説明

フィルムの弛緩処理機構及びフィルムの横延伸機

【課題】フィルムを搬送方向に弛緩させることが可能なフィルムの二軸弛緩処理機構であって、より少ない部品数でより簡易な構造で形成されるフィルムの弛緩処理機構を提供する。
【解決手段】フィルムの弛緩処理機構は、フィルム1の端部を把持して移動する台車3と、第1の面21と第1の面21とは反対側に位置する第2の面23とを有し、第1の面21と台車3とが摺接されながら台車3を案内する案内レール18と、台車3の進行方向に間隔を隔てて複数の台車3を連結し、屈曲可能に設けられたチェーン2と、を備える。台車3に設けられ、案内レール18の第1の面21に当接しながら回転する第1のローラ24と、台車3とは固定されずにチェーン2に設けられ、案内レール18の第2の面23に当接しながら回転する第1のローラ22と、をさらに備え、案内レール18は、第1の面21と第2の面23との間隔が異なる部分を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを直交2軸方向に弛緩させるフィルムの弛緩処理機構及び該弛緩処理機構を備える横延伸機に関する。特に、帯状のフィルムを把持して搬送しながら該フィルムを弛緩させるフィルムの弛緩処理機構に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂からなるフィルム状材料(以下、単にフィルムと称す)は、合成樹脂の分子を配向させることによってフィルムの強度が増すとともに透明性が高められる。そのため、フィルムに熱を加えた状態で、フィルム面に平行で且つ互いに垂直に交わる第1の方向及び第2の方向(それぞれ縦方向及び横方向とも呼ばれる)に延伸されることが多い。
【0003】
フィルムを第1及び第2の方向に延伸する方法として、フィルムを第1の方向に搬送しながら、第1の方向に延伸させた後に第2の方向に延伸させる逐次延伸方法が知られている。
【0004】
逐次延伸方法におけるフィルムを第1の方向に延伸させる方法では、縦延伸機と呼ばれる装置が用いられる。縦延伸機には、フィルムを第1の方向に搬送する少なくとも2つの搬送ロールが、第1の方向に間隔を隔てて配置されている。
【0005】
縦延伸機では、フィルムを第1の方向に延伸させるために、搬送ロールのそれぞれにフィルムの一部を巻きつけ、搬送方向前方にあるロールを搬送方向後方にある搬送ロールよりも速い速度でフィルムの搬送方向に向かって回転させる。その結果、フィルムが搬送方向に移動すると同時に、フィルムに第1の方向の張力が加えられ、フィルムが第1の方向に延伸される。
【0006】
逐次延伸方法におけるフィルムを第2の方向に延伸させる方法では、横延伸機と呼ばれる装置が用いられる。横延伸機では、フィルムの端部を把持する台車が第2の方向に対向するように配置されている。さらに、横延伸機には該台車を第1の方向及び第2の方向に移動させる台車移動機構が設けられている。
【0007】
横延伸機は、フィルムを第2の方向に延伸させるために、一対の台車を用いて第2の方向におけるフィルムの両端部を把持する。その後、横延伸機は一対の台車の間隔を広げるように一対の台車のそれぞれ又は一方を第2の方向に移動させることによって、フィルムが第2の方向に延伸される。このときに、一対の台車を第1の方向に移動させることによって、フィルムを搬送しながらフィルムを第2の方向に延伸することができる。
【0008】
該一対の台車のそれぞれは所定の循環経路に沿って移動するようになっており、各循環経路において複数の台車を連続して配置することによって、第1の方向に長尺なフィルムであってもフィルムを第2の方向に連続して延伸することができる。すなわち、逐次延伸方式では、縦延伸機及び横延伸機を用いて第1の方向に長尺フィルムを2方向に連続して延伸することができ、フィルムの生産性が向上する。
【0009】
一方、フィルムが2方向に延伸されることによって、フィルムの内部応力や熱収縮率が増加する。その結果、フィルムを延伸した状態で冷却すると、フィルムにヒケや反りが生じやすくなり、フィルムの形状精度が低下することがある。フィルムの形状精度の低下に伴い、例えば屈折率といった光学性能にばらつきが生じる。液晶画面の部品として用いられるような光学用途フィルムでは、フィルムを介して画像が表示されることから、均一な光学性能がフィルムに要求されるため、フィルムの形状精度の向上が課題となっていた。
【0010】
そこで、逐次延伸方式において、フィルムを第2の方向に延伸させた後にフィルムを第1及び第2の方向へ同時に弛緩させてフィルムの内部応力や熱収縮率を低減させるフィルムの弛緩処理機構が提案されている(特許文献1〜3等参照)。フィルムを弛緩した状態で冷却することによって、フィルムの内部応力や熱収縮率が低減された状態でフィルムが硬化され、フィルムの形状精度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公平7−64022号公報
【特許文献2】特開平6−211397号公報
【特許文献3】特開昭64−85736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1では、横延伸機の台車移動機構を用いてフィルムを第1及び第2の方向へ同時に弛緩させてフィルムを冷却硬化するフィルムの弛緩処理機構が開示されている。
【0013】
特許文献1で開示されている横延伸機及び弛緩処理機構の構成と課題について説明する。
【0014】
図13は、特許文献1における横延伸機の概略を示す平面図である。図13に示すように、横延伸機では、不図示の縦延伸機で第1の方向Xに延伸されたフィルム1が第1の方向Xに沿って搬送される。横延伸機には、フィルム1の第2の方向Yにおける両側に、一対のチェーン2が、それぞれ無端ベルト状に循環するように配置されている。
【0015】
図14は、図13に示す横延伸機の第2の方向Yに対向する一対のチェーン2のうちの一方のチェーン2に連結された台車及びその周辺機構を拡大した平面図である。台車3は、横延伸機に敷設された不図示の案内レールに沿って走行される。図14に示すように、台車3には、フィルム1の第2の方向Yにおける端部を把持するクランプ4が設けられている。また、複数の台車3が第1の方向Xに間隔を隔ててチェーン2を用いて連結されている。
【0016】
チェーン2は、複数のチェーンリンク5がヒンジを介して直列に連結されることによって形成されている。各々のチェーンリンク5はヒンジを回転軸として回転可能とされている。ヒンジは、各台車3に固定されている固定ヒンジ6aと、台車3に固定されていない移動ヒンジ6bと、を含んでいる。移動ヒンジ6bを第2の方向Yへ移動させることによってチェーン2が屈曲し、第1の方向Xに隣り合う台車3の間隔を変えることができる。
【0017】
特許文献1で開示されているフィルムの弛緩処理機構は、移動ヒンジ6bから突出するように設けられた不図示の部材と、該部材と当接するように設けられた調整レール7と、をさらに備えている。調整レール7は、台車3の移動に伴って移動ヒンジ6bが移動できるように敷設されている。すなわち、台車3の移動に伴って調整レール7により移動ヒンジ6bを第2の方向Yに移動させることで、チェーン2が屈曲して、隣り合う台車3の間隔が縮小される。
【0018】
図13に示すように、フィルム1が搬送されるにしたがって、第2の方向Yに対向するチェーン2同士の間隔を広げることによってフィルム1が第2の方向Yに延伸され、当該間隔を小さくすることによってフィルム1が第2の方向Yに弛緩される。フィルム1が第2の方向Yに弛緩されるときに、第1の方向Xに隣り合う台車3(図14)の間隔を小さくすることによって、フィルム1が第1の方向Xにも弛緩される。
【0019】
特許文献2及び特許文献3においても、特許文献1と同様に、移動ヒンジ6bを第2の方向Yに移動させて第1の方向Xに隣り合う台車3の間隔を変えるフィルムの弛緩処理機構が開示されている。特許文献2や特許文献3に開示されているフィルムの弛緩処理機構では、移動ヒンジ6bを介して連結された2つのチェーンリンク5のうちの一方のチェーンリンク5から突出するように設けられた調整レバーをさらに備えている。調整レール7を用いて、台車3の移動に伴って調整レバーを移動させることにより、チェーンリンク5が固定ヒンジ6aを回転軸に回動し、移動ヒンジ6bを移動させることが可能となる。
【0020】
このように、特許文献1、特許文献2及び特許文献3で開示されているフィルムの弛緩処理機構では台車3を案内するための案内レールのほかに、チェーン2を屈曲させるための調整レール7を必要とするため、弛緩処理機構の構造が複雑になる虞がある。また、調整レール7を設けるため、弛緩処理機構のコストアップを招く虞がある。
【0021】
そこで、本発明は、フィルムを搬送方向に弛緩させることが可能なフィルムの二軸弛緩処理機構であって、より少ない部品数でより簡易な構造で形成されるフィルムの弛緩処理機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様は、フィルムの端部を把持して移動する台車と、第1の面と該第1の面とは反対側に位置する第2の面とを有し、第1の面と移動中の台車とが摺接されながら台車を案内する案内レールと、台車の進行方向に間隔を隔てて複数の台車を連結し、屈曲可能に設けられたチェーンと、を備え、チェーンを屈曲させることによって、台車に把持されたフィルムを台車の進行方向に弛緩させるフィルムの弛緩処理機構に係る。この態様において、本発明は、台車に設けられ、案内レールの第1の面に当接しながら回転する第1のローラと、台車とは固定されずにチェーンに設けられ、案内レールの第2の面に当接しながら回転する第2のローラと、をさらに備え、案内レールは、第1の面と第2の面との間隔が異なる部分を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、フィルムを搬送方向に弛緩させることが可能なフィルムの二軸弛緩処理機構を、より少ない部品数でより簡易な構造とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態を適用可能な横延伸機の概略を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を構成している台車及びその周辺機構を上方から見た時の断面図(図3に示すB−B断面図)である。
【図3】図2に示す台車及びその周辺機構を台車進行方向と垂直に交わる面(図2に示すA−A面)で切断したときの断面図である。
【図4】第1の実施形態をなす案内レールの構造を説明するための平面図である。
【図5】第1の実施形態をなす案内レールの他の構造を説明するための平面図である。
【図6】図5に示す案内レールを台車進行方向と垂直に交わる面(図5に示すD−D面)で切断したときの断面図である。
【図7】図2に示す状態よりも案内レール厚さが厚い位置における台車及びその周辺機構を上方からみたときの断面図(図8に示すG−G断面)である。
【図8】図7に示す台車及びその周辺機構を台車進行方向と垂直に交わる面(図7に示すE−E面)で切断したときの断面図である。
【図9】図1に示す2方向弛緩ゾーンにおける案内レール厚さの変化を示す概略図である。
【図10】本発明の第2の実施形態を構成している台車及びその周辺機構を上方から見たときの断面図である。
【図11】図10に示す第2の実施形態に外外リンクを適用した図であり、図10に示す台車及びその周辺機構を厚み方向Rと垂直に交わる面(図10に示すH−H面)で切断したときの断面図に相当する図である。
【図12】本発明の第3の実施形態を構成している台車及びその周辺機構を上方から見たときの断面図である。
【図13】特許文献1で開示されている横延伸機の概略を示す平面図である。
【図14】図13に示す横延伸機の第2の方向に対向する一対のチェーンのうちの一方のチェーンに連結された台車及びその周辺機構を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態を適用可能な横延伸機の概略を示す平面図である。フィルム1を延伸するときや弛緩するときに重力の影響を小さくするために、横延伸機は第2の方向Yが水平になるように設けられている。
【0026】
図1に示すように、横延伸機は、フィルム1を内部に取り込むための入口8と、フィルム1を外部に排出するための出口9と、を備える。横延伸機には、入口8から出口9までの間に、フィルム1に熱を加える予熱ゾーン10、フィルム1を第2の方向Yに延伸する延伸ゾーン11、フィルム1を所定の温度に保持する熱処理ゾーン12、フィルム1を第1及び第2の方向X、Yに弛緩する弛緩ゾーン13、並びにフィルム1を冷却し硬化する冷却硬化ゾーン14がこの順に設けられている。
【0027】
入口8に送られるフィルム1は、不図示の縦延伸機で第1の方向Xに延伸されている。そのため、横延伸機で第2の方向Yに延伸されたフィルム1には第1及び第2の方向X、Yに平行な内部応力が生じている。弛緩ゾーン13でフィルム1を第1及び第2の方向X、Yに弛緩し冷却することによって、フィルム1を延伸するときに生じた内部応力が低減され、フィルム1の熱収縮率を低下させることができる。
【0028】
また、横延伸機には、フィルム1を入口8から出口9まで搬送するための台車移動機構15が設けられている。台車移動機構15は、フィルム1の第2の方向Yにおける端部を把持して移動する台車3を備えており、複数の台車3が間隔をおいてチェーン2を用いて連結されている。チェーン2を移動させることによって複数の台車3が同時に移動する。
【0029】
出口9にはチェーン2を移動させるための駆動スプロケット16が設けられており、入口8にはチェーン2の進行方向を反転させるリターンスプロケット17が配設されている。駆動スプロケット16とリターンスプロケット17との間を無端ベルト状に循環するようにチェーン2が設けられている。不図示の駆動装置を用いて駆動スプロケット16を駆動させることによりチェーン2が移動し、チェーン2の移動に伴って複数の台車3が循環する。
【0030】
台車移動機構15は、第2の方向に対向するように配置されており、台車3を用いてフィルム1の第2の方向における両端部を把持することによって、フィルム1を搬送しながら延伸することができる。
【0031】
フィルム1は、入口8において第2の方向における両端部を台車3に把持される。台車3が入口8から出口9へ向かって移動している間は、台車3はフィルム1の端部を把持し続ける。台車3が出口9に到達したところでフィルム1の把持を解除し、フィルム1は出口9から排出される。その後、台車3はフィルム1を把持していない状態で出口9から入口8へ向かって移動する。
【0032】
入口8から出口9へ向かって移動している間の、第2の方向Yに対向する台車3の間隔P1は変化している。具体的には、予熱ゾーン10では、入口8における間隔P1を維持し、延伸ゾーン11では出口9の方向へ進むにつれて間隔P1は大きくなる。熱処理ゾーン12では延伸ゾーン11の出口9の側の間隔P1を維持し、弛緩ゾーン13では出口9の方向へ進むにつれて間隔P1が小さくなる。冷却硬化ゾーン14では、弛緩ゾーン13の出口9の側の間隔P1を維持している。
【0033】
第2の方向Yに対向する台車3の間隔P1を変えることによって、フィルム1が延伸され、また弛緩される。弛緩ゾーン13において、隣り合う台車3の間隔を小さくしながら台車3を移動させることによって、フィルム1が2方向に弛緩される。
【0034】
ここで、フィルム1を2方向に弛緩する弛緩処理機構について詳細に説明する。
【0035】
(実施例1)
図2は、図1に示す横延伸機の第2の方向Yに対向する一対の台車3のうちの一方の台車3及びその周辺機構を上方から見たときの断面図である。図3は、図2に示す台車3及びその周辺機構を台車3の進行方向と垂直に交わる面(図2に示すA−A面)で切断したときの断面図である。なお、図2は、図3に示すB−B面における断面図である。
図2及び図3に示される状態は、進行方向に隣り合う台車3の間隔が最大台車間隔P2を有するときである。
【0036】
本書の説明において、台車3の進行方向を台車進行方向Qとし、フィルム1(図1)の面と平行で台車進行方向Qと垂直に交わる方向を厚み方向Rと称す。
【0037】
図2及び図3に示すように、チェーン2に沿って台車3を案内する案内レール18が敷設されている。台車3は、フィルム1を把持するためのクランプ4と、案内レール18の面のうちの鉛直方向上側に位置する上面19に当接する支持ローラ20と、を備える。支持ローラ20は、台車3の自重を支える。
【0038】
台車3は、案内レール18の、厚み方向Rに対向する側面のうち、フィルム1と反対側に位置する第1の面21に摺接しながら移動する。
【0039】
台車3の、案内レール18よりもフィルム1の側には、チェーン2が設けられている。チェーン2は、複数のチェーンリンク(外リンク5a、内リンク5b)がヒンジ(固定ヒンジ6a、移動ヒンジ6b)を介して直列に連結されることによって形成されている。各々のチェーンリンクは、ヒンジを回転軸として回動可能とされている。すなわち、チェーンは各ヒンジのところで屈曲可能になっている。
【0040】
前記チェーンリンクは、ヒンジの軸方向の両端に連結された設けられた外リンク5aと、外リンク5aよりもヒンジの軸方向の内側でヒンジに連結された内リンク5bと、を含む。外リンク5aと内リンク5bとが交互に連結されてチェーン2が形成されている。
【0041】
前記ヒンジは、各台車3に固定されている固定ヒンジ6aと、台車3に固定されていない移動ヒンジ6bとを含んでいる。本実施形態では、1つの台車3に対して1つの固定ヒンジ6aが設けられており、固定ヒンジ6aと移動ヒンジ6bとが交互にチェーン2に配設されている。移動ヒンジ6bを厚み方向Rに移動させることによってチェーン2が屈曲し、台車進行方向Qに沿って隣り合う台車3の間隔が変動する。
【0042】
移動ヒンジ6bには、移動ヒンジ6bの位置を調整させるための第2のローラ(以下、調整ローラ22と称す)がその中心軸周りに回転可能に設けられている。本実施形態では、調整ローラ22の回転軸は移動ヒンジ6bとなっており、調整ローラ22は台車3に対して移動可能に設けられている。調整ローラ22は、案内レール18の、第1の面21とは反対側の第2の面23に当接するように設けられている。
【0043】
台車3には、第1の面21に当接する第1のローラ(以下、案内ローラ24と称す)が設けられている。案内ローラ24はその中心軸周りに回転可能に設けられており、台車3がフィルム1の側に引っ張られても、台車3が案内レール18の第1の面21に沿って滑らかに移動できる。
【0044】
また、案内レール18は、第1の面21と第2の面23との間隔(以下、案内レール厚さtと称す)が異なる部分を備えている。図2及び図3は、案内レール厚さtが最も薄い案内レール厚さt1を有する位置における台車3及びその周辺機構の平面図及び断面図である。調整ローラ22の外径は、案内レール18が案内レール厚さt1を有する位置における、固定ヒンジ6aの中心と第2の面23との間の厚み方向Rにおける距離Cと等しくなるように設計されている。
【0045】
案内レール18は、板形状のベースレール25を厚み方向Rに向かって複数積層して形成されている。図1に示すように、横延伸機では、台車3は入口8から出口9までの間に曲線を描くように移動する。すなわち、図2及び図3に示される案内レール18も台車3の経路にしたがって曲げられる。複数のベースレール25を積層してレール厚さt1の案内レール18を形成することによって、1枚のベースレール25でレール厚さt1の案内レール18を形成する場合よりも、案内レール18の加工性が高められる。その結果、台車3の所望の経路に沿って容易に案内レール18を敷設することが可能となる。
【0046】
図1に示す、入口8から出口9までの距離が長く、入口8と出口9とを1つの案内レール18で敷設することができない場合には、不図示のジョイント部材を用いて複数の案内レール18を台車進行方向Qに連結して形成してもよい。
【0047】
また、図4に示すように、案内レール18の、台車進行方向Qの一部にはベースレール25の間に複数の板部材26を積層した積層体27が挿入されている箇所がある。図4の(a)は、ベースレール25の間に積層体27が挿入されている箇所の案内レール18の平面図であり、(b)は(a)に示す積層体27の1つの板部材26の特徴部を拡大して示した図である。本実施形態では、積層体27をベースレール25の間に挿入することによって案内レール厚さtを台車進行方向Qの位置で変化させている。
【0048】
図4に示す例では、案内レール厚さtを、積層体27が挿入されていないときの案内レール厚さt1から積層体27を挿入したときの案内レール厚さt2まで緩やかに変化させている。台車進行方向Qにおける積層体27の厚さを段階的に厚くすることによって実現される。板部材26の枚数を段階的に増すことによって積層体27の厚さを変化させてもよい。板部材26の、台車進行方向Qにおける端面にテーパ28を設けることによって、案内レール厚さtをより滑らかに変化させることができる(図4(b))。
【0049】
図5は、案内レール18の他の実施形態を示す平面図である。図5に示すように、ベースレール25の、厚み方向Rに対向する面のうちの片方の面に板部材26を積層した積層体27を設けることによって、案内レール厚さtが変化している。図5に示す案内レール18の構造では、ベースレール25を単層で用いることも可能である。
【0050】
積層体27をベースレール25に設けるときに、図6に示すように、調整ローラ22が当接する領域にのみ積層体27を設けても良い。図6は、積層体27が設けられた案内レール18を台車進行方向Qに垂直な面(図5に示すD−D面))で切断したときの断面図である。調整ローラ22が当接する領域にのみ積層体27を設けることによって、案内レール18の材料費を低減することができる。
【0051】
また、積層体27を、第2の面23(図2又は図3)にのみ設けることによって、ベースレール25で台車3の経路を設定し、積層体27で案内レール厚さtを調整することができる。
【0052】
案内レール18は、図4または図5に示す例に限られず、案内レール厚さtが異なるように、第1の面21と第2の面23とが構成されていればよい。具体的には、第1の面21が、台車3が走行する基準面として平坦な面で構成され、第2の面23が、第1の面21に対して傾斜している、または曲面で構成されていればよい。もちろん、一の部材から案内レールが構成されていてもよい。
【0053】
次に、本実施形態における台車移動機構15の動作について説明する。
【0054】
図2に示すように、駆動スプロケット16(図1)を動作させると、各チェーンリンクに張力Fが発生し、台車3が移動する。案内レール厚さt1を有する案内レール18の位置では、各々のヒンジを結ぶ線が案内レール18と平行になり、案内レール18に沿って隣り合う台車3の間隔が最大台車間隔P2となる。外リンク5a及び内リンク5bの長さの和が最大台車間隔P2となる。
【0055】
その後、台車3は案内レール厚さt2を有する案内レール18の位置に移動する。図7は、案内レール厚さtがt2の位置における台車3及びその周辺機構を上方からみたときの断面図である。図8は、図7に示す台車3及びその周辺機構を台車進行方向Qと垂直に交わる面(図7に示すE−E面)で切断したときの台車3及びその周辺機構の断面図である。なお、図7は、図8に示すG−G面における断面図である。
【0056】
固定ヒンジ6aは台車3に固定されているため、図7に示すように、固定ヒンジ6aの中心と第2の面23との間の厚み方向Rにおける距離Cは図2に示す状態から案内レール厚さtの増加分、すなわちt2−t1の分だけ小さくなる。移動ヒンジ6bの中心と第2の面23との厚み方向Rにおける距離は、調整ローラ22が第2の面23に当接しているため、図2に示す状態から変化しない。
【0057】
したがって、外リンク5a及び内リンク5bは固定ヒンジ6aを中心に第2の面23から離れる方向に回動する。外リンク5a及び内リンク5bの長さが同じ場合、図2に示す外リンク5a及び内リンク5bの状態からそれぞれ角度αだけ傾く。角度αは、外リンク5a及び内リンク5bの長さLから、
【0058】
【数1】

【0059】
として表される。
【0060】
隣り合う固定ヒンジ6aと移動ヒンジ6bとの間の台車進行方向Qにおける距離は、図2に示す状態からcosα倍に短縮される。その結果、隣り合う台車3の間隔が最小台車間隔P3となり、短縮される弛緩長さPPは、
【0061】
【数2】

【0062】
と表される。
【0063】
例えば、最大台車間隔P2を127mmとし、案内レール厚さt1及びt2を8mm、27.8mmとすると、角度αは約18.2度となり、弛緩長さPPは約6.3mmとなる。弛緩長さPPを最大台車間隔P2で除した弛緩率は約5%となる。
【0064】
数1及び数2に示した式を用いて所望の弛緩率を得るためのレール厚さt2を算出することもできる。もちろん、外リンク5aおよび内リンク5bの長さが異なる場合でも同様の計算により所望の弛緩率を得るためのレール厚さt2を算出することができる。
【0065】
案内レール厚さtが厚くなるにつれて、距離Cは小さくなる。第2の面23とチェーン2との接触を避けるために、あらかじめ固定ヒンジ6aは第2の面23から離して台車3に設けておく。調整ローラ22の外径も固定ヒンジ6aの位置に合わせて設計すればよい。
【0066】
図9は、弛緩ゾーン13(図1)における案内レール厚さtの変化を示す概略図である。図9(a)は、案内レール厚さtをt1からt2に変化させるときに、台車3の進行距離に比例して案内レール厚さtを増加させている例である。図9(b)は、案内レール厚さtを、t1からt1’、t2に2段階に変化させた例であり、弛緩率も同様に段階的に変化する。
【0067】
図9(c)は、弛緩率を台車3の走行距離に比例して変化させるための案内レール厚さtの変化を示したものである。弛緩率は角度α(図7)の余弦に比例するため、角度αが小さい領域では弛緩率の変化が小さくなる。そこで、案内レール厚さtを厚くする初期において案内レール厚さtの変化を大きくし、徐々に案内レール厚さtの変化を小さくしている。
【0068】
また、本実施形態では、案内レール厚さtの変更、すなわち、弛緩パターンの変更を容易に行うことができる。図3及び図8に示すように、案内レール18はボルト29を用いてレールフレーム30に固定されている。したがって、ボルト29を外し、板部材26の枚数を変える、又は積層体27の厚みを変えることによって案内レール厚さtを変えることができる。
【0069】
図6に示す案内レール18においても同様に行うことができる。すなわち、積層体27をベースレール25にサラボルト31を用いて取付ける。案内レール厚さtを変更するときにはサラボルト31を外して板部材26の枚数を増減させればよい。
【0070】
ベースレール25をレールフレーム30に固定するボルト29を外すことなく案内レール厚さtを変更できる利点がある。また、調整ローラ22が当接する位置のみに分割した積層体27を使用することで、積層体27の寸法や重量が小さくなり、積層体27を容易に扱うことが可能となる。
【0071】
図3や図6に示す、案内レール18を固定するボルト29は、案内レール18の表面よりも飛び出しているが、サラボルトや薄頭ボルトなどを使用して案内レール18の表面から飛び出さない固定方法としても良い。ボルト29が案内レール18の表面から飛び出さないことによって、チェーン2とボルト29との接触を防止することができる。
【0072】
板部材26は扱い易い長さ、例えば1m程度の長さとしておけばよい。また、案内レール18をジョイント部材で連結する場合には、ジョイント部材を避けた範囲で案内レール厚さtの変更を行う方がよい。
【0073】
次に、調整ローラ22に負荷される荷重について説明する。
【0074】
図7に示すように、案内レール厚さtが増加すると、外リンク5a及び内リンク5bが固定ヒンジ6aを中心に回動する。その結果、外リンク5a及び内リンク5bの張力F1は角度αが増加するとともに増加して、
【0075】
【数3】

【0076】
になる。また、移動ヒンジ6bにおいて張力F1は台車進行方向Qに平行な力Fと厚み方向Rに平行な力F2に分けられる。結果的に力F2は基のチェーン張力であるFのtanα倍となる。
【0077】
1つの移動ヒンジ6bには外リンク5a及び内リンク5bがそれぞれ1つずつ連結されているため、1つの移動ヒンジ6bには力F2の2倍の力が発生する。図8に示すように、1つの移動ヒンジ6bに対して2つの調整ローラ22が設けられている場合、1つの調整ローラ22には力F2と同じ荷重が生じる。
【0078】
チェーン張力Fを1000kg、角度αを18.2度とすると、1つあたりの調整ローラ22が受ける荷重は約329kgとなる。
【0079】
図7に示すように、案内ローラ24は、案内レール18に沿って1つの台車3に2つ設けられており、案内レール18に沿った隣り合う案内ローラ24の中心間の距離P4は、最大台車間隔P2の半分よりも大きくなるように設計されている。これにより、案内ローラ24から案内レール18へ負荷される力が調整ローラ22から案内レール18へ負荷される力で打ち消されやすくなり、案内レール18の湾曲を防ぐことができる。
【0080】
台車3に案内ローラ24が複数備えられていても良い。案内ローラ24は、力F2に相当する強度を有するローラを使用する。
【0081】
本実施形態では、調整ローラ22の外径は案内ローラ24の外径よりも大きい。案内ローラ24は調整ローラ22の倍の数が配置されているため、案内ローラ24に負荷される荷重は調整ローラ22の半分になる。調整ローラ22の大型化は負荷荷重容量を大きくすることになり、調整ローラ22の延命化に寄与することができる。
【0082】
1つの移動ヒンジ6bに2つ以上の調整ローラ22を上下に重ねて設けることによって、調整ローラ22の1つ当たりにかけられる負荷を軽減しても良い。
【0083】
また、図1に示す弛緩ゾーン13や冷却硬化ゾーン14では、台車3がフィルム1に引っ張られる力はほぼ無いが、チェーン2が引っ張られることによって調整ローラ22が台車3をフィルム1の側に引っ張る力が発生する。また当然ながら、案内ローラ24及び調整ローラ22によって、台車3は案内レール18に沿って移動することが可能となる。
【0084】
本実施形態によれば、案内レール厚さtを変えることによって、調整ローラ22を厚み方向Rに移動させることができる。その結果、別途調整ローラ22の位置を調整するためのレールを設ける必要がなく、少ない部品数で簡易な構造で形成することができる。
【0085】
(実施例2)
次に、本発明の第2の実施形態について、図10及び図11を用いて説明する。図10は、第2の実施形態における台車3及びその周辺機構を上方から見たときの断面図である。
【0086】
図10に示すように、本実施形態では、隣り合う固定ヒンジ6aの間に2つの移動ヒンジ6bが設けられ、それぞれの移動ヒンジ6bに調整ローラ22が設けられている。すなわち、隣り合う固定ヒンジ6aの間に2つの調整ローラ22が設けられている。調整ローラ22の個数を増やすことによって、1つ当たりの調整ローラ22に負荷される力を軽減することができる。
【0087】
移動ヒンジ6bと移動ヒンジ6bとを連結するチェーンリンクは、外リンク形または内リンク形の平行リンク5cで構成される。各台車3の固定ヒンジ6aに回動可能に設けられた外リンク5a及び内リンク5bは、隣り合う台車3ごとに外リンク5a及び内リンク5bの位置が入れ替えられる。それにあわせて、移動ヒンジ6bと移動ヒンジ6bとを連結するチェーンリンクも台車3ごとに外リンク形の平行リンク5cと内リンク形の平行リンク5cとが入れ替えられる。
【0088】
最大台車間隔P2、案内レール厚さt1及びt2を第1の実施形態と同じ条件とし、各チェーンリンクの長さを等しくした場合において、弛緩率が5%となる角度αは、本実施形態では22.4度となる。
【0089】
チェーン2の張力Fを1000kgと仮定すると、1つ当たりの移動ヒンジ6bにおける厚み方向Rに平行な力F2は412kgとなる。すなわち1つ当たりの調整ローラ22では206kgとなる。したがって、第1の実施形態における1つあたりの調整ローラ22の力329kgに比べ、本実施形態における調整ローラ22への荷重が軽減され、調整ローラ22の寿命を延ばすことができる。
【0090】
また、図10に示される平行リンク5cにおいて、その配置を外リンク5aよりもヒンジ軸方向の外側に設けられたリンク(外外リンクと称する)としてもよい。
【0091】
図11は、平行リンク5cを外外リンクとして適用した場合の図であり、図10に示す台車及びその周辺機構を厚み方向Rと垂直に交わる面(図10に示すH−H面)で切断したときの断面図に相当する。図11に示すように、リンク配列として左側より順次、平行リンク5c(外外リンク)+移動ヒンジ6b+外リンク5a+固定ヒンジ6a+内リンク5b+移動ヒンジ6b+平行リンク5c(外外リンク)+・・・となる。この配列によれば、台車1組を同じリンク配列で構成できるため、台車1組ごとに容易にチェーン2の長さを変更することができる。
【0092】
なお、図10に示す例において、平行リンク5cの形状を、その一端を内リンク5bのように配置し、他端を外リンク5aのように配置したオフセットリンクとすることでも、台車1組を同じリンク配置で構成することができる。
【0093】
(実施例3)
次に、第3の実施形態について、図12を用いて説明する。図12は、第3の実施形態における台車3及びその周辺機構を上方から見たときの断面図である。
【0094】
図12に示すように、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、隣り合う固定ヒンジ6aの間に2つの移動ヒンジ6bが設けられている。移動ヒンジ6bから案内レール18に向かって突出部32が設けられており、突出部32の、案内レール18の側の端部に調整ローラ22が設けられている。
【0095】
調整ローラ22は軸33を介して突出部32に設けられている。すなわち、調整ローラ22は軸33の周りに回転可能となっている。突出部32は、移動ヒンジ6bに連結される2つのチェーンリンク(外リンク5a、内リンク5b)のうちの一方と一体に成形され、例えばL字形状に形成されていてもよい。
【0096】
調整ローラ22を突出部32の端部に設けることによって、調整ローラ22の外径が小さくても固定ヒンジ6aの中心と案内レール18の第2の面23との距離Cを確保することが可能となる。突出部32を長くすることにより、案内レール厚さtの変化をより大きくしても、チェーン2と案内レール18との接触を防止することができる。
【0097】
また、チェーンリンクをL字形状にすることによって、チェーンリンクが傾いたときに、台車3の進行方向における固定ヒンジ6aと軸33との距離P5が、固定ヒンジ6aと突出部32の基部との距離P6よりも大きくなる。
【0098】
第3の実施形態で弛緩率を5%とすると、各チェーンリンクの長さが等しい条件では角度α=22.4度となる。また、距離P5及び距離P6は、50mm、39mm程度なので、チェーン2の張力Fを1000kgとしたときの調整ローラ22にかかる厚み方向Rに平行な力F2は、本実施形態では調整ローラ22の1つ当たり160kg程度となる。すなわち、第2の実施形態における調整ローラ22に1つ当たりの荷重206kgよりさらに小さくすることができる。
【0099】
本実施形態における構成では、図2、図3と同様な効果を得られ、調整ローラ22にかかる荷重が少なく、調整ローラ22の寿命を長くすることができる。
【0100】
なお、本発明におけるチェーンリンクの角度αは、0〜30度が好ましい。これは、フィルムの弛緩処理機構の弛緩率は一般的に5%あれば良いとされているので、角度αが30度あれば目的を満足することができるためである。一方、角度αが30度を超えると調整ローラや案内ローラの荷重が大きくなり寿命が短くなるため、通常では好ましくない。但し、薄いフィルムの場合には調整ローラや案内ローラにかけられる荷重が小さいため、角度αが30度以上でも使用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 フィルム
2 チェーン
3 台車
5a 外リンク
5b 内リンク
6a 固定ヒンジ
6b 移動ヒンジ
13 弛緩ゾーン
18 案内レール
21 第1の面
22 調整ローラ
23 第2の面
24 案内ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの端部を把持して移動する台車と、
第1の面と該第1の面とは反対側に位置する第2の面とを有し、前記第1の面と移動中の前記台車とが摺接されながら前記台車を案内する案内レールと、
前記台車の進行方向に間隔を隔てて複数の前記台車を連結し、屈曲可能に設けられたチェーンと、を備え、
前記チェーンを屈曲させることによって、前記台車に把持されたフィルムを前記台車の進行方向に弛緩させるフィルムの弛緩処理機構において、
前記台車に設けられ、前記案内レールの前記第1の面に当接しながら回転する第1のローラと、
前記台車とは固定されずに前記チェーンに設けられ、前記案内レールの前記第2の面に当接しながら回転する第2のローラと、をさらに備え、
前記案内レールは、前記第1の面と前記第2の面との間隔が異なる部分を有することを特徴とするフィルムの弛緩処理機構。
【請求項2】
前記案内レールが、それぞれが前記第1の面と前記第2の面を形成する対向した一対のベースレールと、該一対のベースレールの間に複数の板部材を積層した積層体と、を備え、
前記積層体の厚みが前記台車の進行方向に沿って段階的に変化していることを特徴とする請求項1に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項3】
前記板部材の、前記台車の進行方向における端面が、テーパを有しており、前記第1の面と前記第2の面との間隔が滑らかに変化していることを特徴とする請求項2に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項4】
前記第1の面が、前記台車が走行する基準面として平坦な面で構成され、前記第2の面が、前記第1の面に対して傾斜している、または曲面で構成されていることによって、前記間隔が異なっていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項5】
前記案内レールが、前記第1の面を有するベースレールと、複数の板部材を積層した積層体であって、前記第2の面を形成するように前記ベースレールに固定されている積層体と、を備え、前記積層体の厚みが前記台車の進行方向に沿って変化していることを特徴とする請求項1に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項6】
前記積層体が、前記第2の面の、前記第2のローラが当接する領域にのみ設けられていることを特徴とする請求項5に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項7】
それぞれの前記台車は、前記第1のローラを前記台車の進行方向に沿って複数備えており、前記台車の進行方向に隣り合う前記第1の案内ローラの中心間の距離が、隣り合う前記台車の間隔の半分よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項8】
前記第2のローラの外径が、前記第1のローラの外径よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項9】
複数の前記第2のローラが、隣り合う前記台車の間に前記台車の進行方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフィルムの弛緩処理機構
【請求項10】
前記チェーンがヒンジを介して複数のチェーンリンクを直列に連結して形成されており、
前記チェーンリンクは、前記ヒンジの軸方向の両端に連結された外リンクと、該外リンクよりも前記ヒンジの軸方向の内側で前記ヒンジに連結された内リンクと、該外リンクよりも前記ヒンジ軸方向の外側で前記ヒンジに連結された外外リンクと、を含んでいることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項11】
前記第2のローラが、前記チェーンから前記案内レールに向かって突出するように設けられた突出部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項12】
前記チェーンを前記台車に固定する固定ヒンジに備え、
前記台車の進行方向における前記固定ヒンジと前記第2のローラの中心との距離が、前記台車の進行方向における前記固定ヒンジと前記突出部の基部との間の距離よりも長いことを特徴とする請求項11に記載のフィルムの弛緩処理機構。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のフィルムの弛緩処理機構の一対を備え、且つ一対の前記案内レールが前記台車の進行方向と交わる方向にて対向するように設けられており、
前記台車の進行方向に進むにつれて、前記対向する前記案内レールの前記第1の面の間隔が狭まり、且つ各々の前記案内レールの前記第1の面と前記第2の面との間隔が厚くなっている弛緩ゾーンを有する、横延伸機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−16855(P2012−16855A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154663(P2010−154663)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】