ファイバブラッググレーティング素子、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法及びその製造装置
【課題】簡易な構成で、広帯域において40dBを超える高遮断量を得ることができるファイバブラッググレーティング素子の製造方法を提供する。さらには、高遮断量を得ることができるファイバブラッググレーティング素子において、さらに所望の透過損失を実現するファイバブラッググレーティング素子の製造方法を提供する。
【解決手段】両端から光軸方向の中心部に向かって間隔が広がり、中心部での間隔が中心部以外の最も広い間隔以上の広さを有する複数のグレーティングが内部に形成されるコアと、コアの外側に形成され、中心部でのグレーティングの間隔に相当する遮蔽部が表面に備えられるクラッドと、を具備することを特徴とする、ファイバブラッググレーティング素子である。
【解決手段】両端から光軸方向の中心部に向かって間隔が広がり、中心部での間隔が中心部以外の最も広い間隔以上の広さを有する複数のグレーティングが内部に形成されるコアと、コアの外側に形成され、中心部でのグレーティングの間隔に相当する遮蔽部が表面に備えられるクラッドと、を具備することを特徴とする、ファイバブラッググレーティング素子である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバに紫外線を照射して、光通信システム中に用いられる主要光部品であるファイバブラッググレーティング素子、ファイバブラッググレーティング素子を製造する方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速かつ大容量の光ネットワークの研究及び実用化が進んでいるが、このネットワークの構築には、様々な光部品が必要になってくる。かかる光機能部品の主要な部品のひとつとして、ファイバブラッググレーティング素子が挙げられる。
【0003】
このファイバブラッググレーティング素子は、光ファイバに紫外線を照射することによって、光ファイバのコア層に周期的な屈折率変調を加えた光受動部品である。この屈折率変調によって、光ファイバ中を伝搬する光信号のうち、所望の波長の信号のみを反射させる機能を持たせることができる。
従って、このファイバブラッググレーティング素子は、波長フィルタや分散補償器などの光フィルタとして機能させることができ、波長多重(WDM)通信のキーデバイスとなっている。
【0004】
このファイバブラッググレーティング素子の製造方法としては、位相マスクを用いる方法や、ホログラフィック干渉を用いる方法などいくつかの方法が挙げられる。しかし、いずれの方法も、光の干渉を用いて、感光性を有する光ファイバのコア層に、周期的な干渉縞を形成し、屈折率変調を付与するものである。位相マスクを用いてファイバブラッググレーティング素子を製造する場合には、一般的には、位相マスクからのプラスマイナス1次光の間における2光束間干渉を用いて、屈折率変調を形成させている。
【0005】
上述の製造方法のうち、量産を考慮すると、再現性に優れた位相マスクを用いる方法を採用することが一般的である。この位相マスクは、石英ガラスなどの紫外線を透過させる材料の表面に、所定の反射波長に合わせたピッチの周期的な溝を形成したものである。この位相マスクに紫外線を照射すると、紫外線は、この表面に付けられた溝によって、特定の方向に回折される。
【特許文献1】米国特許番号 5,619,603
【特許文献2】特開2001−183535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、約10nm程度の広帯域で光信号を遮断しようとする場合、ファイバブラッググレーティング素子をグレーティングの間隔(以下、ピッチという。)が長手方向に変化するチャープトグレーティングとする。さらにこの帯域で大きな遮断量を得ようとする場合、ファイバブラッググレーティング素子の長手方向の長さであるグレーティング長を長くすることによって大きな遮断量を実現しようとしている。
【0007】
例えば、図26は波長1650nm帯の約10nm帯域の光をグレーティング長が7mmのチャープトグレーティングによって遮断した結果を示しており、約30〜35dBの遮断量を得ている。そして図27は、同じ波長1650nm帯の約10nm帯域の光をグレーティング長が13mmのチャープトグレーティングによって遮断した結果を示しており、約30〜35dBの遮断量を得ている。
【0008】
しかしながら、グレーティング長を約2倍にした場合、遮断量も約2倍となって約80dB程度の遮断量が得られるはずであるが、図27に示す遮断量は、概ね5dB程度の遮断量しか増加しているに過ぎない。すなわち、単にグレーティング長を長くしても大きな遮断量を得るには限界がある。
【0009】
一方、近年の光通信分野などでは、監視通信系の光を実通信系の光と確実に分離する必要があり、この監視通信系の光が実通信系の光に漏れることによる実通信への影響を極力なくすため、たとえば、広帯域で安定した40dB程度の遮断量が要求される場合がある。このため、広帯域で安定して40dBを超える遮断量が得られるファイバブラッググレーティング素子の出現が要望されていた。
【0010】
この発明は、上述した内容に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、広帯域において40dBを超える高遮断量を得ることができるファイバブラッググレーティング素子の製造方法を提供する。さらには、高遮断量を得ることができるファイバブラッググレーティング素子において、さらに所望の透過損失を実現するファイバブラッググレーティング素子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の第1の態様は、両端から光軸方向の中心部に向かって間隔が広がり、中心部での間隔が中心部以外の最も広い間隔以上の広さを有する複数のグレーティングが内部に形成されるコアと、コアの外側に形成され、中心部でのグレーティングの間隔に相当する遮蔽部が表面に備えられるクラッドと、を具備することを特徴とする、ファイバブラッググレーティング素子である。
【0012】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の第2の態様は、遮蔽部が2mm以上であることを特徴とするファイバブラッググレーティング素子である。
【0013】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の第3の態様は、中心部でのグレーティングの間隔が4mm以上であることを特徴とするファイバブラッググレーティング素子である。
【0014】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造方法の第1の態様は、位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射してファイバブラッググレーティング素子を製造する方法であって、紫外線を遮蔽板を介した後、位相マスクを介して光ファイバに照射する、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法である。
【0015】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造方法の第2の態様は、位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射してファイバブラッググレーティング素子を製造する方法であって、紫外線を位相マスクを介した後、遮蔽板を介して光ファイバに照射する、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法である。
【0016】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造装置の第1の態様は、グレーティングが形成される光ファイバと、光ファイバに照射される紫外線を発生させる紫外線レーザ発生装置と、光ファイバと紫外線レーザ発生装置の間に設置された遮蔽板及び位相マスクと、を備える照射手段と、光ファイバの一端から光信号を送る光源と、光ファイバの他端に設置されたスペクトラムアナライザと、を備える検出手段と、を備えるファイバブラッググレーティング素子の製造装置である。
【0017】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造装置の第2の態様は、位相マスクが、紫外線レーザ発生装置と遮蔽板との間に配置されることを特徴とするファイバブラッググレーティング素子の製造装置である。
【0018】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造装置の第3の態様は、遮蔽板が、紫外線レーザ発生装置と位相マスクとの間に配置されることを特徴とするファイバブラッググレーティング素子の製造装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、コア内に対向して配置された1対のグレーティングが離されていることによって、使用する波長帯で生ずる遮断量のリップルを回避または低減することが可能なファイバブラッググレーティング素子を実現できる。
【0020】
さらに、ファイバブラッググレーティング素子を製造する際に、遮蔽板を介した後に、位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射することで所望の透過損失を得ることができるファイバブラッググレーティング素子を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図1から図25を参照して、詳細に説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態にかかるファイバブラッググレーティング素子(以下、FBG素子という。)を用いた光分岐線路監視システムの概要構成を示す図である。この光分岐線路監視システムは、伝送装置10に幹線光線路22が接続され、この幹線光線路22は、光スプリッタ28によって光多分岐され、複数の幹線光線路22に分岐される。この分岐された幹線光線路22は、光カプラ18を介して局外に延び、屋外の光スプリッタ3によって各分岐線路1a1〜1a8に光多分岐される。
【0023】
光多分岐された各分岐光線路1a1〜1a8は、ユーザ24内の各ONU(Optical Network Unit)20に接続される。なお、この光スプリッタ3は、図示しない光線路監視用デバイスを有し、この光監視線路用デバイスは、監視光λc1〜λc8のみをそれぞれ各分岐光線路1a1〜1a8に対応させて入出力する。
【0024】
制御部26は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)2が出力する可変波長の監視光の出力制御を行い、ファイバセレクタ(以下、FSという。)25に出力するとともに、受信計測の制御をも行う。OTDR2は、この制御部26およびFS25を介して光カプラ18に接続される。
【0025】
各ONU20は、各ONU20固有の監視光波長が割り当てられ、各ONU20内にはそれぞれ監視光波長帯域の監視光を反射し、出力を遮断するFBG素子21−1〜21−8が設けられている。なお、各FBG素子21−1〜21−8は、同じ構成のFBG素子であり、約10nm帯域の監視光を約60dB遮断する特性を有する。
【0026】
制御部26は、監視すべきλc1〜λc8の監視光を周期的に出射させ、光カプラ18を介して幹線光線路22に出力される。この際、FS25は、出力すべき幹線光線路22を選択する。光カプラ18において、伝送装置10から伝搬した波長λbの通信光は、たとえば波長λc1の監視光とともに光スプリッタ3に入力され、波長λbの通信光は、分岐光線路1a1〜1a8を介して各ONU20に入力されるとともに、波長λc1の監視光は、分岐光線路1a1に接続されたONU20に入力される。
【0027】
図2は、ONUを詳細に説明する模式図である。図2に示すように波長λc1の監視光は、FBG素子21−1によって反射されるが、波長λbの通信光は、そのまま光受信部31−1で受信され、O/E部32−1によって光/電気変換され、受信処理部33−1に入力される。同様にして、分岐光線路1a3に、波長λc3の監視光と波長λbの通信光とが入力された場合にも、波長λc1の監視光は、FBG21−3によって反射されるが、波長λbの通信光は、そのまま光受信部31−3で受信され、O/E部32−3によって光/ 電気変換され、受信処理部33−3に入力される。
【0028】
ここで、波長λc1などの監視光が光受信部31−1〜31−8に入力されると、通信エラーなどが生じ、通信に大きな影響を及ぼし、これらの監視光をFBG素子21−1〜21−8によって確実に遮断する必要がある。ここで、上述したようにFBG素子21−1〜21−8は、監視光の波長帯域約10nmにおいて約60dBの遮断量を有するので、確実に監視光を遮断することができる。なお、FBG素子21−1〜21−8は、図示しないフェルールなどによって固定され、コネクタ30−1〜30−8内に設けられる。
【0029】
ここで、FBG素子21(21−1〜21−8)の構成について図面を用いて説明する。図3は、FBG素子の断面図であり、図4は、FBG素子による広帯域フィルタの概念を示す模式図である。図3に示すように、FBG素子21は、波長λc1〜λc8に対応するグレーティングのピッチΛが長手方向に変化するチャープトグレーティングである。FBG素子21は、その長手方向の中心部Oに対向してグレーティングが配置され、中心部から離れるにつれてグレーティングのピッチΛが短くなるように配置されている。
【0030】
さらに、図4に示すように、ブラッグ中心波長が波長λc1〜λc8であるため、λc1〜λc8までの広帯域で反射することができ、この波長帯域の光を遮断することができる。この結果、ONU20は、同一のFBG素子21を用いることができる。なお、FBG21は、各監視光の波長をブラッグ中心波長として形成されたものを用いてもよい。
【0031】
図5は、FBG素子の遮断特性を示すグラフである。FBG素子21は、1650nmを中心に約10nmの帯域で、入力された光信号を、40dB以上遮断している。この実施形態では、FBG素子21のグレーティングのピッチΛが、光ファイバの長さ方向の中心部に向かって広くなうように形成されているので、10nm程度の広帯域でも約40dB以上の遮断特性を得ることができる。
【0032】
次に、本発明のFBG素子の製造方法の基本的な原理を、図面を使用しながら説明する。
【0033】
図6(a)は、プラスマイナス1次光間の2光束間干渉によって、干渉縞が形成されたFBG素子を示す。一方、図6(b)は、その他の紫外線照射を意図していなかった0次光、プラスマイナス2次光などのn次回折光の2光束間干渉によって干渉縞が形成されたFBG素子を示す。
【0034】
図面はFBG素子を模式的に表しているが、黒い線の部分が屈折率の高いところを表し、白い部分が屈折率の低いところを表している。また、光ファイバの光軸方向をX軸に、それと直交する方向をY軸に取っている。
【0035】
FBG素子は、位相マスクを透過した紫外線の干渉縞によって形成される光ファイバのコア層の屈折率変化である。そして、干渉縞は、光の強度分布が、そのまま屈折率変化になるので、屈折率変化は周期関数(sin波)となる。
【0036】
ここで、図6(a)に示すプラスマイナス1次光により形成されたファイバグレーティングは、X軸方向にはsin状の屈折率プロファイルを持っているが、Y軸方向には常に一定である。
【0037】
一方、照射を意図していなかった0次光、プラスマイナス2次光等のn次回折光により形成されたFBG素子は、Y軸方向にある角度を持って形成されることになるので、Y軸方向では一定にならない。(図6(b)のθ(mn)参照。)
【0038】
これを更に詳しく、関数的に表すと、下記のようになる。
本来、プラスマイナス1次光の透過率が高いので、このプラスマイナス1次光と不要な光との間の干渉縞の強度は、この意図していない回折光による干渉縞の中でも相対的に強くなる。
【0039】
ここで、位相マスクから光ファイバへ達する1次の回折光の角度は次式で表される。
[式1]
Λ(ph)×(θi) = I×λuv
【0040】
一方、位相マスクからの透過を意図していない回折光をm次とn次の回折光とすると、m次の回折光とn次の回折光との間の2拘束干渉は、図1(b)に示すとおり、光ファイバ中の光の伝搬方向に対して、θ(mn)の角度をなしている。
[式2]
θ(mn)= (θ(m) + θ(n))/2
つまり、意図していない干渉縞の主要なものの等位相面は、位相マスクと光ファイバとを結ぶ方向、つまり、Y軸方向と、θ(mn)の角度をなしていることになる。
【0041】
従って、図7に示すように、位相マスクを介して紫外線を照射し、FBG素子を形成している間に、位相マスクと光ファイバの間隔に変調を施す(紫外線照射中に、位相マスクと光ファイバの間隔を変化させる)と、グレーティングがY軸とθ(mn)の角度をなしているm次n次の回折光による干渉縞の位相はずれることになる。
【0042】
一方、プラスマイナス1次光の場合は、等位相面がY軸に対して平行なので、この位相マスクと光ファイバの間隔を変化させても、プラスマイナス1次光による干渉縞の位相はまったく影響を受けない。
【0043】
本発明では、以上の原理を用いて、プラスマイナス1次光によって形成された干渉縞には、なんら影響を与えずに、他のプラスマイナス1次光以外の回折光によって形成された干渉縞の位相を変えることによって、屈折率変化を消去せることができる。
【0044】
つまり、図7に示すように、位相マスクを介して紫外線を照射中に、位相マスクと光ファイバの間隔に変調を施す、つまり時間の経過とともにその間隔を変化せせることによって、プラスマイナス1次光以外の回折光による干渉縞の位相を変化させる。そして、その位相の異なる干渉縞が、ちょうど互いに打ち消し合うように、位相を変化させれば、実質上、プラスマイナス1次光以外の回折光による屈折率変化を消去することが可能である。
一方、上述のように、プラスマイナス1次光は、Y軸に平行に入射するので、この位相マスクと光ファイバの間隔に変調を施しても、位相は変化しない。
【0045】
したがって、プラスマイナス1次光以外の回折光による屈折率変化の影響が無いので、反射減衰量を劣化させることがなく、すぐれた反射クロストークを有するFBG素子を製造することができる。
【0046】
さらに、FBG素子のグレーティングの中心部でのピッチを変化させた時の遮断量について図面を参照しながら説明する。図8〜図16に、FBG素子のグレーティングの中心部でのピッチΛを0.3mm〜5mmまで連続的に変化させていったときの遮断量の波長特性を示す。グレーティングのピッチΛを0mmとしたもの、即ち、従来のファイバブラッググレーティング素子の遮断量の波長特性を図18に示す。図18に示す遮断量の波長特性には、波長1657nm前後に20dB程度のリップルが存在することがわかる。ここで、上記のリップルは、対象とする波長帯内の最も高いピークの高さとして定義される。
【0047】
図8〜図16から、上記のリップルは、グレーティングのピッチΛの増大と共に略単調に減少していくことがわかる。このようなリップルのグレーティングのピッチ依存特性を図17に示す。図17から、グレーティングの中心部でのピッチΛを1mm以上にすることによってこのリップルはdB単位で略半分以下となり、2mm以上にすることによってこのリップルは略4分の1以下となる。リップルの観点からは、グレーティングの中心部でのピッチΛを2mm以上にすることによって、例えば40dB等の実用的な遮断量を対象とする波長帯で得ることができ、4mm以上にすることによってリップルを1〜2dBの範囲内に収めることができ好ましい。
【0048】
(第2実施形態)
次に、上述したFBG素子の透過損失について図面を参照しながら詳細に説明する。図19は、FBG素子の中央部のグレーティングピッチΛを0mmとしたFBG素子の透過損失の波長特性であり、図20は、FBG素子の中央部のグレーティングのピッチΛを2mmとしたFBG素子の透過損失の波長特性である。なお、照射した紫外線の帯域は1520〜1580nmの帯域であり、また、グラフ外に記載されるNo1〜No3は、回折次数を示す。
【0049】
図19に示すとおり、FBG素子の中央部のグレーティングピッチを0mmとした場合には、透過損失は約0.47dB程度であり、FBG素子の中央部のグレーティングピッチを2mmとした場合には、図20に示すとおり、透過損失は約0.76dB程度となる。すなわち、FBG素子の中央部のグレーティングのピッチを2mmとすることによって、透過損失が増大することが分かる。
【0050】
ここで、一般的にONUを製品化するにあたって、第1実施形態で説明したコネクタを透過した後の透過損失を約1.1dB程度に抑えることが望ましい。すなわち、コネクタ内で仮に約0.6dB程度の透過損失が生じるとすると、FBG素子を透過した後の透過損失は約0.5dB程度が望ましい。したがって、安定して約40dBの遮断量を得られる第1実施形態に加重して、透過損失を約0.5dB未満にまで減少させることが望ましい。
【0051】
そこで、発明者は透過損失を約0.5dB未満に抑えることに関して、光ファイバに紫外線を照射する際、図7に示すように位相マスクを介して照射していたが、図21に示すように位相マスクを介す前に遮蔽板を配置した。すなわち、光ファイバに紫外線を照射する際に、遮蔽板を介した後、位相マスクを介して紫外線を光ファイバに照射することによって、所望の遮断量に加重して、所望の透過損失を得られることを知見した。また、光ファイバに紫外線を照射する際に、位相マスクを介した後、遮蔽板を介して紫外線を光ファイバに照射することによっても同様の結果を得られることを知見した。
【0052】
図21によって、得られる光ファイバの断面図を図面を参照しながら説明する。図28は、遮蔽板を介して紫外線を照射した結果の光ファイバである。図28に示すように、コアとクラッドとから構成される光ファイバであって、コアの内部に複数のグレーティング51が形成される。グレーティング51は、コアの長さ方向の中心分に向かって間隔が広くなるように形成され、中心部のグレーティング51の間隔は、中心部以外の最も広いグレーティングの間隔以上の間隔を有している。さらに、中心部でのグレーティング51の間隔に相当する遮蔽部53が、クラッドの表面に形成されている。この遮蔽部53は、遮蔽板を介した後、位相マスクを介して、紫外線を照射した結果できた遮蔽部である。
【0053】
上述した知見に基づく透過損失の減少を図面を参照して説明する。図22は、FBG素子の中央部のグレーティングの間隔Λを2mmとし、さらに、紫外線を遮蔽板を介して照射したFBG素子の透過損失の波長特性である。なお、ここでも、照射した紫外線の帯域は1520〜1580nmの帯域である。
【0054】
さらに、その他の帯域についても同様の検証を行った。図23は、1200nm〜1700nmにおいて、FBG素子の中央部のグレーティング間隔Λを2mmとし、上述した遮蔽板を使用した場合と、使用しなかった場合を比較するグラフである。また、図24は、帯域を(1)1310±20nm、(2)1550±20nm、(3)1670nm〜における透過損失の最悪値と平均値を遮蔽板の有無によって比較する表である。図24からも明らかなとおり、遮蔽板を使用しない場合には、透過損失は0.44dB〜0.73dBであるのに対し、遮蔽板を使用した場合の透過損失は、0.22dB〜0.4dBに抑えることができる。
【0055】
ここで、本発明である遮蔽板と位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射する製造方法の具体的な実施例を以下に説明する。
【0056】
図25に、その製造装置を示す。この製造装置は、紫外線レーザ発生装置35と、(ファイバグレーティングが形成される)光ファイバ37とこの紫外線レーザ発生装置35の間に設置された位相マスク39及び図示しない遮蔽板と、を備える照射手段と、光ファイバ37の一端から光信号を送る光源43と、光ファイバ37のもう一方の端に設置されたスペクトラムアナライザ45を備える検出装置と、を備える。
【0057】
更に、光ファイバ37は、光ファイバ37の長手方向において、照射装置の両側に設置された2個のリニアガイド47で長手の垂直方向以外には動かないようにガイドされ、このリニアガイド47に接続されたアクチュエータ49によって、光ファイバ37は、その長手の垂直方向に搬送される構造になっている。
【0058】
まず、FBG素子を形成する部分が照射手段の前にくるように、アクチュエータ49を用いて、光ファイバ37を搬送する。次に、位相マスク39と光ファイバ37の間隔があらかじめ定められた値になるように、移動装置41を用いて調整をするか、又はアクチュエータ49で光ファイバ37を動かす。ここで位相マスク39には、光ファイバ37に所定の干渉縞が形成されるような溝が形成されている。
【0059】
その後、紫外線レーザ発生装置35によって、紫外線の照射を開始する。
また、常時、スペクトラムアナライザ45によって、光ファイバの透過損失を測定しており、この測定値に基づいて変調を行うことも可能である。更に、あらかじめ定められた所定の波長帯域における所定の損失値に達した時点で、紫外線の照射を終了させることもできる。
以上の方法によって、本発明のプラスマイナス1次光以外の回折光による屈折率変化を消去したFBG素子が製造できる。
【0060】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
ファイバブラッググレーティング素子を製造する際に、遮蔽板を介した後に、位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射することで所望の透過損失を得ることができるファイバブラッググレーティング素子を製造でき、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明にかかるファイバブラッググレーティング素子を用いた光分岐線路監視システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、ONU側における監視光と通信光との伝送状態を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態のFBGの一構成例を示す模式図である。
【図4】図4は、FBGによる広帯域フィルタの概念を示す模式図である。
【図5】図5は、第1実施形態のFBGによる遮断特性の実験結果を示す図である。
【図6】図6(a)は、プラスマイナス1次光によって形成されたファイバグレーティングを示す模式図、(b)は、プラスマイナス1次光以外のn次の回折光によって形成されたファイバグレーティングを示す模式図である。
【図7】図7は、位相マスクと光ファイバ間の間隔を変化させる紫外線照射方法を示す図である。
【図8】図8は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが0.3mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図9】図9は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが1mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図10】図10は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが1.5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図11】図11は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが2mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図12】図12は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが2.5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図13】図13は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが3.5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図14】図14は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが4mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図15】図15は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが4.5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図16】図16は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図17】図17は、リップルのグレーティングピッチ依存特性を示す図である。
【図18】図18は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが0mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図19】図19は、FBG素子の中央部のグレーティングピッチΛを0mmとしたFBG素子の透過損失の波長特性である。
【図20】図20は、FBG素子の中央部のグレーティングピッチΛを2mmとしたFBG素子の透過損失の波長特性である。
【図21】図21は、遮蔽板と位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射する模式図である。
【図22】図22は、FBG素子の中央部のグレーティング間隔Λを2mmとし、さらに、紫外線を遮蔽板を介して照射したFBG素子の透過損失の波長特性である。
【図23】図23は、1200nm〜1700nmにおいて、FBG素子の中央部のグレーティング間隔Λを2mmとし、上述した遮蔽板を使用した場合と、使用しなかった場合を比較するグラフである。
【図24】図24は、所定の帯域及び遮蔽板の有無における透過損失の最悪値と平均値を示す表である。
【図25】図25は、遮蔽板及び位相マスクと光ファイバ間の間隔を変調させてファイバグレーティングを製造する本発明の製造装置を示す概要図である。
【図26】図26は、グレーティング長が7mmであるときの遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図27】図27は、グレーティング長が13mmであるときの遮断量の波長特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0063】
1a1〜1a8 分岐光線路
2 OTDR
3、28 光スプリッタ
10 伝送装置
18 光カプラ
20 ONU
21、21−1〜21−8、21a、21b、21c、21d FBG素子
22 幹線光線路
24 ユーザ
25 ファイバセレクタ
26 制御部
30−1、30−3 光コネクタ
31−1、31−3 光受信部
32−1、32−3 O/E部
33−1、33−3 受信処理部
35 レーザ発生装置
37 光ファイバ
39 位相マスク
43 光源
45 スペクトラムアナライザ
47 リニアガイド
49 アクチュエータ
51 グレーティング
53 遮蔽部
λa、λb 通信光の波長
λc1〜λc8 監視光の波長
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバに紫外線を照射して、光通信システム中に用いられる主要光部品であるファイバブラッググレーティング素子、ファイバブラッググレーティング素子を製造する方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速かつ大容量の光ネットワークの研究及び実用化が進んでいるが、このネットワークの構築には、様々な光部品が必要になってくる。かかる光機能部品の主要な部品のひとつとして、ファイバブラッググレーティング素子が挙げられる。
【0003】
このファイバブラッググレーティング素子は、光ファイバに紫外線を照射することによって、光ファイバのコア層に周期的な屈折率変調を加えた光受動部品である。この屈折率変調によって、光ファイバ中を伝搬する光信号のうち、所望の波長の信号のみを反射させる機能を持たせることができる。
従って、このファイバブラッググレーティング素子は、波長フィルタや分散補償器などの光フィルタとして機能させることができ、波長多重(WDM)通信のキーデバイスとなっている。
【0004】
このファイバブラッググレーティング素子の製造方法としては、位相マスクを用いる方法や、ホログラフィック干渉を用いる方法などいくつかの方法が挙げられる。しかし、いずれの方法も、光の干渉を用いて、感光性を有する光ファイバのコア層に、周期的な干渉縞を形成し、屈折率変調を付与するものである。位相マスクを用いてファイバブラッググレーティング素子を製造する場合には、一般的には、位相マスクからのプラスマイナス1次光の間における2光束間干渉を用いて、屈折率変調を形成させている。
【0005】
上述の製造方法のうち、量産を考慮すると、再現性に優れた位相マスクを用いる方法を採用することが一般的である。この位相マスクは、石英ガラスなどの紫外線を透過させる材料の表面に、所定の反射波長に合わせたピッチの周期的な溝を形成したものである。この位相マスクに紫外線を照射すると、紫外線は、この表面に付けられた溝によって、特定の方向に回折される。
【特許文献1】米国特許番号 5,619,603
【特許文献2】特開2001−183535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、約10nm程度の広帯域で光信号を遮断しようとする場合、ファイバブラッググレーティング素子をグレーティングの間隔(以下、ピッチという。)が長手方向に変化するチャープトグレーティングとする。さらにこの帯域で大きな遮断量を得ようとする場合、ファイバブラッググレーティング素子の長手方向の長さであるグレーティング長を長くすることによって大きな遮断量を実現しようとしている。
【0007】
例えば、図26は波長1650nm帯の約10nm帯域の光をグレーティング長が7mmのチャープトグレーティングによって遮断した結果を示しており、約30〜35dBの遮断量を得ている。そして図27は、同じ波長1650nm帯の約10nm帯域の光をグレーティング長が13mmのチャープトグレーティングによって遮断した結果を示しており、約30〜35dBの遮断量を得ている。
【0008】
しかしながら、グレーティング長を約2倍にした場合、遮断量も約2倍となって約80dB程度の遮断量が得られるはずであるが、図27に示す遮断量は、概ね5dB程度の遮断量しか増加しているに過ぎない。すなわち、単にグレーティング長を長くしても大きな遮断量を得るには限界がある。
【0009】
一方、近年の光通信分野などでは、監視通信系の光を実通信系の光と確実に分離する必要があり、この監視通信系の光が実通信系の光に漏れることによる実通信への影響を極力なくすため、たとえば、広帯域で安定した40dB程度の遮断量が要求される場合がある。このため、広帯域で安定して40dBを超える遮断量が得られるファイバブラッググレーティング素子の出現が要望されていた。
【0010】
この発明は、上述した内容に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、広帯域において40dBを超える高遮断量を得ることができるファイバブラッググレーティング素子の製造方法を提供する。さらには、高遮断量を得ることができるファイバブラッググレーティング素子において、さらに所望の透過損失を実現するファイバブラッググレーティング素子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の第1の態様は、両端から光軸方向の中心部に向かって間隔が広がり、中心部での間隔が中心部以外の最も広い間隔以上の広さを有する複数のグレーティングが内部に形成されるコアと、コアの外側に形成され、中心部でのグレーティングの間隔に相当する遮蔽部が表面に備えられるクラッドと、を具備することを特徴とする、ファイバブラッググレーティング素子である。
【0012】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の第2の態様は、遮蔽部が2mm以上であることを特徴とするファイバブラッググレーティング素子である。
【0013】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の第3の態様は、中心部でのグレーティングの間隔が4mm以上であることを特徴とするファイバブラッググレーティング素子である。
【0014】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造方法の第1の態様は、位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射してファイバブラッググレーティング素子を製造する方法であって、紫外線を遮蔽板を介した後、位相マスクを介して光ファイバに照射する、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法である。
【0015】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造方法の第2の態様は、位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射してファイバブラッググレーティング素子を製造する方法であって、紫外線を位相マスクを介した後、遮蔽板を介して光ファイバに照射する、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法である。
【0016】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造装置の第1の態様は、グレーティングが形成される光ファイバと、光ファイバに照射される紫外線を発生させる紫外線レーザ発生装置と、光ファイバと紫外線レーザ発生装置の間に設置された遮蔽板及び位相マスクと、を備える照射手段と、光ファイバの一端から光信号を送る光源と、光ファイバの他端に設置されたスペクトラムアナライザと、を備える検出手段と、を備えるファイバブラッググレーティング素子の製造装置である。
【0017】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造装置の第2の態様は、位相マスクが、紫外線レーザ発生装置と遮蔽板との間に配置されることを特徴とするファイバブラッググレーティング素子の製造装置である。
【0018】
本発明のファイバグブラッグレーティング素子の製造装置の第3の態様は、遮蔽板が、紫外線レーザ発生装置と位相マスクとの間に配置されることを特徴とするファイバブラッググレーティング素子の製造装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、コア内に対向して配置された1対のグレーティングが離されていることによって、使用する波長帯で生ずる遮断量のリップルを回避または低減することが可能なファイバブラッググレーティング素子を実現できる。
【0020】
さらに、ファイバブラッググレーティング素子を製造する際に、遮蔽板を介した後に、位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射することで所望の透過損失を得ることができるファイバブラッググレーティング素子を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図1から図25を参照して、詳細に説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態にかかるファイバブラッググレーティング素子(以下、FBG素子という。)を用いた光分岐線路監視システムの概要構成を示す図である。この光分岐線路監視システムは、伝送装置10に幹線光線路22が接続され、この幹線光線路22は、光スプリッタ28によって光多分岐され、複数の幹線光線路22に分岐される。この分岐された幹線光線路22は、光カプラ18を介して局外に延び、屋外の光スプリッタ3によって各分岐線路1a1〜1a8に光多分岐される。
【0023】
光多分岐された各分岐光線路1a1〜1a8は、ユーザ24内の各ONU(Optical Network Unit)20に接続される。なお、この光スプリッタ3は、図示しない光線路監視用デバイスを有し、この光監視線路用デバイスは、監視光λc1〜λc8のみをそれぞれ各分岐光線路1a1〜1a8に対応させて入出力する。
【0024】
制御部26は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)2が出力する可変波長の監視光の出力制御を行い、ファイバセレクタ(以下、FSという。)25に出力するとともに、受信計測の制御をも行う。OTDR2は、この制御部26およびFS25を介して光カプラ18に接続される。
【0025】
各ONU20は、各ONU20固有の監視光波長が割り当てられ、各ONU20内にはそれぞれ監視光波長帯域の監視光を反射し、出力を遮断するFBG素子21−1〜21−8が設けられている。なお、各FBG素子21−1〜21−8は、同じ構成のFBG素子であり、約10nm帯域の監視光を約60dB遮断する特性を有する。
【0026】
制御部26は、監視すべきλc1〜λc8の監視光を周期的に出射させ、光カプラ18を介して幹線光線路22に出力される。この際、FS25は、出力すべき幹線光線路22を選択する。光カプラ18において、伝送装置10から伝搬した波長λbの通信光は、たとえば波長λc1の監視光とともに光スプリッタ3に入力され、波長λbの通信光は、分岐光線路1a1〜1a8を介して各ONU20に入力されるとともに、波長λc1の監視光は、分岐光線路1a1に接続されたONU20に入力される。
【0027】
図2は、ONUを詳細に説明する模式図である。図2に示すように波長λc1の監視光は、FBG素子21−1によって反射されるが、波長λbの通信光は、そのまま光受信部31−1で受信され、O/E部32−1によって光/電気変換され、受信処理部33−1に入力される。同様にして、分岐光線路1a3に、波長λc3の監視光と波長λbの通信光とが入力された場合にも、波長λc1の監視光は、FBG21−3によって反射されるが、波長λbの通信光は、そのまま光受信部31−3で受信され、O/E部32−3によって光/ 電気変換され、受信処理部33−3に入力される。
【0028】
ここで、波長λc1などの監視光が光受信部31−1〜31−8に入力されると、通信エラーなどが生じ、通信に大きな影響を及ぼし、これらの監視光をFBG素子21−1〜21−8によって確実に遮断する必要がある。ここで、上述したようにFBG素子21−1〜21−8は、監視光の波長帯域約10nmにおいて約60dBの遮断量を有するので、確実に監視光を遮断することができる。なお、FBG素子21−1〜21−8は、図示しないフェルールなどによって固定され、コネクタ30−1〜30−8内に設けられる。
【0029】
ここで、FBG素子21(21−1〜21−8)の構成について図面を用いて説明する。図3は、FBG素子の断面図であり、図4は、FBG素子による広帯域フィルタの概念を示す模式図である。図3に示すように、FBG素子21は、波長λc1〜λc8に対応するグレーティングのピッチΛが長手方向に変化するチャープトグレーティングである。FBG素子21は、その長手方向の中心部Oに対向してグレーティングが配置され、中心部から離れるにつれてグレーティングのピッチΛが短くなるように配置されている。
【0030】
さらに、図4に示すように、ブラッグ中心波長が波長λc1〜λc8であるため、λc1〜λc8までの広帯域で反射することができ、この波長帯域の光を遮断することができる。この結果、ONU20は、同一のFBG素子21を用いることができる。なお、FBG21は、各監視光の波長をブラッグ中心波長として形成されたものを用いてもよい。
【0031】
図5は、FBG素子の遮断特性を示すグラフである。FBG素子21は、1650nmを中心に約10nmの帯域で、入力された光信号を、40dB以上遮断している。この実施形態では、FBG素子21のグレーティングのピッチΛが、光ファイバの長さ方向の中心部に向かって広くなうように形成されているので、10nm程度の広帯域でも約40dB以上の遮断特性を得ることができる。
【0032】
次に、本発明のFBG素子の製造方法の基本的な原理を、図面を使用しながら説明する。
【0033】
図6(a)は、プラスマイナス1次光間の2光束間干渉によって、干渉縞が形成されたFBG素子を示す。一方、図6(b)は、その他の紫外線照射を意図していなかった0次光、プラスマイナス2次光などのn次回折光の2光束間干渉によって干渉縞が形成されたFBG素子を示す。
【0034】
図面はFBG素子を模式的に表しているが、黒い線の部分が屈折率の高いところを表し、白い部分が屈折率の低いところを表している。また、光ファイバの光軸方向をX軸に、それと直交する方向をY軸に取っている。
【0035】
FBG素子は、位相マスクを透過した紫外線の干渉縞によって形成される光ファイバのコア層の屈折率変化である。そして、干渉縞は、光の強度分布が、そのまま屈折率変化になるので、屈折率変化は周期関数(sin波)となる。
【0036】
ここで、図6(a)に示すプラスマイナス1次光により形成されたファイバグレーティングは、X軸方向にはsin状の屈折率プロファイルを持っているが、Y軸方向には常に一定である。
【0037】
一方、照射を意図していなかった0次光、プラスマイナス2次光等のn次回折光により形成されたFBG素子は、Y軸方向にある角度を持って形成されることになるので、Y軸方向では一定にならない。(図6(b)のθ(mn)参照。)
【0038】
これを更に詳しく、関数的に表すと、下記のようになる。
本来、プラスマイナス1次光の透過率が高いので、このプラスマイナス1次光と不要な光との間の干渉縞の強度は、この意図していない回折光による干渉縞の中でも相対的に強くなる。
【0039】
ここで、位相マスクから光ファイバへ達する1次の回折光の角度は次式で表される。
[式1]
Λ(ph)×(θi) = I×λuv
【0040】
一方、位相マスクからの透過を意図していない回折光をm次とn次の回折光とすると、m次の回折光とn次の回折光との間の2拘束干渉は、図1(b)に示すとおり、光ファイバ中の光の伝搬方向に対して、θ(mn)の角度をなしている。
[式2]
θ(mn)= (θ(m) + θ(n))/2
つまり、意図していない干渉縞の主要なものの等位相面は、位相マスクと光ファイバとを結ぶ方向、つまり、Y軸方向と、θ(mn)の角度をなしていることになる。
【0041】
従って、図7に示すように、位相マスクを介して紫外線を照射し、FBG素子を形成している間に、位相マスクと光ファイバの間隔に変調を施す(紫外線照射中に、位相マスクと光ファイバの間隔を変化させる)と、グレーティングがY軸とθ(mn)の角度をなしているm次n次の回折光による干渉縞の位相はずれることになる。
【0042】
一方、プラスマイナス1次光の場合は、等位相面がY軸に対して平行なので、この位相マスクと光ファイバの間隔を変化させても、プラスマイナス1次光による干渉縞の位相はまったく影響を受けない。
【0043】
本発明では、以上の原理を用いて、プラスマイナス1次光によって形成された干渉縞には、なんら影響を与えずに、他のプラスマイナス1次光以外の回折光によって形成された干渉縞の位相を変えることによって、屈折率変化を消去せることができる。
【0044】
つまり、図7に示すように、位相マスクを介して紫外線を照射中に、位相マスクと光ファイバの間隔に変調を施す、つまり時間の経過とともにその間隔を変化せせることによって、プラスマイナス1次光以外の回折光による干渉縞の位相を変化させる。そして、その位相の異なる干渉縞が、ちょうど互いに打ち消し合うように、位相を変化させれば、実質上、プラスマイナス1次光以外の回折光による屈折率変化を消去することが可能である。
一方、上述のように、プラスマイナス1次光は、Y軸に平行に入射するので、この位相マスクと光ファイバの間隔に変調を施しても、位相は変化しない。
【0045】
したがって、プラスマイナス1次光以外の回折光による屈折率変化の影響が無いので、反射減衰量を劣化させることがなく、すぐれた反射クロストークを有するFBG素子を製造することができる。
【0046】
さらに、FBG素子のグレーティングの中心部でのピッチを変化させた時の遮断量について図面を参照しながら説明する。図8〜図16に、FBG素子のグレーティングの中心部でのピッチΛを0.3mm〜5mmまで連続的に変化させていったときの遮断量の波長特性を示す。グレーティングのピッチΛを0mmとしたもの、即ち、従来のファイバブラッググレーティング素子の遮断量の波長特性を図18に示す。図18に示す遮断量の波長特性には、波長1657nm前後に20dB程度のリップルが存在することがわかる。ここで、上記のリップルは、対象とする波長帯内の最も高いピークの高さとして定義される。
【0047】
図8〜図16から、上記のリップルは、グレーティングのピッチΛの増大と共に略単調に減少していくことがわかる。このようなリップルのグレーティングのピッチ依存特性を図17に示す。図17から、グレーティングの中心部でのピッチΛを1mm以上にすることによってこのリップルはdB単位で略半分以下となり、2mm以上にすることによってこのリップルは略4分の1以下となる。リップルの観点からは、グレーティングの中心部でのピッチΛを2mm以上にすることによって、例えば40dB等の実用的な遮断量を対象とする波長帯で得ることができ、4mm以上にすることによってリップルを1〜2dBの範囲内に収めることができ好ましい。
【0048】
(第2実施形態)
次に、上述したFBG素子の透過損失について図面を参照しながら詳細に説明する。図19は、FBG素子の中央部のグレーティングピッチΛを0mmとしたFBG素子の透過損失の波長特性であり、図20は、FBG素子の中央部のグレーティングのピッチΛを2mmとしたFBG素子の透過損失の波長特性である。なお、照射した紫外線の帯域は1520〜1580nmの帯域であり、また、グラフ外に記載されるNo1〜No3は、回折次数を示す。
【0049】
図19に示すとおり、FBG素子の中央部のグレーティングピッチを0mmとした場合には、透過損失は約0.47dB程度であり、FBG素子の中央部のグレーティングピッチを2mmとした場合には、図20に示すとおり、透過損失は約0.76dB程度となる。すなわち、FBG素子の中央部のグレーティングのピッチを2mmとすることによって、透過損失が増大することが分かる。
【0050】
ここで、一般的にONUを製品化するにあたって、第1実施形態で説明したコネクタを透過した後の透過損失を約1.1dB程度に抑えることが望ましい。すなわち、コネクタ内で仮に約0.6dB程度の透過損失が生じるとすると、FBG素子を透過した後の透過損失は約0.5dB程度が望ましい。したがって、安定して約40dBの遮断量を得られる第1実施形態に加重して、透過損失を約0.5dB未満にまで減少させることが望ましい。
【0051】
そこで、発明者は透過損失を約0.5dB未満に抑えることに関して、光ファイバに紫外線を照射する際、図7に示すように位相マスクを介して照射していたが、図21に示すように位相マスクを介す前に遮蔽板を配置した。すなわち、光ファイバに紫外線を照射する際に、遮蔽板を介した後、位相マスクを介して紫外線を光ファイバに照射することによって、所望の遮断量に加重して、所望の透過損失を得られることを知見した。また、光ファイバに紫外線を照射する際に、位相マスクを介した後、遮蔽板を介して紫外線を光ファイバに照射することによっても同様の結果を得られることを知見した。
【0052】
図21によって、得られる光ファイバの断面図を図面を参照しながら説明する。図28は、遮蔽板を介して紫外線を照射した結果の光ファイバである。図28に示すように、コアとクラッドとから構成される光ファイバであって、コアの内部に複数のグレーティング51が形成される。グレーティング51は、コアの長さ方向の中心分に向かって間隔が広くなるように形成され、中心部のグレーティング51の間隔は、中心部以外の最も広いグレーティングの間隔以上の間隔を有している。さらに、中心部でのグレーティング51の間隔に相当する遮蔽部53が、クラッドの表面に形成されている。この遮蔽部53は、遮蔽板を介した後、位相マスクを介して、紫外線を照射した結果できた遮蔽部である。
【0053】
上述した知見に基づく透過損失の減少を図面を参照して説明する。図22は、FBG素子の中央部のグレーティングの間隔Λを2mmとし、さらに、紫外線を遮蔽板を介して照射したFBG素子の透過損失の波長特性である。なお、ここでも、照射した紫外線の帯域は1520〜1580nmの帯域である。
【0054】
さらに、その他の帯域についても同様の検証を行った。図23は、1200nm〜1700nmにおいて、FBG素子の中央部のグレーティング間隔Λを2mmとし、上述した遮蔽板を使用した場合と、使用しなかった場合を比較するグラフである。また、図24は、帯域を(1)1310±20nm、(2)1550±20nm、(3)1670nm〜における透過損失の最悪値と平均値を遮蔽板の有無によって比較する表である。図24からも明らかなとおり、遮蔽板を使用しない場合には、透過損失は0.44dB〜0.73dBであるのに対し、遮蔽板を使用した場合の透過損失は、0.22dB〜0.4dBに抑えることができる。
【0055】
ここで、本発明である遮蔽板と位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射する製造方法の具体的な実施例を以下に説明する。
【0056】
図25に、その製造装置を示す。この製造装置は、紫外線レーザ発生装置35と、(ファイバグレーティングが形成される)光ファイバ37とこの紫外線レーザ発生装置35の間に設置された位相マスク39及び図示しない遮蔽板と、を備える照射手段と、光ファイバ37の一端から光信号を送る光源43と、光ファイバ37のもう一方の端に設置されたスペクトラムアナライザ45を備える検出装置と、を備える。
【0057】
更に、光ファイバ37は、光ファイバ37の長手方向において、照射装置の両側に設置された2個のリニアガイド47で長手の垂直方向以外には動かないようにガイドされ、このリニアガイド47に接続されたアクチュエータ49によって、光ファイバ37は、その長手の垂直方向に搬送される構造になっている。
【0058】
まず、FBG素子を形成する部分が照射手段の前にくるように、アクチュエータ49を用いて、光ファイバ37を搬送する。次に、位相マスク39と光ファイバ37の間隔があらかじめ定められた値になるように、移動装置41を用いて調整をするか、又はアクチュエータ49で光ファイバ37を動かす。ここで位相マスク39には、光ファイバ37に所定の干渉縞が形成されるような溝が形成されている。
【0059】
その後、紫外線レーザ発生装置35によって、紫外線の照射を開始する。
また、常時、スペクトラムアナライザ45によって、光ファイバの透過損失を測定しており、この測定値に基づいて変調を行うことも可能である。更に、あらかじめ定められた所定の波長帯域における所定の損失値に達した時点で、紫外線の照射を終了させることもできる。
以上の方法によって、本発明のプラスマイナス1次光以外の回折光による屈折率変化を消去したFBG素子が製造できる。
【0060】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
ファイバブラッググレーティング素子を製造する際に、遮蔽板を介した後に、位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射することで所望の透過損失を得ることができるファイバブラッググレーティング素子を製造でき、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明にかかるファイバブラッググレーティング素子を用いた光分岐線路監視システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、ONU側における監視光と通信光との伝送状態を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態のFBGの一構成例を示す模式図である。
【図4】図4は、FBGによる広帯域フィルタの概念を示す模式図である。
【図5】図5は、第1実施形態のFBGによる遮断特性の実験結果を示す図である。
【図6】図6(a)は、プラスマイナス1次光によって形成されたファイバグレーティングを示す模式図、(b)は、プラスマイナス1次光以外のn次の回折光によって形成されたファイバグレーティングを示す模式図である。
【図7】図7は、位相マスクと光ファイバ間の間隔を変化させる紫外線照射方法を示す図である。
【図8】図8は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが0.3mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図9】図9は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが1mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図10】図10は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが1.5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図11】図11は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが2mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図12】図12は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが2.5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図13】図13は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが3.5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図14】図14は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが4mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図15】図15は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが4.5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図16】図16は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが5mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図17】図17は、リップルのグレーティングピッチ依存特性を示す図である。
【図18】図18は、FBG素子の中心部でのグレーティングピッチが0mmの時の遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図19】図19は、FBG素子の中央部のグレーティングピッチΛを0mmとしたFBG素子の透過損失の波長特性である。
【図20】図20は、FBG素子の中央部のグレーティングピッチΛを2mmとしたFBG素子の透過損失の波長特性である。
【図21】図21は、遮蔽板と位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射する模式図である。
【図22】図22は、FBG素子の中央部のグレーティング間隔Λを2mmとし、さらに、紫外線を遮蔽板を介して照射したFBG素子の透過損失の波長特性である。
【図23】図23は、1200nm〜1700nmにおいて、FBG素子の中央部のグレーティング間隔Λを2mmとし、上述した遮蔽板を使用した場合と、使用しなかった場合を比較するグラフである。
【図24】図24は、所定の帯域及び遮蔽板の有無における透過損失の最悪値と平均値を示す表である。
【図25】図25は、遮蔽板及び位相マスクと光ファイバ間の間隔を変調させてファイバグレーティングを製造する本発明の製造装置を示す概要図である。
【図26】図26は、グレーティング長が7mmであるときの遮断量の波長特性を示すグラフである。
【図27】図27は、グレーティング長が13mmであるときの遮断量の波長特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0063】
1a1〜1a8 分岐光線路
2 OTDR
3、28 光スプリッタ
10 伝送装置
18 光カプラ
20 ONU
21、21−1〜21−8、21a、21b、21c、21d FBG素子
22 幹線光線路
24 ユーザ
25 ファイバセレクタ
26 制御部
30−1、30−3 光コネクタ
31−1、31−3 光受信部
32−1、32−3 O/E部
33−1、33−3 受信処理部
35 レーザ発生装置
37 光ファイバ
39 位相マスク
43 光源
45 スペクトラムアナライザ
47 リニアガイド
49 アクチュエータ
51 グレーティング
53 遮蔽部
λa、λb 通信光の波長
λc1〜λc8 監視光の波長
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端から光軸方向の中心部に向かって間隔が広がり、前記中心部での間隔が中心部以外の最も広い間隔以上の広さを有する複数のグレーティングが内部に形成されるコアと、
前記コアの外側に形成され、前記中心部でのグレーティングの間隔に相当する遮蔽部が表面に備えられるクラッドと、
を具備することを特徴とする、ファイバブラッググレーティング素子
【請求項2】
前記遮蔽部が2mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のファイバブラッググレーティング素子。
【請求項3】
前記中心部でのグレーティングの間隔が4mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のファイバブラッググレーティング素子。
【請求項4】
位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射してファイバブラッググレーティング素子を製造する方法であって、前記紫外線を遮蔽板を介した後、前記位相マスクを介して前記光ファイバに照射する、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法。
【請求項5】
位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射してファイバブラッググレーティング素子を製造する方法であって、前記紫外線を位相マスクを介した後、前記遮蔽板を介して前記光ファイバに照射する、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法。
【請求項6】
グレーティングが形成される光ファイバと、前記光ファイバに照射される紫外線を発生させる紫外線レーザ発生装置と、前記光ファイバと前記紫外線レーザ発生装置の間に設置された遮蔽板及び位相マスクと、を備える照射手段と、
前記光ファイバの一端から光信号を送る光源と、前記光ファイバの他端に設置されたスペクトラムアナライザと、を備える検出手段と、
を備えるファイバブラッググレーティング素子の製造装置。
【請求項7】
前記位相マスクが、前記紫外線レーザ発生装置と前記遮蔽板との間に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のファイバブラッググレーティング素子の製造装置。
【請求項8】
前記遮蔽板が、前記紫外線レーザ発生装置と前記位相マスクとの間に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のファイバブラッググレーティング素子の製造装置。
【請求項1】
両端から光軸方向の中心部に向かって間隔が広がり、前記中心部での間隔が中心部以外の最も広い間隔以上の広さを有する複数のグレーティングが内部に形成されるコアと、
前記コアの外側に形成され、前記中心部でのグレーティングの間隔に相当する遮蔽部が表面に備えられるクラッドと、
を具備することを特徴とする、ファイバブラッググレーティング素子
【請求項2】
前記遮蔽部が2mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のファイバブラッググレーティング素子。
【請求項3】
前記中心部でのグレーティングの間隔が4mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のファイバブラッググレーティング素子。
【請求項4】
位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射してファイバブラッググレーティング素子を製造する方法であって、前記紫外線を遮蔽板を介した後、前記位相マスクを介して前記光ファイバに照射する、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法。
【請求項5】
位相マスクを介して光ファイバに紫外線を照射してファイバブラッググレーティング素子を製造する方法であって、前記紫外線を位相マスクを介した後、前記遮蔽板を介して前記光ファイバに照射する、ファイバブラッググレーティング素子の製造方法。
【請求項6】
グレーティングが形成される光ファイバと、前記光ファイバに照射される紫外線を発生させる紫外線レーザ発生装置と、前記光ファイバと前記紫外線レーザ発生装置の間に設置された遮蔽板及び位相マスクと、を備える照射手段と、
前記光ファイバの一端から光信号を送る光源と、前記光ファイバの他端に設置されたスペクトラムアナライザと、を備える検出手段と、
を備えるファイバブラッググレーティング素子の製造装置。
【請求項7】
前記位相マスクが、前記紫外線レーザ発生装置と前記遮蔽板との間に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のファイバブラッググレーティング素子の製造装置。
【請求項8】
前記遮蔽板が、前記紫外線レーザ発生装置と前記位相マスクとの間に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のファイバブラッググレーティング素子の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−58694(P2008−58694A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236418(P2006−236418)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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