ピン装着忘れ防止部材
【課題】 ドリフトピンの一部を梁の木口面などに装着することを忘れることにより、柱と梁の十分な接合強度を得ることができないという問題が生じていた。
【解決手段】
木材からなる第1部材と木材からなる第2部材との間に接続金具を係合させて接合する木造軸組構造に用いられ、第2部材に形成されたピン孔5とそれに対応させて接続金具8に形成された係止孔18とに挿入されるドリフトピンのピン装着忘れ防止部材であって、ピン孔5に挿入されるシャトル部2と、該シャトル部2と一体形成され、該シャトル部2がピン孔5に挿入された状態において、ピン孔5外に位置するベース部3とを有し、ベース部3は、ピン孔5にドリフトピン6を打ち込むことによりシャトル部2と切断分離する。
【解決手段】
木材からなる第1部材と木材からなる第2部材との間に接続金具を係合させて接合する木造軸組構造に用いられ、第2部材に形成されたピン孔5とそれに対応させて接続金具8に形成された係止孔18とに挿入されるドリフトピンのピン装着忘れ防止部材であって、ピン孔5に挿入されるシャトル部2と、該シャトル部2と一体形成され、該シャトル部2がピン孔5に挿入された状態において、ピン孔5外に位置するベース部3とを有し、ベース部3は、ピン孔5にドリフトピン6を打ち込むことによりシャトル部2と切断分離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材からなる第1部材と木材からなる第2部材との間に接続金具を係合させて接合する木造軸組構造に用いられ、第2部材に形成されたピン孔とそれに対応させて接続金具に形成された係止孔とに挿入されるドリフトピンのピン装着忘れ防止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梁等の横木部材と柱等の縦木部材を接合する建築用木部材の接合方法として、ほぞ加工やぬき加工を木材に施し、これら木材どうしを組み合わせて接合する方法が用いられてきた。しかし、近年では、建築用接合金具を用いて横木部材と縦木部材を接合すると、木材どうしを組み合わせて接合するより強固に接合でき、かつ、施工現場での作業効率を向上させることができることから、様々な構造の建築用接合金具が提案されている。たとえば、一対の対称なフック材からなり、フック材がそれぞれ板材を直角に折り曲げて取付部と係止部を形成し、取付部には取付用のボルト孔を形成し、係止部には上向きのフックを形成した木造建築物における梁受け金具の技術が開示されている(たとえば、特許文献1の従来例)。この梁受け金具は、取付部が柱にボルト及びナットにより固定され、梁の木口面に装入される係止部が、係止用のボルト及びロックピン(ドリフトピン)を介して梁と接合され、十分な接合強度で梁を柱に仕口接合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−155196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、柱と梁を接合する際に用いられるドリフトピンは施工現場で梁の木口面などに打ち込み装着されるが、実際の施工現場ではこのドリフトピンの一部を梁の木口面などに装着することを忘れ、そのまま建築物を完成させてしまう場合もあった。このような場合には、柱と梁の十分な接合強度を得ることができないばかりか、建築基準法が求めている強度基準も満たすことができないという問題が生じていた。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、木材からなる第1部材と木材からなる第2部材との間に接続金具を係合させて接合する木造軸組構造において、ピン孔とそれに対応させて接続金具に形成された係止孔とにドリフトピンを完全確実に装着し、第1部材と第2部材との十分な接合強度を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、ピン孔に挿入されるシャトル部と、該シャトル部と一体形成され、該シャトル部がピン孔に挿入された状態において、ピン孔外に位置するベース部とを有し、該ベース部は、ピン孔にドリフトピンを挿入することによりシャトル部と切断分離することを特徴とする。
【0007】
ピン孔は、そのピン孔が形成された木材と同色で小さな孔でさらにその数も多いことから、ドリフトピンが装着されていないピン孔を見落としやすい。本発明によれば、シャトル部がピン孔に挿入された状態において、ベース部がピン孔外に位置するので、作業者はそのベース部を目印としてドリフトピンが装着されていないピン孔を容易に見つけ出すことができ、ドリフトピンの装着忘れを防止できる。これにより、第1部材(たとえば、柱や梁など)と第2部材(たとえば、柱や梁など)との十分な接合強度を得ることができ、建築基準法違反の建造物になることも防止できる。さらに、ドリフトピンがピン孔に打ち込まれることによりベース部がシャトル部と切断分離するので、切断分離したベース部をドリフトピン外に取り出すことができるとともに、ピン孔が貫通孔である場合には、ドリフトピンを貫通孔の出口まで打ち込むことにより切断分離されたシャトル部を貫通孔の出口から排出させることができる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係るピン装着忘れ防止装置であって、ベース部は、木材の色と異なる色になるように着色されたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ベース部は木材の色と異なる色であるので、作業者は該ベース部を目印としてドリフトピンが装着されていないピン孔を容易に見つけ出すことができ、ドリフトピンの装着忘れを防止できる。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係るピン装着忘れ防止装置であって、シャトル部は、該最大外径がピン孔の内径と比較して略同径強で、ベース部との結合部に向かって外径を大きくしていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、シャトル部の最大外径がピン孔の内径と比較して略同径強で、シャトル部はベース部との結合部に向かって外径を大きくしているので、ピン装着忘れ防止部材がピン孔に装着しやすくなり、さらに、シャトル部をピン孔に挿入した状態において、シャトル部は外に広がろうとする力が発生し装着したドリフトピンも該運搬中や施工時にピン孔から外れにくい。
【0012】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係るピン装着忘れ防止装置であって、シャトル部のドリフトピンとの接触面の形状は、ドリフトピンのシャトル部との接触面の形状と略同形になるように形成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、シャトル部のドリフトピンとの接触面の形状は、ドリフトピンのシャトル部との接触面の形状と略同形になるように形成されているので、ドリフトピンを打ち込むことによりピン装着忘れ防止部材がピン孔に挿入しやすく、また、ベース部とシャトル部とをスムーズに切断分離することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ピン孔とそれに対応させて接続金具に形成された係止孔とにドリフトピンを完全確実に装着でき、柱と梁との十分な接合強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a) 本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材の上部平面図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材の下部平面図である。 (c) 同ピン装着忘れ防止部材の断面図である。
【図2】(a) 同ピン装着忘れ防止部材の上部斜視図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材の下部斜視図である。
【図3】(a) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した接合部分の分解斜視図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と柱が一体化した状態を示す図である。
【図4】同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と柱が組み立てられた状態を示す図である。
【図5】図4のA-A断面の断面図である。
【図6】(a) 梁等の横架材に装着されているピン装着忘れ防止部材を示す図である。 (b) ドリフトピンがピン装着忘れ防止部材に当たる瞬間を示す図である。 (c) ピン装着忘れ防止部材のシャトル部とベース部が分離した状態を示す図である。 (d) ピン装着忘れ防止部材1の分離したシャトル部がピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材まで達した状態を示す図である。 (e)、ピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材が押し出された状態を示す図である。
【図7】(a) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した他の接合部分の分解斜視図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と他の梁等の横架材が一体化した状態を示す図である。
【図8】同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と他の梁等の横架材が組み立てられた状態を示す図である。
【図9】(a) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した他の接合部分の分解斜視図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した柱と梁等の横架材が一体化した状態を示す図である。
【図10】同ピン装着忘れ防止部材を装着した柱と梁等の横架材とが組み立てられた状態を示す図である。
【図11】図10のB-B断面の断面図である。
【図12】(a) 柱に装着されているピン装着忘れ防止部材を示す図である。 (b) ドリフトピンがピン装着忘れ防止部材に当たる瞬間を示す図である。 (c) ピン装着忘れ防止部材のシャトル部とベース部が分離した状態を示す図である。 (d) ピン装着忘れ防止部材の分離したシャトル部がピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材まで達した状態を示す図である。 (e) ピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材が押し出された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のピン装着忘れ防止部材について図面を参照にしながら説明する。ここで、図1(a)は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材の上部平面図であり、(b)は、同ピン装着忘れ防止部材の下部平面図であり、(c)は、同ピン装着忘れ防止部材の断面図である。また、図2(a)は 同ピン装着忘れ防止部材の上部斜視図であり、(b)は 同ピン装着忘れ防止部材の下部斜視図である。
【0017】
図1および図2に示すように、ピン装着忘れ防止装置1は、シャトル部2と、ベース部3を有している。
【0018】
シャトル部2は、後述するように木材からなる梁等の横架材4に形成されたピン孔5などに挿入されるものであり、ドリフトピン6と接する部分の内側面の形状が、該ドリフトピン6の外周面の形状(ドリフトピン6の先端形状)と略同形の形状を有している。
【0019】
ベース部3は、シャトル部2と一体形成され、該シャトル部2がピン孔5に挿入された状態において、ピン孔5の外側に位置するものである。このベース部3は、シャトル部2と結合部Aで結合されている。なお、ベース部3の色は木材の色と異なる色(たとえば、青、赤など)に着色されている。
【0020】
(第1実施形態)
次に、本発明のピン装着忘れ防止部材1の接合方法について説明する。図3(a)は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材を装着した接合部分の分解斜視図であり、(b)は、同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と柱が一体化した状態を示す図である。なお、本実施形態では、第1部材として木材からなる柱を用い、第2部材として木材からなる梁等の横架材を用いて説明する。
【0021】
図3に示すように、垂直に立っている柱7の側面に水平に横たわる梁等の横架材4の端面を接触させて、接続金具8を介して双方を一体化している。
【0022】
接続金具8は、中央部9と、この中央部9の両側から直角に延びる側面部10とから構成されている。
【0023】
中央部9には、柱7の側面と接触する部分に柱7との位置決めを行うための円柱状のホゾ11(図3(b)参照)が形成されている。このホゾ11は、中空状でその中心部には固定孔が形成されている。柱7の側面には、ホゾ11と対になるホゾ穴13と、このホゾ穴13と同心で柱7を貫く柱貫通孔14と、ナット15を収納するためのナット穴16とが連通するように形成されている(図3(b)参照)。接続金具8を柱7に固定する際には、ホゾ穴13にホゾ11を差し込んでから、ボルト12をホゾ穴13から柱貫通孔14を介しナット穴16まで挿入し、ナット穴16でナット15を螺合させてボルト12を引き寄せる。なお、この接続金具8は柱7に装着された状態で施工現場に運び込まれる。
【0024】
側面部10には、その上部に梁等の横架材4の端部に取り付けられたドリフトピン6を係止するピン掛け17が設けられ、またピン掛け17の下部にドリフトピン6を挿通するための係止孔18が左右とも同位置にそれぞれ形成されている。
【0025】
梁等の横架材4には、ドリフトピン6を挿入するためのピン孔5が加工され、上のピン孔5にドリフトピン6が装着され、下のピン孔5にはピン装着忘れ防止部材1が装着された状態で施工現場に運び込まれる。なお、本実施形態では、ピン孔5を2つ設けて説明したが、これに限らず、ピン孔5を3つ以上設けてもよい。この場合、一番上もしくはその下部のピン孔5にドリフトピン6が装着され、その他のピン孔5にはピン装着忘れ防止部材1が装着された状態で施工現場に運び込まれる。
【0026】
施工現場に接続金具8が固定された柱7および一番上のピン孔5にドリフトピン6が装着されている梁等の横架材4が運ばれると、まず柱7を土台(図示せず)上に立設させる。そして、柱7が土台上に立設されると、柱7に固定された接続金具8の側面部10を梁等の横架材4に設けられた溝19に差し込みながら、梁等の横架材4の上のピン孔5に挿入されているドリフトピン6を接続金具8の側面部10に設けられたピン掛け17に係止させる。これにより、梁等の横架材4と柱7とが組み立てられた状態になる(図4参照)。なお、接続金具8の中央部9を収納するため、梁等の横架材4の端面には両溝19の間を削った切欠が形成されている。
【0027】
次に、梁等の横架材4の一番上のピン孔5に挿入されているドリフトピン6を接続金具8の側面部10に設けられたピン掛け17に係止させて、梁等の横架材4を柱7に一体化させた状態から、ドリフトピン6が挿入されていないピン孔5にドリフトピン6を打ち込み、梁等の横架材4を柱7に固定させる。なお、ドリフトピン6が挿入されていないピン孔5にはピン装着忘れ防止部材1が装着されており、このピン装着忘れ防止部材1の使用方法については、図5および図6を用いて後述する。図5は、図4のA-A断面の断面図である。
【0028】
図5に示すように、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔5に装着された状態では、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔5に挿入され、ピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔5外に位置している。このように、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔5に挿入された状態において、ピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔5外に位置するので、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1のベース部3を目印としてドリフトピン6が装着されていないピン孔5を容易に見つけ出すことができ、ドリフトピン6の装着忘れを防止できる。
【0029】
また、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2はピン装着忘れ防止部材1のベース部3との結合部Aに向かって外径を大きくしている。これにより、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔5に装着しやすくなり、さらに、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2の最大外径がピン孔5の内径と比較して少し大きくしている。これにより、シャトル部2をピン孔5に挿入した状態において、シャトル部2は外に広がろうとする力が発生しピン孔5に装着したドリフトピン6も該運搬中や施工時にピン孔5から外れにくくなる。
【0030】
次に、ピン装着忘れ防止部材1の具体的使用方法については図6を用いて説明する。図6は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材の使用方法を示す図である。なお、図6も図5と同様、図4のA-A断面の断面図である。
【0031】
梁等の横架材4のピン孔5の入口側および出口側にはピン装着忘れ部材1が装着されている。このピン装着忘れ部材1は工場などで装着され施工現場に運び込まれたものである。図6(a)は、梁等の横架材に装着されているピン装着忘れ防止部材を示す図である。図6(a)に示すように、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔5に装着された状態において、木材の色と異なるピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔5外に位置するように装着されている。これにより、梁等の横架材4のピン孔5は、そのピン孔5が形成された木材と同色で小さな孔でありさらにその数も多いものであるが、作業者はそのベース部3を目印としてドリフトピン6が装着されていないピン孔5を容易に見つけ出すことができ、ドリフトピン6の装着忘れを防止できる。なお、ドリフトピン6の長さは梁等の横架材4のピン孔5の長さより少し短くしている。
【0032】
この状態から、施工現場で梁等の横架材4のピン孔5にドリフトピン6が打ち込まれる。このように、梁等の横架材4のピン孔5にドリフトピン6が打ち込まれると、ピン装着忘れ防止部材1はドリフトピン6の挿入方向に押される。この場合、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2の接触面の形状は、該シャトル部2と接するドリフトピン6の接触面の形状と略同形であるので、ドリフトピン6をピン装着忘れ防止部材1に当ててスムーズに打ち込むことができる。図6(b)は、ドリフトピンがピン装着忘れ防止部材に当たる瞬間を示す図である。
【0033】
そして、ハンマー等で梁等の横架材4のピン孔5にドリフトピン6を打ち込むと、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2とベース部3が切断し分離し、その切断分離したシャトル部2が梁等の横架材4のピン孔5内に入り込むようになる。図6(c)は、ピン装着忘れ防止部材のシャトル部とベース部が分離した状態を示す図である。
【0034】
この状態からさらにハンマー等で梁等の横架材4のピン孔5にドリフトピン6を打ち込むと、ドリフトピン6が梁等の横架材4のピン孔5の出口側まで打ち込まれ、ベース部3と分離したピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔5の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1に達する。図6(d)は、ピン装着忘れ防止部材1の分離したシャトル部がピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材まで達した状態を示す図である。そしてさらにドリフトピン6を打ち込むと、ドリフトピン6により押されたピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔5の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1を押し出し、ピン孔5の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1が落下する。図6(e)は、ピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材が押し出された状態を示す図である。また、ドリフトピン6の先端部がピン孔5の出口に達すると、ドリフトピン6の後端部もピン孔5内に入り込む(図示略)。これにより、ピン装着忘れ防止部材1の切断したベース部3もドリフトピン6から抜け落ち落下するようになる。
【0035】
このように、ドリフトピン6の後端部がピン孔5内に入り込むまでドリフトピン6が打ち込まれると、切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3がドリフトピン6から抜け落ち落下するので、ドリフトピン6が打ち込まれたピン孔5についてはピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されず、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されているピン孔5を探し出すことにより容易にドリフトピン6の装着忘れを防止できる。また、仮に、切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3がドリフトピン6から抜け落ちない場合でも、作業者により切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3をドリフトピン6から取り除くことにより同様の効果を有する。さらに、本実施形態のようにピン孔5が貫通孔である場合には、ドリフトピン6を貫通孔の出口まで打ち込むことによりピン孔5の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1も抜け落ち落下するので、ピン孔5の出口側にピン装着忘れ防止部材1を装着した場合においても、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されているピン孔5を探し出すことにより容易にドリフトピン6の装着忘れを防止できる。
【0036】
なお、本実施形態では、第1部材として木材からなる柱を用い、第2部材として木材からなる梁等の横架材を用いて説明したが、これに限らず、第1部材として木材からなる梁等の横架材を用い、第2部材としても木材からなる梁等の横架材を用いても同様の作用効果を有する(図7および図8参照)。ここで、図7(a)は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材を装着した他の接合部分の分解斜視図であり、(b)は、同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と他の梁等の横架材が一体化した状態を示す図である。また、図8は、同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と他の梁等の横架材が組み立てられた状態を示す図である。なお、第1部材および第2部材として木材からなる梁等の横架材を用いた場合においても、その使用方法などは第1部材として木材からなる柱を用い、第2部材として木材からなる梁等の横架材を用いた場合と同様なので、その説明は省略する。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明のピン装着忘れ防止部材1の他の接合方法について説明する。図9(a)は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材を装着した他の接合部分の分解斜視図であり、(b)は、同ピン装着忘れ防止部材を装着した柱と梁等の横架材が一体化した状態を示す図である。なお、本実施形態では、第1部材として木材からなる梁等の横架材を用い、第2部材として木材からなる柱を用いて説明する。
【0038】
本実施形態では、垂直に立っている柱107の端面に水平に横たわる梁等の横架材104の側面を接触させて、シャフト(接続金具)108を介して双方を一体化している。
【0039】
シャフト108は、鋼製で円柱形状をしており、側面には上下方向にドリフトピン6を挿通するための係止孔118a、118bが形成されている。なお、本実施形態では、シャフト108の2箇所に係止孔118a、118bを設けているが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、3箇所以上に係止孔を設ける構造としてもよい。
【0040】
柱107の端面および梁等の横架材104の側面には、シャフト108と略同径の丸穴114a、114bがあらかじめ加工されており、この丸穴114a、114bにシャフト108が差し込まれる。また、柱107および梁等の横架材104の側面には、ドリフトピン6を挿入させるためのピン孔105a、105bが加工され、梁等の横架材104の側面のピン孔105bにドリフトピン6が装着され、柱107の側面のピン孔5にはピン装着忘れ防止部材1が装着された状態で施工現場に運び込まれる。
【0041】
施工現場にピン孔105aにピン装着忘れ防止部材1が装着された柱107およびドリフトピン6によりシャフト108が固定されている梁等の横架材104が運ばれると、柱107端面の丸穴114aに梁等の横架材104の丸穴114bに装着されているシャフト108を差し込む。これにより、梁等の横架材104が柱107と一体化した状態になる(図10参照)。図10は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材を装着した柱と梁等の横架材とが組み立てられた状態を示す図である。
【0042】
次に、梁等の横架材104と柱107とがシャフト108を介して一体化された状態から、柱107に設けられたピン孔105aにドリフトピン6を打ち込み、柱107を梁等の横架材104に固定させる。なお、上述したように、柱107のピン孔105aにピン装着忘れ防止部材1が装着されており、このピン装着忘れ防止部材1の使用方法については、図11および図12を用いて後述する。図11は、図10のB-B断面の断面図である。
【0043】
図11に示すように、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔105aに装着された状態では、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔105aに挿入され、ピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔105a外に位置している。このように、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔105aに挿入された状態において、ピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔105a外に位置するので、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1のベース部3を目印としてドリフトピン6が装着されていないピン孔105aを容易に見つけ出すことができ、ドリフトピン6の装着忘れを防止できる。
【0044】
また、上述したように、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2はピン装着忘れ防止部材1のベース部3との結合部Aに向かって外径を大きくしている。これにより、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔105aに装着しやすくなり、さらに、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2の最大外径がピン孔105aの内径と比較して少し大きくしている。これにより、シャトル部2をピン孔105aに挿入した状態において、シャトル部2は外に広がろうとする力が発生しピン孔105aに装着したドリフトピン6も該運搬中や施工時にピン孔105aから外れにくくなる。
【0045】
次に、ピン装着忘れ防止部材1の具体的使用方法については図12を用いて説明する。図12は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材の使用方法を示す図である。なお、図12も図11と同様、図10のB-B断面の断面図である。
【0046】
柱107のピン孔105aの入口側および出口側にはピン装着忘れ部材1が装着されている。このピン装着忘れ部材1は工場などで装着され施工現場に運び込まれたものである。図12(a)は、柱に装着されているピン装着忘れ防止部材を示す図である。このように、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔105aに装着された状態において、木材の色と異なるピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔105a外に位置するように装着されている。これにより、柱107のピン孔105aは、そのピン孔105aが形成された木材と同色で小さな孔でありさらにその数も多いものであるが、作業者はそのベース部3を目印としてドリフトピン6が装着されていないピン孔105aを容易に見つけ出すことができ、ドリフトピン6の装着忘れを防止できる。なお、ドリフトピン6の長さは柱107のピン孔105aの長さより少し短くしている。
【0047】
この状態から、施工現場で柱107のピン孔105aにドリフトピン6が打ち込まれる。このように、柱107のピン孔105aにドリフトピン6が打ち込まれると、ピン装着忘れ防止部材1はドリフトピン6の挿入方向に押される。この場合、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2の接触面の形状は、該シャトル部2と接するドリフトピン6の接触面の形状と略同形であるので、ドリフトピン6をピン装着忘れ防止部材1に当ててスムーズに打ち込むことができる。図12(b)は、ドリフトピンがピン装着忘れ防止部材に当たる瞬間を示す図である。
【0048】
そして、ハンマー等で柱107のピン孔105aにドリフトピン6を打ち込むと、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2とベース部3が切断し分離し、その切断分離したシャトル部2が柱107のピン孔105a内に入り込むようになる。図12(c)は、ピン装着忘れ防止部材のシャトル部とベース部が分離した状態を示す図である。
【0049】
この状態からさらにハンマー等で柱107のピン孔105aにドリフトピン6を打ち込むと、ドリフトピン6が柱107のピン孔105aの出口側まで打ち込まれ、シャトル部2とベース部3が分離したピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔105aの出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1に達する。図12(d)は、ピン装着忘れ防止部材の分離したシャトル部がピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材まで達した状態を示す図である。そしてさらにドリフトピン6を打ち込むと、ドリフトピン6により押されたピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔105aの出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1を押し出し、ピン孔105aの出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1が落下する。図12(e)は、ピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材が押し出された状態を示す図である。また、ドリフトピン6の先端部がピン孔105aの出口に達すると、ドリフトピン6の後端部もピン孔105a内に入り込む(図示略)。これにより、ピン装着忘れ防止部材1の切断したベース部3もドリフトピン6から抜け落ち落下するようになる。
【0050】
このように、ドリフトピン6の後端部がピン孔105a内に入り込むまでドリフトピン6が打ち込まれると、切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3がドリフトピン6から抜け落ち落下するので、ドリフトピン6が打ち込まれたピン孔105aについてはピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されず、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されているピン孔105aを探し出すことにより容易にドリフトピン6の装着忘れを防止できる。また、仮に、切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3がドリフトピン6から抜け落ちない場合でも、作業者により切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3をドリフトピン6から取り除くことにより同様の効果を有する。さらに、本実施形態のようにピン孔105aが貫通孔である場合には、ドリフトピン6を貫通孔の出口まで打ち込むことによりピン孔105aの出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1も抜け落ち落下するので、ピン孔105aの出口側にピン装着忘れ防止部材1を装着した場合においても、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されているピン孔5を探し出すことにより容易にドリフトピン6の装着忘れを防止できる。
【0051】
なお、本実施形態では、第1部材として木材からなる梁等の横架材を用い、第2部材として木材からなる柱を用いて説明したが、これに限らず、第1部材として木材からなる柱を用い、第2部材としても木材からなる柱を用いても同様の作用効果を有する。
【0052】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 ピン装着忘れ防止部材
2 シャトル部
3 ベース部
4 梁等の横架材
5 ピン孔
6 ドリフトピン
7 柱
8 接続金具
9 中央部
10 側面部
11 ホゾ
12 ボルト
13 ホゾ穴
14 柱貫通孔
15 ナット
16 ナット穴
17 ピン掛け
18 係止孔
104 梁等の横架材
105a ピン孔
105b ピン孔
107 柱
108 シャフト
114a 丸穴
114b 丸穴
118 係止孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材からなる第1部材と木材からなる第2部材との間に接続金具を係合させて接合する木造軸組構造に用いられ、第2部材に形成されたピン孔とそれに対応させて接続金具に形成された係止孔とに挿入されるドリフトピンのピン装着忘れ防止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梁等の横木部材と柱等の縦木部材を接合する建築用木部材の接合方法として、ほぞ加工やぬき加工を木材に施し、これら木材どうしを組み合わせて接合する方法が用いられてきた。しかし、近年では、建築用接合金具を用いて横木部材と縦木部材を接合すると、木材どうしを組み合わせて接合するより強固に接合でき、かつ、施工現場での作業効率を向上させることができることから、様々な構造の建築用接合金具が提案されている。たとえば、一対の対称なフック材からなり、フック材がそれぞれ板材を直角に折り曲げて取付部と係止部を形成し、取付部には取付用のボルト孔を形成し、係止部には上向きのフックを形成した木造建築物における梁受け金具の技術が開示されている(たとえば、特許文献1の従来例)。この梁受け金具は、取付部が柱にボルト及びナットにより固定され、梁の木口面に装入される係止部が、係止用のボルト及びロックピン(ドリフトピン)を介して梁と接合され、十分な接合強度で梁を柱に仕口接合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−155196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、柱と梁を接合する際に用いられるドリフトピンは施工現場で梁の木口面などに打ち込み装着されるが、実際の施工現場ではこのドリフトピンの一部を梁の木口面などに装着することを忘れ、そのまま建築物を完成させてしまう場合もあった。このような場合には、柱と梁の十分な接合強度を得ることができないばかりか、建築基準法が求めている強度基準も満たすことができないという問題が生じていた。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、木材からなる第1部材と木材からなる第2部材との間に接続金具を係合させて接合する木造軸組構造において、ピン孔とそれに対応させて接続金具に形成された係止孔とにドリフトピンを完全確実に装着し、第1部材と第2部材との十分な接合強度を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、ピン孔に挿入されるシャトル部と、該シャトル部と一体形成され、該シャトル部がピン孔に挿入された状態において、ピン孔外に位置するベース部とを有し、該ベース部は、ピン孔にドリフトピンを挿入することによりシャトル部と切断分離することを特徴とする。
【0007】
ピン孔は、そのピン孔が形成された木材と同色で小さな孔でさらにその数も多いことから、ドリフトピンが装着されていないピン孔を見落としやすい。本発明によれば、シャトル部がピン孔に挿入された状態において、ベース部がピン孔外に位置するので、作業者はそのベース部を目印としてドリフトピンが装着されていないピン孔を容易に見つけ出すことができ、ドリフトピンの装着忘れを防止できる。これにより、第1部材(たとえば、柱や梁など)と第2部材(たとえば、柱や梁など)との十分な接合強度を得ることができ、建築基準法違反の建造物になることも防止できる。さらに、ドリフトピンがピン孔に打ち込まれることによりベース部がシャトル部と切断分離するので、切断分離したベース部をドリフトピン外に取り出すことができるとともに、ピン孔が貫通孔である場合には、ドリフトピンを貫通孔の出口まで打ち込むことにより切断分離されたシャトル部を貫通孔の出口から排出させることができる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係るピン装着忘れ防止装置であって、ベース部は、木材の色と異なる色になるように着色されたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ベース部は木材の色と異なる色であるので、作業者は該ベース部を目印としてドリフトピンが装着されていないピン孔を容易に見つけ出すことができ、ドリフトピンの装着忘れを防止できる。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係るピン装着忘れ防止装置であって、シャトル部は、該最大外径がピン孔の内径と比較して略同径強で、ベース部との結合部に向かって外径を大きくしていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、シャトル部の最大外径がピン孔の内径と比較して略同径強で、シャトル部はベース部との結合部に向かって外径を大きくしているので、ピン装着忘れ防止部材がピン孔に装着しやすくなり、さらに、シャトル部をピン孔に挿入した状態において、シャトル部は外に広がろうとする力が発生し装着したドリフトピンも該運搬中や施工時にピン孔から外れにくい。
【0012】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係るピン装着忘れ防止装置であって、シャトル部のドリフトピンとの接触面の形状は、ドリフトピンのシャトル部との接触面の形状と略同形になるように形成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、シャトル部のドリフトピンとの接触面の形状は、ドリフトピンのシャトル部との接触面の形状と略同形になるように形成されているので、ドリフトピンを打ち込むことによりピン装着忘れ防止部材がピン孔に挿入しやすく、また、ベース部とシャトル部とをスムーズに切断分離することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ピン孔とそれに対応させて接続金具に形成された係止孔とにドリフトピンを完全確実に装着でき、柱と梁との十分な接合強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a) 本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材の上部平面図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材の下部平面図である。 (c) 同ピン装着忘れ防止部材の断面図である。
【図2】(a) 同ピン装着忘れ防止部材の上部斜視図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材の下部斜視図である。
【図3】(a) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した接合部分の分解斜視図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と柱が一体化した状態を示す図である。
【図4】同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と柱が組み立てられた状態を示す図である。
【図5】図4のA-A断面の断面図である。
【図6】(a) 梁等の横架材に装着されているピン装着忘れ防止部材を示す図である。 (b) ドリフトピンがピン装着忘れ防止部材に当たる瞬間を示す図である。 (c) ピン装着忘れ防止部材のシャトル部とベース部が分離した状態を示す図である。 (d) ピン装着忘れ防止部材1の分離したシャトル部がピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材まで達した状態を示す図である。 (e)、ピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材が押し出された状態を示す図である。
【図7】(a) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した他の接合部分の分解斜視図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と他の梁等の横架材が一体化した状態を示す図である。
【図8】同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と他の梁等の横架材が組み立てられた状態を示す図である。
【図9】(a) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した他の接合部分の分解斜視図である。 (b) 同ピン装着忘れ防止部材を装着した柱と梁等の横架材が一体化した状態を示す図である。
【図10】同ピン装着忘れ防止部材を装着した柱と梁等の横架材とが組み立てられた状態を示す図である。
【図11】図10のB-B断面の断面図である。
【図12】(a) 柱に装着されているピン装着忘れ防止部材を示す図である。 (b) ドリフトピンがピン装着忘れ防止部材に当たる瞬間を示す図である。 (c) ピン装着忘れ防止部材のシャトル部とベース部が分離した状態を示す図である。 (d) ピン装着忘れ防止部材の分離したシャトル部がピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材まで達した状態を示す図である。 (e) ピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材が押し出された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のピン装着忘れ防止部材について図面を参照にしながら説明する。ここで、図1(a)は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材の上部平面図であり、(b)は、同ピン装着忘れ防止部材の下部平面図であり、(c)は、同ピン装着忘れ防止部材の断面図である。また、図2(a)は 同ピン装着忘れ防止部材の上部斜視図であり、(b)は 同ピン装着忘れ防止部材の下部斜視図である。
【0017】
図1および図2に示すように、ピン装着忘れ防止装置1は、シャトル部2と、ベース部3を有している。
【0018】
シャトル部2は、後述するように木材からなる梁等の横架材4に形成されたピン孔5などに挿入されるものであり、ドリフトピン6と接する部分の内側面の形状が、該ドリフトピン6の外周面の形状(ドリフトピン6の先端形状)と略同形の形状を有している。
【0019】
ベース部3は、シャトル部2と一体形成され、該シャトル部2がピン孔5に挿入された状態において、ピン孔5の外側に位置するものである。このベース部3は、シャトル部2と結合部Aで結合されている。なお、ベース部3の色は木材の色と異なる色(たとえば、青、赤など)に着色されている。
【0020】
(第1実施形態)
次に、本発明のピン装着忘れ防止部材1の接合方法について説明する。図3(a)は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材を装着した接合部分の分解斜視図であり、(b)は、同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と柱が一体化した状態を示す図である。なお、本実施形態では、第1部材として木材からなる柱を用い、第2部材として木材からなる梁等の横架材を用いて説明する。
【0021】
図3に示すように、垂直に立っている柱7の側面に水平に横たわる梁等の横架材4の端面を接触させて、接続金具8を介して双方を一体化している。
【0022】
接続金具8は、中央部9と、この中央部9の両側から直角に延びる側面部10とから構成されている。
【0023】
中央部9には、柱7の側面と接触する部分に柱7との位置決めを行うための円柱状のホゾ11(図3(b)参照)が形成されている。このホゾ11は、中空状でその中心部には固定孔が形成されている。柱7の側面には、ホゾ11と対になるホゾ穴13と、このホゾ穴13と同心で柱7を貫く柱貫通孔14と、ナット15を収納するためのナット穴16とが連通するように形成されている(図3(b)参照)。接続金具8を柱7に固定する際には、ホゾ穴13にホゾ11を差し込んでから、ボルト12をホゾ穴13から柱貫通孔14を介しナット穴16まで挿入し、ナット穴16でナット15を螺合させてボルト12を引き寄せる。なお、この接続金具8は柱7に装着された状態で施工現場に運び込まれる。
【0024】
側面部10には、その上部に梁等の横架材4の端部に取り付けられたドリフトピン6を係止するピン掛け17が設けられ、またピン掛け17の下部にドリフトピン6を挿通するための係止孔18が左右とも同位置にそれぞれ形成されている。
【0025】
梁等の横架材4には、ドリフトピン6を挿入するためのピン孔5が加工され、上のピン孔5にドリフトピン6が装着され、下のピン孔5にはピン装着忘れ防止部材1が装着された状態で施工現場に運び込まれる。なお、本実施形態では、ピン孔5を2つ設けて説明したが、これに限らず、ピン孔5を3つ以上設けてもよい。この場合、一番上もしくはその下部のピン孔5にドリフトピン6が装着され、その他のピン孔5にはピン装着忘れ防止部材1が装着された状態で施工現場に運び込まれる。
【0026】
施工現場に接続金具8が固定された柱7および一番上のピン孔5にドリフトピン6が装着されている梁等の横架材4が運ばれると、まず柱7を土台(図示せず)上に立設させる。そして、柱7が土台上に立設されると、柱7に固定された接続金具8の側面部10を梁等の横架材4に設けられた溝19に差し込みながら、梁等の横架材4の上のピン孔5に挿入されているドリフトピン6を接続金具8の側面部10に設けられたピン掛け17に係止させる。これにより、梁等の横架材4と柱7とが組み立てられた状態になる(図4参照)。なお、接続金具8の中央部9を収納するため、梁等の横架材4の端面には両溝19の間を削った切欠が形成されている。
【0027】
次に、梁等の横架材4の一番上のピン孔5に挿入されているドリフトピン6を接続金具8の側面部10に設けられたピン掛け17に係止させて、梁等の横架材4を柱7に一体化させた状態から、ドリフトピン6が挿入されていないピン孔5にドリフトピン6を打ち込み、梁等の横架材4を柱7に固定させる。なお、ドリフトピン6が挿入されていないピン孔5にはピン装着忘れ防止部材1が装着されており、このピン装着忘れ防止部材1の使用方法については、図5および図6を用いて後述する。図5は、図4のA-A断面の断面図である。
【0028】
図5に示すように、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔5に装着された状態では、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔5に挿入され、ピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔5外に位置している。このように、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔5に挿入された状態において、ピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔5外に位置するので、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1のベース部3を目印としてドリフトピン6が装着されていないピン孔5を容易に見つけ出すことができ、ドリフトピン6の装着忘れを防止できる。
【0029】
また、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2はピン装着忘れ防止部材1のベース部3との結合部Aに向かって外径を大きくしている。これにより、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔5に装着しやすくなり、さらに、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2の最大外径がピン孔5の内径と比較して少し大きくしている。これにより、シャトル部2をピン孔5に挿入した状態において、シャトル部2は外に広がろうとする力が発生しピン孔5に装着したドリフトピン6も該運搬中や施工時にピン孔5から外れにくくなる。
【0030】
次に、ピン装着忘れ防止部材1の具体的使用方法については図6を用いて説明する。図6は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材の使用方法を示す図である。なお、図6も図5と同様、図4のA-A断面の断面図である。
【0031】
梁等の横架材4のピン孔5の入口側および出口側にはピン装着忘れ部材1が装着されている。このピン装着忘れ部材1は工場などで装着され施工現場に運び込まれたものである。図6(a)は、梁等の横架材に装着されているピン装着忘れ防止部材を示す図である。図6(a)に示すように、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔5に装着された状態において、木材の色と異なるピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔5外に位置するように装着されている。これにより、梁等の横架材4のピン孔5は、そのピン孔5が形成された木材と同色で小さな孔でありさらにその数も多いものであるが、作業者はそのベース部3を目印としてドリフトピン6が装着されていないピン孔5を容易に見つけ出すことができ、ドリフトピン6の装着忘れを防止できる。なお、ドリフトピン6の長さは梁等の横架材4のピン孔5の長さより少し短くしている。
【0032】
この状態から、施工現場で梁等の横架材4のピン孔5にドリフトピン6が打ち込まれる。このように、梁等の横架材4のピン孔5にドリフトピン6が打ち込まれると、ピン装着忘れ防止部材1はドリフトピン6の挿入方向に押される。この場合、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2の接触面の形状は、該シャトル部2と接するドリフトピン6の接触面の形状と略同形であるので、ドリフトピン6をピン装着忘れ防止部材1に当ててスムーズに打ち込むことができる。図6(b)は、ドリフトピンがピン装着忘れ防止部材に当たる瞬間を示す図である。
【0033】
そして、ハンマー等で梁等の横架材4のピン孔5にドリフトピン6を打ち込むと、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2とベース部3が切断し分離し、その切断分離したシャトル部2が梁等の横架材4のピン孔5内に入り込むようになる。図6(c)は、ピン装着忘れ防止部材のシャトル部とベース部が分離した状態を示す図である。
【0034】
この状態からさらにハンマー等で梁等の横架材4のピン孔5にドリフトピン6を打ち込むと、ドリフトピン6が梁等の横架材4のピン孔5の出口側まで打ち込まれ、ベース部3と分離したピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔5の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1に達する。図6(d)は、ピン装着忘れ防止部材1の分離したシャトル部がピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材まで達した状態を示す図である。そしてさらにドリフトピン6を打ち込むと、ドリフトピン6により押されたピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔5の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1を押し出し、ピン孔5の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1が落下する。図6(e)は、ピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材が押し出された状態を示す図である。また、ドリフトピン6の先端部がピン孔5の出口に達すると、ドリフトピン6の後端部もピン孔5内に入り込む(図示略)。これにより、ピン装着忘れ防止部材1の切断したベース部3もドリフトピン6から抜け落ち落下するようになる。
【0035】
このように、ドリフトピン6の後端部がピン孔5内に入り込むまでドリフトピン6が打ち込まれると、切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3がドリフトピン6から抜け落ち落下するので、ドリフトピン6が打ち込まれたピン孔5についてはピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されず、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されているピン孔5を探し出すことにより容易にドリフトピン6の装着忘れを防止できる。また、仮に、切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3がドリフトピン6から抜け落ちない場合でも、作業者により切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3をドリフトピン6から取り除くことにより同様の効果を有する。さらに、本実施形態のようにピン孔5が貫通孔である場合には、ドリフトピン6を貫通孔の出口まで打ち込むことによりピン孔5の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1も抜け落ち落下するので、ピン孔5の出口側にピン装着忘れ防止部材1を装着した場合においても、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されているピン孔5を探し出すことにより容易にドリフトピン6の装着忘れを防止できる。
【0036】
なお、本実施形態では、第1部材として木材からなる柱を用い、第2部材として木材からなる梁等の横架材を用いて説明したが、これに限らず、第1部材として木材からなる梁等の横架材を用い、第2部材としても木材からなる梁等の横架材を用いても同様の作用効果を有する(図7および図8参照)。ここで、図7(a)は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材を装着した他の接合部分の分解斜視図であり、(b)は、同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と他の梁等の横架材が一体化した状態を示す図である。また、図8は、同ピン装着忘れ防止部材を装着した梁等の横架材と他の梁等の横架材が組み立てられた状態を示す図である。なお、第1部材および第2部材として木材からなる梁等の横架材を用いた場合においても、その使用方法などは第1部材として木材からなる柱を用い、第2部材として木材からなる梁等の横架材を用いた場合と同様なので、その説明は省略する。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明のピン装着忘れ防止部材1の他の接合方法について説明する。図9(a)は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材を装着した他の接合部分の分解斜視図であり、(b)は、同ピン装着忘れ防止部材を装着した柱と梁等の横架材が一体化した状態を示す図である。なお、本実施形態では、第1部材として木材からなる梁等の横架材を用い、第2部材として木材からなる柱を用いて説明する。
【0038】
本実施形態では、垂直に立っている柱107の端面に水平に横たわる梁等の横架材104の側面を接触させて、シャフト(接続金具)108を介して双方を一体化している。
【0039】
シャフト108は、鋼製で円柱形状をしており、側面には上下方向にドリフトピン6を挿通するための係止孔118a、118bが形成されている。なお、本実施形態では、シャフト108の2箇所に係止孔118a、118bを設けているが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、3箇所以上に係止孔を設ける構造としてもよい。
【0040】
柱107の端面および梁等の横架材104の側面には、シャフト108と略同径の丸穴114a、114bがあらかじめ加工されており、この丸穴114a、114bにシャフト108が差し込まれる。また、柱107および梁等の横架材104の側面には、ドリフトピン6を挿入させるためのピン孔105a、105bが加工され、梁等の横架材104の側面のピン孔105bにドリフトピン6が装着され、柱107の側面のピン孔5にはピン装着忘れ防止部材1が装着された状態で施工現場に運び込まれる。
【0041】
施工現場にピン孔105aにピン装着忘れ防止部材1が装着された柱107およびドリフトピン6によりシャフト108が固定されている梁等の横架材104が運ばれると、柱107端面の丸穴114aに梁等の横架材104の丸穴114bに装着されているシャフト108を差し込む。これにより、梁等の横架材104が柱107と一体化した状態になる(図10参照)。図10は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材を装着した柱と梁等の横架材とが組み立てられた状態を示す図である。
【0042】
次に、梁等の横架材104と柱107とがシャフト108を介して一体化された状態から、柱107に設けられたピン孔105aにドリフトピン6を打ち込み、柱107を梁等の横架材104に固定させる。なお、上述したように、柱107のピン孔105aにピン装着忘れ防止部材1が装着されており、このピン装着忘れ防止部材1の使用方法については、図11および図12を用いて後述する。図11は、図10のB-B断面の断面図である。
【0043】
図11に示すように、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔105aに装着された状態では、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔105aに挿入され、ピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔105a外に位置している。このように、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔105aに挿入された状態において、ピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔105a外に位置するので、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1のベース部3を目印としてドリフトピン6が装着されていないピン孔105aを容易に見つけ出すことができ、ドリフトピン6の装着忘れを防止できる。
【0044】
また、上述したように、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2はピン装着忘れ防止部材1のベース部3との結合部Aに向かって外径を大きくしている。これにより、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔105aに装着しやすくなり、さらに、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2の最大外径がピン孔105aの内径と比較して少し大きくしている。これにより、シャトル部2をピン孔105aに挿入した状態において、シャトル部2は外に広がろうとする力が発生しピン孔105aに装着したドリフトピン6も該運搬中や施工時にピン孔105aから外れにくくなる。
【0045】
次に、ピン装着忘れ防止部材1の具体的使用方法については図12を用いて説明する。図12は、本発明の一実施形態におけるピン装着忘れ防止部材の使用方法を示す図である。なお、図12も図11と同様、図10のB-B断面の断面図である。
【0046】
柱107のピン孔105aの入口側および出口側にはピン装着忘れ部材1が装着されている。このピン装着忘れ部材1は工場などで装着され施工現場に運び込まれたものである。図12(a)は、柱に装着されているピン装着忘れ防止部材を示す図である。このように、ピン装着忘れ防止部材1がピン孔105aに装着された状態において、木材の色と異なるピン装着忘れ防止部材1のベース部3がピン孔105a外に位置するように装着されている。これにより、柱107のピン孔105aは、そのピン孔105aが形成された木材と同色で小さな孔でありさらにその数も多いものであるが、作業者はそのベース部3を目印としてドリフトピン6が装着されていないピン孔105aを容易に見つけ出すことができ、ドリフトピン6の装着忘れを防止できる。なお、ドリフトピン6の長さは柱107のピン孔105aの長さより少し短くしている。
【0047】
この状態から、施工現場で柱107のピン孔105aにドリフトピン6が打ち込まれる。このように、柱107のピン孔105aにドリフトピン6が打ち込まれると、ピン装着忘れ防止部材1はドリフトピン6の挿入方向に押される。この場合、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2の接触面の形状は、該シャトル部2と接するドリフトピン6の接触面の形状と略同形であるので、ドリフトピン6をピン装着忘れ防止部材1に当ててスムーズに打ち込むことができる。図12(b)は、ドリフトピンがピン装着忘れ防止部材に当たる瞬間を示す図である。
【0048】
そして、ハンマー等で柱107のピン孔105aにドリフトピン6を打ち込むと、ピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2とベース部3が切断し分離し、その切断分離したシャトル部2が柱107のピン孔105a内に入り込むようになる。図12(c)は、ピン装着忘れ防止部材のシャトル部とベース部が分離した状態を示す図である。
【0049】
この状態からさらにハンマー等で柱107のピン孔105aにドリフトピン6を打ち込むと、ドリフトピン6が柱107のピン孔105aの出口側まで打ち込まれ、シャトル部2とベース部3が分離したピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔105aの出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1に達する。図12(d)は、ピン装着忘れ防止部材の分離したシャトル部がピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材まで達した状態を示す図である。そしてさらにドリフトピン6を打ち込むと、ドリフトピン6により押されたピン装着忘れ防止部材1のシャトル部2がピン孔105aの出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1を押し出し、ピン孔105aの出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1が落下する。図12(e)は、ピン孔の出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材が押し出された状態を示す図である。また、ドリフトピン6の先端部がピン孔105aの出口に達すると、ドリフトピン6の後端部もピン孔105a内に入り込む(図示略)。これにより、ピン装着忘れ防止部材1の切断したベース部3もドリフトピン6から抜け落ち落下するようになる。
【0050】
このように、ドリフトピン6の後端部がピン孔105a内に入り込むまでドリフトピン6が打ち込まれると、切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3がドリフトピン6から抜け落ち落下するので、ドリフトピン6が打ち込まれたピン孔105aについてはピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されず、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されているピン孔105aを探し出すことにより容易にドリフトピン6の装着忘れを防止できる。また、仮に、切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3がドリフトピン6から抜け落ちない場合でも、作業者により切断分離したピン装着忘れ防止部材1のベース部3をドリフトピン6から取り除くことにより同様の効果を有する。さらに、本実施形態のようにピン孔105aが貫通孔である場合には、ドリフトピン6を貫通孔の出口まで打ち込むことによりピン孔105aの出口側に装着されたピン装着忘れ防止部材1も抜け落ち落下するので、ピン孔105aの出口側にピン装着忘れ防止部材1を装着した場合においても、作業者はそのピン装着忘れ防止部材1(ベース部3)が装着されているピン孔5を探し出すことにより容易にドリフトピン6の装着忘れを防止できる。
【0051】
なお、本実施形態では、第1部材として木材からなる梁等の横架材を用い、第2部材として木材からなる柱を用いて説明したが、これに限らず、第1部材として木材からなる柱を用い、第2部材としても木材からなる柱を用いても同様の作用効果を有する。
【0052】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 ピン装着忘れ防止部材
2 シャトル部
3 ベース部
4 梁等の横架材
5 ピン孔
6 ドリフトピン
7 柱
8 接続金具
9 中央部
10 側面部
11 ホゾ
12 ボルト
13 ホゾ穴
14 柱貫通孔
15 ナット
16 ナット穴
17 ピン掛け
18 係止孔
104 梁等の横架材
105a ピン孔
105b ピン孔
107 柱
108 シャフト
114a 丸穴
114b 丸穴
118 係止孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材からなる第1部材と木材からなる第2部材との間に接続金具を係合させて接合する木造軸組構造に用いられ、第2部材に形成されたピン孔とそれに対応させて接続金具に形成された係止孔とに挿入されるドリフトピンのピン装着忘れ防止部材であって、
前記ピン孔に挿入されるシャトル部と、
該シャトル部と一体形成され、該シャトル部が前記ピン孔に挿入された状態において、前記ピン孔外に位置するベース部とを有し、
該ベース部は、前記ピン孔に前記ドリフトピンを打ち込むことにより前記シャトル部と切断分離することを特徴とするピン装着忘れ防止部材。
【請求項2】
前記ベース部は、木材の色と異なる色になるように着色されたことを特徴とする請求項1記載のピン装着忘れ防止部材。
【請求項3】
前記シャトル部は、該最大外径が前記ピン孔の内径と比較して略同径強で、前記ベース部との結合部に向かって外径を大きくしていることを特徴とする請求項1記載のピン装着忘れ防止部材。
【請求項4】
前記シャトル部の前記ドリフトピンとの接触面の形状は、該ドリフトピンの該シャトル部との接触面の形状と略同形になるように形成されたことを特徴とする請求項1記載のピン装着忘れ防止部材。
【請求項1】
木材からなる第1部材と木材からなる第2部材との間に接続金具を係合させて接合する木造軸組構造に用いられ、第2部材に形成されたピン孔とそれに対応させて接続金具に形成された係止孔とに挿入されるドリフトピンのピン装着忘れ防止部材であって、
前記ピン孔に挿入されるシャトル部と、
該シャトル部と一体形成され、該シャトル部が前記ピン孔に挿入された状態において、前記ピン孔外に位置するベース部とを有し、
該ベース部は、前記ピン孔に前記ドリフトピンを打ち込むことにより前記シャトル部と切断分離することを特徴とするピン装着忘れ防止部材。
【請求項2】
前記ベース部は、木材の色と異なる色になるように着色されたことを特徴とする請求項1記載のピン装着忘れ防止部材。
【請求項3】
前記シャトル部は、該最大外径が前記ピン孔の内径と比較して略同径強で、前記ベース部との結合部に向かって外径を大きくしていることを特徴とする請求項1記載のピン装着忘れ防止部材。
【請求項4】
前記シャトル部の前記ドリフトピンとの接触面の形状は、該ドリフトピンの該シャトル部との接触面の形状と略同形になるように形成されたことを特徴とする請求項1記載のピン装着忘れ防止部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−156024(P2009−156024A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−32274(P2009−32274)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(509045597)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32274(P2009−32274)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(509045597)
【Fターム(参考)】
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