説明

ファクシミリ通信システム及びファクシミリ装置

【課題】 送信画像の送信元となるファクシミリ装置1から該ファクシミリ装置1と同一LAN7に接続する中継ファクシミリ装置300を経由して相手先ファクシミリ装置へ上記送信画像の代行送信が可能なファクシミリ通信システムに於いて装置運用の自由度に向上させること。
【解決手段】 中継ファクシミリ状況確認部203は、LAN7を介して中継ファクシミリ装置300の回線使用状況を確認し、送信選択部204は、中継ファクシミリ状況確認部203による中継ファクシミリ装置300の回線使用状況に基づいて相手先ファクシミリ装置への送信画像の代行送信を実行するか否かを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のファクシミリ装置をネットワークで接続してなるファクシミリ通信システム、及び該ファクシミリ通信システムを構成するファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LAN等のネットワークに接続されているファクシミリ装置から電話回線を介して相手先のファクシミリ装置へ所定の画像をファクシミリ送信しようとしたときに、自機が他の目的に対処中でありファクシミリ送信できない場合も発生する。かかる場合には、同一のLANに接続されている他のファクシミリ装置(以後他機と記す)に対して、そのLANを介して画像データを転送する。転送先のファクシミリ装置(以後中継ファクシミリ装置と記す)は、この画像データを電話回線を介して相手先のファクシミリ装置へ送信する。このようなファクシミリ代行送信が普及している。従来のファクシミリ代行送信は、ファクシミリ送信したいときに、上記のように自機が直ぐにファクシミリ送信出来ない状況にある場合にのみ実行されていた。
【特許文献1】特開平6−152892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のファクシミリ代行送信では、上記のように自機が直ぐにファクシミリ送信出来ない状況にある場合にのみ他機に代行送信を依頼するものであって、送信優先順位の最高位は自機であり、他機の送信優先順位は自機よりも低いものであった。従って、送信時には、ファクシミリ送信を中継ファクシミリ装置(他機の中から選択されたファクシミリ装置)に代行送信させ、自機はファクシミリ受信専用として稼動させることとし、中継ファクシミリ装置が代行送信出来ない場合のみに自機にファクシミリ送信させる等の運用は不可能であり、装置運用の自由度に欠けるという解決すべき課題が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、送信画像の送信元となる送信元ファクシミリ装置から該送信元ファクシミリ装置と同一ネットワークに接続する他のファクシミリ装置を経由して相手先ファクシミリ装置へ上記送信画像の代行送信が可能なファクシミリ通信システムであって、上記送信元ファクシミリ装置は、上記ネットワークを介して上記他のファクシミリ装置の回線使用状況を確認する他のファクシミリ使用状況確認部と、該他のファクシミリ使用状況確認部による上記他のファクシミリ装置の回線使用状況確認結果に基づいて、上記相手先ファクシミリ装置への上記送信画像の代行送信を実行する中継ファクシミリ装置を選択する送信選択部とを備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
中継ファクシミリ使用状況確認部と、送信選択部とを備えるので、ファクシミリ送信を中継ファクシミリ装置に代行送信させ、自機はファクシミリ受信専用として稼動させることとし、中継ファクシミリ装置が代行送信出来ない場合のみに自機にファクシミリ送信させる等の運用が可能になり、装置運用の自由度が向上するという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明によるファクシミリ通信システムのシステム構成図である。
図に示すように本発明によるファクシミリ通信システムでは、ファクシミリ装置1、ファクシミリ装置2、ファクシミリ装置3、ファクシミリ装置4、ファクシミリ装置5、ファクシミリ装置6は、それぞれLAN(Local Area Network)7に接続されている。更に、ファクシミリ装置1には電話回線11が、ファクシミリ装置2には電話回線12が、ファクシミリ装置3には電話回線13が、ファクシミリ装置4には電話回線14が、ファクシミリ装置5には電話回線15が、ファクシミリ装置6には電話回線16が、それぞれ接続されている。かかるシステム構成によりファクシミリ装置相互間での代行送信を可能としている。以下に本発明によるファクシミリ通信システムに用いられるファクシミリ装置の実施例について図を用いて詳細に説明する。ファクシミリ装置(1〜6)は全て同一構成なので以下の説明ではファクシミリ装置1のみについて説明する。
【実施例1】
【0007】
図2は、実施例1のファクシミリ装置の内部構成図である。
図に示すように、ファクシミリ装置1は、読取部201と、データ記憶部202と、中継ファクシミリ状況確認部203と、送信選択部204と、転送指示部205と、ファクシミリ通信制御部206と、送信先情報格納部207と、符号復号化部208と、相手先入力部209と、情報入力部210と、画面表示部211と、ファクシミリ通信部212と、受信データ出力部213と、ネットワーク通信部214と、オペレーションパネル215とを備える。
【0008】
読取部201は、ファクシミリ送信を目的として装置にセットされた原稿画像を画像データとして読み取る部分である。データ記憶部202は、読取部201によって読み取られた画像データを格納するメモリである。中継ファクシミリ状況確認部203は、LAN7に接続されている中継ファクシミリ装置300の使用状況をLAN7を介して確認する部分である。ここで中継ファクシミリ装置300は、ファクシミリ装置1(自機)から相手先ファクシミリ装置(図示しない)へのファクシミリ送信を中継する(代行送信を実行する)、同一ネットワークに接続されている何れかの他機である。
【0009】
送信選択部204は、ファクシミリ送信の実行時に、中継ファクシミリ装置を用いて代行送信するか、又は、自機の電話回線11から通常送信するかを選択する部分である。また、後記中継ファクシミリ状況確認部203による他機の回線使用状況確認結果及び他機の能力情報に基づいて、相手先ファクシミリ装置への送信画像の代行送信を実行する中継ファクシミリ装置を選択する部分でもある。転送指示部205は、送信選択部204により代行送信が選択されたときに、中継ファクシミリ装置に対して画像データを転送することを指示する部分である。
【0010】
ファクシミリ通信制御部206は、送信選択部204により通常送信が選択されたときに、ファクシミリ通信部212を制御して、自機が接続する電話回線11を介して画像データを相手先へファクシミリ送信する部分である。送信先情報格納部207は、自機の能力情報(情報テーブル)と、中継先優先順位情報(送信先一覧)とを格納するメモリである。ここで、情報テーブルと送信先一覧の内容について他の図を用いて詳細に説明する。
【0011】
図3は、情報テーブルの説明図である。
図に示すように、情報テーブル40には、自機の、MAX(最大)通信速度41と、通信料42と、送信セキュリティ機能の有無43が格納されている。これらの情報は、代行送信依頼元ファクシミリ装置から装置状況の問い合わせを受けたときのレスポンス情報の一部として代行送信依頼元ファクシミリ装置へ送信される。ここで送信依頼元ファクシミリ装置とは、相手先ファクシミリ装置(図示しない)へのファクシミリ送信を目的として中継ファクシミリ装置300へ画像データを転送し、代行送信を依頼するファクシミリ装置(自機)である。
【0012】
図4は、送信先一覧の説明図である。
図に示すように、送信先一覧50には、LAN7に接続されている自機以外の全ての他機(図1におけるファクシミリ装置(2〜6)のID51及びIPアドレス52毎に情報テーブル40(図3)の内容が格納され、更にユーザが指定する重点項目に基づく、中継ファクシミリ装置となるための優先度53が格納されている。
【0013】
図2に戻って、符号復号化部208は、読取部201が原稿画像から読み取った画像データを相手先ファクシミリ装置へ送信するために符号化したり、相手先ファクシミリ装置から受信した受信データを画像データに復号化したりする部分である。相手先入力部209は、画像データを送信する相手先のファックス番号を入力する部分である。
【0014】
情報入力部210は、画像データを転送する中継ファクシミリ装置として設定する優先度を決定するための条件情報(重点項目)を入力する部分である。画面表示部211は、上記条件情報を入力するための画面を表示する表示手段である。ファクシミリ通信部212は、電話回線11とファクシミリ装置1とのインタフェース部分である。受信データ出力部213は、受信したファクシミリ画像データ、及び通信結果レポートを出力画像として出力する部分である。ネットワーク通信部214は、LAN7を介して画像データを中継ファクシミリ装置300へ転送する部分である。
【0015】
オペレーションパネル215は、上記相手先入力部209がファックス番号を受け入れたり、画像データの中継先を決定するための優先順位となる条件情報を受け入れたり、画面表示部211が各種の画面を表示する等、マン・マシンインタフェースに必要とされる入出力手段である。他の図を用いてその内容について説明する。
【0016】
図5は、オペレーションパネルの説明図である。
図に示すように、オペレーションパネル215には、テンキー31と、LCD(Liquid Crystal Display)32と、スタートボタン33と、上下左右矢印ボタン34と、キャンセルボタン35と、選択ボタン36とが配置されている。
【0017】
テンキー31は、0から9までの数字と、文字及び記号を入力するための複数のボタンである。相手先ファクシミリ装置(図示しない)のファクシミリ番号とIDの登録等に用いられる。更に、自機情報の入力は、このテンキーにより行われる。LCD32は、ファクシミリ装置への入力情報、設定値、装置の状態などを表示させる液晶表示装置である。このLCD32の一部には代行送信設定画面が表示されている。この内容説明は、図5の説明の直後に説明する。
【0018】
スタートボタン33は、原稿画像の読取実行、ファクシミリの送信又は手動受信を開始するときに使用されるボタンである。上下左右矢印ボタン34は、メニュー操作のとき、メニュー中の任意の項目へ移動するのに使用されるボタンである。キャンセルボタン35は、メニュー操作中に設定値をキャンセルするのに用いられるボタンである。選択ボタン36は、メニュー操作中に設定値を選択するのに用いられるボタンである。
【0019】
図6は、代行送信設定画面の説明図である。
図に示すような代行送信設定画面60が、オペレーションパネル215のLCD32の一部に表示される。ユーザは、上下左右矢印ボタン34、選択ボタン36を使用して、図に示す代行送信機能をオン61又はオフ62に設定する。ここで、ユーザがオン61に設定するとファクシミリ送信時に自機の送信動作よりも優先して代行送信機能が動作する。またオフ62に設定すると、自機からファクシミリ送信を行う通常送信モードで動作する。
尚、以上説明した本実施例のファクシミリ装置は、図2に示す内部構成と同一の構成で送信依頼元ファクシミリ装置、又は中継ファクシミリ装置として用いられるものとする。
【0020】
以上説明した実施例1のファクシミリ装置は以下のように動作する。
最初にファクシミリ送信の依頼元となる送信依頼元ファクシミリ装置の動作について説明し、続いてファクシミリ送信を中継する中継ファクシミリ装置の動作について説明する。
【0021】
図7は、実施例1の送信依頼元ファクシミリ装置の動作フローチャートである。
実施例1の送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)の動作についてフローチャートのステップS1〜ステップS13までステップ順に図2を併用しながら説明する。
【0022】
まず、ユーザがファクシミリ装置1を使用して図示しない相手先ファクシミリ装置へファクシミリ送信するために、送信する原稿画像をファクシミリ装置1の原稿台ガラス面、若しくはADF(Auto Document Feeder)にセットして動作を開始する。
【0023】
ステップS1
ユーザが、オペレーションパネル215を用いて相手先ファクシミリ装置(図示しない)のファックス番号を入力しファクシミリ送信指示を行うとステップS2へ進む。
【0024】
ステップS2
送信選択部204は、オペレーションパネル215の代行送信設定(図6)がオン(61)かオフ(62)かを判断し、オンの場合にはステップS4へ進み、オフの場合にはステップS3へ進む。
【0025】
ステップS3
ファクシミリ通信制御部206の制御に基づいて、自機から通常のファクシミリ送信(通常送信)を行ってフローを終了する。まず、原稿画像は、読取部201によって光学的に画像データとして読み込まれ、符号復号化部208によって符号化され、ファクシミリ通信部212から、相手先入力部209に入力された相手先ファックス番号へ電話回線を通して送信される。もし、自機の電話回線が使用中であった場合には、原稿画像は、読取部201によって光学的に画像データとして読み込まれ、符号復号化部208によって符号化され、一旦データ記憶部202に格納される。その後、自機の電話回線が使用中で無くなった後、データ記憶部202に格納されている符号化データは、ファクシミリ通信部212により、相手先入力部209に入力された相手先ファックス番号へ電話回線を通して送信されステップS13へ進む。
【0026】
ステップS4
中継ファクシミリ状況確認部203は、ネットワーク通信部214を通してLAN7に接続されている全ての他機に対して動作状況とファクシミリ送信能力を確認するための問い合わせコマンドを送信する。
【0027】
ステップS5
中継ファクシミリ状況確認部203は、ネットワーク通信部214を介して、LAN7に接続されている全ての他機のそれぞれからレスポンスを受信し、送信先情報格納部207へ格納する。更に、中継ファクシミリ状況確認部203は、回線使用中の他機の情報を削除して送信先一覧(図4)としてまとめる。
【0028】
ステップS6
送信先一覧(図4)に1つも他機が残っていなかった場合(全ての他機が回線使用中)にはステップS3へ進み、他機が1つでも残っていた場合にはステップS7へ進む。
【0029】
ステップS7
送信選択部204は、使用中でない他機の中から優先度の高い他機を中継ファクシミリ装置300として選択する。この優先度は、ユーザが予め、(図4)の速度54、通信料55、セキュリティ56、の中から重点項目を指定しておき、この重点項目に基づいて設定されている。送信選択部204は優先度の一番高いものを中継ファクシミリ装置として代行送信を行わせることに決定する。1例を挙げると、ユーザが通信料が一番安い他機で代行させたい場合には、通信料を最も高い重点項目として指定しておく。そして、送信先一覧(図4)に集められた情報の中から、通信料が一番安い他機が優先度の一番高いものとして選択される。
【0030】
もし、通信料が等しい他機が複数台存在した場合について説明する。ここで、第1の重点項目が通信料で、第2の重点項目が例えばセキュリティと指定されているものとする。かかる場合には、セキュリティ機能を持っている他機の方が、セキュリティ機能を持っていない他機よりも優先順位が高くになる。又、自動的に代行送信を行わせることに決定する方法とは別に、他に優れた機能を持つ他機が同一LAN7に存在することが予め分かっていた場合には、ユーザは、情報入力部210を用いて、その他機の優先度を一番高く設定しておくことも可能である。
【0031】
ステップS8
中継ファクシミリ装置300として選択された他機に送信選択部204から、ネットワーク通信部214を介して代行送信要求コマンドが送信される。
【0032】
ステップS9
送信選択部204は、ネットワーク通信部214を介して中継ファクシミリ装置300として選択された他機から代行送信許可レスポンスを受信する。
【0033】
ステップS10
読取部201は送信原稿の読み取りを開始する。読み取られた画像データは、符号復号化部208により最も圧縮率の高い符号化方式で符号化されデータ記憶部202へ格納される。
【0034】
ステップS11
転送指示部205は、符号化された画像データ、読取画像サイズ、符号化方式、自機ID、相手先ファックス番号を、ネットワーク通信部214を介して中継ファクシミリ装置300へ転送させる。
【0035】
ステップS12
転送指示部205は、ネットワーク通信部214を介して中継ファクシミリ装置から代行送信によるファクシミリ送信完了通知の受信を待って待機し、受信するとステップS13へ進む。
【0036】
ステップS13
受信データ出力部213は、通信結果レポートを印刷出力してフローを終了する。
【0037】
続いて中継ファクシミリ装置の動作について説明する。
図8は、実施例1の中継ファクシミリ装置の動作フローチャ−トである。
実施例1の中継ファクシミリ装置の動作についてフローチャートのステップS21〜ステップS28までステップ順に図2を併用しながら説明する。
【0038】
ステップS21
中継ファクシミリ装置300は、送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)からLAN7を介してファクシミリ状況確認コマンドの受信を待って待機し、ファクシミリ状況確認コマンドを受信するとステップS22へ進み、受信しない場合にはステップS23へ進む。
【0039】
ステップS22
中継ファクシミリ装置300は、自機の電話回線使用状況とファクシミリ送信能力(図3に示す内容)とをLAN7を介して送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)へ能力情報として返信し、ステップS23へ進む。
【0040】
ステップS23
中継ファクシミリ装置300は、能力情報を返信した場合には、ステップS24へ進み、能力情報を返信していない場合にはステップS21へ戻って、ファクシミリ状況確認コマンドの受信を待って待機する。
【0041】
ステップS24
中継ファクシミリ装置300は、代行送信許可レスポンスを送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)へ送信する。
【0042】
ステップS25
中継ファクシミリ装置300は、送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)から、LAN7を介して符号化された画像データ、画像データサイズ、符号化方式、送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)ID、相手先ファクシミリ番号を受信する。
【0043】
ステップS26
中継ファクシミリ装置300は、自機のIDを送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)IDのIDで置き換える。ここでIDの置換えを行うのは、あくまで送信元は送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)であることを明示するためである。
【0044】
ステップS27
中継ファクシミリ装置300は、電話回線を介して相手先ファクシミリ装置へ発呼し、更に相手先ファクシミリ装置の符号化能力を確認する。確認した結果符号化された画像データの符号化方式が既に最良の方式であれば、再符号化は行わずに相手先ファクシミリ装置に符号化された画像データ、自機のIDを送信する。もし、このとき相手先ファクシミリ装置が回線使用中であれば、自機に設定されている時間後にリダイヤルを実行する。この動作を相手先ファクシミリ装置が待機状態に戻り、無事送信完了するまで繰り返す。
【0045】
ステップS28
中継ファクシミリ装置300は、送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置1)へLAN7を介して送信完了通知を行いファクシミリの代行送信処理を終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施例によればLANに接続された受信用途の高いファクシミリ装置では、送信処理を回線が空いている他機に代行送信させ、自機における受信処理の渋滞を極力回避することが出来るという効果を得る。
【実施例2】
【0047】
本実施例では、中継ファクシミリ装置が、代行送信を実行した後に、その代行送信した画像を縮小画面として追加したファクシミリ完了通知を送信依頼元ファクシミリ装置へ送信することとする。送信依頼元ファクシミリ装置は、この縮小画面が追加されたファクシミリ完了通知を受け入れて印刷出力し、送信履歴の証明とすることが可能になる。かかる目的を達成するために本実施例のファクシミリ装置は以下のように構成される。
【0048】
図9は、実施例2のファクシミリ装置の内部構成図である。
図に示すように、ファクシミリ装置1は、読取部201と、データ記憶部202と、中継ファクシミリ状況確認部203と、送信選択部204と、転送指示部205と、ファクシミリ通信制御部206と、送信先情報格納部207と、符号復号化部208と、相手先入力部209と、情報入力部210と、画面表示部211と、ファクシミリ通信部212と、受信データ出力部213と、ネットワーク通信部214と、オペレーションパネル215と、解像度変換部216と、画付レポート作成部217とを備える。
【0049】
尚、以上説明した本実施例のファクシミリ装置20は、図9に示す内部構成と同一の構成で送信依頼元ファクシミリ装置、又は中継ファクシミリ装置として用いられるものとする。以下に、実施例1には含まれていなかった構成部分のみについて詳細に説明する。実施例1に含まれている部分については実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
解像度変換部216は、実施例2のファクシミリ装置20が、中継ファクシミリ装置400として使用される場合に於いて、符号復号化部208に於いて符号化された画像データのデータサイズを小さくするために、画像の解像度を下げる処理を実行する部分である。
【0051】
画付レポート作成部217は、実施例2のファクシミリ装置20が、中継ファクシミリ装置400として使用される場合に於いて、相手先ファクシミリ装置(図示しない)へ画像データを送信した後に、送信した画像の縮小画面が追加された送信結果レポートを生成する部分である。
【0052】
図10は、画付通信結果レポート設定画面の説明図である。
図に示すような画付通信結果レポート設定画面100が、オペレーションパネル215のLCD32の一部に表示される。ユーザは、上下左右矢印ボタン34、選択ボタン36を使用して、図に示す画付通信結果レポート設定機能をオン101設定又はオフ102設定することになる。ここで画付通信結果レポートの内容について説明する。
【0053】
図11は、実施例2の通信結果レポートの説明図である。
図に示すように、実施例2の通信結果レポートには、モード設定項目としての宛先、枚数、結果、日時、送信時間にプラスして縮小された送信画像が含まれている。以上説明した実施例2のファクシミリ装置は以下のように動作する。最初にファクシミリ送信の依頼元となる送信依頼元ファクシミリ装置の動作について説明し、続いてファクシミリ送信を中継する中継ファクシミリ装置の動作について説明する。
【0054】
図12は、実施例2の送信依頼元ファクシミリ装置の動作フローチャートである。
実施例2の送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)の動作についてフローチャートのステップS31〜ステップS43までステップ順に図9を併用しながら説明する。
【0055】
まず、ユーザがファクシミリ装置20を使用して図示しない相手先ファクシミリ装置へファクシミリ送信するために、送信する原稿画像をファクシミリ装置20の原稿台ガラス面、若しくはADF(Auto Document Feeder)にセットして動作を開始する。
【0056】
ステップS31
ユーザが、オペレーションパネル215を用いて相手先ファクシミリ装置(図示しない)のファックス番号を入力しファクシミリ送信指示を行うとステップS32へ進む。ファクシミリ送信指示には画付レポートのオン・オフ設定(図10)も含まれる。
【0057】
ステップS32
送信選択部204は、オペレーションパネル215の代行送信設定(図6)がオン(61)かオフ(62)かを判断し、オンの場合にはステップS34へ進み、オフの場合にはステップS33へ進む。
【0058】
ステップS33
ファクシミリ通信制御部206の制御に基づいて、自機から通常のファクシミリ送信(通常送信)を行ってフローを終了する。まず、原稿画像は、読取部201によって光学的に画像データとして読み込まれ、符号復号化部208によって符号化され、ファクシミリ通信部212から、相手先入力部209に入力された相手先ファックス番号へ電話回線を通して送信される。もし、自機の電話回線が使用中であった場合には、原稿画像は、読取部201によって光学的に画像データとして読み込まれ、符号復号化部208によって符号化され、一旦データ記憶部202に格納される。その後、自機の電話回線が使用中で無くなった後、データ記憶部202に格納されている符号化データは、ファクシミリ通信部212により、相手先入力部209に入力された相手先ファックス番号へ電話回線を通して送信されステップS43へ進む。
【0059】
ステップS34
中継ファクシミリ状況確認部203は、ネットワーク通信部214を通してLAN7に接続されている全ての他機に対して動作状況とファクシミリ送信能力を確認するための問い合わせコマンドを送信する。
【0060】
ステップS35
中継ファクシミリ状況確認部203は、ネットワーク通信部214を介して、LAN7に接続されている全ての他機のそれぞれからレスポンスを受信し、送信先情報格納部207へ格納し、更に、回線使用中の他機の情報を削除して送信先一覧(図4)としてまとめる。
【0061】
ステップS36
送信先一覧(図4)に1つも他機が残っていなかった場合(全ての他機が回線使用中)にはステップS33へ進み、他機が1つでも残っていた場合にはステップS37へ進む。
【0062】
ステップS37
送信選択部204は、使用中でない他機の中から優先度の高い他機を中継ファクシミリ装置400として選択する。この優先度は、ユーザが予め、(図4)の速度54、通信料55、セキュリティ56、の中から重点項目を指定しておき、この重点項目に基づいて設定されている。送信選択部204は優先度の一番高いものを中継ファクシミリ装置として代行送信を行わせることに決定する。1例を挙げると、ユーザが通信料が一番安い他機で代行させたい場合には、通信料を最も高い重点項目として指定しておく。そして、送信先一覧(図4)に集められた情報の中から、通信料が一番安い他機が優先度の一番高いものとして選択される。
【0063】
もし、通信料が等しい他機が複数台存在した場合について説明する。ここで、第1の重点項目が通信料で、第2の重点項目が例えばセキュリティと指定されているものとする。かかる場合には、セキュリティ機能を持っている他機の方が、セキュリティ機能を持っていない他機よりも優先順位が高くになる。又、自動的に代行送信を行わせることに決定する方法とは別に、他に優れた機能を持つ他機が同一LAN7に存在することが予め分かっていた場合には、ユーザは、情報入力部210を用いて、その他機の優先度を一番高く設定しておくことも可能である。
【0064】
ステップS38
中継ファクシミリ装置400として選択された他機に送信選択部204から、ネットワーク通信部214を介して代行送信要求コマンドが送信される。
【0065】
ステップS39
送信選択部204は、ネットワーク通信部214を介して中継ファクシミリ装置400として選択された他機から代行送信許可レスポンスを受信する。
【0066】
ステップS40
読取部201は送信原稿の読み取りを開始する。読み取られた画像データは、符号復号化部208により最も圧縮率の高い符号化方式で符号化されデータ記憶部202へ格納される。
【0067】
ステップS41
転送指示部205は、符号化された画像データ、読取画像サイズ、符号化方式、自機ID、相手先ファックス番号、画付レポートのオン・オフ設定(図10)等を、ネットワーク通信部214を介して中継ファクシミリ装置400へ転送させる。
【0068】
ステップS42
転送指示部205は、ネットワーク通信部214を介して中継ファクシミリ装置400から代行送信によるファクシミリ送信完了通知の受信を待って待機し、受信した後ステップS43へ進む。
【0069】
ステップS43
受信データ出力部213は、通信結果レポートを印刷出力してフローを終了する。
尚、上記ステップS31で画付レポートのオンの設定がなされており、且つステップS32で代行送信設定がオンに設定されている場合には、図11に示すように通信結果レポートには、縮小された送信画像が含まれることになる。
【0070】
続いて中継ファクシミリ装置の動作について説明する。
図13は、実施例2の中継ファクシミリ装置400の動作フローチャ−トである。
実施例2の中継ファクシミリ装置の動作についてフローチャートのステップS51〜ステップS61までステップ順に図9を併用しながら説明する。
【0071】
ステップS51
中継ファクシミリ装置400は、送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)からLAN7を介してファクシミリ状況確認コマンドの受信を待って待機し、ファクシミリ状況確認コマンドを受信するとステップS52へ進み、受信しない場合にはステップS53へ進む。
【0072】
ステップS52
中継ファクシミリ装置400は、自機の電話回線使用状況とファクシミリ送信能力(図3に示す内容)とをLAN7を介して送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)へ能力情報として返信し、ステップS53へ進む。
【0073】
ステップS53
中継ファクシミリ装置400は、能力情報を返信した場合には、ステップS54へ進み、能力情報を返信していない場合にはステップS51へ戻って、ファクシミリ状況確認コマンドの受信を待って待機する。
【0074】
ステップS54
中継ファクシミリ装置400は、代行送信許可レスポンスを送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)へ送信する。
【0075】
ステップS55
中継ファクシミリ装置400は、送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)から、LAN7を介して符号化された画像データ、画像データサイズ、符号化方式、送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)ID、相手先ファクシミリ番号、画付レポートオン・オフ設定などを受信する。
【0076】
ステップS56
中継ファクシミリ装置400は、自機のIDを送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)IDのIDで置き換える。ここでIDの置換えを行うのは、あくまで送信元は送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)であることを明示するためである。
【0077】
ステップS57
中継ファクシミリ装置400は、電話回線を介して相手先ファクシミリ装置へ発呼し、更に相手先ファクシミリ装置の符号化能力を確認する。確認した結果符号化された画像データの符号化方式が既に最良の方式であれば、再符号化は行わずに相手先ファクシミリ装置に符号化された画像データ、自機のIDを送信する。もし、このとき相手先ファクシミリ装置が回線使用中であれば、自機に設定されている時間後にリダイヤルを実行する。この動作を相手先ファクシミリ装置が待機状態に戻り、無事送信完了するまで繰り返す。
【0078】
ステップS58
上記ステップS55で受信した、画付レポートオン・オフ設定がオン設定であった場合にはステップS59へ進み、オフ設定であった場合にはステップS61へ進む。
【0079】
ステップS59
中継ファクシミリ装置400の解像度変換部216は、ステップS57で相手先ファクシミリ装置へ送信した画像の解像度を落とした画像を生成する。ここで画像の解像度を落とす目的は、送信した画像がどんなものであるか判別で切れば良く、画像自体の品質にこだわる必要がないため、単純な間引き処理でも良い。
【0080】
ステップS60
中継ファクシミリ装置400の画付レポート作成部217は、送信完了通知に縮小画を添付した送信結果レポート(図11)を生成してステップS61へ進む。
【0081】
ステップS61
中継ファクシミリ装置400から送信依頼元ファクシミリ装置(ファクシミリ装置20)へ通信結果レポートを送信してフローを終了する。
【0082】
以上説明したように、本実施例によれば代行通信を実行した中継ファクシミリ装置から送信画像の縮小画を添付した通信結果レポートを送信依頼元ファクシミリ装置へ送信するので、ユーザは、この通信結果レポートを送信実行の証明書として、あるいはまた送信履歴として活用することが出来るという効果を得る。
【産業上の利用可能性】
【0083】
実施例の説明では、本発明をファクシミリ装置に適用した場合に限定して説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、ネットワークに接続可能な、MFP(復号装置)、複写機にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明によるファクシミリ通信システムのシステム構成図である。
【図2】実施例1のファクシミリ装置の内部構成図である。
【図3】情報テーブルの説明図である。
【図4】送信先一覧の説明図である。
【図5】オペレーションパネルの説明図である。
【図6】代行送信設定画面の説明図である。
【図7】実施例1の送信依頼元ファクシミリ装置の動作フローチャートである。
【図8】実施例1の中継ファクシミリ装置の動作フローチャ−トである。
【図9】実施例2のファクシミリ装置の内部構成図である。
【図10】画付通信結果レポート設定画面の説明図である。
【図11】実施例2の通信結果レポートの説明図である。
【図12】実施例2の送信依頼元ファクシミリ装置の動作フローチャートである。
【図13】実施例2の中継ファクシミリ装置の動作フローチャ−トである。
【符号の説明】
【0085】
1 ファクシミリ装置
7 LAN
201 読取部
202 データ記憶部
203 中継ファクシミリ状況確認部
204 送信選択部
205 転送指示部
206 ファクシミリ通信制御部
207 送信先情報格納部
208 符号復号化部
209 相手先入力部
210 情報入力部
211 画像表示部
212 ファクシミリ通信部
213 受信データ出力部
214 ネットワーク通信部
215 オペレーションパネル
300 中継ファクシミリ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信画像の送信元となる送信元ファクシミリ装置から該送信元ファクシミリ装置と同一ネットワークに接続する他のファクシミリ装置を経由して相手先ファクシミリ装置へ前記送信画像の代行送信が可能なファクシミリ通信システムであって、
前記送信元ファクシミリ装置は、
前記ネットワークを介して前記他のファクシミリ装置の回線使用状況を確認する他のファクシミリ使用状況確認部と、
該他のファクシミリ使用状況確認部による前記他のファクシミリ装置の回線使用状況確認結果に基づいて、前記相手先ファクシミリ装置への前記送信画像の代行送信を実行する中継ファクシミリ装置を選択する送信選択部とを備えることを特徴とするファクシミリ通信システム。
【請求項2】
ユーザの選択に基づいて前記送信画像の代行送信を実行するか否かを設定する代行送信設定手段を更に備えることを特徴とするファクシミリ通信システム。
【請求項3】
前記他のファクシミリ使用状況確認部は、
更に、前記同一ネットワークに接続する複数の他のファクシミリ装置から該ネットワークを介して個々の能力情報を取得し、
前記送信選択部は、
更に、前記他のファクシミリ使用状況確認部が取得した前記個々の能力情報に基づいて前記中継ファクシミリ装置を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のファクシミリ通信システム。
【請求項4】
前記中継ファクシミリ装置は、
前記送信画像の解像度を低下させる解像度変換部と、
該解像度変換部により低下された解像度に基づいて前記送信画像の縮小画像を生成し送信完了通知に添付する画付レポート作成部とを備え、
前記送信画像の代行送信が完了すると、前記送信画像の縮小画像が添付された送信完了通知を前記送信元ファクシミリ装置へ送信することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のファクシミリ通信システム。
【請求項5】
ユーザの選択に基づいて前記縮小画像が添付された送信完了通知を前記送信元ファクシミリ装置へ送信するか否かを設定する縮小画像添付設定手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載のファクシミリ通信システム。
【請求項6】
送信画像の送信元となる送信元ファクシミリ装置から該送信元ファクシミリ装置と同一ネットワークに接続する他のファクシミリ装置を経由して相手先ファクシミリ装置へ前記送信画像の代行送信が可能なファクシミリ通信システムを構成するファクシミリ装置であって、
請求項1から請求項5までの何れか一項に記載のファクシミリ通信システムに含まれていることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項7】
電話回線を介して画像を受信するファクシミリ通信部と、
画像を読み取る読取部と、
前記読取部で読み取った読取画像の送り先情報を入力する相手先入力部と、
他のファクシミリ通信装置が代行送信可能か問い合わせる代行送信問い合わせ部と、
前記他のファクシミリ通信装置で代行送信可の情報を得ると、前記ファクシミリ通信部を受信受付可能にした状態で、前記電話回線とは異なるネットワーク回線を介して他のファクシミリ通信装置へ前記読取画像と前記送り先情報とを関連付けて代行送信指示を出すネットワーク通信部とを持ち、
前記ファクシミリ通信部は、前記他のファクシミリ通信装置で代行送信不可の情報を得ると、前記読取画像を前記送り先情報宛に前記電話回線を介して送信することを特徴とするファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−177487(P2009−177487A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13915(P2008−13915)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】