フィルタ調整装置、電源制御システム、およびフィルタ調整方法、
【課題】位相比較を行わず、振幅検出結果に基づいてフィルタ特性のばらつきを高精度、かつ自動的に補償可能なフィルタ調整装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、フィルタ調整装置はフィルタと、基準信号生成部と、制御部と、振幅検出部と、調整部とを具備する。フィルタは特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御される。基準信号生成部は振幅制御信号に応じた振幅の基準信号を生成し、フィルタに供給する。制御部は特性制御信号によりフィルタに異なるフィルタ特性を設定し、振幅制御信号により基準信号の振幅を異なる振幅に設定する。振幅検出部は特性制御信号によりフィルタに異なるフィルタ特性が設定される状態において、異なる振幅の基準信号に対するフィルタの出力信号の振幅を検出する。調整部は振幅検出部によって検出された複数の振幅に従い、フィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定する。
【解決手段】実施形態によれば、フィルタ調整装置はフィルタと、基準信号生成部と、制御部と、振幅検出部と、調整部とを具備する。フィルタは特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御される。基準信号生成部は振幅制御信号に応じた振幅の基準信号を生成し、フィルタに供給する。制御部は特性制御信号によりフィルタに異なるフィルタ特性を設定し、振幅制御信号により基準信号の振幅を異なる振幅に設定する。振幅検出部は特性制御信号によりフィルタに異なるフィルタ特性が設定される状態において、異なる振幅の基準信号に対するフィルタの出力信号の振幅を検出する。調整部は振幅検出部によって検出された複数の振幅に従い、フィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フィルタ特性を自動調整できるフィルタ調整装置、電源制御システム、およびフィルタ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ回路は多くの分野、例えば無線通信分野で使用される。無線通信分野で使用される多くのフィルタ回路は、受信した信号から所望の周波数成分を抽出する。また、無線通信分野で使用されるフィルタ回路を含む受信器は、一般的にコストや消費電力を抑えるために集積回路化されることが望ましい。このため、フィルタ回路も集積回路上に実装する必要がある。さらに、多くのフィルタ回路、例えばRCパッシブフィルタやRCアクティブフィルタにおいて、フィルタ特性はフィルタ回路で使用される抵抗素子や容量素子の素子値によって決定される。このようなフィルタ回路の集積回路化に関して、集積回路外の部品数を削減するために、容量素子や抵抗素子も集積回路内で実現可能な抵抗素子や容量素子を用いる。しかし、集積回路内で実現可能な容量素子や抵抗素子は、製造時のばらつきが大きい。この製造ばらつきは数10%である。製造ばらつきとは、抵抗素子や容量素子の素子値を所望の値に設計しても実際には設計通りにならず、所望の値と異なる値となってしまうことである。
【0003】
この容量素子や抵抗素子の製造ばらつきによってフィルタ特性にも製造ばらつきが生じ、所望のフィルタ特性が得られないことがある。無線通信分野においては、所望のフィルタ特性が得られないと、所望の周波数成分の信号が抽出できない、あるいは不要な妨害波周波数成分を十分に除去できないことにより、無線機の特性が大きく変動してしまう。これを避けるため、製造ばらつきによりフィルタ特性がばらついた場合、フィルタ特性を所望のフィルタ特性に調整することが可能な手法が広く用いられている。フィルタ特性の調整は集積回路(フィルタ回路を含む受信器)の製造時に行ってもよいし、製造後の実際の使用時、例えば、電源投入時、および/または使用中に一定周期で行ってもよいが、いずれにしても自動的に行われることが望ましい。
【0004】
従来のフィルタ特性の自動調整手法では、一定の振幅の基準入力信号をフィルタに入力し、フィルタの特性を変化させながら、その出力の振幅と位相を振幅比較器と位相比較器により検出し、振幅・位相の検出結果に基づいてフィルタ特性が調整される。具体的には、振幅の検出結果に基づいてフィルタ特性を粗調整し、その後位相の検出結果に基づいて微調整することにより、高精度な調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4282490号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のフィルタ自動調整装置は、振幅検出器に加えて位相比較器が必要であり、構成が複雑である。位相比較による微調整を行わないと、製造ばらつきがあった場合、フィルタ特性に十分な精度を確保することが困難であった。例えば、一定の振幅の基準信号をフィルタ回路に入力し、フィルタ特性を種々調整した時のフィルタ出力の振幅を検出し、最も高い振幅に関するフィルタ特性を選択するとする。最も高い振幅の検出は1つの閾値との比較で行われる。フィルタ特性が所望の特性であれば、適切に閾値を設定すると、出力振幅が閾値を越えるのは、所望のフィルタ特性の場合のみである。しかし、利得が増加する方向にフィルタ特性がばらつくと、複数のフィルタ特性において出力振幅が閾値を越えてしまう。逆に、利得が減少する方向にフィルタ特性がばらつくと、いずれのフィルタ特性においても出力振幅が閾値を越えることがない。これを回避するためには、振幅検出の閾値を複数用意し、広範囲の出力振幅を検出可能にする方法がある。しかし、振幅検出器に必要な面積や消費電力が増えてしまう。
【0007】
また、位相検出により微調整する場合、所望の特性における出力信号と入力信号との位相差が0度あるいは180度となるように設計しなければ、高精度な位相検出を簡易な構成で実現することができない。
【0008】
本発明の目的は、位相比較を行わず、振幅検出結果に基づいてフィルタ特性のばらつきを高精度、かつ自動的に補償可能なフィルタ調整装置、電源制御システム、およびフィルタ調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、フィルタ調整装置はフィルタ手段と、基準信号生成手段と、制御手段と、振幅検出手段と、調整手段とを具備する。フィルタ手段は特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御される。基準信号生成手段は振幅制御信号に応じた振幅の基準信号を生成し、基準信号をフィルタ手段に供給する。制御手段は特性制御信号によりフィルタ手段に異なるフィルタ特性を設定し、振幅制御信号により基準信号の振幅を異なる振幅に設定する。振幅検出手段は特性制御信号によりフィルタ手段に異なるフィルタ特性が設定される状態において、それぞれのフィルタ特性において異なる振幅の基準信号に対するフィルタ手段の出力信号の複数の振幅を検出する。調整手段は振幅検出手段によって検出された複数の振幅に従い、フィルタ手段のフィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態のフィルタ自動調整装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の調整モードの処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態の記憶部にデータが格納される様子を示す図である。
【図4】第1の実施形態の基準信号生成部の構成の一例(正弦波を使用する例)を示す図である。
【図5】第1の実施形態の基準信号生成部の構成の他の例(矩形波を使用する例)を示す図である。
【図6】第1の実施形態の基準信号生成部の構成のさらに他の例(異なる周波数の複数の基準信号を使用する例)を示す図である。
【図7】第1の実施形態のフィルタの構成の一例を示す図である。
【図8】第1の実施形態の振幅検出器の構成の一例を示す図である。
【図9】第2の実施形態のフィルタ自動調整装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】第3の実施形態のフィルタ自動調整装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】第4の実施形態の電源制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のフィルタ自動調整装置のブロック図である。フィルタ自動調整装置は、入力端子101、フィルタ102、出力端子103、基準信号生成部104、制御信号生成部105、記憶部106、振幅検出器107、スイッチ108、スイッチ109、スイッチ110、スイッチ111、自動調整制御部112を有する。
【0013】
入力端子101は、外部からの入力信号をフィルタ102に入力するための端子である。入力端子101はスイッチ108を介してフィルタ102の入力端子に接続される。基準信号生成部104は、異なる振幅の複数の基準信号を生成する。基準信号生成部104が生成する基準信号の詳細については後述する。基準信号生成部104から出力された基準信号はスイッチ109を介してフィルタ102に入力される。
【0014】
フィルタ102の出力信号は、スイッチ111を介して振幅検出器107に入力されるとともに、スイッチ110を介して出力端子103に供給される。振幅検出器107は、フィルタ102の出力信号の振幅を検出する。振幅検出器107の詳細については後述する。出力端子103は、フィルタ102の出力信号を外部に出力するための端子である。
【0015】
また、フィルタ102は、制御信号生成部105から出力されるフィルタ特性制御信号が入力される制御端子を備え、このフィルタ特性制御信号に従い、フィルタ特性(特性周波数)を調整可能なフィルタである。フィルタ102としては、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタなどが用いられる。特性周波数とは、フィルタ特性を示す周波数であり、例えば、帯域通過フィルタでは通過帯域の中心周波数であり、低域通過フィルタや高域通過フィルタでは遮断周波数が特性周波数に相当する。フィルタ102の構成の詳細については後述する。
【0016】
振幅検出器107の検出結果は記憶部106に書き込まれ、記憶部106から読み出されたデータが制御信号生成部105に供給される。制御信号生成部105は、自動調整制御部112、例えばCPU等からの自動調整信号によって制御され、フィルタ102の特性周波数を制御するフィルタ特性制御信号と、基準信号生成部104で生成される基準信号の振幅を制御する振幅制御信号とを出力する。従って、フィルタ102の特性周波数と、基準信号生成部104で生成される基準信号の振幅は制御信号生成部105によって制御される。また、フィルタ特性制御信号と振幅制御信号は離散的に変化する信号、例えばデジタル信号として与えられる。さらに、制御信号生成部105は、後述する記憶部106から読み出したデータに従い、フィルタの特性周波数が所望の特性周波数となるようなフィルタ特性制御信号を決定する。
【0017】
自動調整制御部112は、スイッチ108、109、110、111、制御信号生成部105を制御する自動調整制御信号を出力する。スイッチ108、109、110、111は、上記自動調整制御信号によってスイッチのオンとオフが切り替わる。例えば、入力端子101からの入力信号をフィルタ102に入力する際は、スイッチ108、110をオンにし、スイッチ109、111をオフにする。逆に、スイッチ108、110をオフにし、スイッチ109、111をオンにした場合、基準信号生成部104からの基準信号がフィルタ102に入力される。基準信号生成部104から出力される基準信号をフィルタ102に入力することを停止する際、スイッチ109を使用せずに、基準信号生成部104から基準信号を出力すること自体を停止するような手段を備えていてもよい。
【0018】
スイッチ108、110とスイッチ109、111のオン・オフを切り替えることによって、本実施形態のフィルタ自動調整装置は、動作モードと調整モードの2つのモードに切り替わる。
【0019】
調整モードは、異なる振幅の複数の基準信号を複数のフィルタ特性に設定したフィルタ102に入力した時のフィルタの出力信号の振幅に基づいて、フィルタ特性を所望の特性に設定するためのフィルタ特性制御信号を決定するものである。調整モードでは、自動調整制御部112によりスイッチ108、110をオフし、スイッチ109、111をオンする。基準信号生成部104から出力された基準信号はスイッチ109を介してフィルタ102に入力される。入力された基準信号はフィルタ102により処理され、出力が振幅検出器107に入力される。振幅検出器107はフィルタ102の出力信号の振幅を検出し、記憶部106に保持する。具体的には、フィルタ特性周波数を1段階ずつ変化させながら、各特性周波数において基準信号の出力振幅を1段階ずつ変化させて全振幅について振幅検出を行い、基準信号に対するフィルタ出力の振幅を基準信号の出力振幅、フィルタ特性制御信号が設定しようとする特性周波数に対応付けて記憶部106に書き込む。
【0020】
このように、異なる振幅の複数の基準信号を用いてフィルタ特性を変えながらフィルタ出力の振幅を多数回検出することにより、フィルタ特性にばらつきがある場合でも、いずれかの振幅の基準信号についてのフィルタ出力において差が検出されれば、位相を検出することなく、フィルタ特性を高精度に調整できる。
【0021】
動作モードは、入力端子101からの入力信号がスイッチ108を介してフィルタ102に入力されている状態を呼ぶ。フィルタ102の制御端子には調整モードにおいて決定されたフィルタ特性制御信号が制御信号生成部105から供給される。動作モードにおいては、フィルタ102は入力端子101からの入力信号から所望の周波数を抽出するとともに不要な周波数成分を除去し、出力端子103からフィルタ102の出力信号を出力する。
【0022】
図2は、本実施形態の調整モードに関するフローチャートである。
【0023】
ブロック220で、自動調整制御部112はスイッチ108、110をオフし、スイッチ109、111をオンし、入力端子101からの入力信号を遮断し、基準信号生成部104からの基準信号をフィルタ102に入力する。ブロック230で、制御信号生成部105は特性周波数を設定可能な周波数の最小値に設定するためのフィルタ特性制御信号をフィルタ102に供給する。制御信号生成部105から出力されるフィルタ特性制御信号は特性周波数を制御するためにフィルタ102の抵抗、容量の値を増減する信号であり、抵抗素子、容量素子が設計通りに製造されていれば、制御信号により特性周波数を所望の周波数に正しく設定できる。しかし、抵抗素子、容量素子に製造ばらつきがある場合は、特性周波数は制御信号が設定しようとしている周波数にはならない。
【0024】
ブロック240で、制御信号生成部105は基準信号生成部104が生成する基準信号の出力振幅を設定可能な振幅の最小値に設定する振幅制御信号を基準信号生成部104に供給する。
【0025】
フィルタ102の出力信号の振幅を検出するために、ブロック250で、フィルタ102から信号が出力されるまで所定の待ち時間を待機した後、ブロック260で、フィルタ102の出力信号を振幅検出器107で検出し、検出された出力振幅を記憶部106に書き込む。フィルタ102の出力振幅は、それが検出された時の基準信号の出力振幅と、フィルタ特性制御信号が設定しようとしている特性周波数とに関連付けて記憶される。図3は記憶部106がデータを格納する様子を模式的に示す図である。
【0026】
ブロック270で、基準信号生成部104から出力された基準信号の出力振幅が最大であるか否かを判断する。もし、振幅が最大でなければ、制御信号生成部105はブロック280において、基準信号生成部104に供給される振幅制御信号が設定しようとしている振幅を1段階大きくし、基準信号生成部104の出力基準信号の出力振幅を1段階大きく設定する。これにより、基準信号生成部104で生成される基準信号の振幅が増加し、フローチャートはブロック250に戻る。
【0027】
ブロック270で、振幅制御信号が設定しようとしている振幅が最大であると判定されれば、ブロック290で、フィルタ特性制御信号が設定しようとしているフィルタの特性周波数が最大であるか否かを判断する。もし、フィルタ特性制御信号が設定しようとしているフィルタの特性周波数が最大でなければ、制御信号生成部105はブロック300において、フィルタ102に供給されるフィルタ特性制御信号が設定しようとするフィルタの特性周波数を1段階高くする。これにより、フィルタ特性周波数が増加し、フローチャートはブロック240に戻る。以上の処理により、フィルタ特性制御信号が設定しようとする特性周波数が最小値から最大値に1段階ずつ変化する際、各周波数において基準信号の出力振幅が最小値から最大値に1段階ずつ変化し、図3に示すように、基準信号の出力振幅とフィルタ特性周波数の各組み合わせにおいて、フィルタ102の出力信号の振幅の検出値が記憶部106に書き込まれる。
【0028】
ブロック290で、フィルタ特性制御信号が設定しようとするフィルタ102の特性周波数が最大であると判断された場合、ブロック310で、制御信号生成部105は記憶部106に記憶されている振幅検出値に基づいて動作モードで使用する所望のフィルタ特性を実現するフィルタ特性制御信号を決定する。その決定の方法は、例えば、同一特性周波数における基準信号の複数の振幅の全振幅設定での検出結果の総和(図3の横方向の枠内)を計算し、その値に基づいて決定しても良い。ただし、決定方法はフィルタの種類、基準信号の種類により異なる。一般的に、帯域通過フィルタの場合は、通過帯域の中心周波数の基準信号を使用し、各特性周波数での上記総和が極大となるフィルタ特性制御信号を選択する。例えば、38kHzの基準信号が帯域通過フィルタ102に入力されると仮定すると、フィルタ特性制御信号が38kHzの特性周波数を設定しようとする場合、基準信号の全振幅におけるフィルタ出力の振幅の総和が極大になるはずである。しかし、フィルタ特性の製造ばらつきにより他の特性周波数、例えば37.99kHzの特性周波数を設定しようとする場合に上記総和の極大が検出されるとする。この場合、動作モードで使用するフィルタ特性制御信号としては37.99kHzの特性周波数を設定しようとする制御信号を選択すればよい。
【0029】
最後に、ブロック320で、自動調整制御部112がスイッチ108とスイッチ110をオンにすることで、入力信号をフィルタ102に入力し、スイッチ109とスイッチ111をオフにすることで、フィルタ102への基準信号の入力を遮断する。これによって、フィルタ自動調整装置が、調整モードから動作モードに切り替わる。
【0030】
これにより、フィルタ102の抵抗素子や容量素子の製造ばらつきにより、フィルタの特性周波数がばらついた場合でも、基準信号生成部104によって生成される異なる振幅の複数の基準信号と、制御信号生成部105によって生成される複数の特性周波数のフィルタ特性制御信号とを使用し、基準信号の振幅と特性周波数との種々の組み合わせについてフィルタ102の出力振幅を検出し、これらの振幅の検出結果に基づいてフィルタ102の所望の特性周波数を実現するフィル特性制御信号を決定することが可能である。
【0031】
基準信号の振幅とフィルタの特性周波数を可変する順番は、全ての組み合わせにおいてフィルタ出力の振幅が検出できれば良く、図2の順番に限定されない。例えば、図2のブロック230においてフィルタ特性周波数を最小の値に設定するのではなく最大の値に設定し、ブロック240において基準信号の出力振幅を最小の値に設定するのではなく最大の値に設定してもよい。但し、この場合においては、ブロック280とブロック300で、各々基準信号の出力振幅を1段階小さくし、フィルタ特性周波数を1段階小さく設定する。
【0032】
図2のように初めにフィルタ102の特性周波数をある周波数に設定し、基準信号の出力振幅を変化させるのではなく、先ず基準信号の出力振幅をある振幅に設定し、フィルタ102の特性周波数を変化させてもよい。
【0033】
上述の説明は1種類の基準信号のみを示したが、複数の基準信号を用いても良い。例えば、所望波周波数(帯域通過フィルタの場合、通過帯域の中心周波数)の基準信号とそれ以外の妨害波周波数の基準信号とを使用し、所望周波数の基準信号を使用した場合の振幅検出値と妨害波周波数の振幅検出値との比が所定値以上の特性周波数の中で、所望周波数の基準信号についての振幅検出値が最大である特性周波数を設定しようとするフィルタ特性制御信号を選択しても良い。
【0034】
ブロック280とブロック300において、振幅と特性周波数を1段階ずつ変化しているが、基準信号の出力振幅とフィルタ102の特性周波数のどちらか一方、または両方を2段階以上の規定値ずつ変化させる粗調ステップを用いてもよい。
【0035】
ここで、基準信号の出力振幅とフィルタ102の特性周波数のどちらか一方、または両方を1段階ずつ変化させる調整ステップを微調ステップと呼ぶ。例えば、粗調ステップにおいて基準信号の出力振幅を2段階以上ずつ変化させた場合、フィルタ102の出力振幅検出結果(上記した総和)に有意な差が生じるフィルタ特性周波数の範囲を推定することができる。次に、粗調ステップで推定したフィルタ特性周波数の範囲についてのみ、基準信号の出力振幅を1段階ずつ変化させる微調ステップを実施することで、少ない工程でフィルタ特性制御信号の調整が可能である。
【0036】
または、粗調ステップにおいてフィルタ特性制御信号の設定しようとする特性周波数を2段階以上ずつ変化させた場合、フィルタ102の出力振幅検出結果(上記した総和)に有意な差が生じるフィルタ特性周波数の範囲を推定することができる。次に、粗調ステップで推定したフィルタ特性周波数の範囲についてのみ、フィルタ特性制御信号の設定しようとする特性周波数を1段階ずつ変化させる微調ステップを実施することで、少ない工程でフィルタ特性制御信号の調整が可能である。
【0037】
このように、2つの制御信号のいずれか一方、または両方を2段階以上の幅で変化させる粗調ステップを用いることにより、フィルタ102の調整時間を短縮することが可能である。
【0038】
以下に、本実施形態のフィルタ自動調整装置の各部について詳細に説明する。
【0039】
図4は、図1の基準信号生成部104の構成の1つの具体例を示している。基準信号生成部104は、一定の振幅の基準信号(所定周波数)を増幅または減衰するための可変利得増幅(減衰)器401を備えている。可変利得増幅(減衰)器401は、可変増幅器と可変減衰器のいずれか一方、または双方の機能を持っている。基準信号としては正弦波信号が使用できる。可変利得増幅器401は制御信号生成部105によって出力された振幅制御信号により利得が制御され、入力信号を振幅制御信号に応じた振幅の基準信号として出力する。これにより、基準信号生成部104は、振幅制御信号に従い、複数の振幅を持った基準信号を生成することができる。
【0040】
図5は、基準信号生成部104の構成を示す他の具体例である。この例では、基準信号としては正弦波信号ではなく、電源レベルとグラウンドレベルの2値から成る基準周波数の矩形波を用いる。このような矩形波は発振器やデジタル部において使用されるクロック信号等から容易に得ることができる。この矩形波の振幅は、可変利得減衰器501を用いて調整される。
【0041】
これによって、発振器やデジタル部で使用しているクロック信号から容易に基準信号を生成することが可能である。
【0042】
前述の矩形波には高調波成分が含まれる。場合によっては、この高調波の影響によりフィルタの調整が適切に行えない可能性がある。そのような場合には、高調波成分を除去するためのフィルタを基準信号生成部104にさらに備えてもよい。
【0043】
上記の例以外にも、異なる振幅の複数の基準信号を予め生成しておき、スイッチ等によりそれらから一つを選択する構成としても良い。
【0044】
また、図6に示すように異なる周波数の複数の基準信号を予め生成しておき、スイッチ602、603によって、いずれかの基準信号を選択し、可変利得増幅(減衰)器601に入力できる基準信号生成部104の構成でもよい。図6では、2つの異なる周波数の基準信号が示されている。
【0045】
図7は、図1に示した特性周波数の調整が可能なフィルタ102の構成の具体例を示している。
【0046】
フィルタ102は可変容量701、抵抗702、抵抗703、オペアンプ704によって構成される。入力信号が入力抵抗702を介してオペアンプ704の反転入力端子に入力される。非反転入力端子は接地される。オペアンプ704の出力端子と反転入力端子との間には可変容量701とフィードバック抵抗703とが並列に接続されている。
【0047】
フィルタ102の特性周波数は、制御信号生成部105からのフィルタ特性制御信号に従い、可変容量701の値を調整することで変更可能である。
【0048】
可変容量701は、例えば、スイッチにより接続を制御可能な複数の容量を並列に接続し、そのスイッチのオンとオフを制御することでその容量値を可変とする構成でもよい。また、抵抗702と抵抗703の抵抗値を可変として、抵抗値を制御して特性周波数を変更してもよい。
【0049】
また、フィルタ102は、Gm-Cフィルタとして構成し、Gm-Cフィルタの容量値またはトランスコンダクタンスアンプのGm値を制御する構成でもよい。
【0050】
図8は、振幅検出器107の構成を示す具体例である。
【0051】
振幅検出器107はコンパレータ801を使用している。フィルタ102の出力信号の振幅が、コンパレータ801の閾値と比較され、検出された振幅が閾値より大きいか小さいかを判定する。このコンパレータ801は、1ビットのAD変換器と等価であるが、振幅検出器としては、任意のビット数のAD変換器を用いてもよい。
【0052】
また、整流器を使用し入力信号を直流成分に変換し、コンパレータ801で既定の閾値と直流成分の大小を比較する構成としてもよい。
【0053】
以上説明したように第1の実施形態によれば、異なる振幅の複数の基準信号を複数のフィルタ特性に設定したフィルタ102に入力した時のフィルタの出力信号の振幅に基づいて、フィルタ特性を所望の特性に設定するためのフィルタ特性制御信号を決定することにより、集積回路内の抵抗素子や容量素子の製造ばらつきによりフィルタ特性に製造ばらつきが生じても、位相比較器を使用せずにフィルタ特性を高精度、かつ自動的に調整することが可能になる。
【0054】
以下、他の実施の形態を説明する。他の実施の形態の説明において第1の実施の形態と同一部分は同一参照数字を付してその詳細な説明は省略する。
【0055】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に関するフィルタ自動調整装置のブロック図である。
【0056】
本実施形態は、振幅検出器107の代わりにAD変換器910を用いた点と、その接続が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、フィルタ102の出力信号がAD変換器910に入力され、AD変換器910の出力がスイッチ110を介して出力端子103に供給されるとともに、スイッチ111を介して記憶部106に供給される。つまり、AD変換器910は、動作モードと調整モードのどちらにおいても利用できる。
【0057】
第1の実施形態では、フィルタ102の出力信号の振幅を検出するために専用の振幅検出器107を使用したが、本実施形態のAD変換器910はフィルタ902の出力信号の振幅を検出する以外に、デジタル信号処理に利用できる。つまり、AD変換器910は、フィルタ自動調整装置が動作モードの際は、信号処理回路として動作し、フィルタ自動調整装置が調整モードの際は、振幅検出器として動作する。
【0058】
これによって、フィルタ自動調整装置に専用の振幅検出器を追加することなくフィルタ自動調整が可能である。
【0059】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に関するフィルタ自動調整装置のブロック図である。
【0060】
第1、第2実施形態ではフィルタは調整モードと動作モードとに切り替えられ、基準信号と入力信号のいずれか一方がフィルタに入力される。調整モードの時は入力信号が遮断され基準信号がフィルタに入力されているので、フィルタ本来の動作を行うことができない。このため、フィルタを用いる無線機器等は調整モードの時は信号処理を行うことができない。第3実施形態は同一の構成のフィルタを2つ設け、一方が調整モードの時に他方を動作モードで使用できる構成を提供する。なお、一方が動作モードの時に他方を必ずしも調整モードで使用する必要は無く、調整が不要な場合は、休止してもよい。
【0061】
図10は第1実施形態においてフィルタを2つ設けた場合を示すが、第2実施形態においてフィルタを2つ設ける形態も同様に可能である。入力端子101がスイッチ108A、108Bを介してフィルタ102A、102Bに接続される。基準信号生成部104がスイッチ109A、109Bを介してフィルタ102A、102Bに接続される。フィルタ102Aの出力端子がスイッチ110Aを介して出力端子103に接続されるとともに、スイッチ111Aを介して振幅検出器107に接続される。フィルタ102Bの出力端子がスイッチ110Bを介して出力端子103に接続されるとともに、スイッチ111Bを介して振幅検出器107に接続される。
【0062】
次に、本実施形態の動作について説明する。自動調整制御部112はいずれか一方のフィルタ102A、102Bを調整モードとし、他方を動作モードとする。ここでは、先ずフィルタ102Aを調整モードとし、フィルタ102Bを動作モードとする。自動調整制御部112は、スイッチ108A、110A、109B、111Bをオフし、スイッチ108B、110B、109A、111Aをオンする。これにより、フィルタ102Bは、入力端子101からの入力信号が入力され動作モードとして動作し、フィルタ102Aは、基準信号生成部104からの基準信号が入力され調整モードとして動作する。フィルタ102Aの出力がスイッチ111Aを介して振幅検出器107に供給され、第1実施形態と同様に動作モードで使用されるフィルタ特性制御信号が求められる。
【0063】
この後、所定のタイミングで自動調整制御部112はスイッチのオン、オフを切り替え、フィルタ102Aを調整モードから動作モードに切り替える。この後、フィルタ102Bは調整モードにしてもよいが、休止モードとしてもよい。休止モードにするには、フィルタ102Bの入力端子、出力端子に接続されるスイッチ108B、109B、110B、111Bを全てオフとし、フィルタ102Bが電力を消費しないようにする。
【0064】
フィルタ102Bが休止モードとなった場合、フィルタ102Bは所定のタイミングで調整モードに移行する。自動調整が終了した後、所定のタイミングでフィルタ102Bは動作モードに移行し、フィルタ102Aが調整モードまたは休止モードに移行する。
【0065】
これによって、一方のフィルタが調整モードであっても、他方のフィルタが動作モードとして動作しているため、本実施形態は、入力端子101からの入力信号の処理を常に行うことが可能である。
【0066】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に関するブロック図である。第4実施形態は第1〜第3実施形態によるフィルタ自動調整装置を含む受信器の応用例を示す。応用例としては、受信器がリモコンで制御される対象機器(例えば、TV)に組み込まれ、制御対象機器の待ち受け時の消費電力を制御(低減)する電源制御システムを説明する。 電子機器1000に電源1104が接続される。電源1104は、例えば100VのAC電源であり、スイッチ1005を介して制御対象部1006に接続されている。制御対象部1006は、スイッチ1005がオンの場合に、電源1004からの電力が供給される。スイッチ1005は制御対象部1006からの制御信号、あるいは受信器1001からの制御信号によりオン、オフされる。制御対象部1006は、電源1004から供給される電力に基づき充電可能電源部1003を制御する電源制御部1008を含む。充電可能な電源部1003は、電源制御部1008からの電力によって充電される。ここで、充電可能な電源部1003が出力する電力は、電源1004が出力する電力に比べ十分に小さな電力である。
【0067】
受信器1101は、図示しないリモコン送信機からの赤外線リモコン信号を受信するフォトダイオード(PD)1102、その出力を増幅する増幅器1104、増幅器1104の出力が供給されるバンドパスフィルタ1106、バンドパスフィルタ1106の出力がAD変換器1108を介して供給されるコード検出器1110等からなる。バンドパスフィルタ1106はPPM変調されているリモコン信号の副搬送波を抽出する。コード検出器1110はリモコン信号に含まれる各種制御コードを検出する。
【0068】
バンドパスフィルタ1106は第1の実施形態乃至第3の実施形態で述べたようなフィルタ自動調整装置1002に含まれる。受信器1001は、充電可能な電源部1003から供給される電力によって動作する。従って、受信器1001は制御対象部1006に比べて十分に小さな電力で動作可能である。
【0069】
次に、本実施形態の動作について具体的に説明する。制御対象部1006の動作時には、スイッチ1005はオンになっており、制御対象部1006は電源1004から電力を供給される。制御対象部1006に含まれる電源制御部1008を介して所定の電圧が、充電可能な電源部1103に供給される。このため、充電可能な電源部1103は制御対象部1006の動作中に必要に応じて充電される。 所定の条件で制御対象部1006は待ち受け状態に移行する。所定の条件とは、例えば、制御対象部1006が待ち受け状態に移行する命令を受けた場合や、受信器1001が制御対象部1006を待ち受け状態に移行するリモコン信号を受信した場合等である。これらの場合、制御対象部1006あるいは受信器1001はスイッチ1005をオフし、制御対象部1006を電源1004から遮断する。これにより、制御対象部1006は電力を消費しない状態となり、待ち受け状態では受信器1001のみが動作する。受信器1001は充電可能な電源部1103からの電力で動作するため、制御対象部1006よりも十分小さな消費電力で動作し、これにより待ち受け状態の消費電力の低減が可能となる。
【0070】
待ち受け状態において、受信器1001が動作状態に移行するリモコン信号を受信すると、受信器1001はスイッチ1005をオンして、制御対象部1006に電源1004を接続する。
【0071】
本実施形態では、フィルタの自動調整は機器の動作状態において行われる。待ち受けモードにおいて自動調整を行った場合、機器を動作状態に移行するための信号を受信できない可能性がある。動作状態において自動調整を行えば、待ち受け状態において、機器を動作状態に移行するための信号を確実に受信できる。
【0072】
具体的には、動作状態に移行した直後から所定の時間内に自動調整を行う。動作状態から待ち受け状態に移行する信号を受信器1001が受信する必要がある場合、自動調整中はこの信号が受信できないが、動作状態に移行した直後に調整を行うことにより、動作状態に移行した直後のみ動作状態から待ち受け状態に移行する信号を受信できないという制約のみとなる。動作状態と待ち受け状態を頻繁に切り替える必要がない場合は、上記のような制約は問題とならない。同様に、動作状態から待ち受け状態に移行した直後にフィルタの自動調整を行ってもよい。
【0073】
これによって、制御対象部1006が待ち受け状態の際、制御対象部1006の消費電力を低減することが可能である。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
102…フィルタ、104…基準信号生成部、105…制御信号生成部、106…記憶部、107…振幅検出器、108,109,110,111…スイッチ、112…自動調整制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フィルタ特性を自動調整できるフィルタ調整装置、電源制御システム、およびフィルタ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ回路は多くの分野、例えば無線通信分野で使用される。無線通信分野で使用される多くのフィルタ回路は、受信した信号から所望の周波数成分を抽出する。また、無線通信分野で使用されるフィルタ回路を含む受信器は、一般的にコストや消費電力を抑えるために集積回路化されることが望ましい。このため、フィルタ回路も集積回路上に実装する必要がある。さらに、多くのフィルタ回路、例えばRCパッシブフィルタやRCアクティブフィルタにおいて、フィルタ特性はフィルタ回路で使用される抵抗素子や容量素子の素子値によって決定される。このようなフィルタ回路の集積回路化に関して、集積回路外の部品数を削減するために、容量素子や抵抗素子も集積回路内で実現可能な抵抗素子や容量素子を用いる。しかし、集積回路内で実現可能な容量素子や抵抗素子は、製造時のばらつきが大きい。この製造ばらつきは数10%である。製造ばらつきとは、抵抗素子や容量素子の素子値を所望の値に設計しても実際には設計通りにならず、所望の値と異なる値となってしまうことである。
【0003】
この容量素子や抵抗素子の製造ばらつきによってフィルタ特性にも製造ばらつきが生じ、所望のフィルタ特性が得られないことがある。無線通信分野においては、所望のフィルタ特性が得られないと、所望の周波数成分の信号が抽出できない、あるいは不要な妨害波周波数成分を十分に除去できないことにより、無線機の特性が大きく変動してしまう。これを避けるため、製造ばらつきによりフィルタ特性がばらついた場合、フィルタ特性を所望のフィルタ特性に調整することが可能な手法が広く用いられている。フィルタ特性の調整は集積回路(フィルタ回路を含む受信器)の製造時に行ってもよいし、製造後の実際の使用時、例えば、電源投入時、および/または使用中に一定周期で行ってもよいが、いずれにしても自動的に行われることが望ましい。
【0004】
従来のフィルタ特性の自動調整手法では、一定の振幅の基準入力信号をフィルタに入力し、フィルタの特性を変化させながら、その出力の振幅と位相を振幅比較器と位相比較器により検出し、振幅・位相の検出結果に基づいてフィルタ特性が調整される。具体的には、振幅の検出結果に基づいてフィルタ特性を粗調整し、その後位相の検出結果に基づいて微調整することにより、高精度な調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4282490号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のフィルタ自動調整装置は、振幅検出器に加えて位相比較器が必要であり、構成が複雑である。位相比較による微調整を行わないと、製造ばらつきがあった場合、フィルタ特性に十分な精度を確保することが困難であった。例えば、一定の振幅の基準信号をフィルタ回路に入力し、フィルタ特性を種々調整した時のフィルタ出力の振幅を検出し、最も高い振幅に関するフィルタ特性を選択するとする。最も高い振幅の検出は1つの閾値との比較で行われる。フィルタ特性が所望の特性であれば、適切に閾値を設定すると、出力振幅が閾値を越えるのは、所望のフィルタ特性の場合のみである。しかし、利得が増加する方向にフィルタ特性がばらつくと、複数のフィルタ特性において出力振幅が閾値を越えてしまう。逆に、利得が減少する方向にフィルタ特性がばらつくと、いずれのフィルタ特性においても出力振幅が閾値を越えることがない。これを回避するためには、振幅検出の閾値を複数用意し、広範囲の出力振幅を検出可能にする方法がある。しかし、振幅検出器に必要な面積や消費電力が増えてしまう。
【0007】
また、位相検出により微調整する場合、所望の特性における出力信号と入力信号との位相差が0度あるいは180度となるように設計しなければ、高精度な位相検出を簡易な構成で実現することができない。
【0008】
本発明の目的は、位相比較を行わず、振幅検出結果に基づいてフィルタ特性のばらつきを高精度、かつ自動的に補償可能なフィルタ調整装置、電源制御システム、およびフィルタ調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、フィルタ調整装置はフィルタ手段と、基準信号生成手段と、制御手段と、振幅検出手段と、調整手段とを具備する。フィルタ手段は特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御される。基準信号生成手段は振幅制御信号に応じた振幅の基準信号を生成し、基準信号をフィルタ手段に供給する。制御手段は特性制御信号によりフィルタ手段に異なるフィルタ特性を設定し、振幅制御信号により基準信号の振幅を異なる振幅に設定する。振幅検出手段は特性制御信号によりフィルタ手段に異なるフィルタ特性が設定される状態において、それぞれのフィルタ特性において異なる振幅の基準信号に対するフィルタ手段の出力信号の複数の振幅を検出する。調整手段は振幅検出手段によって検出された複数の振幅に従い、フィルタ手段のフィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態のフィルタ自動調整装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の調整モードの処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態の記憶部にデータが格納される様子を示す図である。
【図4】第1の実施形態の基準信号生成部の構成の一例(正弦波を使用する例)を示す図である。
【図5】第1の実施形態の基準信号生成部の構成の他の例(矩形波を使用する例)を示す図である。
【図6】第1の実施形態の基準信号生成部の構成のさらに他の例(異なる周波数の複数の基準信号を使用する例)を示す図である。
【図7】第1の実施形態のフィルタの構成の一例を示す図である。
【図8】第1の実施形態の振幅検出器の構成の一例を示す図である。
【図9】第2の実施形態のフィルタ自動調整装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】第3の実施形態のフィルタ自動調整装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】第4の実施形態の電源制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のフィルタ自動調整装置のブロック図である。フィルタ自動調整装置は、入力端子101、フィルタ102、出力端子103、基準信号生成部104、制御信号生成部105、記憶部106、振幅検出器107、スイッチ108、スイッチ109、スイッチ110、スイッチ111、自動調整制御部112を有する。
【0013】
入力端子101は、外部からの入力信号をフィルタ102に入力するための端子である。入力端子101はスイッチ108を介してフィルタ102の入力端子に接続される。基準信号生成部104は、異なる振幅の複数の基準信号を生成する。基準信号生成部104が生成する基準信号の詳細については後述する。基準信号生成部104から出力された基準信号はスイッチ109を介してフィルタ102に入力される。
【0014】
フィルタ102の出力信号は、スイッチ111を介して振幅検出器107に入力されるとともに、スイッチ110を介して出力端子103に供給される。振幅検出器107は、フィルタ102の出力信号の振幅を検出する。振幅検出器107の詳細については後述する。出力端子103は、フィルタ102の出力信号を外部に出力するための端子である。
【0015】
また、フィルタ102は、制御信号生成部105から出力されるフィルタ特性制御信号が入力される制御端子を備え、このフィルタ特性制御信号に従い、フィルタ特性(特性周波数)を調整可能なフィルタである。フィルタ102としては、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタなどが用いられる。特性周波数とは、フィルタ特性を示す周波数であり、例えば、帯域通過フィルタでは通過帯域の中心周波数であり、低域通過フィルタや高域通過フィルタでは遮断周波数が特性周波数に相当する。フィルタ102の構成の詳細については後述する。
【0016】
振幅検出器107の検出結果は記憶部106に書き込まれ、記憶部106から読み出されたデータが制御信号生成部105に供給される。制御信号生成部105は、自動調整制御部112、例えばCPU等からの自動調整信号によって制御され、フィルタ102の特性周波数を制御するフィルタ特性制御信号と、基準信号生成部104で生成される基準信号の振幅を制御する振幅制御信号とを出力する。従って、フィルタ102の特性周波数と、基準信号生成部104で生成される基準信号の振幅は制御信号生成部105によって制御される。また、フィルタ特性制御信号と振幅制御信号は離散的に変化する信号、例えばデジタル信号として与えられる。さらに、制御信号生成部105は、後述する記憶部106から読み出したデータに従い、フィルタの特性周波数が所望の特性周波数となるようなフィルタ特性制御信号を決定する。
【0017】
自動調整制御部112は、スイッチ108、109、110、111、制御信号生成部105を制御する自動調整制御信号を出力する。スイッチ108、109、110、111は、上記自動調整制御信号によってスイッチのオンとオフが切り替わる。例えば、入力端子101からの入力信号をフィルタ102に入力する際は、スイッチ108、110をオンにし、スイッチ109、111をオフにする。逆に、スイッチ108、110をオフにし、スイッチ109、111をオンにした場合、基準信号生成部104からの基準信号がフィルタ102に入力される。基準信号生成部104から出力される基準信号をフィルタ102に入力することを停止する際、スイッチ109を使用せずに、基準信号生成部104から基準信号を出力すること自体を停止するような手段を備えていてもよい。
【0018】
スイッチ108、110とスイッチ109、111のオン・オフを切り替えることによって、本実施形態のフィルタ自動調整装置は、動作モードと調整モードの2つのモードに切り替わる。
【0019】
調整モードは、異なる振幅の複数の基準信号を複数のフィルタ特性に設定したフィルタ102に入力した時のフィルタの出力信号の振幅に基づいて、フィルタ特性を所望の特性に設定するためのフィルタ特性制御信号を決定するものである。調整モードでは、自動調整制御部112によりスイッチ108、110をオフし、スイッチ109、111をオンする。基準信号生成部104から出力された基準信号はスイッチ109を介してフィルタ102に入力される。入力された基準信号はフィルタ102により処理され、出力が振幅検出器107に入力される。振幅検出器107はフィルタ102の出力信号の振幅を検出し、記憶部106に保持する。具体的には、フィルタ特性周波数を1段階ずつ変化させながら、各特性周波数において基準信号の出力振幅を1段階ずつ変化させて全振幅について振幅検出を行い、基準信号に対するフィルタ出力の振幅を基準信号の出力振幅、フィルタ特性制御信号が設定しようとする特性周波数に対応付けて記憶部106に書き込む。
【0020】
このように、異なる振幅の複数の基準信号を用いてフィルタ特性を変えながらフィルタ出力の振幅を多数回検出することにより、フィルタ特性にばらつきがある場合でも、いずれかの振幅の基準信号についてのフィルタ出力において差が検出されれば、位相を検出することなく、フィルタ特性を高精度に調整できる。
【0021】
動作モードは、入力端子101からの入力信号がスイッチ108を介してフィルタ102に入力されている状態を呼ぶ。フィルタ102の制御端子には調整モードにおいて決定されたフィルタ特性制御信号が制御信号生成部105から供給される。動作モードにおいては、フィルタ102は入力端子101からの入力信号から所望の周波数を抽出するとともに不要な周波数成分を除去し、出力端子103からフィルタ102の出力信号を出力する。
【0022】
図2は、本実施形態の調整モードに関するフローチャートである。
【0023】
ブロック220で、自動調整制御部112はスイッチ108、110をオフし、スイッチ109、111をオンし、入力端子101からの入力信号を遮断し、基準信号生成部104からの基準信号をフィルタ102に入力する。ブロック230で、制御信号生成部105は特性周波数を設定可能な周波数の最小値に設定するためのフィルタ特性制御信号をフィルタ102に供給する。制御信号生成部105から出力されるフィルタ特性制御信号は特性周波数を制御するためにフィルタ102の抵抗、容量の値を増減する信号であり、抵抗素子、容量素子が設計通りに製造されていれば、制御信号により特性周波数を所望の周波数に正しく設定できる。しかし、抵抗素子、容量素子に製造ばらつきがある場合は、特性周波数は制御信号が設定しようとしている周波数にはならない。
【0024】
ブロック240で、制御信号生成部105は基準信号生成部104が生成する基準信号の出力振幅を設定可能な振幅の最小値に設定する振幅制御信号を基準信号生成部104に供給する。
【0025】
フィルタ102の出力信号の振幅を検出するために、ブロック250で、フィルタ102から信号が出力されるまで所定の待ち時間を待機した後、ブロック260で、フィルタ102の出力信号を振幅検出器107で検出し、検出された出力振幅を記憶部106に書き込む。フィルタ102の出力振幅は、それが検出された時の基準信号の出力振幅と、フィルタ特性制御信号が設定しようとしている特性周波数とに関連付けて記憶される。図3は記憶部106がデータを格納する様子を模式的に示す図である。
【0026】
ブロック270で、基準信号生成部104から出力された基準信号の出力振幅が最大であるか否かを判断する。もし、振幅が最大でなければ、制御信号生成部105はブロック280において、基準信号生成部104に供給される振幅制御信号が設定しようとしている振幅を1段階大きくし、基準信号生成部104の出力基準信号の出力振幅を1段階大きく設定する。これにより、基準信号生成部104で生成される基準信号の振幅が増加し、フローチャートはブロック250に戻る。
【0027】
ブロック270で、振幅制御信号が設定しようとしている振幅が最大であると判定されれば、ブロック290で、フィルタ特性制御信号が設定しようとしているフィルタの特性周波数が最大であるか否かを判断する。もし、フィルタ特性制御信号が設定しようとしているフィルタの特性周波数が最大でなければ、制御信号生成部105はブロック300において、フィルタ102に供給されるフィルタ特性制御信号が設定しようとするフィルタの特性周波数を1段階高くする。これにより、フィルタ特性周波数が増加し、フローチャートはブロック240に戻る。以上の処理により、フィルタ特性制御信号が設定しようとする特性周波数が最小値から最大値に1段階ずつ変化する際、各周波数において基準信号の出力振幅が最小値から最大値に1段階ずつ変化し、図3に示すように、基準信号の出力振幅とフィルタ特性周波数の各組み合わせにおいて、フィルタ102の出力信号の振幅の検出値が記憶部106に書き込まれる。
【0028】
ブロック290で、フィルタ特性制御信号が設定しようとするフィルタ102の特性周波数が最大であると判断された場合、ブロック310で、制御信号生成部105は記憶部106に記憶されている振幅検出値に基づいて動作モードで使用する所望のフィルタ特性を実現するフィルタ特性制御信号を決定する。その決定の方法は、例えば、同一特性周波数における基準信号の複数の振幅の全振幅設定での検出結果の総和(図3の横方向の枠内)を計算し、その値に基づいて決定しても良い。ただし、決定方法はフィルタの種類、基準信号の種類により異なる。一般的に、帯域通過フィルタの場合は、通過帯域の中心周波数の基準信号を使用し、各特性周波数での上記総和が極大となるフィルタ特性制御信号を選択する。例えば、38kHzの基準信号が帯域通過フィルタ102に入力されると仮定すると、フィルタ特性制御信号が38kHzの特性周波数を設定しようとする場合、基準信号の全振幅におけるフィルタ出力の振幅の総和が極大になるはずである。しかし、フィルタ特性の製造ばらつきにより他の特性周波数、例えば37.99kHzの特性周波数を設定しようとする場合に上記総和の極大が検出されるとする。この場合、動作モードで使用するフィルタ特性制御信号としては37.99kHzの特性周波数を設定しようとする制御信号を選択すればよい。
【0029】
最後に、ブロック320で、自動調整制御部112がスイッチ108とスイッチ110をオンにすることで、入力信号をフィルタ102に入力し、スイッチ109とスイッチ111をオフにすることで、フィルタ102への基準信号の入力を遮断する。これによって、フィルタ自動調整装置が、調整モードから動作モードに切り替わる。
【0030】
これにより、フィルタ102の抵抗素子や容量素子の製造ばらつきにより、フィルタの特性周波数がばらついた場合でも、基準信号生成部104によって生成される異なる振幅の複数の基準信号と、制御信号生成部105によって生成される複数の特性周波数のフィルタ特性制御信号とを使用し、基準信号の振幅と特性周波数との種々の組み合わせについてフィルタ102の出力振幅を検出し、これらの振幅の検出結果に基づいてフィルタ102の所望の特性周波数を実現するフィル特性制御信号を決定することが可能である。
【0031】
基準信号の振幅とフィルタの特性周波数を可変する順番は、全ての組み合わせにおいてフィルタ出力の振幅が検出できれば良く、図2の順番に限定されない。例えば、図2のブロック230においてフィルタ特性周波数を最小の値に設定するのではなく最大の値に設定し、ブロック240において基準信号の出力振幅を最小の値に設定するのではなく最大の値に設定してもよい。但し、この場合においては、ブロック280とブロック300で、各々基準信号の出力振幅を1段階小さくし、フィルタ特性周波数を1段階小さく設定する。
【0032】
図2のように初めにフィルタ102の特性周波数をある周波数に設定し、基準信号の出力振幅を変化させるのではなく、先ず基準信号の出力振幅をある振幅に設定し、フィルタ102の特性周波数を変化させてもよい。
【0033】
上述の説明は1種類の基準信号のみを示したが、複数の基準信号を用いても良い。例えば、所望波周波数(帯域通過フィルタの場合、通過帯域の中心周波数)の基準信号とそれ以外の妨害波周波数の基準信号とを使用し、所望周波数の基準信号を使用した場合の振幅検出値と妨害波周波数の振幅検出値との比が所定値以上の特性周波数の中で、所望周波数の基準信号についての振幅検出値が最大である特性周波数を設定しようとするフィルタ特性制御信号を選択しても良い。
【0034】
ブロック280とブロック300において、振幅と特性周波数を1段階ずつ変化しているが、基準信号の出力振幅とフィルタ102の特性周波数のどちらか一方、または両方を2段階以上の規定値ずつ変化させる粗調ステップを用いてもよい。
【0035】
ここで、基準信号の出力振幅とフィルタ102の特性周波数のどちらか一方、または両方を1段階ずつ変化させる調整ステップを微調ステップと呼ぶ。例えば、粗調ステップにおいて基準信号の出力振幅を2段階以上ずつ変化させた場合、フィルタ102の出力振幅検出結果(上記した総和)に有意な差が生じるフィルタ特性周波数の範囲を推定することができる。次に、粗調ステップで推定したフィルタ特性周波数の範囲についてのみ、基準信号の出力振幅を1段階ずつ変化させる微調ステップを実施することで、少ない工程でフィルタ特性制御信号の調整が可能である。
【0036】
または、粗調ステップにおいてフィルタ特性制御信号の設定しようとする特性周波数を2段階以上ずつ変化させた場合、フィルタ102の出力振幅検出結果(上記した総和)に有意な差が生じるフィルタ特性周波数の範囲を推定することができる。次に、粗調ステップで推定したフィルタ特性周波数の範囲についてのみ、フィルタ特性制御信号の設定しようとする特性周波数を1段階ずつ変化させる微調ステップを実施することで、少ない工程でフィルタ特性制御信号の調整が可能である。
【0037】
このように、2つの制御信号のいずれか一方、または両方を2段階以上の幅で変化させる粗調ステップを用いることにより、フィルタ102の調整時間を短縮することが可能である。
【0038】
以下に、本実施形態のフィルタ自動調整装置の各部について詳細に説明する。
【0039】
図4は、図1の基準信号生成部104の構成の1つの具体例を示している。基準信号生成部104は、一定の振幅の基準信号(所定周波数)を増幅または減衰するための可変利得増幅(減衰)器401を備えている。可変利得増幅(減衰)器401は、可変増幅器と可変減衰器のいずれか一方、または双方の機能を持っている。基準信号としては正弦波信号が使用できる。可変利得増幅器401は制御信号生成部105によって出力された振幅制御信号により利得が制御され、入力信号を振幅制御信号に応じた振幅の基準信号として出力する。これにより、基準信号生成部104は、振幅制御信号に従い、複数の振幅を持った基準信号を生成することができる。
【0040】
図5は、基準信号生成部104の構成を示す他の具体例である。この例では、基準信号としては正弦波信号ではなく、電源レベルとグラウンドレベルの2値から成る基準周波数の矩形波を用いる。このような矩形波は発振器やデジタル部において使用されるクロック信号等から容易に得ることができる。この矩形波の振幅は、可変利得減衰器501を用いて調整される。
【0041】
これによって、発振器やデジタル部で使用しているクロック信号から容易に基準信号を生成することが可能である。
【0042】
前述の矩形波には高調波成分が含まれる。場合によっては、この高調波の影響によりフィルタの調整が適切に行えない可能性がある。そのような場合には、高調波成分を除去するためのフィルタを基準信号生成部104にさらに備えてもよい。
【0043】
上記の例以外にも、異なる振幅の複数の基準信号を予め生成しておき、スイッチ等によりそれらから一つを選択する構成としても良い。
【0044】
また、図6に示すように異なる周波数の複数の基準信号を予め生成しておき、スイッチ602、603によって、いずれかの基準信号を選択し、可変利得増幅(減衰)器601に入力できる基準信号生成部104の構成でもよい。図6では、2つの異なる周波数の基準信号が示されている。
【0045】
図7は、図1に示した特性周波数の調整が可能なフィルタ102の構成の具体例を示している。
【0046】
フィルタ102は可変容量701、抵抗702、抵抗703、オペアンプ704によって構成される。入力信号が入力抵抗702を介してオペアンプ704の反転入力端子に入力される。非反転入力端子は接地される。オペアンプ704の出力端子と反転入力端子との間には可変容量701とフィードバック抵抗703とが並列に接続されている。
【0047】
フィルタ102の特性周波数は、制御信号生成部105からのフィルタ特性制御信号に従い、可変容量701の値を調整することで変更可能である。
【0048】
可変容量701は、例えば、スイッチにより接続を制御可能な複数の容量を並列に接続し、そのスイッチのオンとオフを制御することでその容量値を可変とする構成でもよい。また、抵抗702と抵抗703の抵抗値を可変として、抵抗値を制御して特性周波数を変更してもよい。
【0049】
また、フィルタ102は、Gm-Cフィルタとして構成し、Gm-Cフィルタの容量値またはトランスコンダクタンスアンプのGm値を制御する構成でもよい。
【0050】
図8は、振幅検出器107の構成を示す具体例である。
【0051】
振幅検出器107はコンパレータ801を使用している。フィルタ102の出力信号の振幅が、コンパレータ801の閾値と比較され、検出された振幅が閾値より大きいか小さいかを判定する。このコンパレータ801は、1ビットのAD変換器と等価であるが、振幅検出器としては、任意のビット数のAD変換器を用いてもよい。
【0052】
また、整流器を使用し入力信号を直流成分に変換し、コンパレータ801で既定の閾値と直流成分の大小を比較する構成としてもよい。
【0053】
以上説明したように第1の実施形態によれば、異なる振幅の複数の基準信号を複数のフィルタ特性に設定したフィルタ102に入力した時のフィルタの出力信号の振幅に基づいて、フィルタ特性を所望の特性に設定するためのフィルタ特性制御信号を決定することにより、集積回路内の抵抗素子や容量素子の製造ばらつきによりフィルタ特性に製造ばらつきが生じても、位相比較器を使用せずにフィルタ特性を高精度、かつ自動的に調整することが可能になる。
【0054】
以下、他の実施の形態を説明する。他の実施の形態の説明において第1の実施の形態と同一部分は同一参照数字を付してその詳細な説明は省略する。
【0055】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に関するフィルタ自動調整装置のブロック図である。
【0056】
本実施形態は、振幅検出器107の代わりにAD変換器910を用いた点と、その接続が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、フィルタ102の出力信号がAD変換器910に入力され、AD変換器910の出力がスイッチ110を介して出力端子103に供給されるとともに、スイッチ111を介して記憶部106に供給される。つまり、AD変換器910は、動作モードと調整モードのどちらにおいても利用できる。
【0057】
第1の実施形態では、フィルタ102の出力信号の振幅を検出するために専用の振幅検出器107を使用したが、本実施形態のAD変換器910はフィルタ902の出力信号の振幅を検出する以外に、デジタル信号処理に利用できる。つまり、AD変換器910は、フィルタ自動調整装置が動作モードの際は、信号処理回路として動作し、フィルタ自動調整装置が調整モードの際は、振幅検出器として動作する。
【0058】
これによって、フィルタ自動調整装置に専用の振幅検出器を追加することなくフィルタ自動調整が可能である。
【0059】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に関するフィルタ自動調整装置のブロック図である。
【0060】
第1、第2実施形態ではフィルタは調整モードと動作モードとに切り替えられ、基準信号と入力信号のいずれか一方がフィルタに入力される。調整モードの時は入力信号が遮断され基準信号がフィルタに入力されているので、フィルタ本来の動作を行うことができない。このため、フィルタを用いる無線機器等は調整モードの時は信号処理を行うことができない。第3実施形態は同一の構成のフィルタを2つ設け、一方が調整モードの時に他方を動作モードで使用できる構成を提供する。なお、一方が動作モードの時に他方を必ずしも調整モードで使用する必要は無く、調整が不要な場合は、休止してもよい。
【0061】
図10は第1実施形態においてフィルタを2つ設けた場合を示すが、第2実施形態においてフィルタを2つ設ける形態も同様に可能である。入力端子101がスイッチ108A、108Bを介してフィルタ102A、102Bに接続される。基準信号生成部104がスイッチ109A、109Bを介してフィルタ102A、102Bに接続される。フィルタ102Aの出力端子がスイッチ110Aを介して出力端子103に接続されるとともに、スイッチ111Aを介して振幅検出器107に接続される。フィルタ102Bの出力端子がスイッチ110Bを介して出力端子103に接続されるとともに、スイッチ111Bを介して振幅検出器107に接続される。
【0062】
次に、本実施形態の動作について説明する。自動調整制御部112はいずれか一方のフィルタ102A、102Bを調整モードとし、他方を動作モードとする。ここでは、先ずフィルタ102Aを調整モードとし、フィルタ102Bを動作モードとする。自動調整制御部112は、スイッチ108A、110A、109B、111Bをオフし、スイッチ108B、110B、109A、111Aをオンする。これにより、フィルタ102Bは、入力端子101からの入力信号が入力され動作モードとして動作し、フィルタ102Aは、基準信号生成部104からの基準信号が入力され調整モードとして動作する。フィルタ102Aの出力がスイッチ111Aを介して振幅検出器107に供給され、第1実施形態と同様に動作モードで使用されるフィルタ特性制御信号が求められる。
【0063】
この後、所定のタイミングで自動調整制御部112はスイッチのオン、オフを切り替え、フィルタ102Aを調整モードから動作モードに切り替える。この後、フィルタ102Bは調整モードにしてもよいが、休止モードとしてもよい。休止モードにするには、フィルタ102Bの入力端子、出力端子に接続されるスイッチ108B、109B、110B、111Bを全てオフとし、フィルタ102Bが電力を消費しないようにする。
【0064】
フィルタ102Bが休止モードとなった場合、フィルタ102Bは所定のタイミングで調整モードに移行する。自動調整が終了した後、所定のタイミングでフィルタ102Bは動作モードに移行し、フィルタ102Aが調整モードまたは休止モードに移行する。
【0065】
これによって、一方のフィルタが調整モードであっても、他方のフィルタが動作モードとして動作しているため、本実施形態は、入力端子101からの入力信号の処理を常に行うことが可能である。
【0066】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に関するブロック図である。第4実施形態は第1〜第3実施形態によるフィルタ自動調整装置を含む受信器の応用例を示す。応用例としては、受信器がリモコンで制御される対象機器(例えば、TV)に組み込まれ、制御対象機器の待ち受け時の消費電力を制御(低減)する電源制御システムを説明する。 電子機器1000に電源1104が接続される。電源1104は、例えば100VのAC電源であり、スイッチ1005を介して制御対象部1006に接続されている。制御対象部1006は、スイッチ1005がオンの場合に、電源1004からの電力が供給される。スイッチ1005は制御対象部1006からの制御信号、あるいは受信器1001からの制御信号によりオン、オフされる。制御対象部1006は、電源1004から供給される電力に基づき充電可能電源部1003を制御する電源制御部1008を含む。充電可能な電源部1003は、電源制御部1008からの電力によって充電される。ここで、充電可能な電源部1003が出力する電力は、電源1004が出力する電力に比べ十分に小さな電力である。
【0067】
受信器1101は、図示しないリモコン送信機からの赤外線リモコン信号を受信するフォトダイオード(PD)1102、その出力を増幅する増幅器1104、増幅器1104の出力が供給されるバンドパスフィルタ1106、バンドパスフィルタ1106の出力がAD変換器1108を介して供給されるコード検出器1110等からなる。バンドパスフィルタ1106はPPM変調されているリモコン信号の副搬送波を抽出する。コード検出器1110はリモコン信号に含まれる各種制御コードを検出する。
【0068】
バンドパスフィルタ1106は第1の実施形態乃至第3の実施形態で述べたようなフィルタ自動調整装置1002に含まれる。受信器1001は、充電可能な電源部1003から供給される電力によって動作する。従って、受信器1001は制御対象部1006に比べて十分に小さな電力で動作可能である。
【0069】
次に、本実施形態の動作について具体的に説明する。制御対象部1006の動作時には、スイッチ1005はオンになっており、制御対象部1006は電源1004から電力を供給される。制御対象部1006に含まれる電源制御部1008を介して所定の電圧が、充電可能な電源部1103に供給される。このため、充電可能な電源部1103は制御対象部1006の動作中に必要に応じて充電される。 所定の条件で制御対象部1006は待ち受け状態に移行する。所定の条件とは、例えば、制御対象部1006が待ち受け状態に移行する命令を受けた場合や、受信器1001が制御対象部1006を待ち受け状態に移行するリモコン信号を受信した場合等である。これらの場合、制御対象部1006あるいは受信器1001はスイッチ1005をオフし、制御対象部1006を電源1004から遮断する。これにより、制御対象部1006は電力を消費しない状態となり、待ち受け状態では受信器1001のみが動作する。受信器1001は充電可能な電源部1103からの電力で動作するため、制御対象部1006よりも十分小さな消費電力で動作し、これにより待ち受け状態の消費電力の低減が可能となる。
【0070】
待ち受け状態において、受信器1001が動作状態に移行するリモコン信号を受信すると、受信器1001はスイッチ1005をオンして、制御対象部1006に電源1004を接続する。
【0071】
本実施形態では、フィルタの自動調整は機器の動作状態において行われる。待ち受けモードにおいて自動調整を行った場合、機器を動作状態に移行するための信号を受信できない可能性がある。動作状態において自動調整を行えば、待ち受け状態において、機器を動作状態に移行するための信号を確実に受信できる。
【0072】
具体的には、動作状態に移行した直後から所定の時間内に自動調整を行う。動作状態から待ち受け状態に移行する信号を受信器1001が受信する必要がある場合、自動調整中はこの信号が受信できないが、動作状態に移行した直後に調整を行うことにより、動作状態に移行した直後のみ動作状態から待ち受け状態に移行する信号を受信できないという制約のみとなる。動作状態と待ち受け状態を頻繁に切り替える必要がない場合は、上記のような制約は問題とならない。同様に、動作状態から待ち受け状態に移行した直後にフィルタの自動調整を行ってもよい。
【0073】
これによって、制御対象部1006が待ち受け状態の際、制御対象部1006の消費電力を低減することが可能である。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
102…フィルタ、104…基準信号生成部、105…制御信号生成部、106…記憶部、107…振幅検出器、108,109,110,111…スイッチ、112…自動調整制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御されるフィルタ手段と、
振幅制御信号に応じた振幅の基準信号を生成し、該基準信号を前記フィルタ手段に供給する基準信号生成手段と、
前記特性制御信号により前記フィルタ手段に異なるフィルタ特性を設定し、前記振幅制御信号により前記基準信号の振幅を異なる振幅に設定する設定手段と、
前記特性制御信号により前記フィルタ手段に異なるフィルタ特性が設定される状態において、それぞれのフィルタ特性において前記異なる振幅の基準信号に対する前記フィルタ手段の出力信号の複数の振幅を検出する振幅検出手段と、
前記振幅検出手段によって検出された複数の振幅に従い、前記フィルタ手段のフィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定する決定手段と、
を具備するフィルタ調整装置。
【請求項2】
外部入力信号と前記基準信号とを選択的に前記フィルタ手段に入力する選択手段をさらに具備する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項3】
前記振幅検出手段はアナログ信号をデジタル信号に変換する手段を具備する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項4】
前記基準信号は矩形波信号を含む請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項5】
前記基準信号生成手段は一定の入力信号を可変利得で増幅、または減衰する可変利得部を具備する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項6】
前記フィルタ手段は帯域通過フィルタを具備し、
前記基準信号は前記帯域通過フィルタの通過帯域の周波数を有する信号を含み、
前記決定手段は前記振幅検出手段で検出された前記複数の振幅が最大となるフィルタ特性に関する特性制御信号を前記所望の特性制御信号とする請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項7】
前記フィルタ手段は第1、第2のフィルタを具備し、
前記基準信号生成手段は前記第1、第2のフィルタのいずれか一方に前記複数の基準信号を供給し、
前記振幅検出器は前記複数の基準信号が供給される前記第1、第2のフィルタのいずれか一方の出力信号の複数の振幅を検出する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記フィルタ手段のフィルタ特性をある特性に設定する特性制御信号を発生し、該フィルタ特性を保持した状態で前記基準信号の振幅を順次変える振幅制御信号を順次発生し、基準信号の振幅が全ての振幅に亘り可変されると、前記フィルタ手段のフィルタ特性を別の特性に設定する特性制御信号を発生する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記基準信号の振幅をある振幅に設定する振幅制御信号を発生し、該振幅を保持した状態で前記フィルタ手段のフィルタ特性を順次変える特性制御信号を順次発生し、フィルタ特性が全ての特性に亘り可変されると、前記基準信号の振幅を別の振幅に設定する振幅制御信号を発生する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項10】
前記設定手段は前記フィルタ特性と前記振幅の少なくともいずれか一方を粗く設定し、前記決定手段が所望の特性を含む特性制御信号範囲を決定した後、前記フィルタ手段に前記特性制御信号範囲内で異なるフィルタ特性を密に設定し、前記振幅制御信号により前記基準信号の振幅を密に設定する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項11】
電源が供給される対象機器と、
前記対象機器と電源との間に接続され、前記対象機器が動作状態にされる場合、オンされ、前記対象機器が待ち受け状態にされる場合、オフされるスイッチと、
前記電源により充電される充電電源と、
前記充電電源により動作するフィルタ調整装置を含む受信器と、
を具備し、
前記フィルタ調整装置は、
特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御されるフィルタと、
振幅制御信号に応じた振幅の基準信号を生成し、該基準信号を前記フィルタに供給する基準信号生成手段と、
前記特性制御信号により前記フィルタに異なるフィルタ特性を設定し、前記振幅制御信号により前記基準信号の振幅を異なる振幅に設定する設定手段と、
前記特性制御信号により前記フィルタに異なるフィルタ特性が設定される状態において、それぞれのフィルタ特性において前記異なる振幅の基準信号に対する前記フィルタ手段の出力信号の複数の振幅を検出する振幅検出手段と、
前記振幅検出手段によって検出された複数の振幅に従い、前記フィルタのフィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定する決定手段と、を具備し、
前記受信器は前記対象機器が待ち受け状態の場合、動作状態へ移行する信号を受信すると、前記スイッチをオンする電源制御システム。
【請求項12】
特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御されるフィルタの調整方法であって、
前記特性制御信号によりフィルタに異なるフィルタ特性を設定し、異なる振幅の基準信号をフィルタに供給し、
それぞれのフィルタ特性において、前記異なる振幅の基準信号に対するフィルタの出力信号の複数の振幅を検出し、
検出された前記複数の振幅に従い、フィルタのフィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定するフィルタ調整方法。
【請求項13】
外部入力信号と前記基準信号とを選択的にフィルタに入力することができる請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項14】
前記複数の振幅はアナログ信号をデジタル信号に変換する手段を用いて検出する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項15】
前記基準信号は矩形波信号を含む請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項16】
前記フィルタは帯域通過フィルタを具備し、
前記基準信号は前記帯域通過フィルタの通過帯域の周波数を有する信号を含み、
検出された前記複数の振幅が最大となるフィルタ特性に関する特性制御信号を前記所望の特性制御信号と決定する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項17】
前記フィルタのフィルタ特性をある特性に設定する特性制御信号を発生し、該フィルタ特性を保持した状態で基準信号の振幅を順次変え、基準信号の振幅が全ての振幅に亘り可変されると、前記フィルタのフィルタ特性を別の特性に設定する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項18】
前記基準信号の振幅をある振幅に設定し、該振幅を保持した状態で前記フィルタ手段のフィルタ特性を順次変え、フィルタ特性が全ての特性に亘り可変されると、前記基準信号の振幅を別の振幅に設定する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項19】
前記フィルタ特性と前記振幅の少なくともいずれか一方を粗く設定し、
所望の特性を含む特性範囲を決定した後、前記フィルタに前記特性範囲内で異なるフィルタ特性を密に設定し、前記基準信号の振幅を密に設定する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項1】
特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御されるフィルタ手段と、
振幅制御信号に応じた振幅の基準信号を生成し、該基準信号を前記フィルタ手段に供給する基準信号生成手段と、
前記特性制御信号により前記フィルタ手段に異なるフィルタ特性を設定し、前記振幅制御信号により前記基準信号の振幅を異なる振幅に設定する設定手段と、
前記特性制御信号により前記フィルタ手段に異なるフィルタ特性が設定される状態において、それぞれのフィルタ特性において前記異なる振幅の基準信号に対する前記フィルタ手段の出力信号の複数の振幅を検出する振幅検出手段と、
前記振幅検出手段によって検出された複数の振幅に従い、前記フィルタ手段のフィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定する決定手段と、
を具備するフィルタ調整装置。
【請求項2】
外部入力信号と前記基準信号とを選択的に前記フィルタ手段に入力する選択手段をさらに具備する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項3】
前記振幅検出手段はアナログ信号をデジタル信号に変換する手段を具備する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項4】
前記基準信号は矩形波信号を含む請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項5】
前記基準信号生成手段は一定の入力信号を可変利得で増幅、または減衰する可変利得部を具備する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項6】
前記フィルタ手段は帯域通過フィルタを具備し、
前記基準信号は前記帯域通過フィルタの通過帯域の周波数を有する信号を含み、
前記決定手段は前記振幅検出手段で検出された前記複数の振幅が最大となるフィルタ特性に関する特性制御信号を前記所望の特性制御信号とする請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項7】
前記フィルタ手段は第1、第2のフィルタを具備し、
前記基準信号生成手段は前記第1、第2のフィルタのいずれか一方に前記複数の基準信号を供給し、
前記振幅検出器は前記複数の基準信号が供給される前記第1、第2のフィルタのいずれか一方の出力信号の複数の振幅を検出する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記フィルタ手段のフィルタ特性をある特性に設定する特性制御信号を発生し、該フィルタ特性を保持した状態で前記基準信号の振幅を順次変える振幅制御信号を順次発生し、基準信号の振幅が全ての振幅に亘り可変されると、前記フィルタ手段のフィルタ特性を別の特性に設定する特性制御信号を発生する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記基準信号の振幅をある振幅に設定する振幅制御信号を発生し、該振幅を保持した状態で前記フィルタ手段のフィルタ特性を順次変える特性制御信号を順次発生し、フィルタ特性が全ての特性に亘り可変されると、前記基準信号の振幅を別の振幅に設定する振幅制御信号を発生する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項10】
前記設定手段は前記フィルタ特性と前記振幅の少なくともいずれか一方を粗く設定し、前記決定手段が所望の特性を含む特性制御信号範囲を決定した後、前記フィルタ手段に前記特性制御信号範囲内で異なるフィルタ特性を密に設定し、前記振幅制御信号により前記基準信号の振幅を密に設定する請求項1記載のフィルタ調整装置。
【請求項11】
電源が供給される対象機器と、
前記対象機器と電源との間に接続され、前記対象機器が動作状態にされる場合、オンされ、前記対象機器が待ち受け状態にされる場合、オフされるスイッチと、
前記電源により充電される充電電源と、
前記充電電源により動作するフィルタ調整装置を含む受信器と、
を具備し、
前記フィルタ調整装置は、
特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御されるフィルタと、
振幅制御信号に応じた振幅の基準信号を生成し、該基準信号を前記フィルタに供給する基準信号生成手段と、
前記特性制御信号により前記フィルタに異なるフィルタ特性を設定し、前記振幅制御信号により前記基準信号の振幅を異なる振幅に設定する設定手段と、
前記特性制御信号により前記フィルタに異なるフィルタ特性が設定される状態において、それぞれのフィルタ特性において前記異なる振幅の基準信号に対する前記フィルタ手段の出力信号の複数の振幅を検出する振幅検出手段と、
前記振幅検出手段によって検出された複数の振幅に従い、前記フィルタのフィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定する決定手段と、を具備し、
前記受信器は前記対象機器が待ち受け状態の場合、動作状態へ移行する信号を受信すると、前記スイッチをオンする電源制御システム。
【請求項12】
特性制御信号に応じてフィルタ特性が制御されるフィルタの調整方法であって、
前記特性制御信号によりフィルタに異なるフィルタ特性を設定し、異なる振幅の基準信号をフィルタに供給し、
それぞれのフィルタ特性において、前記異なる振幅の基準信号に対するフィルタの出力信号の複数の振幅を検出し、
検出された前記複数の振幅に従い、フィルタのフィルタ特性が所望の特性となる所望の特性制御信号を決定するフィルタ調整方法。
【請求項13】
外部入力信号と前記基準信号とを選択的にフィルタに入力することができる請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項14】
前記複数の振幅はアナログ信号をデジタル信号に変換する手段を用いて検出する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項15】
前記基準信号は矩形波信号を含む請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項16】
前記フィルタは帯域通過フィルタを具備し、
前記基準信号は前記帯域通過フィルタの通過帯域の周波数を有する信号を含み、
検出された前記複数の振幅が最大となるフィルタ特性に関する特性制御信号を前記所望の特性制御信号と決定する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項17】
前記フィルタのフィルタ特性をある特性に設定する特性制御信号を発生し、該フィルタ特性を保持した状態で基準信号の振幅を順次変え、基準信号の振幅が全ての振幅に亘り可変されると、前記フィルタのフィルタ特性を別の特性に設定する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項18】
前記基準信号の振幅をある振幅に設定し、該振幅を保持した状態で前記フィルタ手段のフィルタ特性を順次変え、フィルタ特性が全ての特性に亘り可変されると、前記基準信号の振幅を別の振幅に設定する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【請求項19】
前記フィルタ特性と前記振幅の少なくともいずれか一方を粗く設定し、
所望の特性を含む特性範囲を決定した後、前記フィルタに前記特性範囲内で異なるフィルタ特性を密に設定し、前記基準信号の振幅を密に設定する請求項12記載のフィルタ調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−44455(P2012−44455A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184223(P2010−184223)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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