説明

ファン制御システム

【課題】複数のファンを起動する際に、先に回転を開始したファンに起因する他のファンの起動時負荷の増大を抑制するファン制御システムを提供する。
【解決手段】ファン制御システムでは、第1ファン21及び第2ファン22を起動させる際、第1ファン21及び第2ファン22それぞれの回転数が共に必要回転数よりも低い目標回転数へ達した後に、第1ファン21及び第2ファン22の回転数が必要回転数へ達するように、第1モータ31及び第2モータ32が制御部4によって制御されている。制御部4は、目標回転数を複数の段階に分けて設定し、上位の目標回転数に上昇するときの上昇率を小さくして、隣接するファンに与える負荷を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン制御システムに関し、特に、複数台のファンを制御するファン制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空調機室外機のファン(以下、室外ファンと略す)を駆動するモータは、インバータによって制御されており、外部負荷の大小に関係なく回転数が指令通りに制御されている。一般に、室外ファンは屋外に配置されているので、運転停止時でも自然風を受けて逆回転していることがあり、そのような状態でモータを起動させると、インバータ回路に過電流が発生し異常停止する場合がある。この問題を解消する技術として、例えば、特許文献1(特開平8−303386号公報)では、ファンが逆回転しているときでも起動させることができる起動許可回転数を予め設定しファンがその起動許可回転数以上の速さで逆回転しているときには起動を行わない方法が既に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図4に示すような、同一空気流路に複数の室外ファンが搭載された空調機室外機において、全ての室外ファンが起動される場合、1つのファンが他のファンよりも早く起動すると、その早く起動したファンの吸い込み側の動圧によって、隣接するファンに逆回転方向の負荷が作用する。このとき、既に全てのモータへ通電が開始されているので、逆回転方向の負荷を受けているファンを起動しなければならないモータでは、起動時負荷が増大しインバータ回路に過電流が発生する可能性が高く、主に単一ファンの制御を前提とした特許文献1に記載の方法では解決することはできない。
【0004】
本発明の課題は、複数のファンを起動する際に、先に回転を開始したファンに起因する他のファンの起動時負荷の増大を抑制するファン制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係るファン制御システムは、第1ファンと、第2ファンと、第1モータと、第2モータと、制御部とを備えている。第2ファンは、第1ファンに隣接している。第1モータは、第1ファンを回転させる。第2モータは、第2ファンを回転させる。制御部は、第1モータ及び第2モータの回転数を制御する。また、制御部は、第1ファン及び第2ファンの回転数を必要回転数へ上昇させる前に、必要回転数よりも低い値の目標回転数へ達するように第1モータ及び第2モータへ通電する。さらに、制御部は、第1ファン及び第2ファンの回転数が共に目標回転数へ達した後に、第1ファン及び2ファンの回転数が必要回転数へ達するように第1モータ及び第2モータに通電する。そして、目標回転数は、複数の段階に分けて設定されている。
【0006】
このファン制御システムでは、ファンの回転数が低く維持されるので、先に起動したファンの吸い込み側の動圧は小さく、隣接するファンを逆回転させようとする圧力が抑制される。また、仮に隣接するファンが逆回転しても、その回転数は低く、起動時に逆回転から正回転へ反転させる負荷も小さい。さらに、目標回転数が複数の段階に分けられることによって、上位の目標回転数に上昇するときの上昇率が小さくなる。その結果、ファンそれぞれの吸い込み側の動圧の増加率が小さくなり、隣接するファンに与える負荷も小さくなる。
【0007】
本発明の第2観点に係るファン制御システムは、第1観点に係るファン制御システムであって、第1ファンの必要回転数と、第2ファンの必要回転数とが異なる値に設定されている。
【0008】
このファン制御システムでは、第1ファン及び第2ファンの吸い込み側の空気抵抗が異なる場合、それぞれの必要回転数に差を設けて、第1ファン及び第2ファンの吸い込み側の動圧を等しくすることができる。その結果、動圧の差による負荷の発生が抑制される。
【0009】
本発明の第3観点に係るファン制御システムは、第1観点又は第2観点に係るファン制御システムであって、第1ファンの目標回転数と、第2ファンの目標回転数とが異なる値に設定されている。
【0010】
このファン制御システムでは、第1ファン及び第2ファンの吸い込み側の空気抵抗が異なる場合、それぞれの目標回転数に差を設けて、第1ファン及び第2ファンの吸い込み側の動圧を等しくすることができる。その結果、動圧の差による負荷の発生が抑制される。
【0011】
本発明の第4発明に係るファン制御システムは、第1観点から第3観点のいずれか1つに係るファン制御システムであって、第1モータ及び第2モータの回転数が、インバータで制御されている。
【0012】
このファン制御システムでは、回転数及び加速度の変更が容易である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1観点に係るファン制御システムでは、ファンの回転数が低く維持されるので、先に起動したファンの吸い込み側の動圧は小さく、隣接するファンを逆回転させようとする圧力が抑制される。また、仮に隣接するファンが逆回転しても、その回転数は低く、起動時に逆回転から正回転へ反転させる負荷も小さい。また、ファンそれぞれの吸い込み側の動圧の増加率が小さくなり、隣接するファンに与える負荷も小さくなる。
【0014】
本発明の第2観点に係るファン制御システムでは、第1ファン及び第2ファンそれぞれの必要回転数に差を設けて、第1ファン及び第2ファンの吸い込み側の動圧を等しくすることができる。その結果、動圧の差による負荷の発生が抑制される。
【0015】
本発明の第3観点に係るファン制御システムでは、第1ファン及び第2ファンそれぞれの目標回転数に差を設けて、第1ファン及び第2ファンの吸い込み側の動圧を等しくすることができる。その結果、動圧の差による負荷の発生が抑制される。
【0016】
本発明の第4観点に係るファン制御システムでは、回転数及び加速度の変更が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るファン制御システムを使った空調機室外機の構成図。
【図2】同ファン制御システムの回路図。
【図3】ファン起動制御のフローチャート。
【図4】空調機室外機の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
<ファン制御システム>
図1は、本発明の実施形態に係るファン制御システムを使った空調機室外機の構成図である。図1において、空調機室外機2の上部には、第1ファン21と第2ファン22とが配置されており、それらは隣接している。第1ファン21は第1モータ31の回転軸に直結されており、第2ファン22は第2モータ32の回転軸に直結されている。第1モータ31及び第2モータ32の回転数は、インバータで制御される。
【0020】
制御部4は、空調機室外機2の所定の電装品箱に収納されており、第1モータ31及び第2モータ32の回転数を制御する。室外熱交換器13は、空調機室外機2の側壁に沿って配置されている。空調機室外機2の側壁には、吸込口20が形成されており、第1ファン21及び第2ファン22が回転することによって、空気が吸込口20から吸込まれ室外熱交換器13を通過して第1ファン21及び第2ファン22に到達し、空調機室外機2の上方へ吹き出される。
【0021】
<制御回路>
図2は、ファン制御システムの回路図である。図2において、制御部4は、第1モータ31及び第2モータ32の回転数を制御するために、2つの整流回路41,42と、2つの駆動回路51,52と、2つのインバータ回路61,62とを有している。制御部4は、2つの駆動回路51,52を制御するマイコン40をさらに有している。マイコン40は、CPUとメモリを内蔵している。第1モータ31及び第2モータ32は、ブラシレスDCモータであり、インバータ回路61,62から電圧供給される固定子と、固定子に対向するマグネットを有する回転子とから成る。
【0022】
整流回路41,42は、6つのダイオードから成るブリッジ回路であり、電源10の交流電圧から直流電圧を生成してインバータ回路61,62に供給する。インバータ回路61,62は、6つのトランジスタからなるブリッジ回路であり、駆動回路51,52から各トランジスタへ駆動信号が入力される。
【0023】
第1回転数センサ71は第1モータ31の回転数を検出し、第2回転数センサ72は第2モータ32の回転数を検出する。第1回転数センサ71は、第1モータ31の固定子に組み込まれたホール素子を介して回転子の回転数を検出する。同様に、第2回転数センサ72は、第2モータ32の固定子に組み込まれたホール素子を介して回転子の回転数を検出する。
【0024】
本実施形態では、第1ファン21及び第2ファン22の回転数は、第1モータ31及び第2モータ32の回転数で代用される。マイコン40は、第1回転数センサ71及び第2回転数センサ72からの検出信号を監視しながら、第1ファン21及び第2ファン22が所定の回転数になるように、インバータ回路61,62の各トランジスタへ駆動信号を入力させる。
【0025】
<ファン起動制御>
本実施形態のように、同一空気流路に複数のファンが使用されている空調機室外機では、複数のファンを同時に起動させようとすると、ファンの吸い込み側の空気抵抗やファン自身の起動特性の差によって、1つのファンだけが早く起動することがある。早く起動したファンの吸い込み側の動圧が大きい場合、静止しているファンの起動時負荷が増大する。本実施形態では、ファンの起動時負荷の増大を抑制するために、ファン起動制御を行なっている。以下、図面を用いて、ファン起動制御について説明する。
【0026】
図3は、ファン起動制御のフローチャートである。図3において、マイコン40は第1ファン21及び第2ファン22を起動させるときに、ステップS1で第1ファン21及び第2ファン22の必要回転数A1,A2を設定する。マイコン40のメモリには、冷凍サイクルの運転状態に応じた第1ファン21及び第2ファン22それぞれの必要回転数が記憶されており、マイコン40がそれらを読込んで設定する。
【0027】
必要回転数A1,A2の設定が完了すると、ステップS2に進み、第1ファン21及び第2ファン22それぞれの目標回転数B1,B2を設定する。目標回転数B1,B2は、必要回転数A1,A2よりも低い値であり、第1ファン21及び第2ファン22それぞれの必要回転数A1,A2に対応する目標回転数がメモリに記憶されており、マイコン40がそれらを読込んで設定する。
【0028】
目標回転数B1,B2の設定が完了すると、ステップS3に進み、第1ファン21の回転数N1、第2ファン22の回転数N2を上昇させる。ステップS4では、第1回転数センサ71、第2回転数センサ72を介して第1ファン21、第2ファン22の回転数を検出する。
【0029】
ステップS5では、第1ファン21の回転数N1が目標回転数B1に、第2ファン22の回転数N2が目標回転数B2に達したか否かを判定する。ステップS5での判定がYesの場合はステップS6へ進み、Noの場合はステップS3へ戻る。
【0030】
ステップS6では、第1ファン21の回転数N1、第2ファン22の回転数N2を再び上昇させる。ステップS7では、第1回転数センサ71、第2回転数センサ72を介して第1ファン21、第2ファン22の回転数を検出する。
【0031】
ステップS8では、第1ファン21の回転数N1が必要回転数A1に、第2ファン22の回転数N2が必要回転数A2に達したか否かを判定する。ステップS8での判定がYesの場合はプログラムを終了し、Noの場合はステップS6へ戻る。
【0032】
以上のように、マイコン40は、第1ファン21及び第2ファン22が低い回転数で確実に正回転するのを待ってから必要回転数まで上昇させるので、一方のファンの回転が他方のファンを逆回転させることはない。本実施形態では、第1ファン21及び第2ファン22それぞれの吸い込み側の空気抵抗や起動特性が異なるので、第1ファン21の必要回転数A1と第2ファン22の必要回転数A2とを異なる値に設定し、さらに第1ファン21の目標回転数B1と第2ファン22の目標回転数B2とを異なる値に設定している。
【0033】
<第1変形例>
第1ファン21及び第2ファン22それぞれの目標回転数は、例えば、第1目標回転数C1,C2、第1目標回転数C1,C2より数値の大きい第2目標回転数B1,B2のように複数設けられてもよい。回転数を複数の段階に分けて上昇させることによって、吸い込み側の動圧が段階的に上昇するので、隣接するファンへの影響が小さくなる。
【0034】
<第2変形例>
(起動限界回転数)
複数のファンが同一空気流路内にある場合、1つのファンの回転数が所定の回転数に到達したときに、吸い込み側の動圧によって隣接するファンが逆回転する場合がある。ここで、ファンが逆回転している状態で運転を行なうと、過負荷や過電流による保護が働いてファンの運転が停止する恐れがあるので、起動前や運転中にファンが逆回転しないことが望ましい。第2変形例では、第1ファン21と第2ファン22とが共に停止している状態から第1ファン21を起動し回転数を上昇させていくときに第1ファン21の吸い込み側の動圧によって第2ファン22が逆回転し始めるときの回転数が、第1起動限界回転数としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第1ファン21の回転数を上昇させる際に、目標回転数B1が第1起動限界回転数よりも低い値になるように、第1モータ31へ通電する。
【0035】
同様に、第1ファン21と第2ファン22とが共に停止している状態から第2ファン22を起動し回転数を上昇させていくときに第2ファン22の吸い込み側の動圧によって第1ファン21が逆回転し始めるときの回転数が、第2起動限界回転数としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第2ファン22の回転数を上昇させる際に、目標回転数B2が第2起動限界回転数よりも低い値になるように、第2モータ32へ通電する。
【0036】
(限界回転数)
また、第1ファン21と第2ファン22とが共に回転している状態から第1ファン21の回転数を上昇させていくときに第1ファン21の吸い込み側の動圧によって第2ファン22が逆回転し始めるときの回転数が、第1限界回転数としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第1ファン21の回転数を上昇させる際に、目標回転数B1が第1限界回転数よりも低い値になるように、第1モータ31へ通電する。
【0037】
同様に、第1ファン21と第2ファン22とが共に回転している状態から第2ファン22の回転数を上昇させていくときに第2ファン22の吸い込み側の動圧によって第1ファン21が逆回転し始めるときの回転数が、第2限界回転数としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第2ファン22の回転数を上昇させる際に、目標回転数B2が第2限界回転数よりも低い値になるように、第2モータ32へ通電する。
【0038】
<第3変形例>
(起動限界回転数)
複数のファンが同一空気流路内にある場合、1つのファンの回転数が所定の回転数に到達したときに、吸い込み側の動圧によって隣接するファンにおいて、過負荷や過電流による保護が働くことによって、起動できなくなる、或いは加速できなくなることがある。これを防止するために、第3変形例では、第1ファン21と第2ファン22とが共に停止している状態から第1ファン21を起動し回転数を上昇させていくときに第1ファン21の吸い込み側の動圧によって第2ファン22が起動できなくなるときの回転数が、第1起動限界回転数としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第1ファン21の回転数を上昇させる際に、目標回転数B1が第1起動限界回転数よりも低い値となるように、第1モータ31へ通電する。
【0039】
同様に、第1ファン21と第2ファン22とが共に停止している状態から第2ファン22の回転数を上昇させていくときに第2ファン22の吸い込み側の動圧によって第1ファン21が起動できなくなるときの回転数が、第2起動限界回転数としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第2ファン22の回転数を上昇させる際に、目標回転数B2が第2起動限界回転数よりも低い値になるように、第2モータ32へ通電する。
【0040】
(限界回転数)
また、第1ファン21と第2ファン22とが共に回転している状態から第1ファン21の回転数を上昇させていくときに第1ファン21の吸い込み側の動圧によって第2ファン22が加速できなくなるときの回転数が、第1限界回転数としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第1ファン21の回転数を上昇させる際に、目標回転数B1が第1限界回転数よりも低い値となるように、第1モータ31へ通電する。
【0041】
同様に、第1ファン21と第2ファン22とが共に回転している状態から第2ファン22の回転数を上昇させていくときに第2ファン22の吸い込み側の動圧によって第1ファン21が加速できなくなるときの回転数が、第2限界回転数としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第2ファン22の回転数を上昇させる際に、目標回転数B2が第2限界回転数よりも低い値になるように、第2モータ32へ通電する。
【0042】
<第4変形例>
(起動限界加速度)
複数のファンが同一空気流路内にある場合、1つのファンの回転数の加速度が大きいときに、吸い込み側の動圧が急激に増加して隣接するファンの逆回転を誘発する可能性がある。これを防止するために、第4変形例では、第1ファン21と第2ファン22とが共に停止している状態から第1ファン21を起動し回転数を加速させていくときに第1ファン21の吸い込み側の動圧によって第2ファン22が逆回転し始めるときの加速度が、第1起動限界加速度としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第1ファン21の回転数を上昇させる際に、第1起動限界加速度よりも低い値で加速するように、第1モータ31へ通電する。
【0043】
同様に、第1ファン21と第2ファン22とが共に停止している状態から第2ファン22を起動し回転数を加速させていくときに、第2ファン22の吸い込み側の動圧によって第1ファン21が逆回転し始めるときの加速度が、第2起動限界加速度としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第2ファン22の回転数を上昇させる際に、第2起動限界加速度よりも低い値で加速するように、第2モータ32へ通電する。
【0044】
(限界加速度)
また、第1ファン21と第2ファン22とが共に回転している状態から第1ファン21の回転数を加速させていくときに第1ファン21の吸い込み側の動圧によって第2ファン22が逆回転し始めるときの加速度が、第1限界加速度としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第1ファン21の回転数を上昇させる際に、第1限界加速度よりも低い値で加速するように、第1モータ31へ通電する。
【0045】
同様に、第1ファン21と第2ファン22とが共に回転している状態から第2ファン22の回転数を加速させていくときに、第2ファン22の吸い込み側の動圧によって第1ファン21が逆回転し始めるときの加速度が、第2限界加速度としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第2ファン22の回転数を上昇させる際に、第2限界加速度よりも低い値で加速するように、第2モータ32へ通電する。
【0046】
<第5変形例>
(起動限界加速度)
複数のファンが同一空気流路内にある場合、1つのファンの回転数の加速度が大きいときに、吸い込み側の動圧が急激に増加して、隣接するファンに過負荷や過電流による保護が働き、起動できなくなる、或いは加速できなくなる可能性がある。これを防止するために、第5変形例では、第1ファン21と第2ファン22とが共に停止している状態から第1ファン21を起動し回転数を加速させていくときに第1ファン21の吸い込み側の動圧によって第2ファン22が起動できなくなるときの加速度が、第1起動限界加速度としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第1ファン21の回転数を上昇させる際に、第1起動限界加速度よりも低い値で加速するように、第1モータ31へ通電する。
【0047】
同様に、第1ファン21と第2ファン22とが共に停止している状態から第2ファン22を起動し回転数を加速させていくときに、第2ファン22の吸い込み側の動圧によって第1ファン21が起動できなくなるときの加速度が、第2起動限界加速度としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第2ファン22の回転数を上昇させる際に、第2起動限界加速度よりも低い値で加速するように、第2モータ32へ通電する。
【0048】
(限界加速度)
また、第1ファン21と第2ファン22とが共に回転している状態から第1ファン21の回転数を加速させていくときに第1ファン21の吸い込み側の動圧によって第2ファン22が加速できなくなるときの加速度が、第1限界加速度としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第1ファン21の回転数を上昇させる際に、第1限界加速度よりも低い値で加速するように、第1モータ31へ通電する。
【0049】
同様に、第1ファン21と第2ファン22とが共に回転している状態から第2ファン22の回転数を加速させていくときに、第2ファン22の吸い込み側の動圧によって第1ファン21が加速できなくなるときの加速度が、第2限界加速度としてマイコン40のメモリに記憶されている。マイコン40は、第2ファン22の回転数を上昇させる際に、第2限界加速度よりも低い値で加速するように、第2モータ32へ通電する。
【0050】
<特徴>
このファン制御システムでは、第1ファン21及び第2ファン22を起動させる際、第1ファン21及び第2ファン22それぞれの回転数が共に目標回転数B1,B2へ達した後に、第1ファン21及び第2ファン22の回転数が必要回転数A1,A2へ達するように、第1モータ31及び第2モータ32がインバータによって制御されている。
【0051】
その結果、第1ファン21及び第2ファン22それぞれの回転数が低く維持されるので、先に起動したファンの吸い込み側の動圧は小さく、隣接するファンを逆回転させようとする圧力が抑制される。また、仮に隣接するファンが逆回転しても、その回転数は低く、起動時に逆回転から正回転へ反転させる負荷も小さい。
【0052】
さらに、制御部4は、第1ファン21の必要回転数A1と第2ファン22の必要回転数A2とを異なる値に設定し、第1ファン21の目標回転数B1と第2ファン22の目標回転数B2とを異なる値に設定することによって、第1ファン21及び第2ファン22の吸い込み側の動圧を等しくして動圧の差による負荷の発生を抑制している。
【0053】
さらに、制御部4は、目標回転数を複数の段階に分けて設定し、上位の目標回転数に上昇するときの上昇率を小さくして、隣接するファンに与える負荷を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明によれば、複数の隣接するファンの起動時負荷の増大が抑制されるので、複数のファンを同時に起動する、空調機室外機やファンフィルタユニットなどに有用である。
【符号の説明】
【0055】
4 制御部
21 第1ファン
22 第2ファン
31 第1モータ
32 第2モータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開平8−303386号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ファン(21)と、
前記第1ファン(21)に隣接する第2ファン(22)と、
前記第1ファン(21)を回転させる第1モータ(31)と、
前記第2ファン(22)を回転させる第2モータ(32)と、
前記第1モータ(31)及び前記第2モータ(32)の回転数を制御する制御部(4)と、
を備え、
前記制御部(4)は、
前記第1ファン(21)及び前記第2ファン(22)の回転数を必要回転数へ上昇させる前に、前記必要回転数よりも低い値の目標回転数へ達するように、前記第1モータ(31)及び第2モータ(32)へ通電し、
前記第1ファン(21)及び前記第2ファン(22)の回転数が共に前記目標回転数へ達した後に、前記第1ファン(21)及び前記第2ファン(22)の回転数が前記必要回転数へ達するように、前記第1モータ(31)及び第2モータ(32)に通電し、
前記目標回転数は、複数の段階に分けて設定されている、
ファン制御システム。
【請求項2】
前記第1ファン(21)の前記必要回転数と、前記第2ファン(22)の前記必要回転数とが異なる値に設定されている、
請求項1に記載のファン制御システム。
【請求項3】
前記第1ファン(21)の前記目標回転数と、前記第2ファン(22)の前記目標回転数とが異なる値に設定されている、
請求項1又は請求項2に記載のファン制御システム。
【請求項4】
前記第1モータ(31)及び前記第2モータ(32)の回転数が、インバータで制御される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のファン制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−97758(P2012−97758A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−26295(P2012−26295)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【分割の表示】特願2007−115061(P2007−115061)の分割
【原出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】