フィルムカット装置
【課題】フィルム一体化成形品を製造において、ロール状フィルムのロスを少なくするとともに、あらゆる幅のロール状フィルムに対応する。
【解決手段】ロール状フィルム60からシート状フィルム14を作製するフィルムカット装置であって、ロール状フィルムの先端部を吸引して吸着保持した状態で移動することにより該先端部を引き出すフィルムチャックユニット64と、引き出されたフィルムの部分を幅方向に切断してシート状フィルムを作製するカッタユニット66と、シート状フィルムを吸引して吸着する吸着面70aを備える吸着テーブル70とを有する。フィルムチャックユニットは、ロール状フィルムの先端部を吸着保持して設定量移動し、切断時には吸着保持状態を維持し、切断によって作製されたシート状フィルムを吸着保持した状態で吸着テーブルに移動し、シート状フィルムがシート吸着テーブルに移動した後、吸引を停止する。
【解決手段】ロール状フィルム60からシート状フィルム14を作製するフィルムカット装置であって、ロール状フィルムの先端部を吸引して吸着保持した状態で移動することにより該先端部を引き出すフィルムチャックユニット64と、引き出されたフィルムの部分を幅方向に切断してシート状フィルムを作製するカッタユニット66と、シート状フィルムを吸引して吸着する吸着面70aを備える吸着テーブル70とを有する。フィルムチャックユニットは、ロール状フィルムの先端部を吸着保持して設定量移動し、切断時には吸着保持状態を維持し、切断によって作製されたシート状フィルムを吸着保持した状態で吸着テーブルに移動し、シート状フィルムがシート吸着テーブルに移動した後、吸引を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状のフィルムからシート状のフィルムを作製するフィルムカット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図柄を有する樹脂フィルム、例えば図柄を印刷したアクリルフィルムを樹脂成形品の表面に一体的に貼り付け、樹脂成形品のデザイン性を高めることが行われている。このような樹脂成形品(フィルム一体化成形品)は、例えば、自動車のコンソールやドアトリム、スイッチベース等の内装部品、携帯電話、ノート型コンピュータに使用されている。
【0003】
また、特許文献1に記載するように、埋め込み体を少なくとも部分的に埋め込んだフィルムが表面に貼り付けられたフィルム一体化成形品が知られている。このようなフィルム一体化成形品は、あたかも象嵌品のように見える。埋め込み体は、例えば金属、紙、布、ガラス、突き板、皮革などの材料で作製され、例えば、メーカーのロゴやワンポイント意匠形状など種々の形状にデザインされている。
【0004】
このようなフィルムを表面に備えるフィルム一体化成形品は、例えば、以下の順序にしたがって製造される。
【0005】
まず、フィルム(または埋め込み体が貼り付けられたフィルム)の周縁部を、外側表面(フィルム一体化成形品が完成したときに外側に位置する表面)を射出成形金型の可動型の成形面に向けた状態で、クランプ装置によって可動型のパーティング面(合わせ面)に固定する。
【0006】
次に、ヒータの加熱によってフィルムを軟化させるとともに、可動型の成形面を囲むように合わせ面に形成された吸引溝や成形面内に形成された吸引孔を介して軟化したフィルムを吸引する。それにより、フィルムが可動型の成形面に密着する。また、フィルムに埋め込み体が貼り付けられている場合、埋め込み体はフィルムでその周囲を押さえ込まれる。
【0007】
続いて、可動型を固定型に移動させて金型を閉じ、成形機のノズルから溶融樹脂を金型内に射出する。
【0008】
そして、射出樹脂の冷却後、金型を開け、成形品を取り出し、成形品周縁部の余白フィルムをトリミングすることにより、フィルム(または埋め込み体を埋め込んだフィルム)を表面に備えるフィルム一体化成形品が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4128930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述のフィルム一体化成形品の製造において、以下の問題がある。
【0011】
具体的に説明すると、フィルム一体化成形品に使用されるフィルムは、製造上且つ搬送上の理由から、芯に巻かれてロール状にされている。ロール状のフィルムを用いてフィルム一体化成形品を製造する場合、まず、ロール状フィルムを送るフィルム送り装置によって該フィルムの先端部を射出成形装置の金型近傍位置に送り、その位置でフィルムの先端部をフィルムホールドユニットが保持する。フィルムホールドユニットは、射出成形金型の合わせ面に沿って移動し、保持するフィルムがキャビティ側の合わせ面(そのキャビティを含めて)を覆うように該フィルムを搬送する。また、フィルムホールドユニットは、このとき、フィルムが、該フィルムをパーティング面のキャビティの全周囲に押さえつけるメインクランプ装置と該パーティング面との間を通過するように搬送する。
【0012】
次に、フィルムホールドユニットの移動によってメインクランプ装置とキャビティ側の合わせ面との間を通過して越えたロール状フィルムの先端部を、サブクランプ装置によって該合わせ面に押さえつけて固定する。サブクランプ装置によってフィルムの先端部の固定が完了すると、フィルムホールドユニットはフィルムのホールドを解除して退避し、続いてメインクランプ装置によってフィルムを合わせ面に固定する。その後、ヒートカッタ装置の刃をロール状フィルム本体とメインクランプ装置との間に位置するフィルムの部分に接触させ、その刃を加熱することによってフィルム幅方向に溶融切断する。
【0013】
このような製造方法にしたがい、フィルムの搬送方向に、フィルム送り装置、ヒートカッタ装置、メインクランプ装置、サブクランプ装置の順に、これらの装置が射出成形装置に一体的に略直線上に設置される。
【0014】
しかし、この場合、ヒートカッタ装置とメインクランプ装置の間に位置するフィルムの部分が無駄になる。また、製造するフィルム一体化成形品の形状が変わる場合、金型を新規に製作することになるが、このヒートカッタ装置は金型に組み込まれる装置なので、その都度に使用するロールフィルム幅に合せたヒートカッタ装置を製作されるのが通例である。
【0015】
さらに、フィルム送り装置が射出成形装置に一体的に設置されているので、新しいロール状フィルムをフィルム送り装置にセットする場合、射出成形装置の運転を停止させる必要がある。その結果、射出成形装置の稼働率が低下し、フィルム一体化成形品の生産効率が低下する。さらにまた、重いロール状フィルムを金型(フィルム送り装置)にセットすることは、作業者に大きな負担を強いるものであった。
【0016】
そこで、本発明はロール状フィルムを使用してフィルム一体化成形品を製造するにあたり、ロール状フィルムのロスを少なくするとともに、金型内にヒートカッタ装置の組み込みを必要とせず、装置側に組み込まれたヒートカッタ装置によりあらゆる幅のロール状フィルムを切断することを課題とする。また、本発明は、フィルム一体化成形品を作製する射出成形装置の稼働率の低下を抑制し、且つフィルム交換時のセットの労力を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明によれば、
ロール状フィルムをその幅方向に切断してシート状フィルムを作製するフィルムカット装置であって、
ロール状フィルムを回転可能に且つ交換可能に支持するフィルムロール支持機構と、
ロール支持機構に支持されているロール状フィルムの先端部を吸引して吸着保持した状態で移動することにより該先端部を引き出すフィルムチャックユニットと、
フィルムチャックユニットが引き出したロール状フィルムの部分をフィルム幅方向に切断してシート状フィルムを作製する刃を備えるカッタユニットと、
シート状フィルムを吸引により吸着する吸着面を備えるシート吸着テーブルとを有し、
フィルムチャックユニットが、ロール状フィルムの先端部を吸着保持して設定量移動し、カッタユニットによるフィルムの切断時には吸着保持状態を維持し、カッタユニットによる切断によって作製された上記設定量に対応する長さのシート状フィルムを吸着保持した状態でシート吸着テーブルに移動し、且つシート状フィルムがシート吸着テーブル上に位置したときに吸引を停止するように構成されているフィルムカット装置が提供される。
【0018】
また、請求項2に係る発明によれば、
フィルムチャックユニットが、
フィルムの反シート吸着テーブル側の表面を吸引して吸着保持する吸着パッドと、
吸着パッドを支持し、吸着パッドを介してシート状フィルムをシート吸着テーブルの吸着面に押し付けるエアシリンダとを有し、
シート吸着テーブルが、
フィルムチャックユニットがシート状フィルムを吸着面に押し付けた後から該シート状フィルムの吸引を開始し、
フィルムチャックユニットが、
シート吸着テーブルがシート状フィルムの吸引を開始した後から吸着パッドの吸引を停止し、エアシリンダを介して吸着パッドをシート状フィルムから離間させるフィルムカット装置が提供される。
【0019】
さらに、請求項3に係る発明によれば、
シート吸着テーブルに吸着されているシート状フィルムの表面上を転動するローラを有するフィルムカット装置が提供される。
【0020】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、
ローラがフィルムチャックユニットに設けられ、
フィルムチャックユニットが移動することにより、ローラがシート吸着テーブルに吸着されているシート状フィルムの表面上を転動するフィルムカット装置が提供される。
【0021】
加えて、請求項5に係る発明によれば、
フィルム吸着テーブルは、他の装置がフィルム吸着テーブル上のシート状フィルムをハンドリングするとき、吸引を停止するように構成されているフィルムカット装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロール状フィルムからシート状フィルムが作製される。また、ロール状フィルムの先端部を吸着保持した状態のフィルムチャックユニットの移動量を変更することにより、所望の長さのシート状フィルムを作製することができる。例えば、フィルム一体化成形品の作製に必要な長さと、フィルムを射出成形装置の金型に固定するために必要な固定代(しろ)(例えばクランプしろ)とをたした長さのシート状フィルムを作製することが可能になる。このようなシート状フィルムを射出成形装置の金型に固定してフィルム一体化成形品を作製すれば、フィルムのロスを少なくすることができる。
【0023】
また、カッタユニットは、フィルム一体化成形品を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロール状フィルムをその幅方向に切断できる刃を設置しておくことにより、幅が異なるロール状フィルムに変更されても、それに合わせてカッタユニットを作製する必要がなく、あらゆる幅のロール状フィルムに適用することができる。
【0024】
さらに、ロール状フィルムを、射出成形装置の金型に一体的に設けられたフィルム送り装置にセットする必要がないので、そのセットのために射出成形装置の運転を停止させる必要がなくなり、射出成形装置の稼働率を一定に維持することが可能になる。
【0025】
さらにまた、フィルムカット装置によって作製されたシート状フィルムは、ロール状フィルムに比べて金型へのセットが容易である。また、セットの自動化も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一例のフィルム一体化成形品の断面図である。
【図2】図1に示すフィルム一体化成形品の製造の流れを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るフィルム一体化成形品製造システムの上面図である。
【図4】フィルムカット装置の上面図である。
【図5】フィルムカット装置の側面図である。
【図6】シート搬送装置の側面図である。
【図7】シート搬送装置のハンドツールの断面図である。
【図8】埋め込み体貼り付け装置の側面図である。
【図9】射出成形装置の金型の断面図である。
【図10】フィルムカット装置によるフィルムシートの作製方法を示す図である。
【図11】図10に続く、フィルムカット装置によるフィルムシートの作製方法を示す図である。
【図12】フィルムカット装置からシート搬送装置にフィルムシートを受け渡す方法を説明するための図である。
【図13】埋め込み体貼り付け装置によるフィルムシートへの埋め込み体の貼り付け方法を説明するための図である。
【図14】シート搬送装置によるフィルムシートの金型への位置合わせを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、フィルム一体化成形品の一例として、埋め込み体を埋め込んだフィルムを表面に一体的に備えるフィルム一体化成形品を説明する。その後に、フィルム一体化成形品の製造システムを説明する。
【0028】
図1は、埋め込み体を埋め込んだフィルムを表面に一体的に備えるフィルム一体化成形品の断面を示している。また、図2は、そのフィルム一体化成形品の製造手順を簡略的に示している。
【0029】
図1に示すように、本発明に係るフィルム一体化成形品10は、樹脂成形品(例えば、形帯電話の筐体)12と、その表面に一体的に貼り付けられたフィルムシート14とから構成される。そのフィルムシート14には、埋め込み体16が埋め込まれている。また、このフィルム一体化成形品10は、射出成形装置によって作製される。
【0030】
フィルムシート14は、透明、半透明、または部分的に透明なベースフィルム14a(例えばアクリルフィルムシート)の一方の表面に印刷層14b(図柄パターンの層)を形成し、さらに印刷層14bの表面に接着層14c(接着剤の層)を形成して構成されたものである。接着層14cにより、フィルムシート14と樹脂成形品12とが接着する。この接着層14cを形成する接着剤は、射出樹脂の熱によって溶融し、常温では固化する接着剤である。なお、フィルムシート14は、印刷層がない、絵柄を有するベースフィルムの表面に接着層のみを形成したものであってもよい。
【0031】
埋め込み体16は、例えば文字やキャラクターなどの図柄やパターン形状の薄体であって、例えば、金属、紙、皮革、ゴム、布、突き板、ガラスなど、天然或いは人口素材による意匠性、触感として特徴のある材料で製作されている。
【0032】
次に、このようなフィルム一体化成形品10の製造の流れについて説明する。なお、ここでは、埋め込み体16の製造の流れについても説明する。
【0033】
まず、図2(A)に示すように、離型シート20上に感圧接着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesives)やホットメルト接着剤の層22を形成する。次に、埋め込み体16の材料(例えば金属)の層24を形成する。
【0034】
続いて、図2(B)に示すように、トムソン型やピナクル型により、PSA層22と材料層24とを、所望する埋め込み体16の形状に型抜きする。そして、図2(C)に示すように、材料層24(すなわち埋め込み体16)を保護する保護シート26を貼り付ける。これにより、埋め込み体シール28が完成する。
【0035】
次に、図2(D)に示すように、埋め込み体シール28の埋め込み体16を、PSA層22を介してフィルムシート14に貼り付ける。埋め込み体16は、印刷層14bおよび接着層14cが形成されていない側のベースフィルム14aの表面S1に貼り付けされる。
【0036】
そして、図2(E)に示すように、埋め込み体16が貼り付けられたフィルムシート14の周縁部を、射出成形装置の金型30の一方の型(可動型)30aの合わせ面30cに固定する。ヒータ(図示せず)によってフィルムシート14を軟化するとともに、可動型30aの吸引孔30a1によって軟化したフィルムシート14を成形面30a2に向かって吸引する。そして、フィルムシート14を成形面30aに密着させる。このとき、埋め込み体16がフィルムシート14に埋まり込む。
【0037】
次に、金型30を閉じ、樹脂12が固定型30bのスプル30b1の経路を通って金型30内に射出される。金型30内の樹脂が冷却した後、金型30を開け、フィルムシート14が表面に密着一体化した成形品を取り出し、その成形品周縁部の余白フィルムをトリミングすると、完成品として図1に示すフィルム一体化成形品10が得られる。
【0038】
ここからは、上述のフィルム一体化成形品10の製造方法に基づく製造システムについて説明する。
【0039】
図3の上面図(レイアウト図)に示すフィルム一体化成形品10を製造するシステムは、概略4つの装置から構成される。
【0040】
フィルム一体化成形品10の製造システム50は、ロール状のフィルム(ロールフィルム)を切断してシート状のフィルム(フィルムシート14)を作製するフィルムカット装置52と、フィルムシート14を搬送するシート搬送装置54と、フィルムシート14に埋め込み体16を貼り付ける埋め込み体貼り付け装置56と、フィルム一体化成形品10を成形する射出成形装置58とを有する。
【0041】
フィルムカット装置52は、図3の部分拡大図である図4および側面図である図5に示すように、ロールフィルム60から、フィルム一体化成形品10に使用するフィルムシート14を作製する装置である。フィルムカット装置52は、ロールフィルム60を支持するロール支持台62と、ロールフィルム60の先端部を引き出すフィルムチャックユニット64と、引き出されたロールフィルム60の部分60aをその幅方向に切断してフィルムシート14を作製するカッタユニット66と、フィルムシート14を吸着する吸着テーブル70とから構成されている。
【0042】
フィルムカット装置52のロール支持台62は、ロールフィルム60を回転可能に且つ交換可能に、さらに所定のテンションで引き出し可能に支持するように構成されている。また、ロール支持台62は、ロールフィルム60から引き出した部分60aの接着層(フィルムシート14の接着層14cに対応)が形成されている表面S2が上側(反吸着テーブル70側)に向くように、ロールフィルム60を支持している。なお、このロールフィルム60は、接着層を外側に向けて芯72に巻かれている。さらに、フィルム一体化成形品を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロールフィルム60を支持できるように構成されている。例えば、ロールフィルム60の芯72の各端を支持する支持台62の2つの支持部分が、接近方向または離間方向にロールフィルム60の幅方向(Y軸方向)に移動可能に構成されている。
【0043】
フィルムチャックユニット64は、ロールフィルム60の先端部を保持してロールフィルム60の引き出し方向(X軸方向)に移動可能に構成されており、ボールねじ74とサーボモータ76とからなる駆動装置によって駆動され、ロールフィルム60本体からその先端部を任意の設定量引き出す。
【0044】
そのために、フィルムチャックユニット64は、ロールフィルム60の先端部を引き出すときに該先端部の接着層側の表面S2を吸引して吸着保持する複数の吸着パッド78を有する。これらの吸着パッド78は、ロールフィルム60の幅方向(Y軸方向)に並んでフィルムチャックユニット64に設けられている。複数の吸着パッド78は、真空ポンプ(図示せず)またはコンプレッサに接続された真空エジェクタ(図示せず)に接続されており、エアーバルブによってフィルムの着脱を制御できるようにしている。
【0045】
複数の吸着パッド78はまた、エアシリンダ79によって支持されており、このエアシリンダ79によってZ軸方向に移動する。このエアシリンダ79による吸着パッド78のZ軸方向の移動についての詳細は後述する。
【0046】
さらに、フィルムチャックユニット64は、Y軸方向に延びる回転中心線を中心として自由回転するローラ80を有する。このローラ80は、詳細は後述するが、吸着テーブル70がフィルムシート14を吸着しているとき、フィルムシート14の接着層側の表面S2上を転がり、フィルムシート14を吸着テーブル70に密着させる役割をする。また、ローラ80は、その両端それぞれが、チャックユニット64に設けられた2つのエアシリンダ82それぞれのZ軸方向に進退するピストンロッドの先端に支持されている。これらのエアシリンダ82により、ローラ80は、吸着パッド78の吸着保持中、後退した位置(フィルムシート14から離れた位置)で待機する。
【0047】
カッタユニット66は、フィルムチャックユニット64によって引き出されたロールフィルム60の部分60aを幅方向(Y軸方向)に、フィルムチャックユニット64の吸着パッド78が吸着保持する部分と支持台62との間で切断する刃を備えるヒートカッタ84と、ヒートカッタ84をZ軸方向に進退させる直動機構86とを有する。直動機構86により、ヒートカッタ84は、X軸方向に移動するチャックユニット64と干渉しない位置まで後退(上昇)して待機し、切断時に降下してチャックユニット64によって引き出されたロールフィルム60の部分60aをその刃によって溶融切断する。チャックユニット64がカッタユニット66の切断位置CpからX軸方向に所定の長さだけロールフィルム60の先端を引き出し、その後カッタユニット66が引き出されたロールフィルム60の部分60aを切断することにより、所定の長さのフィルムシート14が得られる。
【0048】
なお、ヒートカッタ84の刃のY軸方向の長さは、フィルム一体化成形品を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロールフィルム60に対応できる長さにされている。これにより、あらゆる幅のロールフィルム60をその幅方向に切断することができる。
【0049】
吸着テーブル70は、フィルムシート14を吸引して吸着することにより平坦状態にするテーブルであって、フィルムシート14全体を吸着できる大きさの平坦な吸着面70aを備えている。具体的には、吸着テーブル70の吸着面70aは、フィルム一体化成形品を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロールフィルム60から作製されたフィルムシート14全体を吸着できる大きさにされている。吸着面70aには複数の吸引孔70bが形成され、フィルムシート14は、この吸引孔70bを介して、真空ポンプ(図示せず)またはコンプレッサに接続された真空エジェクタ(図示せず)によって吸引される。その結果、フィルムシート14は、その全体が吸着テーブル70に平坦状態で密着する。なお、フィルムチャックユニット64の吸着パッド78による吸着と、吸着テーブル70による吸着は、例えば電磁弁によって別々に制御される。
【0050】
また、図4および図5に示すように、吸着テーブル70の吸着面70aには、部分的に吸着面70aを覆う吸引孔シールテープ92が貼り付けられている。これは、フィルムシート14の大きさに対応した大きさのテープであって、フィルムシート14の大きさが吸着テーブル70に比べて小さい場合に、フィルムシート14に対向しない吸引孔70bを塞ぐために使用される。これは、吸引孔シールテープ92がない状態で真空ポンプまたは真空エジェクタに接続されたコンプレッサを作動させると、フィルムシート14に対向しない吸引孔70bが外気を吸引し、吸着テーブル70が所定の吸着力でフィルムシート14を吸着できなくなるからである。
【0051】
なお、フィルムカット装置52によるフィルムシート14の作製の詳細については後述する。
【0052】
図3に戻り、シート搬送装置54は、フィルムカット装置52が作製したフィルムシート14を、フィルムカット装置52から埋め込み体貼り付け装置56に、また埋め込み体貼り付け装置56から射出成形装置58に搬送するように構成されている。
【0053】
シート搬送装置54は、図6に示すように、フィルムシート14を平坦状態で保持するハンドツール94と、ハンドツール94を先端に備えて該ツール94の位置や姿勢を変更するロボット96と、ロボット96をX軸方向に移動させる直動機構98とを有する。
【0054】
ハンドツール94は、図7に示すように、フィルムシート14を吸引して吸着保持する吸着プレート100と、吸着プレート100を保持するプレートベース102と、プレートベースを保持してロボット96の先端に固定されたメインベース104とを有する。
【0055】
吸着プレート100は、平坦な吸着面100aを備え、その吸着面100aには複数の吸引孔100bが形成されている。複数の吸引孔100bは、真空ポンプ(図示せず)またはコンプレッサに接続された真空エジェクタ(図示せず)に接続されている。なお、フィルムカット装置52の吸着テーブル70による吸着と、シート搬送装置54の吸着プレート100による吸着は、例えば電磁弁(図示せず)によって別々に制御される。
【0056】
プレートベース102は、吸着プレート100の吸着面100aと直交する方向に移動可能にメインベース104に支持されている。具体的には、メインベース104には、プレートベース102に取付けられた吸着面100aの直交方向に延びる複数のガイドロッド106それぞれを該直交方向に摺動可能に支持する複数のガイドブシュ108が設けられている。また、メインベース104とプレートベース102との間には、両者を離間するように付勢するスプリング110が配置されている。
【0057】
図6に戻り、ロボット96は、例えば、6軸のロボットであって、ロボット96をX軸方向に移動させる直動機構98と協働し、フィルムカット装置52の吸着テーブル70から埋め込み体貼り付け装置56に、また埋め込み体貼り付け装置56から射出成形装置58の金型30にフィルムシート14を搬送する(ハンドツール94を移動させる)。
【0058】
図3に戻り、埋め込み体貼り付け装置56は、シート搬送装置54のハンドツール94が保持するフィルムシート14に埋め込み体16を貼り付けするように構成されている。
【0059】
具体的には、埋め込み体貼り付け装置56は、図8に示すように、シート搬送装置54のハンドツール94に保持された状態のフィルムシート14が載置される載置面112aを備えるステージ112と、ステージ112に形成された貫通孔112bを介して埋め込み体16をフィルムシート14に押し付けるエアシリンダ114と、ロール状の埋め込み体シール28(ロールシール116)を支持する支持軸118と、保護シート26を回収する保護シート回収リール120と、埋め込み体シール28の離型シート20を回収する離型シート回収リール122とを有する。なお、埋め込み体シール28は、離型シート20を外側に向けて芯124に巻かれている。
【0060】
また、埋め込み体貼り付け装置56は、埋め込み体シール28を支持軸118から、ステージ112の貫通孔112bとエアシリンダ114との間を介して、保護シート回収リール122に案内するガイドローラ126,128と離型シート20を離型シート回収リール120に案内するガイドローラ130とを有する。
【0061】
ステージ112は、板形状であって、フィルムシート14がシート搬送装置54によって載置される平坦な載置面112aを備えるとともに、貫通孔112bが形成されている。この貫通孔112bは、載置面112a上のフィルムシート14に、載置面112aの反対側から埋め込み体16を貼り付けるために形成されている。なお、載置面112aの反対側の表面は、理由は後述するが、埋め込み体シール28のPSA層22が付着しないように不粘着処理されている。
【0062】
エアシリンダ114は、ステージ112の貫通孔112bに進退する押圧部材114aを、そのピストンロッドの先端に備える。エアシリンダ114は、二点鎖線に示すように押圧部材114が後退しているときにステージ112の貫通孔112bと押圧部材114aとの間に配置された、離型シート20が離型シート回収リール120によって剥がされた埋め込み体シール28の埋め込み体16を、押圧部材114aによって保護シート26を介して貫通孔112b内に向かって押し進める。これにより、埋め込み体16をフィルムシート14に貼り付ける。なお、このとき、押圧部材114aによって貫通孔112bに向かって押し進められていない他の埋め込み体16がステージ112に接触するが、不粘着処理によって埋め込み体16のPSA層22がステージ112に付着することはない。
【0063】
保護シート回収リール120は、埋め込み体シール28の保護シート26を巻き取って回収するリールであって、サーボモータ(図示せず)によって断続的に回転駆動される。この保護シート回収リール120が断続的に回転することにより、支持軸118から、ステージ112の貫通孔112bとエアシリンダ114との間に埋め込み体シール28の埋め込み体16が断続的に配置される。
【0064】
離型シート回収リール122は、埋め込み体シール28の離型シート20を巻き取って回収するリールであって、サーボモータ(図示せず)によって断続的に回転駆動される。離型シート回収リール122は、断続的に回転し、ステージ112の貫通孔112bとエアシリンダ114との間より上流側(埋め込み体シール28の移動方向に関して)で、埋め込み体シール28から離型シート20を剥がして回収する。
【0065】
図3に戻り、射出成形装置58は、ホッパ132に収容されている固形の樹脂材料を溶融し、溶融した樹脂を所定の射出圧力で金型30内に射出する。金型30は、X軸方向に移動する可動型30aと溶融した樹脂の経路になるランナーとスプルが形成された固定型30bから構成されている。また、金型30は、フィルムシート14が固定される平坦な合わせ面30cを備えている。この合わせ面30cに、シート搬送装置54の吸着プレート100に吸着保持された状態のフィルムシート14を固定できるように、射出成形装置58は構成されている。
【0066】
具体的には、射出成形装置58の金型30の可動型30aは、図9に示すように、フィルムシート14の周縁部を可動型30aの平坦な合わせ面30cに固定するクランプ装置134を有する。クランプ装置134がフィルムシート14の周縁部を合わせ面30cにおいてキャビティの全周囲に固定できるように、シート搬送装置54のハンドツール94の吸着プレート100は、周縁部を残してフィルムシート14を吸着保持する大きさに設計されている。なお、図では2つのクランプ装置134のみ示されているが、クランプ装置134は、フィルムシート14の周縁部を可動型30aの合わせ面30c全体に固定できるように複数基該可動型30aに設けられている。
【0067】
クランプ装置134は、フィルムシート14の周縁部と一端が接触するクランププレート136と、クランププレート136の他端を支持するロッド138を回転させるロータリアクチュエータ(図示せず)とを有する。ロータリアクチュエータがロッド138を回転させることにより、クランププレート136がフィルムシート14を可動型30aの合わせ面30cに固定する(クランプする)、またはリリースする(アンクランプする)。また、クランプ装置134、アンクランプ状態のときに、クランププレート136が合わせ面30cより可動型30a側に完全に退避するように構成されている(クランププレート136が完全に退避できるスペース140が可動型30aに形成されている)。これにより、クランプ装置134のクランクプレート136と接触することなく、シート搬送装置54のロボット96は、フィルムシート14を可動型30aの合わせ面30cに位置合わせすることができる。
【0068】
ここからは、フィルム一体化成形品10の製造の流れ、特に、ロールフィルム60からフィルムシート14が作製され、射出成形装置58の金型30の可動型30aに埋め込み体16が貼り付けられたフィルムシート14が固定されるまでの流れについて説明する。
【0069】
まず、ロールフィルム60からフィルムシート14が作製される流れについて、図10〜12を参照しながら説明する。
【0070】
図10(A)に示すように、フィルムチャックユニット64が、先端がカッーユニット66の切断位置Cpに位置するロールフィルム60の先端部の上方に位置し、そのエアシリンダ79が、吸着パッド78をZ軸方向に移動させ、吸着パッド78をロールフィルム60の先端部に接触させる。吸着パッド78は、ロールフィルム60の先端部に接触した状態で吸引を開始し、ロールフィルム60の先端部を吸着保持する。これにより、吸着パッド78は、ロールフィルム60の先端部を容易に且つ確実に吸着保持することができる。
【0071】
次に、フィルムチャックユニット64が、吸着テーブル70に向かって移動し、図10(B)に示すように、引き出したロールフィルム60の先端がカッタユニット66の切断位置Cpから所定の距離L離れた位置に到達したときに停止する。そして、カッタユニット66のヒートカッタ84が降下し、ロールフィルム60の部分60aを切断する。これにより、長さLのフィルムシート14が作製される。
【0072】
ヒートカッタ84による切断の完了後、フィルムチャックユニット64が、その吸着パッド78がフィルムシート14を吸着保持した状態で、吸着テーブル70の上方に向かって移動する。図11(A)に示すように、フィルムシート14が吸着テーブル14上の所定の位置(吸引孔シールテープ92が貼り付けされていない部分上の位置)に到達すると、フィルムチャックユニット64は停止する。
【0073】
フィルムチャックユニット64が停止すると、そのエアシリンダ79が、フィルムシート14を吸着保持した状態の吸着パッド78を吸着テーブル70に向かって移動させる。これにより、フィルムシート14が吸着テーブル70に押し付けられて固定される。なお、フィルムチャックユニット64の停止位置を調整すれば、フィルムシート14を吸着テーブル70の任意の位置に押し付けて固定することができる。
【0074】
フィルムシート14が吸着テーブル70に押し付け固定されると、吸着テーブル70がフィルムシート14を吸引し始める。それと同時に、フィルムチャックユニット64の吸着パッド78が吸引を停止し、エアシリンダ79によってフィルムシート14から離れる。さらに同時にまたはその後に、図11(B)に示すように、エアシリンダ82によってローラ80が降下し、フィルムシート14に接触する。そして、フィルムチャックユニット64が、カッタユニット66に向かって移動し、ローラ80がフィルムシート14の表面上を転動する。これらにより、フィルムシート14が吸着テーブル70に密着する。
【0075】
なお、フィルムチャックユニット64がフィルムシート14の上方を往復動することにより、ローラ80がフィルムシート14の表面上を複数回転動するようにしてもよい。これにより、フィルムシート14が吸着テーブル70により密着する。
【0076】
フィルムチャックユニット64が移動してカッタユニット66の近傍位置に到達すると、シート搬送装置54のハンドツール94が移動し、吸着テーブル70に吸着されているフィルムシート14の上方に、吸着プレート100の吸着面100aとフィルムシート1とが平行になる姿勢で停止する。続いて、ハンドツール94は降下し、図12(A)に示すように、フィルムシート14の表面にハンドツール94の吸着プレート100を押し当てる。これにより、フィルムシート14は、吸着テーブル70と吸着プレート100との間に平坦状態で挟持される。
【0077】
フィルムシート14が吸着テーブル70と吸着プレート100との間に挟持されると、吸着テーブル70がフィルムシート14の吸引を停止する。その直後に、吸着プレート100がフィルムシート14の吸引を開始する。これにより、フィルムシート14が、吸着テーブル70から吸着プレート100に平坦状態で受け渡される。そして、図12(B)に示すように、シート搬送装置54は、ハンドツール94を上昇させ、フィルムシート14を埋め込み体貼り付け装置56に向かって搬送する。
【0078】
フィルムカット装置52からフィルムシート14を受け取ると、シート搬送装置54は、ハンドツール94が保持するフィルムシート14を、図13(A)に示すように、埋め込み体貼り付け装置56のステージ112上に配置する。具体的には、シート搬送装置54は、吸着プレート100によるフィルムシート14の吸着保持を継続しつつ、埋め込み体16が貼り付けられるフィルムシート14の部分をステージ112の貫通孔112bに位置合わせした状態で、フィルムシート14をステージ112に押し当てる。これにより、フィルムシート14は、吸着プレート100とステージ112との間に平坦状態で挟持される。
【0079】
フィルムシート14がステージ112上に載置されると、図13(B)に示すように、埋め込み体貼り付け装置56のエアシリンダ114の押し子114aが上昇し、保護シート26を介して埋め込み体16をフィルムシート14に貼り付ける。このとき、シート搬送装置54のハンドツール94の吸着プレート100がフィルムシート14を支持する役割をする。これにより、埋め込み体16が平坦状態のフィルムシート14に強く密着することができる。
【0080】
フィルムシート14への埋め込み体16の貼り付けが完了すると、シート搬送装置54は、埋め込み体貼り付け装置56から射出成形装置58の金型30に向かって、埋め込み体16が貼り付けられたフィルムシート14を搬送する。
【0081】
図14(A)に示すように、シート搬送装置54は、フィルムシート14が可動型30aの合わせ面30cと平行する状態で、ハンドツール94を可動型30aと固定型30bとの間に移動させる。そして、ハンドツール94を可動型30aに向かって移動させることにより、図14(B)に示すように、フィルムシート14を可動型30aの合わせ面30cに位置合わせする。この位置合わせの完了後、図9に示すように、クランプ装置134によってフィルムシート14を可動型30aの合わせ面30cに固定する。これにより、埋め込み体16が貼り付けられたフィルムシート14は、平坦状態で可動型30aの合わせ面30cに固定される。
【0082】
フィルムシート14が可動型30aの合わせ面30cに固定されると、シート搬送装置54のハンドツール94の吸着プレート100によるフィルムシート14の吸引が停止し、ハンドツール94が、可動型30aと固定型30bとの間から退避する。そして、射出成形装置58は、金型30を閉じて、埋め込み体16が少なくとも部分的に埋め込まれたフィルムシート14を表面に備えるフィルム一体化成形品10を作製する。
【0083】
本実施形態によれば、ロールフィルム60からフィルムシート14が作製される。また、ロールフィルム60の先端部を吸着保持した状態のフィルムチャックユニット64の移動量を変更することにより、所望の長さのシートフィルム14を作製することができる。例えば、フィルム一体化成形品10の作製に必要な長さと、フィルムを射出成形装置58の金型30に固定するために必要なクランプ代(しろ)(クランプ装置134がクランプする部分)とをたした長さのフィルムシート14を作製することが可能になる。このようなフィルムシート14を射出成形装置58の金型30に固定してフィルム一体化成形品10を作製すれば、フィルムのロスを少なくすることができる。
【0084】
また、カッタユニットは、フィルム一体化成形品10を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロールフィルム60をその幅方向に切断できる刃を設置しておくことにより、幅が異なるロール状フィルムに変更されても、それに合わせてカッタユニットを作製する必要がなく、あらゆる幅のロールフィルム60に適用することができる。
【0085】
さらに、ロールフィルムを、射出成形装置の金型に一体的に設けられたフィルム送り装置にセットする必要がないので、そのセットのために射出成形装置の運転を停止させる必要がなくなり、射出成形装置の稼働率を一定に維持し、生産効率を上げることが可能になる。
【0086】
さらにまた、フィルムカット装置52によって作製されたフィルムシートは、ロールフィルム60に比べて金型30へのセットが容易である。また、セットの自動化も容易である。したがって、上述するように、ロボット96がフィルムシート14を金型に位置合わせすることが可能になる。
【0087】
加えて、ロールフィルム60の先端部を吸着保持して移動することにより該先端部を引き出すフィルムチャックユニット64が、引き出されたロールフィルム60の部分60aをカッタユニット66が切断するときに該先端部を固定する手段として機能する。また、カッタユニット66の切断によって作製されたフィルムシート14を吸着テーブル70に搬送する手段として機能する。これにより、別途切断時のフィルム固定手段やフィルム搬送手段を設ける必要がなく、ロールフィルム60からフィルムシート14を作製するフィルムカット装置52の構成がシンプルになる。
【0088】
加えてまた、ロールフィルム60から作製されたフィルムシート14が吸着テーブル70に吸着固定されるので、このフィルムシート14を、フィルム一体化成形品を製造する射出成形装置58にフィルムシート14を搬送する装置54が容易にハンドリングすることができる。
【0089】
さらに加えて、従来の方法に比べ、金型内に送り込まれたロール状フィルムの先端を固定するクランプ装置やフィルムを切断するヒートカッタを設置する必要がなくなるので金型のコストも安くなり、メンテナンスも容易になる。
【0090】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0091】
例えば、上述の実施形態では、フィルム一体化成形品は、埋め込み体がフィルムに埋まり込んだフィルム一体化成形品であったが、本発明はこれに限らない。単にフィルムを表面に一体的に備えるフィルム一体化成形品であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
14 シート状フィルム(フィルムシート)
60 ロール状フィルム(ロールフィルム)
64 フィルムチャックユニット
66 カッタユニット
70 シート吸着テーブル(吸着テーブル)
70a 吸着面
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状のフィルムからシート状のフィルムを作製するフィルムカット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図柄を有する樹脂フィルム、例えば図柄を印刷したアクリルフィルムを樹脂成形品の表面に一体的に貼り付け、樹脂成形品のデザイン性を高めることが行われている。このような樹脂成形品(フィルム一体化成形品)は、例えば、自動車のコンソールやドアトリム、スイッチベース等の内装部品、携帯電話、ノート型コンピュータに使用されている。
【0003】
また、特許文献1に記載するように、埋め込み体を少なくとも部分的に埋め込んだフィルムが表面に貼り付けられたフィルム一体化成形品が知られている。このようなフィルム一体化成形品は、あたかも象嵌品のように見える。埋め込み体は、例えば金属、紙、布、ガラス、突き板、皮革などの材料で作製され、例えば、メーカーのロゴやワンポイント意匠形状など種々の形状にデザインされている。
【0004】
このようなフィルムを表面に備えるフィルム一体化成形品は、例えば、以下の順序にしたがって製造される。
【0005】
まず、フィルム(または埋め込み体が貼り付けられたフィルム)の周縁部を、外側表面(フィルム一体化成形品が完成したときに外側に位置する表面)を射出成形金型の可動型の成形面に向けた状態で、クランプ装置によって可動型のパーティング面(合わせ面)に固定する。
【0006】
次に、ヒータの加熱によってフィルムを軟化させるとともに、可動型の成形面を囲むように合わせ面に形成された吸引溝や成形面内に形成された吸引孔を介して軟化したフィルムを吸引する。それにより、フィルムが可動型の成形面に密着する。また、フィルムに埋め込み体が貼り付けられている場合、埋め込み体はフィルムでその周囲を押さえ込まれる。
【0007】
続いて、可動型を固定型に移動させて金型を閉じ、成形機のノズルから溶融樹脂を金型内に射出する。
【0008】
そして、射出樹脂の冷却後、金型を開け、成形品を取り出し、成形品周縁部の余白フィルムをトリミングすることにより、フィルム(または埋め込み体を埋め込んだフィルム)を表面に備えるフィルム一体化成形品が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4128930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述のフィルム一体化成形品の製造において、以下の問題がある。
【0011】
具体的に説明すると、フィルム一体化成形品に使用されるフィルムは、製造上且つ搬送上の理由から、芯に巻かれてロール状にされている。ロール状のフィルムを用いてフィルム一体化成形品を製造する場合、まず、ロール状フィルムを送るフィルム送り装置によって該フィルムの先端部を射出成形装置の金型近傍位置に送り、その位置でフィルムの先端部をフィルムホールドユニットが保持する。フィルムホールドユニットは、射出成形金型の合わせ面に沿って移動し、保持するフィルムがキャビティ側の合わせ面(そのキャビティを含めて)を覆うように該フィルムを搬送する。また、フィルムホールドユニットは、このとき、フィルムが、該フィルムをパーティング面のキャビティの全周囲に押さえつけるメインクランプ装置と該パーティング面との間を通過するように搬送する。
【0012】
次に、フィルムホールドユニットの移動によってメインクランプ装置とキャビティ側の合わせ面との間を通過して越えたロール状フィルムの先端部を、サブクランプ装置によって該合わせ面に押さえつけて固定する。サブクランプ装置によってフィルムの先端部の固定が完了すると、フィルムホールドユニットはフィルムのホールドを解除して退避し、続いてメインクランプ装置によってフィルムを合わせ面に固定する。その後、ヒートカッタ装置の刃をロール状フィルム本体とメインクランプ装置との間に位置するフィルムの部分に接触させ、その刃を加熱することによってフィルム幅方向に溶融切断する。
【0013】
このような製造方法にしたがい、フィルムの搬送方向に、フィルム送り装置、ヒートカッタ装置、メインクランプ装置、サブクランプ装置の順に、これらの装置が射出成形装置に一体的に略直線上に設置される。
【0014】
しかし、この場合、ヒートカッタ装置とメインクランプ装置の間に位置するフィルムの部分が無駄になる。また、製造するフィルム一体化成形品の形状が変わる場合、金型を新規に製作することになるが、このヒートカッタ装置は金型に組み込まれる装置なので、その都度に使用するロールフィルム幅に合せたヒートカッタ装置を製作されるのが通例である。
【0015】
さらに、フィルム送り装置が射出成形装置に一体的に設置されているので、新しいロール状フィルムをフィルム送り装置にセットする場合、射出成形装置の運転を停止させる必要がある。その結果、射出成形装置の稼働率が低下し、フィルム一体化成形品の生産効率が低下する。さらにまた、重いロール状フィルムを金型(フィルム送り装置)にセットすることは、作業者に大きな負担を強いるものであった。
【0016】
そこで、本発明はロール状フィルムを使用してフィルム一体化成形品を製造するにあたり、ロール状フィルムのロスを少なくするとともに、金型内にヒートカッタ装置の組み込みを必要とせず、装置側に組み込まれたヒートカッタ装置によりあらゆる幅のロール状フィルムを切断することを課題とする。また、本発明は、フィルム一体化成形品を作製する射出成形装置の稼働率の低下を抑制し、且つフィルム交換時のセットの労力を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明によれば、
ロール状フィルムをその幅方向に切断してシート状フィルムを作製するフィルムカット装置であって、
ロール状フィルムを回転可能に且つ交換可能に支持するフィルムロール支持機構と、
ロール支持機構に支持されているロール状フィルムの先端部を吸引して吸着保持した状態で移動することにより該先端部を引き出すフィルムチャックユニットと、
フィルムチャックユニットが引き出したロール状フィルムの部分をフィルム幅方向に切断してシート状フィルムを作製する刃を備えるカッタユニットと、
シート状フィルムを吸引により吸着する吸着面を備えるシート吸着テーブルとを有し、
フィルムチャックユニットが、ロール状フィルムの先端部を吸着保持して設定量移動し、カッタユニットによるフィルムの切断時には吸着保持状態を維持し、カッタユニットによる切断によって作製された上記設定量に対応する長さのシート状フィルムを吸着保持した状態でシート吸着テーブルに移動し、且つシート状フィルムがシート吸着テーブル上に位置したときに吸引を停止するように構成されているフィルムカット装置が提供される。
【0018】
また、請求項2に係る発明によれば、
フィルムチャックユニットが、
フィルムの反シート吸着テーブル側の表面を吸引して吸着保持する吸着パッドと、
吸着パッドを支持し、吸着パッドを介してシート状フィルムをシート吸着テーブルの吸着面に押し付けるエアシリンダとを有し、
シート吸着テーブルが、
フィルムチャックユニットがシート状フィルムを吸着面に押し付けた後から該シート状フィルムの吸引を開始し、
フィルムチャックユニットが、
シート吸着テーブルがシート状フィルムの吸引を開始した後から吸着パッドの吸引を停止し、エアシリンダを介して吸着パッドをシート状フィルムから離間させるフィルムカット装置が提供される。
【0019】
さらに、請求項3に係る発明によれば、
シート吸着テーブルに吸着されているシート状フィルムの表面上を転動するローラを有するフィルムカット装置が提供される。
【0020】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、
ローラがフィルムチャックユニットに設けられ、
フィルムチャックユニットが移動することにより、ローラがシート吸着テーブルに吸着されているシート状フィルムの表面上を転動するフィルムカット装置が提供される。
【0021】
加えて、請求項5に係る発明によれば、
フィルム吸着テーブルは、他の装置がフィルム吸着テーブル上のシート状フィルムをハンドリングするとき、吸引を停止するように構成されているフィルムカット装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロール状フィルムからシート状フィルムが作製される。また、ロール状フィルムの先端部を吸着保持した状態のフィルムチャックユニットの移動量を変更することにより、所望の長さのシート状フィルムを作製することができる。例えば、フィルム一体化成形品の作製に必要な長さと、フィルムを射出成形装置の金型に固定するために必要な固定代(しろ)(例えばクランプしろ)とをたした長さのシート状フィルムを作製することが可能になる。このようなシート状フィルムを射出成形装置の金型に固定してフィルム一体化成形品を作製すれば、フィルムのロスを少なくすることができる。
【0023】
また、カッタユニットは、フィルム一体化成形品を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロール状フィルムをその幅方向に切断できる刃を設置しておくことにより、幅が異なるロール状フィルムに変更されても、それに合わせてカッタユニットを作製する必要がなく、あらゆる幅のロール状フィルムに適用することができる。
【0024】
さらに、ロール状フィルムを、射出成形装置の金型に一体的に設けられたフィルム送り装置にセットする必要がないので、そのセットのために射出成形装置の運転を停止させる必要がなくなり、射出成形装置の稼働率を一定に維持することが可能になる。
【0025】
さらにまた、フィルムカット装置によって作製されたシート状フィルムは、ロール状フィルムに比べて金型へのセットが容易である。また、セットの自動化も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一例のフィルム一体化成形品の断面図である。
【図2】図1に示すフィルム一体化成形品の製造の流れを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るフィルム一体化成形品製造システムの上面図である。
【図4】フィルムカット装置の上面図である。
【図5】フィルムカット装置の側面図である。
【図6】シート搬送装置の側面図である。
【図7】シート搬送装置のハンドツールの断面図である。
【図8】埋め込み体貼り付け装置の側面図である。
【図9】射出成形装置の金型の断面図である。
【図10】フィルムカット装置によるフィルムシートの作製方法を示す図である。
【図11】図10に続く、フィルムカット装置によるフィルムシートの作製方法を示す図である。
【図12】フィルムカット装置からシート搬送装置にフィルムシートを受け渡す方法を説明するための図である。
【図13】埋め込み体貼り付け装置によるフィルムシートへの埋め込み体の貼り付け方法を説明するための図である。
【図14】シート搬送装置によるフィルムシートの金型への位置合わせを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、フィルム一体化成形品の一例として、埋め込み体を埋め込んだフィルムを表面に一体的に備えるフィルム一体化成形品を説明する。その後に、フィルム一体化成形品の製造システムを説明する。
【0028】
図1は、埋め込み体を埋め込んだフィルムを表面に一体的に備えるフィルム一体化成形品の断面を示している。また、図2は、そのフィルム一体化成形品の製造手順を簡略的に示している。
【0029】
図1に示すように、本発明に係るフィルム一体化成形品10は、樹脂成形品(例えば、形帯電話の筐体)12と、その表面に一体的に貼り付けられたフィルムシート14とから構成される。そのフィルムシート14には、埋め込み体16が埋め込まれている。また、このフィルム一体化成形品10は、射出成形装置によって作製される。
【0030】
フィルムシート14は、透明、半透明、または部分的に透明なベースフィルム14a(例えばアクリルフィルムシート)の一方の表面に印刷層14b(図柄パターンの層)を形成し、さらに印刷層14bの表面に接着層14c(接着剤の層)を形成して構成されたものである。接着層14cにより、フィルムシート14と樹脂成形品12とが接着する。この接着層14cを形成する接着剤は、射出樹脂の熱によって溶融し、常温では固化する接着剤である。なお、フィルムシート14は、印刷層がない、絵柄を有するベースフィルムの表面に接着層のみを形成したものであってもよい。
【0031】
埋め込み体16は、例えば文字やキャラクターなどの図柄やパターン形状の薄体であって、例えば、金属、紙、皮革、ゴム、布、突き板、ガラスなど、天然或いは人口素材による意匠性、触感として特徴のある材料で製作されている。
【0032】
次に、このようなフィルム一体化成形品10の製造の流れについて説明する。なお、ここでは、埋め込み体16の製造の流れについても説明する。
【0033】
まず、図2(A)に示すように、離型シート20上に感圧接着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesives)やホットメルト接着剤の層22を形成する。次に、埋め込み体16の材料(例えば金属)の層24を形成する。
【0034】
続いて、図2(B)に示すように、トムソン型やピナクル型により、PSA層22と材料層24とを、所望する埋め込み体16の形状に型抜きする。そして、図2(C)に示すように、材料層24(すなわち埋め込み体16)を保護する保護シート26を貼り付ける。これにより、埋め込み体シール28が完成する。
【0035】
次に、図2(D)に示すように、埋め込み体シール28の埋め込み体16を、PSA層22を介してフィルムシート14に貼り付ける。埋め込み体16は、印刷層14bおよび接着層14cが形成されていない側のベースフィルム14aの表面S1に貼り付けされる。
【0036】
そして、図2(E)に示すように、埋め込み体16が貼り付けられたフィルムシート14の周縁部を、射出成形装置の金型30の一方の型(可動型)30aの合わせ面30cに固定する。ヒータ(図示せず)によってフィルムシート14を軟化するとともに、可動型30aの吸引孔30a1によって軟化したフィルムシート14を成形面30a2に向かって吸引する。そして、フィルムシート14を成形面30aに密着させる。このとき、埋め込み体16がフィルムシート14に埋まり込む。
【0037】
次に、金型30を閉じ、樹脂12が固定型30bのスプル30b1の経路を通って金型30内に射出される。金型30内の樹脂が冷却した後、金型30を開け、フィルムシート14が表面に密着一体化した成形品を取り出し、その成形品周縁部の余白フィルムをトリミングすると、完成品として図1に示すフィルム一体化成形品10が得られる。
【0038】
ここからは、上述のフィルム一体化成形品10の製造方法に基づく製造システムについて説明する。
【0039】
図3の上面図(レイアウト図)に示すフィルム一体化成形品10を製造するシステムは、概略4つの装置から構成される。
【0040】
フィルム一体化成形品10の製造システム50は、ロール状のフィルム(ロールフィルム)を切断してシート状のフィルム(フィルムシート14)を作製するフィルムカット装置52と、フィルムシート14を搬送するシート搬送装置54と、フィルムシート14に埋め込み体16を貼り付ける埋め込み体貼り付け装置56と、フィルム一体化成形品10を成形する射出成形装置58とを有する。
【0041】
フィルムカット装置52は、図3の部分拡大図である図4および側面図である図5に示すように、ロールフィルム60から、フィルム一体化成形品10に使用するフィルムシート14を作製する装置である。フィルムカット装置52は、ロールフィルム60を支持するロール支持台62と、ロールフィルム60の先端部を引き出すフィルムチャックユニット64と、引き出されたロールフィルム60の部分60aをその幅方向に切断してフィルムシート14を作製するカッタユニット66と、フィルムシート14を吸着する吸着テーブル70とから構成されている。
【0042】
フィルムカット装置52のロール支持台62は、ロールフィルム60を回転可能に且つ交換可能に、さらに所定のテンションで引き出し可能に支持するように構成されている。また、ロール支持台62は、ロールフィルム60から引き出した部分60aの接着層(フィルムシート14の接着層14cに対応)が形成されている表面S2が上側(反吸着テーブル70側)に向くように、ロールフィルム60を支持している。なお、このロールフィルム60は、接着層を外側に向けて芯72に巻かれている。さらに、フィルム一体化成形品を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロールフィルム60を支持できるように構成されている。例えば、ロールフィルム60の芯72の各端を支持する支持台62の2つの支持部分が、接近方向または離間方向にロールフィルム60の幅方向(Y軸方向)に移動可能に構成されている。
【0043】
フィルムチャックユニット64は、ロールフィルム60の先端部を保持してロールフィルム60の引き出し方向(X軸方向)に移動可能に構成されており、ボールねじ74とサーボモータ76とからなる駆動装置によって駆動され、ロールフィルム60本体からその先端部を任意の設定量引き出す。
【0044】
そのために、フィルムチャックユニット64は、ロールフィルム60の先端部を引き出すときに該先端部の接着層側の表面S2を吸引して吸着保持する複数の吸着パッド78を有する。これらの吸着パッド78は、ロールフィルム60の幅方向(Y軸方向)に並んでフィルムチャックユニット64に設けられている。複数の吸着パッド78は、真空ポンプ(図示せず)またはコンプレッサに接続された真空エジェクタ(図示せず)に接続されており、エアーバルブによってフィルムの着脱を制御できるようにしている。
【0045】
複数の吸着パッド78はまた、エアシリンダ79によって支持されており、このエアシリンダ79によってZ軸方向に移動する。このエアシリンダ79による吸着パッド78のZ軸方向の移動についての詳細は後述する。
【0046】
さらに、フィルムチャックユニット64は、Y軸方向に延びる回転中心線を中心として自由回転するローラ80を有する。このローラ80は、詳細は後述するが、吸着テーブル70がフィルムシート14を吸着しているとき、フィルムシート14の接着層側の表面S2上を転がり、フィルムシート14を吸着テーブル70に密着させる役割をする。また、ローラ80は、その両端それぞれが、チャックユニット64に設けられた2つのエアシリンダ82それぞれのZ軸方向に進退するピストンロッドの先端に支持されている。これらのエアシリンダ82により、ローラ80は、吸着パッド78の吸着保持中、後退した位置(フィルムシート14から離れた位置)で待機する。
【0047】
カッタユニット66は、フィルムチャックユニット64によって引き出されたロールフィルム60の部分60aを幅方向(Y軸方向)に、フィルムチャックユニット64の吸着パッド78が吸着保持する部分と支持台62との間で切断する刃を備えるヒートカッタ84と、ヒートカッタ84をZ軸方向に進退させる直動機構86とを有する。直動機構86により、ヒートカッタ84は、X軸方向に移動するチャックユニット64と干渉しない位置まで後退(上昇)して待機し、切断時に降下してチャックユニット64によって引き出されたロールフィルム60の部分60aをその刃によって溶融切断する。チャックユニット64がカッタユニット66の切断位置CpからX軸方向に所定の長さだけロールフィルム60の先端を引き出し、その後カッタユニット66が引き出されたロールフィルム60の部分60aを切断することにより、所定の長さのフィルムシート14が得られる。
【0048】
なお、ヒートカッタ84の刃のY軸方向の長さは、フィルム一体化成形品を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロールフィルム60に対応できる長さにされている。これにより、あらゆる幅のロールフィルム60をその幅方向に切断することができる。
【0049】
吸着テーブル70は、フィルムシート14を吸引して吸着することにより平坦状態にするテーブルであって、フィルムシート14全体を吸着できる大きさの平坦な吸着面70aを備えている。具体的には、吸着テーブル70の吸着面70aは、フィルム一体化成形品を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロールフィルム60から作製されたフィルムシート14全体を吸着できる大きさにされている。吸着面70aには複数の吸引孔70bが形成され、フィルムシート14は、この吸引孔70bを介して、真空ポンプ(図示せず)またはコンプレッサに接続された真空エジェクタ(図示せず)によって吸引される。その結果、フィルムシート14は、その全体が吸着テーブル70に平坦状態で密着する。なお、フィルムチャックユニット64の吸着パッド78による吸着と、吸着テーブル70による吸着は、例えば電磁弁によって別々に制御される。
【0050】
また、図4および図5に示すように、吸着テーブル70の吸着面70aには、部分的に吸着面70aを覆う吸引孔シールテープ92が貼り付けられている。これは、フィルムシート14の大きさに対応した大きさのテープであって、フィルムシート14の大きさが吸着テーブル70に比べて小さい場合に、フィルムシート14に対向しない吸引孔70bを塞ぐために使用される。これは、吸引孔シールテープ92がない状態で真空ポンプまたは真空エジェクタに接続されたコンプレッサを作動させると、フィルムシート14に対向しない吸引孔70bが外気を吸引し、吸着テーブル70が所定の吸着力でフィルムシート14を吸着できなくなるからである。
【0051】
なお、フィルムカット装置52によるフィルムシート14の作製の詳細については後述する。
【0052】
図3に戻り、シート搬送装置54は、フィルムカット装置52が作製したフィルムシート14を、フィルムカット装置52から埋め込み体貼り付け装置56に、また埋め込み体貼り付け装置56から射出成形装置58に搬送するように構成されている。
【0053】
シート搬送装置54は、図6に示すように、フィルムシート14を平坦状態で保持するハンドツール94と、ハンドツール94を先端に備えて該ツール94の位置や姿勢を変更するロボット96と、ロボット96をX軸方向に移動させる直動機構98とを有する。
【0054】
ハンドツール94は、図7に示すように、フィルムシート14を吸引して吸着保持する吸着プレート100と、吸着プレート100を保持するプレートベース102と、プレートベースを保持してロボット96の先端に固定されたメインベース104とを有する。
【0055】
吸着プレート100は、平坦な吸着面100aを備え、その吸着面100aには複数の吸引孔100bが形成されている。複数の吸引孔100bは、真空ポンプ(図示せず)またはコンプレッサに接続された真空エジェクタ(図示せず)に接続されている。なお、フィルムカット装置52の吸着テーブル70による吸着と、シート搬送装置54の吸着プレート100による吸着は、例えば電磁弁(図示せず)によって別々に制御される。
【0056】
プレートベース102は、吸着プレート100の吸着面100aと直交する方向に移動可能にメインベース104に支持されている。具体的には、メインベース104には、プレートベース102に取付けられた吸着面100aの直交方向に延びる複数のガイドロッド106それぞれを該直交方向に摺動可能に支持する複数のガイドブシュ108が設けられている。また、メインベース104とプレートベース102との間には、両者を離間するように付勢するスプリング110が配置されている。
【0057】
図6に戻り、ロボット96は、例えば、6軸のロボットであって、ロボット96をX軸方向に移動させる直動機構98と協働し、フィルムカット装置52の吸着テーブル70から埋め込み体貼り付け装置56に、また埋め込み体貼り付け装置56から射出成形装置58の金型30にフィルムシート14を搬送する(ハンドツール94を移動させる)。
【0058】
図3に戻り、埋め込み体貼り付け装置56は、シート搬送装置54のハンドツール94が保持するフィルムシート14に埋め込み体16を貼り付けするように構成されている。
【0059】
具体的には、埋め込み体貼り付け装置56は、図8に示すように、シート搬送装置54のハンドツール94に保持された状態のフィルムシート14が載置される載置面112aを備えるステージ112と、ステージ112に形成された貫通孔112bを介して埋め込み体16をフィルムシート14に押し付けるエアシリンダ114と、ロール状の埋め込み体シール28(ロールシール116)を支持する支持軸118と、保護シート26を回収する保護シート回収リール120と、埋め込み体シール28の離型シート20を回収する離型シート回収リール122とを有する。なお、埋め込み体シール28は、離型シート20を外側に向けて芯124に巻かれている。
【0060】
また、埋め込み体貼り付け装置56は、埋め込み体シール28を支持軸118から、ステージ112の貫通孔112bとエアシリンダ114との間を介して、保護シート回収リール122に案内するガイドローラ126,128と離型シート20を離型シート回収リール120に案内するガイドローラ130とを有する。
【0061】
ステージ112は、板形状であって、フィルムシート14がシート搬送装置54によって載置される平坦な載置面112aを備えるとともに、貫通孔112bが形成されている。この貫通孔112bは、載置面112a上のフィルムシート14に、載置面112aの反対側から埋め込み体16を貼り付けるために形成されている。なお、載置面112aの反対側の表面は、理由は後述するが、埋め込み体シール28のPSA層22が付着しないように不粘着処理されている。
【0062】
エアシリンダ114は、ステージ112の貫通孔112bに進退する押圧部材114aを、そのピストンロッドの先端に備える。エアシリンダ114は、二点鎖線に示すように押圧部材114が後退しているときにステージ112の貫通孔112bと押圧部材114aとの間に配置された、離型シート20が離型シート回収リール120によって剥がされた埋め込み体シール28の埋め込み体16を、押圧部材114aによって保護シート26を介して貫通孔112b内に向かって押し進める。これにより、埋め込み体16をフィルムシート14に貼り付ける。なお、このとき、押圧部材114aによって貫通孔112bに向かって押し進められていない他の埋め込み体16がステージ112に接触するが、不粘着処理によって埋め込み体16のPSA層22がステージ112に付着することはない。
【0063】
保護シート回収リール120は、埋め込み体シール28の保護シート26を巻き取って回収するリールであって、サーボモータ(図示せず)によって断続的に回転駆動される。この保護シート回収リール120が断続的に回転することにより、支持軸118から、ステージ112の貫通孔112bとエアシリンダ114との間に埋め込み体シール28の埋め込み体16が断続的に配置される。
【0064】
離型シート回収リール122は、埋め込み体シール28の離型シート20を巻き取って回収するリールであって、サーボモータ(図示せず)によって断続的に回転駆動される。離型シート回収リール122は、断続的に回転し、ステージ112の貫通孔112bとエアシリンダ114との間より上流側(埋め込み体シール28の移動方向に関して)で、埋め込み体シール28から離型シート20を剥がして回収する。
【0065】
図3に戻り、射出成形装置58は、ホッパ132に収容されている固形の樹脂材料を溶融し、溶融した樹脂を所定の射出圧力で金型30内に射出する。金型30は、X軸方向に移動する可動型30aと溶融した樹脂の経路になるランナーとスプルが形成された固定型30bから構成されている。また、金型30は、フィルムシート14が固定される平坦な合わせ面30cを備えている。この合わせ面30cに、シート搬送装置54の吸着プレート100に吸着保持された状態のフィルムシート14を固定できるように、射出成形装置58は構成されている。
【0066】
具体的には、射出成形装置58の金型30の可動型30aは、図9に示すように、フィルムシート14の周縁部を可動型30aの平坦な合わせ面30cに固定するクランプ装置134を有する。クランプ装置134がフィルムシート14の周縁部を合わせ面30cにおいてキャビティの全周囲に固定できるように、シート搬送装置54のハンドツール94の吸着プレート100は、周縁部を残してフィルムシート14を吸着保持する大きさに設計されている。なお、図では2つのクランプ装置134のみ示されているが、クランプ装置134は、フィルムシート14の周縁部を可動型30aの合わせ面30c全体に固定できるように複数基該可動型30aに設けられている。
【0067】
クランプ装置134は、フィルムシート14の周縁部と一端が接触するクランププレート136と、クランププレート136の他端を支持するロッド138を回転させるロータリアクチュエータ(図示せず)とを有する。ロータリアクチュエータがロッド138を回転させることにより、クランププレート136がフィルムシート14を可動型30aの合わせ面30cに固定する(クランプする)、またはリリースする(アンクランプする)。また、クランプ装置134、アンクランプ状態のときに、クランププレート136が合わせ面30cより可動型30a側に完全に退避するように構成されている(クランププレート136が完全に退避できるスペース140が可動型30aに形成されている)。これにより、クランプ装置134のクランクプレート136と接触することなく、シート搬送装置54のロボット96は、フィルムシート14を可動型30aの合わせ面30cに位置合わせすることができる。
【0068】
ここからは、フィルム一体化成形品10の製造の流れ、特に、ロールフィルム60からフィルムシート14が作製され、射出成形装置58の金型30の可動型30aに埋め込み体16が貼り付けられたフィルムシート14が固定されるまでの流れについて説明する。
【0069】
まず、ロールフィルム60からフィルムシート14が作製される流れについて、図10〜12を参照しながら説明する。
【0070】
図10(A)に示すように、フィルムチャックユニット64が、先端がカッーユニット66の切断位置Cpに位置するロールフィルム60の先端部の上方に位置し、そのエアシリンダ79が、吸着パッド78をZ軸方向に移動させ、吸着パッド78をロールフィルム60の先端部に接触させる。吸着パッド78は、ロールフィルム60の先端部に接触した状態で吸引を開始し、ロールフィルム60の先端部を吸着保持する。これにより、吸着パッド78は、ロールフィルム60の先端部を容易に且つ確実に吸着保持することができる。
【0071】
次に、フィルムチャックユニット64が、吸着テーブル70に向かって移動し、図10(B)に示すように、引き出したロールフィルム60の先端がカッタユニット66の切断位置Cpから所定の距離L離れた位置に到達したときに停止する。そして、カッタユニット66のヒートカッタ84が降下し、ロールフィルム60の部分60aを切断する。これにより、長さLのフィルムシート14が作製される。
【0072】
ヒートカッタ84による切断の完了後、フィルムチャックユニット64が、その吸着パッド78がフィルムシート14を吸着保持した状態で、吸着テーブル70の上方に向かって移動する。図11(A)に示すように、フィルムシート14が吸着テーブル14上の所定の位置(吸引孔シールテープ92が貼り付けされていない部分上の位置)に到達すると、フィルムチャックユニット64は停止する。
【0073】
フィルムチャックユニット64が停止すると、そのエアシリンダ79が、フィルムシート14を吸着保持した状態の吸着パッド78を吸着テーブル70に向かって移動させる。これにより、フィルムシート14が吸着テーブル70に押し付けられて固定される。なお、フィルムチャックユニット64の停止位置を調整すれば、フィルムシート14を吸着テーブル70の任意の位置に押し付けて固定することができる。
【0074】
フィルムシート14が吸着テーブル70に押し付け固定されると、吸着テーブル70がフィルムシート14を吸引し始める。それと同時に、フィルムチャックユニット64の吸着パッド78が吸引を停止し、エアシリンダ79によってフィルムシート14から離れる。さらに同時にまたはその後に、図11(B)に示すように、エアシリンダ82によってローラ80が降下し、フィルムシート14に接触する。そして、フィルムチャックユニット64が、カッタユニット66に向かって移動し、ローラ80がフィルムシート14の表面上を転動する。これらにより、フィルムシート14が吸着テーブル70に密着する。
【0075】
なお、フィルムチャックユニット64がフィルムシート14の上方を往復動することにより、ローラ80がフィルムシート14の表面上を複数回転動するようにしてもよい。これにより、フィルムシート14が吸着テーブル70により密着する。
【0076】
フィルムチャックユニット64が移動してカッタユニット66の近傍位置に到達すると、シート搬送装置54のハンドツール94が移動し、吸着テーブル70に吸着されているフィルムシート14の上方に、吸着プレート100の吸着面100aとフィルムシート1とが平行になる姿勢で停止する。続いて、ハンドツール94は降下し、図12(A)に示すように、フィルムシート14の表面にハンドツール94の吸着プレート100を押し当てる。これにより、フィルムシート14は、吸着テーブル70と吸着プレート100との間に平坦状態で挟持される。
【0077】
フィルムシート14が吸着テーブル70と吸着プレート100との間に挟持されると、吸着テーブル70がフィルムシート14の吸引を停止する。その直後に、吸着プレート100がフィルムシート14の吸引を開始する。これにより、フィルムシート14が、吸着テーブル70から吸着プレート100に平坦状態で受け渡される。そして、図12(B)に示すように、シート搬送装置54は、ハンドツール94を上昇させ、フィルムシート14を埋め込み体貼り付け装置56に向かって搬送する。
【0078】
フィルムカット装置52からフィルムシート14を受け取ると、シート搬送装置54は、ハンドツール94が保持するフィルムシート14を、図13(A)に示すように、埋め込み体貼り付け装置56のステージ112上に配置する。具体的には、シート搬送装置54は、吸着プレート100によるフィルムシート14の吸着保持を継続しつつ、埋め込み体16が貼り付けられるフィルムシート14の部分をステージ112の貫通孔112bに位置合わせした状態で、フィルムシート14をステージ112に押し当てる。これにより、フィルムシート14は、吸着プレート100とステージ112との間に平坦状態で挟持される。
【0079】
フィルムシート14がステージ112上に載置されると、図13(B)に示すように、埋め込み体貼り付け装置56のエアシリンダ114の押し子114aが上昇し、保護シート26を介して埋め込み体16をフィルムシート14に貼り付ける。このとき、シート搬送装置54のハンドツール94の吸着プレート100がフィルムシート14を支持する役割をする。これにより、埋め込み体16が平坦状態のフィルムシート14に強く密着することができる。
【0080】
フィルムシート14への埋め込み体16の貼り付けが完了すると、シート搬送装置54は、埋め込み体貼り付け装置56から射出成形装置58の金型30に向かって、埋め込み体16が貼り付けられたフィルムシート14を搬送する。
【0081】
図14(A)に示すように、シート搬送装置54は、フィルムシート14が可動型30aの合わせ面30cと平行する状態で、ハンドツール94を可動型30aと固定型30bとの間に移動させる。そして、ハンドツール94を可動型30aに向かって移動させることにより、図14(B)に示すように、フィルムシート14を可動型30aの合わせ面30cに位置合わせする。この位置合わせの完了後、図9に示すように、クランプ装置134によってフィルムシート14を可動型30aの合わせ面30cに固定する。これにより、埋め込み体16が貼り付けられたフィルムシート14は、平坦状態で可動型30aの合わせ面30cに固定される。
【0082】
フィルムシート14が可動型30aの合わせ面30cに固定されると、シート搬送装置54のハンドツール94の吸着プレート100によるフィルムシート14の吸引が停止し、ハンドツール94が、可動型30aと固定型30bとの間から退避する。そして、射出成形装置58は、金型30を閉じて、埋め込み体16が少なくとも部分的に埋め込まれたフィルムシート14を表面に備えるフィルム一体化成形品10を作製する。
【0083】
本実施形態によれば、ロールフィルム60からフィルムシート14が作製される。また、ロールフィルム60の先端部を吸着保持した状態のフィルムチャックユニット64の移動量を変更することにより、所望の長さのシートフィルム14を作製することができる。例えば、フィルム一体化成形品10の作製に必要な長さと、フィルムを射出成形装置58の金型30に固定するために必要なクランプ代(しろ)(クランプ装置134がクランプする部分)とをたした長さのフィルムシート14を作製することが可能になる。このようなフィルムシート14を射出成形装置58の金型30に固定してフィルム一体化成形品10を作製すれば、フィルムのロスを少なくすることができる。
【0084】
また、カッタユニットは、フィルム一体化成形品10を製造するにあたって使用する可能性がある最大幅のロールフィルム60をその幅方向に切断できる刃を設置しておくことにより、幅が異なるロール状フィルムに変更されても、それに合わせてカッタユニットを作製する必要がなく、あらゆる幅のロールフィルム60に適用することができる。
【0085】
さらに、ロールフィルムを、射出成形装置の金型に一体的に設けられたフィルム送り装置にセットする必要がないので、そのセットのために射出成形装置の運転を停止させる必要がなくなり、射出成形装置の稼働率を一定に維持し、生産効率を上げることが可能になる。
【0086】
さらにまた、フィルムカット装置52によって作製されたフィルムシートは、ロールフィルム60に比べて金型30へのセットが容易である。また、セットの自動化も容易である。したがって、上述するように、ロボット96がフィルムシート14を金型に位置合わせすることが可能になる。
【0087】
加えて、ロールフィルム60の先端部を吸着保持して移動することにより該先端部を引き出すフィルムチャックユニット64が、引き出されたロールフィルム60の部分60aをカッタユニット66が切断するときに該先端部を固定する手段として機能する。また、カッタユニット66の切断によって作製されたフィルムシート14を吸着テーブル70に搬送する手段として機能する。これにより、別途切断時のフィルム固定手段やフィルム搬送手段を設ける必要がなく、ロールフィルム60からフィルムシート14を作製するフィルムカット装置52の構成がシンプルになる。
【0088】
加えてまた、ロールフィルム60から作製されたフィルムシート14が吸着テーブル70に吸着固定されるので、このフィルムシート14を、フィルム一体化成形品を製造する射出成形装置58にフィルムシート14を搬送する装置54が容易にハンドリングすることができる。
【0089】
さらに加えて、従来の方法に比べ、金型内に送り込まれたロール状フィルムの先端を固定するクランプ装置やフィルムを切断するヒートカッタを設置する必要がなくなるので金型のコストも安くなり、メンテナンスも容易になる。
【0090】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0091】
例えば、上述の実施形態では、フィルム一体化成形品は、埋め込み体がフィルムに埋まり込んだフィルム一体化成形品であったが、本発明はこれに限らない。単にフィルムを表面に一体的に備えるフィルム一体化成形品であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
14 シート状フィルム(フィルムシート)
60 ロール状フィルム(ロールフィルム)
64 フィルムチャックユニット
66 カッタユニット
70 シート吸着テーブル(吸着テーブル)
70a 吸着面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状フィルムをその幅方向に切断してシート状フィルムを作製するフィルムカット装置であって、
ロール状フィルムを回転可能に且つ交換可能に支持するフィルムロール支持機構と、
ロール支持機構に支持されているロール状フィルムの先端部を吸引して吸着保持した状態で移動することにより該先端部を引き出すフィルムチャックユニットと、
フィルムチャックユニットが引き出したロール状フィルムの部分をフィルム幅方向に切断してシート状フィルムを作製する刃を備えるカッタユニットと、
シート状フィルムを吸引により吸着する吸着面を備えるシート吸着テーブルとを有し、
フィルムチャックユニットが、ロール状フィルムの先端部を吸着保持して設定量移動し、カッタユニットによるフィルムの切断時には吸着保持状態を維持し、カッタユニットによる切断によって作製された上記設定量に対応する長さのシート状フィルムを吸着保持した状態でシート吸着テーブルに移動し、且つシート状フィルムがシート吸着テーブル上に位置したときに吸引を停止するように構成されているフィルムカット装置。
【請求項2】
フィルムチャックユニットが、
フィルムの反シート吸着テーブル側の表面を吸引して吸着保持する吸着パッドと、
吸着パッドを支持し、吸着パッドを介してシート状フィルムをシート吸着テーブルの吸着面に押し付けるエアシリンダとを有し、
シート吸着テーブルが、
フィルムチャックユニットがシート状フィルムを吸着面に押し付けた後から該シート状フィルムの吸引を開始し、
フィルムチャックユニットが、
シート吸着テーブルがシート状フィルムの吸引を開始した後から吸着パッドの吸引を停止し、エアシリンダを介して吸着パッドをシート状フィルムから離間させる請求項1に記載のフィルムカット装置。
【請求項3】
シート吸着テーブルに吸着されているシート状フィルムの表面上を転動するローラを有する請求項1または2に記載のフィルムカット装置。
【請求項4】
ローラがフィルムチャックユニットに設けられ、
フィルムチャックユニットが移動することにより、ローラがシート吸着テーブルに吸着されているシート状フィルムの表面上を転動する請求項3に記載のフィルムカット装置。
【請求項5】
フィルム吸着テーブルは、他の装置がフィルム吸着テーブル上のシート状フィルムをハンドリングするとき、吸引を停止するように構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルムカット装置。
【請求項1】
ロール状フィルムをその幅方向に切断してシート状フィルムを作製するフィルムカット装置であって、
ロール状フィルムを回転可能に且つ交換可能に支持するフィルムロール支持機構と、
ロール支持機構に支持されているロール状フィルムの先端部を吸引して吸着保持した状態で移動することにより該先端部を引き出すフィルムチャックユニットと、
フィルムチャックユニットが引き出したロール状フィルムの部分をフィルム幅方向に切断してシート状フィルムを作製する刃を備えるカッタユニットと、
シート状フィルムを吸引により吸着する吸着面を備えるシート吸着テーブルとを有し、
フィルムチャックユニットが、ロール状フィルムの先端部を吸着保持して設定量移動し、カッタユニットによるフィルムの切断時には吸着保持状態を維持し、カッタユニットによる切断によって作製された上記設定量に対応する長さのシート状フィルムを吸着保持した状態でシート吸着テーブルに移動し、且つシート状フィルムがシート吸着テーブル上に位置したときに吸引を停止するように構成されているフィルムカット装置。
【請求項2】
フィルムチャックユニットが、
フィルムの反シート吸着テーブル側の表面を吸引して吸着保持する吸着パッドと、
吸着パッドを支持し、吸着パッドを介してシート状フィルムをシート吸着テーブルの吸着面に押し付けるエアシリンダとを有し、
シート吸着テーブルが、
フィルムチャックユニットがシート状フィルムを吸着面に押し付けた後から該シート状フィルムの吸引を開始し、
フィルムチャックユニットが、
シート吸着テーブルがシート状フィルムの吸引を開始した後から吸着パッドの吸引を停止し、エアシリンダを介して吸着パッドをシート状フィルムから離間させる請求項1に記載のフィルムカット装置。
【請求項3】
シート吸着テーブルに吸着されているシート状フィルムの表面上を転動するローラを有する請求項1または2に記載のフィルムカット装置。
【請求項4】
ローラがフィルムチャックユニットに設けられ、
フィルムチャックユニットが移動することにより、ローラがシート吸着テーブルに吸着されているシート状フィルムの表面上を転動する請求項3に記載のフィルムカット装置。
【請求項5】
フィルム吸着テーブルは、他の装置がフィルム吸着テーブル上のシート状フィルムをハンドリングするとき、吸引を停止するように構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルムカット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−189570(P2011−189570A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56300(P2010−56300)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
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