患、例えば炎症性偽ポリープ、クローン病、潰瘍性大腸炎;関節の炎症性疾患、例えばリウマチ様関節炎;又は口腔鼻咽頭、皮膚又は眼のアレルギー性の炎症性疾患から選択される症状(B)の治療に関する。
従って、ある態様において、本発明は上述の症状(B)から選択される呼吸器の疾患及び症状の治療用薬剤製造の為の本発明の医薬組成物の使用に関する。
別の態様において、本発明は症状(B)から選択される症状の治療方法に関し、治療上効果のある量の本発明の医薬組成物をそれを必要としている患者に投与することを含む。
別の態様において、本発明は口腔鼻咽頭、皮膚又は眼のアレルギー性の炎症性疾患、クローン病又は潰瘍性大腸炎から選択される症状(B)の治療方法に関する。
【0046】
ある態様において、本発明は、1以上の追加の有効成分を含んでもよい本発明の医薬組成物を用いることによる上述の疾患及び症状の治療用薬剤の製造方法に関する。
別の態様において、本発明は、本発明の塩の1つを含み、及び必要に応じて1以上の追加の有効成分を含んでもよい医薬組成物を用いることにより、喘息並びにアレルギー性及び非アレルギー性鼻炎を治療するための薬剤の製造方法に関する。
【0047】
追加の有効成分
本発明の医薬組成物は、必要に応じて1以上の追加の有効成分を含むことができる。従って、ある態様において、本発明は治療上効果のある量の本発明の塩の1つ、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体又は賦形剤、及び少なくとも1つの追加の有効成分を含む医薬組成物(「組み合わせ」)に関する。別の態様において、本発明は本発明の塩及び少なくとも1つの追加の有効成分をそれを必要としている患者に投与する方法に関する。
組み合わせの有効成分は同時に、別々に又は連続で投与されてもよい。好ましい投与方法は、治療すべき症状によって決まる。
【0048】
ある態様において、少なくとも1つの追加の有効成分は、β2-アドレナリン受容体作動薬(短時間及び長時間作用型のベータ模倣薬)、抗コリン薬(短時間及び長時間作用型)、抗炎症ステロイド(経口及び局所のコルチコステロイド剤)、解離グルココルチコイド模倣薬、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、PDE7阻害剤、LTD4拮抗薬、EGFR阻害剤、PAF拮抗薬、リポキシンA4誘導体、FPRL1モジュレータ、LTB4受容体(BLT1、BLT2)拮抗薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、PI3-キナーゼ阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えばLYN、LCK、SYK、ZAP-70、FYN、BTK又はITK、MAPキナーゼ阻害剤、例えばp38、ERK1、ERK2、JNK1、JNK2、JNK3又はSAP、NF-κBシグナル経路阻害剤、例えばIKK2キナーゼ阻害剤、iNOS阻害剤、MRP4阻害剤、ロイコトリエン生合成阻害剤、例えば5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、cPLA2阻害剤、ロイコトリエンA4加水分解酵素阻害剤又はFLAP阻害剤、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、DP1-受容体モジュレータ、トロンボキサン受容体拮抗薬、CCR1拮抗薬、CCR2拮抗薬、CCR3拮抗薬、CCR4拮抗薬、CCR5拮抗薬、CCR6拮抗薬、CCR7拮抗薬、CCR8拮抗薬、CCR9拮抗薬、CCR10拮抗薬、CXCR1拮抗薬、CXCR2拮抗薬、CXCR3拮抗薬、CXCR4拮抗薬、CXCR5拮抗薬、CXCR6拮抗薬、CX3CR1拮抗薬、ニューロキニン(NK1、NK2)拮抗薬、スフィンゴシン1リン酸受容体モジュレータ、スフィンゴシン1リン酸リアーゼ阻害剤、アデノシン受容体モジュレータ、例えばA2a-作動薬、プリン受容体モジュレータ、例えばP2X7阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性剤、ブラジキニン(BK1、BK2)拮抗薬、TACE阻害剤、PPARガンマモジュレータ、Rho-キナーゼ阻害剤、インターロイキン1β変換酵素(ICE)阻害剤、トール様受容体(TLR)モジュレータ、HMG-CoA還元酵素阻害剤、VLA-4拮抗薬、ICAM-1阻害剤、SHIP作動薬、GABAa受容体拮抗薬、ENaC-阻害剤、メラノコルチン受容体(MC1R、MC2R、MC3R、MC4R、MC5R)モジュレータ、CGRP拮抗薬、エンドセリン拮抗薬、粘膜調節薬(mucoregulators)、免疫治療薬、気道腫脹治療用化合物(compounds against swelling of the airways)、咳止め用化合物(compounds against cough)、CB2作動薬、レチノイド、免疫抑制剤、肥満細胞安定剤、メチルキサンチン、オピオイド受容体作動薬、下剤、消泡剤、鎮痙薬、5-HT4作動薬、及びそれらの組み合わせからなるクラスから選択される。
【0049】
別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はPDE4阻害剤である。さらに別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はPDE4阻害剤ロフルミラスト(Roflumilast)である。
別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はLTD4拮抗薬である。さらに別の態様においては、少なくとも1つの追加の有効成分はモンテルカスト、プランルカスト及びザフィルルカストから選択されるLTD4拮抗薬である。
別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はヒスタミン受容体拮抗薬である。さらに別の態様においては少なくとも1つの追加の有効成分はアゼラスチン、セチリジン、デスロラタジン、エバスチン、エピナスチン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、レボセチリジン、ロラタジン及びオロパタジンから選択されるヒスタミン受容体拮抗薬である。
別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分は5-LO阻害剤である。さらに別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分は5-LO阻害剤ジレウトンである。
別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はCCR5拮抗薬である。さらに別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はCCR5拮抗薬マラビロクである。
別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はCCR9拮抗薬である。さらに別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はCCR9拮抗薬トラフィセット(Trafficet)である。
別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はサルファ剤(スルホンアミド)である。さらに別の態様において、少なくとも1つの追加の有効成分はメサラジン及びスルファサラジンから選択されるサルファ剤(スルホンアミド)である。
【0050】
本発明の塩及び少なくとも1つの追加の有効成分は1つの製剤中で組み合わされてもよく(例えば有効成分を1つの製剤中に一緒に含む一定用量の組み合わせとして)、又は2以上の別々の製剤中に(例えば同時、別々又は連続の投与に適合させた部分一式として)含んでもよい。本発明の医薬組成物が1以上の追加の有効成分を含む際は、1つの製剤が好ましい。
【0051】
追加の有効成分との組み合わせ中に使用される際は、本発明による吸入用粉末の組み合わせは、本発明の塩及び1以上の追加の有効成分の両方を含む単独の粉末混合物の形態で、又は本発明の塩又は1以上の追加の有効成分のみを含む別々の吸入用粉末の形態で調製及び投与されてもよい。
少なくとも1つの追加の有効成分が存在する場合その1日用量は、約1mg〜約1000mg;別の態様においては約2mg〜800mg;別の態様においては約3mg〜約500mg;別の態様においては約4mg〜約300mg;別の態様においては約5mg〜約200mg;及び別の態様においては約6mg〜約150mgである。
【実施例】
【0052】
実験
本発明の塩は核磁気共鳴(NMR)分析法、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、水蒸気吸着/脱着、及び元素分析により特徴付けられた。
NMRスペクトルはブルカー(Bruker)社のNMRにおいて400MHzで記録した。
XRPDのデータはリガク(Rigaku)社(ウッドランド、テキサス州)のMiniflex II粉末回折装置にて記録した。放射線はCuKa(30kV、15mA)であった。データは25℃において3〜35度の2θ角において1ステップあたり0.02度及び1ステップあたり1.67秒にて収集した。試料はシリコン(510)の試料ホルダー上に溶媒なしの粉末材料の薄い層として調製した。
DSCはティー・エー・インスツルメント(TA Instruments)社のQ1000示差走査熱量計を用いて実施した。試料は、分析用の密閉アルミニウム皿内に設置し、参照として空のアルミニウム皿を用いた。20℃〜400℃の温度範囲にわたり加熱速度10℃/分を用いた。
TGAはティー・エー・インスツルメント(TA Instruments)社のQ500熱重量分析計を用いて実施した。試料は白金試料皿内に設置した。25℃〜400℃の温度範囲にわたり加熱速度10℃/分を用いた。
水蒸気吸着/脱着はサーフェス・メジャメント・システムズ(Surface Measurement Systems)社のDVS-HTを用いて実施した。試料は試料皿に設置されたホイルの挿入部内へ設置した。試料の水の吸着及び脱着は25℃において相対湿度を5%から95%まで階段状に変化させ、吸着/脱着の2周期で観測した。それぞれの段階の平衡点へは0.002%の質量変化に達した際に到達した。
【0053】
[実施例1]
式(I)の化合物のN-メチル-D-グルカミン塩の調製
式(I)の化合物の遊離酸形(4.0g、7.9mmol)、N-メチル-D-グルカミン(1.713g、8.7mmol)及びエタノール(50g)を50℃にて約5時間混合した。結果として得られた混合物を約25℃まで冷却して濾過し、及びその固形物はエタノールを用いて洗浄(1x10g)した。その固形物をその後50℃にて減圧下で乾燥し、ほぼ白色の結晶としての式(I)の化合物のN-メチルグルカミン塩を得た。収率は4.56g、83%であった。XRPDデータは表1及び図1に示される。データは生成物が高度の結晶質であることを示す。DSC及びTGAの温度記録図(図2)は、本発明のN-メチル-D-グルカミン塩が開始温度約175℃の化合物の単独融解を有すること及び融解中の質量損失がないことを示す。分解による追加の質量損失が200℃より上で観測される。この結果は、上記方法により調製されるN-メチル-D-グルカミン塩は本質的に水分及び有機溶媒を含んでいないことを示す。
【0054】
[実施例2a]
式(I)の化合物のナトリウム塩の調製
イソプロパノール(25g)中の式(I)の化合物の遊離酸形(5.0g、9.9mmol)の混合物をエタノール中ナトリウムエトキシドの21質量%溶液3.55g(0.75g、10.9mmol)で処理した。結果として得られた混合物を50℃で16時間にわたり撹拌し、約25℃まで冷却して濾過した。その固形物はイソプロパノールを用いて洗浄(1x10ml)し、60℃にて減圧下で乾燥し、ほぼ白色の結晶としての式(I)の化合物のナトリウム塩を得た。収率は4.1g、79%であった。XRPDデータは表2及び図4に示される。データは生成物が高度の結晶質であることを示す。DSC及びTGAの温度記録図(図5)は、上記方法により調製された本発明のナトリウム塩が開始温度約319℃の化合物の単独融解を有すること及び融解中の質量損失がないことを示す。分解による追加の質量損失が319℃より上で観測される。この結果は、上記工程により調製されるナトリウム塩は本質的に水分及び有機溶媒を含んでいないことを示す。
【0055】
[実施例2b]
式(I)の化合物のナトリウム塩の調製
式(I)の化合物のナトリウム塩を、イソプロパノールの代わりにアセトンを使用する以外は実施例2aにおいて上述した方法と同様の方法で調製した。結果として得られた生成物は実施例2aにおいて調製された生成物と同様であった。
【0056】
上記で説明した実施例は当業者に対して実施態様の製法及び使用法の完全な開示及び記載を与えるために提供され、開示の範囲に限定することを意図するものではない。当業者に明らかな開示を実施するための上記方法の改良は本発明の範囲内であると意図される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの刊行物、特許又は特許出願が実質的に及び個別に参照により本明細書に組み込まれることを意味するかのように参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水及び非溶媒和の結晶形の式(I)の化合物のN-メチルグルカミン塩であって、N-メチルグルカミンの1モル当量あたり式(I)の化合物を約1モル当量含む前記結晶の塩。
【化1】

【請求項2】
N-メチルグルカミンがN-メチル-D-グルカミンである、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
粉末X線回折パターンがおよそ5.4、9.6、10.4、19.3、22.6、23.4°の2θ角を含む、請求項2に記載の塩。
【請求項4】
無水及び非溶媒和の結晶の式(I)の化合物のナトリウム塩であって、ナトリウムの1モル当量あたり式(I)の化合物を約1モル当量含む前記結晶の塩。
【化2】

【請求項5】
粉末X線回折パターンがおよそ5.7、7.0、7.4、9.3、16.4、17.8、19.4、21.7、22.3°の2θ角を含む、請求項4に記載の塩。
【請求項6】
薬学的に効果のある量の請求項1-5のいずれかに記載の塩又はそれらの組み合わせ、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含み、及び1以上の追加の有効成分を含んでもよい医薬組成物。
【請求項7】
前記塩がN-メチル-D-グルカミン塩である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記塩がナトリウム塩である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
治療上効果がある量の請求項1-5のいずれかに記載の塩又はそれらの組み合わせを患者に投与することを含む、CRTH2介在の疾患又は障害の1以上の症状を治療又は予防する方法。
【請求項10】
(a)適切な極性溶媒中で式(I)の化合物のN-メチルグルカミン塩を含む混合物を形成すること;及び
(b)式(I)の化合物のN-メチルグルカミン塩を混合物から結晶化させることを含む請求項1に記載の塩の製造方法。
【請求項11】
(a)適切な極性溶媒中で式(I)の化合物のナトリウム塩を含む混合物を形成すること;及び
(b)式(I)の化合物のナトリウム塩を混合物から結晶化させることを含む請求項4に記載の塩の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−512239(P2013−512239A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541110(P2012−541110)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/056944
【国際公開番号】WO2011/066147
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】