説明

フィルム、成形品、およびフィルムの製造方法

【課題】 近年、製版工程の不要な版レス印刷システムにおける、低コスト化、短リードタイム化、および多品種少量生産などが可能な、オンデマンド印刷を行うためのインクジェット印刷機が、インモールド成形品の図柄および/または模様を表現する着色層の印刷に利用されるようになってきている。しかしながら、従来のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機が利用されると、印刷不良が発生してしまう場合がある。
【解決手段】 ベースフィルム101と、UV硬化型インク1を利用して形成された着色層204と、ベースフィルム101と着色層204との間に形成された、紫外線の反射機能を有するUV反射層105と、を備えた、部分層フィルム100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、UV(紫外線)硬化型インクジェット印刷機を用いて、テレビなどのAV機器、携帯電話、および自動車部品といったインモールド成形品の外装デザインの印刷を行うための、フィルム、成形品、およびフィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、製版工程の不要な版レス印刷システムにおける、低コスト化、短リードタイム化、および多品種少量生産などが可能な、オンデマンド印刷を行うためのインクジェット印刷機が、インモールド成形品の図柄および/または模様を表現する着色層の印刷に利用されるようになってきている。
【0003】
より具体的には、乾燥および硬化速度が水系インクまたは溶剤系インクよりも圧倒的に速いUV硬化型インクを用いるUV硬化型インクジェット印刷機が、利用されるようになってきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
UV硬化型インクジェット印刷機において採用される方式には、インクジェットヘッドとUVランプユニットとを移動させながら印刷を進めていくマルチパス方式と、部分層フィルムを移動させながら印刷を進めていくシングルパス方式と、がある。
【0005】
まず、図6〜10を主として参照しながら、従来のマルチパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の構成および動作について説明する。
【0006】
なお、図6(A)は従来のマルチパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な右側面図であり、図6(B)は従来のマルチパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の、部分層フィルム1100近傍部分Pの模式的な部分拡大断面図である。
【0007】
また、図7(A)は従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ1)を説明するための模式的な平面図であり、図7(B)は従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ1)を説明するための模式的な部分正面図である。
【0008】
また、図8(A)は従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ2)を説明するための模式的な平面図であり、図8(B)は従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ2)を説明するための模式的な部分正面図である。
【0009】
また、図9(A)は従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ3)を説明するための模式的な平面図であり、図9(B)は従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ3)を説明するための模式的な部分正面図である。
【0010】
また、図10(A)は従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ4)を説明するための模式的な平面図であり、図10(B)は従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ4)を説明するための模式的な部分正面図である。
【0011】
以下の説明においては、三次元空間の直交座標系を定めるための、互いに直交する三本の数直線であるX軸、Y軸およびZ軸が利用される。
【0012】
箔送り装置200は、部分層フィルム1100の(−Y)方向への送り出しおよび巻き取りを行うための装置である。
【0013】
インクジェットヘッド201は、UV硬化型インクを吐出するための、UV硬化型インクジェット印刷機におけるユニットである。
【0014】
UVランプユニット202は、UV硬化型インクを硬化させるための、UV硬化型インクジェット印刷機におけるユニットである。
【0015】
ステージ203は、部分層フィルム1100の印刷位置が印刷の際にずれないように吸引固定するためのユニットである。
【0016】
部分層フィルム1100は、ベースフィルム101と、剥離層102と、ハードコート層103と、アンカー層104と、を備えている。
【0017】
以下では、ロール状のインモールド成形用の部分層フィルム1100に着色層1204を形成する方法における各ステップについて具体的に説明する。
【0018】
(ステップ1)
ステージ203は、無数に設けられた吸引穴(図示省略)を利用する吸着によって部分層フィルム1100を固定する。
【0019】
ここに、部分層フィルム1100は、アンカー層104がインクジェットヘッド201側に向いた状態で固定される。
【0020】
(ステップ2)
インクジェットヘッド201は、設けられた複数個のノズル(図示省略)からアンカー層104面上に向けてUV硬化型インク1を吐出する。
【0021】
ここに、インクジェットヘッド201のヘッド移動方向は、(−X)方向である。
【0022】
(ステップ3)
UVランプユニット202は、(+X)方向へ動きながらUVランプ2よりUV3を照射し、アンカー層104面上に着弾されたUV硬化型インク1によって形成された着色層1204を硬化させる。
【0023】
所定の幅の部分層フィルム1100上への印刷が、このようにして完了する。
【0024】
(ステップ4)
インクジェットヘッド201およびUVランプユニット202は、(+Y)方向へ所定の量だけ移動する。
【0025】
所定の画像が部分層フィルム1100のステージ203上にある部分に印刷された着色層1204は、以上において説明されたステップ2〜4のプロセスをつぎつぎに繰り返すことにより形成される。
【0026】
もちろん、ステージ203上にある部分への印刷が終了すると、箔送り装置200は、吸着によって部分層フィルム1100を固定することを止め、着色層1204がまだ形成されていない所定の位置まで(−Y)方向へ所定の量だけ部分層フィルム1100を巻き取る。
【0027】
その後、所定の画像が部分層フィルム1100のステージ203上にある新たな部分に印刷された着色層1204が、同様にして形成される。
【0028】
かくして、ロール状の部分層フィルム1100上に着色層1204を連続的に形成することが可能である。
【0029】
しかしながら、以上において説明されたマルチパス方式における印刷速度は平均でも0.1m/分以下であるので、近年ではシングルパス方式が生産性をより向上するために開発されている。
【0030】
そこで、図11および12を主として参照しながら、従来のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の構成および動作について説明する。
【0031】
なお、図11(A)は従来のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な右側面図であり、図11(B)は従来のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な部分平面図である。
【0032】
また、図12は、従来の部分層フィルム1100の模式的な部分拡大断面図である。
【0033】
箔送り装置200は、アンカー層104がノズル(図示省略)からUV硬化型インク1を吐出するインクジェットヘッド201側に向いて配置された部分層フィルム1100を矢印A1およびA2のフィルム送り方向へ連続的に送り出し、それを巻き取る。
【0034】
円筒ローラが回転する構成をもつシリンダー型ステージ205がインクジェットヘッド201の(−Z)側に配置されており、部分層フィルム1100は、シリンダー型ステージ205に吸着されるのではなく、所定のテンションが加わった状態でスムーズに送り続けられる。
【0035】
もちろん、インクジェットヘッド201は、フィルム送り方向についても、フィルム送り方向に対して垂直なX方向についても、必要な印刷幅、画像解像度、およびUV硬化型インク1の色数などに応じて所定の個数だけ並んでマトリクス状に設けられている。
【0036】
そして、インクジェットヘッド201の後段には、所定の画像が連続的に吐出されるUV硬化型インク1によって表現された着色層1204を光重合による光硬化反応を利用して硬化させるUV3をUVランプ2から照射するためのUVランプユニット202が、配置されている。
【0037】
かくして、20m/分以上の高速な印刷速度でロール状の部分層フィルム1100上に着色層1204を連続的に形成することが、可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特開2008−272946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
しかしながら、上述した従来のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機が利用されると、印刷不良が発生してしまう場合がある。
【0040】
これは、シングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機においては箔送り速度が上述の通り高速な印刷速度と一致するので、UV3が照射される時間が不十分となるからであると考えられる。
【0041】
より具体的には、図12に示されているように、UV硬化型インク1のインク粒子が未硬化状態で重力作用のために広がってしまい、隣同士のインク粒子がくっ付いて混じり合いやすいので、着色層1204を利用して視認性および/または解像度の高い文字および画像を印刷できない場合がある。
【0042】
さらに、未硬化部位が、着色層1204に残ってしまう場合がある。
【0043】
未硬化部位が着色層1204に残った状態の部分層フィルム1100が巻き取られると、タック性が着色層1204に残っているので、着色層1204がベースフィルム101に引っ付いてしまい、印刷不良による歩留まりの低下の原因となるブロッキングが発生しやすい。
【0044】
もちろん、印刷速度を小さくしたり、UVランプユニット202のフィルム送り方向についての長さを大きくしたりすれば、UV3が照射される時間は大きくなる。
【0045】
しかしながら、印刷速度を小さくすれば、生産性が低下してしまうし、UVランプユニット202のフィルム送り方向についての長さを大きくすれば、UVランプ2の個数の増加にともなう設備的コストアップ、および消耗品であるUVランプ2の交換にともなうランニングコストアップなどが避けがたい。
【0046】
本発明は、上述した従来の課題を考慮し、印刷不良の発生を抑制することが可能な、フィルム、成形品、およびフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0047】
第1の本発明は、ベースフィルムと、
紫外線硬化型インクを利用して形成された着色層と、
前記ベースフィルムと前記着色層との間に形成された、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能の内、少なくとも一方の機能を有する紫外線処理層と、
を備えた、フィルムである。
【0048】
第2の本発明は、前記紫外線処理層は、前記紫外線を反射する紫外線散乱剤が含有された樹脂層である、第1の本発明のフィルムである。
【0049】
第3の本発明は、前記紫外線処理層は、前記紫外線を吸収する紫外線吸収剤が含有された樹脂層であり、
前記紫外線吸収剤は、前記紫外線を吸収することによって熱を発生する機能を有し、
前記紫外線硬化型インクは、熱によって硬化する機能を有する、第1または第2の本発明のフィルムである。
【0050】
第4の本発明は、前記樹脂層は、前記紫外線吸収剤で架橋された樹脂を利用して形成されている、第3の本発明のフィルムである。
【0051】
第5の本発明は、前記ベースフィルムと前記紫外線処理層との間に形成されたハードコート層と、
前記ベースフィルムと前記ハードコート層との間に形成された剥離層と、
をさらに備えた、第1の本発明のフィルムである。
【0052】
第6の本発明は、前記紫外線処理層と前記着色層との間に形成されたアンカー層をさらに備え、
前記アンカー層および前記紫外線処理層は、重合タイプの樹脂を利用して形成されている、第1の本発明のフィルムである。
【0053】
第7の本発明は、樹脂層と、前記樹脂層の表面側に形成された印刷層と、を備えた、成形品であって、
前記印刷層は、着色層と、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能の内、少なくとも一方の機能を有する紫外線処理層と、を少なくとも有する、成形品である。
【0054】
第8の本発明は、前記着色層は、紫外線硬化型インクを利用して形成されている、第7の本発明の成形品である。
【0055】
第9の本発明は、ベースフィルムと、紫外線硬化型インクを印刷して形成された着色層材料と、前記ベースフィルムと前記着色層材料との間に形成された、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能の内、少なくとも一方の機能を有する紫外線処理層材料と、を備えた、フィルム材料に紫外線を照射し、前記着色層材料を硬化させて着色層を形成する着色層形成ステップを備えた、フィルムの製造方法である。
【発明の効果】
【0056】
本発明により、印刷不良の発生を抑制することが可能な、フィルム、成形品、およびフィルムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(A)本発明における実施の形態1の部分層フィルムの模式的な部分断面図、(B)本発明における実施の形態1の部分層フィルムの模式的な部分断面図、(C)本発明における実施の形態1の部分層フィルムの模式的な部分断面図、(D)本発明における実施の形態1の部分層フィルムの模式的な部分断面図、(E)本発明における実施の形態1の部分層フィルムの模式的な部分断面図、(F)本発明における実施の形態1の部分層フィルムの模式的な部分断面図
【図2】(A)本発明における実施の形態1のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な右側面図、(B)本発明における実施の形態1のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の、部分層フィルム近傍部分の模式的な部分拡大断面
【図3】本発明における実施の形態1の部分層フィルム100の模式的な部分拡大断面図
【図4】(A)本発明における実施の形態1のインモールド成形品の模式的な部分断面図、(B)本発明における実施の形態1のインモールド成形品の模式的な部分断面図
【図5】(A)本発明における実施の形態2のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な右側面図、(B)本発明における実施の形態2のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の、部分層フィルム近傍部分の模式的な部分拡大断面図
【図6】(A)従来のマルチパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な右側面図、(B)従来のマルチパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の、部分層フィルム近傍部分の模式的な部分拡大断面図
【図7】(A)従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ1)を説明するための模式的な平面図、(B)従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ1)を説明するための模式的な部分正面図
【図8】(A)従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ2)を説明するための模式的な平面図、(B)従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ2)を説明するための模式的な部分正面図
【図9】(A)従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ3)を説明するための模式的な平面図、(B)従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ3)を説明するための模式的な部分正面図
【図10】(A)従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ4)を説明するための模式的な平面図、(B)従来のマルチパス方式の印刷プロセス(ステップ4)を説明するための模式的な部分正面図
【図11】(A)従来のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な右側面図、(B)従来のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な部分平面図
【図12】従来の部分層フィルムの模式的な部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0059】
(実施の形態1)
はじめに、図1を主として参照しながら、本実施の形態の部分層フィルム100および100′の構成について説明する。
【0060】
なお、図1(A)は本発明における実施の形態1の部分層フィルム100の模式的な部分断面図であり、図1(B)は本発明における実施の形態1の部分層フィルム100′の模式的な部分断面図であり、図1(C)は本発明における実施の形態1の部分層フィルム100aの模式的な部分断面図であり、図1(D)は本発明における実施の形態1の部分層フィルム100a′の模式的な部分断面図であり、図1(E)は本発明における実施の形態1の部分層フィルム100bの模式的な部分断面図であり、図1(F)は本発明における実施の形態1の部分層フィルム100b′の模式的な部分断面図である。
【0061】
部分層フィルム100は、ベースフィルム101と、UV硬化型インク1を利用して形成された着色層204と、ベースフィルム101と着色層204との間に形成された、紫外線の反射機能を有するUV反射層105と、を備えている。UV反射層105は、紫外線を反射するUV散乱剤4が含有された樹脂層である。部分層フィルム100は、ベースフィルム101とUV反射層105との間に形成されたハードコート層103と、ベースフィルム101とハードコート層103との間に形成された剥離層102と、をさらに備えている。部分層フィルム100は、UV反射層105と着色層204との間に形成されたアンカー層104をさらに備えている。なお、アンカー層104およびUV反射層105は、重合タイプの樹脂を利用して形成されていてもよい。
【0062】
部分層フィルム100′は、ベースフィルム101と、UV硬化型インク1を利用して形成された着色層204と、ベースフィルム101と着色層204との間に形成された、紫外線の反射機能を有するUV反射層105′と、を備えている。UV反射層105′は、紫外線を反射するUV散乱剤4が含有された樹脂層である。部分層フィルム100′は、ベースフィルム101とUV反射層105′との間に形成されたハードコート層103と、ベースフィルム101とハードコート層103との間に形成された剥離層102と、をさらに備えている。
【0063】
なお、本明細書では、散乱という術語を反射という術語の意味も含めて広義に使用する。
【0064】
部分層フィルム100aは、ベースフィルム101と、UV硬化型インク1を印刷して形成された着色層材料204aと、ベースフィルム101と着色層材料204aとの間に形成された、紫外線の反射機能を有するUV反射層材料105aと、を備えている。
【0065】
部分層フィルム100a′は、ベースフィルム101と、UV硬化型インク1を印刷して形成された着色層材料204aと、ベースフィルム101と着色層材料204aとの間に形成された、紫外線の反射機能を有するUV反射層材料105a′と、を備えている。
【0066】
部分層フィルム100a′に紫外線を照射し、着色層材料204aを硬化させて着色層204を形成する着色層形成ステップを備えた、部分層フィルム100′の製造方法については、後に詳述される。
【0067】
部分層フィルム100bは、ベースフィルム101と、剥離層102と、ハードコート層103と、UV反射層材料105aと、アンカー層104と、を備えている。
【0068】
部分層フィルム100b′は、ベースフィルム101と、剥離層102と、ハードコート層103と、UV反射層材料105a′と、を備えている。
【0069】
UV硬化型インク1は、硬化用光源としてメタルハライドランプを使用する、純正のUV硬化型インク、および柔軟性のある伸びるUV硬化型インク(これらのUV硬化型インクは、たとえば株式会社ミマキエンジニアリングより上市されている)、ならびに硬化用光源としてLEDランプを使用するLEDタイプのUV硬化型インクなどである。もちろん、UV硬化型インク1は、同等な効果が得られれば、特に限定されない。
【0070】
ベースフィルム101の平均膜厚は20〜100μm程度であり、ベースフィルム101を除くその他の層の、総合的な平均膜厚は乾燥後で5〜50μm程度である。
【0071】
UV反射層105および105′の平均膜厚は、乾燥後で1〜10μm程度である。
【0072】
UV反射層105′は、平均膜厚が乾燥後で1〜5μm程度であるアンカー層104の役割も兼ね備えている。
【0073】
より具体的に述べると、部分層フィルム100′については、
ベースフィルム101の平均膜厚は、50μm程度であり、
剥離層102の平均膜厚は、乾燥後で3μm程度であり、
ハードコート層103の平均膜厚は、インモールド成形後のメタルハライドランプを利用したUV照射で光硬化反応により硬化されるアフターキュアタイプのハードコート層が利用される場合であれば、乾燥後で5μm程度であり、
UV反射層105′の平均膜厚は乾燥後で4μm程度であり、UV反射層105′の最大膜厚は5μm程度であり、UV反射層105′の最小膜厚は3.5μm程度である。
【0074】
もちろん、部分層フィルム100および100′の厚みは、各層の厚みについても同様であるが、透明性、およびUV反射層105または105′のUV反射特性の観点などから支障がなければ、特に限定されない。
【0075】
ベースフィルム101は、部分層フィルム100または100′を連続的にインクジェット印刷機へ供給するための、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはアクリル樹脂などから構成されるフィルムである。
【0076】
剥離層102は、成形品へ転写される、ハードコート層103などから構成される転写層からベースフィルム101を剥離させるための層である。
【0077】
ハードコート層103は、成形品の最表面となり、傷、汚れおよびゴミなどから転写層を守るための層である。アフターキュアタイプのハードコート層103が利用される場合には、部分層フィルム100または100′におけるハードコート層103は未硬化状態または半硬化状態であるUV硬化型の樹脂で構成されている。
【0078】
なお、本明細書では、ハードコート層という術語を保護層という術語の意味も含めて広義に使用する。
【0079】
アンカー層104は、UV反射層105と、UV硬化型インク1で構成される着色層204と、を繋いでこれら二つの層の間の層間密着性を向上させ、着色層204を構成するインクを固着しやすくするための層である。
【0080】
つぎに、UV反射層105および105′について詳述する。
【0081】
UV反射層105および105′には、UV3をUV反射層105または105′内に反射させるためのUV散乱剤4が分散されている。
【0082】
UV散乱剤4は、酸化亜鉛および酸化チタンなどである。
【0083】
UV散乱剤4の平均粒子径は、UV3を反射光に変えられる0.01〜0.1μm程度である。もちろん、UV散乱剤4の平均粒子径は、UV散乱剤4の材料に応じて、透明性およびUV反射特性の観点などから支障がなければ、特に限定されない。
【0084】
UV散乱剤4の分散割合は、UV反射層105または105′を構成する主材料である樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部程度である。
【0085】
たとえば、UV硬化型インク1の光硬化反応に関するUV3の波長領域がブロードな300〜370nm程度であり、波長領域がブロードな300〜400nm程度であってピーク波長が365nm程度であるメタルハライドランプをUVランプ2として使用する場合には、平均粒子径が0.03μm程度である酸化亜鉛をUV反射層105または105′を構成する主材料である樹脂100重量部に対して4重量部程度の分散割合でUV散乱剤4として使用すればよい。
【0086】
ここに、樹脂は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱硬化性樹脂でもよい。つまり、樹脂は、使用しやすく透明性が高い樹脂であれば、アクリル系、ウレタン系および塩化ビニル系など特に限定されない。
【0087】
反射されるべきUV3の波長領域がブロードな場合などは、反射する波長領域が異なる複数種類のUV散乱剤4を一緒に分散させてもよい。
【0088】
より具体的には、UV3の波長領域が上述のように300〜370nm程度である場合には、波長領域が300〜350nm程度であるUV3を反射光に変えられる酸化チタンを酸化亜鉛と一緒にUV散乱剤4として使用してもよい。
【0089】
もちろん、UV散乱剤4が分散された樹脂が主材料である塗剤の粘度を調整するために、平均粒子径が異なる複数種類のUV散乱剤4を一緒に分散させてもよい。
【0090】
ここに、塗剤の塗工方法は、その他の層を形成するために使用される塗工方法と同様な塗工方法でよい。つまり、塗剤の塗工方法は、粘度調整が適切にされた塗剤をコーターなどで塗工する方法であれば、スクリーン印刷方法、グラビア印刷方法、およびインクジェット印刷方法など特に限定されない。
【0091】
樹脂がUV散乱剤4による触媒活性などのために分解したり劣化したりしないようにするために、(1)光安定剤などを一緒に分散させてもよいし、(2)樹脂を分解させないように被覆された状態のUV散乱剤4を樹脂中に分散させるなどの、同等な効果が得られる他の処理を施してもよい。さらに、アンカー層104の劣化を防止するために、アンカー層104に光安定剤を加えてもよい。
【0092】
UV散乱剤4を塗剤中に均一に分散させるために、(1)UV散乱剤4を無機フィラー状態で分散させてもよいし、(2)より均一に分散させるようにするために、カップリング処理を施したUV散乱剤4を溶媒中に予め分散させた分散液タイプのものを分散させてもよい。
【0093】
このように、UV散乱剤4は、同等な効果が得られれば、特に限定されない。
【0094】
つぎに、図2および3を主として参照しながら、本実施の形態のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の構成および動作について説明する(その他の実施の形態についても同様であるが、UV硬化型インクジェット印刷機の動作について説明しながら部分層フィルム100′の製造方法についても説明する)。
【0095】
なお、図2(A)は本発明における実施の形態1のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な右側面図であり、図2(B)は本発明における実施の形態1のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の、部分層フィルム100′近傍部分Pの模式的な部分拡大断面図である。
【0096】
また、図3は、本発明における実施の形態1の部分層フィルム100′の模式的な部分拡大断面図である。
【0097】
箔送り装置200は、UV反射層105′がノズル(図示省略)からUV硬化型インク1を吐出するインクジェットヘッド201側に向いて配置された部分層フィルム100b′を矢印A1およびA2のフィルム送り方向へ連続的に送り出し、それを巻き取る。
【0098】
そして、インクジェットヘッド201の後段には、所定の画像が連続的に吐出されるUV硬化型インク1によって表現された着色層204を光重合による光硬化反応を利用して硬化させるUV3をUVランプ2から照射するためのUVランプユニット202が、配置されている。
【0099】
以下では、UV反射層105′の上に着色層204を形成する着色層形成ステップについてより具体的に説明する。
【0100】
すなわち、インクジェットヘッド201によってノズル(図示省略)から吐出されたUV硬化型インク1がUV反射層105′に着弾し、未硬化の着色層204が形成される。
【0101】
未硬化の着色層204は、UV3がUVランプユニット202によってUVランプ2から照射される。
【0102】
照射されたUV3は、着色層204内を通過し、UV反射層105′まで到達する。
【0103】
少なくとも一部のUV3は、UV反射層105′内に分散されたUV散乱剤4と衝突し、略(+Z)方向への反射光となって着色層204に戻る。
【0104】
このため、UV3が、(−Z)方向の一方向のみからではなく、さまざまな方向から着色層204に照射されるので、着色層204の光硬化反応速度は大きくなり、着色層204は速やかに硬化する。
【0105】
したがって、シングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機においては箔送り速度が高速な印刷速度と一致するが、印刷不良が発生してしまうことはほとんどない。
【0106】
より具体的には、図3に示されているように、UV硬化型インク1のインク粒子が未硬化状態で重力作用のために広がってしまうことが少なく、隣同士のインク粒子がくっ付いて混じり合いにくくなるので、着色層204を利用して視認性および/または解像度の高い文字および画像を印刷できるという効果が発揮される。
【0107】
さらに、未硬化部位が着色層204に残りにくくなるので、ブロッキングが発生することを抑制できるという効果が発揮される。
【0108】
もちろん、印刷速度を小さくする必要がないので、生産性が低下することはないし、UVランプユニット202のフィルム送り方向についての長さを大きくする必要がないので、UVランプ2の個数の増加にともなう設備的コストアップ、および消耗品であるUVランプ2の交換にともなうランニングコストアップなども避けられる。
【0109】
さらにまた、つぎのような効果も、発揮される。
【0110】
すなわち、UV反射層105′が配置されているので、UV3はUV反射層105′で反射されてハードコート層103側にまでは到達しにくい。
【0111】
このため、部分層フィルム100のUV照射にともなう劣化を抑制できるという効果が、発揮される。
【0112】
特に、インモールド成形後のUV照射で硬化されるべきアフターキュアタイプのハードコート層103の硬化条件が着色層204の硬化条件と近い場合であっても、ハードコート層103がインモールド成形前に硬化してしまうことはかなり少なくなる。
【0113】
よって、ハードコート層103がインモールド成形前に硬化してしまうことに起因する、剥離層102とハードコート層103との間でのインモールド成形後の層間剥離不良が起こりにくくなり、外観不良の少ない高品位なインモールド成形品300および300′(図4参照)を得ることができる。
【0114】
もちろん、インモールド成形品300および300′をベースフィルム101および剥離層102からスムーズに引き剥がすことが可能となるので、設備停止をともなう人手による引き剥がし作業はほとんど不要となり、オートマティックな連続成形が可能となることはいうまでもない。
【0115】
つぎに、図4を主として参照しながら、本実施の形態のインモールド成形品300および300′の構成について説明する。
【0116】
なお、図4(A)は本発明における実施の形態1のインモールド成形品300の模式的な部分断面図であり、図4(B)は本発明における実施の形態1のインモールド成形品300′の模式的な部分断面図である。
【0117】
インモールド成形品300は、樹脂層107と、樹脂層107の表面側に形成された印刷層204xと、を備えている。印刷層204xは、着色層204と、UV反射層105と、を少なくとも有している。
【0118】
より具体的には、インモールド成形品300は、部分層フィルム100を利用して成形された、ハードコート層103と、UV反射層105と、アンカー層104と、着色層204と、接着層106と、樹脂層107と、を有する成形品である。
【0119】
インモールド成形品300′は、樹脂層107と、樹脂層107の表面側に形成された印刷層204x′と、を備えている。印刷層204x′は、着色層204と、UV反射層105′と、を少なくとも有している。
【0120】
より具体的には、インモールド成形品300′は、部分層フィルム100′を利用して成形された、ハードコート層103と、UV反射層105′と、着色層204と、接着層106と、樹脂層107と、を有する成形品である。
【0121】
着色層204は、上述の通り形成された、図柄および/または模様を表現するための層である。なお、このような図柄および/または模様に応じた層が、UV硬化型インク1、UV硬化型インク1と密着性がよい溶剤タイプのインク、水性タイプのインク、および金属蒸着層などを利用して着色層204のつぎに形成されていてもよい。
【0122】
接着層106は、着色層204と、形成時において溶融状態である樹脂から構成される樹脂層107と、を密着させるための層である。
【0123】
樹脂層107は、形成時において溶融状態であった樹脂が固化した層である。
【0124】
未硬化部位が上述の通り着色層204にはほとんど残っていないので、図柄および/または模様に応じて上述の通り着色層204のつぎに層を形成するのに利用される溶剤タイプのインク、および接着層106を形成するのに利用される溶剤などが着色層204を劣化させることを抑制できるという効果が発揮される。
【0125】
さらに、アフターキュアタイプのハードコート層103がインモールド成形後のUV照射で硬化される場合であっても、UV反射層105または105′が配置されているので、UVはUV反射層105または105′で反射されてアンカー層104、着色層204、接着層106、および樹脂層107にまでは到達しにくい。
【0126】
このため、表面にあるハードコート層103以外の、アンカー層104、着色層204、接着層106、および樹脂層107の、インモールド成形後のUV照射にともなう劣化を抑制できるという効果が、発揮される。
【0127】
もちろん、完成されたインモールド成形品300および300′の耐候性はUV反射層105または105′が配置されているために向上されているので、太陽光にさらされるようなより過酷な環境での使用が可能となることはいうまでもない。
【0128】
(実施の形態2)
つぎに、図5を主として参照しながら、本実施の形態の部分層フィルム100″の構成、ならびに本実施の形態のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の構成および動作について説明する。
【0129】
なお、図5(A)は本発明における実施の形態2のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の模式的な右側面図であり、図5(B)は本発明における実施の形態2のシングルパス方式のUV硬化型インクジェット印刷機の、部分層フィルム100″近傍部分Pの模式的な部分拡大断面図である。
【0130】
部分層フィルム100″は、ベースフィルム101と、UV硬化型インク1を利用して形成された着色層204と、ベースフィルム101と着色層204との間に形成された、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能を有するUV反射層105″と、を備えている。UV反射層105″は、紫外線を反射するUV散乱剤4、および紫外線を吸収するUV吸収剤5が含有された樹脂層である。UV吸収剤5は、紫外線を吸収することによって熱を発生する機能を有している。UV硬化型インク1は、熱によって硬化する機能を有している。なお、樹脂層は、UV吸収剤5で架橋された樹脂を利用して形成されていてもよい。部分層フィルム100″は、ベースフィルム101とUV反射層105″との間に形成されたハードコート層103と、ベースフィルム101とハードコート層103との間に形成された剥離層102と、をさらに備えている。
【0131】
箔送り装置200は、UV反射層105″がノズル(図示省略)からUV硬化型インク1を吐出するインクジェットヘッド201側に向いて配置された部分層フィルム100b″を矢印A1およびA2のフィルム送り方向へ連続的に送り出し、それを巻き取る。
【0132】
UV反射層105″は、上述した実施の形態1におけるUV反射層105および105′と同様な構成を有し、少なくとも同等な効果を発揮し、同様な変形例が考えられる。
【0133】
ただし、UV反射層105″には、UV吸収剤5が上述の通りUV散乱剤4と一緒に分散されている。
【0134】
UV吸収剤5は、フェノール系化合物、および/またはフェノールに類似するベンゼン系化合物などである。もちろん、UV吸収剤5は、同等な効果が得られれば、特に限定されない。
【0135】
吸収されるべきUV3の波長領域がブロードな場合などは、吸収する波長領域が異なる複数種類のUV吸収剤5を一緒に分散させてもよい。
【0136】
UV吸収剤5の分散割合は、UV反射層105″を構成する主材料である樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部程度である。もちろん、UV吸収剤5の分散割合は、UV散乱剤4の分散割合の観点などから支障がなければ、特に限定されない。
【0137】
たとえば、UV硬化型インク1の光硬化反応に関するUV3の波長領域がブロードな300〜370nm程度であり、メタルハライドランプをUVランプ2として使用し、UV吸収剤5を分散させる工程を設けないですませたい場合には、UV3を吸収するUV吸収基で架橋された樹脂をUV反射層105″を構成する主材料である樹脂として使用し、平均粒子径が0.03μm程度である酸化亜鉛を樹脂100重量部に対して2重量部程度の分散割合でUV散乱剤4として使用すればよい。
【0138】
より具体的には、UV3を吸収するUV吸収基で架橋された樹脂(商品名「ハルスハイブリットUV−Gシリーズ」、株式会社日本触媒製)をUV反射層105″を構成する主材料である樹脂として使用してもよい。
【0139】
このとき、上述した実施の形態1の場合と同様に、インモールド成形後のメタルハライドランプを利用したUV照射で光硬化反応により硬化されるアフターキュアタイプのハードコート層が利用される場合であれば、UV反射層105″の平均膜厚は乾燥後で4μm程度である。
【0140】
以下では、UV反射層105″の上に着色層204を形成する着色層形成ステップについてより具体的に説明する。
【0141】
すなわち、インクジェットヘッド201によってノズル(図示省略)から吐出されたUV硬化型インク1がUV反射層105″に着弾し、未硬化の着色層204が形成される。
【0142】
未硬化の着色層204は、UV3がUVランプユニット202によってUVランプ2から照射される。
【0143】
照射されたUV3は、着色層204内を通過し、UV反射層105″まで到達する。
【0144】
少なくとも一部のUV3は、UV反射層105″内に分散されたUV散乱剤4と衝突し、略(+Z)方向への反射光となって着色層204に戻る。
【0145】
のみならず、少なくとも一部のUV3は、UV反射層105″内に分散されたUV吸収剤5と衝突する。
【0146】
すると、UV吸収剤5と衝突したUV3の光エネルギーは熱エネルギーに変わり、熱エネルギーとして発生した熱6はUV反射層105″から着色層204に伝わる。
【0147】
ここに、少なくとも一部のUV3は、UV散乱剤4と衝突して散乱光となり、それからUV反射層105″中に分散されているUV吸収剤5と衝突するので、熱6はUV反射層105″において偏りなく均一に発生する。
【0148】
このため、熱6は光硬化反応を促進するので、着色層204の光硬化反応速度はより大きくなり、着色層204はより速やかに硬化する。
【0149】
したがって、上述した実施の形態1の場合と同等以上の効果が、発揮される。
【0150】
さらにまた、つぎのような効果も、発揮される。
【0151】
すなわち、UV硬化型インク1の粘度を調整するために混入されている微量の溶剤成分は、熱6のために蒸発しやすくなる。
【0152】
このため、そのような溶剤成分の残留を抑制できるという効果が、発揮される。
【0153】
そして、UV反射層105″が2液硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などから構成される場合はもちろん、UV反射層105″と着色層204とを繋ぐための同様に構成されたアンカー層104(図1参照)が利用される場合であれば、熱6はこれらの樹脂の硬化反応を促進するので、未硬化部位がUV反射層105″およびアンカー層104に残りにくくなることはいうまでもない。
【0154】
なお、上述した実施の形態におけるUV反射層105、105′および105″は本発明の紫外線処理層の一例であるが、本発明の紫外線処理層は、要するに、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能の内、少なくとも一方の機能を有していればよい。たとえば、本発明の紫外線処理層は、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能の内、一方の紫外線の吸収機能のみを有していてもよい。なお、上述した、純正のUV硬化型インク、および柔軟性のある伸びるUV硬化型インクをUV硬化型インク1として使用する場合には、硬化用光源としてのメタルハライドランプより発生する熱の作用も硬化反応を促進するために重要であり、紫外線の吸収機能にともなう熱の発生によってそのような熱の作用を補充することができるという効果が得られる。
【0155】
また、上述した実施の形態における部分層フィルム100、100′および100″は、本発明のフィルムの一例である。
【0156】
また、上述した実施の形態におけるインモールド成形品300および300′は、本発明の成形品の一例である。
【0157】
また、上述した実施の形態における部分層フィルム100aおよび100a′は、本発明のフィルム材料の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明におけるフィルム、成形品、およびフィルムの製造方法は、印刷不良の発生を抑制することが可能であり、たとえば、UV硬化型インクジェット印刷機を用いて、テレビなどのAV機器、携帯電話、および自動車部品といったインモールド成形品の外装デザインの印刷を行うために有用である。
【符号の説明】
【0159】
1 UV硬化型インク
2 UVランプ
3 UV
4 UV散乱剤
5 UV吸収剤
6 熱
100、100′、100″、1100 部分層フィルム
101 ベースフィルム
102 剥離層
103 ハードコート層
104 アンカー層
105、105′、105″ UV反射層
106 接着層
107 樹脂層
200 箔送り装置
201 インクジェットヘッド
202 UVランプユニット
203 ステージ
204、1204 着色層
205 シリンダー型ステージ
300、300′ インモールド成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムと、
紫外線硬化型インクを利用して形成された着色層と、
前記ベースフィルムと前記着色層との間に形成された、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能の内、少なくとも一方の機能を有する紫外線処理層と、
を備えた、フィルム。
【請求項2】
前記紫外線処理層は、前記紫外線を反射する紫外線散乱剤が含有された樹脂層である、請求項1記載のフィルム。
【請求項3】
前記紫外線処理層は、前記紫外線を吸収する紫外線吸収剤が含有された樹脂層であり、
前記紫外線吸収剤は、前記紫外線を吸収することによって熱を発生する機能を有し、
前記紫外線硬化型インクは、熱によって硬化する機能を有する、請求項1または2記載のフィルム。
【請求項4】
前記樹脂層は、前記紫外線吸収剤で架橋された樹脂を利用して形成されている、請求項3記載のフィルム。
【請求項5】
前記ベースフィルムと前記紫外線処理層との間に形成されたハードコート層と、
前記ベースフィルムと前記ハードコート層との間に形成された剥離層と、
をさらに備えた、請求項1記載のフィルム。
【請求項6】
前記紫外線処理層と前記着色層との間に形成されたアンカー層をさらに備え、
前記アンカー層および前記紫外線処理層は、重合タイプの樹脂を利用して形成されている、請求項1記載のフィルム。
【請求項7】
樹脂層と、前記樹脂層の表面側に形成された印刷層と、を備えた、成形品であって、
前記印刷層は、着色層と、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能の内、少なくとも一方の機能を有する紫外線処理層と、を少なくとも有する、成形品。
【請求項8】
前記着色層は、紫外線硬化型インクを利用して形成されている、請求項7記載の成形品。
【請求項9】
ベースフィルムと、紫外線硬化型インクを印刷して形成された着色層材料と、前記ベースフィルムと前記着色層材料との間に形成された、紫外線の反射機能および紫外線の吸収機能の内、少なくとも一方の機能を有する紫外線処理層材料と、を備えた、フィルム材料に紫外線を照射し、前記着色層材料を硬化させて着色層を形成する着色層形成ステップを備えた、フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−218274(P2012−218274A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85681(P2011−85681)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】