説明

フィルムの巻きずれ検査装置および検査方法

【課題】巻きずれの検査のばらつきを抑制でき、また、迅速に検査できるフィルムの巻きずれ検査装置を提供する。
【解決手段】本発明のフィルムの巻きずれ検査装置10は、巻き取り用ロール20に巻き取られる連続フィルム1の幅方向の両端部1a,1a又は片端部1aの位置を測定する測定部11と、測定部11によって測定された端部1aの位置に基づいて巻きずれを判定する判定部12とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き取り用ロールにフィルムを巻き取る際のフィルムの巻きずれを検査する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製のフィルムは、包装用をはじめとして様々な分野で使用され、最終用途によっては、後加工(印刷、他のフィルムとの積層、穿孔等)が施されて使用されることがある。
通常、フィルムは、製造後、巻き取り用ロールに巻き取られて巻き取り体にされることが多いが、フィルム搬送の際にはフィルムに横揺れが生じ、それが原因で巻きずれが生じることがあった。巻きずれのある巻き取り体からフィルムを繰り出すと、フィルムの幅方向に位置ずれを生じるため、繰り出したフィルムに後加工を施す場合には不正確な位置に加工が施されることがあった。そのため、従来は、巻き取り体の巻きずれを目視によって検査し、巻きずれのあったものを製品から除外していた。
しかしながら、検査者が目視で検査する場合には、巻きずれの判定が検査者によってばらつく上に検査に時間を要するという問題を有していた。そこで、検査装置を用いて検査することが求められていた。
【0003】
特許文献1には、金属の薄板の幅方向の端部の位置を測定する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、厚み測定用レーザ光の照射位置を調整するために薄板の端部の位置をエッジセンサにより測定するものであり、巻きずれを検査するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−79825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、巻きずれの検査のばらつきを抑制でき、また、迅速に検査できるフィルムの巻きずれ検査装置および検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィルムの巻きずれ検査装置は、巻き取り用ロールに巻き取られる連続フィルムの幅方向の両端部又は片端部の位置を測定する測定部と、該測定部によって測定された端部の位置に基づいて巻きずれを判定する判定部とを具備することを特徴とする。
本発明のフィルムの巻きずれ検査方法は、巻き取り用ロールに巻き取られる連続フィルムの幅方向の両端部又は片端部の位置を測定し、測定したフィルムの端部の位置に基づいて巻きずれを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルムの巻きずれ検査装置および検査方法によれば、巻きずれの検査のばらつきを抑制でき、また、迅速に検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のフィルムの巻きずれ検査装置の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のフィルムの巻きずれ検査装置(以下、「検査装置」と略す。)の一実施形態について説明する。なお、本発明における「巻きずれ」とは、フィルムを巻き取った際に、フィルムの幅方向の端面の位置がずれていることを意味する。
図1に、本実施形態の検査装置の模式図を示す。本実施形態の検査装置10は、1個の測定部11と判定部12と検査結果報知部13とを具備する。
【0010】
本実施形態で使用される測定部11は、巻き取り用ロール20の上流側に設けられ、巻き取り用ロール20に巻き取られる連続フィルム1の幅方向の両端部1a,1aの位置を測定するものである。具体的には、測定部11は、各端部1aの近傍に設けられた位置センサ11aによって、各端部1aの位置を測定する。端部1aの位置測定は、検査精度が向上することから、巻き取り用ロール20に近いほど、好ましい。
位置センサ11aとしては、例えば、レーザ式変位センサ、超音波式変位センサ等が挙げられる。
測定部11によって測定された位置は速やかに判定部12に伝送される。
【0011】
判定部12は、測定部11によって測定された端部1aの位置に基づいて巻きずれを判定するものであり、コンピュータが使用される。
判定部12には、巻きずれが生じない端部1aの位置範囲(以下、「許容位置範囲」という。)を予め入力しておく。そして、測定された端部1aの位置が許容位置範囲に入っている際には、巻き取った際に巻きずれが生じないと判定し、測定された端部1aの位置が許容位置範囲から外れた際には、巻き取った際に巻きずれが生じると判定する。判定結果は、速やかに検査結果報知部13に伝送される。
【0012】
検査結果報知部13は、判定部12での巻きずれの判定結果を表示する部分であり、例えば、モニタ、表示灯、警告音などが挙げられる。モニタの場合には、例えば、巻き取り体のロット番号と検査結果を表示することができるが、検査結果のみを表示してもよい。表示灯の場合には、巻きずれがない際に点灯させてもよいし、巻きずれがあった際に点灯させてもよい。警告音の場合には、巻きずれが発見されたときに作動させればよい。
【0013】
上記検査装置10を用いたフィルムの巻きずれ検査方法について説明する。
本実施形態のフィルムの巻きずれ検査方法では、巻き取り用ロール20に巻き取られる連続フィルム1の幅方向の両端部1a,1aの位置を測定部11の位置センサ11aによって測定する。測定結果は判定部12に伝送する。
連続フィルム1の巻き取り速度には特に制限はないが、連続フィルム1の巻き取り速度が高速になる程、搬送時に連続フィルム1が横揺れしやすくなって、巻きずれが起こりやすくなるため、本検査方法の有用性は高くなる。
次いで、判定部12にて、測定部11により測定した端部1aの位置に基づいて巻きずれを判定し、巻きずれを発見した際には、検査結果報知部13により作業者に報知する。そして、作業者が、巻きずれのあった巻き取り体を製品から除外する。
【0014】
以上説明した検査装置10および検査方法では、巻き取り用ロール20に巻き取られる連続フィルム1の幅方向の両端部1a,1aの位置を測定部11により測定し、測定した連続フィルム1の端部1aの位置に基づいて巻きずれを判定部12にて判定するため、検査に人間が介在せず、検査のばらつきを抑制できる。また、上記検査装置10および検査方法では、巻き取っている最中に巻きずれを判定するため、迅速に検査できる。
上記の検査装置10および検査方法において、巻きずれと判定されたものは、通常、巻き直し装置を用いて巻き直される。巻き直しの際にも上記検査装置10および検査方法を適用することができる。
【0015】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、測定部による端部の位置測定は片端部のみであっても構わない。
また、上記実施形態では、検査結果報知部を具備しなくてもよく、例えば、判定部の結果に基づき、巻きずれのないものと巻きずれがあったものとを、搬送装置を用いて自動的に別の場所に搬送してもよい。
測定部は、フィルムの長手方向に沿って複数個設けられてもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 フィルム
1a 端部
10 検査装置
11 測定部
11a 位置センサ
12 判定部
13 検査結果報知部
20 巻き取り用ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き取り用ロールに巻き取られる連続フィルムの幅方向の両端部又は片端部の位置を測定する測定部と、該測定部によって測定された端部の位置に基づいて巻きずれを判定する判定部とを具備することを特徴とするフィルムの巻きずれ検査装置。
【請求項2】
巻き取り用ロールに巻き取られる連続フィルムの幅方向の両端部又は片端部の位置を測定し、測定したフィルムの端部の位置に基づいて巻きずれを判定することを特徴とするフィルムの巻きずれ検査方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−193997(P2012−193997A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56946(P2011−56946)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】