説明

フィルタ装置

【課題】 飲料の味を低下させることなく、フィルタを繰り返し使用でき、廃棄物量および保守コストを削減することができるフィルタ装置を提供する。
【解決手段】 粉状の原料と水を混合して抽出した飲料を濾過するためのフィルタ装置10であって、金属およびセラミックスの一方で構成され、深さが50μm以下、且つ径に対する深さの比が0.5以下の多数の細孔13dを有し、表面側で抽出された飲料を、細孔13dを介して裏面側に通過させることにより濾過する薄板状のフィルタ本体13と、スクレーパ駆動部24と、スクレーパ駆動部24で駆動されることによりフィルタ本体13の表面を摺動し、表面に残留する原料の抽出滓Gを掻き取るスクレーパ23と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状の原料と水を混合して抽出した飲料を濾過するためのフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルタ装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このフィルタ装置は、レギュラーコーヒーを販売する自動販売機の抽出装置に用いられている。この抽出装置は、上方および下方に開放する中空のブルワーユニット本体と、その下方に設けられた昇降自在のフィルタ受けを有している。フィルタ装置は、ロール状に巻かれたペーパーフィルタと、このロールからフィルタを引き出すためのローラなどを有している。引き出されたフィルタは、ブルワーユニット本体とフィルタ受けの間に狭持され、ブルワーユニット本体の下側の開口を塞いでおり、それにより、ブルワーユニット本体の内部に抽出室が形成されている。
【0003】
コーヒーの販売時には、ブルワーユニット本体の上側の開口から、湯および粉状のコーヒー豆が投入され、その後、上側開口が弁体で閉塞されることにより、抽出室が密閉されるとともに、その内部が加圧される。それにより、抽出されたコーヒーが、ペーパーフィルタで濾過されながら、抽出室から送出され、ペーパーフィルタ上にはコーヒー滓が残される。コーヒーの送出が完了すると、フィルタ受けが下降し、ローラで駆動されたロールからペーパーフィルタの未使用部分が引き出され、すでに使用されたペーパーフィルタの部分は、コーヒー滓とともに滓バケツに廃棄される。
【0004】
以上のように、この従来のフィルタ装置では、ペーパーフィルタは、コーヒーの濾過に一度しか使用できないため、濾過を行うごとに使用済みの部分をコーヒー滓とともに廃棄しなければならず、その分、廃棄物の量および保守のコストが増大してしまう。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、飲料の味を低下させることなく、フィルタを繰り返し使用でき、廃棄物量および保守コストを削減することができるフィルタ装置を提供することを目的としている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−250348号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本願の請求項1に係る発明は、粉状の原料と水を混合して抽出した飲料を濾過するためのフィルタ装置であって、金属およびセラミックスの一方で構成され、深さが50μm以下、且つ径に対する深さの比が0.5以下の多数の細孔を有し、表面側で抽出された飲料を、細孔を介して裏面側に通過させることにより濾過する薄板状のフィルタ本体と、スクレーパ駆動部と、スクレーパ駆動部で駆動されることによりフィルタ本体の表面を摺動し、表面に残留する原料の抽出滓を掻き取るスクレーパと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このフィルタ装置によれば、フィルタ本体の表面側において、粉状の原料と水から抽出された飲料は、フィルタ本体に形成された多数の細孔を介して裏面側に通過することによって濾過され、フィルタ本体の表面には、原料の抽出滓が残留し、その一部が細孔内に入り込むとともに引っ掛かり、詰まり滓として留まる。そして、飲料の濾過が終了した後、スクレーパがスクレーパ駆動部で駆動され、フィルタ本体の表面を摺動する。
【0009】
この場合、細孔の深さが50μm以下で、非常に浅く、また、この細孔の深さの径に対する比が0.5以下であるので、スクレーパの摺動に伴い、細孔の壁が刃として作用する。具体的には、フィルタ本体の表面から突出する詰まり滓の部分が、摺動するスクレーパで細孔の壁に押し付けられ、スクレーパとこの壁との協働によるせん断によって、切断される。切断された詰まり滓は、フィルタ本体の表面に残留する抽出滓とともにスクレーパによって掻き取られ、フィルタ本体の表面から取り除かれる。
【0010】
以上のように、スクレーパの摺動に伴い、詰まり滓の突出部を確実に切断し、取り除くことができ、また、切断された残りの詰まり滓は、次回の濾過時に容易に洗い流され、長期間、細孔に留まることはない。したがって、フィルタ本体の表面および細孔を常時、汚れのない衛生的な状態に保つことができるとともに、抽出された飲料への汚れの混入を抑制でき、飲料の味を良好に保つことができる。
【0011】
また、フィルタ本体が金属またはセラミックスで構成されているので、フィルタ本体を交換することなく繰り返し使用でき、濾過ごとに交換が必要なペーパーフィルタと比較して、廃棄物量および保守コストを大幅に削減することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のフィルタ装置において、スクレーパは、弾性を有し、スクレーパ駆動部は、スクレーパをフィルタ本体の表面に押圧しながら摺動させることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、スクレーパ駆動部がスクレーパをフィルタ本体の表面に押圧するので、スクレーパは、その弾性によってフィルタ本体の表面に密着しながら摺動する。それにより、細孔に入り込んだ詰まり滓をより深く確実に切断できるとともに、次回の濾過時における詰まり滓の洗い流しをより確実に行うことができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のフィルタ装置において、フィルタ本体の形状を保持するために、フィルタ本体の裏面側に設けられた保持プレートをさらに備えていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、フィルタ本体の裏面側に設けられた保持プレートによって、フィルタ本体の形状が保持される。フィルタ本体は薄板状に構成されており、撓みやすいので、保持プレートでフィルタ本体の形状を保持し、その撓みを抑制することによって、スクレーパとフィルタ本体の間に隙間が生じるのを防止することができる。その結果、スクレーパがフィルタ本体の表面をスムーズに摺動できるとともに、フィルタ本体の表面から抽出滓を確実に掻き取ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のフィルタ装置において、フィルタ本体は、細孔の下端に連なり、フィルタ本体の裏面に開口するとともに、裏面に向かうに従って径が大きくなるテーパ孔を有していることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、フィルタ本体に、裏面に向かうに従って径が大きくなるテーパ孔が形成されていることにより、フィルタ本体の裏面の面積が、表面よりも小さくなっている。これにより、裏面に付着する汚れを少なくすることができ、その結果、汚れの混入による飲料の味の劣化をさらに抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明を適用したフィルタ装置10を含む飲料の抽出ユニット1を示している。この抽出ユニット1は、粉状のコーヒー豆と湯を原料として用い、コーヒーを抽出して購入者に提供するためのものであり、レギュラーコーヒーの自動販売機(図示せず)に内蔵されている。
【0019】
抽出ユニット1は、内部においてコーヒーの抽出を行うためのシリンダ2と、このシリンダ2を着脱自在に収容するシリンダホルダ3などを備えている。シリンダ2は、例えばプラスチックで構成され、上下方向に延びるとともに、上面および下面が開放した円筒状に形成されている。シリンダホルダ3は、シリンダ2を収容するためのボックス状のフレーム4と、このフレーム4内の下部に設けられたフィルタ装置10を有している。
【0020】
フレーム4は、左右の側壁4a、4aと、両側壁4a、4aの後端部間および下端部間をそれぞれつなぐ背壁4bおよび底壁4cを有し、前面および上面が開放したボックス状に形成されている。また、側壁4a、4aの前側の上端部には、前上カバー4dが設けられている。
【0021】
図2に示すように、フィルタ装置10は、スライダ(図示せず)によってフレーム4に昇降自在に設けられ、シリンダ2内のコーヒーを濾過しながら外部に搬送するためのフィルタブロック11と、前後方向にスライド自在に設けられ、フィルタブロック11上に残留した抽出滓を除去するためのスクレーパ機構21などを備えている。
【0022】
フィルタブロック11は、フィルタ組立て品12と、このフィルタ組立て品12を取り囲むように設けられ、シリンダ2よりも大きな外径を有する薄板リング状のパッキン16と、フィルタ組立て品12およびパッキン16を支持するとともに、上下方向に延びる通路(図示せず)を有するブロック状の支持部材17などで構成されている。
【0023】
図3、図4および図6に示すように、フィルタ組立て品12は、円板状のフィルタ本体13と、その下側に設けられた保持プレート14と、両者13、14を互いに固定するための固定枠15を有している。フィルタ本体13は、金属やセラミックス、例えばステンレスによって構成されており、シリンダ2の内径よりも若干小さな外径を有するメッシュ部13aと、メッシュ部13aの外周部の全体にわたって設けられたつば部13bを有している。このつば部13bは、メッシュ部13aの外周部から垂下する垂下部の下端から側方に突出している。
【0024】
メッシュ部13aは、非常に薄い所定の厚さT(例えば50μm)を有しており、図5に示すように、このメッシュ部13aの全面には、多数の濾過孔13cが形成され、メッシュ状に配置されている(2つのみ図示)。濾過孔13cは、エッチングにより形成されており、メッシュ部13aの上面側のストレート部13dと、下面側のテーパ部13eを有している。
【0025】
ストレート部13dは、メッシュ部13aの上面に開口しており、円形で、所定の深さd(例えば20μm)を有している。テーパ部13eは、ストレート部13dの下端に連なり、下面に開口するとともに、下面に向かうに従って径が大きくなるように形成されている。また、ストレート部13dの深さdは、その径D(例えば70μm)に対する比(d/D)が0.5以下になるように設定されている。以上のように、メッシュ部13aは、非常に薄く、その全面に多数の非常に微小な濾過孔13cが形成されているため、半透明の外観を有している。
【0026】
保持プレート14は、円板状の支持部14aと、その外周部の全体にわたって設けられた断面L字形の固定部14cを有している。この固定部14cは、支持部14aの外周部から下方に垂下する垂下部の下端部から側方に突出している。また、支持部14aの径は、メッシュ部13aよりも若干小さい。また、支持部14aの厚さは、スクレーパ機構21の作動時に作用する荷重に対して、支持部14aの形状を維持するのに十分な剛性を確保できるように設定されている。また、支持部14aのほぼ全面には、多数の貫通孔14bが形成され、メッシュ状に配置されている。また、各貫通孔14bは、前述したメッシュ部13aの濾過孔13cよりもはるかに大きな径(例えば4mm)を有している。
【0027】
固定枠15は、側壁15aと、その上端部から内方に突出する上壁15bから、リング状に形成されている。この固定枠15には、フィルタ本体13を間に挟んだ状態で、保持プレート14が嵌合している。具体的には、保持プレート14の固定部14cが、固定枠15の側壁15aの内側に圧入されており、それにより、上壁15bと固定部14cの間に、フィルタ本体13のつば部13bが挟み付けられ、三者13〜15が一体化されている。また、この状態では、保持プレート14の支持部14aの上面全体が、フィルタ本体13のメッシュ部13aに当接している。
【0028】
次に、スクレーパ機構21について説明する。図2に示すように、スクレーパ機構21は、矩形枠状に形成され、その平面サイズがフィルタブロック11よりも大きいサポート22と、このサポート22に一体に設けられたスクレーパ本体23と、両者22、23を駆動する駆動機構24を有している。スクレーパ本体23は、弾性を有するゴム(例えばシリコンゴム)で構成された板状のものであり、サポート22の前壁22aの全体に取り付けられ、鉛直下方に突出している。このスクレーパ本体23の下端部は、前後方向の幅が下方に向かうに従って狭くなるように、テーパ状に形成されている。
【0029】
また、サポート22の後壁22bと、その前側に設けられた仕切り壁22cとの間には、左右方向に延びる収容溝22dが形成されている。また、後壁22bの左右方向の中央には、開口22eが形成されている。以上のように構成されたサポート22およびスクレーパ本体23は、左右の側壁4a、4aにガイドされることにより、前後方向にスライド可能になっている。
【0030】
駆動機構24は、回動自在の駆動部24aと、この駆動部24aに上下方向に延びる連結軸24bを介して連結されたモータ(図示せず)を有している。駆動部24aは、水平に延びるアーム部24cを一体に有しており、その先端部には、下方に突出する係合凸部24dが設けられている。この係合凸部24dは、サポート22の開口22eを介して、収容溝22dに挿入されている。
【0031】
次いで、上述したフィルタ装置10の動作について説明する。まず、待機状態にあるフィルタ装置10のフィルタブロック11が、スライダで駆動されることにより上昇し、パッキン16が、シリンダ2に当接した状態でこれをシールする。そして、原料供給装置および給湯装置(いずれも図示せず)から、粉状のコーヒー豆および湯がシリンダ2内に供給されるとともに、攪拌されることによって、コーヒーが抽出される。
【0032】
次いで、エアポンプ(図示せず)が作動し、エアがシリンダ2内に供給されることにより、シリンダ2の内部が加圧される。それにより、抽出されたコーヒーが、フィルタ本体13の濾過孔13cを介して下面側に通過することによって、濾過される。フィルタ本体13の表面には、抽出されたコーヒーと分離された抽出滓Gが残留し、図7(a)に示すように、抽出滓Gの一部は、濾過孔13c内に入り込むとともに引っ掛かり、詰まり滓gとして留まる。濾過されたコーヒーは、保持プレート14の貫通孔14bをさらに通過し、フィルタブロックチューブおよび飲料搬送チューブなどを通り、カップ(いずれも図示せず)に供給される。
【0033】
次いで、駆動機構24の駆動部24aが、図2(a)に示す待機位置から180°回転するのに伴い、サポート22およびスクレーパ本体23が、係合凸部24dおよび収容溝22dを介して後方に引かれることによって、同図(b)に示すように、後方の抽出滓排出位置にスライドする。その際、スクレーパ本体23は、駆動機構24により、アーム部24cを介して所定の圧力でフィルタ本体13を押圧しながら、その上面を後方に向かって摺動する。それにより、フィルタ本体13の上面に残留した抽出滓Gは、スクレーパ本体23で掻き取られ、滓シュート(図示せず)を介して外部に排出される。
【0034】
本実施形態においては、ストレート部13dの深さが20μmで、非常に浅く、また、このストレート部13dの深さdの径Dに対する比が0.5以下であるので、スクレーパ本体23の摺動に伴い、ストレート部13dの壁が刃として作用する。具体的には、フィルタ本体23の表面から突出する詰まり滓gの部分が、摺動するスクレーパ本体23でストレート部13dの壁に押し付けられ、スクレーパ本体13とこの壁との協働によるせん断によって、切断される。切断された詰まり滓gは、フィルタ本体13の表面に残留する抽出滓Gとともにスクレーパ本体23によって掻き取られ、フィルタ本体13の表面から取り除かれる。
【0035】
その後、駆動部24aがさらに180°回動することによって、スクレーパ本体23は、フィルタ本体13の上面を押圧しながら前方に摺動し、サポート22およびスクレーパ本体23は元の待機位置に戻る。なお、前回のスクレーパ本体23の摺動時に切断され、濾過孔13c内に残された詰まり滓gは、スクレーパ本体23が今回、摺動する前に、抽出されたコーヒーが濾過孔13cを通過するときに、濾過孔13cから押し出され、洗い流される。
【0036】
なお、実験の結果、ストレート部13dの深さdを50μm以下に設定することにより、スクレーパ本体23とストレート部13dの壁との協働による詰まり滓gの切断が、効果的に行われることが確認されている。また、ストレート部13dの径Dを100μm以下に設定することにより、コーヒーが濾過孔13cを通過する際、濾過孔13c内に残された詰まり滓gを押し出すのに十分な流速が確保されることが確認されている。
【0037】
以上のように、本実施形態のフィルタ装置10によれば、スクレーパ本体23の摺動に伴い、詰まり滓gの突出部を確実に切断し、取り除くことができ、また、切断された残りの詰まり滓gは、次回の濾過時に容易に洗い流され、長期間、留まることはない。したがって、フィルタ本体23の表面および濾過孔13cを常時、汚れのない衛生的な状態に保つことができるとともに、抽出されたコーヒーへの汚れの混入を抑制でき、コーヒーの味を良好に保つことができる。
【0038】
また、フィルタ本体13がステンレスで構成されているので、フィルタ本体13を交換することなく繰り返し使用でき、濾過ごとに交換が必要なペーパーフィルタと比較して、廃棄物量および保守コストを大幅に削減することができる。
【0039】
また、駆動機構24がスクレーパ本体23をフィルタ本体13の表面に押圧するので、スクレーパ本体23は、その弾性によってフィルタ本体13の表面に密着しながら摺動する。それにより、濾過孔13cに入り込んだ詰まり滓gをより深く確実に切断できるとともに、次回の濾過時における詰まり滓gの洗い流しをより確実に行うことができる。
【0040】
また、フィルタ本体13の下面側に設けられた保持プレート14によって、フィルタ本体13の形状が保持される。フィルタ本体13のメッシュ部13aは薄板状で撓みやすいので、保持プレート14でメッシュ部13aの形状を保持し、その撓みを抑制することによって、スクレーパ本体23とフィルタ本体13の間に隙間が生じるのを防止することができる。その結果、スクレーパ本体23がフィルタ本体13の表面をスムーズに摺動できるとともに、フィルタ本体13の表面から抽出滓Gを確実に掻き取ることができる。
【0041】
また、フィルタ本体13に、下面に向かうに従って径が大きくなるテーパ部13eが形成されていることにより、フィルタ本体13の下面の面積が、表面よりも小さくなっている。これにより、下面に付着する汚れを少なくすることができ、その結果、汚れの混入によるコーヒーの味の劣化をさらに抑制することができる。
【0042】
また、濾過孔13cを通過するコーヒーによって、濾過孔13c内に残された詰まり滓gが容易に洗い流されるので、濾過孔13cに詰まりが発生するのを抑制でき、コーヒーの濾過に要する時間を安定させることができる。
【0043】
さらに、濾過孔13cはエッチングにより形成されるので、その際にフィルタ本体13の上面と下面を判別するための表示を設けることが可能になり、それにより、フィルタ装置10を製造する際、フィルタ本体13の上下が誤って組み立てられるのを防止することができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、本発明をレギュラーコーヒーの抽出ユニットのフィルタ装置に適用した場合について説明したが、原料として茶葉を用い、茶系飲料を抽出する抽出ユニットのフィルタ装置に適用することもできる。
【0045】
また、実施形態では、濾過孔13cをストレート部13dおよびテーパ部13eで構成した場合について説明したが、これに限定されることなく、例えば、テーパ部を省略し、ストレート部のみで濾過孔を構成してもよい。また、実施形態で説明したメッシュ部13aの厚さやストレート部13dの径Dなどの値はあくまで例示であり、他の適当な値に設定することも可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるフィルタ装置を含む飲料の抽出ユニットを示す斜視図である。
【図2】フィルタ装置、スクレーパ機構および駆動機構の(a)待機位置および(b)抽出滓排出位置をそれぞれ示す平面図である。
【図3】フィルタ組立て品を示す斜視図である。
【図4】フィルタ組立て品の分解斜視図である。
【図5】フィルタ本体の濾過孔を示す部分拡大断面図である。
【図6】図3の線A−Aに沿う部分拡大断面図である。
【図7】(a)フィルタ本体の表面および濾過孔に抽出滓が残留する状態と、(b)スクレーパにより抽出滓が掻き取られた状態を、それぞれ模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10 フィルタ装置
13 フィルタ本体
13d ストレート部(細孔)
13e テーパ部(テーパ孔)
14 保持プレート
23 スクレーパ本体(スクレーパ)
24 駆動機構(スクレーパ駆動部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状の原料と水を混合して抽出した飲料を濾過するためのフィルタ装置であって、
金属およびセラミックスの一方で構成され、深さが50μm以下、且つ径に対する前記深さの比が0.5以下の多数の細孔を有し、表面側で抽出された前記飲料を、前記細孔を介して裏面側に通過させることにより濾過する薄板状のフィルタ本体と、
スクレーパ駆動部と、
当該スクレーパ駆動部で駆動されることにより前記フィルタ本体の表面を摺動し、当該表面に残留する前記原料の抽出滓を掻き取るスクレーパと、
を備えていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記スクレーパは、弾性を有し、
前記スクレーパ駆動部は、前記スクレーパを前記フィルタ本体の表面に押圧しながら摺動させることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタ本体の形状を保持するために、当該フィルタ本体の裏面側に設けられた保持プレートをさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記フィルタ本体は、前記細孔の下端に連なり、前記フィルタ本体の前記裏面に開口するとともに、当該裏面に向かうに従って径が大きくなるテーパ孔を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−268997(P2008−268997A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106998(P2007−106998)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】