説明

ピリミジン誘導体およびそのKCNQカリウムチャネル開口薬としての使用

本発明は、一般式Iのピリミジン誘導体またはその塩、ならびにこれらを特にてんかんの治療においてKNCQファミリーカリウムイオンチャネルの開口薬として使用する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KCNQファミリーカリウムイオンチャネルの開口薬である化合物に関する。該化合物は、KCNQファミリーカリウムイオンチャネルの開口に応答する障害および疾患の治療に有用であり、このような疾患の1つはてんかんである。
【背景技術】
【0002】
イオンチャネルは、カリウム、カルシウム、クロリドおよびナトリウムを含むイオンの細胞内外への流れを制御する、細胞のタンパク質である。前記チャネルはすべての動物およびヒト細胞に存在し、そして神経伝達、筋収縮および細胞分泌を含む種々の過程に影響を及ぼす。
【0003】
ヒトは、構造および機能の両方に関して大きな多様性を持つ、70を超えるカリウムチャネルサブタイプをコードする遺伝子を有する(非特許文献1)。脳で見られるニューロンのカリウムチャネルは主に、活動電位に続く膜再分極の制御と同様、負の静止膜電位の維持に関連する。
【0004】
カリウムチャネル遺伝子の1つのサブセットはKCNQファミリーである。5つのKCNQ遺伝子のうち4つにおける突然変異が、心不整脈、難聴およびてんかんを含む疾患において見られることが示されている(非特許文献1)。
【0005】
KCNQ4遺伝子は、蝸牛の外有毛細胞および前庭器のI型有毛細胞で見られるカリウムチャネル関連の分子をコードしており、この遺伝子の突然変異により遺伝性難聴が形成されると考えられる。
【0006】
KCNQ1(KvLQT1)は、心筋遅延整流性K(+)電流(cardiac-delayed rectifier-like K(+) current)を形成するために、心臓でKCNE1(最小のK(+)-チャネルタンパク質)遺伝子産物と共に会合する。このチャネルにおける突然変異は、難聴の形成に関連するのと同様、遺伝性QT延長症候群1型(LQT1)の一形態を引き起こしうる(非特許文献2)。
【0007】
KCNQ2とKCNQ3遺伝子は1988年に発見され、良性家族性新生児痙攣として知られるてんかんの遺伝形態において、突然変異が見られる(非特許文献3)。KCNQ2およびKCNQ3遺伝子によってコードされるタンパク質は、ヒトの、発作の発生および伝播に関連する脳の部位である皮質および海馬の錐体神経に局在している(非特許文献4)。
【0008】
KCNQ2とKCNQ3は、インビトロで発現させると「M電流」を形成する、2つのカリウムチャネルサブユニットである。M電流は多くの神経細胞のタイプで見られる非不活化(non-inactivating)カリウム電流である。どの細胞のタイプにおいても、主に活動電位開始の領域における持続性電流のみによって膜興奮性は制御される(非特許文献5)。M電流の変調(Modulation)は、神経の興奮性に劇的な効果を及ぼし、例えば前記電流の活性化は神経の興奮性を減少させる。これらのKCNQチャネル開口薬またはM電流のアクチベーターは、過剰な神経活性を減少させ、発作およびその他の疾患の治療および痙攣性疾患、てんかんおよび神経因性疼痛を含む神経の異常興奮性のような過剰な神経活性を特徴とする障害の治療に使用することができる。.
レチガビン(Retigabine)(D-23129; N-(2-アミノ-4-(4-フルオロベンジルアミノ)-フェニル) カルバミン酸エチルエステル)およびその類似体は特許文献1に開示されている。レチガビンは、インビトロおよびインビボの両方で、作用の広いスペクトルおよび強力な抗痙攣特性を持つ抗痙攣性の化合物である。それは、電気的に誘導される発作、ペンチレンテトラゾール(pentylenetetrazole)、ピクロトキシン(picrotoxin)およびN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)により化学的に誘導される発作を含む抗痙攣薬試験の範囲内におけるラットおよびマウス、および遺伝的動物モデルであるDBA/2マウスでの経口および腹腔内投与後に活性を有する(非特許文献6)。加えて、レチガビンは複雑部分発作の扁桃核キンドリング(amygdala kindling)モデルにおいて活性であり、さらにこの化合物が抗痙攣治療に効力を有することを示している。臨床試験において、レチガビンは最近、てんかん患者における発作の発生率を減少させる効果を示している(非特許文献7)。
【0009】
レチガビンは、神経細胞においてK(+)電流を活性化し、この誘導される電流の薬理学は、近年KCNQ2/3K(+)チャネルへテロ多量体と関連付けて発表されているM-チャネルの薬理学との一致を示す。このことは、KCNQ2/3チャネルの活性化が、この作用薬の一部の抗痙攣活性の原因となっており(非特許文献8)、そして他の同じ機構で作用する作用薬は類似の用途をもつことを示唆している。
【0010】
KCNQ2および3チャネルは、神経因性疼痛のモデルにおいてアップレギュレートされることが報告されており(非特許文献9)、カリウムチャネルモジュレーターは、神経因性疼痛およびてんかんの両方において活性であると予想されている(非特許文献10)。
【0011】
レチガビンは、神経因性疼痛の動物モデルにおいても有効であることが示されており、(非特許文献11)、KCNQチャネルの開口薬が神経因性疼痛を含む疼痛性障害の治療に使用することができると考えられる。
【0012】
KCNQチャネルmRNAの局在化が、脳および痛みに関連する他の中枢神経系領域において報告されている(非特許文献12)。
【0013】
神経因性疼痛における役割に加えて、三叉神経および後根神経節および三叉神経尾側核(trigeminal nucleus caudalis)におけるKCNQ2〜5のmRNAの発現は、これらのチャネルの開口薬が片頭痛(migraine pain)の感覚的な過程にも影響を及ぼしていることを暗示する(非特許文献12)。
【0014】
最近の報告では、KCNQ2に加えてKCNQ3および5のmRNAが星状およびグリア細胞で発現していることが示されている。従って、KCNQ2、3および5チャネルは、CNSにおけるシナプス活性の調節を助け、KCNQチャネル開口薬の神経保護効果に貢献している(非特許文献13)。
【0015】
レチガビンおよび他のKCNQモジュレーターは、従って、レチガビンがラットにおいて辺縁系の神経変性、およびカイニン酸(kainic acid)が誘導するてんかん重積状態に続くアポトーシスマーカーの発現を妨げることが示されているように、てんかんの神経変性の側面に対する保護を示す(非特許文献14)。これは、患者におけるてんかんの進行を妨げる、すなわち、抗てんかん誘発に関連性を有する。レチガビンは、さらにてんかんの進展したモデルであるラットにおいて海馬キンドリング(hippocampal kindling)の進行を遅らせることが示されている(非特許文献15)。
【0016】
従って、レチガビンおよび他のKCNQモジュレーターのこれらの特性により、過剰な神経活性化によって誘導される神経の損傷を予防することができ、神経変性疾患の治療、およびてんかん患者における予防維持(または抗てんかん誘発)に使用することができると考えられる。
【0017】
ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)およびクロメチアゾール(chlormethiazole)のような抗痙攣薬化合物が、エタノール離脱症候群(ethanol withdrawal syndrome)の治療に臨床的に使用され、他の抗痙攣薬化合物、例えばガバペンチン(gabapentin)がこの症候群の動物モデル(非特許文献16)にとても効果的であるならば、KCNQ開口薬のような他の抗痙攣薬化合物がこの病気においても効果的であると期待される。
【0018】
KCNQ2および3サブユニットのmRNAは、不安および双極性障害のような情動行動と関連する脳の領域、例えば海馬および扁桃において見られ (非特許文献17)、そしてレチガビンは報告されるところによれば、不安様行動のいくつかの動物モデルで活性であり(非特許文献18)、他の臨床的に使用される抗痙攣薬化合物は、双極性障害の治療に使用されている。従って、KCNQ開口薬は、不安障害および双極性障害の治療に有用である。
【0019】
特許文献2には、不眠症のための、KCNQ2およびKCNQ3遺伝子の発現によって形成されるM電流のモジュレーターの使用が開示されており、さらに特許文献3には、KCNQ5のモジュレーターが睡眠障害の治療に利用できることが開示されている。
【0020】
特許文献4には、異痛、痛覚過敏(hyperalgesic pain)、幻想痛(phantom pain)のような神経因性疼痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛、および片頭痛に関連する神経因性疼痛の予防および治療のための、レチガビンの使用について記載されている。
【0021】
特許文献5には、不安、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、対人恐怖、パフォーマンス不安(performance anxiety)、外傷後ストレス障害、急性ストレス反応(acute stress reaction)、適応障害、心気症障害(hypochondriacal disorders)、分離不安障害(separation anxiety disorder)、広場恐怖症および特定恐怖症(specific phobias)のような不安障害の治療のための、レチガビンの使用について記載されている。
【0022】
特許文献6には、アルツハイマー病;ハンチントン舞踏病;多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症のような硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病;パーキンソン病;AIDS誘発性脳症、または風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌および未知の病原体による感染により引き起こされる脳症;外傷誘発性神経変性(trauma-induced neurodegenerations);薬物離脱症状(medicament withdrawal)または中毒におけるような神経の過興奮状態(hyperexcitation states);および多発性神経障害および多発性神経炎(polyneuritides)のような末梢神経系の神経変性障害を治療するためのレチガビンの使用が記載されている。
【0023】
KCNQチャネル開口薬が脳卒中の治療に有効であることも見出され、従って、選択的なKCNQ開口薬は、脳卒中の治療に有効であると期待される(非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21)。
【0024】
KCNQチャネルは、脳の報酬系に関連する脳のドーパミン作動性およびコリン作動性回路、特に腹側被蓋野において発現することが示されている(非特許文献22)。従って、KCNQチャネル開口薬は、脳の報酬系に関連する興奮性亢進障害、例えば、コカイン乱用、ニコチン離脱症状およびエタノール離脱症状に有効であると期待される。
【0025】
KCNQ4サブユニットを含むカリウムチャネルは内耳に発現しており(非特許文献23)、従って、これらのチャネルの開口は耳鳴を治療すると期待される。
【0026】
従って、KCNQファミリーカリウムチャネルの強力な開口薬である新規化合物が熱望される。
【0027】
レチガビンのようなKCNQファミリーカリウムチャネルの開口薬である公知の化合物と比較して、改善された特性をもつ新規化合物もまた切望されている。以下のパラメーター:半減期、クリアランス、選択性、他の薬剤との相互作用、生物学的利用能、有効性(potency)、製剤化性(formulability)、化学的安定性、代謝安定性、膜透過性、溶解度および治療指数(therapeutic index)、のうちの1つまたは2つ以上の改善が所望されている。これらのパラメーターの改善は、以下:
・一日の必要用量を減少することによる、改善した用量での療法
・多剤治療の患者への投与の軽減
・副作用の減少
・治療指数の増大
・忍容性の改善、または
・コンプライアンスの改善、
のような改善をもたらす。
【特許文献1】欧州特許(EP)第554543号明細書
【特許文献2】国際公開第200196540号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2001092526号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/022953号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/049628号パンフレット
【特許文献6】国際公開第97/15300号パンフレット
【非特許文献1】Jentsch Nature Reviews Neuroscience 2000, 1, 21-30
【非特許文献2】Robbins Pharmacol Ther 2001, 90, 1-19
【非特許文献3】Rogawski Trends in Neurosciences 2000, 23, 393-398
【非特許文献4】Cooper et al. Proceedings National Academy of Science U S A 2000, 97, 4914-4919
【非特許文献5】Marrion Annual Review Physiology 1997, 59, 483-504
【非特許文献6】Rostock et al. Epilepsy Research 1996, 23, 211-223
【非特許文献7】Bialer et al. Epilepsy Research 2002, 51, 31-71
【非特許文献8】Wickenden et al. Molecular Pharmacology 2000, 58, 591-600
【非特許文献9】Wickenden et al. Society for Neuroscience Abstracts 2002, 454.7
【非特許文献10】Schroder et al. Neuropharmacology 2001, 40, 888-898;
【非特許文献11】Blackburn-Munro and Jensen European Journal of Pharmacology 2003, 460, 109-116
【非特許文献12】Goldstein et al. Society for Neuroscience Abstracts 2003, 53.8
【非特許文献13】Noda et al., Society for Neuroscience Abstracts 2003, 53.9
【非特許文献14】Ebert et al. Epilepsia 2002, 43 Suppl 5, 86-95
【非特許文献15】Tober et al. European Journal Of Pharmacology 1996, 303, 163-169
【非特許文献16】Watson et al. Neuropharmacology 1997, 36, 1369-1375
【非特許文献17】Saganich et al. Journal of Neuroscience 2001, 21, 4609-4624
【非特許文献18】Hartz et al. Journal of Psychopharmacology 2003, 17 suppl 3, A28,B16
【非特許文献19】Schroder et al., Pflugers Arch., 2003;446(5):607-16
【非特許文献20】Cooper and Jan, Arch Neurol., 2003, 60(4):496-500
【非特許文献21】Jensen, CNS Drug Rev., 2002,8(4):353-60
【非特許文献22】Cooper et al., J Neurosci, 2001, 21, 9529-9540
【非特許文献23】Kubisch et al., Cell., 1999 Feb 5;96(3):437-46
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的の1つは、KCNQファミリーカリウムチャネルの強力な開口薬である化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の化合物は、以下の式I
【0030】
【化1】

で表される置換されたピリミジン誘導体またはその塩であり、式中、R1、R2、R3、R4、R5およびq は以下に定義されるとおりである。
【0031】
本発明は、薬剤として使用するための式Iの化合物を提供する。
【0032】
本発明は、式Iの化合物および薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤を含む医薬調合物を提供する。
【0033】
本発明は、発作性障害、不安障害、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害、癌性疼痛のような他の疼痛性障害、神経変性障害、脳卒中、コカイン乱用、ニコチン離脱症状、エタノール離脱症状、または耳鳴のような聴覚障害の治療用薬剤の製造に、式Iの化合物を使用する方法を提供する。
【0034】
本発明はさらに、発作性障害、不安障害、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害、癌性疼痛のような他の疼痛性障害、神経変性障害、脳卒中、コカイン乱用、ニコチン離脱症状、エタノール離脱症状、または耳鳴のような聴覚障害の治療方法に、式Iの化合物を使用する方法に関する。
【0035】
<置換基の定義>
「ヘテロ原子」という語句は窒素、酸素または硫黄原子を表す。
【0036】
「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。「ハロ」はハロゲンを意味する。
【0037】
「シアノ」は、炭素原子を経て分子の残りの部分と連結する
【0038】
【化2】

を表す。
【0039】
「アミノ」は、窒素原子を経て分子の残りの部分と連結するNH2を表す。
【0040】
「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という表現は、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニルまたはC2-6-アルキニルを意味する。「C1-6-アルキル」という語句は、メチル、エチル、プロプ-1-イル、プロプ-2-イル、2-メチル-プロプ-1-イル、2-メチル-プロプ-2-イル、2,2-ジメチル-プロプ-1-イル、ブト-1-イル、ブト-2-イル、3-メチル-ブト-1-イル、3-メチル-ブト-2-イル、ペント-1-イル、ペント-2-イル、ペント-3-イル、ヘキシ-1-イル、ヘキシ-2-イルおよびヘキシ-3-イルを含むがこれらに限定されない、1〜6個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基を示す。「C2-6-アルケニル」という語句は、エテニル、プロペニルおよびブテニルを含むがこれらに限定されない、2〜6個の炭素原子および1個の二重結合を有する分岐または非分岐のアルケニル基を示す。
【0041】
「C2-6-アルキニル」という語句は、エチニル、プロピニルおよびブチニルを含むがこれらに限定されない、2〜6個の炭素原子および1個の三重結合を有する分岐または非分岐のアルキニル基を示す。
【0042】
「C1-10-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という表現はC1-10-アルキル、C2-10-アルケニルまたはC2-10-アルキニルを意味する。
【0043】
「C1-10-アルキル」という語句は、限定はされないがメチル、エチル、プロプ-1-イル、プロプ-2-イル、2-メチル-プロプ-1-イル、2-メチル-プロプ-2-イル、2,2-ジメチル-プロプ-1-イル、ブト-1-イル、ブト-2-イル、3-メチル-ブト-1-イル、3-メチル-ブト-2-イル、ペント-1-イル、ペント-2-イル、ペント-3-イル、ヘキシ-1-イル、ヘキシ-2-イル、ヘキシ-3-イル、2-メチル-4,4-ジメチル-ペント-1-イルおよびヘプト-1-イルを含む、1〜10個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を示す。
【0044】
「C2-10-アルケニル」という語句は、限定はされないがエテニル、プロペニルおよびブテニルを含む、2〜10個の炭素原子および1つの二重結合を有する分岐または非分岐アルケニル基を示す。
【0045】
「C2-10-アルキニル」という語句は、限定はされないがエチニル、プロピニルおよびブチニルを含む、2〜10個の炭素原子および1つの三重結合を有する分岐または非分岐アルキニル基を示す。
【0046】
「C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)」という表現は、C3-8-シクロアルキルまたはC3-8-シクロアルケニルを意味する。「C3-8-シクロアルキル」という語句は、限定はされないがシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロヘプチル、例えば、2-ビシクロ[2.2.1]ヘプチルを含む、3〜8個の炭素原子を有する単環式または二環式の炭素環を表す。
【0047】
「C3-8-シクロアルケニル」という語句は、限定はされないがシクロペンテニルおよびシクロヘキセニルを含む、3〜8個の炭素原子および1個の二重結合を有する単環式または二環式の炭素環を表す。
【0048】
「ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という語句は、限定はされないがトリフルオロメチルを含む、ハロゲンで置換されたC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を表す。
【0049】
「ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ」という語句は、限定はされないがトリフルオロメチルオキシを含む、ハロゲンで置換されたC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシを表す。
【0050】
同様に、「ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)」は、限定はされないがクロロシクロプロパンおよびクロロシクロヘキサンを含む、ハロゲンで置換されたC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)を表す。
【0051】
同様に、「ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)オキシ」は、限定はされないがクロロシクロプロピルオキシおよびクロロシクロヘキシルオキシを含む、ハロゲンで置換されたC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)オキシを表す。
【0052】
同様に、「ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ」は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシを介して分子の残りの部分に連結するハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)を表す。
【0053】
「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ」という語句は、酸素原子を介して分子の残りの部分に連結するC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を表す。
【0054】
同様に、「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ」は、酸素原子を介して分子の残りの部分に連結するC3-8-シクロアルキル(アルケニル)を表す。
【0055】
「アリール」という語句は、フェニル、ナフチル、チオフェン、フラン、ベンゾチオフェンおよびベンゾフランからなる群から選択される、単環式または二環式の香族系を示す。
【0056】
「場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という語句は、アリール部分が場合により、例えば、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を示す。
【0057】
同様に、「場合により置換されるアリール」という語句は、アリールが場合により、例えば、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されるアリールを示す。
【0058】
「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」および「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ」という表現において、「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)」、「アリール」および「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ」という語句は上記の定義のとおりである。
【0059】
<本発明の説明>
本発明は、KCNQカリウムチャネルの開口薬である置換されたピリミジン誘導体に関する。
【0060】
本発明は、一般式I:
【0061】
【化3】

で表される化合物であって、
式中、qが0または1であり;
R1およびR2が水素および場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択され、ただし、R1およびR2は両方とも水素ではないことを条件とし、あるいは、R1およびR2がこれらが連結する窒素と一緒に場合によりさらなるヘテロ原子を含有する5〜7員環を形成し;
R3およびR4が水素、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)オキシまたはハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシから独立して選択され、ただし、R3およびR4は両方とも水素ではないことを条件とし;
R5がC1-10-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)および場合により置換されるアリールからなる群から選択される、
前記の化合物またはその塩に関する。
【0062】
式Iの化合物の1つの実施態様において、qは0である。
【0063】
式Iの化合物の別の実施態様において、qは1である。
【0064】
式Iの化合物の別の実施態様において、R1およびR2 は水素または場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択され、ただし、R1およびR2は両方とも水素ではないことを条件とする。
【0065】
式Iの化合物の別の実施態様において、R1およびR2 はこれらが連結する窒素と一緒に場合によりさらなるヘテロ原子を含有する5〜7員環を形成し;別の実施態様において、前記のさらなるヘテロ原子は酸素であり;別の実施態様において、前記の環は6員環であり;別の実施態様において、前記の環はモルホリン環である。
【0066】
式Iの化合物の別の実施態様において、R3およびR4 はアミノまたはC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択され、好ましくはメチルである。
【0067】
式Iの化合物の別の実施態様において、R5はC1-10-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)および場合により置換されるアリールからなる群から選択される。
【0068】
別の実施態様は、遊離塩基またはその塩としての式Iの化合物に関し、前記化合物は以下の表の化合物から選択される。
【0069】
【表1】

これらの化合物はそれぞれが特定の実施態様であり、個々の請求項に含めることもできるものである。
【0070】
本発明はまた、本発明化合物の塩、典型的には薬学的に許容される塩も含む。本発明の塩には、酸付加塩、金属塩、アンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩が含まれる。
【0071】
本発明の塩は好ましくは酸付加塩である。本発明の酸付加塩は、好ましくは、非毒性の酸で形成される本発明化合物の薬学的に許容される塩である。酸付加塩には、無機酸および有機酸の塩が含まれる。適当な無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸等が含まれる。適当な有機酸の例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、イタコン酸、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸(pamoic)、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、テオフィリン酢酸および8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモテオフィリン等が含まれる。薬学的に許容される無機酸または有機酸付加塩のさらなる例としては、参照することにより本明細書に組み込まれる「J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2」に記載されている薬学的に許容される塩が含まれる。
【0072】
本発明化合物が形成することができる水和物も酸付加塩として考えられる。
【0073】
金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩等が含まれる。
【0074】
アンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩の例としては、アンモニウム、メチル-、ジメチル-、トリメチル-、エチル-、ヒドロキシエチル-、ジエチル-、n-ブチル-、sec-ブチル-、tert-ブチル-、テトラメチルアンモニウム塩等が含まれる。
【0075】
さらに、本発明の化合物は、水、エタノール等のような薬学的に許容される溶剤とともに溶媒和体(solvated forms)で存在するものと同様に、溶媒和されないで存在し得る。概して、本発明の目的においては、溶媒和体は非溶媒和体(unsolvated forms)と同等であると考えられる。
【0076】
本発明の化合物は1つまたは2つ以上の不斉中心を有し、このことは、分割され、純粋なもしくは部分的に精製された光学異性体およびそれらのラセミ混合物を含む混合物、すなわち立体異性体の混合物のような光学異性体(すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマー)がいずれも本発明の範囲に含まれることを意味する。
【0077】
ラセミ体は、公知の方法、例えば、そのジアステレオマー塩の光学活性な酸を用いる分離、および塩基での処理による光学活性アミン化合物の遊離により、光学対掌体に分割することができる。ラセミ化合物の光学対掌体への分割のもう1つの方法は、光学活性なマトリックスを用いたクロマトグラフィーに基づくものである。本発明のラセミ化合物はまた、例えば、分別晶出(fractional crystallization)によってもその光学対掌体に分割することができる。本発明の化合物はまた、ジアステレオマー誘導体の形成によっても分割することができる。さらに、当業者に公知の光学対掌体の分割方法を使用することもできる。このような方法には、「J. Jaques, A. Collet and S. Wilen in “Enantiomers, Racemates, and Resolutions”, John Wiley and Sons, New York (1981) 」により議論されている方法が含まれる。光学活性化合物はまた、光学活性な出発物質から、または立体選択的合成により製造することもできる。
【0078】
さらに、二重結合または完全にもしくは部分的に飽和した環系が分子内に存在する場合には、幾何異性体が形成される。分離され、純粋なもしくは部分的に精製された幾何異性体またはそれらの混合物のようないずれの幾何異性体も、本発明の範囲に含まれる。同様に、回転が制限される結合を有する分子は幾何異性体を形成し得る。これらもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0079】
さらに、いくつかの本発明化合物は、異なる互変異性型で存在することができ、前記化合物が形成することができる互変異性型はいずれも、本発明の範囲に含まれる。
【0080】
本発明は、投与において、薬学的な活性物質となる前に代謝過程により化学的変換を受ける、本発明化合物のプロドラッグもまた包含する。概して、前記のプロドラッグは一般式Iの化合物の機能的な誘導体であり、生体内において容易に、所望である式 Iの化合物に変換される。適切なプロドラッグ誘導体の選択および製造に関する慣用的な手段は、例えば「Design of Prodrugs」(ed.H. Bundgaard, Elsevier, 1985)に記載されている。
【0081】
本発明は、本発明化合物の活性代謝産物もまた包含する。
【0082】
本発明の化合物は、下記の「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合に、KCNQ2受容体サブタイプに対するアフィニティーを有し、15000 nM未満、例えば10000 nM未満のEC50を示す。1つの実施態様は、下記の「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合に、KCNQ2受容体サブタイプに対するアフィニティーを有し、2000 nM未満、例えば1500 nM未満のEC50を示す式Iの化合物に関する。本発明を限定することなくさらに説明するための実施態様は、下記の「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合に、KCNQ2受容体サブタイプに対するアフィニティーを有し、200 nM未満、例えば150 nM未満のEC50を示す上記化合物に関する。
【0083】
1つの実施態様は、下記の「最大電気ショック」試験において15mg/kg未満のED50を有する式Iの化合物に関する。本発明を限定することなくさらに説明するための実施態様は、下記の「最大電気ショック」試験において5mg/kg未満のED50を有する前記の化合物に関する。
【0084】
1つの実施態様は、下記の「電気的発作閾値試験」および「化学的発作閾値試験」において5mg/kg未満のED50を有する式Iの化合物に関する。
【0085】
1つの実施態様は、ほとんど副作用を示さないか、または臨床的に重要でない副作用を示す式Iの化合物に関する。従って、本発明の一部の化合物は、不要な鎮痛、体温降下および運動失調作用のモデルにおいて試験が行われる。
【0086】
1つの実施態様は、回転棒(rotating rod)での行動により測定を行った場合に、抗痙攣効果と副作用、例えば、自発運動(locomotor activity)の障害もしくは運動失調効果との間で大きな治療指数を有する式Iの化合物に関する。このような化合物は、副作用が現れる前に、患者に高用量で使用することができる。従って、治療におけるコンプライアンスは良好であり、他の薬剤では副作用が現れる患者において、より有効な治療である高用量の投与が可能であると期待される。
【0087】
すでに述べたように、本発明の化合物は、KCNQファミリーのカリウムチャネル、特にKCNQ2サブユニットにおいて効果を有し、従って、これらは哺乳類、例えば、ヒトにおける電位依存性カリウムチャネルでのイオンの流れを増加させるために有用であると考えられる。本発明化合物は、カリウムチャネル、例えば、KCNQファミリーカリウムイオンチャネルでのイオンの流れの増加に応答する障害または疾患の治療に適用可能であると考えられる。このような障害または疾患は、好ましくは中枢神経系の障害または疾患である。
【0088】
1つの態様において、本発明の化合物は、治療的に有効な化合物のみで投与することができる。
【0089】
別の態様において、本発明化合物は併用療法の一部分として投与することができ、すなわち、本発明化合物は、例えば、抗痙攣特性を有するその他の治療的に有効な化合物と組み合わせて投与することができる。このような抗痙攣特性を有するその他の化合物の効果には、限定はされないが以下:
・イオンチャネル、例えば、ナトリウム、カリウム、またはカルシウムチャネル
・興奮性アミノ酸系、例えば、NMDA受容体の遮断または変調
・抑制性神経伝達物質系、例えば、GABA放出、またはGABA取り込みの遮断、または
・膜安定化効果
における活性が含まれる。
【0090】
現在用いられている抗痙攣薬剤には、限定はされないが、チアガビン(tiagabine)、カルバマゼピン(carbamazepine)、ナトリウムバルプロエート(valproate)、ラモトリジン(lamotrigine)、ガバペンチン(gabapentin)、プレガバリン(pregabalin)、エトスクシミド(ethosuximide)、レベチラセタム(levetiracetam)、フェニトイン(phenytoin)、トピラメート(topiramate)、ゾニサミド(zonisamide)、ならびにベンゾジアゼピン(benzodiazepine)およびバルビツール酸誘導体(barbiturate)類のメンバーが含まれる。
【0091】
本発明の態様は、薬剤として使用するための式Iの化合物またはその塩を提供する。
【0092】
1つの実施態様において、本発明は、治療方法において式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0093】
本発明の実施態様は、式Iの化合物またはその塩、および薬学的に許容されるキャリアーもしくは希釈剤を含む医薬調合物を提供する。該調合物は、上記のような式Iの実施態様のいずれをも含み得る。
【0094】
本発明の別の実施態様は、哺乳類、例えば、ヒトのカリウムチャネルでのイオンの流れを増加させるために、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0095】
本発明の別の実施態様は、カリウムチャネルでのイオンの流れの増加に応答する障害または疾患の治療に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法であって、前記の障害または疾患が好ましくは中枢神経系の障害または疾患である、前記の使用方法に関する。
【0096】
本発明の別の実施態様は、KCNQカリウムチャネル開口薬、例えばKCNQ2カリウムチャネル開口薬が有用である疾患または障害の治療用医薬調合物の製造に、式Iまたはその塩を使用する方法に関する。通常、このような疾患または障害は、発作性障害、不安障害、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害、癌性疼痛のような他の疼痛性障害、神経変性障害、脳卒中、コカイン乱用、ニコチン離脱症状、エタノール離脱症状、および耳鳴のような聴覚障害からなる群から選択される。
【0097】
本発明の別の実施態様は、発作性障害の治療用医薬調合物の製造に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0098】
通常、治療される発作性障害は、急性発作、痙攣、てんかん重積状態、およびてんかん、例えば、てんかん症候群およびてんかん性発作からなる群から選択される。
【0099】
本発明の実施態様は、不安障害の治療用医薬調合物の製造に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0100】
通常、治療される不安障害は、不安、ならびに、パニック不安、広場恐怖症、広場恐怖症を伴うパニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、パニック障害の履歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症、対人恐怖症およびその他の特定恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般身体疾患のための不安障害、物質誘発性不安障害、分離不安障害、適応障害、パフォーマンス不安、心気症障害、一般身体疾患のための不安障害および物質誘発性不安障害、およびその他の特定されていない不安障害に関連する障害および疾患からなる群から選択される。
【0101】
本発明の別の実施態様は、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害の治療用医薬調合物の製造に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0102】
通常、治療される神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害は、異痛、痛覚過敏、幻想痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛、三叉神経痛に関連する神経因性疼痛および片頭痛に関連する神経因性疼痛からなる群から選択される。
【0103】
本発明の別の実施態様は、神経変性障害の治療用医薬調合物の製造に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0104】
通常、治療される神経変性障害は、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、AIDSによりまたは風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌もしくは未知の病原体による感染により誘発される脳症、外傷誘発性神経変性、薬物離脱症状もしくは中毒におけるような神経の過興奮状態、および末梢神経系の神経変性疾患、例えば多発性神経障害および多発性神経炎からなる群から選択される。
【0105】
本発明の別の実施態様は、双極性障害または注意欠陥多動性障害の治療用医薬調合物の製造に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0106】
本発明の別の実施態様は、睡眠障害、例えば不眠症の治療用医薬調合物の製造に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0107】
本発明の別の実施態様は、線維筋痛症、運動障害もしくは動揺病(motion disorder)、痙縮、ミオキミアまたは尿失禁の治療用医薬調合物の製造に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0108】
本発明の別の実施態様は、脳卒中、コカイン乱用、ニコチン離脱症状、エタノール離脱症状、または耳鳴のような聴覚障害の治療用医薬調合物の製造に、式Iの化合物またはその塩を使用する方法に関する。
【0109】
本明細書において疾患または障害と関連して使用される場合に、「治療」という語句には、場合により、予防、抑制および改善もまた含まれる。
【0110】
本発明は、以下の試験のうちの1つまたは2つ以上において効果を示す化合物を提供する:
・「KCNQ2チャネルを通る相対流量」
これは、標的チャネルにおける化合物の有効性を測定するものである
・「最大電気ショック(Maximum electroshock)」
これは、電気的手段による非特異的CNS刺激によって誘導される発作を測定するものである
・「ピロカルピン(Pilocarpine)誘導性発作」
ピロカルピンによって誘導される発作は、しばしば多くの既存の抗発作薬剤により治療することが困難であるので、「薬剤耐性発作」のモデルを反映する
・「電気的発作閾値試験(Electrical seizure-threshold tests)」および「化学的発作閾値試験(Chemical seizure-threshold tests)」
これらのモデルは、発作が開始する閾値を測定し、化合物が発作開始を遅らせることができるかを検出するモデルである
・「扁桃核キンドリング(Amygdala kindling)」
このモデルにおいては、正常動物がさらなる刺激を受けると該動物において発作がより重篤になるので、疾患の進行を測定するために用いられる。
【0111】
<医薬調合物>
本発明はまた医薬調合物に関する。本発明の化合物またはその塩は、単回または複数回投与で、単独でまたは薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤と組み合わせて投与することができる。本発明による医薬調合物は、薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤ならびに他の公知の佐剤および賦形剤とともに、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19 Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995」に開示されているような慣用の技術に従って製剤化することができる。
【0112】
前記の医薬調合物は、具体的には経口、 直腸、 経鼻、 肺、 局所(口腔および舌下腺(sublingual)を含む)、 経皮、 嚢内(intracisternal)、 腹腔内、 膣および非経口 (皮下、 筋肉内、 髄腔内(intrathecal)、 静脈内および皮内を含む)経路のような適切な経路、好ましくは経口経路による投与のために製剤化されてもよい。好ましい経路は、治療対象者の一般的な状態および年齢、治療されるべき障害または疾患の性質および選択される有効成分に依存するということは認識されるだろう。
【0113】
そして、本発明化合物および薬学的に許容されるキャリアーを組み合わせることにより形成される医薬調合物は、開示された投与経路に適した種々の剤形で容易に投与することができる。前記の調合物は、都合よくは、本技術分野において公知の方法によって単位投薬形態(unit dosage form)で存在することができる。
【0114】
本発明の化合物は、通常、遊離塩基としてまたはその薬学的に許容される塩として利用される。1つの例としては、遊離塩基が有効性を有する化合物の酸付加塩が挙げられる。本発明化合物が遊離塩基を含む場合には、前記の塩は、本発明の遊離塩基の溶液または懸濁液を化学的当量の薬学的に許容される酸と処理することにより、慣用の方法で製造される。代表的な例は上述したとおりである。
【0115】
経口投与のための医薬調合物は固体または液体でよい。経口投与のための固体剤形には、例えば、カプセル剤、錠剤、糖剤、丸剤、ロゼンジ、散剤、顆粒剤、および例えば散剤または小丸剤の形態で硬ゼラチンカプセルに収納されているか、またはトローチ剤またはロゼンジの形態にある錠剤が含まれる。適当な場合には、経口用医薬調合物は、腸溶性コーティングのようなコーティングを伴って製造することができ、またはそれらは有効成分を徐放もしくは持続放出のような制御放出(controlled release)をするように公知の方法によって製剤化することもできる。経口投与のための液体の剤形には、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。
【0116】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが所定の量の有効成分を含むカプセル剤または錠剤のような個別の単位として存在することができ、それらは適当な賦形剤を含むことができる。さらに、経口に利用することができる製剤は、散剤または顆粒剤、水系もしくは非水系液体での液剤もしくは懸濁剤、または水中油型もしくは油中水型液体乳剤の形態でよい。
【0117】
適当な薬学的キャリアーには、不活性な固体の希釈剤または増量剤、滅菌水溶液および種々の有機溶剤が含まれる。固体キャリアーの例としては、ラクトース、石膏、ショ糖、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア(acacia)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、セルロースの低級アルキルエーテル、とうもろこしでんぷん、ジャガイモでんぷん、増粘剤(gums)等が挙げられる。液体のキャリアーの例としては、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水が挙げられる。
【0118】
前記のキャリアーまたは希釈剤は、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンのような本技術分野で公知の徐放物質を、単独でまたはワックスと混合して含むことができる。
【0119】
このような目的のために通常使用される、着色剤、 香料(flavourings)、 保存剤等のような佐剤または添加剤はいずれも、有効成分と適合するならば使用することができる。
【0120】
固体のキャリアーの量は変化し得るが、通常、約25 mg〜約1 gである。
【0121】
液体のキャリアーが使用される場合には、調合物はシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤または水系もしくは非水系の液体懸濁液もしくは溶液のような注射用滅菌液体の形態でよい。
【0122】
錠剤は、通常の佐剤または希釈剤とともに活性成分を混合し、引き続き、該混合物を慣用の打錠機において圧縮することにより製造することができる。
【0123】
非経口投与のための医薬調合物には、使用に先立って注射用滅菌溶液または分散剤で再構成される滅菌散剤と同様に、滅菌した水系および非水系の注射溶液、分散剤 、懸濁剤または乳剤が含まれる。デポー注射製剤(Depot injectable formulations)もまた本発明の範囲に含まれるものとして考えられる。
【0124】
非経口投与のために、本発明化合物の溶液は、滅菌水溶液、プロピレングリコール水溶液、ビタミンE水溶液またはゴマ油もしくはピーナッツ油において使用される。前記水溶液は必要な場合には適当に緩衝され、十分な生理食塩水またはグルコースを用いて液体の希釈剤によりまず等張化される。前記水溶液は特に静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に適している。使用される前記滅菌された水系媒体はすべて当業者に公知の標準的な技術により、容易に利用することができる。
【0125】
注射溶液は、注射用溶剤、好ましくは滅菌水の一部に有効成分および可能な添加剤を溶解させ、該溶液を所望の容量に調整し、該溶液を滅菌してそれを適当なアンプルまたはバイアルに満たすことにより製造することができる。本技術分野で慣用的に用いられる適当な添加剤、例えば等張化剤、防腐剤、酸化防止剤等を添加することができる。
【0126】
その他の適当な投与形態としては、坐剤、 スプレー剤、 軟膏、 クリーム剤、 ゲル剤、 吸入剤、 皮膚パッチ剤(dermal patches)、 インプラント等が含まれる。
【0127】
典型的な経口用量は、1日につき体重1 kgあたり約0.001〜約100 mg、好ましくは1日につき体重1 kgあたり約0.01〜約50 mg、さらに好ましくは1日につき体重1 kgあたり約0.05〜約10 mgの範囲内で、1〜3回投与のように1回以上投与される。正確な用量は、投与の頻度および形態、投与対象の性別、年齢、体重および一般的な状態、治療される障害または疾患の性質および重篤度、および治療される付随する疾患、および当業者にとって明らかなその他の因子に依存する。
【0128】
製剤は、都合よくは、当業者に公知の方法により、単位投薬形態で存在することができる。1日あたり1〜3回のような1日あたり1回以上の経口投与のための典型的な単位剤形は、約0.01〜約1000 mg、約0.01〜約100 mg、好ましくは約0.05〜約500 mg、およびさらに好ましくは約0.5〜約200 mgを含むことができる。
【0129】
静脈内、髄腔内、筋肉内および類似の投与のような非経口経路のための用量は、典型的には経口投与で用いられる用量のほぼ半分である。
【0130】
本発明の製剤化のための処方の典型的な例は以下のとおりである:
1)遊離塩基として計算して5.0 mgの本発明化合物を含む錠剤:
本発明化合物 5.0 mg
ラクトース 60 mg
メイズスターチ 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 2.4 mg
微結晶性セルロース 19.2 mg
クロスカルメロースナトリウムタイプA 2.4 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.84 mg
2)遊離塩基として計算して0.5 mgの本発明化合物を含む錠剤:
本発明化合物 0.5 mg
ラクトース 46.9 mg
メイズスターチ 23.5 mg
ポビドン(Povidone) 1.8 mg
微結晶性セルロース 14.4 mg
クロスカルメロースナトリウムタイプA 1.8 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.63 mg
3)1ミリリットルあたりに以下を含むシロップ剤:
本発明化合物 25 mg
ソルビトール 500 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 15 mg
グリセロール 50 mg
メチル-パラベン 1 mg
プロピル-パラベン 0.1 mg
エタノール 0.005 mL
フレイバー 0.05 mg
サッカリンナトリウム 0.5 mg
水で1 mLに
4)1ミリリットルあたりに以下を含む注射溶液:
本発明化合物 0.5 mg
ソルビトール 5.1 mg
酢酸 0.05 mg
サッカリンナトリウム 0.5 mg
水で1 mLに
本発明化合物のこのような例は、本明細書において記載される式Iの実施態様のうちのいずれか1つを意味する。
【0131】
別の態様において、本発明は、以下に記載されるような本発明化合物の製造方法に関する。
【0132】
<本発明化合物の製造>
R1、R2、R3、R4、R5およびqが上記のように定義される一般式Iの本発明化合物は、スキームに表される方法によって、以下に記載されるように製造することができる。
【0133】
一般式Iの化合物において、XX、R1、R2、R3、R4、R5およびqは式Iの下で定義されるとおりである。
【0134】
2個またはそれ以上の互変異性体間の平衡として存在し得る化合物に関しては、1個の互変異性体のみをスキーム中に示すが、それが最も安定な互変異性体ではないこともある。このような化合物には、限定はされないが、同じように当業者に公知である一般式IX、X、XVII、XVIIIのヒドロキシピリミジンが含まれる。
【0135】
一般式II、III、VII、VIII、IX、X、XI、XIV、XVI、XVII、XIXおよびXXの化合物は、市販されているものを入手することもでき、または当業者に公知の標準的方法によって製造することができる。
【0136】
一般式IVの化合物(スキーム1)は、密封した容器中におけるマイクロ波照射下において、適当な温度、例えば、室温、還流温度または高温で、適当な溶剤、例えばアセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミドまたはエタノール中において、塩基、例えばトリアルキルアミン、炭酸カリウムもしくは炭酸ナトリウムの添加を伴ってまたは伴わないで、一般式IIの化合物を一般式IIIのアミンと反応させることにより得ることができる。
【0137】
一般式Vの化合物は、酸、例えば酢酸または水性塩酸の存在下で、適当な還元剤、例えば亜鉛または鉄粉を用いて、あるいは、適当な温度またはマイクロ波照射下において、適当な溶剤、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチルまたはテトラヒドロフラン中で、適当な水素化触媒、例えば活性炭担持パラジウムの存在下において、水素ガスまたはギ酸アンモニウムによって、ニトロ基をアミノ基に還元することにより、一般式IVの化合物から製造することができる。あるいは、塩化スズ(II)または亜ジチオン酸ナトリウムを当業者に公知の条件下において還元剤として使用することができる。
【0138】
一般式Iの本発明化合物は、適当な温度、例えば室温、還流温度で、またはマイクロ波照射下での密封溶液における高温で、適当な溶剤、例えば酢酸エチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはジエチルエーテルにおいて、塩基、例えばピリジン、トリアルキルアミン、炭酸カリウム、酸化マグネシウム、またはリチウム-、ナトリウム-もしくはカリウムアルコレートの添加を伴ってまたは伴わないで、一般式Vの化合物を適当な求電子試薬、例えば、限定はされないが適当に置換されたカルボン酸フッ化物、カルボン酸塩化物、カルボン酸臭化物、カルボン酸ヨウ化物、カルボン酸無水物、活性エステル、クロロホルメートと反応させることにより製造することができる。活性エステルおよびカルボン酸無水物は、例えば「F. Albericio and L.A. Carpino, “Coupling reagents and activation” in Methods in enzymology: Solid-phase peptide synthesis, pp. 104-126, Academic Press, New York, 1997」に記載されるような当業者に公知の条件下において、適当に置換されたカルボン酸から製造することができる。カルボン酸ハロゲン化物は、当業者に公知の条件下での、限定はされないが塩化チオニル、塩化オキサリル、三臭化リンまたは三ヨウ化リンのような試薬での活性化により、適当に置換されたカルボン酸から製造することができる。
【0139】
【化4】

一般式IIの化合物は、スキーム2に示されるように製造することができる。一般式IXの化合物は、適当な温度、例えば室温、還流温度での、または密封容器中におけるマイクロ波照射下の高温での、触媒、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸またはポリリン酸またはルイス酸の添加を伴うまたは伴わない、適当な溶剤、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノンまたはエタノールにおける、尿素の1,3-ジカルボニル化合物VIIとの、またはその等価物、例えば不飽和カルボニル化合物VIIIとの縮合により製造される。一般式Xの化合物は、例えば「P.B.D. de la Mare and J.H. Ridd, “Preparative methods of nitration” in Aromatic substitutions, pp. 48-56, Butterworths Scientific Publications, London, 1959」に記載されるように、適当な温度で、適当な溶剤、例えば氷酢酸、酢酸無水物、トリフルオロ酢酸、濃硫酸またはこれらの混合物において、濃硝酸、亜硝酸ナトリウムまたは硝酸ナトリウムを用いる反応のような当業者に公知のニトロ化反応によって、一般式IXの化合物から製造することができる。一般式Xの化合物は、当業者に公知の方法、例えばオキシ塩化リンまたはオキシ臭化リンでの塩素化または臭素化によって一般式IIの化合物に転化することができる。Xが塩素または臭素である一般式IIの化合物は、当業者に公知の条件下における、適当な試薬、例えばヨウ化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウムを用いるハロゲン交換反応によって、Xが塩素または臭素である一般式IIの化合物から製造することができる。
【0140】
【化5】

一般式XIIおよびXVの化合物(スキーム3)は、一般式IXの化合物の製造に関するスキーム2に記載されるような条件下での、1,3-ジカルボニル化合物またはそれと同等の一般式VII、VIII(LGは適当な脱離基、例えばアルコキシまたはジアルキルアミノである)またはXIVの不飽和カルボニル化合物との縮合反応により 適当に置換された一般式XIのグアニジンから製造することができる。一般式XIIの化合物を、当業者に公知のジアゾカップリングによって、一般式XVの化合物に転化することができる。あるいは、一般式XVの化合物を、一般式Xの化合物の製造に関するスキーム2に記載されるようにニトロ化することができる。一般式Vの化合物は、スキーム1で一般式Vの化合物の製造に関して記載されるような条件下で、ニトロ基またはジアゾ基をそれぞれアミノ基に還元することによって、一般式XIIIの化合物から製造することができる。
【0141】
【化6】

特に、スキーム3に記載される条件下における、一般式XIの置換されたグアニジンと一般式XVIのケトエステルまたはケト酸(スキーム4)との縮合によって、一般式XVIIの化合物が形成し、これを上述の条件下でニトロ化することにより、一般式XVIIIの化合物を得ることができる。XVIIIのヒドロキシ基は、一般式IIを有する化合物の製造に関する上述の条件下でのハロゲン化反応によって、一般式XX(R4がハロゲンであるXIII)の化合物に転化することができる。あるいは、一般式XX(R4がハロゲンであるXIII)の化合物は、当業者に公知の条件下での適当なハロゲンアニオンの存在下におけるジアゾ化反応、それに続く求核置換反応によって、一般式XIX(R4がハロゲンであるXIII)の化合物から製造することができる。一般式XIIIで表され、R4がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)またはハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である化合物は、当業者に公知のクロスカップリング反応、例えば根岸カップリング(E.-I. Negishi, A.O. King and N. Okukado, J.Org.Chem., 1977, 42, 1821)、薗頭カップリング(K. Sonogashira, Y. Tohda and N. Hagihara, Tet.Lett., 1975, 16, 4467)、または、他の金属触媒クロスカップリング反応、例えば銅触媒反応(W. Dohle, D.M. Lindsay and P. Knochel, Org.Lett., 2001, 3, 2871)によって、一般式XX(R4がハロゲンであるXIII)の化合物から製造することができる。
【0142】
さらに、R4がシアノである一般式XIIIの化合物は、例えば「L. Cassar, J.Organomet.Chem., 1973, 54, C57-C58」に記載されるような当業者に公知のニッケル触媒シアノ化反応により、一般式XX(R4がハロゲンである一般式XIII)の化合物から製造することができる。
【0143】
さらに、一般式XIIIの化合物であって、R4がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)オキシまたはC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシである化合物は、適当な温度、例えば室温または還流温度での、適当な溶剤、例えばジオキサンにおける、触媒、例えば硫酸銅の添加を伴うまたは伴わない、塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウムもしくは水素化カリウムの存在下における、適当なリチウム-、ナトリウム-もしくはカリウムアルコレートもしくはアルコールを用いる反応により、一般式XX(R4がハロゲンである一般式XIII)の化合物から製造することができる。
【0144】
【化7】

薗頭反応によって製造されるアルキンは、例えば「S. Siegel, “Heterogeneous catalytic hydrogenation of C=C and alkynes” in Comprehensive Organic Synthesis, v. 8, pp. 417-442, Pergamon Press, 1991」に記載されるように、適当な温度で、適当な溶剤、例えばメタノール、エタノールまたはテトラヒドロフラン中において、適当な水素化触媒、例えば活性炭担持パラジウムまたは活性炭担持白金の存在下で水素ガスまたはギ酸アンモニウムを用いる反応によって、アルケンまたはアルカンに還元することができる。
【0145】
<本発明化合物の製造>
【実施例】
【0146】
分析LC-MSデータは、大気圧光イオン化を装備したPE Sciex API 150EX装置およびShimadzu LC-8A/SLC-10A LCシステムで得た。カラム: 粒子サイズ3.5 μmの 30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18 カラム;溶剤系: A = 水/トリフルオロ酢酸 (100:0.05) および B = 水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸 (5:95:0.03);方法:4分間で90% A から100% Bまでおよび流速2 mL/分の直線的勾配による溶出。純度はUV (254 nm) およびELSD トレースの積分により決定した。保持時間 (tR) は分で表す。
【0147】
1H NMRスペクトルはブルカ社製Avance DRX500装置において、500.13 MHzで記録した。重水素置換ジメチルスルホキシド(99.8%D)を溶剤として使用した。テトラメチルシランを内部参照標準として使用した。化学シフト値はテトラメチルシランに対するppm値で表す。以下の略語:s =シングレット(singlet)、 d =ダブレット(doublet)、 t =トリプレット(triplet)、q = カルテット(quartet)、 qui = クインテット(quintet)、 h = ヘプテット(heptet)、 dd = ダブルダブレット(double doublet)、ddd = ダブルダブルダブレット(double double doublet)、dt =ダブルトリプレット(double triplet)、 dq = ダブルカルテット(double quartet)、 tt = トリプレットのトリプレット(triplet of triplets)、 m = マルチプレット(multiplet)および b = ブロード(broad)なシングレット、をNMRシグナルの多重度に対して使用する。
【0148】
マイクロ波実験をPersonal Chemistry 製のEmrys SynthesizerもしくはEmrys Optimizer EXP、またはMilestone製のMilestone Microsynth装置を用いて、密封したプロセスバイアルで、または反応器中で行った。反応をマイクロ波装置で加熱した場合は、次の工程段階の前に25℃に冷却した。
【0149】
<中間体の製造>
【0150】
【化8】

6-メチル-5-ニトロ-N*2*-(4-トリフルオロメチルベンジル)-ピリミジン-2,4-ジアミン
アセトニトリル(3 ml)およびトリエチルアミン(0.5 ml)における2-クロロ-6-メチル-5-ニトロピリミジン-4-イルアミン(300 mg, 1.591 mmol)、4-トリフルオロメチルベンジルアミン(369 mg, 2.107 mmol)の混合物をアルゴンでフラッシュし、Emrys製プロセスバイアル中に密閉して、マイクロ波照射下において120℃で2分間加熱した。得られた懸濁液を10%水性炭酸ナトリウム(2 ml)および有機揮発性物質を減圧下で蒸発させた。メタノール(5 ml)および水(100 ml)を残渣に添加した。生成物をろ過により分離し、水で洗浄し、減圧下で乾燥することによって490 mgの黄色固体を得た。収率 94%。LC-MS (m/z) 328.1 (MH+); tR = 2.58。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2つの回転異性体の約3:1の混合物, 2.54 (s, 3H), 4.57 (d, 1.5H), 4.63 (d, 0.5H), 7.52 (t, 2H), 7.68 (d, 2H), 7.81 (s, 0.5H, NH2), 8.0 (s, 1.5H, NH2), 8.17 (t, 0.25H, NH), 8.48 (t, 0.75H, NH)。
【0151】
【化9】

6-メチル-N*2*-(4-トリフルオロメチルベンジル)-ピリミジン-2,4,5-トリアミン
冷水浴において激しく撹拌したテトラヒドロフラン(20 ml)および酢酸(5 ml)における6-メチル-5-ニトロ-N*2*-(4-トリフルオロメチルベンジル)-ピリミジン-2,4-ジアミン(450 mg、1.376 mmol)の溶液に、亜鉛粉(粒子径<10ミクロン、5 g)を少量ずつ2分間で添加した。水浴を取り外し、さらに亜鉛粉(2 g)を添加した。懸濁液を常温で60分間撹拌し、10%の水性炭酸ナトリウムでpH>8にクエンチした。得られた懸濁液を酢酸エチルで抽出した(10倍)。合わせた有機溶液をシリカゲルプラグ(10 g)によってろ過し、20%酢酸エチルで溶出することにより、蒸発後に430 mgの淡黄色油状物を得た。生成物は減圧下での乾燥後に凝固した。収率 100%。これをさらに精製することなく次の段階に使用した。LC-MS (m/z) 298.1 (MH+); tR = 1.68。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.02 (s, 3H), 3.1-3.8 (br, NH2 + H2O), 4.43 (d, 2H), 5.88 (br, 2H), 6.26 (t, 1H, NH), 7.48 (d, 2H), 7.62 (d, 2H)。
【0152】
3-クロロフェニルアセチルクロリド
塩化チオニル(100 ml)における3-クロロフェニル酢酸(19.7 g)を還流下で3時間加熱した。揮発性物質を減圧下で除去し、得られた油状の残渣をさらに精製することなく次の段階に使用した。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 4.12 (s, 2H), 7.16 (d, 1H), 7.27-7.34 (m, 3H)。
【0153】
以下の酸クロリドを対応する酸から同様に製造した:
3,4-ジフルオロフェニルアセチルクロリド
1H NMR (500 MHz, CDCl3): 4.10 (s, 2H), 7.0 (m, 1H), 7.11 (ddd, 1H), 7.17 (dt, 1H)。
【0154】
3-フルオロフェニルアセチルクロリド
表題化合物を特性の解析を行わずに次の段階において使用した。
【0155】
【化10】

4-(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)-モルホリン
エタノール(6 ml)におけるモルホリノホルムアミジンヒドロクロリド(2.0 g、9.52 mmol)の懸濁液にカリウムtert-ブトキシド(1.068 g、9.52 mmol)を添加し、その後アセチルアセトン(2 ml、20 mmol)を添加した。反応混合物をアルゴンでフラッシュし、Emrysプロセスバイアル中に密閉し、マイクロ波照射下において140℃で5分間加熱した。これを冷却した後、酢酸エチル(50 ml)でクエンチし、SiO2プラグ(5 g)によってろ過し、そして酢酸エチルで溶出した。揮発性物質を減圧下において70℃で除去することにより、1.65 gの薄茶色の油状物を得、これを一晩凝固させた。収率 90%。LC-MS (m/z) 193.9 (MH+); tR= 0.71。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.23 (s, 6H), 3.62 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.44 (s, 1H)。
【0156】
【化11】

4-(4,6-ジメチル-5-ニトロ-ピリミジン-2-イル)-モルホリン
方法A:撹拌した氷酢酸(50 ml)における4-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-モルホリン(8.94 g、46.3 mmol)の溶液に、発煙硝酸(5.75 ml、3当量)を滴加した。反応混合物を70℃で15分間加熱し、その後さらに硝酸(3.8 ml、2当量)を添加した。70℃でさらに15分間置いた後、これを冷却し、氷と水酸化ナトリウム(44g)の水溶液(200 ml)の混合物に少量ずつ加えた。生成物をろ過により分離することにより、0.637 gの黄色固体を得た。収率 6%。LC-MS (m/z) 239.0 (MH+); tR= 2.76。
【0157】
方法B:温めながら(65℃)撹拌したトリフルオロ酢酸(100 ml)における4-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-モルホリン(4 g、20.7 mmol)の溶液に、硝酸ナトリウム(3.52 g、41.4 mmol)を添加した。3時間後にさらに硝酸ナトリウム(1.8 g、20.7 mmol)を添加し、反応混合物を65℃に一晩保持した。これを10%の水性炭酸ナトリウム(600 ml)に慎重に少量ずつ加え、生成物をろ過により分離した。収量 1.637 g, 33%。LC-MS (m/z) 238.9 (MH+); tR = 2.70。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.44 (s, 6H), 3.65 (m, 4H), 3.83 (m, 4H)。
【0158】
【化12】

4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イル-ピリミジン-5-イルアミン
4-(4,6-ジメチル-5-ニトロピリミジン-2-イル)-モルホリン(2.2 g、9.23 mmol)、活性炭担持5%パラジウム(50% wet, 1.09 g)、ギ酸アンモニウムの懸濁物をEmrys process vial中に密閉し、マイクロ波照射下で150℃において2分間加熱した。反応混合物をろ過し、蒸発させた。残渣を酢酸エチルで処理し、ろ過することにより、減圧下での蒸発の後に1.62 gの橙色の結晶質生成物を得た。収率 84%。LC-MS (m/z) 208.9 (MH+); tR = 0.44。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.2 (s, 6H), 3.44 (m, 4H), 3.62 (m, 4H), 4.19 (br, 2H, NH2)。
【0159】
<本発明化合物>
本発明化合物の酸付加塩は、当業者に公知の方法によって容易に形成させることができる。
【0160】
<実施例1>
1a N-[4-アミノ-6-メチル-2-(4-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-ピリミジン-5-イル]-2-シクロペンチルアセトアミド
【0161】
【化13】

冷却し、撹拌したアセトニトリル(3 ml)における6-メチル-N*2*-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)-ピリミジン-2,4,5-トリアミン(119 mg、0.401 mmol)の溶液(氷/水浴)に、シクロペンチルアセチルクロリド(59 mg、0.402 mmol)を2分間で滴加した。冷却浴を取り外し、撹拌を20分間継続した。得られた懸濁液を水(85 ml)および10%の水性炭酸ナトリウム(0.5 ml)でクエンチした。有機揮発性物質を減圧下で除去し、酢酸エチル(0.5 ml)を添加し、そして混合物をヘプタン(20 ml)でクエンチした。得られた二相性懸濁液をろ過した。生成物を水およびヘプタンで洗浄し、減圧下で乾燥することにより、40 mgの淡黄色固体を得た。収率 25%。LC-MS (m/z) 408.3 (MH+); tR = 2.11。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.17 (m, 2H), 1.50 (m, 2H), 1.59 (m, 2H), 1.74 (m, 2H), 1.93 (s, 3H), 2.2 (m, 1H), 2.25 (d, 2H), 4.5 (d, 2H), 5.96 (br, 2H, NH2), 6.96 (br, 1H, NH), 7.5 (d, 2H), 7.64 (d, 2H), 8.57 (s, 1H, NHCO)。
【0162】
1b N-[4-アミノ-6-メチル-2-(4-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-ピリミジン-5-イル]-3,3-ジメチルブチルアミド
【0163】
【化14】

冷却し、撹拌したアセトニトリル(7.5 ml)における6-メチル-N*2*-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)-ピリミジン-2,4,5-トリアミン(341 mg、1.15 mmol)の溶液(氷/水浴)に、tert-ブチルアセチルクロリド(0.16 ml, 1.15 mmol)を2分間で滴加した。冷却浴を取り外し、撹拌を45分間継続した。得られた反応混合物をSCXカラム(10 g、H+ form)に加え、アセトニトリル(20 ml)、メタノール(100 ml)で洗浄し、生成物をメタノール(60 ml)における4M NH3で溶出した。揮発性物質を減圧下で除去し、粗製生成物をシリカゲル(20 g)においてヘプタン-酢酸エチル勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製することにより、153 mgの固体を得た。収率 33.7%。LC-MS (m/z) 395.9 (MH+); tR = 2.00。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.02 (s, 9H), 1.96 (s, 3H), 2.15 (s, 2H), 4.5 (d, 2H), 5.9 (br, 2H, NH2), 6.97 (br, 1H, NH), 7.5 (d, 2H), 7.65 (d, 2H), 8.57 (s, 1H, NHCO)。
【0164】
以下の化合物を対応する酸クロリドを用いて同様に製造した。
【0165】
1c N-[4-アミノ-6-メチル-2-(4-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-ピリミジン-5-イル]-2-(4-フルオロフェニル)-アセトアミド
【0166】
【化15】

収率 12%。LC-MS (m/z) 434.3 (MH+); tR = 2.07。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.81 (s, 3H), 3.57 (d, 2H), 4.49 (d, 2H), 6.08 (br, 2H, NH2), 6.96 (br, 1H, NH), 7.13 (t, 2H), 7.36 (dd, 2H), 7.49 (d, 2H), 7.64 (d, 2H), 8.83 (s, 1H, NHCO)。
【0167】
1d ヘキサン酸[4-アミノ-6-メチル-2-(4-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-ピリミジン-5-イル]-アミド
【0168】
【化16】

収量39.7 mg、50%。LC-MS (m/z) 396.1 (MH+); tR = 2.08。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 0.87 (t, 3H), 1.28 (m, 4H), 1.56 (qui, 2H), 1.91 (s, 3H), 2.24 (t, 2H), 4.49 (d, 2H), 5.98 (br, 2H, NH2), 6.95 (br, 1H, NH), 7.5 (d, 2H), 7.65 (d, 2H), 8.55 (s, 1H, NHCO)。
【0169】
1e N-[4-アミノ-6-メチル-2-(4-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-ピリミジン-5-イル]-2-(3-クロロフェニル)-アセトアミド
【0170】
【化17】

収量 45.4 mg、50%。LC-MS (m/z) 450.1 (MH+); tR = 2.17。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.82 (s, 3H), 3.61 (s, 2H), 4.49 (d, 2H), 6.12 (br, 2H, NH2), 6.97 (br, 1H, NH), 7.3 (m, 2H), 7.35 (t, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.49 (d, 2H), 7.64 (d, 2H), 8.87 (s, 1H, NHCO)。
【0171】
<実施例2>
【0172】
【化18】

2a 2-シクロペンチル-N-(4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イル-ピリミジン-5-イル)-アセトアミド
冷却し、撹拌したアセトニトリル(40 ml)における4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イル-ピリミジン-5-イルアミン(2.04 g, 9.79 mmol)の溶液(氷/水浴)に、シクロペンチルアセチルクロリド(1.65 ml, 11.75 mmol)を添加した。冷却浴を取り外し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。これを炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100 ml)および水に加え、ろ過した。得られた固体をアセトニトリルから再結晶化させることにより、1.877 gの無色固体を得た。収率 60%。LC-MS (m/z) 318.9 (MH+); tR = 1.80。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.21 (m, 2H), 1.52 (m, 2H), 1.61 (m, 2H), 1.76 (m, 2H), 2.15 (s, 6H), 2.25 (m, 1H), 2.28 (d, 2H), 3.63 (m, 4H), 3.65 (m, 4H)。
【0173】
2b N-(4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イル-ピリミジン-5-イル)-3,3-ジメチルブチルアミド
【0174】
【化19】

アセトニトリル(30 ml)およびトリエチルアミン(2.9 ml、20.8 mmol)における4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イルピリミジン-5-イルアミン(2.1 g, 10.4 mmol)の溶液に、tert-ブチルアセチルクロリド(2.9 ml, 20.8 mmol)を滴加した。90分後に、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、SiO2 におけるフラッシュクロマトグラフィー(20 g、ヘプタン-酢酸エチル勾配)によって精製した。得られた粗製生成物を熱トルエンから再結晶化させることにより、946 mgの無色固体を得た。収率 30%。LC-MS (m/z) 307.9 (MH+); tR = 1.69。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.04 (s, 9H), 2.16 (s, 6H), 2.19 (s, 2H), 3.64 (m, 8H), 9.13 (s, 1H)。
【0175】
以下の化合物を対応する酸クロリドから同様に製造した:
2c N-(4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イルピリミジン-5-イル)-2-(4-フルオロフェニル)-アセトアミド
【0176】
【化20】

フラッシュクロマトグラフィ精製後に表題化合物を熱酢酸エチルから再結晶化させた。収量 1.193 g、37%。LC-MS (m/z) 345.1 (MH+); tR= 1.81。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.09 (s, 6H), 3.6-3.66 (overlapping m, 10H), 7.16 (t, 2H), 7.38 (dd, 2H), 9.42 (s, 1H)。
【0177】
2d 2-(3,4-ジフルオロフェニル)-N-(4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イルピリミジン-5-イル)-アセトアミド
【0178】
【化21】

冷却し、撹拌したアセトニトリル(1 ml)における4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イルピリミジン-5-イルアミン(52.4 mg、0.25 mmol)の溶液(氷/水浴)に、3,4-ジフルオロフェニルアセチルクロリド(0.065 ml, 0.3 mmol)を滴加した。反応混合物を60℃で1分間置いて冷却した。これをSCXカラム(10 g、H+ form)に加え、アセトニトリルおよびメタノールで洗浄し、メタノールにおける4M NH3で溶出した。蒸発させた後に、粗製組成物を酢酸エチルにおける濃縮溶液からヘプタンで沈殿させ、ろ過することにより、34 mgの無色固体を得た。収率 37%。LC-MS (m/z) 363.3 (MH+); tR = 1.96。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.09 (s, 6H), 3.63 (m, 10H), 7.19 (m, 1H), 7.38 (m, 1H), 7.41 (m, 1H), 9.43 (s, 1H)。
【0179】
以下の化合物を適当な酸クロリドを用いて同様に製造した:
2e N-(4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イルピリミジン-5-イル)-2-(3-フルオロフェニル)-アセトアミド
【0180】
【化22】

表題化合物をSiO2におけるフラッシュクロマトグラフィー(20 g、ヘプタン-酢酸エチル勾配)によって精製した。収量 27 mg、31%。LC-MS (m/z) 345.0 (MH+); tR = 1.83。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.09 (s, 6H), 3.62 (m, 4H), 3.64 (m, 4H), 3.66 (s, 2H), 7.08 (dt, 1H), 7.18 (overlapping dd, 1H), 7.19 (overlapping d, 1H), 7.38 (dt, 1H), 9.45 (s, 1H)。
【0181】
2f ヘキサン酸(4,6-ジメチル-2-モルホリン-4-イルピリミジン-5-イル)-アミド
【0182】
【化23】

表題化合物をSiO2におけるフラッシュクロマトグラフィー(20 g、ヘプタン-酢酸エチル勾配)によって精製した。収量 49 mg、64%。LC-MS (m/z) 307.2 (MH+); tR = 1.84。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 0.88 (t, 3H), 1.31 (m, 4H), 1.60 (qui, 2H), 2.14 (s, 6H), 2.28 (t, 2H), 3.63 (m, 4H), 3.65 (m, 4H), 9.16 (s, 1H)。
【0183】
表1 化合物の製造に使用した試薬
【0184】
【表2】

<生体外(In vitro)および生体内(in vivo)試験>
本発明の化合物について試験が行われ、以下の1つまたは2つ以上のモデルにおいて効果が示された。
【0185】
<KCNQ2チャネルを通る相対流量>
ここでは本発明化合物を評価するためのKCNQ2スクリーニングプロトコールを例証する。このアッセイは、KCNQ2チャネルを通る相対流量を測定し、hERGカリウムチャネルに関して「Tang et al. (Tang, W. et. al., J. Biomol. Screen. 2001, 6, 325-331)」に記載されている方法に以下の記載のように改良を加えて実施した。
【0186】
電位依存性KCNQ2チャネルを安定発現するCHO細胞を、実験を行う前の日に一層のコンフルエントな層を得るために十分な密度でプレートに適当な数播種した。細胞に1 μCi/ml の[86Rb]を一晩ロード(loaded)した。実験当日に細胞をHBSS含有緩衝液(ハンクス平衡塩溶液、Invitrogen製、カタログ番号:14025-050)で洗浄した。細胞を薬剤と共に30分間プレインキュベートし(pre-incubated)、薬剤を引き続き30分間存在させた中で、最大下濃度(submaximal concentration)の15 mM 塩化カリウムによって86Rb+流出を刺激した。適当な時間のインキュベーションの後、上清を除去して、液体シンチレーションカウンター(Tricarb製)で計測した。細胞を2 mM 水酸化ナトリウムで溶解し、86Rb+量を計測した。相対的流量を計算した((CPMsuper/(CPMsuper+ CPMcell))Cmpd/ (CPMsuper/(CPMsuper+ CPMcell))15mM KCl)*100-100 。
【0187】
本発明の化合物は20000nM 未満のEC50を有し、ほとんどの場合で2000nM 未満のEC50、そして多くの場合で200nM 未満のEC50を有していた。従って、本発明の化合物はKCNQ ファミリーカリウムチャネルと関連する疾患の治療において有用であると考えられる。
【0188】
<電気生理学的パッチクランプ記録>
電位活性化型KCNQ2電流を、全細胞パッチクランプ法における慣用のパッチクランプ記録技術を用いることによって、哺乳類CHO細胞から記録した(Hamill OP et.al. Pfluegers Arch 1981; 391: 85-100)。電位活性化型KCNQ2チャネルを安定発現するCHO細胞を、CO2インキュベーター中、通常の細胞培養条件下で培養し、播種から1〜7日後に電気生理学的な記録のために使用した。KCNQ2カリウムチャネルは、電圧を- 100 mV〜- 40 mVの膜の保持電位から5〜20 mVずつ増加させることで(またはランププロトコールを用いて)+ 80 mV まで上げることにより活性化させた(Tatulian L et al. J Neuroscience 2001; 21 (15): 5535-5545)。化合物により誘導される電気生理学的効果について、電位活性化型KCNQ2電流の種々のパラメーターにより評価を行った。特に、電流に対する活性化閾値および最大の誘導電流における効果について検討した。
【0189】
本発明のいくつかの化合物についてこの試験における試験を行った。活性化閾値の左方移動または最大誘導カリウム電流の増加は、神経ネットワークにおける活性を減少させ、従って、前記化合物はてんかんのような神経活性の増加を伴う疾患に有用であると期待される。
【0190】
<最大電気ショック>
緊張性の後肢伸張(tonic hind limb extension)により特徴付けられる痙攣を誘導するために、角膜電極および26 mAで0.4秒間の方形波電流処理を用いて、雄マウスの群で試験を実施した(Wlaz et al. Epilepsy Research 1998, 30, 219-229)。
【0191】
<ピロカルピン誘導性発作>
ピロカルピン誘導性発作を、雄マウスの群への250 mg/kgピロカルピンの腹腔内注射により誘導させて、30分以内の姿勢保持の喪失(loss of posture)を生じる発作活性を観察した(Starr et al. Pharmacology Biochemistry and Behavior 1993, 45, 321-325)。
【0192】
<電気的発作−閾値試験>
上下変動法(up-and-down method)(Kimball et a., Radiation Research 1957, 1-12)の改法を、雄マウス群において、角膜電気ショックに応答する緊張性の後肢伸張(tonic hind-limb extension)を誘導する閾値中央値を測定するために使用した。14 mA(0.4 s, 50 Hz)の電気ショックを受けたそれぞれの群の最初のマウスの発作活性を観察した。発作が観察された場合は、次のマウスに対する電流を1mA ずつ減少させるが、発作が観察されなかった場合は、電流を1mA ずつ増加させた。この工程を処置群における15匹のマウス全てに対して繰り返した。
【0193】
<化学的発作−閾値試験>
間代性痙攣を誘導するために必要なペンチレンテトラゾール(pentylenetetrazole)の閾値用量を、ペンチレンテトラゾールの雄マウス群の外側尾(lateral tail)静脈への持続注入(0.5 mL/分で5mg/mL)により測定した(Nutt et al. J Pharmacy and Pharmacology 1986, 38, 697-698)。
【0194】
<扁桃核キンドリング(Amygdala kindling)>
ラットの外側扁桃体に三極電極を植え込むために外科処置を行った。外科処置後、ラット群が各用量の試験化合物または薬剤のビヒクルのどちらか一方を受ける前に、動物を回復させた。この動物を、閾値である+ 25 μAでの放電後、3〜5週の間、連日初期と同じ電流で刺激し、そのたびごとに発作重症度、発作継続時間、および放電後の電気の継続時間を観察した(Racine. Electroencephalography and Clinical Neurophysiology 1972, 32, 281-294)。
【0195】
<副作用>
中枢神経系の副作用を、マウスがロータロッド装置に留まる時間を測定することにより(Capacio et al. Drug and Chemical Toxicology 1992, 15, 177-201);または、試験ケージ中を横切る赤外線の数の計測によって自発運動を測定すること(Watson et al. Neuropharmacology 1997, 36, 1369-1375)により測定した。化合物の動物中核体温における体温降下作用を、直腸プローブまたは温度を測定できるインプラントの遠隔送信機により測定した(Keeney et al. Physiology and Behaviour 2001, 74, 177-184)。
【0196】
<薬物動態>
前記化合物の薬物動態特性を、Spraque Dawleyラットへの静脈注射(i.v.)および経口(p.o.)投与およびその後20時間にわたって採取した血液サンプルによって決定した。血漿濃度をLC/MS/MSで測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

を有する遊離塩基またはその塩としての化合物であって、
式中、qが0または1であり;
R1およびR2が水素および場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択され、ただし、R1およびR2は両方とも水素ではないことを条件とし、あるいは、R1およびR2がこれらが連結する窒素と一緒に場合によりさらなるヘテロ原子を含有する5〜7員環を形成し;
R3およびR4が水素、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)オキシまたはハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシから独立して選択され、ただし、R3およびR4は両方とも水素ではないことを条件とし;
R5がC1-10-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)および場合により置換されるアリールからなる群から選択される、
前記の化合物。
【請求項2】
qが0である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
qが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1およびR2が水素または場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択され、ただし、R1およびR2は両方とも水素ではないことを条件とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
R1およびR2がこれらが連結する窒素と一緒に場合によりさらなるヘテロ原子を含有する5〜7員環を形成する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
前記のさらなるヘテロ原子が酸素である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
前記の環が6員環である、請求項5または6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
前記の環がモルホリン環である、請求項5〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
R3およびR4 がアミノまたはC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択され、好ましくはメチルである、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
R5がC1-10-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)および場合により置換されるアリールからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が以下:
【表1】

からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1つに記載の遊離塩基またはその塩としての化合物。
【請求項12】
1種またはそれ以上の薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤と一緒に、治療的有効量で請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物を含む医薬調合物。
【請求項13】
哺乳類、例えば、ヒトのカリウムチャネルでのイオンの流れを増加させるために請求項12記載の医薬調合物を使用する方法。
【請求項14】
カリウムチャネルでのイオンの流れの増加に応答する障害または疾患の治療のための請求項13記載の使用方法であって、前記の障害または疾患が好ましくは中枢神経系の障害または疾患である、前記の使用方法。
【請求項15】
治療される障害または疾患が発作性障害、不安障害、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害、癌性疼痛のような他の疼痛性障害、神経変性障害、脳卒中、コカイン乱用、ニコチン離脱症状、エタノール離脱症状、および耳鳴のような聴覚障害からなる群から選択される、請求項14記載の使用方法。
【請求項16】
発作性障害が急性発作、痙攣、てんかん重積状態、てんかん、例えば、てんかん症候群およびてんかん性発作からなる群から選択される、請求項15記載の使用方法。
【請求項17】
不安障害が不安、ならびに、パニック不安、広場恐怖症、広場恐怖症を伴うパニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、パニック障害の履歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症、対人恐怖症およびその他の特定恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般身体疾患のための不安障害、物質誘発性不安障害、分離不安障害、適応障害、パフォーマンス不安、心気症障害、一般身体疾患のための不安障害および物質誘発性不安障害、およびその他の特定されていない不安障害に関連する障害および疾患からなる群から選択される、請求項15記載の使用方法。
【請求項18】
神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害が、異痛、痛覚過敏、幻想痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛、三叉神経痛に関連する神経因性疼痛および片頭痛に関連する神経因性疼痛からなる群から選択される、請求項15記載の使用方法。
【請求項19】
神経変性障害が、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、AIDSによりまたは風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌もしくは未知の病原体による感染により誘発される脳症、外傷誘発性神経変性、薬物離脱症状もしくは中毒におけるような神経の過興奮状態、および末梢神経系の神経変性疾患、例えば多発性神経障害および多発性神経炎からなる群から選択される、請求項15記載の使用方法。
【請求項20】
治療される障害または疾患が双極性障害および注意欠陥多動性障害からなる群から選択される、請求項14記載の使用方法。
【請求項21】
治療される障害または疾患が睡眠障害、例えば不眠症からなる群から選択される、請求項14記載の使用方法。
【請求項22】
治療される障害または疾患が線維筋痛症、運動障害もしくは動揺病、痙縮、ミオキミアまたは尿失禁から選択される、カリウムチャネルでのイオンの流れの増加に応答する障害または疾患の治療のための請求項13記載の使用方法。

【公表番号】特表2009−507052(P2009−507052A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529473(P2008−529473)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際出願番号】PCT/DK2006/050039
【国際公開番号】WO2007/065449
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】