説明

ファイバ状光変調素子、照明装置および表示装置

【課題】部分駆動を行うことの可能な大型の照明装置および表示装置を安価に製造することを可能にするファイバ状光変調素子ならびにそれを備えた照明装置および表示装置を提供する。
【解決手段】ファイバ状光変調素子10Aは、線状のコア部11と、コア部11の周面を被覆したクラッド部12とを有している。コア部11の中心部には線状の電極13が形成されており、コア部11とクラッド部12との間には、複数の電極14が形成されている。コア部11は、電場の大きさに応じて、端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっており、電場に対して応答しない筋状構造からなるバルク11Aと、電場に対して応答する液晶材料を主に含む微粒子11Bとによって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光に対して散乱性または透明性を示すファイバ状光変調素子ならびにそれを備えた照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイの高画質化や省エネ化が急進展し、部分的にバックライトの光強度を変調することによって暗所コントラストの向上を実現する方式が提案されている。この手法は主に、バックライトの光源として用いられる発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)を部分的に駆動して、表示画像に合わせてバックライト光を変調するものである。また、大型の液晶ディスプレイにおいて、小型の液晶ディスプレイと同様、薄型化の要求が強まってきており、冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)やLEDを液晶パネルの直下に配置する方式ではなく、導光板の端部に光源を配置するエッジライト方式が注目されている。しかし、エッジライト方式では、光源の光強度を部分的に変調する部分駆動を行うことは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−347790号公報
【特許文献2】特許第3479493号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、導光板内を伝播している光の取り出し技術としては、例えば、特許文献1において、透明と散乱を切り換える高分子分散液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)を用いた表示装置が提案されている。これは、写り込み防止などを目的としたものであり、PDLCに対して部分的に電圧を印加して、透明と散乱を切り換える技術である。しかし、この方式では、大型の導光板上にPDLCを形成する必要があるので、大型の導光板を搬送する装置や大型の導光板に成膜をする装置が必要になる。そのため、部分駆動を行うことの可能な大型のバックライトを安価に製造することは容易ではないという問題があった。
【0005】
この問題は、表示装置用のバックライトにPDLCを用いる場合だけでなく、照明器具などにPDLCを用いる場合にも同様に生じるものである。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、部分駆動を行うことの可能な大型の照明装置および表示装置を安価に製造することを可能にするファイバ状光変調素子を提供することにある。また、第2の目的は、そのようなファイバ状光変調素子を用いた照明装置および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1のファイバ状光変調素子は、線状のコア部と、コア部の周面を被覆し、かつコア部の屈折率よりも低い屈折率のクラッド部と、コア部の内部に形成された第1電極と、コア部とクラッド部との間に形成された第2電極とを備えたものである。上記のコア部は、電場の大きさに応じて、端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっている。
【0008】
本発明の第1の照明装置は、ファイバ形状の複数の光変調素子と、各光変調素子の端面に光を出力する光源と、各光変調素子を駆動する駆動部とを備えたものである。第1の照明装置に搭載された各光変調素子は、上記の第1のファイバ状光変調素子と同一の構成要素を有している。本発明の第1の表示装置は、複数の画素を有する表示パネルと、表示パネルを照明する照明装置と、各画素を映像信号に基づいて駆動する駆動部とを備えたものである。第1の表示装置に搭載された照明装置は、上記の第1の照明装置と同一の構成要素を有している。
【0009】
本発明の第1のファイバ状光変調素子、第1の照明装置および第1の表示装置では、コア部およびクラッド部によって構成されるファイバにおいて、コア部が、電場の大きさに応じて、端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっている。これにより、コア部の中を伝播している光を部分的に取り出すことができる。また、本発明では、ファイバ状の光変調素子そのものが導光板の役割を果たしているので、導光板は不要である。ファイバ状の光変調素子は大型の導光板と比べてハンドリング性に優れており、ファイバ状の複数の光変調素子を面内に敷き詰めることにより、大型の照明装置を簡単に作成することもできる。
【0010】
本発明の第2のファイバ状光変調素子は、線状のコア部と、コア部の周面を被覆し、かつコア部の屈折率よりも低い屈折率を有するクラッド部と、コア部とクラッド部との間に形成された第1電極と、クラッド部の周面に形成された第2電極とを備えたものである。上記のクラッド部は、電場の大きさに応じて、コア部の端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっている。
【0011】
本発明の第2の照明装置は、ファイバ形状の複数の光変調素子と、各光変調素子の端面に光を出力する光源と、各光変調素子を駆動する駆動部とを備えたものである。第2の照明装置に搭載された各光変調素子は、上記の第2のファイバ状光変調素子と同一の構成要素を有している。本発明の第2の表示装置は、複数の画素を有する表示パネルと、表示パネルを照明する照明装置と、各画素を映像信号に基づいて駆動する駆動部とを備えたものである。第2の表示装置に搭載された照明装置は、上記の第2の照明装置と同一の構成要素を有している。
【0012】
本発明の第2のファイバ状光変調素子、第2の照明装置および第2の表示装置では、コア部およびクラッド部によって構成されるファイバにおいて、クラッド部が、電場の大きさに応じて、コア部の端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっている。これにより、コア部の中を伝播している光を部分的に取り出すことができる。また、本発明では、ファイバ状の光変調素子そのものが導光板の役割を果たしているので、導光板は不要である。ファイバ状の光変調素子は大型の導光板と比べてハンドリング性に優れており、ファイバ状の複数の光変調素子を面内に敷き詰めることにより、大型の照明装置を簡単に作成することもできる。
【0013】
本発明の第3の照明装置は、端面から入射した光に対して、電場の大きさに応じて散乱性もしくは透明性を示すファイバ形状の複数の光変調素子と、各光変調素子の端面に光を出力する光源と、各光変調素子を間にして互いに対向する第1電極および第2電極と、第1電極および第2電極を駆動する駆動部とを備えたものである。本発明の第3の表示装置は、複数の画素を有する表示パネルと、表示パネルを照明する照明装置と、各画素を映像信号に基づいて駆動する駆動部とを備えたものである。第3の表示装置に搭載された照明装置は、上記の第3の照明装置と同一の構成要素を有している。
【0014】
本発明の第3の照明装置および第3の表示装置では、ファイバ形状の各光変調素子が、電場の大きさに応じて、コア部の端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっている。これにより、各光変調素子の中を伝播している光を部分的に取り出すことができる。また、本発明では、ファイバ形状の光変調素子そのものが導光板の役割を果たしているので、導光板は不要である。ファイバ形状の光変調素子は大型の導光板と比べてハンドリング性に優れており、ファイバ形状の複数の光変調素子を面内に敷き詰めることにより、大型の照明装置を簡単に作成することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1および第2のファイバ状光変調素子、第1ないし第3の照明装置、ならびに第1ないし第3の表示装置によれば、ファイバ内のコア部もしくはクラッド部、またはファイバ全体の中を伝播している光を部分的に取り出すことができるようにしたので、部分駆動を行うことができる。また、このようなファイバを照明装置および表示装置に用いることにより、大型の照明装置および表示装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る照明装置の構成の一例を表す断面図である。
【図2】図1の光変調素子の構成の一例を表す断面図である。
【図3】図1の光変調素子の構成の一例を表す断面図である。
【図4】図1の光変調素子の作用について説明するための模式図である。
【図5】図1の光変調素子の作用について説明するための模式図である。
【図6】図1の照明装置の作用について説明するための模式図である。
【図7】図1の照明装置の構成の他の例を表す断面図である。
【図8】図7の光変調素子の構成の一例を表す断面図である。
【図9】図7の光変調素子の作用について説明するための模式図である。
【図10】図7の光変調素子の作用について説明するための模式図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る照明装置の構成の一例を表す断面図である。
【図12】図11の光変調素子の構成の一例を表す断面図である。
【図13】図11の光変調素子の電極構造の一例を表す断面図である。
【図14】図11の光変調素子の作用について説明するための模式図である。
【図15】図11の光変調素子の作用について説明するための模式図である。
【図16】図1、図7、図11の光変調素子の一適用例に係る表示装置の構成の一例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(図1〜図6)
コア部に光変調機能が設けられている例
2.第1の実施の形態の変形例(図7〜図10)
クラッド部に光変調機能が設けられている例
3.第2の実施の形態(図11〜図15)
ファイバ全体に光変調機能が設けられている例
4.適用例(図16)
照明装置を表示装置のバックライトとして用いた例
【0018】
<第1の実施の形態>
図1(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る照明装置1の断面構成の一例を表したものである。図1(B)は、図1の照明装置1内の光変調素子10の断面構成の一例を表したものである。なお、図1(B)の断面は、図1(A)のA−A矢視方向の断面に対応している。なお、図1(A),(B)は、模式的に表したものであり、実際の寸法や形状と同一であるとは限らない。この照明装置1は、例えば、液晶表示パネルなどを背後から照明するバックライトや、インテリアなどに使われる面照明器具などに好適に適用されるものである。照明装置1は、例えば、光変調素子10と、光変調素子10の側面(端面)に配置した光源20と、光変調素子10の背後に配置した反射板30と、光変調素子10を駆動する駆動回路40とを備えたものであり、いわゆるエッジライト方式の照明装置である。なお、必要に応じて、反射板30を省略することも可能である。照明装置1は、図1(A),(B)に示したように、エッジライト方式でありながら、導光板を備えていない。
【0019】
光源20は、線状光源であり、例えば、熱陰極管(HCFL;Hot Cathode Fluorescent Lamp)、CCFL、複数のLED、または複数の半導体レーザ(LD;Laser diode)を一列に配置したものなどからなる。光源20が複数のLEDまたは複数のLDからなる場合には、効率、薄型化、均一性の観点から、全てのLEDまたはLDがホワイトLEDまたはホワイトLDであることが好ましい。なお、光源20が、例えば、赤色光源、緑色光源および青色光源を含んで構成されていてもよい。光源20は、導光板10の一の側面にだけ設けられていてもよいし(図1(A)参照)、導光板10の2つの側面、3つの側面または全ての側面に設けられていてもよい。また、光源20は、光変調素子10が後述する光導波路アレイとなっている場合に、光導波路ごとに微小光源(図示せず)を備えていることが好ましい。
【0020】
反射板30は、光変調素子10の背後から漏れ出てきた光を光変調素子10側に戻すものであり、例えば、反射、拡散、散乱などの機能を有している。これにより、光源20からの射出光を効率的に利用することができ、また、正面輝度の向上にも役立っている。この反射板30は、例えば、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)や銀蒸着フィルム、多層膜反射フィルム、白色PETなどからなる。
【0021】
光変調素子10は、例えば、図1(A),(B)に示したように、線状の複数のファイバ状光変調素子10Aを含んで構成されたものである。各ファイバ状光変調素子10Aは、電場の大きさに応じて、端面(光入射面S1)から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっている。さらに、複数のファイバ状光変調素子10Aは、例えば、図1(B)に示したように、光入射面S1が同一の方向を向くように面内に並列配置されている。したがって、光変調素子10は、散乱、透明を切り替えることの可能な動的な(非静的な)光導波路アレイであると言える。
【0022】
各ファイバ状光変調素子10Aは、例えば、図2(A),(B)に示したように、一の方向に延在する線状(円柱状)のコア部11と、コア部11のうち当該コア部11の両端面(光入射面S1,終端面S2)以外の表面(コア部11の周面)を被覆する円筒状のクラッド部12とを有している。
【0023】
コア部11の内部(例えば同心円の中心部)には、コア部11の延在方向と平行な方向に延在する線状(円柱状)の電極13が形成されており、さらに、コア部11とクラッド部12との間にも電極14が形成されている。なお、電極13が本発明の「第1電極」の一具体例に相当し、電極14が本発明の「第2電極」の一具体例に相当する。
【0024】
コア部11およびクラッド部12は、コア部11が透明の状態において、以下の関係を満たしている。
n1>n2
n1:コア部11の屈折率
n2:クラッド部12の屈折率
【0025】
電極14は、例えば、図3に示したように、複数の部分電極によって構成されている。複数の部分電極は、例えば、コア部11の延在方向と平行な方向に一列に配列されている。各部分電極には、図示しない取出電極が設けられており、各部分電極は、この取出電極を介して駆動回路40からの電力の供給を受けるようになっている。つまり、各部分電極は、駆動回路40によって独立に駆動することが可能となっている。電極13および電極14を光変調素子10の法線方向から見たときに、光変調素子10のうち電極13および電極14が互いに対向している箇所に対応する部分が光変調セル10−1を構成している。各光変調セル10−1は、電極13および電極14に所定の電圧を印加することにより別個独立に駆動することの可能なものであり、電極13および電極14に印加される電圧値の大きさに応じて、光源20からの光に対して透明性を示したり、散乱性を示したりする。なお、透明性、散乱性については、以下でコア部11を説明する際に詳細に説明する。
【0026】
各ファイバ状光変調素子10Aは、例えば、平面状の端面(光入射面S1,終端面S2)を有する。なお、光源との光結合を高めるために光入射面S1に対して何らかの形状が付与されていてもよい。各ファイバ状光変調素子10Aにおいて、中心部にコア部11が、周縁部にクラッド部12が同心円状に形成されており、光入射面S1,終端面S2には、コア部11およびクラッド部12が露出している。
【0027】
終端面S2の表面には、例えば、図3に示したように、終端面S2全体を覆う光反射膜15が設けられている。光反射膜15は、例えば、光源20の波長に対して高い反射率を有する材料で構成されており、例えば光源20の波長が可視領域全体に渡っているときに、その波長帯に対して高反射率を有する金属で構成されている。
【0028】
各コア部11は、例えば、各コア部11が透明状態であるときに、ファイバ状光変調素子10Aごとに対応して形成される発光スポット(例えば、LEDやLDなどの光源)から射出される光を終端面S2まで伝播するためのものである。一方、各クラッド部12は、例えば、各コア部11が透明状態であるときに、コア部11内を伝播する光をコア部11内に閉じ込めるためのものである。
【0029】
各コア部11は、例えば、図3に示したように、電場に対する応答速度が互いに異なるバルク11Aおよび微粒子11Bを含んだ複合物となっている。バルク11Aおよび微粒子11Bはともに、光学異方性を有している。なお、バルク11Aが本発明の「第2領域」の一具体例に相当し、微粒子11Bが本発明の「第1領域」の一具体例に相当する。
【0030】
図4(A),(B)は、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時の、微粒子11B内に含まれる液晶分子11B−1の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図4(A),(B)において、バルク11A内の配向状態についての記載が省略されている。さらに、図4(A),(B)には、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時の、バルク11Aおよび微粒子11Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例が示されている。なお、図4(A),(B)には、クラッド部12の屈折率円体の一例も示されている。ここで、上記の屈折率楕円体は、様々な方向から入射した直線偏光の屈折率をテンソル楕円体で表したものであり、光が入射する方向からの楕円体の断面を見ることによって、幾何的に屈折率を知ることができるものである。さらに、図4(B)には、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時に、コア部11内を光Lが伝播している様子の一例が模式的に示されている。
【0031】
図5(A),(B)は、電極13および電極14間に電圧が印加されている時の、微粒子11B内に含まれる液晶分子11B−1の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図5(A),(B)においても、バルク11A内の配向状態についての記載が省略されている。さらに、図5(A),(B)には、電極13および電極14間に電圧が印加されている時の、バルク11Aおよび微粒子11Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例が示されている。なお、図5(A),(B)には、クラッド部12の屈折率円体の一例も示されている。さらに、図5(B)には、電極13および電極14間に電圧が印加されている時に、コア部11内で光Lが散乱している様子の一例が模式的に示されている。
【0032】
バルク11Aおよび微粒子11Bは、例えば、図4(A),(B)に示したように、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時に、バルク11Aの光軸AX1および微粒子11Bの光軸AX2の向きが互いに一致する(平行となる)構成となっている。なお、光軸AX1,AX2とは、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線を指している。また、光軸AX1および光軸AX2の向きは常に互いに一致している必要はなく、光軸AX1の向きと光軸AX2の向きとが、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよい。
【0033】
また、微粒子11Bは、例えば、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時に、光軸AX2がファイバ状光変調素子10Aの光入射面S1と直交(または略直交)する構成となっている。一方、バルク11Aは、例えば、電極13および電極14間への電圧印加の有無に拘らず、バルク11Aの光軸AX1が一定となる構成となっている。具体的には、バルク11Aは、例えば、図4(A),(B),図5(A),(B)に示したように、バルク11Aの光軸AX1がファイバ状光変調素子10Aの光入射面S1と直交(または略直交)する構成となっている。つまり、バルク11Aの光軸AX1は、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時に、微粒子11Bの光軸AX2と平行となっている。
【0034】
なお、光軸AX2が常に、光入射面S1と直交(または略直交)している必要はなく、例えば製造誤差などによって光入射面S1と若干斜めに交差していてもよい。また、光軸AX1,AX2が、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時に常に互いに平行となっている必要はなく、例えば製造誤差などによって小さな角度で交差していてもよい。
【0035】
ここで、バルク11Aおよび微粒子11Bの常光屈折率が互いに等しく、かつバルク11Aおよび微粒子11Bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時には、図4(A)に示したように、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性が得られる。これにより、例えば、図4(B)に示したように、光源20から入力され、コア部11内を伝播する光Lは、コア部11内で散乱されることなく、コア部11を透過する。その結果、例えば、図6(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、透明領域30Aの界面(コア部11とクラッド部12との界面)において全反射され、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。
【0036】
また、バルク11Aおよび微粒子11Bは、例えば、電極13および電極14間に電圧が印加されている時には、図5(A)に示したように、光軸AX1および光軸AX2の向きが互いに異なる(交差する)構成となっている。また、微粒子11Bは、例えば、電極13および電極14間に電圧が印加されている時に、微粒子11Bの光軸AX2がファイバ状光変調素子10Aの光入射面S1と平行または略平行となるとともにコア部11の中心部(同心円の中心部)を中心とした放射方向を向いている。
【0037】
したがって、電極13および電極14間に電圧が印加されている時には、コア部11において、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、図5(B)に示したように、光源20から入力され、コア部11内を伝播する光Lは、コア部11内で散乱される。その結果、例えば、図6(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域30Bの界面(コア部11とクラッド部12との界面)を透過すると共に、反射板30側に透過した光は反射板30で反射され、ファイバ状光変調素子10Aを透過する。従って、散乱領域30Bの輝度は、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0038】
なお、バルク11Aおよび微粒子11Bの常光屈折率は、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、バルク11Aおよび微粒子11Bの異常光屈折率についても、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0039】
また、バルク11Aの屈折率差(Δn0=異常光屈折率n1−常光屈折率n0)や、微粒子11Bの屈折率差(Δn1=異常光屈折率n3−常光屈折率n2)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。バルク11Aおよび微粒子11Bの屈折率差が大きい場合には、コア部11の散乱能が高くなり、導光条件を容易に破壊することができ、ファイバ状光変調素子10A内の光を取り出しやすいからである。
【0040】
また、バルク11Aおよび微粒子11Bは、電場に対する応答速度が互いに異なっている。バルク11Aは、例えば、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または微粒子11Bの応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている。バルク11Aは、例えば、低分子モノマーを重合化することにより得られた高分子材料によって形成されている。バルク11Aは、例えば、微粒子11Bの配向方向、または、製造過程で使用した配向膜の配向方向に沿って配向した、配向性および重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱および光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。バルク11Aの筋状構造、多孔質構造もしくは棒状構造は、例えば、ファイバ状光変調素子10Aの光入射面S1と直交または略直交する方向に長軸を有している。バルク11Aが筋状構造となっている場合に、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、導光光の散乱性を高くするという観点からは、0.1μm以上10μm以下となっていることが好ましく、0.2μm以上2.0μm以下の範囲であることがより好ましい。また、散乱の波長依存性を少なくするという観点からは、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、0.5μm以上5μm以下の範囲であることが好ましく、1〜3μmの範囲であることがより好ましい。筋状組織のサイズは、偏光顕微鏡、共焦点顕微鏡、電子顕微鏡などで観察することができる。
【0041】
一方、微粒子11Bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、バルク11Aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。微粒子11B内に含まれる液晶材料(液晶分子11B−1)は、例えば棒状分子である。微粒子11B内に含まれる液晶分子11B−1として、正の屈折率異方性を有するもの(いわゆるポジ型液晶)を用いることが好ましい。
【0042】
ここで、電極13および電極14間に電圧が印加されていない時には、微粒子11B内において、液晶分子11B−1の長軸方向は、光軸AX1と平行となっている。このとき、微粒子11B内の液晶分子11B−1の長軸は、ファイバ状光変調素子10Aの光入射面S1と直交または略直交する方向と平行となっている。
【0043】
また、電極13および電極14間に電圧が印加されている時には、微粒子11B内において、液晶分子11B−1の長軸方向は、光軸AX1と交差(もしくは直交)している。このとき、微粒子11B内の液晶分子11B−1の長軸は、ファイバ状光変調素子10Aの光入射面S1と平行または略平行となると共にファイバ状光変調素子10Aの光入射面S1と平行または略平行となると共にコア部11の中心部(同心円の中心部)を中心とした放射方向を向いている。
【0044】
上記した、配向性および重合性を有するモノマーとしては、光学的に異方性を有しており、かつ液晶と複合する材料であればよいが、本実施の形態では紫外線で硬化する低分子モノマーであることが好ましい。電圧無印加の状態で、液晶と、低分子モノマーを重合化することにより形成されたもの(高分子材料)との光学的異方性の方向が一致していることが好ましいので、紫外線硬化前において、液晶と低分子モノマーが同一方向に配向していることが好ましい。微粒子11Bとして液晶が用いられる場合に、その液晶が棒状分子であるときには、使用するモノマー材料の形状も棒状であることが好ましい。以上のことから、モノマー材料としては重合性と液晶性を併せ持つ材料を用いることが好ましく、例えば、重合性官能基として、アクリレート基、メタクリレート基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基およびエポキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。これらの官能基は、紫外線、赤外線または電子線を照射したり、加熱したりすることによって重合させることができる。紫外線照射時の配向度低下を抑制するために、多官能基をもつ液晶性材料を添加することもできる。バルク11Aを上述した筋状構造とする場合には、バルク11Aの原料として、2官能液晶性モノマーを用いることが好ましい。また、バルク11Aの原料に対して、液晶性を示す温度の調整を目的に単官能モノマーを添加したり、架橋密度向上を目的に3官能以上のモノマーを添加したりすることもできる。
【0045】
駆動回路40は、例えば、一の光変調セル30−1において微粒子11Bの光軸AX2がバルク11Aの光軸AX1と平行もしくはほぼ平行となり、他の光変調セル30−1において微粒子11Bの光軸AX2がバルク11Aの光軸AX1と交差もしくは直交するように各光変調セル30−1の一対の電極(電極13,14)へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。つまり、駆動回路40は、電場制御によって、バルク11Aおよび微粒子11Bの光軸AX1,AX2の向きを互いに一致(もしくはほぼ一致)させたり、互いに異ならせたり(もしくは直交させたり)することができるようになっている。
【0046】
次に、本実施の形態の照明装置1に用いられるファイバ状光変調素子10Aの製造方法の一例について説明する。
【0047】
まず、中空状の透明樹脂パイプ(クラッド部12に相当する部材)を用意し、この透明樹脂パイプの内面に、電極層(電極14に相当する層)を形成する。次に、透明樹脂パイプの内部に、ファイバー状の電極細線(電極13に相当する細線)と、液晶と液晶性モノマーとの混合液を充填する。その後、紫外線などで液晶性モノマーを硬化させる。このようにして、ファイバ状光変調素子10Aが完成する。このような方法では、透明樹脂パイプの送り出し機能と、完成後のファイバ状光変調素子10Aの巻き取り機能を製造設備に設ければ、ファイバ状光変調素子10Aを連続的に製造することができ、高生産性である。なお、特定部分のPDLCを駆動するために、透明樹脂パイプの内面に形成する電極層に対してパターンを形成しておくこともできる。
【0048】
次に、本実施の形態の照明装置1の作用および効果について説明する。
【0049】
本実施の形態の照明装置1では、例えば、光変調セル30−1において微粒子11Bの光軸AX2がバルク11Aの光軸AX1と平行もしくはほぼ平行となり、別の光変調セル30−1において微粒子11Bの光軸AX2がバルク11Aの光軸AX1と交差もしくは直交するように、各光変調セル30−1の一対の電極(電極13,14)に電圧が印加される。これにより、光源20から射出され、各ファイバ状光変調素子10Aの光入射面S1を介してコア部11内に入射した光は、コア部11のうち、光軸AX1と光軸AX2とが互いに平行もしくはほぼ平行となっている透過領域30Aを透過する。一方、光源20から射出され、コア部11内に入射した光は、コア部11のうち、光軸AX1と光軸AX2とが互いに交差もしくは直交している散乱領域30Bにおいて散乱される。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板30で反射され、再度、ファイバ状光変調素子10Aに戻されたのち、照明装置1の上面から射出される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、そのまま、照明装置1の上面から射出される。このように、本実施の形態では、透明領域30Aの上面からは光はほとんど射出されず、散乱領域30Bの上面から光が射出される。このようにして、正面方向の変調比を大きくしている。
【0050】
また、本実施の形態では、バルク11Aおよび微粒子11Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向において、散乱性が小さくなり、透明性を向上させることができる。例えば、バルク11Aおよび微粒子11Bが、互いに常光屈折率が等しく、かつ互いに異常光屈折率も等しい光学異方性材料を主に含んで構成され、かつ、電極13および電極14間に電圧が印加されていない領域では、これらの光軸の向きが一致もしくはほぼ一致する。これにより、正面方向(光変調素子10の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が少なくなるか、またはなくなり、高い透明性が得られる。その結果、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくすることができ、視野角特性を良くすることができる。
【0051】
例えば、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶と、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶性モノマーとを混合し、配向膜または電界によって液晶と液晶性モノマーを配向させた状態で液晶性モノマーを重合させると、液晶の光軸と、液晶性モノマーが重合することによって形成されたポリマーの光軸とが互いに一致する。これにより、あらゆる方向で屈折率を一致させることができるので、そのようにした場合には、透明性が高い状態を実現でき、より一層、視野角特性を良くすることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、例えば、図6(A),(B)に示したように、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて下がっている。他方、散乱領域30Bの輝度は、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0053】
ところで、輝度突き上げとは、全面白表示した場合に比べて、部分的に白表示を行った場合の輝度を高くする技術である。CRTやPDPなどでは一般によく使われている技術である。しかし、液晶ディスプレイでは、バックライトは画像にかかわらず全体に均一発光しているので、部分的に輝度を高くすることはできない。もっとも、バックライトを、複数のLEDを2次元配置したLEDバックライトとした場合には、LEDを部分的に消灯することは可能である。しかし、そのようにした場合には、LEDを消灯した暗領域からの拡散光がなくなるので、全てのLEDを点灯した場合と比べて、輝度が低くなってしまう。また、部分的に点灯しているLEDに対して流す電流を大きくすることにより、輝度を増やすことも可能であるが、そのようにした場合には、非常に短時間に大電流が流れるので、回路の負荷や信頼性の点で問題が残る。
【0054】
一方、本実施の形態では、バルク11Aおよび微粒子11Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向の散乱性が抑制され、暗状態での導光板からの漏れ光が少ない。これにより、部分的な暗状態の部分から部分的な明状態の部分に導光するので、照明装置1への投入電力を増やすことなく、輝度突き上げを実現することができる。
【0055】
以上のことから、本実施の形態では、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。
【0056】
<第1の実施の形態の変形例>
[第1の変形例]
本変形例では、例えば、図7(A),(B)に示したように、上記実施の形態およびそれらの変形例におけるファイバ状光変調素子10Aに代わってファイバ状光変調素子10Bが設けられている。以下では、上記実施の形態およびその変形例の構成との共通点についての説明を適宜、省略し、上記実施の形態およびその変形例の構成との相違点について主に説明する。
【0057】
光変調素子10は、例えば、図7(A),(B)に示したように、線状の複数のファイバ状光変調素子10Bを含んで構成されたものである。各ファイバ状光変調素子10Bは、電場の大きさに応じて、端面(光入射面S1)から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっている。さらに、複数のファイバ状光変調素子10Bは、例えば、図7(B)に示したように、光入射面S1が同一の方向を向くように面内に並列配置されている。したがって、光変調素子10は、散乱、透明を切り替えることの可能な動的な(非静的な)光導波路アレイであると言える。
【0058】
各ファイバ状光変調素子10Bは、例えば、図8に示したように、一の方向に延在する線状(円柱状)のコア部16と、コア部16のうち当該コア部16の両端面(光入射面S1,終端面S2)以外の表面(コア部16の周面)を被覆する円筒状のクラッド部17とを有している。
【0059】
コア部16の内部(例えば同心円の中心部)には、上記実施の形態のような電極は存在していない。コア部16とクラッド部17との間に電極18が形成されており、クラッド部17の周面に電極19が形成されている。なお、電極18が本発明の「第1電極」の一具体例に相当し、電極19が本発明の「第2電極」の一具体例に相当する。
【0060】
コア部16およびクラッド部17は、コア部16が透明の状態において、以下の関係を満たしている。
n3>n4
n3:コア部16の屈折率
n4:クラッド部17の屈折率
【0061】
電極19は、例えば、図8に示したように、複数の部分電極によって構成されている。複数の部分電極は、例えば、コア部16の延在方向と平行な方向に一列に配列されている。各部分電極は、外部に露出しており、直接、駆動回路40からの電力の供給を受けるようになっている。つまり、各部分電極は、駆動回路40によって独立に駆動することが可能となっている。電極18は、例えば、図8に示したように、コア部16の周面全体に形成されたベタ膜となっている。電極18および電極19を光変調素子10の法線方向から見たときに、光変調素子10のうち電極18および電極19が互いに対向している箇所に対応する部分が光変調セル10−2を構成している。各光変調セル10−2は、電極18および電極19に所定の電圧を印加することにより別個独立に駆動することの可能なものであり、電極18および電極19に印加される電圧値の大きさに応じて、光源20からの光に対して透明性を示したり、散乱性を示したりする。なお、透明性、散乱性については、以下でクラッド部17を説明する際に詳細に説明する。
【0062】
各ファイバ状光変調素子10Bは、例えば、平面状の端面(光入射面S1,終端面S2)を有する。なお、光源との光結合を高めるために光入射面S1に対して何らかの形状が付与されていてもよい。各ファイバ状光変調素子10Bにおいて、中心部にコア部16が、周縁部にクラッド部17が同心円状に形成されており、光入射面S1,終端面S2には、コア部16およびクラッド部17が露出している。
【0063】
終端面S2の表面には、例えば、図8に示したように、終端面S2全体を覆う光反射膜15が設けられている。光反射膜15は、例えば、光源20の波長に対して高い反射率を有する材料で構成されており、例えば光源20の波長が可視領域全体に渡っているときに、その波長帯に対して高反射率を有する金属で構成されている。
【0064】
各コア部16は、例えば、各クラッド部17が透明状態であるときに、ファイバ状光変調素子10Bごとに対応して形成される発光スポット(例えば、LEDやLDなどの光源)から射出される光を終端面S2まで伝播するためのものである。一方、各クラッド部17は、例えば、各クラッド部17が透明状態であるときに、コア部16内を伝播する光をコア部16内に閉じ込めるためのものである。
【0065】
各コア部16は、例えば、図8に示したように、電場に対する応答速度が互いに異なるバルク17Aおよび微粒子17Bを含んだ複合物となっている。バルク17Aおよび微粒子17Bはともに、光学異方性を有している。なお、バルク17Aが本発明の「第2領域」の一具体例に相当し、微粒子17Bが本発明の「第1領域」の一具体例に相当する。
【0066】
図9(A),(B)は、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時の、微粒子17B内に含まれる液晶分子17B−1の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図9(A),(B)において、バルク17A内の配向状態についての記載が省略されている。さらに、図9(A),(B)には、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時の、バルク17Aおよび微粒子17Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例が示されている。なお、図9(A),(B)には、コア部16の屈折率円体の一例も示されている。さらに、図9(B)には、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時に、コア部16内を光Lが伝播している様子の一例が模式的に示されている。
【0067】
図10(A),(B)は、電極18および電極19間に電圧が印加されている時の、微粒子17B内に含まれる液晶分子17B−1の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図10(A),(B)においても、バルク17A内の配向状態についての記載が省略されている。さらに、図10(A),(B)には、電極18および電極19間に電圧が印加されている時の、バルク17Aおよび微粒子17Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例が示されている。なお、図10(A),(B)には、コア部16の屈折率円体の一例も示されている。さらに、図10(B)には、電極18および電極19間に電圧が印加されている時に、コア部16内で光Lが散乱している様子の一例が模式的に示されている。
【0068】
バルク17Aおよび微粒子17Bは、例えば、図9(A),(B)に示したように、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時に、バルク17Aの光軸AX3および微粒子17Bの光軸AX4の向きが互いに一致する(平行となる)構成となっている。なお、光軸AX3,AX4とは、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線を指している。また、光軸AX3および光軸AX4の向きは常に互いに一致している必要はなく、光軸AX3の向きと光軸AX4の向きとが、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよい。
【0069】
また、微粒子17Bは、例えば、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時に、光軸AX4がファイバ状光変調素子10Bの光入射面S1と直交(または略直交)する構成となっている。一方、バルク17Aは、例えば、電極18および電極19間への電圧印加の有無に拘らず、バルク17Aの光軸AX3が一定となる構成となっている。具体的には、バルク17Aは、例えば、図9(A),(B),図10(A),(B)に示したように、バルク17Aの光軸AX3がファイバ状光変調素子10Bの光入射面S1と直交(または略直交)する構成となっている。つまり、バルク17Aの光軸AX3は、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時に、微粒子17Bの光軸AX4と平行となっている。
【0070】
なお、光軸AX4が常に、光入射面S1と直交(または略直交)している必要はなく、例えば製造誤差などによって光入射面S1と若干斜めに交差していてもよい。また、光軸AX3,AX4が、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時に常に互いに平行となっている必要はなく、例えば製造誤差などによって小さな角度で交差していてもよい。
【0071】
ここで、バルク17Aおよび微粒子17Bの常光屈折率が互いに等しく、かつバルク17Aおよび微粒子17Bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時には、図9(A)に示したように、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性が得られる。これにより、例えば、図9(B)に示したように、光源20から入力され、コア部16内を伝播する光Lは、コア部16内で散乱されることなく、コア部16を透過する。その結果、例えば、図6(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、透明領域30Aの界面(コア部16とクラッド部17との界面)において全反射され、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。
【0072】
また、バルク17Aおよび微粒子17Bは、例えば、電極18および電極19間に電圧が印加されている時には、図10(A)に示したように、光軸AX3および光軸AX4の向きが互いに異なる(交差する)構成となっている。また、微粒子17Bは、例えば、電極18および電極19間に電圧が印加されている時に、微粒子17Bの光軸AX4がファイバ状光変調素子10Bの光入射面S1と平行または略平行となるとともにコア部16の中心部(同心円の中心部)を中心とした放射方向を向いている。
【0073】
したがって、電極18および電極19間に電圧が印加されている時には、コア部16において、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、図10(B)に示したように、光源20から入力され、コア部16内を伝播する光Lは、コア部16内で散乱される。その結果、例えば、図6(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域30Bの界面(コア部16とクラッド部17との界面)を透過すると共に、反射板30側に透過した光は反射板30で反射され、ファイバ状光変調素子10Bを透過する。従って、散乱領域30Bの輝度は、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0074】
なお、バルク17Aおよび微粒子17Bの常光屈折率は、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、バルク17Aおよび微粒子17Bの異常光屈折率についても、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0075】
また、バルク17Aの屈折率差(Δn0=異常光屈折率n1−常光屈折率n0)や、微粒子17Bの屈折率差(Δn1=異常光屈折率n3−常光屈折率n2)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。バルク17Aおよび微粒子17Bの屈折率差が大きい場合には、クラッド部17の散乱能が高くなり、導光条件を容易に破壊することができ、ファイバ状光変調素子10B内の光を取り出しやすいからである。
【0076】
また、バルク17Aおよび微粒子17Bは、電場に対する応答速度が互いに異なっている。バルク17Aは、例えば、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または微粒子17Bの応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている。バルク17Aは、例えば、低分子モノマーを重合化することにより得られた高分子材料によって形成されている。バルク17Aは、例えば、微粒子11Bの配向方向、または、製造過程で使用した配向膜の配向方向に沿って配向した、配向性および重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱および光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。バルク17Aの筋状構造、多孔質構造もしくは棒状構造は、例えば、ファイバ状光変調素子10Bの光入射面S1と直交または略直交する方向に長軸を有している。バルク17Aが筋状構造となっている場合に、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、導光光の散乱性を高くするという観点からは、0.1μm以上10μm以下となっていることが好ましく、0.2μm以上2.0μm以下の範囲であることがより好ましい。また、散乱の波長依存性を少なくするという観点からは、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、0.5μm以上5μm以下の範囲であることが好ましく、1〜3μmの範囲であることがより好ましい。筋状組織のサイズは、偏光顕微鏡、共焦点顕微鏡、電子顕微鏡などで観察することができる。
【0077】
一方、微粒子17Bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、バルク17Aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。微粒子17B内に含まれる液晶材料(液晶分子11B−1)は、例えば棒状分子である。微粒子17B内に含まれる液晶分子11B−1として、正の屈折率異方性を有するもの(いわゆるポジ型液晶)を用いることが好ましい。
【0078】
ここで、電極18および電極19間に電圧が印加されていない時には、微粒子17B内において、液晶分子17B−1の長軸方向は、光軸AX3と平行となっている。このとき、微粒子17B内の液晶分子17B−1の長軸は、ファイバ状光変調素子10Bの光入射面S1と直交または略直交する方向と平行となっている。
【0079】
また、電極18および電極19間に電圧が印加されている時には、微粒子17B内において、液晶分子17B−1の長軸方向は、光軸AX3と交差(もしくは直交)している。このとき、微粒子17B内の液晶分子17B−1の長軸は、ファイバ状光変調素子10Bの光入射面S1と平行または略平行となると共にコア部16の中心部(同心円の中心部)を中心とした放射方向を向いている。上記した、配向性および重合性を有するモノマーとしては、上記実施の形態と同様の材料が挙げられる。
【0080】
駆動回路40は、例えば、一の光変調セル30−2において微粒子17Bの光軸AX4がバルク17Aの光軸AX3と平行もしくはほぼ平行となり、他の光変調セル30−2において微粒子17Bの光軸AX4がバルク17Aの光軸AX3と交差もしくは直交するように各光変調セル30−2の一対の電極(電極18,19)へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。つまり、駆動回路40は、電場制御によって、バルク17Aおよび微粒子17Bの光軸AX3,AX4の向きを互いに一致(もしくはほぼ一致)させたり、互いに異ならせたり(もしくは直交させたり)することができるようになっている。
【0081】
次に、本変形例の照明装置1の作用および効果について説明する。
【0082】
本変形例の照明装置1では、例えば、光変調セル30−2において微粒子17Bの光軸AX4がバルク17Aの光軸AX3と平行もしくはほぼ平行となり、別の光変調セル30−2において微粒子17Bの光軸AX4がバルク17Aの光軸AX3と交差もしくは直交するように、各光変調セル30−2の一対の電極(電極18,19)に電圧が印加される。これにより、光源20から射出され、各ファイバ状光変調素子10Bの光入射面S1を介してコア部16内に入射した光は、コア部16のうち、光軸AX3と光軸AX4とが互いに平行もしくはほぼ平行となっている透過領域30Aを透過する。一方、光源20から射出され、コア部16内に入射した光は、コア部16のうち、光軸AX3と光軸AX4とが互いに交差もしくは直交している散乱領域30Bにおいて散乱される。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板30で反射され、再度、ファイバ状光変調素子10Bに戻されたのち、照明装置1の上面から射出される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、そのまま、照明装置1の上面から射出される。このように、本変形例では、透明領域30Aの上面からは光はほとんど射出されず、散乱領域30Bの上面から光が射出される。このようにして、正面方向の変調比を大きくしている。
【0083】
また、本変形例では、バルク17Aおよび微粒子17Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向において、散乱性が小さくなり、透明性を向上させることができる。例えば、バルク17Aおよび微粒子17Bが、互いに常光屈折率が等しく、かつ互いに異常光屈折率も等しい光学異方性材料を主に含んで構成され、かつ、電極18および電極19間に電圧が印加されていない領域では、これらの光軸の向きが一致もしくはほぼ一致する。これにより、正面方向(光変調素子10の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が少なくなるか、またはなくなり、高い透明性が得られる。その結果、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくすることができ、視野角特性を良くすることができる。
【0084】
また、本変形例では、例えば、図6(A),(B)に示したように、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて下がっている。他方、散乱領域30Bの輝度は、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0085】
また、本変形例では、バルク17Aおよび微粒子17Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向の散乱性が抑制され、暗状態での導光板からの漏れ光が少ない。これにより、部分的な暗状態の部分から部分的な明状態の部分に導光するので、照明装置1への投入電力を増やすことなく、輝度突き上げを実現することができる。
【0086】
以上のことから、本変形例でも、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。
【0087】
[第2の変形例]
上記実施の形態およびその変形例において、必要に応じて、製造過程で液晶および液晶性モノマーを配向させるための配向膜(図示せず)をファイバ状光変調素子10A,10Bに設けてもよい。この配向膜が設けられる場所は、ファイバ状光変調素子10A,10Bの製造方法に依る。例えば、上記実施の形態において例示した製造方法においては、配向膜は、透明樹脂パイプ(クラッド部12に相当する部材)の電極層上に設けられていることが好ましい。
【0088】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態の照明装置2について説明する。本実施の形態の照明装置2は、上記第1の実施の形態の照明装置2において、光変調素子10を光変調素子50に置き換えたものに相当する。そこで、以下では、光変調素子50について主に説明し、それ以外の構成についての説明を適宜省略するものとする。
【0089】
光変調素子50は、例えば、図11(A),(B)に示したように、線状の複数のファイバ状光変調素子51を備えたものである。各ファイバ状光変調素子51は、電場の大きさに応じて、端面(光入射面S1)から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すようになっている。さらに、複数のファイバ状光変調素子51は、例えば、図11(B)に示したように、光入射面S1が同一の方向を向くように面内に並列配置されている。したがって、光変調素子50は、散乱、透明を切り替えることの可能な動的な(非静的な)光導波路アレイであると言える。
【0090】
各ファイバ状光変調素子51は、例えば、図11(A),(B)に示したように、一の方向に延在する線状(円柱状)のバルク51Aと、バルク51A内に分布するコア部51Bとにより構成されている。各ファイバ状光変調素子51の内部には、上記実施の形態のような電極は存在しておらず、さらに、各ファイバ状光変調素子51はバルク51Aとコア部51Bとによる複合体となっている。
【0091】
この光変調素子50は、さらに、複数のファイバ状光変調素子51を上下から挟みこむ電極52,53と、これら電極52,53を支持する基材54,55とを備えている。電極52,53は、各ファイバ状光変調素子51を間にして互いに対向しており、かつ各ファイバ状光変調素子51に接している。なお、電極52が本発明の「第1電極」の一具体例に相当し、電極53が本発明の「第2電極」の一具体例に相当する。
【0092】
電極52,53は、ともに、例えば、図11(B)、図13に示したように、複数の部分電極によって構成されている。電極52を構成する複数の部分電極は、例えば、各ファイバ状光変調素子51の延在方向と交差(または直交)する方向に延在しており、かつ各ファイバ状光変調素子51の延在方向と平行な方向に並列配置されている。一方、電極53を構成する複数の部分電極は、例えば、各ファイバ状光変調素子51の延在方向と平行な方向に延在しており、かつ各ファイバ状光変調素子51の延在方向と交差(または直交)する方向に並列配置されている。つまり、電極52,53は、互いに対向する部分がマトリックス状となるような態様で形成されている。
【0093】
電極52,53を構成する各部分電極は、外部に露出しており、直接、駆動回路40からの電力の供給を受けるようになっている。つまり、各部分電極は、駆動回路40によって独立に駆動することが可能となっている。電極52,53を光変調素子50の法線方向から見たときに、光変調素子50のうち電極52および電極53が互いに対向している箇所に対応する部分が光変調セルを構成している。各光変調セルは、電極52,53に所定の電圧を印加することにより別個独立に駆動することの可能なものであり、電極52,53に印加される電圧値の大きさに応じて、光源20からの光に対して透明性を示したり、散乱性を示したりする。なお、透明性、散乱性については、以下で詳細に説明する。
【0094】
各ファイバ状光変調素子51は、例えば、平面状の端面(光入射面S1,終端面S2)を有する。なお、光源との光結合を高めるために光入射面S1に対して何らかの形状が付与されていてもよい。終端面S2の表面には、例えば、図12(B)に示したように、終端面S2全体を覆う光反射膜15が設けられている。光反射膜15は、例えば、光源20の波長に対して高い反射率を有する材料で構成されており、例えば光源20の波長が可視領域全体に渡っているときに、その波長帯に対して高反射率を有する金属で構成されている。
【0095】
各ファイバ状光変調素子51は、例えば、各ファイバ状光変調素子51が透明状態であるときに、ファイバ状光変調素子51ごとに対応して形成される発光スポット(例えば、LEDやLDなどの光源)から射出される光を終端面S2まで伝播するためのものである。
【0096】
図14(A),(B)は、電極52,53間に電圧が印加されていない時の、微粒子51B内に含まれる液晶分子51B−1の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図14(A),(B)において、バルク51A内の配向状態についての記載が省略されている。さらに、図14(A),(B)には、電極52,53間に電圧が印加されていない時の、バルク51Aおよび微粒子51Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例が示されている。さらに、図14(B)には、電極52,53間に電圧が印加されていない時に、ファイバ状光変調素子51内を光Lが伝播している様子の一例が模式的に示されている。
【0097】
図15(A),(B)は、電極52,53間に電圧が印加されている時の、微粒子51B内に含まれる液晶分子51B−1の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図15(A),(B)においても、バルク51A内の配向状態についての記載が省略されている。さらに、図15(A),(B)には、電極52,53間に電圧が印加されている時の、バルク51Aおよび微粒子51Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例が示されている。さらに、図15(B)には、電極52,53間に電圧が印加されている時に、ファイバ状光変調素子51内で光Lが散乱している様子の一例が模式的に示されている。
【0098】
バルク51Aおよび微粒子51Bは、例えば、図14(A),(B)に示したように、電極52,53間に電圧が印加されていない時に、バルク51Aの光軸AX5および微粒子51Bの光軸AX6の向きが互いに一致する(平行となる)構成となっている。なお、光軸AX5,AX6とは、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線を指している。また、光軸AX5および光軸AX6の向きは常に互いに一致している必要はなく、光軸AX5の向きと光軸AX6の向きとが、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよい。
【0099】
また、微粒子51Bは、例えば、電極52,53間に電圧が印加されていない時に、光軸AX6がファイバ状光変調素子51の光入射面S1と直交(または略直交)する構成となっている。一方、バルク51Aは、例えば、電極52,53間への電圧印加の有無に拘らず、バルク51Aの光軸AX5が一定となる構成となっている。具体的には、バルク51Aは、例えば、図14(A),(B),図15(A),(B)に示したように、バルク51Aの光軸AX5がファイバ状光変調素子51の光入射面S1と直交(または略直交)する構成となっている。つまり、バルク51Aの光軸AX5は、電極52,53間に電圧が印加されていない時に、微粒子51Bの光軸AX6と平行となっている。
【0100】
なお、光軸AX6が常に、光入射面S1と直交(または略直交)している必要はなく、例えば製造誤差などによって光入射面S1と若干斜めに交差していてもよい。また、光軸AX5,AX6が、電極52,53間に電圧が印加されていない時に常に互いに平行となっている必要はなく、例えば製造誤差などによって小さな角度で交差していてもよい。
【0101】
ここで、バルク51Aおよび微粒子51Bの常光屈折率が互いに等しく、かつバルク51Aおよび微粒子51Bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、電極52,53間に電圧が印加されていない時には、図14(A)に示したように、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性が得られる。これにより、例えば、図14(B)に示したように、光源20から入力され、ファイバ状光変調素子51内を伝播する光Lは、ファイバ状光変調素子51内で散乱されることなく、ファイバ状光変調素子51を透過する。その結果、例えば、図6(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、透明領域30Aの界面(コア部16とクラッド部17との界面)において全反射され、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。
【0102】
また、バルク51Aおよび微粒子51Bは、例えば、電極52,53間に電圧が印加されている時には、図15(A)に示したように、光軸AX5および光軸AX6の向きが互いに異なる(交差する)構成となっている。また、微粒子51Bは、例えば、電極52,53間に電圧が印加されている時に、微粒子51Bの光軸AX6がファイバ状光変調素子51の光入射面S1と平行または略平行となるとともに光変調素子51の法線と平行または略平行な方向を向いている。
【0103】
したがって、電極52,53間に電圧が印加されている時には、ファイバ状光変調素子51において、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、図15(B)に示したように、光源20から入力され、ファイバ状光変調素子51内を伝播する光Lは、ファイバ状光変調素子51内で散乱される。その結果、例えば、図6(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域30Bの界面(ファイバ状光変調素子51の周面)を透過すると共に、反射板30側に透過した光は反射板30で反射され、ファイバ状光変調素子51を透過する。従って、散乱領域30Bの輝度は、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0104】
なお、バルク51Aおよび微粒子51Bの常光屈折率は、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、バルク51Aおよび微粒子51Bの異常光屈折率についても、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0105】
また、バルク51Aの屈折率差(Δn0=異常光屈折率n1−常光屈折率n0)や、微粒子51Bの屈折率差(Δn1=異常光屈折率n3−常光屈折率n2)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。バルク51Aおよび微粒子51Bの屈折率差が大きい場合には、ファイバ状光変調素子51の散乱能が高くなり、導光条件を容易に破壊することができ、ファイバ状光変調素子51内の光を取り出しやすいからである。
【0106】
また、バルク51Aおよび微粒子51Bは、電場に対する応答速度が互いに異なっている。バルク51Aは、例えば、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または微粒子51Bの応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている。バルク51Aは、例えば、低分子モノマーを重合化することにより得られた高分子材料によって形成されている。バルク51Aは、例えば、微粒子51Bの配向方向、または、製造過程で使用した配向膜の配向方向に沿って配向した、配向性および重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱および光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。バルク51Aの筋状構造、多孔質構造もしくは棒状構造は、例えば、ファイバ状光変調素子51の光入射面S1と直交または略直交する方向に長軸を有している。バルク51が筋状構造となっている場合に、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、導光光の散乱性を高くするという観点からは、0.1μm以上10μm以下となっていることが好ましく、0.2μm以上2.0μm以下の範囲であることがより好ましい。また、散乱の波長依存性を少なくするという観点からは、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、0.5μm以上5μm以下の範囲であることが好ましく、1〜3μmの範囲であることがより好ましい。筋状組織のサイズは、偏光顕微鏡、共焦点顕微鏡、電子顕微鏡などで観察することができる。
【0107】
一方、微粒子51Bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、バルク51Aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。微粒子51B内に含まれる液晶材料(液晶分子51B−1)は、例えば棒状分子である。微粒子51B内に含まれる液晶分子51B−1として、正の屈折率異方性を有するもの(いわゆるポジ型液晶)を用いることが好ましい。
【0108】
ここで、電極52,53間に電圧が印加されていない時には、微粒子51B内において、液晶分子51B−1の長軸方向は、光軸AX6と平行となっている。このとき、微粒子51B内の液晶分子51B−1の長軸は、ファイバ状光変調素子51の光入射面S1と直交または略直交する方向と平行となっている。
【0109】
また、電極52,53間に電圧が印加されている時には、微粒子51内において、液晶分子51B−1の長軸方向は、光軸AX6と交差(もしくは直交)している。このとき、微粒子51B内の液晶分子51B−1の長軸は、ファイバ状光変調素子51の光入射面S1と平行または略平行となると共に光変調素子51の法線と平行または略平行な方向を向いている。上記した、配向性および重合性を有するモノマーとしては、上記実施の形態と同様の材料が挙げられる。
【0110】
駆動回路40は、例えば、一の光変調セルにおいて微粒子51Bの光軸AX6がバルク51Aの光軸AX6と平行もしくはほぼ平行となり、他の光変調セルにおいて微粒子51Bの光軸AX6がバルク51Aの光軸AX6と交差もしくは直交するように各光変調セルの一対の電極(電極52,53)へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。つまり、駆動回路40は、電場制御によって、バルク51Aおよび微粒子51Bの光軸AX5,AX6の向きを互いに一致(もしくはほぼ一致)させたり、互いに異ならせたり(もしくは直交させたり)することができるようになっている。
【0111】
次に、本実施の形態の照明装置2の作用および効果について説明する。
【0112】
本実施の形態の照明装置2では、例えば、光変調セルにおいて微粒子51Bの光軸AX6がバルク51Aの光軸AX6と平行もしくはほぼ平行となり、別の光変調セルにおいて微粒子51Bの光軸AX6がバルク51Aの光軸AX6と交差もしくは直交するように、各光変調セルの一対の電極(電極52,53)に電圧が印加される。これにより、光源20から射出され、各ファイバ状光変調素子51の光入射面S1を介してファイバ状光変調素子51内に入射した光は、ファイバ状光変調素子51のうち、光軸AX5と光軸AX6とが互いに平行もしくはほぼ平行となっている透過領域30Aを透過する。一方、光源20から射出され、ファイバ状光変調素子51内に入射した光は、ファイバ状光変調素子51のうち、光軸AX5と光軸AX6とが互いに交差もしくは直交している散乱領域30Bにおいて散乱される。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板30で反射され、再度、ファイバ状光変調素子51に戻されたのち、照明装置2の上面から射出される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、そのまま、照明装置2の上面から射出される。このように、本実施の形態では、透明領域30Aの上面からは光はほとんど射出されず、散乱領域30Bの上面から光が射出される。このようにして、正面方向の変調比を大きくしている。
【0113】
また、本実施の形態では、バルク51Aおよび微粒子51Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向において、散乱性が小さくなり、透明性を向上させることができる。例えば、バルク51Aおよび微粒子51Bが、互いに常光屈折率が等しく、かつ互いに異常光屈折率も等しい光学異方性材料を主に含んで構成され、かつ、電極52,53間に電圧が印加されていない領域では、これらの光軸の向きが一致もしくはほぼ一致する。これにより、正面方向(光変調素子50の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が少なくなるか、またはなくなり、高い透明性が得られる。その結果、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくすることができ、視野角特性を良くすることができる。
【0114】
また、本実施の形態では、例えば、図6(A),(B)に示したように、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて下がっている。他方、散乱領域30Bの輝度は、印刷導光板の場合(図6(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0115】
また、本実施の形態では、バルク51Aおよび微粒子51Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向の散乱性が抑制され、暗状態での導光板からの漏れ光が少ない。これにより、部分的な暗状態の部分から部分的な明状態の部分に導光するので、照明装置1への投入電力を増やすことなく、輝度突き上げを実現することができる。
【0116】
以上のことから、本実施の形態でも、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。
【0117】
<適用例>
次に、上記各実施の形態およびその変形例に係る照明装置1,2の一適用例について説明する。
【0118】
図16は、本適用例にかかる表示装置3の概略構成の一例を表したものである。この表示装置3は、液晶表示パネル60(表示パネル)と、液晶表示パネル60の背後に配置された照明装置1,2とを備えている。
【0119】
液晶表示パネル60は、映像を表示するためのものである。この液晶表示パネル60は、例えば、映像信号に応じて各画素が駆動される透過型の表示パネルであり、液晶層を一対の透明基板で挟み込んだ構造となっている。具体的には、液晶表示パネル60は、照明装置1,2側から順に、偏光子、透明基板、画素電極、配向膜、液晶層、配向膜、共通電極、カラーフィルタ、透明基板および偏光子を有している(図示せず)。
【0120】
透明基板は、可視光に対して透明な基板、例えば板ガラスからなる。なお、照明装置1,2側の透明基板には、図示しないが、画素電極に電気的に接続されたTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)および配線などを含むアクティブ型の駆動回路が形成されている。画素電極および共通電極は、例えばITOからなる。画素電極は、透明基板上に格子配列またはデルタ配列されたものであり、画素ごとの電極として機能する。他方、共通電極は、カラーフィルタ上に一面に形成されたものであり、各画素電極に対して対向する共通電極として機能する。配向膜は、例えばポリイミドなどの高分子材料からなり、液晶に対して配向処理を行う。液晶層は、例えば、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モードまたはSTN(Super Twisted Nematic)モードの液晶からなり、駆動回路(図示せず)からの印加電圧により、照明装置1,2からの射出光の偏光軸の向きを画素ごとに変える機能を有する。なお、液晶の配列を多段階で変えることにより画素ごとの透過軸の向きが多段階で調整される。カラーフィルタは、液晶層を透過してきた光を、例えば、赤(R)、緑(G)および青(B)の三原色にそれぞれ色分離したり、または、R、G、Bおよび白(W)などの四色にそれぞれ色分離したりするカラーフィルタを、画素電極の配列と対応させて配列したものである。フィルタ配列(画素配列)としては、一般的に、ストライプ配列や、ダイアゴナル配列、デルタ配列、レクタングル配列のようなものがある。
【0121】
偏光子は、光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させる。なお、偏光子は、透過軸以外の振動方向の光(偏光)を吸収する吸収型の偏光素子であってもよいが、照明装置1,2側に反射する反射型の偏光素子であることが輝度向上の観点から好ましい。偏光子はそれぞれ、偏光軸が互いに90度異なるように配置されており、これにより照明装置1,2からの射出光が液晶層を介して透過し、あるいは遮断されるようになっている。
【0122】
駆動回路40は、例えば、複数の光変調セル10−1,10−2,または10−3のうち黒表示の画素位置に対応するセルにおいて微粒子11B,17B,51Bの光軸AX2,AX4,AX6がバルク11A,17A,51Aの光軸AX1,AX3,AX5と平行となるように各光変調セル10−1,10−2,または10−3の一対の電極へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。また、駆動回路40は、例えば、複数の光変調セル10−1,10−2,または10−3のうち白表示の画素位置に対応するセルにおいて11B,17B,51Bの光軸AX2,AX4,AX6がバルク11A,17A,51Aの光軸AX1,AX3,AX5と交差するように各光変調セル10−1,10−2,または10−3の一対の電極へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。
【0123】
本適用例では、液晶表示パネル60を照明する光源として、照明装置1,2が用いられている。これにより、照明装置1,2の部分駆動を利用して表示映像のコントラストを大きくすることができる。また、照明装置1,2が用いられていることにより、表示装置3の大型化および低価格化を実現することができる。
【符号の説明】
【0124】
1,2…照明装置、3…表示装置、10,50…光変調素子、10−1,10−2,10−3…光変調セル、10A,10B,51…ファイバ状光変調素子、11,16…コア部、11A,17A,51A…バルク、11B,17B,51B…微粒子、11B−1,17B−1,51B−1…液晶分子、12,17…クラッド部、13,14,18,19,52,53,54…電極、15…光反射膜、20…光源、30…反射板、40…駆動回路、55…基材、AX1〜AX6…光軸、R1…透過領域、R2…散乱領域、S1…光入射面、S2…終端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電場の大きさに応じて、端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示す線状のコア部と、
前記コア部の周面を被覆し、かつ前記コア部の屈折率よりも低い屈折率のクラッド部と、
前記コア部の内部に形成された第1電極と、
前記コア部と前記クラッド部との間に形成された第2電極と
を備えた
ファイバ状光変調素子。
【請求項2】
前記コア部は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答速度が互いに異なる第1領域および第2領域を含む
請求項1に記載のファイバ状光変調素子。
【請求項3】
線状のコア部と、
前記コア部の周面を被覆し、かつ前記コア部の屈折率よりも低い屈折率を有し、電場の大きさに応じて、前記コア部の端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すクラッド部と、
前記コア部と前記クラッド部との間に形成された第1電極と、
前記クラッド部の周面に形成された第2電極と
を備えた
ファイバ状光変調素子。
【請求項4】
前記クラッド部は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答速度が互いに異なる第1領域および第2領域を含む
請求項3に記載のファイバ状光変調素子。
【請求項5】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、複数の部分電極からなる
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のファイバ状光変調素子。
【請求項6】
前記第1領域は、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されていない時に当該第1領域の光軸が前記コア部の端面と略直交する構成となっており、かつ、前記一対の電極の間に電圧が印加されている時に当該第1領域の光軸が前記端面と略平行となり、
前記第2領域は、前記第1電極および前記第2電極の間への電圧印加の有無に拘らず、当該第2領域の光軸が前記光入射面と略平行となる構成となっている
請求項5に記載のファイバ状光変調素子。
【請求項7】
前記第1領域は、液晶材料を主に含んで構成され、
前記第2領域は、高分子材料を主に含んで構成されている
請求項6に記載のファイバ状光変調素子。
【請求項8】
前記第2領域は、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または前記第1領域の応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている
請求項7に記載のファイバ状光変調素子。
【請求項9】
前記第1領域および前記第2領域の常光屈折率が互いに等しくなっており、かつ前記第1領域および前記第2領域の異常光屈折率が互いに等しくなっている
請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載のファイバ状光変調素子。
【請求項10】
前記コア部および前記クラッド部によって構成されるファイバの両端面のうち一方の端面に反射膜を備えた
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のファイバ状光変調素子。
【請求項11】
ファイバ形状の複数の光変調素子と、
各光変調素子の端面に光を出力する光源と、
各光変調素子を駆動する駆動部と
を備え、
前記光変調素子は、
電場の大きさに応じて、端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示す線状のコア部と、
前記コア部の周面を被覆し、かつ前記コア部の屈折率よりも低い屈折率のクラッド部と、
前記コア部の内部に形成された第1電極と、
前記コア部と前記クラッド部との間に形成された第2電極と
を有する
照明装置。
【請求項12】
前記コア部は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答速度が互いに異なる第1領域および第2領域を含む
請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
ファイバ形状の複数の光変調素子と、
各光変調素子の端面に光を出力する光源と、
各光変調素子を駆動する駆動部と
を備え、
前記光変調素子は、
線状のコア部と、
前記コア部の周面を被覆し、かつ前記コア部の屈折率よりも低い屈折率を有し、電場の大きさに応じて、前記コア部の端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すクラッド部と、
前記コア部と前記クラッド部との間に形成された第1電極と、
前記クラッド部の周面に形成された第2電極と
を有する
照明装置。
【請求項14】
前記クラッド部は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答速度が互いに異なる第1領域および第2領域を含む
請求項13に記載の照明装置。
【請求項15】
電場の大きさに応じて、端面から入射した光に対して散乱性もしくは透明性を示すファイバ形状の複数の光変調素子と、
各光変調素子の端面に光を出力する光源と、
各光変調素子を間にして互いに対向する第1電極および第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極を駆動する駆動部と
を備えた
照明装置。
【請求項16】
各光変調素子は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答速度が互いに異なる第1領域および第2領域を含む
請求項15に記載の照明装置。
【請求項17】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、複数の部分電極からなり、
各光変調素子のうち、前記第1電極および前記第2電極が互いに対向している箇所に対応する部分が光変調セルを構成し、
前記駆動部は、一の光変調セルにおいて前記第1領域の光軸が前記第2領域の光軸と平行となり、他の光変調セルにおいて前記第1領域の光軸が前記第2領域の光軸と交差するように各光変調セルへ印加する電圧の大きさを制御する
請求項12、請求項14または請求項16に記載の照明装置。
【請求項18】
複数の画素を有する表示パネルと、
前記表示パネルを照明する請求項11ないし請求項17のいずれか一項に記載の照明装置と、
各画素を映像信号に基づいて駆動する駆動部と
を備えた
表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−221196(P2011−221196A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89076(P2010−89076)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】