説明

フィルタ装置

【課題】接続が容易でかつ同軸ケーブルの外部導体の確実な接触が得られるフィルタ装置を提供する。
【解決手段】フィルタ装置1は、基板2と、フィルタ回路3と、ケーブルガイド41とを備え、基板2は、切欠き部210が形成されると共に、切欠き部210を挟む両側に形成された一対の導体パターン212,213、及び内部導体910とフィルタ回路3とを接続するように形成された配線パターン211を基板2の裏面2bに有し、ケーブルガイド41は、外部導体911を収容して外部導体911に半田付けされる凹部41aと、凹部41aを挟んで対向して形成され、導体パターン212,213にそれぞれ固定される固定部41b,41cとを有し、一対の導体パターン212,213と一対の固定部41b,41cとを接触させると、ケーブルガイド41の凹部41が基板2の表面2aから裏面2b側に向かって窪み、かつ切欠き部210に嵌合するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送される信号の特定の周波数帯域の信号成分を通過させるフィルタ装置に関する。特に本発明は、同軸ケーブルが接続され、この同軸ケーブルを介して伝送される信号の特定の周波数帯域の信号成分を通過させるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力信号の周波数帯域のうち、特定の周波数帯域の信号成分を通過させ、この特定の周波数帯域外の信号成分を遮断するフィルタ装置が知られている。このようなフィルタ装置には、同軸コネクタが設けられ、この同軸コネクタに接続された同軸ケーブルを介して信号の入力又は出力を行うものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、2つの帯域遮断フィルタを有し、この2つの帯域遮断フィルタを通過した信号を送信するアンテナ、及び2つの帯域遮断フィルタのそれぞれに対応して、3つの同軸コネクタが設けられたアンテナ共用分波器が記載されている。
【0004】
特許文献2には、送信側誘電体フィルタと、受信側誘電体フィルタとを備え、アンテナ側に接続される同軸コネクタ、及び送信側誘電体フィルタならびに受信側誘電体フィルタにそれぞれ接続される一対の同軸コネクタを備えたデュプレクサが記載されている。
【0005】
なお、同軸コネクタを基板に直接接続する接続構造としては、特許文献3〜6に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−284410号公報
【特許文献2】特開2007−295361号公報
【特許文献3】実開平3−95566号公報
【特許文献4】実開昭61−149404号公報
【特許文献5】特開2003−168499号公報
【特許文献6】特開2009−105008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、携帯電話基地局用アンテナのように、ギガヘルツ帯の周波数信号のフィルタリングを行うフィルタ装置では、同軸コネクタの接触部における導通が不十分であると、この接触部から高調波ノイズが発生し、通信に影響を及ぼすことがある。また、同軸コネクタは、フィルタ装置側及び同軸ケーブル側の双方に必要となるので、コスト上昇の要因ともなる。
【0008】
また、同軸コネクタを用いることなく、フィルタ装置の基板に直接同軸ケーブルを接続することも考えられるが、例えば携帯電話基地局アンテナに用いられるフィルタ回路のように、同軸ケーブルの敷設後に現地にて接続作業を行わなければならない作業環境では、専用の治具等に同軸ケーブルを固定した状態で作業を行うことが困難であるので、同軸ケーブルの接続作業の容易性が求められる。また、同軸ケーブルの外部導体を確実に基板側に接触させるには、半田付けを行うことが望ましいが、同軸ケーブルが支持されていない状態での半田付けにはさらなる困難が伴う。
【0009】
そこで、本発明は、同軸コネクタを用いることなく、同軸ケーブルの確実な接続を容易に行うことができるフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、内部導体、及び前記内部導体の外周に絶縁層を介して設けられた外部導体を有する同軸ケーブルが接続される基板と、前記基板上に設けられ、特定の周波数帯域の信号成分を通過させるフィルタ回路と、前記同軸ケーブルを支持する導電性の支持部材とを備え、前記基板は、その端面から前記端面に交差する方向に延びる切欠き部が形成されると共に、前記切欠き部を挟む両側に形成された一対の導体パターン、及び前記内部導体と前記フィルタ回路とを接続するように形成された配線パターンを一方の平面上に有し、前記支持部材は、前記外部導体の少なくとも一部を収容して前記外部導体に半田付けされる凹部と、前記凹部を挟んで対向する位置に形成され、前記一対の導体パターンにそれぞれ接触して固定される一対の固定部とを有し、前記一対の導体パターンと前記一対の固定部とを接触させると、前記支持部材の前記凹部が前記基板の一方の平面側から他方の平面側に向かって窪み、かつ前記切欠き部に嵌合するように配置されるフィルタ装置を提供する。
【0011】
また、前記基板の前記他方の平面には、接地電位に接続された接地パターンが形成され、前記支持部材は、前記接地パターンに接続される接地部をさらに有するとよい。
【0012】
また、前記支持部材は、単板の金属板を曲げ加工して形成された一体の導電体からなるとよい。
【0013】
また、前記支持部材の前記凹部に前記同軸ケーブルの前記外部導体の少なくとも一部を収容すると、前記同軸ケーブルの前記内部導体を屈曲させることなく、前記内部導体と前記配線パターンとを接触させて接続することが可能であるとよい。
【0014】
また、前記フィルタ回路は、第1の周波数帯域の信号成分を通過させる第1のフィルタ部と、前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域の信号成分を通過させる第2のフィルタ部とを有し、前記切欠き部は、前記第1のフィルタ部、前記第2のフィルタ部、及び前記第1及び第2の周波数帯域の信号成分を含む信号を受信するアンテナ素子のそれぞれに対応して、前記基板の3か所に形成されているとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フィルタ装置に同軸ケーブルを容易に接続することができ、かつ同軸ケーブルの外部導体の確実な接触が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係るフィルタ装置の外観を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図2】フィルタ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図3】フィルタ回路の通過特性を示す特性図である。
【図4】基板の第1接続部を示し、(a)は表面側から見た斜視図、(b)は裏面側から見た斜視図である。
【図5】ケーブルガイドを取り除いた状態の第1接続部を示し、(a)は表面側から見た斜視図、(b)は裏面側から見た斜視図である。
【図6】ケーブルガイドの外観及び寸法を示し、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は斜視図である。
【図7】同軸ケーブルが接続された第1接続部を示し、(a)は表面側から見た斜視図、(b)は裏面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態]
図1は、本実施の形態に係るフィルタ装置の外観を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【0018】
このフィルタ装置1は、基板2と、基板2上に設けられたフィルタ回路3と、基板2に接続される同軸ケーブルを支持する支持部材としてのケーブルガイド41,42,43と、基板2の一方の平面である表面2a側に固定され、フィルタ回路3を覆うカバー部材5とを備えている。
【0019】
基板2は、例えばフッ素樹脂等の絶縁耐量の大きい誘電体からなる絶縁基材の表面に、銅箔等の導電性の金属箔からなる複数のパターンが形成されている。また、基板2には、その端面2c,2d,2eから、それぞれの端面2c,2d,2eに交差する方向に延びる3つの切欠き部210,220,230が形成されている。
【0020】
基板2の表面2aのうち、カバー部材5に覆われていない部分には、図略のアース線によって電気的に接地された接地電位に接続された接地パターン200が形成されている。また、基板2の他方の平面である裏面2bには、後述する同軸ケーブル91〜93を接続するための配線パターン211,221,231、及び導体パターン212,213,222,223,232,233が形成されている。
【0021】
切欠き部210、配線パターン211、及び導体パターン212,213は、第1接続部21を構成する。切欠き部220、配線パターン221、及び導体パターン222,223は、第2接続部22を構成する。また、切欠き部230、配線パターン231、及び導体パターン232,233は、第3接続部23を構成する。
【0022】
フィルタ回路3は、基板2の表面2a側に設けられている。このフィルタ回路は、例えばマイクロストリップラインからなる。また、フィルタ回路3を誘電体共振器を用いて構成してもよい。
【0023】
ケーブルガイド41,42,43は、銅等の導電性金属からなり、基板2の3つの切欠き部21,22,23のそれぞれに対応して設けられている。このケーブルガイド41,42,43は、導体パターン212,213,222,223,232,233への半田付けによって基板2に固定されている。
【0024】
カバー部材5は、一側面が開口した直方体形状の導電体からなり、基板2の表面2a側に、例えばねじ留めによって固定されている。このカバー部材5は、基板2の接地パターン200に接触して電気的に接地され、フィルタ回路3からの不要輻射を抑制する。
【0025】
図2は、フィルタ装置1の機能構成例を示すブロック図である。図3は、フィルタ回路3の通過特性を示す特性図である。
【0026】
フィルタ装置1のフィルタ回路3は、1.43〜1.50GHz(第1の周波数帯域)の信号成分を通過させる第1のフィルタ部としての帯域通過フィルタ31と、1.92〜2.13GHz(第2の周波数帯域)の信号成分を通過させる第2のフィルタ部としての帯域通過フィルタ32とを有している。
【0027】
帯域通過フィルタ31には、第1接続部21を介して同軸ケーブル91が接続され、帯域通過フィルタ32には、第2接続部22を介して同軸ケーブル92が接続される。また、帯域通過フィルタ31及び帯域通過フィルタ32には、第3接続部23を介して同軸ケーブル93が接続される。同軸ケーブル93の一端は、アンテナ素子8に接続されている。このアンテナ素子8は、1.5GHz帯及び2GHz帯の共用アンテナである。
【0028】
アンテナ素子8で受信された信号は、同軸ケーブル93によってフィルタ装置1に入力され、基板2に形成された配線パターンによって帯域通過フィルタ31及び帯域通過フィルタ32に入力される。帯域通過フィルタ31は、入力された信号のうち、第1の周波数帯域の信号成分を通過させ、同軸ケーブル91に出力する。また、帯域通過フィルタ32は、入力された信号のうち、第2の周波数帯域の信号成分を通過させ、同軸ケーブル92側に出力する。第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域以外の周波数帯の信号成分は、帯域通過フィルタ31及び帯域通過フィルタ32によって遮断される。すなわち、フィルタ装置1は、デュプレクサとして機能する。
【0029】
同軸ケーブル91〜93は、次に説明する同軸ケーブル接続構造により、基板2の第1接続部21,第2接続部22,及び第3接続部23に接続されている。
【0030】
(同軸ケーブル接続構造)
第1接続部21,第2接続部22,及び第3接続部23は、それぞれ同様に構成されているので、第1接続部21を例にとって、図4〜図9を参照して説明する。
【0031】
図4は、基板2の第1接続部21を示し、(a)は裏面2b側から見た斜視図、(b)は表面2a側から見た斜視図である。図5は、ケーブルガイド41を取り除いた状態の第1接続部21を示し、(a)は裏面2側から見た斜視図、(b)はb表面2a側から見た斜視図である。図6は、ケーブルガイド41の外観及び寸法を示し、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は斜視図である。
【0032】
図4(a)及び図5(a)に示すように、切欠き部210は、基板2の端面2cから基板2の中央部に向かって、端面2cに直交する方向に延びるように形成されている。つまり、切欠き部210は、その延伸方向の一端が端面2cに開口し、基板2を表面2aから裏面2bに厚さ方向に貫通するスリット状に形成されている。また、切欠き部210は、端面2c側(開口側)の幅広部210aと、延伸方向の奥側の幅狭部210bとからなり、幅広部210aは、切欠き部210の延伸方向に直交する方向の幅が、幅狭部210bよりも広く形成されている。
【0033】
導体パターン212,213は、幅狭部210bをその幅方向に挟んで、幅狭部210bの両側に対をなすように形成されている。配線パターン211は、切欠き部210の延伸方向に沿って、幅狭部210bの奥側(幅広部210aとは反対側)の端部付近から、基板2の中央部に向かって直線状に延びるように形成されている。
【0034】
図4(b)及び図5(b)に示すように、基板2の表面2aにおける切欠き部210の周辺には、接地パターン200が形成されている。
【0035】
図6に示すように、ケーブルガイド41は、凹部41aと、凹部41aを挟んで対向する位置に形成された一対の固定部41b及び固定部41cと、一対の固定部41b,41cを結ぶ直線に対して直交する方向に延びるように、凹部41aに連続して形成された接地部41dとを一体に有している。また、凹部41aは、一対の固定部41b,41cを結ぶ直線に対して直交する方向に延びる断面U字状の溝として形成されている。
【0036】
ケーブルガイド41は、単板の銅等の導電性金属からなる金属板を曲げ加工して形成されている。この曲げ加工は、例えば雄金型と雌金型との間に金属板を挟んで押圧するプレス加工によって行うことができる。
【0037】
図4(a)に示すように、ケーブルガイド41の固定部41b,41cは、導体パターン212,213に接触して固定されている。本実施の形態では、固定部41b,41cが導体パターン212,213に半田付けされている。また、凹部41aは、基板2の裏面2bから表面2a側に向かって窪むように形成されている。つまり、導体パターン212,213とケーブルガイド41の固定部41b,41cとを接触させると、ケーブルガイド41の凹部41aが基板2の裏面2bから表面2a側に向かって窪み、かつ凹部41aが切欠き部210に嵌合するように配置される。
【0038】
また、図4(b)に示すように、ケーブルガイド41の接地部41dは、接地パターン200に接続されている。本実施の形態では、接地部41dが接地パターン200に半田付けされている。これにより、導体パターン212,213と接地パターン200がケーブルガイド41によって接続されている。
【0039】
図7は、同軸ケーブル91が接続された基板2の第1接続部21を示し、(a)は裏面2b側から見た斜視図、(b)は表面2a側から見た斜視図である。
【0040】
同軸ケーブル91は、内部導体910と、内部導体910の外周に設けられた編組線からなる外部導体911と、内部導体910と外部導体911との間に形成された絶縁層912と、外部導体911を覆うように形成されたシース913とを有している。
【0041】
同軸ケーブル91は、シース913が取り除かれて露出した外部導体911がケーブルガイド41の凹部41aに半田付けされ、さらに外部導体911及び絶縁層912が取り除かれて露出した内部導体910が配線パターン211に半田付けされて、基板2の第1接続部21に接続されている。配線パターン211は、内部導体910とフィルタ回路3の帯域通過フィルタ31とを接続するように形成されている。
【0042】
また、同軸ケーブル91は、外部導体911が凹部41aに半田付けされて固定されることにより、ケーブルガイド41に支持されている。
【0043】
凹部41aは、外部導体911の周方向の少なくとも一部を収容している。より詳細には、凹部41aは、外部導体911のうち、内部導体910よりも基板2の表面2a側の部分を収容している。
【0044】
第1接続部21への同軸ケーブル91の接続は、例えば次の手順により行うことができる。なお、ケーブルガイド41は予め基板2に接続されているものとする。
【0045】
まず、同軸ケーブル91の先端部におけるシース913を所定の長さに亘って取り除き、外部導体911を露出させる。次に、露出した外部導体911の先端側の一部を取り除き、さらに外部導体911を取り除いた部分に相当する絶縁層912取り除き、内部導体910を露出させる。
【0046】
次に、露出した外部導体911をケーブルガイド41の凹部41aに嵌め込み、外部導体911の一部を凹部41aに収容する。そして、内部導体910を配線パターン211に半田付けし、外部導体911を凹部41aに半田付けする。なお、内部導体910と外部導体911の半田付けの順序は逆でもよい。これにより、同軸ケーブル91の先端部が基板2の第1接続部21に接続される。
【0047】
この際、外部導体911の一部が凹部41aに収容されると、内部導体910が配線パターン211に対応する位置に位置決めされるので、内部導体910を屈曲させることなく、内部導体910と配線パターン211とを接触させて接続することが可能である。
【0048】
また、第2接続部22及び第3接続部23も、上記説明した第1接続部21と同様に構成され、第2接続部22には同軸ケーブル92が、第3接続部23には同軸ケーブル93が、それぞれ同様の手順によって接続される。
【0049】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0050】
(1)同軸コネクタを用いることなく同軸ケーブル91を基板2に接続することができるので、低コスト化が可能となる。また、同軸コネクタを用いる場合には、内部導体910及び外部導体911の同軸コネクタの接続導体への接触部、及び雄雌同軸コネクタの接続導体同士の接触部を介して内部導体910及び外部導体911が基板2に接続されることとなるが、本実施の形態によれば、内部導体910及び外部導体911が直接的に基板2に半田付けされるので、上記の各接触部で発生するおそれのある高調波ノイズを抑止することができる。
【0051】
(2)同軸ケーブル91は、ケーブルガイド41に支持された状態で、すなわち同軸ケーブル91がケーブルガイド41の凹部41aに収容され、同軸ケーブル91が切欠き部210の延伸方向に沿うように案内された状態で、内部導体910及び外部導体911の半田付けを行うことができる。これにより、同軸コネクタを用いることなく、同軸ケーブル91の確実な接続を容易に行うことができるフィルタ装置1を提供することができる。
【0052】
(3)内部導体910は配線パターン211に、外部導体911はケーブルガイド41の凹部41aに、それぞれ半田付けにより接続されるので、例えば導体の圧接により接続する場合に比較して、確実な接触を得ることができる。また、同軸ケーブル91がケーブルガイド41に支持された状態で半田付けすることにより、半田付けの作業を安定して行うことができ、半田付け作業の確実性が増す。
【0053】
(4)凹部41aは、基板2の裏面2bから表面2a側に向かって窪むように形成され、ケーブルガイド41(支持部材)の凹部41aに同軸ケーブル91の外部導体911の少なくとも一部を収容すると、同軸ケーブル91の直線状の内部導体910を屈曲させることなく、対応する直線状の配線パターン211に接触させて接続することができる。すなわち、内部導体910の位置(基板2の厚さ方向の位置)が配線パターン211に対応した位置となる。これにより、内部導体910の配線パターン211への半田付け作業がさらに容易となると共に、同軸ケーブル91の確実な接続を容易に行うことができるようになる。
【0054】
(5)ケーブルガイド41は、単板の金属板の曲げ加工によって形成することができるので、ケーブルガイド41を低コストに製造することができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0056】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【0057】
例えば、上記実施の形態では、フィルタ装置1が、フィルタ回路3に2つの帯域通過フィルタ(帯域通過フィルタ31及び帯域通過フィルタ32)を有するデュプレクサとして構成された場合について説明したが、これに限らず、フィルタ回路3が単一の帯域通過フィルタ又は帯域遮断フィルタを有していてもよい。また、3つ以上の帯域通過フィルタ又は帯域遮断フィルタを有していてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、フィルタ装置1の3つの接続部(第1〜第3接続部21〜23)の全てが上記同軸ケーブル接続構造によって同軸ケーブルと接続される場合について説明したが、これに限らず、一部の接続部には同軸コネクタを用いてもよい。例えば、第3接続部23のみを上記同軸ケーブル接続構造によって同軸ケーブル93と接続してもよい。第3接続部23は、アンテナ素子8に近いので、上記同軸ケーブル接続構造によって確実な接触を得ることが特に有効である。
【0059】
また、上記実施の形態では、凹部41aが外部導体911の周方向の一部を収容するようにケーブルガイド41を形成した場合について説明したが、凹部41aが外部導体911の全周を収容するようにケーブルガイド41を形成してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、ケーブルガイド41の固定部41b,41cを導体パターン212,213に半田付けする場合について説明したが、固定部41b,41cを例えばねじ留めによって導体パターン212,213に接続してもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、フィルタ装置1の3つの接続部(第1〜第3接続部21〜23)が、矩形状の基板2の4つの辺のうち、3つの相異なる辺に形成された場合について説明したが、各接続部を形成する位置はこれに限定されるものではなく、例えば第1〜第3接続部21〜23のうち、1つの接続部(例えば第3の接続部23)と他の2つの接続部(例えば第1の接続部21及び第2の接続部22)とを、基板2の4つの辺のうち、互いに向かい合う2つの辺のそれぞれに形成してもよい。また、第1〜第3接続部21〜23を同一の辺に並べて形成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…フィルタ装置、2…基板、2a…表面、2b…裏面、2c…端面、2c,2d,2e…端面、3…フィルタ回路、5…カバー部材、8…アンテナ素子、21〜23…第1〜第3接続部、31,32…帯域通過フィルタ、41,42,43…ケーブルガイド(支持部材)、41a…凹部、41b,41c…固定部、41d…接地部、91〜93…同軸ケーブル、200…接地パターン、210,220,230…切欠き部、210a…幅広部、210b…幅狭部、211,221,231…配線パターン、212,213,222,223,232,233…導体パターン、910…内部導体、911…外部導体、912…絶縁層、913…シース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体、及び前記内部導体の外周に絶縁層を介して設けられた外部導体を有する同軸ケーブルが接続される基板と、
前記基板上に設けられ、特定の周波数帯域の信号成分を通過させるフィルタ回路と、
前記同軸ケーブルを支持する導電性の支持部材とを備え、
前記基板は、その端面から前記端面に交差する方向に延びる切欠き部が形成されると共に、前記切欠き部を挟む両側に形成された一対の導体パターン、及び前記内部導体と前記フィルタ回路とを接続するように形成された配線パターンを一方の平面上に有し、
前記支持部材は、前記外部導体の少なくとも一部を収容して前記外部導体に半田付けされる凹部と、前記凹部を挟んで対向する位置に形成され、前記一対の導体パターンにそれぞれ接触して固定される一対の固定部とを有し、
前記一対の導体パターンと前記一対の固定部とを接触させると、前記支持部材の前記凹部が前記基板の一方の平面側から他方の平面側に向かって窪み、かつ前記切欠き部に嵌合するように配置されるフィルタ装置。
【請求項2】
前記基板の前記他方の平面には、接地電位に接続された接地パターンが形成され、
前記支持部材は、前記接地パターンに接続される接地部をさらに有する、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記支持部材は、単板の金属板を曲げ加工して形成された一体の導電体からなる、
請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記支持部材の前記凹部に前記同軸ケーブルの前記外部導体の少なくとも一部を収容すると、前記同軸ケーブルの前記内部導体を屈曲させることなく、前記内部導体と前記配線パターンとを接触させて接続することが可能である、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記フィルタ回路は、第1の周波数帯域の信号成分を通過させる第1のフィルタ部と、前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域の信号成分を通過させる第2のフィルタ部とを有し、
前記切欠き部は、前記第1のフィルタ部、前記第2のフィルタ部、及び前記第1及び第2の周波数帯域の信号成分を含む信号を受信するアンテナ素子のそれぞれに対応して、前記基板の3か所に形成されている、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のフィルタ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−45741(P2013−45741A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184701(P2011−184701)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】