説明

フィルムの間欠搬送装置及びフィルムの間欠搬送方法

【課題】モータを大型化することなく、フィルムの搬送速度を高める。
【解決手段】フィルムの間欠搬送装置は、フィルム12を繰出す繰出し装置20と、そのフィルムを巻取る巻取り装置30とを備える。繰出し装置20は、フィルム繰出し機構22と、そのフィルムを蓄えて一時に排出する繰出しアキュームレート機構23とを備え、巻取り装置30は、排出された量のフィルムを排出と同時に一時に蓄える巻取りアキュームレート機構33と、そのフィルムを常時一定量で巻取るフィルム巻取り機構32とを備える。間欠搬送方法は、常時一定量で繰出されたフィルムの蓄えと排出を繰出しアキュームレート機構23により繰り返し、排出された量のフィルムを排出と同時に巻取りアキュームレート機構33により蓄え、蓄えたフィルムを繰出しアキュームレート機構23の次回の排出時までに常時一定量で排出してフィルム巻取り機構32により巻取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状のフィルムを間欠的に搬送するフィルムの間欠搬送装置及びフィルムの間欠搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷業界等にあっては、印刷の対象物であるフィルムを搬送した後に一旦静止させ、その静止したフィルムに所定の印刷をした後に再び搬送し、再び静止させたフィルムに再び印刷するようなことが行われている。このように、フィルムに印刷等の所定の処理を繰り返して行う場合には、そのフィルムを一定の間隔で間欠的に搬送することが知られている。そして、このようにフィルムを間欠的に搬送する装置として、従来、所定量のフィルムを繰出す繰出し側と、その繰出し側から離間して設けられその繰出し側から繰出されて印刷等の所定の処理がなされた所定量のフィルムを巻取る巻取り側とを備えたフィルムの間欠搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このフィルムの間欠搬送装置では、その繰出し側に印刷の対象物であるフィルムが巻回された繰出しフィルムロールと、その繰出しフィルムロールからフィルムを引き出して繰出す巻出ローラが設けられ、その巻取り側には、巻出ローラから繰出されたフィルムを巻取る巻取ローラと、実際に巻取られたフィルムから成る巻取りフィルムロールとを備える。このようなフィルムの間欠搬送装置では、繰出し側における繰出しフィルムロールから引き出されたフィルムは巻出ローラにより繰出され、所定の印刷等が成された後に巻取り側における巻取ローラを経て、実際に巻取られて巻取りフィルムロールとなる。そして、巻出ローラ及び巻取ローラはモータによって間欠駆動され、これとともに、その繰出し側における繰出しフィルムロールや、巻取り側における巻取りフィルムロールも同時に回転させている。このようにして、従来のフィルムの間欠搬送装置では、フィルムを間欠的に搬送するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−3039号公報(段落番号「0003」、図1、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記フィルムの間欠搬送装置では、巻出ローラ及び巻取ローラとともに、繰出しフィルムロールや、巻取りフィルムロールもモータにより間欠的に回転させているので、その繰出しフィルムロールや巻取りフィルムロールの間欠的な回転を速やかに行うことができずに、間欠搬送するフィルムの搬送速度を高めるには限界があるという未だ解決すべき課題が残存していた。
【0006】
即ち、予めフィルムはロール状に巻回されて繰出し側において準備されるけれども、その繰出しフィルムロールの大きさが、例えば、幅が1m〜1.6mのフィルムであって、その外径が40〜60cmのものであるような場合には、その繰出しフィルムロールの重量は100kgを越えるようなものとなる。また、このような繰出しフィルムロールから繰出されるフィルムからなる巻取り側における巻取りフィルムロールにあっても、最終的には100kgを越えるようなものとなる。そして、フィルムの搬送速度を高めるためには、モータによるそれらの回転と停止を速やかに繰り返して行うことが必要となるけれども、繰出しフィルムロールや巻取りフィルムロールの重量からして大きな慣性が生じるため、例え、駆動力が著しく大きな巨大なモータを用いていたとしても、それらの回転における急加速及び急減速には所定の限界があり、間欠搬送するフィルムの搬送速度を高めるには限界があった。
【0007】
本発明の目的は、フィルムロールを回転させるモータを大型化することなく、間欠搬送するフィルムの搬送速度を十分に高め得るフィルムの間欠搬送装置及びフィルムの間欠搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の装置は、所定量のフィルムを巻取る巻取り装置と、その巻取り装置が巻取る所定量のフィルムを繰出す繰出し装置とを備えたフィルムの間欠搬送装置である。
【0009】
その特徴ある構成は、繰出し装置は、フィルムを常時一定量で繰出すフィルム繰出し機構と、フィルム繰出し機構から繰出されるフィルムを蓄えて一時に排出する繰出しアキュームレート機構とを備え、巻取り装置は、繰出しアキュームレート機構により一時に排出された量のフィルムを繰出しアキュームレート機構の排出と同時に一時に蓄える巻取りアキュームレート機構と、巻取りアキュームレート機構から排出されるフィルムを常時一定量で巻取るフィルム巻取り機構とを備えたところにある。
【0010】
この場合、繰出しアキュームレート機構及び巻取りアキュームレート機構は、フィルムの搬送経路に沿って設けられた一対の固定ローラと、一対の固定ローラの中間を通過してフィルムの搬送経路に直交する方向に移動可能な可動ローラと、可動ローラを移動させるサーボモータとをそれぞれ備えることが好ましい。
【0011】
また、フィルム繰出し機構が、繰出しフィルムロールを回転させてフィルムを繰出し、その繰出しフィルムロールの外径の変化に伴って繰出しフィルムロールの回転速度を変更可能に構成された巻出しモータを備え、フィルム巻取り機構が、巻取られたフィルムからなる巻取りフィルムロールの外径の変化に伴って巻取りフィルムロールの回転速度を変更可能に構成された巻取りモータを備えることも好ましい。
【0012】
更に、フィルム繰出し機構から繰出されて繰出しアキュームレート機構に蓄えられるフィルムに張力を加える繰出しテンション付与装置を繰出し装置に設け、巻取りアキュームレート機構により排出されてフィルム巻取り機構に巻取られるフィルムに所定のテンションを加える巻取りテンション付与装置を巻取り装置に設けることもできる。
【0013】
本発明のフィルムの間欠搬送方法は、フィルム繰出し機構により常時一定量で繰出されたフィルムの蓄えと排出を繰出しアキュームレート機構により繰り返し、繰出しアキュームレート機構により排出された量のフィルムを繰出しアキュームレート機構の排出と同時に巻取りアキュームレート機構により蓄え、巻取りアキュームレート機構が蓄えたフィルムを繰出しアキュームレート機構の次回の排出時までに常時一定量で排出してフィルム巻取り機構により巻取ることを特徴とする。
【0014】
この場合、繰出しアキュームレート機構及び巻取りアキュームレート機構におけるフィルムの蓄えは、フィルムの搬送経路に沿って設けられた一対の固定ローラから、一対の固定ローラの中間におけるフィルムが掛け回されてフィルムの搬送経路に直交する方向に移動可能な可動ローラをサーボモータにより離間させることにより行われ、繰出しアキュームレート機構及び巻取りアキュームレート機構におけるフィルムの排出は、可動ローラをサーボモータにより一対の固定ローラに接近させることにより行われることが好ましい。
【0015】
また、フィルムがロール状に巻回された繰出しフィルムロールを回転させることによりフィルム繰出し機構によるフィルムの繰出しが行われ、繰出しフィルムロールの外径の減少に伴って繰出しフィルムロールの回転速度を早めて繰出されるフィルムの量を常時一定量とし、フィルムをロール状に巻回することによりフィルム巻取り機構による巻取りが行われ、巻回されたフィルムから成る巻取りフィルムロールの外径の増加に伴って巻取りフィルムロールの回転速度を減少させて巻取られるフィルムの量を常時一定量とすることが更に好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフィルムの間欠搬送装置及びフィルムの間欠搬送方法では、所定量のフィルムを蓄えた繰出しアキュームレート機構がその蓄えたフィルムを一時に排出すると同時に、その繰出しアキュームレート機構により排出された量のフィルムを巻取りアキュームレート機構が一時に蓄えることにより、繰出し装置と巻取り装置の間にフィルムを搬送する。このため、フィルムを搬送する際に、比較的重量のある繰出し装置における繰出しフィルムロール及び巻取り装置における巻取りフィルムロールの回転を急加速及び急減速させることはない。このため、それらのフィルムロールを回転させるモータはそれらのフィルムロールを所定の速度で回転しうるものであれば十分となり、大型のものを必要としない。
【0017】
そして、一対の固定ローラに対して可動ローラを離間又は接近させることによりフィルムの蓄えと排出を行うようにすれば、その可動ローラの重量は各フィルムロールに比較して軽いものであり、それに加わる慣性力は各フィルムロールの回転を急加速又は急減速させる場合に比較して小さい。また、実際に繰出されるフィルムにあっても、そのフィルムに生じる慣性力は小さいので、比較的高速度にその可動ローラを移動させることができる。よって、間欠搬送するフィルムの搬送速度を著しく高めることができる。
【0018】
また、繰出しフィルムロールの外径の減少に伴って繰出しフィルムロールの回転速度を早めて繰出されるフィルムの量を常時一定量とし、巻取りフィルムロールの外径の増加に伴って巻取りフィルムロールの回転速度を減少させて巻取られるフィルムの量を常時一定量とすれば、所定量のフィルムを所定の時間毎に常に搬送することを安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明実施形態のフィルムの間欠搬送装置を示す正面図である。
【図2】その間欠搬送装置の繰出し装置と巻取り装置の間にフィルムが搬送される直前の状態を示す正面図である。
【図3】その間欠搬送装置の繰出し装置と巻取り装置の間にフィルムが搬送された直後の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に本発明のフィルムの間欠搬送装置10を示す。図1において、互いに直交するX、Y及びZの3軸を設定し、X軸が略水平前後方向、Y軸が略水平横方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、この間欠搬送装置10の構成について説明する。本発明のフィルムの間欠搬送装置10は、Y軸方向に伸びて細長い水平な基台11の一端側に設けられて所定量のフィルム12を繰出す繰出し装置20と、その繰出し装置20とY軸方向に離間して基台11の他端側に設けられその繰出し装置20から繰出された所定量のフィルム12を巻取る巻取り装置30と、それらを制御するコントローラ18とを備える。基台11は複数の取付け脚11aを介して水平に設置され、繰出し装置20と巻取り装置30の間には印刷機等の所定の処理機14が設けられる。
【0022】
基台11の一端側と他端側にはガイドレール13がX軸方向に伸びて設けられ、それらのガイドレール13を介して繰出し装置20と巻取り装置30がX軸方向に移動可能にそれぞれ設けられる。繰出し装置20には、その繰出し装置20をX軸方向に移動させて位置決めし、かつ位置決めされた繰出し装置20の移動を禁止する繰出し位置決め装置16が設けられ、巻取り装置30には、その巻取り装置30をX軸方向に移動させて位置決めし、かつ位置決めされた巻取り装置30の移動を禁止する巻取り位置決め装置17が設けられる。一方、繰出し装置20と処理機14の間にはその繰出し装置20が繰出すフィルム12の処理機14に対するX軸方向のズレを検出する繰出しエッジセンサ15aが設けられ、処理機14と巻取り装置30の間にはその巻取り装置30が巻取るフィルム12の巻取り装置30に対するX軸方向のズレを検出する巻取りエッジセンサ15bが設けられる。
【0023】
繰出しエッジセンサ15a及び巻取りエッジセンサ15bの検出出力はコントローラ18の制御入力に接続され、繰出し位置決め装置16及び巻取り位置決め装置17にはコントローラ18からの制御出力が接続される。この実施の形態における各位置決め装置16,17は、X軸方向に伸びて繰出し装置20及び巻取り装置30に螺合するボールねじ16a,17aを回転させるサーボモータ16,17であって、これらのサーボモータ16,17は基台11に固定される。コントローラ18は、各エッジセンサ15a,15bの検出出力によりフィルム12のX軸方向における位置を常時確認し、繰出し装置20と巻取り装置30のX軸方向の位置を常に調整し、X軸方向におけるフィルム12の位置が常に同じ位置になるように各位置決め装置16,17を制御するように構成される。
【0024】
繰出し装置20から説明すると、この繰出し装置20は繰出し側鉛直板21を備える。そして、この繰出し装置20は、フィルム12を常時一定量で繰出すフィルム繰出し機構22と、フィルム繰出し機構22から繰出されるフィルム12を蓄えて一時に排出する繰出しアキュームレート機構23とを備える。フィルム繰出し機構22は、繰出し側鉛直板21に枢支された供給用リール22bと、繰出し側鉛直板21の裏面側に設けられその供給用リール22bを回転させる巻出しモータ22cとを備える。供給用リール22bには、フィルム12が巻回されてなる繰出しフィルムロール22aが取付けられ、巻出しモータ22cはその繰出しフィルムロール22aを供給用リール22bとともに回転させるように構成される。この実施の形態における巻出しモータ22cは、供給用リール22bの回転速度を変更可能なサーボモータであり、この巻出しモータ22cにはコントローラ18の制御出力が接続される。そして、このフィルム繰出し機構22は、コントローラ18からの指令に基づいて巻出しモータ22cが供給用リール22bを一定の速度で回転させることにより、繰出しフィルムロール22aからフィルム12を常時一定量で繰出すように構成される。
【0025】
また、繰出し装置20における繰出しアキュームレート機構23は、フィルム12の搬送経路に沿って設けられた一対の固定ローラ23a,23bと、この一対の固定ローラ23a,23bの中間を通過してフィルム12の搬送経路に直交する方向に移動可能な繰出し側可動ローラ23cと、繰出し側可動ローラ23cを移動させる繰出しアキューム用サーボモータ23dとを備える。この実施の形態では、繰出しフィルムロール22aから引き出されたフィルム12は上方に向かいその後水平に転向するような繰出し側転向ローラ24が繰出し側鉛直板21に設けられ、繰出し側転向ローラ24により水平に転向されたフィルム12に沿って一対の固定ローラ23a,23bが設けられる。繰出し側鉛直板21にはその一対の固定ローラ23a,23bの中央を貫通するように鉛直方向に伸びるボールねじ23eが設けられ、このボールねじ23eを回転可能に繰出しアキューム用サーボモータ23dの回転軸がそのボールねじ23eに連結される。ボールねじ23eには繰出し側可動台23fが螺合され、この繰出し側可動台23fに繰出し側可動ローラ23cが枢支される。そして、この繰出しアキューム用サーボモータ23dにはコントローラ18の制御出力が接続される。
【0026】
この繰出しアキュームレート機構23では、コントローラ18からの指令に基づいて繰出しアキューム用サーボモータ23dが駆動してボールねじ23eを回転させると、それに螺合されている繰出し側可動台23fが繰出し側可動ローラ23cとともに鉛直方向に移動することになる。繰出し側転向ローラ24により転向して水平方向に向かうフィルム12は一対の固定ローラ23a,23bの上側に掛け渡され、一対の固定ローラ23a,23bの間のフィルム12がそれより下方に存在する繰出し側可動ローラ23cに下方から掛け回される。このため、繰出しアキューム用サーボモータ23dが駆動して繰出し側可動ローラ23cが下降すると一対の固定ローラ23a,23bと繰出し側可動ローラ23cの鉛直距離は拡大し、一対の固定ローラ23a,23bと繰出し側可動ローラ23cの鉛直距離の倍の長さのフィルム12が一対の固定ローラ23a,23bの間に蓄えられることになる。逆に、繰出し側可動ローラ23cが上昇するように繰出しアキューム用サーボモータ23dが駆動すると、一対の固定ローラ23a,23bと繰出し側可動ローラ23cの鉛直距離は縮まり、その蓄えたフィルム12を排出するように構成される。
【0027】
また、この繰出し装置20は、フィルム繰出し機構22から繰出されて繰出しアキュームレート機構23に蓄えられるフィルム12に張力を加える繰出しテンション付与装置26が設けられる。このテンション付与装置26は、繰出しフィルムロール22aから繰出し側転向ローラ24に向かって上方に伸びるフィルム12に沿って設けられた一対のガイドローラ26a,26bと、その一対のガイドローラ26a,26bの間に設けられレバー26cによりY軸方向に移動可能なダンサローラ26dとを備え、そのダンサローラ26dを一対のガイドローラ26a,26bから遠ざけるスプリング26eが設けられる。このスプリング26eにより付与されるダンサローラ26dの付勢力によって、この繰出しテンション付与装置26ではフィルム繰出し機構22から繰出されるフィルム12に所定の張力を与えるように構成される。
【0028】
ダンサローラ26dが一端に枢支されたレバー26cの他端、即ちレバー26cの繰出し側鉛直板21における枢支点には、そのレバー26cの揺動角度からダンサローラ26dの位置を検出する位置検出用角度センサ26fが設けられ、この角度センサ26fの検出出力はコントローラ18の制御入力に接続される。フィルム繰出し機構22における繰出しフィルムロール22aは、その回転によりフィルム12を繰出すものであるので、フィルム12を繰出すとその外径は徐々に減少し、回転速度が同一である場合には単位時間に繰出されるフィルム12の量は徐々に減少することになる。繰出されるフィルム12の量が減少すると、そのフィルム12に張力を付与するダンサローラ26dは一対のガイドローラ26a,26bに近づくことになる。このダンサローラ26dの移動は位置検出用角度センサ26fにより検出され、この検出出力に基づいてコントローラ18は巻出しモータ22cを制御し、繰出しフィルムロール22aの外径の変化に伴って繰出しフィルムロール22aの回転速度を変更し、単位時間に繰出されるフィルム12の量を常に一定にするように構成される。
【0029】
更に、この繰出し装置20には、一対の固定ローラ23a,23bの内の巻取り装置30側における一方の固定ローラ23aとともに繰出されるフィルム12を挟持する挟持部材27が設けられる。この挟持部材27は回転不能であり、繰出し側鉛直板21に繰出し側シリンダ28を介して移動可能に設けられる。この繰出し側シリンダ28にはコントローラ18からの制御出力が接続される。そして、この繰出し側シリンダ28は、コントローラ18からの指令に基づいて、挟持部材27を、その一方の固定ローラ23aとともにフィルム12を挟持してそのフィルム12が繰出されることを禁止する図1における第1位置と、その一方の固定ローラ23aから離間してそのフィルム12の繰出しを許容する図2における第2位置との間で移動可能に構成される。
【0030】
次に、上記繰出し装置20と離間して基台11の他端側に設けられた巻取り装置30の説明を行う。この巻取り装置30は、上記繰出し装置20から繰出されて処理機14により印刷等の処理が成された所定量のフィルム12を巻取るものである。この巻取り装置30は、上記繰出し装置20と対象構造をなし、繰出し装置20の繰出しアキュームレート機構23により一時に排出された量のフィルム12をその排出と同時に一時に蓄える巻取りアキュームレート機構33と、その巻取りアキュームレート機構33から排出されるフィルム12を常時一定量で巻取るフィルム巻取り機構32とを備える。
【0031】
巻取り装置30は巻取り側鉛直板31を備える。そして、巻取りアキュームレート機構33は、フィルム12の搬送経路に沿って設けられた一対の固定ローラ33a,33bと、この一対の固定ローラ33a,33bの中間を通過してフィルム12の搬送経路に直交する方向に移動可能な巻取り側可動ローラ33cと、巻取り側可動ローラ33cを移動させる巻取りアキューム用サーボモータ33dとを備える。この巻取りアキュームレート機構33は先の繰出しアキュームレート機構23と対象構造を成し、繰出しアキュームレート機構23と同様に一対の固定ローラ33a,33bが水平に巻取り側鉛直板31に設けられ、巻取り側鉛直板31にはその一対の固定ローラ33a,33bの中央を貫通するように鉛直方向に伸びるボールねじ33eが設けられる。そして、このボールねじ33eを回転可能に巻取りアキューム用サーボモータ33dの回転軸がそのボールねじ33eに連結される。ボールねじ33eには巻取り側可動台33fが螺合され、この巻取り側可動台33fに巻取り側可動ローラ33cが枢支される。そして、この巻取りアキューム用サーボモータ33dにはコントローラ18の制御出力が接続される。
【0032】
この巻取りアキュームレート機構33では、コントローラ18からの指令に基づいて巻取りアキューム用サーボモータ33dが駆動してボールねじ33eを回転させると、それに螺合されている巻取り側可動台33fが巻取り側可動ローラ33cとともに鉛直方向に移動することになる。繰出し装置20から繰出されたフィルム12は印刷機等の処理機14により所定の処理が成され、その後水平状態で一対の固定ローラ33a,33bの上側に掛け渡される。そして、一対の固定ローラ33a,33bの間のフィルム12がそれより下方に存在する巻取り側可動ローラ33cに下方から掛け回される。このため、巻取りアキューム用サーボモータ33dが駆動して巻取り側可動ローラ33cが下降すると一対の固定ローラ33a,33bと巻取り側可動ローラ33cの鉛直距離は拡大し、一対の固定ローラ33a,33bと巻取り側可動ローラ33cの鉛直距離の倍の長さのフィルム12が一対の固定ローラ33a,33bの間に蓄えられることになる。一方、巻取り側可動ローラ33cが上昇するように巻取りアキューム用サーボモータ33dが駆動すると、一対の固定ローラ33a,33bと巻取り側可動ローラ33cの鉛直距離は縮まり、その蓄えたフィルム12を排出するように構成される。
【0033】
また、フィルム巻取り機構32は、巻取りアキュームレート機構33から排出されるフィルム12を常時一定量で巻取るものであって、巻取りアキュームレート機構33から排出されるフィルム12を巻回する巻取り用リール32bを備える。この巻取り用リール32bは巻取り側鉛直板31に枢支され、巻取り側鉛直板31の裏面側にはその巻取り用リール32bを回転させる巻取りモータ32cが設けられる。この実施の形態における巻取りモータ32cは、巻取り用リール32bの回転速度を変更可能なサーボモータであり、この巻取りモータ32cにはコントローラ18の制御出力が接続される。そして、このフィルム巻取り機構32は、コントローラ18からの指令に基づいて巻取りモータ32cが巻取り用リール32bを一定の速度で回転させることにより、巻取りアキュームレート機構33から徐々に排出されるフィルム12を常時一定量で巻取るように構成される。
【0034】
また、この巻取り装置30には、巻取りアキュームレート機構33により排出されてフィルム巻取り機構32に巻取られるフィルム12に所定のテンションを加える巻取りテンション付与装置36が設けられる。このテンション付与装置36は、巻取りアキュームレート機構33から巻取り側転向ローラ34を介して下方に伸びるフィルム12に沿って設けられた一対のガイドローラ36a,36bと、その一対のガイドローラ36a,36bの間に設けられレバー36cによりY軸方向に移動可能なダンサローラ36dとを備え、そのダンサローラ36dを一対のガイドローラ36a,36bから遠ざけるスプリング36eが設けられる。このスプリング36eにより付与されるダンサローラ36dの付勢力によって、この巻取りテンション付与装置36では、巻取りアキュームレート機構33により排出されてフィルム巻取り機構32に巻取られるフィルム12に所定の張力を与えるように構成される。
【0035】
ダンサローラ36dが一端に枢支されたレバー36cの他端、即ちレバー36cの巻取り側鉛直板31における枢支点には、そのレバー36cの揺動角度からダンサローラ36dの位置を検出する位置検出用角度センサ36fが設けられ、この角度センサ36fの検出出力はコントローラ18の制御入力に接続される。フィルム巻取り機構32において巻取られたフィルム12から成る巻取りフィルムロール32aは、回転により巻取られたフィルム12から成るので、その巻取りフィルムロール32aの外径はフィルム12の巻取りが進行すると徐々に増加し、巻取りフィルムロール32aの回転速度が同一である場合には単位時間に巻取られるフィルム12の量は徐々に増加することになる。巻取られるフィルム12の量が増加すると、そのフィルム12に張力を付与するダンサローラ36dは一対のガイドローラ36a,36bに近づくことになる。このダンサローラ36dの移動は位置検出用角度センサ36fにより検出され、この検出出力に基づいてコントローラ18は巻取りモータ32cを制御し、巻取りフィルムロール32aの外径の変化に伴って巻取りリール32bの回転速度を変更し、単位時間に巻取られるフィルム12の量を常に一定にするように構成される。
【0036】
更に、この巻取り装置30には、一対の固定ローラ33a,33bの内の繰出し装置20側における一方の固定ローラ33aとともに巻取るフィルム12を挟持する押さえローラ37が設けられる。この押さえローラ37は回転可能であり、巻取り側鉛直板31に巻取り側シリンダ41を介して移動可能に設けられる。この巻取り側シリンダ41にはコントローラ18からの制御出力が接続される。そして、この巻取り側シリンダ41は、コントローラ18からの指令に基づいて、押さえローラ37を、その一方の固定ローラ33aとともにフィルム12を挟持してそのフィルム12を一方の固定ローラ33aに押し付ける図1〜3に示す第1位置と、その一方の固定ローラ33aから離間する図示しない第2位置との間で移動可能に構成される。ここで、押さえローラ37の第2位置で一方の固定ローラ33aから離間させるのは、押さえローラ37と一方の固定ローラ33aの間へのフィルム12の挿入を容易にするためであり、図示しないフィルム12の装着準備段階で用いられる。
【0037】
また、その一方の固定ローラ33aは巻取り用サーボモータ38の回転軸に固定され、その巻取り用サーボモータ38が巻取り側鉛直板31に取付けられる。この巻取り用サーボモータ38にはコントローラ18からの制御出力が接続され、コントローラ18からの指令に基づいて巻取り用サーボモータ38が駆動するとその一方の固定ローラ33aが回転し、第1位置の押さえローラ37とその一方の固定ローラ33aが挟持するフィルム12を巻取りアキュームレート機構33に向けて引き取るように構成される。そして、巻取り用サーボモータ38によるその一方の固定ローラ33aの回転が停止すると、そのフィルム12の引き取りを停止するように構成される。
【0038】
ここで、押さえローラ37ではなく、一方の固定ローラ33aを巻取り用サーボモータ38の回転軸に固定するのは、一方の固定ローラ33aの方がフィルム12の巻角が大きく、フィルム12が線接触する押さえローラ37に比較して一方の固定ローラ33aではフィルム12がその外周面に面接触してずれにくいので、その一方の固定ローラ33aが回転することにより、比較的正確にフィルムを引き取ることができるからである。また、この巻取り用サーボモータ38には同軸に量検出用エンコーダ39が設けられ、このエンコーダ39により一方の固定ローラ33aの回転数が検出されるように構成される。そして、この量検出用エンコーダ39の検出出力はコントローラ18の制御入力に接続され、コントローラ18では、その一方の固定ローラ33aの回転数とその直径から計算してフィルム12の引き取り量を計算するように構成される。
【0039】
次に、本発明のフィルムの間欠搬送方法について説明する。
【0040】
本発明のフィルム12の間欠搬送方法は、フィルム繰出し機構22により常時一定量で繰出されたフィルム12の蓄えと排出を繰出しアキュームレート機構23により繰り返し、繰出しアキュームレート機構23により排出された量のフィルム12を繰出しアキュームレート機構23の排出と同時に巻取りアキュームレート機構33により蓄え、その巻取りアキュームレート機構33が蓄えたフィルム12を繰出しアキュームレート機構23の次回の排出時までに常時一定量で排出してフィルム巻取り機構32により巻取ることを特徴とする。これにより繰出し装置20と巻取り装置30の間におけるフィルム12は搬送と静止を交互に繰り返し、結果としてフィルム12を間欠的に搬送することになる。図1は、繰出し装置20と巻取り装置30の間におけるフィルム12の搬送が停止されており、その停止の途中においてフィルム繰出し機構22により常時一定量で繰出されたフィルム12を繰出しアキュームレート機構23が蓄えており、巻取りアキュームレート機構33が常時一定量で排出しているフィルム12をフィルム巻取り機構32が巻取っている状態を示す。これらの各動作を以下に詳説するけれども、以下に示す動作は、コントローラ18により制御されるものである。
【0041】
繰出し装置20と巻取り装置30の間のフィルム12を静止させる場合、挟持部材27を第1位置に移動させて一方の固定ローラ23aとともにフィルム12を挟持するとともに、巻取り用サーボモータ38による一方の固定ローラ33aの回転を停止させる。すると、繰出し装置20におけるフィルム12の繰出しと巻取り装置30におけるフィルム12の引き取りの双方が停止され、これにより繰出し装置20と巻取り装置30の間のフィルム12を静止させることができる。そして、繰出し装置20と巻取り装置30の間に設けられた印刷機等のフィルム12の処理機14において、この静止しているフィルム12に処理を行うことができる。
【0042】
繰出し装置20と巻取り装置30の間のフィルム12を静止させている間に、繰出し装置20にあっては、次の搬送時に繰出すフィルム12をフィルム繰出し機構22により常時一定量で繰出すとともに、その常時一定量で繰出されたフィルム12を繰出しアキュームレート機構23に蓄える。フィルム12の繰出しは、コントローラ18からの指令に基づいて巻出しモータ22cが供給用リール22bを一定の速度で回転させることにより行われ、これにより供給用リール22bに支持された繰出しフィルムロール22aが図1の破線矢印で示すように回転してフィルム12を常時一定量で繰出す。そして、繰出しアキュームレート機構23におけるフィルム12の蓄えは、フィルム12の搬送経路に沿って設けられた一対の固定ローラ23a,23bから、その一対の固定ローラ23a,23bの中間におけるフィルム12が掛け回されてフィルム12の搬送経路に直交する方向に移動可能な繰出し側可動ローラ23cを、図1の破線矢印で示すように、一対の固定ローラ23a,23bから離間させることにより行われる。すると、一対の固定ローラ23a,23bと繰出し側可動ローラ23cの鉛直距離は拡大し、一対の固定ローラ23a,23bと繰出し側可動ローラ23cの鉛直距離の倍の長さのフィルム12が一対の固定ローラ23a,23bの間に蓄えられることになる。これと同時に、巻取り装置30にあっては、その巻取り側可動ローラ33cを、図1の破線矢印で示すように、一対の固定ローラ33a,33bに徐々に近づけることになるけれども、この点に関しては後に説明する。
【0043】
所定量のフィルム12を繰出しアキュームレート機構23が蓄えた状態を図2に示す。そして、その後フィルム12の搬送が行われる。具体的には、所定量のフィルム12を蓄えた図2に示す繰出しアキュームレート機構23は、その後その蓄えたフィルム12を一時に排出する。その繰出しアキュームレート機構23の排出と同時に繰出しアキュームレート機構23により排出された量のフィルム12を巻取りアキュームレート機構33により一時に蓄える。このフィルム12の搬送時は、繰出し装置20における挟持部材27を第2位置に移動させて、その挟持部材27を一方の固定ローラ23aから離間させるとともに、巻取り装置30における巻取り用サーボモータ38を駆動してその一方の固定ローラ33aを回転させる。これにより繰出し装置20と巻取り装置30の間にフィルム12を搬送することができる。
【0044】
フィルム12の搬送量は予めコントローラ18により決定され、その搬送量は巻取り装置30における一方の固定ローラ33aの回転数により調整される。即ち、コントローラ18は予め定められた搬送量を一方の固定ローラ33aの外周により除した値を求めておき、その値に従って一方の固定ローラ33aを回転させる。これにより、フィルム12は定められた搬送量だけ一時に搬送され、その一方の固定ローラ33aの回転数は、それに設けられた量検出用エンコーダ39により検出され、コントローラ18にフィードバックされる。そして、このフィルム12の搬送時には、繰出し装置20と巻取り装置30の間に設けられた印刷機等のフィルム12の処理機14における処理は一旦停止される。
【0045】
フィルム12の搬送時に、繰出しアキュームレート機構23は蓄えたフィルム12を一時に排出するけれども、そのフィルム12の排出は、繰出しアキューム用サーボモータ23dにより繰出し側可動ローラ23cを図2の実線矢印で示すように一対の固定ローラ23a,23bに急速に接近させることにより行われる。即ち、一方の固定ローラ33aを回転させることにより搬送するフィルム12の半分の長さに相当する長さ繰出し側可動ローラ23cを一対の固定ローラ23a,23bに接近させる。この繰出し側可動ローラ23cの接近は一方の固定ローラ33aの回転と同期して行われ、繰出し側可動ローラ23cには一対の固定ローラ23a,23b間におけるフィルム12がU字状に掛け回されており、繰出し側可動ローラ23cの移動量の倍に等しい長さのフィルム12が繰出しアキュームレート機構23から繰出されることになる。ここで、繰出し側可動ローラ23cの重量は繰出しフィルムロール22aに比較して軽いものであり、それに加わる慣性力は繰出しフィルムロール22aの回転を加速させる場合に比較して小さく、繰出しアキューム用サーボモータ23dは比較的高速度にその繰出し側可動ローラ23cを移動させることができる。また、実際に繰出されるフィルム12にあっても、そのフィルム12に生じる慣性力は小さいので、比較的容易かつ高速度でフィルム12を繰出すことができる。
【0046】
一方、巻取りアキュームレート機構33では、繰出しアキュームレート機構23におけるフィルム12の排出と同時に、その繰出しアキュームレート機構23により排出された量のフィルム12を一時に蓄える。この蓄えは、巻取りアキューム用サーボモータ33dにより巻取り側可動ローラ33cを図2の実線矢印で示すように一対の固定ローラ33a,33bから急速に遠ざけることにより行われる。即ち、巻取り用サーボモータ38により一方の固定ローラ33aを回転させて処理機14により印刷等の所定の処理が成されたフィルム12を引き取るとともに、その引き取るフィルム12の半分の長さに相当する長さ巻取り側可動ローラ33cを一対の固定ローラ33a,33bから離間させる。この巻取り側可動ローラ33cの離間は一方の固定ローラ33aの回転と同期して行われ、巻取り側可動ローラ33cには一対の固定ローラ33a,33b間におけるフィルム12がU字状に掛け回されており、巻取り側可動ローラ33cの移動量の倍に等しい長さのフィルム12が一対の固定ローラ33a,33bの間に蓄えられることになる。
【0047】
ここで、巻取りアキュームレート機構33は繰出しアキュームレート機構23により一時に排出された量のフィルム12を一時に同時に蓄えるので、繰出しアキュームレート機構23と同一構造の巻取りアキュームレート機構33を用いるこの実施の形態では、繰出しアキュームレート機構23における繰出し側可動ローラ23cの移動量と巻取りアキュームレート機構33における巻取り側可動ローラ33cの移動量とは同一となる。巻取り側可動ローラ33cの重量は比較的軽いものであり、それに加わる慣性力はフィルム12がロール状巻回された巻取りフィルムロール32aの回転を加速させる場合に比較して小さく、巻取りアキューム用サーボモータ33dは比較的高速度にその巻取り側可動ローラ33cを移動させることができる。また、実際に引き取られるフィルム12にあっても、そのフィルム12に生じる慣性力は小さいので、比較的容易かつ高速度でフィルム12を引き取ることができる。
【0048】
繰出し装置20と巻取り装置30の間で所定量のフィルム12が搬送された直後の状態を図3に示す。このように所定量のフィルム12が搬送された直後にあっては、挟持部材27を再び第1位置に移動させて一方の固定ローラ23aとともにフィルム12を挟持し、繰出し装置20におけるフィルム12の繰出しを禁止するとともに、巻取り用サーボモータ38による一方の固定ローラ33aの回転を停止させ、巻取り装置30におけるフィルム12の引き取りを停止する。これにより、繰出し装置20と巻取り装置30の間のフィルム12は再び静止状態とされる。そして、繰出し装置20と巻取り装置30の間に設けられた印刷機等の処理機14においてこの静止しているフィルム12に再び処理を行う。このフィルム12を静止させている間に、繰出し装置20にあっては、前述したように、次の搬送時に繰出すフィルム12をフィルム繰出し機構22により常時一定量で繰出すとともに、繰出し側可動ローラ23cを、図3の破線矢印で示すように、一対の固定ローラ23a,23bから徐々に遠ざけることにより、その常時一定量で繰出されたフィルム12を繰出しアキュームレート機構23に蓄える。
【0049】
一方、繰出し装置20と巻取り装置30の間のフィルム12を静止させている間に、巻取り装置30にあっては、前回の搬送時に巻取りアキュームレート機構33に蓄えたフィルム12を徐々に排出し、その排出されたフィルム12をフィルム巻取り機構32により常時一定量で巻取る。巻取りアキュームレート機構33におけるフィルム12の排出は、フィルム12が掛け回されてそのフィルム12を一対の固定ローラ33a,33b間に蓄えた巻取り側可動ローラ33cを、図3の破線矢印で示すように、一対の固定ローラ33a,33bに徐々に近づけることにより行われる。巻取り側可動ローラ33cの移動は巻取りアキューム用サーボモータ33dを駆動することにより行われる。そして、一対の固定ローラ33a,33bと巻取り側可動ローラ33cの鉛直距離が減少すると、一対の固定ローラ33a,33bと巻取り側可動ローラ33cの間の減少した鉛直距離の倍の長さのフィルム12が徐々に排出される。この巻取りアキュームレート機構33におけるフィルム12の排出は次回のフィルム12の搬送時までに完了される。
【0050】
フィルム巻取り機構32によるフィルム12の巻取りは、コントローラ18からの指令に基づいて巻取りモータ32cが巻取り用リール32bを一定の速度で回転させることにより行われ、これにより巻取りアキュームレート機構33から排出されたフィルム12は巻取り用リール32bに常時一定量で巻取られる。
【0051】
以上述べたようなフィルム12の搬送と静止を繰り返すことにより、フィルム12を間欠的に搬送する。そして、本発明にあっては、各アキュームレート機構23,33における一対の固定ローラ23a,23b,33a,33bに対して可動ローラ23c,33cを離間又は接近させることによりフィルム12の蓄えと排出を行うので、その可動ローラ23c,33cの重量は、繰出し装置20における繰出しフィルムロール22a及び巻取り装置30における巻取りフィルムロール32aに比較して軽いものであり、それに加わる慣性力は各フィルムロール22a,32aの回転を急加速又は急減速させる場合に比較して小さい。また、実際に繰出されるフィルム12にあっても、そのフィルム12に生じる慣性力は小さいので、比較的高速度にそれらの可動ローラ23a,33aを移動させることができる。よって、間欠搬送するフィルム12の搬送速度を著しく高めることができる。
【0052】
また、繰出し装置20では、繰出しフィルムロール22aからフィルム12を常時一定量で繰出すけれども、フィルム12が静止されて搬送されるまでの間にフィルム繰出し機構22により繰出されるフィルム12の量を搬送されるフィルム12の量の一致させることにより、フィルム繰出し機構22における供給用リール22bを持続的に回転させることができる。また、巻取り装置30では、巻取りアキュームレート機構33からフィルム12を徐々に排出し、巻取り用リール32bがそのフィルム12を常時一定量で巻取るので、フィルム12が静止されて搬送されるまでの間に巻取るフィルム12の量を搬送されるフィルム12の量に一致させることにより、巻取り用リール32bを持続的に回転させることができる。このため、本発明では各フィルムロール22a,32aの回転を急加速することもなければ急減速することもない。よって、各フィルムロール22a,32aを回転させる巻出しモータ22c及び巻取りモータ32cにあっては、供給用リール22b及び巻取り用リール32bを一定の速度で回転させる程度の出力を有するモータであれば足りる。よって、従来に比較して出力が大きなモータを設けること必要とせず、間欠搬送装置10の大型化を回避するとともに、比較的安価な間欠搬送装置10を得ることができる。
【0053】
一方、フィルム繰出し機構22における繰出しフィルムロール22aは、その回転によりフィルム12を繰出すものであるので、フィルム12を繰出すとその外径は徐々に減少するけれども、その外径の減少は繰出し装置20における位置検出用角度センサ26fにより検出される。また、フィルム巻取り機構32における巻取りフィルムロール32aは、その回転によりフィルム12を巻取るものであるので、フィルム12を巻取るとその外径は徐々に増加するけれども、その外径の増加は巻取り装置30における位置検出用角度センサ36fにより検出される。コントローラ18はこれらの位置検出用角度センサ26f,36fの検出出力に基づいて巻出しモータ22c及び巻取りモータ32cをそれぞれ制御し、繰出しフィルムロール22aの外径の減少に伴ってその繰出しフィルムロール22aの回転速度を早め、巻取りフィルムロール32aの外径の増加に伴ってその巻取りフィルムロール32aの回転速度を遅らせる。これにより繰出しフィルムロール22a及び巻取りフィルムロール32aの外径の変化にかかわらず、繰出されるフィルム12の量と巻取られるフィルム12の量を常時一定量にすることができる。
【0054】
また、巻取り装置30における一方の固定ローラ33aを予め計算された数だけ回転させることにより引き取られるフィルム12の量と、それと同期して巻取りアキュームレート機構33が蓄えるフィルム12の量と、繰出しアキュームレート機構23により一時に繰出すフィルム12の量は計算上同一であるので、フィルム12の搬送時にそのフィルム12のテンションに影響を与えることはない。また、これらの量の間に誤差が生じたとしても、その誤差は繰出し及び巻取りテンション装置26,36における各ダンサローラ26d,36dが各スプリング26e,36eの付勢力により又はそれらの付勢力に抗して移動することにより吸収される。よって、本発明では、フィルム12のテンションに影響を与えることなく、所定量のフィルムを所定の時間毎に速やかに搬送することができる。
【0055】
なお、上述した実施の形態では、巻取りアキュームレート機構33における一方の固定ローラ33aを巻取り用サーボモータ38の回転軸に固定し、巻取り用サーボモータ38が駆動して一方の固定ローラ33aが回転することにより、その一方の固定ローラ33aが押さえローラ37とともに挟持するフィルム12を巻取りアキュームレート機構33に向けて引き取るように構成したけれども、図示しないが、その一方の固定ローラ33aと別にピッチローラを設け、このピッチローラを巻取り用サーボモータ38の回転軸に固定し、このピッチローラとともに押さえローラ37がフィルムを挟持するように構成し、巻取り用サーボモータ38が駆動してそのピッチローラが回転することにより、押さえローラ37とそのピッチローラが挟持するフィルム12を巻取りアキュームレート機構33に向けて引き取るようにしても良い。
【符号の説明】
【0056】
10 フィルムの間欠搬送装置
12 フィルム
20 繰出し装置
22 フィルム繰出し機構
22a 繰出しフィルムロール
22c 巻出しモータ
23 繰出しアキュームレート機構
23a,23b 固定ローラ
23c 可動ローラ
23d サーボモータ
26 繰出しテンション付与装置
30 巻取り装置
32 フィルム巻取り機構
32a 巻取りフィルムロール
32c 巻取りモータ
33 巻取りアキュームレート機構
33a,33b 固定ローラ
33c 可動ローラ
33d サーボモータ
36 巻取りテンション付与装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量のフィルム(12)を巻取る巻取り装置(30)と、前記巻取り装置(30)が巻取る前記所定量のフィルム(12)を繰出す繰出し装置(20)とを備えたフィルムの間欠搬送装置であって、
前記繰出し装置(20)は、前記フィルム(12)を常時一定量で繰出すフィルム繰出し機構(22)と、前記フィルム繰出し機構(22)から繰出される前記フィルム(12)を蓄えて一時に排出する繰出しアキュームレート機構(23)とを備え、
前記巻取り装置(30)は、前記繰出しアキュームレート機構(23)により一時に排出された量の前記フィルム(12)を前記繰出しアキュームレート機構(23)の排出と同時に一時に蓄える巻取りアキュームレート機構(33)と、前記巻取りアキュームレート機構(33)から排出される前記フィルム(12)を常時一定量で巻取るフィルム巻取り機構(32)とを備えた
ことを特徴とするフィルムの間欠搬送装置。
【請求項2】
繰出しアキュームレート機構(23)及び巻取りアキュームレート機構(33)は、フィルム(12)の搬送経路に沿って設けられた一対の固定ローラ(23a,23b,33a,33b)と、前記一対の固定ローラ(23a,23b,33a,33b)の中間を通過して前記フィルム(12)の搬送経路に直交する方向に移動可能な可動ローラ(23c,33c)と、前記可動ローラ(23c,33c)を移動させるサーボモータ(23d,33d)とをそれぞれ備える請求項1記載のフィルムの間欠搬送装置。
【請求項3】
フィルム繰出し機構(22)が、繰出しフィルムロール(22a)を回転させてフィルム(12)を繰出し前記繰出しフィルムロール(22a)の外径の変化に伴って前記繰出しフィルムロール(22a)の回転速度を変更可能に構成された巻出しモータ(22c)を備え、
フィルム巻取り機構(32)が、巻取られたフィルム(12)から成る巻取りフィルムロール(32a)の外径の変化に伴って前記巻取りフィルムロール(32a)の回転速度を変更可能に構成された巻取りモータ(32c)を備える請求項1又は2記載のフィルムの間欠搬送装置。
【請求項4】
フィルム繰出し機構(22)から繰出されて繰出しアキュームレート機構(23)に蓄えられるフィルム(12)に張力を加える繰出しテンション付与装置(26)が繰出し装置(20)に設けられ、
巻取りアキュームレート機構(33)により排出されてフィルム巻取り機構(32)に巻取られるフィルム(12)に所定のテンションを加える巻取りテンション付与装置(36)が巻取り装置(30)に設けられた請求項1ないし3いずれか1項に記載のフィルムの間欠搬送装置。
【請求項5】
フィルム繰出し機構(22)により常時一定量で繰出されたフィルム(12)の蓄えと排出を繰出しアキュームレート機構(23)により繰り返し、
前記繰出しアキュームレート機構(23)により排出された量の前記フィルム(12)を前記繰出しアキュームレート機構(23)の排出と同時に巻取りアキュームレート機構(33)により蓄え、
前記巻取りアキュームレート機構(33)が蓄えた前記フィルム(12)を前記繰出しアキュームレート機構(23)の次回の排出時までに常時一定量で排出してフィルム巻取り機構(32)により巻取る
ことを特徴とするフィルムの間欠搬送方法。
【請求項6】
繰出しアキュームレート機構(23)及び巻取りアキュームレート機構(33)におけるフィルム(12)の蓄えは、前記フィルム(12)の搬送経路に沿って設けられた一対の固定ローラ(23a,23b,33a,33b)から、前記一対の固定ローラ(23a,23b,33a,33b)の中間におけるフィルム(12)が掛け回されて前記フィルム(12)の搬送経路に直交する方向に移動可能な可動ローラ(23c,33c)をサーボモータ(23d,33d)により離間させることにより行われ、
前記繰出しアキュームレート機構(23)及び前記巻取りアキュームレート機構(33)におけるフィルム(12)の排出は、前記可動ローラ(23c,33c)を前記サーボモータ(23d,33d)により前記一対の固定ローラ(23a,23b,33a,33b)に接近させることにより行われる請求項5記載のフィルムの間欠搬送方法。
【請求項7】
フィルム(12)がロール状に巻回された繰出しフィルムロール(22a)を回転させることによりフィルム繰出し機構(22)による前記フィルム(12)の繰出しが行われ、前記繰出しフィルムロール(22a)の外径の減少に伴って前記繰出しフィルムロール(22a)の回転速度を早めて繰出される前記フィルム(12)の量を常時一定量とし、
フィルム(12)をロール状に巻回することによりフィルム巻取り機構(32)による巻取りが行われ、巻回されたフィルム(12)から成る巻取りフィルムロール(32a)の外径の増加に伴って前記フィルムロール(32a)の回転速度を減少させて巻取られる前記フィルム(12)の量を常時一定量にする請求項5又は6記載のフィルムの間欠搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−12192(P2012−12192A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151916(P2010−151916)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】