説明

フィラメントヤーンと発泡ポリマー含有マトリックスとを含有してなる複合ヤーン

本発明は無機又は有機材料よりなるフィラメントヤーンとポリマー材料よりなるマトリックスとを含有してなる複合ヤーンに関し、該フィラメントヤーンはポリマー材料のマトリックスで被覆されているか、これに押出成形されているか又は組込まれている。本発明は該マトリックスが少なくとも1種の発泡ポリマーを含有してなることを特徴とする。本発明はまた複合ヤーンが、前記の複合ヤーンよりなる芯部を包含し且つ該芯部を包囲する第2のポリマー材料のマトリックスで被覆されているかこれに押出成形されているか又は組込まれていることを特徴とする複合ヤーンに関する。本発明はまた被覆及び押出により前記の創造性ヤーンを製造する種々の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、何れか特定の用途又は仕様に適合するために全ての型式の編織構造体中に、特に適当な編織シート中に集成させ得る、技術的又は工業的に用いる例えばブラインド又はカーテンを製造するための複合ヤーン(a composite yarn)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な要領では、技術的な複合ヤーンは既に知られており、次の成分を含有してなる;
(イ)フィラメントヤーン(a filament yarn)特にガラスの如き無機材料製又はポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコールの如き有機材料製のフィラメントヤーンを有する芯部及び
(ロ)少なくとも1種の塩素化ポリマー材料例えばポリ塩化ビニル(PVC)よりなるマトリックス(matrix)即ち母材と、該マトリックス中に組込み且つ分布した難燃性の無機充填剤と可塑剤とを有する鞘部又は包囲体。
【0003】
かかる複合ヤーンは、塩素化ポリマー材料例えばポリ塩化ビニルと可塑剤とを含有するプラスチゾルで芯部を一層又は二層に被覆し次いで芯部の周りのプラスチゾルをゲル化することにより得られるのが好ましいが、何ら排他的ではない。
【0004】
かかる複合ヤーンを用いて得られた技術織物は、国内の又は国際的な確認又は認可の規制及び/又は手続によって定義された耐火挙動の要件を受ける必要がある。
【0005】
例えば有機リン酸塩の如き特定の可塑剤を用いることにより、これらの複合ヤーンの本質的な耐火挙動を改良するのに種々の試みが成されていた。残念なことには、かかる可塑剤を用いるとこれらの複合ヤーンの応用特性(柔軟性、滑走能力等)に変性を生じ、これは次後の織成に有害であり、織成をより困難とさせる。更には、かかる可塑剤の配合は発煙指数を増大させる。
【0006】
PVCで通常用いた難燃性の充填剤は、複合ヤーンの他の特性特に機械的特性を不利に損なうことなしには防火挙動を改良させるものでなく、しかも複合ヤーンの応用特性が前記の如く損害を受けるものでなければ難燃性充填剤の重量含有率を有意な程に増大させることはできないか又はもはや可能でない。
【0007】
これらの複合ヤーンは次後の応用に応じて特に工業編織物を製造するには特別な機械的特性を有しなければならず、こうして満足な条件下で複合ヤーンを織成でき、例えば耐摩擦性及び引張強さ及び例えば切断した時の脱フィブリル化に対する耐性を有しなければならず、しかもこうして仕上げの編織物に必要とされる使用条件に合致する織物を得ることができ、例えば遮光特性及びそれ故繊維の不透明度及び建物の外方への付属品例えば日除けを提供するのに、これらの編織物を用いようとする時の耐候性且つまた複合ヤーンの重量が低下するならばこれらを取付けしかも取扱うのがより容易である処の密度を有しなければならない。
【0008】
耐摩擦性に関しては、例えば鞘部の抜取りが参照される。複合ヤーンの芯部はポリマー状鞘部に均質に分布されていないので、芯部は摩擦の作用下で鞘部を残してしまい、且つ芯部を形成する繊維で破断が生起してしまい、お互い同志の繊維の接触のために反復摩擦により繊維が破断する可能性がある。
【0009】
機械的強度のこれらの問題は2001年12月28日付けでフランスで出願した特許出願第01/17047号に記載した複合ヤーンによって一部は解決されており、該特許出願はポリマー材料中に均一に分布した繊維よりなる複合ヤーンを記載している。
【0010】
ポリマー材料中にガラス芯部が均一に分布されながらこの被覆した難燃性の複合ヤーンは、従来技術で得られた複合ヤーンよりも良好な機械的特性を示す。引張強さは25%だけ増大し、複合ヤーンはもはやその鞘部を失わず、この様にして得られた複合ヤーンは切断された際でも脱フィブリル化しない。何故ならばガラス芯部を形成する繊維はポリマー材料によって保持されるからである。
【0011】
ポリマー材料中に均一に分布したガラス芯部は充填剤の様に挙動し、放熱を促進する。次いで耐火挙動が本質的に改良され、複合ヤーン中の難燃性充填剤の含量を低減させ得る。
【0012】
ガラス芯部はポリマー材料中に均一に分布しているので、毛管上昇の解消により悪天候からより良く保護される。
【0013】
その端部までまっすぐなガラスを有するヤーン又は剛毛(bristle)がまた得られる。
【0014】
然しながら、織成により得られた編織物の最終用途に必要とされる不透明化特性を得るためには、不透明化用充填剤を用いねばならず、通常用いる不透明化充填剤は例えば硫化亜鉛、炭酸カルシウム又は二酸化チタンである。
【0015】
これらの不透明化充填剤はそれらが芯部を形成する繊維と接触している時は本質的に摩耗性であり、特に複合ヤーンを織成により応用する時又は繊維品を取扱う時には、これらの繊維を破断させてしまう。
【0016】
本発明はこれらの複合ヤーンの製造に用いたポリマー材料中に不透明化充填剤を用いるのを制限するか又は解消さえすることができる。
【0017】
織成ヤーン又は不織ヤーンから編織物即ち繊維品を得る方法は英国特許第2,032,483号から知られており、前記のヤーンは架橋が完了するように織成後に熱で賦活化される発泡剤を含有しており、こうして編織物の繊維が発泡後に行なうカレンダー仕上げによって生起した平坦化の故に結合された編織物を得る。この方法が得られた編織物を処理する操作を必要とするという事実は別として、ヤーンの繊維が該繊維の周りに形成したマトリックス中に均一に分布されたヤーンを得ることができない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は従来技術の問題を解決することができ、本発明の要旨は無機又は有機材料製のフィラメントヤーンとポリマー材料製のマトリックスとを含有してなる複合ヤーンであって、該フィラメントヤーンはポリマー材料製の該マトリックスで被覆又はこれに押出成形又は組込まれている複合ヤーンにおいて、該マトリックスが少なくとも1種の発泡ポリマーを含有してなることを特徴とする複合ヤーンである。
【0019】
ポリマー材料製のマトリックスで被覆した、押出成形した複合ヤーン又はこれに組込んだ複合ヤーンは、ポリマー材料製のマトリックスで被覆した又は該マトリックスに埋設した何れかのヤーンであって、繊維及びマトリックスを浸漬し、押出成形し、被覆し又は同時押出成形し、該繊維を混合し続いて該繊維の若干を溶融し、同時紡糸し続いて溶融することにより且つ本発明の複合ヤーンが得られる何れか別の工業的方法により得られる何れかのヤーンを意味すると理解される。
【0020】
発泡ポリマー(a foamed polymer)は、前記マトリックスに組込まれ且つ分布されしかも発泡した材料又は微孔性材料を得ることができる発泡形を含有するポリマー材料を用いることにより、得られたポリマーを意味すると理解される。
【0021】
該発泡系は化学的な発泡系又は機械的な発泡方式であっても良い。
【0022】
化学的な発泡系のうちでは、例えば賦活剤と組合せ得る発泡剤を含有してなる発泡系を参照し得る。該発泡剤はアゾジカルボンアミド又はp,p'−オキシビス(ベンゼンスルホンヒドラジド)であり得る。賦活剤は、アゾジカルボンアミドと組合せて遷移金属例えば亜鉛、アミン、アミド又はグリコールであり得る。賦活剤はp,p'−オキシビス(ベンゼンスルホンヒドラジド)と組合せて酸化亜鉛、塩化鉄又は尿素であり得る。
【0023】
機械的な発泡方式のうちでは、例えばポリマー製剤が剪断を受けて空気を配合し得る発泡方式を参照し得る。気泡安定剤を添加して発泡ポリマー製剤を安定化させ得る。この気泡安定剤はシリコーンであり得るが、これに限定されない。
【0024】
かくして本発明は化学的な発泡系を用いることによりポリマーを発泡させることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0025】
本発明はまた機械的な発泡方式を用いることによりポリマーを発泡させることを特徴とする前記の複合ヤーンに関する。
【0026】
ポリマー材料中に得られた気泡は、ポリマー材料中に均一に分布したガラス芯部の機械的特性に不利に影響することなくポリマー材料を不透明化させ得る。
【0027】
芯部を形成する材料として、発泡済みポリマー材料即ち発泡系を含有するポリマー材料を用いると、前述した如き不透明化充填剤を配合した時に複合ヤーンが有するのと光に対して同じ特性を有する複合ヤーンを得ることができ、即ちフィラメントヤーンを形成する繊維は遮蔽され光線をもはや通さない。
【0028】
驚くべきことには且つ予期せぬことには、複合ヤーンの機械的特性は前記のマトリックスに配合且つ分布した発泡系含有ポリマー材料の使用によっても向上する。
【0029】
フィラメントヤーンそれ自体は1本又はそれ以上の連続したフィラメント又は繊維よりなる。フィラメントヤーンが天然起源のものである時は、フィラメントヤーンは繊維を加撚することにより即ち紡糸により得られる。フィラメントヤーンの化学的性状は合成起源の有機材料であることができ、該材料は紡糸し得る何れかのプラスチック例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニル樹脂、アクリル樹脂よりなることができ、フィラメントヤーンの化学的性状は亜麻又は木綿の如き天然起源の有機材料であることができあるいはフィラメントヤーンの化学的性状は例えばガラス又はシリカ製の無機材料であることができる。該繊維の融点はマトリックスのポリマー材料を用いる温度よりも高くなければならないことは理解される。
【0030】
本発明はまたフィラメントヤーンの繊維を構成する無機材料がガラス又はシリカよりなる群から選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0031】
本発明はまたフィラメントヤーンの繊維を構成する合成起源の有機材料がポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニル樹脂及びアクリル樹脂よりなる群から選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0032】
本発明はまたフィラメントヤーンの繊維を構成する天然起源の有機材料が亜麻又は木綿よりなる群から選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0033】
本発明はまたフィラメントヤーンを構成する繊維がポリマー材料よりなるマトリックス中に均一に分布されることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0034】
本発明はまた、芯部の周りに形成したポリマー材料製の第2のマトリックスで被覆した又はこれに押出成形した又は組入れた本発明の複合ヤーン製の芯部を含有してなることを特徴とする複合ヤーンに関する。
【0035】
本発明によると、芯部のマトリックスを構成するポリマー材料と芯部の周りに形成した第2のマトリックスのポリマー材料とは同一の又は相異なる性状を有する。
【0036】
本発明によると、芯部の周りに形成した第2のマトリックスのポリマー材料は発泡させることができ即ち芯部のマトリックスを構成するポリマー材料中に用いた発泡系と同一又は相異なる発泡系を含有できる。
【0037】
1つの変更例として、芯部の周りに形成した第2のマトリックスのポリマー材料は発泡させなくても良く即ち何らの発泡系を含有しなくても良く、該ポリマー材料の性状が芯部のマトリックスを構成するポリマー材料の性状と同一であるか又は相異なるという事実とは別個にこの発泡なしを行なう。
【0038】
別の具体例においては、芯部の周りに形成した第2のマトリックスのポリマー材料を発泡させる。
【0039】
ポリマー材料としては、塩素化ポリマー、シリコーン、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン、エチレン/酢酸ビニル コポリマー(EVA)、エチレン−プロピレン−ジエン モノマーのターポリマー(EPDM)、ポリメチル メタクリレート(PMMA)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることができ、該ポリマーはプラスチゾル形に加工し得るものでありあるいは選択した方法に応じて溶融加工し得るものである。
【0040】
塩素化ポリマー材料としては、本発明によると、可塑化され得る何れかのPVC樹脂を用いることができ、特にその結果としてプラスチゾル形に加工し得るPVC樹脂を用い得る。
【0041】
塩素化ポリマー材料は、純粋な塩素化ポリマー又は別のモノマーと共重合した塩化ビニルのコポリマーあるいは更には別のポリマーと混合した塩素化ポリマーの何れかを意味すると理解される。
【0042】
塩化ビニルと共重合し得るモノマーのうちでは、特にオレフィン例えばエチレン、飽和カルボン酸のビニルエステル例えば酢酸ビニル、酪酸ビニル又はマレイン酸ビニル;例えば塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニル誘導体;アクリル酸ブチルの如きアクリル酸又はメタクリル酸のエステルが参照されるであろう。
【0043】
塩素化ポリマーとしては例えばポリ塩化ビニルが参照されるが、後−塩素化PVCs、ポリ塩化ビニリデン及び塩素化ポリオレフィンも参照される。
【0044】
本発明によると塩素化ポリマー材料は40〜70%のハロゲン重量含量を有するのが好ましいが、これに限定されるものでない。
【0045】
シリコーンポリマー材料としては、本発明によるとオルガノポリシロキサンを用いることができ、より特定的にはポリシロキサン樹脂及び希釈剤を有する又は有しないエラストマーを用い得る。
【0046】
ポリウレタンポリマー材料としては、本発明によるとウレタン又は−NHCOO−官能基を担持する炭化水素連鎖よりなる何れかの材料を用い得る。
【0047】
かくして本発明は1種又は2種のマトリックスのポリマー材料が塩素化ポリマーから選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0048】
かくして本発明はまた1種又は2種のマトリックスのポリマー材料がポリ塩化ビニル、後塩素化PVCs、ポリ塩化ビニリデン及び塩素化ポリオレフィンよりなる群から選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0049】
かくして本発明はまた1種又は2種のマトリックスのポリマー材料がアクリル樹脂から選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0050】
かくして本発明はまた1種又は2種のマトリックスのポリマー材料がポリオレフィンから選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0051】
かくして本発明はまた1種又は2種のマトリックスのポリマー材料がオルガノポリシロキサンから選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0052】
かくして本発明はまた1種又は2種のマトリックスのポリマー材料がポリウレタンから選ばれることを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0053】
耐火性に関して或る要件を満足するためには、難燃性の充填剤をポリマー材料に添加でき、この難燃性充填剤はホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン及びヒドロキシ第1錫酸亜鉛、モリブデン化合物、ハロゲン化誘導体、活性ハロゲンを有する化合物、リン含有化合物及び発泡性防炎系よりなる群から選ばれる。
【0054】
本発明はかくしてまたホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン及びヒドロキシ第1錫酸亜鉛よりなる群から選んだ難燃性の充填剤を追加的に含有することを特徴とする本発明の複合ヤーンに関する。
【0055】
難燃性の充填剤に加えて、他の充填剤例えば顔料性充填剤、シリカ、タルク、ガラスビーズ及び/又は安定化用充填剤をポリマー材料に配合且つ分布させ得る。かかる場合には、複合ヤーンの重量につき無機材料の全組成は明らかに変更されるか影響を受ける。
【0056】
本発明の複合ヤーンは、これらがポリマー材料製の第2のマトリックスを含有する複合ヤーンと芯部として役立つ第1の複合ヤーンとを構成するかどうかあるいはこれらが無機又は有機材料製のフィラメントヤーンの芯部と少なくとも1種の発泡ポリマーを含有してなるポリマー材料製のマトリックスとより単純になるかどうかに拘らず被覆又は押出成形により得られる。
【0057】
前記の複合ヤーンが被覆により得られる時は、該被覆はモノマー状又はポリマー状液剤(liquid preparation)を用いて行なうことができ、例えば、ポリマーを溶融することにより又は分散により例えばプラスチゾル形で得られたポリマー状液剤及び例えば加熱の作用下で又は、照射により例えばUV照射により重合する液体モノマーよりなるモノマー状液剤を用いて行ない得る。
【0058】
プラスチゾルを用いる場合には、慣用の可塑剤例えば少なくとも1種のフタレートを含有する可塑剤を用いることができ、従ってヤーンの次後の織成に関してヤーンの加工特性に妥協するものでない。
【0059】
前記の複合ヤーンが押出成形により得られる時は、前記の押出成形は押出により加工し得る溶融状態のポリマーを用いて行ない得る。
【0060】
本発明は、有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを発泡系含有ポリマー材料で被覆することを特徴とする本発明の複合ヤーンを製造する方法に関する。
【0061】
本発明は更に有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを発泡系含有ポリマー材料で被覆し次いで発泡系含有又は無含有ポリマー材料で被覆する第2の工程にかけることを特徴とする本発明の複合ヤーンの製造方法にも関する。
【0062】
本発明は更に、有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを発泡系含有ポリマー材料で被覆し次いで発泡系含有又は無含有ポリマー材料中に押出成形する工程にかけることを特徴とする、本発明の複合ヤーンの製造方法にも関する。
【0063】
本発明は、有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを発泡系含有ポリマー材料中への押出成形にかけることを特徴とする、本発明の複合ヤーンの製造方法に関する。
【0064】
本発明は更に、有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを発泡系含有ポリマー材料中への押出成形にかけ次いで発泡系含有又は無含有ポリマー材料で被覆する第2の工程にかけることを特徴とする本発明の複合ヤーンの製造方法に関する。
【0065】
本発明は更に、有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを発泡系含有ポリマー材料中への押出成形にかけ次いで発泡系含有又は無含有ポリマー材料中に押出成形する第2の工程にかけることを特徴とする本発明の複合ヤーンの製造方法にも関する。
【0066】
本発明はまた有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡系含有ポリマー材料で被覆するのと同時に又は被覆する前に、該ヤーンを機械的に開放して該繊維を分離させ得る方法にかけることを特徴とする、複合ヤーンの製造方法に関する。
【0067】
本発明はまた有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンに、発泡系含有ポリマー材料中に押出成形するのと同時に又は押出成形する前に、該ヤーンを機械的に開放して該繊維を分離させ得る方法にかけることを特徴とする、複合ヤーンの製造方法に関する。
【0068】
本発明は更には有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡系を含有する液体状態でのモノマー又はポリマーの液剤で第1に被覆するのと同時に又は被覆する前にあるいは発泡系含有ポリマー材料中に押出成形する前に、該ヤーンを機械的に開放して該繊維を分離させ得る方法にかけ、しかも得られた複合ヤーンをモノマー又はポリマー状液剤で第2の被覆にかけることを特徴とする、複合ヤーンの製造方法に関する。
【0069】
本発明は更には、有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡系を含有する液体状態でのモノマー又はポリマーの液剤で第1に被覆するのと同時に又は被覆する前にあるいは発泡系含有ポリマー材料中に押出成形する前に、該ヤーンを機械的に開放して該繊維を分離させ得る方法にかけ、しかも得られた複合ヤーンをポリマー材料中への押出成形にかけることを特徴とする、複合ヤーンの製造方法に関する。
【0070】
機械的な開放は被覆するのと同時に又は被覆する前に繊維を開放する何れかの方法を意味すると解され、例えばエアジェット又は水噴射の印加による破断、超音波による処理、機械的圧力の印加、例えばヤーンの破砕、繊維の巻戻しの相対的な遅延及び/又は当業者に周知であって応用し得る何れか別の方法を意味し、かくして該繊維を分離してポリマー材料を該ヤーン形成繊維内部に浸透させ得るものである。この機械的開放は場合によっては、繊維同志間にポリマー材料の浸透を「強制する」装置によって補充でき、例えば前記ポリマー材料を案内する装置を用いて、ポリマー材料のジェット流を用いて、ノズルを用いて又は繊維を加圧する系を用いてさえも補充できる。
【0071】
得られたフィラメントヤーンは不透明であり、このヤーンを織成することに得られた織物は不透明化用充填剤を用いることなく多量の光線を濾光するのに有効である。
【0072】
機械的特性は発泡したポリマー材料の使用によっても改良される。引張強度は前記した複合ヤーンと比較すると改良される。鞘取出しに対する耐性も100%だけ向上する。
【0073】
ポリマー材料の発泡中に生じたガスは主として窒素であるので耐火特性はこの方法によっては不利に影響されない。
【0074】
本発明により得られた複合ヤーンは、前記した且つ同じ被覆力についてこの様に製造した複合ヤーンよりも所与の直径について軽量であり、しかも本発明に記載した複合ヤーンから製造した織物はより軽量である。
【0075】
同様に、同じ重量について、より大きな直径の複合ヤーンが得られ、それ故より良い被覆力の織物が得られる。
【0076】
次の対比表は、先に記載され且つ製造した複合ヤーンと比較して全てのこれらの特性を例示し得る。
【0077】
発泡したポリマー材料の不透明化特性は特に写真によって立証されている。複合ヤーンは、繊維が発泡系含有ポリマー材料を用いてポリマーマトリックス中に均一に分布された芯部よりなる時は、該繊維はもはや見られず、結果は硫化亜鉛及び二酸化チタンの如き不透明化充填剤を添加することにより得られた複合ヤーンと匹敵することが見出された。
【0078】
透明性又は濾光測定値も匹敵する。
【0079】
添附図面について参照するに、図1は本発明の複合ヤーンの断面図解図である。繊維1の均質な分布が、液状で施用されしかも施用後に冷却又は重合され且つ発泡したポリマー材料製剤2中に見出される。繊維同志間に気泡3の規則的な分布が見られる。
【0080】
図2は本発明の複合ヤーンの周りに規則的に分布した第2の被覆層4又は4’により被覆した後の図1の複合ヤーンの断面図解図である。第2の被覆は発泡剤を含有しないポリマー材料で行なうことができ、被覆層4が得られる。第2の被覆は発泡剤含有ポリマー材料で行なうことができ、気泡3’を含有する被覆層4’が得られる。
【0081】
次の表において、対照のヤーンは慣用の被覆によって得られた複合ヤーンであり、繊維がポリマーマトリックス中に均一に分布されているヤーンは被覆前にヤーンを開放することからなる方法によって得られたものである。
【0082】
表1:

前記の表で得られ且つ一緒に合わせた結果から、直径及び引張強度は発泡系含有ポリマー製剤で被覆することにより増大することが見出されるであろう。
【0083】
表2:

得られた結果によると、実際上同一の重量について直径の36%増大が見られる。
【0084】
400μmの直径を有する標準ヤーンは165テックスの重量を有し;重量が36%増大する。
【0085】
350μmの直径を有する標準ヤーンは115テックスの重量を有する。本発明の複合ヤーンはこの直径に対して79テックスの重量を有し;重量が31%増大する。
【0086】
同様な結果は原料が何であろうとも何れかの範囲の線密度及び直径に亘って得られる。
【0087】
実施した試験によれば、前記した方法によって得られた本発明の複合ヤーンは内部層に難燃性の充填剤を用いることなくM1B1の耐火等級を達成できることを証明し得た。次の例は被覆による方法の場合に、本発明を例証し得る。
【0088】
本発明の方法により無機ヤーン/連続ガラス繊維/編織ガラスフィラメントを被覆することにより、該フィラメントヤーンを形成する繊維がマトリックス中に均一に分布している複合ヤーンを得るために、即ち発泡系含有ポリマー液剤により被覆するのと同時に又は被覆する前に該ヤーンを破断による機械的開放にかけることにより、被覆した複合ヤーンが本発明により得られる。
【0089】
被覆用組成物は、20 rpm、スピンドル4でRVTブルックフィールド粘度計を用いて25℃で測定すると、500〜3000 mPa.sの粘度、好ましくは1000〜1500 mPa.sの粘度によって定義される。
【0090】
被覆は次の生成物を含有する組成物を用いて行なう;
発泡したポリマーを含有してなるマトリックス;
PVC樹脂 60%
DINP 26.4%
第2の可塑剤 6%
熱安定剤I 2%
熱安定剤II 3%
粘度低減剤 1%
アゾジカルボンアミド発泡剤 0.6%
分解促進剤 1%
芯部の周りに形成したポリマー材料製の第2のマトリックス;
PVC樹脂 45%
PVC樹脂増量剤 15%
DINP 22%
熱安定剤 2%
湿潤剤 0.5%
粘度低減剤 1%
シリコーン 0.5%
不透明化用充填剤 1%
難燃性の充填剤 10%
希釈剤 3%
本発明による複合ヤーンは、何れかの編織構造体に配合できあるいは二次元構造(シート、織物等)又は三次元構造(例えば組み紐)である何れか所要の編織構造体に応じて集成し得る。
【0091】
複合ヤーンは先ず第1に個々のヤーンに切断且つ分割でき、個々のヤーンは不織布の形で例えばマットの形に互いに混合でき且つ結合できる。混合した個々のヤーンの結合は、適当な接着剤物質への含浸により又は鞘部のポリマー材料の熱融合により得られる。
【0092】
複合ヤーンは次いでそれ自体で何れか適当な編成した編織構造体に集成し得るが、本発明による別の複合ヤーン又は本発明によらない別の複合ヤーンと集成して別の二次元又は三次元構造体を形成し得る。この後者の場合には、該集成は本発明の複合ヤーンを本発明による又はよらない別の繊維と織り混ぜ且つ該繊維に結合させる網状化(metling)よりなることができ、しかも本発明の複合ヤーンをまた本発明による又はよらない別のたて糸ヤーン及び/又はよこ糸ヤーンと共に織成する織物よりなることができる。
【0093】
本発明の全く特別な応用は、外部並びに室内用の両方で日除け又はカーテンの製造に意図した工芸織物の取得に関する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明による複合ヤーンの断面図解図
【図2】本発明による複合ヤーンの周りに第2の被覆層を鞘部として配置した本発明の複合ヤーンの断面図解図
【符号の説明】
【0095】
1 フィラメントヤーンの繊維
2 ポリマー材料よりなるマトリックス
3 気泡
4 第2の被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機又は有機材料製のフィラメントヤーンと、少なくとも1種の発泡ポリマーを含有するポリマー材料製のマトリックスとを含有してなる複合ヤーンであって、該フィラメントヤーンがポリマー材料製の該マトリックスで被覆されているか、これに押出成形されているか又は組込まれている複合ヤーンにおいて、フィラメントヤーンを形成する繊維がポリマー材料製のマトリックス中に均一に分布していることを特徴とする複合ヤーン。
【請求項2】
化学的な発泡系を用いることによりポリマーを発泡させることを特徴とする請求項1記載の複合ヤーン。
【請求項3】
機械的な発泡方式を用いることによりポリマーを発泡させることを特徴とする請求項1記載の複合ヤーン。
【請求項4】
フィラメントヤーンの繊維を構成する無機材料はガラス又はシリカよりなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項5】
フィラメントヤーンの繊維を構成する合成起源の有機材料はポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニル樹脂及びアクリル樹脂よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項6】
フィラメントヤーンの繊維を構成する天然起源の有機材料は亜麻又は木綿よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項7】
芯部の周りに形成したポリマー材料製の第2のマトリックスで被覆されたか、これに押出成形されたか又は組込まれた請求項1〜6の何れかに記載の複合ヤーン製の芯部を含有してなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項8】
芯部のマトリックスを構成するポリマー材料及び芯部の周りに形成した第2のマトリックスのポリマー材料は同一の又は相異なる性状を有することを特徴とする請求項7記載の複合ヤーン。
【請求項9】
2つのマトリックスの又はその1つのポリマー材料は塩素化ポリマーから選ばれることを特徴とする請求項7又は8記載の複合ヤーン。
【請求項10】
2つのマトリックスの又はその1つのポリマー材料はポリ塩化ビニル(PVC)、後−塩素化PVCs、ポリ塩化ビニリデン及び塩素化ポリオレフィンから選ばれることを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項11】
2つのマトリックスの又はその1つのポリマー材料はオルガノポリシロキサン類から選ばれることを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項12】
2つのマトリックスの又はその1つのポリマー材料はポリウレタン類から選ばれることを特徴とする請求項7〜11の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項13】
2つのマトリックスの又はその1つのポリマー材料はポリオレフィン類から選ばれることを特徴とする請求項7〜12の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項14】
2つのマトリックスの又はその1つのポリマー材料はアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項7〜13の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項15】
ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン及びヒドロキシ第一錫酸亜鉛よりなる群から選んだ難燃性の充填剤を追加的に含有してなることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の複合ヤーン。
【請求項16】
有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡ポリマー系を含有するポリマー材料で被覆することを特徴とする、複合ヤーンの製造方法。
【請求項17】
有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡ポリマー系を含有するポリマー材料で被覆し、次いで発泡ポリマー系を含有する又は含有しないポリマー材料で被覆するか又は該材料中に押出成形する第2の工程にかけることを特徴とする複合ヤーンの製造方法。
【請求項18】
有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡ポリマー系を含有するポリマー材料中に押出成形することを特徴とする複合ヤーンの製造方法。
【請求項19】
有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡ポリマー系を含有するポリマー材料中に押出成形し、次いで発泡ポリマー系を含有するか又は含有しないポリマー材料で被覆するか又は該材料中に押出成形する第2の工程にかけることを特徴とする複合ヤーンの製造方法。
【請求項20】
有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡ポリマー系を含有するポリマー材料で被覆するか又は該材料中に押出成形するのと同時に又はその前に、フィラメントヤーンを機械的に開放して前記の繊維を分離させ得る方法にかけることを特徴とする複合ヤーンの製造方法。
【請求項21】
有機又は無機材料製の繊維又は天然起源の繊維を紡糸することにより得られたフィラメントヤーンを、発泡ポリマー系を含有する液体状態のモノマー又はポリマーの液剤で第1の被覆を行なうのと同時に又は行なう前に、あるいは発泡系を含有するポリマー材料中に押出成形する前に、フィラメントヤーンを機械的に開放して前記の繊維を互いに分離させ得る方法にかけ、得られた複合ヤーンに発泡ポリマー系を含有する又は含有しないポリマー材料での第2の被覆又は第2の押出成形をかけることを特徴とする複合ヤーンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−512447(P2007−512447A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540540(P2006−540540)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003032
【国際公開番号】WO2005/052232
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500576566)
【氏名又は名称原語表記】CHAVANOZ INDUSTRIE
【Fターム(参考)】