フィラメント束状のナノ長繊維及びその製造方法
本発明は、2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造された、フィラメント束状のナノサイズの長繊維及びその製造方法を開示する。本発明のフィラメント束状のナノサイズの長繊維は、電気紡糸過程で一工程によって糸の形に製造されることにより、従来のナノ繊維不織布より機械的物性が向上し、その結果その活用範囲を拡大して応用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメント束状のナノサイズの長繊維及びその製造方法に係り、より具体的には、2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造されたものであって、改善された電気紡糸法を用いたフィラメント束状のナノサイズの長繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ繊維は、繊維直径1〜800nmの超極細繊維であって、既存の繊維では得られない種々の物性を提供する。ナノ繊維からなるウェブは、多孔性を持つ分離膜型素材であって、各種フィルター類、傷治療用ドレッシング、人工支持体、生化学武器防御用衣服、2次電池用隔離膜、ナノ複合体などの様々な分野で非常に有用に使用できる。
【0003】
ナノ繊維を製造する公知の方法としては、繊維原料溶液を荷電状態で紡糸して微細直径の繊維を製造する電気紡糸(エレクトロスピニング)法が代表的である。電気紡糸法を用いてナノ繊維を製造した例としては、韓国公開特許第2000−11018号、同第2003−3925号、同第2003−77384号及び米国特許第6,183,670号などの多数が公知になっている。ところが、公知の電気紡糸法によって製造されたナノ繊維は、不織布状に限定される。これについて、Doshi等は、一般に、従来の電気紡糸法における、紡糸ノズルの先端(tip)に生成された高分子溶液の液滴が高電圧印加の下に破裂しながらコレクター上に捕集されてナノ繊維が生成される過程で、ナノ繊維は、コレクター上に等方性配向ではなく異方性配向に集積されるため、ナノウェブ状、すなわち不織布状に生成されるからであるとその理由を説明している[Doshi and Reneker, "Electrospinning Process and Application",Journal of Electrostatics, 1995, 35, 151-160]。
【0004】
また、このような不織布状のナノ繊維は、単繊維からなるため、電気紡糸の際に紡糸ノズルの先端に生成された液滴が臨界電圧(Vc)の下でコレクターに向かって紡糸される過程で、コレクターに到達する前に単繊維同士が衝突し、その結果お互い干渉または結合して集塊になるという問題も指摘される。このため、韓国公開特許公報第2002−50381号では、紡糸溶液として、単一成分ではなくポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルを用いて、従来の電気紡糸法によってナノ繊維を製造することを開示しているが、前記で製造されたナノ繊維も不織布状から逸脱していない。前記不織布状のナノ繊維は、機械的強度が非常に脆弱であり、特に不織布状のナノ繊維を撚って糸に製造する場合、製造の際に単繊維間を連結するための別途の連結繊維が必要であり、最終的に製造された糸が切れ易いという問題が誘発されるので、要求される様々な分野に適用するには改善が切実である。
【0005】
そこで、本発明者らは、より多様な分野に充足させることが可能なナノ繊維を得ようと努力した結果、従来の電気紡糸法における、紡糸ノズルの先端(tip)に生成された紡糸溶液の液滴が高電圧印加の下に破裂しながらコレクター上に捕集されてナノ繊維が生成される過程で、紡糸溶液を一つ以上の1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させることにより、従来のナノ繊維より機械的物性に優れたフィラメント束状のナノ繊維を連続的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フィラメント束状のナノサイズの長繊維を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、紡糸溶液または紡糸溶融体を臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸し、前記紡糸される液滴を一つ以上の1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、少なくとも一つのコレクターが回転することを特徴とする、前記フィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、電気紡糸に適した分子構造を設計し、或いは適切な分子構造を持つ化合物の最適の配合条件を提供することにより実現される前記フィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造された、フィラメント束状のナノサイズの長繊維を提供する。
【0010】
この際、高分子は、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン及びポリエチレンオキシドよりなる群から選択された2種以上の組み合わせからなり、さらに好ましくは、モノアミン、ジアミン、トリアミン及びテトラアミンよりなる群から選択された1種以上のアミン基を含む。本発明で最も好ましい高分子は、ポリアミド−ポリイミド共重合体である。
【0011】
好ましい溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、2−ブトキシエタノール、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドよりなる群から選択されたいずれか一つが使用される。
【0012】
また、本発明は、連続糸束に製造された10〜500nmのナノサイズを持つ長繊維からなる、フィラメント束状の糸(filament yarn)を提供する。
【0013】
本発明は、前記10〜500nmのナノサイズを持つ長繊維の製造方法を提供する。より具体的には、本発明の製造方法では、1)2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体10〜50重量%を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融温度以上に加熱して溶融させて製造された紡糸溶融体を準備し、2)前記紡糸溶液または紡糸溶融体を、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸し、3)前記紡糸される液滴を1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、前記少なくとも一つのコレクターが回転する。また、前記1次コレクター及び前記2次コレクター以外に、一つ以上のコレクターをさらに備えてもよい。
【0014】
1次コレクターは、電気伝導性の金属板または金属メッシュの材質であって、板状が好ましく、固定されるか10〜1000rpmで回転できる。2次コレクターは、静電気を発生させ得る材質のガラスまたはプラスチック類のチューブまたは棒、或いは前記材質でコートされたチューブまたは棒である。また、前記2次コレクターは、20〜80rpmで回転するロール状が好ましい。
【0015】
本発明の製造方法において、電気紡糸の際に、紡糸ノズルと1次コレクター間の距離は5〜20cmであり、1次コレクターと2次コレクター間の距離は3〜25cmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明に係る改善された電気紡糸法で製造されたフィラメント束状のナノサイズの長繊維は、従来のナノ繊維不織布より機械的物性が向上し、従来のミクロン直径の繊維を活用した全ての分野で代替使用が可能である。例えば、本発明の繊維は、第一に、腎臓透析や血液精製などの医療用フィルター及び遺伝子分離用各種メンブレン補強材として有用であり、第二に、電気電子分野では超薄膜の補強板及び超薄型PCB基板の製造に有用であり、第三に、超小型超軽量飛行体または無人調整飛行ロボットに適用可能であり、第四に、光通信分野で光ケーブルの補強材として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明は、2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造された、フィラメント束状のナノサイズの長繊維を提供する。
【0019】
より具体的には、前記電気紡糸の際に、紡糸される液滴を1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、少なくとも一つのコレクターが回転する。これにより、連続糸束に製造され、直径10〜500nmのナノサイズの撚りのあるフィラメント束状の糸(filament yarn)を提供することができる(図2、図5、図7、図9、図11及び図13)。
【0020】
これに対し、従来の電気紡糸法を用いて製造されたナノ繊維は、網状の不織布の形に製造される(図15及び図16)。製造された短繊維を連続糸に製造する場合、短繊維を連結して製造するので、糸切れが発生し易いという従来の問題点を伴うが、これに対し、本発明は、連続過程によって連続糸に製造するので、糸切れの発見されないナノ繊維を一つの工程で製造することができる。
【0021】
(1)紡糸溶液または紡糸溶融体の製造
本発明のナノ繊維は、電気紡糸に適した分子構造を設計し、或いは適切な分子構造を持つ化合物の最適の配合条件を提供することにより実現できる。
【0022】
より具体的には、本発明の紡糸溶液を製造するための高分子としては、溶媒との混和性に優れ、機械的強度に優れるものであれば特に制限されないが、さらに好ましくは、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン及びポリエチレンオキシドよりなる群から選択された2種以上の組み合わせを使用する。さらに好ましくは、本発明の高分子は、モノアミン、ジアミン、トリアミン及びテトラアミンよりなる群から選択された1種以上のアミン基を含むものであり、前記ジアミンとしては、フェニレンジアミン、オキシフェレニンジアミン及びアルキルフェニレンジアミンよりなる群から選択される。
【0023】
最も好ましくは、前記高分子は、化学式1で表される化合物及び化学式2で表される化合物からなるポリアミド−ポリイミド共重合体である。
【0024】
化学式において、mは20〜35モル%が好ましく、この際、mが20モル%未満であれば、結晶化が小さくてあまり柔軟になるという問題があり、mが40モル%以上であれば、結晶化が大きくて耐衝撃性が低いという欠点がある。また、前記nは、65〜80モル%が好ましく、65モル%未満であれば、結晶化が大きくて耐衝撃性が低く、80モル%超過であれば、結晶化が小さくてあまり柔軟になって好ましくない。
【0025】
前記ポリアミド−ポリイミド共重合体(m+n)は、500〜10000程度の数平均分子量を持つ。この際、500未満の数平均分子量を持つ場合には、分子量が低くて粘度及び機械的強度が低く、10000超過の数平均分子量を持つ場合には、分子量が増加するにつれて粘度があまり大きくなり且つ加工が難しくなるという欠点がある。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
従来の電気紡糸に用いられる高分子が一成分相からなるが、これに対し、本発明で選択される高分子は二成分相からなるブレンドまたは共重合体である。したがって、従来の電気紡糸の際、紡糸ノズルの先端に生成されたコーン(cone)が臨界電圧(Vc)の下でコレクターに向かって紡糸されると、コレクターに到達する前に単繊維同士が衝突し、お互い干渉または結合することにより集塊を形成して不織布状の微細繊維を得るが、これに対し、本発明の二成分相の高分子ブレンドまたは共重合体は、単繊維間の干渉または結合を防止することにより、連続糸を製造することができる。
【0029】
前記高分子を溶解させることが可能な好ましい溶媒としては、前記高分子を十分に溶解させることができるものであれば特に制限されないが、さらに好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、2−ブトキシエタノール、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドよりなる群から選択されたいずれか一つを使用し、さらに好ましくは、N−メチル−2−ピロリドンを使用する。
【0030】
高分子溶液の粘度によって、同一の高分子を使用しても固有な臨界電圧(Vc)が異なり、紡糸ノズルの直径及び材質によって、高分子溶液に及ぼす摩擦力の差異が発生して紡糸ノズルの最下端までの高分子溶液の到達速度及び以後生成される液滴のコーンの形状が異なる。ところが、紡糸ノズルの直径及び材質は、電気紡糸の際に液滴のコーンの形成に間接的影響を及ぼすが、高分子溶液の濃度は、最も重要な要素として作用する。したがって、電気紡糸の際に、前記高分子溶液の濃度によって、高分子溶液の吐き出し速度(ml/min)及び紡糸ノズルの先端での液滴の生成程度が異なる。よって、本発明の高分子溶液は、溶媒に対して、前記高分子が10〜50重量%含有されることが好ましい。この際、10重量%未満であれば、紡糸された繊維が切れる糸切れ現象を示し、50重量%超過であれば、粘度が大きく上昇するため、ノズルの先端に生成されるコーンの形状が不安定になるという問題が発生する。
【0031】
そこで、本発明で好ましい実施形態は、紡糸ノズル直径0.42mmのステンレス材質のチューブを用いて電気紡糸を行う場合、本発明の紡糸溶液は、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒にポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を溶解させて製造されることが好ましく、この際、吐き出し速度は0.3ml/minである。
【0032】
前記2種以上のブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液以外に、前記高分子を溶融温度以上で溶融させて製造された紡糸溶融体を電気紡糸に適用することができる。本発明のナノ繊維は、電気紡糸の際に多重コレクターを導入して従来の電気紡糸法を改善したものであって、従来の方法に使用できる物質であれば同様に適用することができる。その一例として、セラミック溶融体、金属溶融体、有機−無機ハイブリッド溶融体、金属−有機複合体溶融体、炭素溶融体、ゾル−ゲル溶液を使用することができ、前記溶融体は、それぞれの材料を相転移温度(phase transition temperature)以上に加熱して得ることができる。
【0033】
(2)多重コレクターを用いた電気紡糸
本発明のナノ繊維の製造方法は、電気紡糸の際に多重コレクターを導入して従来の電気紡糸法を改善したものである。より具体的に、本発明のナノ繊維の製造方法では、1)2種以上のブレンドまたは共重合体10〜50重量%を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子の溶融温度以上に加熱して溶融させて製造された紡糸溶融体を準備し、2)前記紡糸溶液または紡糸溶融体を臨界電圧の印加されている紡糸ノズルから液滴として電気紡糸し、3)前記紡糸される液滴を1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、前記少なくとも一つのコレクターが回転する。
【0034】
前記製造方法では、1次コレクター及び2次コレクター以外に、一つ以上のコレクターをさらに備えてもよい。
【0035】
1次コレクターは、電気伝導性の金属板または金属メッシュの材質からなり、その形状は特に制限されないが、円形板または長方形板が好ましい板状コレクター(plate-type collector)である。前記板状コレクターの大きさは、高分子溶液の粘度及びそれによる臨界電圧Vcによって異なるが、紡糸ノズルから紡糸されて製造されるナノ繊維の捕集面積以上であればよい。また、前記紡糸ノズルと1次コレクター間の距離は5〜20cmであることが好ましい。この際、前記紡糸ノズルと1次コレクター間の距離が5cm未満であれば、粒子が形成されて安定的に繊維が形成されず、20cm超過であれば、紡糸されたナノ繊維がコレクター領域から外れるので非効率である。
【0036】
1次コレクターは、紡糸ノズルに対して垂直または水平方向に位置してもよく、一つ以上を備えることができ、底面に固定されるか一定の速度で回転できる。1次コレクターが回転するとき、好ましい回転速度は、得ようとするナノ繊維の撚り程度によって変更できるが、10〜1000rpmの範囲内である。この際、回転速度が10rpm以下であれば、回転速度が遅くて特定の部位に偏って集積され、1000rpm以上とあまり速い速度で回転すれば、紡糸ノズルから十分にナノ繊維が生成されず、糸切れ現象が発生してナノ繊維の収率を低めるという問題がある。
【0037】
2次コレクターは、静電気を発生させ得る材質であって、ガラスまたはプラスチック類のチューブまたは棒、或いは前記材質でコートされたチューブまたは棒を使用することができる。前記2次コレクターは、20〜80rpmで回転するロール状コレクター(roll-type collector)である。この際、1次コレクターと2次コレクター間の距離及び各コレクターの回転速度は、得ようとするナノ繊維の直径及び前記繊維が切断されない程度によって決定できる。1次コレクターと2次コレクター間の距離は、好ましくは3〜25cmである。この際、3cm未満であれば、繊維が絡み合うという問題が発生し、25cm超過であれば、繊維が切れるおそれがある。
【0038】
前記1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集する過程は、ナノ繊維の集積された1次コレクター上に荷電された別途の棒を用いて2次コレクターの方向に誘導する工程、または静電気を発生する材質の2次コレクターを1次コレクターに近接させ、集積されたナノ繊維の一部を2次コレクターに誘導させた後、2次コレクターを移動させる工程などを使用することができる。
【0039】
図1は本発明に係る好適な第1実施形態であって、まず、紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を一定の吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。この際、一定の電圧に設定された高電圧発生装置101から電圧が印加されると、液滴が破裂しながら、紡糸ノズル103に対して垂直に位置して回転する1次円板状コレクター104にナノ繊維が捕集される。その後、荷電された別途の棒を用いて、1次円板状コレクター104に集積された紡糸ナノ繊維105を、回転する2次ロール状コレクター上に連続的に集積されるように誘導し、ナノサイズの長繊維107を製造する(図2及び図3)。
【0040】
図4は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第2実施形態であって、紡糸ノズル103に対して水平に位置して回転する1次円板状コレクター104上にナノ繊維が集積される。連続的に2次ロール状コレクター106を前記1次円板状コレクター104に接近させると、1次円板状コレクター104に捕集された、紡糸されたナノ繊維105の一部を2次ロール状コレクター106上に集積されるように誘導する(108)。その後、2次ロール状コレクター106を1次円板状コレクター104から、紡糸されたナノ繊維105が切れない程度の距離で分離しながら、2次ロール状コレクター106を20〜80rpmで回転する間にX−Y軸へ押し出してナノ繊維107を製造する(図5)。
【0041】
図6は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第3実施形態であって、上端に設置された紡糸ノズル103に対して垂直方向に固定された1次板状コレクター104a、及び前記1次板状コレクター104aに対して90°の角度で位置する2次板状コレクター104bを備える。この際、1次板状コレクター104aは荷電されており、2次板状コレクター104bは荷電されていない。前記コレクターに液滴が連続的に集積されてナノサイズの長繊維107が製造される(図7)。
【0042】
図8は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第4実施形態であって、上端に設置された紡糸ノズル103に対して垂直方向に1次ロール状コレクター106aが底面に位置し、前記1次コレクター106aから5〜10cmの高さ差で2次ロール状コレクター106bを備え、前記1次ロール状コレクター106a及び2次ロール状コレクター106bは同一の速度で回転する。その後、紡糸ノズル103から1次コレクター106a上に紡糸されたナノ繊維を2次コレクター106b上に再捕集してナノ繊維107を製造する(図9)。
【0043】
図10は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第5実施形態であって、上端に紡糸ノズル103が設置され、下端には金属材質の1次板状コレクター104aが固定設置され、前記板状コレクター104aに対して90°の角度で位置する2次板状コレクター104bが設置される。前記1次板状コレクター104a及び2次板状コレクター104bは、2つの板状コレクターからなるL型の二重コレクターである。前記1次板状コレクター104aと2次板状コレクター104bとを連結し、前記2次板状コレクター104bの下端に中間層109をさらに備える。前記中間層109は、1次コレクターと2次コレクターを独立に荷電するために、非伝導性物質を使用する。前記二重コレクター上に液滴が連続的に集積されてナノ繊維107が製造される(図11)。
【0044】
図12は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第6実施形態であって、上端に紡糸ノズル103が設置され、前記紡糸ノズル103に対して水平方向に1次円板状コレクター104が設置されて回転し、前記1次円板状コレクター104に対して垂直方向に、無限軌道で牽引することが可能なコンベヤーベルト状の2次ロール状コレクター106cが設置される。以後、多重コレクターを連続的に通過しながらナノ繊維107を製造する(図13)。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
【0046】
これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲を制限するものではない。
【0047】
<製造例1>紡糸溶液の製造1
平均分子量のポリアミド系高分子30モル%及び平均分子量のポリイミド系高分子70モル%からなる高分子共重合体をN−メチル−2−ピロリジン溶媒に添加し、常温で超音波機器を用いて20〜30分間十分に溶解させた。この際、数平均分子量1000のポリアミド−ポリイミド共重合体が溶媒に対して25重量%含有されている紡糸溶液を製造した。
【0048】
<製造例2>紡糸溶液の製造2
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートと、イソフタル酸30モル%及びジエチレングリコール15モル%が含有された固有粘度0.60の共重合ポリエステルを75:25の重量比で混合した後、これをトリフルオロ酢酸とメチレングリコールの混合溶媒(50:50)に溶解させて固形成分15重量%の紡糸溶液を製造した。
【0049】
<製造例3>紡糸溶融体の製造
平均分子量のポリアミド系高分子30モル%及び平均分子量のポリイミド系高分子70モル%からなる混合組成を電気炉を用いて350℃で溶融させて紡糸溶融体を製造した。
【0050】
<実施例1>ナノサイズの長繊維の製造1
図1に示すように、前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。この際、臨界電圧が1.5kv/cmと設定された高電圧発生装置101から電圧が印加されると、液滴が破裂しながら、紡糸ノズル103に対して垂直に位置して40rpmで回転する1次円板状コレクター104上にナノ繊維が捕集され、その後荷電された別途の棒を用いて、1次円板状コレクター104に集積された紡糸ナノ繊維105を、20rpmで回転する2次ロール状コレクター上に連続的に集積されるように誘導した。この際、紡糸ノズル103と1次板状コレクター104間の距離は10cm、1次板状コレクター104と2次ロール状コレクター106間の距離は10cmとそれぞれ設定した。形成されたナノ繊維を走査顕微鏡で300倍及び20000倍拡大したところ、平均直径0.4μmの長繊維が製造されることを確認した(図2及び図3)。
【0051】
<実施例2>ナノサイズの長繊維の製造2
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。この際、臨界電圧が1.3kv/cmと設定された高電圧発生装置101から電圧が印加されると、液滴が破裂しながら、紡糸ノズル103に対して水平に位置して40rpmで回転する1次円板状コレクター104上にナノ繊維が捕集される。次いで、2次ロール状コレクター106を前記1次円板状コレクター104に4cm程度の距離をおいて接近させると、1次円板状コレクター104に捕集された、紡糸されたナノ繊維105の一部が2次ロール状コレクター106上に集積される。その後、2次ロール状コレクター106を1次円板状コレクター104から、紡糸されたナノ繊維105が切れない程度の距離で分離しながら、2次ロール状コレクター106を20〜60rpmで回転する間にX−Y軸に押し出してナノ繊維を製造した。この際、紡糸ノズル103と1次円板状コレクター104間の距離は4cmであり、1次板状コレクター104と2次ロール状コレクター106間の距離は10cmである(図4)。形成されたナノ繊維を走査顕微鏡で3000倍拡大したところ、平均直径0.8μmの撚りのある長繊維であることをを確認した(図5)。
【0052】
<実施例3>ナノサイズの長繊維の製造3
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。その後、電気紡糸は、図6に示したような処理を行うことを除いては実施例1と同様の条件で行われた。上端に設置された紡糸ノズルに対して垂直方向に固定された金属板からなる1次板状コレクター104a、及び前記1次板状コレクター104aに対して90°の角度で位置し、3〜5cmの距離で分離されて固定された別途の2次板状コレクター104bを備える。この際、紡糸ノズルは「+」に荷電しており、1次板状コレクター104aは「−」に荷電しており、2次板状コレクター104bは荷電していない。それにより、紡糸されたナノ繊維105が捕集される。
【0053】
図7は前記実施例3で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大して観察した結果であり、平均直径1.4μmの撚りのあるナノサイズの長繊維であることを確認した。
【0054】
<実施例4>ナノサイズの長繊維の製造4
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。その後、電気紡糸は、図8に示したような処理を行うことを除いては実施例1と同様の条件で行われた。上端に直径0.42mmの紡糸ノズル103が設置され、下端に2つのロール状コレクター106a、106bが設置された。前記で紡糸されるナノ繊維が先に集積される1次コレクター106aは、金属材質のロール状であり、40rpmで回転する。前記1次ロール状コレクター106aに対して5〜10cmの高さ差を保ちながら、前記1次ロール状コレクターと同一の回転速度で回転する2次ロール状コレクター106bを備える。前記2次ロール状コレクター106bは、静電気の発生が可能な材質のガラスである。この際、紡糸ノズル103は「+」に荷電し、最下端に位置した1次ロール状コレクター106aは「−」に荷電した。
【0055】
図9は前記実施例4で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて50倍拡大して観察した結果であり、平均直径5.1μmの撚りのあるナノサイズの長繊維であることを確認した。
【0056】
<実施例5>ナノサイズの長繊維の製造5
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。その後、電気紡糸は、図10に示したような処理を行うことを除いては前記実施例1と同様の条件で行われた。上端に直径0.42mmの紡糸ノズル103が設置され、下端には金属材質の1次板状コレクター104aが固定設置され、前記板状コレクター104aに対して90°の角度で2次板状コレクター104bが設置された。前記1次板状コレクター104a及び2次板状コレクター104bは、同一の材質からなるL型の二重コレクターである。前記1次板状コレクター104a及び2次板状コレクター104bは、2つの板状コレクターからなるL型の二重コレクターである。前記1次板状コレクター104aと2次板状コレクター104bとを連結し、前記2次板状コレクター104bの下端に中間層109をさらに備える。前記中間層109は、1次コレクターと2次コレクターを独立に荷電するために非伝導性物質を使用する。この際、紡糸ノズル103を「+」に荷電し、L型の二重コレクター104a、104bを「−」に荷電した。
【0057】
図11は前記実施例5で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果であり、平均直径2.5μmの撚りのあるナノサイズの長繊維であることを確認した。
【0058】
<実施例6>ナノサイズの長繊維の製造6
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。その後、電気紡糸は、図12に示すように行われた。上端に直径0.42mmの紡糸ノズル103が設置され、前記紡糸ノズル103に対して水平方向に1次円板状コレクター104が設置されて50rpmで回転し、前記1次円板状コレクター104に対して垂直方向に、無限軌道で牽引することが可能なコンベヤーベルト状の2次ロール状コレクター106cが設置された。この際、紡糸ノズル103と1次円板状コレクター104間の距離は4cm、臨界電圧は1.3kv/cmと設定し、紡糸ノズル103は「+」に荷電し、1次円板状コレクター104は「−」に荷電した条件の下で電気紡糸を行った。その結果、連続的に繊維が製造された。
【0059】
図13は前記実施例6で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果であり、平均直径4.5μmの撚りのあるナノサイズの長繊維であることを確認した。
【0060】
<比較例1>ナノ繊維の製造
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部202に注入し、臨界電圧が1kv/cmに設定された高電圧発生装置201から電圧が印加されると、前記紡糸溶液が紡糸ノズル203の末端に液滴として生成されて紡糸される。その後、紡糸された紡糸溶液は、前記紡糸ノズルに対して垂直方向に位置した金属メッシュ型の板状コレクター204上に集積された(図14)。前記コレクター204上に集積されたナノ繊維ウェブ207を走査顕微鏡で300倍拡大して観察したところ、図15の不織布状に製造されたことが分かった。また、20000倍拡大して観察したところ、平均直径0.5μmのナノウェブから構成されたことが分かった(図15)。この際、ノズルの直径、紡糸ノズルと下端の金属コレクター間の距離、及び臨界電圧は前記実施例1と同様にした。
【0061】
前記実施例1〜6で製造されたナノ繊維と比較例1で製造されたナノ繊維の平均直径及び直径の範囲を表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すように、実施例1〜6及び比較例1で製造された繊維は、ナノサイズの直径範囲を持つナノ繊維であることを確認した。特に、実施例1〜6で製造されたナノ繊維は、臨界電圧、及び紡糸溶液または紡糸溶融体を紡糸ノズルへ移動させる吐き出し速度に応じて、前記ナノ繊維の直径を調節できることが分かる。また、比較例1で製造されたナノ繊維が不織布状(図15及び16)であるが、これに対し、実施例1〜6で製造されたナノ繊維は、図2、図5、図7、図9、図11及び図13の走査顕微鏡の結果より、フィラメント束状(撚りのある)の長繊維であることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上述したように、本発明は、改善された電気紡糸法で製造されたフィラメント束状のナノサイズの長繊維は、従来のナノ繊維不織布より機械的物性が向上して、従来のミクロン直径を持つ繊維を活用した全ての分野で代替使用が可能である。例えば、本発明の繊維は、第一に、腎臓透析や血液精製などの医療用フィルター及び遺伝子分離用各種メンブレン補強材として有用であり、第二に、電気電子分野では超薄膜の補強板及び超薄型PCB基板の製造に有用であり、第三に、超小型超軽量飛行体または無人調整飛行ロボットに適用可能であり、第四に、光通信分野で光ケーブルの補強材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第1実施形態である。
【図2】図2は本発明の好適な第1実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図3】図3は本発明の好適な第1実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて20000倍拡大した結果である。
【図4】図4は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第2実施形態である。
【図5】図5は本発明の好適な第2実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて3000倍拡大した結果である。
【図6】図6は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第3実施形態である。
【図7】図7は本発明の好適な第3実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図8】図8は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第4実施形態である。
【図9】図9は本発明の好適な第4実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて50倍拡大した結果である。
【図10】図10は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第5実施形態である。
【図11】図11は本発明の好適な第5実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図12】図12は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第6実施形態である。
【図13】図13は本発明の好適な第6実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図14】図14は従来の単一コレクターを用いた電気紡糸法の実施形態である。
【図15】図15は従来の単一コレクターを用いた電気紡糸法で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図16】図16は従来の単一コレクターを用いた電気紡糸法で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて20000倍拡大した結果である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメント束状のナノサイズの長繊維及びその製造方法に係り、より具体的には、2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造されたものであって、改善された電気紡糸法を用いたフィラメント束状のナノサイズの長繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ繊維は、繊維直径1〜800nmの超極細繊維であって、既存の繊維では得られない種々の物性を提供する。ナノ繊維からなるウェブは、多孔性を持つ分離膜型素材であって、各種フィルター類、傷治療用ドレッシング、人工支持体、生化学武器防御用衣服、2次電池用隔離膜、ナノ複合体などの様々な分野で非常に有用に使用できる。
【0003】
ナノ繊維を製造する公知の方法としては、繊維原料溶液を荷電状態で紡糸して微細直径の繊維を製造する電気紡糸(エレクトロスピニング)法が代表的である。電気紡糸法を用いてナノ繊維を製造した例としては、韓国公開特許第2000−11018号、同第2003−3925号、同第2003−77384号及び米国特許第6,183,670号などの多数が公知になっている。ところが、公知の電気紡糸法によって製造されたナノ繊維は、不織布状に限定される。これについて、Doshi等は、一般に、従来の電気紡糸法における、紡糸ノズルの先端(tip)に生成された高分子溶液の液滴が高電圧印加の下に破裂しながらコレクター上に捕集されてナノ繊維が生成される過程で、ナノ繊維は、コレクター上に等方性配向ではなく異方性配向に集積されるため、ナノウェブ状、すなわち不織布状に生成されるからであるとその理由を説明している[Doshi and Reneker, "Electrospinning Process and Application",Journal of Electrostatics, 1995, 35, 151-160]。
【0004】
また、このような不織布状のナノ繊維は、単繊維からなるため、電気紡糸の際に紡糸ノズルの先端に生成された液滴が臨界電圧(Vc)の下でコレクターに向かって紡糸される過程で、コレクターに到達する前に単繊維同士が衝突し、その結果お互い干渉または結合して集塊になるという問題も指摘される。このため、韓国公開特許公報第2002−50381号では、紡糸溶液として、単一成分ではなくポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルを用いて、従来の電気紡糸法によってナノ繊維を製造することを開示しているが、前記で製造されたナノ繊維も不織布状から逸脱していない。前記不織布状のナノ繊維は、機械的強度が非常に脆弱であり、特に不織布状のナノ繊維を撚って糸に製造する場合、製造の際に単繊維間を連結するための別途の連結繊維が必要であり、最終的に製造された糸が切れ易いという問題が誘発されるので、要求される様々な分野に適用するには改善が切実である。
【0005】
そこで、本発明者らは、より多様な分野に充足させることが可能なナノ繊維を得ようと努力した結果、従来の電気紡糸法における、紡糸ノズルの先端(tip)に生成された紡糸溶液の液滴が高電圧印加の下に破裂しながらコレクター上に捕集されてナノ繊維が生成される過程で、紡糸溶液を一つ以上の1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させることにより、従来のナノ繊維より機械的物性に優れたフィラメント束状のナノ繊維を連続的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フィラメント束状のナノサイズの長繊維を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、紡糸溶液または紡糸溶融体を臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸し、前記紡糸される液滴を一つ以上の1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、少なくとも一つのコレクターが回転することを特徴とする、前記フィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、電気紡糸に適した分子構造を設計し、或いは適切な分子構造を持つ化合物の最適の配合条件を提供することにより実現される前記フィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造された、フィラメント束状のナノサイズの長繊維を提供する。
【0010】
この際、高分子は、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン及びポリエチレンオキシドよりなる群から選択された2種以上の組み合わせからなり、さらに好ましくは、モノアミン、ジアミン、トリアミン及びテトラアミンよりなる群から選択された1種以上のアミン基を含む。本発明で最も好ましい高分子は、ポリアミド−ポリイミド共重合体である。
【0011】
好ましい溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、2−ブトキシエタノール、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドよりなる群から選択されたいずれか一つが使用される。
【0012】
また、本発明は、連続糸束に製造された10〜500nmのナノサイズを持つ長繊維からなる、フィラメント束状の糸(filament yarn)を提供する。
【0013】
本発明は、前記10〜500nmのナノサイズを持つ長繊維の製造方法を提供する。より具体的には、本発明の製造方法では、1)2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体10〜50重量%を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融温度以上に加熱して溶融させて製造された紡糸溶融体を準備し、2)前記紡糸溶液または紡糸溶融体を、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸し、3)前記紡糸される液滴を1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、前記少なくとも一つのコレクターが回転する。また、前記1次コレクター及び前記2次コレクター以外に、一つ以上のコレクターをさらに備えてもよい。
【0014】
1次コレクターは、電気伝導性の金属板または金属メッシュの材質であって、板状が好ましく、固定されるか10〜1000rpmで回転できる。2次コレクターは、静電気を発生させ得る材質のガラスまたはプラスチック類のチューブまたは棒、或いは前記材質でコートされたチューブまたは棒である。また、前記2次コレクターは、20〜80rpmで回転するロール状が好ましい。
【0015】
本発明の製造方法において、電気紡糸の際に、紡糸ノズルと1次コレクター間の距離は5〜20cmであり、1次コレクターと2次コレクター間の距離は3〜25cmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明に係る改善された電気紡糸法で製造されたフィラメント束状のナノサイズの長繊維は、従来のナノ繊維不織布より機械的物性が向上し、従来のミクロン直径の繊維を活用した全ての分野で代替使用が可能である。例えば、本発明の繊維は、第一に、腎臓透析や血液精製などの医療用フィルター及び遺伝子分離用各種メンブレン補強材として有用であり、第二に、電気電子分野では超薄膜の補強板及び超薄型PCB基板の製造に有用であり、第三に、超小型超軽量飛行体または無人調整飛行ロボットに適用可能であり、第四に、光通信分野で光ケーブルの補強材として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明は、2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造された、フィラメント束状のナノサイズの長繊維を提供する。
【0019】
より具体的には、前記電気紡糸の際に、紡糸される液滴を1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、少なくとも一つのコレクターが回転する。これにより、連続糸束に製造され、直径10〜500nmのナノサイズの撚りのあるフィラメント束状の糸(filament yarn)を提供することができる(図2、図5、図7、図9、図11及び図13)。
【0020】
これに対し、従来の電気紡糸法を用いて製造されたナノ繊維は、網状の不織布の形に製造される(図15及び図16)。製造された短繊維を連続糸に製造する場合、短繊維を連結して製造するので、糸切れが発生し易いという従来の問題点を伴うが、これに対し、本発明は、連続過程によって連続糸に製造するので、糸切れの発見されないナノ繊維を一つの工程で製造することができる。
【0021】
(1)紡糸溶液または紡糸溶融体の製造
本発明のナノ繊維は、電気紡糸に適した分子構造を設計し、或いは適切な分子構造を持つ化合物の最適の配合条件を提供することにより実現できる。
【0022】
より具体的には、本発明の紡糸溶液を製造するための高分子としては、溶媒との混和性に優れ、機械的強度に優れるものであれば特に制限されないが、さらに好ましくは、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン及びポリエチレンオキシドよりなる群から選択された2種以上の組み合わせを使用する。さらに好ましくは、本発明の高分子は、モノアミン、ジアミン、トリアミン及びテトラアミンよりなる群から選択された1種以上のアミン基を含むものであり、前記ジアミンとしては、フェニレンジアミン、オキシフェレニンジアミン及びアルキルフェニレンジアミンよりなる群から選択される。
【0023】
最も好ましくは、前記高分子は、化学式1で表される化合物及び化学式2で表される化合物からなるポリアミド−ポリイミド共重合体である。
【0024】
化学式において、mは20〜35モル%が好ましく、この際、mが20モル%未満であれば、結晶化が小さくてあまり柔軟になるという問題があり、mが40モル%以上であれば、結晶化が大きくて耐衝撃性が低いという欠点がある。また、前記nは、65〜80モル%が好ましく、65モル%未満であれば、結晶化が大きくて耐衝撃性が低く、80モル%超過であれば、結晶化が小さくてあまり柔軟になって好ましくない。
【0025】
前記ポリアミド−ポリイミド共重合体(m+n)は、500〜10000程度の数平均分子量を持つ。この際、500未満の数平均分子量を持つ場合には、分子量が低くて粘度及び機械的強度が低く、10000超過の数平均分子量を持つ場合には、分子量が増加するにつれて粘度があまり大きくなり且つ加工が難しくなるという欠点がある。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
従来の電気紡糸に用いられる高分子が一成分相からなるが、これに対し、本発明で選択される高分子は二成分相からなるブレンドまたは共重合体である。したがって、従来の電気紡糸の際、紡糸ノズルの先端に生成されたコーン(cone)が臨界電圧(Vc)の下でコレクターに向かって紡糸されると、コレクターに到達する前に単繊維同士が衝突し、お互い干渉または結合することにより集塊を形成して不織布状の微細繊維を得るが、これに対し、本発明の二成分相の高分子ブレンドまたは共重合体は、単繊維間の干渉または結合を防止することにより、連続糸を製造することができる。
【0029】
前記高分子を溶解させることが可能な好ましい溶媒としては、前記高分子を十分に溶解させることができるものであれば特に制限されないが、さらに好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、2−ブトキシエタノール、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドよりなる群から選択されたいずれか一つを使用し、さらに好ましくは、N−メチル−2−ピロリドンを使用する。
【0030】
高分子溶液の粘度によって、同一の高分子を使用しても固有な臨界電圧(Vc)が異なり、紡糸ノズルの直径及び材質によって、高分子溶液に及ぼす摩擦力の差異が発生して紡糸ノズルの最下端までの高分子溶液の到達速度及び以後生成される液滴のコーンの形状が異なる。ところが、紡糸ノズルの直径及び材質は、電気紡糸の際に液滴のコーンの形成に間接的影響を及ぼすが、高分子溶液の濃度は、最も重要な要素として作用する。したがって、電気紡糸の際に、前記高分子溶液の濃度によって、高分子溶液の吐き出し速度(ml/min)及び紡糸ノズルの先端での液滴の生成程度が異なる。よって、本発明の高分子溶液は、溶媒に対して、前記高分子が10〜50重量%含有されることが好ましい。この際、10重量%未満であれば、紡糸された繊維が切れる糸切れ現象を示し、50重量%超過であれば、粘度が大きく上昇するため、ノズルの先端に生成されるコーンの形状が不安定になるという問題が発生する。
【0031】
そこで、本発明で好ましい実施形態は、紡糸ノズル直径0.42mmのステンレス材質のチューブを用いて電気紡糸を行う場合、本発明の紡糸溶液は、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒にポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を溶解させて製造されることが好ましく、この際、吐き出し速度は0.3ml/minである。
【0032】
前記2種以上のブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液以外に、前記高分子を溶融温度以上で溶融させて製造された紡糸溶融体を電気紡糸に適用することができる。本発明のナノ繊維は、電気紡糸の際に多重コレクターを導入して従来の電気紡糸法を改善したものであって、従来の方法に使用できる物質であれば同様に適用することができる。その一例として、セラミック溶融体、金属溶融体、有機−無機ハイブリッド溶融体、金属−有機複合体溶融体、炭素溶融体、ゾル−ゲル溶液を使用することができ、前記溶融体は、それぞれの材料を相転移温度(phase transition temperature)以上に加熱して得ることができる。
【0033】
(2)多重コレクターを用いた電気紡糸
本発明のナノ繊維の製造方法は、電気紡糸の際に多重コレクターを導入して従来の電気紡糸法を改善したものである。より具体的に、本発明のナノ繊維の製造方法では、1)2種以上のブレンドまたは共重合体10〜50重量%を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子の溶融温度以上に加熱して溶融させて製造された紡糸溶融体を準備し、2)前記紡糸溶液または紡糸溶融体を臨界電圧の印加されている紡糸ノズルから液滴として電気紡糸し、3)前記紡糸される液滴を1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、前記少なくとも一つのコレクターが回転する。
【0034】
前記製造方法では、1次コレクター及び2次コレクター以外に、一つ以上のコレクターをさらに備えてもよい。
【0035】
1次コレクターは、電気伝導性の金属板または金属メッシュの材質からなり、その形状は特に制限されないが、円形板または長方形板が好ましい板状コレクター(plate-type collector)である。前記板状コレクターの大きさは、高分子溶液の粘度及びそれによる臨界電圧Vcによって異なるが、紡糸ノズルから紡糸されて製造されるナノ繊維の捕集面積以上であればよい。また、前記紡糸ノズルと1次コレクター間の距離は5〜20cmであることが好ましい。この際、前記紡糸ノズルと1次コレクター間の距離が5cm未満であれば、粒子が形成されて安定的に繊維が形成されず、20cm超過であれば、紡糸されたナノ繊維がコレクター領域から外れるので非効率である。
【0036】
1次コレクターは、紡糸ノズルに対して垂直または水平方向に位置してもよく、一つ以上を備えることができ、底面に固定されるか一定の速度で回転できる。1次コレクターが回転するとき、好ましい回転速度は、得ようとするナノ繊維の撚り程度によって変更できるが、10〜1000rpmの範囲内である。この際、回転速度が10rpm以下であれば、回転速度が遅くて特定の部位に偏って集積され、1000rpm以上とあまり速い速度で回転すれば、紡糸ノズルから十分にナノ繊維が生成されず、糸切れ現象が発生してナノ繊維の収率を低めるという問題がある。
【0037】
2次コレクターは、静電気を発生させ得る材質であって、ガラスまたはプラスチック類のチューブまたは棒、或いは前記材質でコートされたチューブまたは棒を使用することができる。前記2次コレクターは、20〜80rpmで回転するロール状コレクター(roll-type collector)である。この際、1次コレクターと2次コレクター間の距離及び各コレクターの回転速度は、得ようとするナノ繊維の直径及び前記繊維が切断されない程度によって決定できる。1次コレクターと2次コレクター間の距離は、好ましくは3〜25cmである。この際、3cm未満であれば、繊維が絡み合うという問題が発生し、25cm超過であれば、繊維が切れるおそれがある。
【0038】
前記1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集する過程は、ナノ繊維の集積された1次コレクター上に荷電された別途の棒を用いて2次コレクターの方向に誘導する工程、または静電気を発生する材質の2次コレクターを1次コレクターに近接させ、集積されたナノ繊維の一部を2次コレクターに誘導させた後、2次コレクターを移動させる工程などを使用することができる。
【0039】
図1は本発明に係る好適な第1実施形態であって、まず、紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を一定の吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。この際、一定の電圧に設定された高電圧発生装置101から電圧が印加されると、液滴が破裂しながら、紡糸ノズル103に対して垂直に位置して回転する1次円板状コレクター104にナノ繊維が捕集される。その後、荷電された別途の棒を用いて、1次円板状コレクター104に集積された紡糸ナノ繊維105を、回転する2次ロール状コレクター上に連続的に集積されるように誘導し、ナノサイズの長繊維107を製造する(図2及び図3)。
【0040】
図4は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第2実施形態であって、紡糸ノズル103に対して水平に位置して回転する1次円板状コレクター104上にナノ繊維が集積される。連続的に2次ロール状コレクター106を前記1次円板状コレクター104に接近させると、1次円板状コレクター104に捕集された、紡糸されたナノ繊維105の一部を2次ロール状コレクター106上に集積されるように誘導する(108)。その後、2次ロール状コレクター106を1次円板状コレクター104から、紡糸されたナノ繊維105が切れない程度の距離で分離しながら、2次ロール状コレクター106を20〜80rpmで回転する間にX−Y軸へ押し出してナノ繊維107を製造する(図5)。
【0041】
図6は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第3実施形態であって、上端に設置された紡糸ノズル103に対して垂直方向に固定された1次板状コレクター104a、及び前記1次板状コレクター104aに対して90°の角度で位置する2次板状コレクター104bを備える。この際、1次板状コレクター104aは荷電されており、2次板状コレクター104bは荷電されていない。前記コレクターに液滴が連続的に集積されてナノサイズの長繊維107が製造される(図7)。
【0042】
図8は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第4実施形態であって、上端に設置された紡糸ノズル103に対して垂直方向に1次ロール状コレクター106aが底面に位置し、前記1次コレクター106aから5〜10cmの高さ差で2次ロール状コレクター106bを備え、前記1次ロール状コレクター106a及び2次ロール状コレクター106bは同一の速度で回転する。その後、紡糸ノズル103から1次コレクター106a上に紡糸されたナノ繊維を2次コレクター106b上に再捕集してナノ繊維107を製造する(図9)。
【0043】
図10は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第5実施形態であって、上端に紡糸ノズル103が設置され、下端には金属材質の1次板状コレクター104aが固定設置され、前記板状コレクター104aに対して90°の角度で位置する2次板状コレクター104bが設置される。前記1次板状コレクター104a及び2次板状コレクター104bは、2つの板状コレクターからなるL型の二重コレクターである。前記1次板状コレクター104aと2次板状コレクター104bとを連結し、前記2次板状コレクター104bの下端に中間層109をさらに備える。前記中間層109は、1次コレクターと2次コレクターを独立に荷電するために、非伝導性物質を使用する。前記二重コレクター上に液滴が連続的に集積されてナノ繊維107が製造される(図11)。
【0044】
図12は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第6実施形態であって、上端に紡糸ノズル103が設置され、前記紡糸ノズル103に対して水平方向に1次円板状コレクター104が設置されて回転し、前記1次円板状コレクター104に対して垂直方向に、無限軌道で牽引することが可能なコンベヤーベルト状の2次ロール状コレクター106cが設置される。以後、多重コレクターを連続的に通過しながらナノ繊維107を製造する(図13)。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
【0046】
これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲を制限するものではない。
【0047】
<製造例1>紡糸溶液の製造1
平均分子量のポリアミド系高分子30モル%及び平均分子量のポリイミド系高分子70モル%からなる高分子共重合体をN−メチル−2−ピロリジン溶媒に添加し、常温で超音波機器を用いて20〜30分間十分に溶解させた。この際、数平均分子量1000のポリアミド−ポリイミド共重合体が溶媒に対して25重量%含有されている紡糸溶液を製造した。
【0048】
<製造例2>紡糸溶液の製造2
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートと、イソフタル酸30モル%及びジエチレングリコール15モル%が含有された固有粘度0.60の共重合ポリエステルを75:25の重量比で混合した後、これをトリフルオロ酢酸とメチレングリコールの混合溶媒(50:50)に溶解させて固形成分15重量%の紡糸溶液を製造した。
【0049】
<製造例3>紡糸溶融体の製造
平均分子量のポリアミド系高分子30モル%及び平均分子量のポリイミド系高分子70モル%からなる混合組成を電気炉を用いて350℃で溶融させて紡糸溶融体を製造した。
【0050】
<実施例1>ナノサイズの長繊維の製造1
図1に示すように、前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。この際、臨界電圧が1.5kv/cmと設定された高電圧発生装置101から電圧が印加されると、液滴が破裂しながら、紡糸ノズル103に対して垂直に位置して40rpmで回転する1次円板状コレクター104上にナノ繊維が捕集され、その後荷電された別途の棒を用いて、1次円板状コレクター104に集積された紡糸ナノ繊維105を、20rpmで回転する2次ロール状コレクター上に連続的に集積されるように誘導した。この際、紡糸ノズル103と1次板状コレクター104間の距離は10cm、1次板状コレクター104と2次ロール状コレクター106間の距離は10cmとそれぞれ設定した。形成されたナノ繊維を走査顕微鏡で300倍及び20000倍拡大したところ、平均直径0.4μmの長繊維が製造されることを確認した(図2及び図3)。
【0051】
<実施例2>ナノサイズの長繊維の製造2
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。この際、臨界電圧が1.3kv/cmと設定された高電圧発生装置101から電圧が印加されると、液滴が破裂しながら、紡糸ノズル103に対して水平に位置して40rpmで回転する1次円板状コレクター104上にナノ繊維が捕集される。次いで、2次ロール状コレクター106を前記1次円板状コレクター104に4cm程度の距離をおいて接近させると、1次円板状コレクター104に捕集された、紡糸されたナノ繊維105の一部が2次ロール状コレクター106上に集積される。その後、2次ロール状コレクター106を1次円板状コレクター104から、紡糸されたナノ繊維105が切れない程度の距離で分離しながら、2次ロール状コレクター106を20〜60rpmで回転する間にX−Y軸に押し出してナノ繊維を製造した。この際、紡糸ノズル103と1次円板状コレクター104間の距離は4cmであり、1次板状コレクター104と2次ロール状コレクター106間の距離は10cmである(図4)。形成されたナノ繊維を走査顕微鏡で3000倍拡大したところ、平均直径0.8μmの撚りのある長繊維であることをを確認した(図5)。
【0052】
<実施例3>ナノサイズの長繊維の製造3
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。その後、電気紡糸は、図6に示したような処理を行うことを除いては実施例1と同様の条件で行われた。上端に設置された紡糸ノズルに対して垂直方向に固定された金属板からなる1次板状コレクター104a、及び前記1次板状コレクター104aに対して90°の角度で位置し、3〜5cmの距離で分離されて固定された別途の2次板状コレクター104bを備える。この際、紡糸ノズルは「+」に荷電しており、1次板状コレクター104aは「−」に荷電しており、2次板状コレクター104bは荷電していない。それにより、紡糸されたナノ繊維105が捕集される。
【0053】
図7は前記実施例3で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大して観察した結果であり、平均直径1.4μmの撚りのあるナノサイズの長繊維であることを確認した。
【0054】
<実施例4>ナノサイズの長繊維の製造4
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。その後、電気紡糸は、図8に示したような処理を行うことを除いては実施例1と同様の条件で行われた。上端に直径0.42mmの紡糸ノズル103が設置され、下端に2つのロール状コレクター106a、106bが設置された。前記で紡糸されるナノ繊維が先に集積される1次コレクター106aは、金属材質のロール状であり、40rpmで回転する。前記1次ロール状コレクター106aに対して5〜10cmの高さ差を保ちながら、前記1次ロール状コレクターと同一の回転速度で回転する2次ロール状コレクター106bを備える。前記2次ロール状コレクター106bは、静電気の発生が可能な材質のガラスである。この際、紡糸ノズル103は「+」に荷電し、最下端に位置した1次ロール状コレクター106aは「−」に荷電した。
【0055】
図9は前記実施例4で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて50倍拡大して観察した結果であり、平均直径5.1μmの撚りのあるナノサイズの長繊維であることを確認した。
【0056】
<実施例5>ナノサイズの長繊維の製造5
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。その後、電気紡糸は、図10に示したような処理を行うことを除いては前記実施例1と同様の条件で行われた。上端に直径0.42mmの紡糸ノズル103が設置され、下端には金属材質の1次板状コレクター104aが固定設置され、前記板状コレクター104aに対して90°の角度で2次板状コレクター104bが設置された。前記1次板状コレクター104a及び2次板状コレクター104bは、同一の材質からなるL型の二重コレクターである。前記1次板状コレクター104a及び2次板状コレクター104bは、2つの板状コレクターからなるL型の二重コレクターである。前記1次板状コレクター104aと2次板状コレクター104bとを連結し、前記2次板状コレクター104bの下端に中間層109をさらに備える。前記中間層109は、1次コレクターと2次コレクターを独立に荷電するために非伝導性物質を使用する。この際、紡糸ノズル103を「+」に荷電し、L型の二重コレクター104a、104bを「−」に荷電した。
【0057】
図11は前記実施例5で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果であり、平均直径2.5μmの撚りのあるナノサイズの長繊維であることを確認した。
【0058】
<実施例6>ナノサイズの長繊維の製造6
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部102に注入し、前記紡糸溶液を0.3ml/minの吐き出し速度で紡糸ノズル103に供給すると、直径0.42mmの紡糸ノズルの先端に液滴が生成される。その後、電気紡糸は、図12に示すように行われた。上端に直径0.42mmの紡糸ノズル103が設置され、前記紡糸ノズル103に対して水平方向に1次円板状コレクター104が設置されて50rpmで回転し、前記1次円板状コレクター104に対して垂直方向に、無限軌道で牽引することが可能なコンベヤーベルト状の2次ロール状コレクター106cが設置された。この際、紡糸ノズル103と1次円板状コレクター104間の距離は4cm、臨界電圧は1.3kv/cmと設定し、紡糸ノズル103は「+」に荷電し、1次円板状コレクター104は「−」に荷電した条件の下で電気紡糸を行った。その結果、連続的に繊維が製造された。
【0059】
図13は前記実施例6で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果であり、平均直径4.5μmの撚りのあるナノサイズの長繊維であることを確認した。
【0060】
<比較例1>ナノ繊維の製造
前記製造例1で製造されたポリアミド−ポリイミド共重合体25重量%を含有する紡糸溶液を紡糸溶液注入部202に注入し、臨界電圧が1kv/cmに設定された高電圧発生装置201から電圧が印加されると、前記紡糸溶液が紡糸ノズル203の末端に液滴として生成されて紡糸される。その後、紡糸された紡糸溶液は、前記紡糸ノズルに対して垂直方向に位置した金属メッシュ型の板状コレクター204上に集積された(図14)。前記コレクター204上に集積されたナノ繊維ウェブ207を走査顕微鏡で300倍拡大して観察したところ、図15の不織布状に製造されたことが分かった。また、20000倍拡大して観察したところ、平均直径0.5μmのナノウェブから構成されたことが分かった(図15)。この際、ノズルの直径、紡糸ノズルと下端の金属コレクター間の距離、及び臨界電圧は前記実施例1と同様にした。
【0061】
前記実施例1〜6で製造されたナノ繊維と比較例1で製造されたナノ繊維の平均直径及び直径の範囲を表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すように、実施例1〜6及び比較例1で製造された繊維は、ナノサイズの直径範囲を持つナノ繊維であることを確認した。特に、実施例1〜6で製造されたナノ繊維は、臨界電圧、及び紡糸溶液または紡糸溶融体を紡糸ノズルへ移動させる吐き出し速度に応じて、前記ナノ繊維の直径を調節できることが分かる。また、比較例1で製造されたナノ繊維が不織布状(図15及び16)であるが、これに対し、実施例1〜6で製造されたナノ繊維は、図2、図5、図7、図9、図11及び図13の走査顕微鏡の結果より、フィラメント束状(撚りのある)の長繊維であることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上述したように、本発明は、改善された電気紡糸法で製造されたフィラメント束状のナノサイズの長繊維は、従来のナノ繊維不織布より機械的物性が向上して、従来のミクロン直径を持つ繊維を活用した全ての分野で代替使用が可能である。例えば、本発明の繊維は、第一に、腎臓透析や血液精製などの医療用フィルター及び遺伝子分離用各種メンブレン補強材として有用であり、第二に、電気電子分野では超薄膜の補強板及び超薄型PCB基板の製造に有用であり、第三に、超小型超軽量飛行体または無人調整飛行ロボットに適用可能であり、第四に、光通信分野で光ケーブルの補強材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第1実施形態である。
【図2】図2は本発明の好適な第1実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図3】図3は本発明の好適な第1実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて20000倍拡大した結果である。
【図4】図4は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第2実施形態である。
【図5】図5は本発明の好適な第2実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて3000倍拡大した結果である。
【図6】図6は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第3実施形態である。
【図7】図7は本発明の好適な第3実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図8】図8は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第4実施形態である。
【図9】図9は本発明の好適な第4実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて50倍拡大した結果である。
【図10】図10は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第5実施形態である。
【図11】図11は本発明の好適な第5実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図12】図12は本発明の多重コレクターを用いた電気紡糸法の好適な第6実施形態である。
【図13】図13は本発明の好適な第6実施形態によって製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図14】図14は従来の単一コレクターを用いた電気紡糸法の実施形態である。
【図15】図15は従来の単一コレクターを用いた電気紡糸法で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて300倍拡大した結果である。
【図16】図16は従来の単一コレクターを用いた電気紡糸法で製造されたナノ繊維の表面を走査顕微鏡を用いて20000倍拡大した結果である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造されることを特徴とする、フィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項2】
前記高分子が、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン及びポリエチレンオキシドよりなる群から選択された2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項3】
前記高分子が、モノアミン、ジアミン、トリアミン及びテトラアミンよりなる群から選択された1種以上のアミン基を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項4】
前記高分子が、mが20〜35モル%の下記化学式1で表される化合物、及びnが65〜80モル%の下記化学式2で表される化合物からなるポリアミド−ポリイミド共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【化1】
【化2】
【請求項5】
前記ポリアミド−ポリイミド共重合体が、500〜10000の数平均分子量を持つことを特徴とする、請求項4に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項6】
前記溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、2−ブトキシエタノール、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドよりなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項7】
前記フィラメント束状のナノ繊維が、直径10〜500nmのナノサイズを持つ長繊維からなることを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項8】
1)2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体10〜50重量%を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融温度以上に加熱して溶融させて製造された紡糸溶融体を準備し、
2)前記紡糸溶液または前記紡糸溶融体を、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸し、
3)前記紡糸される液滴を1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、前記コレクターの少なくとも一つが回転することを特徴とする、フィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項9】
前記1次コレクター及び前記2次コレクター以外に、一つ以上のコレクターがさらに備えられることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項10】
前記1次コレクターは、電気伝導性を持つ材質の金属板または金属メッシュであり、固定されるか10〜1000rpmで回転することを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項11】
前記2次コレクターは、静電気を発生させ得る材質のガラスまたはプラスチック類のチューブまたは棒、或いは前記材質でコートされたチューブまたは棒であることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項12】
前記2次コレクターは、20〜80rpmで回転するロール状であることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項13】
前記紡糸ノズルと前記1次コレクター間の距離が5〜20cmであることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項14】
前記1次コレクターと前記2次コレクター間の距離が3〜25cmであることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項1】
2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融させて製造された紡糸溶融体が、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸され、前記紡糸される液滴が、板状及びロール状から選択された単独またはこれらの組み合わせの形状からなる多重コレクター上に連続的に捕集されて製造されることを特徴とする、フィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項2】
前記高分子が、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン及びポリエチレンオキシドよりなる群から選択された2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項3】
前記高分子が、モノアミン、ジアミン、トリアミン及びテトラアミンよりなる群から選択された1種以上のアミン基を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項4】
前記高分子が、mが20〜35モル%の下記化学式1で表される化合物、及びnが65〜80モル%の下記化学式2で表される化合物からなるポリアミド−ポリイミド共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【化1】
【化2】
【請求項5】
前記ポリアミド−ポリイミド共重合体が、500〜10000の数平均分子量を持つことを特徴とする、請求項4に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項6】
前記溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、2−ブトキシエタノール、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドよりなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項7】
前記フィラメント束状のナノ繊維が、直径10〜500nmのナノサイズを持つ長繊維からなることを特徴とする、請求項1に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維。
【請求項8】
1)2種以上の高分子ブレンドまたは共重合体10〜50重量%を溶媒に溶解させて製造された紡糸溶液、または前記高分子を溶融温度以上に加熱して溶融させて製造された紡糸溶融体を準備し、
2)前記紡糸溶液または前記紡糸溶融体を、臨界電圧の印加された紡糸ノズルから液滴として電気紡糸し、
3)前記紡糸される液滴を1次コレクター上に吐き出させてナノ繊維を生成させた後、1次コレクターに集積されたナノ繊維を2次コレクター上に再捕集して連続的に集積させるが、この際、前記コレクターの少なくとも一つが回転することを特徴とする、フィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項9】
前記1次コレクター及び前記2次コレクター以外に、一つ以上のコレクターがさらに備えられることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項10】
前記1次コレクターは、電気伝導性を持つ材質の金属板または金属メッシュであり、固定されるか10〜1000rpmで回転することを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項11】
前記2次コレクターは、静電気を発生させ得る材質のガラスまたはプラスチック類のチューブまたは棒、或いは前記材質でコートされたチューブまたは棒であることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項12】
前記2次コレクターは、20〜80rpmで回転するロール状であることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項13】
前記紡糸ノズルと前記1次コレクター間の距離が5〜20cmであることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【請求項14】
前記1次コレクターと前記2次コレクター間の距離が3〜25cmであることを特徴とする、請求項8に記載のフィラメント束状のナノサイズの長繊維の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−502813(P2008−502813A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516375(P2007−516375)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002385
【国際公開番号】WO2005/123995
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(591199338)コリア リサーチ インスティチュート オブ ケミカル テクノロジー (16)
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002385
【国際公開番号】WO2005/123995
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(591199338)コリア リサーチ インスティチュート オブ ケミカル テクノロジー (16)
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】
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