ファブリーペローフーリエ変換分光計
空間フーリエ変換分光計が開示される(例えば350)。該フーリエ変換分光計は、第1及び第2の光学表面(例えば454、458及び554、558)を伴うファブリーペロー干渉計(例えば320、420、520)を含む。第1の光学表面と第2の光学表面との間のギャップ(例えば462、562)は、フーリエ変換分光計の光軸(例えば466、566、666)に直交する方向に空間的に変化する。ファブリーペロー干渉計は、入力光から干渉縞を形成する。プロセッサ(例えば342)に通信可能につながれた検出器(例えば340、640)によって、干渉縞の画像が捉えられる。プロセッサは、入力光のスペクトル成分に関する情報を決定するために、干渉縞画像を処理するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、本明細書の一部と見なされるべく参照によってそれぞれその全体を本明細書に組み込まれた以下の米国仮特許出願、すなわち、2009年12月2日に出願され「SPATIALLY VARIABLE ETALON FOR SPECTROSCOPY AND SPECTRAL IMAGING(分光及びスペクト
ル画像解析のための空間的に可変のエタロン)」と題された米国仮特許出願第61/283,519号、並びに2010年5月17日に出願され「A FABRY-PEROT INTERFEROMETER
WITH A SPATIALLY VARIABLE RESONANCE GAP EMPLOYED AS A FOURIER TRANSFORM SPECTROMETER(フーリエ変換分光計として用いられる、空間的に可変の共振ギャップを伴うファ
ブリーペロー干渉計)」と題された米国仮特許出願第61/345,549号の、優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、例えばフーリエ変換分光などの、分光の分野に関する。
【0003】
フーリエ変換分光は、光源からの光のスペクトル成分に関する情報を得るために使用することができる技術である。多くのフーリエ変換分光計(FTS)は、マイケルソン干渉計を利用しており、入力光と干渉計との相互作用の結果得られる時変性の信号に符号化された光のスペクトルを測定する。マイケルソンFTSでは、干渉縞は、時間でサンプリングされる。マイケルソンFTSは、可動鏡を使用し、該鏡は、2本に分割され次いで再結合される入力ビーム間において時変性の光路差(OPD)を生じさせる。単色光によって照射されるときは、この時変性OPDに対する検出器応答は、OPDの変化率及び入射光の波長の関数を周期とする正弦波信号である。入射光の波長は、通常は基準レーザ信号を使用して、OPDの変化率に関する正確な知識によって、サンプリングで得られた信号をもとに回復される。複数波長による照射は、加法的な合成模様を生成し、個々の波長の強度は、適切な前処理後にフーリエ変換を使用して回復される。サンプリングで得られた干渉縞(すなわちインターフェログラム)からスペクトルへの変換は、十分に確立されている。
【0004】
もう1つのタイプのFTSは、空間FTSであり、入力光のスペクトルは、検出器配列によってサンプリングされた空間パターンに符号化される。空間FTSは、例えば、光学を使用して、完全な対称性から鏡又はビーム分割器を僅かにずらすなどによって、検出器配列においてOPDの勾配を生じさせる。このOPDの勾配と照射光との相互作用は、配列によってサンプリングされた干渉縞を生成する。インターフェログラムは、既知の単色光源(例えば、干渉フィルタを透過された光)を使用して、波長で較正される(すなわち、OPDの傾斜が決定される)。検出器配列素子に応じた不均一性がサンプリング及び補正されたら、データ処理は、マイケルソンFTSデータ処理と同様になる。
【0005】
一部の実施形態では、フーリエ変換分光計は、入力光を使用して、干渉縞を形成するためのファブリーペロー干渉計と、干渉縞の画像を捉えるためにファブリーペロー干渉計に対して位置決めされた検出器であって、複数の検出素子を含み、検出器に直交する光軸を定めている検出器と、検出器に通信可能につながれ、光のスペクトル成分に関する情報を決定するために干渉縞画像を処理するように構成されたプロセッサとを含み、ファブリーペロー干渉計は、光に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1及び第2の光学表面を含み、第1及び第2の光学表面は、それらの間に共振空洞を形成し、第1の光学表面と第2の光学表面との間の距離は、光軸に直交する第1の横方向に空間的に可変である。
【0006】
一部の実施形態では、入力光のスペクトル成分を決定する方法は、ファブリーペロー干
渉計を使用して入力光から干渉縞を形成することと、干渉縞の画像を捉えるためにファブリーペロー干渉計に対して位置決めされた検出器を使用して、干渉縞画像を形成することであって、検出器は、複数の検出素子を含み、検出器に直交する光軸を定めている、ことと、光のスペクトル成分に関する情報を決定するために、プロセッサを使用して、干渉縞画像を処理することとを含み、ファブリーペロー干渉計は、光に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1及び第2の光学表面を含み、第1及び第2の光学表面は、それらの間に共振空洞を形成し、第1の光学表面と第2の光学表面との間の距離は、光軸に直交する第1の横方向に空間的に可変であり、干渉縞画像は、ファブリーペロー干渉計の特性が意図的に変更されない期間中に捉えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書では、発明の特定の態様、利点、及び特徴が説明される。しかしながら、発明のどの実施形態でも、このような全ての態様、利点、及び特徴が必ずしも含まれる又は達成されるのではないことが理解されるべきである。したがって、発明は、1つ又は1群の態様、利点、又は特徴を、本明細書で教示又は示唆されるだろうその他の態様、利点、又は特徴を含む又は達成することなく含む又は達成する方式で、具現化又は実施することができる。添付の図面には、例示目的のためにのみ、特定の実施形態が示されている。
【0008】
【図1】2つの光学表面間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計の動作を示した概略図である。
【0009】
【図2】2つの光学表面間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計(上側)及び2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計(下側)について、平行入力ビームに応答する出力を示した図である。
【0010】
【図3】干渉縞を形成するために2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用するフーリエ変換分光計の一実施形態を示したブロック図である。
【0011】
【図4】図3のフーリエ変換分光計に使用することができる一実施形態のファブリーペロー干渉計を示した図である。
【0012】
【図5】図3のフーリエ変換分光計に使用することができる別の一実施形態のファブリーペロー干渉計を示した図である。
【0013】
【図6】空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用し、光収集光学系と干渉縞中継光学系とを含む、フーリエ変換分光計を示した概略図である。
【0014】
【図7】2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を通る単色光の透過を、光学表面の様々な反射率値について示したグラフの例である。
【0015】
【図8】18%反射光学表面を有するファブリーペロー干渉計に対応する図7の曲線のフーリエ変換を示したプロットの例である。
【0016】
【図9】空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計について、単色光源のピークフーリエ振幅を表面反射率の関数として示したプロットの例である。
【0017】
【図10】空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用するフーリエ変換分光計について、絶対効率の推定量を示したプロットの例である。
【0018】
【図11】空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計からの干渉縞画像の例であり、単色入力ビームの場合に縞周期に対して入射角が及ぼす影響を示している。
【0019】
【図12】0度から所定の入射角までの範囲にわたって各入射角における信号を積分されたものを示した干渉縞画像の例である。
【0020】
【図13】空気で満たされた空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計について、分解能を入力光のF値の関数として示したプロットの例である。
【0021】
【図14】空間的に変化するギャップを伴うゲルマニウムファブリーペローエタロンについて、分解能を入力光の有効F値の関数として示したプロットの例である。
【0022】
【図15】空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計を使用して測定された蛍光のスペクトルを示したプロットの例である。
【0023】
【図16】空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用したフーリエ変換分光計の一実施形態の写真である。
【0024】
【図17】図16のフーリエ変換分光計を使用して得られた干渉縞画像の例である。
【0025】
【図18】ジエチルエーテルをビームに噴き付けて測定された黒体源のスペクトルのプロットの例であり、図16のフーリエ変換分光計を使用して得られたものである。
【0026】
【図19】図18をもとに測定スペクトルの時間変動を示したプロットの例である。
【0027】
【図20】線形に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計によって生成された干渉縞画像の例である。
【0028】
【図21】ジエチルエーテルをビームに噴き付けて黒体源について測定されたスペクトルのプロットの例であり、線形に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計を使用して得られたものである。
【0029】
以下の開示は、光のスペクトル成分に関する情報を得るために処理することができる干渉縞、すなわち縞模様を生成するために、反射層間に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を使用するタイプの、空間FTSの実施形態を説明している。一部の実施形態では、ギャップは、FTSの光軸に直交する方向に変化する。この空間的に変化するギャップは、検出器において光路長の勾配を生じさせる。この光路長の勾配は、実施形態によっては従来のFTSデータ処理技術によって解析可能である干渉縞を生成する。本開示は、また、FTSの一部の実施形態によって生成される非正弦波周期空間干渉縞による影響力はもちろん、感度を高める又は最大にするための層反射率の選択、並びに干渉計に対して様々な入射角度を有する入力光と併せてRTSを使用することによる影響も説明している。
【0030】
図1は、2つの光学表面102と104との間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計100の動作を示した概略図である。ファブリーペロー干渉計100は、入射光線に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1の平面状の光学表面102を含む。ファブリーペロー干渉計100は、また、光に対して同様に一部透過性で且つ一部反射性である第2の平面状の光学表面104も含む。
【0031】
ファブリーペロー干渉計100は、光学表面間における複数の反射によって引き起こされる波長依存性の干渉による光の変調という、自然界で広く観測される現象を引き出す。ロバート・フックは、この現象を、板に物理的に接触したレンズについて報告した。結果得られる干渉環は、その現象についてのニュートンによる詳細な解析ゆえに、ニュートン環として知られている。ファブリーペロー干渉計100は、2つの一部反射性の表面をごく接近させて配置し、共振空洞101を形成することによって、この現象を引き出す。対を成す表面102、104に入射する光線106は、空洞101内で多重反射し、空洞101を異なる回数にわたって横断した後にファブリーペロー干渉計100から出て行く光線T1、T2(又はR1、R2)の間において干渉を生じる。
【0032】
空洞101を通過するのに伴って光がどのように変化されるかに関する詳細は、一次には、反射表面間の空間の長さ(l)と、それらの反射率と、法線108に対する入射角(θ)と、反射器102と104との間のギャップ内の媒質の屈折率(n)とに依存する。
【0033】
ファブリーペロー干渉計100による透過は、(可変ギャップの面内における位相差δの役割を強調する形式で記述された)以下の方程式によって与えられる。
【数1】
この式では、Rは、層の反射率であり、δは、反射間における位相差である。変数δは、以下の式によって与えられる。
【数2】
ここで、nは、ギャップ内の媒質の屈折率であり、θは、光線が法線108に相対的にギャップを横断する角度であり、Lは、ギャップ厚さ(ここでは、この場合は法線108に平行である光軸に直交するx方向における位置の任意の関数として表される)であり、λは、波長である。波長及びギャップ厚さは、同じ単位で表される。
【0034】
従来のファブリーペロー干渉計(例えば100)では、ギャップは、x方向に一定であるので、関数l(x)は、定数に等しい。走査型ファブリーペロー干渉計は、光軸に沿って縦方向に、時間とともにギャップ厚さを変化させるが、ギャップ厚さは、各時点ではやはり、(例えば光軸に直交する横方向に)空間的に一定にとどまる。
【0035】
歴史的に見て、ギャップが空気又は真空であるファブリーペロー装置は、干渉計と呼ばれることがあり、一方で、固体で満たされたギャップは、エタロンと呼ばれることがある。しかしながら、動作の原理は同じであり、本開示では、それとは反対に明記されていない限り、いずれも区別しないで使用される。
【0036】
図2は、2つの光学表面間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計200(上側)及び2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計220(下側)について、平行入力ビームに応答する出力を示している。図2の下側部分は、空間的な縞を伴う干渉縞を構築するためのファブリーペロー干渉計の使用を概念的に示している。
【0037】
図2の上側部分は、単色点光源210を含む。単色点光源210からの光は、レンズ2
11によって平行化されて平行入力ビーム212を形成する。この平行ビームは、図1に関連して上述されたように、2つの光学表面間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計200に入射する。干渉計200における光学表面が平行であることによって、出力ビーム214における干渉縞は、検出画面(この場合は平行入力ビーム212)全体にわたって均一になる。これは、検出器における強度218をx方向における検出器上の位置の関数としてグラフ表示したプロット216に示されている。線218から明らかなように、関数l(x)は、ファブリーペロー干渉計200の場合は定数に等しく、角度θは、平行入力ビーム212の場合は一定であるので、検出器における強度もまた、方程式(1)及び(2)のそれぞれにおいてx方向に一定である。
【0038】
反対に、図2の下側部分は、2つの光学表面(図2において非平行線として示されている)間に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計220の出力を示している。この場合、単色点光源230は、レンズ231によって平行入力ビーム232に平行化されてファブリーペロー干渉計220に入射する光を放射する。ファブリーペロー干渉計220は、出力ビーム234において干渉縞238を形成する。干渉縞238は、検出器における強度をx方向における検出器上の位置の関数としてプロットしたプロット236に示されている。ファブリーペロー干渉計220の板は、平行ではなく、互いに対して傾いているので、方程式(2)におけるギャップ厚さlは、x方向における位置とともに線形に変化する。したがって、方程式(1)及び(2)のそれぞれにおいて、透過された干渉縞は周期関数であり、これは、検出器上に周期信号238を生成する。
【0039】
空間FTSの特性は、1つには、波長に依存する空間縞模様(例えば周期縞模様)を形成することにあり、該模様は、スペクトルを決定するために、検出器配列によって空間的にサンプリングされて、例えばフーリエ変換を使用して処理される。従来のFTS機器には、縞模様を生成するために、ビーム分割器をベースにした干渉計、又は適切な偏光器を伴う複屈折結晶のいずれかを使用するものがある。しかしながら、図2の下側部分に示されるように、本明細書で説明される空間FTSは、縞模様を生成するために、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用する。
【0040】
図3は、干渉縞334を形成するために2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計320を使用するフーリエ変換分光計350の一実施形態を示したブロック図である。フーリエ変換分光計350は、スペクトル成分の測定を所望される任意の光源から入力光332を受信することができる。本明細書で説明されるFTSの実施形態は、例えば、電磁スペクトルの可視領域及び赤外領域で動作することができる。入力光332は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計320に向けられる。
【0041】
ファブリーペロー干渉計320は、検出器340に向けられる干渉縞334を形成する。検出器340は、干渉縞334を様々な場所で同時に空間的にサンプリングするために、一次元の直線状の配列の形で配置された複数の検出素子を含むことができる。検出素子は、例えば、フーリエ変換分光計350が画像分光計である場合などは、二次元配列の形で配置することもできる。このようにして、検出器340は、干渉縞画像338を形成する。検出器340は、例えば機器の光軸に直交する面内に配置された幾つかの検出素子を含むことができる。検出器340は、より高い次元性を有することもできる(例えば、検出素子は、円筒状の表面上又はその他の非平面状の表面上に配置されてよい)。
【0042】
一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計320は、検出器配列におけるOPD関数が線形であって尚且つ縞模様の中心でゼロに等しいような、対称的なインターフェログラムを生成するように設計することができる。図2の下側部分に示された配置は、ゼロOPDに達しない。ゼロOPDを達成するためには、2つの表面を光学的に接触させる。こ
れは、様々なやり方で達成することができ、そのうちの2つが、図4及び図5に示されている。
【0043】
検出器は、画像プロセッサ342に通信可能につながれている。画像プロセッサ342は、検出器から干渉縞画像を受信し、画像処理アルゴリズムを実行して、干渉縞画像338を空間領域から周波数領域に変換する。画像プロセッサ342は、例えばフーリエ変換などの様々な技術を使用して、この変換を実施することができる。一部の実施形態では、離散フーリエ変換は、サイン、コサイン、又はフーリエ変換の関数を実施するが必ずしもフーリエ変換であるとは定められていない等価の指数形式を除くそれ以外の基底関数を使用するように変更することができる。数学的に一般的に定められているフーリエ変換の使用を伴うことなくデータをスペクトル領域に変換するために、神経回路網又はその他の統計的手法を使用することも可能である。フーリエ変換の追加又は代わりとして、その他の変換技術を使用することも可能であり、この種の機器は、フーリエ変換分光計として広く知られているが、画像プロセッサ342は、干渉縞画像338に対して必ずしもフーリエ変換を実施する必要はない。
【0044】
図4は、図3のフーリエ変換分光計350に使用することができる一実施形態のファブリーペロー干渉計420を示した図である。ファブリーペロー干渉計420は、スペクトル成分を測定対象とされる光に対してともに一部透過性で且つ一部反射性である第1の光学表面454及び第2の光学表面458を含む。一部の実施形態では、第1の光学表面454は、光軸466に沿って位置付けられた第1の光学素子452の後面である。第2の光学表面458は、例えば、光軸466に沿って位置付けられた第2の光学素子456の前面であることができる。一部の実施形態では、光軸466は、ファブリーペロー干渉計420からの光がファブリーペロー干渉計420を通過した後に透過又は反射のいずれかによって向かう先である検出器(図4では不図示)に直交する。
【0045】
第1及び第2の光学表面454、458は、連携してそれらの間に共振空洞460を形成する。図4に示されるように、第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャップ462は、光軸466に実質的に直交する横方向に変化する。具体的には、ギャップ462が、x方向に変化する一方で、光がフーリエ変換分光計内を進むときに沿う光軸466は、z方向に縦に延びている。一部の実施形態では、ギャップ462は、光軸466に対し、検出器の検出素子(例えば画素)が光軸に対して配置される方向に対応する一方向に変化する。
【0046】
図4に示された特定の実施形態では、第1の光学表面454は、実質的に平面状であり、第1の光学素子452は、板である。一方、第2の光学表面458は、頂点エリア464で合流する2つの傾斜平面部位を含み、第2の光学素子456は、プリズムである。プリズム456の頂点エリア464は、光軸466が干渉計420と交差する場所464の近くで第1の光学表面454に光学的に接触するが、これは、必須ではない。一部の実施形態では、プリズム456は、第1の光学素子452と第2の光学素子456との間の光学的接触を促すために、頂点エリア464において平坦部分を含む。第2の光学表面458は、2つの部位で構成されるとして示されているが、いずれの光学表面も、任意の数の部位で構成することが可能である。
【0047】
ファブリーペロー干渉計420の第1及び第2の光学表面454、458は、平面状又は区分的に平面状であるとして示されているが、これは、必須ではない。実際、第1及び第2の光学表面454、458は、それらの間のキャップ462が共振空洞460内における場所の関数として(例えば光軸に直角に)変化する限り、任意の形状を有することができる。例えば、第1及び/又は第2の光学表面454、458は、直線状、曲線状、又は直線状の部位と曲線状の部位との区分的な組み合わせであってよい。また、第1及び/
又は第2の光学表面454、458は、滑らかである、不連続である、尖っているなどであってよい。
【0048】
ギャップ462の幅は、共振空洞460内においてx方向に位置の関数として変化する。ギャップ幅462の厳密な変化は、第1及び第2の光学表面454、458の形状、並びにそれらが互いに対してどのように変化するかに依存する。一部の実施形態では、ギャップ幅は、図2に示されたファブリーペロー干渉計220によって例示されるように、線形に変化する、又は図4に示されたファブリーペロー干渉計420によって例示されるように、区分的に線形に変化する。このギャップ幅の線形変化は、光学表面454、458の一方若しくは両方の線形傾斜によって、又は合わせるとやはりギャップ幅の線形変化をもたらす更に複雑な形状の光学表面によって、生じさせることが可能である。
【0049】
ギャップ幅の線形変化は、しかしながら、必須ではない。実際、ギャップ462の幅の変化は、非線形又は任意であってよい。ギャップ幅の変化は、例えば、線形であってよい、又はより高次の式で表されてよい。互いに対する光学表面454、458の傾斜は、フーリエ変換分光計が動作できる波長範囲を決定するために、例えば、検出素子のピッチとの関連で設定することができる。より急な傾斜の表面は、より高周波数の縞模様を干渉縞において形成し、これは、より高周波数のスペクトル成分につながる。
【0050】
既に論じられたように、ファブリーペロー干渉計の光学表面間のギャップは、必ずしも(例えば機器の光軸に直交する方向に)線形に又は区分的に線形に変化する必要はない。しかしながら、もし、形状如何にかかわらず、ギャップ幅の空間的変化が既知であるならば、入力光のスペクトルは、後処理において正確に再構築することができる。ギャップ幅の非線形空間変化は、結果得られる干渉縞を歪めることがあるが、このような歪みは、空間位置の関数としてのギャップ幅変化に関する正確な知識に基づいて補正することが可能である。
【0051】
一部の実施形態では、共振空洞460内のギャップは、最小値ゼロを有することができ、これは、例えば、干渉計424の中心(例えば464)又は1つ若しくは2つ以上のその他の場所(例えば干渉計424の周縁部分)で達成することができる。或いは、共振空洞460内のギャップは、1つ又は2つ以上の場所で非ゼロの最小値を有することができ、第1及び第2の光学素子452、456は、適切な構造的支えによって、互いに対して所望の位置に保持することができる。
【0052】
一部の実施形態では、第1及び第2の光学表面454、458は、互いに物理的に接触する場所を1つ又は2つ以上有する。このような実施形態では、第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャップ462は、ゼロに近づくが、厳密にはゼロには到達しないだろう。その他の実施形態では、しかしながら、第1及び第2の光学表面454、458は、それらの間のギャップ462がゼロに到達するように互いに光学的に接触する場所を、1つ又は2つ以上有する。第1の光学表面454と第2の光学表面458との間の光学的接触は、圧力を印加して第1及び第2の光学素子452、456を互いに押し合わせること、(1つ又は2つ以上の)接触場所に屈折率を整合させる光学接着剤を塗布することなどの、幾つかのやり方で達成することができる。金属又は金属酸化物の薄膜を使用することもできる。更にその他の実施形態では、しかしながら、第1及び第2の光学表面454、458は、互いに接触しない。図4では、第1及び第2の光学表面454、458は、ファブリーペロー干渉計の中心で互いに光学的に接触している。しかしながら、第1及び第2の光学表面454、458がその他の場所で互いに光学的に接触する又は全く接触しないその他の設計が使用されてもよい。
【0053】
既に論じられたように、第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャッ
プは、少なくとも1つの方向に空間的に変化する。具体的には、図4に示された実施形態では、ギャップは、縦のz方向及び光軸466に直角なx方向に変化する。第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャップは、その他の方向にも同様に変化することができる。例えば、ギャップ462は、例えば、x方向に加えてy方向にも変化してよい。このような実施形態では、ファブリーペロー干渉計420によって形成される干渉縞は、光源のスペクトル成分を複数方向に分解可能にするように、複数方向に形成された縞を有することができる。一部の実施形態では、ギャップ幅の変化は、光軸466を中心に対称性であるが、これは、必須ではない。
【0054】
共振空洞460は、真空密閉する、又は気体(例えば空気)若しくは液体で満たすことができる。或いは、共振空洞は、固体材料で満たすことができる。このような実施形態では、第1及び第2の光学表面454、458は、1つの光学素子の前面及び後面であることができる。
【0055】
ファブリーペロー干渉計420によって形成される干渉縞は、明暗の縞模様である。縞は、例えば、空間的に周期的であってよい。検出素子(例えば画素)の配列を伴う検出器は、干渉縞の画像を形成するために、ファブリーペロー干渉計420に対して位置決めすることができる。一部の実施形態では、各検出素子は、それぞれ異なる空間場所で実質的に同時に干渉縞をサンプリングする。
【0056】
一部の実施形態では、本明細書で説明されるフーリエ変換分光計(例えば350)及び/又はファブリーペロー干渉計(例えば420)は、可動部分を含まない。或いは、ファブリーペロー干渉計(例えば420)の第1及び第2の光学表面454、458は、互いに対して可動であってよい。例えば、第1及び第2の光学表面454、458は、干渉計を様々な用途に適応させるために、光軸466に沿ったz方向に縦に移動する、又は互いに対して傾くことができる。このような移動は、例えば、圧電変換器や精密モータなどによって提供することができる。しかしながら、たとえこのような実施形態でも、第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャップは、本明細書で論じられるように空間的に変化することが注意されるべきである。更に、このような実施形態は、入力光のスペクトル成分の決定に必要とされる情報を集めるために、第1及び第2の光学表面454、458の互いに対する移動も、干渉計(例えば420)のその他のいかなる時変特性も必要としないことが注意されるべきである。
【0057】
走査型ファブリーペロー干渉計を使用するだろうその他のタイプのフーリエ変換分光計と異なり、本明細書で説明されるフーリエ変換分光計の実施形態は、入力光のスペクトルを明らかにするために処理することができるインターフェログラムを測定するために、ファブリーペロー干渉計のいかなる特性(例えばギャップ幅、屈折率、方位角など)の時間的変化も必要としない。したがって、本明細書で説明されるファブリーペロー干渉計(例えば420)の一部の実施形態は、第1及び第2の光学表面(例えば454、458)の相対位置などの何らかの特性の時間的変化を制御できるとはいえ、入力光のスペクトル成分を解析する目的で集められる各インターフェログラムは、インターフェログラムが捉えられている間、光学表面の相対位置又はファブリーペロー干渉計のその他のいかなる特性も意図的に時間的に変化させることなく捉えられる。
【0058】
図5は、図3のフーリエ変換分光計350に使用することができる別の一実施形態のファブリーペロー干渉計520を示した図である。ファブリーペロー干渉計520は、同様に、間に共振空洞560を形成する第1及び第2の光学表面554、558を含む。また、第1の光学表面554は、干渉計520の光軸566に直交して設けられた光学板552の、実質的に平面状の後面である。第2の光学表面558は、しかしながら、平凸レンズ556の凸部分である。一部の実施形態では、レンズ556は、円柱レンズであるが、
例えば球面状又は非球面状であってもよい。
【0059】
ファブリーペロー干渉計520は、レンズ556を板552に光学的に接触させることによって形成される。このようにして、第1の光学表面554と第2の光学表面558との間に共振空洞560が形成される。この場合、第1の光学表面554と第2の光学表面558との間のギャップ562は、光軸566に直交するx方向に非線形に変化する。ギャップ562は、光軸566が共振空洞560と交差する場所564でゼロである。このギャップ幅の非線形変化は、ファブリーペロー干渉計520によって生成される干渉縞に幾らかの歪みをもたらすことがある。しかしながら、ギャップ幅の空間変化が既知であるので、干渉縞に対するその影響は、後処理において計算及び補正することが可能である。したがって、非線形に変化するギャップは、必要に応じて更なる処理のために線形化することが可能な干渉縞を形成するだろう。
【0060】
図6は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計620を使用し、光収集光学系670と干渉縞中継光学系675とを含む、フーリエ変換分光計650を示した概略図である。ファブリーペロー干渉計620は、本明細書で論じられるように、第1及び第2の光学表面654、658を有する。光収集光学系670は、光源からの光を集め、それを用途に応じて適切な方式でファブリーペロー干渉計620に向かわせるための、1つ又は2つ以上の光学素子(例えばレンズ素子)を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、光収集光学系670は、光源の像をファブリーペロー干渉計620上に形成するように構成される。このような実施形態では、光収集光学系670の焦点距離及びその他の特性は、光源及びファブリーペロー干渉計620が共役光学面に位置付けられるように設定される。その他の実施形態では、光収集光学系は、干渉計620のための平行入力ビームを形成するように構成することができる。しかしながら、本明細書で説明される実施形態のフーリエ変換分光計には、光収集光学系を含まないことがあることも理解されるべきである。
【0061】
干渉縞中継光学系675は、ファブリーペロー干渉計620によって形成された干渉縞を検出器640に中継するために使用することができる。光学系675は、1つ又は2つ以上の光学素子(例えばレンズ素子)を含むことができ、例えば、検出器640とファブリーペロー干渉計620とが共役光学面上に位置付けられるように構成することができる。一部の実施形態では、中継光学系675及び検出器640は、カメラとして統合される。一部の実施形態では、空間的に変化するギャップ620を伴うファブリーペロー干渉計も、同様に、このようなカメラに統合することができる。一部の実施形態では、検出器640、干渉縞中継光学系675、ファブリーペロー干渉計620、及び光収集光学系670は、共通の光軸666を共有する。
【0062】
ファブリーペロー干渉計620は、検出器において複像を形成させるかもしれない。しかしながら、このような複像はもちろん、更なるフレネル干渉もまた、例えば、光線が検出器において再結合しないように光学的接触に十分な空間を割り当てることによって、管理することができる。一部の実施形態において、干渉縞を干渉計620から検出器640に移すために中継光学系675を使用することの利点は、干渉計の入力側において比較的低速のビームを使用できること、及び感度を向上させるために検出器に対する最終的なF値を倍率によって上げられることにある。
【0063】
本明細書で説明される実施形態のフーリエ変換分光計には、干渉縞中継光学系を含まないものがあることが理解されるべきである。このような実施形態では、例えば、検出器640は、干渉計によって生成された干渉縞が干渉縞を検出器に移すための光学の使用を伴うことなく検出器640によって成功裏に捉えられるように、十分にファブリーペロー干渉計620に接近して位置付けることができる。例えば、検出器640は、ファブリーペ
ロー干渉計620に光学的に接触するように配することができる。一部の実施形態では、ベイヤーフィルタ若しくはその他フィルタマスクなどのフィルタ、又はその他の光学素子を、ファブリーペロー干渉計620と検出器640との間に追加で提供することができる。
【0064】
一部の実施形態では、フーリエ変換分光計650は、撮像対象とされる表面を分光計の視野にわたって走査するためのスキャナを含む。例えば、スキャナは、機器の光軸及びファブリーペロー干渉計620のギャップ幅が変化する横方向の両方に直交する方向に、分光計の視野にわたって走査することができる。
【0065】
フーリエ変換分光計における、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計の使用は、図7〜14に関連して論じられる設計上の考慮材料を幾つかもたらす。
【0066】
図7は、2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を通る単色光の透過を、光学表面の様々な反射率値について示したグラフの例700である。干渉計を通る透過は、位置の関数として(例えば、ファブリーペロー干渉計のギャップ厚さが変化する方向に)プロットされ、トラフと比較したピークの単位変調によって正規化されている。プロット700上の各透過曲線701〜705は、ファブリーペロー干渉計の光学表面における異なる反射値を表している。最も正弦波状の関数(すなわち曲線701)が、非常に低い層反射率で生じる一方で、高い反射率は、周期的な狭いピーク(すなわち曲線705)を生成する。
【0067】
空間的に可変のギャップを伴うファブリーペロー干渉計又はエタロンからの周期信号は、純粋な正弦波状ではないので、単色入力信号についてデバイスによって生成された干渉縞のフーリエ変換は、干渉計を複数回通過することを反映し、主要周波数の整数倍でサイドローブを示している。
【0068】
図8は、18%反射光学表面を有するファブリーペロー干渉計に対応する図7の曲線のフーリエ変換を示したプロットの例800である。フーリエ変換の振幅は、周波数の関数としてプロットされ、いずれも、任意の単位で表される。主な基本周波数810は、±0.3単位にあり、より高次のサイドローブ820、830が、より高い周波数で現れている。具体的には、干渉縞の周期的性質を前提として、第1のサイドローブ820は、0.6単位で現れ、第2のサイドローブ830は、0.9単位で現れ、これらはいずれも、基本周波数の整数倍である。ゼロ周波数におけるピーク840は、入力関数における小さなDCオフセットに起因する。
【0069】
もし、より高次のサイドローブ820、830の帯域幅が、主要周波数成分と重複するのに十分な大きさであると、これらのサイドローブ820、830は、過度のスペクトル汚染を表すことがある。より高次のサイドローブ820、830は、したがって、本明細書で説明されるフーリエ変換分光計に対して何らかの制約を及ぼすことがある。もし、サイドローブが、用途に応じた何らかの計量と比べて大きいと、スペクトルの非汚染部分(サイドローブ間)は、指定の波長の2の倍数になると考えられる。したがって、一部の実施形態では、フーリエ変換分光計(例えば350)は、波長について、2の倍数に制限される。
【0070】
図9は、空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計について、単色光源のピークフーリエ振幅910を表面反射率の関数として示したプロットの例900である。曲線910は、全反射率、非正弦波状の挙動、及び変調効率による、競合する影響を反映している。
【0071】
干渉縞画像のなかの最大信号を生成するファブリーペロー干渉計(例えば420)の表面層(例えば454、458)の反射性は、干渉計の3つの特性、すなわち、正味反射性(入力光子のカットを制御する)、解釈可能なスペクトル信号を含む縞コントラスト、及びサイドローブへの信号電力の漏出との間の歩み寄りである。単に解析を目的として、層反射性に対するファブリーペロー干渉計の正味効率は、単色入力信号から得られる干渉縞画像のフーリエ変換のピーク振幅によって特徴付けられると想定される。非常に低い層反射率では、ピーク対トラフの変調が低く、ゆえに、信号は低い。非常に高い反射率では、デバイスは、大半の入力光子をカットし、極端なサイドローブを見せるので、効率は、やはり低い。これらの両極端の間に、最大値がある。
【0072】
図9のプロット900は、ファブリーペロー干渉計の効率の一測定量が層反射率の関数としてどのように変化するかを示している。前述のように、最大フーリエ振幅によって測られる効率は、高い層反射率及び低い反射率の両方で低くなる。プロットされた効率910は、40%の近くで相対的に最大の反射率を示している。したがって、一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計(例えば420)の第1及び第2の光学表面(例えば454、458)は、最大効率を向上させるために、約40%の反射率を与えられる。一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計の第1及び第2の光学表面は、約20〜60%の範囲の反射率を与えられる。一部の実施形態では、第1及び第2の光学表面は、約10〜70%の範囲の反射率を与えられる。第1及び第2の光学表面の一方又は両方が、これらの範囲の反射率を有してよい。更に、光学表面は、ともに、実質的に同じ反射率を有してよい、又は異なる反射率値を有してよい。一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計の第1及び第2の光学表面の反射率は、所望のレベルのフレネル反射率を提供する屈折率を有するコーティングされていない材料を使用することによって設定される。代わりに及び/又は加えて、第1及び第2の光学表面は、所望の値の反射率を達成するために、金属コーティング及び/又は誘電体コーティングを提供されてもよい。
【0073】
図9に示された計量は、相対的であり、比較的高い効率を得る層反射率を指定するのには適切であるが、絶対効率の測定量を伴う放射性能を定量的に予測するには不適切である。絶対効率は、単に解析を目的として、ファブリーペロー干渉計によって生成される干渉縞における縞の変調効率と、100%変調及びゼロ反射性(純粋な正弦波)における効率に対して正規化されたピーク信号との積として定めることができる。ピーク信号の項は、本明細書で論じられるように、反射性に起因する損失と、サイドローブの項とを含む。この解析を目的として、変調は、最大信号に対して正規化された、最大信号と最小信号との間の差として定められる。正規化されたピーク強度は、方程式1に対する単色入力のフーリエ変換のピーク振幅であり、入力を100%変調に対して正規化され、出力を純粋な正弦波への応答に対して正規化されている。
【0074】
図10は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用するフーリエ変換分光計について、絶対効率1030の推定量を示したプロットの例1000である。ゼロ反射率をピークとする曲線1010は、単色入力から得られた干渉縞のフーリエ変換の振幅であり、今回は、入力を100%変調に対して正規化され、出力を純粋な正弦波に対して正規化されている。100%反射率をピークとする曲線1020は、変調効率である。第3の曲線1030は、効率の推定量であり、これは、それ以外の2つの曲線1010と1020との積である。効率の推定量1030は、この特定の推定値によると、ファブリーペロー干渉計の効率が40%反射率の近くをピークとすること、及び最大効率が70%の近くであることを示している。
【0075】
図11は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計からの干渉縞画像の例1100であり、単色入力ビームの場合に縞周期に対して入射角が及ぼす影響を示している。本明細書で論じられるように、一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計は
、光収集光学系(例えば670)の結像面において使用される。画像内の各点は、撮像光学系に依存する角度範囲内の様々な角度から集まった光線で形成される。このような実施形態では、ファブリーペロー干渉計(例えば620)における光の結像は、検出器配列(例えば640)内の1つの画素に最終的に入射する光を、様々な角度でファブリーペロー干渉計(例えば620)を横断したものにする。干渉計によって形成された干渉縞の縞周期は、光が干渉計を横断する角度の関数であるので、これは、干渉縞に影響を及ぼす。
【0076】
もし、縞周期が、隣り合う最大値間の間隔として定義されるならば、透過の最大値は、位相差δのコサインが1であって(方程式1)尚且つNを整数としてδ自体がπ(N+1/2)の値を有するときに生じる。方程式2から、縞間隔は、Nの値の間の単位差に比例する。N=0(δ=π/2)及びN=1(δ=3π/2)を使用すると、単純化後の結果は、
【数3】
である。ここで、Δlは、ピーク間のギャップ差であり、Pは、マイクロメータを単位とした空間周期であり、λは、マイクロメータを単位とした波長であり、Sは、可変ギャップの傾斜である。縞周期は、ファブリーペロー干渉計の光学表面間のギャップを光線が行き来する角度の関数であるので、或る点における角度の範囲が、その点において測定される縞周期の範囲をもたらす。もし、干渉縞が、有限F値を伴う実用カメラによって撮影されるならば、各画素は、或る範囲内の入射角に由来する光を集める。したがって、これらの縞模様は、周期の範囲によって、検出器において合計される。図11に示されるように、干渉縞の縞周期は、入射角の増大とともに増加する。したがって、図に示されるように、縞は、入射角が高くなるにつれて、各縞の周期が大きくなるゆえに、垂直から逸れて曲がり始める。
【0077】
ファブリーペロー干渉計を異なる角度で横断した光の、検出器の各画素における混合は、機器の分解能を2つの形で制限すると考えられる。第1に、画像データの空間領域からスペクトルデータの周波数領域への変換は、或る光線が干渉計を通るときに通過する集光レンズのゾーンに応じて信号の周波数を僅かに異ならせるので、最終的な測定スペクトルでは、狭帯域の入力光信号の幅が広くなる。第2に、各検出器画素における光線が、或る範囲の信号について合計されたときに、極限角度の位相が180度ずれるヌルが形成されることがある。
【0078】
図12は、0度から所定の入射角までの範囲にわたって各入射角における信号を積分されたものを示した干渉縞画像の例1200である。図に示されるように、極限角度における信号は、位相のずれを生じて打ち消し合うので、入射角の増大に伴って、枠の端に向かってヌルが発生する。ヌルは、実験的に観察することができ、用途によっては、本明細書で説明された空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計の分解能限界として捉えることができる。ヌルは、存在する極限角度の関数として表すことができる。オブスキュレーションを持たない光学系では、一方の極限は、0度(例えば光軸)である。中央オブスキュレーションを持つ光学系では、値は、その他の何らかの角度になるだろう。もう一方の極限は、例えば、光収集光学系のF値によって定めることができる。
【0079】
ヌルは、θ1における縞数が、θ2における縞数とその2分の1との合計に等しいとき
に発生し、
【数4】
である。ここで、Fは、縞の数であり、添え字は、極限角度を示している。オブスキュレーションを持たない(θ1=0)を想定すると、ヌルに到達するための縞の数は、
【数5】
である。
【0080】
分解能は、観察される縞の数と密接につながっている。従来、FTSの分解能は、
【数6】
である。ここで、ΔσCは、波数の分解能であり、σCは、エイリアシングを回避するためのナイキストサンプリング(2サンプル/周期)における「遮断周波数」(光学系によって測定可能な最高周波数)であり、Mは、片側インターフェログラムにおけるサンプルの数である。ナイキストサンプリングでは、定義により、サンプル数Mは、縞数Fの2倍であり、ゆえに、スペクトル分解能R(λ/Δλ又はσ/Δσ)は、
【数7】
である。
【0081】
方程式7を使用し、空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計によって達成可能な分解能が、図13に示されている。図13は、空気で満たされた空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計について、分解能1310を入力光のF値の関数として示したプロットの例1300である。分解能1310は、本明細書で説明されるように、ヌルの位置に基づく。一部の用途で有用な分解能(例えばおよそ1%)は、比較的低いF値において得られる。多くのリモートセンシングシステムによって用いられるスペクトル分解能(例えばおよそ100)は、比較的適度に低いF値の光収集光学系(例えば670)によって達成することができる。一部の実施形態では、光収集光学系(例えば670)のF値は、約0.5〜20の範囲内である。
【0082】
もし、ギャップが、比較的高屈折率の固体、液体、ゲルなどで満たされているならば、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計の分解性能は、空気で満たされたギャップと比べて向上されると考えられる。図14は、空間的に変化するギャップを伴
うゲルマニウムファブリーペローエタロンについて、分解能1410を入力光の有効F値の関数として示したプロットの例1400である。ゲルマニウムの高屈折率は、達成可能な分解能に対して強力な効果をもたらす。もちろん、ゲルマニウム以外のその他の材料も、空気で満たされたギャップと比べて機器の分解能を向上させるために使用できるだろう。
【0083】
ファブリーペロー干渉計のギャップ内の比較的高屈折率の材料は、方程式1における角度θが干渉計における光の内角であるゆえに、分解能を向上させる。(ギャップを満たされた)ファブリーペローエタロンにおいて、満たしている媒質の屈折率は、スネルの法則にしたがって、この角度を入射角よりも小さくする。したがって、光学表面間のギャップ内の媒質の屈折率は、分解能に影響を及ぼす。ギャップ内の高屈折率材料は、理論上は、比較的高い分解能を達成するために使用することができるが、実際は、検出器の画素数が、入力ビームの有効F値よりも前に、分解能を制限すると考えられる。しかしながら、高屈折率材料で作成された空間的に変化するギャップを伴うファブリーペローエタロンは、それでも尚、例えば部分的インターフェログラムを測定するために使用できるだろう。このような用途は、1つには、非常に狭い帯域内における、微細なスペクトル構造を伴う特定のガスの検出である。
【0084】
70%に近いピーク効率(反射率による影響と、サイドローブによる影響と、可変変調による影響とを組み合わせたもの)は、ヌルに向かう振幅のロールオフによる影響力と組み合わされる。このロールオフは、別の約50%の損失を引き起こすと推定され、その結果、最終効率は約35%になる。波長が短いほど、F値及び傾斜Sに応じ、照射できる画素配列がフル配列よりも少なくなるので、ロールオフは、波長依存性であり、全効率を35%とする推定は、中間波長において、配列の全幅にヌルが配されることを想定している。経験されるロールオフ減衰は、波長に比例し、波長が長いほど少なく且つ波長が短いほど多い。基本的計算は、有用な空間FTSが、可変のギャップ厚さを伴うファブリーペロー干渉計から作成されるだろうことを示唆している。
【0085】
図15〜21は、本明細書で説明されるフーリエ変換分光計の一実施形態の実験用セットアップと、そのセットアップを使用して得られた実験結果とを示している。一実験では、フーリエ変換分光計は、白く表れているとはいえ狭い輝線で構成されている蛍光照射のスペクトルを測定するために使用された。図15は、空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計を使用して測定された蛍光のスペクトルを示したプロットの例1500である。図15のプロット1500は、図16に示された装置を使用して作成された。
【0086】
図16は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用したフーリエ変換分光計の一実施形態の写真1600である。上から順に、図16は、赤外線カメラ、IRカメラレンズ、IR中継レンズ、干渉計、フィルタ、及び黒体源を示している。図16における干渉計は、ともに光学ガラスで作成された円柱レンズと板とを使用して構築された。円柱レンズ及び板は、図5に例示されたように、空間的に可変なエアギャップを形成するために光学的に接触された。円柱レンズ及び板の、コーティングされていないガラス表面は、4%の反射率を有し、ファブリーペロー干渉計の第1及び第2の光学表面(例えば554、558)として機能した。円柱レンズと板との間のギャップの隔たりは、線形ではなかったが、レンズの直径が、縞模様の線形化を可能にした。表面が有する比較的低い反射率ゆえに、実験用のファブリーペロー干渉計は、穏やかな変調(約20%)を生じた。
【0087】
図15を参照すると、図16のファブリーペロー干渉計は、蛍光のスペクトルを解析するために使用された。ファブリーペロー干渉計によって形成された干渉縞は、視覚コント
ラストを高めるために暗い背景を使用して、透過率ではなく反射率の観点から観察された。干渉計によって形成された干渉縞は、狭スペクトル線を放射する蛍光源によって可能にされた鮮やかな色と、十分に分離された縞とによって、はっきり見ることができた。干渉縞の画像が捉えられた。縞の輪郭が抽出され、線形化され、次いで、図13に示されたスペクトルを生成するためにスペクトル領域に変換された。破線1520は、ランバート面から反射されて市販の回折格子分光計によって測定された蛍光源の放射輝度スペクトルを示している。実線1510は、空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴う実験版のフーリエ変換分光計を使用して測定されたスペクトルを示している。具体的には、実線1510は、干渉計において観察されてレーザ源によって校正された線形縞模様のフーリエ変換を示している。分解能は比較的低いが、蛍光源のスペクトル線は分解された。
【0088】
第2の実験では、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を作成するために、ともにコーティングされていない1−m焦点距離のZnSe円柱レンズとZnSe平板とが使用された。ZnSe表面が有する比較的高い反射率(約18%)ゆえに、変調は、およそ50%であり、干渉縞は、透過率の観点から観察された。ファブリーペロー干渉計は、摂氏100度の平板黒体によって裏側から照らされた1対の相対する50mm
f/1.4 IRカメラレンズを使用して市販のマイクロボロメータアレイカメラ上に結像された。黒体源によって得られた縞模様は、図15に示されている。
【0089】
図17は、図16のフーリエ変換分光計を使用して得られた干渉縞画像の例1700である。広い中央の縞は、光軸に直角なZnSeファブリーペロー干渉計のギャップの非線形変化に一致している。波長の校正を提供するために、及び縞模様を線形化するためのデータを提供するために、ビーム中に狭帯域10.45マイクロメータ干渉フィルタが配された。これらのデータを使用して、系の波長応答(主にカメラの波長感度と、干渉計及びカメラレンズの弱い波長変動との組み合わせ)が導出された。
【0090】
更なる実験では、この場合はジエチルエーテルである流動ガスのスペクトルを得るために、実験用のファブリーペロー干渉計が使用された。図18は、ジエチルエーテルをビームに噴き付けて測定された黒体源のスペクトルのプロットの例1800であり、図16のフーリエ変換分光計を使用して得られたものである。空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計が、特定の化学物質のスペクトルを捉えられることを示すために、比較的強い吸収体であるジエチルエーテルが使用された。曲線1810は、ジエチルエーテルガスを導入する前に測定された黒体放射のスペクトルを表している。IRカメラが作動してインターフェログラムを集めている間に、ビームにガスが導入され、曲線1820によって示されるように、直ちに縞応答が明らかになった。ガス吸収線は、(カメラ応答で畳み込まれた)黒体スペクトルを生成するために使用されたのと同じ手順を使用して明らかになり、黒体応答曲線1810に重ね合わされた。図19は、図18をもとに測定スペクトルの時間変動を示したプロットの例1900である。
【0091】
別の実験では、線形ギャップを伴うファブリーペロー干渉計が作成された。コーティングされていないZnSeから、比較的浅い開光角度(32mrad)を持つプリズムが作成された。このプリズムは、図4に示されるように、ZnSe平板に接触された。
【0092】
図20は、線形に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計によって生成された干渉縞画像の例2000である。干渉縞画像2000は、10.45ミクロン、50nm幅の入力に対するプリズム−板干渉計の応答を示している。画像の中心近くでは、縞は、恐らくは光学的接触の不良ゆえに、幾らかの歪みを生じている。縞は、枠の端に向かうのに伴って、強度の下落を見せている。中心から離れるのに伴った、縞の見え方の徐々の衰えは、本明細書で論じられるように、干渉計を通る
入射角の範囲に由来するヌルを示している。ヌルは、使用されたf/1.4入力ビームと一致した。縞期間は、位置に対して線形である。
【0093】
図21は、ジエチルエーテルをビームに噴き付けて黒体源について測定されたスペクトル2110のプロットの例2100であり、線形に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計を使用して得られたものである。この実験は、図18に示されたものと同様に実施された。しかしながら、このケースでは、系の応答は、相対的吸光度としてプロットされた。データは、10.5ミクロンのフィルタを使用して波長を校正され、応答の不均一性は、2つの黒体温度25℃及び100℃を使用して除去された。
【0094】
実施形態は、添付の図面との関連のもとで説明されてきた。しかしながら、これらの図面は、縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。距離や角度は、例示に過ぎず、実際の寸法及び例示されたデバイスのレイアウトに対して必ずしも厳密な関係を有するとは限らない。また、上述の実施形態は、本明細書で説明されたデバイスやシステムを当業者の一人が作成及び使用することを可能にするレベルの詳しさで説明されてきた。様々なヴァリエーションが可能である。構成要素、素子、及び/又は工程は、変更、追加、排除、又は再配置が可能である。特定の実施形態が明確に説明されてきたが、当業者にならば、本開示に基づいてその他の実施形態が明らかになる。
【0095】
実施形態によっては、本明細書で説明された任意の方法の特定の行為、事象、又は機能を異なる順序で実施する、追加する、合流させる、又は全てまとめて排除することができる(例えば、説明された全ての行為又は事象が方法の実施のために必要とは限らない)。更に、特定の実施形態では、行為又は事象は、同時に又は順番に実施することができる。
【0096】
本明細書で開示された処理又はプロセッサは、例えば、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はそれらの両方の組み合わせを使用して実装することができる。このような機能性がハードウェア又はソフトウェアのいずれとして実装されるかは、具体的な用途及び系全体に課される設計上の制約に依存する。説明された機能性は、具体的な用途ごとに異なるやり方で実現することができる。ソフトウェアの場合は、ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD−ROM、又は当該分野で知られたその他の形態のコンピュータ可読ストレージ媒体に常駐することができる。ストレージ媒体は、該ストレージ媒体に対してプロセッサが情報の読み出し及び書き込みを行うことができるように、プロセッサにつなぐことができる。ハードウェアの場合は、プロセッサは、単独のプロセッサコンピュータチップ、複数のプロセッサチップ、ASIC、FPGA、個別構成要素、又はその他の任意の適切な処理デバイス若しくは処理機器として実装することができる。また、プロセッサは、直接的に、又は(例えばインターネット若しくはLANなどのネットワークを通じて)遠隔に通信可能に、情報源につながれてよい。プロセッサは、分散コンピューティングクラスタ又はグリッドを含んでもよい。
【0097】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に適用されるものとして新規の特徴を図示、説明、及び指摘してきたが、例示されたデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細には、本開示の趣旨から逸脱することなく様々な省略、置き換え、及び変更が可能であることが理解される。一部の特徴は、その他の特徴とは別に使用又は実施することができるので、本明細書で説明された発明の特定の実施形態は、本明細書で述べられた特徴及び利点の全てを提供するのではない形態で実施することができる。本明細書で開示された特定の発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲に入る全ての変更が、特許請求の範囲に包含されると
される。
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、本明細書の一部と見なされるべく参照によってそれぞれその全体を本明細書に組み込まれた以下の米国仮特許出願、すなわち、2009年12月2日に出願され「SPATIALLY VARIABLE ETALON FOR SPECTROSCOPY AND SPECTRAL IMAGING(分光及びスペクト
ル画像解析のための空間的に可変のエタロン)」と題された米国仮特許出願第61/283,519号、並びに2010年5月17日に出願され「A FABRY-PEROT INTERFEROMETER
WITH A SPATIALLY VARIABLE RESONANCE GAP EMPLOYED AS A FOURIER TRANSFORM SPECTROMETER(フーリエ変換分光計として用いられる、空間的に可変の共振ギャップを伴うファ
ブリーペロー干渉計)」と題された米国仮特許出願第61/345,549号の、優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、例えばフーリエ変換分光などの、分光の分野に関する。
【0003】
フーリエ変換分光は、光源からの光のスペクトル成分に関する情報を得るために使用することができる技術である。多くのフーリエ変換分光計(FTS)は、マイケルソン干渉計を利用しており、入力光と干渉計との相互作用の結果得られる時変性の信号に符号化された光のスペクトルを測定する。マイケルソンFTSでは、干渉縞は、時間でサンプリングされる。マイケルソンFTSは、可動鏡を使用し、該鏡は、2本に分割され次いで再結合される入力ビーム間において時変性の光路差(OPD)を生じさせる。単色光によって照射されるときは、この時変性OPDに対する検出器応答は、OPDの変化率及び入射光の波長の関数を周期とする正弦波信号である。入射光の波長は、通常は基準レーザ信号を使用して、OPDの変化率に関する正確な知識によって、サンプリングで得られた信号をもとに回復される。複数波長による照射は、加法的な合成模様を生成し、個々の波長の強度は、適切な前処理後にフーリエ変換を使用して回復される。サンプリングで得られた干渉縞(すなわちインターフェログラム)からスペクトルへの変換は、十分に確立されている。
【0004】
もう1つのタイプのFTSは、空間FTSであり、入力光のスペクトルは、検出器配列によってサンプリングされた空間パターンに符号化される。空間FTSは、例えば、光学を使用して、完全な対称性から鏡又はビーム分割器を僅かにずらすなどによって、検出器配列においてOPDの勾配を生じさせる。このOPDの勾配と照射光との相互作用は、配列によってサンプリングされた干渉縞を生成する。インターフェログラムは、既知の単色光源(例えば、干渉フィルタを透過された光)を使用して、波長で較正される(すなわち、OPDの傾斜が決定される)。検出器配列素子に応じた不均一性がサンプリング及び補正されたら、データ処理は、マイケルソンFTSデータ処理と同様になる。
【0005】
一部の実施形態では、フーリエ変換分光計は、入力光を使用して、干渉縞を形成するためのファブリーペロー干渉計と、干渉縞の画像を捉えるためにファブリーペロー干渉計に対して位置決めされた検出器であって、複数の検出素子を含み、検出器に直交する光軸を定めている検出器と、検出器に通信可能につながれ、光のスペクトル成分に関する情報を決定するために干渉縞画像を処理するように構成されたプロセッサとを含み、ファブリーペロー干渉計は、光に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1及び第2の光学表面を含み、第1及び第2の光学表面は、それらの間に共振空洞を形成し、第1の光学表面と第2の光学表面との間の距離は、光軸に直交する第1の横方向に空間的に可変である。
【0006】
一部の実施形態では、入力光のスペクトル成分を決定する方法は、ファブリーペロー干
渉計を使用して入力光から干渉縞を形成することと、干渉縞の画像を捉えるためにファブリーペロー干渉計に対して位置決めされた検出器を使用して、干渉縞画像を形成することであって、検出器は、複数の検出素子を含み、検出器に直交する光軸を定めている、ことと、光のスペクトル成分に関する情報を決定するために、プロセッサを使用して、干渉縞画像を処理することとを含み、ファブリーペロー干渉計は、光に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1及び第2の光学表面を含み、第1及び第2の光学表面は、それらの間に共振空洞を形成し、第1の光学表面と第2の光学表面との間の距離は、光軸に直交する第1の横方向に空間的に可変であり、干渉縞画像は、ファブリーペロー干渉計の特性が意図的に変更されない期間中に捉えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書では、発明の特定の態様、利点、及び特徴が説明される。しかしながら、発明のどの実施形態でも、このような全ての態様、利点、及び特徴が必ずしも含まれる又は達成されるのではないことが理解されるべきである。したがって、発明は、1つ又は1群の態様、利点、又は特徴を、本明細書で教示又は示唆されるだろうその他の態様、利点、又は特徴を含む又は達成することなく含む又は達成する方式で、具現化又は実施することができる。添付の図面には、例示目的のためにのみ、特定の実施形態が示されている。
【0008】
【図1】2つの光学表面間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計の動作を示した概略図である。
【0009】
【図2】2つの光学表面間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計(上側)及び2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計(下側)について、平行入力ビームに応答する出力を示した図である。
【0010】
【図3】干渉縞を形成するために2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用するフーリエ変換分光計の一実施形態を示したブロック図である。
【0011】
【図4】図3のフーリエ変換分光計に使用することができる一実施形態のファブリーペロー干渉計を示した図である。
【0012】
【図5】図3のフーリエ変換分光計に使用することができる別の一実施形態のファブリーペロー干渉計を示した図である。
【0013】
【図6】空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用し、光収集光学系と干渉縞中継光学系とを含む、フーリエ変換分光計を示した概略図である。
【0014】
【図7】2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を通る単色光の透過を、光学表面の様々な反射率値について示したグラフの例である。
【0015】
【図8】18%反射光学表面を有するファブリーペロー干渉計に対応する図7の曲線のフーリエ変換を示したプロットの例である。
【0016】
【図9】空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計について、単色光源のピークフーリエ振幅を表面反射率の関数として示したプロットの例である。
【0017】
【図10】空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用するフーリエ変換分光計について、絶対効率の推定量を示したプロットの例である。
【0018】
【図11】空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計からの干渉縞画像の例であり、単色入力ビームの場合に縞周期に対して入射角が及ぼす影響を示している。
【0019】
【図12】0度から所定の入射角までの範囲にわたって各入射角における信号を積分されたものを示した干渉縞画像の例である。
【0020】
【図13】空気で満たされた空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計について、分解能を入力光のF値の関数として示したプロットの例である。
【0021】
【図14】空間的に変化するギャップを伴うゲルマニウムファブリーペローエタロンについて、分解能を入力光の有効F値の関数として示したプロットの例である。
【0022】
【図15】空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計を使用して測定された蛍光のスペクトルを示したプロットの例である。
【0023】
【図16】空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用したフーリエ変換分光計の一実施形態の写真である。
【0024】
【図17】図16のフーリエ変換分光計を使用して得られた干渉縞画像の例である。
【0025】
【図18】ジエチルエーテルをビームに噴き付けて測定された黒体源のスペクトルのプロットの例であり、図16のフーリエ変換分光計を使用して得られたものである。
【0026】
【図19】図18をもとに測定スペクトルの時間変動を示したプロットの例である。
【0027】
【図20】線形に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計によって生成された干渉縞画像の例である。
【0028】
【図21】ジエチルエーテルをビームに噴き付けて黒体源について測定されたスペクトルのプロットの例であり、線形に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計を使用して得られたものである。
【0029】
以下の開示は、光のスペクトル成分に関する情報を得るために処理することができる干渉縞、すなわち縞模様を生成するために、反射層間に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を使用するタイプの、空間FTSの実施形態を説明している。一部の実施形態では、ギャップは、FTSの光軸に直交する方向に変化する。この空間的に変化するギャップは、検出器において光路長の勾配を生じさせる。この光路長の勾配は、実施形態によっては従来のFTSデータ処理技術によって解析可能である干渉縞を生成する。本開示は、また、FTSの一部の実施形態によって生成される非正弦波周期空間干渉縞による影響力はもちろん、感度を高める又は最大にするための層反射率の選択、並びに干渉計に対して様々な入射角度を有する入力光と併せてRTSを使用することによる影響も説明している。
【0030】
図1は、2つの光学表面102と104との間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計100の動作を示した概略図である。ファブリーペロー干渉計100は、入射光線に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1の平面状の光学表面102を含む。ファブリーペロー干渉計100は、また、光に対して同様に一部透過性で且つ一部反射性である第2の平面状の光学表面104も含む。
【0031】
ファブリーペロー干渉計100は、光学表面間における複数の反射によって引き起こされる波長依存性の干渉による光の変調という、自然界で広く観測される現象を引き出す。ロバート・フックは、この現象を、板に物理的に接触したレンズについて報告した。結果得られる干渉環は、その現象についてのニュートンによる詳細な解析ゆえに、ニュートン環として知られている。ファブリーペロー干渉計100は、2つの一部反射性の表面をごく接近させて配置し、共振空洞101を形成することによって、この現象を引き出す。対を成す表面102、104に入射する光線106は、空洞101内で多重反射し、空洞101を異なる回数にわたって横断した後にファブリーペロー干渉計100から出て行く光線T1、T2(又はR1、R2)の間において干渉を生じる。
【0032】
空洞101を通過するのに伴って光がどのように変化されるかに関する詳細は、一次には、反射表面間の空間の長さ(l)と、それらの反射率と、法線108に対する入射角(θ)と、反射器102と104との間のギャップ内の媒質の屈折率(n)とに依存する。
【0033】
ファブリーペロー干渉計100による透過は、(可変ギャップの面内における位相差δの役割を強調する形式で記述された)以下の方程式によって与えられる。
【数1】
この式では、Rは、層の反射率であり、δは、反射間における位相差である。変数δは、以下の式によって与えられる。
【数2】
ここで、nは、ギャップ内の媒質の屈折率であり、θは、光線が法線108に相対的にギャップを横断する角度であり、Lは、ギャップ厚さ(ここでは、この場合は法線108に平行である光軸に直交するx方向における位置の任意の関数として表される)であり、λは、波長である。波長及びギャップ厚さは、同じ単位で表される。
【0034】
従来のファブリーペロー干渉計(例えば100)では、ギャップは、x方向に一定であるので、関数l(x)は、定数に等しい。走査型ファブリーペロー干渉計は、光軸に沿って縦方向に、時間とともにギャップ厚さを変化させるが、ギャップ厚さは、各時点ではやはり、(例えば光軸に直交する横方向に)空間的に一定にとどまる。
【0035】
歴史的に見て、ギャップが空気又は真空であるファブリーペロー装置は、干渉計と呼ばれることがあり、一方で、固体で満たされたギャップは、エタロンと呼ばれることがある。しかしながら、動作の原理は同じであり、本開示では、それとは反対に明記されていない限り、いずれも区別しないで使用される。
【0036】
図2は、2つの光学表面間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計200(上側)及び2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計220(下側)について、平行入力ビームに応答する出力を示している。図2の下側部分は、空間的な縞を伴う干渉縞を構築するためのファブリーペロー干渉計の使用を概念的に示している。
【0037】
図2の上側部分は、単色点光源210を含む。単色点光源210からの光は、レンズ2
11によって平行化されて平行入力ビーム212を形成する。この平行ビームは、図1に関連して上述されたように、2つの光学表面間に空間的に不変のギャップを有するファブリーペロー干渉計200に入射する。干渉計200における光学表面が平行であることによって、出力ビーム214における干渉縞は、検出画面(この場合は平行入力ビーム212)全体にわたって均一になる。これは、検出器における強度218をx方向における検出器上の位置の関数としてグラフ表示したプロット216に示されている。線218から明らかなように、関数l(x)は、ファブリーペロー干渉計200の場合は定数に等しく、角度θは、平行入力ビーム212の場合は一定であるので、検出器における強度もまた、方程式(1)及び(2)のそれぞれにおいてx方向に一定である。
【0038】
反対に、図2の下側部分は、2つの光学表面(図2において非平行線として示されている)間に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計220の出力を示している。この場合、単色点光源230は、レンズ231によって平行入力ビーム232に平行化されてファブリーペロー干渉計220に入射する光を放射する。ファブリーペロー干渉計220は、出力ビーム234において干渉縞238を形成する。干渉縞238は、検出器における強度をx方向における検出器上の位置の関数としてプロットしたプロット236に示されている。ファブリーペロー干渉計220の板は、平行ではなく、互いに対して傾いているので、方程式(2)におけるギャップ厚さlは、x方向における位置とともに線形に変化する。したがって、方程式(1)及び(2)のそれぞれにおいて、透過された干渉縞は周期関数であり、これは、検出器上に周期信号238を生成する。
【0039】
空間FTSの特性は、1つには、波長に依存する空間縞模様(例えば周期縞模様)を形成することにあり、該模様は、スペクトルを決定するために、検出器配列によって空間的にサンプリングされて、例えばフーリエ変換を使用して処理される。従来のFTS機器には、縞模様を生成するために、ビーム分割器をベースにした干渉計、又は適切な偏光器を伴う複屈折結晶のいずれかを使用するものがある。しかしながら、図2の下側部分に示されるように、本明細書で説明される空間FTSは、縞模様を生成するために、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用する。
【0040】
図3は、干渉縞334を形成するために2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計320を使用するフーリエ変換分光計350の一実施形態を示したブロック図である。フーリエ変換分光計350は、スペクトル成分の測定を所望される任意の光源から入力光332を受信することができる。本明細書で説明されるFTSの実施形態は、例えば、電磁スペクトルの可視領域及び赤外領域で動作することができる。入力光332は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計320に向けられる。
【0041】
ファブリーペロー干渉計320は、検出器340に向けられる干渉縞334を形成する。検出器340は、干渉縞334を様々な場所で同時に空間的にサンプリングするために、一次元の直線状の配列の形で配置された複数の検出素子を含むことができる。検出素子は、例えば、フーリエ変換分光計350が画像分光計である場合などは、二次元配列の形で配置することもできる。このようにして、検出器340は、干渉縞画像338を形成する。検出器340は、例えば機器の光軸に直交する面内に配置された幾つかの検出素子を含むことができる。検出器340は、より高い次元性を有することもできる(例えば、検出素子は、円筒状の表面上又はその他の非平面状の表面上に配置されてよい)。
【0042】
一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計320は、検出器配列におけるOPD関数が線形であって尚且つ縞模様の中心でゼロに等しいような、対称的なインターフェログラムを生成するように設計することができる。図2の下側部分に示された配置は、ゼロOPDに達しない。ゼロOPDを達成するためには、2つの表面を光学的に接触させる。こ
れは、様々なやり方で達成することができ、そのうちの2つが、図4及び図5に示されている。
【0043】
検出器は、画像プロセッサ342に通信可能につながれている。画像プロセッサ342は、検出器から干渉縞画像を受信し、画像処理アルゴリズムを実行して、干渉縞画像338を空間領域から周波数領域に変換する。画像プロセッサ342は、例えばフーリエ変換などの様々な技術を使用して、この変換を実施することができる。一部の実施形態では、離散フーリエ変換は、サイン、コサイン、又はフーリエ変換の関数を実施するが必ずしもフーリエ変換であるとは定められていない等価の指数形式を除くそれ以外の基底関数を使用するように変更することができる。数学的に一般的に定められているフーリエ変換の使用を伴うことなくデータをスペクトル領域に変換するために、神経回路網又はその他の統計的手法を使用することも可能である。フーリエ変換の追加又は代わりとして、その他の変換技術を使用することも可能であり、この種の機器は、フーリエ変換分光計として広く知られているが、画像プロセッサ342は、干渉縞画像338に対して必ずしもフーリエ変換を実施する必要はない。
【0044】
図4は、図3のフーリエ変換分光計350に使用することができる一実施形態のファブリーペロー干渉計420を示した図である。ファブリーペロー干渉計420は、スペクトル成分を測定対象とされる光に対してともに一部透過性で且つ一部反射性である第1の光学表面454及び第2の光学表面458を含む。一部の実施形態では、第1の光学表面454は、光軸466に沿って位置付けられた第1の光学素子452の後面である。第2の光学表面458は、例えば、光軸466に沿って位置付けられた第2の光学素子456の前面であることができる。一部の実施形態では、光軸466は、ファブリーペロー干渉計420からの光がファブリーペロー干渉計420を通過した後に透過又は反射のいずれかによって向かう先である検出器(図4では不図示)に直交する。
【0045】
第1及び第2の光学表面454、458は、連携してそれらの間に共振空洞460を形成する。図4に示されるように、第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャップ462は、光軸466に実質的に直交する横方向に変化する。具体的には、ギャップ462が、x方向に変化する一方で、光がフーリエ変換分光計内を進むときに沿う光軸466は、z方向に縦に延びている。一部の実施形態では、ギャップ462は、光軸466に対し、検出器の検出素子(例えば画素)が光軸に対して配置される方向に対応する一方向に変化する。
【0046】
図4に示された特定の実施形態では、第1の光学表面454は、実質的に平面状であり、第1の光学素子452は、板である。一方、第2の光学表面458は、頂点エリア464で合流する2つの傾斜平面部位を含み、第2の光学素子456は、プリズムである。プリズム456の頂点エリア464は、光軸466が干渉計420と交差する場所464の近くで第1の光学表面454に光学的に接触するが、これは、必須ではない。一部の実施形態では、プリズム456は、第1の光学素子452と第2の光学素子456との間の光学的接触を促すために、頂点エリア464において平坦部分を含む。第2の光学表面458は、2つの部位で構成されるとして示されているが、いずれの光学表面も、任意の数の部位で構成することが可能である。
【0047】
ファブリーペロー干渉計420の第1及び第2の光学表面454、458は、平面状又は区分的に平面状であるとして示されているが、これは、必須ではない。実際、第1及び第2の光学表面454、458は、それらの間のキャップ462が共振空洞460内における場所の関数として(例えば光軸に直角に)変化する限り、任意の形状を有することができる。例えば、第1及び/又は第2の光学表面454、458は、直線状、曲線状、又は直線状の部位と曲線状の部位との区分的な組み合わせであってよい。また、第1及び/
又は第2の光学表面454、458は、滑らかである、不連続である、尖っているなどであってよい。
【0048】
ギャップ462の幅は、共振空洞460内においてx方向に位置の関数として変化する。ギャップ幅462の厳密な変化は、第1及び第2の光学表面454、458の形状、並びにそれらが互いに対してどのように変化するかに依存する。一部の実施形態では、ギャップ幅は、図2に示されたファブリーペロー干渉計220によって例示されるように、線形に変化する、又は図4に示されたファブリーペロー干渉計420によって例示されるように、区分的に線形に変化する。このギャップ幅の線形変化は、光学表面454、458の一方若しくは両方の線形傾斜によって、又は合わせるとやはりギャップ幅の線形変化をもたらす更に複雑な形状の光学表面によって、生じさせることが可能である。
【0049】
ギャップ幅の線形変化は、しかしながら、必須ではない。実際、ギャップ462の幅の変化は、非線形又は任意であってよい。ギャップ幅の変化は、例えば、線形であってよい、又はより高次の式で表されてよい。互いに対する光学表面454、458の傾斜は、フーリエ変換分光計が動作できる波長範囲を決定するために、例えば、検出素子のピッチとの関連で設定することができる。より急な傾斜の表面は、より高周波数の縞模様を干渉縞において形成し、これは、より高周波数のスペクトル成分につながる。
【0050】
既に論じられたように、ファブリーペロー干渉計の光学表面間のギャップは、必ずしも(例えば機器の光軸に直交する方向に)線形に又は区分的に線形に変化する必要はない。しかしながら、もし、形状如何にかかわらず、ギャップ幅の空間的変化が既知であるならば、入力光のスペクトルは、後処理において正確に再構築することができる。ギャップ幅の非線形空間変化は、結果得られる干渉縞を歪めることがあるが、このような歪みは、空間位置の関数としてのギャップ幅変化に関する正確な知識に基づいて補正することが可能である。
【0051】
一部の実施形態では、共振空洞460内のギャップは、最小値ゼロを有することができ、これは、例えば、干渉計424の中心(例えば464)又は1つ若しくは2つ以上のその他の場所(例えば干渉計424の周縁部分)で達成することができる。或いは、共振空洞460内のギャップは、1つ又は2つ以上の場所で非ゼロの最小値を有することができ、第1及び第2の光学素子452、456は、適切な構造的支えによって、互いに対して所望の位置に保持することができる。
【0052】
一部の実施形態では、第1及び第2の光学表面454、458は、互いに物理的に接触する場所を1つ又は2つ以上有する。このような実施形態では、第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャップ462は、ゼロに近づくが、厳密にはゼロには到達しないだろう。その他の実施形態では、しかしながら、第1及び第2の光学表面454、458は、それらの間のギャップ462がゼロに到達するように互いに光学的に接触する場所を、1つ又は2つ以上有する。第1の光学表面454と第2の光学表面458との間の光学的接触は、圧力を印加して第1及び第2の光学素子452、456を互いに押し合わせること、(1つ又は2つ以上の)接触場所に屈折率を整合させる光学接着剤を塗布することなどの、幾つかのやり方で達成することができる。金属又は金属酸化物の薄膜を使用することもできる。更にその他の実施形態では、しかしながら、第1及び第2の光学表面454、458は、互いに接触しない。図4では、第1及び第2の光学表面454、458は、ファブリーペロー干渉計の中心で互いに光学的に接触している。しかしながら、第1及び第2の光学表面454、458がその他の場所で互いに光学的に接触する又は全く接触しないその他の設計が使用されてもよい。
【0053】
既に論じられたように、第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャッ
プは、少なくとも1つの方向に空間的に変化する。具体的には、図4に示された実施形態では、ギャップは、縦のz方向及び光軸466に直角なx方向に変化する。第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャップは、その他の方向にも同様に変化することができる。例えば、ギャップ462は、例えば、x方向に加えてy方向にも変化してよい。このような実施形態では、ファブリーペロー干渉計420によって形成される干渉縞は、光源のスペクトル成分を複数方向に分解可能にするように、複数方向に形成された縞を有することができる。一部の実施形態では、ギャップ幅の変化は、光軸466を中心に対称性であるが、これは、必須ではない。
【0054】
共振空洞460は、真空密閉する、又は気体(例えば空気)若しくは液体で満たすことができる。或いは、共振空洞は、固体材料で満たすことができる。このような実施形態では、第1及び第2の光学表面454、458は、1つの光学素子の前面及び後面であることができる。
【0055】
ファブリーペロー干渉計420によって形成される干渉縞は、明暗の縞模様である。縞は、例えば、空間的に周期的であってよい。検出素子(例えば画素)の配列を伴う検出器は、干渉縞の画像を形成するために、ファブリーペロー干渉計420に対して位置決めすることができる。一部の実施形態では、各検出素子は、それぞれ異なる空間場所で実質的に同時に干渉縞をサンプリングする。
【0056】
一部の実施形態では、本明細書で説明されるフーリエ変換分光計(例えば350)及び/又はファブリーペロー干渉計(例えば420)は、可動部分を含まない。或いは、ファブリーペロー干渉計(例えば420)の第1及び第2の光学表面454、458は、互いに対して可動であってよい。例えば、第1及び第2の光学表面454、458は、干渉計を様々な用途に適応させるために、光軸466に沿ったz方向に縦に移動する、又は互いに対して傾くことができる。このような移動は、例えば、圧電変換器や精密モータなどによって提供することができる。しかしながら、たとえこのような実施形態でも、第1の光学表面454と第2の光学表面458との間のギャップは、本明細書で論じられるように空間的に変化することが注意されるべきである。更に、このような実施形態は、入力光のスペクトル成分の決定に必要とされる情報を集めるために、第1及び第2の光学表面454、458の互いに対する移動も、干渉計(例えば420)のその他のいかなる時変特性も必要としないことが注意されるべきである。
【0057】
走査型ファブリーペロー干渉計を使用するだろうその他のタイプのフーリエ変換分光計と異なり、本明細書で説明されるフーリエ変換分光計の実施形態は、入力光のスペクトルを明らかにするために処理することができるインターフェログラムを測定するために、ファブリーペロー干渉計のいかなる特性(例えばギャップ幅、屈折率、方位角など)の時間的変化も必要としない。したがって、本明細書で説明されるファブリーペロー干渉計(例えば420)の一部の実施形態は、第1及び第2の光学表面(例えば454、458)の相対位置などの何らかの特性の時間的変化を制御できるとはいえ、入力光のスペクトル成分を解析する目的で集められる各インターフェログラムは、インターフェログラムが捉えられている間、光学表面の相対位置又はファブリーペロー干渉計のその他のいかなる特性も意図的に時間的に変化させることなく捉えられる。
【0058】
図5は、図3のフーリエ変換分光計350に使用することができる別の一実施形態のファブリーペロー干渉計520を示した図である。ファブリーペロー干渉計520は、同様に、間に共振空洞560を形成する第1及び第2の光学表面554、558を含む。また、第1の光学表面554は、干渉計520の光軸566に直交して設けられた光学板552の、実質的に平面状の後面である。第2の光学表面558は、しかしながら、平凸レンズ556の凸部分である。一部の実施形態では、レンズ556は、円柱レンズであるが、
例えば球面状又は非球面状であってもよい。
【0059】
ファブリーペロー干渉計520は、レンズ556を板552に光学的に接触させることによって形成される。このようにして、第1の光学表面554と第2の光学表面558との間に共振空洞560が形成される。この場合、第1の光学表面554と第2の光学表面558との間のギャップ562は、光軸566に直交するx方向に非線形に変化する。ギャップ562は、光軸566が共振空洞560と交差する場所564でゼロである。このギャップ幅の非線形変化は、ファブリーペロー干渉計520によって生成される干渉縞に幾らかの歪みをもたらすことがある。しかしながら、ギャップ幅の空間変化が既知であるので、干渉縞に対するその影響は、後処理において計算及び補正することが可能である。したがって、非線形に変化するギャップは、必要に応じて更なる処理のために線形化することが可能な干渉縞を形成するだろう。
【0060】
図6は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計620を使用し、光収集光学系670と干渉縞中継光学系675とを含む、フーリエ変換分光計650を示した概略図である。ファブリーペロー干渉計620は、本明細書で論じられるように、第1及び第2の光学表面654、658を有する。光収集光学系670は、光源からの光を集め、それを用途に応じて適切な方式でファブリーペロー干渉計620に向かわせるための、1つ又は2つ以上の光学素子(例えばレンズ素子)を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、光収集光学系670は、光源の像をファブリーペロー干渉計620上に形成するように構成される。このような実施形態では、光収集光学系670の焦点距離及びその他の特性は、光源及びファブリーペロー干渉計620が共役光学面に位置付けられるように設定される。その他の実施形態では、光収集光学系は、干渉計620のための平行入力ビームを形成するように構成することができる。しかしながら、本明細書で説明される実施形態のフーリエ変換分光計には、光収集光学系を含まないことがあることも理解されるべきである。
【0061】
干渉縞中継光学系675は、ファブリーペロー干渉計620によって形成された干渉縞を検出器640に中継するために使用することができる。光学系675は、1つ又は2つ以上の光学素子(例えばレンズ素子)を含むことができ、例えば、検出器640とファブリーペロー干渉計620とが共役光学面上に位置付けられるように構成することができる。一部の実施形態では、中継光学系675及び検出器640は、カメラとして統合される。一部の実施形態では、空間的に変化するギャップ620を伴うファブリーペロー干渉計も、同様に、このようなカメラに統合することができる。一部の実施形態では、検出器640、干渉縞中継光学系675、ファブリーペロー干渉計620、及び光収集光学系670は、共通の光軸666を共有する。
【0062】
ファブリーペロー干渉計620は、検出器において複像を形成させるかもしれない。しかしながら、このような複像はもちろん、更なるフレネル干渉もまた、例えば、光線が検出器において再結合しないように光学的接触に十分な空間を割り当てることによって、管理することができる。一部の実施形態において、干渉縞を干渉計620から検出器640に移すために中継光学系675を使用することの利点は、干渉計の入力側において比較的低速のビームを使用できること、及び感度を向上させるために検出器に対する最終的なF値を倍率によって上げられることにある。
【0063】
本明細書で説明される実施形態のフーリエ変換分光計には、干渉縞中継光学系を含まないものがあることが理解されるべきである。このような実施形態では、例えば、検出器640は、干渉計によって生成された干渉縞が干渉縞を検出器に移すための光学の使用を伴うことなく検出器640によって成功裏に捉えられるように、十分にファブリーペロー干渉計620に接近して位置付けることができる。例えば、検出器640は、ファブリーペ
ロー干渉計620に光学的に接触するように配することができる。一部の実施形態では、ベイヤーフィルタ若しくはその他フィルタマスクなどのフィルタ、又はその他の光学素子を、ファブリーペロー干渉計620と検出器640との間に追加で提供することができる。
【0064】
一部の実施形態では、フーリエ変換分光計650は、撮像対象とされる表面を分光計の視野にわたって走査するためのスキャナを含む。例えば、スキャナは、機器の光軸及びファブリーペロー干渉計620のギャップ幅が変化する横方向の両方に直交する方向に、分光計の視野にわたって走査することができる。
【0065】
フーリエ変換分光計における、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計の使用は、図7〜14に関連して論じられる設計上の考慮材料を幾つかもたらす。
【0066】
図7は、2つの光学表面間に空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を通る単色光の透過を、光学表面の様々な反射率値について示したグラフの例700である。干渉計を通る透過は、位置の関数として(例えば、ファブリーペロー干渉計のギャップ厚さが変化する方向に)プロットされ、トラフと比較したピークの単位変調によって正規化されている。プロット700上の各透過曲線701〜705は、ファブリーペロー干渉計の光学表面における異なる反射値を表している。最も正弦波状の関数(すなわち曲線701)が、非常に低い層反射率で生じる一方で、高い反射率は、周期的な狭いピーク(すなわち曲線705)を生成する。
【0067】
空間的に可変のギャップを伴うファブリーペロー干渉計又はエタロンからの周期信号は、純粋な正弦波状ではないので、単色入力信号についてデバイスによって生成された干渉縞のフーリエ変換は、干渉計を複数回通過することを反映し、主要周波数の整数倍でサイドローブを示している。
【0068】
図8は、18%反射光学表面を有するファブリーペロー干渉計に対応する図7の曲線のフーリエ変換を示したプロットの例800である。フーリエ変換の振幅は、周波数の関数としてプロットされ、いずれも、任意の単位で表される。主な基本周波数810は、±0.3単位にあり、より高次のサイドローブ820、830が、より高い周波数で現れている。具体的には、干渉縞の周期的性質を前提として、第1のサイドローブ820は、0.6単位で現れ、第2のサイドローブ830は、0.9単位で現れ、これらはいずれも、基本周波数の整数倍である。ゼロ周波数におけるピーク840は、入力関数における小さなDCオフセットに起因する。
【0069】
もし、より高次のサイドローブ820、830の帯域幅が、主要周波数成分と重複するのに十分な大きさであると、これらのサイドローブ820、830は、過度のスペクトル汚染を表すことがある。より高次のサイドローブ820、830は、したがって、本明細書で説明されるフーリエ変換分光計に対して何らかの制約を及ぼすことがある。もし、サイドローブが、用途に応じた何らかの計量と比べて大きいと、スペクトルの非汚染部分(サイドローブ間)は、指定の波長の2の倍数になると考えられる。したがって、一部の実施形態では、フーリエ変換分光計(例えば350)は、波長について、2の倍数に制限される。
【0070】
図9は、空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計について、単色光源のピークフーリエ振幅910を表面反射率の関数として示したプロットの例900である。曲線910は、全反射率、非正弦波状の挙動、及び変調効率による、競合する影響を反映している。
【0071】
干渉縞画像のなかの最大信号を生成するファブリーペロー干渉計(例えば420)の表面層(例えば454、458)の反射性は、干渉計の3つの特性、すなわち、正味反射性(入力光子のカットを制御する)、解釈可能なスペクトル信号を含む縞コントラスト、及びサイドローブへの信号電力の漏出との間の歩み寄りである。単に解析を目的として、層反射性に対するファブリーペロー干渉計の正味効率は、単色入力信号から得られる干渉縞画像のフーリエ変換のピーク振幅によって特徴付けられると想定される。非常に低い層反射率では、ピーク対トラフの変調が低く、ゆえに、信号は低い。非常に高い反射率では、デバイスは、大半の入力光子をカットし、極端なサイドローブを見せるので、効率は、やはり低い。これらの両極端の間に、最大値がある。
【0072】
図9のプロット900は、ファブリーペロー干渉計の効率の一測定量が層反射率の関数としてどのように変化するかを示している。前述のように、最大フーリエ振幅によって測られる効率は、高い層反射率及び低い反射率の両方で低くなる。プロットされた効率910は、40%の近くで相対的に最大の反射率を示している。したがって、一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計(例えば420)の第1及び第2の光学表面(例えば454、458)は、最大効率を向上させるために、約40%の反射率を与えられる。一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計の第1及び第2の光学表面は、約20〜60%の範囲の反射率を与えられる。一部の実施形態では、第1及び第2の光学表面は、約10〜70%の範囲の反射率を与えられる。第1及び第2の光学表面の一方又は両方が、これらの範囲の反射率を有してよい。更に、光学表面は、ともに、実質的に同じ反射率を有してよい、又は異なる反射率値を有してよい。一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計の第1及び第2の光学表面の反射率は、所望のレベルのフレネル反射率を提供する屈折率を有するコーティングされていない材料を使用することによって設定される。代わりに及び/又は加えて、第1及び第2の光学表面は、所望の値の反射率を達成するために、金属コーティング及び/又は誘電体コーティングを提供されてもよい。
【0073】
図9に示された計量は、相対的であり、比較的高い効率を得る層反射率を指定するのには適切であるが、絶対効率の測定量を伴う放射性能を定量的に予測するには不適切である。絶対効率は、単に解析を目的として、ファブリーペロー干渉計によって生成される干渉縞における縞の変調効率と、100%変調及びゼロ反射性(純粋な正弦波)における効率に対して正規化されたピーク信号との積として定めることができる。ピーク信号の項は、本明細書で論じられるように、反射性に起因する損失と、サイドローブの項とを含む。この解析を目的として、変調は、最大信号に対して正規化された、最大信号と最小信号との間の差として定められる。正規化されたピーク強度は、方程式1に対する単色入力のフーリエ変換のピーク振幅であり、入力を100%変調に対して正規化され、出力を純粋な正弦波への応答に対して正規化されている。
【0074】
図10は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用するフーリエ変換分光計について、絶対効率1030の推定量を示したプロットの例1000である。ゼロ反射率をピークとする曲線1010は、単色入力から得られた干渉縞のフーリエ変換の振幅であり、今回は、入力を100%変調に対して正規化され、出力を純粋な正弦波に対して正規化されている。100%反射率をピークとする曲線1020は、変調効率である。第3の曲線1030は、効率の推定量であり、これは、それ以外の2つの曲線1010と1020との積である。効率の推定量1030は、この特定の推定値によると、ファブリーペロー干渉計の効率が40%反射率の近くをピークとすること、及び最大効率が70%の近くであることを示している。
【0075】
図11は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計からの干渉縞画像の例1100であり、単色入力ビームの場合に縞周期に対して入射角が及ぼす影響を示している。本明細書で論じられるように、一部の実施形態では、ファブリーペロー干渉計は
、光収集光学系(例えば670)の結像面において使用される。画像内の各点は、撮像光学系に依存する角度範囲内の様々な角度から集まった光線で形成される。このような実施形態では、ファブリーペロー干渉計(例えば620)における光の結像は、検出器配列(例えば640)内の1つの画素に最終的に入射する光を、様々な角度でファブリーペロー干渉計(例えば620)を横断したものにする。干渉計によって形成された干渉縞の縞周期は、光が干渉計を横断する角度の関数であるので、これは、干渉縞に影響を及ぼす。
【0076】
もし、縞周期が、隣り合う最大値間の間隔として定義されるならば、透過の最大値は、位相差δのコサインが1であって(方程式1)尚且つNを整数としてδ自体がπ(N+1/2)の値を有するときに生じる。方程式2から、縞間隔は、Nの値の間の単位差に比例する。N=0(δ=π/2)及びN=1(δ=3π/2)を使用すると、単純化後の結果は、
【数3】
である。ここで、Δlは、ピーク間のギャップ差であり、Pは、マイクロメータを単位とした空間周期であり、λは、マイクロメータを単位とした波長であり、Sは、可変ギャップの傾斜である。縞周期は、ファブリーペロー干渉計の光学表面間のギャップを光線が行き来する角度の関数であるので、或る点における角度の範囲が、その点において測定される縞周期の範囲をもたらす。もし、干渉縞が、有限F値を伴う実用カメラによって撮影されるならば、各画素は、或る範囲内の入射角に由来する光を集める。したがって、これらの縞模様は、周期の範囲によって、検出器において合計される。図11に示されるように、干渉縞の縞周期は、入射角の増大とともに増加する。したがって、図に示されるように、縞は、入射角が高くなるにつれて、各縞の周期が大きくなるゆえに、垂直から逸れて曲がり始める。
【0077】
ファブリーペロー干渉計を異なる角度で横断した光の、検出器の各画素における混合は、機器の分解能を2つの形で制限すると考えられる。第1に、画像データの空間領域からスペクトルデータの周波数領域への変換は、或る光線が干渉計を通るときに通過する集光レンズのゾーンに応じて信号の周波数を僅かに異ならせるので、最終的な測定スペクトルでは、狭帯域の入力光信号の幅が広くなる。第2に、各検出器画素における光線が、或る範囲の信号について合計されたときに、極限角度の位相が180度ずれるヌルが形成されることがある。
【0078】
図12は、0度から所定の入射角までの範囲にわたって各入射角における信号を積分されたものを示した干渉縞画像の例1200である。図に示されるように、極限角度における信号は、位相のずれを生じて打ち消し合うので、入射角の増大に伴って、枠の端に向かってヌルが発生する。ヌルは、実験的に観察することができ、用途によっては、本明細書で説明された空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計の分解能限界として捉えることができる。ヌルは、存在する極限角度の関数として表すことができる。オブスキュレーションを持たない光学系では、一方の極限は、0度(例えば光軸)である。中央オブスキュレーションを持つ光学系では、値は、その他の何らかの角度になるだろう。もう一方の極限は、例えば、光収集光学系のF値によって定めることができる。
【0079】
ヌルは、θ1における縞数が、θ2における縞数とその2分の1との合計に等しいとき
に発生し、
【数4】
である。ここで、Fは、縞の数であり、添え字は、極限角度を示している。オブスキュレーションを持たない(θ1=0)を想定すると、ヌルに到達するための縞の数は、
【数5】
である。
【0080】
分解能は、観察される縞の数と密接につながっている。従来、FTSの分解能は、
【数6】
である。ここで、ΔσCは、波数の分解能であり、σCは、エイリアシングを回避するためのナイキストサンプリング(2サンプル/周期)における「遮断周波数」(光学系によって測定可能な最高周波数)であり、Mは、片側インターフェログラムにおけるサンプルの数である。ナイキストサンプリングでは、定義により、サンプル数Mは、縞数Fの2倍であり、ゆえに、スペクトル分解能R(λ/Δλ又はσ/Δσ)は、
【数7】
である。
【0081】
方程式7を使用し、空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計によって達成可能な分解能が、図13に示されている。図13は、空気で満たされた空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計について、分解能1310を入力光のF値の関数として示したプロットの例1300である。分解能1310は、本明細書で説明されるように、ヌルの位置に基づく。一部の用途で有用な分解能(例えばおよそ1%)は、比較的低いF値において得られる。多くのリモートセンシングシステムによって用いられるスペクトル分解能(例えばおよそ100)は、比較的適度に低いF値の光収集光学系(例えば670)によって達成することができる。一部の実施形態では、光収集光学系(例えば670)のF値は、約0.5〜20の範囲内である。
【0082】
もし、ギャップが、比較的高屈折率の固体、液体、ゲルなどで満たされているならば、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計の分解性能は、空気で満たされたギャップと比べて向上されると考えられる。図14は、空間的に変化するギャップを伴
うゲルマニウムファブリーペローエタロンについて、分解能1410を入力光の有効F値の関数として示したプロットの例1400である。ゲルマニウムの高屈折率は、達成可能な分解能に対して強力な効果をもたらす。もちろん、ゲルマニウム以外のその他の材料も、空気で満たされたギャップと比べて機器の分解能を向上させるために使用できるだろう。
【0083】
ファブリーペロー干渉計のギャップ内の比較的高屈折率の材料は、方程式1における角度θが干渉計における光の内角であるゆえに、分解能を向上させる。(ギャップを満たされた)ファブリーペローエタロンにおいて、満たしている媒質の屈折率は、スネルの法則にしたがって、この角度を入射角よりも小さくする。したがって、光学表面間のギャップ内の媒質の屈折率は、分解能に影響を及ぼす。ギャップ内の高屈折率材料は、理論上は、比較的高い分解能を達成するために使用することができるが、実際は、検出器の画素数が、入力ビームの有効F値よりも前に、分解能を制限すると考えられる。しかしながら、高屈折率材料で作成された空間的に変化するギャップを伴うファブリーペローエタロンは、それでも尚、例えば部分的インターフェログラムを測定するために使用できるだろう。このような用途は、1つには、非常に狭い帯域内における、微細なスペクトル構造を伴う特定のガスの検出である。
【0084】
70%に近いピーク効率(反射率による影響と、サイドローブによる影響と、可変変調による影響とを組み合わせたもの)は、ヌルに向かう振幅のロールオフによる影響力と組み合わされる。このロールオフは、別の約50%の損失を引き起こすと推定され、その結果、最終効率は約35%になる。波長が短いほど、F値及び傾斜Sに応じ、照射できる画素配列がフル配列よりも少なくなるので、ロールオフは、波長依存性であり、全効率を35%とする推定は、中間波長において、配列の全幅にヌルが配されることを想定している。経験されるロールオフ減衰は、波長に比例し、波長が長いほど少なく且つ波長が短いほど多い。基本的計算は、有用な空間FTSが、可変のギャップ厚さを伴うファブリーペロー干渉計から作成されるだろうことを示唆している。
【0085】
図15〜21は、本明細書で説明されるフーリエ変換分光計の一実施形態の実験用セットアップと、そのセットアップを使用して得られた実験結果とを示している。一実験では、フーリエ変換分光計は、白く表れているとはいえ狭い輝線で構成されている蛍光照射のスペクトルを測定するために使用された。図15は、空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計を使用して測定された蛍光のスペクトルを示したプロットの例1500である。図15のプロット1500は、図16に示された装置を使用して作成された。
【0086】
図16は、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を使用したフーリエ変換分光計の一実施形態の写真1600である。上から順に、図16は、赤外線カメラ、IRカメラレンズ、IR中継レンズ、干渉計、フィルタ、及び黒体源を示している。図16における干渉計は、ともに光学ガラスで作成された円柱レンズと板とを使用して構築された。円柱レンズ及び板は、図5に例示されたように、空間的に可変なエアギャップを形成するために光学的に接触された。円柱レンズ及び板の、コーティングされていないガラス表面は、4%の反射率を有し、ファブリーペロー干渉計の第1及び第2の光学表面(例えば554、558)として機能した。円柱レンズと板との間のギャップの隔たりは、線形ではなかったが、レンズの直径が、縞模様の線形化を可能にした。表面が有する比較的低い反射率ゆえに、実験用のファブリーペロー干渉計は、穏やかな変調(約20%)を生じた。
【0087】
図15を参照すると、図16のファブリーペロー干渉計は、蛍光のスペクトルを解析するために使用された。ファブリーペロー干渉計によって形成された干渉縞は、視覚コント
ラストを高めるために暗い背景を使用して、透過率ではなく反射率の観点から観察された。干渉計によって形成された干渉縞は、狭スペクトル線を放射する蛍光源によって可能にされた鮮やかな色と、十分に分離された縞とによって、はっきり見ることができた。干渉縞の画像が捉えられた。縞の輪郭が抽出され、線形化され、次いで、図13に示されたスペクトルを生成するためにスペクトル領域に変換された。破線1520は、ランバート面から反射されて市販の回折格子分光計によって測定された蛍光源の放射輝度スペクトルを示している。実線1510は、空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴う実験版のフーリエ変換分光計を使用して測定されたスペクトルを示している。具体的には、実線1510は、干渉計において観察されてレーザ源によって校正された線形縞模様のフーリエ変換を示している。分解能は比較的低いが、蛍光源のスペクトル線は分解された。
【0088】
第2の実験では、空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計を作成するために、ともにコーティングされていない1−m焦点距離のZnSe円柱レンズとZnSe平板とが使用された。ZnSe表面が有する比較的高い反射率(約18%)ゆえに、変調は、およそ50%であり、干渉縞は、透過率の観点から観察された。ファブリーペロー干渉計は、摂氏100度の平板黒体によって裏側から照らされた1対の相対する50mm
f/1.4 IRカメラレンズを使用して市販のマイクロボロメータアレイカメラ上に結像された。黒体源によって得られた縞模様は、図15に示されている。
【0089】
図17は、図16のフーリエ変換分光計を使用して得られた干渉縞画像の例1700である。広い中央の縞は、光軸に直角なZnSeファブリーペロー干渉計のギャップの非線形変化に一致している。波長の校正を提供するために、及び縞模様を線形化するためのデータを提供するために、ビーム中に狭帯域10.45マイクロメータ干渉フィルタが配された。これらのデータを使用して、系の波長応答(主にカメラの波長感度と、干渉計及びカメラレンズの弱い波長変動との組み合わせ)が導出された。
【0090】
更なる実験では、この場合はジエチルエーテルである流動ガスのスペクトルを得るために、実験用のファブリーペロー干渉計が使用された。図18は、ジエチルエーテルをビームに噴き付けて測定された黒体源のスペクトルのプロットの例1800であり、図16のフーリエ変換分光計を使用して得られたものである。空間的に変化するギャップを伴うファブリーペロー干渉計が、特定の化学物質のスペクトルを捉えられることを示すために、比較的強い吸収体であるジエチルエーテルが使用された。曲線1810は、ジエチルエーテルガスを導入する前に測定された黒体放射のスペクトルを表している。IRカメラが作動してインターフェログラムを集めている間に、ビームにガスが導入され、曲線1820によって示されるように、直ちに縞応答が明らかになった。ガス吸収線は、(カメラ応答で畳み込まれた)黒体スペクトルを生成するために使用されたのと同じ手順を使用して明らかになり、黒体応答曲線1810に重ね合わされた。図19は、図18をもとに測定スペクトルの時間変動を示したプロットの例1900である。
【0091】
別の実験では、線形ギャップを伴うファブリーペロー干渉計が作成された。コーティングされていないZnSeから、比較的浅い開光角度(32mrad)を持つプリズムが作成された。このプリズムは、図4に示されるように、ZnSe平板に接触された。
【0092】
図20は、線形に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計によって生成された干渉縞画像の例2000である。干渉縞画像2000は、10.45ミクロン、50nm幅の入力に対するプリズム−板干渉計の応答を示している。画像の中心近くでは、縞は、恐らくは光学的接触の不良ゆえに、幾らかの歪みを生じている。縞は、枠の端に向かうのに伴って、強度の下落を見せている。中心から離れるのに伴った、縞の見え方の徐々の衰えは、本明細書で論じられるように、干渉計を通る
入射角の範囲に由来するヌルを示している。ヌルは、使用されたf/1.4入力ビームと一致した。縞期間は、位置に対して線形である。
【0093】
図21は、ジエチルエーテルをビームに噴き付けて黒体源について測定されたスペクトル2110のプロットの例2100であり、線形に空間的に変化するギャップを有するファブリーペロー干渉計を伴うフーリエ変換分光計を使用して得られたものである。この実験は、図18に示されたものと同様に実施された。しかしながら、このケースでは、系の応答は、相対的吸光度としてプロットされた。データは、10.5ミクロンのフィルタを使用して波長を校正され、応答の不均一性は、2つの黒体温度25℃及び100℃を使用して除去された。
【0094】
実施形態は、添付の図面との関連のもとで説明されてきた。しかしながら、これらの図面は、縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。距離や角度は、例示に過ぎず、実際の寸法及び例示されたデバイスのレイアウトに対して必ずしも厳密な関係を有するとは限らない。また、上述の実施形態は、本明細書で説明されたデバイスやシステムを当業者の一人が作成及び使用することを可能にするレベルの詳しさで説明されてきた。様々なヴァリエーションが可能である。構成要素、素子、及び/又は工程は、変更、追加、排除、又は再配置が可能である。特定の実施形態が明確に説明されてきたが、当業者にならば、本開示に基づいてその他の実施形態が明らかになる。
【0095】
実施形態によっては、本明細書で説明された任意の方法の特定の行為、事象、又は機能を異なる順序で実施する、追加する、合流させる、又は全てまとめて排除することができる(例えば、説明された全ての行為又は事象が方法の実施のために必要とは限らない)。更に、特定の実施形態では、行為又は事象は、同時に又は順番に実施することができる。
【0096】
本明細書で開示された処理又はプロセッサは、例えば、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はそれらの両方の組み合わせを使用して実装することができる。このような機能性がハードウェア又はソフトウェアのいずれとして実装されるかは、具体的な用途及び系全体に課される設計上の制約に依存する。説明された機能性は、具体的な用途ごとに異なるやり方で実現することができる。ソフトウェアの場合は、ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD−ROM、又は当該分野で知られたその他の形態のコンピュータ可読ストレージ媒体に常駐することができる。ストレージ媒体は、該ストレージ媒体に対してプロセッサが情報の読み出し及び書き込みを行うことができるように、プロセッサにつなぐことができる。ハードウェアの場合は、プロセッサは、単独のプロセッサコンピュータチップ、複数のプロセッサチップ、ASIC、FPGA、個別構成要素、又はその他の任意の適切な処理デバイス若しくは処理機器として実装することができる。また、プロセッサは、直接的に、又は(例えばインターネット若しくはLANなどのネットワークを通じて)遠隔に通信可能に、情報源につながれてよい。プロセッサは、分散コンピューティングクラスタ又はグリッドを含んでもよい。
【0097】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に適用されるものとして新規の特徴を図示、説明、及び指摘してきたが、例示されたデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細には、本開示の趣旨から逸脱することなく様々な省略、置き換え、及び変更が可能であることが理解される。一部の特徴は、その他の特徴とは別に使用又は実施することができるので、本明細書で説明された発明の特定の実施形態は、本明細書で述べられた特徴及び利点の全てを提供するのではない形態で実施することができる。本明細書で開示された特定の発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲に入る全ての変更が、特許請求の範囲に包含されると
される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フーリエ変換分光計であって、
入力光を使用して干渉縞を形成するためのファブリーペロー干渉計と、
前記干渉縞の画像を捉えるために前記ファブリーペロー干渉計に対して位置決めされた検出器であって、複数の検出素子を含み、前記検出器に直交する光軸を定めている検出器と、
前記検出器に通信可能につながれ、前記光のスペクトル成分に関する情報を決定するために前記干渉縞画像を処理するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記ファブリーペロー干渉計は、前記光に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1及び第2の光学表面を含み、前記第1及び第2の光学表面は、それらの間に共振空洞を形成し、前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の距離は、前記光軸に直交する第1の横方向に空間的に可変である、フーリエ変換分光計。
【請求項2】
請求項1に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、互いに対して固定されている、フーリエ変換分光計。
【請求項3】
請求項1ないし2のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、前記第1の横方向に滑らかに変化する傾斜を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記距離は、前記光軸及び前記第1の横方向に直交する第2の横方向に可変である、フーリエ変換分光計。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記距離は、前記共振空洞の少なくとも一部分において、前記第1の横方向に実質的に線形に変化する、フーリエ変換分光計。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面の少なくとも1つは、実質的に平面状である、フーリエ変換分光計。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面の少なくとも1つは、角度をなして合流する2つ又は3つ以上の部分を含む、フーリエ変換分光計。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面の少なくとも1つは、頂点領域で合流する少なくとも第1及び第2の実質的に平面状の部分を含むプリズムを含む、フーリエ変換分光計。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面の少なくとも1つは、レンズの表面を含む、フーリエ変換分光計。
【請求項10】
請求項9に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記レンズは、円柱レンズである、フーリエ変換分光計。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記距離は、前記ファブリーペロー干渉計の中心領域において相対的最小値を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記距離は、前記ファブリーペロー干渉計の周縁領域において相対的最小値を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、1つ又は2つ以上の物理的接触点において互いに物理的に接触している、フーリエ変換分光計。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の光学距離が実質的にゼロである1つ又は2つ以上の光学的接触点において互いに光学的に接触している、フーリエ変換分光計。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記領域は、真空、気体、又は液体を含む、フーリエ変換分光計。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記領域は、固体材料を含む、フーリエ変換分光計。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、約20〜60%の範囲の反射率を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、約40%の反射率を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、更に、
前記干渉縞を前記ファブリーペロー干渉計から前記検出器へ中継するための光学系を備えるフーリエ変換分光計。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記検出器は、前記干渉縞を前記検出器へ中継するための光学系を伴うことなく前記干渉縞画像を捉えられるように、前記ファブリーペロー干渉計に隣接して位置決めされる、フーリエ変換分光計。
【請求項21】
請求項1ないし20のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、更に、
前記入力光を光源から集めて前記ファブリーペロー干渉計へ伝送するための光収集光学系を備えるフーリエ変換分光計。
【請求項22】
請求項21に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記光収集光学系は、前記ファブリーペロー干渉計において前記光源の画像を形成するように構成される、フーリエ変換分光計。
【請求項23】
請求項1ないし22に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記プロセッサは、前記干渉縞画像を前記空間領域から前記周波数領域へ変換するように構成される、フーリエ変換分光計。
【請求項24】
請求項23に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記プロセッサは、フーリエ変換、又は非正弦波ベースの関数を使用した変換を、前記干渉縞画像に対して実施するように構成される、フーリエ変換分光計。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、コーティングされていない、フーリエ変換分光計。
【請求項26】
請求項1ないし25のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記複数の検出素子は、一次元の線形配列の形で配置される、フーリエ変換分光計。
【請求項27】
請求項1ないし26のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記複数の検出素子は、二次元の平面配列の形で配置される、フーリエ変換分光計。
【請求項28】
入力光のスペクトル成分を決定する方法であって、
ファブリーペロー干渉計を使用して、入力光から干渉縞を形成することと、
前記干渉縞の画像を捉えるために前記ファブリーペロー干渉計に対して位置決めされた検出器を使用して、干渉縞画像を形成することであって、前記検出器は、複数の検出素子を含み、前記検出器に直交する光軸を定めている、ことと、
前記光のスペクトル成分に関する情報を決定するために、プロセッサを使用して、前記干渉縞画像を処理することと、
を備え、前記ファブリーペロー干渉計は、光に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1及び第2の光学表面を含み、前記第1及び第2の光学表面は、それらの間に共振空洞を形成し、前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の距離は、前記光軸に直交する第1の横方向に空間的に可変であり、
前記干渉縞画像は、前記ファブリーペロー干渉計の特性が意図的に変更されない期間中に捉えられる、方法。
【請求項1】
フーリエ変換分光計であって、
入力光を使用して干渉縞を形成するためのファブリーペロー干渉計と、
前記干渉縞の画像を捉えるために前記ファブリーペロー干渉計に対して位置決めされた検出器であって、複数の検出素子を含み、前記検出器に直交する光軸を定めている検出器と、
前記検出器に通信可能につながれ、前記光のスペクトル成分に関する情報を決定するために前記干渉縞画像を処理するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記ファブリーペロー干渉計は、前記光に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1及び第2の光学表面を含み、前記第1及び第2の光学表面は、それらの間に共振空洞を形成し、前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の距離は、前記光軸に直交する第1の横方向に空間的に可変である、フーリエ変換分光計。
【請求項2】
請求項1に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、互いに対して固定されている、フーリエ変換分光計。
【請求項3】
請求項1ないし2のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、前記第1の横方向に滑らかに変化する傾斜を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記距離は、前記光軸及び前記第1の横方向に直交する第2の横方向に可変である、フーリエ変換分光計。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記距離は、前記共振空洞の少なくとも一部分において、前記第1の横方向に実質的に線形に変化する、フーリエ変換分光計。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面の少なくとも1つは、実質的に平面状である、フーリエ変換分光計。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面の少なくとも1つは、角度をなして合流する2つ又は3つ以上の部分を含む、フーリエ変換分光計。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面の少なくとも1つは、頂点領域で合流する少なくとも第1及び第2の実質的に平面状の部分を含むプリズムを含む、フーリエ変換分光計。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面の少なくとも1つは、レンズの表面を含む、フーリエ変換分光計。
【請求項10】
請求項9に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記レンズは、円柱レンズである、フーリエ変換分光計。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記距離は、前記ファブリーペロー干渉計の中心領域において相対的最小値を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記距離は、前記ファブリーペロー干渉計の周縁領域において相対的最小値を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、1つ又は2つ以上の物理的接触点において互いに物理的に接触している、フーリエ変換分光計。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の光学距離が実質的にゼロである1つ又は2つ以上の光学的接触点において互いに光学的に接触している、フーリエ変換分光計。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記領域は、真空、気体、又は液体を含む、フーリエ変換分光計。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の前記領域は、固体材料を含む、フーリエ変換分光計。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、約20〜60%の範囲の反射率を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、約40%の反射率を有する、フーリエ変換分光計。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、更に、
前記干渉縞を前記ファブリーペロー干渉計から前記検出器へ中継するための光学系を備えるフーリエ変換分光計。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記検出器は、前記干渉縞を前記検出器へ中継するための光学系を伴うことなく前記干渉縞画像を捉えられるように、前記ファブリーペロー干渉計に隣接して位置決めされる、フーリエ変換分光計。
【請求項21】
請求項1ないし20のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、更に、
前記入力光を光源から集めて前記ファブリーペロー干渉計へ伝送するための光収集光学系を備えるフーリエ変換分光計。
【請求項22】
請求項21に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記光収集光学系は、前記ファブリーペロー干渉計において前記光源の画像を形成するように構成される、フーリエ変換分光計。
【請求項23】
請求項1ないし22に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記プロセッサは、前記干渉縞画像を前記空間領域から前記周波数領域へ変換するように構成される、フーリエ変換分光計。
【請求項24】
請求項23に記載のフーリエ変換分光計であって、
前記プロセッサは、フーリエ変換、又は非正弦波ベースの関数を使用した変換を、前記干渉縞画像に対して実施するように構成される、フーリエ変換分光計。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記第1及び第2の光学表面は、コーティングされていない、フーリエ変換分光計。
【請求項26】
請求項1ないし25のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記複数の検出素子は、一次元の線形配列の形で配置される、フーリエ変換分光計。
【請求項27】
請求項1ないし26のいずれかに記載のフーリエ変換分光計であって、
前記複数の検出素子は、二次元の平面配列の形で配置される、フーリエ変換分光計。
【請求項28】
入力光のスペクトル成分を決定する方法であって、
ファブリーペロー干渉計を使用して、入力光から干渉縞を形成することと、
前記干渉縞の画像を捉えるために前記ファブリーペロー干渉計に対して位置決めされた検出器を使用して、干渉縞画像を形成することであって、前記検出器は、複数の検出素子を含み、前記検出器に直交する光軸を定めている、ことと、
前記光のスペクトル成分に関する情報を決定するために、プロセッサを使用して、前記干渉縞画像を処理することと、
を備え、前記ファブリーペロー干渉計は、光に対して一部透過性で且つ一部反射性である第1及び第2の光学表面を含み、前記第1及び第2の光学表面は、それらの間に共振空洞を形成し、前記第1の光学表面と前記第2の光学表面との間の距離は、前記光軸に直交する第1の横方向に空間的に可変であり、
前記干渉縞画像は、前記ファブリーペロー干渉計の特性が意図的に変更されない期間中に捉えられる、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2013−513112(P2013−513112A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542201(P2012−542201)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/058794
【国際公開番号】WO2011/069013
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(508158355)ユニバーシティ オブ ハワイ (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/058794
【国際公開番号】WO2011/069013
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(508158355)ユニバーシティ オブ ハワイ (3)
【Fターム(参考)】
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