説明

ファクシミリ装置および該ファクシミリ装置を有するファクシミリシステム

【課題】 ファクシミリ送信する際に、原稿をHDなどの記憶装置に蓄積し、送信したい相手に原稿のIDをメール送信し、送信相手が原稿のIDを用いてポーリング送信要求をしてきたときにポーリング送信する。
【解決手段】 インターネットファクシミリ装置3は、スキャナ部21より原稿を読み込み、操作部23により相手先を入力する。この際に、相手先の携帯電話のメールアドレスを入力し、ポーリング送信を指定する。読み込んだ原稿をHDなどの送信データ記憶部26に蓄積し、原稿IDを割り当て、管理テーブル25において管理する。その原稿IDを記述したメールデータを作成し、ネットワークインターフェイス33,インターネット6,携帯電話会社7を介し、指定メールアドレスの携帯電話8にメールが送信される。メールを受信した受信者は、ファクシミリ9において原稿IDを使用してポーリング受信を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポーリング送信する原稿を蓄積したときに、原稿のIDを送信したい相手の携帯端末装置へメールで通知するようにしたファクシミリ装置および該ファクシミリ装置を有するファクシミリシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ファクシミリ送信したい相手の所在がはっきりしない場合などは、送信先相手の携帯電話などに連絡をし、相手が出先からポーリング受信を行うことで原稿を受信する方法などがある。しかし、この場合はファクシミリ装置に送信データを蓄積し、さらに相手に連絡をとらなければならず手間がかかる。また、最近の携帯電話はメール受信機能を有しており、メール送信可能なファクシミリ装置からメール受信することが可能であるが、原稿サイズのデータは受信できない。
【0003】また、原稿受信者(相手)が原稿を受信するためには通常のポーリング受信を行わなければならないため、遠くに外出している場合などは高い通信料がかかる。
【0004】安価にポーリング受信を行う従来技術として、特開平11−234468号公報に、以下のような方法がある。相手先端末が近くのネットワークファクシミリ装置からポーリング受信する際に、近くのネットワークファクシミリ装置は、相手先端末が通知するサブアドレスよりポーリング送信のための画像を有する送信元ネットワークファクシミリ装置を判定する。次に、近くのネットワークファクシミリ装置は、判定した送信元ネットワークファクシミリ装置にネットワークを介してポーリング送信依頼メールを送信し、送信元ネットワークファクシミリ装置からのポーリング送信依頼メールに応じた画像を受信し、この画像を相手先端末へ送信する。しかし、この方法では、相手先端末は一度ポーリング要求を発呼せねばならない。またあらかじめサブアドレスと対応して登録された送信元ファクシミリ装置でしかポーリング送信依頼メールを受信できない。
【0005】また従来は、ファクシミリ装置に蓄積されたデータを第三者が取得することができてしまう。
【0006】さらに、原稿送信者は相手が原稿を受信したかどうかの確認をすることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、ファクシミリ送信する際に、原稿を一旦記憶装置に蓄積し、蓄積した原稿のIDを得て、送信したい相手に原稿のIDをメール送信して、送信相手が原稿のIDを用いてポーリング要求をしてきたときにポーリング送信するようにして、ファクシミリ送信する際に相手の所在がわからない場合でも、原稿を送信できるようにすることを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ファクシミリ送信する際に、読み込んだ原稿を記憶装置に蓄積し、ポーリング要求をしてきた相手へ前記原稿を送信するポーリング送信手段と、前記相手がポーリング受信できるように前記相手のメール機能付き携帯端末装置(携帯電話)のメールアドレスに前記蓄積した原稿のIDを記載したメールを送信するメール送信手段とを有することを特徴としたものである。
【0009】請求項2の発明は、請求項1に記載のファクシミリ装置と、該ファクシミリ装置にLAN(Local Area Network)を介して接続されたメール送信手段(メールサーバ)とを有するファクシミリシステムにおいて、前記メール送信手段は、前記原稿のIDを記載したメールを受信した相手からの管理者用メールアドレス宛ての前記原稿のIDを記載したメールを受信したとき、前記記憶装置から前記原稿のIDに対応した原稿を取り出してメール送信元にメール送信する手段を有することを特徴としたものである。
【0010】請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記メール送信手段は、前記原稿IDを記載したメールを送信する際に、パスワードも送信し、前記原稿IDとパスワードを記載した前記管理者メールアドレス宛てのメールを受信した際に、前記パスワードと前記原稿IDとが一致しない場合はメール送信元にエラーメールを返信する手段を有することを特徴としたものである。
【0011】請求項4の発明は、請求項1乃至3のファクシミリ装置において、前記原稿を読み込む際に原稿送信者のメールアドレスを登録する手段と、前記相手から原稿取得動作があった場合に前記原稿送信者のメールアドレスへ原稿を送信した旨のメールを送信する手段とを有することを特徴としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明におけるファクシミリシステムの構成を示した図である。PC1,メールサーバ2,インターネットファクシミリ装置3,PC4,ファイヤウォール5などがローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークを介して相互に接続されてデータの送受信を行なっており、PC1,メールサーバ2,インターネットファクシミリ装置3,PC4は、ファイヤウォール5経由でインターネット6を介して携帯電話会社7と接続されており、携帯電話会社7は携帯電話8にメールを転送する。また、インターネットファクシミリ装置3は、他のファクシミリ装置9と公衆回線網10を介してファクシミリ送受信を行なっている。さらに、公衆回線網10に接続されたPC11があり、PC11は公衆回線網10,プロバイダ12を介してインターネット6と接続されている。
【0013】図2は、本発明におけるファクシミリ装置の構成を示したブロック図である。図2においてファクシミリ装置は、所定の解像度で原稿画像を読み取るスキャナ部21、所定の解像度で画像を記録出力するプロッタ部22、このファクシミリ装置を操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなる操作部23、符号化圧縮された状態の画情報を多数記憶する画像メモリ24、制御を許す相手先の番号、またその相手先が取り扱う原稿ID、その原稿の送信先ファクシミリ番号などを管理している管理テーブル25、ポーリング送信を行うデータを蓄積している送信データ記憶部26、他のファクシミリ装置との通信を制御する通信制御部27、画信号を符号化圧縮するとともに、符号化圧縮されている画情報を元の画信号に復号化する符号化復号化部28、このファクシミリ装置の各部の制御処理、および、ファクシミリ伝送制御手順処理などの各種制御処理を行う制御部29、このファクシミリ装置に固有な各種の情報を記憶するパラメータメモリ30、制御部29が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、制御部29のワークエリアを構成するRAM31、画情報をメール送信フォーマット(TIFFなど)に変換するデータ変換部32、インターネット上のメールサーバ装置などの各種サーバ装置や他のデータ端末装置との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルの通信制御処理を実行するネットワークインタフェイス33、ファクシミリ装置のモデム機能を実現するモデム34、このファクシミリ装置を公衆網10に接続するとともに、モデム34によりデータ通信を行う網制御装置35からなる。
【0014】これらは、内部バス36に接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス36を介して行われている。以下、図1および図2を参照して本発明の各請求項の構成および動作を説明する。
【0015】請求項1の説明インターネットファクシミリ装置3は、スキャナ部21より原稿を読み込み、操作部23により相手先を入力する。この際に、入力データがメールアドレスで、かつ、ポーリング指定だった場合は、読み込んだ原稿を送信データ記憶部26に蓄積し、その際に原稿IDを割り当て、管理テーブル25において管理する。さらに、その原稿IDを記述したメールデータを作成し、ネットワークインタフェイス33を介して指定メールアドレスにメールを送信する。すると、インターネット6、携帯電話会社7を介し、携帯電話8にメールが送信される。携帯電話8で原稿IDを記述したメールを受信した受信者は、ファクシミリ装置9においてこの取得した原稿IDを使用してポーリング受信を行う。
【0016】請求項2,3の説明請求項1の説明において、携帯電話8に原稿IDを記載したメールを送信する際にパスワードも送信し、携帯電話8で原稿のIDおよびパスワードを記述したメールを受信した受信者は、PC11において、管理者メールアドレスに原稿IDおよびパスワードを記述してメールを送信する。送信したメールは公衆回線網10、プロバイダ12、インターネット6を経由してメールサーバ2に蓄積される。このメールサーバ2には、管理者用アドレスに送信されたメールを一定時刻で確認する常駐プログラムを起動しておき、そのプログラムでパスワードの確認を行う。パスワードが間違っていた場合はメール送信元に対しエラーメールを返す。パスワードが正しい場合は原稿IDの確認をし、LANおよびネットワークインタフェイス33を介してインターネットファクシミリ装置3にデータ取得命令を出す。インターネットファクシミリ装置3は送られてきた原稿IDと管理テーブル25の情報を照合することにより、送信データ記憶部26から画情報を取り出し、データ変換部32によりメール送信フォーマット(TIFFなど)に変換して、ネットワークインタフェイス33を介してメールサーバ2に送信する。メールサーバ2で起動中のプログラムはデータを取得するとこれを添付ファイルとするメールを作成し、送信元メールアドレスに送信する。
【0017】請求項4の説明原稿をスキャナ部21から読み込ませ、操作部13により相手先のメールアドレスを入力する際に、同時に自分のメールアドレスを入力する。この自分のメールアドレスは管理テーブル25において原稿IDと関連付けて管理される。請求項2,3の説明におけるメールサーバ2のプログラムが画情報を要求した際に、管理テーブル25においてその原稿IDに自分のメールアドレスが関連づけられていた場合は、データ変換部32で変換した画情報とともにメールアドレスをメールサーバ2へ送信する。メールサーバ2のプログラムはインターネットファクシミリ装置3より取得したデータにメールアドレスが付加されていた場合は、そのメールアドレスにポーリング送信を行った旨のメールを送信する。
【0018】
【発明の効果】請求項1の効果原稿をファクシミリ送信する際に、通常のメール送信動作で、送信相手への原稿のIDの連絡および送信原稿の蓄積をし、送信相手が原稿のIDを用いて原稿をポーリング受信できるようにしたので、送信相手の所在がわからなくても、原稿を送信することができる。
【0019】請求項2の効果送信相手が連絡された原稿のIDを用いて電子メールで原稿をポーリング受信できるようにしたので、送信相手は、高い通信費をかけることなく、メールを使える環境ならどこからでも原稿を取り出すことが可能になる。
【0020】請求項3の効果原稿送信者がポーリング送信する際に、送信相手から通知されたパスワードでポーリング送信可能かどうかを判断するようにしたので、第三者により、原稿を取得されることが回避できる。
【0021】請求項4の効果原稿を蓄積する際に原稿送信者のメールアドレスを記憶しておき、送信相手に原稿を送信するとき、原稿送信者のメールアドレスへその旨を通知するようにしたので、原稿送信者は送信相手が原稿を受信したかどうかを確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明におけるファクシミリシステムの構成を示した図である。
【図2】 本発明におけるファクシミリ装置の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
1…PC、2…メールサーバ、3…インターネットファクシミリ装置、4…PC、5…ファイヤウォール、6…インターネット、7…携帯電話会社、8…携帯電話、9…ファクシミリ装置、10…公衆回線網、11…、12…プロバイダ、21…スキャナ部、22…プロッタ部、23…操作部、24…画像メモリ、25…管理テーブル、26…送信データ記憶部、27…通信制御部、28…符号化復号化部、29…制御部、30…パラメータメモリ、31…RAM、32…データ変換部、33…ネットワークインタフェイス、34…モデム、35…網制御装置、36…内部バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ファクシミリ送信する際に、読み込んだ原稿を記憶装置に蓄積し、ポーリング要求をしてきた相手へ前記原稿を送信するポーリング送信手段と、前記相手がポーリング受信できるように前記相手のメール機能付き携帯端末装置のメールアドレスに前記蓄積した原稿のIDを記載したメールを送信するメール送信手段とを有することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】 請求項1に記載のファクシミリ装置と、該ファクシミリ装置にLANを介して接続されたメール送信手段とを有するファクシミリシステムにおいて、前記メール送信手段は、前記原稿のIDを記載したメールを受信した相手からの管理者用メールアドレス宛ての前記原稿のIDを記載したメールを受信したとき、前記記憶装置から前記原稿のIDに対応した原稿を取り出してメール送信元にメール送信する手段を有することを特徴とするファクシミリシステム。
【請求項3】 請求項2に記載のファクシミリシステムにおいて、前記メール送信手段は、前記原稿IDを記載したメールを送信する際に、パスワードも送信し、前記原稿IDとパスワードを記載した前記管理者メールアドレス宛てのメールを受信した際に、前記パスワードと前記原稿IDとが一致しない場合はメール送信元にエラーメールを返信する手段を有することを特徴とするファクシミリシステム。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1に記載のファクシミリ装置において、前記原稿を読み込む際に原稿送信者のメールアドレスを登録する手段と、前記相手から原稿取得動作があった場合に前記原稿送信者のメールアドレスへ原稿を送信した旨のメールを送信する手段とを有することを特徴とするファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2003−32429(P2003−32429A)
【公開日】平成15年1月31日(2003.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−216318(P2001−216318)
【出願日】平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】